JP3453941B2 - 車両用直結クラッチのスリップ制御装置 - Google Patents

車両用直結クラッチのスリップ制御装置

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JP3453941B2
JP3453941B2 JP21312795A JP21312795A JP3453941B2 JP 3453941 B2 JP3453941 B2 JP 3453941B2 JP 21312795 A JP21312795 A JP 21312795A JP 21312795 A JP21312795 A JP 21312795A JP 3453941 B2 JP3453941 B2 JP 3453941B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用直結クラッ
チのスリップ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポンプインペラとタービンランナとを直
結する直結クラッチを有する直結クラッチ付流体式伝動
装置、例えば直結クラッチ付トルクコンバータや直結ク
ラッチ付フルードカップリング等を備えた車両において
は、加速走行時における直結クラッチの回転損失を一層
少なくして車両の燃費を改善することを目的として、直
結クラッチの解放領域と係合領域との間にスリップ領域
を設け、そのスリップ領域において直結クラッチを半係
合状態とするように実際のスリップ量すなわちポンプイ
ンペラの回転速度(すなわちエンジン回転速度)とター
ビンランナの回転速度(すなわち自動変速機の入力軸回
転速度)との差を、予め定められた目標スリップ量に追
従するように加速スリップ制御が実行される。また、減
速走行中においてエンジン回転速度が予め設定されたフ
ューエルカット回転速度よりも高い領域ではエンジンに
対する燃料を遮断するフューエルカット装置を備えた車
両においては、その減速走行時にも、エンジン回転速度
を引き上げてフューエルカット範囲を拡大するために、
上記と同様に減速スリップ制御が実行される。
【0003】上記の減速時のスリップ制御は、アイドル
スイッチによってスロットル弁開度が全閉状態であるこ
とが検出されたことに基づいて車両の減速走行状態が判
定され、且つ例えば車速センサによって検出される出力
軸回転速度が所定の範囲にある間実行され、一方、加速
時のスリップ制御は、図4に示されるように出力軸回転
速度とスロットル弁開度との関係から定められる所定の
スリップ制御領域にある間実行される。したがって、減
速スリップ制御状態から加速走行状態に移行する場合に
スロットル弁開度TAおよび車速が上記図4のスリップ
制御領域内となるときには、継続してスリップ制御が行
われることとなる。このとき、エンジン回転速度は、入
力軸回転速度によって引き上げられた状態からその入力
軸回転速度よりも高い状態に移行して、流体式伝動装置
のトルク伝達方向が反転することに起因するショックが
発生し得るため、例えば、加速走行状態への移行が開始
した直後から直結クラッチを解放することが提案されて
いる。
【0004】しかしながら、上記のように減速スリップ
制御状態から加速走行状態への移行開始時に直結クラッ
チを解放すると、例えば図10のタイムチャートに示さ
れるように、スロットル弁開度TAが比較的大きい場合
に、エンジン回転速度Ne が一時的に高くなり過ぎて違
和感が発生するという問題がある。すなわち、図におい
て、時刻t0 では、エンジン回転速度Ne が入力軸回転
速度NT よりも所定のスリップ量NSLP(=Ne −N
T ;例えば-50r.p.m. 程度)だけ低い回転速度に維持さ
れつつ徐々に低下させられている減速スリップ制御状態
から、スロットル弁開度TAが増大させられることによ
り加速走行状態に移行する。このため、この時刻t0
おいては、エンジン回転速度Ne が増大させられると共
に、駆動デューティ比DSLUが0%にされて直結クラ
ッチの解放状態とされる。
【0005】そして、時刻t1 において、スリップ量N
SLPが所定値(例えば70r.p.m.)程度)を越え、且つ
その他の加速スリップ開始条件も成立すると、駆動デュ
ーティ比DSLUが増大させられて加速スリップ制御が
開始される。ところが、上述のように時刻t0 において
直結クラッチが解放状態とされているため、再びスリッ
プ状態となるまでに油圧制御回路や機械系の応答遅れが
発生する。このため、一時的にエンジン回転速度Ne
高くなり過ぎて違和感が生じるのである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のような問題はス
ロットル開度TAが比較的大きいときに生じることか
ら、そのスロットル開度TAに応じて、比較的大きいと
きには加速走行状態への移行開始時においてもスリップ
制御を継続させ、反対に比較的小さいときにはスリップ
制御を中止させるスリップ制御装置が提案されている。
例えば、特開平1−224561号公報に記載されてい
るパワープラント制御装置がそれである。すなわち、ス
ロットル弁開度が比較的大きい場合には、流体式伝達装
置のトルク伝達方向が反転することに起因するショック
がエンジン出力トルクの変化に比べて小さいことから、
そのショックを緩和する目的で直結クラッチを解放する
必要がなく、却ってエンジン回転速度Ne の増大を抑制
するためにスリップ状態を継続する方が望ましいのであ
る。なお、スロットル弁開度TAが比較的小さい場合に
は、直結クラッチを解放状態としてもエンジン回転速度
e がそれほど増大しないことから、上記のショックを
緩和するために直結クラッチを解放する方が好ましいこ
ととなる。
【0007】しかしながら、上述のように、減速スリッ
プ制御状態から加速走行状態の移行時においてスロット
ル弁開度TAが小さいことに基づいて直結クラッチを解
放する場合には、例えば、図11に示されるように、加
速スリップ開始条件が成立する前の過渡期に減速スリッ
プ制御が再開されると、実際に直結クラッチがスリップ
状態となるまでにエンジン回転速度Ne が低下し、その
後増大させられるためショックが発生し得るという問題
がある。すなわち、時刻t0 においてスロットル弁開度
TAが増大させられて加速走行状態に移行する際に、図
に示されるようにスロットル弁開度TAが比較的小さい
と、駆動デューティ比DSLUが0%にされて直結クラ
ッチが解放され、エンジン回転速度Ne が増大させられ
る。そして時刻t1 において、そのエンジン回転速度N
e が十分に増大して加速スリップ開始条件が成立する前
にスロットル弁が閉じられると、減速スリップ制御が再
開させられるが、図10の場合と同様に実際にスリップ
状態となるまでに応答遅れが生じて一時的にエンジン回
転速度Ne が低くなるため、直結クラッチが係合(スリ
ップ状態)となった際に係合ショックが発生するのであ
る。この問題は、車両が高車速であるほどエンジン回転
速度Ne の低下が大きいため顕著となる。
【0008】ところで、減速スリップ制御状態から加速
走行状態に移行する際にスロットル弁開度TAが小さい
ときにスリップ制御を継続すると、車両が低車速である
場合には、図12に示されるように、エンジン回転速度
e が入力軸回転速度NT を容易に越えてエンジンが非
駆動状態から駆動状態に移行するため、駆動系のガタや
エンジントルク変化によってショックが発生する。した
がって、この点からも前述のように低スロットル弁開度
TAでは減速スリップ制御状態から加速走行状態への移
行時に直結クラッチを解放する方が好ましいこととな
る。ところが、反対に車両が高車速である場合には、図
13に示されるように、小さなスロットル弁開度TAで
はエンジン回転速度Ne が入力軸回転速度NT を越え難
くエンジンが非駆動状態に維持されるため、駆動系のガ
タ等によるショックは発生し難いのである。
【0009】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、減速スリップ制御状態か
ら加速走行状態へ移行する過渡期において減速スリップ
制御が再開される場合に、エンジン回転速度の低下に起
因して発生するショックを好適に緩和することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
めの本発明の要旨とするところは、ポンプインペラとタ
ービンランナとを直結する直結クラッチを備えた車両に
おいて、その車両の減速走行状態および加速走行状態で
前記直結クラッチのスリップ量を制御するスリップ制御
手段を備える形式の車両用直結クラッチのスリップ制御
装置であって、(a)前記タービンランナの回転速度を検
出するタービン回転速度検出手段と、(b)前記タービン
ランナと前記ポンプインペラとの実際のスリップ量が所
定のスリップ開始判断基準値よりも大きいことを判断す
るスリップ量判断手段と、(c)減速走行状態において前
記スリップ制御手段により直結クラッチのスリップ制御
が行われる減速スリップ制御状態から加速走行状態への
移行時において、そのタービン回転速度検出手段により
検出されたタービンランナの回転速度が所定の移行状態
判定基準値よりも高いことを判断するタービン回転速度
判断手段と、(d)そのタービン回転速度判断手段による
判断が肯定された場合と、否定された場合とでは、前記
スリップ制御手段のスリップ制御を異なるものとし、そ
のタービン回転速度判断手段による判断が否定され、且
つ前記スリップ量判断手段による判断が否定された場合
に、そのスリップ制御手段にスリップ制御を中止させる
移行時スリップ制御変更手段とを、含むことにある。
【0011】
【発明の効果】このようにすれば、タービン回転速度検
出手段によって、タービンランナ回転速度が検出され、
スリップ量判断手段によって、実際のスリップ量(すな
わち回転速度差)が所定のスリップ開始判断基準値より
も大きいことが判断され、タービン回転速度判断手段に
よって、減速スリップ制御状態から加速走行状態への移
行時においてそのタービンランナ回転速度が所定の移行
状態判定基準値よりも高いことが判断され、移行時スリ
ップ制御変更手段によって前記タービン回転速度判断手
段による判断が否定され且つそのスリップ量判断手段に
よる判断が否定された場合に、スリップ制御が中止され
る。
【0012】上記により、タービンランナ回転速度すな
わち車両の車速に応じて、減速スリップ制御状態から加
速走行状態への移行時のスリップ制御が異なるものとさ
、具体的には、減速スリップ制御状態から加速走行状
態に移行する際に、その減速スリップ制御状態において
負に制御されていた実際のスリップ量が、加速スリップ
制御が必要となる程十分に大きい正の値になったときに
スリップ制御が開始されることとなる。すなわち、その
車速を考慮して適切なスリップ制御を実行することが可
能となる。
【0013】また、タービンランナ回転速度が高い場
合、すなわち高車速の場合には、減速スリップ制御状態
から加速走行状態への移行時にスリップ制御が継続され
るため、加速走行状態への移行中の過渡期において減速
スリップ制御が再開される場合にも、直結クラッチを解
放状態にする場合のようなエンジン回転速度の低下が生
じず、ショックや違和感の発生が抑制される。
【0014】
【発明の他の態様】ここで、 好適には、前記スリップ制
御装置は、自動変速機の複数の変速段のうち実際に選択
されている変速段を判断する変速段判断手段を更に含
み、前記タービン回転速度判断手段は、その実際に選択
されている変速段のギヤ比が大きい程高い前記移行状態
判定基準値に基づいて前記タービンランナ回転速度を判
断するものである。このようにすれば、ギヤ比の大きい
変速段程、減速スリップ制御状態から加速走行状態に移
行する際のトルク変化が大きくなることから、その際の
スリップ制御を異なるものとするタービンランナ回転速
度をそのギヤ比の大きい変速段程高くすることにより、
一層車速を適切に考慮したスリップ制御を実行すること
が可能となる。
【0015】
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に
基づいて詳細に説明する。
【0017】図1は、本発明の一実施例の油圧制御装置
により変速制御される車両用自動変速機を示す骨子図で
ある。図において、エンジン10の出力は、トルクコン
バータ12を介して自動変速機14に入力され、図示し
ない差動歯車装置および車軸を介して駆動輪へ伝達され
るようになっている。
【0018】上記トルクコンバータ12は、エンジン1
0のクランク軸16に連結され、外周部において断面U
字状に曲成されると共にエンジン10側へ向かう方向成
分を有する作動油の流れを発生させる羽根を有するポン
プインペラ18と、自動変速機14の入力軸20に固定
され、ポンプインペラ18の羽根に対抗する羽根を有
し、そのポンプインペラ18からの作動油を受けて回転
させられるタービンランナー22と、軸方向に移動可能
且つ相対回転不能にタービンランナー22のハブ軸に嵌
合されたピストン23を介して上記入力軸20に連結さ
れ、それらポンプインペラ18およびタービンランナー
22の間を直結するロックアップクラッチ24と、一方
向クラッチ26によって一方向の回転が阻止されている
ステータ28とを備えている。
【0019】上記自動変速機14は、ハイおよびローの
2段の切り換えを行う第1変速機30と、後進ギヤ段お
よび前進4段の切り換えが可能な第2変速機32を備え
ている。第1変速機30は、サンギヤS0、リングギヤ
R0、およびキャリヤK0に回転可能に支持されてそれ
らサンギヤS0およびリングギヤR0に噛み合わされて
いる遊星ギヤP0から成るHL遊星歯車装置34と、サ
ンギヤS0とキャリヤK0との間に設けられたクラッチ
C0および一方向クラッチF0と、サンギヤS0および
ハウジング41間に設けられたブレーキB0とを備えて
いる。
【0020】第2変速機32は、サンギヤS1、リング
ギヤR1、およびキャリヤK1に回転可能に支持されて
それらサンギヤS1およびリングギヤR1に噛み合わさ
れている遊星ギヤP1から成る第1遊星歯車装置36
と、サンギヤS2、リングギヤR2、およびキャリヤK
2に回転可能に支持されてそれらサンギヤS2およびリ
ングギヤR2に噛み合わされている遊星ギヤP2から成
る第2遊星歯車装置38と、サンギヤS3、リングギヤ
R3、およびキャリヤK3に回転可能に支持されてそれ
らサンギヤS3およびリングギヤR3に噛み合わされて
いる遊星ギヤP3から成る第3遊星歯車装置40とを備
えている。
【0021】上記サンギヤS1とサンギヤS2は互いに
一体的に連結され、リングギヤR1とキャリヤK2とキ
ャリヤK3とが一体的に連結され、そのキャリヤK3は
出力軸42に連結されている。また、リングギヤR2が
サンギヤS3に一体的に連結されている。そして、リン
グギヤR2およびサンギヤS3と中間軸44との間にク
ラッチC1が設けられ、サンギヤS1およびサンギヤS
2と中間軸44との間にクラッチC2が設けられてい
る。また、サンギヤS1およびサンギヤS2の回転を止
めるためのバンド形式のブレーキB1がハウジング41
に設けられている。また、サンギヤS1およびサンギヤ
S2とハウジング41との間には、一方向クラッチF1
およびブレーキB2が直列に設けられている。この一方
向クラッチF1は、サンギヤS1およびサンギヤS2が
入力軸20と反対の方向へ逆回転しようとする際に係合
させられるように構成されている。
【0022】また、キャリヤK1とハウジング41との
間にはブレーキB3が設けられており、リングギヤR3
とハウジング41との間には、ブレーキB4と一方向ク
ラッチF2とが並列に設けられている。この一方向クラ
ッチF2は、リングギヤR3が逆回転しようとする際に
係合させられるように構成されている。
【0023】以上のように構成された自動変速機14で
は、例えば図2に示す作動表に従って変速比I(=入力
軸20の回転速度/出力軸42の回転速度)がそれぞれ
異なる後進1段および前進5段のギヤ段が切り換えられ
る。図2において○印は係合状態を示し、×印は非係合
状態を示している。この図2からも明らかなように、ブ
レーキB3は、第1速ギヤ段から第2速ギヤ段へ切り換
える変速に際して係合させられるとともに、第2速ギヤ
段から第3速ギヤ段へ切り換える変速に際して解放され
るものであり、ブレーキB2は、第2速ギヤ段から第3
速ギヤ段へ切り換える変速に際して係合させられるもの
である。上記図2において、「1st」,「2nd」,「3
rd」,「4th」,「5th」はそれぞれ前進側の第1速ギ
ヤ段、第2速ギヤ段、第3速ギヤ段、第4速ギヤ段、第
5速ギヤ段を表しており、上記変速比Iは第1速ギヤ段
から第5速ギヤ段に向かうに従って順次小さくなる。な
お、上記トルクコンバータ12および自動変速機14
は、軸線に対して対称的に構成されているため、図1に
おいては、入力軸20および出力軸42等の回転軸線の
下側を省略して示している。
【0024】図3に示すように、車両のエンジン10の
吸気配管には、アクセルペダル50によって操作される
第1スロットル弁52とスロットルアクチュエータ54
によって操作される第2スロットル弁56とが設けられ
ている。また、エンジン10の回転速度すなわちポンプ
インペラ18の回転速度を検出するエンジン回転速度セ
ンサ58、エンジン10の吸入空気量を検出する吸入空
気量センサ60、吸入空気の温度を検出する吸入空気温
度センサ62、上記第1スロットル弁52の開度TAを
検出するスロットルセンサ64、出力軸42の回転速度
out 等から車速Vを検出する車速センサ66、エンジ
ン10の冷却水温度を検出する冷却水温センサ68、ブ
レーキの作動を検出するブレーキスイッチ70、シフト
レバー72の操作位置を検出する操作位置センサ74等
が設けられており、それらのセンサから、エンジン回転
速度Ne 、吸入空気量Q、吸入空気温度THa 、第1ス
ロットル弁の開度TA、車速V、エンジン冷却水温TH
w 、ブレーキの作動状態BK、シフトレバー72の操作
位置Pshを表す信号がエンジン用電子制御装置76およ
び変速用電子制御装置78にそれぞれ直接または間接的
に供給されるようになっている。また、タービンランナ
22の回転速度を検出するタービン回転速度センサ75
(すなわちタービン回転速度検出手段)からタービン回
転速度NT を表す信号が変速用電子制御装置78に供給
される。また、エンジン用電子制御装置76と変速用電
子制御装置78とは通信インターフェイスを介して相互
連結されており、入力信号等が必要に応じて相互に供給
される。
【0025】エンジン用電子制御装置76は、CPU、
RAM、ROM、入出力インターフェースを備えた所謂
マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時
記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラ
ムに従って入力信号を処理し、種々のエンジン制御を実
行する。例えば、燃料噴射量制御では燃焼状態を最適と
するために燃料噴射弁80を制御し、点火時期制御では
遅角量を適切とするためにイグナイタ82を制御し、ア
イドルスピード制御のために図示しないバイパス弁を制
御し、トラクション制御では駆動輪のスリップを防止し
て有効な駆動力および車両の安定性を確保するためにス
ロットルアクチュエータ54により常時全開状態の第2
スロットル弁56を制御し、フューエルカット制御で
は、スロットルセンサ64のアイドルスイッチによって
第1スロットル弁52が閉じられたことが検出されてい
る惰行走行において、エンジン回転速度Ne が予め設定
されたフューエルカット回転速度NCUT を上まわる期間
だけ燃料噴射弁80を閉じることによりエンジン10に
供給される燃料を遮断して燃費が高められる。
【0026】変速用電子制御装置78も、上記と同様の
マイクロコンピュータであって、CPUはRAMの一時
記憶機能を利用しつつ予めROM79に記憶されたプロ
グラムに従って入力信号を処理し、油圧制御回路84の
各電磁弁或いはリニヤソレノイド弁を駆動する。例え
ば、変速用電子制御装置78は、第1スロットル弁52
の開度TAに対応した大きさの出力圧PSLT を発生させ
るためにリニヤソレノイド弁SLT を、アキュム背圧を制
御するためにリニヤソレノイド弁SLN を、ロックアップ
クラッチ24を係合させ或いはそのスリップ量NSLP
を制御するためにリニヤソレノイド弁SLU をそれぞれ駆
動する。また、変速用電子制御装置78は、予め記憶さ
れた変速線図から実際のスロットル弁開度TAおよび車
速Vに基づいて、自動変速機14のギヤ段を決定すると
共に図4に示される関係からロックアップクラッチ24
の係合状態を決定し、この決定されたギヤ段および係合
状態が得られるように電磁弁S1、S2、S3を駆動
し、エンジンブレーキを発生させる際には電磁弁S4を
非駆動とする。
【0027】変速用電子制御装置78は、さらにロック
アップクラッチ24の係合制御およびスリップ制御を実
行し、自動変速機14の第1速ギヤ段および第2速ギヤ
段ではロックアップクラッチ24を解放するが、第3速
ギヤ段および第4速ギヤ段ではスロットル弁開度TA、
車速(変速機出力軸回転速度)Vに基づいて解放、スリ
ップ、係合のいずれかの領域を判定し、解放或いは係合
領域であれば、ロックアップクラッチ24を解放或いは
係合させる。また、スリップ領域であれば、変速用電子
制御装置78はロックアップクラッチ24のスリップ制
御を実行する。このスリップ制御では、運転性を損なう
ことなく燃費を可及的に良くすることを目的としてエン
ジン10の回転変動を吸収しつつ連結させてトルクコン
バータ12の回転損失を可及的に抑制するために、ロッ
クアップクラッチ24がスリップ状態に維持される。ま
た、車両の減速惰行走行中でもフューエルカット制御の
制御域を拡大することを目的として、ロックアップクラ
ッチのスリップ制御が実行される。この場合には、スロ
ットル弁開度TAが零であるので専ら車速Vにより何れ
の領域にあるか判定される。
【0028】上記のスリップ制御においては、図示しな
いスリップ制御ルーチンに従って、実スリップ量NSL
P(=Ne −NT )が算出され、予め設定された目標ス
リップ量TNSLPと実スリップ量NSLPとが一致す
るように、例えば下記 (1)式に従ってリニヤソレノイド
弁SLU の駆動電流ISLU すなわち駆動デューティ比DS
LU(%)が算出され、リニヤソレノイド弁SLU から出
力される制御圧PSLUが調節される。 DSLU=DFWD+DFB ・・・ (1)
【0029】上記 (1)式において、DFWDは例えばエ
ンジン10の出力トルクの関数であるフィードフォワー
ド制御出力値であり、DFBは例えば上記目標スリップ
量TNSLPと実スリップ量NSLPとの間の偏差ΔE
(=NSLP−TNSLP)を解消するためのフィード
バック制御出力値である。これらDFWD、DFBは、
デューティ比に換算された量であってその単位は%であ
る。上記フィードバック制御出力値DFBは、良く知ら
れたPID制御式(下記 (2)式)から算出されるもので
ある。なお、 (2)式において、KP は比例ゲイン、T1
は積分時間、T D は微分時間である。
【0030】
【数1】
【0031】図5は、油圧制御回路84の要部を示して
いる。図において、制御圧発生弁として機能するリニヤ
ソレノイド弁SLU は、モジュレータ圧PM を元圧とする
減圧弁であって、図6に示すように変速用電子制御装置
78から出力される駆動デューティ比DSLUの駆動電
流ISLU に伴って大きくなる制御圧PSLU を出力し、ロ
ックアップリレー弁98およびロックアップコントロー
ル弁100へ供給する。
【0032】ロックアップリレー弁98は、互いに当接
可能であり且つ両者間にスプリング102が介在させら
れた第1スプール弁子104および第2スプール弁子1
06と、その第1スプール弁子104の軸端側に設けら
れ、第1スプール弁子104および第2スプール弁子1
06を係合(ON)側の位置へ付勢するために制御圧P
SLU を受け入れる油室108と、第1スプール弁子10
4および第2スプール弁子106を解放側位置へ付勢す
るために第2ライン圧PL2を受け入れる油室110とを
備えている。
【0033】第1スプール弁子104がその解放(OF
F)側位置に位置すると、入力ポート112に供給され
た第2ライン圧PL2が解放側ポート114からトルクコ
ンバータ12の解放側油室116へ供給されると同時
に、トルクコンバータ12の係合側油室118内の作動
油が係合側ポート120から排出ポート122を経てク
ーラバイパス弁124或いはオイルクーラ126へ排出
させられて、ロックアップクラッチ24の係合圧すなわ
ち差圧(=係合側油室118内の油圧−解放側油室11
6内の油圧)が低められる。反対に、第1スプール弁子
104がその係合側位置に位置すると、入力ポート11
2に供給された第2ライン圧PL2が係合側ポート120
からトルクコンバータ12の係合側油室118へ供給さ
れると同時に、トルクコンバータ12の解放側油室11
6内の作動油が解放側ポート114から排出ポート12
8、ロックアップコントロール弁100の制御ポート1
30、排出ポート132を経て排出されて、ロックアッ
プクラッチ24の係合圧が高められるようになってい
る。
【0034】したがって、上記制御圧PSLU が所定値β
以下の場合には、第1スプール弁子104はスプリング
102および第2ライン圧PL2に基づく推力に従って図
5の中心線より右側に示す解放側(OFF)位置に位置
させられてロックアップクラッチ24が解放されるが、
制御圧PSLU が上記所定値βよりも高い所定値αを超え
ると、第1スプール弁子104は制御圧PSLU に基づく
推力に従って図5の中心線より左側に示す係合側(O
N)位置に位置させられてロックアップクラッチ24が
係合或いはスリップ状態とされる。第1スプール弁子1
04および第2スプール弁子106の受圧面積、スプリ
ング102の付勢力はこのように設定されているのであ
る。このようにロックアップリレー弁98が係合側に切
り換えられたときのロックアップクラッチ24の係合或
いはスリップ状態は、制御圧PSLUの大きさに従って作
動するロックアップコントロール弁100により制御さ
れる。
【0035】ロックアップコントロール弁100は、ロ
ックアップリレー弁98が係合側位置にあるときに制御
圧PSLU に従ってロックアップクラッチ24の実スリッ
プ量NSLPを制御し、或いはロックアップクラッチ2
4を係合させるためのものであって、スプール弁子13
4と、このスプール弁子134に当接して図5の中心線
より右側に示す排出側位置へ向かう推力を付与するプラ
ンジャ136と、スプール弁子134に図5の中心線よ
り左側に示す供給側位置へ向かう推力を付与するスプリ
ング138と、スプリング138を収容し且つスプール
弁子134を供給側位置へ向かって付勢するためにトル
クコンバータ12の係合側油室118内の油圧PONを受
け入れる油室140と、プランジャ136の軸端側に設
けられ、スプール弁子134を排出側位置へ向かって付
勢するためにトルクコンバータ12の解放側油室116
内の油圧POFF を受け入れる油室142と、プランジャ
136の中間部に設けられ、制御圧PSLU を受け入れる
油室144とを備えている。
【0036】このため、上記スプール弁子134がその
排出側位置に位置させられると、制御ポート130と排
出ポート132との間が連通させられるので係合圧が高
められてロックアップクラッチ24の係合トルクが増加
させられるが、反対に供給側位置に位置させられると、
第1ライン圧PL1が供給されている供給ポート146と
制御ポート130とが連通させられるので、第1ライン
圧PL1がトルクコンバータ12の解放側油室116内へ
供給されて係合圧が低められてロックアップクラッチ2
4の係合トルクが減少させられる。
【0037】ロックアップクラッチ24を解放させる場
合には、制御圧PSLU が前記所定値βよりも小さい値と
なるようにリニヤソレノイド弁SLU が変速用電子制御装
置78により駆動される。反対に、ロックアップクラッ
チ24を係合させる場合には、制御圧PSLU が最大値と
なるようにリニヤソレノイド弁SLU が変速用電子制御装
置78により駆動され、ロックアップクラッチ24がス
リップさせられる場合には、制御圧PSLU が前記所定値
βと最大値との間となるようにリニヤソレノイド弁SLU
が変速用電子制御装置78により駆動される。すなわ
ち、ロックアップコントロール弁100では、図7に示
すように、トルクコンバータ12の係合側油室118内
の油圧Ponと解放側油室116内の油圧Poff とが制御
圧PSLU に従って変化させられるので、係合圧すなわち
それら油圧PonおよびPoff の差圧(Pon−Poff )に
対応するロックアップクラッチ24の係合トルクも制御
圧P SLU に従って変化させられてスリップ量NSLPが
制御されるのである。
【0038】なお、上記図7において、上側に位置する
破線はロックアップクラッチ24が係合またはスリップ
させられるオン側位置から解放させられるオフ側位置に
なるために必要なロックアップリレー弁98の油圧特性
を示したものであり、下側に位置する破線はオフ側位置
からオン側位置になるために必要なロックアップリレー
弁98の油圧特性を示したものである。これらの破線の
傾きは、ロックアップリレー弁98を作動させるための
第1スプール弁子104および第2スプール弁子106
の受圧部の面積の大きさ、供給される油圧やスプリング
102の特性に応じて決定される。
【0039】ソレノイドリレー弁170は、ロックアッ
プリレー弁98の油室108に接続された出力ポート1
72と、ドレンポート174と、リニヤソレノイド弁SL
U からの制御圧PSLU が供給される入力ポート176
と、出力ポート172をドレンポート174に連通させ
るロックアップ解放位置と出力ポート172を入力ポー
ト176に連通させるロックアップ許可位置とに切り換
えられるスプール弁子178と、このスプール弁子17
8をロックアップ許可位置に向かって付勢するスプリン
グ180と、上記スプリング180を収容し、且つスプ
ール弁子178をロックアップ許可位置に向かって付勢
するために第3速ギヤ段以上のギヤ段において発生させ
られるブレーキB2の係合圧PB2をオリフィス181を
介して受け入れる油室182と、スプール弁子178を
ロックアップ解放位置に向かって付勢するために第1ラ
イン油圧PL1を受け入れる油室184とを備えている。
これにより、ロックアップリレー弁98は、第3速ギヤ
段以上のギヤ段においてのみ、上記制御圧PSLU がその
油室108に供給され得、その制御圧PSLU に従って係
合(ON)側の位置へ切り換えられ得るようになってい
る。前記第2ライン圧PL2は上記第1ライン圧PL1を減
圧することにより調圧されたものであるから、第1ライ
ン圧PL1は常時第2ライン圧PL2よりも高圧である。
【0040】そして、リニヤソレノイド弁SLU とロック
アップコントロール弁100の油室144との間には油
路186が設けられており、リニヤソレノイド弁SLU か
ら出力される制御圧PSLU が上記ソレノイドリレー弁1
70を経ないでロックアップコントロール弁100の油
室144へ直接供給されるようになっている。この油路
186は、第2速ギヤ段以下でも制御圧PSLU によりロ
ックアップコントロール弁100を作動させてロックア
ップリレー弁98が係合側に位置する異常を検出可能と
するために設けられている。
【0041】図8は、変速用電子制御装置78のスリッ
プ制御における制御機能の要部を説明する機能ブロック
線図である。図において、ロックアップクラッチ24を
解放させるオフ側位置と係合させるオン側位置とに切り
換えられるロックアップリレー弁98と、そのロックア
ップリレー弁98を通して排出される作動油の排出量を
調節することによりロックアップクラッチ24のスリッ
プ量を制御するロックアップコントロール弁100と、
増加するに伴って、ロックアップリレー弁98をオン側
位置へ切り換え、前記スリップ量が減少するようにその
ロックアップコントロール弁100の作動を制御する制
御圧PSLU を発生する制御圧発生弁として機能するリニ
ヤソレノイド弁SLU と、図示しない制御ルーチンに従っ
て、前記制御式 (1)により算出された駆動デューティ比
DSLUに基づいてリニヤソレノイド弁SLU を制御する
ことにより、実スリップ量NSLPが目標スリップ量T
NSLPに一致するようにスリップ制御を実行するスリ
ップ制御手段188とが備えられている。
【0042】また、タービン回転速度判断手段196
は、減速スリップ制御が実行されている状態から加速走
行状態への移行が行われているときに、前記タービン回
転速度センサ75によって検出されたタービン回転速度
T が、所定の移行状態判定基準値KNTSLよりも大
きいことを判断する。移行時スリップ制御変更手段19
0は、そのタービン回転速度判断手段196による判断
が肯定された場合と否定された場合とでは、すなわちタ
ービン回転速度NT が高い場合と低い場合とでは、スリ
ップ制御手段188によるスリップ制御を変更させる。
すなわち、上記の移行時において、例えば、タービン回
転速度NT が高く車両が高車速で走行している場合には
スリップ制御を継続して実行させ、反対にタービン回転
速度NT が低く車両が低車速で走行している場合にはス
リップ制御を中止させる。
【0043】また、変速段判断手段192は、例えば前
記電磁弁S1,S2,S3の作動の組み合わせから実際
に選択されている変速段を判断し、その選択されている
変速段のギヤ比が大きい程移行状態判定基準値KNTS
Lを高い値とすることにより、移行時スリップ制御変更
手段190によりスリップ制御を変更させるタービン回
転速度NT を変更させる。更に、スリップ量判断手段1
94は、実スリップ量NSLPが所定のスリップ開始判
断基準値KNSLPSよりも大きいことを判断し、大き
い場合と小さい場合とでは移行時スリップ制御変更手段
190にスリップ制御を変更させる。すなわち、移行時
スリップ制御変更手段190は、例えば、前記タービン
回転速度判断手段196による判断が否定され、且つ上
記スリップ量判断手段194による判断が否定された場
合にスリップ制御を中止する。
【0044】図9は、減速スリップ制御状態から加速走
行状態に移行する場合の変速用電子制御装置78のスリ
ップ制御作動の要部を示すフローチャートである。
【0045】図において、ステップS1では、減速スリ
ップ制御が実行中であるか否かが判断される。減速スリ
ップ制御中においてはこの判断が肯定されるため、ステ
ップS2に進んでフラグF1の内容が「1」にセットさ
れて本ルーチンが終了させられる。このフラグF1は、
その内容が「1」であるときに、前回の制御サイクルに
おいて減速スリップが実行されていたことを示すもので
ある。一方、減速スリップが実行されていない場合に
は、ステップS3に進んで、フラグF1の内容が「1」
であるか否かが判断される。直前まで減速スリップ制御
が実行されていた状態から、アクセルペダル50が踏み
込まれること等によってスロットル弁開度TAが増大さ
せられて、その減速スリップ制御が終了させられた場合
には、前記ステップS2においてフラグF1の内容が
「1」にセットされているため、本ステップの判断が肯
定されてステップS4に進む。
【0046】タービン回転速度判断手段196に対応す
るステップS4においては、タービン回転速度(入力軸
回転速度)NT が所定の移行状態判定基準値KNTSL
よりも大きいか否か、すなわち車速Vが比較的高いか否
かが判断される。この移行状態判定基準値KNTSL
は、図11に示されるように、減速スリップ制御状態か
ら加速走行が開始された場合において、加速スリップ制
御が開始される前に減速スリップ制御が再開させられた
場合のエンジン回転速度Ne の低下を、その際に発生す
るショックが許容できる程度に小さい値に留めるための
タービン回転速度の上限(しきい値)であり、例えば、
1350r.p.m.程度の値である。NT ≧KNTSL、すなわ
ち高車速で走行中である場合には、この判断が肯定され
るので、ステップS5に進んで加速スリップの開始条件
が成立したか否かが判断される。この加速スリップの開
始条件は、例えば、アイドルスイッチがオフであるこ
と、前記図4に示されるスリップ制御領域にあること等
に基づき判断される。この判断が肯定される場合には、
移行時スリップ制御変更手段190に対応するステップ
S6に進んで加速スリップ制御が実行され、ステップS
7においてフラグF1の内容が「0」にリセットされて
本ルーチンが終了させられる。
【0047】一方、減速スリップ制御が実行されている
状態から加速走行状態に移行した場合において、タービ
ン回転速度NT が移行状態判定基準値KNTSLよりも
小さい場合、すなわち低車速で走行中の場合には、ステ
ップS4の判断が否定されるので、スリップ量判断手段
194に対応するステップS8に進んで、実スリップ量
NSLPがスリップ開始判断基準値KNSLPSよりも
大きいか否かが判断される。このスリップ開始判断基準
値KNSLPSは、減速スリップ制御状態から加速走行
状態に移行した際に、実スリップ量NSLP(=Ne
T )が加速スリップ制御を必要とする程大きいか否か
を判断するための値であり、例えば70r.p.m.程度の値で
ある。減速スリップ制御から加速走行状態に移行する当
初においては、実スリップ量NSLPが負或いは小さい
正の値であるので、この判断が否定されてステップS9
に進み、スリップ制御が終了させられ、更にステップS
7においてフラグF1の内容が「0」にリセットされて
本ルーチンが終了させられる。なお、本実施例において
は、このステップS9も移行時スリップ制御変更手段1
90に対応する。
【0048】一旦ステップS3乃至S7が実行された後
は、減速スリップ制御が再開されない限り、常にステッ
プS3の判断が否定されるので、ステップS4を経るこ
となく直ちにステップS8に進んで各ステップが実行さ
れる。そして、上記の各ステップが繰り返し実行される
うち、実スリップ量NSLPが十分に大きくなってステ
ップS8の判断が肯定されると、ステップS10に進ん
で、前記ステップS5と同様な他の加速スリップ制御開
始条件が成立したか否かが判断される。この判断が否定
される場合には、ステップS9に進んでスリップ制御が
中止されるが、肯定される場合には、ステップS6に進
んで加速スリップ制御が実行させられ、本ルーチンが終
了させられる。
【0049】なお、ステップS1の判断が当初から否定
された場合には、減速スリップ制御から加速走行状態へ
の移行ではないので、ステップS3における判断が当初
から否定されてステップS8に進み、ステップS4の判
断が否定された後の制御サイクルと同様に各ステップが
実行されることとなる。減速スリップから加速走行状態
への移行でない場合には、前記図11に示されるような
加速走行状態への移行が中断された場合のようなエンジ
ン回転速度の低下が生じ得ないので、車速を考慮する必
要がないのである。この場合には、通常の加速スリップ
開始条件、すなわち、実スリップ量NSLPや図4のス
リップ制御領域にあるか否か等に基づいて加速スリップ
制御を行うか否かが判断される。
【0050】上述のように、本実施例によれば、タービ
ン回転速度検出手段に相当するタービン回転速度センサ
75によってタービン回転速度NT が検出され、タービ
ン回転速度判断手段196に対応するステップS4によ
って、減速スリップ制御状態から加速走行状態への移行
時においてタービン回転速度NT が所定の移行状態判定
基準値KNTSLよりも高いことが判断され、移行時ス
リップ制御変更手段190に対応するステップS6また
はステップS9によって、上記タービン回転速度判断手
段196の判断が肯定された場合と否定された場合とで
スリップ制御が異なるものとされる。
【0051】上記により、タービン回転速度NT すなわ
ち車両の車速Vに応じて、減速スリップ制御状態から加
速走行状態への移行時のスリップ制御が異なるものとさ
れるため、その車速Vを考慮して適切なスリップ制御を
実行することが可能となる。
【0052】また、本実施例によれば、前記移行時スリ
ップ制御変更手段190は、前記タービン回転速度判断
手段196による判断が肯定された場合には、前記スリ
ップ制御手段188のスリップ制御を継続し、その判断
が否定された場合には、そのスリップ制御手段188の
スリップ制御を中止するものである。そのため、タービ
ン回転速度NT が高い場合、すなわち高車速の場合に
は、減速スリップ制御状態から加速走行状態への移行時
にスリップ制御が継続されるため、加速走行状態への移
行中の過渡期において減速スリップ制御が再開される場
合にも、直結クラッチを一旦解放状態にすることに起因
するエンジン回転速度Ne の低下が生じず、ショックや
違和感の発生が抑制される。
【0053】また、本実施例によれば、実スリップ量N
SLPが所定のスリップ開始判断基準値KNSLPSよ
りも大きいことを判断するスリップ量判断手段194に
対応するステップS8を更に含み、前記移行時スリップ
制御変更手段190は、減速スリップ制御状態から加速
走行状態への移行時において、前記タービン回転速度判
断手段196による判断が否定され、且つそのスリップ
量判断手段194による判断が否定された場合に、スリ
ップ制御手段188にスリップ制御を中止させるもので
ある。そのため、減速スリップ制御状態から加速走行状
態に移行する際に、その減速スリップ制御状態において
負に制御されていた実スリップ量NSLPが、加速スリ
ップ制御が必要となる程十分に大きい正の値になったと
きにスリップ制御が開始されることとなる。
【0054】また、本実施例によれば、タービン回転速
度NT が移行状態判定基準値KNTSLよりも小さい場
合にはステップS9においてスリップ制御が中止される
ので、図12に示されるような低スロットル弁開度且つ
低車速の場合のフューエルカット制御の終了によるショ
ック或いは違和感の発生が好適に緩和される。
【0055】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本発明は他の態様で実施することも
できる。
【0056】例えば、前述の実施例の制御圧PSLU は、
零から増加するに伴ってロックアップリレー弁98をオ
ン側へ切り換えるとともに、その後ロックアップクラッ
チ24の差圧(Pon−Poff )を増加させ、ついにはロ
ックアップクラッチ24を係合させていたが、反対に、
最大値から減少するに伴ってロックアップリレー弁98
がオン側へ切り換えられるとともに、その後ロックアッ
プクラッチ24の差圧(Pon−Poff )を増加させ、つ
いにはロックアップクラッチ24を係合させるように、
ロックアップリレー弁98やロックアップコントロール
弁100等が構成されていてもよいのである。
【0057】また、前述の実施例によれば、タービン回
転速度判断手段196に対応するステップS4におい
て、タービン回転速度NT を一定の移行状態判定基準値
KNTSLと比較していたが、この移行状態判定基準値
KNTSLは、実際に選択されている変速段に対応して
適宜変更されても良い。すなわち、変速段のギヤ比が大
きくなる程大きい値に変更されても良い。このようにす
れば、ギヤ比の大きい変速段が選択されている場合に
は、一層確実にフューエルカット制御の終了によるショ
ックが緩和されると共に、ギヤ比の小さい変速段が選択
されている場合には、加速走行状態への移行中に減速ス
リップが再開されることによるエンジン回転速度Ne
低下に起因するショックの発生を一層確実に緩和するこ
とができる。
【0058】また、実施例においては、加速走行状態へ
の移行時においてスリップ制御を継続するか否か、すな
わち加速スリップ制御を減速スリップ制御から継続して
開始するか否かを、タービン回転速度NT すなわち車速
Vのみに基づいて判断していたが、例えばスロットル弁
開度TAと併せて判断しても良い。すなわち、低車速且
つ低スロットル弁開度のときにのみスリップ制御を中止
し、その他の場合にはスリップ制御を継続するように構
成しても良い。このようにすれば、低車速且つ高スロッ
トル弁開度の場合にエンジン回転速度Ne が高くなり過
ぎることに起因する違和感の発生を好適に緩和すること
が可能となる。
【0059】また、移行状態判定基準値KNTSLおよ
びスリップ開始条件判断基準値KNSLPSの値は、エ
ンジンの出力特性等に応じて適宜変更される。
【0060】また、実施例においては、タービン回転速
度NT が移行状態判定基準値KNTSLよりも小さい場
合にはスリップ制御が中止されるように構成されていた
が、例えば、スリップ制御を中止することに代えて、目
標スリップ量TNSLPが大きくなるようにスリップ制
御手段188が制御されても良い。目標スリップ量が大
きくされれば、トルクコンバータ12による伝達トルク
が小さくされて、フューエルカット制御の終了時におけ
るショックが緩和されるからである。その場合には、例
えば、タービン回転速度NT に応じて連続的或いは段階
的に目標スリップ量が調節されても良い。
【0061】また、実施例においては、タービンランナ
22の回転速度を検出するためのタービン回転速度検出
手段は、タービン回転速度センサ75により構成され、
タービン回転速度判断手段196によって直接的に検出
されたタービン回転速度NTと移行状態判定基準値KN
TSLとが比較されていたが、例えば、車速センサ66
によって検出される出力軸回転速度Nout すなわち車速
Vに基づいてタービン回転速度判断手段196による判
断が行われても良い。但し、この場合には、出力軸回転
速度Nout に実際に選択されている変速段の変速比Iを
乗算した値と移行状態判定基準値KNTSLとを比較す
るか、或いは、出力軸回転速度Nout と実際に選択され
ている変速段の変速比に応じた異なる移行状態判定基準
値とを比較する必要がある。
【0062】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の油圧制御装置によってギヤ
段が制御される車両用自動変速機の構成を説明する骨子
図である。
【図2】図1の自動変速機における、複数の摩擦係合装
置の作動の組合わせとそれにより成立するギヤ段との関
係を示す図表である。
【図3】図1の自動変速機を制御する油圧制御回路およ
び電気制御回路を含むブロック線図である。
【図4】スリップ制御において領域判定のために用いら
れる図である。
【図5】図3の油圧制御回路の要部を説明する図であ
る。
【図6】ソレノイド弁SLU の出力特性を説明するための
図である。
【図7】図5の油圧制御回路における制御圧PSLU とロ
ックアッップクラッチの係合側油圧Ponおよび解放側油
圧Poff との関係を示す特性図である。
【図8】図3の変速用電子制御装置のスリップ制御機能
の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図9】図3の変速用電子制御装置のスリップ制御作動
の要部を説明するフローチャートである。
【図10】減速スリップ制御状態から加速走行状態へ移
行する際にスリップ制御が中止される従来のスリップ制
御における問題点を説明するための図である。
【図11】減速スリップ制御状態から加速走行状態へ移
行する際にスリップ制御が中止される場合において、そ
の移行中に減速スリップ制御が再開された場合の問題点
を説明するための図である。
【図12】減速スリップ制御状態から加速走行状態に移
行する際にスリップ制御が継続される場合において、低
車速且つ低スロットル弁開度の場合の問題点を説明する
ための図である。
【図13】減速スリップ制御状態から加速走行状態に移
行する際にスリップ制御が継続される場合において、高
車速且つ低スロットル弁開度の場合のエンジン回転速度
等の変化を説明する図である。
【符号の説明】
10:エンジン 14:自動変速機 24:ロックアップクラッチ(直結クラッチ) 75:タービン回転速度センサ(タービン回転速度検出
手段) 188:スリップ制御手段 190:移行時スリップ制御変更手段 194:スリップ量判断手段 196:タービン回転速度判断手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−224561(JP,A) 特開 平4−64768(JP,A) 特開 平4−60(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 61/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポンプインペラとタービンランナとを直
    結する直結クラッチを備えた車両において、該車両の減
    速走行状態および加速走行状態で前記直結クラッチのス
    リップ量を制御するスリップ制御手段を備える形式の車
    両用直結クラッチのスリップ制御装置であって、 前記タービンランナの回転速度を検出するタービン回転
    速度検出手段と、前記タービンランナと前記ポンプインペラとの実際のス
    リップ量が所定のスリップ開始判断基準値よりも大きい
    ことを判断するスリップ量判断手段と、 減速走行状態において前記スリップ制御手段により直結
    クラッチのスリップ制御が行われる減速スリップ制御状
    態から加速走行状態への移行時において、該タービン回
    転速度検出手段により検出されたタービンランナの回転
    速度が所定の移行状態判定基準値よりも高いことを判断
    するタービン回転速度判断手段と、 該タービン回転速度判断手段による判断が肯定された場
    合と、否定された場合とでは、前記スリップ制御手段の
    スリップ制御を異なるものとし、該タービン回転速度判
    断手段による判断が否定され、且つ前記スリップ量判断
    手段による判断が否定された場合に、該スリップ制御手
    段にスリップ制御を中止させる移行時スリップ制御変更
    手段とを、含むことを特徴とする車両用直結クラッチの
    スリップ制御装置。
  2. 【請求項2】 自動変速機の複数の変速段のうち実際に
    選択されている変速段を判断する変速段判断手段を更に
    含み、 前記タービン回転速度判断手段は、前記実際に選択され
    ている変速段のギヤ比が大きい程高い前記移行状態判定
    基準値に基づいて前記タービンランナ回転速度を判断す
    るものである 請求項1の車両用直結クラッチのスリップ
    制御装置。
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