JP2001192631A - グラフト共重合体粘着剤及びこれを用いた医療用粘着テープ並びに経皮吸収製剤 - Google Patents
グラフト共重合体粘着剤及びこれを用いた医療用粘着テープ並びに経皮吸収製剤Info
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Abstract
ず、皮膚に対する適度な接着性、凝集性を有し、かつ、
官能基の影響を受けやすい薬物でも安定に保持できる、
また、架橋剤を使用する場合であっても、その使用量が
ごく少量に抑えられる医療用粘着テープ、経皮吸収製剤
に適した粘着剤を提供する。 【構成】 ペルオキシドモノマーの共重合体からなり6
0℃以上のガラス転移点を持つ主鎖セグメントと、アク
リル系ポリマーからなり−20℃以下のガラス転移点を
持つ側鎖セグメントから構成されるグラフト共重合体を
作製し、本発明に係る粘着剤を得る。また、必要に応じ
て、架橋処理を施したり、可塑化作用を有するグリセリ
ン脂肪酸エステルなどの有機液状成分を加える。
Description
着剤及びこれを用いた医療用粘着テープ並びに経皮吸収
製剤に関する。より具体的には、医療用粘着テープや経
皮吸収製剤などに用いられ、官能基の影響を受けやすい
薬物でも安定に保持可能な粘着剤に関する。
吸収製剤や絆創膏(医療用粘着テープ)など粘着剤を用
いた製品が各種開発されている。これらは連続した投薬
の容易さや傷口の保護という観点からは非常に優れたも
のであるが、含有する薬物の性質などにより、特性上大
きな制約を受けたり、接着特性を確保するために、充填
剤や架橋剤のような皮膚刺激の原因となり得るものを添
加する必要がある場合があった。
剤の凝集力を確保するため、通常、カルボキシル基や水
酸基を有するモノマーが共重合されるが、薬物によって
は、これら官能基の影響を受けて、見かけ上薬物含量の
低下を生じたり、あるいは、各種添加剤や薬物による可
塑化や、凝集破壊を補うために添加される架橋剤の反応
を阻害したりする。
の代わりに、ガラス転移点の高い無官能性モノマーを共
重合させたり、無機充填剤を配合するなど種々の試みが
なされてきたが、単なる無官能性モノマーを用いたラン
ダム共重合や充填剤の配合だけでは、接着性と凝集性の
両立、更には薬物による影響の回避は非常に困難であっ
た。
性モノマーの共重合や外部架橋に頼らず、皮膚に対する
適度な接着性、凝集性を有し、かつ官能基の影響を受け
やすい薬物でも安定に保持する粘着剤及び当該粘着剤を
用いた医療用粘着テープ並びに経皮吸収製剤を提供する
ことにある。
ために研究を重ねた結果、60℃以上のガラス転移点を
持つ主鎖セグメントと−20℃以下のガラス転移点を持
つ側鎖セグメントからなるグラフト共重合体を含む粘着
剤であって、前記主鎖セグメントがペルオキシドモノマ
ーの共重合体であり、前記側鎖セグメントがアクリル系
ポリマーからなる粘着剤が、官能性モノマーの共重合や
外部架橋に頼らず、皮膚に対する適度な接着性、凝集性
を有し、かつ、官能基の影響を受けやすい薬物でも安定
に保持できること、また、架橋剤を使用する場合であっ
ても、その使用量をごく少量に抑えることが可能なこと
を見い出し、本発明を完成するに至った。
60℃以上のガラス転移点を持つ主鎖セグメントと−2
0℃以下のガラス転移点を持つ側鎖セグメントからなる
グラフト共重合体を含む粘着剤であって、前記主鎖セグ
メントがペルオキシドモノマーの共重合体であり、前記
側鎖セグメントがアクリル系ポリマーであることを特徴
としている。
℃以上のガラス転移点を持つ主鎖セグメントと−20℃
以下のガラス転移点を持つ側鎖セグメントからなるグラ
フト共重合体を主成分としたものである。
は、主鎖セグメントの分子量、ガラス転移点(Tg)で
あって、分子量が大きく、Tgが高いほど凝集力が高く
なる。このとき、好ましい数平均分子量としては、ポリ
スチレン換算量として50,000〜200,000で
あって、また、好ましいTgは80〜150℃である。
数平均分子量やガラス転移点がこれよりも小さい(低
い)と、十分な凝集力が得られず、凝集破壊を引き起こ
す原因となる。また、数平均分子量やTgがこれよりも
大きく(高く)なると、合成上、その取扱いが困難にな
ったり、重合開始剤として適当なグラフト化ができなく
なる恐れがある。なお、本発明において、数平均分子量
とは、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC法)を用い
て、ポリスチレン換算したものを意味するものとする。
が60℃以上のものであって、ペルオキシドモノマーの
共重合体が用いられる。このペルオキシドモノマーとし
ては特に限定されるものではなく、例えば、t−ブチル
ペルオキシ−アリルカルボナート、t−ブチルペルオキ
シ−2−メタクリロイルオキシエチルカルボナート、t
−ブチルペルオキシ−イソプロピルフマラートが挙げら
れ、これらのモノマーはグラフト重合の開始点となるだ
けでなく適度な凝集力を得られる点で好都合である。ま
た、これらのペルオキシドモノマーと共重合されるモノ
マーとしても本発明の目的を達成できるものであれば限
定されるものではなく、例えばスチレンやメタクリル酸
メチル等の高Tgが期待できるモノマー種が好適に用い
られる。
するのは側鎖セグメントである。このセグメントは−2
0℃以下のガラス転移点を有することが必須の条件であ
って、その他については粘着性を発揮できるようなもの
であればその組成は特に限定されるものではないが、上
記ペルオキシドモノマーの共重合体を重合開始剤とした
場合の共重合性を考慮すると、アクリル酸アルキルエス
テルを主成分とするアクリル系ポリマーが適している。
上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステルを用いることが好ましく、具体的にはアルキル基
がブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、
ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルな
どの炭素数4〜13の直鎖アルキル基や分岐アルキル基
などを有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用
いることができ、これらは一種若しくは二種以上用いる
ことができる。
ステルは上記例示のものに限定されるものではなく、本
発明の効果を発揮するのであれば、アルキル基以外のエ
ステル化物や、炭素数1〜3のアルキル基を有する(メ
タ)アクリル酸アルキルエステルや炭素数14以上のア
ルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル
を併用してもよいことは言うまでもない。
共重合させてもよい。例えば、側鎖にアミノ基やアルキ
ルアミノ基、ピロリドン基、ピリジン基、イミダゾール
基などを有するアクリル系単量体若しくはビニル単量体
が挙げられ、より具体的に言えばアミノエチル(メタ)
アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレ
ート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、
ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレートなどの炭素
数が1〜4のアルキル基を有するモノ又はジアルキルア
ミノ(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリド
ン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールなどが挙げら
れる。もちろんこれらの単量体にあっても、その一種若
しくは二種以上を共重合させることができる。
を含めてもよい場合や更に架橋を必要とする場合には、
例えば、カルボキシル基((メタ)アクリル酸、イタコ
ン酸、マレイン酸、無水マレイン酸など)や、ヒドロキ
シル基((メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチルエステ
ル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステルな
ど)、スルホキシル基(例えばスチレンスルホン酸、ア
リルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレー
ト、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン
酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸など)、
アミノ基(例えば(メタ)アクリル酸アミノエチルエス
テル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステ
ル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルアミノエチル
エステルなど)、アミド基(例えば(メタ)アクリルア
ミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルア
クリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドな
ど)、アルコキシル基(例えば(メタ)アクリル酸メト
キシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチ
ルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリ
コールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレ
ングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポ
リエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メ
トキシポリプロピレングリコールエステル、(メタ)ア
クリル酸テトラヒドロフルフリルエステルなど)などの
官能基を側鎖に有する単量体が挙げられる。
鎖セグメントを重合開始剤として用い、常法に従って簡
単に得ることができる。すなわち、ペルオキシドモノマ
ーとスチレン若しくはメタクリル酸メチルなどとの共重
合体のトルエン、キシレン、ベンゼン等の溶液中に、側
鎖セグメントを構成するアクリル酸アルキルエステルな
どのモノマーを加え、グラフト共重合させることによ
り、簡単に得ることができる。
得られたグラフト共重合体溶液に外部架橋剤にて架橋処
理を施して、いわゆるゲル状態とするのがよい。このよ
うに架橋処理を行うことにより、含有する後述するよう
な有機液状成分の流出を防止し、更に凝集力を粘着剤層
に付与できる。具体的には、ポリイソシアネート化合物
や有機過酸化物、有機金属塩、金属アルコラート、金属
キレート化合物、多官能性化合物などの架橋剤を用いた
化学的架橋処理などが用いられる。これらの架橋剤のう
ち、架橋反応性やその取扱い性の観点から、三官能性イ
ソシアネートやアルミニウムキレート化合物が好適であ
る。これらの架橋剤は、塗工、乾燥するまでは溶液の増
粘現象を起こさず、極めて作業性に優れたものである。
この場合の架橋剤の配合量は、グラフト共重合体(固形
分)100重量部に対して、0.01〜2重量部程度で
ある。
いはその架橋物)は、それ自体で粘着力を有するもので
ある。従って、そのまま粘着剤溶液として用いることが
できるだけでなく、更に本発明においては、粘着性や薬
物放出性のコントロールを行なうため、種々の添加剤を
配合することもできる。例えば、可塑化作用を有する添
加物として、架橋された粘着剤を可塑化させてゲル状に
し、ソフト感を付与するための有機液状成分が挙げられ
る。この有機液状成分は、上記グラフト共重合体と相溶
性を有し、粘着剤層中に均一に溶解分散されるものであ
る。つまり、このような有機液状成分を含有させること
により、粘着剤層に柔軟性を持たせ、皮膚面から剥離す
るときに、粘着力(皮膚接着力)に起因する痛みや皮膚
刺激性を低減できる。更に、粘着剤層が可塑化されるの
で、経皮吸収製剤とした場合に、含有させた薬物の自由
拡散性が良好となり、皮膚面上への放出性(皮膚移行
性)も向上するようになる。
可塑化作用を有するものであればよいが、経皮吸収製剤
として応用する場合には、含有させる経皮吸収用薬物の
経皮吸収性を向上させる吸収促進作用を有するものを用
いてもよい。具体的には、エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコール、プロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコールなどのグリコール類、オリーブ油、ヒマシ
油、スクワレン、ラノリンなどの油脂類、酢酸エチル、
エチルアルコール、ジメチルデシルスルホキシド、メチ
ルオクチルスルホキシド、ジメチルスルホキシド、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ドデシルピ
ロリドン、イソソルビトールなどの有機溶媒、液状界面
活性剤、フタル酸エステル、ジエチルセバケート、クエ
ン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどの可
塑剤、流動パラフィンなどの炭化水素類、エトキシ化ス
テアリルアルコール、グリセリン脂肪酸エステル、ミリ
スチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソトリデシル、
ラウリル酸エチル、N−メチルピロリドン、オレイン酸
エチル、オレイン酸、アジピン酸ジイソプロピル、パル
ミチン酸イソプロピル、1,3−ブタンジオールなどが
挙げられ、これらのうち一種以上を配合して用いること
ができる。
機液状成分としては、脂肪酸エステルやグリセリン脂肪
酸エステル(特には、脂肪酸モノグリセリド)が挙げら
れる。しかしながら、これらの脂肪酸エステルやグリセ
リン脂肪酸エステルは、粘着剤を可塑化する作用を発揮
するものであればよいが、必要以上に炭素数の多い脂肪
酸や少ない脂肪酸からなるものでは前記アクリル系共重
合体との相溶性が悪くなったり、製剤を調整する際の加
熱工程で揮散したりする恐れがある。また、分子内に二
重結合を有する脂肪酸からなるものでは酸化分解などを
生じて保存安定性に問題を生じることがある。更に、経
皮吸収製剤とした場合には、単位面積あたりの経皮吸収
用薬物の含有量が多いと製剤中で飽和溶解度以上の薬物
が析出するが、添加する脂肪酸エステルやグリセリン脂
肪酸エステルの種類によっては薬物の結晶析出を阻害し
たり、析出速度を遅くしたりすることがあり、得られる
製剤の外観に不良を生じたり、保存安定性に悪影響を及
ぼすことがある。
好ましくは炭素数が12〜16、更に好ましくは12〜
14の高級脂肪酸と炭素数が1〜4の低級1価アルコー
ルからなる脂肪酸エステルが採用される。このような高
級脂肪酸としては、好ましくはラウリン酸(C12)、
ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)であ
り、特にミリスチン酸を用いることがよい。また、低級
1価アルコールとしては、メチルアルコール、エチルア
ルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールが挙
げられ、これらは直鎖アルコールに限定されず分岐アル
コールであってもよい。また、望ましくはイソプロピル
アルコールが用いられる。従って、最も好ましい脂肪酸
エステルは、ミリスチン酸イソプロピルである。
は、炭素数が8〜10の高級脂肪酸とのグリセリドが好
ましい。このような高級脂肪酸としては、好ましくはカ
プリル酸(オクタン酸、C8)、ペラルゴン酸(ノナン
酸、C9)、カプリン酸(デカン酸、C10)であり、
特にカプリル酸を用いたカプリル酸モノグリセリドやジ
グリセリドやトリグリセリドである。
るグラフト共重合体100重量部に対して、40〜15
0重量部、好ましくは80〜150重量部である。この
範囲を外れて含有させた場合には、実用的な皮膚接着性
や低皮膚刺激性を得ることができず、また、経皮吸収用
薬物の放出性(皮膚移行性)の点でも十分ではない。こ
のような問題は、皮膚貼付用製剤としての製品の大きさ
(面積)が小さいほど顕著に現れやすい。
定に影響を及ぼさない範囲で、あるいは皮膚刺激性に悪
影響を及ぼさない範囲で、その他の添加剤、例えばタル
クなどの充填剤、香料、着色料などを添加することも差
し支えない。
体上に塗布するか、別途セパレータ上に塗布して粘着剤
層を形成したのちこれを支持体上に転写するなどによ
り、医療用粘着テープとして提供されるものであるが、
本発明にあっては、粘着剤層に経皮吸収用薬物を配合し
て経皮吸収製剤に好適に用いられるものである。この経
皮吸収用薬物は、その治療目的に応じて任意に選択する
ことができ、例えばコルチコステロイド類、鎮痛消炎
剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿
剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌剤、抗真菌剤、ビタミン
剤、冠血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、性ホルモ
ン剤、抗うつ剤、脳循環改善剤、制吐剤、抗腫瘍剤、生
体医薬などの種々の薬物であって、皮膚面上に滞留する
ものではなく、皮下若しくは血中まで浸透して局所作用
若しくは全身作用を発揮する経皮吸収可能な薬物が使用
できる。これらの薬物は必要に応じて二種以上を併用し
てもよい。また、上記粘着剤層への均一な分散性や経皮
吸収性の観点から、これらの薬物のうち脂溶性薬物(溶
解量0.4g以下/水100ml、常温)が特に好適な
薬物として挙げられる。もちろん、経皮吸収される薬物
に限らず、皮膚の傷口などに直接作用する薬物を含有さ
せることとしてもよいのは言うまでもない。
種や投与目的に応じて適宜設定することができるが、通
常、粘着剤中に1〜40重量%、好ましくは3〜30重
量%程度の範囲である。含有量が1重量%に満たない場
合には、治療や予防に有効な量の放出が期待できない場
合があり、また、40重量%を越えると増量による効果
の増大が期待できないので経済的にも不利であるばかり
か、皮膚に対する接着性にも劣る傾向を示す。なお、本
発明においては上記薬物は粘着剤中に全部溶解している
必要はなく、粘着剤への溶解度以上の薬物を含有させて
未溶解状態の薬物が含有されていてもよいものである。
この場合、未溶解状態の薬物は経皮吸収製剤中で含有量
にバラツキがないように均一に分散している必要があ
る。
位面積当たりの含有量を増加させて放出量の増大を図
る、皮膚刺激性の軽減のために製剤の小型化を図るなど
の観点から、上記含有量の範囲を越えて配合させてもよ
いのは言うまでもない。
ば、適当な支持体上に塗布され、粘着剤層を形成する。
当該支持体としては、粘着剤層に含有されるグラフト共
重合体や有機液状成分、経皮吸収用薬物などが支持体中
を通って背面から失われて含有量の低下を引き起こさな
いものが好ましい。具体的にはポリエステル、ナイロ
ン、サラン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニル、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテ
トラフルオロエチレン、サーリン、金属箔などの単独フ
ィルム又はこれらの積層フィルムなどを用いることがで
きる。これらのうち支持体と粘着剤層との接着力(投錨
力)を良好とするために、支持体を上記材質からなる無
孔のプラスチックフィルムと多孔質フィルムとの積層フ
ィルムとすることが好ましい。この場合、粘着剤層は多
孔質フィルム側に形成するようにすることが好ましい。
剤層との投錨力が向上するものが採用されるが、具体的
には紙、織布、不織布、編布、機械的に穿孔処理を施し
たシートなどが挙げられ、これらのうち取扱い性などの
観点からは、特に紙、織布、不織布が好ましい。多孔質
フィルムは投錨力向上、粘着テープや経皮吸収製剤全体
の柔軟性及び貼付操作性などの点から10〜200μ
m、プラスタータイプや粘着テープタイプのような薄手
の製剤の場合には10〜100μmの範囲のものが採用
される。
を用いる場合、目付量を5〜30g/m2、好ましくは
6〜15g/m2とするのがよい。本発明において最も
好適な支持体としては、1.5〜6μm厚のポリエステ
ルフィルムと、目付量6〜12g/m2のポリエステル
製不織布との積層フィルムである。
て更に詳細に説明する。 1.ペルオキシモノマーの作製 (1)t−ブチルペルオキシ−アリルカルボナート(A
PO) 撹拌機、温度計を備えたフラスコに44重量部のアリル
アルコールを仕込み、5℃で50重量部相当のホスゲン
を120分かけてゆっくり吹き込んだ。その後、温度を
20℃に上げて、窒素ガスを240分間吹き込み、脱ガ
スをした。生成物を分液漏斗で3回水洗し、硫酸マグネ
シウムで脱水した後、蒸留し(約53℃/80mmH
g)、アリルクロロホルマートを得た。これとは別に、
撹拌機、温度計、冷却管を備えたフラスコに10wt%水
酸化ナトリウム水溶液100重量部を入れ、5℃に保
ち、t−ブチルヒドロペルオキシド50重量部を加えた
後、先のアリルクロロホルマート50重量部を60分か
けて滴下した。滴下後、20℃で60分間撹拌し、有機
層を分取、3回水洗後、硫酸マグネシウムで脱水し、A
POを得た。
リロイルオキシエチルカルボナート(EPO) 撹拌機、温度計を備えたフラスコに2−メタクリロイル
オキシエチルクロロホルマート50重量部とt−ブチル
ペルオキシド20重量部を入れ、0℃に冷却した。これ
に10wt%水酸化カリウム水溶液150重量部を60分
かけて滴下し、更に120分間撹拌して反応させた。次
に有機層を分離し、5wt%水酸化ナトリウム水溶液で洗
浄、更に水で2回洗浄後、硫酸マグネシウムで脱水して
EPOを得た。
ルフマラート(PPO) 撹拌機、温度計を備えたフラスコにt−ブチルペルオキ
シド60重量部と10wt%水酸化ナトリウム200重量
部を入れ、0℃に冷却した。この中へ4−クロロ−4−
オキソ−2−ブテン酸イソプロピル80重量部を60分
かけて滴下し、更に120分間撹拌して反応させた。次
に有機層を分離し、EPOと同様に洗浄脱水してPPO
を得た。
ート(APO)10重量部、スチレン(ST)90重量
部、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.4重
量部を合計で60wt%となるように仕込み、不活性ガス
(N2)雰囲気下65℃で6時間、更に70℃で12時
間、撹拌、反応させ、主鎖ポリマー溶液を得た。この主
鎖ポリマーをGPC分析したところ、この共重合体の分
子量は、ポリスチレン換算で約70,000であった。
ロイルオキシエチルカルボナート(EPO)8重量部、
メタクリル酸メチル(MMA)92重量部、AIBN
0.4重量部を合計で60wt%となるように仕込み、不
活性ガス(N 2)雰囲気下65℃で6時間、更に75℃
で12時間、撹拌、反応させ、主鎖ポリマー溶液を得
た。この主鎖ポリマーをGPC分析したところ、この共
重合体の分子量は、ポリスチレン換算で約150,00
0であった。
フマラート(PPO)10重量部、メタクリル酸メチル
(MMA)90重量部、AIBN0.4重量部を合計で
60wt%となるように仕込み、不活性ガス(N2)雰囲
気下60℃で6時間、更に70℃で12時間、撹拌、反
応させ、主鎖ポリマー溶液を得た。この主鎖ポリマーを
GPC分析したところ、この共重合体の分子量は、ポリ
スチレン換算で約60,000であった。
ナート(APO)10重量部、メタクリル酸メチル(M
MA)40重量部、酢酸ビニル(VAc)50重量部、
AIBN0.4重量部を合計で60wt%となるように仕
込み、不活性ガス(N2)雰囲気下65℃で6時間、更
に70℃で12時間、撹拌、反応させ、主鎖ポリマー溶
液を得た。この主鎖ポリマーをGPC分析したところ、
この共重合体の分子量は、ポリスチレン換算で約11
0,000であった。
部、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)8
0重量部、ブチルアクリレート(BA)20重量部を合
計で60wt%となるように仕込み、不活性ガス(N2)
雰囲気下75℃で30分、80℃で30分、更に85℃
で24時間撹拌、反応させ、粘着剤溶液(粘着剤APO
−EHA)を得た。この溶液を乾燥後の厚みが300
μmとなるようにポリエステルライナー上に塗布し、4
0℃で20分、次に60℃20分、更に100℃10分
間乾燥して粘着剤を得た。この粘着剤を回収して熱分析
を行なったところ、約−40℃に2−EHA・BA共重
合体に基づくTgが、約95℃にAPO共重合体に基
づくTgが観測された。
(容量比5/1)中に、上記EPO共重合体8重量部、
2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)92重
量部を合計で60wt%となるように仕込み、不活性ガス
(N2)雰囲気下75℃で60分、85℃で120分、
90℃で24時間、撹拌、反応させ、粘着剤溶液(粘着
剤EPO−EHA)を得た。この溶液から実施例1と同
様にして粘着剤を得た。この粘着剤を回収して、熱分析
を行なったところ、約105℃にEPO共重合体に基づ
くTgが、約−45℃にポリ2−EHAに基づくTgが
観測された。
重合体10重量部、2−エチルヘキシルアクリレート
(2−EHA)90重量部を合計で60wt%となるよう
に仕込み、不活性ガス(N2)雰囲気下70℃で60
分、75℃で120分、80℃で24時間、撹拌、反応
させ、粘着剤溶液(粘着剤PPO−EHA)を得た。
この溶液から実施例1と同様にして粘着剤を得た。この
粘着剤を回収して、熱分析を行なったところ、約105
℃にPPO共重合体に基づくTgが、約−45℃にポリ
2−EHAに基づくTgが観測された。
重合体10重量部、2−エチルヘキシルアクリレート
(2−EHA)87重量部、アクリル酸(AA)3重量
部を合計で60wt%となるように仕込み、不活性ガス
(N2)雰囲気下70℃で60分、75℃で120分、
80℃で24時間、撹拌、反応させ、粘着剤溶液(粘着
剤PPO−EHA)を得た。この溶液から実施例1と
同様にして粘着剤を得た。この粘着剤を回収して、熱分
析を行なったところ、約110℃にPPO共重合体に基
づくTgが、約−35℃に2−EHA・AA共重合体に
基づくTgが観測された。
体15重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2
−EHA)85重量部を合計で60wt%となるように仕
込み、不活性ガス(N2)雰囲気下75℃で30分、8
0℃で30分、更に85℃で24時間撹拌、反応させ、
粘着剤溶液(粘着剤APO−EHA)を得た。この溶
液から実施例1と同様にして粘着剤を得た。この粘着剤
を回収して、熱分析を行なったところ、約80℃にAP
O共重合体に基づくTgが、約−45℃にポリ2−E
HAに基づくTgが観測された。
でアクリル酸2−エチルヘキシル95重量部とアクリル
酸5重量部を酢酸エチルに合計で60wt%となるように
仕込み、過酸化ベンゾイルの存在下60℃で共重合させ
て、粘着剤溶液(比較粘着剤)を得た。
ポリエステル不織布の積層体(不織布側に粘着剤層を積
層する)を、またライナーに75μm厚のポリエステル
シート(積層面にシリコーン処理したもの)を用い、乾
燥後の粘着剤層の厚みが約60μmとなるように、表1
の粘着剤層組成に従い、常法に従って塗工し、医療用粘
着テープ(又は経皮吸収製剤)を得た。なお、粘着剤層
組成物には、酢酸エチル、トルエン、THFなどの溶媒
を適宜使用し、また、乾燥は100℃、5分間(熱風循
環乾燥器中)行なった。
て、下記のとおり接着力の測定及び貼付官能試験並びに
薬物安定性試験について評価した。 (接着力の測定)ベークライト板に幅24mmに切断し
た帯状の各粘着テープを貼付し、荷重300gのローラ
ーを1往復させて密着させた後、180度方向に300
m/minの速度で剥離し、その際の剥離力を測定し
た。
20cm2に切断し、3人の健康なパネラーの胸部に貼
付してもらった。貼付24時間後に剥離し、その時の苦
痛などを次の基準で総合評価した。 ◎:良好に貼付されており、かつ、剥離時に痛みをほと
んど伴わず剥離できた。 ○:良好に貼付されており、かつ、剥離時にわずかに痛
みを伴った。 △:部分的に剥がれていた。または良好に貼付されてい
たが、剥離時に痛かった。 ×:脱落した。又は良好に貼付されていたが、剥離時に
非常に痛く、二度と貼りたくないと思った。
を20cm2に切断した後、メタノールで薬物を抽出
し、高速液体クロマトグラフィを用いて粘着剤中の薬物
量を測定した。この含量を初期値とした。別途切断した
粘着テープをポリエチレンがラミネートされたヒートシ
ール性フィルムからなる包材で密封包装し、40℃で3
ヶ月保存した。この保存品を用いて、初期値測定と同様
にして粘着剤中の薬物量を測定し、残存量を次式から算
出した。 残存量(%)={保存後の薬物含量(g)/初期値
(g)}×100(%)
た。比較テープ2は凝集破壊のために試験が行なえなか
った。また、比較テープ1は薬物の安定性も悪く、剥離
に痛みを伴い、貼付感が悪いものであった。更に比較テ
ープ3は良好な貼付感を示したが、薬物の安定性は悪か
った。これに対し、各実施テープは若干接着力が強く剥
離に不快感があるものも見受けられたが、接着力も一般
に良好とされている40〜250gの範囲内に収まり、
概ね貼付感も良かった。また、薬物の安定性も良好なも
のであった。なお、官能試験では、全例で脱落などの大
きな欠点もなかった。
の約半分程度の架橋剤量で外部架橋の効果を発揮させる
ことができ、しかも、多量の可塑作用を有する有機液状
成分を加えても十分な接着力、凝集力を発揮することが
できた。
合や外部架橋にたよらず、皮膚に対する適度な接着性、
凝集性を有し、かつ、官能基の影響を受け易い薬物でも
安定に保持可能な粘着剤を提供できる。従って、この粘
着剤を用いることにより、適度な貼付性、薬物の安定を
保持可能な医療用粘着テープ、経皮吸収用薬物などの各
種薬物を保持させた経皮吸収製剤を提供できるものであ
る。
用量を極少量にできるので、架橋剤による皮膚刺激性な
どをも除去できる。
Claims (9)
- 【請求項1】 60℃以上のガラス転移点を持つ主鎖セ
グメントと−20℃以下のガラス転移点を持つ側鎖セグ
メントからなるグラフト共重合体を含む粘着剤であっ
て、 前記主鎖セグメントがペルオキシドモノマーの共重合体
であり、前記側鎖セグメントがアクリル系ポリマーであ
ることを特徴とするグラフト共重合体粘着剤。 - 【請求項2】 前記ペルオキシドモノマーが、t−ブチ
ルペルオキシ−アリルカルボナート、t−ブチルペルオ
キシ−2−メタクリロイルオキシエチルカルボナート、
t−ブチルペルオキシ−イソプロピルフマラートの何れ
か1種若しくは2種以上であることを特徴とする請求項
1記載のグラフト共重合体粘着剤。 - 【請求項3】 前記主鎖セグメントが、スチレン若しく
はメタクリル酸メチルと前記ペルオキシドモノマーの共
重合体からなることを特徴とする請求項1又は2記載の
グラフト共重合体粘着剤。 - 【請求項4】 前記ソフトセグメントが、アクリル酸ア
ルキルエステルを主成分とする共重合体からなる請求項
1、2又は3記載のグラフト共重合体粘着剤。 - 【請求項5】 前記アクリル酸アルキルエステル系共重
合体が、官能基を有しないことを特徴とする請求項4記
載のグラフト共重合体粘着剤。 - 【請求項6】 前記アクリル酸アルキルエステル系共重
合体が、官能基を有し、更に外部架橋されたことを特徴
とする請求項4記載のグラフト共重合体粘着剤。 - 【請求項7】 可塑化作用を有する添加剤を含有するこ
とを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のグラフ
ト共重合体粘着剤。 - 【請求項8】 シート状若しくはテープ状の基材上に粘
着剤層を有する医療用粘着テープにおいて、 前記粘着剤層は、請求項1乃至7の何れかに記載のグラ
フト共重合体粘着剤からなることを特徴とする医療用粘
着テープ。 - 【請求項9】 経皮吸収用薬物を含有する粘着剤層を有
する経皮吸収製剤において、 前記粘着剤層は、請求項1乃至7の何れかに記載のグラ
フト共重合体粘着剤からなることを特徴とする経皮吸収
製剤。
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