JP2011183287A - 有機ハロゲン化合物抽出用の高分子吸着剤及び有機ハロゲン化合物の抽出法 - Google Patents

有機ハロゲン化合物抽出用の高分子吸着剤及び有機ハロゲン化合物の抽出法 Download PDF

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Abstract

【課題】 食品や環境試料等に含まれる有機ハロゲン化合物の定性及び定量を行う化学分析法において、夾雑物質の影響を受けることなく、被検試料中に存在する有機ハロゲン化合物を効率よく抽出分離しうる選択性に優れた高分子吸着剤及び有機ハロゲン化合物の抽出方法を提供する。
【解決手段】 親水性の非芳香族系高分子基材にポリハロゲン化芳香族基を有する化合物を反応させて、疎水性相互作用、親水性相互作用及びロンドン分散力により、有機ハロゲン化合物の選択的かつ簡便に抽出分離を可能とする高分子吸着剤を製造すると共に、この高分子吸着剤を分析用のカラムに充填し、有機ハロゲン化合物を含む被検溶液を通液して有機ハロゲン化合物を抽出・濃縮させた後、高分子吸着剤と有機ハロゲン化合物間のロンドン分散力を低減する溶液で有機ハロゲン化合物を溶出させて機器分析に供する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、有機ハロゲン化合物の定性及び定量を行う化学分析及び分離分析において、環境や食品などの試料中から測定対象物である有機ハロゲン化合物を抽出分離し、非測定対象である夾雑物質を分離除去するための高分子吸着剤及び有機ハロゲン化合物の抽出法に関するものである。
現在、数万〜10万種類にも及ぶとされる化学物質が年間数億トンもの規模で生産されているが、これらによる環境汚染の発生や、人の健康、生態系への悪影響も懸念され、管理、監視体制のさらなる高度化が求められている。特に、塩素系農薬、PCB、ダイオキシン、臭素系難燃剤などの有機ハロゲン化合物は難分解性であり、残留性も高いため、POPs(Persistent Organic Pollutants:残留性有機汚染物質)と呼ばれている。このPOPsは、毒性も高く、環境中や生体内に蓄積しやすい上、大気によって長距離を移動しやすく汚染源よりはるかに離れた地域においても環境や人間の健康に悪影響を与えるとされている。一般に、環境中におけるこれらの化学物質の初期濃度は低いが、環境中において長期に渡り滞在している間に、固体物質の表面や、生体内濃縮などによって高濃度化し、生態系に大きな影響を与える。従って、例え低濃度であっても重大な問題を引き起こす原因となりうる。
このような有害性の高い有機ハロゲン化合物に対しては、ppb〜pptレベルの正確な測定が必要である。これらの化合物の高感度測定法としては、GC−MSやLC−MSなどを用いる機器分析手法が多くの公定試験法(例えば、非特許文献1ないし6)に採用されている。しかしながら、環境や食品中に存在する微量化合物の測定においては、多種多彩な夾雑物質の妨害により、信頼性のある結果を得ることが難しい。また、夾雑物質があたかも測定対象化合物のように振る舞い、誤検出や大きな正誤差を生じてしまう恐れもある。つまり、分析の成否は、高度に存在する夾雑物質を如何に分離・除去するかといった前処理に大きく依存している。そのため、これらの公定試験方法においても厳密な前処理法が規定されている。しかしながら、記載されている前処理法は工程が長く、かつ大変煩雑である。多種多彩な要求や、年々増加する検体数に対応するためには、前処理の高度化、省力化、迅速化が重要な課題である。
塩素や臭素を含有する有機ハロゲン化合物の抽出方法としては、有機溶媒を用いる液−液抽出法、固体の吸着剤を用いる固相抽出法が多用されている。液−液抽出法は、試料水と、水と混和しない有機溶媒(例えば、ヘキサン、ジクロロメタンなど)とを混合、接触させて、試料水中の目的物質を有機溶媒側に移行させる方法である。この方法によれば、抽出溶媒である有機溶媒に溶解する疎水性化合物を確実に抽出することが可能である。しかしながら、試料水の振とう操作が煩雑であり、また、多量の溶媒を必要とするため環境負荷も大きい。固相抽出法も、溶媒抽出法と同様に二相間での溶質の分配に基づくものであるが、固相抽出法では液相と不溶性の固相とにより構成され、被検成分の固相への親和力を利用して抽出が行われる。固相抽出法は優れた捕集効率と有機溶媒使用量が少ない環境配慮型である点が評価されて広く普及している。また、溶離液の強度を段階的に変化させることで、固相に抽出された成分を順次溶出させて分画・分離を行うことも可能である。固相抽出法は選択性や精製度などの点で溶媒抽出法と比較して優れており、多彩な目的に対する高い順応性を持っている。
疎水性化合物の固相抽出には、オクタデシル基結合シリカゲルやポリスチレンゲルなどの主に疎水性相互作用を利用した所謂逆相型固相抽出剤が主流となっている。これらの固相抽出剤は疎水性が明確であるため疎水性化合物の抽出に広く利用されてきたが、撥水性が強く水系試料からの広範囲な化合物の抽出に適してはいない。そこで、極性モノマーとジビニルベンゼンの共重合体が開発されている(特許文献1及び特許文献2)。特許文献1には、ジビニルベンゼンとメタクリレートとの共重合体を利用した固相抽出剤が開示されており、この固相抽出剤を用いることで試料溶液への塗れ性が改善され、極性基を有する農薬の抽出が可能であるとされている。また、特許文献2には、ジビニルベンゼンとN−ビニルピロリドンとの共重合体を利用した固相抽出剤に関して開示されており、この固相抽出剤を用いることで極性〜疎水性化合物を一斉に抽出可能であるとされている。これらの固相抽出剤とGC−MSまたはLC−MSとの融合により多成分一斉分析が達成されている。これらの固相抽出剤は多くの試料に適用可能であり、このような極性基を混在させた複合型の固相抽出剤が現在の主流となっている。
一般に、有機ハロゲン化合物は芳香環を持ち疎水性も明確であるため、上記固相抽出剤により抽出することが可能である。しかしながら、これらにおける抽出機構は主に疎水性相互作用に頼っているため、測定対象以外の多種多彩な疎水性化合物も抽出されてしまい、有機ハロゲン化合物に対して選択性の高い抽出を行うことはできない。また、これらの固相抽出剤は芳香環に基づく疎水性が強いため、脱離性が悪く、分画精度が悪い、回収率が低いなどの問題がある。さらに、これらはスチレン又はジビニルベンゼンを主成分としており、また多孔性を持たせるための細孔調節剤にも芳香族系化合物が用いられているため、測定対象化合物と類似の構造をもつ芳香族化合物が固相抽出剤から溶出してくるという問題もある。
ここで、固相抽出剤の芳香環にハロゲン基を導入して固相抽出剤のロンドン分散力を高めれば、有機ハロゲン化合物に対する選択性を向上させることができるものと考えられる。特許文献3には、ポリスチレン系共重合体を塩素化した固相抽出剤に関する開示がある。このような固相抽出剤を用いることで有機ハロゲン化合物に対する選択性を改善させることが可能であると考えられる。しかしながら、この開示に基づく固相抽出剤は、ポリスチレンゲルをベースとするため、前述の測定対象化合物に類似した化合物の溶出に関しては改善されていない。
固相抽出剤自身からの妨害物質の溶出に関する問題の対策としては、固相抽出剤の洗浄により対処することが可能であるとされている。非特許文献7には、疎水性の高い汚染物質のサンプリングに用いるポリスチレンゲルのソクスレー抽出法を用いた洗浄方法が記載されている。この方法によりかなりの妨害物質を除去することが可能ではあると考えられるが、完全に除去することは不可能であるため、微量化合物の測定においては測定の妨害化合物の溶出の問題は解消することはできない。また、ソクスレー抽出法は専用の装置が必要であり、かつ長時間を有する煩雑な方法である。妨害物質の溶出に関する問題の他の対策としては、非ポリスチレン系の固相抽出剤を用いるという手段がある。特許文献4及び特許文献5にメタクリレート系共重合体を用いた疎水性化合物の固相抽出剤に関する開示がある。これらの開示においては疎水性モノマーとしてアルキレンジメタクリレートなどを用いた共重合により固相抽出剤を合成しているため、有機ハロゲン化合物の妨害となる芳香族化合物の溶出はない。また、これらの特許文献において疎水性モノマーとして記述されているものは本質的な疎水性が低いため、捕捉した疎水性化合物の溶離性・脱離性は良好である。一方で、本質的な疎水性が低いということは、疎水性化合物を効率よく抽出できないということを意味している。さらに、これらのメタクリレート系モノマーでは有機ハロゲン化合物に対しての選択性は高くなく、効率よく抽出ができるとはいえない。
上述のように、既存の固相抽出技術においては、有機ハロゲン化合物に対する選択性が乏しく、溶離性・脱離性が悪く、主な測定対象である芳香族系の有機ハロゲン化合物の妨害成分が固相抽出剤から溶出するという問題があり、前処理及び分離の高精度化、簡便化を行うためにはこれらの課題を解決する必要がある。
特開平6−258203号公報 特許公表2000−514704号公報 特開2004−337842号公報 特開2002−361082号公報 特開2002−60404号公報
日本工業規格 JIS K 0128 用水・排水中の農薬試験方法 日本工業規格 JIS K 0093 工業用水・工場排水中のポリクロロビフェニル(PCB)試験方法 日本工業規格 JIS K 0312 工業用水・工場排水中のダイオキシン類の測定方法 厚生労働省、食安発第0124001号、平成17年1月24日付通知 厚生労働省、食安発第1129002号、平成17年11月29日付通知 厚生省、衛化第43号、平成9年4月8日付通知 Environmental Protection Agency,EPA METOD 0010,MODIFIED METHOD 5 SAMPLING TRAIN (1986)
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたもので、試料中の有機ハロゲン化合物の化学分析及び分離分析において使用される、有機ハロゲン化合物の抽出分離に好適な高分子吸着剤(分離剤・固相抽出剤)を提供することを目的とする。
本発明の発明者が鋭意研究を行った結果、有機ハロゲン化合物との疎水性相互作用、親水性相互作用及びロンドン分散力に基づいて抽出機能を発現する官能基としてポリハロゲン化芳香族基を有する化合物を、親水性の非芳香族系高分子基材に結合させた高分子吸着剤を用いることにより、吸着剤からの芳香族化合物の溶出がなく、有機ハロゲン化合物を選択的に抽出できることを見いだした。
本発明において、有機ハロゲン化合物に対して選択性を示す官能基は、2個以上の塩素または臭素原子を芳香環内に有する芳香族誘導体と親水性の非芳香族系高分子基材との反応によって導入される。
本発明において、親水性の非芳香族系高分子基材との反応に用いられる塩素または臭素原子を有する芳香族誘導体は、芳香環に極性基を有する化合物である。
本発明において、親水性の非芳香族系高分子基材との反応に用いられる塩素または臭素原子を有する芳香族誘導体は、極性基として水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基、ピリジル基のいずれかを有し、芳香環内に2個以上の塩素または臭素原子を有する一環または二環の芳香族誘導体である。
本発明においては、水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基、ピリジル基のいずれかと反応することが可能な官能基を有する反応性モノマーと架橋性モノマーとの共重合反応により得られる親水性の非芳香族系共重合体、または、水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基、ピリジル基のいずれかと反応可能な官能基を導入可能な親水性の非芳香族系共重合体が基材樹脂として用いられる。
本発明において製造される有機ハロゲン化合物の抽出分離用高分子吸着剤は、分析用のカラムに充填され、有機ハロゲン化合物の抽出に使用される。すなわち、該有機ハロゲン化合物の抽出分離用高分子吸着剤が充填された小容量のカラムに有機ハロゲン化合物を含む被検溶液を通液して、有機ハロゲン化合物を該高分子吸着剤に抽出・濃縮させた後、極性有機溶媒を含む溶液で該高分子吸着剤を洗浄し、その後該高分子吸着剤と有機ハロゲン化合物間のロンドン分散力を低減する溶液で有機ハロゲン化合物を該高分子吸着剤から溶出させた後、適切な機器分析手法により有機ハロゲン化合物の測定を行う。
本発明によれば、ポリハロゲン化芳香族基を、親水性の非芳香族系高分子基材に化学的に導入することにより、有機ハロゲン化合物に対して高い選択性を示し、かつ有機ハロゲン化合物の測定の妨害となる芳香族化合物の溶出のない有機ハロゲン化合物の抽出分離に有効な高分子吸着剤を得ることが可能となる。本発明の高分子吸着剤は、環境や食品などの試料中の有機ハロゲン化合物を選択的に抽出することが可能であると共に、非ハロゲン系化合物との分離も容易となる。本発明の高分子吸着剤は、環境や食品などの試料中の有機ハロゲン化合物の前処理用の固相抽出剤の他、分画用分離剤及び高速液体クロマトグラフィー用分離剤としても好適な高分子吸着剤となる。
図1は、本発明の高分子吸着剤を固相抽出法に用いる場合のシリンジ型固相抽出カートリッジの一例である。 図2は、本発明の高分子吸着剤を固相抽出法に用いる場合のルアー型固相抽出カートリッジの一例である。 図3は、本発明の高分子吸着剤を固相抽出法に用いる場合の固相抽出手順を示したものである。 図4は、本発明のハロゲン化芳香族基結合高分子吸着剤E、比較例1の高分子吸着剤J、及び比較例2の高分子吸着剤Kのアセトニトリル抽出液の紫外吸収スペクトルを比較したものである。
本発明では、有機ハロゲン化合物に対する抽出機能を発現する官能基として、ロンドン分散力を明確に発現するポリハロゲン化芳香族基が親水性の非芳香族系高分子基材に結合された、芳香族化合物の溶出のない、有機ハロゲン化合物の抽出分離に適した高分子吸着剤を製造する。
本発明においては、一環または二環の芳香環に2個以上の塩素または臭素原子が導入されたポリハロゲン化芳香族化合物を親水性の非芳香族系高分子基材に反応させることにより、有機ハロゲン化合物に対して抽出機能を発現する官能基を導入し、有機ハロゲン化合物の抽出分離用高分子吸着剤とすることができる。
本発明において、有機ハロゲン化合物に対する抽出機能を発現する官能基を導入するためのポリハロゲン化芳香族化合物は、極性基として水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基、ピリジル基のいずれかを有し、芳香環内に2個以上の塩素または臭素原子を有する一環または二環のポリハロゲン化芳香族誘導体である。
上記、ポリハロゲン化芳香族化合物の内、一環の、水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基を有する化合物としては、下記式(1)に示すような構造の化合物を用いることができる。下記式(1)において、−Rは親水性の非芳香族系高分子基材に結合する官能基で、フェノール性水酸基、ヒドロキシアルキル基、アルキルアルデヒド基、アルキルクロリド基、アルキルアミノ基、チオール基、アルキルチオール基、酸無水物基、酸クロリド基、スルホニルクロリド基、グリシジル基である。これらの官能基を持つポリハロゲン化芳香族化合物を親水性の非芳香族系基材に結合させることで、親水性の非芳香族系高分子基材との結合部位に極性基が生成され、親水性相互作用を発現する。このような化合物の例としては、フェノール、クレゾール、アミノフェノール、ベンジルアルコール、アミノベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド、ベンジルアミン、フェネチルアミン、チオフェノール、フタル酸無水物、ベンゾイルクロリド、ベンゾイルブロミド、ベンゼンスルホニルクロリド、フェニルグリシジルエーテルなどの骨格を有するポリハロゲン化芳香族化合物などがあげられる。
Figure 2011183287
上記式(1)において、−Rは、親水性の非芳香族系高分子基材と結合する官能基、−Rは、−H、−CH、−NH、−COOHまたは−OH、−Xは、塩素または臭素原子である。また、n及びmは正の整数で、n=2〜5、m=5−nである。
また、本発明においては抽出の選択性を改善するために、前記式(1)の−Rで示す親水性の非芳香族系高分子基材に結合する官能基の他に、−Rで示す官能基を有するポリハロゲン化芳香族化合物も使用することが可能である。例えば、−NHまたは−COOHを有する化合物を用いることによりイオン交換性を付与することが可能であり、−NHまたは−OHを有する化合物を用いることにより水素結合性を付与することが可能である。これらの官能基は、抽出対象の特性に応じて適宜選択すれば良く、これらの機能を付与させる必要がない場合には、−Rが−Hまたは−CHであるポリハロゲン化芳香族化合物を選択することができる。
また、ピリジル基を有するポリハロゲン化芳香族化合物を官能基導入反応に用いる場合、ピリジン環の窒素原子を介して親水性の非芳香族系高分子基材に導入されるため、下記式(2)に示すような四級アンモニウム構造で導入され、正電荷を有する官能基となる。つまり、陰イオン交換相互作用を併せて発現させることが可能となり、陰イオン性を有する有機ハロゲン化合物の吸着性を向上させることとなる。このような化合物の例としては、メチルピリジン、ヒドロキシピリジン、アミノピリジン、ピリジンアルキルアルコールなどの骨格を有する化合物を用いることができる。また、ピリダジン、ピリミジンまたはピラジンの同様なポリハロゲン化誘導体も利用することができる。
Figure 2011183287
上記式(2)において、−Rは、−H、−CH、−NH、−COOHまたは−OH、−Xは、塩素または臭素原子である。また、n及びmは正の整数で、n=2〜5、m=5−nである。
さらに、ビリジル基と共に、芳香環内に親水性の非芳香族系高分子基材と反応することが可能な官能基を併せ持つポリハロゲン化芳香族化合物も利用可能である。例えば、フェノール性水酸基、ヒドロキシアルキル基、アルキルアルデヒド基、アルキルアミノ基、チオール基、アルキルチオール基、酸無水物基、酸クロリド基、スルホニルクロリド基を有する化合物であれば、これらの官能基を介して親水性の非芳香族系高分子基材に導入することができる。ビリジル基での副反応も生じる可能性があるが、上記式(2)に示すような四級アンモニウム構造の生成は大幅に抑えられる。
本発明においては、下記式(3)に示される芳香環内に2〜7個の塩素または臭素原子を有する二環の芳香族誘導体構造のポリハロゲン化芳香族化合物も用いることができる。下記式(3)において、−Rは親水性の非芳香族系高分子基材に結合する官能基であり、フェノール性水酸基、ヒドロキシアルキル基、アルキルアルデヒド基、アルキルクロリド基、アルキルアミノ基、チオール基、アルキルチオール基、酸無水物基、酸クロリド基、スルホニルクロリド基、グリシジル基である。これらの官能基を持つポリハロゲン化芳香族化合物を親水性の非芳香族系基材に結合させることで、親水性の非芳香族系高分子基材との結合部位に極性基が生成され、親水性相互作用を発現する。このような化合物の例としては、ハロゲン基を芳香環内に2〜5個を有する種々のナフタレン誘導体、すなわち、ナフトール、ナフタレンメタノール、ナフタレンジメタノール、アミノナフトール、アミノナフタレンメタノール、ナフトアルデヒド、ナフタレンジカルブアルデヒド、ナフチルメチルアミン、ナフタレンチオール、ナフタレンメタンチオール、ナフタレンジカルボン酸無水物、ナフトリルクロリド、ナフタレンスルホニルクロリド、ナフチルグリシジルエーテルなどの骨格を有するポリハロゲン化芳香族化合物があげられる。また、種々のポリハロゲン化ビフェニル誘導体、ポリハロゲン化ジフェニルエーテル誘導体、ポリハロゲン化ビスフェノールA誘導体なども利用することが可能であるが、化合物の毒性や入手の容易さを考慮すると、ナフタレン誘導体を利用するほうが好ましい。これらの化合物は、吸着対象となる有機ハロゲン化合物の構造や疎水性、親水基やイオン性基の有無などにより適宜選択する。親水性の非芳香族系高分子基材と反応するこれらの官能基中のアルキル基の長さに関しては特に規定はしないが、鎖長が長すぎると親水性の非芳香族系高分子基材への導入率が低下すると共に、親水性の非芳香族系高分子吸着剤の疎水性が向上して有機ハロゲン化合物と夾雑する疎水性化合物との分離能・選択性が低下するため、炭素数で4以下であることが好ましい。
Figure 2011183287
上記式(3)において、−Rは、親水性の高分子基材と結合する官能基、−R及びRは、−H、−CH、−NH、−COOHまたは−OH、−X及びXは、塩素または臭素原子である。
また、n1、n2、m1及びm2は正の整数で、n1+n2=2〜7、m1+m2=7−(n1+n2) である。
また、本発明においては、ピリジル基を有し、芳香環内に2個以上の塩素または臭素原子を有するキノリン誘導体、またはフタラジン、キナゾリン、キノキサリンなどのアザナフタレン類の誘導体も使用することができる。これらの化合物をピリジン環の窒素原子を介して親水性の非芳香族系高分子基材に導入する場合、下記式(4)に示すような四級アンモニウム構造で導入されるため、正電荷を有する官能基となる。このような化合物の例としては、メチルキノリン、ヒドロキシキノリン、アミノキノリン、キノリンアルキルアルコールなどの骨格を有する化合物を用いることができる。また、フタラジン、キナゾリン、キノキサリンなどのアザナフタレン類の同様なポリハロゲン化誘導体も利用することができる。
Figure 2011183287
上記式(4)において、−R及びRは、−H、−CH、−NH、−COOHまたは−OH、−X及びXは、塩素または臭素原子である。
また、n1、n2、m1及びm2は正の整数で、n1+n2=2〜7、m1+m2=7−(n1+n2) である。
ビリジル基と共に、親水性の高分子基材と反応することが可能な官能基を併せ持つ化合物も利用可能である。例えば、フェノール性水酸基、ヒドロキシアルキル基、アルキルアルデヒド基、アルキルアミノ基、チオール基、アルキルチオール基、酸無水物基、酸クロリド基、スルホニルクロリド基を有する化合物であれば、これらの官能基を介して親水性の高分子基材に導入することができる。ビリジル基での副反応も生じる可能性があるが、上記式(4)に示すような四級アンモニウム構造の生成は大幅に抑えられる。
本発明においては、基材自身に基づく疎水性相互作用を低減し、かつ基材自身からの芳香族類似化合物の溶出を抑えるため、親水性の非芳香族系高分子基材が使用される。本発明において親水性の非芳香族系高分子基材を用いるもう一つの理由としては、親水性相互作用を加味した複合的抽出機構を発現させるためである。塩素系農薬などにおいてはポリハロゲン化芳香族基のほかに極性基を有しているため、基材樹脂に極性基を持たせることで、極性基を有するハロゲン化合物をロンドン分散力、π−π相互作用、疎水性相互作用及び親水性相互作用が複合化された抽出機構により吸着をさせることが可能となる。これにより、さらなる選択性の向上が期待できる。親水性の非芳香族系高分子基材としては、公知の方法により、非芳香族系の親水性のモノマーと非芳香族系の親水性架橋性のモノマーとの共重合などにより得ることが可能であるが、ハロゲン化芳香族基を化学的に結合させるため、反応性官能基を有する必要がある。このような反応性高分子基材は、親水性の反応性モノマーと親水性の架橋性モノマーとの共重合、または親水性の非芳香族系高分子基材に化学反応により反応性官能基を導入することにより得られる。前記ハロゲン化芳香族基を有する化合物の導入においては、水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基、ピリジル基のいずれかとの反応を利用する。従って、本発明においては、反応性官能基として、水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基、ピリジル基のいずれかと反応可能な官能基を有する親水性の非芳香族系高分子基材が用いられる。
水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基、ピリジル基のいずれかと反応可能な官能基を有する親水性の非芳香族系高分子基材の一つの形態は、水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基、ピリジル基のいずれかと反応可能な官能基を有する親水性のビニルモノマーと、2個以上のビニル基を有する親水性の架橋性モノマーとの共重合によって得られる架橋性高分子である。水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基、ピリジル基と反応する官能基を有する親水性のビニルモノマーの官能基としてはエポキシ基があげられる。また、水酸基、チオール基、アミノ基、ピリジル基と反応する官能基としてはハロゲン化アルキル基があげられる。さらに、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基と反応する官能基としてはアミノ基があげられる。エポキシ基を有する官能性モノマーとしては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートなどがあげられる。ハロゲン化アルキル基を有する反応性モノマーとしては、例えば、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−クロロエチルメタクリレート、2−クロロエチルアクリレートなどがあげられる。また、アミノ基を有する反応性モノマーとしては、2−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレートなどがあげられるが、エポキシ基を有する官能性モノマーまたはハロゲン化アルキル基を有する反応性モノマーと適切なアミンとの反応によりアミノ基を有するモノマーを得ることもできる。これらモノマーと共重合が可能なビニル基を2個以上有する親水性の架橋性モノマーとしては、エチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ネオペンチルグリコールトリメタクリレートなどの多官能メタクリレート系モノマー、この他、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレートなどのシアヌル酸骨格を持つ架橋性モノマーなどがあげられる。また、親水性の非芳香族系高分子基材の親水性や水素結合性などの物性を改善するために、第三のビニルモノマーを添加することも可能である。物性改善のためのビニルモノマーとしては、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、モルホリノアクリルアミドなどのアクリルアミド系モノマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセリンメタクリレート、ネオペンチルグリコールメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレートなどのメタクリレートモノマー、さらにはN−ビニルピロリドンなどがあげられる。
本発明の親水性の非芳香族系高分子基材において、反応性官能基を有する親水性のビニルモノマーの量は、全ビニルモノマーに対して20〜80重量%、好ましくは30〜80重量%で用いる。また、十分な硬度を確保するためにビニル基を2個以上有する親水性の架橋性モノマーは少なくとも20重量%以上を用いる。また、親水性の非芳香族系高分子基材の親水性や水素結合性などの物性を改善するために添加される他のビニルモノマーは、0〜20重量%で用いるのが好ましい。
水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基、ピリジル基のいずれかと反応可能な官能基を有する親水性の非芳香族系高分子基材のもう一つの形態は、水酸基を多数有する親水性の非芳香族系担体に、水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基、ピリジル基のいずれかと反応可能な官能基を化学反応によって導入することにより得られる。水酸基を多数有する親水性の非芳香族系担体としては、ポリビニルアルコール系の架橋性樹脂、ヒドロキシメタクリレート系架橋性樹脂などの合成高分子系の非芳香族系担体、さらにはセルロース、デキストランなどの多糖類を原料とする天然高分子系の非芳香族系担体などを使用することができる。反応性官能基としては、前述のようにハロゲン化アルキル基、エポキシ基、アミノ基などがあげられる。エポキシ基は、親水性の非芳香族系高分子担体の水酸基に、エピクロロヒドリンやポリグリシジルエーテルを反応させることで導入することが可能である。親水性の非芳香族系高分子基材に導入されたエポキシ基は必要に応じてハロゲン化水素酸で処理することでハロゲン化アルキル基(クロロヒドリン基、ブロモヒドリン基など)に、アンモニアやアミンで処理することでアミノ基に変換することが可能である。また、水酸基を有する親水性の非芳香族系高分子担体をピリジン中で塩化チオニルと反応させることで水酸基を塩素化することが可能であり、このような方法によってハロゲン化アルキル基を導入しても良い。
本発明においては、高い抽出能力が要求されるため、十分な比表面積を有する多孔質の基材が必要となる。そのため、ビニルモノマーの共重合時に、ビニルモノマーと相溶性を持ちかつ重合反応に寄与しない細孔調節剤となる溶媒を存在させて共重合を行う。細孔調節剤は、使用するモノマーの物性により適宜選択されるものである。一般的に、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸ブチル、フタル酸ジメチルなどのエステル類、アミルアルコール、オクチルアルコールなどの難溶性アルコール類、オクタン、ドデカンなどのパラフィン類が使用される。しかしながら、本発明においては芳香族化合物の残留、固相抽出剤からの溶出をなくすため、非芳香族系の脂肪酸エステル類、難溶性アルコール類、パラフィン類を用いる。細孔調節剤の量は、重合性モノマー100重量部に対して30〜200重量部、好ましくは60〜150重量部の範囲で使用する。多孔質の親水性の非芳香族系高分子基材の細孔径、比表面積は吸着対象成分や共存成分の特性に応じて調整される。本発明においては、非膨潤時の細孔物性として、平均細孔径10〜50nm、比表面積10〜800m/gのものを用いるのが好ましい。
本発明において使用される親水性の非芳香族系高分子基材の粒子径は任意に設定することができるが、一般に、固相抽出用や分画用としては平均粒子径で20〜200μm、高速液体クロマトグラフィー用としては2〜20μmのものが用いられる。また、親水性の非芳香族系高分子基材の形状に関しては、不定形の破砕型であっても、球形であってもかまわない。流量特性や分離能を重視する場合には球状のほうが好ましく、この場合には、懸濁重合法により球状の共重合体を得るのが効率的である。
本発明において製造される有機ハロゲン化合物の抽出分離用高分子吸着剤は小容量の分析用のカラムに充填され有機ハロゲン化合物の抽出に使用される。すなわち、該有機ハロゲン化合物の抽出分離用高分子吸着剤を、例えば、図1または図2に示すような固相抽出カートリッジ(カラム)に充填して使用する。図1には、シリンジ型の固相抽出カートリッジ20を示す。高分子吸着剤10は、下部フリット40が挿入されている円筒状のエンプティカラムボディに充てんされ、上部フリット30を挿入して固定される。図2には、ルアー型の固相抽出カートリッジ50を示す。高分子吸着剤10は、下部フリット40が挿入されているエンプティカラムボディ51に充てんされ、上部フリット30を挿入した後、エンプティカラムキャップ52が挿入されて固定される。ここで、53が溶液の入口となる上部接続部、54が溶液の出口となる下部接続部である。
基本的な固相抽出手順の例を図3に示す。有機ハロゲン化合物の抽出分離用高分子吸着剤が充填済みの固相抽出カートリッジは、高分子吸着剤の洗浄及び充填ベッドの調整を兼ねて、極性有機溶媒、純水の順で通液して、コンディショニングを行う。被検試料は必要に応じてホモジナイズされ、適切な溶媒で予備抽出される。予備抽出液は、希釈、濃縮またはろ過された後、必要に応じて固相抽出に適するように液性調整や転溶される。本発明の高分子吸着剤は極性有機溶媒からでも有機ハロゲン化合物を抽出することが可能ではあるが、より確実な抽出を行うには水を含む溶媒で試料調整したほうが有効である。従って、極性有機溶媒で予備抽出した場合には、抽出液に適量の水を加えて液性調整を行うほうが好ましい。当然のことであるが、測定試料が水溶液の場合には、ろ過操作を行う程度で固相抽出カートリッジへの負荷溶液とすることができる。負荷溶液の固相抽出カートリッジへの負荷は、減圧吸引または加圧送液などにより行い、例えば、10〜50mL/minで固相抽出カートリッジに送液される。測定対象の有機ハロゲン化合物を吸着した高分子吸着剤には、試料溶液中の夾雑成分である他の疎水性有機化合物も抽出されているため、有機ハロゲン化合物が溶出しない溶媒で夾雑物質を洗い出す。有機ハロゲン化合物も極性有機溶媒に溶解するが、有機ハロゲン化合物は該高分子吸着剤上でロンドン分散力+疎水性相互作用(場合によっては、親水性相互作用も加味される)の複合作用によりを抽出されているため、例えば、水とメタノールとの混合溶液で洗浄すれば溶出することはない。高分子吸着剤の洗浄後、該高分子吸着剤に抽出された有機ハロゲン化合物を溶出させるが、複合的な抽出機構により高分子吸着剤に抽出されているため、一般に使用されるメタノールやアセトニトリルでは速やかに溶出させることは難しい。本発明においては、該高分子吸着剤に抽出された有機ハロゲン化合物の溶出には、該高分子吸着剤と有機ハロゲン化合物間のロンドン分散力を低減する溶液を用いて有機ハロゲン化合物を該高分子吸着剤から溶出させる。その後、測定を行う分析手法に適合するように、溶出液を希釈、濃縮、転溶などを行った後、有機ハロゲン化合物の測定を行う。
有機ハロゲン化合物を該高分子吸着剤から溶出させるための高分子吸着剤と有機ハロゲン化合物間のロンドン分散力を低減する溶液は、分散溶解パラメーターδを参考にして選定する。分散溶解パラメーターδは、−S−基、−C基l、−Br基、−I基を持つ芳香族化合物を溶かす溶媒であるかどうかの指標であり、分散溶解パラメーターδの値が大きい溶媒ほど本発明の高分子吸着剤に抽出された有機ハロゲン化合物を高分子吸着剤から引き離し、溶出させる効果を持つ。分散溶解パラメーターδは、日本分析化学会関東支部編、「高速液体クロマトグラフィーハンドブック、改訂2版」、p.179、丸善(平成12年)やL.R.Snyder,J.J.Kirkland著、小島次雄ほか訳、「高速液体クロマトグラフィー」、p.150、東京化学同人(1976年)などを参考に選択することができる。表1に主な溶媒の分散溶解パラメーターδをまとめた。表1に示すように、水、メタノール、アセトニトリルは分散溶解パラメーターδが低く、一方、塩素系溶媒や芳香族溶媒は高い値を示す。塩素系溶媒や芳香族溶媒を溶出溶媒に用いることが可能であるが、水系試料の場合には、吸着剤中に水が残存していることが多く、これらの水と混和しない溶媒を用いると吸着剤に十分浸透できないため、回収率が安定しないことが多い。そのような場合には、極性有機溶媒にアミノエタノール、ピリジン、フェノール、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、1,4−ジオキサンなどを添加した溶液を用いるのが好ましい。ここで、溶解パラメーターδは、溶媒の極性または強度を示し、δの大きな溶媒ほど極性化合物をよく溶解し、逆に、δの小さな溶媒ほど非極性化合物をよく溶解する。測定対象試料の吸着剤への親和性と、これらの値を考慮して適切な溶媒を選択する。例えば、有機ハロゲン化合物を該高分子吸着剤で抽出した後、水を添加したメタノールで該高分子吸着剤を洗浄し、その後、1,4−ジオキサンを添加した2−プロパノールで有機ハロゲン化合物を溶出させるといった手順で抽出操作を行う。
Figure 2011183287
本発明の有機ハロゲン化合物の抽出分離用高分子吸着剤は、上記のような固相抽出法による抽出分離以外にも、カラムクロマトグラフィーなどの分画用分離剤や、高速液体クロマトグラフィー用の分離剤などにも応用することが可能である。カラムクロマトグラフィーに用いる場合には、固相抽出用に使用する場合と同程度の粒子径を有する高分子吸着剤をガラス製のカラムなどに充填して使用する。分画する試料溶液をカラム上部に入れ、展開液に高分子吸着剤と有機ハロゲン化合物間のロンドン分散力を低減する溶媒が添加された極性有機溶媒を用いて目的成分の分離を行う。カラムからの溶出液を一定間隔(一定時間毎または一定容量毎)に分取して分画を行う。また、高速液体クロマトグラフィーに用いる場合には、平均粒子径が2〜20μmの高分子吸着剤を適切な内径と長さ、または内容積を有するエンプティカラムに高圧スラリー充填を行い使用する。移動相には、例えば、極性有機溶媒や水などの混合溶媒に、高分子吸着剤と有機ハロゲン化合物間のロンドン分散力を低減する溶媒を適宜添加して用いる。
以上のように、本発明の親水性の高分子基材にハロゲン化芳香族基を結合させた高分子吸着剤を用いることで、環境や食品試料中の有機ハロゲン化合物を選択的かつ簡便に抽出分離することが可能となる。次に実施例によって本発明を説明するが、この実施例によって本発明を何ら限定するものではない。
(実施例1) ハロゲン化芳香族基結合高分子吸着剤の合成
(1) 親水性の非ハロゲン系高分子基材の合成
親水性の高分子基材の合成は、公知の水系懸濁重合法を用いて行った。反応性のビニルモノマーとしてグリシジルメタクリレート(GMA)を、架橋性のビニルモノマーとしてエチレンジメタクリレート(EGDM)を用いた。細孔調節剤には酢酸ブチルを、重合開始剤には2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いた。モノマーと細孔調節剤の混合溶液に重合開始剤を溶解後、0.1%メチルセルロース水溶液1,000mL中に加え、攪拌機を用いて攪拌羽根を400rpmで回転させ、油層を分散した。その後、分散液(懸濁液)を加温し、80℃で6時間重合反応を行った。モノマー及び細孔調節剤の配合は表2に示す通りである。重合反応終了後、生成した共重合体粒子を濾取し、水、メタノールの順で洗浄した。一日風乾後、ふるいを用いて45〜90μmに分級を行い、親水性の非ハロゲン系高分子基材A〜Dを得た。これらの親水性の非ハロゲン系高分子基材の平均粒子径をBeckman Coulter Multisizer 3 Coulter Counterで測定した。また、比表面積と平均細孔径をBeckman Coulter SA3100 Surface Area Analyzerで測定した。これらの測定値を表3に示す。
Figure 2011183287
Figure 2011183287
(2) ポリハロゲン化芳香族基の導入
トリフェニルホスフィン10gと2,4−ジブロモフェノール19gとをキシレン180mLに溶解した溶液中に、上記(1)で得られた親水性の非ハロゲン系高分子基材A〜D 5gを分散させ、115℃に加温し、8時間反応させた。反応終了後、反応生成物をキシレン、アセトンで洗浄後、水に置換し、グラスフィルタでろ過した。過剰の水を除去後、0.05Mの硫酸50mL中に分散し、50℃で4時間加温し、残存するエポキシ基を開環した。開環反応終了後、過剰の硫酸が抜けて、ろ液が中性になるまで純水で洗浄し、メタノールに置換して過剰の水を取り除き、乾燥し、親水性の非ハロゲン系高分子基材A〜Dに対応するジブロモフェニル基を有する高分子吸着剤E〜Hを得た。
(比較例1) ジビニルベンゼン含有高分子吸着剤Jの合成
ジビニルベンゼン85g、グリシジルメタクリレート(GMA)15g、トルエン100gを用いて、実施例1の(1)に従って懸濁重合を行った。実施例1の(1)に従い、洗浄、分級、乾燥を行った。得られた粒子の平均粒子径は、42.3μm、平均細孔径は5.1nm、比表面積は476.5m/gであった。その後、20%のイソプロピルアルコールを含む0.05M硫酸中に分散し、50℃で4時間加温してエポキシ基を開環した。エポキシ開環後の処理は、実施例1の(2)に従い、ジビニルベンゼン含有高分子吸着剤Jを得た。
(比較例2) ジビニルベンゼン含有高分子吸着剤Kの合成
ジビニルベンゼン70g、グリシジルメタクリレート(GMA)30g、酢酸ブチル40g及びイソアミルアルコール60gを用いて、実施例1に従って懸濁重合を行った。実施例1の(1)に従い、洗浄、分級、乾燥を行った。得られた粒子の平均粒子径は、57.1μm、平均細孔径は14.2nm、比表面積は247m/gであった。その後、20%のイソプロピルアルコールを含む0.05M硫酸中に分散し、50℃で4時間加温してエポキシ基を開環した。エポキシ開環後の処理は、実施例1の(2)に従い、ジビニルベンゼン含有高分子吸着剤Kを得た。
(実施例2) 吸着剤からの溶出物測定
上記実施例1で得た本発明の高分子吸着剤Eと比較例1のジビニルベンゼン含有高分子吸着剤J及び比較例2のジビニルベンゼン含有高分子吸着剤Kを用いて、高分子吸着剤からの溶出物の測定を行った。各高分子吸着剤1gを秤量し、20mLメスフラスコに入れ、アセトニトリルを加えて20mLに定容した。メスフラスコを振って高分子吸着剤を均一に分散した後、超音波を10分間当てて有機物を抽出し、20分間放置した。上澄を孔径0.45μmのディスポーザブルフィルタでろ過し、ろ液を測定溶液とした。試料溶液を試料セルに、アセトニトリルを参照セルに入れ、紫外可視分光光度計を用いて210~360nmの吸収スペクトルを測定した。結果を図4に示す。図4で明白なように、比較例1のジビニルベンゼン含有高分子吸着剤J及び比較例2のジビニルベンゼン含有高分子吸着剤Kでは、240〜260nmに芳香環に基づく吸収が見られるが、本発明の実施例1で得た高分子吸着剤Eの抽出液のスペクトルでは全く検出されていない。このことから、本発明の高分子吸着剤から芳香環を有する化合物の溶出がないことが判る。
(実施例3) ハロゲン化合物の吸着特性比較
実施例1の高分子吸着剤H、比較例1の高分子吸着剤J、比較例2の高分子吸着剤K及びシリカゲルにオクタデシル基を挿入した市販固相抽出剤(C18と表記)を用いて、2,4,6−トリクロロフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールの吸着特性を調べた。各吸着剤0.1gを下部に孔径20μmのフィルタを挿入した注射筒型固相抽出カートリッジに充填し、さらに上部にも孔径20μmのフィルタを挿入した。この固相抽出カートリッジに、メタノール20mL、純水20mLを順に通液して、カートリッジのコンディショニングを行った。その後、トリクロロフェノールを水−メタノール水(9:1)で溶解した溶液(濃度:10ppm)10mLを通液し、トリクロロフェノールを各吸着剤に抽出させた。その後、純水10mLで洗浄後、イソプロピルアルコール(IPA、分散溶解パラメーターδ=7.2)及びジメチルスルホキシド(DMSO、分散溶解パラメーターδ=8.4)各10mLで各吸着剤に抽出されたトリクロロフェノールを溶出させた。試料通過液及び溶出液を、紫外可視分光光度計を用いて測定し、得られた吸光度と抽出処理を行わない被検試料標準溶液の吸光度から、各吸着剤における抽出回収率を求めた。比較として、トリメチルフェノールを同様の方法で抽出・回収し、抽出回収率を比較した。結果を表4に示す。本発明の吸着剤はトリクロロフェノールを抽出させた後にIPAを通液しても溶出することはなかったが、他の吸着剤はIPAの通液により容易に溶出してしまった。このことから明白なように、本発明の吸着剤は有機ハロゲン化合物に対して高い選択性を示すことが判る。IPA溶出後のカートリッジに、DMSOを通液することによりトリクロロフェノールのほとんどが溶出されていることから、分散溶解パラメーターδの高い溶媒を用いれば、吸着剤のロンドン力を低減させることが可能であると判断される。一方、トリメチルフェノールに関しては、全ての吸着剤においてIPA通液で溶出してしまった。このことから、本発明の吸着剤を用いることで、既存の吸着剤では困難な有機ハロゲン化合物と同様の骨格を持つ非ハロゲン化合物との分離が可能であると判断できる。
Figure 2011183287
(実施例4) 塩素系農薬の抽出
環境水中からの有機塩素系農薬の抽出を想定し、本発明の有機ハロゲン化合物抽出用高分子吸着剤Eへの塩素系農薬であるクロルピリホスの吸着特性を調べた。比較として、実施例3と同一の吸着剤を用いた。各吸着剤0.1gを、下部に孔径20μmのフィルタを挿入した注射筒型固相抽出カートリッジに充填し、さらに上部にも孔径20μmのフィルタを挿入した。この固相抽出カートリッジに、メタノール20mL、純水20mLを順に通液して、カートリッジのコンディショニングを行った。その後、クロルピリホスを水−メタノール水(9:1)で溶解した溶液(濃度:10ppm)10mLを通液し、クロルピリホスを各吸着剤で抽出した。試料負荷後、40%メタノール−水10mLで洗浄後、イソプロピルアルコール(IPA、分散溶解パラメーターδ=7.2) 10mLを用いて各吸着剤に抽出されたクロルピリホスを溶出させた。各溶出液を、紫外可視分光光度計を用いて測定し、得られた吸光度と抽出処理を行わない被検試料標準溶液の吸光度から、各吸着剤における抽出回収率を求めた。結果を表5に示す。クロルピリホスは極性も高く、極性有機溶媒で溶出しやすい成分であるが、本発明の高分子吸着剤Eでは、他の吸着剤のように洗浄液でも溶出することなく確実に抽出することができており、有機ハロゲン化合物に対して高い吸着剤を示すことが判った。
Figure 2011183287
(実施例5) ハロゲン化ピリジンを導入した高分子吸着剤L及びMの合成と吸着特性
実施例1の親水性の非ハロゲン系高分子基材B及びCに、実施例1の(2)と同様の方法で2,5−ジブロモピリジンを反応させ、ハロゲン化ピリジンを導入した高分子吸着剤L及びMを合成した。得られた各高分子吸着剤を用いて実施例3に従って固相抽出カートリッジを作成し、同様の抽出条件で2,4,6−トリクロロフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールの抽出特性を調べた。試料溶液は実施例3と同じとした。メタノールを洗浄液として用いたが、60%程度の溶出が確認された。このことから、実施例1の高分子吸着剤に比べて官能基導入量が低いものと判断された。そこで、洗浄液を40%メタノール−水に変更したところ、トリクロロフェノールの溶出はなかった。また、溶出液はイソプロピルアルコールとした。この条件により操作を行い、試料通過液、洗浄液及び溶出液を採取し、実施例3と同様に各吸着剤における抽出回収率を求めた。比較として、トリメチルフェノールを同様の方法で抽出・回収し、抽出回収率を比較した。評価結果を表6示す。上記条件ではトリクロロフェノールは洗浄液で溶出することなく、イソプロピルアルコールで定量的に回収された。一方、トリメチルフェノールは試料負荷時の通過液中にも検出され、さらに、洗浄液によりほぼ全てが溶出してしまった。これらの吸着剤は官能基導入量が低いものの、既存の吸着剤では困難な有機ハロゲン化合物と同様の骨格を持つ非ハロゲン化合物との分離が可能であると判断できる。
Figure 2011183287
本発明によれば、ハロゲン化芳香族基を非芳香族系の親水性高分子基材の表面に化学的に結合させるという簡便な方法で、複雑な夾雑物質を含む試料中の有機ハロゲン化合物を選択的かつ簡便に抽出分離することが可能である。本発明のロンドン分散力に基づく抽出機構を発現する高分子吸着剤を、固相抽出法や高速液体クロマトグラフィーに利用することで、有機ハロゲン化合物を高精度に定性・定量することが可能となる。これにより、従来から煩雑な前処理が必要であった有機ハロゲン化合物の前処理が簡略化されると共に、より信頼性の高い測定を行うことが可能となる。
10:高分子吸着剤
20:シリンジ型固相抽出カートリッジ(カラム)
30:上部フリット
40:下部フリット
50:ルアー型固相抽出カートリッジ(カラム)
51:エンプティカラムボディ
52:エンプティカラムキャップ
53:上部接続部
54:下部接続部

Claims (7)

  1. 有機ハロゲン化合物の抽出分離に用いる高分子吸着剤において、有機ハロゲン化合物との疎水性相互作用、親水性相互作用及びロンドン分散力に基づいて抽出機能を発現する官能基として、ポリハロゲン化芳香族基が親水性の非芳香族系高分子基材に結合されていることを特徴とする高分子吸着剤。
  2. 親水性の非芳香族系高分子基材にポリハロゲン化芳香族基を結合させるための化合物が、芳香環内に2個以上の塩素または臭素原子を有する芳香族誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の高分子吸着剤。
  3. 前記芳香族誘導体は、芳香環に極性基を有することを特徴とする請求項2に記載の有機ハロゲン化合物の抽出分離用高分子吸着剤。
  4. 前記芳香族誘導体は、前記極性基として水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基、ピリジル基のいずれかを有し、芳香環内に2個以上の塩素または臭素原子を有する一環または二環の芳香族誘導体であることを特徴とする請求項3に記載の高分子吸着剤。
  5. 前記親水性の非芳香族系高分子基材が、水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基、ピリジル基のいずれかと反応することが可能な反応性モノマーと架橋性モノマーとの共重合反応により得られる親水性の非芳香族系共重合体であることを特徴とする請求項4に記載の高分子吸着剤。
  6. 前記親水性の非芳香族系高分子基材が、水酸基、チオール基、アミノ基、酸クロリド基、酸無水物基、スルホニルクロリド基、グリシジル基、ピリジル基のいずれかと反応可能な官能基を導入可能な親水性の非芳香族系共重合体であることを特徴とする請求項4に記載の高分子吸着剤。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の高分子吸着剤を充てんした分析用のカラムに、有機ハロゲン化合物を含む被検溶液を通液して、有機ハロゲン化合物を抽出・濃縮させた後、極性有機溶媒を含む溶液で該高分子吸着剤を洗浄し、その後、該高分子吸着剤と有機ハロゲン化合物間のロンドン分散力を低減する溶液で有機ハロゲン化合物を該高分子吸着剤から溶出させることを特徴とする有機ハロゲン化合物の抽出法。
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