JP3936813B2 - 摺動性ウレタンエラストマー成形体 - Google Patents

摺動性ウレタンエラストマー成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウレタンエラストマー成形体に関する。さらに詳しくは、ガラス、金属、樹脂等との摩擦抵抗が小さく摺動性にすぐれ、さらに撥水性も良好なウレタンエラストマー成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、摺動性・撥水性のある樹脂としては、フッ素樹脂、シリコ−ン樹脂等が知られている。しかし、フッ素樹脂は非常に硬く弾性を有していないため用途が限られ、パッキング、軸受け部品等の用途にしか使われておらず、また価格も高い。一方、シリコーン樹脂は弾性を有しているが価格が高く一般の用途には使用されない。
この為、低硬度で弾性があり、かつ摩擦抵抗の低い樹脂が要求されるクリーニングブレード用途では、▲1▼低硬度エラストマーをフッ素またはポリシロキサンを含有する化合物で化学的に変性したもの(例えば特開昭57−201275号公報、特開昭57−128376号公報);▲2▼低硬度エラストマーの表面に摺動性を付与する塗膜を形成させることにより摺動性を改良したもの(例えば特開平5−171109号公報);▲3▼低硬度エラストマー中にフッ素含有樹脂の微粉末を添加したもの(例えば特開平7−287494号公報)などが知られている。
また、自動車用グラスラン用途では、弾性を有するゴム表面に摺動性を有する塗膜を形成する方法(特開平8−48800号公報)などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼のものは、コスト的に非常に高くつき、また変性に用いる未反応原料が成形物表面に経時的にブリードアウトする問題があった。▲2▼のものは、塗膜形成のための工程が必要でコスト高となり、また繰り返し使用することで塗膜が劣化し短時間で摺動性が低下する問題があった。▲3▼のものは、フッ素含有樹脂を成形体中に均一に分散するために高剪断力の分散機が必要となりコスト高となり、また繰り返し使用すると成形体表面からフッ素含有樹脂の微粉末が脱落するという問題があった。
また上記グラスラン用のものは、上記▲2▼と同様に塗膜が劣化し摺動性が短時間で低下する問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、摺動性・撥水性改良のためにフッ素またはポリシロキサンを含有する化合物を使用せずとも、低コストで、摺動性および撥水性に優れたウレタンエラストマー成形体が得られることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、長鎖脂肪族炭化水素側鎖を含有するポリオール(A)もしくは該(A)と他の高分子ポリオール(B)、有機ポリイソシアネート(C)および鎖伸長剤(D)から誘導される摺動性ウレタンエラストマー(U)を用いた成形体において、ポリオール(A)が下記▲1▼〜▲4▼から選ばれる1種以上のポリオールであることを特徴とする摺動性ウレタンエラストマー成形体;
▲1▼下記一般式、
Figure 0003936813
[式中、R1およびR2は同一または異なる炭素数6〜50の直鎖または分岐のア ルキル基を表す。]
で表されるジオール(a1)、
▲2▼ジオール(a1)にラクトン(b)を反応させてなる数平均分子量が400〜10,000のジオール(a2)、
▲3▼ジオール(a1)に炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(c)を反応させてなる数平均分子量が350〜10,000のジオール(a3)、
▲4▼ジオール(a1)および必要により他の多価アルコール(e)とジカルボン酸類(d)とから誘導される数平均分子量が400〜10,000のポリオール(a4)。
ならびに該成形体からなる摺動材料である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明における長鎖脂肪族炭化水素側鎖を有するジオール(A)としては、前記(a1)、(a2)、(a3)、(a4)およびこれらの2種以上の混合物があげられる。
【0006】
上記(a1)は、例えば、炭素数が通常8〜52、好ましくは10〜42のα−オレフィンオキサイドと水との水和反応で得られるジオールであり、上記一般式(1)で表される化合物である。一般式(1)におけるR1およびR2は、炭素数が通常6〜50、好ましくは10〜40の直鎖または分岐アルキル基であり、直鎖アルキル基の例としては、たとえばオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、アイコシル基、ドコシル基、トリアコンチル基、テトラコンチル基などがあげられ、分岐アルキル基の例としては、たとえば2−エチルヘキシル基、2−メチルトリデシル基、2,4−ジメチルドデシル基、イソステアリル基、イソアイコシル基、2−エチルドコシル基などがあげられる。
該(a1)の具体例としては上記一般式(1)におけるR1およびR2が炭素数8のジオール、R1およびR2が炭素数12のジオール、R1およびR2が炭素数16のジオール、R1が炭素数16でR2が炭素数18のジオール、R1が炭素数20でR2が炭素数30のジオール、R1が炭素数30でR2が炭素数40のジオールなどあげられる。
該一般式(1)におけるR1およびR2の炭素数が6未満ではウレタンエラストマーの摺動性が劣り、50を越えるとウレタンエラストマーの永久歪みが低下する。R1およびR2として特に好ましいのは炭素数8〜40の直鎖アルキル基である。
【0007】
(a2)としては、例えば、(a1)の1種以上とラクトン(b)とを反応して得られるジオールがあげられる。
ラクトン(b)としては炭素数4〜18のラクトン、たとえばα−カプロラクトン、β−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン、β−メチル−ε−カプロラクトン、ヘプタラクトン、オクタラクトン、ウンデカラクトン、ペンタデカラクトンおよびこれらの2種以上の併用があげられる。これらのうち特に好ましいものはδ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンおよびα−メチル−ε−カプロラクトンである。
【0008】
該(a2)の具体例としては、R1およびR2の炭素数が8のジオールとα−メチル−ε−カプロラクトンとからの数平均分子量2000の化合物、R1およびR2が炭素数の12のジオールとδ−カプロラクトンとからの数平均分子量1000の化合物、R1およびR2が炭素数16のジオールとε−カプロラクトンとからの数平均分子量3000の化合物、R1が炭素数16でR2が炭素数18のジオールとε−カプロラクトンとからの数平均分子量2000の化合物、R1が炭素数16でR2が炭素数18のジオールとε−カプロラクトンとからの数平均分子量600の化合物、R1が炭素数20でR2が炭素数30のジオールとε−カプロラクトンとからの数平均分子量5000の化合物、R1が炭素数30でR2が炭素数40のジオールとε−カプロラクトンとからの数平均分子量3000の化合物などがあげられる。
【0009】
(a3)としては、例えば、前記(a1)の1種以上に炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(c)を重付加したものがあげられる。
炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(c)としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,3−、2,3−もしくは1,4−ブチレンオキサイドなどがあげられる。該(c)は2種以上を併用してもよい(2種以上のアルキレンオキサイドを併用する場合の付加様式はブロックまたはランダムのいずれでもよい)。
【0010】
該(a3)の具体例としては、R1およびR2が炭素数8のジオールにエチレンオキサイドを重付加した数平均分子量1000の化合物、R1およびR2が炭素数12のジオールにプロピレンオキサイドを重付加した数平均分子量2000の化合物、R1およびR2が炭素数16のジオールにプロピレンオキサイドを重付加した数平均分子量3000の化合物、R1が炭素数16でR2が炭素数18のジオールにプロピレンオキサイドを重付加した数平均分子量2000の化合物、R1が炭素数16でR2が炭素数18のジオールにエチレンオキサイドを重付加した数平均分子量600の化合物、R1が炭素数20でR2が炭素数30のジオールにプロピレンオキサイドを重付加して分子量4000にした後エチレンオキサイドを付加した数平均分子量5000の化合物、R1が炭素数30でR2が炭素数40のジオールにエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=1/1(モル比)をランダム重付加した数平均分子量3000の化合物などがあげられる。
【0011】
(a4)としては、例えば、前記(a1)の1種以上および必要により他の多価アルコール(e)とジカルボン酸類(d)とを重縮合反応したエステルポリオールがあげられる。
【0012】
上記ジカルボン酸類(d)としては、例えば、炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、コハク酸、セバチン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸など)またはそのエステル形成性誘導体(無水物、低級アルキルエステルなど);炭素数8〜15の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸など)またはそのエステル形成性誘導体があげられる。これらのジカルボン酸類(d)は2種以上を併用してもよい。
【0013】
上記他の多価アルコール(e)としては炭素数2〜15の多価アルコール、たとえば脂肪族2価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレンジオールなど);環状基を有する低分子ジオール類[1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、m−および/またはp−キシリレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(α−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなど];アルカノールアミン(トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど);3価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなど);4価以上の多価アルコール類(ソルビトール、シュ−クローズなど)などがあげられる。
【0014】
該(a4)の具体例としては、R1およびR2が炭素数8のジオールとアジピン酸とからの数平均分子量1000の化合物;R1およびR2が炭素数12のジオールおよびエチレングリコールとイソフタル酸とからの数平均分子量2000の化合物;R1およびR2が炭素数16のジオールおよび1,4−ブタンジオールとコハク酸とからの数平均分子量3000の化合物;R1が炭素数16でR2が炭素数18のジオールおよび1,4−ブタンジオールとアジピン酸とからの数平均分子量2000の化合物;R1が炭素数16でR2が炭素数18のジオールおよび1,4−ブタンジオールとアジピン酸とからの数平均分子量800の化合物;R1が炭素数20でR2が炭素数30のジオールおよび1,4−ブタンジオールとアジピン酸とからの数平均分子量5000の化合物、R1が炭素数30でR2が炭素数40のジオール、1,4−ブタンジオールおよびトリメチロールプロパンとアジピン酸とからの数平均分子量3000の化合物;R1が炭素数20でR2が炭素数30のジオール、1,4−ブタンジオールおよびトリエタノールアミンとアジピン酸とからの数平均分子量3000の化合物などがあげられる。
【0015】
該(a4)は従来公知の方法で製造でき、たとえば、過剰モル量のジオール(a1)またはこれと他の多価アルコール(e)からなるポリオール成分とジカルボン酸類(d)とを一括または段階的に脱水縮重合反応またはエステル交換反応を行い、末端ヒドロキシル基のポリエステルを得る方法などが例示できる。
【0016】
該ポリオール(A)の好ましい数平均分子量は500〜5,000、とくに800〜4,000である。
【0017】
ポリオール(A)とともに必要により用いられる他の高分子ポリオール(B)としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール(イ)、ポリエステルポリオール(ロ)、ポリオレフィンポリオール(ハ)、アクリルポリオール(ニ)、ヒマシ油系ポリオール(ホ)、ポリマーポリオール(へ)およびこれらの2種以上の混合物があげられる。
【0018】
ポリオキシアルキレンポリオール(イ)としては、活性水素含有化合物〔前記に例示した多価アルコール(e)、フェノール類(ハイドロキノン、ビスフェノールAなど)、アミン化合物[エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、n−ブチルアミン、ステアリルアミン、アニリン、ジエチルアミノエチルアミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、トルエンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ジエチルトルエンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ポリオキシアルキレンジアミン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、ジエチレングリコールビス(4−アミノベンゾエート)、2−メチルプロピル−3,5−ジアミノ−4−クロロベンゾエートなど]など〕に、前述の炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(c)の1種または2種以上を重付加(2種以上を併用の場合の付加様式ブロックまたはランダムのいずれでもよい)したものおよびテトラヒドロフランを開環重合したものなどがあげられる。
【0019】
該ポリオキシアルキレンポリオール(イ)の具体例としては、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリオール,ポリオキシプロピレンテトラオール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどがあげられる。
【0020】
ポリエステルポリオール(ロ)としては、前記に例示した多価アルコール(e)および/または上記ポリオキシアルキレンポリオール(イ)と前記に例示したジカルボン酸類(d)とを反応させて得られる縮合ポリエステルポリオール、前記に例示したラクトン(b)の開環重合により得られるポリラクトンポリオール、エチレンカーボネートと1,6−ヘキサンジオールとの反応により得られるポリカーボネートポリオールなどが含まれる。
【0021】
該ポリエステルポリオール(ロ)の具体例としては、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリエチレンプロピレンアジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリブチレンヘキサメチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンアゼレート、ポリブチレンセバケート、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカーボネートジオールなどがあげられる。
【0022】
ポリオレフィンポリオール(ハ)の具体例としては、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどがあげられる。
【0023】
アクリルポリオール(ニ)としては、ヒドロキシル基含有エチレン性不飽和単量体[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど]と、それ以外の例えば特開平4−292683号公報に記載のエチレン性不飽和単量体との共重合物などがあげられる。
該アクリルポリオール(ニ)の具体例としては、ヒドロキシエチルアクリレートとエチルアクリレートの共重合物、ヒドロキシエチルアクリレートとエチルアクリレートとスチレンの共重合物などがあげられる。
【0024】
ヒマシ油系ポリオール(ホ)としては、例えば、ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸と前記多価アルコールやポリオキシアルキレンポリオールとからのポリエステルポリオール(ヒマシ油脂肪酸のモノ−またはジグリセライド、ヒマシ油脂肪酸とトリメチロールプロパンとからのモノ−、ジ−またはトリエステル、ヒマシ油脂肪酸とポリオキシプロピレングリコールとからのモノ−またはジエステルなど)、ヒマシ油にアルキレンオキサイドを付加したものおよびこれらの2種以上の混合物があげられる。
【0025】
ポリマーポリオール(へ)としては、例えば、前記ポリオール(イ)〜(ホ)の1種以上中で特開平4−292683号公報に記載のエチレン性不飽和単量体の1種以上(たとえばスチレン、アクリロニトリルなど)を(共)重合し分散安定化させてなるもの(重合体含量は通常5〜40重量%)があげられる。
【0026】
該他の高分子ポリオール(B)の数平均分子量は通常300〜10,000、好ましくは500〜6,000である。また、平均官能基数は通常1.5〜4、好ましくは1.8〜3である。
該(B)の数平均分子量が300未満では得られる成形体が硬くなり、エラストマーの弾性が発現しにくく、10,000を超えると成形体が柔らかくなり表面にタックが発生し摩擦係数が下がらない傾向となる。
【0027】
長鎖脂肪族炭化水素側鎖を含有するポリオール(A)と該(B)とを併用する場合の重量比は、通常100:0〜5:95である。
【0028】
本発明における有機ポリイソシアネート(C)としては、たとえば、▲1▼炭素数(NCO基中の炭素を除く、以下同様)が6〜20の芳香族ジイソシアネート[2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−または2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)など];▲2▼炭素数が2〜18の脂肪族ジイソシアネート[ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、リジンジイソシアネートなど];▲3▼炭素数が4〜15の脂環族ジイソシアネート[イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネートなど];▲4▼炭素数が8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート[m−またはp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)など];▲5▼これらのジイソシアネートの変性体(たとえばウレタン基、ウレア基、イソシアヌレート基、ビュレット基、カーボジイミド基、ウレトジオン基などを含有する変性体)およびこれらの2種以上の混合物があげられる。
【0029】
本発明における鎖伸長剤(D)としては、前記ポリオキシアルキレンポリオールの出発物質として例示した活性水素含有化合物のうちの、官能基数が2以上の多価アルコールおよびポリアミンがあげられる。
【0030】
本発明の摺動性ウレタンエラストマー(U)の製法には特に限定はなく、たとえば、熱可塑性の場合は、長鎖脂肪族炭化水素側鎖を含有するポリオール(A)および必要により高分子ポリオール(B)と有機ポリイソシアネート(C)と鎖伸長剤(D)とを、必要により公知のウレタン化触媒および有機溶剤の存在下でワンショット法(各成分を一度に2軸押し出し混練機中に入れ、溶融状態で反応させる方法;各成分、溶剤および触媒を一度に反応缶に入れ溶剤の沸点下で溶液重合する方法など)または多段法[前記ワンショット法で例示した反応装置を用い(A)と(B)と(C)とを反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを形成したのち、(D)を加えてさらに反応させて製造する方法など]により反応させる方法があげられる。(D)の使用量は(A)〜(D)の合計重量に基づいて通常0.5〜25重量%、好ましくは1〜20重量%である。また、ウレタンエラストマーの分子量を調整するために必要により反応停止剤(E)を使用してもよい。該(E)としてはモノアミン類(モノもしくはジエチルアミン、モノもしくはジブチルアミン、モノもしくはジエタノールアミンなど)、モノアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなど)などがあげられる。得られるウレタンエラストマー(U)の形状は、ペレット状、パウダー状、樹脂溶液状などである。
熱硬化性の場合は、たとえば、各成分を2成分(たとえばイソシアネート成分と活性水素成分)に分け、注型機などを用いてミキシングヘッドを通して混合した液を成形型に注入して反応することにより、ウレタンエラストマー化と同時に成形体を得る方法があげられる。
【0031】
ウレタン化触媒としては、ポリウレタンに通常使用される触媒[アミン触媒(トリエチルアミン、N−エチルモルホリン、トリエチレンジアミンなど)、錫系触媒(ジブチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジラウリレート、オクチル酸錫など)、チタン系触媒(テトラブチルチタネートなど)、ビスマス系触媒(ネオデカン酸ビスマスなど)]などがあげられる。
【0032】
有機溶剤としては、[ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテートなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)、炭化水素類(n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、テトラリン、トルエン、キシレンなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール、tert−ブタノールなど)、塩化炭化水素類(ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレンなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなど)など]があげられ、該有機溶剤は反応途中または反応後に加えてもよい。
【0033】
ウレタンエラストマー(U)の製造における反応温度は通常20〜250℃、好ましくは30〜200℃の温度である。
【0034】
該ウレタンエラストマー(U)の数平均分子量は、熱可塑性ウレタンエラストマーの場合、通常5,000〜200,000、好ましくは8,000〜100,000である。数平均分子量が5,000未満ではエラストマーの樹脂強度が低下し、200,000を超えると熱可塑性ウレタンエラストマーの場合、溶融粘度が高くなり成形作業性が低下する。
【0035】
本発明の摺動性ウレタンエラストマー(U)を用いた成形体は、該(U)単独で成形したものであってもよく、必要に応じて該(U)中に添加剤を加えて成形したものであってもよい。この任意の成分としての添加剤としては、たとえば難燃剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤などがあげられる。
難燃剤としては、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウムなど)、金属炭酸化物(炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ニツケル、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムなど)、ハロゲン含有燐酸エステル系難燃剤[トリスクロロエチルフォスフェート、トリスジクロロプロピルフォスフェート、トリスクロロプロピルフォスフェート、トリス(トリブロモフェニル)フォスフェート、トリスジブロモプロピルフォスフェート、トリス(ジブロモフェニルフェニル)フォスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)フォスフェートなど]、活性水素含有難燃剤[ジ(イソプロピル)N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルフォスフェート、臭素化ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物など]、臭素化ビスフェノールA、尿素、尿素誘導体(尿素とホルマリンの反応物など)、チオ尿素、メラミン、メラミン誘導体(メラミンとホルマリンの反応物など)、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化亜鉛、ジンクボレートなどがあげられる。これらは2種以上を併用して使用しても良い。
充填剤としては、タルク、雲母、カーボンブラック、酸化チタン、微粉末シリカ、ストレートアスファルト、カットバックアスファルトなどがあげられる。
可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、塩素化パラフィン、石油樹脂などがあげられる。
老化防止剤としては、ヒンダードアミン系[4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(三共製「サノールLS−744」)など]、ヒンダードフェノール系[オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(日本チバガイギー製「イルガノックス1076」)など]、ベンゾフェノン系(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなど)、ベンゾトリアゾール系[2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールなど]などがあげられる。
【0036】
本発明の摺動性ウレタンエラストマー(U)を用いた成形体を得る方法、成形体の種類や形状および成形体の用途は特に限定されず、例えば、下記が例示できる。
ウレタンエラストマー(U)が熱可塑性の場合;
▲1▼ペレット状またはパウダー状の(U)を溶融状態として、射出成形法、押し出し成形法、ブロー成形法等の公知の成形法により所望の成形体を得る方法。(例えば、グラスラン、ウエザーストリップ、ロール、ベルトなど)
▲2▼樹脂溶液状の(U)を、紙、離型紙、木材、樹脂、金属、セラミックなどにコーティングして乾燥し成形体を得る方法。(例えば、撥水壁紙、撥水壁材、撥水パネル、摺動ロール、帯電ロール、摺動ベルトなど)
ウレタンエラストマー(U)が熱硬化性の場合;
▲3▼長鎖脂肪族炭化水素側鎖を含有するポリオール(A)および必要により他の高分子ポリオール(B)と過剰の有機ポリイソシアネート(C)とからのウレタンプレポリマーからなる主剤と、鎖伸長剤(D)単独または該(D)と(A)および/または(B)との混合物からなる硬化剤とを混合し、遠心成型機やモールドなどに注入し所望の成形体を得る方法。(例えば、電子写真複写機用クリーニングブレードや帯電ブレード、捺染用スキージ、摺動ロール、帯電ロール、摺動ベルト、基板用封止剤など)
遠心成型機を使用する場合は、主剤と硬化剤を混合後、遠心成型機に注入し、通常、温度500〜170℃、回転数300〜1500回転/分の条件で硬化させる。
また、モールドに注型する場合は、主剤と硬化剤を混合後、モールドに注入し、通常、温度50〜170℃で硬化させる。
▲4▼長鎖脂肪族炭化水素側鎖を含有するポリオール(A)および必要により高分子ポリオール(B)と過剰の有機ポリイソシアネート(C)とからのウレタンプレポリマーからなる主剤と、鎖伸長剤(D)単独または該(D)と(A)および/または(B)との混合物からなる硬化剤とを、衝突混合型エアレススプレー機でモールド、樹脂、金属などにスプレー塗工し所望の成形体を得る方法。[例えば、自動車部品(ドアトリム、アンダーボデーなど)、撥水性壁材など]
ウレタンエラストマー(U)が熱硬化性の場合(上記▲3▼および▲4▼の方法)の硬化剤の活性水素含有基と主剤のイソシアネート基の当量比(H/NCO比)は、通常0.75〜1.2、好ましくは0.85〜1.15である。
【0037】
本発明の摺動性ウレタンエラストマー成形体中の長鎖脂肪族炭化水素側鎖の含有量は、通常0.5〜80重量%、好ましくは1〜60重量%である。0.5重量%未満では摺動性が不足し、80重量%を超えると機械強度が不足する。
【0038】
本発明において、ウレタンエラストマー(U)を構成するポリオール成分として該長鎖脂肪族炭化水素側鎖を含有するポリオール(A)を必須に用いることにより、摺動性および撥水性に優れたウレタンエラストマー成形体を得ることができる。例えば、摺動性に関しては、該成形体の試料に200gの荷重をかけ、SUS表面上を速度100mm/分で移動させた時の摩擦係数(μ)が、成形体の硬度(JIS−A型)が75以下の場合は、通常3.0以下、好ましくは2.0以下、また成形体の硬度(JIS−A型)が75以上または100%応力が4MPa以上の場合は、通常1.5以下、好ましくは1.0以下である。
さらに撥水性に関しては、水との接触角が通常85度以上、好ましくは90度以上、特に好ましくは95度以上である。
【0039】
本発明の作用機構は、長鎖脂肪族炭化水素側鎖が気固相に配向するため少量の長鎖脂肪族炭化水素側鎖を含有するだけで摩擦係数が下がり摺動性が良好となるものと推察される。また同様の原理で長鎖脂肪族炭化水素側鎖の疎水基が気固相に配向するため撥水性が良好となるものと推察される。
【0040】
本発明の摺動性ウレタンエラストマー成形体は、摺動性、撥水性、低温特性、帯電特性、耐摩耗性、表面平滑性、耐水性、機械強度、可撓性、耐候性、耐熱性などが要求される摺動材料たとえば自動車用部材、電気製品用部材、OA機器部材、建築用部材などに好適である。なかでも高度の摺動性や撥水性が要求される電子写真複写機用クリーニングブレードや帯電ブレード、自動車用グラスラン、摺動ロール、撥水パネル、自動車用アンダーボデーおよびポッテイング材として特に有用である。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。以下において、部は重量部、%は重量%、比は重量比を示す。
なお実施例中での略記号の意味および評価試験方法は下記のとおりである。
Figure 0003936813
Figure 0003936813
【0042】
(評価試験方法)
1.摩擦係数(μ):表面摩擦抵抗測定装置「トライボギア14DR」[新東科学(株)製]を用いて測定した(測定条件;荷重200g、試料移動速度100mm/分)。
2.引張特性:JIS K6301に準拠して測定した(100%応力および引張強度;単位=Kg/cm2,伸び率;単位=%,引裂強度;単位=Kg/c m)。
3.ガラス転移点(Tg)、tanδ(40℃):粘弾性測定装置「RHEOVIBRON DDV−25FP」[オリエンテック(株)製]を用いて測定した。
4.接触角:接触角測定装置「CA−S150」[協和界面化学(株)製]を用い測定した。
5.耐久性:レーザープリンター用感光体(OPC)にクリーニングブレード状に成型したウレタンエラストマーのエッジを接圧し、6万回転駆動後のエッジ部を電子顕微鏡で観察した。
(◎;1μm以上の損傷なし、×;部分的に1μm以上のカケ損傷がある)
【0043】
実施例1
4ッ口コルベンにCP−2 123部とIPDI 55部を秤量し120℃で5時間反応しNCO含量5.82%のウレタンプレポリマーを得た。次いでトルエン583部とイソプロピルアルコール160部を加え均一に溶解し50℃まで冷却した。その溶液に、あらかじめIPDA17.9部およびジ−n−ブチルアミン3.1部をトルエン57部に溶解した溶液を撹拌下滴下し1時間反応し、粘度=600mPa・s/25℃のウレタン樹脂溶液を得た。この溶液をALC板上に100μmコーテイングし100℃の循風乾燥機で1時間乾燥して撥水パネル成形体を得た。この成形体の特性値を測定するために、ガラス板上に250μmコーティングし100℃の循風乾燥機で1時間乾燥してフィルム状の試料を得た。これらの試料を用いて測定した摩擦係数(μ)、接触角および引張特性試験の結果を表1に示す。
【0044】
実施例2
4ッ口コルベンにCP−3 140部、BG2.1部およびIPDI 42部を秤量し120℃で5時間反応しNCO含量4.25%のウレタンプレポリマーを得た。次いでトルエン583部とイソプロピルアルコール160部を加え均一に溶解し50℃まで冷却した。その溶液に、あらかじめIPDA14.3部およびジ−n−ブチルアミン1.2部をトルエン57部に溶解した溶液を撹拌下滴下し1時間反応し、粘度=420mPa・s/25℃のウレタン樹脂溶液を得た。その溶液をEPDMゴム上に50μmコーテイングし100℃の循風乾燥機で1時間乾燥してグラスラン成形体を得た。この成形体の特性値を測定するために、ガラス板上に250μmコーティングし100℃の循風乾燥機で1時間乾燥してフィルム状の試料を得た。これらの試料を用いて測定した摩擦係数(μ)、接触角および引張特性試験の結果を表1に示す。
【0045】
実施例3
4ッ口コルベンにCP−3 1635部とMDI 429部を秤量し80℃で5時間反応しNCO含量3.65%のウレタンプレポリマーを得た。次いで二軸エクスツルーダーにウレタンプレポリマー:BG=100部:3.9部の比で注入し温度210℃で反応しペレット状のウレタンエラストマーを得た。そのウレタンエラストマーを用い射出成型機で成型してグラスラン成形体を得た。
この成形体の摩擦係数(μ)、接触角、および厚み2mmのシート作成用金型で成形した試料を用いて測定した引張特性試験結果を表1に示す。
【0046】
実施例4
4ッ口コルベンにCP−3 857部とMDI 429部を秤量し80℃で5時間反応しNCO含量8.40%のウレタンプレポリマーを得た。次いで二軸エクスツルーダーにウレタンプレポリマー:BG=100部:9.0部の比で注入し温度210℃で反応しペレット状のウレタンエラストマーを得た。そのウレタンエラストマーを用い射出成型機で成型してロール成形体を得た。
この成形体の摩擦係数(μ)、接触角、および厚み2mmのシート作成用金型で成形した試料を用いて測定した引張特性試験結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 0003936813
【0048】
比較例1
4ッ口コルベンにPTMG 123部とIPDI 55部を秤量し120℃で5時間反応しNCO含量5.81%のウレタンプレポリマーを得た。次いでトルエン583部とイソプロピルアルコール160部を加え均一に溶解し50℃まで冷却した。その溶液に、あらかじめIPDA17.9部およびジ−n−ブチルアミン3.1部をトルエン57部に溶解した溶液を撹拌下滴下し1時間反応し、粘度=620mPa・s/25℃のウレタン樹脂溶液を得た。その溶液をALC板上に100μmコーテイングし100℃の循風乾燥機で1時間乾燥して撥水パネル成形体を得た。この成形体の特性値を測定するために、ガラス板上に250μmコーティングし100℃の循風乾燥機で1時間乾燥してフィルム状の試料を得た。これらの試料を用いて測定した摩擦係数(μ)、接触角および引張特性試験の結果を表2に示す。
【0049】
比較例2
4ッ口コルベンにPCL 140部、BG2.1部とIPDI 42部を秤量し120℃で5時間反応しNCO含量4.23%のウレタンプレポリマーを得た。次いでトルエン583部とイソプロピルアルコール160部を加え均一に溶解し50℃まで冷却した。その溶液に、あらかじめIPDA14.3部およびジ−n−ブチルアミン1.2部をトルエン57部に溶解した溶液を撹拌下滴下し1時間反応し、粘度=400mPa・s/25℃のウレタン樹脂溶液を得た。その溶液をEPDMゴム上に50μmコーテイングし100℃の循風乾燥機で1時間乾燥してグラスラン成形体を得た。この成形体の特性値を測定するために、ガラス板上に350μmコーティングし100℃の循風乾燥機で1時間乾燥してフィルム状の試料を得た。この成形体の特性値を測定するために、ガラス板上に250μmコーティングし100℃の循風乾燥機で1時間乾燥してフィルム状の試料を得た。これらの試料を用いて測定した摩擦係数(μ)、接触角および引張特性試験の結果を表2に示す。
【0050】
比較例3
4ッ口コルベンにPCL 1635部とMDI 429部を秤量し80℃で5時間反応しNCO含量3.65%のウレタンプレポリマーを得た。次いで二軸エクスツルーダーにウレタンプレポリマー:BG=100部:3.9部の比で注入し温度210℃で反応しペレット状のウレタンエラストマーを得た。そのウレタンエラストマーを用い射出成型機で成型してグラスラン成形体を得た。
この成形体の摩擦係数(μ)、接触角、および厚み2mmのシート作成用金型で成形した試料を用いて測定した引張特性試験結果を表2に示す。
【0051】
比較例4
4ッ口コルベンにPCL 680部とMDI 320部を秤量し80℃で5時間反応しNCO含量7.90%のウレタンプレポリマーを得た。次いで二軸エクスツルーダーにウレタンプレポリマー:BG=100部:8.47部の比で注入し温度210℃で反応しペレット状のウレタンエラストマーを得た。そのウレタンエラストマーを用い射出成型機で成型してロール成形体を得た。
この成形体の摩擦係数(μ)、接触角、および厚み2mmのシート作成用金型で成形した試料を用いて測定した引張特性試験結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
Figure 0003936813
【0053】
表1および表2から明らかなように、本発明の摺動性ウレタンエラストマー成形体(実施例1〜4)は、比較例1〜4のものに比べ特に摩擦係数および撥水性が顕著に優れており、たとえば撥水パネルやグラスランとしたときのきしみ音や汚染がなく有用なものである。
【0054】
実施例5〜8
(主剤の調製):4ッ口コルベンに表3に示す(A),(B)および(C)を秤量し、80℃で3時間反応してウレタンプレポリマーからなる主剤<1>〜<5>を得た。
(硬化剤の調製):4ッ口コルベンに表4に示す(A),(B)および(D)を秤量し、20〜100℃で混合し均一として硬化剤〔1〕〜〔5〕を得た。
表5に示す配合比の、80℃に調温した主剤および80℃に調温した硬化剤を二液注型機で混合し、150℃に調温した金型に注入して硬化させた。60分後脱型し、その後100℃で10時間アフターキュアーしてクリーニングブレード成形体を得た。
これらの各成形体についての、摩擦係数(μ)、接触角、Tg、耐久性および引張特性試験結果を表5に示す。
【0055】
【表3】
Figure 0003936813
【0056】
【表4】
Figure 0003936813
【0057】
【表5】
Figure 0003936813
【0058】
実施例9〜11
表6に示す部数比の、80℃に調温した主剤および80℃に調温した硬化剤を容器に秤量してスクリュ−羽付攪拌機で混合し、真空脱泡した。その液を150℃に調温した遠心成型機に注入し、1000回転/分で成型した。60分後脱型し、その後100℃で10時間アフターキュアーしてクリーニングブレード成形体を得た。
これらの各成形体についての、摩擦係数(μ)、接触角、Tg、耐久性および引張特性試験結果を表6に示す。
【0059】
【表6】
Figure 0003936813
【0060】
比較例5
4ッ口コルベンにPEA 722部およびMDI 278部を秤量し、反応温度80℃で3時間反応してNCO基含量6.3%のウレタンプレポリマーからなる主剤を得た。
80℃に温調した主剤100部と、BDとTMPを60/40(当量比)で溶解混合し80℃に調温した硬化剤6.39部とを容器に秤量してスクリュ−羽付攪拌機で混合し、真空脱泡した。その液を150℃に調温した遠心成型機に注入し、1000回転/分で成型した。60分後脱型し、その後100℃で10時間アフターキュアーしてクリーニングブレード成形体を得た。
この成形体についての、摩擦係数(μ)、Tg、接触角、耐久性および引張特性試験結果を表7に示す。
【0061】
比較例6
4ッ口コルベンにPEA 571部およびMDI 429部を秤量し、反応温度80℃で3時間反応してNCO基含量12.0%のウレタンプレポリマーからなる主剤を得た。
80℃に温調した主剤100部と、PEA/BD/TMP=552/67.8/36.3(当量比)で溶解混合し80℃に調温した硬化剤65.6部とを容器に秤量してスクリュ−羽付攪拌機で混合し、真空脱泡した。その液を150℃に調温した金型に注入し成型した。60分後脱型し、その後100℃で10時間アフターキュアーしてクリーニングブレード成形体を得た。
この成形体についての、摩擦係数(μ)、Tg、接触角、耐久性および引張特性試験結果を表7に示す。
【0062】
【表7】
Figure 0003936813
【0063】
表5〜7から明らかなように、本発明の摺動性ウレタンエラストマー成形体(実施例5〜11)は、比較例5〜6に比べ特に摩擦係数が優れており、クリーニングブレードに用いたときのエッジのカケがなく、またエッジ摩耗量が少ないため耐久性に富むものである。
【0064】
実施例12
4ッ口コルベンに分子量6000、官能基数3のポリオキシアルキレンポリオール 377部、ジオクチルフタレート 200部、MDI 277部およびカルボジイミド変性MDI 146部を秤量し、反応温度80℃で3時間反応してNCO基含量12.7%のウレタンプレポリマーからなる主剤を得た。
4ッ口コルベンにCP−5 884部、DETDA 112部およびジブチルチンジラウレート 4部を秤量し系内温度50℃で混合し硬化剤を得た。
上記主剤および硬化剤を各々50℃に温調し、衝突混合型エアレススプレー機(ガスマー社製H−2000)で鋼板にスプレーし、常温で硬化させて自動車用アンダーパネル成形体を得た。同時に引張特性試験用にポリプロピレン板状にスプレーし常温で硬化させて試料を得た。これらの成形体および試料を用いて測定した摩擦係数(μ)、接触角、Tgおよび引張特性試験結果を表8に示す。
【0065】
比較例7
4ッ口コルベンに分子量6000、官能基数3のポリオキシプロピレンポリオール 377部、ジオクチルフタレート 200部、MDI 277部およびカルボジイミド変性MDI 146部を秤量し、反応温度80℃で3時間反応してNCO基含量12.7%のウレタンプレポリマーからなる主剤を得た。
4ッ口コルベンに分子量1000、官能基数2のポリオキシエチレンプロピレンポリオール 884部、DETDA 112部およびジブチルチンジラウレート 4部を秤量し系内温度50℃で混合し硬化剤を得た。
上記主剤および硬化剤を各々50℃に温調し、衝突混合型エアレススプレー機(ガスマー社製H−2000)で鋼板にスプレーし、常温で硬化させて自動車用アンダーパネル成形体を得た。同時に引張特性試験用にポリプロピレン板状にスプレーし常温で硬化させて試料を得た。これらの成形体および試料を用いて測定した摩擦係数(μ)、接触角、Tgおよび引張特性試験結果を表8に示す。
【0066】
【表8】
Figure 0003936813
【0067】
表8から明らかなように、本発明の摺動性ウレタンエラストマー成形体(実施例12)は、比較例7のものに比べ特に撥水性が優れており、自動車用アンダーボデーとしたときの防錆性に優れるととともに、tanδ性能が良好なことからナット落下試験等の耐チッピング性能が良好であり、優れた特性に富むものである。
【0068】
【発明の効果】
本発明の摺動性ウレタンエラストマー成形体は、摺動性、撥水性、低温特性、帯電特性、耐摩耗性、表面平滑性、耐水性、機械強度、可撓性、耐候性、耐熱性などが優れている。
上記効果を奏することから本発明の摺動性ウレタンエラストマー成形体は、自動車用部材、電気製品用部材、OA機器部材、建築用部材などの摺動材料に好適である。
なかでも摺動性や撥水性が要求される電子写真複写機用クリーニングブレード、帯電ブレード、自動車用グラスラン、アンダーボデー、撥水パネルおよびポッテイング材等の用途として特に有用である。

Claims (7)

  1. 長鎖脂肪族炭化水素側鎖を含有するポリオール(A)もしくは該(A)と他の高分子ポリオール(B)、有機ポリイソシアネート(C)および鎖伸長剤(D)から誘導される摺動性ウレタンエラストマー(U)を用いた成形体において、ポリオール(A)が下記▲1▼〜▲4▼から選ばれる1種以上のポリオールであることを特徴とする摺動性ウレタンエラストマー成形体。
    ▲1▼下記一般式、
    Figure 0003936813
    [式中、R1およびR2は同一または異なる炭素数6〜50の直鎖または分岐のア ルキル基を表す。]
    で表されるジオール(a1)、
    ▲2▼ジオール(a1)にラクトン(b)を反応させてなる数平均分子量が400〜10,000のジオール(a2)、
    ▲3▼ジオール(a1)に炭素数2〜4のアルキレンオキサイド(c)を反応させてなる数平均分子量が350〜10,000のジオール(a3)、
    ▲4▼ジオール(a1)および必要により他の多価アルコール(e)とジカルボン酸類(d)とから誘導される数平均分子量が400〜10,000のポリオール(a4)。
  2. ウレタンエラストマー成形体中の長鎖脂肪族炭化水素側鎖の含有量が0.5〜80重量%である請求項1記載の摺動性ウレタンエラストマー成形体。
  3. 鎖伸長剤(D)が、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、ジエチレングリコールビス(4−アミノベンゾエート)および2−メチルプロピル−3,5−ジアミノ−4−クロロベンエートから選ばれる1種以上を必須成分とする請求項1または2記載の摺動性ウレタンエラストマー成形体。
  4. 鎖伸長剤(D)が、エチレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールから選ばれる1種以上と、トリメチロールプロパンおよび/またはグリセリンとを必須成分とする請求項1または2記載の摺動性ウレタンエラストマー成形体。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の摺動性ウレタンエラストマー成形体からなる摺動材料。
  6. 摺動材料が電子写真複写機用クリーニングブレードまたは帯電ブレードである請求項5記載の摺動材料。
  7. 摺動材料が自動車用グラスランである請求項5記載の摺動材料。
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