JP2001220115A - 高結晶性の多孔質黒鉛膜及びその製造方法 - Google Patents
高結晶性の多孔質黒鉛膜及びその製造方法Info
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Abstract
を容易に透過し得る高結晶性の多孔質黒鉛膜及びその製
造方法を提供することである。 【解決手段】 本発明は、結晶化度が75%以上で、微
細な連続孔を有する多孔質黒鉛膜、及びその製造方法を
を提供する。
Description
質黒鉛化膜、特に結晶化度が75%以上で、微細な連続
孔を有する多孔質黒鉛化膜及びその製造方法に関し、こ
の発明の高結晶性の多孔質黒鉛化膜膜は膜の片面から他
の面に物質を容易に透過し得る。
て使用する技術が提案されている。これにはセルロ−
ス、熱硬化性樹脂、ピッチタ−ルを前駆体に用いたもの
が多い。
開昭61−275114号公報、特開昭61−2751
15号公報、特開昭61−275117号公報になど特
定の耐熱性高分子フィルムを熱処理するグラファイトの
製造方法が開示されている。
05199号公報、特開平5−17115〜特開平5−
17118号公報に開示され、X線モノクロメ−タ−、
中性子線モノクロメ−タ−などの放射線光学素子として
有用な配向黒鉛結晶体の製造方法が示されている。そこ
では、耐熱性高分子フィルムをブロック内部で配向し、
フィルム内部で結晶配列がされ、かつフィルム同士が接
着していることが重要とされる。そのために、グラファ
イトに至る熱挙動と構造変化を考慮して、温度領域によ
って、加圧を調節し、配向歪みの少ない黒鉛ブロックを
得ている。
処理を行なえば黒鉛化が促進されることがよく知られて
いる。また、特開平8−119613号公報には、ポリ
イミドなどの熱硬化性樹脂フィルムあるいは炭化フィル
ムにホウ素化合物を添加すると、加熱下によって配向度
の高い黒鉛体を得られることが開示されている。
系化合物の存在下で行う方法が公知である。例えば、粉
末の黒鉛は、特開52−106395号公報などに開示
されている。また特公昭53−31978号公報、特開
47−562号公報には炭素繊維にホウ素化合物を添加
して黒鉛繊維を製造する方法が記載されている。これら
公知の方法はいずれも炭素にホウ素化合物を添加して熱
処理を行うもので、ホウ素の働きにより黒鉛結晶が発達
した炭素体とするものである。
明者らにより、特願平11−148174号として、平
均孔径0.1〜10μmの連続孔を有する多孔質炭化膜
に関する発明を特許出願している。この発明によれば、
無定形炭化膜から黒鉛化膜にいたる多孔性炭化膜が得ら
れる。しかしながら、黒鉛膜である多孔性炭化膜の結晶
化度が約50%程度とかなり低かった。一方、燃料電池
用電極としては、結晶化度の高い良質の黒鉛であること
により、電導性が高く、その結果電池性能がよいため
に、また、セパレ−タ−として用いる時は黒鉛化してい
ると、加工性がよく、かつ機械的強度、折り曲げ強度が
強いために、結晶化度のさらに高い多孔質黒鉛膜が必要
となっている
の片面から他の面に物質を透過し得る高結晶性の多孔質
黒鉛化膜及びその製造方法を提供することである。
75%以上で、微細な連続孔を有する多孔質黒鉛化膜に
関する。また、この発明は、微細な連続孔を有する高耐
熱性樹脂製の多孔膜にホウ素化合物を添加し、嫌気性雰
囲気下に加熱して黒鉛化することを特徴とする結晶化度
が75%以上で、微細な連続孔を有する多孔質黒鉛化膜
の製造方法に関する。
す。 1)平均孔径が0.05〜10μmである上記の多孔質
黒鉛化膜。 2)結晶化度が90%以上である上記の多孔質黒鉛化
膜。
の製造方法。 4)多孔膜に、ホウ素、ホウ素の酸化物、ホウ素の水酸
化物、ホウ素塩あるいはホウ素の炭化物であるホウ素化
合物を固体で添加するか、これらを溶媒に溶解した溶液
あるいは懸濁液を塗布後乾燥するか、または金属ホウ素
を蒸着してホウ素化合物を添加する上記の製造方法。 5)2600〜3500℃で加熱して黒鉛化する上記の
製造方法。 6)等方圧下で加熱して、黒鉛化する上記の製造方法。 この明細書において、連続孔とは任意の表面から細孔が
通路状に他の表面まで伸びるいわゆる開放孔をいい、好
適には細孔が曲がりくねった通路を通して非直線的に通
じているものをいう。
75%以上、好適には90%以上で、微細な連続孔を有
する有するものであり、特に平均孔径0.05〜10μ
mの連続孔を有するものである。平均孔径が0.05μ
m未満では、溶液、特に粘度が高い溶液の浸透性、透過
性の機能が発揮しにくいので好ましくない。また、平均
孔径が10μmを越えると可撓性が劣るので好ましくな
い。この発明の多孔質炭化膜の平均孔径は、炭化を行う
ポリイミド膜の空孔率あるいは加熱温度によって調節す
ることが可能である。そして、細孔は少なくともその一
部が連続孔である。
鉛化膜は、例えば微細な連続孔を有する高耐熱性樹脂製
の多孔膜にホウ素化合物を添加し、嫌気性雰囲気下に加
熱して黒鉛化することによって得ることができる。
製の多孔膜としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、
芳香族ポリアミドなどの高耐熱性樹脂製の多孔膜(フィ
ルム)、好適には有機溶媒中でテトラカルボン酸二無水
物とジアミンとを重合したポリイミド前駆体(ポリアミ
ック酸ともいう)溶液を出発材料とするポリイミドの多
孔膜からなる。
孔膜の代表例である多孔性ポリイミドフィルムは、例え
ば次の方法によって製造することができる。他の高耐熱
性樹脂の多孔膜も2種の酸成分とアミン成分とから同様
にして得ることができる。ポリイミド前駆体は流延物を
溶媒置換速度調節材を介して凝固溶媒と接触させてポリ
イミド前駆体の析出、多孔質化をおこない、次いで多孔
化されたポリイミド前駆体フィルムを熱イミド化あるい
は化学イミド化して多孔質ポリイミドフィルムを製造す
る。
ボン酸成分とジアミン成分の好ましくは芳香族化合物に
属するモノマ−を重合して得られたポリアミック酸或い
はその部分的にイミド化したものであり、化学イミド化
剤の不存在下あるいは存在下に熱処理(熱処理或いは化
学処理)してポリイミドとすることができる。
ミン成分は、有機溶媒中に大略等モル溶解、重合して、
対数粘度(30℃、濃度;0.5g/100mL NM
P)が0.3以上、特に0.5〜7であるポリアミック
酸であるポリイミド前駆体が製造される。また、重合を
約80℃以上の温度で行った場合に、部分的に閉環した
部分イミド化であるポリイミド前駆体が製造される。
3,3’,4,4’− ビフェニルテトラカルボン酸二
無水物(以下、s−BPDAと略記することもある)が
好ましいが、2,3,3’,4’− ビフェニルテトラ
カルボン酸二無水物(以下、a−BPDAと略記するこ
ともある)、2,3,3’,4’− 又は3,3’,
4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、あるいは2,
3,3’,4’− 又は3,3’,4,4’−ビフェニ
ルテトラカルボン酸の塩またはそれらのエステル化誘導
体であってもよい。ビフェニルテトラカルボン酸成分
は、上記の各ビフェニルテトラカルボン酸類の混合物で
あってもよい。
述のビフェニルテトラカルボン酸類のほかに、ピロメリ
ット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカ
ルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)プロパン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)
スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エー
テル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエ−
テル、ブタンテトラカルボン酸、あるいはそれらの酸無
水物、塩またはエステル化誘導体などのテトラカルボン
酸類であってもよい。
一般式(1) H2N−R(R1)m−A−(R2)nR‘−NH2 (1) (ただし、前記一般式において、R及びR‘は直接結合
あるいは二価の芳香族環でその少なく1つが二価の芳香
族環であり、R1またはR2は、水素、低級アルキル、低
級アルコキシなどの置換基であり、Aは、直接結合、
O、S、CO、SO 2、SO、CH2、C(CH3)2など
の二価の基である)で示される芳香族ジアミン化合物が
好ましい。
ては、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジ
フェニルエ−テル(以下、DADEと略記することもあ
る)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェ
ニルエ−テル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジア
ミノジフェニルエ−テルなどが好ましい。
は、ジアミノピリジンであってもよく、具体的には、
2,6−ジアミノピリジン、3,6−ジアミノピリジ
ン、2,5−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリ
ジンなどが挙げられる。芳香族ジアミン成分は上記の各
芳香族ジアミンを2種以上組み合わせて使用してもよ
い。
0.3〜60重量%、好ましくは1%〜30重量%の割
合で溶解されているポリイミド前駆体溶液として調製さ
れる(重合溶液をそのまま用いても良い)。ポリイミド
前駆体の割合が0.3重量%より小さいと多孔質膜を作
製した際のフィルム強度が低下するので適当でなく、6
0重量%より大きいと均一な溶液になりにくいので上記
範囲の割合が好適である。また、調製されたポリイミド
前駆体溶液の溶液粘度は10〜10000ポイズ、好ま
しくは40〜3000ポイズである。溶液粘度が10ポ
イズより小さいと溶液を流延した際に流動により流延厚
みが容易に変化してしまい、均一な厚みのフィルムを得
るのが容易ではないので適当でなく、10000ポイズ
より大きいとフィルム状に流延することが困難となるの
で、上記範囲が好適である。
る有機溶媒は、パラクロロフェノール、N−メチル−2
−ピロリドン(NMP)、ピリジン、N,N−ジメチル
アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド、テトラメチル尿素、フェノ−ル、クレ
ゾ−ルなどが挙げられる。
延された後、例えば、少なくとも片面に溶媒置換速度調
整材を配した積層フィルムとされ、溶媒置換速度調整材
を介して凝固溶媒と接触させることでポリイミド前駆体
の析出、多孔質化が行われるる。前記の積層フィルムを
得る方法としては特に制限はないが、該ポリイミド前駆
体溶液を基台となるガラス等の板上或いは可動式のベル
ト上に流延した後、流延物表面を溶媒置換速度調整材で
覆う方法、該ポリイミド前駆体溶液をスプレ−法或いは
ドクタ−ブレ−ド法を用いて溶媒置換速度調整材上に薄
くコ−ティングする方法、該ポリイミド前駆体溶液をT
ダイから押出して溶媒置換速度調整材間に挟み込み、両
面に溶媒置換速度調整材を配した3層積層フィルムを得
る方法などの手法を用いることができる。
多層フィルムを凝固溶媒と接触させてポリイミド前駆体
を析出させる際に、ポリイミド前駆体の溶媒及び凝固溶
媒が適切な速度で透過する事が出来る程度の透過性を有
するものが好ましい。溶媒置換速度調整材の膜厚は5〜
500μm、好ましくは10〜100μmであり、フィ
ルム断面方向に連続した平均径0.01〜10μm、好
ましくは0.02〜2μmの孔が十分な密度で分散して
いるものが好適である。溶媒置換速度調整材の膜厚が上
記範囲より小さいと溶媒置換速度が速すぎる為に析出し
たポリイミド前駆体表面に緻密層が形成されるだけでな
く凝固溶媒と接触させる際にシワが発生する場合がある
ので適当でなく、上記範囲より大きいと溶媒置換速度が
遅くなる為にポリイミド前駆体内部に形成される孔構造
が不均一となる。
的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィン、セルロ−ス、テフロンなどを材料とした不織布或
いは多孔膜などが用いられ、特にポリオレフィン製の微
多孔質膜を用いた際に、製造されたポリイミド多孔質フ
ィルム表面の平滑性に優れるので好適である。
イミド前駆体流延物は、溶媒置換速度調整材を介して凝
固溶媒と接触させることでポリイミド前駆体の析出、多
孔質化が行われる。ポリイミド前駆体の凝固溶媒として
は、エタノ−ル、メタノ−ル等のアルコ−ル類、アセト
ン、水等のポリイミド前駆体の非溶媒またはこれら非溶
媒99.9〜50重量%と前記ポリイミド前駆体の溶媒
0.1〜50重量%とのの混合溶媒を用いることができ
る。非溶媒及び溶媒の組合わせには特に制限はないが、
凝固溶媒に非溶媒と溶媒からなる混合溶媒を用いた場合
に析出したポリイミド前駆体の多孔質構造が均一となる
ので好適である。
書に記載のように、相容性パラメ−タ−が特定の範囲の
非溶媒を含む混合溶媒を使用してポリイミド多孔膜を製
造してもよい。前記の方法としては、例えば、ポリイミ
ド前駆体0.3〜60重量%と溶媒99.7〜40重量
%からなる溶液をフィルム状に流延し、前記ポリイミド
前駆体の非溶媒の蒸気に曝露する処理を行った後、凝固
溶媒に浸漬もしくは接触させてポリイミド前駆体の多孔
質膜とし、得られたポリイミド前駆体の多孔質膜を熱処
理或いは化学処理してポリイミド多孔質フィルムとする
ことができる。
は、エタノ−ル、メタノ−ル等のアルコ−ル類、アセト
ン、水等のポリイミド前駆体の非溶媒を気相として含む
気体を該ポリイミド前駆体溶液表面に吹き付け上記非溶
媒蒸気を該前駆体溶液中に取り込ませる方法、上記気体
を充たした処理槽内で該ポリイミド前駆体溶液を所定時
間保持乃至はベルトなどで通過させ上記非溶媒蒸気を該
前駆体溶液上で凝縮させる方法などの手法をとることが
できる。
溶液表面1平方メ−トル当たり非溶媒蒸気が約0.1モ
ル以上凝縮する程度持続させると緻密層の形成阻害に好
適である。上記非溶媒蒸気曝露処理を継続する時間に特
に上限はないが、該前駆体溶液表面における凝縮した上
記非溶媒の量の増加により該前駆体が析出し該前駆体溶
液が白濁する直前に終了させると、均質な多孔質構造を
得るのに好適である。
駆体溶液の温度は室温でよいが、該非溶媒蒸気のポリイ
ミド前駆体溶液表面における凝縮が生じる条件が充たさ
れれば、これに限られない。上記非溶媒蒸気曝露処理工
程において該前駆体溶液の雰囲気は、大気圧の空気中で
よいが、該非溶媒蒸気のポリイミド前駆体溶液表面にお
ける凝縮が生じる条件が充たされれば、これに限られな
い。
ポリイミド前駆体溶液の膜は、凝固溶媒と接触させるこ
とでポリイミド前駆体の析出、多孔質化を行う。ポリイ
ミド前駆体の凝固溶媒としては、エタノ−ル、メタノ−
ル等のアルコ−ル類、アセトン、水等のポリイミド前駆
体の非溶媒またはこれら非溶媒99.9〜50重量%と
前記ポリイミド前駆体の溶媒0.1〜50重量%との混
合溶媒を用いることができる。
れたポリイミド前駆体の膜は、ついで熱処理或いは化学
処理が施されてポリイミドの多孔質膜とされる。ポリイ
ミド前駆体膜の熱処理は、該ポリイミド前駆体多孔質膜
をピン、チャック或いはピンチロ−ル等を用いて熱収縮
が生じないように固定し、大気中にて280〜500℃
で5〜60分間行わうことが好ましい。
質フィルムは、前記製造条件の選択によっても多少異な
るが、空孔率30〜85%、好ましくは40〜70%、
平均孔径0.1〜10μm、好ましくは0.1〜5μ
m、その中でも好ましくは0.1〜1μmで、最大孔径
10μm以下である。空孔率が低すぎると、炭化膜とし
て、有効面積が小さくなったり、溶液、特に粘度が高い
溶液の浸透性、透過性の機能が発揮しにくいので好まし
くない。また空孔率が高すぎると、機械的強度が低下す
るので好ましくない。平均孔径が0.1μmよりも小さ
いと、溶液、特に粘度が高い溶液の浸透性、透過性の機
能が発揮しにくいので好ましくない。平均孔径が10μ
mより大きいと燃料電池のセパレ−タ−に用いる場合、
反応ガスや排ガスが均一な流れにならず不均一なガスの
流れになるから好ましくない。
ホウ素系化合物としては、ホウ素あるいはホウ素の酸化
物、水酸化物、炭化物である。これはホウ素が、六角網
面の炭素と固溶体を形成し、該網面内を拡散移動するこ
とにより、網面の持つ歪みを解消するためであると考え
られている。たとえば、炭化ホウ素は2700℃前後で
液相を生じ、炭素の六角網目構造中のC位置にB原子が
ある程度の濃度範囲で置換可能であることから結晶化を
促進すると考えられる。
フィルムに、固体で添加する。塗布法によりフィルム面
上に塗布する。塗布法による場合は、例えばホウ素にお
いてはホウ酸をエタノールで溶かして用いるなど、塩や
塩化物などの化合物として適当な溶媒で溶解させ液状物
として塗布することができる。また、金属ホウ素を蒸着
することもできる。ホウ素添加量は、2〜20重量%が
好ましい。粒状の炭化ホウ素を添加し、後の焼成の工程
に供する。
孔ポリイミドフィルムにホウ素系化合物を添加した多孔
性ポリイミドフィルム組成物を、嫌気性雰囲気下で、好
適には温度2600〜3500℃まで加熱し、黒鉛化す
ればよい。このとき加熱と同時に圧力を加えながら処理
するのが望ましい。等方加圧の装置で加熱するのが好ま
しい。等方加圧処理すると、結晶化に伴う収縮に対し等
方的に圧力が追従する為に、初期形状を保持しながら等
方的に試料全体が収縮するので、前駆体フィルムの形
状、例えば多孔質体、複雑形状のものを反映した構造の
グラファイト構造物を作製したい場合には、特に好まし
い。
酸素など酸化活性の期待がないことが必要であり、嫌気
性気体には、アルゴン、ヘリウム、窒素などが適当であ
る。特に黒鉛化には、アルゴンが好ましい。
に留去するように、また、いったん蒸発した分解物が再
び沈着しないように、不活性ガスの気流中で行うのが好
ましい。そのためには、1段目は、温度1000〜15
00℃の範囲まで、不活性ガスの気流中で焼成をおこな
う。
ムが徐々に炭化するのが好ましく、分解物を急激に逸散
すると、炭素分が留去してしまい、炭化収率が低くなる
ことがあって好ましくない。また構造の欠陥もできやす
い。そのためには、昇温速度20℃/分以下、特に0.
5〜10℃/分程度の十分遅い速度で昇温することが好
ましい。
温度で焼成して、熱分解で蒸発物が無くなったならば、
2段目は、等方圧装置で加熱するのがよい。アルゴンガ
スで、圧力50〜200MPaを印加する。また、温度
範囲1000〜1500℃に昇温した後、ホウ素系化合
物を炭化膜に添加して、再び昇温し黒鉛化温度まで加熱
してもよい。
炭化、あるいは黒鉛化処理することが好ましく、それに
よって、炭化の際に起こる収縮に伴う形状の変化を抑
え、炭化中の前駆体が配向しやすいために、強度の強い
炭化物、引いては黒鉛化物ができる。また、ホウ素系化
合物の存在と相まって、結晶化度の高い黒鉛構造をもた
らす。また、多孔膜の初期形状を反映するには等方圧が
重要である。フィルム面に圧力を加える方法としては、
加熱しながら、耐熱性の多孔板、またはフィルムシ−ト
に挟み込み、炭化及び黒鉛膜の形状に整えるのに好適で
ある。例えば、炭素板、炭素フィルムに挟むのがよい。
0.1〜10μmの連続孔を有する多孔質ポリイミドフ
ィルムを嫌気性雰囲気下で、2600〜3500℃で加
熱して結晶化度の高い多孔質黒鉛膜を製造することがで
きる。この発明の多孔質黒鉛膜は、結晶子サイズが大き
く、好適には(002)面方向は100A(オングスト
ロ−ム)以上、特に100〜1000A、(101)面
方向は75A以上、特に75〜200Aである。
を有していて、結晶化度が75%以上、好適には90%
以上、特に95%以上あり、放熱体、伝導体、電池の電
極など高品位の黒鉛材料として用いることができる。
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。以下の各例において、透気度、空孔率、平均孔径、
結晶化度は以下によって求めたものである。
B型ガ−レ−デンソメ−タ−(東洋精機社製)を使用し
た。試料片を直径28.6mm、面積645mm2の円
孔に締付ける。内筒重量567gにより、筒内の空気を
試験円孔部から筒外へ通過させる。空気100ccが通
過する時間を測定し、透気度(ガ−レ−値)とした。
び重量からフィルムのみかけの密度を算出して、次の式
(1)によって求めた。式(1)のSは多孔質フィルム
の面積、dは膜厚、Wは測定した重量、Dはポリイミ
ド、黒鉛の密度を意味し、ポリイミドの密度は1340
kg/m3、黒鉛の密度は1810kg/m3とした。 空孔率(%)=100−100×(W/D)/(S×
d)
点以上の開孔部について孔面積を測定し、該孔面積の平
均値から式(2)に従って孔形状が真円であるとした際
の平均直径を計算より求めた。式(2)のSaは孔面積
の平均値を意味する。 平均孔径=2×(Sa/π)1/2
測定し、Ruland法により測定した。 格子定数 (002)面、(101)面の面間隔より、黒鉛結晶の
格子定数を求めた。 結晶子サイズ (002)面、(101)面のピ−クの半値幅より、S
hellerの式に従って求めた。
ルムの製造) テトラカルボン酸成分としてs−BPDAを、ジアミン
成分としてDADEを用い、s−BPDAに対するDA
DEのモル比が0.994で且つ該モノマー成分の合計
重量が20重量%になるようにNMPに溶解し、温度4
0℃、6時間重合を行ってポリイミド前駆体を得た。ポ
リイミド前駆体溶液の溶液粘度は500ポイズであっ
た。
板上に厚みが約150μmになるように流延し、溶媒置
換速度調整材として透気度550秒/100ccのポリ
オレフィン微多孔膜(宇部興産社製、ユ−ポアUP2015)
でシワの生じないように表面を覆った。該積層物をメタ
ノ−ル中に5分間浸漬し、溶媒置換速度調整材を介して
溶媒置換を行うことでポリイミド前駆体の析出、多孔質
化を行った。析出したポリイミド前駆体多孔質フィルム
を水中に15分間浸漬した後、ガラス板及び溶媒置換速
度調整材から剥離し、ピンテンタ−に固定した状態で、
大気中にて温度300℃、10分間熱処理を行った。ポ
リイミド多孔質フィルムのイミド化率は80%であり、
フィルム断面方向に連続孔を有していた。
厚、透気度、空孔率、平均孔径の測定結果は次の通りで
ある。 測定結果: 膜厚 55μm 透気度 220秒/cc 空孔率 67% 平均孔 0.8μm
炭化ホウ素を10重量%添加した組成物とし、アルゴン
ガスの雰囲気中で、通気性の炭素シ−トに挟み込み、昇
温速度10℃/分で、1200℃まで昇温した。続い
て、熱間等方圧装置(HIP)により、アルゴンガス
中、昇温速度5℃/分、圧力150MPaで、温度30
00℃まで昇温し、120分保持した。降温後、得られ
た黒鉛膜は、光沢のある多孔質膜を呈していた。この多
孔質黒鉛膜は、炭化前の空孔より少し小さくなってお
り、平均孔径は0.2μmであった。走査型電子顕微鏡
写真の結果及びメタノ−ルが通過したことより微細な連
続孔を有していることが確認された。
95%以上であり、格子定数はa軸が2.46A、c軸
が6.69A、結晶子サイズは、(002)面方向は4
20A、(101)面方向は100Aであった。なお、
JCPDSのX線カードによると黒鉛の格子定数はa軸
2.47A、c軸6.72Aである。これらの結果よ
り、ほとんど黒鉛の格子定数と一致し、結晶子サイズも
十分に大きなものであった。結晶化度もかなり高いもの
であった。
を使用して、温度1800℃まで昇温し、続いて、アル
ゴン気流下で温度3000℃まで昇温した。降温後、得
られた黒鉛膜は、光沢の多孔質膜を呈していた。また、
X線回折より、黒鉛の結晶化度は65%であり、格子定
数はa軸が2.55A、c軸が6.77A、結晶子サイ
ズは、(002)面方向は50A、(101)面間隔は
60Aであった。これらの結果より、黒鉛の格子定数に
対して、a軸は大きく、結晶子サイズも小さなものに過
ぎなかった。
に物質を透過し得る、高結晶化度の多孔質黒鉛膜を得る
ことができる。また、この発明の方法によれば、高耐熱
性樹脂製の多孔膜に特定の材料を添加して黒鉛化すると
いう簡単な操作で高収率で高結晶化度の多孔質黒鉛膜を
得ることができる。
Claims (8)
- 【請求項1】結晶化度が75%以上で、微細な連続孔を
有する多孔質黒鉛化膜。 - 【請求項2】平均孔径が0.05〜10μmである請求
項1に記載の多孔質黒鉛化膜。 - 【請求項3】結晶化度が90%以上である請求項1に記
載の多孔質黒鉛化膜。 - 【請求項4】微細な連続孔を有する高耐熱性樹脂製の多
孔膜にホウ素化合物を添加し、嫌気性雰囲気下に加熱し
て黒鉛化することを特徴とする結晶化度が75%以上
で、微細な連続孔を有する多孔質黒鉛化膜の製造方法。 - 【請求項5】高耐熱性樹脂がポリイミドである請求項4
に記載の製造方法。 - 【請求項6】多孔膜に、ホウ素、ホウ素の酸化物、ホウ
素の水酸化物、ホウ素塩あるいはホウ素の炭化物である
ホウ素化合物を固体で添加するか、これらを溶媒に溶解
した溶液あるいは懸濁液を塗布後乾燥するか、または金
属ホウ素を蒸着してホウ素化合物を添加する請求項4に
記載の製造方法。 - 【請求項7】2600〜3500℃で加熱して黒鉛化す
る請求項4に記載の製造方法。 - 【請求項8】等方圧下で加熱して、黒鉛化する請求項4
に記載の製造方法。
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