JP2001225063A - 排水処理方法 - Google Patents

排水処理方法

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JP2001225063A
JP2001225063A JP2000037366A JP2000037366A JP2001225063A JP 2001225063 A JP2001225063 A JP 2001225063A JP 2000037366 A JP2000037366 A JP 2000037366A JP 2000037366 A JP2000037366 A JP 2000037366A JP 2001225063 A JP2001225063 A JP 2001225063A
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wastewater
polymer carrier
wastewater treatment
treatment method
meth
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JP2000037366A
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English (en)
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Kazuyuki Oishi
和之 大石
Toshiki Kawabe
俊樹 川辺
Yasumasa Kijima
康雅 木島
Masayuki Yokoi
正之 横井
Noboru Yanaihara
昇 矢内原
Takashi Tanaka
堯 田中
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YANAIHARA KENKYUSHO KK
Sekisui Chemical Co Ltd
Toray Engineering Co Ltd
Original Assignee
YANAIHARA KENKYUSHO KK
Sekisui Chemical Co Ltd
Toyo Construction Co Ltd
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Publication date
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  • Treatment Of Liquids With Adsorbents In General (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課 題】 ステロイドホルモン類または/およびホ
ルモン様作用物質を特異的に吸着する高分子担体を用い
て、大量の排水中にある低濃度のこれらの物質を簡便な
方法で、効率よく除去し、かつ高分子担体を簡単な再生
処理により繰り返して使用できる廃水処理方法を提示す
ることである。 【解決手段】 排水中の疎水性物質を除去する排水処理
方法において、少なくとも高分子担体に排水中の疎水性
物質を接触させる吸着工程、及び疎水性物質が除去され
た処理水と疎水性物質が吸着された高分子担体を分離す
る分離工程を含むことを特徴とする排水処理方法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排水中から疎水性
物質を除去する排水処理方法に関する。特にステロイド
ホルモン類または/およびホルモン様作用物質類を高効
率に除去する排水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】排水中あるいは排水を含む環境水中には
様々な疎水性の有害物質が含まれている。これらは水溶
性が低いため、大量の排水中における初期濃度は低い。
しかし環境水中に排出された後は、底泥中での蓄積ある
いは生物内での濃縮などによって高濃度化し、生態系に
大きな影響を与えることになる。従って大量の排水中に
おいて低濃度状態あっても、これらを放置することは重
大な問題となる。これらの有害物質の内、環境中に排出
された生物由来のステロイドホルモン類や、環境水中に
存在する化学物質の一部は、生体内に取り込まれるとホ
ルモン類似作用を示すものがある。これらの化学物質は
内分泌攪乱物質と呼ばれ、動物の生殖機能等に悪影響を
及ぼすことがわかってきた。これらのステロイドホルモ
ン類やホルモン様作用物質類は、人為的な排水に由来す
るため、排水処理過程においてこれらの物質を効率よく
除去することが望まれている。
【0003】排水中に含まれる低濃度の各種有害物質を
効率よく除去する方法として、高分子担体を吸着剤とし
て利用する技術が開示されている。吸着用担体として代
表的なものにスチレン系重合体が挙げられ、例えば、架
橋度、細孔容積、表面積を規定したスチレン−ジビニル
ベンゼン重合体による、アルコール類、有機酸類などの
水溶性有機物質の吸着剤が知られている(特開昭59−
147606)。また、ジビニルベンゼンおよびスチレ
ン系単量体を99〜90重量%、水溶性単量体を1〜1
0重量%を重合して得られるスチレン系共重合体よりな
る、水性液体中の界面活性剤、色素、悪臭成分の吸着剤
も知られている(特開平2−43948)。これらスチ
レン系共重合体による吸着剤は水溶性物質の吸着を目的
としたもので、疎水性物質の吸着については、何ら触れ
られていない。また、これらスチレン系重合体は、その
原料由来の芳香族化合物の混入が多く、混入物を洗浄な
どにより完全に除去することが困難である。残存した芳
香族化合物は排水中に溶出してしまう恐れがある。また
スチレン系重合体は疎水性が強いため、不可逆的に疎水
性物質を吸着する。従って、吸着された疎水性物質を脱
着させて再利用することが困難である。さらにスチレン
系重合体は有機溶媒自体を吸着しやすいため、有機溶媒
によって吸着物質を脱着させて、重合体を吸着剤として
再利用することができない。さらに、公知文献では架橋
度、細孔容積、表面積などの物性を正確に制御すること
により、その特異な性能を発揮できるとされているが、
これらの制御は重合条件の設定により行う必要があり、
極めて煩雑である。また製造上における再現性が、これ
らの物性を制御しない場合に比べて極めて低い。
【0004】一方スチレン系重合体以外の吸着用担体と
しては、アクリル系重合体が挙げられ、ポリオキシアル
キレン鎖を有する架橋重合体による界面活性剤の吸着用
担体が知られている(特開平9−168737)。しか
しながら、この重合体は架橋度が低いために機械的強度
が小さく大量の処理水の処理あるいは繰り返し使用が困
難である。また、スチレン重合体の他に、メチル(メ
タ)アクリレート重合体およびこれらの共重合体からな
る塩素系有機溶剤の吸着剤が知られている(特開平9−
192653)。しかしこれらの重合体は非架橋性重合
体であるため、上記公知文献と同様機械的強度に乏し
く、大量排水の処理や繰り返し使用は困難である。
【0005】さらに(メタ)アクリル酸エステルを主成
分とする重合体よりなる、中高分子量物質の吸着用担体
が知られている(特開平6−312135)。しかし、
この公知文献では、疎水性物質の吸着能については触れ
られていない。また、本文献では、エネルギー線重合に
より得られる重合体が使用されるが、未反応の単量体が
残存する可能性がある。これらの未反応の単量体は洗浄
によっても除去されにくい。またホルモン様作用物質と
類似の構造を含む単量体および相分離剤を重合の原材料
として使用しているため、得られた重合体からのホルモ
ン様作用物質の溶出が考えられ、これらの物質の除去の
目的には使用できない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術におい
て、排水を含む環境水中から高効率にステロイドホルモ
ン類およびホルモン様作用物質類といった疎水性物質を
除去する方法は開示されていない。また大量の排水処理
にも使用でき、簡単な再生処理により繰り返して使用で
きるものもない。本発明の目的は、ステロイドホルモン
類または/およびホルモン様作用物質といった疎水性物
質を特異的に吸着する高分子担体を用いて、大量の排水
中にある低濃度のこれらの物質を簡便な方法で、効率よ
く除去し、かつ高分子担体を簡単な再生処理により繰り
返して使用できる廃水処理方法を提示することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、特定の高分子担体を用
いることにより疎水性物質、特に、ステロイドホルモン
類または/およびホルモン様作用物質を簡便な方法で効
率よく除去でき、かつ該高分子担体を再利用することが
できるという知見を得た。さらに検討を重ね本発明にい
たった。
【0008】すなわち本発明は、(1)排水中の疎水性
物質を除去する排水処理方法において、少なくとも高分
子担体に排水中の疎水性物質を接触させる吸着工程、及
び疎水性物質が除去された処理水と疎水性物質が吸着さ
れた高分子担体を分離する分離工程を含むことを特徴と
する排水処理方法、(2)疎水性物質が、ステロイドホ
ルモン類または/およびホルモン様作用物質である前記
(1)記載の排水処理方法、(3)ステロイドホルモン
類またはホルモン様作用物質が、アルキルフェノール
類、ビスフェノールA、フタル酸エステル類、ダイオキ
シン類およびエストロジェン類からなる群から選ばれる
1又は2種以上である前記(2)の排水処理方法、
(4)高分子担体が、アクリル酸エステルまたは/およ
びメタクリル酸エステルである架橋性単量体を重合して
得られる架橋重合体である前記(1)〜(3)いずれか
に記載の排水処理方法、(5)高分子担体が、平均粒径
が1μm〜50cmでかつ比重が0.8〜3.0である
前記(1)〜(4)いずれかに記載の排水処理方法、
(6)高分子担体が、再生処理により再利用可能な担体
である前記(1)〜(5)いずれかに記載の排水処理方
法、(7)高分子担体が有機溶媒を接触させ、高分子担
体から疎水性物質を有機溶媒中に脱着させる脱着工程を
含む再生処理により再利用可能な担体である前記(1)
〜(6)いずれかに記載の排水処理方法、(8)有機溶
媒がアルコール類である前記(7)記載の排水処理方
法、(9)吸着工程が未処理排水に高分子担体を分散さ
せることにより行われる前記(1)〜(8)いずれかに
記載の排水処理方法、(10)分離工程が高分子担体が
分散された排水を濾過することにより行われる前記
(1)〜(9)いずれかに記載の排水処理方法、(1
1)分離工程が高分子担体が分散された排水中の該担体
を沈降させることにより行われる前記(1)〜(9)い
ずれかに記載の排水処理方法、(12)吸着工程および
分離工程が、高分子担体が充填されたカラムに未処理排
水を通液して処理水を得ることにより、吸着工程と分離
工程が連続的に行われる前記(1)〜(8)いずれかに
記載の排水処理方法、および(13)分離工程が、他の
処理工程を含む一連の排水処理工程の中で実質的に最終
処理工程である前記(1)〜(12)いずれかに記載の
排水処理方法、に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明でいう「排水」は、生活排
水、工場排水などの産業排水の他に、これらの排水を含
有する環境水、すなわち港湾水などを含む海水、湖沼水
・河川水などの淡水、これらの底泥から得られる底泥
水、泥浚渫工事などの建設工事によって発生する汚水な
どを含む。
【0010】本発明でいう「疎水性物質」は、上記排水
中に含まれる疎水性物質の内、水への溶解度が10g/
L以下の物質をいう。特に生物由来のステロイドホルモ
ン類、および生体内においてホルモン類似作用が報告さ
れている物質またはホルモン類似作用が疑われる物質
(以下、まとめてホルモン様作用物質という)であり、
いわゆる内分泌攪乱化学物質と呼ばれる物質を含む。例
えば、ダイオキシン類;ポリ塩化ビフェニール類;4−
t−ブチルフェノール、4−n−ヘプチルフェノール、
ノニルフェノール、4−t−オクチルフェノールなどの
アルキルフェノール類;ビスフェノールA;2,4−ジ
クロロフェノール;フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、
フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジエチルなどのフタ
ル酸エステル類;アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル;
ベンゾ(a)ピレン、ベンゾフェノン、4−ニトロトル
エン、スチレン、スチレン2量体、スチレン3量体など
の芳香族化合物;エストラジオールなどのエストロジェ
ン類などが挙げられる。その他、上記ホルモン様作用物
質には、第26回日本環境化学会講演会予稿集(2〜3
頁、1998年)に記載があるような物質も含まれる。
本発明は、特にアルキルフェノール類、ビスフェノール
A、フタル酸エステル類、ダイオキシン類、エストロジ
ェン類について好適に適用することが可能である。
【0011】本発明方法でいう「排水処理」は、排水中
の疎水性物質に高分子担体を接触させ、該疎水性物質を
高分子担体に吸着させ、該疎水性物質が吸着された高分
子担体と該疎水性物質が除去された排水を分離する工程
を含む。さらに後述の、吸着された高分子を脱着させる
再生工程をも含む場合がある。
【0012】本発明方法の排水処理工程は、該排水処理
工程単独で行うこともできるし、一般の排水処理の一部
として行われてもよい。一般の排水処理とは、物理的処
理(沈降など)、生物学的処理(活性汚泥処理など)、
化学的処理(凝集沈殿、消毒など)など、通常行われる
公知の排水処理工程を含む。この場合、本発明方法の排
水処理工程はいずれの段階で行ってもよい。しかしより
好ましくは実質的に最終処理工程であることが望まし
い。特に高汚染度の排水が対象の場合に、本発明の排水
処理工程を初期あるいは中間工程で行うと、高分子担体
にホルモン様作用物質以外の物質が吸着され、ホルモン
様作用物質に対する吸着性が阻害される可能性があるた
めである。また、本発明の方法の排水処理工程は、上記
下水処理設備など排水を集中処理する施設において行わ
れてもよいし、河川水、湖沼水などの排水を採水して該
排水処理工程を行い、再び採水した、あるいは異なる河
川や湖沼にもどす処理施設において行われてもよい。
【0013】本発明方法の排水処理に用いられる「高分
子担体」は、以下に好ましくないものとして挙げるもの
以外の既知のものであれば何れでもよいが、特に、アク
リル酸エステルあるいはメタクリル酸エステル(以下、
「アクリル酸またはメタクリル酸」を「(メタ)アクリ
ル酸」と記す)である架橋性単量体を重合して得られる
架橋重合体よりなる高分子担体が好ましい。該架橋重合
体は、(メタ)アクリル酸エステルである架橋性単量体
を、重合開始剤の存在化において重合反応を行うことに
より得られる。
【0014】本発明方法の高分子担体を構成する(メ
タ)アクリル酸エステルである架橋性単量体は、公知の
(メタ)アクリル酸エステルである架橋性単量体であれ
ばいずれでもよい。例えば:エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラ
メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、などのア
ルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;トリメ
チロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチル
ロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチル
ロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエ
リスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチ
ロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ
レート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシー1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロ
パン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタク
リロキシプロパン、ウレタン(メタ)ジアクリレート、
グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールア
クリレートメタクリレート、1,10−ジ(メタ)アク
リロシキ−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオー
ル、1,10−ジ(メタ)アクリロシキ−5−メチル−
4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオール、1,11
−ジ(メタ)アクリロキシ−4,8−ジオキサウンデガ
ン−2,6,10−トリオールなどの(メタ)アクリル
酸エステルである架橋性単量体が挙げられる。これらは
2種以上混合して用いてもよい。
【0015】またこれらの(メタ)アクリル酸エステル
である架橋性単量体の他に、非架橋性の(メタ)アクリ
ル酸エステルを添加してもよい。例えばメチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル
(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、
ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)ア
クリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;ヒ
ドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコー
ル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリ
レートなどが挙げられる。
【0016】これらの非架橋性(メタ)アクリル酸エス
テルを用いる場合の使用量は、上記架橋性(メタ)アク
リル酸エステル100重量部に対して0〜20重量部で
あることが好ましい。またこれらは2種以上混合して用
いてもよい。
【0017】また本発明方法に用いられる高分子担体を
構成する単量体としては、上記(メタ)アクリル酸エス
テル以外の単量体を(メタ)アクリル酸エステルに混合
して用いてもよい。これらの単量体としては、下記に挙
げられる単量体以外の単量体、例えばトリアリルシアヌ
レート、トリアリルイソシアヌレートなどが挙げられ
る。
【0018】(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体
を用いる場合の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル
単量体100重量部に対して0〜20重量部が好まし
い。またこれらは2種以上混合して用いてもよい。
【0019】本発明方法に用いられる高分子担体は、
(メタ)アクリル酸エステル単量体のみで構成されるこ
とが好ましく、特に(メタ)アクリル酸エステルの架橋
性単量体のみで構成されることがより好ましく、その中
でもアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのみ
で構成されることが最も好ましい。
【0020】以下の(1)〜(3)の単量体群は、本発
明方法に用いられる高分子担体の原材料として用いるこ
とを制限するのが好ましい。 (1)スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼ
ンなどのスチレン系;エチレン、プロピレンなどのオレ
フィン系単量体;ブタジエンなどのジエン系単量体、フ
ェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチ
レングリコール(メタ)アクリレート、ジメチロールト
リシクロデジカンジ(メタ)アクリレート等の(メタ)
アクリル酸エステルは用いることを制限するのが好まし
い。これらのベンゼン環を有する単量体や直鎖、環状あ
るいは分岐脂肪族系単量体からなる重合体は疎水性が強
く、吸着されたホルモン様作用物質等の疎水性物質の脱
着が困難で、再生処理(後述)が難しいからである。ま
た、これらは有機溶媒を吸着しやすいので、有機溶媒に
よる再生処理の際に使用する有機溶媒を吸着し、再処理
が困難である。さらに、これらの原材料中の不純物質
が、吸着工程に悪影響を及ぼすからである。 (2)また(メタ)アクリル酸、イタコン酸、2−ジエ
チルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのイオン交
換性の官能基を有する単量体も好ましくない。これらの
イオン交換基は、ホルモン様作用物質の吸着を阻害する
からである。 (3)さらにホルモン様作用物質と類似の構造を有する
単量体;例えばビスフェノールA構造を有する2,2−
ビス{4−[(メタ)アクリロキシエトキシ]フェニ
ル}プロパン、2,2−ビス{4−[(メタ)アクリロ
キシ・ジエトキシ]フェニル}プロパン、2,2−ビス
{4−[(メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ]フェニ
ル}プロパン、ノニルフェノキシポリエチレングリコー
ル(メタ)アクリレートなどは、ホルモン様作用物質の
混入が考えられるので使用しない。
【0021】(1)および(2)については、場合によ
っては、悪影響のでない範囲で添加することも可能であ
るが、その添加量は、上記(メタ)アクリル酸エステル
単量体100重量部に対して0〜10重量部であること
が好ましい。(3)は通常は用いない。
【0022】本発明方法に用いられる高分子担体は、上
記単量体あるいは単量体混合物が重合可能な公知の重合
方法により調製することができる。好ましくは分散媒中
に単量体を分散させ、重合開始剤存在下で重合する方
法、例えば懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法などの
方法が挙げられる。特に懸濁重合法が簡便で好ましい。
懸濁重合法で行う場合は、例えばポリビニルアルコール
やポリビニルピロリドンなどの分散剤が溶解した水性分
散媒に上記単量体を分散させ、重合開始剤存在下で撹拌
しながら昇温することにより、重合反応を行うことがで
きる。但し分散剤として界面活性剤を使用することは好
ましくない。残存する界面活性剤は、高分子担体として
排水処理に使用する際に溶出してくる可能性があるため
である。さらに、残存する界面活性剤は、高分子担体と
疎水性物質の相互作用を阻害する。また、製造設備が複
雑で重合効率が低く、重合後の溶出物発生が考えられる
エネルギー線重合などは好ましくない。
【0023】重合時には、公知の添加剤を添加すること
もできる。例えば重合体を大孔径の多孔質体とするため
の多孔質化剤(相分離剤)、連鎖移動剤、pH調節剤な
どである。この内多孔質化剤としては、イソアミルアル
コールやオクタノールなどのアルコール類やヘキサンな
どの脂肪族系炭化水素などが用いられるが、キシレンや
トルエンなどの芳香族系炭化水素およびカプリン酸メチ
ル、ラウリン酸メチル、アジピン酸ジイソブチルなどの
アルキルエステル類は通常は好ましくない。これらもま
た高分子担体として排水処理に使用した場合、疎水性物
質として溶出する可能性があるからである。
【0024】重合後、得られた架橋重合体を洗浄して乾
燥することにより本発明方法に用いられる高分子担体が
得られる。洗浄は、有機溶媒で複数回洗浄する必要があ
る。また好ましくは複数種の有機溶媒で複数回洗浄す
る。洗浄に使用する有機溶媒は、用いた単量体によって
もことなるが、例えば、メタノール、エタノールなどの
アルコール類、アセトン、ヘキサン、ジクロロエタン、
ベンゼン環を含まないその他の有機溶媒などが用いられ
る。また、本発明方法に用いられる高分子担体は、上記
単量体あるいは単量体混合物から重合された重合体を原
料として、公知の成形方法、例えば射出成形法、押出成
形法、あるいはブロー成形法などによっても調製するこ
とができる。
【0025】本発明方法に用いられる高分子担体の形状
は特に制限されないが、粒子状が好ましい。またその細
孔分布の制限もなく、使用環境下で形状が維持される強
度を有する程度の多孔性であってもよいし、ミクロポア
構造であってもよい。また発泡体であってもよい。ま
た、粒子状である場合、平均粒径が1μm〜50cm、
好ましくは5μm〜10cmでかつ比重が0.8〜3.
0であることが好ましい。これらの範囲を逸脱した場合
は、取り扱いが困難になるためである。また、本発明の
用いられる高分子担体は、その他の形状、例えばフィル
ム状、膜状、フィルター状など、排水と接触できる形状
であればよい。さらに、該高分子担体は、上記単量体の
重合体が表面層を形成する被覆構造体であってもよい。
被覆されるコア部分の素材は特に制限がないが、使用環
境下で形状が保持される程度の強度を有する物質で形成
され、かつ、外部に疎水性物質、特にホルモン様作用物
質の溶出がない物質で構成される必要がある。被覆構造
体とされた場合の高分子担体の場合においても、その形
状は特に制限はなく、例えば、粒子状、フィルム状、膜
状、フィルター状など排水と接触できる形状であればよ
い。
【0026】本発明方法に用いられる高分子担体は、再
生処理により再生可能な高分子担体が好ましい。「再生
可能である」とは、再生処理により、吸着された疎水性
物質が高分子担体から脱着され、高分子担体が再びホル
モン様作用物質を初めとする疎水性物質の吸着能を有す
るようになること、より詳しくは、再生処理により初期
の90%以上の吸着能を有するようになることを意味す
る。
【0027】本発明方法における再生処理方法は、疎水
性物質を高分子担体から脱着得る方法であれば特に制限
はないが、疎水性物質が溶解可能な有機溶媒により高分
子担体を洗浄する方法が好ましい。この場合の再生処理
方法に用いられる有機溶媒は、疎水性物質を溶解し、高
分子担体を変性させないものである必要ある。また上記
疎水性物質を含まない、高純度の製品が安価に入手でき
ること、あるいは疎水性物質を脱着溶解・回収した後、
焼却などの無害化工程が容易に行える必要のあることか
らアルコール類が特に好ましい。その中で、メタノー
ル、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類
が特に好ましい。その他、アセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン類、ジオキサン、ヘキサン、ジクロロエタ
ン、ジメチルホルムアミド等も用いられる。この再生処
理工程は、一連の排水処理工程の一部として組み込まれ
ても良いし、排水処理工程と別個に行われてもよい。ま
た、再生処理に用いた有機溶媒は、疎水性物質を除去し
た後、例えば蒸留などの操作により再利用することも可
能である。
【0028】本発明の排水処理方法においては、まず上
記高分子担体に未処理の排水を接触させる。これにより
排水中の疎水性物質が、高分子担体と相互作用を起こし
吸着される。本発明における吸着工程は、未処理排水に
高分子担体を分散させることにより行われることが好ま
しい。分散させる方法は特に制限がなく、高分子担体が
設置された貯水槽などに排水を導入してもよいし、排水
を含む貯水槽に高分子担体を投入してもよい。また吸着
工程時に撹拌を行ったり、排水を流水させてもよいし、
温度制御などを行っても良い。
【0029】本発明方法における分離工程とは、吸着工
程を経た排水と高分子担体を分離させる工程であり、両
者を分離する方法は特に制限がないが、濾過または沈降
による方法が好ましい。
【0030】本発明方法における分離工程として濾過に
よる方法を採用した場合、高分子担体を含む排水を、排
水は通過するが高分子担体は通過しない濾過装置に導入
し、高分子担体をトラップして排水を通過させることに
より、分離を行う。濾過装置は、特に制限がなく、公知
のものであれば何れでもよいが、フィルター構造を有す
るものが好ましい。この場合のフィルターの材質は、金
属製、樹脂製、布製、紙製またはセラミックス製など、
十分な強度があれば公知の材質を使用できる。但しホル
モン様作用物質を含む疎水性物質の溶出がないことが必
要である。またフィルターの構造、形状、大きさにも特
に制限がない。また通水方法にも特に制限はない。
【0031】本発明方法における分離工程として沈降に
よる方法を採用した場合、排水中の高分子担体を沈降さ
せることにより、高分子担体と上清である処理済みの排
水を分離する。例えば貯水槽に高分子担体を含む排水を
導入して静置させる、あるいは低流速で排水を流水させ
ることで、高分子担体を沈降させるという方法が挙げら
れる。また高分子担体を含む排水を遠心分離法などによ
り強制的に沈降させてもよい。
【0032】また本発明方法に用いられる高分子担体を
カラムに充填することにより、上記吸着工程と分離工程
を連続的に行うこともできる。この方法では、まず高分
子担体が充填されたカラムに、未処理排水が導入され
る。カラム内において排水中の疎水性物質が高分子担体
に接触して吸着されるという吸着工程を経て、該疎水性
物質が吸着除去された排水はカラム出口より排出される
ため、分離工程も連続的に行うことになる。
【0033】本発明方法に用いられるカラムは、高分子
担体を収納する容器であるカラム筐体と、高分子担体は
通過しないが排水は通過するフィルターからなる、公知
の構造のものが用いられる。カラム筐体は、一つ以上の
流入口と一つ以上の排出口を有し、その内部に高分子担
体が収納される構造であればよく、形状、大きさは特に
制限がない。密閉構造であっても開放構造であってもよ
い。また排出側にはフィルターが設置されているが、そ
の構造、形状、大きさにも特に制限はない。また流入側
にも同様のフィルターを設置してもよい。カラム筐体お
よびフィルターは、布製、紙製、金属製、樹脂製、セラ
ミックス製など公知の材質でよいが、上記疎水性物質の
溶出がないものに限られる。また排水のカラムへの導入
・導出方法も特に制限はなく、送液ポンプで通水しても
重力を利用して通水してもよい。また、排出側より吸引
したり、流入側より加圧してもよい。排水は常に通水さ
れていてもよいし、カラムに導入後通水を停止して吸着
工程を行った後、再び通水を開始して処理排水を排出し
て分離工程を行ってもよい。また、カラム化することに
より、交換が容易となる利点がある。また、上記再生処
理時に有機溶媒等をそのままカラムに流入させて処理す
ることも容易となる。
【0034】以下に本発明の実施例を示す。なお、%は
重量%を示す。
【実施例】〔実施例1〕トリエチレングリコールジメタ
クリレート(新中村化学工業株式会社製)500gに、
重合開始剤として過酸化ベンゾイル(キシダ化学株式会
社製)1.0gを溶解した。これを4%ポリビニルアル
コール水溶液2500mLに撹拌しながら分散させ、窒
素雰囲気下で80℃に昇温した。80℃で24時間重合
した後、内容物をイオン交換水で3回、アセトンで1
回、メタノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥して高分子
担体を得た。平均粒径は30μm、比重は1.2であっ
た。
【0035】〔実施例2〕エチレングリコールジメタク
リレート(新中村化学工業株式会社製)400gおよび
テトラメチロールメタントリアクリレート100gの混
合物に、重合開始剤として過酸化ベンゾイル1.0gを
溶解した。これを2%ポリビニルアルコール水溶液25
00mLに撹拌しながら分散させ、窒素雰囲気下で80
℃に昇温した。80℃で24時間重合した後、内容物を
イオン交換水で3回、アセトンで1回、エタノールで4
回洗浄した。洗浄後乾燥して高分子担体を得た。平均粒
径は500μm、比重は1.2であった。
【0036】〔実施例3〕テトラエチレングリコールジ
メタクリレート(新中村化学工業株式会社製)4000
gに、重合開始剤として過酸化ベンゾイル8.0gを溶
解した。これを1%ポリビニルアルコール水溶液20L
に撹拌しながら分散させ、窒素雰囲気下で80℃に昇温
した。80℃で24時間重合した後、内容物をイオン交
換水で3回、アセトンで1回、エタノールで4回洗浄し
た。洗浄後乾燥して高分子担体を得た。平均粒径は3.
4cm、比重は1.2であった。
【0037】〔比較例1〕スチレン(和光純薬株式会社
製)200g及びジビニルベンゼン(キシダ化学株式会
社製)300gに、重合開始剤として過酸化ベンゾイル
1.0gを溶解した。これを4%ポリビニルアルコール
水溶液2500mLに撹拌しながら分散させ、窒素雰囲
気下で80℃に昇温した。80℃で24時間重合した
後、内容物をイオン交換水で3回、アセトンで1回、エ
タノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥して高分子担体を
得た。平均粒径は30μm、比重は1.2であった。
【0038】〔比較例2〕2,2−ビス{4−[(メ
タ)アクリロキシ・ジエトキシ]フェニル}プロパン
(以下、「A−BPE−4」という。新中村化学工業株
式会社製)500gに、重合開始剤として過酸化ベンゾ
イル1.0gを溶解した。これを4%ポリビニルアルコ
ール水溶液2500mLに撹拌しながら分散させ、窒素
雰囲気下で80℃に昇温した。80℃で24時間重合し
た後、内容物をイオン交換水で3回、アセトンで1回、
エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥して高分子担体
を得た。平均粒径は30μm、比重は1.2であった。
【0039】〔比較例3〕スチレン50g、メチルメタ
クリレート(和光純薬株式会社製)50g、重合開始剤
として過酸化ベンゾイル1.0gおよびメチルエチルケ
トン(和光純薬株式会社製)50gの混合溶液を80℃
で8時間反応させた後、メタノール中に投入して、スチ
レン−メチルメタクリレート共重合体を得た。該共重合
体20gをN,N−ジメチルアセトアミド80gに溶解
した溶液を、直径0.36mmのノズルから、攪拌され
ているメタノール中へ押し出した。メタノール中で凝固
した重合体を水およびメタノールで洗浄し、乾燥させて
吸着剤を得た。平均粒径は500μm、比重は1.0で
あった。
【0040】〔比較例4〕アクリル酸ナトリウム(和光
純薬株式会社製)60.4g、メトキシポリエチレング
リコールアクリレート(共栄社化学製)339.6g、
ノナエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工
業株式会社製)1.8gをイオン交換水593.0gに
添加した。40℃に昇温した後、重合開始剤として10
重量%の2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)
塩酸塩(和光純薬株式会社製)水溶液5.2gを添加し
た。その後温度を80℃で1時間保ち反応を終了した。
得られた重合体を粉砕し、乾燥して吸着剤を得た。平均
粒径は500μm、比重は1.2であった。
【0041】〔試験例1〕上記実施例および比較例で調
製した高分子担体からの、ホルモン様作用物質などの疎
水性物質の溶出の有無を確認した。各高分子担体1gを
メタノール10mLに分散させてよく撹拌した。この分
散液を3000rpmで10分間遠心分離した後上清を
採取し、上清を遠心エバポレータで1mLに濃縮した
後、その100μLをHPLCに注入することにより、
高分子担体から上清メタノール中に溶出した疎水性物質
を測定した。HPLCの条件を下記に示す。また得られ
たクロマトグラムを図1〜3に示す。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− HPLC測定条件 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− カラム :RP−18GP(和光純薬株式会社製:4.6×250mm) 溶離液 :A液=0.01N塩酸:アセトニトリル=70/30 B液=0.01N塩酸:アセトニトリル=30/70 溶出条件:A液100%からB液100%へのリニアグラジエント(30分) 検出波長:210nm 注入量 :100μL −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【0042】図1は、ビスフェノールA(以下、「BP
A」という)およびノニルフェノール(以下、「NP」
という)の標準品(いずれも和光純薬株式会社製)、図
2は、実施例1の高分子担体からの溶出物を測定した結
果である。図2では、BPAおよびNPの溶出位置にピ
ークが確認されず、実施例1からの溶出は確認されなか
った。実施例2および3の高分子担体も同様の結果であ
った。一方、比較例1の高分子担体からの溶出物を測定
した結果を図3に示す。NPおよびBPAの溶出位置に
ピークが確認されただけでなく、その他にも多くの疎水
性物質の溶出が確認された。また比較例2〜4の高分子
担体からの溶出物を測定した結果も図3と同様に疎水性
物質が多く溶出した。比較例2では、特にBPA溶出位
置に大きなピークが出現した。これは比較例2で用いた
単量体(A−BPE−4)がBPA構造を含むため、B
PAあるいはBPA類似構造の不純物が多く含まれ、溶
出してきたものと思われる。このピークは、高分子担体
を繰り返し洗浄しても消えなかった。
【0043】以上から、実施例1〜3で得られた本発明
方法に用いられるの高分子担体は、担体からの溶出が少
なく、疎水性物質の除去に有用である。一方従来技術に
より調製した比較例1〜4の高分子担体は、疎水性溶出
物が多く、疎水性物質、特にホルモン様作用物質を除去
する目的の排水処理には使用できない。
【0044】〔試験例2〕上記実施例および比較例で調
製した高分子担体の、ホルモン様作用物質などの疎水性
物質の除去性能を確認した。まず実施例1の高分子担体
を用いてBPAの除去性能を確認した。BPA標準原液
(和光純薬株式会社製)からBPA100ng/mLの
10%メタノール水溶液を調製し、これに0.1gの高
分子担体を分散させ、よく撹拌した。得られた分散液を
3000rpmで10分間遠心分離した後上清を採取
し、上清を遠心エバポレータで蒸発乾固させた後、EL
ISA用リン酸緩衝液に溶解して、ELISA系で測定
を行った。
【0045】ELISA系での分析は、以下の手法で行
った。抗BPA抗体固相化プレート((株)矢内原研究
所製)に検体50μLを添加し、さらにHRP(Horse
Radish Peroxidase)標識BPA50μLを添加して室
温で2時間反応させた。プレートを洗浄した後、o−フ
ェニルジアミン(OPD)を添加して15分反応させ、
492nmで吸光度を測定した。
【0046】高分子担体を用いずに同様の操作を行った
場合の上清中のBPA量を100とした場合の相対比較
により除去率を求めた。結果を表1に示す。100%の
BPAが除去された。その他のホルモン様作用物質につ
いても同様に測定を行ったところ、BPAと同様にその
99%以上が除去された(表1)。また実施例2および
3において調製された高分子担体においても、実施例1
の高分子担体と同様に良好な除去率を示した。一方、比
較例1では、BPAの除去率が150%以上となった。
これは高分子担体自体からの溶出のためと考えられる。
一方その他の物質に対しては、いずれも70%以下と除
去率が極めて低かった。比較例2〜4でも同様の結果で
あった。
【0047】
【表1】
【0048】〔試験例3〕吸着・脱着を繰り返し行った
際の除去能の変化を確認した。実施例1で得られた高分
子担体0.1gを、容量3mLのポリプロピレン製のカ
ラムに充填した。これにBPA標準液(100ng/m
Lの10%メタノール水溶液)を添加した。カラムから
の流出液を、上記(2)と同様にしてELISA法によ
りBPAを測定した。さらにカラムにメタノール5mL
を通液し(再生処理)、溶出液を回収した。その後再
び、BPA標準液を添加し、同様に溶出液中のBPAを
測定した。これらの操作を繰り返し、除去能を測定し
た。結果を表2に示す。除去能は変化せず、メタノール
による簡便な再生処理により、初期と変わらない除去能
が得られので、繰り返し使用できることがわかった。ま
た、実施例3の高分子担体も同様であった。一方比較例
1では、除去能が初期値より大きく低下し、再使用はで
きないと考えられる。また比較例2の高分子担体も同様
の結果であった。比較例3では、使用初期の吸着能は、
他の比較例に比べて良好であったが、繰り返し使用によ
り急激に吸着能が低下した。これは架橋度が低く、機械
的強度に乏しいためと考えられる。比較例4の高分子担
体でも同様の結果であった。
【0049】
【表2】
【0050】〔試験例4〕河川水を用いた実用試験を行
った。一般河川水100Lを採取した。用いた河川水に
はBPAが検知されなかったため、BPA標準液を10
0ng/mL添加した。ステンレス製カラム(直径10
cm×長さ50cm)に、実施例3で得られた高分子担
体を充填した。これに上記河川水を、毎分1Lの流速で
全量通水した。得られた処理水中のBPAを、上記と同
様のELISA法で測定した。除去率は100%、また
メタノール洗浄による再生処理により除去率は99%以
上に回復した。
【0051】
【発明の効果】本発明の排水処理方法は、排水または排
水を含む環境水中の疎水性物質、特にステロイドホルモ
ン類または/及びホルモン様作用物質を効率よく除去で
きる。また、本発明に用いられる高分子担体は有機溶媒
を用いた再生処理により、除去能が回復し、繰り返して
使用することができる。
【0052】本発明の廃水処理方法に用いられる高分子
担体は高架橋度のため機械的強度が大きい。従って大量
処理あるいは繰り返し使用時においても破損が少なく、
簡単に取り扱える。また高分子担体と排水を接触させる
吸着工程時や、吸着後の分離工程においても様々な取り
扱いができる。
【図面の簡単な説明】
【図 1】 BPAおよびNPの標準品の溶出測定の結
果を示す。
【図 2】 実施例1の高分子担体からの溶出物の測定
の結果を示す。
【図 3】 比較例1の高分子担体からの溶出物の測定
の結果を示す。
【符号の説明】
1 BPAの溶出ピーク 2 NPの溶出ピーク
フロントページの続き (72)発明者 大石 和之 山口県新南陽市開成町4560 積水化学工業 株式会社内 (72)発明者 川辺 俊樹 山口県新南陽市開成町4560 積水化学工業 株式会社内 (72)発明者 木島 康雅 東京都港区虎ノ門二丁目3番17号 積水化 学工業株式会社内 (72)発明者 横井 正之 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 (72)発明者 矢内原 昇 静岡県富士宮市粟倉2480番地の1 株式会 社矢内原研究所内 (72)発明者 田中 堯 東京都千代田区神田錦町三丁目7番1号 東洋建設株式会社内 Fターム(参考) 4D017 AA01 BA04 CA13 CB01 DA01 DA07 DB02 EA01 EB02 EB03 4D024 AA04 AA05 AB04 AB11 BA17 BB01 BB05 BC01 BC04 CA01 DA04 DA05 DA07 DA08 DB03 DB12 4G066 AC17B AC17C AE19C BA09 BA20 BA25 CA33 CA52 CA56 DA08 FA08 FA25 FA34 FA37 GA11

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排水中の疎水性物質を除去する排水処理
    方法において、少なくとも高分子担体に排水中の疎水性
    物質を接触させる吸着工程、及び疎水性物質が除去され
    た処理水と疎水性物質が吸着された高分子担体を分離す
    る分離工程を含むことを特徴とする排水処理方法。
  2. 【請求項2】 疎水性物質が、ステロイドホルモン類ま
    たは/およびホルモン様作用物質である請求項1記載の
    排水処理方法。
  3. 【請求項3】 ステロイドホルモン類またはホルモン様
    作用物質が、アルキルフェノール類、ビスフェノール
    A、フタル酸エステル類、ダイオキシン類およびエスト
    ロジェン類からなる群から選ばれる1又は2種以上であ
    る請求項2の排水処理方法。
  4. 【請求項4】 高分子担体が、アクリル酸エステルまた
    は/およびメタクリル酸エステルである架橋性単量体を
    重合して得られる架橋重合体である請求項1〜3いずれ
    かに記載の排水処理方法。
  5. 【請求項5】 高分子担体が、平均粒径が1μm〜50
    cmでかつ比重が0.8〜3.0である請求項1〜4い
    ずれかに記載の排水処理方法。
  6. 【請求項6】 高分子担体が、再生処理により再利用可
    能な担体である請求項1〜5いずれかに記載の排水処理
    方法。
  7. 【請求項7】 高分子担体が有機溶媒を接触させ、高分
    子担体から疎水性物質を有機溶媒中に脱着させる脱着工
    程を含む再生処理により再利用可能な担体である請求項
    1〜6いずれかに記載の排水処理方法。
  8. 【請求項8】 有機溶媒がアルコール類である請求項7
    記載の排水処理方法。
  9. 【請求項9】 吸着工程が未処理排水に高分子担体を分
    散させることにより行われる請求項1〜8いずれかに記
    載の排水処理方法。
  10. 【請求項10】 分離工程が高分子担体が分散された排
    水を濾過することにより行われる請求項1〜9いずれか
    に記載の排水処理方法。
  11. 【請求項11】 分離工程が高分子担体が分散された排
    水中の該担体を沈降させることにより行われる請求項1
    〜9いずれかに記載の排水処理方法。
  12. 【請求項12】 吸着工程および分離工程が、高分子担
    体が充填されたカラムに未処理排水を通液して処理水を
    得ることにより、吸着工程と分離工程が連続的に行われ
    る請求項1〜8いずれかに記載の排水処理方法。
  13. 【請求項13】 分離工程が、他の処理工程を含む一連
    の排水処理工程の中で実質的に最終処理工程である請求
    項1〜12いずれかに記載の排水処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009050819A (ja) * 2007-08-29 2009-03-12 Tokyu Construction Co Ltd 水処理方法
CN105727902A (zh) * 2016-01-22 2016-07-06 南通海陵环境检测有限公司 纺织废水处理用吸附组合物

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