JP2001196729A - 硬化性シート - Google Patents

硬化性シート

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JP2001196729A
JP2001196729A JP2000327157A JP2000327157A JP2001196729A JP 2001196729 A JP2001196729 A JP 2001196729A JP 2000327157 A JP2000327157 A JP 2000327157A JP 2000327157 A JP2000327157 A JP 2000327157A JP 2001196729 A JP2001196729 A JP 2001196729A
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Shozo Kinoshita
昌三 木下
Masaki Yamamoto
正樹 山本
Katsura Hayashi
桂 林
Masaaki Hori
正明 堀
Shunichi Fujii
俊一 藤井
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Asahi Kasei Corp
Kyocera Corp
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Asahi Kasei Corp
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 精密で高密度な回路を有し、耐熱性、耐水性
が高く、且つ130℃以上の高温放置試験下での長期安
定性を有する多層配線板の製造に使用できる硬化性シー
トを提供する。 【解決手段】 (A)ポリフェニレンエーテル樹脂と不
飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物、(B)
トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリル
シアヌレート、(C)少なくとも1個のビニル芳香族化
合物を主体とする重合体ブロックАおよび少なくとも1
個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと
からなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添
ブロック共重合体、(D)無機フィラー並びに(E)臭
素系難燃剤の夫々を、特定割合で含有する熱硬化型ポリ
フェニレンエーテル樹脂組成物であって、且つ上記
(E)成分中に不純物として含有する臭化ナトリウム
(NaBr)および臭素(Br2 )が、重量割合で、N
aBrが50ppm以下、Br2 が100ppm以下で
ある熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂組成物からな
ることを特徴とする硬化性シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化性シート、お
よび多層配線板、例えば、半導体素子収納用パッケージ
などに適した多層配線板と、該多層配線板の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、配線板、例えば、半導体素子
を収納するパッケージに使用される多層配線板として、
樹脂を含む絶縁性基板表面に銅箔を接着した後、これを
エッチングして微細な回路を形成し、しかるのちにこの
基板を積層して多層化したプリント配線板が提案され使
用されている。また、最近では、更に精密で高密度な回
路を有する多層プリント配線基板が求められるようにな
っている。このような要求に対し、従来の多層プリント
基板では、基板を貫通するスルーホールを形成しその内
部にメッキ等を施して層間の接続を行うため、スルーホ
ールによって回路設計が制限され高密度配線が難しかっ
た。このため、所定の基板表面に絶縁層と配線回路層を
交互にコーティング及びメッキ等、あるいはビアホール
形成等を施して多層化する所謂ビルドアップ法が開発さ
れている。
【0003】しかし、ビルドアップ法は各層を逐次形成
するために、完成品の歩留まりは各層を形成するための
歩留まりの積となり、本質的に歩留まりを改善すること
が難しいプロセスであった。また、感光性樹脂を使用し
たビルドアップ基板では樹脂に感光基を導入する為耐熱
性や耐水性が低くなり、半導体素子収納用パッケージと
して今後要求される性能を満足できない問題があった。
一方、近年、耐熱性が高く、且つ耐吸水性に優れた熱硬
化型ポリフェニレンエーテル系樹脂が注目をあび、多層
プリント配線板への応用が試みられている。
【0004】本発明者等は、上記問題点を検討した結
果、配線密度を向上させる方法として、特定の組成を有
する熱硬化型ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物から
なる硬化性シートを用い、層間の電気的接続を導体ペー
ストによって行ない、さらに配線回路を、転写用基材か
らの配線回路層の転写あるいは導体ペーストの印刷によ
って形成することによって、未硬化の絶縁層を積層し一
括硬化することが可能になり多層化の工程を簡略化でき
ることを見いだし、先に出願した(特願平11−305
023号、特願平11−305069号)。これらの工
程においては層間の電気的接続を行うために主として銅
粉末を含有する導体ペーストを使用することが必要であ
った。しかしながら、電気的接続に銅粉末を含有する導
体ペーストを用いると、回路の抵抗の経時変化があり、
特に130℃以上の高温放置試験下で導体抵抗変化率が
増大する傾向があるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、精密で高密
度な回路を有し、耐熱性、耐水性が高く、且つ130℃
以上の高温放置試験下での長期安定性を有する多層配線
板の製造に使用できる硬化性シートおよび多層配線板の
生産性の高い製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記のよ
うな課題について鋭意検討した結果、従来考えられてい
た外部環境からの酸素や水分の侵入だけでなく、臭素系
難燃剤に含まれる不純物によって導体抵抗が大きく変化
することを見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、 1.(A)ポリフェニレンエーテル樹脂と不飽和カルボ
ン酸または酸無水物との反応生成物、(B)トリアリル
イソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレー
ト、(C)少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体
とする重合体ブロックАおよび少なくとも1個の共役ジ
エン化合物を主体とする重合体ブロックBからなるブロ
ック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重
合体、(D)無機フィラー並びに(E)臭素系難燃剤
を、(A)成分と(B)成分の和100重量部を基準と
して、(A)成分45〜55重量部、(B)成分55〜
45重量部、(C)成分25〜35重量部、(E)成分
10〜30重量部、含有し、(D)成分を全量中20〜
80体積%含有する熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹
脂組成物であって、且つ上記(E)成分中に不純物とし
て含有する臭化ナトリウム(NaBr)および臭素(B
2 )が、重量割合で、NaBrが50ppm以下、B
2 が100ppm以下である熱硬化型ポリフェニレン
エーテル樹脂組成物からなることを特徴とする、層間の
電気的接続を導体ペーストの貫通孔への充填によって形
成されたビアホール導体によって行ない、配線回路を転
写用基材からの配線回路層の転写および/または導体ペ
ーストの印刷によって形成するために使用する硬化性シ
ート、
【0007】2.上記1の硬化性シートに貫通孔を形成
し、該貫通孔に金属粉末を含有する導体ペーストを充填
して層間の電気的接続手段とする工程と、該工程で得ら
れた層間の電気的接続手段を有する硬化性シートに、金
属粉末を含有する導体ペーストを所定パターンに印刷し
配線導体を形成する工程および/または金属箔からなる
配線回路層が形成された転写用基材を転写し配線回路層
を形成する工程と、該工程で作製した配線導体および/
または配線回路層の形成された硬化性シートを位置合わ
せを行い一括積層硬化する工程からなることを特徴とす
る多層配線板の製造法、である。
【0008】以下、本発明を詳細に述べる。本発明の硬
化性シートは、(A)成分、(B)成分、(C)成分、
(D)成分および(E)成分からなる熱硬化型ポリフェ
ニレンエーテル系樹脂組成物からなる硬化性シートであ
る。本発明に用いられる(A)成分は、ポリフェニレン
エーテル樹脂を不飽和カルボン酸または酸無水物と反応
させることによって製造される。本発明に用いられるポ
リフェニレンエーテル樹脂は、下記一般式(1)で表さ
れる。
【0009】
【化1】 一般式AにおけるR1 〜R4 の低級アルキル基の例とし
ては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロ
ピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
アリール基の例としては、フェニル基等が挙げられる。
ハロゲン原子の例としては臭素、塩素等が挙げられる。
上記一般式(1)のQの代表的な例としては、次の化2
に示される4種の構造式単位で表される化合物群が挙げ
られる。
【0010】
【化2】
【0011】具体例を、下記化3および化4に示す。
【化3】
【0012】
【化4】 上記一般式(1)中のJで表されるポリフェニレンエー
テル鎖中には、上記一般式Aで表される単位の他、次の
化5に示される一般式Bで表される単位が含まれていて
もよい。
【0013】
【化5】
【0014】本発明に用いられる上記一般式(1)のポ
リフェニレンエーテル樹脂の好ましい例としては、2,
6−ジメチルフェノールの単独重合で得られるポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)のスチレングラフト共重合体、2,6−ジメチルフ
ェノールと2,3,6−トリメチルフェノールの共重合
体、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジメチル−
3−フェニルフェノールの共重合体、2,6−ジメチル
フェノールを下記化6(但し、mは2〜6の整数、Qは
一分子中に2〜6個のフェノール性水酸基を持ち、フェ
ノール性水酸基のオルト位およびパラ位に重合不活性な
置換基を有する多官能フェノール化合物の残基を表
す。)に示す多官能性フェノール化合物の存在下で重合
して得られた多官能ポリフェニレンエーテル樹脂、例え
ば、特開昭63−301222号公報、特開平1−29
7428号公報に開示されているような一般式Aおよび
一般式Bの単位を含む共重合体等が挙げられる。
【0015】
【化6】 以上述べたポリフェニレンエーテル樹脂の分子量につい
ては、30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測
定した粘度数ηsp/Cが0.1〜1.0の範囲にある
ものが良好に使用できる。
【0016】本発明において用いられる不飽和カルボン
酸および酸無水物の例としては、アクリル酸、メタクリ
ル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イ
タコン酸、無水グルタル酸、無水シトラコン酸等が挙げ
られる。特に無水マレイン酸、フマル酸が最も良好に使
用できる。反応は、ポリフェニレンエーテル樹脂と不飽
和カルボン酸または酸無水物を100〜390℃の温度
範囲で加熱することによって行われる。この際ラジカル
開始剤を共存させてもよい。溶液法と溶融混合法の両方
が使用できるが、押出し機等を用いる溶融混合法の方が
簡便に行うことができ、本発明の目的に適している。
【0017】不飽和カルボン酸または酸無水物の割合
は、ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対し
0.01〜5.0重量部、好ましくは0.1〜3.0重
量部である。本発明において(B)成分として用いられ
るトリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリ
ルシアヌレートとは、それぞれ次の化7に示される構造
式で表される3官能性モノマーである。
【0018】
【化7】 本発明において、トリアリルイソシアヌレートおよび/
またはトリアリルシアヌレートは、可塑剤ならびに架橋
剤としての効果を発揮する。
【0019】本発明の成分(C)として用いられる水添
ブロック共重合体は、少なくとも1個のビニル芳香族化
合物を主体とする重合体ブロックAおよび少なくとも1
個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBか
ら成るブロック共重合体を水素添加して得られるもので
あり、例えば、下記化8に示される構造等を有するビニ
ル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の
水素添加されたものである。
【0020】
【化8】
【0021】この水添ブロック共重合体は、ビニル芳香
族化合物を5〜85重量%、好ましくは、10〜70重
量%含むものである。さらにブロック構造について言及
すると、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロッ
クAが、ビニル芳香族化合物のみからなる重合体ブロッ
クまたはビニル芳香族化合物を50重量%を越え、好ま
しくは70重量%以上含有するビニル芳香族化合物と水
素添加された共役ジエン化合物との共重合体ブロックの
構造を有しており、そしてさらに、水素添加された共役
ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBが、水素添
加された共役ジエン化合物のみからなる重合体ブロッ
ク、または水素添加された共役ジエン化合物を50重量
%を越え、好ましくは70重量%以上含有する水素添加
された共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重
合ブロックの構造を有するものである。また、これらの
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA、水
素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロ
ックBは、それぞれの重合体ブロックにおける分子鎖中
の水素添加された共役ジエン化合物またはビニル芳香族
化合物の分布が、ランダム、テーパード(分子鎖に沿っ
てモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロ
ック状またはこれらの任意の組み合わせで成っていても
よく、該ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロッ
クおよび該水素添加された共役ジエン化合物を主体とす
る重合体ブロックがそれぞれ2個以上ある場合は、各重
合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても、異なる
構造であってもよい。
【0022】水添ブロック共重合体を構成するビニル芳
香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第三
ブチルスチレン等のうちから1種類または2種類以上が
選択でき、中でもスチレンが好ましい。また、水素添加
された共役ジエン化合物を構成する水添前の共役ジエン
化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、
1,3−ペンタジエン、1,3−ジメチル−1,3−ブ
タジエン等のうちから1種類または2種類以上が選ば
れ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み
合わせが好ましい。また、上記の構造を有する本発明に
供する水添ブロック共重合体の数平均分子量は特に限定
されないが、数平均分子量は5000〜100000
0、好ましくは10000〜500000、さらに好ま
しくは30000〜300000の範囲で用いることが
できる。さらに水添ブロック共重合体の分子構造は、直
鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わ
せのいずれであってもよい。
【0023】これらのブロック共重合体の製造方法とし
ては上記した構造を有するものであればどのような製造
法であってもかまわない。例えば、特公昭40−237
98号公報に記載された方法により、リチウム触媒等を
用いて不活性溶媒中でビニル芳香族化合物−共役ジエン
化合物ブロック共重合体を合成し、次いで、例えば、特
公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公
報に記載された方法、特に好ましくは特公昭59−13
3203号公報および特公昭60−79005号公報に
記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の
存在下に水素添加して、本発明に供する水添ブロック共
重合体を合成することができる。その際、ビニル芳香族
化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の共役ジエ
ン化合物に基く脂肪族二重結合は少なくとも80重量%
を水素添加せしめ、共役ジエン化合物を主体とする共重
合体ブロックを形態的にオレフィン性化合物重合体ブロ
ックに変換させることができる。また、ビニル芳香族化
合物を主体とする重合体ブロックAおよび必要に応じ
て、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBに
共重合されているビニル芳香族化合物に基く芳香族二重
結合の水素添加率については特に限定しないが、水素添
加率を20重量%以下にするのが好ましい。
【0024】以上説明した(A)成分であるポリフェニ
レンエーテル樹脂と不飽和カルボン酸または酸無水物と
の反応生成物、(B)成分であるトリアリルイソシアヌ
レートおよび/またはトリアリルシアヌレート、(C)
成分である少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体
とする重合体ブロックАおよび少なくとも1個の共役ジ
エン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなるブ
ロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共
重合体、の3つの成分のうち(A)成分と(B)成分の
配合割合は、両者の和100重量部を基準として、
(A)成分が45〜55重量部、(B)成分が55〜4
5重量部が好ましく、(A)成分が48〜52重量部、
(B)成分が52〜48重量部がより好ましい。
【0025】(B)成分が45重量部未満では、一括積
層時に樹脂の軟化が不十分で樹脂間での密着不良が発生
する。55重量部を越えると一括積層時に樹脂の軟化が
進みすぎて流動性が大きくなりすぎ配線の位置ずれが発
生し好ましくない。(C)成分の割合は、(A)成分と
(B)成分の和100重量部を基準として、25〜35
重量部が好ましく、28〜32重量部がより好ましい。
(C)成分が25重量部未満では、硬化性シートの強度
が低く、ハンドリングの際に材料が裂けるといった不具
合が発生する。35重量部を越えると樹脂を熱軟化させ
て金属箔からなる配線回路層を転写用基材から絶縁層に
転写する際に、転写に必要な十分な粘着性が得られず、
転写不良や一括積層時に樹脂間での密着不良が発生す
る。
【0026】本発明において、無機フィラーは、硬化性
シートあるいは多層配線板の強度向上、熱膨張係数の低
減、および絶縁層に良好な熱伝導性を付与するために用
いられる。本発明の(D)成分として用いられる無機フ
ィラーは、通常、無機フィラーとして用いられるものを
意味し、ガラス織布、樹脂不織布などのいわゆる強化繊
維は含まない。具体的には、SiO2 、Al2 3 、Z
rO2 、TiO2 、AlN、SiCである。無機フィラ
ー形状は、平均粒径が20μm以下が好ましく、より好
ましくは10μm以下、最適には7μm以下1μm以上
の略球形状の粉末であるが、他に平均アスペクト比が2
以上、特に5以上の繊維状のものも使用できる。平均粒
径が20μmを越えると粗大な粒子が、回路の転写を阻
害する傾向があり、1μm未満では、ワニスの粘度が高
くなり、後述する硬化性シート成形が困難となる。
(D)成分の割合は、熱硬化型ポリフェニレンエーテル
樹脂組成物に対して全量中20〜80体積%で、好まし
くは35〜55体積%である。20体積%未満だと、絶
縁層あるいは多層配線板の強度が低く、熱膨張係数は高
くなり十分ではない。80体積%を越えると後述する硬
化性シート成形時に、シートに割れが発生し、不具合を
生ずる。
【0027】本発明の(E)成分として用いられる臭素
系難燃剤は、絶縁層あるいは配線板全体としての難燃性
の一層の向上を図る目的で本来の性能を損なわない範囲
の量を配合して用いることができる。配線板の十分な難
燃性を得るためには、(E)成分の配合割合は(A)成
分と(B)成分の和100重量部を基準として、10〜
30重量部、好ましくは15〜25重量部である。臭素
系難燃剤の代表的な例を挙げると、エチレン・ビス・テ
トラブロモフタルイミド、エチレンビスペンタブロモベ
ンゼン、2,4,6−トリブロモフェノールアクリレー
ト、トリブロモフェノールエトキシアクリレート、ビス
フェノールAジエトキシレートジメタクリレート、トリ
ブロモスチレン、ペンタブロモベンジルモノアクリレー
ト、N−トリブロモフェニルマレイミド、ヘキサブロモ
ベンゼン、臭素化ポリスチレン等あるが、これらに限定
されない。
【0028】本発明者らは、臭素系難燃剤に含有される
不純物が配線回路層を形成する配線導体やビアホール導
体を形成する導体ペースト中の金属粉末表面の酸化に起
因し、導体抵抗変化を増大させるなどして多層配線板の
長期安定性を損なうことを見出した。このため、臭素系
難燃剤においては含有される不純物が少ないことが望ま
しく、本発明に用いられる(E)成分としては、不純物
として含有される臭化ナトリウム(NaBr)及び臭素
(Br2 )の重量割合は、NaBrが50ppm以下、
Br2 が100ppm以下であることが必要である。不
純物として含有されるNaBrが50ppmを超える
か、Br2 が100ppmを超えて存在する場合には、
難燃剤の合成や精製を行うことが必要であり、また、上
記範囲を満足する場合でも、含有するNaBr及びBr
2 を取り除いて純度を上げる目的で、難燃剤の合成や精
製を行うことが好ましい。
【0029】(E)成分に不純物として含有されるNa
Brが50ppmを超えるか、Br 2 が100ppmを
超えて存在する臭素系難燃剤を用いた場合、この多層配
線板の配線導体や、ビアホール導体形成に用いられた導
体ペーストに含まれる銅粉などの金属粉末表面が130
℃以上の高温放置試験下で酸化され、その結果導体抵抗
値が増加するなどの不具合が生じる。本発明の熱硬化型
ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、加熱の手段によ
り架橋反応を起こして硬化するが、その際の反応温度を
低くしたり不飽和基の架橋反応を促進する目的でラジカ
ル開始剤を含有させてもよい。本発明の熱硬化型ポリフ
ェニレンエーテル樹脂組成物に用いられるでラジカル開
始剤の量は、(A)成分と(B)成分の和100重量部
を基準として0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜
8重量部である。
【0030】ラジカル開始剤の代表的な例を挙げると、
ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5ジハイドロロ
パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパー
オキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α
−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベ
ンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオ
キシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オ
クタン、2,5−ジメチル−2,5−2,5−ジ(ベン
ゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)
パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリル
パーオキサイド等の過酸化物があるが、これらに限定さ
れない。
【0031】本発明の多層配線板は、樹脂を含む絶縁層
と該絶縁層表面および内部に配設された配線導体および
/または配線回路層を具備する。次に、絶縁層の形成方
法としては、上記の熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹
脂組成物をトルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素
等の溶剤でワニス化したものをドクターブレード法等に
よってシート化し、加熱によって半硬化した硬化性シー
トが使用される。本発明において配線導体や層間の電気
的接続手段であるビアホール導体に用いられる導体ペー
ストに含有される金属粉末としては、銅、アルミニウ
ム、金、銀の群から選ばれる少なくとも1種、または2
種以上の金属からなることが望ましく、銅粉末、銅を含
む合金粉末または銀で被覆された銅粉末が最も望まし
い。場合によっては、回路の抵抗調整のためにNi−C
r合金などの高抵抗の金属を混合または合金化してもよ
い。
【0032】さらに、導体ペーストに含有する樹脂成分
としては、公知の熱硬化型樹脂が使用可能であるが、エ
ポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は溶剤を含むもの
であってもよいが、積層硬化工程での基板の膨れを防止
するためには、無溶剤で液状エポキシ樹脂を使用するこ
とが望ましい。また、金属箔からなる配線回路層は、金
属箔が接着された転写用基材に配線パターンを形成した
後、これを絶縁層に転写させる方法等が採用される。
【0033】以下、本発明を図面に基づき説明する。図
1は印刷法により形成した配線導体を具備する多層配線
板の一例を示す断面図であり、1は多層配線板、2は内
部配線導体、3はビアホール導体、4は表面配線導体で
ある。多層配線板1は、上記熱硬化型ポリフェニレンエ
ーテル樹脂組成物より形成した硬化性シートを硬化して
なり、複数のビアホール導体3が形成された3枚の絶縁
層1’a 、1 ’b、1’c から構成されており、その上
面が半導体素子を搭載するための搭載部となっていて、
この搭載部には半導体素子5が搭載される。
【0034】多層配線板1の内部に埋設された金属粉末
を含有する導体ペーストで形成された内部配線導体2
は、多層配線板1の上下面に被着された表面配線導体4
a 、4b を互いに電気的に接続する作用を為す。この内
部配線導体2および表面配線導体4a 、4b 、ビアホー
ル導体3を形成する導体ペーストに含有される金属粉末
は、例えば、銅、銀、金、、アルミニウムの群から選ば
れる少なくとも1種、または2種以上の金属からなるこ
とが望ましく、特に、銅、銅を含む合金、または表面が
銀で被覆された銅が最も望ましく、場合によっては、回
路の抵抗調整のためにNi―Cr合金などの高抵抗の金属を
混合または合金化してもよい。導体ペーストは、これら
の金属粉末と熱硬化型の樹脂とから成る。
【0035】なお、金属粉末を含有する導体ペーストを
用いて形成された内部配線導体2および表面配線導体4
a 、4b 、ビアホール導体3に含有される金属粉末は、
その平均粒径が0.5μm 未満であると金属粉末同士の
接触抵抗が増加して電気抵抗が高いものとなる傾向にあ
る。他方、50μm を越えると硬化性シートに所定パタ
ーンの内部配線導体2を一般に要求される50〜200
μm の線幅に形成するのが困難となる傾向にある。従っ
て、導体ペーストで形成された内部配線導体2および表
面配線導体4a 、4b 、ビアホール導体3に含有される
金属粉末は、その平均粒径を0.5〜50μm としてお
くことが好ましい。硬化性シート1a の上面に被着され
た表面配線導体4a は、半導体素子5の各電極を内部配
線導体2に電気的に接続するための接続パッドとして作
用し、これに半導体素子5の各電極が半田バンプ6を介
して接続される。一方、硬化性シート1c の下面に被着
された表面配線導体4b は、多層配線板1の内部配線導
体2を外部電気回路基板の配線導体に半田を介して接続
される。
【0036】次に、図2(a)〜(c)は、それぞれ本
発明の多層配線板の製造方法の実施の形態の一例として
図1に示す本発明の多層配線板の製造方法を説明するた
めの工程毎の断面図である。まず、図2(a)に示すよ
うに、3枚の硬化性シート1a 、1b 、1c を準備す
る。上記3枚の硬化性シート1a 、1b 、1c は熱硬化
型ポリフェニレンエーテル樹脂組成物とトルエン、キシ
レン等の芳香族系炭化水素等の溶剤を添加混合して得ら
れたワニスをドクターブレード法などによってシート状
に形成した後、加熱処理して乾燥させる。得られた硬化
性シートに従来周知のパンチング打ち抜き法やレーザー
加工法により貫通孔3a 、3b 、3c を形成する。
【0037】次に、図2(b)に示すように、硬化性シ
ート1a 、1b の上面、1c の上面と下面および硬化性
シート1a 、1b 、1c に形成された貫通孔3a 、3b
、3c 内に、導体ペーストを従来周知のスクリーン印
刷法および充填法を採用して所定パターンに印刷塗布お
よび充填する。配線導体およびビアホール導体の充填に
用いられる導体ペーストは、銅粉末、銀粉末、表面が銀
で被覆された銅粉末、銅銀合金などの、平均粒径が0.
5〜50μm の金属粉末を含む。金属粉末の平均粒径が
0.5μm 未満であると金属粉末同士の接触抵抗が増加
して配線導体およびビアホール導体の電気抵抗が高いも
のとなる傾向にある。他方、50μm を越えると所定パ
ターンの配線導体を一般に要求される50〜200μm
の線幅に形成するのが困難となる傾向にある。従って、
配線導体およびビアホール導体に含有される金属粉末
は、その平均粒径を0.5〜50μm としておくことが
好ましい。
【0038】次に、図2(c)に示すように、硬化性シ
ート1a 、1b 、1c を位置合わせして積層圧着し、1
50〜300℃の温度及び5〜50kg/cm2 の圧力
で加熱して各硬化性シートの樹脂および導体ペースト樹
脂を一括して完全に硬化させることにより、絶縁層部と
導体部が強固に一体化した信頼性の高い図1に示すよう
な多層配線板が得られる。次に、図3は、本発明におけ
る配線回路層を転写法により形成する工程での多層配線
板を説明するための概略断面図である。該多層配線板
は、複数の絶縁層7の積層体により構成され、絶縁層7
と絶縁層7との間または絶縁層7の表面には金属箔から
なる配線回路層8が形成されており、特に配線回路層8
は絶縁層7の表面に埋め込まれている。そして、配線回
路層8と配線回路層8と間にビアホール導体9が形成さ
れており、該ビアホール導体9は必要な位置に必要な数
だけ形成された構造となっている。該多層配線板は、ビ
アホール導体を、導体ペーストの貫通孔内への充填によ
って形成し、且つそのビアホール導体と接続される配線
回路層を転写用基材からの転写によって形成する。
【0039】次に、図3の多層配線板を作製するにあた
り、絶縁層7、ビアホール導体9、配線回路層8からな
る一単位の配線層の製造方法およびこれを基礎とした一
括硬化による多層化方法について図4および図5の工程
図をもとに説明する。まず、図4(a)に示すよう
に、転写用基材10に銅箔11を貼り合わせたものを準
備する。この基材は、例えば、転写用基材10はPET(ポ
リエチレンテレフタレート) 、PEN(ポリエチレンナフタ
レート) 等で作製した厚さ100〜20μmのフィルム
に粘着力が20〜500g /cm2 の耐酸耐アルカリ性
の粘着剤を塗布したものが良好に用いられる。この基材
への銅箔の貼り合わせは具体的には、厚さ30μm程度
のPET フィルムの表面に粘着剤を塗布し、厚さ12μm
程度の銅箔を接着させて行なわれる。ついでこの銅箔
11にドライフィルムレジスト12を貼り合わせる。
ドライフィルムレジスト12に露光し、回路を現像す
る。次いで、銅箔11をエッチングし、ドライフィル
ムレジスト12を剥離することで、表面に配線回路層1
3が形成された転写用基材10を得る。
【0040】一方、図4(b)に示すように、熱硬化
型ポリフェニレン樹脂組成物に溶剤を加え、ドクターブ
レード法等でシート状に成形して未硬化の硬化性シート
からなる絶縁層14を作製する。次に、この絶縁層1
4にパンチング加工やレーザー加工によって所望の位置
に貫通孔を加工する。加工された貫通孔に導体ペース
トを充填し、ビアホール導体15を形成する。配線回
路層13が形成された転写用基材10を上記ビアホール
導体15が形成された絶縁層14の表面に位置合わせし
てビアホール導体15の端部に形成された配線回路層1
3に転写用基材10の上から圧力を印加して、配線回路
層13を絶縁層内に埋め込み、配線回路層13を転写す
る。この工程によりビアホール中の導体ペーストを圧縮
しビアホール導体の密度を高くしてビア抵抗値を低減す
ることができる。次に、転写用基材10を剥がすこと
により、ビアホール導体15の絶縁層14における少な
くとも一方の端部に金属箔からなる配線回路層13が形
成され、ビアホール導体15が接続された配線回路層1
3を具備する一単位の配線層を形成することができる。
【0041】次に、図5(c)に示すように、配線回路
層13とビアホール導体15を有する絶縁層14を複数
用意し位置合せして仮積層する。次に、図5(d)に示
すように、ビアホール導体15が形成された第1の絶縁
層の表面に、図4(a)で作製した配線回路層13が形
成された転写用基材10を重ね合わせ圧着し、転写用基
材10を剥がすことにより、絶縁層表面に配線回路層1
3を転写させる。その後、図5(e)に示す様に、転写
用基材10を剥がすことにより、未硬化の多層配線板を
形成することができる。
【0042】さらに、図5(f)に示す様に、このよう
にして作製した配線板の表裏に耐熱性離型フィルム16
を密着させ、ホットプレスで一括硬化することにより、
図3に示したような多層配線基板を作製することができ
る。なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種
々の変更・改良は可能である。例えば、上記の説明に用
いた例では本発明の多層配線板を半導体素子を収容する
半導体素子収納用パッケージに適用した場合を例にとっ
て説明したが、これを混合集積回路基板等に用いられる
配線板に適用してもよい。
【0043】
【発明の実施の形態】以下の実施例には、各成分として
次のようなものを用いた。 〈変性ポリフェニレンエーテル樹脂〉30℃、0.5g
r/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/
cが0.40のポリ(2,6−ジメチル−1,4−ジフ
ェニレンエーテル)100重量部と、無水マレイン酸
1.5重量部を室温でドライブレンドした後、シリンダ
ー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件
で二軸押出機により押し出した。30℃、0.5gr/
dlのクロロホルム溶液で測定した反応生成物の粘度数
ηsp/cは0.43であった。 〈重合開始剤〉2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキシン−3 (日本油脂(株)製 パ
ーヘキシン25B) 〈シリカ〉球状シリカ(電気化学工業(株)製 FB―
6S) 〈水添ブロック共重合体〉水添スチレン−ブタジエン−
スチレンブロック共重合体(旭化成工業(株)製タフテ
ック H1285)
【0044】〈臭素系難燃剤〉臭素系難燃剤としては、
エチレン・ビス・テトラブロモフタルイミド(アルベマ
ール(株)製 サイテックスBT−93W)およびエチ
レンビスペンタブロモベンゼン(アルベマール(株)製
サイテックス8010)と、サイテックス8010を
アセトンと蒸留水(1:9、重量比)からなる溶液中で
加熱撹拌した後、ろ過精製を行ったものを用いた。これ
ら臭素化難燃剤に不純物として含有するNaBrおよび
Br2 の分析は以下の様にして行った。まずNaBrの
分析法として、臭素化難燃剤をアセトンと蒸留水に浸漬
した水溶液をイオンクロマトグラフィー(装置:ダイオ
ネックス社製Dionex2010i)を用いて測定を
行った。またBr2 の分析法として、ブロモベンゼン、
10%ヨウ素カリウム溶液、0.5%デンプン溶液の混
合溶液中に浸漬させ、溶出したBr2 を0.002Nチ
オ硫酸ナトリウム溶液で適定を行い求めた。分析結果を
表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【実施例】(実施例1)上記変性ポリフェニレンエーテ
ル樹脂、水添ブロック共重合体、トリアリルイソシアヌ
レートおよび臭素系難燃剤としてサイテックスBT−9
3Wを80℃のトルエン中に表2の実施例1に示した組
成割合で添加し、1時間攪拌/溶解した後、重合開始剤
を表2の実施例1に示した組成割合で加えて樹脂組成物
ワニスを調製し、更にシリカを表2の実施例1に示した
組成割合で添加/分散させた。この樹脂組成物を70℃
に加温した状態で、厚さ75μmのPETフィルムの上
にブレードコータにて塗布し、50℃で30分エアーオ
ーブンで乾燥した後、PETフィルムから剥離して、厚
さ100μm の硬化性シートを作製した。
【0047】次に作製した硬化性シートにパンチ打ち抜
き法で直径0.1mmの貫通孔を形成し、その貫通孔に
銅粉末を含む導体ぺーストを充填してビアホール導体を
形成した。さらに、銅粉末を含む導体ペーストを用いて
スクリーン印刷法により硬化性シート表面に配線導体を
形成した。なお作製した配線導体は、配線幅が50μ
m、配線と配線との間隔が50μmの微細なパターンで
ある。上記方法を用いて、厚さ約100μmの配線導体
を形成した硬化性シート5層を、位置を合わせて重ね、
20kg/cm2 の圧力で圧着し、200℃で1時間加
熱して完全硬化させて多層配線板を作製した。得られた
多層配線板に対して130℃での高温放置試験を行った
結果、1000時間までの導体抵抗変化率は10%以下
であった。
【0048】(比較例1)臭素系難燃剤として未精製の
サイテックス8010を用いた以外は実施例1と同様に
して多層配線板を作製した。得られた多層配線板に対し
て130℃での高温放置試験を行った結果、200時間
経過後で導体抵抗変化率が10%を越えることが認めら
れた。 (実施例2)臭素系難燃剤としてサイテックス8010
を上記の方法により精製を行ったものを用いた以外は実
施例1と同様にして多層配線板を作製した。得られた多
層配線板に対して130℃での高温放置試験を行った結
果、700時間経過まで導体抵抗変化率が10%を越え
ないことが認められた。
【0049】
【表2】
【0050】(実施例3)上記変性ポリフェニレンエー
テル樹脂、水添ブロック共重合体、トリアリルイソシア
ヌレートおよび臭素系難燃剤としてサイテックスBT−
93Wを80℃のトルエン中に表3の実施例3に示した
組成割合でそれぞれ添加し、1時間攪拌/溶解した後、
重合開始剤を表3の実施例3に示した組成割合で加えて
樹脂組成物ワニスを調整し、更にシリカを表3の実施例
3に示した組成割合で添加/分散させた。この樹脂組成
物を70℃に加温した状態で、厚さ75μmのPETフ
ィルムの上にブレードコータにて塗布し、50℃で30
分エアーオーブンで乾燥した後、PETフィルムから剥
離して、厚さ100μm の硬化性シートを作製した。
【0051】次に作製した硬化性シートに炭酸ガスレー
ザーで直径0.1mmの貫通孔を形成し、その貫通孔に
銅粉末を含むぺーストを充填してビアホール導体を形成
した。一方、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹
脂からなる転写用基材の表面に粘着剤を塗布して粘着性
をもたせ、厚さ12μm、表面粗さ0.8μmの銅箔を
一面に接着した。その後、フォトレジストを塗布し露光
現像を行った後、これを塩化第二鉄溶液中に浸漬して非
パターン部をエッチング除去して配線回路層を形成し
た。なお、作製した配線回路層は、線幅が25μm、配
線と配線との間隔が25μmの微細なパターンである。
【0052】そして、先のビアホール導体が形成された
硬化性シートに上記配線回路層が形成された転写用基材
を位置決めして120℃、20kg/cm2 の条件で30秒
密着させた後、転写用基材を剥がして、銅箔からなる配
線回路層を形成して一単位の配線層を形成した。上記方
法を用いて、厚さ約100μmの配線回路層を形成した
配線層5層を位置を合わせて重ね、20kg/cm2
圧力で圧着し、200℃で1時間加熱して完全硬化させ
て多層配線板を作製した。得られた多層配線板に対して
130℃での高温放置試験を行った結果、1000時間
までの導体抵抗変化率は10%以下であった。
【0053】(実施例4)臭素系難燃剤として前記精製
法で精製したサイテックス8010を用いた以外は実施
例3と同様にして多層配線板を作製し、該多層配線板に
対して130℃での高温放置試験を行った結果、100
0時間までの導体抵抗変化率は10%以下であった。 (比較例2)臭素系難燃剤として未精製のサイテックス
8010を用いた以外は実施例3と同様にして多層配線
板を作製し、得られた多層配線板に対して130℃での
高温放置試験を行った結果、1000時間までの導体抵
抗変化率は10%を超えることが認められた。
【0054】
【表3】
【0055】
【発明の効果】本発明において、特定の熱硬化型ポリフ
ェニレンエーテル樹脂組成物中の臭素化難燃剤の不純物
量を規定することにより耐環境試験下において長期安定
性を有する信頼性の高い高密度の配線回路を有する多層
配線板およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線導体を印刷法により形成した多層
配線板の一例の断面図である。
【図2】図1に示す多層配線板の製造方法を説明するた
めの工程説明断面図である。
【図3】本発明の配線回路層を転写法により形成した多
層配線板の一例の概略図である。
【図4】(a)表面に配線回路層が形成された転写用基
材の製造工程の説明図である。 (b)ビアホール導体が接続された配線回路層を具備す
る一単位の絶縁層の転写法による製造工程の説明図であ
る。
【図5】配線回路層とビアホール導体を有する絶縁層を
複数層積層する多層配線板の転写法による製造工程の説
明図である。
【符号の説明】
1 多層配線板 1a 硬化性シート 1b 硬化性シート 1c 硬化性シート 1’a 絶縁層 1’b 絶縁層 1’c 絶縁層 2 内部配線導体 3 ビアホール導体 3a 貫通孔 3b 貫通孔 3c 貫通孔 4 表面配線導体(4a:上面,4b:下面) 5 半導体素子 6 半田バンプ 7 絶縁層 8 金属箔からなる配線回路層 9 ビアホール導体 10 転写用基材 11 銅箔 12 ドライフィルムレジスト 13 配線回路層 14 絶縁層 15 ビアホール導体 16 耐熱性離型フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/3477 C08K 5/3477 C08L 71/12 C08L 71/12 H05K 3/12 610 H05K 3/12 610B 3/46 3/46 T G N //(C08L 71/12 (C08L 71/12 53:02) 53:02) (72)発明者 山本 正樹 神奈川県川崎市川崎区夜光1丁目3番1号 旭化成工業株式会社内 (72)発明者 林 桂 鹿児島県国分市山下町1番4号 京セラ株 式会社京セラ総合研究所内 (72)発明者 堀 正明 鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株 式会社鹿児島国分工場内 (72)発明者 藤井 俊一 鹿児島県国分市山下町1番1号 京セラ株 式会社鹿児島国分工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリフェニレンエーテル樹脂と不
    飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物、(B)
    トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリル
    シアヌレート、(C)少なくとも1個のビニル芳香族化
    合物を主体とする重合体ブロックАおよび少なくとも1
    個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと
    からなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添
    ブロック共重合体、(D)無機フィラー並びに(E)臭
    素系難燃剤を、(A)成分と(B)成分の和100重量
    部を基準として、(A)成分45〜55重量部、(B)
    成分55〜45重量部、(C)成分25〜35重量部、
    (E)成分10〜30重量部含有し、(D)成分を全量
    中20〜80体積%含有する熱硬化型ポリフェニレンエ
    ーテル樹脂組成物であって、且つ上記(E)成分中に不
    純物として含有する臭化ナトリウム(NaBr)および
    臭素(Br2 )が、重量割合で、NaBrが50ppm
    以下、Br2 が100ppm以下である熱硬化型ポリフ
    ェニレンエーテル樹脂組成物からなることを特徴とす
    る、配線回路を転写用基材からの配線回路層の転写およ
    び/または導体ペーストの印刷によって形成するために
    使用する硬化性シート。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の硬化性シートに貫通孔を
    形成し、該貫通孔に金属粉末を含有する導体ペーストを
    充填して層間の電気的接続手段とする工程と、該工程で
    得られた層間の電気的接続手段を有する硬化性シート
    に、金属粉末を含有する導体ペーストを所定パターンに
    印刷し配線導体を形成する工程および/または金属箔か
    らなる配線回路層が形成された転写用基材を転写し配線
    回路層を形成する工程と、該工程で作製した配線導体お
    よび/または配線回路層の形成された硬化性シートを位
    置合わせを行い一括積層硬化する工程からなることを特
    徴とする多層配線板の製造方法。
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