JP2001200118A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
熱可塑性エラストマー組成物Info
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Abstract
成形などの成形加工性、とくに射出成形時のエンボスの
転写性に優れた材料の提供。 【解決手段】 (a)架橋ゴムをポリオレフィン系樹脂
に分散させた熱可塑性エラストマー10〜70重量%;
(b)(イ)MLMFR(温度190℃ 、荷重21
1.68N)0.1g/10分以下及び(ロ)ブロック
共重合体中の重合体ブロックBが60〜90重量%の特
性を有する一般式A−B−Aで表記されるブロック共重
合体の水素添加誘導体5〜40重量%;(e)鉱物油系
ゴム用軟化剤20〜50重量%を配合してなるエラスト
マー組成物100重量部に対して;(f)高級脂肪酸ア
ミド0.01〜1重量部、(g)ポリオルガノシロキサ
ン0.5〜10重量部または(h)アクリル−シリコー
ン共重合体樹脂0.5〜15重量部の少なくとも1種類
を添加することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成
物。
Description
ーに関するものであり、更に詳しくは柔軟性に富み、表
面耐傷つき性に優れ、かつ優れたエンボス転写性を有す
る熱可塑性エラストマー組成物に関するものである。
部品分野のゴム材料には加硫ゴムが主流であったが、軽
量化、リサイクル化が容易であることから、オレフィン
系熱可塑性エラストマーが広く使われるようになった。
また塩化ビニル樹脂も広く使用されてきたが、焼却時に
有毒ガスであるダイオキシンを発生することから、地球
環境問題上有害ガスの発生がないオレフィン系熱可塑性
エラストマーが広く使われるようになった。しかしなが
ら、従来のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、主に
加硫ゴムを使用しているため、押出成形、射出成形など
の成形加工においてエンボス転写性に劣るという欠点が
あり、この点の改良が強く望まれてきた。
解決するためになされたもので、柔軟で耐摩耗性に優
れ、かつ押出成形、射出成形などの成形加工性、とくに
射出成形時のエンボスの転写性に優れた材料を提供する
ことを目的とする。
的に沿って鋭意検討した結果、特定の熱可塑性エラスト
マーと特定のブロック共重合体の水素添加誘導体(=水
添ブロック共重合体とも言う。)及び鉱物油系ゴム用軟
化剤からなる熱可塑性エラストマー組成物に高級脂肪酸
アミド、ポリオルガノシロキサン、アクリル−シリコー
ン共重合体樹脂のうち少なくとも1種類を、さらには特
定のエチレン−α−オレフィン共重合体および/または
ポリプロピレン系樹脂を添加して成る組成物が前記目的
にかなったものであることを見出して本発明を完成し
た。
ことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。[2]
前記の組成物に、さらに(c)エチレン−α−オレフ
ィン共重合体ゴム20重量%以下、および/または
(d)ポリプロピレン系樹脂15重量%以下を配合して
なる上記[1]に記載の熱可塑性エラストマー組成物。 [3] 成分(c)のエチレン−α−オレフィン共重合
体ゴムの極限粘度[η]が1.5〜10dl/g、ショ
アA硬度が90以下である、上記[2]に記載の熱可塑
性エラストマー組成物。 [4] (f)高級脂肪酸アミドを必須成分とし、
(g)ポリオルガノシロキサンまたは(h)アクリル−
シリコーン共重合体樹脂を併用して添加することを特徴
とする上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の熱可
塑性エラストマー組成物。及び [5] 成分(g)のポリオルガノシロキサンの粘度が
1万センチストークス以上である上記[1]〜[4]の
いずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。を開発
することにより上記の目的を達成した。
分的にあるいは完全に架橋したゴム成分を含むオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーは、従来公知の方法によって
製造することができる。具体的にはオレフィン系樹脂と
オレフィン系ゴムとのブレンド物を有機過酸化物の存在
下で動的に熱処理することにより得ることができる。こ
れらの有機過酸化物の存在下に動的に架橋する方法は、
例えば、特公昭53−34210号公報、特開昭53−
149241号公報、特開平1−197544号公報等
に記載されている。このようなゴムをポリオレフィン系
樹脂に分散した熱可塑性エラストマーとしては、市販さ
れている日本ポリオレフィン(株)製のオレフレックス
(商品名)等を用いることができる。
系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1ま
たは4−メチルペンテン−1などのα−オレフィンの単
独重合体もしくはこれらの共重合体が挙られる。中でも
プロピレン系樹脂、たとえばアイソタクチックポリプロ
ピレン、プロピレンとエチレンまたはプロピレンとブテ
ン−1、ヘキセン−1などのα−オレフィンとのランダ
ムまたはブロック共重合体などが特に好ましい。成分
(a)に用いる架橋したオレフィン系ゴムとしては、エ
チレン−α−オレフィン共重合体ゴムあるいはエチレン
−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴムが挙げら
れる。
のHLMFR(JIS K−7210の方法に準じて、
温度230℃、荷重211.68N(21.60kg
f)の条件での数値)は1,000g/10分以下、好
ましくは700g/10分以下である。HLMFRが
1,000g/10分を超えると組成物の破断強度等の
力学特性が著しく低下するとともに成形品がべたつき易
くなるため好ましくない。熱可塑性エラストマー組成物
に対する成分(a)の配合量は10〜70重量%が好ま
しい。10重量%より少ないと架橋ゴム成分が少なくな
り耐摩耗性に劣る。また70重量%より多く配合すると
架橋ゴム成分が多くなり、成形加工性、とくに射出成形
時のエンボス転写性が悪くなる。
−B−Aで表されるブロック共重合体を水素添加処理し
て得られる水素添加誘導体であり、上記一般式におい
て、Aはモノビニル置換芳香族炭化水素の重合体ブロッ
ク、Bは共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックで
ある。重合体ブロックAを構成する単量体のモノビニル
置換芳香族炭化水素は、好ましくはスチレンであり、α
−メチルスチレン等も用いられる。重合体ブロックBに
おける共役ジエン単量体はブタジエンもしくはイソプレ
ンが好ましく、また両者の混合体でも良い。
MFRは0.1g/10分以下、好ましくは0.01g
/10分以下である。MLMFRが0.1g/10分を
超えると熱可塑性エラストマー組成物の破断強度等の力
学特性が著しく低下するとともに成形品がべたつき易く
なるため好ましくない。また、これらのブロック共重合
体中の重合体ブロックBは、ブロック共重合体全体に占
める割合が60〜90重量%である必要があり、65〜
87重量%であることが好ましい。重合体ブロックBが
60重量%未満の場合は、ブロック共重合体が水素添加
された後のエラストマー性を保持し難くなり、90重量
%を超えた場合は、機械的強度に劣るため好ましくな
い。また、これらのブロック共重合体の水素添加誘導体
において、重合体ブロックB中の共役二重結合の少なく
とも50%以上、好ましくは80%以上が水素添加さ
れ、重合体ブロックA中の芳香族性不飽和結合の25%
以下が水素添加されたものが好ましい。この様なブロッ
ク共重合体の水素添加誘導体としては市販されている株
式会社クラレ製のセプトン(商品名)等を用いることが
できる。
(b)の配合量は5〜40重量%が必要である。5重量
%より少ないと柔軟性が不足するし、また40重量%よ
り多く配合すると成形品にべとつきが生じる。本発明に
おいては、柔軟性に優れ、成形加工性、特に射出成形時
のエンボス転写性などあるいは耐熱性を付与するため
に、成分(c)エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム
20重量%以下および/または成分(d)ポリプロピレ
ン系樹脂15重量%以下を配合することが好ましい。
−オレフィン共重合体ゴムは、少なくともエチレンとα
−オレフィンを成分とする共重合体である。エチレンと
共重合されるα−オレフィンとしては、炭素数が多くと
も20個、好ましくは12以下のα−オレフィンであ
り、その代表例としてプロピレン、ブテン−1、ヘキセ
ン−1、4−メチルペンテン−1およびオクテン−1な
どが挙げられる。これら1種または2種以上をエチレン
と共重合したものである。α−オレフィンの共重合割合
は通常5〜60モル%である。
しては、これらのα−オレフィンに加え更にジエンモノ
マーを共重合することが可能である。ジエンモノマーと
しては、炭素数4以上のジエンモノマー、例えば、ブタ
ジエン、1,4−および1,5−ヘキサジエン、2,5
−ジメチル−1,5−ヘキサジエンおよび1,4−オク
タジエンのごとき鎖状ジエン化合物、環状ジエン、例え
ばシクロヘキサジエン、シクロオクタジエンおよびジシ
クロペンタジエン、アルケニルノルボルネン、例えば、
5−エチリデン−および5−ブチリデン−2−ノルボル
ネン等を用いたものが挙げられる。これらの中でエチリ
デンノルボルネンまたはジシクロペンタジエンを用いる
ことが好ましい。ジエンモノマーの共重合割合は多くと
も10モル%であり、とりわけ5モル%以下が望まし
い。
のMFR(JIS K−7210表1の条件14:温度
230℃、荷重21.18N)は2g/10分以下、好
ましくは1g/10分以下、特に好ましくは0.5g/
10分以下のものである。MFRが2g/10分を超え
ると得られる組成物の破断強度等の力学特性が悪化する
とともに成形品にべたつきが生じ易くなる。成分(c)
の配合量は20重量%以下であり、5〜20重量%が好
ましい。成分(c)を配合することにより、柔軟性に優
れ、成形加工性とくに射出成形時のエンボス転写性が良
好になる。20重量%より多く配合した場合には架橋さ
れていないゴム成分が多くなり熱可塑性エラストマー組
成物としての耐摩耗性が悪くなる。
ゴムとして以下の特性を有するものを用いることによ
り、本発明によるエラストマー組成物の破断強度、耐熱
性を更に向上させることができる。すなわち、該エチレ
ン−α−オレフィン共重合体ゴムの135℃のデカリン
中における極限粘度[η]は1.5〜10dl/g、好
ましくは3〜6dl/gである。1.5dl/g未満で
はエラストマー組成物の強度、圧縮永久歪の改良効果が
小さい。一方10dl/gを超えると流動性が低下し、
押出成形時の表面肌荒れや射出成形時のエンボス転写不
良など、成形加工性が悪くなるので好ましくない。
るために、共重合体ゴムのショアA硬度は90以下、好
ましくは80以下、特に好ましくは75以下である。シ
ョアA硬度が90を超えると柔軟性が不足する傾向にな
る。該共重合体ゴムの引張破断強度は未架橋の状態で
6.86MPa以上、好ましくは9.80MPa以上あ
ることが好ましい。6.86MPa未満ではエラストマ
ー組成物の強度、耐熱性の向上が小さい。更に、耐熱性
を向上させるためには該共重合体ゴムの示差走査熱量計
(DSC)で測定して100℃以上にポリエチレン性結
晶の融解ピークを持つ必要がある。このような融解成分
をもたないものは耐熱性の向上効果が小さい。
製造方法として特開昭57−179207号公報に示さ
れた例を挙げることができる。該方法によれば、エチレ
ンとα−オレフィンとをチーグラー型触媒の存在下で、
炭素数4以下の飽和あるいは不飽和炭化水素中で50℃
以下の反応温度で、スラリー状態で共重合することによ
り、本発明に好適な共重合体ゴムをつくることができ
る。本製造法はスラリー状態で製造することにより、従
来の溶液重合法と異なり、高融点のPE結晶成分を含む
共重合体ゴムを容易につくることが可能となる。
開昭47−34478号公報、同51−28189号、
同52−151691号、または56−11909号提
案されているような、チタン、塩素、必要に応じてマグ
ネシウムを含む固体成分とアルミニウムトリアルキルの
ような有機アルミニウム化合物および必要に応じて第3
成分を含む触媒系、あるいは特開昭56−151707
号公報、同57−141410号、同58−45209
号、または同59−215304号に提案されているよ
うな、少なくとも、Ti,Mg,ハロゲンをを含む化合
物を酸素または窒素を含む環状化合物あるいはこれと有
機アルミニウム化合物で処理した固体成分と、有機アル
ミニウム化合物あるいはこれと酸素を含む環状化合物か
らなる触媒系が好適である。好ましくは特開昭56−1
51707あるいは同59−215304号に提案され
た触媒系である。
ン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、結晶性プロ
ピレン−エチレンブロック共重合体、結晶性プロピレン
−エチレンランダム共重合体、結晶性プロピレン−エチ
レン−ブテンランダム共重合体等を挙げることができ
る。これらの中でもDSCを用いて測定される主吸収ピ
ーク温度Tmp[DSCを用いるTmpの測定方法は、
DSC測定装置(パーキンエルマー社製)を用いて、試
料3〜5mgを230℃に昇温して融解した後、降温速
度10℃/分で25℃まで冷却し、25℃で5分間保持
した後、昇温速度10℃/分で230℃まで昇温した時
に得られる吸熱ピーク曲線から主吸熱ピーク温度(Tm
p)が求められる。]は120℃以上であることが望ま
しく、さらには145℃以上あることが好適である。T
mpが120℃未満では得られる熱可塑性エラストマー
にベタツキが生じやすくなると共に耐熱性に劣る。この
プロピレン系樹脂のMFRは0.1〜1000g/分が
好ましく、より好ましくは0.5〜100g/10分で
あることが望ましい。成分(d)の配合量は15重量%
以下が好ましい。より好ましくは3〜15重量%の範囲
で選択される。15重量%より多く配合すると柔軟性に
劣る。
用軟化剤は、熱可塑性エラストマー組成物の流動性およ
び柔軟性を向上させる目的で添加されるものである。鉱
物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパ
ラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物であって、パ
ラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を占めるもの
をパラフィン系と呼び、ナフテン環炭素数が30〜45
%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のも
のは芳香族系と呼ばれて区別されている。本発明での成
分(e)として用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤は特に
限定されるものではないが、パラフィン系およびナフテ
ン系のものが成分(b)に対する分散性の点で好まし
い。なかでもパラフィン系のものが好適であり、更にパ
ラフィン系の中でも芳香族環成分含有量5%以下のもの
が最適である。本発明の組成物に配合される鉱物油系軟
化剤の量は20〜50重量%である。20重量%未満の
配合は組成物の流動性および柔軟性に劣り、50重量%
を超えて配合した場合には、成形品にべとつきが生じる
ため好ましくない。
上記エラストマー組成物[成分(a)+成分(b)+成
分(c)+成分(d)+成分(e)]の表面滑性、表面
傷付き性、耐摩耗性を改善するため、成分(f):高級
脂肪酸アミド、成分(g):ポリオルガノシロキサン及
び成分(h):アクリル−シリコーン共重合体樹脂の内
の少なくとも1成分を配合することによりこの性能を飛
躍的に改善できることを見いだして本発明を完成したも
のである。本発明においては、滑剤である成分(f)、
成分(g)及び成分(h)はその少なくとも1種を用い
れば良いが、さらには、成分(f)と成分(g)、また
は成分(f)と成分(h)の2種を併用することが有効
である。
ミドとしては特に限定はされないが、具体例としてラウ
リン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミ
ド、ベヘニン酸アミドなどの飽和脂肪酸アミド、エルカ
酸アミド、オレイン酸アミド、ブライジン酸アミド、エ
ライジン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド、メチレン
ビスステアリン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミ
ド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオ
レイン酸アミドなどのビス脂肪酸アミドなどが用いられ
る。なかでも融点として約70℃から110℃の範囲の
化合物が好ましい。添加量はエラストマー組成物、成分
[(a)+(b)+(c)+(d)+(e)]の合計1
00重量部に対して約0.01〜1重量部である。添加
量が0.01重量部以下であると、成形した製品の表面
滑性が不十分となり傷付き性に劣る。また1重量部を超
えて添加した場合には、成形品にべとつきが生じるため
好ましくない。
シロキサンとしては、粘度が1万センチストークス以上
のものであるが、10万センチストークス以上のものが
好ましく、100万センチストークス以上であればより
好ましい。粘度が1万センチストークス未満では得られ
る熱可塑性エラストマーの表面外観が時間経過とともに
悪化するので好ましくない。また配合において必要に応
じホモポリプロピレンとマスターバッチを作ってから用
いても良い。エラストマー組成物に対する配合量は、成
分[(a)+(b)+(c)+(d)+(e)]の合計
100重量部に対して約0.5〜10重量部である。添
加量が0.5重量部以下であると成形した製品の表面滑
性が不十分となり耐摩耗性に劣る。また10重量部を超
えて添加した場合には、成形品の表面にブリードし、べ
とつきが生じるため好ましくない。本発明のポリオルガ
ノシロキサンは本質的にジオルガノシロキサン単位から
なり、有機基/珪素原子の比は約2である。有機基は、
たとえばジメチルシロキサン単位、メチルフェニルシロ
キサン単位、ジフェニルシロキサン単位、メチルビニル
シロキサン単位、メチルアリルシロキサン単位およびフ
ェニルビニルシロキサン単位の如きジオルガノシロキサ
ン単位として存在するメチル、フェニル、ビニルおよび
アリルから選ばれる。
リコーン共重合体樹脂は、エラストマー組成物に配合す
ることによりその表面の滑性を上げ、耐摩耗性を向上さ
せる。とくに滑性をもったシリコーン樹脂に、アクリル
樹脂を共重合することにより、中でもポリオレフィン系
樹脂などとの相溶性を上げ、表面滑性を持続的に保つこ
とができる。本発明の組成物に配合されるアクリル−シ
リコーン共重合体樹脂の量は0.5〜15重量部であ
る。添加量が0.5重量部より少ない場合は、十分な滑
性が得られず、耐摩耗性が劣り、15重量部を超えて添
加した場合は、成形品の表面のブリードにより外観が損
なわれる。通常エラストマー組成物の表面滑性を上げる
ための滑剤は、大量に用いた場合べとつきが生ずる。し
かしながら、上記のような組合せで併用することによ
り、その理由は定かではないが、高度な滑性すなわち耐
摩耗性がべとつきを生ずることなく得られる。高温にさ
らされる環境では、特に好適である。したがって、より
きびしいスペックを持つ部品例えば、接触機会の頻繁な
車両用のアシストグリップ、シフトレバー、アームレス
トなどにも使用が可能となる。
物には必要に応じて、酸化防止剤、耐候材、造核剤、着
色剤、各種フィラー等を添加しても良い。本発明の熱可
塑性エラストマー組成物を製造する方法としては、通常
の樹脂組成物、ゴム組成物の製造に用いられる一般的な
全ての方法を採用できる。基本的には機械的溶融混練方
法であり、これらには単軸押出機、二軸押出機、バンバ
リーミキサー、各種ニーダー、ブラベンダー、ロール等
が用いられる。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は
一般的に使用される熱可塑性樹脂成形機を用いて成形す
ることが可能であって、射出成形、押出成形、カレンダ
ー成形、ブロー成形等の各種の成形方法が適用可能であ
る。
るが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。 (測定方法) [HLMFR]JIS K−7210の方法に準じて、
温度230℃、荷重211.68Nの条件で測定した。 [MLMFR]JIS K−7210、表1の条件17
で測定した。 [MFR]JIS K−7210、表1の条件14で測
定した。 [ショアーA硬度]ASTM D2240に従い測定し
た。 [引張試験]JIS K6301に準じ3号ダンベルを
用いて、引張速度200mm/分の条件で破断強度およ
び破断伸びを測定した。
40mm、厚さ2mmの平板を射出成形により作成し
た。HEIDON社製学振式摩耗試験機(HEIDON
−14DR)に、日本規格協会JIS染色堅ろう度試験
用綿(カナキン3 号)を摩耗治具にセットし、該平板表
面に摩耗治具を乗せ、垂直荷重400g、移動速度1,
700mm/分、移動距離100mm、200往復にて
1回ずつ測定を行った。測定部分を目視にて観測し、摩
耗の跡および布への色落ちがはっきりと観察された場合
を×、どちらかでも僅かに観察された場合を△、どちら
も全く観察されなかった場合を○と評価した。
し、目視観察により評価した。 ○:全面クリアなシボが作成。 ×:一部に不明瞭なシボがある。 [触感]射出成形で平板を作成し、直接手で触れて以下
のように判定した。 ○:べたつき感がなく、良好な感触を示す。 △:べたつき感が若干感じられる。 ×:べたつき感がかなり感じられる。
可塑性エラストマー組成物を調製した。 ○ 成分(a):オレフィン系熱可塑性エラストマー 部分的にあるいは完全に架橋したゴム成分を含むオレフ
ィン系熱可塑性エラストマーとしてはTPE−1(HL
MFR:330g/10分、ショアA:86、日本ポリ
オレフィン(株)製「オレフレックスE410G」) ○ 成分(b):ブロック共重合体の水素添加誘導体 用いたブロック共重合体の水素添加誘導体を表1に示
す。
ン共重合体ゴム エチレン−α−オレフィン共重合体ゴムとして、エチレ
ンプロピレン共重合体ゴム[EP−1(MFR:0.0
2g/10分、[η]=5.4dl/g、ショアーA硬
度=73、モンテル・エスディーケイ・サンライズ
(株)製「ST053T」) ○ 成分(d):ポリプロピレン ポリプロピレンとしてPP−1(エチレン含有量:0.
5重量%以下、MFR:30g/10分、Tmp=16
3℃、モンテル・エスディーケイ・サンライズ(株)製
「PX900N」)。 ○ 成分(e):鉱物油系ゴム軟化剤 鉱物油系ゴム軟化剤はパラフィン系オイル(流動点:−
15℃、動粘度@98℃:38. 1センチストークス、
引火点:300℃、出光興産製「PW−380」)を用
いた。 ○ 成分(f):高級脂肪酸アミド 用いた高級脂肪酸アミドは、オレイン酸アミドである。
ルシロキサン)(東レダウコーニング製「シリコーンオ
イル BY16−140」)粘度;100万センチスト
ークス、可塑度;1. 5〜2. 0、比重0. 98(25
℃)、屈折率1.404(25℃) <Si−2>ストレートシリコーンオイル(ポリジメチ
ルシロキサン)(東レダウコーニング製「シリコーンオ
イル SH200−10万」)粘度;10万センチスト
ークス、比重0. 98(25℃)、屈折率1. 404
(25℃) <Si−3>ストレートシリコーンオイル(ポリジメチ
ルシロキサン)(東レダウコーニング製「シリコーンオ
イル SH200−1万」)粘度;1万センチストーク
ス、比重0. 98(25℃)、屈折率1. 404(25
℃) ○ 成分(h):アクリル−シリコーン共重合体樹脂 アクリル−シリコーン共重合体樹脂は<SA−1>シャ
リーヌR−170(日信化学工業製)を用いた。
系樹脂に分散させた熱可塑性エラストマー、ブロック共
重合体の水素添加誘導体、エチレン−α−オレフィン共
重合体ゴム、ポリプロピレン系樹脂及び鉱物油系ゴム軟
化剤を表2及び表3に示す割合で配合したエラストマー
組成物に対し高級脂肪酸アミド、ポリオルガノシロキサ
ン、アクリル−シリコーン共重合体樹脂を上記表に示す
割合で配合し、該組成物を同方向二軸押出機KTX−3
7(神戸製鋼(株)製)を用いて溶融混練しペレットを
得た。得られたペレットを射出成形でサンプルを作成
し、前記の諸物性の評価を行った。結果を表2、3に示
した。また実際にグラブレールを成形し、シボ転写性、
触感、耐熱性のほかに車に搭載しての長期性能などの評
価を行っており、いずれも良い結果を得ている。
材料、配合量にてサンプルを作成し、実施例と同様に諸
物性の評価を行った。評価結果を表4に併せて示す。
可塑性エラストマー組成物を用いたグラブレールである
と、優れたゴム特性および耐傷つき性を有する上に、押
出成形や射出成形などのエンボス転写性に優れており、
しかもパラフィン系オイル(鉱物油系ゴム用軟化剤)の
ブリードもない。
は、柔軟性に富み、表面耐傷つき性に優れ、かつ優れた
エンボス転写性を有する。また軽量でリサイクルが容易
であり省エネルギー、省資源タイプのエラストマーであ
り、環境面からも良好なものである。
Claims (5)
- 【請求項1】 (a)部分的にあるいは完全に架橋したゴムをポリオレフィ ン系樹脂に分散させた熱可塑性エラストマー ・・・・10〜70重量%、 (b)下記特性を有する一般式A−B−A(ここでAはモノビニル置換芳香族炭 化水素の重合体ブロック、Bは共役ジエンのエラストマー性重合体ブロックであ る)で表記されるブロック共重合体の水素添加誘導体・・5〜40重量%、 (イ)MLMFR(JIS K−7210 表1の条件7:温度190℃、 荷重211.68N(21.60kgf)0.1g/10分以下 (ロ)ブロック共重合体中の重合体ブロックBが60〜90重量% (e)鉱物油系ゴム用軟化剤 ・・・・・20〜50重量% を配合してなるエラストマー組成物100重量部に対して、 (f)高級脂肪酸アミド ・・・0.01〜1重量部、 (g)ポリオルガノシロキサン ・・・0.5〜10重量部、 (h)アクリル−シリコーン共重合体樹脂 ・・・0.5〜15重量部 の(f)〜(h)のうち、少なくとも1種類を添加する
ことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。 - 【請求項2】 前記の組成物に、さらに(c)エチレン
−α−オレフィン共重合体ゴム20重量%以下、および
/または(d)ポリプロピレン系樹脂15重量%以下を
配合してなる請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組
成物。 - 【請求項3】 成分(c)のエチレン−α−オレフィン
共重合体ゴムの極限粘度[η]が1.5〜10dl/
g、ショアA硬度が90以下である、請求項2に記載の
熱可塑性エラストマー組成物。 - 【請求項4】 (f)高級脂肪酸アミドを必須成分と
し、(g)ポリオルガノシロキサンまたは(h)アクリ
ル−シリコーン共重合体樹脂を併用して添加することを
特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑
性エラストマー組成物。 - 【請求項5】 成分(g)のポリオルガノシロキサンの
粘度が1万センチストークス以上である請求項1〜4の
いずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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