JP2001227618A - カムシャフト - Google Patents
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Abstract
を、その接触態様に応じた特性を有するように形成する
ことにより、その耐久性と信頼性をより一層向上させた
カムシャフトを提供する。 【解決手段】 相手部材との接触形態が異なる複数のカ
ムを備え、対応する相手部材5、6にすべり接触する第
一のカム3と転がり接触する第2のカム4を有するカム
シャフトにおいて、第一のカム3が、耐ピッチング性焼
結合金に、耐スカッフィング性を付与する表面処理を施
して形成され、第二のカム4が、耐ピッチング性焼結合
金または焼き入れ焼き戻し処理された耐ピッチング性鋼
で形成されることによって、上記課題を解決する。
Description
れるカムシャフトに関し、更に詳しくは、スリッパフォ
ロワとローラフォロワとを相手部材とするカムシャフト
のように、相手部材との接触態様が異なる複数のカム
を、その接触態様に応じた特性を有するように形成する
ことによって、カムシャフトの耐久性と信頼性のより一
層の向上を図ったものである。
は、チル鋳鉄製のカムシャフト、鍛造加工もしくは総切
削加工によって形成された鋼製のカムシャフト、または
焼結合金製のカムをカム軸に接合した組立型のカムシャ
フト等がある。さらに、製造されたカムシャフトには、
必要に応じ、耐摩耗性の向上や強度の向上を目的とした
表面処理や熱処理が施され、全体として特定の性質が付
与されている。こうしたカムシャフトは、通常、同一種
類の動作態様からなるカムフォロワを相手部材としたも
のであり、例えばすべり接触タイプのロッカーアームや
タペット、または、転がり接触タイプのロッカーアーム
やタペット、を対象としたものである。
示すような異なる種類の動作態様からなるカムフォロワ
(例えばすべり接触タイプのスリッパフォロワ5や転が
り接触タイプのローラフォロワ6)を有するロッカーア
ームを相手部材として使用される場合には、相手部材と
カムシャフト1に装着されたカム3、4との接触態様が
それぞれ異なるので、カムシャフト1の耐久性や信頼性
の維持が図れないおそれがある。
とするカム3は、相手部材との摺り合わせにより高温下
でのすべり摺動となることから、そうしたすべり接触に
耐えることができる耐スカッフィング性(すべり摩擦に
よる焼き付き摩耗が起こりにくい性質)が要求される。
一方、ローラフォロワ6を相手部材とするカム4は、相
手部材に接触する面の曲率が小さく、その接触面は高面
圧下で転がり摺動することから、そうした転がり接触に
耐えることができる耐ピッチング性(転がり疲労に基づ
く表面損傷が起こりにくい性質)が要求される。しかし
ながら、従来型のカムシャフトでは、そうした要求を同
時に満足させることができなかった。
824号公報には、相手部材との接触形態が異なる複数
のカムを同時に備えるカムシャフトの耐久性や信頼性を
向上させるため、その接触態様に応じて異なる特性を備
えた材質でそれぞれのカムが形成され、それらのカムが
カム軸に装着されてなるカムシャフトが開示されてい
る。このカムシャフトは、スリッパフォロワ5を相手部
材とする場合には、チル鋳鉄製のカムを採用して耐スカ
ッフィング性の向上を図り、ローラフォロワ6を相手部
材とする場合には、焼き入れ・焼き戻し処理した鋼製の
カムを採用して耐ピッチング性の向上を図っている。
材とすべり接触する上述のチル鋳鉄製のカムは、靱性が
低く引張り強度も小さいので、カムシャフトに強固に装
着することが困難となり、その結果、高回転・高負荷の
運転時にずれが生じる可能性がある。また、そうしたず
れを防止すべくカムをカム軸に強固に装着すると、カム
の薄肉部に割れが発生する可能性がある。こうした問題
に対して、上述の特開平11−229824号公報に
は、再溶融チル化処理によってカムの接触面の強度をよ
り一層向上させているが、根本的な解決には至っていな
い。また、従来のチル鋳鉄製のカムは、使用条件によっ
てはスリッパフォロワ用またはローラフォロワ用に使用
されている例もあるが、後述する本発明の実施例のよう
に、高いピッチング性が要求される用途には適用できな
いものであった。
鋼製のカムは、焼き入れ・焼き戻し処理によって靱性等
の機械的強度の向上を図っているが、コストがかかると
いう問題がある。
ものであって、内燃機関に採用されるカムシャフトにお
いて、相手部材との接触態様が異なる複数のカムを、そ
の接触態様に応じた特性を有するように形成することに
より、その耐久性と信頼性をより一層向上させたカムシ
ャフトを提供する。
は、相手部材との接触形態が異なる複数のカムを備え、
対応する相手部材にすべり接触する第一のカムと転がり
接触する第2のカムを有するカムシャフトにおいて、前
記第一のカムは、耐ピッチング性焼結合金に、耐スカッ
フィング性を付与する表面処理を施して形成され、前記
第二のカムは、耐ピッチング性焼結合金または焼き入れ
焼き戻し処理された耐ピッチング性鋼で形成されること
に特徴を有する。
べり接触する第一のカムが、耐ピッチング性焼結合金
に、耐スカッフィング性を付与する表面処理を施して形
成されるので、相手部材との間で優れた耐スカッフィン
グ性を発揮して焼き付きが極めて起こり難いと共に、第
一のカムに必要十分な耐ピッチング性も有している。ま
た、対応する相手部材に転がり接触する第二のカムが、
耐ピッチング性焼結合金または焼き入れ焼き戻し処理さ
れた耐ピッチング性鋼で形成されるので、優れた耐ピッ
チング性を発揮し、転がり疲労に基づく表面損傷が極め
て起こり難い。こうした本発明のカムシャフトは、相手
部材との接触態様に応じた特性となるように各々のカム
が形成されているので、その耐久性と信頼性をより一層
向上させるとができる。
シャフトにおいて、耐スカッフィング性を付与する表面
処理が、水蒸気処理であることに特徴を有する。
付与する表面処理として水蒸気処理されるので、形成さ
れた水蒸気処理膜により、すべり接触する際の相手部材
との凝着(すなわち焼き付き)が抑制され、優れた耐ス
カッフィング性を発揮する。その結果、カムシャフトの
耐久性と信頼性を、さらに向上させるとができる。
2に記載のカムシャフトにおいて、前記第一のカムおよ
び前記第二のカムが、拡散接合法または圧入嵌合法によ
ってカムに接合されることに特徴を有する。
のカムが、上述のような特性を有するように形成されて
いるので、拡散接合法または圧入嵌合法によってカムに
接合した場合であっても、従来のようなカム軸に装着す
る際の困難性がないので、強固に接合することができ
る。その結果、カムシャフトを備える内燃機関の運転時
に、カムのずれや割れが起こることがない。
照しつつ説明する。
の一例であり、図2は、本発明のカムシャフト1が備え
るカム3、4が相手部材に接触する態様を示す斜視図で
あり、図3は、本発明で使用される焼結合金の組織写真
であり、図4は、第一のカム3に施された水蒸気処理膜
の断面図である。
示すように、相手部材5、6との接触形態が異なる複数
のカム3、4をカム軸2に備えるものであり、対応する
相手部材5にすべり接触する第一のカム3と、対応する
相手部材6に転がり接触する第二のカム4とを有してい
る。本発明の特徴は、第一のカム3を、耐ピッチング性
焼結合金に、耐スカッフィング性を付与する表面処理を
施して形成し、第二のカム4を、耐ピッチング性焼結合
金または焼き入れ焼き戻し処理された耐ピッチング性鋼
から形成したことにある。その結果、接触態様に応じた
特性を有するカム3、4を備えることによって、耐久性
と信頼性がより一層向上したカムシャフト1とすること
ができる。
軸2に拡散接合法または機械的な圧入嵌合法によって接
合された複数のカムを備えている。さらに、必要に応じ
てエンドピースやジャーナルピースが設けられる。カム
は、相手部材との接触態様毎に、その接触態様に応じた
特性を有するように形成され、相手部材のリフト量や作
用角が異なるように適宜設計されてカムシャフト1に装
着される。接触態様としては、図2に示すように、スリ
ッパフォロワ5へのすべり接触と、ローラフォロワ6へ
の転がり接触がある。
ち、対応するスリッパフォロワ5にすべり接触してもす
べり摩耗や焼き付きが極めて起こり難い特性を発揮する
ように、耐ピッチング性焼結合金に、耐スカッフィング
性を付与する表面処理を施してされる。
性焼結合金について説明する。
合金の成分組成は、C(炭素):1.0〜3.5質量
%、Cr(クロム):3.0〜30.0質量%好ましく
は4.0〜12.0質量%、Mo(モリブデン):0.
5〜3.0質量%、Ni(ニッケル):0〜3.0質量
%、Si(珪素):0.2〜1.5質量%、Mn(マン
ガン):1.0質量%以下、P(リン):0.3〜0.
8質量%、残部:Fe(鉄)および不可避不純物を有し
ている。
となる鉄粉または所定の元素を含んだ鉄系合金粉末中
に、最終的な成分組成が上記範囲内になるように所定量
の各種金属粉末を添加して焼結合金用粉末を調製し、次
いで通常の焼結方法により、先ず、焼結合金用粉末をプ
レス成形して圧粉体を形成し、その後、その圧粉体を液
相焼結法によって焼結処理することにより製造される。
の金属組織の顕微鏡写真(200倍)に示すように、そ
の組織中に多くの炭化物が析出し、基地部分も、ベイナ
イト−マルテンサイト−残留オーステナイトからなる基
地組織またはベイナイト−パーライト−残留オーステナ
イトからなる基地組織によって強化されているので、高
強度で高い耐摩耗性を有し、優れた耐ピッチング性を有
している。
処理について説明する。
金に、耐スカッフィング性を付与することを目的に施さ
れる。そうした目的を達成することができる表面処理で
あればその種類は特に限定されない。表面処理として
は、水蒸気処理やリン酸塩処理を好ましく挙げることが
できる。
処理を施して形成された水蒸気処理膜の断面図である。
水蒸気処理は、加熱水蒸気中で上記の耐ピッチング性焼
結合金を加熱し、その表面に酸化物(Fe3O4)の皮膜
を形成させる処理であり、形成された皮膜は、摩擦の際
に相手部材との凝着を抑制する作用を有している。その
ため、耐ピッチング性焼結合金表面に水蒸気処理膜を形
成して得られた第一のカム3は、その焼結合金自体が有
する耐ピッチング性はやや低下するものの、相手部材と
すべり接触する際の焼き付きが抑制され、耐スカッフィ
ング性が一層向上する。形成された水蒸気処理膜の厚さ
を1〜15μmとすることによって、前記の効果を十分
に達成することができる。水蒸気処理膜の厚さが1μm
未満では、前記の効果を十分に発揮することができず、
水蒸気処理膜の厚さが15μmを超えると、Fe2O3や
FeOの割合が増加するために、相手部材への接触時の
初期なじみ性が低下したり、形成された水蒸気処理膜が
剥離したりする問題が起こるおそれがある。
結合金を所定のリン酸塩溶液に浸漬等することによっ
て、その表面に潤滑性乃至耐摩耗性に優れたリン酸塩皮
膜を形成させる処理である。耐ピッチング性焼結合金表
面にリン酸塩処理皮膜を形成して得られた第一のカム3
は、その焼結合金自体が有する耐ピッチング性はやや低
下するものの、相手部材とすべり接触する際の初期なじ
み性や耐スカッフィング性が一層向上し、しかも低コス
トでそうした特性を付与できるという利点がある。形成
されたリン酸塩処理膜の厚さは、すべり接触条件にあわ
せて0.5〜7μmの範囲で設定することによって、前
記の効果を十分に達成することができる。リン酸塩処理
膜の厚さが0.5μm未満では、十分な初期なじみ性を
発揮することができず、7μmを超えると、リン酸塩処
理膜の成長時間が長くなるので、コストがかかる。
ことによって、第一のカムの表面粗さを小さくし、摩擦
係数を更に減少させて耐スカッフィング性を向上させる
ことが好ましい。ラッピング加工としては、ペーパーラ
ッピング加工が好ましい。ペーパーラッピングは、エメ
リー紙等の研磨紙(#1000番程度)を用いて表面を
滑らかにする方法であり、薄く形成された水蒸気処理膜
を極力除去しない状態で、その表面を所定の表面粗さに
均一に仕上げることができるという利点がある。ペーパ
ーラッピング加工による第一のカムの好ましい表面粗さ
は、Rz(十点平均粗さ)6.3μm以下であり、摩擦
係数を更に減少させて耐スカッフィング性をより一層向
上させることができる。下限値は特に規定されず、すべ
り接触条件が厳しい場合でもRz(十点平均粗さ)を小
さくすれば耐スカッフィング性を向上させることができ
る。しかし、下限値を小さくすると、加工コストも拡大
するので、それらの調和点が適宜設定される。
表面処理によって付与された耐スカッフィング性と、上
述の焼結合金自体の耐ピッチング性とを有するので、す
べり接触タイプのカムとしての要求特性を満たし、カム
シャフトに好適に使用することができる。
有する各成分元素を上記範囲内に限定した理由を以下に
説明する。
な耐摩耗性を発揮させるために、1.0質量%以上必要
である。しかし、C含有量が3.5質量%を超えると、
粗大な炭化物(主にCr炭化物)が焼結合金中で形成さ
れ、その粗大な炭化物が液相焼結中に粗大な空孔を生じ
させて基地を脆化させる。このため、C含有量を1.0
〜3.5質量%に限定する。
せ、3.0〜30.0質量%好ましくは4.0〜12.
0質量%の範囲で適宜調整される。しかし、Cr含有量
が30.0質量%を超えると、Cr炭化物を微細化させ
る度合いが小さくなり、硬さも過大になる。Cr含有量
が3.0質量%未満では、Cr炭化物がやや粗大になっ
てくるので、高硬度の微細炭化物を十分に形成すること
ができない。
耗性を向上させる目的で添加される。しかし、この効果
は、Mo含有量が3.0質量%を超えてもほとんど変化
しない。Mo含有量が0.5質量%未満では、こうした
効果を十分に発揮できない。このため、Mo含有量を
0.5〜3.0質量%に限定する。
後の基地組織を、ベイナイト−マルテンサイト−残留オ
ーステナイトからなる基地組織またはベイナイト−パー
ライト−残留オーステナイトからなる基地組織として強
化し、高い引張強さ、優れた耐摩耗性と耐ピッチング性
を発揮させる。しかし、Ni含有量が3.0質量%を超
えると、多量のオーステナイトが残留し、硬さ低下の原
因となることがある。なお、Niを添加しない場合であ
っても、優れた耐摩耗性と耐ピッチング性を発揮させる
ことができるので、Ni含有量を0〜3.0質量%に限
定する。特に、焼結合金中に0〜0.7質量%のNiを
含有させると、基地組織のパーライト率の向上と、スカ
ッフの発生要因となる基地中の残留オーステナイト量の
低減が図れ、高い耐スカッフィング性を付与することが
できるので、耐スカッフィング性を重視する場合に好ま
しい。また、焼結合金中に0.8〜3.0質量%のNi
を含有させると、ベイナイト主体の組織にすることがで
き、高い耐ピッチング性を付与することができるので、
耐ピッチング性を重視する場合に好ましい。
液相の生成を促進させる成分であるが、Si含有量が
0.2質量%未満では液相促進の効果が得られない。一
方、Si含有量が1.5質量%を超えると、基地が脆化
するほか、粉末の圧粉成形性が低下し、焼結後の焼結合
金の変形が大きくなる。このため、Si含有量を0.2
〜1.5質量%に限定する。
Mn含有量が1.0質量%を超えると、焼結の進行が抑
制されるため、粗大な空孔が残って焼結性が低下する。
そのため、Mn含有量の上限を1.0質量%に限定す
る。
じさせる。ステダイトは硬度が非常に高く、凝固点が9
50℃前後と低いため液相焼結を促進させる。しかし、
P含有量が0.8質量%を超えると、ステダイトが過多
に生じ、被削性が悪くなる。また、0.3質量%未満で
は、ステダイトの析出量が少なくなって、高い耐摩耗性
が得られず、また、液相も生じにくくなる。このため、
P含有量を0.3〜0.8質量%に限定する。
u、B、V、Ti、Nb、Wの中の一種類以上を必要に
応じて適当量添加することができる。
応するローラフォロワ6に転がり接触しても転がり疲労
に基づく表面損傷が起こり難い特性を発揮する材料で形
成される。本発明においては、耐ピッチング性焼結合
金、または焼き入れ焼き戻し処理された鋼材を好ましく
用いることができる。
カムについて説明する。
グ性焼結合金は、上述した耐ピッチング性焼結合金、す
なわち第一のカム用として表面処理の対象となる耐ピッ
チング性焼結合金と同じものが用いられる。従って、そ
の成分組成、その作用、およびその製造方法も、上述の
耐ピッチング性焼結合金と同じである。
第二のカムに共通することになるので、各々のカムの相
手部材の機械的特性に応じてその成分組成を適宜調整
し、各々の相手部材に対して好適な特性を発揮するよう
に焼結合金の基地組織を調整することが好ましい。具体
的には、耐スカッフィング性を重視する場合には、Ni
含有量をやや低めにして、基地組織のパーライト率の向
上と、スカッフの発生要因となる基地中の残留オーステ
ナイト量の低減を図り、耐ピッチング性を重視する場合
には、Ni含有量をやや高めにして、ベイナイト主体の
組織とし、高い耐ピッチング性を付与する。
スカッフィング性が要求されないので、耐ピッチング性
焼結合金に、耐スカッフィング性を付与する表面処理を
施すことは不要である。なお、水蒸気処理膜が形成され
た第二のカム4は、転がり接触によってその水蒸気処理
膜が疲労して、剥離やピッチングの原因になることがあ
るので、転がり接触部分には、なるべく水蒸気処理され
ない手段をとることが好ましい。
接触タイプのカムとしての要求特性を満たし、カムシャ
フトに好適に使用することができる。
第二のカムについて説明する。
鋼材)、SCr(クロム鋼鋼材)、SCM(クロムモリ
ブデン鋼鋼材)等の焼き入れ焼き戻し処理によって機械
的特性、特に靱性や耐疲労特性、を向上させることがで
きる鋼を使用することが好ましい。焼き入れ焼き戻し処
理の条件は、通常の方法により、得られるカムの特性を
考慮しながら適宜条件設定される。得られた第二のカム
は、優れた耐ピッチング性を示し、転がり接触タイプの
カムとして好ましく使用できる。なお、焼き入れ焼き戻
し処理した鋼製の第二のカムにも、上述の表面処理膜は
不要である。
のカム軸2に、上述した第一のカム3と第二のカム4
が、接触形態が異なる相手部材に応じて所定の位置に所
定の作用角となるように接合されてなるものである。カ
ムとカム軸の接合方法は、拡散接合による方法と、機械
的な圧入嵌合による方法を好ましく適用できる。
の圧粉状態の第一のカム用の耐ピッチング性焼結合金
と、第二のカム用の耐ピッチング性焼結合金とを、所定
の位置および角度で装着し、液相焼結法によって各カム
を液相焼結しつつ、カム軸に拡散接合する方法である。
本発明においては、第一のカム用の耐ピッチング性焼結
合金と第二のカム用の耐ピッチング性焼結合金とが同じ
材料であり、しかも、各部材自体の焼結と部材間の拡散
接合とを同時に行うことができるので、極めて効率的に
焼結と接合を行うことができる。
面処理工程を経てカムシャフトが製造される。この表面
処理工程の際、転がり接触する第二のカム4用の耐ピッ
チング性焼結合金の表面にも同時に表面処理が施される
ので、第二のカムには、その転がり接触部分にマスキン
グして、表面処理が施されないような手段をとることが
好ましい。また、製造工程上、やむを得ず表面処理が施
された場合、例えば水蒸気処理膜が形成された場合に
は、エメリーペーパー等で母材の一部が露出するまで研
磨することにより表面の脆く粗い部分を除去し、Rz
3.2μm以下の滑らかな表面にすることが好ましい。
は、効率的であると共に、従来のようなカムのずれやカ
ムの割れ等の問題が生じない。
報に示すような方法でカム軸にカムを接合する方法であ
る。すなわち、転造によって所定の位置に隆起部が形成
されたカム軸1に、耐ピッチング性焼結合金に耐スカッ
フィング性を付与する表面処理を施して形成された第一
のカム3と、耐ピッチング性焼結合金または焼き入れ焼
き戻し処理された鋼で形成された第二のカム4とを、順
次、所定の位置に所定の角度で圧入して接合する方法に
よって、カムシャフトが製造される。耐ピッチング性焼
結合金で形成される第一のカムないし第二のカム、およ
び焼き入れ焼き戻し鋼で形成される第二のカムは、何れ
も引張り強度や疲労強度に優れるので、従来のようなカ
ムのずれやカムの割れ等のおそれなく、それらのカムを
カム軸に強固に接合できる。
は、スリッパフォロワ5とローラフォロワ6とを相手部
材とするカムシャフトのように、相手部材との接触態様
が異なる複数のカム3、4を、その接触態様に応じた特
性を有するように形成したので、カムシャフト1の耐久
性と信頼性をより一層向上させることができると共に、
加工性とコスト面においても優れている。
説明する。
2.4質量%、Cr:12.0質量%、Mo:1.0質
量%、Si:0.8質量%、Ni:1.5質量%、P:
0.5質量%、Fe:残り、となるように各元素を鉄粉
中に添加して焼結用粉末を調整した。更に、潤滑剤とし
てステアリンサン亜鉛を加えて混合した。次いで、5〜
7t/cm2の面圧でプレス成形して圧粉体を成形した
後、鋼管製のカム軸に組み付け、真空炉中で1373〜
1473°K(平均1433°K)の温度で焼結した
後、カム研削盤にて仕上加工し、実施例1の焼結合金製
のカムシャフトを得た。
2.6質量%、Cr:8.0質量%、Mo:2.0質量
%、Si:0.8質量%、Ni:1.9質量%、P:
0.5質量%、Fe:残り、となるように各元素を鉄粉
中に添加して焼結用粉末を調整した。その他は、実施例
1と同様として実施例2の焼結合金製のカムシャフトを
得た。
2.0質量%、Cr:4.0質量%、Mo:2.0質量
%、Si:0.8質量%、Ni:1.9質量%、P:
0.5質量%、Fe:残り、となるように各元素を鉄粉
中に添加して焼結用粉末を調整した。その他は、実施例
1と同様として実施例3の焼結合金製のカムシャフトを
得た。
3で得られた各焼結合金製のカムに、水蒸気処理炉で8
23〜873°Kの温度で90分間処理し、耐スカッフ
ィング性を付与した実施例4〜実施例6の焼結合金製の
カムシャフトを得た。
転がり接触タイプのカムとして、S50C材を高周波焼
き入れ焼き戻し処理した後、鋼管製のカム軸に圧入嵌合
法で接合し、さらにカム研削盤で仕上加工し、表面硬さ
Hv720程度の実施例7の焼き入れ焼き戻し鋼製のカ
ムシャフトを得た。
%、Cr:0.8質量%、Mo:2.0質量%、Ni+
Cu:2.0質量%、Si:2.0質量%、B:0.4
質量%、Mn:0.7質量%、Fe:残り、となるよう
に各元素を溶解し、冷やし金を設けた鋳型に流し込んで
冷却した後、カム研削盤で仕上加工し、比較例1のチル
鋳鉄製のカムシャフトを得た。
で得られたカムシャフトと、各カムの相手部材として、
すべり接触型のスリッパフォロワと、転がり接触型のロ
ーラフォロワとをそれぞれ用いた。試験は、ばねの圧縮
量を変更することによりカムにかかる負荷(面圧)を自
由に調節できるモータリング試験装置を使用した。
m.の低速で回転させ、負荷(面圧)を変化させてスカ
ッフィングが発生したときの負荷(面圧)を限界面圧と
して評価した。耐ピッチング性は、3000r.p.
m.の高速で回転させ、負荷(面圧)を変化させてピッ
チングが発生したときの負荷(面圧)を限界面圧として
評価した。なお、ピッチングの発生の判断は、ピッチン
グの発生時に起こる異音のモニタリングおよび摺動表面
の観察によった。
れたカムの耐スカッフィング性と耐ピッチング性を、比
較例1の限界面圧との比較において評価した結果を示す
グラフである。なお、図中には、すべり接触する第一の
カムに要求される耐スカッフィング性と耐ピッチング性
の基準、および転がり接触する第二のカムに要求される
耐スカッフィング性と耐ピッチング性の基準をそれぞれ
示した。
施例7の鋼製のカムは、耐スカッフィング性と耐ピッチ
ング性に関し、転がり接触する第二のカムに要求される
基準を何れも超えていた。特に、耐ピッチング性におい
ては、比較例1に示す従来のカムよりも著しく優れてい
た。
カッフィング性と耐ピッチング性に関し、すべり接触す
る第一のカムに要求される基準を何れも超えていた。特
に、耐スカッフィング性が付与されているので、実施例
1〜3のカムに比べて耐スカッフィング性が著しく向上
した。一方、水蒸気処理されたことによって、実施例1
〜3のカムに比べてやや耐ピッチング性が低下している
ものの、第一のカムに要求される基準を超える優れた耐
ピッチング性を示していた。また、比較材1に比べ、耐
スカッフィング性と耐ピッチング性の何れも良好な結果
を示した。
よれば、相手部材との接触態様に応じた特性となるよう
に各々のカムが形成されているので、その耐久性と信頼
性をより一層向上させることができる。
気処理膜により、すべり接触する際の相手部材との凝着
が抑制され、優れた耐スカッフィング性を発揮するの
で、カムシャフトの耐久性と信頼性をさらに向上させる
とができる。
は圧入嵌合法によってカムに接合した場合であっても、
従来のようなカム軸に装着する際の困難性がないので、
強固に接合することができ、カムシャフトを備える内燃
機関の運転時に、カムのずれや割れが起こることがな
い。
に接触する態様を示す斜視図である。
る。
ある。
グ性と耐ピッチング性を、比較例1の限界面圧との比較
において評価した結果を示すグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 相手部材との接触形態が異なる複数のカ
ムを備え、対応する相手部材にすべり接触する第一のカ
ムと転がり接触する第2のカムを有するカムシャフトに
おいて、 前記第一のカムは、耐ピッチング性焼結合金に、耐スカ
ッフィング性を付与する表面処理を施して形成され、 前記第二のカムは、耐ピッチング性焼結合金または焼き
入れ焼き戻し処理された耐ピッチング性鋼で形成される
ことを特徴とするカムシャフト。 - 【請求項2】 前記耐ピッチング性を付与する表面処理
が、水蒸気処理であることを特徴とする請求項1に記載
のカムシャフト。 - 【請求項3】 前記第一のカムおよび前記第二のカム
が、拡散接合法または圧入嵌合法によってカムに接合さ
れることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
カムシャフト。
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