JP2001068064A - 熱放射体およびその製造方法 - Google Patents

熱放射体およびその製造方法

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JP2001068064A
JP2001068064A JP24003299A JP24003299A JP2001068064A JP 2001068064 A JP2001068064 A JP 2001068064A JP 24003299 A JP24003299 A JP 24003299A JP 24003299 A JP24003299 A JP 24003299A JP 2001068064 A JP2001068064 A JP 2001068064A
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polyimide
film
solvent
polyimide precursor
heat radiator
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Nobuo Oya
修生 大矢
Shigeru Yao
滋 八尾
Yukihiko Asano
之彦 浅野
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Ube Industries Ltd
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B38/00Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof
    • C04B38/0022Porous mortars, concrete, artificial stone or ceramic ware; Preparation thereof obtained by a chemical conversion or reaction other than those relating to the setting or hardening of cement-like material or to the formation of a sol or a gel, e.g. by carbonising or pyrolysing preformed cellular materials based on polymers, organo-metallic or organo-silicon precursors

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、高温でも安定して高い発光
効率を保持し得る熱放射体、および、該熱放射体の製造
方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、平均孔径0.1〜5μm、空
孔率30〜80%の微細な非直線性の連続孔を有する炭
素材料からなる熱放射体、およびその製造方法に関す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱放射体、その製造
方法に関するものである。さらに詳しくは、高温でも発
光効率が高い状態で使用し得る熱放射体、およびその熱
放射体の製造方法に関する。本発明において、非直線性
の微細な連続孔とは、任意の表面から細孔が通路状に他
の表面まで連続しているいわゆる開放孔であって、細孔
が屈曲しながらある面から反対面に通じているものをい
う。
【0002】
【従来の技術】熱放射光源は、演色性に優れた光源とし
て広く用いられているが、一般に熱放射光源から放射さ
れる電磁波は、人間の目に光として感じられない赤外光
が多く含まれるため、可視光発光効率が悪い。
【0003】熱放射光源の発光効率を向上させるべく、
米国特許第5079473号公報には、熱放射体となる
金属に微細な表面構造を構成して赤外抑制手段とするこ
とにより、発光効率を向上させた光源デバイスが開示さ
れている。微細な凸凹構造は、カットオフ波長が可視光
域と赤外域との境界となる大きさの微細導波管として作
用する微細孔で構成されている。この微細孔からは、基
本的にカットオフ以上の波長が放射されないため、赤外
光の放射が抑制される。具体的には、タングステンの表
面に幅0.35μm、深さ7μmの井戸状の穴を間隔
0.15μmで格子状に並べた構成が開示されている。
【0004】また、このような微細孔を表面に形成した
金属の熱放射体の製造方法は、特開平6−2167号公
報や特開平6−5263号公報に開示されている。これ
らの方法は、陽極酸化を含む工程により、金属の表面に
微細孔を形成する方法である。
【0005】また、ポリイミドなどの有機ポリマ−を、
エキシマ−レ−ザ−により微細孔を規則的に形成させ、
それを加熱して、黒鉛化し、多孔質炭化熱放熱体とする
方法が特開平10−312778号公報に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、表面に
微細加工を施したタングステンなどの金属からなる熱放
射体は、高温まで安定して用いることができないという
課題がある。発光効率の向上のためには、フィラメント
の温度が高いことが好ましく、さらに効率を向上させる
という観点からも、高温で使用し得る熱放射体は強く望
まれているところである。
【0007】また、ポリイミドフィルムの表面にエキシ
マ−レ−ザ−により直線性の微細な貫通孔を規則正しく
形成し、黒鉛化して熱放射体とする方法は、黒鉛を使用
することから、高いフィラメント温度で使用が可能であ
るため、発光効率がすぐれているが、これらの方法は、
製造する際に、精密加工を必要とするため、時間とコス
トがかかる。そのために、製造設備が安価で、経済的に
安価で、品質的にも安定して製造することができる製造
方法が望まれている。
【0008】本発明は、高温でも安定して高い発光効率
を保持し得る熱放射体で、且つ、経済的に安価で、品質
的にも安定して製造することができる製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、平均孔径0.
1〜5μm、空孔率30〜80%の微細な非直線性の連
続孔を有する炭素材料からなる熱放射体に関する。ま
た、本発明は、非直線性の連続孔を有する多孔性ポリイ
ミドを加熱して炭素化する工程を含む微細な非直線性の
連続孔を有する熱放射体の製造方法に関する。
【0010】前記熱放射体においては、曲がりくねっ
た、あるいは分岐のある貫通孔を有しているので、微細
な連続孔が微細導波管として作用することにより、赤外
発光効率が低下するとともに可視光発光効率が向上して
いる。また、内部温度が1500Kに至っても、微細孔
の形状を維持しながら発光し得るため、内部温度が高く
なる状態でも発光効率の高い熱放射体として利用でき
る。なお、後述の実施例では、内部温度が2000Kに
至っても、微細孔の形状が維持される。
【0011】本発明はまた、熱放射体の製造方法であっ
て、表面に微細孔を有する熱放射体の製造に好適な方法
は、有機ポリマ−の多孔質のフィルムを形成する工程
と、この有機ポリマ−を加熱して炭素化する工程とを含
むことを特徴とする。この方法によれば、前述の熱放射
体を経済的に安価で、安定して製造することができる。
【0012】また、本発明の熱放射光源であって、熱放
射体の特性を応用し得る熱放射光源は、内部が非酸化雰
囲気に保持された透光性バルブと、この透光性バルブ内
に固定された微細孔を有する炭素材料からなる熱放射体
と、この熱放射体へのエネルギー印加手段とを具備する
ことを特徴とする。この熱放射光源を、内部が非酸化雰
囲気に保持すると、熱放射体を構成するグラファイトな
どの炭素材料の酸化を防止しながら、高温で、発光効率
が高い電磁波放射を行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施態様について説明す
る。熱放射体の原料としては、高温で処理すると黒鉛化
するこのような固体有機ポリマ−としては、微細な非直
線性の連続孔を有する芳香族ポリイミドが好ましい。ポ
リイミドを黒鉛化すると、黒鉛層面が表面に平行して発
達した配向性の高い黒鉛型構造を得ることができるから
である。また、連続孔を有しているので炭化する際、揮
発分が留去しやすい。
【0014】本発明の熱放射体は、このような微細な非
直線性の連続孔を有するポリイミドフイルムを高温で処
理して炭素化し、好ましくは、さらに黒鉛化することに
より得ることができる。前記の非直線性の微細な連続孔
を有するポリイミドフィルムの製造方法は、ポリイミド
の前駆体溶液のフィルムを、溶媒置換速度調整材を介し
て凝固溶剤に接触させることにより、ポリイミド前駆体
を析出、多孔化した後、該ポリイミドを前駆体を200
〜400℃に加熱し、微細な連続孔を有するポリイミド
膜とした後、さらに高温で処理して炭素化し、好ましく
はさらに黒鉛化することにより得ることができる。
【0015】ポリマ−を炭素化、さらには黒鉛化する温
度は、1500℃以上で行う。好ましくは2000℃以
上、特に好ましくは2900℃以上で処理することが好
ましい。また、高温処理は、嫌気性雰囲気中で実施する
ことが好ましい。嫌気性雰囲気とは、窒素、アルゴン、
ヘリウム中などである。
【0016】熱放射体の微細孔の形状は、微細孔の孔径
は、発光効率向上の観点から、0.1〜5μmであるこ
とが好ましく、さらに0.3〜1μmであることがさら
に好ましい。微細孔の好ましい孔深さは、孔径によって
異なるが1μm以上である。
【0017】本発明の原料ポリイミド多孔質フィルムの
製造法では、凝固溶媒として、ポリイミド前駆体の非溶
媒またはポリイミド前駆体の溶媒0.1〜60重量%と
非溶媒99.9〜40重量%からなる混合溶媒を用いる
ことを特徴とする。
【0018】前記のポリイミド前駆体とは、テトラカル
ボン酸成分とジアミン成分の好ましくは芳香族化合物に
属するモノマ−を重合して得られたポリアミック酸或い
はその部分的にイミド化したものであり、熱処理或いは
化学処理することで閉環してポリイミド樹脂とすること
ができる。ポリイミド樹脂とは、後述のイミド化率が約
50%以上の耐熱性ポリマ−である。
【0019】前記ポリイミド前駆体の溶媒として用いる
有機溶媒は、パラクロロフェノ−ル、N−メチル−2−
ピロリドン(NMP)、ピリジン、N,N−ジメチルア
セトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド、テトラメチル尿素、フェノ−ル、クレゾ
−ルなどが挙げられる。
【0020】テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成
分は、上記の有機溶媒中に大略等モル溶解、重合して、
対数粘度(30℃、濃度;0.5g/100mL NM
P)が0.3以上、特に0.5〜7であるポリイミド前
駆体が製造される。また、重合を約80℃以上の温度で
行った場合に、部分的に閉環してイミド化したポリイミ
ド前駆体が製造される。
【0021】芳香族ジアミンとしては、例えば、一般式
(1) H2N−R(R1)m−A−(R2)nR'−NH2 (1) (ただし、前記一般式において、RまたはR'は、直接
結合あるいは二価の芳香族、R1、R2は、水素、低級ア
ルキル、低級アルコキシなどの置換基であり、Aは、
O、S、CO、SO2、SO、CH2、C(CH32など
の二価の基であり、mおよびnは1〜4の整数であ
る。)で示される芳香族ジアミン化合物が好ましい。
【0022】具体的な化合物としては、4,4’−ジア
ミノジフェニルエーテル(以下、DADEと略記するこ
ともある)、3,3’−ジメチル −4,4’−ジアミ
ノジフェニルエーテル、3,3’−ジエトキシ −4,
4’−ジアミノジフェニルエーテルなどが挙げられる。
前記の一般式H2N−R−NH2で示される芳香族ジアミ
ン成分としては、ジアミノピリジンであってもよく、具
体的には、2,6−ジアミノピリジン、3,6−ジアミ
ノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、3,4−ジア
ミノピリジンなどが挙げられる。
【0023】前記のテトラカルボン酸成分としては、好
適には、ビフェニルテトラカルボン酸成分が挙げられ、
たとえば、3,3’,4,4’− ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物(以下、s−BPDAと略記すること
もある)、2,3,3’,4’− ビフェニルテトラカ
ルボン酸二無水物(以下、a−BPDAと略記すること
もある)が好ましいが、2,3,3’,4’− 又は
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、あ
るいは2,3,3’,4’− 又は3,3’,4,4’
−ビフェニルテトラカルボン酸の塩またはそれらのエス
テル化誘導体であってもよい。ビフェニルテトラカルボ
ン酸成分は、上記の各ビフェニルテトラカルボン酸類の
混合物であってもよい。
【0024】また、上記のテトラカルボン酸成分は、ピ
ロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸,2,2−ビス(3,4−ジカルボキシ
フェニル)プロパン,ビス(3,4−ジカルボキシフェ
ニル)スルホン,ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)エーテル,ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)
チオエーテル,ブタンテトラカルボン酸であってもよ
い。あるいはそれらの酸無水物、塩またはエステル化誘
導体などのテトラカルボン酸類を、全テトラカルボン酸
成分に対して10モル%以下、特に5モル%以下の割合
で置き換えてもよい。
【0025】前記のポリイミド前駆体は、前記有機溶媒
に0.3〜60重量%、好ましくは1%〜30重量%の
割合で溶解してポリイミド前駆体溶液に調製される(重
合溶液をそのまま用いても良い)。ポリイミド前駆体の
割合が0.3重量%より小さいと多孔質膜を作製した際
のフィルム強度が低下するので適当でなく、60重量%
より大きいと均一な溶液になりにくいため、上記範囲の
割合が好適である。また、調製されたポリイミド前駆体
溶液の溶液粘度は10〜10000ポイズ、好ましくは
40〜3000ポイズである。溶液粘度が10ポイズよ
り小さいと多孔質膜を作製した際のフィルム強度が低下
するので適当でなく、10000ポイズより大きいとフ
ィルム状に流延することが困難となるので、上記範囲が
好適である。
【0026】ポリイミド前駆体溶液は、フィルム状に流
延された後、少なくとも片面に溶媒置換速度調整材を配
した積層フィルムとされる。ポリイミド前駆体溶液の流
延積層フィルムを得る方法としては特に制限はないが、
該ポリイミド前駆体溶液を基台となるガラス等の板上或
いは可動式のベルト上に流延した後、流延物表面を溶媒
置換速度調整材で覆う方法、該ポリイミド前駆体溶液を
スプレー法或いはドクターブレード法を用いて溶媒置換
速度調整材上に薄くコ−ティングする方法、該ポリイミ
ド前駆体溶液をTダイから押出して溶媒置換速度調整材
間に挟み込み、両面に溶媒置換速度調整材を配した3層
積層フィルムを得る方法などの手法を用いることができ
る。
【0027】ポリイミド前駆体溶液は、フィルム状に流
延して流延物とした後、少なくとも片面に溶媒置換速度
調整材を配した積層フィルムとされる。ポリイミド前駆
体溶液の流延積層フィルムを得る方法としては特に制限
はないが、該ポリイミド前駆体溶液を基台となるガラス
などの板状あるいは可動式のベルト上に流延した後、流
延物表面を溶媒置換速度調整材で覆う方法、該ポリイミ
ド前駆体溶液をスプレー法あるいはドクタ−ブレ−ド法
を用いて溶媒置換速度調節材上に薄くコ−ティングする
方法、該ポリイミド前駆体溶液をTダイから押出して溶
媒置換速度調節材間に挟み込み、両面が溶媒置換速度調
節材を配した3層積層フィルムを得る方法などの手法を
用いることができる。
【0028】溶媒置換速度調整材としては、前記多層フ
ィルムを凝固溶媒と接触させてポリイミド前駆体を析出
させる際に、ポリイミド前駆体の溶媒及び凝固溶媒が適
切な速度で透過する事が出来る程度の透過性を有するも
のが好ましい。特に透気度が50〜1000秒/100
cc、特に250〜800秒/100ccであるものが
好ましい。溶媒置換速度調整材の膜厚は5〜500μ
m、好ましくは10〜100μmであり、フィルム断面
方向に貫通した0.01〜10μm、好ましくは0.0
3〜1μmの孔が十分な密度で分散しているものが好適
である。溶媒置換速度調整材の膜厚が上記範囲より小さ
いと溶媒置換速度が速すぎる為に析出したポリイミド前
駆体表面に緻密層が形成されるだけでなく凝固溶媒と接
触させる際にシワが発生する場合があるので適当でな
く、上記範囲より大きいと溶媒置換速度が遅くなる為に
ポリイミド前駆体内部に形成される孔構造が不均一とな
る。
【0029】溶媒置換速度調整材としては、具体的に
は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン、セルロース、テフロンなどを材料とした不織布或い
は多孔膜などが用いられ、特にポリオレフィン製の微多
孔質膜を用いた際に、製造されたポリイミド多孔質フィ
ルム表面の平滑性に優れるので好適である。
【0030】複層化されたポリイミド前駆体流延物は、
溶媒置換速度調整材を介して凝固溶媒と接触させること
でポリイミド前駆体の析出、多孔質化を行う。ポリイミ
ド前駆体の凝固溶媒としては、エタノ−ル、メタノ−ル
等のアルコ−ル類、アセトン、水等のポリイミド前駆体
の非溶媒またはこれら非溶媒99.9〜50重量%と前
記ポリイミド前駆体の溶媒0.1〜50重量%とのの混
合溶媒を用いることができる。非溶媒及び溶媒の組合わ
せには特に制限はないが、凝固溶媒に非溶媒と溶媒から
なる混合溶媒を用いた場合に析出したポリイミド前駆体
の多孔質構造が均一となるので好適である。特に、凝固
溶媒として、ポリイミド前駆体の溶媒0.1〜60重量
%と非溶剤99.9〜40重量%とからなる混合溶媒を
用いるのが好ましい。
【0031】多孔質化されたポリイミド前駆体フィルム
は、ついで熱処理或いは化学処理が施される。ポリイミ
ド前駆体フィルムの熱処理は、溶媒置換速度調整材を取
除いたポリイミド前駆体多孔質フィルムをピン、チャッ
ク或いはピンチロ−ル等を用いて熱収縮が生じないよう
に固定し、大気中にて280〜500度で5〜60分間
行われる。
【0032】ポリイミド前駆体多孔質フィルムの化学処
理は、脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物を脱水剤として
用い、トリエチルアミン等の第三級アミンを触媒として
行われる。また、特開平4−339835のように、イ
ミダ−ル、ベンズイミダゾ−ル、もしくはそれらの置換
誘導体を用いても良い。
【0033】ポリイミド前駆体多孔質フィルムの化学処
理は、ポリイミド多孔質フィルムを複層構成で製造する
場合に好適に用いられる。複層ポリイミド多孔質フィル
ムは、例えば溶媒置換速度調整材として用いるポリオレ
フィン微多孔膜表面をポリイミド多孔質層との界面接着
性を改良するためにプラズマ、電子線或いは化学処理し
た後、ポリイミド前駆体溶液流延物と複層化し、凝固溶
媒との接触によってポリイミド前駆体溶液流延物を析
出、多孔質化し、次いで化学処理を行うことで製造する
ことができる。複層ポリイミド多孔質フィルムの化学処
理は、積層する溶媒置換速度調整材の融点或いは耐熱温
度以下の温度範囲で行われることが好ましい。
【0034】熱処理或は化学処理したポリイミド多孔質
フィルムのイミド化率は、50%以上、好ましくは75
%以上である。イミド化率が50%より小さいと、多孔
質ポリイミドフィルムを、さらに熱処理して、炭化する
際に、脱水による水分が多く、熱処理によって収縮が大
きくなるので適当でない。
【0035】このようにして製造されるポリイミド多孔
質フィルムは、前記製造条件の選択により、空孔率30
〜85%、好ましくは40〜70%、平均孔径0.01
〜5μm、好ましくは0.05〜1μmで最大孔径10
μm以下である。空孔率が低すぎると発熱体に使用した
際、機能が十分でなく、また大きすぎると機械的強度が
悪くなる。また、平均孔径が小さすぎると、発熱体とし
て使用した際の発光効率が低くなり、同様に平均孔径が
大きすぎると発光効率が低くなる。
【0036】また、該ポリイミド多孔質フィルムは、フ
ィルム全体の膜厚が5〜100μm、透気度30〜20
00秒/100ccに調製され、ポリイミド多孔質層の
耐熱温度は200度以上である。
【0037】以上の製造方法で多孔ポリイミドフィルム
が製造することができ、さらに多孔質炭化膜が製造され
る。炭化の方法は、通常の方法でよい。たとえば、不活
性ガス流動下で、温度1000℃に加温し、続いて温度
2900℃またはそれ以上に焼成して、黒鉛化してもよ
い。加熱と同時に炭化しつつある多孔膜が収縮しないよ
うに、多孔膜を通気性のあるカ−ボン板またはシ−トで
挟んでもよい。
【0038】本発明の原料の多孔質ポリイミドフィルム
は、連続孔を有しているので、炭化の際、揮発物が逸散
しやすく、沈積物が少ない傾向を示す。生成した炭化膜
は、表面が艶のある、発光寿命が長い発熱体ができる。
【0039】さらに、内部が非酸化雰囲気に維持された
透光性バルブと、この透光性バルブ内に固定された表面
に微細孔を有する炭素材料からなる熱放射体と、この熱
放射体へのエネルギ−印加手段とを具備する熱放射光源
とすることにより、前記熱放射体の特性を生かした発光
効率が高い熱放射光源を提供することができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例を示す。以下の各例に
おいてはグラファイトを炭素材料とするものであるが、
炭素材料はグラファイトに限られるものではない。
【0041】実施例1 多孔質ポリイミド膜の製造方法 テトラカルボン酸成分としてs−BPDAを、ジアミン
成分としてDADEを用い、s−BPDAに対するDA
DEのモル比が0.994で且つ該モノマー成分の合計
重量が10重量%になるようにNMPに溶解し、温度4
0℃、6時間重合を行ってポリイミド前駆体を得た。ポ
リイミド前駆体溶液の溶液粘度は400ポイズであっ
た。
【0042】得られたポリイミド前駆体溶液を、ガラス
板上に厚みが約50μmになるように流延し、溶媒置換
速度調整材として透気度550秒/100ccのポリオ
レフィン微多孔膜(宇部興産株式会社製ユ−ポアUP201
5)でシワの生じないように表面を覆った。該積層物を
メタノ−ル中に5分間浸漬し、溶媒置換速度調整材を介
して溶媒置換を行うことでポリイミド前駆体の析出、多
孔質化を行った。
【0043】析出したポリイミド前駆体多孔質フィルム
を水中に15分間浸漬した後、ガラス板及び溶媒置換速
度調整材から剥離し、ピンテンタ−に固定した状態で、
大気中にて300℃、10分間熱処理を行った。ポリイ
ミド多孔質フィルムのイミド化率は80%であり、フィ
ルム断面方向に連続孔を有していた。厚みは10μm、
孔径は平均0.5μm、空孔率は35%であった。多孔
質ポリイミドフィルムの走査型電子顕微鏡写真から非直
線性の微細な連続孔を有していることが確認された。
【0044】得られた多孔質ポリイミドフィルムを、炭
素化し、好ましくは黒鉛化して多孔質の炭化膜を得た。
すなわち、一次焼成1000℃、二次焼成2900℃、
アルゴンガス雰囲気中で、圧力をかけずに加熱し、黒鉛
化した。このようにして得た厚さ3.0μmの炭化フィ
ルムを、長さ26.5mm、幅2.6mmのリボン状に
切断した。炭化膜の電子顕微鏡写真の結果および多孔質
炭化膜をメタノ−ルが通過したことにより非直線性の微
細な連続孔を有していることが確認された。片面は比較
的平滑であった。なお、孔径は平均0.5μm、空隙率
は50%であった。
【0045】この炭化膜を熱放射体として、圧力1×1
-4Pa以下に保持した真空中で、フィルム温度が17
63℃となるように直流定電流を通電して加熱し、40
時間発光させた。
【0046】炭化膜の両端の電圧はほぼ一定(7V)と
なった。この黒鉛フィルムは、1763℃で昇華せず安
定して用い得ることが確認された。また、電子顕微鏡で
観察した結果、加熱後も加熱前と同様に孔径はほとんど
変わらなかった。
【0047】比較例1 孔の空いていないポリイミド膜を使用し、その他は実施
例1と同様にして炭化膜を製造した。同様に、熱放射の
放射強度を測定した。可視光領域の放射強度は、実施例
1の場合の80%程度であった。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、熱放射体を微細孔を有
する炭素材料とすることにより、熱放射体の内部温度が
高温に至っても微細構造が維持され、高温において発光
効率が高い熱放射を実施することができる。また、非直
線性の微細な連続孔を有する多孔ポリイミド膜を形成す
る工程と、この多孔ポリイミドフィルムを加熱して炭素
化する工程により、前記放熱体を経済的に安価で、品質
が安定した製造が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G019 GA04 4G046 BA04 BC00 EA03 EB02 EC03 EC05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均孔径0.1〜5μm、空孔率30〜
    80%の微細な非直線性の連続孔を有する炭素材料から
    なることを特徴とする熱放射体。
  2. 【請求項2】 炭素材料が黒鉛型結晶構造を有する請求
    項1に記載の熱放射体。
  3. 【請求項3】 非直線性の連続孔を有する多孔質ポリイ
    ミドフィルムを加熱して炭素化する工程を含むことを特
    徴とする請求項1あるいは2に記載の熱放射体の製造方
    法。
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