JP2002085970A - ホルモン様作用物質吸着剤 - Google Patents

ホルモン様作用物質吸着剤

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JP2002085970A
JP2002085970A JP2000278241A JP2000278241A JP2002085970A JP 2002085970 A JP2002085970 A JP 2002085970A JP 2000278241 A JP2000278241 A JP 2000278241A JP 2000278241 A JP2000278241 A JP 2000278241A JP 2002085970 A JP2002085970 A JP 2002085970A
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JP2000278241A
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Kazuyuki Oishi
和之 大石
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ホルモン様作用物質を高効率かつ特異的に吸
着し、機械的強度及び吸着再現性に優れ、簡便な製造方
法により調製可能な吸着剤を提供する。 【解決手段】 架橋重合体よりなる、粒状のホルモン様
作用物質吸着剤であって、粒度分布の変動係数(CV
値)が、1〜40であることを特徴とするホルモン様作
用物質吸着剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホルモン様作用物
質を効率よく吸着できる吸着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】環境中には、各種の疎水性有害物質が存
在している。これらは水溶性が低いため大量の排水ある
いは排気中における初期濃度は低いが、環境中における
濃縮により高濃度化し、生態系に大きな影響を与える。
特に生物由来のステロイドホルモン類や化学物質の一部
には、生体内に取り込まれるとホルモン類似作用を示す
物質があり、内分泌攪乱化学物質と呼ばれている。これ
らのステロイドホルモン類やホルモン様作用物質類(以
下、まとめてホルモン様作用物質という)は極めて微量
であっても動物の生殖機能等に悪影響を及ぼすことがわ
かってきたため、少量であってもこれらの排出を放置す
ることは重大な問題となる。
【0003】一般に、環境中のホルモン様作用物質を除
去する方法として、吸着剤にホルモン様作用物質を吸着
させることによる除去技術が知られている。一方、これ
らのホルモン様作用物質の高精度測定も重要であり、一
般にはガスクロマトグラフィー(GC)法、液体クロマ
トグラフィー(LC)法、あるいはこれらの方法とマス
スペクトル(MS)分析法を組み合わせた方法、あるい
は抗原抗体反応に基づく免疫法などの高感度測定法によ
り行われている。これらの分析法においては、測定感度
向上のため、吸着剤を用いた固相抽出法による前処理に
より、抽出・濃縮操作が行われている。
【0004】ホルモン様作用物質に対する吸着剤として
は、これまで活性炭やゼオライトなどの無機系吸着剤が
用いられてきている。しかしこれらの無機系吸着剤は再
生処理が困難である、発火の危険性がある、材料コスト
が高いなどの共通の欠点が指摘されており好ましくな
い。特に再生処理が困難であることは、処理コストの増
大をも招く。
【0005】一方、無機系吸着剤に比べて有機合成高分
子による吸着剤は、一般には上記の欠点が少ない優れた
吸着剤である。素材としてはスチレン系あるいはアクリ
ル系の重合体による吸着剤が多数開示されている。例え
ば、特開平9−168737号公報には、ポリオキシア
ルキレン鎖を有するアクリル系架橋重合体からなる界面
活性剤の吸着用担体が開示されている。また、特開平9
−192653号公報には、スチレン重合体の他に、メ
チル(メタ)アクリレート重合体およびこれらの共重合
体からなる塩素系有機溶剤の吸着剤が開示されている。
しかしこれらの吸着剤は、ホルモン様作用物質に対して
特異的でないばかりか、低架橋性あるいは非架橋性重合
体であるため機械的強度が小さく、大量試料の処理ある
いは繰り返し使用が困難であるという問題点があった。
【0006】比較的高架橋度の吸着剤としては、特開平
6−312135号公報、特開平6−258203号公
報などに開示されている。しかしながらこれらの吸着剤
は粒度分布が広いため、吸着率の再現性が低く、また微
細粒子の目詰まりなどにより圧力損失の上昇、吸着率の
低下が起こりやすいという問題点があった。また、これ
らの吸着剤も、ホルモン様作用物質に対して特異的な吸
着剤ではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、各種試
料中に存在するホルモン様作用物質を測定したり除去す
るためには、ホルモン様作用物質を特異的に効率よく吸
着する吸着剤が必要である。しかしながら現在までに開
示された無機系吸着剤は、安全性、コスト等の面で問題
がある。一方有機高分子系吸着剤の一部は低架橋性ある
いは非架橋性重合体であるため、大量処理用として使用
したり、再利用したりするのは困難である。また、より
高架橋度の有機高分子系吸着剤も開示されているが、ホ
ルモン様作用物質に対して特異的ではなく、また使用時
に不純物質が溶出する欠点もあった。
【0008】本願発明者は、上記問題点を解決すべく検
討を重ねた結果、粒度分布の変動係数の設定によって、
性能が大きく変化することを見出した。本発明は、粒度
分布の変動係数が規定されることにより、ホルモン様作
用物質を高効率かつ特異的に吸着し、機械的強度及び吸
着再現性に優れ、簡便な製造方法により調製可能な吸着
剤を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明(以
下、本発明という)は、架橋重合体よりなる、粒状のホ
ルモン様作用物質吸着剤であって、粒度分布の変動係数
(CV値)が、1〜40であることを特徴とするホルモ
ン様作用物質吸着剤である。
【0010】以下、本発明の吸着剤について詳説する。
【0011】本発明のホルモン様作用物質吸着剤は、粒
子形状をなしており、粒度分布の変動係数(CV値)
が、1〜40となされている。粒度分布の変動係数(C
V値)は、粒度分布を測定した際に得られる平均粒径値
及び粒度分布の標準偏差を、下記の(I)式に代入するこ
とによって求めることができる。
【0012】 粒度分布の変動係数(CV値)=粒度分布の標準偏差÷平均粒径値×100…( I)
【0013】本発明において粒度分布の変動係数(CV
値)が1〜40の範囲となされる必要があるのは、CV
値が1未満の架橋重合体は、製造及び物性制御が困難
で、製造再現性に劣るためであり、またCV値が40を
超えた架橋重合体では、微粒子の存在により目詰まりを
起こし易く耐久性に劣り、さらに粒子毎の表面積のバラ
ツキから吸着再現性にも劣るためである。なお、粒度分
布の変動係数(CV値)のより好ましい範囲は、2〜3
0である。
【0014】粒度分布の変動係数(CV値)の調整は、
例えば後述の懸濁重合により調製する場合には、所定範
囲内のCV値となるような架橋重合体のみを重合する方
法や、重合後に所定範囲内のCV値となるように分級等
を行う方法が挙げれる。
【0015】所定範囲内のCV値となるような架橋重合
体のみを重合するには、例えば使用する単量体量あるい
は分散剤量の調整、重合反応槽や攪拌羽根の形状、攪拌
速度等の攪拌条件の設定などにより行うことができる。
【0016】また、重合後に所定範囲内のCV値となる
ように分級等を行う方法の具体例としては、重合体を適
当な良溶媒に分散させてスラリー状として沈降法や篩い
分け法により分級する方法、あるいは乾燥状態のままで
の篩い分けや空気分級機により粒度分布を調整する方法
等が挙げられる。
【0017】本発明の吸着剤の平均粒径値は、特に制限
はないが、1μm〜100mmの範囲において、吸着剤
の用途により適宜選択されることが好ましい。これらの
範囲を逸脱した場合は、使用時の取り扱いに不適当であ
る。本発明の吸着剤をホルモン様作用物質の測定の前処
理に用いる場合には、好ましくは1〜200μm、より
好ましくは10〜100μmである。また試料中からの
ホルモン様作用物質の除去の用いる場合は、大量処理用
としては100μm〜100mm、より好ましくは50
0μm〜80mmである。
【0018】さらに本発明の吸着剤の比重は、好ましく
は0.5〜3.0、より好ましくは0.7〜2.0であ
る。これらの範囲を逸脱した場合は、使用時の取り扱
い、特に大量試料の取り扱いに不適当である。
【0019】本発明のホルモン様作用物質吸着剤は、架
橋重合体よりなる。架橋重合体は、公知の架橋性単量体
を用い、例えば、懸濁重合反応により得られる重合体で
ある。
【0020】上記架橋性単量体としては特に限定され
ず、少なくとも2つの重合性官能基を有する、公知の架
橋性単量体が使用され得る。例えば、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート(以下、アクリル酸エステル
又はメタクリル酸エステルは、(メタ)アクリレートと
略記する。)、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、などのアルキ
レングリコールジ(メタ)アクリレート類;トリメチロ
ールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロール
メタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメ
タンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプ
ロパンテトラ(メタ)アクリレート;ヒドロキシピバリ
ン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2
−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシ
プロパン、ウレタン(メタ)ジアクリレート、グリセロ
ールジ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレー
トメタクリレート、1,10−ジ(メタ)アクリロキシ
−4,7−ジオキサデカン−2,9−ジオール、1,1
0−ジ(メタ)アクリロキシ−5−メチル−4,7−ジ
オキサデカン−2,9−ジオール、1,11−ジ(メ
タ)アクリロキシ−4,8−ジオキサウンデガン−2,
6,10−トリオール等の(メタ)アクリル酸エステル
の架橋性単量体;ジビニルベンゼン、ジビニルトルエ
ン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳
香族単量体;などが挙げられる。これらは2種以上混合
して用いてもよい。
【0021】上記架橋重合体は、必要に応じて、上記架
橋性単量体の他に、非架橋性単量体が構成単位の一部と
して用いられても良い。非架橋性単量体としては、特に
限定されず、1つの重合性官能基を有する、公知の非架
橋性単量体が使用され得る。用いられる非架橋性単量体
としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチ
ル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)ア
クリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのア
ルキル(メタ)アクリレート類;ヒドロキシメチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ
ート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレ
ート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリ
レート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、
メチルスチレン、エチルスチレンなどの芳香族単量体等
が挙げられる。これらは2種以上混合して用いてもよ
い。
【0022】本発明の吸着剤における単量体の使用量
は、非架橋性単量体を用いる場合、上記架橋性単量体1
00重量部に対して非架橋性単量体20重量部以下であ
ることが好ましく、さらに好ましくは10重量部以下で
ある。最も好ましい実施態様は、架橋性単量体のみで構
成されることである。なお市販される架橋性単量体に混
入物として存在する非架橋性単量体はこの割合に含まな
い。
【0023】また本発明の吸着剤である架橋重合体を構
成する単量体の使用量としては、(メタ)アクリル酸エ
ステル単量体を用いる場合、用いられる単量体総量に対
して(メタ)アクリル酸エステル単量体の割合は80重
量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは(メ
タ)アクリル酸エステル単量体100%で構成される。
(メタ)アクリル酸エステルが80重量%未満の場合、
粒度分布の変動係数を制御することが困難で、ホルモン
様作用物質に対する吸着性能が低下する。
【0024】本発明の吸着剤である架橋重合体を構成す
る単量体として、以下のa)〜d)に示した単量体を用
いるのは好ましくない。
【0025】a)イオン交換基を有する単量体;例えば
(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基を有する単量
体、その他スルホン酸基や3級および4級アミノ基を有
する単量体を用いて得られた重合体は、そのイオン交換
基によりホルモン様作用物質の吸着性能が低下するた
め、用いることは好ましくない。また用いる場合におい
ても、単量体総量に対して10重量%以下とすることが
好ましい。
【0026】b)ホルモン様作用物質と類似の構造を有
する単量体;特にホルモン様作用物質と類似の構造を有
する単量体は、該単量体の未重合物が、重合体を吸着剤
として使用した場合に溶出する可能性があるため好まし
くない。このような単量体としては、例えばビスフェノ
ールA構造を有する、2,2−ビス{4−[(メタ)ア
クリロキシエトキシ]フェニル}プロパン、2,2−ビ
ス{4−[(メタ)アクリロキシ・ジエトキシ]フェニ
ル}プロパン、2,2−ビス{4−[(メタ)アクリロ
キシ・ポリエトキシ]フェニル}プロパン;アルキルフ
ェノール構造を有するノニルフェノキシポリエチレング
リコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】c)オレフィン系単量体及びジエン系単量
体;エチレン、プロピレン等のオレフィン系単量体、及
びブタジエンなどのジエン系単量体は疎水性が強く、吸
着したホルモン様作用物質を脱着させることが困難とな
り、再生処理などが難しいため用いることは好ましくな
い。用いる場合においても、単量体総量に対して10重
量%以下とすることが好ましい。
【0028】d)ハロゲン基を有する単量体;塩素、臭
素などのハロゲン基を有する単量体は、上記c)同様疎
水性が大きく脱着処理の困難性から用いることは好まし
くない。用いる場合においても、単量体総量に対して1
0重量%以下とすることが好ましい。
【0029】本発明の吸着剤である架橋重合体は、上記
単量体を用いて、重合開始剤の存在下において重合反応
を行うことにより容易に得られる。該重合反応は、公知
の重合方法、例えば、懸濁重合法、分散重合法、乳化重
合法などの方法が挙げられる。その中でも、操作の簡便
性、粒径の制御性、溶出物抑制の点から、懸濁重合法を
用いることが好ましい。一方紫外線重合などのエネルギ
ー線重合は使用しない。該重合法は、吸着剤使用時にお
ける未重合物の溶出が考えられ、これは洗浄などによっ
ても除去できにくいためである。
【0030】上記懸濁重合法で行う場合には、例えば水
溶性分散剤を溶解した水性分散媒に、上記架橋性単量体
(非架橋性単量体)及び重合開始剤の混合物を分散さ
せ、攪拌後、不活性ガス雰囲気下で昇温することにより
重合反応を行うことができる。懸濁重合の反応条件は、
用いる単量体や重合開始剤の種類や量などによっても異
なるが、重合温度は、20〜100℃で、0.5〜50
時間反応させることが好ましい。
【0031】上記水溶性分散剤としては、公知のものを
用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン、セルロース誘導体類、ポリアクリ
ル酸ナトリウム等の高分子化合物、あるいは各種界面活
性剤などが挙げられる。
【0032】上記重合開始剤としては、特に限定され
ず、水溶性又は油溶性の公知のラジカル重合開始剤が用
いられる。上記重合開始剤の具体的な例としては、過硫
酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムな
どの過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾ
イルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オク
タノイルパーオキサイド、o−クロロベンゾイルパーオ
キサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルハイド
ロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、
t−ブチルパーオキシイソブチレート、3,5,5−ト
リメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパ
ーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス
イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジ
メチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シ
アノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルブ
チロニトリル)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリ
ルなどのアゾ化合物などが挙げられる。
【0033】上記重合開始剤の使用量は、上記架橋性単
量体100重量部に対し、0.05〜5重量部が好まし
い。重合開始剤の使用量が0.05重量部未満になる
と、重合反応が不十分となったり、重合に長時間を要す
ることがあり、5重量部を越えると、急激な反応の進行
により、凝集物が発生することがある。
【0034】さらに、本発明の吸着剤の重合時には、必
要に応じて公知の添加剤、例えば連鎖移動剤やpH調節
剤などを添加してもよい。また、多孔質化剤(希釈剤あ
るいは相分離剤などとも呼ばれる)として用いる有機溶
媒類を添加して大孔径の多孔質粒子とすることもでき
る。多孔質化剤の使用量は、単量体全量に対して0〜1
00重量%とするのが好ましい
【0035】重合後、得られた架橋重合体は、洗浄して
乾燥することにより本発明の吸着剤が得られる。洗浄
は、有機溶媒で複数回洗浄する必要がある。また好まし
くは複数種の有機溶媒で複数回洗浄する。洗浄に使用す
る有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノールなどのアルコール類;アセトン、
ヘキサン、ジクロロエタン、トルエン、キシレンなど公
知の有機溶媒が用いられる。洗浄方法は特に制限がな
く、架橋重合体を有機溶媒に浸漬して撹拌するなどの方
法によって行うことができる。またその際、加温したり
超音波照射などをおこなってもよい。
【0036】本発明でいうホルモン様作用物質とは、生
物由来のステロイドホルモン類、および生体内において
ホルモン類似作用が報告されている物質またはホルモン
類似作用が疑われる物質であり、いわゆる内分泌攪乱化
学物質と呼ばれる物質を含む。このような物質として
は、例えば、ポリハロゲン化ビフェニール類を含むダイ
オキシン類;4−t−ブチルフェノール、4−n−ヘプ
チルフェノール、ノニルフェノール、4−t−オクチル
フェノールなどのアルキルフェノール類;ビスフェノー
ルA;2,4−ジクロロフェノール;フタル酸ジ−2−
エチルヘキシル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ
エチルなどのフタル酸エステル類;アジピン酸ジ−2−
エチルヘキシル;ベンゾ(a)ピレン、ベンゾフェノ
ン、4−ニトロトルエン、スチレン、スチレン2量体、
スチレン3量体などの芳香族化合物;エストラジオール
などのエストロジェン類;などが挙げられる。
【0037】本発明の吸着剤は、これらの中でも特にア
ルキルフェノール類、ビスフェノールA、フタル酸エス
テル類、ダイオキシン類、エストロジェン類に対する吸
着剤として好適に使用される。これらのホルモン様作用
物質を含む対象試料は、例えば各種環境水、大気、生体
成分などの液体、気体あるいは固体からの抽出物など特
に制限はない。
【0038】本発明の吸着剤は、ホルモン様作用物質を
効率よく吸着し、かつ容易に脱着するので、例えば環境
中あるいは生体成分中の該物質測定における前処理に用
いることができる。さらに焼却過程や各種製造過程から
の排気や環境大気全般、または下水や産業排水を含む排
水、湖沼水、河川水、海水などの環境水中から、ホルモ
ン様作用物質の除去に用いることができる。但しこれら
の用途に限定されるわけではない。
【0039】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示す。但し、本発
明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。(1)吸着剤の調製 [実施例1]トリエチレングリコールジメタクリレート
(新中村化学工業社製)500gに、過酸化ベンゾイル
(重合開始剤:キシダ化学社製)1.0gを溶解させ
た。3重量%ポリビニルアルコール水溶液2500mL
を収容させた丸底フラスコにこれを添加し、錨型撹拌羽
根にて撹拌し、窒素雰囲気下で80℃に昇温した。攪拌
速度300rpm、80℃で24時間重合した後、内容
物をイオン交換水で3回、アセトンで1回、エタノール
で4回洗浄した。洗浄後乾燥して本発明の吸着剤を得
た。
【0040】[実施例2〜6]表1に示した単量体を用
い、表1に示した攪拌速度で攪拌しながら重合を行った
こと以外は、実施例1に準じて操作を行い、各吸着剤を
得た。
【0041】[比較例1]トリエチレングリコールジメ
タクリレート350gに、過酸化ベンゾイル0.7gを
溶解した。3重量%ポリビニルアルコール水溶液250
0mLを収容させた平底フラスコにこれを添加し、ター
ビン型撹拌羽根にて撹拌し、窒素雰囲気下で80℃に昇
温した。撹拌速度300rpm、80℃で24時間重合
した後、内容物をイオン交換水で3回、アセトンで1
回、エタノールで4回洗浄した。洗浄後乾燥して吸着剤
を得た。
【0042】[比較例2〜6]表1に示した単量体を用
い、表1に示した攪拌速度で攪拌しながら重合を行った
こと以外は、比較例1に準じて操作を行い、各吸着剤を
得た。
【0043】
【表1】
【0044】(2)粒度分布の測定 上記実施例および比較例で得られた各吸着剤について、
粒度分布の測定を行った。粒度分布の測定は、コールタ
ーマルチサイザー(コールター(株)製)または光学顕
微鏡(オリンパス(株)製)により行った。結果を表2
に示した。
【0045】
【表2】
【0046】(3)性能評価 上記実施例及び比較例で得られた吸着剤について、以下
のように性能を評価した。
【0047】(a)吸着再現性の評価 上記の実施例および比較例により得られた吸着剤0.2
gを、内径9mm、長さ65mmのポリプロピレン製カ
ラム(孔径20μmのポリエチレン製フィルタ付き)に
充填した。このカラムにビスフェノールA(BPA)標
準液(和光純薬製)から調製したBPA濃度が1μg/
mLの10重量%メタノール水溶液5mLを添加・通液
させた。この後、メタノール10mLを再度通液してB
PAを溶出させた。得られたメタノール溶液の上清を遠
心エバポレータで蒸発乾固させた後、ELISA用リン
酸緩衝液に溶解させて、ELISA系で測定を行った。
ELISA系での分析は、以下の手法で行った。抗BP
A抗体固相化プレートに検体50μLを添加し、さらに
HRP(horse radish peroxidase )標識BPA50μ
Lを添加して室温で2時間反応させた。プレートを洗浄
した後、o−フェニルジアミン(OPD)を添加して1
5分反応させ、492nmで吸光度を測定した。上清中
のBPA量から吸着剤に吸着したBPA量を算出した。
また、各吸着剤を用いて、各20本のカラムを調製し、
同様の操作を行って吸着率の再現性を確認した。さら
に、BPAの代わりにダイオキシンについても同様に評
価を行ない、吸着率を算出した。
【0048】吸着再現性の結果を、BPAの場合につい
ては表3に、ダイオキシンの場合については表4に示し
た。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】実施例の各吸着剤では、吸着率のCV値
が、5%以下と極めて良好な再現性を示した。一方、比
較例の各吸着剤では吸着率のCV値が10数%以上とバ
ラツキが大きく、特に高精度測定の前処理に用いること
は困難であると判明した。
【0052】(b)耐久性の評価 上記各吸着剤を、直径1cm、長さ30cmのステンレ
ス製カラムに充填した。上記(a)と同様のBPA溶液
を調製し、この溶液を10mL/分で上記カラムに通液
し続けた。通液開始から10時間、20時間及び30時
間経過後、カラム吸着物をメタノールにより脱着し、上
記(a)と同様にして各10時間毎におけるBPA量を
測定した。
【0053】測定結果を表5に示す。表5から、実施例
においては長時間の処理でも吸着量が低下しないが、比
較例においては吸着量が大きく低下し、長時間使用ある
いは大量試料の処理を行うことができないことが分か
る。
【0054】
【表5】
【0055】(c)排水処理の実用試験 河川水からの、ホルモン様作用物質の除去試験を行っ
た。 (方法)一般河川水100Lを採取した。用いた河川水
にはBPAが検知されなかったため、BPA標準液を1
00ng/mLとなるよう、この河川水に添加した。実
施例2で得られた吸着剤をステンレス製カラム(直径1
0cm×長さ50cm)に充填した。これに上記河川水
100Lを、流速1L/分で全量通水した。得られた処
理水中のBPAを、上記と同様のELISA法で測定し
た。その結果、吸着率は99.1%であり、50時間使
用後においても吸着率の低下は認められなかった。
【0056】
【発明の効果】本発明のホルモン様作用物質吸着剤は、
試料中のホルモン様作用物質を特異的に効率よく吸着で
きるため、ホルモン様作用物質の抽出・濃縮を行う固相
抽出用吸着剤として有用である。また、特に吸着再現性
に優れているため、高精度測定の前処理に有用である。
さらに有機溶媒による脱着により再生処理が可能である
ため、特に環境中からのホルモン様作用物質の除去など
の大量処理時においてもコスト的に有利である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 架橋重合体よりなる、粒状のホルモン様
    作用物質吸着剤であって、粒度分布の変動係数(CV
    値)が、1〜40であることを特徴とするホルモン様作
    用物質吸着剤。
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