JP2002058999A - 疎水性物質吸着剤 - Google Patents

疎水性物質吸着剤

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JP2002058999A
JP2002058999A JP2001040362A JP2001040362A JP2002058999A JP 2002058999 A JP2002058999 A JP 2002058999A JP 2001040362 A JP2001040362 A JP 2001040362A JP 2001040362 A JP2001040362 A JP 2001040362A JP 2002058999 A JP2002058999 A JP 2002058999A
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acrylate
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monomer
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JP2001040362A
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Kazuyuki Oishi
和之 大石
Toshiki Kawabe
俊樹 川辺
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 疎水性物質、特にホルモン様作用物質、多環
芳香族炭化水素類や揮発性有機化合物を高効率に吸着
し、かつ容易に脱着し、さらにこれらの物質の溶出のな
い吸着剤を提供するものである。 【解決手段】 アクリル酸エステルである架橋性単量体
及び/又はメタクリル酸エステルである架橋性単量体を
重合して得られる架橋重合体よりなることを特徴とする
疎水性物質吸着剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料中の疎水性物
質を効率よく吸着できる吸着剤に関し、さらに詳細に
は、ホルモン様作用物質、多環芳香族炭化水素類や揮発
性有機化合物を特に良好に吸着できる吸着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】排水などを含む環境水や土壌、あるいは
大気といった環境試料中には様々な疎水性の有害物質が
含まれている。一般に大量の環境試料中における、これ
らの疎水性の有害物質の初期濃度は低い。ところが、環
境試料中に長期に渡って存在する間に、環境試料中の固
体物質の表面など拡散性の低い箇所や、生体内における
濃縮などによって高濃度化し、生態系に大きな影響を与
える。従って大量の環境試料中で低濃度状態であって
も、これらを放置することは重大な問題となる。
【0003】これらの疎水性の有害物質の内、環境中に
排出された生体由来の、あるいは合成されたステロイド
ホルモン類や化学物質の一部は、生体内に取り込まれる
とホルモン類似作用を示すものがある。これらの化学物
質は内分泌攪乱化学物質と呼ばれ、極めて微量であって
も動物の生殖機能等に悪影響を及ぼすことがわかってき
た。これらのステロイドホルモン類やホルモン様作用物
質類(以下、まとめてホルモン様作用物質という)は、
人為的な排出に由来する場合が多いため、排出処理過程
においてこれらの物質を効率よく除去する必要がある
【0004】一方、各種の産業過程で大量に使用され
る、トリクロロエチレン等の揮発性有機化合物は、発ガ
ン性の指摘される物質であるが、工場排水から地下水あ
るいは土壌に浸出し、汚染の原因とされている。これら
の揮発性有機化合物の中には、その防腐効果により建設
材料等にも使用されているものもあり、居住者への悪影
響が懸念されている。また、ベンゾピレン等の多環芳香
族炭化水素類は、家庭用あるいは産業用の各種燃焼装置
からの排気ガス、特に自動車排気に含まれる発ガン性の
指摘される物質で、環境大気中での高濃度での存在が問
題視されている。これらの物質についても、人体への直
接的な影響が重大であるため、その排出過程での除去、
環境中からの除去が必要である。
【0005】一般に、環境試料中に含まれる低濃度の各
種有害物質を効率よく除去する方法として、各種の高分
子担体を吸着剤として利用する技術が開示されている。
高分子担体としては、活性炭やゼオライトなどが汎用さ
れているが、これらの無機系吸着剤は、再生処理が困難
である、発火の危険性がある、コストが高いなどの欠点
が指摘されている。一方、合成高分子担体は上記の欠点
がない、優れた吸着剤である。環境水試料を対象とした
合成高分子系の吸着用担体として代表的なものにスチレ
ン系重合体が挙げられる。例えば、1)特開昭59−1
47606号公報には、架橋度、細孔容積、表面積を規
定したスチレン−ジビニルベンゼン重合体による、アル
コール類、有機酸類などの水溶性有機物質の吸着剤が開
示されている。また、2)特開平2−43948号公報
には、ジビニルベンゼンおよびスチレン系単量体を99
〜90重量%、水溶性単量体を1〜10重量%を重合し
て得られるスチレン系共重合体よりなる、水性液体中の
界面活性剤、色素、悪臭成分の吸着剤が開示されてい
る。
【0006】しかしながら、上記1)および2)は水溶
性物質の吸着を目的としたもので、疎水性物質の吸着に
ついては何ら触れられていない。またこれらのスチレン
系重合体は、その原料由来の芳香族化合物の混入が多
く、洗浄などにより完全に除去することが困難である。
残存した芳香族化合物は排水中に溶出してしまう恐れが
ある。またスチレン系重合体は疎水性が強いため、不可
逆的に疎水性物質を吸着する可能性がある。従って吸着
した疎水性物質を脱着させ、吸着剤を再利用することが
困難である。さらにスチレン系重合体は有機溶媒自体を
吸着しやすいため、有機溶媒によって吸着物質を脱着さ
せて、吸着剤を再利用することができない。さらに1)
は架橋度、細孔容積、表面積などの物性を正確に制御す
ることにより、その特異な性能を発揮できるとされてい
るが、これらの制御は重合条件の設定で行う必要があ
り、極めて煩雑である。また製造上における再現性が、
これらの物性を制御しない場合に比べて極めて低い。
【0007】一方スチレン系重合体以外の吸着用担体と
しては、アクリル系重合体が挙げられる。例えば、3)
特開平9−168737号公報では、ポリオキシアルキ
レン鎖を有する架橋重合体による界面活性剤の吸着用担
体が開示されている。しかし3)では架橋度が低いため
機械的強度が小さく、大量試料の処理あるいは繰り返し
使用が困難である。
【0008】また、4)特開平9−192653号公報
には、スチレン重合体の他に、メチル(メタ)アクリレ
ート重合体およびこれらの共重合体からなる塩素系有機
溶剤の吸着剤が開示されている。しかしこれらの重合体
は非架橋性重合体であるため、上記3)と同様機械的強
度に乏しく、大量試料の処理や繰り返し使用は困難であ
る。さらに、5)特開平6−312135号公報には、
(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする重合体より
なる、水溶性中高分子量物質の吸着用担体が開示されて
いる。しかし5)は、高架橋性であるため、機械的強度
は十分であると考えられるが、疎水性物質の吸着能につ
いては触れられていない。また5)はエネルギー線重合
により得られる重合体のため、未反応の単量体が残存す
る可能性がある。これらは洗浄によっても除去されにく
い。またホルモン様作用物質と類似の構造を含む単量体
および相分離剤を重合の原材料として使用しているた
め、得られた重合体からのホルモン様作用物質の溶出が
考えられ、これらの物質の除去の目的には使用できな
い。
【0009】一方、特に排気中の疎水性物質、特にホル
モン様作用物質を除去する技術としては、上記の従来技
術に加えて、例えばダイオキシン除去に関し、6)特開
平11−104488号公報には、活性炭粉末に吸着さ
せる方法、7)特開平10−151342号公報には、
珪酸化合物などの無機多孔質吸着材を用いる方法、8)
特開平10−249160号公報には、ゼオライトを主
成分とする吸着剤に吸着させる方法、9)特開平10−
328533号公報には、酸化チタン粉末に吸着させる
方法、10)特開2000−42361号公報には、活
性炭などの無機担体に親油性物質を付着させた吸着剤を
用いる方法などが開示されている。上記6)〜9)に用
いられる活性炭をはじめとする多孔性無機材料が、各種
物質を吸着することは古くから知られているが、これら
は吸着力の強さ故に吸着剤の再生処理、あるいは被吸着
物質の回収処理が困難であった。また上述のように、回
収処理時の高温処理や焼却処理時における発火の危険性
も指摘されている。また、活性炭、ゼオライト、酸化チ
タンといった無機物質は高価であり、さらに上述のよう
に再生処理が困難なため、処理コストがかさむ問題があ
った。また、上記10)は、ダイオキシン類の油性物質
への溶解度の高さを利用し、無機系担体に油性物質を付
着させることで、ダイオキシン類への吸着性能を高めて
いるが、該油性物質は担体に物理的に付着しているのみ
であるため脱着しやすく、吸着量が変化しやすい欠点が
ある。また担体が活性炭などの無機系担体であるため、
上記と同様の欠点を有する。
【0010】さらに、ホルモン様作用物質であるフタル
酸エステル類を大気中から吸着・除去する方法として
は、11)特開平10−249189号公報に、シアノ
アルキル基結合型材料を吸着剤とした方法が開示されて
いる。この11)は、液体クロマトグラフィー用充填剤
として用いられる無機系材料(シリカゲルなど)や合成
高分子材料(ポリエチレン、ポリスチレンなど)の基材
に、シアノアルキルシリル基を化学修飾させた吸着剤で
ある。しかし、11)においては、化学修飾の方法が記
載されていないが、一般的に化学修飾反応は定量性に劣
り、基材が被吸着物質と相互作用を起こし易い。また、
化学修飾には複雑な工程が必要である。
【0011】一方、環境中あるいは生体試料中のホルモ
ン様作用物質は、極微量の存在で内分泌攪乱作用を有す
ることが報告されているので、これらの物質の簡便で高
精度な測定法の確立が極めて重要である。現在ではガス
クロマトグラフィー(GC)法、液体クロマトグラフィ
ー(HPLC)法、あるいはこれらの方法とマススペク
トル(MS)分析法を組み合わせた方法、あるいは抗原
抗体反応に基づく免疫法などが開示されている。これら
の高精度分析法は、ほぼ同様の前処理法により測定試料
が調製される。この前処理は、混入物の非常に多い大
気、排気、環境水、環境物質からの抽出物あるいは血
液、尿、組織などの生体試料から、測定の妨害となる物
質を除去し、目的とする微量のホルモン様作用物質を効
率よく抽出・濃縮する目的で行われる。従って測定結果
は、この前処理操作に大きく影響を受ける。最も汎用さ
れている前処理方法として、固相抽出法がある。これは
高分子などの担体に試料を接触させ、測定目的の成分で
ある物質を担体に吸着させ、他の妨害成分は洗い流して
除去する。その後吸着した目的物質を別の溶媒で脱着さ
せて、上記の測定法に供する方法である。一般に固相抽
出に用いられる担体としては、12)LC GC,15
(2)152−158,1997に、スチレン−ジビニ
ルベンゼン系の担体や、2−ビニルピロリドン−ジビニ
ルベンゼン系の担体が、あるいは13)特開平6−25
8203号公報にジビニルベンゼンとアクリル酸エステ
ルの共重合体などが開示されている。
【0012】しかし12)の固相抽出用担体は、主に医
薬品、生体成分の抽出に有用であることが示されている
が、ホルモン様作用物質等の抽出例については触れられ
ていない。一方、13)の重合体は、農薬類等の抽出に
おいて用いられることが示されているが、農薬以外の物
質については触れられておらず、定量性や再現性に問題
があった。さらに、上記12)及び13)の担体では、
微量な物質の測定時に、測定の妨害となる成分を溶出し
てしまう問題があった。これは高分子担体の原材料とし
てベンゼン環含有化合物を使用していること、すなわち
スチレン系単量体を必須成分として含有することに由来
しており、洗浄操作などによっても極めて除去されにく
いという問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、環境中
あるいは生体試料中に存在する疎水性物質、特に微量の
ホルモン様作用物質、多環芳香族炭化水素類や揮発性有
機化合物を測定あるいは除去するためには、疎水性物質
を吸脱着でき、妨害となる成分の溶出のない吸着剤が必
要であるが、現在までにこれらの条件を満たす技術は開
示されていない。本発明は、上記問題点を解決すべく考
案されたものであり、疎水性物質、特にホルモン様作用
物質、多環芳香族炭化水素類や揮発性有機化合物を高効
率に吸着し、かつ容易に脱着し、さらにこれらの物質の
溶出のない吸着剤を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
アクリル酸エステルである架橋性単量体及び/又はメタ
クリル酸エステルである架橋性単量体を重合して得られ
る架橋重合体よりなることを特徴とする疎水性物質吸着
剤(以下、単に吸着剤ともいう)である。
【0015】請求項2記載の発明は、上記架橋性単量体
が、以下の一般式I〜III で表される架橋性単量体から
なる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴と
する請求項1に記載の疎水性物質吸着剤である。ただ
し、一般式I〜IIIにおいて、Aは(メタ)アクリロイル
基を、Xは炭素数1〜24のアルキル鎖、アルキレン鎖
若しくはオキシアルキレン鎖を示す。また、Xにおいて
は、その水素原子がメチル基若しくはヒドロキシル基で
置換されていてもよい。
【0016】
【化4】
【0017】
【化5】
【0018】
【化6】
【0019】請求項3記載の発明は、アクリル酸エステ
ル又はメタクリル酸エステルのうちの1種類の架橋性単
量体のみを重合して得られる架橋重合体、あるいはアク
リル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルのうち
の2種類以上の架橋性単量体を共重合して得られる架橋
重合体であって、共重合される架橋性単量体のうちの1
種類の単量体の割合が、全架橋性単量体のうちの90重
量%以上である架橋重合体よりなることを特徴とする請
求項1又は2に記載の疎水性物質吸着剤である。
【0020】請求項4記載の発明は、上記疎水性物質
が、ホルモン様作用物質、多環芳香族炭化水素類または
揮発性有機化合物であることを特徴とする請求項1〜3
のいずれか一項に記載の疎水性物質吸着剤である。
【0021】請求項5記載の発明は、上記ホルモン様作
用物質又は多環芳香族炭化水素類が、アルキルフェノー
ル類、ビスフェノールA、フタル酸エステル類、ダイオ
キシン類、ポリ塩化ビフェニール類、エストロジェン類
及びベンゾ(a)ピレンからなる群より選ばれる少なく
とも一種であることを特徴とする請求項4に記載の疎水
性物質吸着剤である。
【0022】以下、本発明の詳細を説明する。 (1)単量体 (1−1)架橋性単量体 本発明における架橋性単量体として用いられるアクリル
酸エステルあるいはメタクリル酸エステルは、特に限定
されず、公知のものが使用される。なお、以下アクリル
酸エステル又はメタクリル酸エステルは、(メタ)アク
リル酸エステルと略記する。本発明においては、(メ
タ)アクリル酸エステルである架橋性単量体の中でも、
上記一般式I〜IIIで表される架橋性単量体のうちの少な
くとも1種を用いるのが好ましい。
【0023】一般式I〜IIIにおいて、Aはアクリロイル
基[CH2=CH−CO−]若しくはメタクロイル基を
表す。また、Xは、炭素数1〜24のアルキル鎖[(Cn
2n+1)−]、炭素数1〜24のアルキレン鎖[−(C
2n−]若しくは炭素数1〜24のオキシアルキレン
鎖を示す。ここで、オキシアルキレン鎖とは、アルキレ
ン鎖中あるいはその末端に任意の数のエーテル酸素(−
O−)を含むものをいう。これらの鎖中における水素原
子は、メチル基若しくはヒドロキシル基で置換されてい
てもよい。
【0024】一般式Iで表される(メタ)アクリル酸エ
ステルとしては、例えば、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラ
メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、などのア
ルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類;1,3
−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4
−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6
−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−
ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチル
グリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−
1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2−ヒドロ
キシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパ
ン、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロー
ルアクリレートメタクリレート、1,10−ジ(メタ)
アクリロキシ−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオ
ール、1,10−ジ(メタ)アクリロキシ−5−メチル
−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオール、1,1
1−ジ(メタ)アクリロキシ−4,8−ジオキサウンデ
ガン−2,6,10−トリオール等が挙げられる。
【0025】一般式IIで表される(メタ)アクリル酸エ
ステルとしては、例えば、トリメチロールエタントリ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、テトラメチルロールメタントリ
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】一般式IIIで表される(メタ)アクリル酸
エステルとしては、例えば、テトラメチルロールメタン
テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】また、上記一般式I〜IIIのいずれにも含ま
れないが、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)ジアクリ
レート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリ
レート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アク
リレート等の(メタ)アクリル酸エステルを用いること
もできる。
【0028】上記各種(メタ)アクリル酸エステルであ
る架橋性単量体は2種類以上を混合して用いてもよい。
【0029】(1−2)非架橋性単量体 本発明の吸着剤には、必要に応じて、上記架橋性単量体
の他に、非架橋性の単量体が構成単位の一部として用い
られても良い。上記非架橋性単量体としては、特に限定
されず、(メタ)アクリル酸エステル等が好適に用いら
れる。上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例え
ば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ス
テアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)
アクリレート類;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシ
ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ
ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げ
られる。これらは2種以上混合して用いてもよい。ま
た、上記(メタ)アクリル酸エステル以外の、非架橋性
単量体としては、下記(1−3)に挙げる単量体以外の
ものであれば特に限定されず、例えば、トリアリルシア
ヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられ
る。
【0030】本発明の吸着剤を構成する架橋重合体は、
(メタ)アクリル酸エステルである架橋性単量体のみを
重合して得られる架橋重合体であることが好ましい。よ
り好ましくは、上記一般式I〜IIIで表される架橋性単量
体のみ、さらに好ましくは上記一般式Iで表される架橋
性単量体のみで構成される吸着剤である。一般式Iで表
される架橋性単量体の中でも、アルキレングリコールジ
(メタ)アクリレートが特に好ましい。また、上記架橋
性(メタ)アクリル酸エステルの内、1種類の架橋性単
量体のみを重合して得られる架橋重合体であるのがより
好ましい。また、上記(メタ)アクリル酸エステルであ
る架橋性単量体のうちの2種類以上の架橋性単量体を共
重合して得られる架橋重合体も用いられるが、その場合
は、用いられる架橋性単量体のうちの1種類の架橋性単
量体の割合が、全架橋性単量体のうちの90重量%以上
であるのが好ましい。但し、この場合、重合される単量
体に含まれる不純物は、この割合には含まれない。
【0031】非架橋性単量体として(メタ)アクリル酸
エステルを用いる場合、該非架橋性単量体の使用量は、
上記架橋性単量体100重量部に対して0〜20重量部
であることが好ましく、さらに好ましくは、0〜10重
量部である。また、(メタ)アクリル酸エステルからな
る非架橋性単量体以外を用いる場合は、(メタ)アクリ
ル酸エステル単量体の全量(架橋性と非架橋性の合計
量)100重量部に対して0〜20重量部であることが
好ましく、さらに好ましくは、0〜10重量部である。
【0032】(1−3)用いられない単量体:本発明の
吸着剤を構成する化合物として、以下の(a)〜(d)
の単量体群を用いることは好ましくない。
【0033】(a)ベンゼン環を有する単量体、直鎖,
環状或いは分岐脂肪族系単量体 上記用いられない単量体として、例えば、スチレン、α
−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系
単量体;エチレン、プロピレンなどのオレフィン系単量
体;ブタジエン等のジエン系単量体、フェノキシエチル
(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデ
カンジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エ
ステルが挙げられる。これらのベンゼン環を有する単量
体や直鎖,環状あるいは分岐脂肪族系単量体は、疎水性
が強く、吸着された疎水性物質の脱着が困難である。ま
た、これらの単量体からなる重合体は有機溶媒を吸着し
やすいので、有機溶媒による脱着処理の際に、この有機
溶媒を吸着してしまい、脱着が定量的に行われない。さ
らにこれらの原材料中の不純物質が、吸着工程に悪影響
を及ぼす。
【0034】(b)イオン交換性の官能基を有する単量
体 また、上記用いられない単量体として、例えば(メタ)
アクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有する単
量体、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート
等の3級あるいは4級アミノ基を有する単量体、その他
スルホン酸基等のイオン交換性の官能基を有する単量体
が挙げられる。これらの単量体は、そのイオン交換基に
より、疎水性物質の吸着性能を低下させるため、用いる
のは好ましくない。 (c)ハロゲン基を有する単量体 塩素、臭素などのハロゲン基を有する単量体は、上記
b)と同様に疎水性が大きく、脱着処理の困難性から用
いることは好ましくない。 (d)ホルモン様作用物質と類似の構造を有する単量体 さらに、ホルモン様作用物質と類似の構造を有する単量
体は、吸着剤として用いた際に、該単量体の未重合物が
溶出する可能性があるために、用いるのは好ましくな
い。この様な単量体として、例えば、ビスフェノールA
構造を有する2,2−ビス{4−[(メタ)アクリロキ
シエトキシ]フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−
[(メタ)アクリロキシ・ジエトキシ]フェニル}プロ
パン、2,2−ビス{4−[(メタ)アクリロキシ・ポ
リエトキシ]フェニル}プロパン、アルキルフェノール
構造を有するノニルフェノキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレ
ングリコール(メタ)アクリレート、フタル酸エステル
類類似構造を有するフタル酸ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート等が挙げられる。
【0035】(2)重合反応 本発明の吸着剤は、上記単量体を用いて、重合開始剤の
存在下において重合反応を行うことにより得られる。本
発明の重合反応は、公知の重合方法、例えば、懸濁重合
法、分散重合法、乳化重合法などの方法が挙げられる。
その中でも、操作の簡便性から、懸濁重合法を用いるこ
とが好ましい。例えば、懸濁重合法で行う場合、水溶性
分散剤を溶解した水性分散媒に、上記重合性単量体及び
開始剤の混合物を分散させ、さらに必要に応じて添加剤
等を添加した後、攪拌しながら窒素雰囲気下で昇温する
ことにより重合反応を行うことができる。
【0036】上記水溶性分散剤としては、公知のものを
用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン等の合成高分子類;セルロース誘導
体類;ゼラチン、デンプン等の水溶性高分子化合物;ヒ
ドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、水酸化カルシ
ウム、炭酸カルシウム等の無機塩類;各種界面活性剤等
が用いられる。これらの中でも水溶性高分子化合物が好
ましく、特にポリビニルアルコール、ポリビニルピロリ
ドン等の非イオン性の水溶性高分子が好適である。但
し、上記分散剤として、重合後の吸着剤から溶出してく
るような界面活性剤を使用することは好ましくない。例
えば、ホルホン様作用物質であるノニルフェノール類を
吸着対象とする吸着剤を調製する場合、ノニルフェノー
ル構造含有界面活性剤の使用は避けるべきである。これ
は、残存する界面活性剤に含まれるノニルフェノール類
似物質が、使用の際に溶出してくる可能性があるためで
ある。また、残存する界面活性剤は、吸着剤と疎水性物
質との相互作用を阻害する。
【0037】但し、重合方法として、紫外線重合などの
エネルギー線重合等を使用することは好ましくない。こ
れは、重合体の製造設備が複雑で重合効率が低く、吸着
剤使用時における未重合物の溶出が考えられるためであ
る。
【0038】上記分散媒としては、水や公知の有機溶媒
などが用いられる。好ましくは、水または水と水溶性有
機溶媒との混合物が用いられる。
【0039】上記重合開始剤としては、特に限定され
ず、水溶性又は油溶性の公知のラジカル重合開始剤が用
いられる。上記重合開始剤の具体的な例としては、過硫
酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムな
どの過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾ
イルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オク
タノイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオ
キサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルハイド
ロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、
t−ブチルパーオキシイソブチレート、3,5,5−ト
リメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパ
ーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス
イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジ
メチルバレロニトリル)、 4,4’−アゾビス(4−
シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル
ブチロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニト
リルなどのアゾ化合物などが挙げられる。上記重合開始
剤の使用量は、上記架橋性単量体100重量部に対し、
0.05〜4重量部が好ましく、0.08〜3重量部が
より好ましい。重合開始剤の使用量が0.05重量部未
満になると、重合反応が不十分となったり、重合に長時
間を要することがあり、4重量部を越えると、急激な反
応の進行により、凝集物が発生することがある。
【0040】さらに、上記重合時には、必要に応じて、
公知の添加剤を添加してもよい。これらの添加剤として
は、例えば、重合体を大孔径の多孔質体とするための多
孔質化剤(相分離剤)、連鎖移動剤、pH調節剤及び比
重調節剤などが用いられる。
【0041】上記多孔質化剤としては、例えば、イソア
ミルアルコールやオクタノール等のアルコール類やヘキ
サンなどの脂肪族系炭化水素、キシレンやトルエンなど
の芳香族系炭化水素等が用いられる。但し、上記多孔質
化剤として用いられないものとしては、例えば、カプリ
ン酸メチル、ラウリン酸メチル、アジピン酸ジイソブチ
ルなどのアルキルエステル類が挙げられる。これらも吸
着剤中に残存すると、これら自体および混入物が測定
時、排水処理時あるいは排気処理時に溶出する可能性が
ある。
【0042】上記素材を用いた懸濁重合の反応条件は、
用いる単量体や重合開始剤によっても異なるが、重合温
度は、20〜100℃で、0.5〜50時間反応させる
ことが好ましい。重合後、得られた架橋重合体は、洗浄
して乾燥することにより本発明の吸着剤が得られる。洗
浄は、有機溶媒で複数回洗浄する必要がある。また好ま
しくは複数種の有機溶媒で複数回洗浄する。洗浄に使用
する有機溶媒は、用いた単量体によっても異なるが、例
えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ア
セトンなどの公知の有機溶媒が用いられる。
【0043】また、本発明の吸着剤は、上記単量体ある
いは単量体混合物から重合された重合体を原料として、
公知の成形方法、例えば、射出成形法、押出成形法ある
いは、ブロー成形法などによっても調製することができ
る。
【0044】(3)吸着剤の物性 本発明の吸着剤に用いられる架橋重合体の形状は、特に
制限されず、例えば、粒子状、繊維状、フィルタ状等、
液体または気体である試料と接触することのできる形状
であればよいが、特に粒子状であるのが好ましい。ま
た、その多孔性構造についても制限はなく、使用環境下
で形状が維持される強度を有する程度の多孔性であれ
ば、ミクロポア構造であってもよいし、マクロポア構造
であってもよい。また、発泡体であってもよい。また本
発明の吸着剤の大きさは、特に限定されるものではな
く、使用時の条件により適宜選択されるものであるが、
粒子状である場合、平均粒径0.1μm〜50mmであ
るのが好ましく、1μm〜20mmであることがより好
ましい。これらの範囲を逸脱する場合は、測定時や排水
処理時あるいは排気処理時の作業がしにくくなる。特
に、本発明の吸着剤を疎水性物質測定の前処理に用いる
場合には、その平均粒径が1〜500μmが好ましく、
10〜300μmがより好ましい。また、大量試料中か
らの疎水性物質の除去に用いる場合には、100μm〜
50mmが好ましく、500μm〜20mmがより好ま
しい。本発明の吸着剤の密度は、0.5〜3.0が好ま
しく、0.7〜2.0がより好ましい。この範囲を逸脱
すると、使用時の取り扱い性、特に大量試料処理時の取
り扱い性が低下する。さらに上記吸着剤は、特殊な事情
において、上記単量体の重合物が表面層を形成する被覆
構造体であってもよい。その場合、被覆されるコア部分
の素材に特に制限はなく、使用環境下で形状が保持され
る程度の強度を有する物質で形成され、かつ外部に疎水
性物質の溶出がない物質で構成される必要がある。被覆
構造体とされた場合の吸着剤においても、その形状は特
に制限されず、粒子状、繊維状、フィルタ状など、試料
である液体や気体と接触できる形状であればよい。
【0045】(4)疎水性物質 本発明でいう「疎水性物質」は、試料である液体または
気体に含まれる疎水性物質の内、水への溶解度が10g
/L以下、特に1g/L以下の物質をいう。これらの疎
水性物質には、例えばホルモン様作用物質、多環芳香族
炭化水素類、揮発性有機化合物が含まれる。ホルモン様
作用物質には、生物由来あるいは合成のステロイドホル
モン類、および生体内においてホルモン類似作用を発現
すると報告されている物質またはホルモン類似作用が疑
われる物質であり、いわゆる内分泌攪乱化学物質と呼ば
れる物質も含まれる。ホルモン様作用物質としては、例
えば、コプラナーPCB及び臭素化ダイオキシンを含む
ダイオキシン類;ポリ塩化ビフェニール類;4−t−ブ
チルフェノール、4−n−ヘプチルフェノール、ノニル
フェノール、4−t−オクチルフェノールなどのアルキ
ルフェノール類;ビスフェノールA;2,4−ジクロロ
フェノール;フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチ
ルベンジル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル
酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジエ
チル、フタル酸ジメチルなどのフタル酸エステル類;ア
ジピン酸ジ−2−エチルヘキシル;ベンゾ(a)ピレ
ン、ベンゾフェノン、4−ニトロトルエン、スチレン、
スチレン2量体、スチレン3量体などの芳香族化合物;
エストラジオール、エストロン、エストリオールなどの
エストロジェン類;DDTなどの農薬類などが挙げられ
る。また、多環芳香族炭化水素類としては、公知の多環
芳香族炭化水素の全てを含み、例えば、ピレン、ベンゾ
(a)ピレン、ベンゾアントラセン、メチルコラントレ
ン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、ベン
ゾフルオランテン、1−ピレノール;ベンゾチオフェ
ン、ジベンゾチオフェン等の含硫炭化水素類;ナフタレ
ンジニトロピレン、ニトロピレン等のニトロ化炭化水素
類等が挙げられる。揮発性有機化合物としては、例え
ば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、2,2,
4−トリメチルペンタン、ブタジエン等の脂肪族炭化水
素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、1,3,5−トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水
素類;α―ピネン、リモネン等のテルペン類;トリクロ
ロエチレン、テトラクロロエチレン、トリクロロメタ
ン、1,1,1−トリクロロエタン、1,2−ジクロロ
エタン、1,2−ジクロロプロパン、テトラクロロメタ
ン等のハロゲン化物;酢酸ブチル等のエステル類等が挙
げられ、本発明の吸着剤ではこれらの疎水性物質を吸着
対象とすることもできる。本発明の吸着剤は、これらの
中でも、特にダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニール
類、4−t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、4
−t−オクチルフェノール、ビスフェノールA、フタル
酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタ
ル酸ジ−n−ブチル、ベンゾ(a)ピレン、ベンゾフェ
ノン、4−ニトロトルエン、スチレン、エストラジオー
ル、エストロン、エストリオール、DDT、ヘキサン、
ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベン
ゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、α―ピネン、
リモネン、テトラクロロエチレン、テトラクロロメタン
などに対する吸着剤として好適に使用される。
【0046】(5)疎水性物質吸着剤の使用形態 本発明の吸着剤は、疎水性物質、特にホルモン様作用物
質、多環芳香族炭化水素類又は揮発性有機化合物を効率
よく吸着し、かつ容易に脱着すると同時にこれらの類似
物質の溶出が少ない吸着剤である。従って、疎水性物質
を吸着させる工程を含む全ての用途に有益に用いること
ができる。例えば固相抽出用の吸着剤として、疎水性物
質の測定の前処理に用いたり、あるいは環境浄化用の吸
着剤として、試料中の疎水性物質を除去するのに好適に
用いることができる。但し、これらの用途のみに限定さ
れるものではない。
【0047】また、本発明の吸着剤は、再生処理により
再使用可能な吸着剤である。「再生可能である」とは、
再生処理により、吸着された疎水性物質が吸着剤から脱
着され、吸着剤が再び疎水性物質に対する吸着能を有す
るようになること;より詳しくは、再生処理により初期
の90%以上の吸着能を有するようになることを意味す
る。
【0048】本発明の吸着剤における再生処理方法は、
疎水性物質を吸着剤から脱着し得る方法であれば特に制
限はないが、例えば、吸着時と物性の異なる脱着溶媒の
通液による化学的な方法、加温・超音波処理等の物理的
な処理方法を用いることができる。上記脱着溶媒として
は、吸着溶媒と物性、例えば、pHや塩濃度等が異なる
溶媒、あるいは吸着対象である疎水性物質の溶解度が異
なる溶媒が挙げられる。これらの溶媒としては、メタノ
ール、エタノールなどアルコール類;アセトンなどのケ
トン類;ヘキサンなどのアルカン類;各種緩衝液などが
挙げられる。この再生処理工程は、一連の排水あるいは
排気処理工程の一部として組み込まれても良いし、排水
あるいは排気処理工程と別個に行われてもよい。
【0049】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示す。 (吸着剤の調製) (実施例1)トリエチレングリコールジメタクリレート
(新中村化学工業社製)500gに、過酸化ベンゾイル
(重合開始剤:キシダ化学社製)1.0gを溶解した。
これを4重量%ポリビニルアルコール水溶液2500m
Lに撹拌しながら分散させ、窒素雰囲気下で80℃に昇
温した。80℃で24時間重合した後、内容物をイオン
交換水で3回、アセトンで1回、エタノールで4回洗浄
した。洗浄後乾燥して吸着剤を得た。上記吸着剤の粒子
径を、コールターマルチサイザー(コールター社製)で
測定した結果、平均粒径は20.2μmであった。
【0050】(実施例2)実施例1におけるトリエチレ
ングリコールジメタクリレート500gの代わりに、2
−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン50
0gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして吸着剤
を調製した。実施例1と同様にして吸着剤の粒子径を測
定した結果、平均粒径は45.8μmであった。
【0051】(実施例3)エチレングリコールジメタク
リレート(新中村化学工業社製)450gおよびテトラ
メチロールメタントリアクリレート(新中村化学工業社
製)50gの混合物に、過酸化ベンゾイル1.0gを溶
解した。これを2重量%ポリビニルアルコール水溶液2
500mLに撹拌しながら分散させ、窒素雰囲気下で8
0℃に昇温した。80℃で24時間重合した後、内容物
をイオン交換水で3回、アセトンで1回、エタノールで
4回洗浄した。洗浄後乾燥して吸着剤を得た。実施例1
と同様にして、吸着剤の粒子径を測定した結果、平均粒
径は36.0μmであった。
【0052】(実施例4)テトラエチレングリコールジ
メタクリレート(新中村化学工業社製)4000gに、
過酸化ベンゾイル8.0gを溶解した。これを1重量%
ポリビニルアルコール水溶液20Lに撹拌しながら分散
させ、窒素雰囲気下で80℃に昇温した。80℃で24
時間重合した後、内容物をイオン交換水で3回、アセト
ンで1回、エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥して
吸着剤を得た。顕微鏡写真から吸着剤の粒子径を測定し
た結果、平均粒径は3.4mmであった。
【0053】(実施例5)実施例1におけるトリエチレ
ングリコールジメタクリレート500gの代わりに、ト
リエチレングリコールジメタクリレート450g及びメ
チルメタクリレート50gを用いたこと以外は、実施例
1と同様にして吸着剤を調製した。実施例4と同様にし
て吸着剤の粒子径を測定した結果、平均粒径は970.
1μmであった。
【0054】(実施例6)トリエチレングリコールジメ
タクリレート(新中村化学工業社製)500g及び過酸
化ベンゾイル(重合開始剤:キシダ化学社製)1.0g
をイソアミルアルコール(多孔質化剤)200gに溶解
させた。これを3重量%ポリビニルアルコール水溶液2
500mLに撹拌しながら分散させ、窒素雰囲気下で8
0℃に昇温した。80℃で24時間重合した後、内容物
をイオン交換水で3回、アセトンで1回、エタノールで
4回洗浄した。洗浄後乾燥して吸着剤を得た。実施例1
と同様にして、吸着剤の粒子径を測定した結果、平均粒
径は75.2μmであった。
【0055】(実施例7)テトラエチレングリコールジ
メタクリレート(新中村化学工業社製)400gに、メ
チルメタクリレート40g及びトルエン250gの混合
物に過酸化ベンゾイル(重合開始剤:キシダ化学社製)
1.0gを溶解させた。これを3重量%ポリビニルアル
コール水溶液2500mLに撹拌しながら分散させ、窒
素雰囲気下で80℃に昇温した。80℃で24時間重合
した後、内容物をイオン交換水で3回、アセトンで1
回、エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥して吸着剤
を得た。実施例1と同様にして、吸着剤の粒子径を測定
した結果、平均粒径は34.7μmであった。
【0056】(比較例1)スチレン(和光純薬社製)5
0gおよびジビニルベンゼン(キシダ化学製)200g
及びトルエン250gの混合物に、過酸化ベンゾイル
1.0gを溶解した。これを4重量%ポリビニルアルコ
ール水溶液2500mLに撹拌しながら分散させ、窒素
雰囲気下で80℃に昇温した。80℃で24時間重合し
た後、内容物をイオン交換水で3回、アセトンで1回、
エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥して吸着剤を得
た。実施例1と同様にして、吸着剤の粒子径を測定した
結果、平均粒径は30μmであった。
【0057】(比較例2)2,2−ビス{4−[(メ
タ)アクリロキシ・ジエトキシ]フェニル}プロパン
(A−BPE−4:新中村化学工業社製)500gに、
過酸化ベンゾイル1.0gを溶解した。これを4重量%
ポリビニルアルコール水溶液2500mLに撹拌しなが
ら分散させ、窒素雰囲気下で80℃に昇温した。80℃
で24時間重合した後、内容物をイオン交換水で3回、
アセトンで1回、エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾
燥して吸着剤を得た。実施例1と同様にして、吸着剤の
粒子径を測定した結果、平均粒径は30μmであった。
【0058】(比較例3)N−ビニル−2−ピロリドン
(和光純薬社製)100gおよびジビニルベンゼン18
5g及びトルエン250gの混合物に、過酸化ベンゾイ
ル1.0gを溶解した。これを4重量%ポリビニルアル
コール水溶液2500mLに撹拌しながら分散させ、窒
素雰囲気下で80℃に昇温した。80℃で24時間重合
した後、内容物をイオン交換水で3回、アセトンで1
回、エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥して吸着剤
を得た。実施例1と同様にして、吸着剤の粒子径を測定
した結果、平均粒径は130.2μmであった。
【0059】(比較例4)ジビニルベンゼン(三共化成
社製)100g、エチレングリコールジメタクリレート
(新中村化学工業社製)100g、酢酸ブチル(和光純
薬社製)200g、イソアミルアルコール(和光純薬社
製)50gおよびアゾビスイソブチロニトリル(重合開
始剤:和光純薬社製)の混合液を0.2重量%のメチル
セルロース水溶液1Lに懸濁し、撹拌しながら80℃で
6時間反応させた。洗浄後乾燥させて吸着剤を得た。実
施例1と同様にして、吸着剤の粒子径を測定した結果、
平均粒径は73.1μmであった。
【0060】(比較例5)スチレン50g、メチルメタ
クリレート50g、過酸化ベンゾイル1.0gおよびメ
チルエチルケトン(和光純薬製)50gの混合溶液を8
0℃で8時間反応させた後、メタノール中に投入して、
スチレン−メチルメタクリレート共重合体を得た。上記
共重合体20gをN,N−ジメチルアセトアミド80g
に溶解した溶液を、直径0.36mmのノズルから、撹
拌されているメタノール中へ押し出した。メタノール中
で凝固した重合体を水およびメタノールで洗浄し、乾燥
させて吸着剤を得た。実施例1と同様にして、吸着剤の
粒子径を測定した結果、平均粒径は55.2μmであっ
た。
【0061】(比較例6)アクリル酸ナトリウム(和光
純薬社製)60.4g、メトキシポリエチレングリコー
ルアクリレート(共栄社化学社製)339.6g、ノナ
エチレングリコールジアクリレート1.8gをイオン交
換水593.0gに添加した。40℃に昇温した後、1
0重量%の2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパ
ン)塩酸塩(重合開始剤:和光純薬社製)水溶液5.2
gを添加した。その後温度を80℃で1時間保ち反応を
終了した。得られた重合体を粉砕し、乾燥して吸着剤を
得た。実施例1と同様にして、吸着剤の粒子径を測定し
た結果、平均粒径は75.1μmであった。
【0062】(比較例7)ウレタンアクリレートオリゴ
マー(V−4263、大日本インキ社製)80g、2,
3−ビス[(4−アクリロキシ・ジエトキシ)フェニ
ル]プロパン(BPE−4:新中村化学社製)20g、
カプリン酸メチル110g、ラウリン酸メチル50g及
び重合開始剤2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセト
フェノン(イルガキュア651:チバガイギー社製)4
gを混合した。この混合液を直径0.16mmのノズル
から押し出し、押し出された液滴に365nmの紫外線
を照射して重合を行い、吸着剤を得た。実施例4と同様
にして、吸着剤の粒子径を測定した結果、平均粒径は4
66.8μmであった。
【0063】(性能評価)上記実施例及び比較例で得ら
れた吸着剤について、以下のように性能を評価した。
【0064】(1)溶出試験 上記調製した吸着剤からの、疎水性物質の溶出の有無を
確認した。実施例1〜7及び比較例1〜7の各吸着剤1
gをそれぞれメタノール10mLに分散させてよく撹拌
した。この分散液を3000rpmで10分間遠心分離
した後上清を採取し、上清を遠心エバポレータで1mL
に濃縮した後、その100μLをHPLCに注入するこ
とにより、吸着剤から上清メタノール中に溶出した疎水
性物質を測定した。また、ビスフェノールA(以下、B
PAという)およびノニルフェノール(以下、NPとい
う)の標準品(いずれも和光純薬社製)を基準物として
測定した。HPLCの条件を下記に示す。
【0065】 (HPLC測定条件) カラム :Wako Pak Agri−9 (和光純薬製:4.6×250mm ) 溶離液 :A液=0.01N塩酸:アセトニトリル=70/30 B液=0.01N塩酸:アセトニトリル=30/70 溶出条件:A液100%からB液100%へのリニアグラジエント(30分) 検出波長:210nm 注入量 :100μL
【0066】(結果)図1に、BPA(ピーク1)およ
びNP(ピーク2)の標準品の測定結果を示した。図2
に実施例1の吸着剤からの溶出物を測定した結果を示し
た。図2では、BPAおよびNPの溶出位置にピークが
確認されず、実施例1の吸着剤からの溶出は確認されな
かった。また、実施例2〜7の吸着剤も同様の結果であ
った。一方、図3に比較例1の吸着剤からの溶出物を測
定した結果を示した。NPおよびBPAの溶出位置にピ
ークが確認されただけでなく、その他にも多くの疎水性
物質の溶出が確認された。また比較例2〜7の吸着剤か
らの溶出物を測定した結果も図3と同様に疎水性物質が
多く溶出した。特に比較例2の吸着剤からはBPA溶出
位置に大きなピークが出現した。これは、比較例2で用
いた単量体(A−BPE−4)がBPA構造を含むた
め、BPAあるいはBPA類似構造の不純物が多く含ま
れ、溶出してきたものと思われる。これらのピークは吸
着剤を繰り返し洗浄しても消去できなかった。
【0067】以上から、実施例1〜7で得られた本発明
の吸着剤は、疎水性物質溶出がほとんどないので、疎水
性物質の測定用として有効である。一方従来技術により
調製した比較例1〜7の吸着剤は、疎水性物質の溶出が
多く、疎水性物質の測定あるいは除去には使用できな
い。
【0068】(2)吸着性能試験 上記実施例1〜7および比較例1〜7で得られた吸着剤
を用いて、疎水性物質の吸着性能を評価した。上記の各
実施例および比較例により得られた疎水性物質吸着剤
0.2gを、内径9mm、長さ65mmのポリプロピレ
ン製カラム(孔径20μmのポリエチレン製フィルタ付
きに充填した。一方、BPA標準液(和光純薬工業社
製)から、BPA濃度が1μg/mLの10重量%メタ
ノール溶液を調製した。上記カラムにこの標準液を添加
した。吸引濾過した後、メタノール6mLを添加してB
PAを脱着させ、メタノールを回収し、遠心エバポレー
タで蒸発乾固させた後、ELISA用リン酸緩衝液に溶
解して、ELISA系にて測定を行った。ELISA系
での分析は、以下の手法で行った。抗BPA抗体固相化
プレートに検体50μLを添加し、さらにHRP(hors
e radish peroxidase )標識BPA50μLを添加して
室温で2時間反応させた。プレートを洗浄した後、o−
フェニルジアミン(OPD)を添加して15分反応さ
せ、492nmで吸光度を測定した。上清中のBPA量
から吸着剤に吸着したBPA量を算出した。またBPA
を含まない溶液を用いて同様の操作を行い、ブランク試
験を行った。
【0069】ブランク試験の結果を表1に示した。実施
例の吸着剤は、吸着剤を用いない場合とほぼ同等の値を
示し、吸着剤として極めて良好なものであった。一方比
較例では、全体的にブランク値が高く、測定の妨害とな
る可能性が大きかった。特に比較例2・7では高く、測
定は不可能と判断された。
【0070】
【表1】
【0071】さらに、各種の疎水性物質を試料として、
上記と同様にカラムに添加し、各疎水性試料の吸着試験
を行った。得られた結果を表2・3に示す。実施例の吸
着剤においては、ブランク値を差し引いた吸着率は90
%以上と良好であった。特に1種類の架橋性単量体のみ
を用いた実施例1および2において、各種疎水性物質に
対する吸着率が良好であった。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】上記実施例及び比較例で得られた吸着剤各
1gを、1ppmのトリクロロエチレン水溶液50mL
に添加し、密栓をして室温にて2時間攪拌した後、溶液
中のトリクロロエチレン濃度を測定した。測定は、JI
S K0125の方法、すなわち、ヘキサン抽出による
前処理後、ECD検出器を付属したガスクロマトグラフ
ィーにより行った。この方法により測定した吸着率を表
4に示した。表4の結果より、実施例の吸着剤では、比
較例の吸着剤と比較して高効率に吸着されたことが分か
る。さらに、テトラクロロエチレン、トルエン、スチレ
ン、ベンゾ(a)ピレンについても類似の方法で吸着率
を測定したところ、表4に示したように、効率良く吸着
されることが分かった。
【0075】
【表4】
【0076】(3)吸着再現性の評価 各実施例および比較例で得られた吸着剤を、上記(2)
の吸着性能試験と同様のカラムに各20本充填し、さら
に(2)と同様に操作を行って、BPAの測定を行い、
吸着率の再現性を確認した。
【0077】得られた結果を表5・6に示す。実施例の
各吸着剤は、CV値[(標準偏差÷平均値)×100]
が2%以下と極めて良好な再現性を示した。一方比較例
の各吸着剤はCV値が7%以上とバラツキが大きく、特
に高精度測定の前処理に用いることは困難であると判明
した。
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】(4)再生処理よる吸着能の変化 上記調製した吸着剤の疎水性物質の吸着・脱着を繰り返
し行った際の吸着能の変化を評価した。吸着剤0.1g
を、上記(3)吸着再現性の評価で用いたカラムと同様
のカラムに充填した。これにBPA標準液(100ng
/mLの10%メタノール水溶液)を添加した。カラム
からの流出液を、上記(2)吸着性能試験と同様にして
ELISA法によりBPAを測定した。さらにカラムに
メタノール5mLを通液することにより再生処理を行
い、溶出液を回収した。その後再び、BPA標準液を添
加し、同様に溶出液中のBPAを測定した。これらの操
作を繰り返し、吸着能を測定した。
【0081】結果を表7・8に示した。実施例の吸着剤
では吸着能が変化せず、メタノールによる簡便な再生処
理により、繰り返し使用が可能であることがわかった。
一方比較例の吸着剤は、その物性値の違いにより、吸着
率が大きく低下し、再生処理が困難で、繰り返し使用が
できないことがわかった。
【0082】
【表7】
【0083】
【表8】
【0084】(5)排水処理の実用試験 河川水からの、疎水性物質の除去試験を行った。一般河
川水100Lを採取した。用いた河川水にはBPAが検
知されなかったため、BPA標準液を100ng/mL
となるよう、この河川水に添加した。実施例3で得られ
た吸着剤をステンレス製カラム(直径10cm×長さ5
0cm)に充填した。これに上記河川水100Lを、流
速1L/分で全量通水した。得られた処理水中のBPA
を、上記と同様のELISA法で測定した。その結果、
吸着率は100%、またメタノール洗浄による再生処理
により除去率は99%以上に回復した。
【0085】(6)排気処理の実用試験 焼却排気を用い、疎水性物質除去の実用試験を行った。
焼却炉内で発生した排気をバグフィルタを経由して煙突
より排気する一般的な焼却設備において、バグフィルタ
の後段に、実施例3で得られた吸着剤が充填されたステ
ンレス製カラム(直径10cm×長さ50cm)を設置
した。焼却作業を行い、カラムより排出した排気を回収
し、排気中のダイオキシンを上記ELISA法にて測定
した。カラムを設置しない場合と比較したところ、吸着
率は98.8%、またメタノール洗浄による再生処理に
より除去率は97%以上に回復した。
【0086】
【発明の効果】本発明の吸着剤は、上述した構成よりな
るので、液体若しくは気体試料中の疎水性物質、特にホ
ルモン様作用物質、多環芳香族炭化水素類あるいは揮発
性有機化合物を精度よく吸着でき、さらに、いったん吸
着された疎水性物質は、有機溶媒等による洗浄操作によ
り容易に脱着することが可能である。従って本発明の吸
着剤は、低濃度の疎水性物質、特にホルモン様作用物
質、多環芳香族炭化水素類あるいは揮発性有機化合物の
測定、あるいはこれらの除去に好適に使用することがで
きる。さらに、本発明の吸着剤は、吸着剤自体から不要
の溶出物が少ないため、各種の測定、特に微量物質の測
定に悪影響を与えず用いることができる。また、本発明
の吸着剤は、高架橋度のため機械的強度が大きく、大量
処理あるいは繰り返し使用時においても破損等が少なく
簡単に取り扱え、吸着性能の変化もほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビスフェノールA及びノニルフェノールの標準
液の測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す
図。
【図2】実施例1により得られた吸着剤からの溶出物の
測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【図3】比較例1により得られた吸着剤からの溶出物の
測定を行った際に得られたクロマトグラムを示す図。
【符号の説明】
1 ビスフェノールAのピーク 2 ノニルフェノールのピーク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G066 AA10D AB05A AB06A AC17A AC17B BA20 BA36 CA01 CA04 CA20 CA33 CA51 CA52 DA07 FA03 FA08 FA21 GA11 4J100 AL62P AL63P AL66P AL67P BA02P BA03P BA08P BA15P BA38P CA01 CA04 CA05 CA23 DA36 JA15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル酸エステルである架橋性単量体
    及び/又はメタクリル酸エステルである架橋性単量体を
    重合して得られる架橋重合体よりなることを特徴とする
    疎水性物質吸着剤。
  2. 【請求項2】 上記架橋性単量体が、下記の一般式I〜I
    II で表される架橋性単量体からなる群より選ばれる少
    なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の
    疎水性物質吸着剤。(ただし、一般式I〜IIIにおいて、
    Aは(メタ)アクリロイル基を、Xは炭素数1〜24のア
    ルキル鎖、アルキレン鎖若しくはオキシアルキレン鎖を
    示す。また、Xにおいては、その水素原子がメチル基若
    しくはヒドロキシル基で置換されていてもよい。) 【化1】 【化2】 【化3】
  3. 【請求項3】 アクリル酸エステル又はメタクリル酸エ
    ステルのうちの1種類の架橋性単量体のみを重合して得
    られる架橋重合体、あるいはアクリル酸エステル及び/
    又はメタクリル酸エステルのうちの2種類以上の架橋性
    単量体を共重合して得られる架橋重合体であって、共重
    合される架橋性単量体のうちの1種類の単量体の割合
    が、全架橋性単量体のうちの90重量%以上である架橋
    重合体よりなることを特徴とする請求項1又は2に記載
    の疎水性物質吸着剤。
  4. 【請求項4】 上記疎水性物質が、ホルモン様作用物
    質、多環芳香族炭化水素類または揮発性有機化合物であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載
    の疎水性物質吸着剤。
  5. 【請求項5】 上記ホルモン様作用物質又は多環芳香族
    炭化水素類が、アルキルフェノール類、ビスフェノール
    A、フタル酸エステル類、ダイオキシン類、ポリ塩化ビ
    フェニール類、エストロジェン類及びベンゾ(a)ピレ
    ンからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを
    特徴とする請求項4に記載の疎水性物質吸着剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007057526A (ja) * 2005-07-26 2007-03-08 Showa Denko Kk 水溶性高分子と低分子化合物を含む試料中の低分子化合物の分析方法
WO2010109582A1 (ja) * 2009-03-23 2010-09-30 積水化学工業株式会社 多孔質中空ポリマー粒子、多孔質中空ポリマー粒子の製造方法、香料担持ポリマー粒子、及び、香料担持ポリマー粒子の製造方法
CN117138760A (zh) * 2023-09-26 2023-12-01 浙江大学绍兴研究院 一种聚丙烯过滤材料及其制备方法、再生方法和用途

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