JP2001189241A - 電解コンデンサ - Google Patents

電解コンデンサ

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JP2001189241A
JP2001189241A JP37309199A JP37309199A JP2001189241A JP 2001189241 A JP2001189241 A JP 2001189241A JP 37309199 A JP37309199 A JP 37309199A JP 37309199 A JP37309199 A JP 37309199A JP 2001189241 A JP2001189241 A JP 2001189241A
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隆人 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐電圧特性及び過電圧特性のさらなる向上を
可能とした電解コンデンサを提供する。 【解決手段】 密度が0.6〜0.9g/cm3の高密
度電解紙を含む電解紙に所定量のPVAを塗工してなる
セパレータ、あるいは、密度が0.6〜0.9g/cm
3の高密度電解紙と密度が0.6g/cm3未満の低密度
電解紙を重ね合わせて電解紙を構成し、低密度電解紙側
に所定量のポリビニルアルコールを付着してなるセパレ
ータを介して、化成電圧が650V以上の陽極箔と陰極
箔とを重ね合わせ、巻回してコンデンサ素子を作成し、
このコンデンサ素子に硼酸を含む電解液を含浸させ、ケ
ースに入れて封口し、再化成して電解コンデンサを製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解コンデンサに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の電解コンデンサは、アルミニウム
などの弁金属箔の表面積を、エッチング処理によって拡
大し、誘電体層を形成して陽極とし、エッチング処理を
施した同種または他の金属の箔を陰極とし、セパレータ
(電解紙)を両極間に配置した構造となっている。この
セパレータは、陽極箔と陰極箔がショートするのを防止
すると共に、電解液を保持するものであり、クラフト
紙、マニラ紙等の薄く低密度の紙が用いられている。そ
して、電極引き出し端子を接合した陽極箔と陰極箔をセ
パレータを介して重ね合わせ、巻回してコンデンサ素子
を作成し、このコンデンサ素子に電解液を含浸させ、ケ
ースに入れて封口し、再化成して電解コンデンサが製造
される。
【0003】しかしながら、このような従来の電解コン
デンサにおいては、電解液が液状であるため、長期ある
いは高温で使用すると、電解液が封口材を透過して蒸発
し、静電容量の低下、tanδの上昇等、特性の劣化を
きたしていた。
【0004】そのため、上記のような液状電解液の問題
点を解消する方法として、電解液をゲル化する方法が提
案されている。なお、このゲル化剤としては、ゼラチ
ン、セルロース等の天然物の他、ポリビニルアルコー
ル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキシド等
の合成高分子が知られている。
【0005】しかしながら、本発明者等が、ゲル化剤と
してPVAを添加した電解液を作成し、陽極箔と陰極箔
をセパレータを介して重ね合わせ、巻回したコンデンサ
素子にこの電解液を含浸し、ケースに封入した後に加熱
して、電解液をゲル化させて電解コンデンサを作成し、
その諸特性を調査したところ、静電容量が低く、tan
δが高く、耐電圧の向上も見られないという結果が得ら
れた。
【0006】本発明者等は、上記の現象はゲル化した電
解質が誘電体皮膜へ良好な状態で密着していないことが
原因であると考え、鋭意検討を重ね、特開平10−22
3481号公報に示されているような電解コンデンサを
提案した。すなわち、先に提案した電解コンデンサは、
PVAを付着させたセパレータを介して、陰極箔及び表
面に形成されたピットの径が0.1μm以上の陽極箔を
巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子
にエチレングリコールを含む電解コンデンサ用の電解液
を含浸させることにより、上記の問題を解決しようとし
たものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
スイッチング電源を使用した電子機器が一般家庭で汎用
されるようになり、電解コンデンサの安全性に対する幅
広い要求が高まってきている。すなわち、このようなス
イッチング電源には電解コンデンサが用いられている
が、供給電力が不安定な使用環境では、電解コンデンサ
に過電圧が印加される場合があり、このような過電圧に
耐え得る、過電圧特性及び耐電圧特性の良好な、450
Vを超える定格電圧を有する電解コンデンサへの要求が
高まっている。
【0008】本発明は、上述したような従来技術の問題
点を解決するために提案されたものであり、その目的
は、耐電圧特性及び過電圧特性のさらなる向上を可能と
し、450Vを超える定格電圧を有する電解コンデンサ
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決すべく、耐電圧特性及び過電圧特性のさらなる向
上を可能とし、定格電圧が450Vを超える電解コンデ
ンサについて鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成する
に至ったものである。
【0010】すなわち、本発明に係る電解コンデンサ
は、密度が0.6〜0.9g/cm3の高密度電解紙を
含む電解紙に所定量のPVAを塗工してなるセパレー
タ、あるいは、密度が0.6〜0.9g/cm3の高密
度電解紙と、密度が0.6g/cm3未満の低密度電解
紙を重ね合わせて電解紙を構成し、前記低密度電解紙側
に所定量のポリビニルアルコールを付着してなるセパレ
ータを介して、化成電圧が650V以上の陽極箔と陰極
箔とを重ね合わせ、巻回してコンデンサ素子を作成し、
このコンデンサ素子に硼酸を含む電解液を含浸させ、ケ
ースに入れて封口し、再化成して製造したものである。
【0011】また、このようにして製造した本発明に係
る電解コンデンサについて、高温負荷試験及び過電圧試
験を行ったところ、従来の電解コンデンサと比べて、耐
電圧特性及び過電圧特性のさらなる向上を図ることがで
き、また、その定格電圧を450V以上とすることがで
きることが判明した。以下、本発明の構成について詳述
する。
【0012】[1.セパレータ]セパレータを構成する
電解紙としては、不織布、マニラ紙、クラフト紙、セル
ロース紙等が使用され、また、ガラス、合成高分子の繊
維を用いることもできる。また、本発明に係るセパレー
タは、以下に示すように、電解紙として、密度が0.6
〜0.9g/cm3の高密度電解紙からなる一重紙、あ
るいは、密度が0.6〜0.9g/cm3の高密度電解
紙と密度が0.6g/cm3未満の低密度電解紙を重ね
合わせた二重紙を用い、これらの電解紙に所定量のPV
Aを付着させたものである。なお、電解紙の厚みは、2
0〜150μm、好ましくは20〜90μmであること
が望ましい。電解紙の厚みがこの範囲より少ないと、耐
電圧特性、過電圧特性が劣化し、この範囲を超えるとコ
ンデンサのtanδが上昇する。
【0013】(PVA)電解紙に付着させるPVAとし
ては、市販のPVAを用いることができ、重合度は、2
00〜3500、けん化度は、75mol%の部分けん
化したものから、99.5mol%以上の完全けん化し
たものを用いることができる。なお、重合度がこの範囲
より小さいと効果が減じ、この範囲を超えると、塗工性
及びPVAの電解液への溶解性が低下して、特性が低下
する。
【0014】また、PVAの塗工量は、0.1〜20g
/m2であることが望ましい。PVAの塗工量がこの範
囲より少ないと効果が減じ、この範囲を超えると、電解
コンデンサのtanδが上昇する。また、電解紙にPV
Aを付着させる方法としては、PVA溶液にセパレータ
を浸漬するか、もしくはPVA溶液を塗布、散布した後
に、加熱、減圧等で乾燥する方法(塗工)等を用いるこ
とができる。
【0015】(一重紙を用いたセパレータ)密度が0.
6〜0.9g/cm3の高密度電解紙からなる電解紙
に、所定量のPVAを塗工することにより、本発明に係
る第1のセパレータを構成することができ、この第1の
セパレータを用いた電解コンデンサにおいて、耐電圧特
性及び過電圧特性の向上を図ることができることが分か
った。
【0016】(二重紙を用いたセパレータ)上述したよ
うに、密度の高い電解紙を用いることにより、電解コン
デンサの耐電圧特性及び過電圧特性の向上が図れるが、
電極箔のバリによるショートを防止するためには、陽極
箔と陰極箔の間にはある程度の間隔が必要である。しか
しながら、密度の高い電解紙を単独で用いた場合、電極
箔の間隔を確保するためにその厚みを大きくすると、耐
電圧特性及び過電圧特性は向上するものの、コンデンサ
のtanδの低減には限界がある。
【0017】そこで、本発明者等がさらに検討を重ねた
ところ、耐電圧特性及び過電圧特性の向上を図ることが
できる密度の高い電解紙と、密度の低い電解紙を重ね合
わせて二重紙とした電解紙に、所定量のPVAを塗工す
ることにより、本発明に係る第2のセパレータを構成す
ることができ、この第2のセパレータを用いた電解コン
デンサにおいても、耐電圧特性及び過電圧特性の向上を
図ることができ、さらに、tanδの低減を図ることが
できることが分かった。
【0018】すなわち、密度が0.6〜0.9g/cm
3の高密度電解紙と、密度が0.6g/cm3未満の低密
度電解紙を重ね合わせて二重紙とし、低密度電解紙側に
所定量のPVAを塗工したものである。なお、PVAを
塗工するのは、高密度紙側でも低密度紙側でも良いが、
PVAの塗工の容易性を考慮すると、低密度紙側に塗工
することが望ましい。また、PVAを塗工した側が陽極
箔と接触するように巻回しても、陰極箔と接触するよう
に巻回しても効果は同等であった。
【0019】[2.陽極箔]本発明者等は、定格電圧が
450Vを超える電解コンデンサを得るため、陽極箔の
化成電圧を種々変えて検討した結果、本発明のPVAを
塗工したセパレータを用いた場合、化成電圧が650V
以上の陽極箔を用いた場合に、定格電圧が450Vを超
える電解コンデンサを得ることができ、さらに、化成電
圧が700V以上の陽極箔を用いた場合には、定格電圧
が500Vを超える電解コンデンサを得ることができる
ことが分かった。
【0020】本発明においては、陽極箔は以下のように
作成したものを用いる。電解コンデンサ用の金属箔を酸
性溶液中で通電処理して、金属箔の表面にピットを生成
させ、その後に、高温の酸性溶液中での化学溶解によっ
てピットの径を拡大させて表面積を拡大するエッチング
を行う。次いで、このエッチング箔を前処理し、ほう
酸、りん酸等の酸あるいはこれらの塩の水溶液中で、6
50V以上の所定の電圧に至るまで電圧を印加し、この
所定の電圧に達してからはこの電圧を一定時間保持し、
その後に減極処理を行い、再度電圧を印加して、金属箔
に誘電体酸化皮膜を形成する。この際には、エッチング
によって拡大された金属箔の表面に酸化皮膜が形成され
るので、ピット内部にも酸化皮膜が形成される。したが
って、酸化皮膜形成後の陽極箔のピットの径は、エッチ
ング後の金属箔のピットの径よりも小さくなる。なお、
本発明においては、酸化皮膜形成後のピットの径が、
0.1μm以上の陽極箔を用いることが望ましい。
【0021】[3.陰極箔]本発明に用いる陰極箔は、
通常の電解コンデンサに使用するアルミニウム等の金属
箔であればよい。
【0022】[4.電解液]電解液としては、硼酸を
0.1部〜40部含有させた電解コンデンサ駆動用電解
液を用いる。硼酸の含有量がこの範囲より少ないと、P
VAのゲル化が良好な状態で進行しないために耐電圧特
性及び過電圧特性が低下し、この範囲を超えると、コン
デンサのtanδが上昇する。なお、この電解液には、
エチレングリコールを含有させても良い。電解液にエチ
レングリコールが含まれていると、PVAの溶解が容易
になって、本発明の効果が高まるのでより好ましい。
【0023】また、その他の溶媒を併用してもよいこと
は言うまでもない。その溶媒としては、プロトン性の有
機極性溶媒として、一価アルコール類(エタノール、プ
ロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノー
ル、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘ
キサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール
類及びオキシアルコール化合物類(プロピレングリコー
ル、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソル
ブ、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパ
ノール等)などが挙げられる。
【0024】また、非プロトン性の有機極性溶媒として
は、アミド系(N−メチルホルムアミド、N,N─ジメ
チルホルムアミド、N─エチルホルムアミド、N,N─
ジエチルホルムアミド、N─メチルアセトアミド、N,
N─ジメチルアセトアミド、N─エチルアセトアミド、
N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリ
ックアミド等)、ラクトン類、環状アミド系(γ─ブチ
ロラクトン、N─メチル─2─ピロリドン、エチレンカ
ルボネイト、プロピレン─カルボネート、イソブチレン
カルボネート、イソブチレンカルボネート等)、ニトリ
ル系(アセトニトリル等)、オキシド系(ジメチルスル
ホキシド等)などが代表として挙げられる。
【0025】電解液に含まれる溶質としては、通常電解
コンデンサ駆動用電解液に用いられる、酸の共役塩基を
アニオン成分とする、アンモニウム塩、アミン塩、4級
アンモニウム塩及び環状アミジン化合物の四級塩が挙げ
られる。アミン塩を構成するアミンとしては1級アミン
(メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチ
ルアミン、エチレンジアミン等)、2級アミン(ジメチ
ルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチル
エチルアミン、ジフェニルアミン等)、3級アミン(ト
リメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミ
ン、トリフェニルアミン、1,8─ジアザビシクロ
(5,4,0)─ウンデセン─7等)が挙げられる。第
4級アンモニウム塩を構成する第4級アンモニウムとし
てはテトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモ
ニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルア
ンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエ
チルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム
等)、ピリジウム(1─メチルピリジウム、1─エチル
ピリジウム、1,3─ジエチルピリジウム等)が挙げら
れる。また、環状アミジン化合物の四級塩を構成するカ
チオンとしては、以下の化合物を四級化したカチオンが
挙げられる。すなわち、イミダゾール単環化合物(1─
メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、
1,4─ジメチル─2─エチルイミダゾール、1─フェ
ニルイミダゾール等のイミダゾール同族体、1−メチル
−2−オキシメチルイミダゾール、1−メチル−2−オ
キシエチルイミダゾール等のオキシアルキル誘導体、1
−メチル−4(5)−ニトロイミダゾール、1,2−ジ
メチル−4(5)−ニトロイミダゾール等のニトロ及び
アミノ誘導体)、ベンゾイミダゾール(1−メチルベン
ゾイミダゾール、1−メチル−2−ベンジルベンゾイミ
ダゾール等)、2−イミダゾリン環を有する化合物(1
─メチルイミダゾリン、1,2−ジメチルイミダゾリ
ン、1,2,4−トリメチルイミダゾリン、1,4−ジ
メチル−2−エチルイミダゾリン、1−メチル−2−フ
ェニルイミダゾリン等)、テトラヒドロピリミジン環を
有する化合物(1−メチル−1,4,5,6−テトラヒ
ドロピリミジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−
テトラヒドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ
〔5.4.0〕ウンデセン−7、1,5−ジアザビシク
ロ〔4.3.0〕ノネン等)等である。また、アニオン
成分としては、カルボン酸、フェノール類、りん酸、炭
酸、けい酸等の酸の共役塩基が例示される。
【0026】[5.電解コンデンサの製造方法]次に、
本発明の電解コンデンサの製造方法を説明する。すなわ
ち、陰極箔、化成電圧が650V以上の陽極箔、所定量
のPVAを付着したセパレータを規定の寸法に裁断し、
陰極箔、陽極箔にはリード線を接合する。そして、陰極
箔、陽極箔の間にセパレータを挟んで巻回し、コンデン
サ素子を作成する。次いで、このコンデンサ素子に、硼
酸を含有する電解液を含浸させ、ケース内に入れて、封
口材でシールした後、高温で直流電流を印加して再化成
を行う。なお、この際に、電解液中の硼酸とPVAによ
るゲル化が部分的に進行し、誘電体皮膜との密着性の良
いゲル状電解質が得られ、耐電圧特性が向上するものと
思われる。ここで、PVAのケン化度が90mol%以
上の場合は、さらに、耐電圧特性は向上する。
【0027】この部分的なゲル化の挙動は以下のように
推察される。本発明によるコンデンサ素子を電解液に接
触させることによって、まず、電解液が、陽極箔のピッ
トに含浸する。そして、その後に、含浸した電解液にセ
パレータに付着させたPVAが接触して、電解液中の硼
酸とPVAによるゲル化が部分的に進行し、誘電体皮膜
との密着性の良いゲル状電解質が得られる。
【0028】また、陽極箔のピットの径が0.1μm以
上の場合には、電解液とPVAがピットの内部に浸透し
やすくなるため、ピット内部に良好なゲルが形成され、
これにより、静電容量、tanδともさらに良好な特性
が得られると考えられる。また、このゲル状の部分と液
状の電解液が混在した状態となって、電解液の粘性が高
まり、誘電体皮膜との密着性の良いゲル状電解質となる
ため、過電圧特性も向上すると考えられる。
【0029】
【実施例】以下に実施例をあげて、本発明をさらに具体
的に説明する。なお、実施例、比較例及び従来例の構成
要件は、以下の表1に示す通りである。
【表1】
【0030】(実施例1)PVA(けん化度98.5m
ol%、重合度200)を10%溶解した水溶液を、高
密度電解紙からなる電解紙(クラフト紙、密度0.70
g/cm3、厚み40μm)に塗布し、加熱乾燥させ
て、PVAが付着したセパレータを得た。PVAの付着
量は、5g/m2であった。このセパレータを陰極箔
と、表面に形成されたピットの径が0.1μm以上であ
る陽極箔(化成電圧は750V)の間に挟み、巻回し
て、550V−300μFのコンデンサ素子を作成し
た。また、エチレングリコール88部、硼酸3部、1,
6−デカンジカルボン酸9部の電解液を作成した。そし
て、この電解液をコンデンサ素子に含浸し、アルミニウ
ムケースに入れてゴム封口し、次いで、85℃で、2時
間、575V印加して再化成してアルミニウム電解コン
デンサを作成した。
【0031】(実施例2)PVA(けん化度98.5m
ol%、重合度200)を10%溶解した水溶液を、高
密度電解紙と低密度電解紙を貼り合わせてなる電解紙
(クラフト紙、密度0.85g/cm3の高密度紙と密
度0.6g/cm3未満の低密度紙を抄紙工程で貼り合
わせて、厚み60μmとしたもの)に塗布し、加熱乾燥
させて、PVAが付着したセパレータを得た。PVAの
付着量は、5g/m2であった。このセパレータを陰極
箔と、表面に形成されたピットの径が0.1μm以上で
ある陽極箔(化成電圧は750V)の間に挟み、巻回し
て、550V−300μFのコンデンサ素子を作成し
た。また、エチレングリコール88部、硼酸3部、1,
6−デカンジカルボン酸9部の電解液を作成した。そし
て、この電解液をコンデンサ素子に含浸し、アルミニウ
ムケースに入れてゴム封口し、次いで、85℃で、2時
間、575V印加して再化成してアルミニウム電解コン
デンサを作成した。
【0032】(比較例1)PVA(けん化度98.5m
ol%、重合度200)を10%溶解した水溶液を実施
例2で用いたと同じ電解紙に塗布し、加熱乾燥させて、
PVAが付着したセパレータを得た。PVAの付着量
は、5g/m2であった。このセパレータを陰極箔と、
表面に形成されたピットの径が0.1μm以上である陽
極箔(化成電圧は750V)の間に挟み、巻回して、5
50V−300μFのコンデンサ素子を作成した。ま
た、エチレングリコール91部、1,6−デカンジカル
ボン酸アンモニウム9部の電解液を作成した。そして、
この電解液をコンデンサ素子に含浸し、アルミニウムケ
ースに入れてゴム封口し、次いで、85℃で、2時間、
575V印加して再化成してアルミニウム電解コンデン
サを作成した。
【0033】(比較例2)PVA(けん化度98.5m
ol%、重合度200)を10%溶解した水溶液を実施
例2で用いたと同じ電解紙に塗布し、加熱乾燥させて、
PVAが付着したセパレータを得た。PVAの付着量
は、5g/m2であった。このセパレータを陰極箔と、
表面に形成されたピットの径が0.1μm以上である陽
極箔(化成電圧は630V)の間に挟み、巻回して、5
50V−300μFのコンデンサ素子を作成した。ま
た、エチレングリコール88部、硼酸3部、1,6−デ
カンジカルボン酸アンモニウム9部の電解液を作成し
た。そして、この電解液をコンデンサ素子に含浸し、ア
ルミニウムケースに入れてゴム封口し、次いで、85℃
で、2時間、575V印加して再化成してアルミニウム
電解コンデンサを作成した。
【0034】(従来例)クラフト紙(密度0.75g/
cm3、厚み70μm)からなるセパレータを陰極箔
と、表面に形成されたピットの径が0.1μm以上であ
る陽極箔(化成電圧は750V)の間に挟み、巻回し
て、550V−300μFのコンデンサ素子を作成し
た。また、エチレングリコール85部、硼酸3部、1,
6−デカンジカルボン酸9部、PVA(けん化度98.
5mol%、重合度200)3部の電解液を作成した。
そして、この電解液をコンデンサ素子に含浸し、アルミ
ニウムケースに入れてゴム封口し、次いで、85℃で、
2時間、575V印加して再化成してアルミニウム電解
コンデンサを作成した。
【0035】[高温負荷試験]これらのアルミニウム電
解コンデンサに550Vを印加し、105℃で1000
時間の高温負荷試験を行った。その試験結果を表2に示
した。試験数は20個として、特性は20個のコンデン
サの平均値で示した。
【表2】
【0036】表2から明らかなように、セパレータとし
てPVA塗工紙を用いると共に、化成電圧が750Vの
陽極箔を用いた実施例1及び実施例2共に、初期特性、
高温負荷試験共に良好な結果が得られ、定格550Vの
高圧用電解コンデンサが実現されている。
【0037】これに対して、実施例2と同じセパレータ
を用い、化成電圧が750Vの陽極箔を用いているにも
かかわらず、硼酸を含まない電解液を含浸した比較例1
では、再化成中にショートが発生した。その理由は、比
較例1においては、電解液に硼酸が添加されていないた
め、セパレータに塗布したPVAの溶解が進まず、PV
Aの効果が低減されて、定格550Vの耐電圧が得られ
ないためであると考えられる。
【0038】また、実施例2と同じセパレータを用い、
硼酸を含む電解液を含浸しているにもかかわらず、化成
電圧が630Vの陽極箔を用いた比較例2では、初期特
性はほぼ良好な結果が得られたものの、高温負荷試験に
おいては開弁に至った。その理由は、比較例2において
は、高温負荷試験中に漏れ電流が増大し、ガスが発生し
て、コンデンサ内部の圧力が上昇し、開弁に至ったと考
えられる。
【0039】一方、セパレータとして、PVAを塗布し
ていないクラフト紙を用いた従来例では、化成電圧が7
50Vの陽極箔を用いているにもかかわらず、再化成中
にショートが発生しており、550Vの耐電圧特性を得
ていないことが分かる。このように、本発明に係る実施
例1及び実施例2の電解コンデンサは、定格550Vを
満たした上に、過電圧特性をも満たしていることが明ら
かとなった。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、耐
電圧特性及び過電圧特性のさらなる向上を可能とし、4
50Vを超える定格電圧を有する電解コンデンサを提供
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 29:04) H01G 9/04 337

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度が0.6〜0.9g/cm3の高密
    度電解紙を含む電解紙に所定量のポリビニルアルコール
    を付着してなるセパレータを介して、化成電圧が650
    V以上の陽極箔と陰極箔とを重ね合わせ、巻回してコン
    デンサ素子を作成し、このコンデンサ素子に硼酸を含む
    電解液を含浸させたことを特徴とする電解コンデンサ。
  2. 【請求項2】 密度が0.6〜0.9g/cm3の高密
    度電解紙と、密度が0.6g/cm3未満の低密度電解
    紙を重ね合わせて電解紙を構成し、前記低密度電解紙側
    に所定量のポリビニルアルコールを付着してなるセパレ
    ータを介して、化成電圧が650V以上の陽極箔と陰極
    箔とを重ね合わせ、巻回してコンデンサ素子を作成し、
    このコンデンサ素子に硼酸を含む電解液を含浸させたこ
    とを特徴とする電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 前記電解紙に付着されるポリビニルアル
    コールの付着量が、0.1〜20g/m2であることを
    特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電解コンデン
    サ。
  4. 【請求項4】 前記電解紙に付着されるポリビニルアル
    コールの重合度が、200〜3500であることを特徴
    とする請求項1又は請求項2に記載の電解コンデンサ。
  5. 【請求項5】 前記電解紙の厚みが、20〜150μm
    であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    電解コンデンサ。
  6. 【請求項6】前記電解液の硼酸の含有量が、0.1部〜
    40部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に
    記載の電解コンデンサ。
  7. 【請求項7】 前記陽極箔の表面に形成されるピットの
    径が、0.1μm以上であることを特徴とする請求項1
    又は請求項2に記載の電解コンデンサ。
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