JP2001196748A - 回路転写用硬化性シート - Google Patents

回路転写用硬化性シート

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JP2001196748A
JP2001196748A JP2000327156A JP2000327156A JP2001196748A JP 2001196748 A JP2001196748 A JP 2001196748A JP 2000327156 A JP2000327156 A JP 2000327156A JP 2000327156 A JP2000327156 A JP 2000327156A JP 2001196748 A JP2001196748 A JP 2001196748A
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JP2000327156A
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Shozo Kinoshita
昌三 木下
Masaki Yamamoto
正樹 山本
Katsura Hayashi
桂 林
Masaaki Hori
正明 堀
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Asahi Kasei Corp
Kyocera Corp
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Asahi Kasei Corp
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性が高く、精密で高密度な回路形成を可
能にし、且つ耐熱性、及び耐吸水性の高い熱硬化性ポリ
フェニレンエーテル系樹脂組成物からなる回路転写用硬
化性シートを提供する。 【解決手段】 (A)ポリフェニレンエーテル樹脂と不
飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物、(B)
トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリル
シアヌレート、(C)少なくとも1個のビニル芳香族化
合物を主体とする重合体ブロックAと、少なくとも1個
の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとか
らなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブ
ロック共重合体、並びに(D)無機フィラーの夫々を、
特定割合で含有することを特徴とする熱硬化型ポリフェ
ニレンエーテル系樹脂組成物からなる回路転写用硬化性
シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回路転写用硬化性
シートと、多層配線板、例えば、半導体素子収納用パッ
ケージなどに適した多層配線板とその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、配線板、例えば、半導体素子
を収納するパッケージに使用される多層配線板として、
樹脂を含む絶縁性基板表面に銅箔を接着した後、これを
エッチングして微細な回路を形成し、しかるのちにこの
基板を積層して多層化したプリント配線板が提案され使
用されている。また、最近では、更に精密で高密度な回
路を有する多層プリント配線板が求められるようになっ
ている。このような要求に対し、従来の多層プリント配
線板では、基板を貫通するスルーホールを形成しその内
部にメッキ等を施して層間の接続を行うため、スルーホ
ールによって回路設計が制限され高密度配線が難しかっ
た。このため、所定の基板表面に絶縁層と配線回路層を
交互にコーティング及びメッキ等、あるいはビアホール
形成等を施して多層化する所謂ビルドアップ法が開発さ
れている。
【0003】しかし、ビルドアップ法は各層を逐次形成
するために、完成品の歩留まりは各層を形成するための
歩留まりの積となり、本質的に歩留まりを改善すること
が難しいプロセスであった。また、感光性樹脂を使用し
たビルドアップ基板では樹脂に感光基を導入する為耐熱
性や耐吸水性が低くなり、半導体素子収納用パッケージ
として今後要求される性能を満足できないという問題が
あった。一方、近年、耐熱性が高く、且つ耐吸水性の優
れた熱硬化型ポリフェニレンエーテル系樹脂が注目をあ
び、多層プリント配線板への応用が試みられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、金属箔の転
写性に優れ、高い生産性で、精密で高密度な回路形成を
可能にし、且つ耐熱性、及び耐吸水性に優れる熱硬化型
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる転写用硬
化性シート、それを用いた多層配線板並びにその製造方
法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意検討した結果、特定の組成を有する熱硬化
型ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる回路転
写用硬化性シートに、配線回路を転写用基材からの転写
によって形成することによって、硬化性の絶縁層を積層
し一括硬化することが可能となり、多層化の工程を簡略
化できることを見いだし、本発明に至った。
【0006】即ち、本発明は、 1.(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と不飽和カルボ
ン酸または酸無水物との反応生成物、(B)トリアリル
イソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレー
ト、(C)少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体
とする重合体ブロックAおよび少なくとも1個の共役ジ
エン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなるブ
ロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共
重合体、並びに(D)無機フィラーを、(A)成分と
(B)成分の和100重量部を基準として、(A)成分
45〜55重量部、(B)成分55〜45重量部、
(C)成分25〜35重量部含有し、(D)成分を全量
中20〜80体積%含有することを特徴とする熱硬化型
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる回路転写
用硬化性シート、
【0007】2.樹脂を含有する絶縁層と、該絶縁層表
面および/または内部に配設された配線回路層を具備す
る多層配線板であって、上記絶縁層が、(A)ポリフェ
ニレンエーテル樹脂と不飽和カルボン酸または酸無水物
との反応生成物、(B)トリアリルイソシアヌレートお
よび/またはトリアリルシアヌレート、(C)少なくと
も1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロッ
クAおよび少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体と
する重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水
素添加して得られる水添ブロック共重合体、並びに
(D)無機フィラーを、(A)成分と(B)成分の和1
00重量部を基準として、(A)成分45〜55重量
部、(B)成分55〜45重量部、(C)成分25〜3
5重量部を含有し、(D)成分を全量中20〜80体積
%含有する熱硬化型ポリフェニレンエーテル系樹脂組成
物からなる回路転写用硬化性シートを硬化させることに
より得られる層であり、且つ該配線回路層の少なくとも
一部が、金属箔からなる配線回路層が形成された転写用
基材からの転写によって形成されたものであることを特
徴とする多層配線板、
【0008】3.内部に、(A)ポリフェニレンエーテ
ル樹脂と不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成
物、(B)トリアリルイソシアヌレートおよび/または
トリアリルシアヌレートを、(A)成分と(B)成分の
和100重量部を基準として、(A)成分45〜55重
量部、(B)成分55〜45重量部を含有するポリフェ
ニレンエーテル系樹脂組成物を強化繊維に含浸し、硬化
してなる硬化複合材料層と、少なくとも一部が、金属箔
からなる配線回路層が形成された転写用基材からの転写
によって形成された配線回路層とからなる内層を有する
上記2の多層配線板、 4.配線回路層間を電気的に接続するためのビアホール
導体が貫通孔内への導体ペーストの充填によって形成さ
れ、絶縁層の厚みLの0.05倍以上の厚みを有する金
属箔からなる配線回路層が絶縁層内および硬化複合材料
層内にそれぞれ埋め込まれていることを特徴とする上記
2又は3の多層配線板、
【0009】5.樹脂を含有する絶縁層と、該絶縁層表
面および/または内部に配設された配線回路層を具備す
る多層配線板の製造方法において、(イ)、転写用基材
の表面に配線回路層を形成する工程と、(ロ)、(A)
ポリフェニレンエーテル樹脂と不飽和カルボン酸または
酸無水物との反応生成物、(B)トリアリルイソシアヌ
レートおよび/またはトリアリルシアヌレート、(C)
少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合
体ブロックAおよび少なくとも1個の共役ジエン化合物
を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重
合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体、並
びに(D)無機フィラーを、(A)成分と(B)成分の
和100重量部を基準として、(A)成分45〜55重
量部、(B)成分55〜45重量部、(C)成分25〜
35重量部含有し、(D)成分を全量中20〜80体積
%含有する熱硬化型ポリフェニレンエーテル系樹脂組成
物からなる硬化性シートに貫通孔を形成し、該貫通孔内
に導体ペーストを充填してビアホール導体を形成する工
程と、(ハ)、上記配線回路層が形成された上記転写用
基材に、(ロ)で得られたビアホール導体が形成された
硬化性シートを積層圧着して絶縁層を形成する工程と、
(ニ)、(ハ)で得られた絶縁層の表面から上記転写用
基材を剥がして該転写用基材表面の配線回路層を絶縁層
表面に転写させる工程と、(ホ)、上記(イ)工程乃至
(ニ)工程で得られた絶縁層を積層して多層化した後、
加熱および加圧の手段により一括して樹脂を硬化させる
工程と、を具備することを特徴とする多層配線板の製造
方法。
【0010】6.(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と
不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物、
(B)トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリ
アリルシアヌレートを、(A)と(B)成分の和100
重量部を基準として、(A)成分45〜55重量部、
(B)成分55〜45重量部、含有するポリフェニレン
エーテル系樹脂組成物を強化繊維に含浸し、乾燥してな
る硬化性複合材料層と、少なくとも一部が、金属箔から
なる配線回路層が形成された転写用基材からの転写によ
って形成された配線回路層とからなる層を内層に用い、
その外側に上記5の多層配線板の製造方法の(イ)工程
〜(ニ)工程で得られた配線回路層を有する絶縁層を積
層して多層化した後、一括して樹脂を硬化させることを
特徴とする多層配線板の製造方法、である。
【0011】本発明は、特定の組成を有する熱硬化型ポ
リフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる回路転写用
硬化性シートに、配線回路を転写用基材から転写によっ
て形成することによって、硬化性の絶縁層を積層し一括
硬化することが可能になり、多層化の工程を簡略化でき
ることを見いだしたことに基づくものである。この転写
法により多層配線板を歩留まり良く製造するためには、
これに使用する絶縁樹脂組成物が次に示す様々な特性を
有していなければならないことが判明した。 回路の転写を容易にするための粘着性、 基板の加圧硬化時に回路の位置を保持するための溶
融特性、 未硬化シートを取り扱うためのハンドリング性、 電気的接続用貫通孔を容易に加工するための加工
性、 本発明の特定の組成を有する熱硬化型ポリフェニレンエ
ーテル樹脂組成物からなる硬化性シートを用いることに
より、粘着性、溶融特性、ハンドリング性、加工性のす
べてを満足する硬化性樹脂シートが得られ、この硬化性
樹脂シートを用いることによって、硬化性の絶縁層を一
括積層し、硬化しうることが可能になり、多層化の工程
を簡略化できたのである。
【0012】以下、本発明を詳細に述べる。本発明にお
いて、硬化性シートは、樹脂を含む絶縁材料から構成さ
れ、具体的には、(A)成分、(B)成分、(C)成分
および(D)成分からなる熱硬化型ポリフェニレンエー
テル系樹脂組成物で形成されている。本発明で用いられ
る(A)成分は、ポリフェニレンエーテル樹脂を不飽和
カルボン酸または酸無水物と反応させることによって製
造される。
【0013】本発明に用いられるポリフェニレンエーテ
ル樹脂は、下記一般式(1)で表される。
【化1】 一般式AにおけるR1 〜R4 の低級アルキル基の例とし
ては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
アリール基の例としては、フェニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子の例としては臭素、塩素等が挙げられる。
上記一般式(1)のQの代表的な例としては、次の化2
に示す4種の構造式単位で表される化合物群が挙げられ
る。
【0014】
【化2】 具体例を、下記化3および化4に示す。
【0015】
【化3】
【0016】
【化4】 上記一般式(1)のJで表されるポリフェニレンエーテ
ル鎖中には、上記一般式Aで表される単位の他、次の化
5に示される一般式Bで表される単位が含まれていても
よい。
【0017】
【化5】
【0018】本発明に用いられる上記一般式(1)のポ
リフェニレンエーテル樹脂の好ましい例としては、2,
6−ジメチルフェノールの単独重合で得られるポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)のスチレングラフト共重合体、2,6−ジメチルフ
ェノールと2,3,6−トリメチルフェノールの共重合
体、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジメチル−
3−フェニルフェノールの共重合体、2,6−ジメチル
フェノールを下記化6(但し、mは2〜6の整数、Qは
一分子中に2〜6個のフェノール性水酸基を持ち、フェ
ノール性水酸基のオルト位およびパラ位に重合不活性な
置換基を有する多官能フェノール化合物の残基を表
す。)に示す多官能性フェノール化合物の存在下で重合
して得られ多官能ポリフェニレンエーテル樹脂、例え
ば、特開昭63−301222号公報、特開平1−29
7428号公報に開示されているような一般式Aおよび
一般式Bの単位を含む共重合体等が挙げられる。
【0019】
【化6】 以上述べたポリフェニレンエーテル樹脂の分子量につい
ては、30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測
定した粘度数ηsp/Cが0.1〜1.0の範囲にある
ものが良好に使用できる。
【0020】本発明で用いられる不飽和カルボン酸およ
び酸無水物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、
無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン
酸、無水グルタル酸、無水シトラコン酸等が挙げられ
る。特に無水マレイン酸、フマル酸が最も良好に使用で
きる。反応は、ポリフェニレンエーテル樹脂と不飽和カ
ルボン酸または酸無水物を100〜390℃の温度範囲
で加熱することによって行われる。この際ラジカル開始
剤を共存させてもよい。溶液法と溶融混合法の両方が使
用できるが、押出し機等を用いる溶融混合法の方が簡便
に行うことができ、本発明の目的に適している。
【0021】不飽和カルボン酸または酸無水物の割合
は、ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対し
0.01〜5.0重量部、好ましくは0.1〜3.0重
量部である。本発明において(B)成分として用いられ
るトリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリ
ルシアヌレートとは、それぞれ次の化7に示される構造
式で表される3官能性モノマーである。
【0022】
【化7】
【0023】本発明において、トリアリルイソシアヌレ
ートおよび/またはトリアリルシアヌレートは、可塑剤
ならびに架橋剤としての効果を発揮する。本発明の
(C)成分として用いられる水添ブロック共重合体は、
少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合
体ブロックA および少なくとも1個の共役ジエン化合物
を主体とする重合体ブロックBから成るブロック共重合
体を水素添加して得られるものであり、例えば、下記化
8に示される構造等を有するビニル芳香族化合物−共役
ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加されたもので
ある。
【0024】
【化8】
【0025】この水添ブロック共重合体は、ビニル芳香
族化合物を5〜85重量%、好ましくは、10〜70重
量%含むものである。さらにブロック構造について言及
すると、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロッ
クAが、ビニル芳香族化合物のみからなる重合体ブロッ
クまたはビニル芳香族化合物を50重量%を越え、好ま
しくは70重量%以上含有するビニル芳香族化合物と水
素添加された共役ジエン化合物との共重合体ブロックの
構造を有しており、そしてさらに、水素添加された共役
ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBが、水素添
加された共役ジエン化合物のみからなる重合体ブロッ
ク、または水素添加された共役ジエン化合物を50重量
%を越え、好ましくは70重量%以上含有する水素添加
された共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重
合ブロックの構造を有するものである。また、これらの
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA、水
素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロ
ックBは、それぞれの重合体ブロックにおける分子鎖中
の水素添加された共役ジエン化合物またはビニル芳香族
化合物の分布が、ランダム、テーパード(分子鎖に沿っ
てモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロ
ック状またはこれらの任意の組み合わせで成っていても
よく、該ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロッ
クAおよび該水素添加された共役ジエン化合物を主体と
する重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合は、
各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であってもよ
く、異なる構造であってもよい。
【0026】水添ブロック共重合体を構成するビニル芳
香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第三
ブチルスチレン等のうちから1種類または2種類以上が
選択でき、中でもスチレンが好ましい。また、水素添加
された共役ジエン化合物を構成する水添前の共役ジエン
化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、
1,3−ペンタジエン、1,3−ジメチル−1,3−ブ
タジエン等のうちから1種類または2種類以上が選ば
れ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み
合わせが好ましい。また、上記の構造を有する本発明に
供する水添ブロック共重合体の数平均分子量は特に限定
されないが、数平均分子量は5000〜100000
0、好ましくは10000〜500000、さらに好ま
しくは30000〜300000の範囲で用いることが
できる。さらに水添ブロック共重合体の分子構造は、直
鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わ
せのいずれであってもよい。
【0027】これらのブロック共重合体の製造方法とし
ては上記した構造を有するものであればどのような製造
方法であってもかまわない。例えば、特公昭40−23
798号公報に記載された方法により、リチウム触媒等
を用いて不活性溶媒中でビニル芳香族化合物−共役ジエ
ン化合物ブロック共重合体を合成し、次いで、例えば、
特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号
公報に記載された方法、特に好ましくは特公昭59−1
33203号公報および特公昭60−79005号公報
に記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒
の存在下に水素添加して、本発明に供する水添ブロック
共重合体を合成することができる。その際、ビニル芳香
族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の共役ジ
エン化合物に基く脂肪族二重結合は少なくとも80重量
%を水素添加せしめ、共役ジエン化合物を主体とする共
重合体ブロックBを形態的にオレフィン性化合物重合体
ブロックに変換させることができる。また、ビニル芳香
族化合物を主体とする重合体ブロックAおよび必要に応
じて、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックB
に共重合されているビニル芳香族化合物に基く芳香族二
重結合の水素添加率については特に限定しないが、水素
添加率を20重量%以下にするのが好ましい。
【0028】以上説明した(A)成分である、ポリフェ
ニレンエーテル樹脂と不飽和カルボン酸または酸無水物
との反応生成物、(B)成分である、トリアリルイソシ
アヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレート、
(C)成分である、少なくとも1個のビニル芳香族化合
物を主体とする重合体ブロックAおよび少なくとも1個
の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとか
らなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブ
ロック共重合体、の3つの成分のうち(A)成分と
(B)成分の配合割合は、両者の和100重量部を基準
として、(A)成分が45〜55重量部、好ましくは4
8〜52重量部、(B)成分が55〜45重量部、好ま
しくは52〜48重量部である。(B)成分が45重量
部未満では、樹脂を熱軟化させて金属箔からなる配線回
路層を転写用基材から絶縁層に転写する際に、転写に必
要な十分な粘着性が得られず、転写不良が発生する。5
5重量部を越えると樹脂の軟化が進みすぎて流動性が大
きくなりすぎ転写された配線の位置ずれが発生する。
【0029】(C)成分の割合は、(A)成分と(B)
成分の和100重量部を基準として、25〜35重量
部、好ましくは27〜33重量部である。(C)成分が
25重量部未満では、未硬化性材料の強度が低く、ハン
ドリングの際に材料が裂けるといった不具合が発生す
る。35重量部を越えると、樹脂を熱軟化させて金属箔
からなる配線回路層を転写用基材から絶縁層に転写する
際に、転写に必要な十分な粘着性が得られず、転写不良
が発生する。
【0030】本発明において、無機フィラーは、絶縁層
あるいは配線板の強度向上、熱膨張係数の低減、および
絶縁層に良好な熱伝導性を付与するために用いられる。
本発明の(D)成分として用いられる無機フィラーは、
通常、無機フィラーとして用いられるものを意味し、ガ
ラス織布、樹脂不織布などのいわゆる強化繊維は含まな
い。具体的には、SiO2 、Al2 3 、ZrO2 、T
iO2 、AlN、SiCである。無機フィラー形状は、
平均粒径が20μm以下が好ましく、より好ましくは1
0μm以下、最適には7μm以下1μm以上の略球形状
の粉末であり、他に平均アスペクト比が2以上、特に5
以上の繊維状のものも使用できる。平均粒径が20μm
を越えると粗大な粒子が、回路の転写を阻害する傾向が
あり、1μm未満では、ワニスの粘度が高くなり、後述
するシート成形が困難となる。(D)成分の配合割合
は、熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂組成物に対し
て20〜80体積%で、好ましくは35〜55体積%で
ある。20体積%未満だと、絶縁層あるいは多層配線板
の強度が低く、熱膨張係数は高くなり十分ではない。8
0体積%を越えると後述するシート成形時に、シートに
割れが発生し、不具合を生ずる。
【0031】本発明の回路転写用硬化性シートは、本発
明の熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂組成物をトル
エン、キシレンなどの芳香族系炭化水素等の溶剤でワニ
ス化して、ドクターブレード法等によってシート化し、
溶剤を乾燥して得られる。本発明の多層配線板の内層に
用いられる硬化性複合材料は、(A)ポリフェニレンエ
ーテル樹脂と不飽和カルボン酸または酸無水物との反応
生成物、(B)トリアリルイソシアヌレートおよび/ま
たはトリアリルシアヌレートを、(A)と(B)成分の
和100重量部を基準として、(A)成分45〜55重
量部、(B)成分55〜45重量部、含有するポリフェ
ニレンエーテル樹脂組成物をトルエン、キシレンなどの
芳香族系炭化水素等の溶剤でワニス化して、ガラス織布
および樹脂不織布などの強化繊維に含浸し、溶剤を乾燥
させて得られる。
【0032】硬化性複合材料の作製に用いられるポリフ
ェニレンエーテル樹脂組成物中の(B)成分の割合は、
(A)と(B)成分の和100重量部を基準として、
(B)成分55〜45重量部である。(B)成分が45
重量部未満では、樹脂を熱軟化させて金属箔からなる配
線回路層を転写用基材から硬化性複合材料層に転写する
際に、転写に必要な十分な粘着性が得られず、転写不良
が発生する。55重量部を越えると樹脂の軟化が進みす
ぎて流動性が大きくなりすぎ転写された配線の位置ずれ
が発生する。
【0033】本発明の熱硬化型ポリフェニレンエーテル
樹脂組成物およびポリフェニレンエーテル樹脂組成物
は、加熱の手段により架橋反応を起こして硬化するが、
その際の反応温度を低くしたり不飽和基の架橋反応を促
進する目的でラジカル開始剤を含有させてもよい。本発
明の熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂組成物および
ポリフェニレンエーテル樹脂組成物に用いられるでラジ
カル開始剤の量は、(A)成分と(B)成分の和100
重量部を基準として0.1〜10重量部、好ましくは
0.1〜8重量部である。
【0034】ラジカル開始剤の代表的な例を挙げると、
ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5ジハイドロロ
パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパー
オキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α
−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベ
ンゼン、2,5−メチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオ
キシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オ
クタン、2,5−ジメチル−2,5−2,5−ジ(ベン
ゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)
パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリル
パーオキサイド等の過酸化物があるが、これらに限定さ
れない。
【0035】本発明の熱硬化型ポリフェニレンエーテル
樹脂組成物およびポリフェニレンエーテル樹脂組成物
は、その用途に応じて所望の性能を付与させる目的で本
来の性能を損なわない範囲の量の充填材や添加剤を配合
して用いることができる。たとえば、難燃性の一層の向
上を図る目的で塩素系、臭素系、リン系の難燃剤や、S
2 3 、NbSbO3 ・1/4H2 O等の難燃助剤を
併用できる。本発明の配線回路層形成に用いられる金属
箔としては、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられるが、
銅箔が最も好ましい。
【0036】金属箔からなる配線回路層は、金属箔が接
着された転写用基材に対してフォトレジスト法とエッチ
ングにより配線パターンを形成した後、これを絶縁層に
転写させる方法が採用される。この配線回路層は絶縁層
の厚みLに対して、0.05倍以上、特に0.1倍以上
の厚みであることが好ましい。この厚みは、後述する加
圧圧縮する工程でのビアホール導体の充填率を決定する
ものであり、この配線回路層に用いる金属箔の厚みが大
きいほどビアホール導体の充填率を高めることができ
る。従って、金属箔の厚みが0.05倍より薄いとビア
ホール導体の充填率が十分でない。なお、厚みが厚すぎ
ると絶縁層への埋め込みが困難となるとともに多層化し
た場合に、基板に変形等が生じてしまう場合がある。か
かる観点から上限は0.25倍が適当である。ビアホー
ル導体に圧力を印加して、配線回路層を絶縁層内に埋め
込むと同時に、ビアホール導体を加圧圧縮させる。この
時に印加される圧力は1〜200kg/cm2 が好まし
く、20〜70kg/cm2がより好ましい。
【0037】本発明のビアホール導体を形成するための
貫通孔中に充填する導体ペーストに含まれる金属粉末と
しては、銅、アルミニウム、金、銀の群から選ばれる少
なくとも1種、または2種以上の金属からなることが望
ましく、特に、銅粉末、銅を含む合金粉末、銀で被覆し
た銅粉末が最も望ましく、場合によっては、回路の抵抗
調整のためにNi−Cr合金などの高抵抗の金属を混合
または合金化してもよい。さらに、貫通孔中に充填する
導体ペーストに添加する樹脂成分としては、公知の熱硬
化型樹脂が使用可能であるが、エポキシ樹脂が好まし
い。エポキシ樹脂は溶剤を含むものであってもよいが、
積層硬化工程での基板の膨れを防止するためには、無溶
剤で液状エポキシ樹脂を使用することが望ましい。
【0038】前述した組成の熱硬化型ポリフェニレンエ
ーテル樹脂組成物で形成された硬化性シートからなる絶
縁層は、ビアホール導体を好適に加圧圧縮できる。ビア
ホール導体を加圧圧縮させるに際し、絶縁層の樹脂成分
である(A)成分、(B)成分、(C)成分の3つの成
分のうち(A)成分と(B)成分の配合割合が、両者の
和100重量部を基準として、(A)成分が45〜55
重量部、(B)成分が55〜45重量部が好ましく、
(A)成分が48〜52重量部、(B)成分が52〜4
8重量部がより好ましい。
【0039】(B)成分が45重量部未満では、樹脂を
熱軟化させてビアホール導体を加圧圧縮することが難し
い傾向にある。55重量部を越えると樹脂の軟化が進み
すぎて流動性が大きくなりすぎ、ビアホール導体のペー
ストが漏れ出してしまいビアホール導体を加圧圧縮する
ことが難しい傾向にある。(C)成分の割合は、(A)
成分と(B)成分の和100重量部を基準として、25
〜35重量部、好ましくは27〜33重量部である。
(C)成分が25重量部未満では、未硬化性材料の強度
が低く、ビアホール導体を加圧圧縮する際に材料が裂け
るといった不具合が発生する。35重量部を越えると、
樹脂を熱軟化させるため加圧力がビアホール導体に有効
に印加されず、絶縁層全体に分散するために基板の変形
が大きくなる傾向にある。
【0040】以下、本発明を図面をもとに説明する。図
1は、本発明における多層配線板を説明するための概略
断面図である。本発明の多層配線板は、複数の絶縁層1
の積層体により構成され、絶縁層1と絶縁層1との間ま
たは絶縁層の表面には金属箔からなる配線回路層2が形
成されており、特に配線回路層は絶縁層の表面に埋め込
まれている。そして、配線回路層2と配線回路層2と間
にビアホール導体3が形成されており、該ビアホール導
体3は必要な位置に必要な数だけ形成された構造となっ
ている。本発明の多層配線板は、ビアホール導体3を、
導体ペーストの貫通孔内への充填によって形成し、且つ
そのビアホール導体3と接続される配線回路層2を、金
属箔からなる配線回路層が形成された転写用基材からの
転写によって形成する。
【0041】次に、図1の多層配線板を作製するにあた
り、絶縁層1、ビアホール導体3、配線回路層2からな
る一単位の配線層の製造方法およびこれを基礎とした一
括硬化による多層化方法について図2の工程図をもとに
説明する。まず、図2(a)に示すように、転写用基
材4に金属箔5を貼り合わせたものを準備する。この転
写用基材4は、例えば、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等で作製した
厚さ100〜20μmのフィルムに粘着力が20〜50
0g /cm2 の耐酸耐アルカリ性の粘着剤を塗布したも
のが良好に用いられる。この基材4への金属箔5の貼り
合わせは、具体的には厚さ30μm程度のPET フィルム
の表面に粘着剤を塗布し厚さ12μm程度の金属箔を接
着させて行なわれる。ついでこの金属箔5にドライフ
ィルムレジスト6を貼り合わせる。ドライフィルムレ
ジスト6に回路を露光し、現像する。次いで、金属箔
5をエッチングし、ドライフィルムレジスト6を剥離す
ることで、表面に配線回路層7が形成された転写用基材
を得る。
【0042】一方、図2(b)に示すように、熱硬化
型ポリフェニレンエーテル樹脂組成物に溶剤を加え、ド
クターブレード法等でシート状に成形して硬化性シート
( 絶縁層) 8を作製する。次に、この絶縁層8にパン
チング加工やレーザー加工によって所望の位置に貫通孔
を加工する。加工された貫通孔に導体ペーストを充填
し、ビアホール導体9を形成する。配線回路層7が形
成された転写用基材4を上記ビアホール導体9が形成さ
れた絶縁層の表面に位置合わせしてビアホール導体9の
端部に形成された配線回路層7に圧力を印加して、配線
回路層7を絶縁層8内に埋め込み、回路を転写する。こ
の工程により導体ペーストを圧縮しビアホール導体の密
度を高くしてビア抵抗値を低減することができる。次
に、転写用基材4を剥がすことにより、ビアホール導体
9の絶縁層8における少なくとも一方の露出端部に金属
箔からなる配線回路層7が形成され、ビアホール導体9
が接続された配線回路層7を具備する一単位の配線層を
形成することができる。
【0043】次に、図3(c)に示すように、配線回路
層7とビアホール導体9を有する絶縁層を複数用意し位
置合せして仮積層する。次に、図3(d)に示すよう
に、ビアホール導体9が形成された第1の絶縁層の表面
に、図2(a)で作製した配線回路層7が形成された転
写用基材4を重ね合わせ圧着し、絶縁層表面に配線回路
層を転写させる。その後、図3(e)に示す様に、転写
用基材4を剥がすことにより、未硬化の多層配線板を形
成することができる。さらに、図3(f)に示す様に、
このようにして作製した配線板の表裏に耐熱性離型フィ
ルム10を密着させ、ホットプレスで一括硬化すること
により、図1に示したような多層配線板を作製すること
ができる。
【0044】上記の工程において、本発明よりなる絶縁
層は未硬化状態で適度な粘着性を有する為特別な接着の
工夫を行わなくても積層が可能である。このため、すべ
ての絶縁層を積層した後に、全体をホットプレスやオー
トクレーブ等の加熱・加圧手段によって硬化すればよ
い。硬化複合材料層と配線回路層とからなる層を内層に
用いた多層配線板は、前述した方法で得られた硬化性複
合材料からなるシートの片面あるいは両面に硬化性シー
トの場合と同様にして配線回路層を転写によって形成
し、この層を内層となるように積層し、硬化することに
よって作製できる。かかる製造方法においては、配線回
路層の形成を転写用基材によって積層工程と並列的に行
うことができるために、ビルドアップ法における工程の
時間短縮と工程の短縮化を図ることもできる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下の実施例には、各成分として
次のようなものを用いた。 〈変性ポリフェニレンエーテル樹脂〉30℃、0.5g
r/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/
cが0.40のポリ(2,6−ジメチル−1,4−ジフ
ェニレンエーテル)100重量部と、無水マレイン酸
1.5重量部を室温でドライブレンドした後、シリンダ
ー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件
で二軸押出機により押し出した。30℃、0.5gr/
dlのクロロホルム溶液で測定した反応生成物の粘度数
ηsp/cは0.43であった。 〈重合開始剤〉2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキシン−3 (日本油脂(株)製 パ
ーヘキシン25B) 〈シリカ〉球状シリカ(電気化学工業(株)製 FB―
6S) 〈水添ブロック共重合体〉水添スチレン−ブタジエン−
スチレンブロック共重合体(旭化成工業(株)製タフテ
ック H1285) 〈難燃剤〉臭素系難燃剤(アルベマール(株)製 サイ
テックスBT−93W)
【0046】
【実施例】(実施例1〜4)上記変性ポリフェニレンエ
ーテル樹脂、水添ブロック共重合体、およびトリアリル
イソシアヌレートを表1に示した組成割合で80℃のト
ルエン中に加え、1時間攪拌した。これに、シリカおよ
び難燃剤を表1に示した組成割合で投入し、溶解/分散
させた。最後に重合開始剤を表1に示した組成割合で添
加して熱硬化型ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物か
らなるワニスを作製した。その後、厚さ100μmのP
ETフィルムの上にブレードコータにて塗布、50℃で
30分エアーオーブンで乾燥後、PETフィルムを剥離
して、厚さ100μm の硬化性シートを作製した。作製
した硬化性シートに炭酸ガスレーザーで直径0.1mm
の貫通孔を形成し、その貫通孔内に銀をめっきした銅粉
末を含む銅ペーストを充填してビアホール導体を形成し
た。
【0047】一方、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)樹脂からなる転写用基材の表面に粘着剤を塗布して
粘着性をもたせ、厚さ12μm、表面粗さ0.8μmの
銅箔を一面に接着した。その後、フォトレジストを塗布
し露光現像を行った後、これを塩化第二鉄溶液中に浸漬
して非パターン部をエッチング除去して配線回路層を形
成した。なお、作製した配線回路層は、線幅が25μ
m、配線と配線との間隔が25μmの微細なパターンで
ある。そして、先のビアホール導体が形成された硬化性
シートに上記配線回路層が形成された転写用基材を位置
決めして120℃、20kg/cm2 の条件で30秒密着さ
せた後、転写用基材を剥がして、銅からなる配線回路層
を形成して一単位の配線層を形成した。
【0048】上記の方法により、厚さ約100μmの7
枚の配線層(1枚は両面に配線回路層を転写した配線層
である。)を準備し、両面に配線回路層を転写した配線
層の上下に、各3枚を位置あわせして重ね合わせ、15k
g/cm2 の圧力で圧着し、200℃で1時間加熱して
硬化させて多層配線板を作製した。得られた多層配線板
に対して、断面における配線回路層やビアホール導体の
形成付近を観察した結果、転写により形成された配線回
路層は絶縁層表面に平滑な状態まで十分埋め込まれてお
り、また配線回路層とビアホール導体とは良好な接続状
態であった。さらに各配線間の導通テストを行った結
果、配線の断線も認められなかった。
【0049】(実施例5)上記変性ポリフェニレンエー
テル樹脂を50重量部、およびトリアリルイソシアヌレ
ートを50重量部の組成割合で80℃のトルエンに溶解
し、難燃剤としてサイテックス8010(アルデマーレ
(株)社製)を25重量部を添加し、最後に重合開始剤
としてパーヘキシン25Bを6重量部を添加してポリフ
ェニレンエーテル樹脂組成物からなるワニスを作製し、
このワニスをガラスクロスに浸漬して含浸し、その後エ
アーオーブンで乾燥して複合プリプレグを作製した。こ
のプリプレグに炭酸ガスレーザーで貫通孔を加工し、実
施例1〜4と同様に銀をめっきした銅粉末を含む導体ペ
ーストを充填した後、転写によって銅箔からなる配線回
路層を形成して一単位の配線層を形成した。
【0050】この配線層を3層積層した。また、実施例
1で作製した硬化性シートと同じ組成の硬化性シートを
用意し、YAG レーザーで直径40μm の貫通孔を加工し
た。この貫通孔に平均粒径2μm の銅粉末を含む導体ペ
ーストを充填した後、先の配線回路層が形成された転写
用基材を位置決めして120℃、20kg/cm2 の条件で
30秒密着させた後、転写用基材が密着した状態で、先
に作製した3層の積層体の表裏に位置合せして積層し、
その後、転写用基材を剥がした。これらの表裏に耐熱性
離形フィルムを貼り200℃で1時間加熱・加圧して硬
化させて多層配線基板を作製した。加圧は面圧で20k
g/cm2 とした。得られた多層配線基板に対して、断
面における配線回路層やビアホール導体の形成付近を観
察した結果、転写により形成された配線回路層は絶縁層
表面および硬化複合材料層表面にそれぞれ平滑な状態ま
で十分埋め込まれており、また配線回路層とビアホール
導体とは良好な接続状態であった。さらに各配線間の導
通テストを行った結果、配線の断線も認められなかっ
た。
【0051】(比較例1〜5)表2に示した組成割合の
硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物からなる絶縁
性樹脂シートを作製した以外は、実施例1と同様の操作
を行ったが、比較例1、2では、得られた樹脂シートの
粘着性が乏しく、配線回路層の転写性が悪く、その後の
一括積層も困難であった。比較例3,4では、配線回路
層の転写時に樹脂シートの軟化が大きく良好な転写が得
られず、一括積層を行った際、配線回路層及びビアホー
ル導体の形状が安定せず、両者の間に良好な接続状態に
ならなかった。また、比較例5では、絶縁性樹脂シート
の成形性が悪い上、配線回路層の転写時に樹脂シートの
軟化が不充分で、転写法には適しないものであった。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】本発明の回路転写用硬化性シートは、回
路の転写を容易するための粘着性、加熱・加圧による硬
化時に回路の位置を保持するための溶融特性、加工時の
ハンドリングに耐えうる強度、および電気的接続用ビア
ホールを容易にするための被加工性を有する材料である
ことから、該回路転写用硬化性シートを用いて得られる
本発明の多層配線板は、精密で高密度の配線回路を具備
しており、微細な配線回路形成が必要な半導体素子収納
用パッケージ等に好適に使用できる。また、多層配線板
板の製造方法も、多層化の工程を簡略化でき、生産性が
高く、産業上大いに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線板を説明するための概略断面
図である。
【図2】(a)金属箔からなる配線回路層が形成された
転写用基材の製造工程を説明する工程図である。(b)
本発明の絶縁層1、ビアホール導体3、配線回路層2か
らなる一単位の配線層の製造工程を説明する工程図であ
る。
【図3】(c)配線回路層とビアホール導体を有する絶
縁層を位置合わせして仮積層する工程を説明する工程図
である。(d)仮積層した絶縁層の表面に金属箔からな
る配線回路層が形成された転写用基材を圧着する工程を
説明する工程図である。(e)圧着した転写用基材を剥
離して未硬化の多層配線板を形成することを説明する工
程図である。(f)未硬化の多層配線板に耐熱性フィル
ムを密着させ、一括硬化により多層化する工程を説明す
る工程図である。
【符号の説明】
1 絶縁層 2 配線回路層 3 ビアホール導体 4 転写用基材 5 金属箔 6 ドライフィルムレジスト 7 配線回路層 8 硬化性シート 9 ビアホール導体 10 耐熱性離型フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 正樹 神奈川県川崎市川崎区夜光1丁目3番1号 旭化成工業株式会社内 (72)発明者 林 桂 鹿児島県国分市山下町1番4号 京セラ株 式会社京セラ総合研究所内 (72)発明者 堀 正明 鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株 式会社鹿児島国分工場内 Fターム(参考) 5E346 AA12 AA43 CC02 CC04 CC08 CC32 CC39 DD12 DD32 DD43 EE09 EE33 FF18 GG15 HH33

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリフェニレンエーテル樹脂と不
    飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物、(B)
    トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリル
    シアヌレート、(C)少なくとも1個のビニル芳香族化
    合物を主体とする重合体ブロックAおよび少なくとも1
    個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと
    からなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添
    ブロック共重合体、並びに(D)無機フィラーを、
    (A)成分と(B)成分の和100重量部を基準とし
    て、(A)成分45〜55重量部、(B)成分55〜4
    5重量部、(C)成分25〜35重量部含有し、(D)
    成分を全量中20〜80体積%含有することを特徴とす
    る熱硬化型ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からな
    る回路転写用硬化性シート。
  2. 【請求項2】 樹脂を含有する絶縁層と、該絶縁層表面
    および/または内部に配設された配線回路層を具備する
    多層配線板であって、上記絶縁層が、(A)ポリフェニ
    レンエーテル樹脂と不飽和カルボン酸または酸無水物と
    の反応生成物、(B)トリアリルイソシアヌレートおよ
    び/またはトリアリルシアヌレート、(C)少なくとも
    1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック
    Aおよび少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とす
    る重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素
    添加して得られる水添ブロック共重合体、並びに(D)
    無機フィラーを、(A)成分と(B)成分の和100重
    量部を基準として、(A)成分45〜55重量部、
    (B)成分55〜45重量部、(C)成分25〜35重
    量部を含有し、(D)成分を全量中20〜80体積%含
    有する熱硬化型ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物か
    らなる回路転写用硬化性シートを硬化させることにより
    得られる層であり、且つ該配線回路層の少なくとも一部
    が、金属箔からなる配線回路層が形成された転写用基材
    からの転写によって形成されたものであることを特徴と
    する多層配線板。
  3. 【請求項3】 内部に、(A)ポリフェニレンエーテル
    樹脂と不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成
    物、(B)トリアリルイソシアヌレートおよび/または
    トリアリルシアヌレートを、(A)成分と(B)成分の
    和100重量部を基準として、(A)成分45〜55重
    量部、(B)成分55〜45重量部を含有するポリフェ
    ニレンエーテル系樹脂組成物を強化繊維に含浸し、硬化
    してなる硬化複合材料層と、少なくとも一部が、金属箔
    からなる配線回路層が形成された転写用基材からの転写
    によって形成された配線回路層とからなる内層を有する
    請求項2記載の多層配線板。
  4. 【請求項4】 配線回路層間を電気的に接続するための
    ビアホール導体が貫通孔内への導体ペーストの充填によ
    って形成され、絶縁層の厚みLの0.05倍以上の厚み
    を有する金属箔からなる配線回路層が絶縁層内および硬
    化複合材料層内にそれぞれ埋め込まれていることを特徴
    とする請求項2又は3記載の多層配線板。
  5. 【請求項5】 樹脂を含有する絶縁層と、該絶縁層表面
    および/または内部に配設された配線回路層を具備する
    多層配線板の製造方法において、(イ)、転写用基材の
    表面に配線回路層を形成する工程と、(ロ)、(A)ポ
    リフェニレンエーテル樹脂と不飽和カルボン酸または酸
    無水物との反応生成物、(B)トリアリルイソシアヌレ
    ートおよび/またはトリアリルシアヌレート、(C)少
    なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体
    ブロックAおよび少なくとも1個の共役ジエン化合物を
    主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合
    体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体、並び
    に(D)無機フィラーを、(A)成分と(B)成分の和
    100重量部を基準として、(A)成分45〜55重量
    部、(B)成分55〜45重量部、(C)成分25〜3
    5重量部含有し、(D)成分を全量中20〜80体積%
    含有する熱硬化型ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
    からなる硬化性シートに貫通孔を形成し、該貫通孔内に
    導体ペーストを充填してビアホール導体を形成する工程
    と、(ハ)、上記配線回路層が形成された上記転写用基
    材に、(ロ)で得られたビアホール導体が形成された硬
    化性シートを積層圧着して絶縁層を形成する工程と、
    (ニ)、(ハ)で得られた絶縁層の表面から上記転写用
    基材を剥がして該転写用基材表面の配線回路層を絶縁層
    表面に転写させる工程と、(ホ)、上記(イ)工程乃至
    (ニ)工程で得られた絶縁層を積層して多層化した後、
    加熱および加圧の手段により一括して樹脂を硬化させる
    工程と、を具備することを特徴とする多層配線板の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 (A)ポリフェニレンエーテル樹脂と不
    飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物、(B)
    トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリル
    シアヌレートを、(A)と(B)成分の和100重量部
    を基準として、(A)成分45〜55重量部、(B)成
    分55〜45重量部、含有するポリフェニレンエーテル
    系樹脂組成物を強化繊維に含浸し、乾燥してなる硬化性
    複合材料層と、少なくとも一部が、金属箔からなる配線
    回路層が形成された転写用基材からの転写によって形成
    された配線回路層とからなる層を内層に用い、その外側
    に請求項5に記載の多層配線板の製造方法の(イ)工程
    〜(ニ)工程で得られた配線回路層を有する絶縁層を積
    層して多層化した後、一括して樹脂を硬化させることを
    特徴とする多層配線板の製造方法。
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JP2003110246A (ja) * 2001-09-27 2003-04-11 Kyocera Corp 絶縁シートおよびその製法並びに多層配線基板およびその製法

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