JP2001191337A - 離型剤組成物およびスラッシュ成形方法 - Google Patents

離型剤組成物およびスラッシュ成形方法

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JP2001191337A
JP2001191337A JP2000326619A JP2000326619A JP2001191337A JP 2001191337 A JP2001191337 A JP 2001191337A JP 2000326619 A JP2000326619 A JP 2000326619A JP 2000326619 A JP2000326619 A JP 2000326619A JP 2001191337 A JP2001191337 A JP 2001191337A
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molding method
slush
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group
compound
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JP2000326619A
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Sunao Ozasa
直 小笹
Shigehisa Takayama
繁久 高山
Shigeto Kon
重人 今
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Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐候性や耐熱性等の長期耐久性、耐薬品性な
どに優れる表皮層を有し、しかもピンホールのない外観
の良好なスラッシュ成形体を得ることのできる成形方法
を提供する。 【解決の手段】 離型剤(A)およびイソシアネート再
生促進剤(B)とからなる離型剤組成物を塗布したホッ
トモールド内に、ポリイソシアネート再生性化合物
(C)および熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)からなる
スラッシュ成形用材料を導入し、溶融成形するとともに
イソシアネートを再生させて(D)を架橋せしめること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はモールドコート用離
型剤組成物およびそれを用いたスラッシュ成形方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】スラッシュ成形法は、複雑な形状(アン
ダーカット、深絞り等)の製品が容易に成形できるこ
と、肉厚が均一にできること、材料の歩留まり率が良い
ことなどの利点から、自動車の内装材等の用途に広く利
用されており、最近では従来のポリ塩化ビニル系樹脂か
らなるものに比べて耐薬品性、耐光性等に優れる熱可塑
性ポリウレタン樹脂とブロックドポリイソシアネートも
しくはウレトジオン基含有ポリイソシアネート誘導体な
どの架橋剤とからなるスラッシュ成形用材料が提案され
ている(例えば特開平11−12343号公報、特開平
11−49948号公報など)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱可塑
性ポリウレタン樹脂と上記の架橋剤とからなるスラッシ
ュ成形用材料は、ソフト感、長期耐久性等は良好なもの
の、成形条件(成形温度等)によっては架橋が十分進行
せず所望の物性が発現しなかったり、熱溶融時に架橋が
進行しすぎて溶融粘度が上昇し、樹脂粉末間の気泡が抜
けずピンホールができて成形体の外観を損ねるという問
題点があった。本発明は、成形条件に大きく左右される
ことなく表皮層が均一かつ十分に架橋し、その結果成形
性が良好で成形体の外観を損ねることがなく、耐光性や
耐熱性等の長期耐久性、耐薬品性などに優れる成形体を
得ることのできるスラッシュ成形方法を提供することを
目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。すなわち本発明は、離型剤(A)およびイソシアネ
ート再生触媒(B)からなり、(B)の量が(A)と
(B)の合計重量に基づいて1〜50重量%であること
を特徴とするモールドコート用離型剤組成物;該組成物
を塗布したホットモールド内に、ポリイソシアネート再
生性化合物(C)および熱可塑性ポリウレタン樹脂
(D)からなるスラッシュ成形用材料を導入し、溶融成
形するとともにイソシアネートを再生させて架橋せしめ
ることを特徴とするスラッシュ成形方法;並びに、該成
形方法で成形されてなるスラッシュ成形体である。
【0005】
【作用】本発明の離型剤組成物が塗布されたホットモー
ルドとポリイソシアネート再生性化合物(C)を含有す
るスラッシュ成形材料とが接触することにより、該接触
面において離型剤組成物中に含まれるイソシアネート再
生触媒(B)の作用により該(C)のイソシアネートが
再生されるとともに熱溶融する。これにより該接触面
(成形体の表皮部近傍)の熱可塑性ポリウレタン樹脂
(D)が急速かつ均一に架橋され、表皮部の耐薬品性
(耐アルコール性等)、耐光性等が向上する。一方表層
部近傍以外の部分は架橋反応の進行が遅く溶融粘度の上
昇が少ないため、材料粒子間の気泡が充分に抜けきりピ
ンホールのない外観の良好なスラッシュ成形体が形成さ
れる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明のモールドコート用離型剤
組成物は、離型剤(A)、イソシアネート再生触媒
(B)および必要によりこれらを溶解する有機溶剤から
なる。
【0007】該離型剤(A)としては公知の離型剤が使
用できる。該(A)の具体例としては、例えばフッ素化
合物型離型剤[リン酸トリパーフルオロアルキル(炭素
数8〜20)エステル、たとえばトリパーフルオロオク
チルホスフェート、トリパーフルオロドデシルホスフェ
ート等);シリコーン化合物型離型剤(ジメチルポリシ
ロキサン、アミノ変性ジメチルポリシロキサン、カルボ
キシル変性ジメチルポリシロキサン等)、脂肪酸エステ
ル型離型剤[炭素数10〜24の脂肪酸のモノもしくは
多価アルコールエステル、たとえばブチルステアレー
ト、硬化ひまし油、エチレングリコールモノスレアレー
ト等];脂肪族酸アミド型離型剤[炭素数8〜24の脂
肪酸のモノもしくはビスアミド、たとえばオレイン酸ア
ミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、エチ
レンジアミンのジステアリン酸アミド等];金属石鹸類
(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等);
天然もしくは合成ワックス類(パラフィンワックス、マ
イクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、
ポリブロピレンワックス等);およびこれらの2種以上
の併用系が挙げられる。これらのうち好ましいのはフッ
素化合物型離型剤およびシリコーン化合物型離型剤であ
り、さらに好ましいものはシリコーン化合物型離型剤の
うちのポリジメチルシロキサンである。
【0008】イソシアネート再生触媒(B)は、後述の
ポリイソシアネート再生性化合物(C)のイソシアネー
ト再生温度(解離温度)を低下させる作用をする化合物
である。(B)にはデブロッキング触媒およびウレトジ
オン解離触媒が含まれる。該(B)としては、有機金属
化合物たとえば有機スズ化合物[トリメチルチンラウレ
ート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジメチルチンジ
ラウレート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチン
ジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチルチンマ
レエートなど];有機鉛化合物[オレイン酸鉛、2−エ
チルヘキサン酸鉛、ナフテン酸鉛、オクテン酸鉛な
ど];その他の有機金属化合物[ナフテン酸コバルトな
どのナフテン酸金属塩、フェニル水銀プロピオン酸塩な
ど];および3級アミン化合物たとえばトリエチレンジ
アミン、テトラアルキル(炭素数1〜3)アルキレン
(炭素数2〜6)ジアミンたとえばテトラメチルエチレ
ンジアミン、テトラメチルヘキシレンジアミン等、ジア
ザビシクロアルケン類たとえば1,8−ジアザビシクロ
[5,4,0]ウンデセン−7〔DBU(サンアプロ
製,登録商標)〕等、その炭酸塩および炭素数1〜8の
有機酸塩(ギ酸塩など)等、N−アルキル(炭素数1〜
8)置換モルホリンたとえばN−メチルモルホリン、N
−エチルモルホリン等、アルキル基の炭素数1〜8のト
リアルキルアミンたとえばトリエチルアミン等;および
これらの2種以上の併用系が挙げられる。これらのうち
好ましいものは有機スズ化合物および3級アミン化合物
であり、特に好ましいのはジブチルチンジラウレートお
よびDBUである。該(B)の量は、(A)と(B)の
合計重量に基づいて、通常1〜50重量%、好ましくは
5〜30重量%である。
【0009】必要により用いられる有機溶剤としては、
例えば芳香族炭化水素系溶剤(トルエン、キシレン、エ
チルベンゼン、テトラリンなど);脂肪族もしくは脂環
式炭化水素系溶剤(n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネ
ラルスピリット、シクロヘキサンなど);ハロゲン化炭
化水素系溶剤(塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチ
ル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエ
チレン、パークロロエチレンなど);エステル系もしく
はエステルエーテル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、
メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテー
ト、エチルセロソルブアセテートなど);エーテル系溶
剤(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレン
グリコールモノメチルエーテルなど);ケトン系溶剤
(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノンな
ど);アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、n
−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシル
アルコール、ベンジルアルコールなど);アミド系溶剤
(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−
メチルピロリドンなど);スルホキシド系溶剤(ジメチ
ルスルホキシドなど);およびこれらの2種以上の混合
溶剤が挙げられる。これらのうち好ましいものは、脂肪
族もしくは脂環式炭化水素系溶剤およびケトン系溶剤系
溶剤であり、特に好ましいものはn−ヘキサンおよびア
セトンである。
【0010】上記有機溶剤による離型剤組成物の希釈倍
率は、通常5倍から500倍、好ましくは10倍〜10
0倍である。
【0011】該離型剤組成物のモールド(金型)への塗
布量(有効成分換算)は、通常0.05〜10g/
2、好ましくは0.1〜5g/m2、特に好ましくは
0.2〜3g/m2である。この範囲内でスラッシュ成
形体の良好な離型性と十分な表面架橋が達成される。
【0012】本発明の成形方法が適用されるスラッシュ
成形用材料に用いられるポリイソシアネート再生性化合
物(C)としては、有機ポリイソシアネート(c1−
1)とブロック化剤(c1−2)とからのブロックドポ
リイソシアネート(c1)、ウレトジオン基含有ポリ
イソシアネート誘導体(c2)およびこれらの混合物が
挙げられる。該(C)は成形時に加熱(たとえば120
〜250℃)されることでイソシアネートを再生し、熱
可塑性ポリウレタン樹脂(D)中の活性水素含有基[例
えばウレタン基、ウレア基、(D)の分子末端または側
鎖の水酸基(通常1個以上、好ましくは2〜4個有す
る)等]と反応する架橋剤として作用する成分である。
該(C)のイソシアネート再生温度(解離温度)は前述
の(B)を存在させることにより(C)単独の場合に比
べ20〜30℃低下させることができる。
【0013】上記における(c1−1)としては、炭素
数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2〜12の脂
肪族ポリイソシアネート[エチレンジイソシアネート、
テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネ
ート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネー
ト、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナト
エチルカプロエート等];炭素数4〜15の脂環式ポリ
イソシアート[イソホロンジイソシアネート(IPD
I)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添
MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチル
シクロヘキシレンジイソシアネート等];炭素数8〜1
2の芳香脂肪族ポリイソシアネート[キシリレンジイソ
シアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメ
チルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等];
芳香族ポリイソシアネート[トリレンジイソシアネート
(TDI)、ジエチルベンゼンジイソシアネート、ジフ
ェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフチレン
ジイソシアネート等];これらのポリイソシアネートの
変性物(カルボジイミド基、ウレトジオン基、イソシア
ヌレート基、ビュレット基、ウレタン基等を含有する変
性物またはプレポリマー);およびこれらの2種以上の
併用が挙げられる。
【0014】(c1−1)のイソシアネート基数は通常
2以上、好ましくは3〜4である。該(c1−1)とし
て好ましいものは、IPDIのイソシアヌレート変性
体、HDIのイソシアヌレート変性体およびHDIのビ
ュレット変性体である。
【0015】ブロック化剤(c1−2)としては、オキ
シム類[アセトオキシム、ブタノンオキシム、メチルエ
チルケトンオキシム等];ラクタム類[γ−ブチロラク
タム、ε−カプロラクタム、γ−バレロラクタム等];
アルコール類[メタノール、エタノール等];フェノー
ル類[フェノール、クレゾール、エチルフェノール、キ
シレノール、ジプロピルフェノール、ジ−t−ブチルフ
ェノール、トリメチルフェノール等];活性メチレン化
合物[マロン酸ジエチル、アセチルアセトン、アセト酢
酸エチル等];が挙げられる。このうち好ましいのはラ
クタム類であり、特に好ましいものはε−カプロラクタ
ムである。
【0016】上記のウレトジオン基含有ポリイソシアネ
ート誘導体(c2)は、3分子以上のジイソシアネート
がウレトジオン基により結合し、分子末端のイソシアネ
ート基が封止剤により封止されたものであり、下記一般
式(1)で表される化合物である。
【0017】
【化1】
【0018】[式中、R1およびR2はそれぞれ独立に炭
素数1〜8のアルキル基、Aはジイソシアネート残基、
Zはpが1のときはウレタン基またはウレア基、pが2
のときはウレア基、Xは炭素数2〜10の2価アルコー
ルまたはジアミンの残基、pは1または2、mは0また
は1〜60の整数、nは1〜60の整数を表す。]
【0019】上記一般式(1)において、R1およびR2
を構成する炭素数1〜8の1価アルコールとしては、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オ
クタノール等が挙げられる。モノアミンとしてはブチル
アミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン等が挙げられ
る。これらのうち好ましいものは1価のアルコールであ
る。R1およびR2は同一でも異なってもよい。Xを構成
する炭素数2〜10の2価アルコールとしてはエチレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサ
ンジオール、ジエチレングリコール等が挙げられる。ジ
アミンとしてはエチレンジアミン、ブチレンジアミン、
ヘキサメチレンジアミン、イソフォロンジアミン等が挙
げられる。これらのうち好ましいものは2価のアルコー
ルである。Aを構成する有機ジイソシアネートとしては
前記(c1−1)として例示したジイソシアネートおよ
びこれらの2種以上の併用が挙げられる。これらのうち
好ましいものは脂肪族および脂環族ジイソシアネートで
ある。nは通常1〜60、好ましくは6〜40の整数で
ある。nが60を越えるとスラッシュ成形用材料の熱溶
融性を低下させる。該(c2)の数平均分子量(GPC
測定による。以下同様)は通常500〜10,000、
好ましくは1,000〜7,000である。
【0020】該(c2)の製造方法は特に限定されず公
知の方法を用いてよく、以下の方法が例示できる。 有機ジイソシアネートをウレトジオン化しウレトジオ
ン基含有ポリイソシアネートを得た後、末端のイソシア
ネート基を下記記載の封止剤(d3)で封止する方法。 過剰当量の有機ジイソシアネートと封止剤(d3)を
予め混合しておき、ウレトジオン化と封止反応とを同時
に行う方法。 過剰当量の有機ジイソシアネートと炭素数2〜10の
グリコールおよび/または炭素数2〜10のジアミンと
をあらかじめ混合しておき、ウレタン化および/または
ウレア化するとともにウレトジオン化しウレトジオン基
含有ポリイソシアネートを得た後、末端のイソシアネー
ト基を封止剤(d3)で封止する方法。 過剰当量の有機ジイソシアネートと炭素数2〜10の
グリコールおよび/または炭素数2〜10のジアミンと
封止剤(d3)とをあらかじめ混合しておき、ウレタン
化および/またはウレア化とウレトジオン化と封止反応
とを同時に行う方法。 これらの方法のうち工業的見地から好ましいものはお
よびの方法である。
【0021】ウレトジオン化反応の温度は通常100〜
200℃、好ましくは150〜190℃である。反応時
間は反応温度170℃で通常10〜60分、好ましくは
20〜40分である。ウレトジオン化反応を行う際に、
必要により公知の触媒を使用することができる。該触媒
の具体例としては、前述の(B)として例示したものが
挙げられる。触媒の使用量は特に限定はないが(c2)
100重量部当り、通常0.001〜0.05重量部で
ある。
【0022】本発明においてポリイソシアネート再生性
化合物(C)として好ましいものは、該(C)が加熱さ
れてイソシアネートを再生した際に揮発成分が発生しな
いウレトジオン基含有ポリイソシアネート誘導体(c
2)であり、特に好ましいものは脂環族ジイソシアネー
トおよび脂肪族ジイソシアネートからなるウレトジオン
基含有ポリイソシアネート誘導体である。
【0023】該(C)の使用量は後述する熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂(D)100重量部当たり、通常0.5〜
20重量部、好ましくは3〜10重量部である。20重
量部を越えるとスラッシュ成形後の成形シートの柔軟性
が低下する。
【0024】本発明で用いられる熱可塑性ポリウレタン
樹脂(D)としては、過剰のジイソシアネート(d1)
と、数平均分子量500〜10,000の高分子ジオー
ル(d2)および必要により低分子ポリオール(d3)
とから誘導されるイソシアネート基末端ウレタンプレポ
リマー(d)に、脂肪族系ジアミン(e1)および脂肪
族モノアミン(e2)を反応させることにより得られる
ものが挙げられる。
【0025】該(D)を構成するジイソシアネート(d
1)としては、前記(c1−1)として例示したジイソ
シアネートおよびこれらの2種以上の併用が挙げられ
る。該(d1)として好ましいものは脂肪族ジイソシア
ネートおよび脂環式ジイソシアネートであり、特に好ま
しいものはHDI、IPDIおよび水添MDIである。
【0026】(D)を構成する高分子ジオール(d2)
としては、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオー
ルが挙げられる。
【0027】上記ポリエステルジオールとしては、例え
ば低分子ジオールとジカルボン酸との縮合重合による
もの;低分子ジオールを開始剤としてラクトンモノマ
ーを開環重合したもの;およびこれらの2種以上の混合
物が挙げられる。
【0028】上記低分子ジオールとしては、例えば脂肪
族ジオール類[エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ルなど];環状基を有するジオール類[1,4−ビス
(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、m−またはp−
キシリレングリコールなど];およびこれらの2種以上
の併用が挙げられる。
【0029】上記のジカルボン酸の具体例としては、
炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸[コハク酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレ
イン酸、フマル酸など];炭素数8〜15の芳香族ジカ
ルボン酸[テレフタル酸、イソフタル酸など];および
これらの2種以上の併用が挙げられる。
【0030】上記のラクトンとしては炭素数4〜12
のラクトン(γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクト
ン、γ−バレロラクトンなど)が挙げられる。
【0031】ポリエーテルジオールとしては、2個の活
性水素原子を有する化合物(たとえば前記低分子ジオー
ル、2価のフェノール類など)にアルキレンオキサイド
が付加した構造の化合物があげられる。
【0032】上記2価のフェノール類としてはビスフェ
ノール類[ビスフェノールA、ビスフェノールSな
ど];単環2価フェノール[カテコール、ハイドロキノ
ンなど]などが挙げられる。
【0033】アルキレンオキサイドとしては、エチレン
オキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド
(以下POと略記)、1,2−、1,3−、1,4もし
くは2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド
およびこれらの2種以上の併用系(ブロックまたはラン
ダム付加)が挙げられる。
【0034】これらのうち好ましいものは、低分子ジオ
ールにアルキレンオキサイドが付加したものであり、さ
らに好ましくはPOが付加したものがである。
【0035】これら高分子ジオールのうちで好ましいも
のはポリエステルジオールであり、さらに好ましくは低
分子ジオールとジカルボン酸との重縮合物である。
【0036】(d2)の数平均分子量は通常500〜1
0,000、好ましくは700〜5,000、さらに好
ましくは800〜3,000である。数平均分子量が5
00未満ではソフト感の良好な成型物が得られず、1
0,000を越えると所望の強度が発現しない。
【0037】高分子ジオール(d2)と共に必要により
低分子ジオール(d3)を併用することができる。該
(d3)としては、前記ポリエステルジオールの出発物
質として例示した化合物が使用できる。
【0038】熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)の製造に
おいて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー
(d)を形成する際の(d1)、(d2)および(d
3)のモル比は、(d1)1モルに対し、(d2)は通
常0.3〜0.8モル、好ましくは0.2〜0.5モ
ル、(d3)は通常0〜0.3モル、好ましくは0.0
5〜0.15モルである。また、該ウレタンプレポリマ
ー(d)の遊離イソシアネート(NCO)基含量は通常
1〜10重量%、好ましくは3〜6重量%である。
【0039】(D)を構成するジアミン(e1)として
は、炭素数が4〜15の脂環族ジアミン[4,4’−ジ
アミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、
4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキ
シル、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン
等];炭素数が2〜12の脂肪族ジアミン[エチレンジ
アミン、ヘキサンジアミン、水酸基含有ジアミン(たと
えばN−アミノエチルエタノールアミン等)等];炭素
数が8〜12の芳香脂肪族ジアミン[キシリレンジアミ
ン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジア
ミン等]が挙げられる。これらのうち好ましいものは脂
環族ジアミンおよび脂肪族ジアミンであり、特に好まし
いものはイソフォロンジアミンおよびヘキサメチレンジ
アミンである。
【0040】(D)を構成するモノアミン(e2)とし
ては、アルキル基の炭素数1〜8のモノもしくはジアル
キルアミン[エチルアミン、プロピルアミン、n−ブチ
ルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン
等];アルカノール基の炭素数2〜4のモノもしくはジ
アルカノールアミン[モノエタノールアミン、モノプロ
パノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノール
アミン等]が挙げられる。これらのうち好ましいものは
(D)に水酸基を導入できるアルカノールアミンであ
り、さらに好ましいものはジアルカノールアミン、とく
にジエタノールアミンである。
【0041】(D)を構成する(e1)と(e2)の割
合は、プレポリマー(d)のNCO基1当量あたり、
(e1)は通常0.2〜0.7当量、好ましくは0.3
〜0.6当量であり、(e2)は通常0.02〜0.2
当量、好ましくは0.05〜0.15当量である。
【0042】(D)は分子末端または側鎖に少なくとも
1個、好ましくは2〜4個またはそれ以上の水酸基を有
することが好ましい。(D)に水酸基を導入する方法と
しては、たとえば(e1)の少なくとも一部に水酸基含
有ジアミンを用いる方法および/または(e2)の少な
くとも一部にアルカノールアミンを用いる方法が挙げら
れる。
【0043】(D)の数平均分子量は、通常10,00
0〜100,000、好ましくは20,000〜60,
000である。数平均分子量が20,000未満では所
望の樹脂強度が得られず、100,000を越えると、
(D)の熱溶融時の粘度が高くなり成形性が悪くなる。
該(D)は粉体状で用いられる。(D)の粉体はたとえ
ば特開平11−49948号公報に記載の方法で製造す
ることができる。粉体の平均粒径は通常100〜400
μmである。
【0044】また、該(D)の示差走査熱量計(DS
C)で測定される熱溶融開始温度は、通常120〜22
0℃、好ましくは150〜200℃である。熱溶融開始
温度がこの範囲内のものが物性および外観の優れた成形
体を与える。
【0045】本発明で用いられるスラッシュ成形用材料
は前記(C)と該(D)とを必須構成成分としてなる。
【0046】該(C)は、(D)と粉体混合してもよ
く、また、(D)を形成させるときに予め(d)、(e
1)または(e2)のいずれかに含有させておいてもよ
い。
【0047】上記スラッシュ成形材料には、通常、可塑
剤、顔料、安定剤、ブロッキング防止剤などの添加剤が
配合される。
【0048】上記可塑剤としては、フタル酸エステル
[フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ブ
チルベンジル、フタル酸ジイソデシル等];脂肪族2塩
基酸エステル[アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セ
バシン酸−2−エチルヘキシル等];トリメリット酸エ
ステル[トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、ト
リメリット酸トリオクチル等];燐酸エステル[リン酸
トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリオクチル、リン
酸トリクレジル等];脂肪酸エステル[オレイン酸ブチ
ル等];およびこれらの2種以上の混合物が挙げられ
る。これらのうち好ましいのはフタル酸エステルおよび
トリメリット酸エステルであり、特に好ましいものはフ
タル酸ジイソデシル、トリメリット酸トリ(2−エチル
ヘキシル)およびトリメリット酸トリイソデシルであ
る。該可塑剤の量は、スラッシュ成形用材料100重量
部当たり、通常0〜30重量部、好ましくは5〜20重
量部である。
【0049】上記顔料としては特に限定されず、公知の
有機顔料および/または無機顔料を使用することができ
る。有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔
料、銅フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料等が
挙げられ、無機系顔料としては、クロム酸塩、フェロシ
アン化合物、金属酸化物、金属塩類(硫酸塩、珪酸塩、
炭酸塩、燐酸塩等)、金属粉末、カーボンブラック等が
挙げられる。該顔料の量は、スラッシュ成形用材料10
0重量部当たり、通常0〜5重量部、好ましくは1〜3
重量部である。
【0050】上記安定剤としては公知の酸化防止剤およ
び/または紫外線吸収剤を使用することができ、スラッ
シュ成形用材料100重量部あたり、通常0〜5重量
部、好ましくは0.01〜3重量部の割合で配合され
る。酸化防止剤としては、フェノール系[2,6−ジ−
t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニ
ソール等]、ビスフェノール系[2,2’−メチレンビ
ス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等]、リ
ン系[トリフェニルフォスファイト、ジフェニルイソデ
シルフォスファイト等]およびこれらの2種以上の併用
が挙げられる。また、紫外線吸収剤としては、ベンゾフ
ェノン系[2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−
ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等]、ベンゾ
トリアゾール系[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール等]、サリチル酸系
[フェニルサリシレートなど]、ヒンダードアミン系
[ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)セバケート等]およびこれらの2種以上の併用が挙
げられる。
【0051】上記ブロッキング防止剤としては特に限定
されず、公知の無機系ブロッキング防止剤または有機系
ブロッキング防止剤を使用することができる。無機系ブ
ロッキング防止剤としてはシリカ、タルク、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム等が挙げられ、有機系ブロッキング
防止剤としては粒子径10μm以下の熱硬化性樹脂(例
えば、熱硬化性ポリウレタン樹脂、グアナミン系樹脂、
エポキシ系樹脂等)および粒子径10μm以下の熱可塑
性樹脂[例えば、熱可塑性ポリウレタンウレア樹脂、ポ
リ(メタ)アクリレート樹脂等]が挙げられる。これら
のうち好ましいものは無機系ブロッキング防止剤であ
り、特に好ましいものはシリカである。該ブロッキング
防止剤の量は、スラッシュ成形材料100重量部当た
り、通常0〜3重量部、好ましくは0.5〜2重量部で
ある。
【0052】該スラッシュ成形用材料には、さらに必要
に応じて他の公知の添加剤(例えば内部離型剤、カップ
リング剤、滑剤、難燃剤等)を任意に含有させることが
できる。これらの他の添加剤の含有量はスラッシュ成形
用材料100重量部当たり、通常20重量部以下、好ま
しくは10重量部以下である。
【0053】該スラッシュ成形用材料に上記添加剤を含
有させる方法は特に限定されされないが、たとえば以下
の方法が例示できる。 (D)を製造する際に、(d)中に(C)とともに可
塑剤、顔料および安定剤を予め含有させておき、得られ
た樹脂組成物の粉体とブロッキング防止剤を混合する方
法。 (C)および(D)からなる粉体混合物に可塑剤、顔
料およびブロッキング防止剤を一括混合する方法。 (C)および(D)からなる粉体混合物に可塑剤、顔
料および安定剤を混合した後、最後にブロッキング防止
剤を混合する方法。 これらのうち特に好ましいのは、粉体流動性の良好な樹
脂粉体組成物が得られる点での方法である。
【0054】上記樹脂粉体組成物の製造における樹脂粉
末等の粉体混合温度は、通常100℃以下、好ましくは
70℃以下、特に好ましくは50℃以下である。混合温
度が100℃を超えると、樹脂粉末同士が融着し所望の
粒子径の樹脂粉体組成物が得られない。また、混合時間
は特に限定されないが、通常1〜20分、好ましくは2
〜10分である。
【0055】上記樹脂粉体組成物の製造装置は特に限定
されず、公知の粉体混合装置を使用することができる。
該粉体混合装置の具体例としては、高速剪断混合装置
[三井鉱山(株)製「へンシェルミキサー」、深江工業
(株)製「ハイスピードミキサー」等]、低速混合装置
[ホソカワミクロン(株)製「ナウタミキサー」等]な
どが挙げられる。
【0056】本発明のスラッシュ成形方法において、ホ
ットモールドの温度は通常190〜250℃、好ましく
は200〜230℃である。溶融成形の温度は通常15
0〜220℃、好ましくは170〜210℃である。ま
た、脱型温度は通常60℃以下、好ましくは50℃以下
である。
【0057】また、該スラッシュ成形方法における離型
剤組成物とスラッシュ成形用材料の比率は重量基準で通
常(0.005〜1):100、好ましくは0.01〜
0.5):100であり、また、(B)と(C)の比率
は重量基準で通常(0.01〜5):100、好ましく
は(0.02〜3):100である。
【0058】本発明のスラッシュ成形方法の手順の一例
を示せば以下のとおりである。先ずモールド(金型)に
離型剤組成物を60℃以下でエアースプレー、刷毛塗り
等の方法で塗布し、この金型を熱砂加熱、オイル加熱等
により加熱する。次いで金型内にスラッシュ成形用材料
を導入し、15〜45秒間保持(粉付け)した後余剰の
該材料を除去し、さらに通常60〜300秒、好ましく
は70〜120秒間保持して材料の溶融を完結させたの
ち、金型を水冷法等により冷却、脱型することによりス
ラッシュ成形体(通常1〜2mmの厚さのシート)が得
られる。また、該シートを取り出すことなく同じ金型内
にさらにポリウレタンフォーム原液を導入し、発泡させ
てコア材を形成させた後に脱型することで該スラッシュ
成形体からなる表皮層を有する部材(例えば自動車のイ
ンストルメントバネル、コンソールボックス、アームレ
ストなど)を製造することができる。ポリウレタンフォ
ームとしては密度が0.02〜0.5g/cm3の軟質
フォームおよび半硬質フォームが挙げられる。
【0059】本発明の成形方法を用いて得られるスラッ
シュ成形体は、表皮部の耐薬品性、耐光性等の耐久性に
優れ、しかもピンホールの発生がない。したがって該成
形体はとくに自動車の内装材として好適に用いることが
できるほか、ソファー等の室内家具の材料としても有用
である。
【0060】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。以下の記
載において部は重量部、%は重量%を示す。
【0061】[離型剤組成物の製造] 製造例1 ジメチルポリシロキサン[信越化学(株)製「SH−2
00」]30部、ジブチルチンジラウレート10部およ
びアセトン960部を均一に混合した。これを離型剤組
成物(F1)とする。
【0062】製造例2 ジメチルポリシロキサン[信越化学(株)製「SH−2
00」]30部、1,8−ジアザビシクロ[5,4,
0]ウンデセン−7[サンアプロ(株)製「DBU」]
10部およびアセトン960部を均一に混合した。これ
を離型剤組成物(F2)とする。
【0063】比較製造例1 ジメチルポリシロキサン[信越化学(株)製「SH−2
00」]30部とアセトン970部とを均一に混合し
た。これを比較の離型剤組成物(F’)とする。
【0064】[スラッシュ成形用材料の製造] 製造例3 撹拌棒および温度計を備えた4つ口フラスコに、ヒドロ
キシル価が54のポリブチレンアジペートジオール20
78部を投入し、3mmHgの減圧下で110℃に加熱
して1時間脱水を行った。続いてエチレングリコール2
4.9部およびIPDI778部を投入し、120℃で
8時間反応を行い、末端にイソシアネート基を有するウ
レタンプレポリマーを得た。該プレポリマーの遊離イソ
シアネート含量は4.09%であった。プレポリマー5
0部に、イソホロンジアミン(IPDA)とメチルエチ
ルケトン(MEK)の反応物(ケチミン化物)5.62
部およびジエタノールアミン0.35部を加え均一に混
合した後、1%濃度ポリビニルアルコール水溶液250
部を添加し、ウルトラデスパーザー(ヤマト科学製)を
使用し、回転数6000rpmで1分間混合した。さら
に3時間撹拌して反応を完結させた後、濾別、乾燥を行
い樹脂粉末を調製した。この樹脂粉末は平均粒径150
μm、DSCによる溶融開始温度130℃、メルトイン
デックス(200℃、2.16Kg)90g/10分で
あった。次いでヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)
製]内に、該樹脂粉末100部とジイソデシルフタレー
ト15部、耐光安定剤[DIC−TBS;大日本インキ
化学工業(株)製]0.5部、酸化チタン[「タイペー
クR−820」、石原産業(株)製]2部、ボールミル
式粉砕機にて粉砕したブロックドポリイソシアネート
[ヒュルスジャパン(株)製「VESTAGON B1
530」、IPDIのイソシアヌレート三量体のε−カ
プロラクタムブロック体]2.5部とを仕込み、25
℃、300rpmで10分間混合した後、シリカ[「サ
イリシア435」、富士シリシア化学(株)製]1部を
仕込み、さらに3000rpmで1分間混合し、着色樹
脂粉末(D1)を調製した。
【0065】製造例4 撹拌棒および温度計を備えた4つ口フラスコに、ヒドロ
キシル価が54のポリブチレンアジペートジオール20
78部を投入し3mmHgの減圧下で110℃に加熱し
て1時間脱水を行った。続いてエチレングリコール2
4.9部およびIPDI778部を投入し、120℃で
8時間反応を行い、末端にイソシアネート基を有するウ
レタンプレポリマーを得た。該プレポリマーの遊離イソ
シアネート含量は4.09%であった。プレポリマー5
0部に、IPDAとMEKの反応物(ケチミン化物)
5.62部およびジエタノールアミン0.35部を加え
均一に混合した後、1%濃度ポリビニルアルコール水溶
液250部を添加し、ウルトラデスパーザー(ヤマト科
学製)を使用し、回転数6000rpmで1分間混合し
た。さらに3時間撹拌して反応を完結させた後、濾別、
乾燥を行い樹脂粉末を調製した。この樹脂粉末は平均粒
径150μm、DSCによる溶融開始温度130℃、メ
ルトインデックス(200℃、2.16Kg)90g/
10分であった。次いでヘンシェルミキサー[三井鉱山
(株)製]内に、該樹脂粉末100部とジイソデシルフ
タレート15部、耐光安定剤[DIC−TBS;大日本
インキ化学工業(株)製]0.5部、酸化チタン[「タ
イペークR−820」、石原産業(株)製]2部、ボー
ルミル式粉砕機にて粉砕したウレトジオン基含有ポリイ
ソシアネート誘導体[ヒュルスジャパン(株)製「VE
STAGON BF1540」]2.5部とを仕込み、
25℃、300rpmで10分間混合した後、シリカ
[「サイリシア435」、富士シリシア化学(株)製]
1部を仕込み、さらに3000rpmで1分間混合し、
着色樹脂粉末(D2)を調製した。
【0066】実施例1 製造例1で得た(F1)を有効成分が約1g/m2にな
るようにスプレー塗布した金型を220℃に加熱し、そ
こに製造例3で得た(D1)を導入し、30秒間接触さ
せたのち余剰の(D1)を除き、さらに90秒間熱溶融
後、金型を水冷したのち脱型し成形シート1(厚さ約1
mm、以下同様)を得た。
【0067】実施例2 実施例1において、(D1)に代えて製造例4で得た
(D2)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、
成形シート2を得た。
【0068】実施例3 実施例1において、金型温度を200℃とした以外は実
施例1と同様の操作を行い、成形シート3を得た。
【0069】実施例4 実施例2において、(F1)に代えて(F2)を同量用
いた以外は実施例2と同様の操作を行い、成形シート4
を得た。
【0070】比較例1 実施例1において、(F1)に代えて比較製造例1で得
た(F’)を同量用いた以外は実施例1と同様の操作を
行い、比較のための成形シート5を得た。
【0071】比較例2 比較例1において、金型温度を200℃とした以外は比
較例1と同様にして、比較のための成形シート6を得
た。
【0072】性能試験例 得られた成形シート1〜6について下記試験方法により
性能試験を行った。その結果を表1に示す。 成形シート外観:シート表面のピンホールの有無を30
倍の拡大鏡を用いて下記基準により目視判定した。 判定基準 良好;20μm以上のピンホールがない 不良;20μm以上のピンホールが多数ある 耐エタノール性:成形シート表面にJIS1級のエタノ
ール0.1mlを点滴し、室温で10分間放置後さらに
60℃の乾燥機に30分入れ、エタノールを取り除いた
(揮発させた)後、外観の変化の有無を目視判定した。
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】本発明の成形方法を用いることにより、
成形体表皮部の耐薬品性が良好でしかもピンホールのな
いスラッシュ成形体を容易に得ることが可能となる。上
記効果を奏することから本発明の方法で得られるスラッ
シュ成形体は、とくに自動車の内装材に好適に用いるこ
とができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年1月25日(2001.1.2
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。すなわち本発明は、離型剤(A)およびイソシアネ
ート再生触媒(B)からなり、(B)の量が(A)と
(B)の合計重量に基づいて1〜50重量%であること
を特徴とするモールドコート用離型剤組成物;該組成物
を塗布したホットモールド内に、ポリイソシアネート再
生性化合物(C)および熱可塑性ポリウレタン樹脂
(D)からなるスラッシュ成形用材料を導入し、溶融成
形するとともにイソシアネートを再生させて(D)を架
橋せしめることを特徴とするスラッシュ成形方法;並び
に、該成形方法で成形されてなるスラッシュ成形体であ
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】必要により用いられる有機溶剤としては、
例えば芳香族炭化水素系溶剤(トルエン、キシレン、エ
チルベンゼン、テトラリンなど);脂肪族もしくは脂環
式炭化水素系溶剤(n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネ
ラルスピリット、シクロヘキサンなど);ハロゲン化炭
化水素系溶剤(塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチ
ル、メチレンジクロライド、四塩化炭素、トリクロロエ
チレン、パークロロエチレンなど);エステル系もしく
はエステルエーテル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、
メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテー
ト、エチルセロソルブアセテートなど);エーテル系溶
剤(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレン
グリコールモノメチルエーテルなど);ケトン系溶剤
(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノンな
ど);アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、n
−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキシル
アルコール、ベンジルアルコールなど);アミド系溶剤
(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−
メチルピロリドンなど);スルホキシド系溶剤(ジメチ
ルスルホキシドなど);およびこれらの2種以上の混合
溶剤が挙げられる。これらのうち好ましいものは、脂肪
族もしくは脂環式炭化水素系溶剤およびケトン系溶剤で
あり、特に好ましいものはn−ヘキサンおよびアセトン
である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】該(c2)の製造方法は特に限定されず公
知の方法を用いてよく、以下の方法が例示できる。 有機ジイソシアネートをウレトジオン化しウレトジオ
ン基含有ポリイソシアネートを得た後、末端のイソシア
ネート基を封止剤(前記1価アルコールまたはモノアミ
ン)で封止する方法。 過剰当量の有機ジイソシアネートと封止剤を予め混合
しておき、ウレトジオン化と封止反応とを同時に行う方
法。 過剰当量の有機ジイソシアネートと炭素数2〜10の
グリコールおよび/または炭素数2〜10のジアミンと
をあらかじめ混合しておき、ウレタン化および/または
ウレア化するとともにウレトジオン化しウレトジオン基
含有ポリイソシアネートを得た後、末端のイソシアネー
ト基を封止剤で封止する方法。 過剰当量の有機ジイソシアネートと炭素数2〜10の
グリコールおよび/または炭素数2〜10のジアミンと
封止剤とをあらかじめ混合しておき、ウレタン化および
/またはウレア化とウレトジオン化と封止反応とを同時
に行う方法。これらの方法のうち工業的見地から好まし
いものはおよびの方法である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】(D)の数平均分子量は、通常10,00
0〜100,000、好ましくは20,000〜60,
000である。数平均分子量が10,000未満では所
望の樹脂強度が得られず、100,000を越えると、
(D)の熱溶融時の粘度が高くなり成形性が悪くなる。
該(D)は粉体状で用いられる。(D)の粉体はたとえ
ば特開平11−49948号公報に記載の方法で製造す
ることができる。粉体の平均粒径は通常100〜400
μmである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】また、該スラッシュ成形方法における離型
剤組成物とスラッシュ成形用材料の比率は重量基準で通
常(0.005〜1):100、好ましくは(0.01
〜0.5):100であり、また、(B)と(C)の比
率は重量基準で通常(0.01〜5):100、好まし
くは(0.02〜3):100である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 離型剤(A)およびイソシアネート再生
    触媒(B)からなり、(B)の量が(A)と(B)の合
    計重量に基づいて1〜50重量%であることを特徴とす
    るモールドコート用離型剤組成物。
  2. 【請求項2】 (B)がデブロッキング触媒およびウレ
    トジオン解離触媒からなる群から選ばれる請求項1記載
    の組成物。
  3. 【請求項3】 (B)が有機スズ化合物、有機鉛化合
    物、有機チタン化合物およびアミン化合物からなる群か
    ら選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載
    の組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか記載の組成物を
    塗布したホットモールド内に、ポリイソシアネート再生
    性化合物(C)および熱可塑性ポリウレタン樹脂(D)
    からなるスラッシュ成形用材料を導入し、溶融成形する
    とともにイソシアネートを再生させて(D)を架橋せし
    めることを特徴とするスラッシュ成形方法。
  5. 【請求項5】 同じモールド内にさらにポリウレタンフ
    ォーム原液を導入し発泡させてコア材を形成させる請求
    項4記載の成形方法。
  6. 【請求項6】 (C)が、ブロックドポリイソシアネー
    ト(c1)および/またはウレトジオン基含有ポリイソ
    シアネート誘導体(c2)である請求項4または5記載
    の成形方法。
  7. 【請求項7】 (D)が、数平均分子量が10,000
    〜100,000、熱溶融開始温度が120〜220℃
    のポリウレタン樹脂である請求項4〜6のいずれか5記
    載の成形方法。
  8. 【請求項8】 (D)が分子中に少なくとも1個の水酸
    基を含有するポリウレタン樹脂である請求項4〜7のい
    ずれか記載の成形方法。
  9. 【請求項9】 請求項4〜8のいずれか記載の成形方法
    で成形されてなるスラッシュ成形体。
  10. 【請求項10】 スラッシュ成形体が自動車の内装材で
    ある請求項9記載の成形体。
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