JP2001182825A - 車両用自動変速機のクリープ力制御装置 - Google Patents
車両用自動変速機のクリープ力制御装置Info
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Abstract
御装置に関し、クリープ力制御時に、エンジン回転速度
が変動した際の制御の安定化を図る。 【解決手段】 実スリップ量変化率算出手段31bでエ
ンジン側回転部材と変速機側回転部材との間の実スリッ
プ量変化率d(Ne−Nt)/dtを算出するととも
に、目標スリップ量算出手段32bで目標スリップ量N
siを算出し、比較手段41で実スリップ量Ne−Nt
と目標スリップ量Nsiとの偏差をエンジン回転速度に
応じて変更される閾値と比較し、目標スリップ量変化率
設定手段32dで目標スリップ量変化率dN11〜dN14
を設定する。そして、フィードバック制御手段33によ
り、実スリップ量変化率d(Ne−Nt)/dtが目標
スリップ量変化率となるように摩擦要素の係合力がフィ
ードバック制御される。
Description
レンジで停車した場合に、トルクコンバータによるクリ
ープ力を低減するようにした、車両用自動変速機のクリ
ープ力制御装置に関する。
トルクコンバータ式の自動変速機において、シフトレン
ジが走行レンジ(以下、Dレンジという)のままで停車
すると、低速段(例えば、第1速段)を達成するために
係合されていた摩擦要素(以下、フォワードクラッチと
いう)をスリップさせて、ニュートラル状態に近づける
ように制御する技術が提案されている。
トラル制御又はクリープ力制御と呼ばれるものであり、
このようなアイドルニュートラル制御(以下、単にニュ
ートラル制御という)を停車中に実行することで、トル
クコンバータを介して伝達されるエンジントルクを減少
させて、燃料消費量及びアイドル振動の低減を図ること
ができる。
えば、車速0km/h,フットブレーキ操作中,スロッ
トル開度0%及び第1速段達成から所定時間経過してい
ること、等が設定されており、上記全ての条件が成立す
ると、コントローラからの指令に基づきニュートラル制
御が開始される。また、フットブレーキ操作の解除,ア
クセルペダルの操作,車速が所定値以上となった、等の
ニュートラル制御解除条件がいずれか1つでも成立する
と、ニュートラル制御が解除される。
なニュートラル制御中には、トルクコンバータ内のスリ
ップ比、即ちエンジン回転速度Neとタービンランナの
回転速度(タービン回転速度)Ntとの比(Nt/N
e)が目標値となるように、フォワードクラッチの係合
力をフィードバック制御することが考えられる。
転速度Neとタービン回転速度Ntとから回転速度偏差
(実スリップ量)を算出するとともに、この偏差の目標
値(目標スリップ量)を算出して、これら実スリップ量
と目標スリップ量との差(スリップ量偏差)に応じて目
標とするスリップ量変化率(目標スリップ量変化率)を
設定し、実際のスリップ量変化率が目標スリップ量変化
率となるように、フォワードクラッチの係合力をフィー
ドバック制御する方法を開発した。
いて目標スリップ量変化率を設定することにより、ニュ
ートラル制御中にエンジン回転変動が生じても安定した
フィードバック制御を実行できるようになる。ここで、
目標スリップ量変化率の設定手法について簡単に説明す
ると、目標スリップ量変化率は、スリップ量偏差の大き
さに応じて段階的に設定されており、このスリップ量偏
差がある閾値を越えると、目標スリップ量変化率が変更
されるようになっている。
プ量変化率を設定するための閾値は固定値であるため、
エンジンの運転状態によっては、エンジン回転変動が小
さいにも関わらず目標スリップ量変化率が変動してしま
い、フィードバック制御が不安定になることが懸念され
る。例えば、寒冷時のエンジン始動直後では、水温及び
油温が低く、このため比較的高いエンジン回転速度でエ
ンジンが運転される(ファストアイドル)が、このよう
なエンジン回転速度が高い状態下でのニュートラル制御
の実行中にエンジン回転変動が生じると、目標スリップ
量変化率が必要以上に大きく設定されてしまい、制御が
不安定となることが考えられるのである。
たもので、目標スリップ量変化率を設定するための閾値
をエンジン回転速度に応じて変更し、アイドル時のエン
ジン回転速度に関わらず、安定した制御を行なえるよう
にした、車両用自動変速機のクリープ力制御装置を提供
することを目的とする。
機のクリープ力制御装置では、自動変速機のシフトレン
ジが走行レンジであるときに所定の条件が成立すると、
走行時に係合される摩擦要素の係合力を低下させてクリ
ープ力を低下させることによりニュートラル状態が形成
される。このとき、自動変速機の入力側に設けられた流
体継手におけるエンジン側回転部材と変速機側回転部材
との間の実際のスリップ量の変化率が目標値(スリップ
量変化率)となるように、摩擦要素の係合力が以下のよ
うにしてフィードバック制御される。
り、流体継手内におけるエンジン側回転部材と変速機側
回転部材との間の実スリップ量(Ne−Nt)が算出さ
れるとともに、実スリップ量変化率算出手段により、実
スリップ量の変化率が算出される。また、目標スリップ
量算出手段により、流体継手におけるエンジン側回転部
材と変速機側回転部材との間の目標スリップ量(Ns
i)が算出される。そして、比較手段により、上記実ス
リップ量と目標スリップ量との偏差が、エンジン回転速
度を表すパラメータ値に応じて変更される閾値(ΔN1
〜ΔN4 )と比較され、この結果に基づいて目標スリッ
プ量変化率設定手段で目標スリップ量変化率(dN11〜
dN14)が設定される。
化率算出手段で検出される実スリップ量変化率が、目標
スリップ量設定手段で設定される目標スリップ量変化率
となるように、フィードバック制御手段で摩擦要素の係
合力がフィードバック制御される。
施形態にかかる車両用自動変速機のクリープ力制御装置
について説明すると、図1はその全体構成を示す模式図
である。図1に示すように、自動変速機1はエンジン2
と結合された状態で図示しない車両に搭載されている。
エンジン2の出力軸2aはトルクコンバータ(流体継
手)3を介して変速機構4に連結され、その変速機構4
は図示しないディファレンシャルギアを介して車両の駆
動輪と接続されている。
コンバータ3のポンプインペラ3aに接続されており、
この出力軸2aの回転に伴いポンプインペラ3aが回転
すると、ATF(オートマチック・トランスミッション
・フルード)を介してタービンランナ3bが回転駆動さ
れ、その回転が変速機構4に伝達されるようになってい
る。
組の遊星歯車機構及びそれらの構成要素(サンギア,ピ
ニオンギア及びリングギア)の動作を許容又は規制する
クラッチやブレーキ類から構成されており、これらのク
ラッチやブレーキの係合状態を油圧源(オイルポンプ)
から供給されるATFにより適宜切り換えて、所望の変
速段を達成するようになっている。なお、この変速機構
4の構造については、一般に広く知られたものであるの
で、フォワードクラッチ7以外の構成については図示を
省略する。
レンジがNレンジ(非走行レンジ)からDレンジ(走行
レンジ)に切り換えられたとき、変速機構4は発進に備
えるために第1速段に切り換えられるが、このときに
は、Nレンジでの各種の摩擦係合要素の係合状態に対し
て、さらにフォワードクラッチ(摩擦要素)7を係合す
ることで第1速段が実現されるようになっている。
置,制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記
憶装置(ROM,RAM,BURAM等),中央処理装
置(CPU)及びタイマカウンタ等を備えたA/T−E
CU(自動変速機制御ユニット、以下、単にECUとい
う)11が設置されており、後述する各種センサからの
情報に基づいて各種の制御信号が設定されて、自動変速
機1の総合的な制御が行なわれるようになっている。
転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ12、タ
ービンランナ3bの回転速度Nt(即ち、フォワードク
ラッチ7の入力回転速度)を検出するタービン回転速度
センサ13、車両の走行速度(車速)Vsを検出する車
速センサ14、ブレーキ装置のブレーキオイルの圧力
(流体圧)が所定値よりも大きくなるとオン信号を出力
するブレーキ圧スイッチ20、エンジン2のスロットル
開度θTH(=アクセル操作量)を検出するスロットルセ
ンサ16、ATFの油温TOIL を検出する油温センサ1
7、及び運転者にて選択されたシフトポジション(例え
ば、Nレンジ,Dレンジ,Pレンジ及びRレンジ等)を
検出するためのシフトポジションセンサ18等が接続さ
れている。
サ16で検出されたスロットル開度θTH及び車速センサ
14で検出された車速Vsを用いて図示しない変速マッ
プから目標変速段を設定し、この目標変速段を達成すべ
く変速機構4のクラッチ及びブレーキの係合状態を切り
換えて変速制御を実行するようになっている。また、E
CU11の出力側には、上述のオイルポンプからの作動
油を切換制御して変速機構4のクラッチやブレーキの係
合要素を作動させるための多数のソレノイドや圧力調整
弁(プレッシャコントロールバルブ)が接続されてい
る。なお、図1中では、このような多数のソレノイドや
圧力調整弁のうち、フォワードクラッチ7の係合状態を
切り換えるソレノイド19及び圧力調整弁21のみを図
示しており、他のソレノイド及び圧力調整弁については
図示を省略する。
動が制御されるようになっており、このソレノイド19
の作動に応じて圧力調整弁21へのパイロット圧供給状
態が調整されるようになっている。また、本実施形態で
はデューティ率が増加するほど、圧力調整弁21へのパ
イロット圧の供給量が低下するような特性に設定されて
いる。
1へパイロット圧が供給されると、圧力調整弁21のス
プール21aが図中左側に移動して、フォワードクラッ
チ7のライン圧が排出されて、フォワードクラッチ7の
係合力が低下するようになっている。また、これとは逆
に、ソレノイド19によりパイロット圧が排出される
と、フォワードクラッチ7にライン圧が供給されるよう
になっている。このように、ソレノイド19のデューテ
ィ率を制御することで、フォワードクラッチ7の係合力
を調整できるようになっているのである。
御)について簡単に説明すると、このニュートラル制御
は、Dレンジで走行中の車両が停止したときにフォワー
ドクラッチ7の係合力を低下させてニュートラル状態に
近い状態に制御するものであり、摩擦係合要素としての
フォワードクラッチ7をスリップさせることでニュート
ラル制御(クリープ力制御)が実行されるようになって
いる。
件として以下の(1)〜(3)条件が設定されている。 (1)ブレーキ圧スイッチ20がオン(ブレーキ圧が所
定値Pa以上)である。 (2)スロットルセンサ16によりアクセル非操作(ス
ロットル開度が所定量以下)が検出された。 (3)車速センサ14により検出された車速Vsが所定
値未満である。
されると(つまり、車両が走行状態からほぼ停止状態に
移行したと推測されると)、ニュートラル制御が開始さ
れるようになっている。そして、以上の条件が全て成立
したと判定されると(つまり、車両が走行状態からほぼ
停止状態に移行したと推測されると)、ニュートラル制
御が開始されるようになっている。
の動作の概要を簡単に説明すると、まず、エンジン回転
速度センサ12で検出されたエンジン回転速度Ne及び
油温センサ17で検出されたATF油温T0IL に基づい
てフォワードクラッチ7のソレノイド19のデューティ
率Dのスリップ直前値DN が設定される。これにより、
ニュートラル制御の開始条件の成立直後にソレノイド1
9のデューティ率Dが100%からスリップ直前値DN
までステップ状に減少する。これにより、圧力制御弁2
1のスプール21aに作用するパイロット圧供給量が増
加して、フォワードクラッチ7のライン圧が急激にドレ
ーンされて係合力が低下するのである。
放側に向かって制御され、このときまでフォワードクラ
ッチ7を介して駆動輪側と接続され係合状態で停止保持
されていたタービンランナ3bが回転し始める。そし
て、タービン回転速度Ntが上昇してスリップ判定値N
t0を越えると、トルクコンバータ3のスリップ量ΔN
(=Ne−Nt)を予め設定された目標値にすべく、ソ
レノイド19のデューティ率Dがフィードバック制御さ
れるのである。そして、この目標値となったとき、後述
するニュートラル制御の定常制御へ移行する。
のように設定されており、そのいずれかが満たされたと
き、つまり運転者の発進意志が推測されるときに解除条
件が成立したと判定され、ECU11により、ニュート
ラル制御が解除されるようになっている。 (1)ブレーキ圧スイッチ20がオフ(ブレーキ圧が所
定値Pa未満)になった場合。 (2)スロットルセンサ16によりアクセル操作(スロ
ットル開度θthが所定値以上)が検出された場合。 (3)車速センサ14で検出された走行速度Vsが所定
値以上になった場合。
成立すれば、ニュートラル制御が解除されるようになっ
ているのである。 〔ニュートラル制御の解除制御〕ニュートラル制御を解
除する場合には、徐々にソレノイド19のデューティ率
Dを上昇させてタービン回転速度Ntを減少させ、フォ
ワードクラッチ7を係合側に向かって制御する。そし
て、エンジン回転速度センサ12とタービン回転速度セ
ンサセンサ13とからの情報に基づいて同期判定が行な
われ、タービンランナ3bの回転速度Ntがエンジン回
転速度Neと同期したと判定されると、所定時間経過後
にソレノイド19のデューティ率が100%に設定され
る。
発明の要部である定常制御について説明すると、図2に
示すように、ECU11内には、ポンプインペラ(エン
ジン側回転部材)3aとタービンランナ(変速機側回転
部材)3bとの間の実際のスリップ量変化率を検出する
実スリップ量演算手段31と、ポンプインペラ3aとタ
ービンランナ3bとの間の目標スリップ量変化率を設定
する目標スリップ量変化率設定手段32と、上記実スリ
ップ量変化率が目標スリップ量変化率となるようにフォ
ワードクラッチ7の係合力をフィードバック制御するフ
ィードバック制御手段33とが設けられている。
ードバック制御手段33によりソレノイド19のデュー
ティ率がフィードバック制御されることにより、常にエ
ンジン回転速度(又はポンプインペラ回転速度)Neと
タービン回転速度Ntとの比が一定となるようにフォワ
ードクラッチ7が制御されて、安定したニュートラル制
御が実行されるようになっている。
スリップ量算出部(実スリップ量算出手段)31a及び
実スリップ量変化率算出部31bをそなえている。この
うち、実スリップ量算出部31aは、エンジン回転速度
センサ12で得られるエンジン2の回転速度(即ち、ポ
ンプインペラ3aの回転速度)Neとタービン回転速度
センサ13で得られるタービンランナ3bの回転速度N
tとから、トルクコンバータ3内におけるポンプインペ
ラ3aとタービンランナ3bとの間の実際のスリップ量
Ne−Ntを算出するものであり、また、実スリップ量
変化率算出部31bは、実スリップ量算出部31aで算
出された実スリップ量を時間微分することにより実スリ
ップ量変化率d(Ne−Nt)/dtを算出するもので
ある。
は、目標タービン回転速度算出部32a,目標スリップ
量算出部32b,スリップ量偏差算出部32c及び目標
スリップ量変化率設定部32dに加えて、比較部(比較
手段)41をそなえている。上記の目標スリップ量変化
率設定手段32では、目標速度比ηとエンジン回転速度
Neとに基づいて、上記スリップ量変化率に対する目標
値(目標スリップ量変化率)が設定されるようになって
いる。なお、目標速度比とは、トルクコンバータ3内に
おけるエンジン回転速度Neとタービン回転速度Ntと
の比の目標値であって、ここでは一定値が適用されてい
る。
について説明すると、目標タービン回転速度算出部32
aでは、エンジン回転速度Neに目標速度比ηを乗じる
ことにより目標のタービン回転速度Ntoが算出される
ようになっている。そして、目標スリップ量算出部32
bにおいて、エンジン回転速度Neから上記目標タービ
ン回転速度Ntoを減じることによりトルクコンバータ
3の目標スリップ量Nsi(=Ne−Nto)が設定さ
れるようになっている。
ポンプインペラ3aとタービンランナ3bとの実スリッ
プ量Ne−Ntと、上記目標スリップ量算出部32bで
算出された目標スリップ量Nsiとから、スリップ量偏
差(Ne−Nt)−Nsiが算出されるようになってい
る。そして、上述のように、スリップ量偏差(Ne−N
t)−Nsiが算出されると、比較部41において、こ
の偏差(Ne−Nt)−Nsiと、比較部41内に設け
られた閾値ΔN1 ,ΔN2 ,ΔN3 等とが比較されるよ
うになっており、目標スリップ量変化率設定部32dで
は、この比較結果に基づいて、目標スリップ量変化率d
N11〜dN14を設定し、出力するようになっている。
N14の設定についてもう少し詳しく説明すると、比較部
41及び目標スリップ量変化率設定部32d内には、例
えば図3に示すようなマップが設けられている。なお、
マップの横軸は、スリップ量偏差(Ne−Nt)−Ns
iであって、縦軸は目標スリップ量変化率dN11〜dN
14である。
ΔN2 ,ΔN3 等が設定されている。なお、本実施形態
では、−ΔN4 <ΔN1 <ΔN2 <ΔN3 且つdN14<
dN 11<dN12<dN13の関係が成り立つように設定さ
れている。そして、比較部41で上記スリップ量偏差と
各閾値とが比較されて、スリップ量偏差が−ΔN4 以下
の場合には、目標スリップ量変化率としてdN14が設定
されるようになっている。また、スリップ量偏差が−Δ
N4 より大きくΔN1 未満の場合には目標スリップ量変
化率が0に設定され、ΔN1 以上ΔN2 未満の場合には
dN11に設定され、ΔN2 以上ΔN3 未満の場合にはd
N12に設定され、ΔN3 以上の場合にはdN13に設定さ
れるようになっているのである。
速度Ne(又は、エンジン回転速度を表すパラメータ
値)に応じて変更される(又は補正される)ようになっ
ている。すなわち、比較部41には、スリップ量偏差算
出部32c以外にも、エンジン回転速度センサ12から
の信号も入力されるように構成されており、このエンジ
ン回転速度Neに基づいて、例えば下式により各閾値が
設定されるようになっている。
れΔN1 〜ΔN4 のベースとなる閾値であって、エンジ
ン回転速度Neがベースの回転速度Nbのときに設定さ
れる値である。また、k1 及びk2 は、いずれも定数で
ある。
リップ量偏差の閾値を変更する理由について簡単に説明
すると、例えば寒冷時のエンジン始動直後では、水温及
び油温が低く、このためエンジンアイドル時であって
も、比較的高いエンジン回転速度でエンジンが運転され
る(ファストアイドル)。このようなファストアイドル
状態下でニュートラル制御を実行した場合、目標速度比
と実速度比との差が大きくなり、この結果、僅かなエン
ジン回転変動が生じても、スリップ量偏差が大きく変動
することが懸念される。つまり、エンジン回転速度が高
い状態でのニュートラル制御時には、僅かなエンジン回
転変動であっても、図3の横軸の値の変動の仕方が大き
くなり、この結果、ファストアイドル時には、目標スリ
ップ量変化率が頻繁に変動してしまうことが考えられる
のである。
頻繁に変動すると、フォワードクラッチ7の係合力に対
するフィードバック制御(即ち、ソレノイド19に対す
るフィードバック制御)が不安定となることが考えられ
る。そこで、本発明においては、上述したように、目標
スリップ量変化率を設定するための閾値ΔN1 〜ΔN4
をエンジン回転速度Neに応じて変更するように構成し
ているのである。
4 をエンジン回転速度Neに応じて変更(補正)した
後、目標スリップ量変化率設定部32dにより目標スリ
ップ量変化率が設定されると、フィードバック制御手段
33では、上記実スリップ量変化率d(Ne−Nt)/
dtと目標スリップ量変化率との偏差Sが0となるよう
に、ソレノイド19のデューティ率Dを設定するように
なっており、これにより、実スリップ量変化率と目標ス
リップ量変化率とが一致するようにフォワードクラッチ
7の係合力がフィードバック制御されるようになってい
る。
速機のクリープ力制御装置は、上述のように構成されて
いるので、本発明を適用した場合の制御特性は、図4
(a)〜(c)のようになる。なお、図4(d)〜
(f)は本発明を適用しない場合の制御特性を示す図で
あり、以下、図4(a)〜(c)と図4(d)〜(f)
とを比較しながら説明する。
適用しない場合には、ファストアイドル時等のエンジン
回転速度が高い状態において、エンジン回転速度変動が
生じると、スリップ量偏差が−ΔN4 からΔN1 の範囲
内に収まらず、−ΔN4 以下となる場合やΔN1 以上と
なる場合がある。この場合には、図4(e)に示すよう
に、目標スリップ量変化率が変動してしまい、実際のス
リップ量変化率特性も不安定なものとなる。
本発明を適用した場合には、エンジン回転速度Neに応
じて、目標スリップ量変化率を設定するための閾値ΔN
1 〜ΔN4 が変更されるので、多少のエンジン回転速度
変動が生じても目標スリップ量変化率が一定値に保たれ
る。この結果、実スリップ量変化率も一定にすることが
でき、フィードバック制御が安定する。この場合、例え
ば図4(b)に示すように、実スリップ量変化率を目標
スリップ量変化率とが一致する。
(f)に示すように、本発明を適用しない場合に比べ
て、トルクコンバータ3内の実際のスリップ量を抑制す
ることができるのである。このように、本発明の車両用
自動変速機のクリープ力制御装置によれば、ニュートラ
ル制御実行中のエンジン回転速度の大きさに関係なく、
エンジン回転速度変動の大きさ(エンジン回転速度変動
幅)に応じた目標スリップ量変化率の設定が可能とな
り、安定したフィードバック制御を実行することができ
るという利点を有している。
プ力制御装置は、上述の実施形態に限定されるものでは
なく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可
能である。例えば、無段変速機の前後段を切り換えるた
めに遊星歯車機構と摩擦クラッチとをそなえたものにお
いては、このクラッチを同様に制御することで無段変速
機に入力されるトルクを低減でき、無段変速機がベルト
式であればベルトやプーリの耐久性を向上させることが
できる。
動変速機のクリープ力制御装置によれば、目標スリップ
量変化率を設定するための閾値をエンジン回転速度を表
すパラメータ値に応じて変更することにより、エンジン
回転速度変動が生じても安定した制御を行なうことがで
きるという利点がある。
のクリープ力制御装置の全体構成を示す模式図である。
のクリープ力制御装置の要部の機能を説明するための模
式的なブロック図である。
のクリープ力制御装置の特性を説明する図であって、目
標スリップ量変化率を設定するためのマップを示す図で
ある。
のクリープ力制御装置の特性を本発明を適用しない場合
と比較しながら説明するための図であって、(a)〜
(c)は本発明を適用した場合の特性を示す図、(d)
〜(f)は本発明を適用しない場合の特性を示す図であ
る。
率算出手段) 32 目標スリップ量変化率設定手段 32a 目標タービン回転速度算出部 32b 目標スリップ量算出部(目標スリップ量算出手
段) 32c スリップ量偏差算出部 32d 目標スリップ量変化率設定部 33 フィードバック制御手段 41 比較部(比較手段)
Claims (1)
- 【請求項1】 自動変速機のシフトレンジが走行レンジ
であるときに所定の条件が成立すると、走行時に係合さ
れる摩擦要素の係合力を低下させてクリープ力を低下さ
せるように構成された車両用自動変速機のクリープ力制
御装置において、 該自動変速機の入力側に設けられた流体継手におけるエ
ンジン側回転部材と変速機側回転部材との間の実スリッ
プ量を算出する実スリップ量算出手段と、 該実スリップ量算出手段で算出された実スリップ量に基
づいて該実スリップ量の変化率を算出する実スリップ量
変化率算出手段と、 該流体継手における該エンジン側回転部材と該変速機側
回転部材との間の目標スリップ量を算出する目標スリッ
プ量算出手段と、 該実スリップ量と該目標スリップ量との偏差を、エンジ
ン回転速度を表すパラメータ値に応じて変更される閾値
と比較する比較手段と、 該比較手段における比較結果に基づいて目標スリップ量
変化率を設定する目標スリップ量変化率設定手段と、 該実スリップ量変化率算出手段で検出される実スリップ
量変化率が、該目標スリップ量設定手段で設定される目
標スリップ量変化率となるように、該摩擦要素の係合力
をフィードバック制御するフィードバック制御手段とを
そなえたことを特徴とする、車両用自動変速機のクリー
プ力制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36804399A JP3565122B2 (ja) | 1999-12-24 | 1999-12-24 | 車両用自動変速機のクリープ力制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36804399A JP3565122B2 (ja) | 1999-12-24 | 1999-12-24 | 車両用自動変速機のクリープ力制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001182825A true JP2001182825A (ja) | 2001-07-06 |
JP3565122B2 JP3565122B2 (ja) | 2004-09-15 |
Family
ID=18490838
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36804399A Expired - Fee Related JP3565122B2 (ja) | 1999-12-24 | 1999-12-24 | 車両用自動変速機のクリープ力制御装置 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP3565122B2 (ja) |
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