JP2001181996A - 塗工紙用樹脂及びそれを含む組成物 - Google Patents

塗工紙用樹脂及びそれを含む組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗工紙の高品質化が図られ、ホルムアルデヒ
ド由来成分を含まず、また顔料及び水性バインダーと混
合して紙用塗工組成物としたときにも、増粘や流動特性
悪化などの不都合を生じにくい塗工紙用樹脂を提供し、
さらにはそれを用いた塗工紙用樹脂組成物及び紙用塗工
組成物を提供する。 【解決手段】 脂肪族アミン(a) 、分子内にグリシジル
基を少なくとも2個有するグリシジル化合物(b) 並び
に、α,β−不飽和カルボニル化合物、α,β−不飽和
ニトリル化合物及びα−ハロカルボン酸類から選ばれる
カルボン酸系化合物(c) の反応生成物である架橋アミン
化合物を有効成分とする塗工紙用樹脂が提供される。ま
た、上記の塗工紙用樹脂及び液状媒体を含有し、この樹
脂が液状媒体に分散又は溶解している塗工紙用樹脂組成
物、さらには、顔料及び水性バインダーとともに、上記
の塗工紙用樹脂を含有する紙用塗工組成物も提供され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗工紙用樹脂、そ
れが紙用塗工組成物に配合するのに適した形で調製され
た塗工紙用樹脂組成物並びに、それを顔料及び水性バイ
ンダーに混合した紙用塗工組成物に関するものである。
さらに詳しくは、ホルムアルデヒドの発生がなく、紙に
対して優れた印刷適性及び印刷効果を付与することがで
きる塗工紙用樹脂、それを含む塗工紙用樹脂組成物及び
紙用塗工組成物を提供しようとするものである。なお、
本明細書で用いる「紙」という語は広義の意味であっ
て、狭義の意味でいう紙のほか、いわゆる板紙をも包含
する。
【0002】
【従来の技術】顔料と水性バインダーを主体とした塗工
組成物を紙に塗布し、乾燥、カレンダー処理などの必要
な処理を施して得られる塗工紙は、その優れた印刷効果
などの特長から、商業印刷物、雑誌、書籍などに広く用
いられているが、品質要求の高度化、印刷の高速化など
に伴って、塗工紙の品質改良努力が今もなお続けられて
いる。とりわけ印刷の多くを占めるオフセット印刷にお
いては、湿し水の影響下でのインキ受理性、ウェットピ
ックなどの耐水性、及び輪転印刷での耐ブリスター性の
改良・向上が、業界の重要な課題となっている。
【0003】従来からこうした課題に対し、メラミン−
ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、
特公昭 44-11667 号公報や特開昭 55-31837 号公報(=
USP4,246,153 )に示されるようなポリアミドポリ尿素
−ホルムアルデヒド樹脂、特開昭 63-120197号公報に示
されるようなブロックグリオキザール樹脂などを、耐水
化剤やバインダー用添加剤として添加する手法が知られ
ている。しかし、これら従来の耐水化剤やバインダー用
添加剤は、いずれも有効な長所を有する反面、一部の特
性において重大な欠点又は効果の不十分さが認められる
ことから、実用上必ずしも満足しうるものではない。
【0004】例えば、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂
や尿素−ホルムアルデヒド樹脂などのいわゆるアミノプ
ラスト樹脂は、作業時の、あるいは塗工紙からのホルム
アルデヒドの発生が多いのみならず、インキ受理性や耐
ブリスター性の改良効果がほとんど得られないことや、
塗工組成物のpHが高くなると耐水化効果も発揮されに
くくなることなどの問題がある。一方、ホルムアルデヒ
ド不含のバインダー用添加剤として知られているブロッ
クグリオキザール樹脂は、湿し水に対する耐水性をある
程度付与できるものの、インキ受理性や耐ブリスター性
などの塗工紙品質の改良にはほとんど効果がない。
【0005】このような状況のもとで、本発明者らは先
に、塗工紙の高品質化を図るべく、特開平 10-77599 号
公報において、紙用塗工組成物の樹脂成分として、脂肪
族アミンと、アルデヒド類、グリシジル化合物及びイソ
シアネート化合物から選ばれる化合物との反応生成物で
ある架橋アミン化合物を用いることを提案した。また特
開平 11-140792号公報では、脂肪族アミンのなかでも複
素環アミンを採用し、これをグリシジル化合物と反応さ
せた架橋アミン化合物を紙用塗工組成物の樹脂成分とし
て用いることを提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
アミンとグリシジル化合物との反応生成物である架橋ア
ミン化合物を樹脂成分として用いた場合、他の成分との
組合せや当該架橋アミン化合物の使用量などによって
は、塗工組成物の増粘や流動特性の悪化などが起こり得
ることを知見した。そこで、このような問題を解決すべ
くさらに研究を重ねた結果、本発明に至ったものであ
る。
【0007】したがって本発明の目的の一つは、塗工紙
品質に対する要求に応え、紙に対して高度のインキ受理
性及び耐水性が付与できるなど、塗工紙の高品質化を図
ることができるとともに、ホルムアルデヒド由来成分を
含まず、したがってホルムアルデヒドの発生のない塗工
紙用樹脂を提供することにある。
【0008】本発明のもう一つの目的は、顔料及び水性
バインダーと混合して紙用塗工組成物としたときにも、
増粘や流動特性悪化などの不都合を起こしにくく、した
がって取扱いが容易な塗工紙用樹脂を提供することにあ
る。
【0009】さらに本発明の別の目的は、かかる塗工紙
用樹脂が紙用塗工組成物とするのに適した形で調製さ
れ、ホルムアルデヒドを発生することがない塗工紙用樹
脂組成物を提供し、さらにはそれを用いて、高い品質の
塗工紙を与える紙用塗工組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、脂肪族
アミン(a) 、分子内にグリシジル基を少なくとも2個有
するグリシジル化合物(b) 並びに、α,β−不飽和カル
ボニル化合物、α,β−不飽和ニトリル化合物及びα−
ハロカルボン酸類から選ばれるカルボン酸系化合物(c)
の反応生成物である架橋アミン化合物を有効成分とする
塗工紙用樹脂が提供される。
【0011】この樹脂は、顔料及び水性バインダーと組
み合わせて紙用塗工組成物とするために、通常は液状媒
体に分散又は溶解した状態で調製される。そこでまた、
上記の塗工紙用樹脂及び液状媒体を含有し、この樹脂が
液状媒体に分散又は溶解している塗工紙用樹脂組成物も
提供される。この塗工紙用樹脂組成物は、尿素などの不
揮発性物質を含有するのが有利である。さらには、顔料
及び水性バインダーとともに、上記の塗工紙用樹脂を含
有し、所望によりさらに不揮発性物質を含有する紙用塗
工組成物も提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の塗工紙用樹脂となる架橋
アミン化合物は、脂肪族アミン(a) 、分子内にグリシジ
ル基を少なくとも2個有するグリシジル化合物(b) 並び
に、α,β−不飽和カルボニル化合物、α,β−不飽和
ニトリル化合物及びα−ハロカルボン酸類から選ばれる
カルボン酸系化合物(c) の三成分を反応させて得られる
ものである。
【0013】架橋アミン化合物の製造に用いる脂肪族ア
ミン(a) は、1級又は2級のアミノ基が脂肪族炭素原子
に結合する化合物であり、アミノ基が結合する脂肪族炭
素原子は、非芳香族の環を形成するものであってもよ
い。このように、脂肪族アミンにおいてはアミノ基が脂
肪族炭素原子に結合していればよく、分子内に脂肪族炭
化水素残基以外の、例えば芳香族環を含んでいてもよ
い。また、アミノ基が分子内に複数あってもよい。具体
的には、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、分子
内に2個又はそれより多くのアミノ基を有するポリアミ
ン、窒素原子を少なくとも一つの環構成原子とする脂肪
族複素環アミンなどを挙げることができる。これらの脂
肪族アミン(a) は、それぞれ単独で用いることも、また
2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0014】モノアルキルアミンは、アルキルに1級ア
ミノ基が結合する化合物であって、そのアルキルは炭素
数1〜10程度であることができる。具体例としては、
メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンなどが挙
げられる。ジアルキルアミンは、2個のアルキルを2級
アミノ基で結合する化合物であって、それぞれのアルキ
ルは同じでも異なってもよく、それぞれ炭素数1〜10
程度であることができる。具体例としては、ジメチルア
ミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルア
ミン、メチルエチルアミンなどが挙げられる。ポリアミ
ンは、分子内に複数のアミノ基を有する化合物であっ
て、ここでは、後述する複素環アミン以外のものを意味
する。その具体例としては、エチレンジアミン、ジエチ
レントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロン
ジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、キシ
リレンジアミンなどが挙げられる。
【0015】また、複素環アミンは、炭素原子に加えて
少なくとも1個の窒素原子を環構成原子とする環状化合
物であり、複素環を構成する原子は炭素と窒素に限られ
るわけではなく、他に酸素やイオウなどのヘテロ原子も
環を構成しうる。この化合物は、窒素を環原子とする複
素環を含んでいればよく、この複素環以外に、脂肪族炭
化水素残基、脂環式炭化水素残基、芳香族炭化水素残
基、アシル基などを含んでもよい。さらには、これらの
炭化水素残基を介して、環状アミノ基とは別のアミノ基
や、その他ハロゲンなどの置換基が存在してもよい。複
素環アミンの具体例としては、ピロリジン、ピペリジ
ン、2−、3−又は4−ピペコリン及び2,4−、2,
6−又は3,5−ルペチジンのような複素環モノアミン
類、ピペラジン、ホモピペラジン、N−アルキル(例え
ば、メチル、エチル又はプロピル)ピペラジン、N−メ
チルホモピペラジン、N−アシル(例えば、アセチル)
ピペラジン、N−アシル(例えば、アセチル)ホモピペ
ラジン及び1−(クロロフェニル)ピペラジンのような
複素環ジアミン類、N−アミノアルキル(例えば、エチ
ル又はプロピル)ピペリジン、N−アミノアルキル(例
えば、エチル又はプロピル)ピペラジン、N−アミノア
ルキル(例えば、エチル又はプロピル)モルホリン、N
−アミノプロピル−2−又は−4−ピペコリン、1,4
−ビス(アミノエチル)ピペラジン及び1,4−ビス
(アミノプロピル)ピペラジンのようなアミノアルキル
が結合した複素環アミンなどが挙げられる。
【0016】これらの脂肪族アミン(a) のなかでは、モ
ノアルキルアミン、ジアルキルアミン、エチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、複素環アミンなどが工業的
に好ましく、特に複素環アミンが有利である。なかでも
好ましい複素環アミンには、ピロリジン、ピペリジン、
ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、N−アミノ
プロピルピペラジン、1,4−ビス(アミノエチル)ピ
ペラジン、1,4−ビス(アミノプロピル)ピペラジン
などが包含される。
【0017】本発明で用いる脂肪族アミン(a) は、前述
のとおり1級又は2級のアミノ基を少なくとも1個有す
るが、グリシジル化合物(b) 及びカルボン酸系化合物
(c) との反応性を考慮すると、1級アミノ基を少なくと
も1個有するのが有利であり、例えば複素環アミンの場
合も、複素環を構成する2級又は3級アミノ基のほかに
1級アミノ基を少なくとも1個有するのが有利である。
なかでも、窒素を環原子とする複素環にアミノアルキル
が結合した化合物、例えば、N−アミノエチルピペラジ
ン、N−アミノプロピルピペラジン、1,4−ビス(ア
ミノエチル)ピペラジン、1,4−ビス(アミノプロピ
ル)ピペラジンなどを、単独で又は他のアミンと組み合
わせて用いた場合に、優れた効果が発揮される。
【0018】グリシジル化合物(b) は、分子内にグリシ
ジル基を少なくとも2個有するものである。複数のグリ
シジル基を結ぶ基は特に限定されず、脂肪族、芳香族、
脂環式などのいずれでもよい。グリシジル化合物の具体
例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル
及びプロピレングリコールジグリシジルエーテルのよう
なアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、ポリ
エチレングリコールジグリシジルエーテル及びポリプロ
ピレングリコールジグリシジルエーテルのようなポリオ
キシアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、レ
ゾルシンジグリシジルエーテル及びビスフェノールAジ
グリシジルエーテルのような芳香族ジグリシジルエーテ
ル類、トリメチロールプロパンジ−又はトリ−グリシジ
ルエーテル、ソルビトールジ−、トリ−、テトラ−、ペ
ンタ−又はヘキサ−グリシジルエーテル、ペンタエリス
リトールジ−、トリ−又はテトラ−グリシジルエーテル
などが挙げられる。これらのグリシジル化合物(b) は、
それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いること
ができる。これらのなかでも、芳香族グリシジルエーテ
ルが有利に用いられる。
【0019】カルボン酸系化合物(c) は、アミノ基と反
応性がある不飽和結合又はハロゲン原子を分子内に有
し、さらにカルボニル基(−C(=O)−)を有するか、
又は反応中にカルボキシル基(−COOH)を生成しう
る化合物である。具体的には、α,β−不飽和カルボニ
ル化合物、α,β−不飽和ニトリル化合物又はα−ハロ
カルボン酸が用いられる。
【0020】ここでいうα,β−不飽和とは、官能基に
隣接する炭素原子とその隣の炭素原子との間で不飽和結
合、すなわち二重結合又は三重結合を形成する構造をい
う。したがって、α,β−不飽和カルボニル化合物と
は、不飽和結合を形成している炭素原子の少なくとも一
方にカルボニル基(−C(=O)−)が結合した化合物で
あり、具体的には、アクリル酸、クロトン酸、イソクロ
トン酸、メタクリル酸、ソルビン酸、ケイ皮酸、フマル
酸又はマレイン酸のようなα,β−不飽和カルボン酸、
それらのメチル、エチル又はブチルエステルのような
α,β−不飽和カルボン酸エステル、アクロレイン、ク
ロトンアルデヒド又はシンナムアルデヒドのようなα,
β−不飽和アルデヒド、メチルビニルケトン、メシチル
オキシド、ベンザルアセトン、ジベンザルアセトン、ベ
ンザルアセトフェノン又はジプノンのようなα,β−不
飽和ケトン、無水マレイン酸のようなα,β−不飽和ジ
カルボン酸無水物などが挙げられる。また、α,β−不
飽和ニトリル化合物とは、不飽和結合を形成している炭
素原子の少なくとも一方にシアノ基(−C≡N)が結合
した化合物であり、具体的には、アクリロニトリル、ク
ロトンニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ
る。α,β−不飽和ニトリル化合物は、そのシアノ基が
加水分解してカルボキシル基を生ずる。このように、
α,β−不飽和カルボニル化合物及びα,β−不飽和ニ
トリル化合物においては、分子内にα,β−不飽和結合
が存在していればよく、α−炭素、β−炭素、あるいは
α−、β−両炭素に、さらに脂肪族炭化水素残基や芳香
族炭化水素残基などが結合していてもよい。また、カル
ボニル基又はシアノ基が分子内に複数個あってもよい。
【0021】一方、α−ハロカルボン酸類とは、分子内
にカルボキシル基又はその誘導体を有するとともに、そ
のカルボキシル基又はその誘導体を構成するカルボニル
基に隣接する炭素原子(α−炭素)に少なくとも1個の
ハロゲン原子が結合した化合物をいう。α−炭素に結合
するハロゲン原子は、塩素、臭素、ヨウ素などでありう
る。また、α−炭素にはこの他、脂肪族炭化水素残基や
脂環式炭化水素残基、芳香族炭化水素残基などが結合し
ていてもよい。具体的なα−ハロカルボン酸類として
は、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ジクロロ酢酸、ジブロモ
酢酸、トリクロロ酢酸、α−クロロプロピオン酸、α−
ブロモプロピオン酸、α−クロロ酪酸又はα−ブロモイ
ソ吉草酸のようなα−ハロカルボン酸、それらのメチ
ル、エチル又はブチルエステルのようなα−ハロカルボ
ン酸エステル、それらのナトリウム塩又はカリウム塩の
ようなα−ハロカルボン酸塩などが挙げられる。
【0022】これらのカルボン酸系化合物(c) は、それ
ぞれ単独で用いることも、また2種以上組み合わせて用
いることもできる。これらのなかでも、α,β−不飽和
カルボニル化合物、特にα,β−不飽和カルボン酸又は
そのエステル、及びα−クロロカルボン酸類が工業的に
は有利である。とりわけ好ましいものは、アクリル酸及
びクロロ酢酸である。
【0023】本発明の塗工紙用樹脂を製造するにあたっ
て、脂肪族アミン(a) 、グリシジル化合物(b) 及びカル
ボン酸系化合物(c) の反応順序は任意であり、例えば、
三者を同時に反応させることもできるし、また、脂肪族
アミン(a) に、グリシジル化合物(b) 又はカルボン酸系
化合物(c) を反応させた後、グリシジル化合物(b) 及び
カルボン酸系化合物(c) のうちの残りを反応させるとい
ったように、反応を2段階で行うこともできる。また所
望により、脂肪族アミン(a) にグリシジル化合物(b) を
反応させ、次いでカルボン酸系化合物(c) を反応させた
後、再度グリシジル化合物(b) を反応させたり、脂肪族
アミン(a) にカルボン酸系化合物(c) を反応させ、次い
でグリシジル化合物(b) を反応させた後、再度カルボン
酸系化合物(c) を反応させたりする態様をとることもで
きる。これらの場合、2回用いるグリシジル化合物(b)
及び/又はカルボン酸系化合物(c) は、1回目と2回目
とで同じであってもよいし、異なっていてもよい。一般
には、脂肪族アミン(a) とグリシジル化合物(b) とを反
応させた後、カルボン酸系化合物(c) を反応させる方法
が有利である。
【0024】この塗工紙用樹脂を製造するにあたって、
グリシジル化合物(b) は、脂肪族アミン(a) 1モルに対
し、一般には0.1〜1.5モルの範囲で、好ましくは
0.3〜1.2モル、さらに好ましくは0.5〜1モルの
範囲で用いられる。脂肪族アミン(a) 中に反応性の1級
又は2級アミノ基が複数個ある場合でも、グリシジル化
合物(b) の量をあまり多くすると、反応生成物がゲル化
しやすくなるので、アミノ基の数にかかわらず、脂肪族
アミン(a) に対するグリシジル化合物(b) のモル比を
1.5以下にするのが適当である。
【0025】また、カルボン酸系化合物(c) は、脂肪族
アミン(a) 1モルに対し、一般には0.02〜1.5モル
の範囲で、好ましくは0.05〜1モル、さらに好まし
くは0.1〜0.5モルの範囲で用いられる。脂肪族アミ
ン(a) とカルボン酸系化合物(c) との反応を最初に行う
場合は、後に行うグリシジル化合物(b) との反応を考慮
して、架橋アミン化合物を生成させるのに必要な1級又
は2級アミノ基を残すように調節する必要がある。
【0026】脂肪族アミン(a) 、グリシジル化合物(b)
及びカルボン酸系化合物(c) の反応は、三者を同時に反
応させる場合及び2段階又は3段階に分けて反応を行う
場合のいずれにおいても、無溶媒で又は溶媒中で行うこ
とができる。これらの反応はいずれも、通常30〜10
0℃程度の温度で行われ、好ましい反応温度は、溶媒の
有無や溶媒を用いる場合はその種類などによっても変動
するが、溶媒が水/有機溶媒混合系の場合は40〜90
℃程度であり、溶媒が水を含まない有機溶媒の場合は4
0〜70℃程度である。また反応時間は、いずれも通
常、1〜20時間程度である。これらの反応は、無触媒
でも進行するし、アンモニアや苛性ソーダのような塩基
性触媒又は塩化アルミニウムのようなルイス酸触媒の存
在下で行ってもよい。
【0027】これらの反応に用いる溶媒としては、メタ
ノール、エタノール、1−又は2−プロパノール、1−
又は2−ブタノール、1−ペンタノール、3−メチル−
1−ブタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−2−
ペンタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、
2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、2−エチル−1
−ヘキサノール、1−又は2−オクタノール、ラウリル
アルコール、シクロヘキサノール及びベンジルアルコー
ルのようなアルコール類、ジエチルエーテル、ジプロピ
ルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテ
ル、β,β′−ジクロロジエチルエーテル、1,4−ジ
オキサン、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフ
リルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジ
エチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエー
テル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノブチルエーテル及びジエチレング
リコールジブチルエーテルのようなエーテル類、ブチル
アルデヒドのようなアルデヒド類、シクロヘキサン、ヘ
キサン、ヘプタン、トルエン及びo−、m−又はp−キ
シレンのような炭化水素類、1,1,1−トリクロロエ
タン、トリクロロエチレン、1−又は2−ブロモプロパ
ン、1−ブロモブタン、臭化ラウリル、1−ブロモ−3
−クロロプロパン、1,3−ジブロモプロパン、1,4
−ジブロモブタン、1,5−ジブロモペンタン及び2,
3−ジブロモ−1−プロパノールのような有機ハロゲン
化合物、アセトン、2,4−ペンタンジオン、メチルエ
チルケトン、2−又は3−ペンタノン、3−メチル−2
−ブタノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノ
ン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2,4−ジメ
チル−3−ペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン
及び4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンのよ
うなケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピ
ル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸 sec−ブチ
ル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、プロ
ピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸ア
ミル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、マロン酸ジエ
チル、シュウ酸ジエチル、リン酸ブチル及びアセト酢酸
エチルのようなエステル類などが挙げられ、それぞれ単
独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】また、これらの有機溶媒の1種又は2種以
上と水との混合物を反応溶媒とすることもできる。ただ
し、脂肪族アミン(a) とグリシジル化合物(b) を反応さ
せる場合や、脂肪族アミン(a) とカルボン酸系化合物
(c) の反応物にグリシジル化合物(b) を反応させる場合
のように、グリシジル化合物(b) がそれ自体で原料とし
て反応系内に存在する場合は、反応系内に存在する水の
量があまり多くなると、グリシジル化合物(b) 同士の重
合により水にも有機溶媒にも不溶なエポキシ樹脂が生成
してしまうため、反応系内の水の量は20重量%以下、
さらには10重量%以下とするのが好ましい。脂肪族ア
ミン(a) とカルボン酸系化合物(c) とを反応させる場合
や、脂肪族アミン(a) とグリシジル化合物(b) の反応物
にカルボン酸系化合物(c) を反応させる場合のように、
グリシジル化合物(b) がそれ自体の形で反応系内に存在
しない場合は、反応溶媒中の有機溶媒と水の割合は任意
であり、水のみを反応溶媒とすることもできる。
【0029】脂肪族アミン(a) 、グリシジル化合物(b)
及びカルボン酸系化合物(c) の反応において、各化合物
の種類や三者の使用割合、さらには反応の順序などによ
り、反応生成物の構造は多岐にわたるが、一般には、脂
肪族アミン(a) 中のアミノ基にグリシジル化合物中のグ
リシジル基が開環付加して架橋し、さらに当該アミノ基
の一部に、カルボン酸系化合物(c) の不飽和結合がマイ
ケル付加するか、又はカルボン酸系化合物(c) のハロゲ
ン原子部分で脱ハロゲン化水素縮合した形の構造が主体
となる。また通常は、ある程度の分子量分布を持った重
合体となる。グリシジル化合物(b) がグリシジル基(Gl
y と略す)を2個有する Gly-R-Glyの構造であるとし
て、以下にごく単純化した主な反応形態を例示する。
【0030】脂肪族アミン(a) が1級アミノ基を1個だ
け有する1級モノアミンの場合、それを R1-NH2 と表す
と、まずグリシジル化合物(b) との間で主に次のような
反応が進行する。
【0031】R1-NH2 + Gly-R-Gly → R1-NH-CH2CH(OH)C
H2-R-Gly R1-NH-CH2CH(OH)CH2-R-Gly + R1-NH2→ R1-NH-CH2CH(O
H)CH2-R-CH2CH(OH)CH2-NH-R1
【0032】また、この生成物中の2級アミノ基にグリ
シジル化合物が付加し、別のアミン分子を結合した構造
にもなりうる。次に、カルボン酸系化合物(c) がα,β
−不飽和カルボニル化合物又はα,β−不飽和ニトリル
化合物である場合は、それをQ1CH=CQ2-X (式中、Xは
カルボニル基で結合する基又はシアノ基を意味する)で
表すと、その不飽和結合が上記生成物中の残りの2級ア
ミノ基の少なくとも一部にマイケル付加し、一方、カル
ボン酸系化合物(c) がα−ハロカルボン酸類である場合
は、それを Q3CHY-COOQ4(式中、Yはハロゲンを意味す
る)で表すと、そのハロゲン原子の部位が上記生成物中
の残りの2級アミノ基の少なくとも一部に脱ハロゲン化
水素縮合して、それぞれ主に次のような反応が進行す
る。
【0033】α,β−不飽和カルボニル化合物又はα,
β−不飽和ニトリル化合物の場合:R1-NH-CH2CH(OH)CH2
-R-CH2CH(OH)CH2-NH-R1 + 2 Q1CH=CQ2-X→ X-CHQ2-CHQ1
-NR1-CH2CH(OH)CH2-R-CH2CH(OH)CH2-NR1-CHQ1-CHQ2-X α−ハロカルボン酸類の場合:R1-NH-CH2CH(OH)CH2-R-C
H2CH(OH)CH2-NH-R1 + 2 Q3CHY-COOQ4→ Q4OCO-CHQ3-NR1
-CH2CH(OH)CH2-R-CH2CH(OH)CH2-NR1-CHQ3-COOQ4 + 2 HX
【0034】また、脂肪族アミン(a) が1級アミノ基と
2級アミノ基をそれぞれ1個ずつ有する場合、それを R
1-NH-A-NH2(2級アミノ基が複素環アミンの環を構成す
る場合は、R1とAとの間で環を形成しているとみればよ
い)と表すと、まずグリシジル化合物(b) との間で、例
えば主に、次のような反応が進行する。
【0035】(n+2) R1-NH-A-NH2 + (n+1) Gly-R-Gly→
R1-NH-A-NH-CH2CH(OH)CH2-R-CH2CH(OH)CH2- -[NH-A-NR1-CH2CH(OH)CH2-R-CH2CH(OH)CH2]n-NH-A-NH-R
1 (式中、nは重合度を表す任意の数である)
【0036】もちろん、先に述べた1級モノアミンの場
合と同様、生成物の途中に存在する2級アミノ基にグリ
シジル化合物が付加し、別のアミン分子を結合した構造
にもなりうる。そして次に、やはり先に述べた1級モノ
アミンの場合と同様、カルボン酸系化合物(c) が上記生
成物中の主に末端2級アミノ基にマイケル付加又は脱ハ
ロゲン化水素縮合して、主に次のような反応が進行す
る。
【0037】α,β−不飽和カルボニル化合物又はα,
β−不飽和ニトリル化合物の場合:R1-NH-A-NH-CH2CH(O
H)CH2-R-CH2CH(OH)CH2- -[NH-A-NR1-CH2CH(OH)CH2-R-CH2CH(OH)CH2]n-NH-A-NH-R
1 + 2 Q1CH=CQ2-X→ X-CHQ2-CHQ1-NR1-A-NH-CH2CH(OH)C
H2-R-CH2CH(OH)CH2- -[NH-A-NR1-CH2CH(OH)CH2-R-CH2CH(OH)CH2]n-NH-A-NR1-
CHQ1-CHQ2-X α−ハロカルボン酸類の場合:R1-NH-A-NH-CH2CH(OH)CH
2-R-CH2CH(OH)CH2- -[NH-A-NR1-CH2CH(OH)CH2-R-CH2CH(OH)CH2]n-NH-A-NH-R
1 + 2 Q3CHY-COOQ4→ Q4OCO-CHQ3-NR1-A-NH-CH2CH(OH)C
H2-R-CH2CH(OH)CH2- -[NH-A-NR1-CH2CH(OH)CH2-R-CH2CH(OH)CH2]n-NH-A-NR1-
CHQ3-COOQ4 + 2 HX
【0038】さらに、脂肪族アミン(a) が複数の1級ア
ミノ基を有する場合、3個以上のアミノ基を有する場
合、2種以上の脂肪族アミン(a) を併用した場合、グリ
シジル化合物(b) がグリシジル基を3個以上有する場
合、またカルボン酸系化合物(c)が複数のα,β−不飽
和結合を有する場合やα−炭素に結合するハロゲン原子
が複数の場合などでは、反応はさらに複雑になるが、い
ずれにしても、アミン分子が複数架橋した化合物であっ
て、そこに残存するアミノ基、特に末端のアミノ基が、
カルボン酸系化合物(c) によって封止された構造のもの
が主体的に生成することになる。
【0039】脂肪族アミン(a) 、グリシジル化合物(b)
及びカルボン酸系化合物(c) を同時に反応させる場合
や、脂肪族アミン(a) に予めカルボン酸系化合物(c) を
反応させ、その後グリシジル化合物(b) を反応させる場
合などであっても、上記したのと類似の構造、すなわ
ち、アミン分子がグリシジル化合物(b) を介して複数架
橋し、その中のアミノ基にカルボン酸系化合物(c) がマ
イケル付加又は脱ハロゲン化水素縮合した構造のものが
主体的に生成する。このように架橋アミン化合物中のア
ミノ基、特に末端のアミノ基がカルボン酸系化合物(c)
で封止された構造となるようにしたことによって、その
架橋アミン化合物を顔料及び水性バインダーと混合して
紙用塗工組成物とした場合に発生することがある増粘や
流動特性の悪化といった悪影響をなくすことができる。
【0040】以上のように、脂肪族アミン(a) 、グリシ
ジル化合物(b) 及びカルボン酸系化合物(c) の反応によ
り得られる架橋アミン化合物は、原料脂肪族アミン(a)
の構造によってはある程度の分子量分布を持った重合体
となりうる。その分子量の目安として、それを50重量
%水溶液としたときの25℃における粘度は、一般に1
0〜100,000mPa・sの範囲をとりうる。特にこの粘
度は、100mPa・s 以上、さらには1,000mPa・s以
上、また50,000mPa・s以下であるのが、より好まし
い。
【0041】本発明では、以上説明したような脂肪族ア
ミン(a) 、グリシジル化合物(b) 及びカルボン酸系化合
物(c) の反応によって得られる架橋アミン化合物が、塗
工紙用樹脂として用いられる。この架橋アミン化合物
は、液状媒体に溶解又は分散された状態で用意するのが
好ましい。脂肪族アミン(a) 、グリシジル化合物(b) 及
びカルボン酸系化合物(c) の反応のうち、少なくとも最
後の反応を液状媒体中で行うか、又は反応後に液状媒体
を加えて溶解又は分散させることにより、架橋アミン化
合物の溶液又は分散液が得られる。ここで用いる液状媒
体は、架橋アミン化合物を溶解又は均一に分散するもの
であればよく、水及び/又は有機溶媒であることができ
る。先に架橋アミン化合物を得る際の反応溶媒として例
示した各種のものが、この際の液状媒体ともなりうる
が、特にアルコール類は、架橋アミン化合物に対する溶
解性又は分散性に優れているので、液状媒体として有機
溶媒を用いる場合は、アルコール類のいずれかを単独で
若しくは2種以上混合して、又は他の有機溶媒と組み合
わせて用いるのが有利である。
【0042】本発明で規定する架橋アミン化合物の原料
であるグリシジル化合物が水だけには溶けにくい場合
は、グリシジル化合物(b) の反応段階で水と有機溶媒を
混合して用い、この液状媒体をそのまま架橋アミン化合
物のための液状媒体とすることができる。場合によって
は、反応終了後に水を加えて、架橋アミン化合物を溶解
又は分散する液状媒体中の有機溶媒の割合を低くするこ
ともできる。架橋アミン化合物を溶解又は分散する液状
媒体中の有機溶媒と水の割合は任意であるが、通常は水
が1〜100重量%、そして有機溶媒が99〜0重量%
の割合で使用される。水/有機溶媒混合系とする場合、
好ましくは、水3〜50重量%、そして有機溶媒97〜
50重量%の割合で使用される。
【0043】また、グリシジル化合物(b) を用いた反応
を有機溶媒中で行い、その反応終了後に、又はすべての
反応が終わった後に、その有機溶媒を留去してから水を
加えるという方法を採用することにより、架橋アミン化
合物のための液状媒体を実質的に水のみとすることもで
きる。この場合は、グリシジル化合物(b) をケトン類に
溶解させ、一方で脂肪族アミン(a) 又はそれとカルボン
酸系化合物(c) との反応物をケトン類以外の親水性有機
溶媒に溶解させ、両溶液を混合して反応させるのが有利
である。グリシジル化合物(b) を溶解させるケトン類
は、先に架橋アミン化合物を得る際の反応溶媒として例
示した各種のものであることができるが、なかでも、ア
セトンが工業的には有利に使用される。一方、脂肪族ア
ミン(a) 又はそれとカルボン酸系化合物(c) の反応物を
溶解させるケトン類以外の親水性有機溶媒も、先に架橋
アミン化合物を得る際の反応溶媒として例示したケトン
類以外の各種親水性有機溶媒であることができるが、な
かでもアルコール類、それもメタノールが、工業的には
有利に使用される。
【0044】反応終了後に行う溶媒の留去は、一般には
常圧蒸留で行われるが、減圧蒸留や水蒸気蒸留で行うこ
ともでき、また常圧蒸留の後に水蒸気蒸留を行うなど、
2種又はそれ以上の方法を組み合わせてもよい。常圧蒸
留の場合、あまり温度を上げすぎると、架橋アミン化合
物が着色してしまうため、溶媒の沸点から100℃以内
の範囲で、さらには60℃以内の範囲で昇温するのが好
ましい。溶媒留去後の水の添加は、50〜120℃の範
囲で行うのが好ましい。有機溶媒を留去した状態では、
架橋アミン化合物が単独で存在し、粘性が極めて高いの
で、水を添加する際の温度があまり低いと、溶解不良を
起こしやすい。また、水を添加する際の温度があまり高
くなると、突沸などの危険があるため、防災上好ましく
ない。
【0045】特に、脂肪族アミン(a) とグリシジル化合
物(b) との反応を上記のような有機溶媒中で行い、反応
終了後にその有機溶媒を留去し、次に水を加えて、架橋
アミン中間体の水溶液とし、その水溶液中でカルボン酸
系化合物(c) を反応させることにより、実質的に水のみ
からなる液状媒体に溶解又は分散された状態で架橋アミ
ン化合物を調製するのが有利である。
【0046】本発明の塗工紙用樹脂は、このように液状
媒体に溶解又は分散された状態で塗工紙用樹脂組成物と
されるが、この組成物はさらに、不揮発性物質を含有す
るのが好ましい。この不揮発性物質は、常温で揮発性が
なく、この組成物中で架橋アミン化合物とともに溶解又
は均一に分散した状態をとりうる有機又は無機の非重合
体化合物である。ここでいう非重合体とは、一定の分子
量を持つことを意味する。不揮発性物質は、架橋アミン
化合物が本来具備する紙に対して優れた印刷適性及び印
刷効果を付与する効果を損なうことなく、当該架橋アミ
ン化合物を塗工組成物の成分として用いた場合に発生す
ることがある増粘や流動特性の悪化といった悪影響をよ
り一層軽減するために用いられるので、このような性質
を持っていればよい。
【0047】不揮発性物質として具体的には、塩化アン
モニウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグ
ネシウム、塩化アルミニウム、硫酸アンモニウム、硫酸
ナトリウム及び燐酸アンモニウムのような無機塩類、尿
素、メチル尿素、ジメチル尿素、チオ尿素、4,5−ジ
ヒドロキシ−2−イミダゾリジノン及び1−(2−アミ
ノエチル)−2−イミダゾリジノンのような尿素類、グ
ルコース及びフルクトースのような糖類などが挙げられ
る。ここでいう尿素類とは、上の例からも明らかなよう
に、式 >NC(=Q)N< なる原子団を有する尿素及び
その誘導体であり、より具体的には、例えば、式 X1
HC(=Q)NX23で表すことができ、ここにQは酸素
又はイオウを表し、X1 、X2 及びX3 は互いに独立
に、水素、アルキル若しくは置換アルキルを表すか、又
はX1 とX2 が結合して、水酸基で置換されていてもよ
いエチレン鎖を形成する。尿素類のうち、1−(2−ア
ミノエチル)−2−イミダゾリジノンは、ジエチレント
リアミンと尿素との脱アンモニア反応によって得ること
ができ、この反応生成物には、1−(2−アミノエチ
ル)−2−イミダゾリジノン以外の副生物も存在する
が、通常、その副生物を含む混合物のまま使用できる。
これらの不揮発性物質のなかでも、有機化合物、とりわ
け尿素類が、架橋アミン化合物との相溶性や種々の溶媒
への溶解性などの点で好ましい。尿素類のなかでも好ま
しいものは、尿素及びイミダゾリジノン類であり、工業
的な見地からは、特に尿素が好ましい。
【0048】架橋アミン化合物と不揮発性物質の混合順
序は特に制限されず、予め液状媒体に架橋アミン化合物
を分散又は溶解させておき、そこに不揮発性物質を混合
する方法や、予め液状媒体に不揮発性物質を分散又は溶
解させておき、これを架橋アミン化合物に加える方法、
架橋アミン化合物及び不揮発性物質をそれぞれ同一又は
異なる液状媒体に分散又は溶解させたものを用意し、こ
れらを混合して均一化する方法などによって、行うこと
ができる。操作の簡便さからは、予め液状媒体に架橋ア
ミン化合物を分散又は溶解させておき、そこに不揮発性
物質を混合する方法が好ましい。また、架橋アミン化合
物と不揮発性物質を混合する際の温度も特に制限されな
いが、使用する液状媒体への両者の溶解性又は混和性が
十分でない場合は、必要により液状媒体が揮発しない程
度まで加熱してもよく、逆に、架橋アミン化合物及び不
揮発性物質の一方又は双方が液状媒体と溶媒和して激し
く発熱するような場合には、凍結しない程度まで冷却し
てもよい。
【0049】架橋アミン化合物は、前述のとおり、液状
媒体中に溶解又は分散させた状態で用意するのが好まし
い。したがって、不揮発性物質を存在させた塗工紙用樹
脂組成物も、架橋アミン化合物とともに不揮発性物質が
液状媒体に溶解又は分散された状態になっているのが有
利である。架橋アミン化合物に加えて不揮発性物質を存
在させ、塗工紙用樹脂組成物とする場合、両者の割合は
重量比で、一般には前者/後者=1/99〜90/10
の範囲、好ましくは5/95〜70/30の範囲であ
る。
【0050】架橋アミン化合物が液状媒体に溶解又は分
散され、任意にさらに不揮発性物質を含有する樹脂組成
物は、顔料及び水性バインダーと混合して、紙用塗工組
成物とされる。この紙用塗工組成物の一成分として不揮
発性物質を用いる場合、架橋アミン化合物と不揮発性物
質を予め混合しておくことは必須ではないが、一般に
は、架橋アミン化合物と不揮発性物質を含有する樹脂組
成物を調製したうえで顔料及び水性バインダーに配合す
るのが有利である。
【0051】紙用塗工組成物の成分となる顔料は、紙の
塗工に従来から一般に用いられているものでよく、白色
無機顔料及び白色有機顔料が使用できる。白色無機顔料
としては、例えば、カオリン、タルク、炭酸カルシウム
(重質又は軽質)、水酸化アルミニウム、サチンホワイ
ト、酸化チタンなどが挙げられる。また白色有機顔料と
しては、例えば、ポリスチレン、メラミン−ホルムアル
デヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂などが挙げら
れる。これらの顔料は、それぞれ単独で、又は2種以上
混合して用いることができる。
【0052】水性バインダーも、紙の塗工に従来から一
般に用いられているものでよく、水溶性のバインダーや
水乳化系のバインダーが使用できる。水溶性バインダー
としては、例えば、酸化でんぷんやリン酸エステル化で
んぷんをはじめとする無変性の、又は変性されたでんぷ
ん類、ポリビニルアルコール、カゼインやゼラチンをは
じめとする水溶性プロテイン、カルボキシメチルセルロ
ースをはじめとする変性セルロース類などが挙げられ
る。また水乳化系バインダーとしては、例えば、場合に
よりカルボキシル基やニトリル基を有することもあるス
チレン−ブタジエン系樹脂(SBRラテックス)、アク
リロニトリル−ブタジエン系樹脂(NBRラテック
ス)、クロロプレン系樹脂(CRラテックス)、メチル
メタクリレート−ブタジエン系樹脂(MBRラテック
ス)、アクリル系モノマー2種以上の共重合樹脂、アク
リル系モノマーと酢酸ビニルとの共重合樹脂、アクリル
系モノマーとスチレンとの共重合樹脂、酢酸ビニル樹
脂、スチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル
樹脂などが挙げられる。なお、ここでいうアクリル系モ
ノマーとは、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのメ
チル、エチル、ブチル等のエステルから選ばれる化合物
をいう。これらの水性バインダーは、それぞれ単独で、
又は2種以上混合して用いることができる。
【0053】本発明の紙用塗工組成物を調製するにあた
り、顔料と水性バインダーの組成割合は、用途や目的に
応じて決定され、当業界で一般に採用されている組成と
特に異なるところはない。両者の好ましい組成割合は、
顔料100重量部に対して、水性バインダーが1〜20
0重量部程度、より好ましくは5〜50重量部程度であ
る。架橋アミン化合物及び任意に用いられる不揮発性物
質は、顔料100重量部に対し、両者の合計固形分量で
0.05〜5重量部程度とするのが好ましく、さらに
は、0.1重量部以上、また2重量部以下程度にするの
が有利である。
【0054】紙用塗工組成物を調製するにあたり、顔
料、水性バインダー及び樹脂組成物の添加混合順序は任
意であり、特に制限されない。例えば、液状媒体に溶解
又は分散された樹脂組成物を顔料及び水性バインダーの
混合物に添加混合する方法、液状媒体に溶解又は分散さ
れた樹脂組成物を予め顔料又は水性バインダーに添加混
合しておき、これを残りの成分と配合する方法などが採
用できる。
【0055】本発明の紙用塗工組成物は、上記の架橋ア
ミン化合物及び任意に用いられる不揮発性物質に加え
て、他の耐水化剤や印刷適性向上剤などの樹脂成分を必
要に応じて含有することもできる。さらには、その他の
成分として、例えば、分散剤、粘度・流動性調整剤、消
泡剤、防腐剤、潤滑剤、保水剤、また染料や有色顔料の
ような着色剤などを、必要に応じて配合することができ
る。
【0056】この紙用塗工組成物は、従来より公知の方
法、例えばブレードコーター、エアーナイフコーター、
バーコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコ
ーター、キャストコーターなど、公知の各種コーターを
用いる方法により、紙基体に塗布される。その後必要な
乾燥を行い、さらに必要に応じてスーパーカレンダーな
どで平滑化処理を施すことにより、塗工紙を製造するこ
とができる。
【0057】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらによって限定されるものでは
ない。例中、含有量又は使用量を表す%及び部は、特に
断らないかぎり重量基準である。また、粘度及びpH
は、25℃において測定した値である。
【0058】合成例1:予め、エポキシ当量182.6
g/eq.のビスフェノールAジグリシジルエーテル14
0.6g(0.77モル)とアセトン120.0gを混合
して溶液とした。別途、温度計、還流冷却器及び攪拌棒
を備えた四つ口フラスコに、N−(2−アミノエチル)
ピペラジン90.4g(0.7モル)及びメタノール10
9.1gを仕込み、内温を45〜55℃に保って、そこ
へ、先に調製したビスフェノールAジグリシジルエーテ
ルのアセトン溶液260.6gのうちの237.0gを5
時間かけて滴下した。滴下終了後、内温45〜55℃で
さらに4時間反応させた。次に還流冷却器をリービッヒ
冷却器に取り替えた後、アセトン及びメタノールを系外
に抜きながら、内温を120℃まで上げた。その後、水
295.2gを徐々に加えながら冷却して、中間体の水
溶液531.8gを得た。さらに、上で用いたのと同様
の反応容器にこの中間体の水溶液141.2gを仕込
み、内温を65〜75℃に保って、そこへ80%アクリ
ル酸水溶液8.37g(0.093モル)を1時間かけて
滴下した。滴下終了後、内温65〜75℃でさらに4時
間反応させて、不揮発分45.3%、pH9.1、粘度
1,735mPa・sの架橋アミン化合物の水溶液を得た。
【0059】合成例2:予め、エポキシ当量184.0
g/eq.のビスフェノールAジグリシジルエーテル63
7.6g(3.47モル)とアセトン542.6gを混合
して溶液とした。別途、合成例1で用いたのと同様の反
応容器に、N−(2−アミノエチル)ピペラジン42
6.4g(3.3モル)及びメタノール516.8gを仕
込み、内温を48〜54℃に保って、そこへ、先に調製
したビスフェノールAジグリシジルエーテルのアセトン
溶液1,180.2gのうちの1,124.0gを5時間か
けて滴下した。滴下終了後、内温48〜54℃でさらに
4時間反応させた。次に還流冷却器をリービッヒ冷却器
に取り替えた後、アセトン及びメタノールを系外に抜き
ながら内温を120℃まで上げた。その後、水1,28
5.7gを徐々に加えながら冷却して、中間体の水溶液
2,384.0gを得た。さらに、上で用いたのと同様の
反応容器に、この中間体の水溶液180.6gと水0.7
7gを仕込み、内温を65〜75℃に保って、そこへ8
0%アクリル酸水溶液6.76g(0.075モル)を5
分間で滴下した。滴下終了後、内温65〜75℃でさら
に約4時間反応させて、不揮発分45.1%、pH9.
7、粘度3,660mPa・sの架橋アミン化合物の水溶液を
得た。
【0060】合成例3:予め、エポキシ当量184.0
g/eq.のビスフェノールAジグリシジルエーテル19
1.7g(1.042モル)とアセトン180gを混合し
て溶液とした。別途、合成例1で用いたのと同様の反応
容器に、N−(2−アミノエチル)ピペラジン129.
2g(1.0モル)及びメタノール138.2gを仕込
み、内温を48〜54℃に保って、そこへ、先に調製し
たビスフェノールAジグリシジルエーテルのアセトン溶
液371.7gのうちの285.4gを、5時間かけて滴
下した。滴下終了後、内温48〜54℃でさらに4時間
反応させた。次に還流冷却器をリービッヒ冷却器に取り
替えた後、アセトン及びメタノールを系外に抜きなが
ら、内温を120℃まで上げた。その後、水339.9
gを徐々に加えながら冷却して、中間体の水溶液63
7.8gを得た。 さらに、上で用いたのと同様の反応
容器に、この中間体の水溶液127.6gを仕込み、内
温を65〜75℃に保って、そこへ、80%アクリル酸
水溶液3.6g(0.04モル)を5分間で滴下した。滴
下終了後、内温65〜75℃でさらに約4時間反応させ
て、不揮発分44.4%、pH9.7、粘度1,049mPa
・s の架橋アミン化合物の水溶液を得た。
【0061】合成例4:合成例1で用いたのと同様の反
応容器に、合成例2の前半で得られた中間体の水溶液1
80.6g及び水13.8gを仕込み、内温を65〜75
℃に保って、そこへクロロ酢酸7.2g(0.075モ
ル)を5分間で滴下した。滴下終了後、内温65〜75
℃でさらに4時間反応させて、不揮発分45.3%、p
H8.2、粘度3,740mPa・sの架橋アミン化合物の水
溶液を得た。
【0062】参考例1:合成例1で用いたのと同様の反
応容器に、ジエチレントリアミン1,237.9g(12
モル)及び尿素720.8g(12モル)を80℃で仕
込み、145〜155℃に昇温した後、同温度で2時間
保温した。次いで冷却して、1−(2−アミノエチル)
−2−イミダゾリジノンを主体とする反応生成物1,5
63.0gを得た。この生成物は、常温で事実上不揮発
性であった。
【0063】配合例1:合成例1で得られた架橋アミン
化合物の45.3%水溶液100.0g、参考例1で得ら
れた1−(2−アミノエチル)−2−イミダゾリジノン
主体の反応生成物181.2g及び水271.2gを混合
した後、十分に攪拌して、有効成分41%、pH10.
5、粘度62.5mPa・s の架橋アミン含有水溶液を得
た。これを樹脂組成物Aとする。
【0064】配合例2〜9:表1に記載の架橋アミン化
合物、不揮発性物質及び水をそれぞれそこに記載の量用
い、配合例1と同様の操作を行って、そこに記載の物性
を有する架橋アミン含有水溶液を得た。それぞれ樹脂組
成物B〜Iとする。なお、表1中の「AEI 」は、参考例
1で得られた1−(2−アミノエチル)−2−イミダゾリ
ジノン主体の反応生成物を意味する。
【0065】
【表1】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 配合例 No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 架橋アミン化合物 合成例 1 1 1 2 2 3 3 4 4 量 (g) 100.0 100.0 100.0 97.2 100.0 53.3 62.0 100.0 81.6 不揮発性物質 種類 AEI AEI AEI 尿素 尿素 尿素 尿素 尿素 尿素 量 (g) 181.2 105.7 68.0 167.8 100.8 85.7 58.14 181.2 86.3 水 (g) 271.2 162.6 108.3 246.6 150.4 122.2 82.4 271.2 132.7 ────────────────────────────────── 有効成分 (%) 41 41 41 41 51 41 41 41 41 pH 10.5 10.7 11.0 10.0 10.3 10.0 10.2 8.6 8.8 粘度 (mPa・s) 62.5 78.3 98.8 10.0 11.0 9.0 10.0 10.0 12.0 ────────────────────────────────── 樹脂組成物記号 A B C D E F G H I ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0066】評価例1〜9及び対照1〜2:次に、以上
の配合例で得られた架橋アミン含有組成物を用いて、紙
用塗工組成物を調製し、評価した例を示す。これらの例
ではまず、表2に示す組成で固形分濃度64.5%の水
系マスターカラーを調製した。
【0067】
【表2】
【0068】(表2の脚注)*1 クレー: 米国エンゲルハードミネラルズ社製の“ウ
ルトラホワイト90”*2 炭酸カルシウム: 富士カオリン(株)製の“カービ
タル90”
【0069】表2に示したマスターカラーへ、その中の
顔料100部あたり、配合例1〜9で得たそれぞれの樹
脂組成物を、その中の固形分が0.6部の割合となるよ
うに添加した。また対照1では、上記の樹脂組成物に代
えて、特開昭 55-31837 号公報(= USP 4,246,153 )の
実施例3に記載される方法に準じて製造された有効成分
50%の熱硬化性ポリアミドポリ尿素ホルムアルデヒド
樹脂水溶液(表中では「PAPU」と略す)を評価例1〜9
と同量添加し、対照2では、樹脂成分を添加せずにマス
ターカラーをそのまま用いた。それぞれの混合物に水と
10%苛性ソーダ水溶液を加えて濃度及びpHを調整
し、総固形分64%の塗工組成物とした。得られたそれ
ぞれの塗工組成物について、以下の方法で物性値を測定
し、その結果を表3に示した。
【0070】(1) pH:ガラス電極式水素イオン濃度計
〔東亜電波工業(株)製〕を用い、調製直後の塗工組成
物のpHを25℃にて測定した。
【0071】(2) 粘度:B型粘度計〔(株)東京計器
製、BL型〕を用い、60rpm 、25℃で、調製直後の
塗工組成物の粘度を測定した。
【0072】さらに、上で得られたそれぞれの塗工組成
物を、米坪量80g/m2の上質紙の片面に、ワイヤーロ
ッドを用いて塗工量が14g/m2となるように塗布し
た。塗布後ただちに、120℃にて30秒間熱風乾燥
し、次いで温度20℃、相対湿度65%にて16時間調
湿し、さらに温度60℃、線圧60kg/cmの条件で2回
スーパーカレンダー処理を施して、塗工紙を得た。こう
して得た塗工紙を耐水性及びインキ受理性の試験に供
し、試験結果を表3に示した。なお、試験方法は以下の
とおりである。
【0073】(3) 耐水性:ウェットピック法(WP法) RI試験機(明製作所製)を使用し、塗工面を給水ロー
ルで湿潤させた後に印刷し、紙むけ状態を肉眼で観察し
て判定した。判定基準は次のように行った。 耐水性 (劣)1〜5(優)
【0074】(4) インキ受理性 (4-1) A 法 RI試験機を使用して、塗工面を給水ロールで湿潤させ
た後に印刷し、インキの受理性を肉眼で観察して判定し
た。判定基準は次のように行った。 インキ受理性 (劣)1〜5(優)
【0075】(4-2) B 法 RI試験機を使用して、金属ロールとゴムロールの間に
わずかな間隙をあけ、その間隙に水を注いだ後速やかに
印刷し、インキの受理性を肉眼で観察して判定した。判
定基準は次のように行った。 インキ受理性 (劣)1〜5(優)
【0076】
【表3】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 評 価 例 対 照 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 2 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 用いた樹脂組成物 A B C D E F G H I PAPU − ──────────────────────────────────── 塗工組成物の物性 pH 9.6 9.7 9.8 9.4 9.4 9.4 9.4 9.2 9.1 9.2 9.2 粘度(mPa・s) 2800 2860 2890 2180 2250 2210 2290 2380 2470 2080 2060 ──────────────────────────────────── 塗工紙物性 耐水性:WP法 4.6 4.8 4.9 4.6 4.8 4.6 4.8 4.6 4.8 2.4 1.3インキ 受理性:A法 4.5 4.5 4.6 4.5 4.6 4.6 4.8 4.6 4.8 3.0 1.5 〃 :B法 4.2 4.6 4.9 4.4 4.6 4.4 4.8 4.6 4.7 3.0 1.5 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0077】
【発明の効果】本発明の塗工紙用樹脂は、ホルムアルデ
ヒド由来の構造を持たないため、それを含む塗工紙用樹
脂組成物がホルムアルデヒドを発生することはない。こ
の塗工紙用樹脂は、液状媒体に溶解又は分散された状態
で塗工紙用樹脂組成物とすることができ、これを顔料及
び水性バインダーと組み合わせて紙用塗工組成物とする
ことができる。この塗工組成物は、増粘や流動性悪化な
どの不都合を起こしにくく、またインキ受理性や耐水性
など、種々の性能が改良された塗工紙を与える。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浜口 利重 大阪市此花区春日出中3丁目1番98号 住 友化学工業株式会社内 Fターム(参考) 4J038 DB001 DB361 DB391 JB02 PC10 4L055 AG11 AG27 AG34 AG35 AG37 AG39 AG48 AG63 AG70 AG71 AG74 AG76 AG80 AG88 AG89 AG93 AG97 AH37 AH50 AJ04 BE09 FA13 FA15 FA19 GA19

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) 脂肪族アミン、(b) 分子内にグリシジ
    ル基を少なくとも2個有するグリシジル化合物、並びに
    (c) α,β−不飽和カルボニル化合物、α,β−不飽和
    ニトリル化合物及びα−ハロカルボン酸類から選ばれる
    カルボン酸系化合物の反応生成物である架橋アミン化合
    物を有効成分とする塗工紙用樹脂。
  2. 【請求項2】脂肪族アミン(a) が複素環アミンである請
    求項1記載の塗工紙用樹脂。
  3. 【請求項3】複素環アミンが、複素環を構成する2級又
    は3級アミノ基のほかに1級アミノ基を少なくとも1個
    有する請求項2記載の塗工紙用樹脂。
  4. 【請求項4】グリシジル化合物(b) が芳香族グリシジル
    エーテルである請求項1〜3のいずれかに記載の塗工紙
    用樹脂。
  5. 【請求項5】カルボン酸系化合物(c) が、α,β−不飽
    和カルボン酸、α,β−不飽和カルボン酸エステル、
    α,β−不飽和アルデヒド、α,β−不飽和ケトン及び
    α,β−不飽和ジカルボン酸無水物から選ばれるα,β
    −不飽和カルボニル化合物である請求項1〜4のいずれ
    かに記載の塗工紙用樹脂。
  6. 【請求項6】カルボン酸系化合物(c) が、α−ハロカル
    ボン酸、そのエステル及び塩から選ばれるα−ハロカル
    ボン酸類である請求項1〜4のいずれかに記載の塗工紙
    用樹脂。
  7. 【請求項7】カルボン酸系化合物(c) がアクリル酸又は
    クロロ酢酸である請求項1〜4のいずれかに記載の塗工
    紙用樹脂。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の塗工紙用
    樹脂及び液状媒体を含有し、該樹脂が該液状媒体に分散
    又は溶解していることを特徴とする塗工紙用樹脂組成
    物。
  9. 【請求項9】液状媒体が実質的に水からなる請求項8記
    載の樹脂組成物。
  10. 【請求項10】さらに非重合体の不揮発性物質を含有す
    る請求項8又は9記載の樹脂組成物。
  11. 【請求項11】不揮発性物質が尿素類である請求項10
    記載の樹脂組成物。
  12. 【請求項12】(I) 顔料、(II) 水性バインダー、及
    び(III) 請求項1〜7のいずれかに記載の塗工紙用樹脂
    を含有することを特徴とする紙用塗工組成物。
  13. 【請求項13】さらに非重合体の不揮発性物質を含有す
    る請求項12記載の塗工組成物。
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WO2013026788A2 (de) 2011-08-19 2013-02-28 Basf Se Harnstoffhaltige wässrige papierstreichfarben, harnstoffhaltige wässrige papierstreichfarbkomponenten und deren verwendung
CN113322716A (zh) * 2021-06-11 2021-08-31 广州万容材料科技有限公司 一种环保型纸塑复合材料用涂料以及纸塑复合材料

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