JP2001300307A - 揮発性有機化合物吸着剤 - Google Patents

揮発性有機化合物吸着剤

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JP2001300307A
JP2001300307A JP2001040363A JP2001040363A JP2001300307A JP 2001300307 A JP2001300307 A JP 2001300307A JP 2001040363 A JP2001040363 A JP 2001040363A JP 2001040363 A JP2001040363 A JP 2001040363A JP 2001300307 A JP2001300307 A JP 2001300307A
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volatile organic
organic compound
meth
acrylate
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JP2001040363A
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English (en)
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Kazuyuki Oishi
和之 大石
Toshiki Kawabe
俊樹 川辺
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 揮発性有機化合物を高効率に吸着し、かつ再
利用が可能であり、また機械的強度が大きく、高圧下、
長期間使用に耐えることができ、さらに除去操作あるい
は測定操作時に、妨害となる物質の溶出のない吸着剤を
提供する。 【解決手段】 アクリル酸エステルである架橋性単量体
及び/又はメタクリル酸エステルである架橋性単量体を
重合して得られる架橋重合体よりなることを特徴とする
揮発性有機化合物吸着剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料中の揮発性有
機化合物を効率よく吸着できる吸着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】各種産業において大量に使用されている
揮発性有機化合物(以下、VOCともいう)は、その中
の一部の物質について、発ガン性など人体への悪影響が
指摘されている有機物質群である。これらの化合物は、
工場排水等から地下水あるいは土壌に浸出し、環境汚染
の原因となる。また、これらのVOCの中には、その防
腐効果により建築材料等にも使用され、居住者への悪影
響が懸念されている物質もある。
【0003】一般に、環境試料中に含まれる低濃度の各
種有害物質を効率よく除去する方法として、各種の高分
子担体を吸着剤として利用する技術が開示されている。
無機系高分子担体としては、活性炭やゼオライトなどが
汎用されているが、これらの無機系吸着剤は、再生処理
が困難である、発火の危険性がある、コストが高いなど
の欠点が指摘されている。
【0004】一方、有機合成高分子担体は上記の欠点が
ない、優れた吸着剤である。VOCを対象とした合成高
分子系の吸着剤として代表的なものとして、例えば、
1)特開昭62−27092号公報には、スチレン−ジ
ビニルベンゼン共重合体よりなる、水中の有機ハロゲン
化合物の吸着剤が開示されている。また、2)特開平9
−47759号公報には、オレフィンまたはジエン系重
合体よりなる、排水中の揮発性有機芳香族化合物の吸着
剤が開示されている。さらに、3)特開2000−44
668号公報には、架橋ポリカーボネート樹脂より構成
される、排気あるいは排水中の有機ハロゲン化合物の吸
着剤が開示されている。
【0005】これら1)〜3)の吸着剤は非常に疎水性
が強く、効率よくVOCを吸着することができる。しか
し一度吸着されたVOCを脱着させることが困難なた
め、吸着剤の再利用が困難である。また1)および3)
の吸着剤は、重合原料としてベンゼン骨格の単量体を用
いているため、吸着剤としての使用時に、残存する重合
原料およびその混入物質の溶出が問題となる。
【0006】一方、これらの欠点の少ないVOC用の吸
着剤としては、アクリル系重合体により構成される吸着
剤がある。4)特開平5−15871号公報には、90
重量%以上の非架橋性単量体および10重量%以下の架
橋性単量体を共重合して得られる架橋重合体と無機粉体
との混合物よりなる、有機溶剤吸着剤が開示されてい
る。また5)特開平9−192653号公報には、ポリ
メチル(メタ)アクリレートまたはスチレン−メチル
(メタ)アクリレート共重合体である非架橋重合体より
なる、塩素系有機溶剤の吸着剤が開示されている。6)
特開平6−327970号公報には、ポリアクリロニト
リルからなる有機ハロゲン化合物吸着剤が開示されてい
る。上記4)〜6)は、いずれも非架橋あるいは低架橋
重合体であるため機械的強度が小さく、高圧下あるいは
長期間の使用には不適当である。
【0007】7)特開平7−136504号公報には、
(メタ)アクリレート単量体などをエネルギー線重合す
ることにより得られる、有機溶剤の吸着剤が開示されて
いる。しかしながらエネルギー線重合では、未反応単量
体が残存し使用時の溶出が問題となる。また単量体とし
てビスフェノールA(BPA)類似単量体を使用するの
で、BPAの溶出も問題となる。さらにベンゼン骨格含
有単量体であり、上記1)〜3)と同様の欠点を有す
る。
【0008】8)特開平9−276839号公報には、
マイナス荷電を有し、粒径が0.01〜5μmであるア
クリル系重合体である、吸着剤が開示されている。しか
し8)の吸着剤は、粒径が小さいため、大量処理には不
適当であり、またそのマイナス荷電により微小のマイナ
ス荷電物質の吸着には不適当である、プラス荷電物質を
非選択的に吸着するため吸着性能の劣化が激しいなどの
欠点を有する。
【0009】一方、環境中あるいは生体試料中のVOC
は、極微量の存在で生体あるいは生態系に悪影響を及ぼ
すことが報告されているので、これらの物質の簡便で高
精度な測定法の確立が極めて重要である。現在ではガス
クロマトグラフィー(GC)法、液体クロマトグラフィ
ー(HPLC)法、あるいはこれらの方法とマススペク
トル(MS)分析法を組み合わせた方法などが開示され
ている。
【0010】これらの高精度分析法では、いずれもほぼ
同様の前処理法により測定試料が調製される。この前処
理は、混入物の非常に多い大気、排気、環境水、環境物
質からの抽出物あるいは血液、尿、組織などの生体試料
から、測定の妨害となる物質を除去し、目的とする微量
の物質を効率よく抽出・濃縮する目的で行われる。従っ
て測定結果は、この前処理操作に大きく影響を受ける。
【0011】最も汎用されている前処理方法として、固
相抽出法がある。これは高分子などの担体に試料を接触
させ、測定目的の成分である物質を担体に吸着させ、他
の妨害成分は洗い流して除去する。その後吸着した目的
物質を別の溶媒で脱着させて、上記の測定法に供する方
法である。
【0012】一般に固相抽出に用いられる担体として
は、9)LC GC,15(2)152−158(19
97)に、スチレン−ジビニルベンゼン系の担体や、2
−ビニルピロリドン−ジビニルベンゼン系の担体が、あ
るいは10)特開平6−258203号公報にジビニル
ベンゼンとアクリル酸エステルの共重合体などが開示さ
れている。
【0013】上記9)および10)の担体は、その必須
成分としてベンゼン骨格を有するスチレン系単量体を使
用するため、上記1)と同様な欠点を有する。特に微量
なVOCの測定時には、わずかな妨害成分の溶出でも測
定精度を大きく低下させてしまう。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、現在ま
でに環境中あるいは生体試料中に存在する揮発性有機化
合物を高効率に吸着すると共に、揮発性有機化合物の測
定あるいは除去に有用な吸着剤は開示されていない。本
発明は、上記問題点を解決すべく考案されたものであ
り、揮発性有機化合物を高効率に吸着し、かつある条件
下で容易に脱着して吸着剤として再利用が可能であり、
また高架橋度重合体で機械的強度が大きく、高圧下ある
いは長期使用に耐えることができ、さらに除去操作ある
いは測定操作時に、妨害となる物質の溶出のない吸着剤
を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
アクリル酸エステルである架橋性単量体及び/又はメタ
クリル酸エステルである架橋性単量体を重合して得られ
る架橋重合体よりなることを特徴とする揮発性有機化合
物吸着剤(以下、単に吸着剤ともいう)である。
【0016】請求項2記載の発明は、上記架橋性単量体
が、以下の一般式I〜III で表される架橋性単量体から
なる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴と
する請求項1に記載の揮発性有機化合物吸着剤である。
ただし、一般式I〜IIIにおいて、Aは(メタ)アクリロ
イル基を、Xは炭素数1〜24のアルキル鎖、アルキレ
ン鎖若しくはオキシアルキレン鎖を示す。また、Xにお
いては、その水素原子がメチル基若しくはヒドロキシル
基で置換されていてもよい。
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】請求項3記載の発明は、アクリル酸エステ
ル又はメタクリル酸エステルのうちの1種類の架橋性単
量体のみを重合して得られる架橋重合体、あるいはアク
リル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルのうち
の2種類以上の架橋性単量体を共重合して得られる架橋
重合体であって、共重合される架橋性単量体のうちの1
種類の単量体の割合が、全架橋性単量体のうちの90重
量%以上である架橋重合体よりなることを特徴とする請
求項1又は2に記載の揮発性有機化合物吸着剤である。
【0021】請求項4記載の発明は、上記揮発性有機化
合物が、分子量50〜200かつ沸点40〜260℃の
物質であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一
項に記載の揮発性有機化合物吸着剤である。
【0022】請求項5記載の発明は、上記揮発性有機化
合物が、ベンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレ
ン、p−ジクロロベンゼン、スチレン、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、クロロホル
ム、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラク
ロロエチレン、四塩化炭素、ホルムアルデヒド及びアセ
トアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも一種で
あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記
載の揮発性有機化合物吸着剤である。
【0023】以下、本発明の詳細を説明する。 (1)単量体 (1−1)架橋性単量体 本発明における架橋性単量体として用いられるアクリル
酸エステルあるいはメタクリル酸エステルは、特に限定
されず、公知のものが使用される。なお、以下アクリル
酸エステル又はメタクリル酸エステルは、(メタ)アク
リル酸エステルと略記する。本発明においては、(メ
タ)アクリル酸エステルである架橋性単量体の中でも、
上記一般式I〜IIIで表される架橋性単量体のうちの少な
くとも1種を用いるのが好ましい。
【0024】一般式I〜IIIにおいて、Aはアクリロイル
基[CH2=CH−CO−]若しくはメタクロイル基を
表す。また、Xは、炭素数1〜24のアルキル鎖[(Cn
2n+1)−]、炭素数1〜24のアルキレン鎖[−(C
2n−]若しくは炭素数1〜24のオキシアルキレン
鎖を示す。ここで、オキシアルキレン鎖とは、アルキレ
ン鎖中あるいはその末端に任意の数のエーテル酸素(−
O−)を含むものをいう。これらの鎖中における水素原
子は、メチル基若しくはヒドロキシル基で置換されてい
てもよい。
【0025】一般式Iで表される(メタ)アクリル酸エ
ステルとしては、例えば、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラ
メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、などのア
ルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;1,3
−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4
−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6
−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−
ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチル
グリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−
1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2−ヒドロ
キシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパ
ン、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロー
ルアクリレートメタクリレート、1,10−ジ(メタ)
アクリロキシ−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオ
ール、1,10−ジ(メタ)アクリロキシ−5−メチル
−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオール、1,1
1−ジ(メタ)アクリロキシ−4,8−ジオキサウンデ
ガン−2,6,10−トリオール等が挙げられる。
【0026】一般式IIで表される(メタ)アクリル酸エ
ステルとしては、例えば、トリメチロールエタントリ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、テトラメチルロールメタントリ
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】一般式IIIで表される(メタ)アクリル酸
エステルとしては、例えば、テトラメチルロールメタン
テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】また、上記一般式I〜IIIのいずれにも含ま
れないが、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)ジアクリ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリ
レート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アク
リレート等の(メタ)アクリル酸エステルを用いること
もできる。
【0029】上記各種(メタ)アクリル酸エステルであ
る架橋性単量体は2種類以上を混合して用いてもよい。
【0030】(1−2)非架橋性単量体 本発明の吸着剤には、必要に応じて、上記架橋性単量体
の他に、非架橋性の単量体が構成単位の一部として用い
られても良い。上記非架橋性単量体としては、特に限定
されず、(メタ)アクリル酸エステル等が好適に用いら
れる。上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例え
ば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ス
テアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)
アクリレート類;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシ
ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げ
られる。これらは2種以上混合して用いてもよい。ま
た、上記(メタ)アクリル酸エステル以外の、非架橋性
単量体としては、下記(1−3)に挙げる単量体以外の
ものであれば特に限定されず、例えば、トリアリルシア
ヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられ
る。
【0031】本発明の吸着剤を構成する架橋重合体は、
(メタ)アクリル酸エステルである架橋性単量体のみを
重合して得られる架橋重合体であることが好ましい。よ
り好ましくは、上記一般式I〜IIIで表される架橋性単量
体のみ、さらに好ましくは上記一般式Iで表される架橋
性単量体のみで構成される吸着剤である。一般式Iで表
される架橋性単量体の中でも、アルキレングリコールジ
(メタ)アクリレートが特に好ましい。また、上記架橋
性(メタ)アクリル酸エステルの内、1種類の架橋性単
量体のみを重合して得られる架橋重合体であるのがより
好ましい。また、上記(メタ)アクリル酸エステルであ
る架橋性単量体のうちの2種類以上の架橋性単量体を共
重合して得られる架橋重合体も用いられるが、その場合
は、用いられる架橋性単量体のうちの1種類の架橋性単
量体の割合が、全架橋性単量体のうちの90重量%以上
であるのが好ましい。但し、この場合、重合される単量
体に含まれる不純物は、この割合には含まれない。
【0032】非架橋性単量体として(メタ)アクリル酸
エステルを用いる場合、該非架橋性単量体の使用量は、
上記架橋性単量体100重量部に対して0〜20重量部
であることが好ましく、さらに好ましくは、0〜10重
量部である。また、(メタ)アクリル酸エステルからな
る非架橋性単量体以外を用いる場合は、(メタ)アクリ
ル酸エステル単量体の全量(架橋性と非架橋性の合計
量)100重量部に対して0〜20重量部であることが
好ましく、さらに好ましくは、0〜10重量部である。
【0033】(1−3)用いられない単量体:本発明の
吸着剤を構成する化合物として、以下の(a)〜(c)
の単量体群を用いることは好ましくない。
【0034】(a)ベンゼン環を有する単量体、直鎖,
環状或いは分岐脂肪族系単量体 上記用いられない単量体として、例えば、スチレン、α
−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系
単量体;エチレン、プロピレンなどのオレフィン系単量
体;ブタジエン等のジエン系単量体、フェノキシエチル
(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデ
カンジ(メタ)アクリレート;2,2−ビス{4−
[(メタ)アクリロキシエトキシ]フェニル}プロパ
ン、2,2−ビス{4−[(メタ)アクリロキシ・ジエ
トキシ]フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−
[(メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ]フェニル}プ
ロパン;ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレング
リコール(メタ)アクリレート;フタル酸ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エス
テルが挙げられる。これらのベンゼン環を有する単量体
や直鎖,環状あるいは分岐脂肪族系単量体は、疎水性が
強く、吸着された揮発性有機化合物の脱着が困難であ
る。また、これらの単量体からなる重合体は有機溶媒を
吸着しやすいので、有機溶媒による脱着処理の際に、こ
の有機溶媒を吸着してしまい、脱着が定量的に行われな
い。さらにこれらの原材料中の不純物質が、吸着工程に
悪影響を及ぼす。
【0035】(b)イオン交換性の官能基を有する単量
体 また、上記用いられない単量体として、例えば(メタ)
アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有する単
量体、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート
等の3級あるいは4級アミノ基を有する単量体、その他
スルホン酸基等のイオン交換性の官能基を有する単量体
が挙げられる。これらの単量体は、そのイオン交換基に
より、揮発性有機化合物の吸着性能を低下させるため、
用いるのは好ましくない。 (c)ハロゲン基を有する単量体 フッ素、塩素、臭素などのハロゲン基を有する単量体
は、上記b)と同様に疎水性が大きく、脱着処理の困難
性から用いることは好ましくない。
【0036】(2)重合反応 本発明の吸着剤は、上記単量体を用いて、重合開始剤の
存在下において重合反応を行うことにより得られる。重
合反応は、公知の重合方法、例えば、懸濁重合法、分散
重合法、乳化重合法などの方法が挙げられる。その中で
も、操作の簡便性から、懸濁重合法を用いることが好ま
しい。例えば、懸濁重合法で行う場合、水溶性分散剤を
溶解した水性分散媒に、上記重合性単量体及び開始剤の
混合物を分散させ、さらに必要に応じて添加剤等を添加
した後、攪拌しながら窒素雰囲気下で昇温することによ
り重合反応を行うことができる。
【0037】上記水溶性分散剤としては、公知のものを
用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン等の合成高分子類;セルロース誘導
体類;ゼラチン、デンプン等の水溶性高分子化合物;ヒ
ドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、水酸化カルシ
ウム、炭酸カルシウム等の無機塩類;各種界面活性剤等
が用いられる。これらのうち、特に水溶性高分子化合物
が好ましく、特にポリビニルアルコール、ポリビニルピ
ロリドン等の非イオン性の水溶性高分子化合物が好適で
ある。
【0038】上記分散媒としては、水や公知の有機溶媒
などが用いられる。好ましくは、水または水と水溶性有
機溶媒との混合物が用いられる。
【0039】上記重合開始剤としては、特に限定され
ず、水溶性又は油溶性の公知のラジカル重合開始剤が用
いられる。上記重合開始剤の具体的な例としては、過硫
酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムな
どの過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾ
イルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オク
タノイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオ
キサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルハイド
ロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、
t−ブチルパーオキシイソブチレート、3,5,5−ト
リメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパ
ーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス
イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジ
メチルバレロニトリル)、 4,4’−アゾビス(4−
シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル
ブチロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニト
リルなどのアゾ化合物などが挙げられる。上記重合開始
剤の使用量は、上記架橋性単量体100重量部に対し、
0.05〜4重量部が好ましく、0.08〜3重量部が
より好ましい。重合開始剤の使用量が0.05重量部未
満になると、重合反応が不十分となったり、重合に長時
間を要することがあり、4重量部を越えると、急激な反
応の進行により、凝集物が発生することがある。
【0040】さらに、上記重合時には、必要に応じて、
公知の添加剤を添加してもよい。これらの添加剤として
は、例えば、重合体を大孔径の多孔質体とするための多
孔質化剤(相分離剤)、連鎖移動剤、pH調節剤及び比
重調節剤などが用いられる。
【0041】上記多孔質化剤としては、例えば、イソア
ミルアルコールやオクタノール等のアルコール類やヘキ
サンなどの脂肪族系炭化水素、キシレンやトルエンなど
の芳香族系炭化水素等が用いられる。
【0042】上記素材を用いた懸濁重合の反応条件は、
用いる単量体や重合開始剤によっても異なるが、重合温
度は、20〜100℃で、0.5〜50時間反応させる
ことが好ましい。重合後、得られた架橋重合体は、洗浄
して乾燥することにより本発明の吸着剤が得られる。洗
浄は、有機溶媒で複数回洗浄する必要がある。また好ま
しくは複数種の有機溶媒で複数回洗浄する。洗浄に使用
する有機溶媒は、用いた単量体によっても異なるが、例
えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ア
セトンなどの公知の有機溶媒が用いられる。
【0043】また、本発明の吸着剤は、上記単量体ある
いは単量体混合物から重合された重合体を原料として、
公知の成形方法、例えば、射出成形法、押出成形法ある
いは、ブロー成形法などによっても調製することができ
る。
【0044】(3)吸着剤の物性 本発明の吸着剤に用いられる架橋重合体の形状は、特に
制限されず、例えば、粒子状、繊維状、フィルタ状等、
液体または気体である試料と接触することのできる形状
であればよいが、特に粒子状であるのが好ましい。ま
た、その多孔性構造についても制限はなく、使用環境下
で形状が維持される強度を有する程度の多孔性であれ
ば、ミクロポア構造であってもよいし、マクロポア構造
であってもよい。また、発泡体であってもよい。また本
発明の吸着剤の大きさは、特に限定されるものではな
く、使用時の条件により適宜選択されるものであるが、
粒子状である場合、平均粒径0.1μm〜50mmであ
るのが好ましく、1μm〜20mmであることがより好
ましい。これらの範囲を逸脱する場合は、使用時におい
て作業がしにくくなる。特に、本発明の吸着剤を揮発性
有機化合物測定の前処理に用いる場合には、その平均粒
径が1〜500μmが好ましく、10〜300μmがよ
り好ましい。また、大量試料中からの揮発性有機化合物
の除去に用いる場合には、100μm〜50mmが好ま
しく、500μm〜20mmがより好ましい。さらに上
記吸着剤は、特殊な事情において、上記単量体の重合物
が表面層を形成する被覆構造体であってもよい。その場
合、被覆されるコア部分の素材に特に制限はなく、使用
環境下で形状が保持される程度の強度を有する物質で形
成され、かつ外部に吸着対象となる揮発性有機化合物の
溶出がない物質で構成される必要がある。被覆構造体と
された場合の吸着剤においても、その形状は特に制限さ
れず、粒子状、繊維状、フィルタ状など、試料である液
体や気体と接触できる形状であればよい。
【0045】(4)揮発性有機化合物 本発明でいう「揮発性有機化合物(VOC)」とは、室
温状態において揮発性である有機物質のことをいう。か
かる揮発性有機化合物の中でも、本発明の吸着剤は、分
子量50〜200かつ沸点40〜260℃の有機化合物
を吸着対象とする吸着剤として好適である。かかる物質
としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノ
ナン、デカン、2,2,4−トリメチルペンタンなどの
脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エ
チルベンゼン、トリメチルベンゼン(特に、1,3,5
−トリメチルベンゼン)、スチレンなどの芳香族炭化水
素類;α−ピネン、リモネンなどのテルペン類;ジクロ
ロメタン、ジクロロエタン(特に、1,2−ジクロロエ
タン)、ジクロロプロパン(特に、1,2−ジクロロプ
ロパン)、ジクロロベンゼン(特に、p−ジクロロベン
ゼン)、クロロホルム、トリクロロエタン(特に、1,
1,1−トリクロロエタン)、トリクロロエチレン、テ
トラクロロエチレン、四塩化炭素などのハロゲン化合
物;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;酢
酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が挙げられる。
また、本発明でいう「揮発性有機化合物」には、室温で
気体である有機化合物も含まれる。かかる化合物として
は、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどのアルデ
ヒド類が挙げられる。上記の物質の中でも、とりわけベ
ンゼン、エチルベンゼン、トルエン、キシレン、p−ジ
クロロベンゼン、スチレン、ジクロロメタン、ジクロロ
エタン(特に、1,2−ジクロロエタン)、ジクロロプ
ロパン(特に、1,2−ジクロロプロパン)、ジクロロ
ベンゼン(特に、p−ジクロロベンゼン)、クロロホル
ム、トリクロロエタン(特に、1,1,1−トリクロロ
エタン)、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレ
ン、四塩化炭素、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒ
ドに対する吸着剤として、本発明の吸着剤は特に有用で
ある。
【0046】(5)揮発性有機化合物吸着剤の使用形態 本発明の吸着剤は、揮発性有機化合物(VOC)を効率
よく吸着し、かつ容易に脱着すると同時にこれらの類似
物質の溶出が少ない吸着剤である。従って、かかる有機
化合物を吸着させる工程を含む全ての用途に有益に用い
ることができる。例えば固相抽出用の吸着剤として、V
OCの測定の前処理に用いたり、あるいは環境浄化用の
吸着剤として、試料中のVOCを除去するのに好適に用
いることができる。但し、これらの用途のみに限定され
るものではない。
【0047】本発明の吸着剤を、固相抽出用吸着剤とし
て、上記VOCの測定の前処理に用いる場合は、吸着剤
が充填された樹脂製、金属製あるいはガラス製などのカ
ラムを用いることにより容易に実施できる。この場合、
上記VOCを含む試料をカラムに通液して、上記VOC
を吸着剤に吸着させ、次に脱着溶媒を通液させること
で、吸着させたVOCを脱着させる。これにより試料の
クリーンアップや濃縮が容易に行われる。こうして得ら
れた脱着液中のVOCを測定すればよい。また環境浄化
用吸着剤として試料中からVOCを除去するのに用いる
場合は、上記固相抽出用吸着剤と同様、カラムあるいは
吸着塔に充填して対象試料を通液するか、あるいは試料
を導入した処理槽などに吸着剤を浮遊させて接触させる
などの方法により適用できる。
【0048】なお本発明の吸着剤が対象とする試料と
は、対象となるVOCを含む全ての試料が含まれる。例
えば上下水を含む各種生活排水および産業排水、これら
の排水を含有する海水、湖水、河川水、地下水などの淡
水、これらの底泥から得られる底泥水、建設工事現場や
処理場から発生する汚水;雨水などを含む環境水試料;
家庭用あるいは産業用の各種燃焼装置からの排気、自動
車排気を含む一般大気、室内大気などの環境大気試料;
あるいは底泥、ヘドロ、汚泥、表層および地下土壌など
の土壌成分を含む環境土壌試料などが含まれる。その他
に試料としては、動植物の血液、尿などの体液成分;各
種臓器、組織からの抽出液なども含まれる。
【0049】また本発明の吸着剤は、再生処理により再
使用可能な吸着剤である。「再生可能である」とは、再
生処理により、吸着されたVOCが吸着剤から脱着さ
れ、吸着剤が再びVOCの吸着能を有するようになるこ
と;より詳しくは、再生処理により初期の90%以上の
吸着能を有するようになることを意味する。
【0050】本発明の吸着剤における再生処理方法は、
VOCを吸着剤から脱着し得る方法であれば特に制限は
ないが、例えば吸着時と物性の異なる脱着溶媒の通液に
よる化学的な方法;加温、超音波処理などの物理的な処
理方法を用いることができる。上記脱着溶媒としては、
吸着溶媒と物性;例えばpHや塩濃度が異なる溶媒、あ
るいは吸着対象であるVOCの溶解度の異なる溶媒が挙
げられる。これらの溶媒としては、メタノール、エタノ
ール、プロパノールなどのアルコール類;アセトンなど
のケトン類;ヘキサンなどのアルカン類;各種緩衝液な
どが挙げられる。
【0051】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示す。 (吸着剤の調製) (実施例1)トリエチレングリコールジメタクリレート
(新中村化学工業社製)500gに、過酸化ベンゾイル
(重合開始剤:キシダ化学社製)1.0gを溶解した。
これを4重量%ポリビニルアルコール水溶液2500m
Lに撹拌しながら分散させ、窒素雰囲気下で80℃に昇
温した。80℃で24時間重合した後、内容物をイオン
交換水で3回、アセトンで1回、エタノールで4回洗浄
した。洗浄後乾燥して吸着剤を得た。
【0052】(実施例2)実施例1におけるトリエチレ
ングリコールジメタクリレート500gの代わりに、2
−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン50
0gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして吸着剤
を調製した。
【0053】(実施例3)実施例1におけるトリエチレ
ングリコールジメタクリレート500gの代わりに、エ
チレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社
製)450gおよびテトラメチロールメタントリアクリ
レート(新中村化学工業社製)50gの混合物を用いた
こと以外は、実施例1と同様にして吸着剤を調製した。
【0054】(実施例4)テトラエチレングリコールジ
メタクリレート(新中村化学工業社製)4000gに、
過酸化ベンゾイル8.0gを溶解した。これを1重量%
ポリビニルアルコール水溶液20Lに撹拌しながら分散
させ、窒素雰囲気下で80℃に昇温した。80℃で24
時間重合した後、内容物をイオン交換水で3回、アセト
ンで1回、エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥して
吸着剤を得た。
【0055】(実施例5)実施例1におけるトリエチレ
ングリコールジメタクリレート500gの代わりに、エ
チレングリコールジメタクリレート450g及びメチル
メタクリレート50gを用いたこと以外は、実施例1と
同様にして吸着剤を調製した。
【0056】(実施例6)トリエチレングリコールジメ
タクリレート(新中村化学工業社製)500g及びイソ
アミルアルコール(多孔質化剤:和光純薬社製)200
gの混合物に過酸化ベンゾイル(重合開始剤:キシダ化
学社製)1.0gを溶解させた。これを4重量%ポリビ
ニルアルコール水溶液2500mLに撹拌しながら分散
させ、窒素雰囲気下で80℃に昇温した。80℃で24
時間重合した後、内容物をイオン交換水で3回、アセト
ンで1回、エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥して
吸着剤を得た。
【0057】(実施例7)実施例6におけるトリエチレ
ングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製)
500gの代わりに、テトラエチレングリコールジメタ
クリレート400g及びメチルメタクリレート40gを
用い、イソアミルアルコール200gの代わりにトルエ
ン250gを用いたこと以外は、実施例6と同様にして
吸着剤を得た。
【0058】(比較例1)スチレン(和光純薬社製)5
0gおよびジビニルベンゼン(キシダ化学製)200g
及びトルエン250gの混合物に、過酸化ベンゾイル
1.0gを溶解した。これを4重量%ポリビニルアルコ
ール水溶液2500mLに撹拌しながら分散させ、窒素
雰囲気下で80℃に昇温した。80℃で24時間重合し
た後、内容物をイオン交換水で3回、アセトンで1回、
エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥して吸着剤を得
た。
【0059】(比較例2)2,2−ビス{4−[(メ
タ)アクリロキシ・ジエトキシ]フェニル}プロパン
(A−BPE−4:新中村化学工業社製)500gに、
過酸化ベンゾイル1.0gを溶解した。これを4重量%
ポリビニルアルコール水溶液2500mLに撹拌しなが
ら分散させ、窒素雰囲気下で80℃に昇温した。80℃
で24時間重合した後、内容物をイオン交換水で3回、
アセトンで1回、エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾
燥して吸着剤を得た。
【0060】(比較例3)N−ビニル−2−ピロリドン
(和光純薬社製)100gおよびジビニルベンゼン18
0g及びトルエン250gの混合物に、過酸化ベンゾイ
ル1.0gを溶解した。これを4重量%ポリビニルアル
コール水溶液2500mLに撹拌しながら分散させ、窒
素雰囲気下で80℃に昇温した。80℃で24時間重合
した後、内容物をイオン交換水で3回、アセトンで1
回、エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥して吸着剤
を得た。
【0061】(比較例4)ジビニルベンゼン(三共化成
社製)100g、エチレングリコールジメタクリレート
(新中村化学工業社製)100g、酢酸ブチル(和光純
薬社製)200g、イソアミルアルコール(和光純薬社
製)50gおよびアゾビスイソブチロニトリル(重合開
始剤:和光純薬社製)の混合液を0.2重量%のメチル
セルロール水溶液1Lに懸濁し、撹拌しながら80℃で
6時間反応させた。洗浄後乾燥させて吸着剤を得た。
【0062】(比較例5)スチレン50g、メチルメタ
クリレート50g、過酸化ベンゾイル1.0gおよびメ
チルエチルケトン(和光純薬製)50gの混合溶液を8
0℃で8時間反応させた後、メタノール中に投入して、
スチレン−メチルメタクリレート共重合体を得た。上記
共重合体20gをN,N−ジメチルアセトアミド80g
に溶解した溶液を、直径0.36mmのノズルから、撹
拌されているメタノール中へ押し出した。メタノール中
で凝固した重合体を水およびメタノールで洗浄し、乾燥
させて吸着剤を得た。
【0063】(比較例6)アクリル酸ナトリウム(和光
純薬社製)60.4g、メトキシポリエチレングリコー
ルアクリレート(共栄社化学社製)339.6g、ノナ
エチレングリコールジアクリレート1.8gをイオン交
換水593.0gに添加した。40℃に昇温した後、1
0重量%の2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパ
ン)塩酸塩(重合開始剤:和光純薬社製)水溶液5.2
gを添加した。その後温度を80℃で1時間保ち反応を
終了した。得られた重合体を粉砕し、乾燥して吸着剤を
得た。
【0064】(比較例7)ウレタンアクリレートオリゴ
マー(V−4263、大日本インキ社製)80g、2,
2−ビス[(4−アクリロキシ・ジエトキシ)フェニ
ル]プロパン(BPE−4:新中村化学社製)20g、
カプリン酸メチル110g、ラウリン酸メチル50g及
び重合開始剤2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセト
フェノン(イルガキュア651:チバガイギー社製)4
gを混合した。この混合液を直径0.16mmのノズル
から押し出し、押し出された液滴に365nmの紫外線
を照射して重合を行い、吸着剤を得た。
【0065】(性能評価)上記実施例及び比較例で得ら
れた吸着剤について、以下のように性能を評価した。
【0066】(1)溶出試験 上記調製した吸着剤からの、不純物質の溶出の有無を確
認した。実施例及び比較例の各吸着剤1gをそれぞれメ
タノール10mLに分散させてよく撹拌した。この分散
液を3000rpmで10分間遠心分離した後上清を採
取し、上清を遠心エバポレータで1mLに濃縮した後、
ガスクロマトグラフィーに注入することにより、吸着剤
から上清メタノール中に溶出した不純物質を測定した。
ガスクロマトグラフィー(GC)は以下に示した条件で
行った。また、得られたクロマトグラムを図1〜3に示
した。
【0067】(GC測定条件) カラム:SPERCOWAX10(シグマアルドリッチ
社製:0.75×60m) キャリアガス:ヘリウム 流速:10mL/分 カラム温度:35℃〜220℃へのリニア昇温(8℃/
分) 検出:FID
【0068】図1に、ベンゼン(ピーク1)トルエン
(ピーク2)、p−キシレン(ピーク3)およびスチレ
ン(ピーク4)各標準物質の測定結果を示した。また、
図2に実施例1の吸着剤からの溶出物を測定した結果を
示した。図2ではピークが確認されず、実施例1の吸着
剤からの溶出は確認されなかった。また、実施例2〜7
の吸着剤も同様の結果であった。一方、図3に比較例1
の吸着剤からの溶出物を測定した結果を示した。トルエ
ンやスチレンの他にも多くの不純物質の溶出が確認され
た。また比較例2〜7の吸着剤からの溶出物を測定した
結果も図3と同様に不純物質が多く溶出した。さらにこ
れらのピークは吸着剤を繰り返し洗浄しても消去できな
かった。
【0069】以上から、実施例1〜7で得られた本発明
の吸着剤は、不純物質の溶出がほとんどないので、微量
測定の前処理や吸着処理に有効である。一方従来技術に
より調製した比較例1〜7の吸着剤は、不純物質の溶出
が多く、測定の前処理や吸着処理には使用できない。
【0070】(2)吸着性能試験 上記実施例および比較例で得られた吸着剤を用いて、揮
発性有機化合物の吸着性能を評価した。各揮発性有機化
合物の100ng/mLの10重量%メタノール水溶液
を調製し、これに吸着剤0. 1gを分散させ、よく撹拌
した。得られた分散液を3000rpmで10分間遠心
分離した後上清を採取し、上清を遠心エバポレータで蒸
発乾固させた後、GC測定を行った。上清中のVOCの
量から吸着剤に吸着したVOCの量を算出した。
【0071】吸着性能試験の結果を表1に示す。実施例
1、3,5及び6の吸着剤では、各VOCが良好に吸着
された。また、実施例2および7についても同様に評価
を行った結果、実施例1と同様に良好な吸着率を示し
た。一方比較例1、3および4の吸着剤では、いずれも
吸着率が低かった。比較例2、5〜7の吸着剤において
も同様に低かった。
【0072】
【表1】
【0073】(3)吸着再現性の評価:上記実施例およ
び比較例により得られた吸着剤0.1gを、内径9m
m、長さ65mmのポリプロピレン製カラム(孔径20
μmのポリエチレン製フィルタ付き)に充填した。この
カラムに上記「(2)吸着性能試験」で用いたトリクロ
ロエチレン標準液を添加した。吸引濾過した後、メタノ
ールを添加してVOCを脱着させ、メタノールを回収
し、上記「吸着性能試験」と同様の方法によりVOCを
測定した。各実施例の吸着剤を用いて20本のカラムを
調製し、同様の操作を行って吸着率の再現性を確認し
た。
【0074】得られた結果を表2に示す。実施例の各吸
着剤は、CV値[(標準偏差÷平均値)×100]が1
%以下と極めて良好な再現性を示した。一方比較例の各
吸着剤はCV値が10%以上とバラツキが大きかった。
【0075】
【表2】
【0076】(4)再生処理よる吸着能の変化 上記調製した吸着剤のVOCの吸着・脱着を繰り返し行
った際の吸着能の変化を評価した。吸着剤0.1gを、
上記「(3)吸着再現性の評価」で用いたカラムと同様
のカラムに充填した。これにトリクロロエタン標準液を
添加した。カラムからの流出液を上記と同様GCにより
測定した。さらにカラムにメタノール5mLを通液する
ことにより再生処理を行い、溶出液を回収した。その後
再び、トリクロロエタン標準液を添加し、同様に溶出液
中のトリクロロエタンを測定した。これらの操作を繰り
返し、吸着能を測定した。結果を表3に示した。実施例
1、3,5および6の吸着剤では吸着能が変化せず、メ
タノールによる簡便な再生処理により、繰り返し使用で
きることがわかった。実施例2および7の吸着剤の場合
も同様であった。一方、比較例1、3および4の吸着剤
では、吸着能が初期値より大きく低下し、再使用はでき
ないと考えられる。また比較例2、5〜7の吸着剤を同
様の結果であった。
【0077】
【表3】
【0078】(5)排水処理の実用試験 河川水を用い、VOC除去の実用試験を行った。一般河
川水100Lを採取した。用いた河川水にはトリクロロ
エタンが検知されなかったため、トリクロロエタン標準
液を100ng/mLとなるよう、この河川水に添加し
た。実施例4で得られた吸着剤をステンレス製カラム
(直径10cm×長さ50cm)に充填した。これに上
記河川水100Lを、流速1L/分で全量通水した。得
られた処理水中のトリクロロエタンを、上記と同様のG
C法で測定した。その結果、吸着率は99.7%、また
メタノール洗浄による再生処理により除去率は98%以
上に回復した。また、実施例1〜3及び5〜7で得られ
た吸着剤についても、良好な結果が得られた。
【0079】(6)大気処理の実用試験 ホルムアルデヒド、p−ジクロロベンゼン、トルエンを
含む気体試料(各5000ppm)を、実施例4で得ら
れた吸着剤が充填されたステンレス製カラム(直径10
cm×長さ50cm)に通気した。大気中の各VOCを
上記と同様のGC法にて測定した。カラムを設置しない
場合と比較したところ、各VOCに対する吸着率は9
6.7〜99.2%、またメタノール洗浄による再生処
理により吸着率はいずれも97%以上に回復した。ま
た、実施例1〜3及び5〜7で得られた吸着剤について
も、良好な結果が得られた。
【0080】
【発明の効果】本発明の吸着剤は、上述した構成よりな
るので、試料中の揮発性有機化合物を効率よく吸着で
き、さらに、いったん吸着されたこれらの有機化合物
は、脱着溶媒等による洗浄操作により容易に脱着するこ
とが可能である。従って本発明の吸着剤は、低濃度の揮
発性有機化合物の測定、あるいはこれらの除去に好適に
使用することができる。さらに、本発明の吸着剤は、吸
着剤自体から不要の溶出物が少ないため、各種の測定、
特に微量物質の測定に悪影響を与えず用いることができ
る。また、本発明の吸着剤は、高架橋度のため機械的強
度が大きく、大量処理あるいは繰り返し使用時において
も破損等が少なく簡単に取り扱え、吸着性能の変化もほ
とんどない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ベンゼン、トルエン、p−キシレンおよびス
チレン各標準物質をGC測定した際に得られたクロマト
グラムを示す図。
【図2】 実施例1により得られた吸着剤からの溶出物
の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図3】 比較例1により得られた吸着剤からの溶出物
の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【符号の説明】
1…ベンゼンのピーク 2…トルエンのピーク 3…p−キシレンのピーク 4…スチレンのピーク

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル酸エステルである架橋性単量体
    及び/又はメタクリル酸エステルである架橋性単量体を
    重合して得られる架橋重合体よりなることを特徴とする
    揮発性有機化合物吸着剤。
  2. 【請求項2】 上記架橋性単量体が、下記の一般式I〜I
    II で表される架橋性単量体からなる群より選ばれる少
    なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の
    揮発性有機化合物吸着剤。(ただし、一般式I〜IIIにお
    いて、Aは(メタ)アクリロイル基を、Xは炭素数1〜2
    4のアルキル鎖、アルキレン鎖若しくはオキシアルキレ
    ン鎖を示す。また、Xにおいては、その水素原子がメチ
    ル基若しくはヒドロキシル基で置換されていてもよ
    い。) 【化1】 【化2】 【化3】
  3. 【請求項3】 アクリル酸エステル又はメタクリル酸エ
    ステルのうちの1種類の架橋性単量体のみを重合して得
    られる架橋重合体、あるいはアクリル酸エステル及び/
    又はメタクリル酸エステルのうちの2種類以上の架橋性
    単量体を共重合して得られる架橋重合体であって、共重
    合される架橋性単量体のうちの1種類の単量体の割合
    が、全架橋性単量体のうちの90重量%以上である架橋
    重合体よりなることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の揮発性有機化合物吸着剤。
  4. 【請求項4】 上記揮発性有機化合物が、分子量50〜
    200かつ沸点40〜260℃の物質であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の揮発性有機
    化合物吸着剤。
  5. 【請求項5】 上記揮発性有機化合物が、ベンゼン、エ
    チルベンゼン、トルエン、キシレン、p−ジクロロベン
    ゼン、スチレン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジ
    クロロプロパン、クロロホルム、トリクロロエタン、ト
    リクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭
    素、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドからなる群
    より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請
    求項1〜4のいずれか一項に記載の揮発性有機化合物吸
    着剤。
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