JP2002361082A - 疎水性物質吸着剤 - Google Patents

疎水性物質吸着剤

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JP2002361082A
JP2002361082A JP2001174381A JP2001174381A JP2002361082A JP 2002361082 A JP2002361082 A JP 2002361082A JP 2001174381 A JP2001174381 A JP 2001174381A JP 2001174381 A JP2001174381 A JP 2001174381A JP 2002361082 A JP2002361082 A JP 2002361082A
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hydrophobic
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meth
acrylate
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JP2001174381A
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English (en)
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Kazuyuki Oishi
和之 大石
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 疎水性物質、特にホルモン様作用物質、多環
芳香族炭化水素類や揮発性有機化合物を高効率に吸着
し、かつ容易に脱着する吸着剤を提供する。 【解決手段】 疎水性単量体(例、トリエチレングリコ
ールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリ
レート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ジ
ビニルベンゼン)20〜70モル%と親水性単量体
(例、ノナエチレングリコールジメタクリレート、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリ
レート、N−ビニル−2−ピロリドン)30〜80モル
%とを構成成分とする架橋重合体よりなることを特徴と
する疎水性物質吸着剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料中の疎水性物
質、特にホルモン様作用物質、多環芳香族炭化水素類や
揮発性有機化合物を高効率に吸着し、かつ容易に脱着す
る吸着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】排水などを含む環境水や土壌、あるいは
大気といった環境試料中には様々な疎水性の有害物質が
含まれている。一般に大量の環境試料中における、これ
らの疎水性の有害物質の初期濃度は低い。ところが、環
境試料中に長期に渡って存在する間に、環境試料中の固
体物質の表面など拡散性の低い箇所や、生体内における
濃縮などによって高濃度化し、生態系に大きな影響を与
える。従って大量の環境試料中で低濃度状態であって
も、これらを放置することは重大な問題となる。
【0003】これらの疎水性の有害物質の内、環境中に
排出された生体由来の、あるいは合成されたステロイド
ホルモン類や化学物質の一部は、生体内に取り込まれる
とホルモン類似作用を示すものがある。これらの化学物
質は内分泌攪乱化学物質と呼ばれ、極めて微量であって
も動物の生殖機能等に悪影響を及ぼすことがわかってき
た。これらのステロイドホルモン類やホルモン様作用物
質類(以下、まとめてホルモン様作用物質という)は、
人為的な排出に由来する場合が多いため、排出処理過程
においてこれらの物質を効率よく除去する必要がある。
【0004】一方、各種の産業過程で大量に使用され
る、トリクロロエチレン等の揮発性有機化合物は、発ガ
ン性の指摘される物質であるが、工場排水から地下水あ
るいは土壌に浸出し、汚染の原因とされている。これら
の揮発性有機化合物の中には、その防腐効果により建設
材料等にも使用されているものもあり、居住者への悪影
響が懸念されている。また、ベンゾピレン等の多環芳香
族炭化水素類は、家庭用あるいは産業用の各種燃焼装置
からの排気ガス、特に自動車排気に含まれる発ガン性の
指摘される物質で、環境大気中での高濃度での存在が問
題視されている。これらの物質についても、人体への直
接的な影響が重大であるため、その排出過程での除去、
環境中からの除去が必要である。
【0005】一般に、各種試料中の疎水性物質を吸着す
る吸着剤としては、活性炭、ゼオライト、シリカなどの
無機系吸着剤;合成高分子よりなる有機合成高分子系吸
着剤などが用いられている。上記の無機系吸着剤は、構
成素材が限定されるため、対象物質に合わせた組成変更
が困難である欠点がある。また、再生処理が困難であ
る、発火の危険性がある、コストが高いなどの欠点も指
摘されている。一方有機合成高分子系吸着剤は、素材の
選択が広範囲に及び得るので、対象物質に合わせた最適
化が容易であるという長所がある。
【0006】有機合成高分子系吸着剤よりなる疎水性物
質吸着剤としては、スチレン又はジビニルベンゼンを主
成分とした吸着剤が汎用されている。しかしながら、こ
れらのスチレン又はジビニルベンゼン系吸着剤は疎水性
が強いため、一度吸着された吸着対象物質を脱着しにく
く、従って吸着対象物質を脱着させて該対象物質を測定
したり、吸着剤を再利用することが困難であった。
【0007】最近、上記スチレン系吸着剤に親水性基を
導入した吸着剤が提案されている。このような吸着剤の
例としては、例えば、(1)ジビニルベンゼン−ビニル
ピロリドン共重合体からなる吸着剤(米国特許5,88
2,521号);(2)ジビニルベンゼン−多価アルコ
ールポリ(メタ)アクリル酸エステルの共重合体からな
る吸着剤(特開平6−258203号公報)などがあ
る。
【0008】しかしながら、上記(1)の吸着剤は、親
水性単量体の含有率が12〜30モル%と低いため親水
性が不十分であり、吸着された疎水性物質の脱着能が低
い欠点があった。また、上記(2)の吸着剤は、ジビニ
ルベンゼンに比べてより親水性である多価アルコールポ
リ(メタ)アクリル酸エステルを共重合成分として用い
ることにより親水化を図っているが、該(メタ)アクリ
ル酸エステル自体の親水性が小さいため、その結果得ら
れた共重合体の親水性が小さく、脱着能が不十分であっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の従来の
親水性基含有吸着剤の欠点、脱着能低下を解決するもの
であり、その目的は、疎水性物質、特にホルモン様作用
物質、多環芳香族炭化水素類や揮発性有機化合物を高効
率に吸着し、かつ容易に脱着する吸着剤を提供すること
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、疎水性単量体
20〜70モル%と親水性単量体30〜80モル%とを
構成成分とする架橋重合体よりなることを特徴とする疎
水性物質吸着剤(以下、単に吸着剤ともいう)である。
【0011】以下、本発明の詳細を説明する。 (1)疎水性単量体 本発明における疎水性単量体としては、公知の疎水性単
量体が挙げられ、例えば、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、
下記式(1)で表されるポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、
【化1】 (式中、RはH又はCH3 、m1 は7以下の数、−C3
6 O−は−CH2 CH 2 CH2 O−又は−CH(CH
3 )CH2 O−又は−CH2 CH(CH3 )O−を示
す) グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメ
タントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタ
ンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリ
レート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ
ートなどの(メタ)アクリレート系単量体;ジビニルベ
ンゼン、ジビニルトルエン、トリビニルトルエンなどの
芳香族系単量体;などの架橋性単量体が挙げられる。な
お、本明細書において、(メタ)アクリレートなる表現
は、アクリレート及びメタクリレートを総称するものと
する。
【0012】本発明における疎水性単量体としては、さ
らに、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレ
ート類;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジ
ル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系単量
体;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族系単量体;な
どの非架橋性単量体が挙げられる。これらの単量体は、
重合後に得られた共重合体において、20〜70モル
%、より好ましくは30〜60モル%を構成するように
用いられる。
【0013】(2)親水性単量体 本発明における親水性単量体は、少なくとも1つの親水
性基と少なくとも1つの重合性基とを有する単量体であ
る。上記の親水性基は、公知の親水性官能基であり、そ
の分子量、構造に特に制限はない。これらの内、特に好
ましくは水酸基、エポキシ基、アルキレングリコール
基、アルデヒド基、シアノ基、アミノ基、含窒素複素環
基などである。これらの親水性基は、単量体1分子内に
複数個、又は複数種存在してもよい。
【0014】上記重合性基としては、重合反応により高
分子を形成し得る官能基であれば制限はないが、特にビ
ニル基が好ましい。これらの重合性基は、単量体1分子
中に複数個、又は複数種存在してもよい。
【0015】上記親水性単量体としては、例えば、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、アクロレイン、アクリルアミド、アクリロニトリル
などのアクリル系非架橋性単量体;N−ビニルピロリド
ン、2−ビニルピロリドン、3−ビニルピロリドン、4
−ビニルピロリドンなどの複素環基含有非架橋性単量
体;下記式(2)で表されるポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、
【化2】 (式中、RはH又はCH3 、nは5以上の数を示す) 下記式(3)で表されるポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、
【化3】 (式中、RはH又はCH3 、m2 は8以上の数、−C3
6 O−は−CH2 CH 2 CH2 O−又は−CH(CH
3 )CH2 O−又は−CH2 CH(CH3 )O−を示
す) などの架橋性単量体が挙げられる。
【0016】上記親水性単量体の使用量は、用いられる
該単量体の種類、上記の疎水性単量体の種類及び/又は
吸着対象物質の性質にもよるが、得られた共重合体を構
成する割合として30〜80モル%、好ましくは40〜
70モル%である。親水性単量体の構成比が30モル%
未満では吸着剤の疎水性が大きすぎ、従来技術と同様、
脱着能が低下する。親水性単量体の構成比が80モル%
を超えると吸着剤の親水性が大きすぎ、疎水性物質を十
分に吸着できなくなる。
【0017】また、本発明の吸着剤を構成する上記単量
体の内の少なくとも1種は架橋性単量体である。架橋性
単量体は、疎水性単量体であってもよく、親水性単量体
であってもよい。また、架橋性単量体の構成比率は、特
に制限されず、得られる吸着剤が使用環境において物理
的形状が保持され得る程度の強度を有するような架橋度
であればよい。架橋性単量体の構成比率は、5〜100
モル%が好ましく、より好ましくは10〜80モル%で
ある。
【0018】(3)重合反応 本発明の吸着剤は、上記疎水性単量体と上記親水性単量
体とからなる単量体混合物を共重合することにより得ら
れる。上記重合反応は、通常、重合開始剤の存在下にお
いて行われるが、重合方法としては、公知の重合方法、
例えば、懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法などの方
法が挙げられる。その中でも、操作の簡便性から、懸濁
重合法を用いることが好ましい。例えば、懸濁重合法で
行う場合、水溶性分散剤を溶解した水性分散媒に、上記
疎水性単量体、親水性単量体及び開始剤の混合物を分散
させ、さらに必要に応じて添加剤等を添加した後、攪拌
しながら窒素雰囲気下で昇温することにより重合反応を
行うことができる。
【0019】上記水溶性分散剤としては、公知のものを
用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン等の合成高分子類;セルロース誘導
体類;ゼラチン、デンプン等の水溶性高分子化合物;ヒ
ドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、水酸化カルシ
ウム、炭酸カルシウム等の無機塩類;各種界面活性剤等
が用いられる。これらの中でも水溶性高分子化合物が好
ましく、特にポリビニルアルコール、ポリビニルピロリ
ドン等の非イオン性の水溶性高分子が好適である。
【0020】上記分散媒としては、水や公知の有機溶媒
などが用いられる。好ましくは、水又は水と水溶性有機
溶媒との混合物が用いられる。
【0021】上記重合開始剤としては、特に限定され
ず、水溶性又は油溶性の公知のラジカル重合開始剤が用
いられる。上記重合開始剤の具体的な例としては、過硫
酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムな
どの過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾ
イルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オク
タノイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオ
キサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルハイド
ロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、
t−ブチルパーオキシイソブチレート、3,5,5−ト
リメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパ
ーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス
イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジ
メチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シ
アノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルブ
チロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリ
ルなどのアゾ化合物などが挙げられる。上記重合開始剤
の使用量は、上記単量体混合物100重量部に対し、
0.05〜4重量部が好ましく、0.08〜3重量部が
より好ましい。重合開始剤の使用量が0.05重量部未
満になると、重合反応が不十分となったり、重合に長時
間を要することがあり、4重量部を越えると、急激な反
応の進行により、凝集物が発生することがある。
【0022】さらに、上記重合時には、必要に応じて、
公知の添加剤を添加してもよい。これらの添加剤として
は、例えば、重合体を大孔径の多孔質体とするための多
孔質化剤(相分離剤)、連鎖移動剤、pH調節剤及び比
重調節剤などが用いられる。
【0023】上記多孔質化剤としては、例えば、イソア
ミルアルコールやオクタノール等のアルコール類やヘキ
サンなどの脂肪族系炭化水素、キシレンやトルエンなど
の芳香族系炭化水素等が用いられる。
【0024】上記素材を用いた懸濁重合の反応条件は、
用いる単量体や重合開始剤によっても異なるが、重合温
度は、20〜100℃で、0.5〜50時間反応させる
ことが好ましい。重合後、得られた架橋重合体は、洗浄
して乾燥することにより本発明の吸着剤が得られる。洗
浄には、水及び/又は有機溶媒が用いられ、通常、複数
回洗浄する必要がある。また好ましくは複数種の有機溶
媒で複数回洗浄する。洗浄に使用する有機溶媒は、用い
た単量体によっても異なるが、例えば、メタノール、エ
タノールなどのアルコール類;アセトンなどの公知の有
機溶媒が用いられる。
【0025】また、本発明の吸着剤は、上記単量体混合
物から共重合された共重合体を原料として、公知の成形
方法、例えば、射出成形法、押出成形法又は、ブロー成
形法などによっても調製することができる。
【0026】(4)吸着剤の物性 本発明の吸着剤に用いられる架橋重合体の形状は、特に
制限されず、例えば、粒子状、繊維状、フィルタ状等、
液体または気体である試料と接触することのできる形状
であればよいが、特に粒子状であるのが好ましい。ま
た、その多孔性構造についても制限はなく、使用環境下
で形状が維持される強度を有する程度の多孔性であれ
ば、ミクロポア構造であってもよいし、マクロポア構造
であってもよい。また、発泡体であってもよい。また本
発明の吸着剤の大きさは、特に限定されるものではな
く、使用時の条件により適宜選択されるものであるが、
粒子状である場合、平均粒径0.1μm〜50mmであ
るのが好ましく、1μm〜20mmであることがより好
ましい。これらの範囲を逸脱する場合は、測定時や排水
処理時あるいは排気処理時の作業がしにくくなる。特
に、本発明の吸着剤を疎水性物質測定の前処理に用いる
場合には、その平均粒径が1〜500μmが好ましく、
10〜300μmがより好ましい。また、大量試料中か
らの疎水性物質の除去に用いる場合には、100μm〜
50mmが好ましく、500μm〜20mmがより好ま
しい。本発明の吸着剤の密度は、0.5〜3.0が好ま
しく、0.7〜2.0がより好ましい。この範囲を逸脱
すると、使用時の取り扱い性、特に大量試料処理時の取
り扱い性が低下する。さらに上記吸着剤は、特殊な事情
において、上記単量体混合物の共重合物が表面層を形成
する被覆構造体であってもよい。その場合、被覆される
コア部分の素材に特に制限はなく、使用環境下で形状が
保持される程度の強度を有する物質で形成され、かつ外
部に疎水性物質の溶出がない物質で構成される必要があ
る。被覆構造体とされた場合の吸着剤においても、その
形状は特に制限されず、粒子状、繊維状、フィルタ状な
ど、試料である液体や気体と接触できる形状であればよ
い。
【0027】(5)疎水性物質 本発明でいう「疎水性物質」は、試料である液体又は気
体に含まれる疎水性物質の内、水への溶解度が10g/
L以下、特に1g/L以下の物質をいう。これらの疎水
性物質には、例えばホルモン様作用物質、多環芳香族炭
化水素類、揮発性有機化合物が含まれる。ホルモン様作
用物質には、生物由来又は合成のステロイドホルモン
類、および生体内においてホルモン類似作用を発現する
と報告されている物質またはホルモン類似作用が疑われ
る物質であり、いわゆる内分泌攪乱化学物質と呼ばれる
物質も含まれる。ホルモン様作用物質としては、例え
ば、コプラナーPCB及び臭素化ダイオキシンを含むダ
イオキシン類;ポリ塩化ビフェニール類;4−t−ブチ
ルフェノール、4−n−ヘプチルフェノール、ノニルフ
ェノール、4−t−オクチルフェノールなどのアルキル
フェノール類;ビスフェノールA;2,4−ジクロロフ
ェノール;フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチル
ベンジル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸
ジヘプチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジエチ
ル、フタル酸ジメチルなどのフタル酸エステル類;アジ
ピン酸ジ−2−エチルヘキシル;ベンゾ(a)ピレン、
ベンゾフェノン、4−ニトロトルエン、スチレン、スチ
レン2量体、スチレン3量体などの芳香族化合物;エス
トラジオール、エストロン、エストリオールなどのエス
トロジェン類;DDTなどの農薬類などが挙げられる。
また、多環芳香族炭化水素類としては、公知の多環芳香
族炭化水素の全てを含み、例えば、ピレン、ベンゾ
(a)ピレン、ベンゾアントラセン、メチルコラントレ
ン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、ベン
ゾフルオランテン、1−ピレノール;ベンゾチオフェ
ン、ジベンゾチオフェン等の含硫炭化水素類;ナフタレ
ンジニトロピレン、ニトロピレン等のニトロ化炭化水素
類等が挙げられる。揮発性有機化合物としては、例え
ば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、2,2,
4−トリメチルペンタン、ブタジエン等の脂肪族炭化水
素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、1,3,5−トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水
素類;α―ピネン、リモネン等のテルペン類;トリクロ
ロエチレン、テトラクロロエチレン、トリクロロメタ
ン、1,1,1−トリクロロエタン、1,2−ジクロロ
エタン、1,2−ジクロロプロパン、テトラクロロメタ
ン等のハロゲン化物;酢酸ブチル等のエステル類等が挙
げられ、本発明の吸着剤ではこれらの疎水性物質を吸着
対象とすることもできる。
【0028】本発明の吸着剤は、これらの中でも、特に
ベンゼン骨格を有する化合物の吸着において、好適に用
いられる。具体的には、例えば、ダイオキシン類;ポリ
塩化ビフェニール類;フタル酸エステル類;エストロジ
ェン類;アルキルフェノール類などの内分泌攪乱化学物
質;ベンズピレン、アントラセンなどの多環芳香族化合
物;トルエン、ニトロトルエン、キシレン、ベンゼン、
スチレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。ま
た、その他にも、ヘキサン、デカン、ブタジエンなどの
脂肪族炭化水素類;ジクロロメタン、トリクロロエチレ
ン、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン
化炭化水素類などの吸着にも好適に用いられる。
【0029】(6)疎水性物質吸着剤の使用形態 本発明の吸着剤は、疎水性物質、特にホルモン様作用物
質、多環芳香族炭化水素類又は揮発性有機化合物を効率
よく吸着し、かつ容易に脱着する吸着剤である。従っ
て、疎水性物質を吸着させる工程を含む全ての用途に有
益に用いることができる。例えば固相抽出用の吸着剤と
して、疎水性物質の測定の前処理に用いたり、又は環境
浄化用の吸着剤として、試料中の疎水性物質を除去する
のに好適に用いることができる。但し、これらの用途の
みに限定されるものではない。
【0030】(7)吸着対象試料の形態 本発明の吸着剤が吸着対象とする、上記疎水性物質を含
む試料の形態は、特に制限がなく、液体、気体又は固体
からの抽出物など、いずれであってもよい。
【0031】
【作用】本発明の疎水性物質吸着剤に用いられる架橋重
合体は、疎水性単量体20〜70モル%と親水性単量体
30〜80モル%とを構成成分とする架橋重合体である
ので、脱着能向上のための親水性を維持するために親水
性単量体が適度の割合で用いられ、一方、吸着剤の吸着
性向上のための疎水性を維持するために疎水性単量体が
適度の割合で用いられている。従って、疎水性物質を高
効率に吸着し、かつ容易に脱着する吸着剤となる。ま
た、架橋重合体なので機械的強度も有している。
【0032】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示す。 (吸着剤の調製) (実施例1)トリエチレングリコールジメタクリレート
(疎水性架橋性単量体)200g及びノナエチレングリ
コールジメタクリレート(親水性架橋性単量体)200
gに、過酸化ベンゾイル(重合開始剤:キシダ化学社
製)1.5gを溶解した。得られた単量体混合液を4重
量%ポリビニルアルコール水溶液2500mLに撹拌し
ながら分散させ、窒素雰囲気下で80℃に昇温した。8
0℃で12時間重合反応した後、内容物をイオン交換水
で3回、アセトンで1回洗浄した。洗浄後乾燥して吸着
剤を得た。
【0033】(実施例2)エチレングリコールジメタク
リレート(疎水性架橋性単量体)100g、テトラメチ
ロールメタントリアクリレート(疎水性架橋性単量体)
100g、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(親水性単量体)200gの混合物に、トルエン250
g及び過酸化ベンゾイル(重合開始剤:キシダ化学社
製)1.5gを溶解した。その後、実施例1と同様に操
作して吸着剤を得た。
【0034】(実施例3)実施例1における単量体の代
わりに、ジビニルベンゼン(疎水性架橋性単量体)20
0g及びグリシジルメタクリレート(親水性単量体)2
00gを単量体として用いたこと以外は、実施例1と同
様に操作して吸着剤を得た。
【0035】(実施例4)実施例3におけるグリシジル
メタクリレート(親水性単量体)200gの代わりに、
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(親水性単量体)
200gを用いたこと以外は、実施例3と同様に操作し
て吸着剤を得た。
【0036】(実施例5)ジビニルベンゼン(疎水性架
橋性単量体)150g及びN−ビニル−2−ピロリドン
(親水性単量体)200gをトルエン250gに溶解し
た。この溶解液に、過酸化ベンゾイル(重合開始剤:キ
シダ化学社製)1.0gを溶解し、これを4重量%ポリ
ビニルアルコール水溶液2500mLに撹拌しながら分
散させ、窒素雰囲気下で80℃に昇温した。80℃で2
4時間重合反応した後、内容物をイオン交換水で3回、
アセトンで1回、エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾
燥して吸着剤を得た。
【0037】(実施例6)実施例5におけるジビニルベ
ンゼン(疎水性架橋性単量体)150gの代わりに、ト
リエチレングリコールジメタクリレート(疎水性架橋性
単量体)150gを用いたこと以外は、実施例5と同様
に操作して吸着剤を得た。
【0038】(比較例1)ジビニルベンゼン(疎水性架
橋性単量体)200g及びスチレン(疎水性非架橋性単
量体)200gに、過酸化ベンゾイル(重合開始剤:キ
シダ化学社製)1.5gを溶解した。得られた単量体混
合液を4重量%ポリビニルアルコール水溶液2500m
Lに撹拌しながら分散させ、窒素雰囲気下で80℃に昇
温した。80℃で12時間重合反応した後、内容物をイ
オン交換水で3回、アセトンで1回洗浄した。洗浄後乾
燥して吸着剤を得た。
【0039】(比較例2)比較例1におけるスチレン
(疎水性非架橋性単量体)200gの代わりに、エチレ
ングリコールジメタクリレート(疎水性架橋性単量体)
200gを用いたこと以外は、比較例1と同様に操作し
て吸着剤を得た。
【0040】(比較例3)ジビニルベンゼン(疎水性架
橋性単量体)180g及びN−ビニル−2−ピロリドン
(親水性単量体)100gをトルエン250gに溶解し
た。この溶解液に、過酸化ベンゾイル(重合開始剤:キ
シダ化学社製)1.0gを溶解した。得られた単量体混
合液を4重量%ポリビニルアルコール水溶液2500m
Lに撹拌しながら分散させ、窒素雰囲気下で80℃に昇
温した。80℃で24時間重合反応した後、内容物をイ
オン交換水で3回、アセトンで1回、エタノールで4回
洗浄した。洗浄後乾燥して吸着剤を得た。
【0041】(性能評価)まず、上記実施例及び比較例
で得られた吸着剤について、元素分析又は熱分解ガスク
ロマトグラフィーにより分析し、親水性単量体の構成比
率を求めた。結果を表1に示した。
【0042】さらに、上記実施例及び比較例で得られた
吸着剤について、以下のようにして、疎水性物質の吸着
性能及び脱着性能を評価した。上記の各実施例および比
較例により得られた吸着剤0.1gを、ポリプロピレン
製カラム(容量3mL、ポリエチレン製フィルタ付き)
に充填した。このカラムにダイオキシン1pg−TEQ
/Lを含む試料1Lを通液し、吸着剤にダイオキシンを
吸着させた。通過した水溶液を回収し、公定法(日本工
業規格 K 0312)にてダイオキシン量を測定して
吸着率を求め結果を表1に示した。
【0043】また上記カラムに、テトラヒドロフラン1
0mLを通液して、吸着剤に吸着したダイオキシンを脱
着させた。カラムを通過した混合液を回収し、上記と同
様の方法でダイオキシン量を測定して脱着率を求め結果
を表1に示した。
【0044】
【表1】
【0045】この結果、実施例により得られた吸着剤
は、いずれも吸着率及び脱着率とも良好であり、試料中
のダイオキシンを高効率に回収した。一方、比較例の吸
着剤は脱着率が低く、試料中のダイオキシンを十分回収
できなかった。この傾向は脱着用溶媒を変更しても同様
であった。すなわち、従来技術である比較例の吸着剤
は、ダイオキシン類の測定などの前処理用吸着剤として
不適当であることがわかった。
【0046】
【発明の効果】本発明の吸着剤は、上述した構成よりな
るので、試料中の疎水性物質、特にホルモン様作用物
質、多環芳香族炭化水素類又は揮発性有機化合物を精度
よく吸着でき、さらに、いったん吸着された疎水性物質
は、有機溶媒等による洗浄操作により容易に脱着するこ
とが可能である。従って本発明の吸着剤は、低濃度の疎
水性物質、特にホルモン様作用物質、多環芳香族炭化水
素類もしくは揮発性有機化合物の測定、又はこれらの除
去に好適に使用することができる。特に、微量の疎水性
物質を試料から回収するための処理に好適に使用するこ
とができる。また、本発明の吸着剤は、高架橋度のため
機械的強度が大きく、大量処理あるいは繰り返し使用時
においても破損等が少なく簡単に取り扱える。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性単量体20〜70モル%と親水性
    単量体30〜80モル%とを構成成分とする架橋重合体
    よりなることを特徴とする疎水性物質吸着剤。
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