JP3111691B2 - 紙用塗工組成物 - Google Patents

紙用塗工組成物

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JP3111691B2
JP3111691B2 JP04267193A JP26719392A JP3111691B2 JP 3111691 B2 JP3111691 B2 JP 3111691B2 JP 04267193 A JP04267193 A JP 04267193A JP 26719392 A JP26719392 A JP 26719392A JP 3111691 B2 JP3111691 B2 JP 3111691B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙用塗工組成物に関す
るものであり、さらに詳しくは、紙に対して優れた印刷
適性および印刷効果を与えることができる紙用塗工組成
物に関するものである。ここでいう「紙」とは広義の意
味であり、狭義の意味における紙および板紙を包含す
る。
【0002】
【従来の技術】顔料と水性バインダーを主体とした塗工
組成物を紙に塗布し、乾燥、カレンダー処理などの必要
な工程を施して得られる塗工紙は、その優れた印刷効果
などの特長から、商業印刷物、雑誌、書籍などに広く用
いられている。そして、品質要求の高度化、印刷の高速
化などに伴って、塗工紙の品質改良努力が今もなお続け
られている。とりわけ印刷の多くを占めるオフセット印
刷においては、湿し水の影響下におけるインキ受理性、
ウェットピックやウェットラブなどの耐水性、輪転印刷
における耐ブリスター性の改良が、業界の重要な課題と
なっている。
【0003】こうした課題に対して従来より、各種の耐
水化剤や印刷適性向上剤を添加する手法が採用されてい
る。
【0004】ポリアルキレンポリアミン、尿素および二
塩基性カルボン酸の反応生成物に、アルデヒド類、エピ
ハロヒドリン類および/またはα,γ−ジハロ−β−ヒ
ドリン類を反応させて得られる水溶性樹脂を、塗工紙用
の耐水化剤ないしは印刷適性向上剤として用いること
は、例えば特公昭 44-11667 号公報、特公昭 59-32597
号公報、特公昭 61-42931 号公報、特開昭 62-104995号
公報などにより公知である。また、この樹脂における二
塩基性カルボン酸の関与をなくし、ポリアルキレンポリ
アミンと尿素類との縮合反応物に、アルデヒド類、エピ
ハロヒドリン類および/またはα,γ−ジハロ−β−ヒ
ドリン類を反応させて得られる水溶性樹脂を、紙用塗工
組成物の樹脂成分として用いることが、特開平 4-10099
7 号公報により提案されている。
【0005】一方、アンモニアやポリアミンに、アクリ
ル酸系化合物やメタクリル酸系化合物のような分極した
α,β−不飽和単量体をマイケル付加反応させ、さらに
ポリアミンとα,β−不飽和単量体とをそれぞれ逐次的
に反応させることにより、高度に分岐したポリアミドア
ミン類、いわゆるスターバーストデンドリマーが得られ
ることは、 Macromolecules 20, 1164-1167 (1987)や、
特表昭 60-500295号公報により知られている。こうして
得られる高度に分岐したポリアミドポリアミンは、同じ
分子量および末端基を有する普通のスター分岐樹脂など
に比べ、分子内ボイド容積が大きく、末端基密度が大き
いため、化学反応物に対する接近性が大きいという特徴
や、比較的低密度であるという特徴を有している。
【0006】しかしながら、このような高度に分岐した
ポリアミドアミン類を製造するためには、逐次反応を行
う必要があることから、 i) 工程数が増えるために、生産コストの点で工業的に
十分有益でなく、また ii) 逐次反応を重ねるにつれて分子内ボイドが急激に増
加し、反応媒体である溶剤の完全除去が困難になる といった問題がある。
【0007】また一方で、線状ポリアミドアミンにα,
β−不飽和カルボン酸系化合物とポリアミンを順次反応
させた枝分かれポリアミドアミンが、特公昭 62-7216号
公報に開示されている。この枝分かれポリアミドアミン
をさらにエピハロヒドリンにより変性したものは、製紙
における湿潤紙力増強剤として有用である旨記載されて
いる。しかしながら、こうして得られるエピハロヒドリ
ン変性枝分かれポリアミドアミンは、他の製紙工業用薬
剤である塗工紙用印刷適性向上剤としては、塗工カラー
の著しい増粘を引き起こすため、用いられない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主たる目的
は、工業的生産が容易な特定の水溶性樹脂を配合するこ
とにより、紙に対して高度の耐水性、インキ受理性およ
び耐ブリスター性が付与でき、かつこれらの性質がバラ
ンスよく発揮できる紙用塗工組成物を提供することにあ
る。
【0009】鋭意研究の結果、特定のアミドアミン構造
を有する化合物に尿素類またはシアン酸を反応させた化
合物は、工業的生産にも十分適応可能であり、そしてそ
の後さらにアルデヒド類などの架橋性化合物と反応させ
ることにより、塗工紙用の耐水化剤ないしは印刷適性向
上剤として優れた性質が得られることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A) 顔
料、(B) 水性バインダー、および(C) 活性水素
を有するアミノ化合物に分極したα,β−不飽和単量体
をマイケル付加反応させ、得られるマイケル付加物にポ
リアミンを反応させ、そして尿素類またはシアン酸を反
応させて得られるアミドアミン尿素化合物に、さらにア
ルデヒド類、エピハロヒドリン類およびα,γ−ジハロ
−β−ヒドリン類から選ばれる架橋性化合物を反応させ
て得られる水溶性樹脂を含有してなる紙用塗工組成物を
提供するものである。
【0011】本発明による塗工組成物の成分の一つであ
る顔料(A)は、紙の塗工に従来から一般に用いられて
いるものであり、白色無機顔料および白色有機顔料が用
いられる。白色無機顔料としては例えば、カオリン、タ
ルク、炭酸カルシウム(重質および軽質)、水酸化アル
ミニウム、サチンホワイト、酸化チタンなどが挙げら
れ、また白色有機顔料としては例えば、ポリスチレン、
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデ
ヒド樹脂などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で、
または二種以上混合して用いることができる。またさら
には、有色の無機または有機顔料を併用することもでき
る。
【0012】水性バインダー(B)も、紙の塗工に従来
から一般に用いられているものであり、水溶性のバイン
ダーや水乳化系のバインダーが使用しうる。水溶性バイ
ンダーとしては例えば、酸化でんぷんやリン酸エステル
化でんぷんをはじめとする無変性のまたは変性されたで
んぷん類、ポリビニルアルコール、カゼインやゼラチン
をはじめとする水溶性プロテイン、カルボキシメチルセ
ルロースをはじめとする変性セルロール類などが挙げら
れる。 また、水乳化系バインダーとしては例えば、ス
チレン−ブタジエン系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン
−酢酸ビニル樹脂、メチルメタクリレート樹脂などが挙
げられる。これらの水性バインダーは、それぞれ単独
で、または二種以上混合して用いることができる。
【0013】本発明では、このような顔料(A)および
水性バインダー(B)とともに、特定の水溶性樹脂
(C)を配合する。この水溶性樹脂(C)は、活性水素
を有するアミノ化合物に分極したα,β−不飽和単量体
をマイケル付加反応させ、得られるマイケル付加物にポ
リアミンを反応させ、そして尿素類またはシアン酸を反
応させて得られるアミドアミン尿素化合物に、さらにア
ルデヒド類、エピハロヒドリン類およびα,γ−ジハロ
−β−ヒドリン類から選ばれる架橋性化合物を反応させ
ることにより、得られる。
【0014】ここで用いる活性水素を有するアミノ化合
物は、アンモニアのほか、1級モノアミン、2級モノア
ミンまたはポリアミンでありうる。
【0015】1級モノアミンとしては、一般には脂肪族
アミン、それもアルキルアミンが用いられ、そのアルキ
ルは、炭素数1〜6のもの、さらには炭素数1〜3のも
のが代表的である。1級モノアミンの具体例は、メチル
アミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピル
アミン、ブチルアミン、ヘキシルアミンなどである。2
級モノアミンとしては、一般には脂肪族アミン、それも
ジアルキルアミンが用いられ、そのアルキルも、炭素数
1〜6のもの、さらには炭素数1〜3のものが代表的で
ある。2級モノアミンの具体例は、ジメチルアミン、ジ
エチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミ
ン、ジブチルアミンなどである。
【0016】ポリアミンとしては、一般には複数のアミ
ノ基がアルキレンにより連結されているものが用いら
れ、特に1級アミノ基を2個有する脂肪族ジアミンおよ
び、2個の1級アミノ基に加えてさらに1個または複数
個の2級アミノ基を有するポリアルキレンポリアミンが
好ましく用いられる。複数のアミノ基を連結するアルキ
レンは、炭素数2〜6程度でありうるが、一般には炭素
数2または3のもので十分である。したがって、脂肪族
ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、プロピ
レンジアミン、トリメチレンジアミンなどが挙げられ、
またポリアルキレンポリアミンの具体例としては、ジエ
チレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエ
チレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、3−ア
ザヘキサン−1,6−ジアミン、4,7−ジアザデカン
−1,10−ジアミンなどが挙げられる。
【0017】これらの活性水素を有するアミノ化合物の
なかでは、アンモニアおよびポリアミンが、分岐ポリア
ミドポリアミンを生成しうることから、好ましく用いら
れ、なかでも、アンモニア、エチレンジアミン、ジエチ
レントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが、工業
的に有利である。また、これらの活性水素を有するアミ
ノ化合物は、それぞれ単独で用いることもできるし、2
種以上を混合して用いることもできる。
【0018】このような活性水素を有するアミノ化合物
にマイケル付加反応させる分極したα,β−不飽和単量
体は、一般には次の式(I)で示される。
【0019】
【化1】
【0020】式中、Rは水素またはメチルであり、そし
てQはCNまたはCOQ′であり、ここにQ′はOH、
NH2 または低級アルコキシである。
【0021】換言すると、ここでいうα,β−不飽和単
量体は、アミノ基が求核付加しうる炭素−炭素二重結合
を有し、なおかつ異なる反応条件において、さらにアミ
ノ基と反応しうる部位を有するものである。
【0022】式(I)において、Rは水素またはメチル
であり、したがって分極したα,β−不飽和単量体とし
ては、アクリル酸系またはメタクリル酸系の化合物が好
ましく用いられる。またQは、シアノ、カルボキシ、ア
ミノカルボニルまたはカルボン酸低級アルキルエステル
基である。ここで低級アルキルとしては、炭素数1〜4
程度のものが挙げられ、なかでもメチルおよびエチルが
一般的である。
【0023】式(I)で示される分極したα,β−不飽
和単量体の具体例としては、アクリル酸およびメタクリ
ル酸を包含するα,β−不飽和カルボン酸、アクリル酸
メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタ
クリル酸エチルなどを包含するエステル類、アクリルア
ミドおよびメタクリルアミドを包含する酸アミド類、な
らびに、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを
包含するニトリル類が挙げられる。
【0024】活性水素を有するアミノ化合物と分極した
α,β−不飽和単量体とのマイケル付加反応は、通常約
0〜100℃、好ましくは10〜70℃程度の温度で、
約1〜48時間実施される。
【0025】分極したα,β−不飽和単量体の使用量
は、アミノ化合物中の活性水素の数によっても異なる
が、通常は活性水素を有するアミノ化合物1モルに対し
て約1モルまたはそれ以上である。使用量の上限には特
別な制限はなく、例えば反応率を上げるために、この
α,β−不飽和単量体を大過剰に用い、反応終了後、未
反応分を除去するといったことも可能である。しかし一
般には、アミノ化合物中の活性水素に対して2倍モル以
下の範囲で、α,β−不飽和単量体が用いられる。
【0026】活性水素を有するアミノ化合物が2級モノ
アミンである場合、α,β−不飽和単量体は好ましく
は、2級モノアミン1モルに対して1〜2モル程度の範
囲で使用される。活性水素を有するアミノ化合物が1級
モノアミンである場合、α,β−不飽和単量体は好まし
くは、2級モノアミン1モルに対して1〜4モル程度の
範囲で使用される。
【0027】また、活性水素を有するアミノ化合物がア
ンモニアまたはポリアミン、すなわち1分子中に活性水
素を3個以上有するものである場合、そのアミノ化合物
1モルに対し、α,β−不飽和単量体を2モル以上用い
て、分岐構造の生成物を与えるのが好ましい。この場合
も、α,β−不飽和単量体の使用量の上限に特別な制限
はないが、通常そのアミノ化合物中の活性水素に対して
2倍モル以下程度で十分である。より好ましくは、α,
β−不飽和単量体は、アンモニアまたはポリアミン1モ
ルに対し、2.5モル以上、さらには3モル以上、そして
アンモニアまたはポリアミン中の活性水素に対して1.5
倍モル以下程度用いられる。
【0028】反応の順序としては、分極したα,β−不
飽和単量体に対し、活性水素を有するアミノ化合物を反
応させていくのが、副反応を抑えるうえで好ましいが、
その逆でもよい。もちろん、両者を同時に仕込んで反応
させることもできる。また所望なら、水あるいは、メタ
ノール、エタノールなどの低級アルコールで反応系を希
釈することもできる。
【0029】このようにして、活性水素を有するアミノ
化合物に対するα,β−不飽和単量体のマイケル付加物
が得られる。得られた反応生成物は、混合物のまま次の
ポリアミンとの反応に供することができるが、所望な
ら、減圧蒸留や、例えばジクロロメタン、クロロホル
ム、エーテルなど適当な有機溶媒と、適当なpHに調節
した水による溶媒抽出といった、一般的な操作により、
主生成物の精製を行うことも可能である。
【0030】こうして得られるマイケル付加物に、さら
にポリアミンを反応させる。活性水素を有するアミノ化
合物へのα,β−不飽和単量体のマイケル付加反応およ
び、マイケル付加物へのポリアミンのアミド化反応にお
いては、近似した条件が採用され、場合によってはマイ
ケル付加反応の際に、副反応としてアミド化が起こって
しまうこともある。そこで一般には、マイケル付加反応
を、後のアミド化反応より温和な条件、例えばやや低い
反応温度で行うのが好ましい。
【0031】アミド化反応に用いるポリアミンは、分子
中に1個の1級アミノ基および別の1個の1級または2
級アミノ基を有し、両者がアルキレンで連結している脂
肪族ジアミンおよび、1個の1級アミノ基とともにさら
に少なくとも2個の1級、2級または3級アミノ基を有
し、これらのアミノ基がアルキレンで連結しているポリ
アルキレンポリアミンであり、一般には、次の式(II)
で示される。
【0032】
【化2】 NH2(Cn2nNR2)m1 (II)
【0033】式中、mは1〜6の整数であり、m回現れ
るnはそれぞれ独立に2〜6の整数であり、そしてR1
およびm回現れるR2 はそれぞれ独立に水素またはメチ
ルであるが、R1およびm個のR2のうち少なくとも一つ
は水素である。上記式(II)において、複数のアミノ基
を連結する Cn2nで表されるアルキレンは、炭素数2
〜6でありうるが、一般には、炭素数2または3で十分
である。またmは1〜6の整数でありうるが、一般には
1〜4程度で十分である。mが2以上の場合、mの値に
対応して複数回現れるアルキレンCn2n および基R2
は、それぞれ同じであっても、また異なっていてもよ
い。
【0034】このようなポリアミンの具体例としては、
エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレン
ジアミンなどの脂肪族ジアミン類および、ジエチレント
リアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペ
ンタミン、イミノビスプロピルアミン、3−アザヘキサ
ン−1,6−ジアミン、4,7−ジアザデカン−1,1
0−ジアミン、メチルイミノビスプロピルアミンなどの
ポリアルキレンポリアミン類が挙げられる。これらのポ
リアミンは、それぞれ単独で用いることもできるし、2
種以上を混合して用いることもできる。さらには、こう
したポリアミンに加えて、他のアミン、例えば1級また
は2級のモノアミン、1級アミノ基と3級アミノ基を有
するジアミンなどを混合して用いることもできる。
【0035】活性水素を有するアミノ化合物へのα,β
−不飽和単量体のマイケル付加物にさらにポリアミンを
反応させるにあたっては、マイケル付加物中に残された
アミノ基と反応しうる官能基の種類にもよるが、反応温
度は、通常10〜200℃程度、好ましくは30〜18
0℃程度であり、必要により生成するアルコールまたは
アンモニアを系外に除去しながら、約3〜72時間反応
が行われる。
【0036】ポリアミンの使用量は、マイケル付加反応
で使用したα,β−不飽和単量体1モルに対し、通常は
1〜20モル程度が適当であり、より好ましくは3〜1
0モル程度である。
【0037】反応の順序としては、ポリアミンに対し、
マイケル付加物を反応させていくのが好ましいが、その
逆でもよい。もちろん、両者を一緒に仕込んでも差し支
えない。また所望なら、水あるいは、メタノール、エタ
ノールのような低級アルコールなどを用いて、反応系を
希釈することもできる。特にα,β−不飽和単量体とし
て、アクリロニトリルなどのニトリル類を用いた場合
は、マイケル付加物のシアノ基がポリアミンと反応し、
さらに加水分解を受けてアミド結合を形成するので、マ
イケル付加物とポリアミンの反応は、通常水存在下で行
われる。
【0038】反応終了後、反応混合物のまま後の尿素類
またはシアン酸との反応に供することができるが、過剰
のポリアミンや反応溶媒を減圧蒸留および/またはカラ
ムクロマトグラフィーで分離除去することにより、主生
成物を単離してもよい。
【0039】このようにしてアミドアミン化合物が得ら
れる。このアミドアミン化合物は、一般には次の式(II
I) で示される構造単位を有する。
【0040】
【化3】
【0041】式中、R、R1 、R2 、mおよびnは先に
定義したとおりである。式(III) におけるmは、1〜6
の整数でありうるが、一般には1〜4程度で十分であ
る。また、式(III) 中のアルキレンCn2n は、炭素数
2〜6でありうるが、一般には炭素数2または3で十分
である。mが2以上の場合、mの値に対応して複数回現
れるアルキレンCn2n および基R2 は、それぞれ同じ
であってもまた異なっていてもよい。例えばポリアミン
として、3−アザヘキサン−1,6−ジアミンや4,7
−ジアザデカン−1,10−ジアミンのような、1分子
中に複数種のアルキレンが存在するものを用いた場合
は、式(III) 中で複数回現れるアルキレンは当然異なっ
てくる。
【0042】本発明ではさらに、式(III) で示される構
造単位を有するアミドアミン化合物に尿素類またはシア
ン酸を反応させて、アミドアミン尿素化合物とする。こ
こで用いる尿素類は、一般には次の式(IV)で示され
る。
【0043】
【化4】 NH2CONT12 (IV)
【0044】式中、T1 およびT2 はそれぞれ独立に水
素または低級アルキルである。低級アルキルとしては、
例えば炭素数1〜4のものが挙げられるが、一般にはメ
チルまたはエチルで十分である。かかる尿素類の具体例
としては、尿素のほか、N−メチル尿素、N−エチル尿
素などのN−モノアルキル尿素、N,N−ジメチル尿
素、N,N−ジエチル尿素などのN,N−ジアルキル尿
素といったN−モノ置換およびN,N−ジ置換尿素があ
る。工業的には尿素が好ましく用いられる。
【0045】またシアン酸は、HOCNなる構造を有す
るが、通常はシアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、
シアン酸アンモニウムなどのシアン酸塩類が用いられ、
かかる塩類を反応時に酸性条件下で分解して、反応系中
でシアン酸が発生するようにして用いる。なおアミン類
との反応において、尿素とシアン酸はほぼ同様に作用す
ることが知られており、例えば尿素は、反応時にはシア
ン酸アンモニウムの形になって脱アンモニアすると考え
られることから、本発明において、尿素を用いた場合も
シアン酸を用いた場合も、生成物は同じになる。
【0046】式(III) で示される構造単位を有するアミ
ドアミン化合物と尿素類またはシアン酸との反応にあた
って、尿素類を用いる場合の反応は、通常100〜18
0℃程度、好ましくは110〜160℃程度の温度で、
約1〜10時間実施される。この工程における尿素類の
使用量は、式(III) で示される構造単位を有するアミド
アミン化合物中の活性水素を有するアミノ基に対して
0.1〜1.5モル程度が好ましく、より好ましくは0.5〜
1モル程度である。
【0047】シアン酸を用いる場合は、通常10〜90
℃程度、好ましくは30〜60℃程度の温度で、約1〜
5時間反応を行う。通常は、アミドアミン化合物を含む
酸性の反応系内にシアン酸塩類を加えていくことによ
り、系内でシアン酸を発生させながら反応させていくと
いう方法がとられる。
【0048】尿素類またはシアン酸とアミドアミン化合
物の反応において、所望なら、適当な溶媒で希釈するこ
とも可能である。使用しうる反応溶媒には、水のほか、
メタノール、エタノールのような低級アルコールなどが
包含される。
【0049】こうして、中間体であるアミドアミン尿素
化合物が得られるが、このアミドアミン尿素化合物は、
一般に次の式(V)で示される構造単位を有する。
【0050】
【化5】
【0051】式中、R、R1 、mおよびnは先に定義し
たとおりであり、そしてm回現れるTのうち、一つは基
−CONT1 2 であり、残りはそれぞれ独立に水素、
メチルまたは基−CONT1 2 であり、ここにT1
よびT2 はそれぞれ独立に水素または低級アルキルであ
る。
【0052】例えば、活性水素を有するアミノ化合物と
してアンモニアを用い、α,β−不飽和単量体としてア
クリル酸、アクリロニトリル、アクリルアミド、アクリ
ル酸エステルのようなアクリル酸系化合物を十分な量用
い、ポリアミンとしてエチレンジアミンを用い、尿素類
またはシアン酸として尿素またはシアン酸を用いた場合
には、次式(Va)の構造を有する化合物が生成する。
【0053】
【化6】 N〔CH2CH2CONHCH2CH2NHCONH2 3 (Va)
【0054】アクリル酸系化合物の量およびマイケル付
加の反応条件を適切に選択することにより、アンモニア
に対する1付加体または2付加体を製造することもでき
る。
【0055】一方、上記反応において、アクリル酸系化
合物に代え、メタクリル酸、メタクリロニトリル、メタ
クリルアミド、メタクリル酸エステルのようなメタクリ
ル酸系化合物を用いることにより、式(V)におけるR
がメチルのものを製造することができる。
【0056】活性水素を有するアミノ化合物としてメチ
ルアミンを用い、α,β−不飽和単量体としてアクリル
酸系化合物を十分な量用い、ポリアミンとしてエチレン
ジアミンを用い、尿素類またはシアン酸として尿素また
はシアン酸を用いた場合は、次式(Vb)の構造を有する
化合物が生成する。
【0057】
【化7】 CH3 N〔CH2CH2CONHCH2CH2NHCONH2 2 (Vb)
【0058】この場合も、アクリル酸系化合物の使用量
やマイケル付加の反応条件などを適切に選択することに
より、異なる種類の化合物を生成させることができる。
【0059】活性水素を有するアミノ化合物としてジメ
チルアミンを用い、α,β−不飽和単量体としてアクリ
ル酸系化合物を用い、ポリアミンとしてエチレンジアミ
ンを用い、尿素類またはシアン酸として尿素またはシア
ン酸を用いた場合には、次式(Vc)の構造を有する化合
物が生成する。
【0060】
【化8】 (CH3)2 NCH2CH2CONHCH2CH2NHCONH2 (Vc)
【0061】活性水素を有するアミノ化合物としてエチ
レンジアミンを用い、α,β−不飽和単量体としてアク
リル酸系化合物を十分な量用い、ポリアミンとしてエチ
レンジアミンを用い、尿素類またはシアン酸として尿素
またはシアン酸を用いた場合には、次式(Vd) の構造を
有する化合物が生成する。
【0062】
【化9】
【0063】この場合も、アクリル酸系化合物の使用量
やマイケル付加の反応条件などを適切に選択することに
より、異なる種類の化合物を生成させることができる。
【0064】活性水素を有するアミノ化合物として他の
ポリアミンを用いた場合、α,β−不飽和単量体として
他の化合物、特にメタクリル酸系化合物を用いた場合、
マイケル付加物に反応させるポリアミンとして他の化合
物、特にポリアルキレンポリアミンを用いた場合、およ
び尿素類またはシアン酸として他の尿素類、例えばN−
モノ置換尿素類またはN,N−ジ置換尿素類を用いた場
合に得られるアミドアミン尿素化合物は、以上の説明か
ら当業者なら容易に理解できるであろう。
【0065】特に、マイケル付加物にポリアルキレンポ
リアミンを反応させた場合には、前記式(V)における
mが2以上となる。そして、尿素類またはシアン酸の量
およびそれとの反応条件を選択することにより、式中に
m回現れるTのうち、メチル以外をすべて、無置換のま
たは置換されたカルバモイル−CONT1 2 (ここ
に、T1 およびT2 は先に定義したとおりである)とす
ることもできるし、一部のTを水素のまま残すこともで
きる。また、それらの混合物が得られることも多い。
【0066】例えば、活性水素を有するアミノ化合物と
してアンモニアを用い、α,β−不飽和単量体としてア
クリル酸系化合物を十分な量用い、ポリアミンとしてジ
エチレントリアミンを用い、そして尿素類またはシアン
酸として尿素またはシアン酸を用いた場合には、次式
(Ve)または(Vg)で示されるアミドアミン尿素化合物
あるいはそれらの混合物が得られる。
【0067】
【化10】
【0068】これらの混合物であっても、またさらに未
反応のアミドアミン化合物などを含んでいても、後の架
橋性化合物との反応で得られる樹脂の性質に格段の影響
はない。
【0069】以上説明したアミドアミン尿素化合物のな
かでも、活性水素を有するアミノ化合物を核として分岐
構造をとるもの、すなわち次の式(VI)
【0070】
【化11】
【0071】(式中、R、R1 、m、nおよびTは先に
定義したとおりである)
【0072】で示される基を分子中に少なくとも3個有
し、これらの基が分子中の同一または異なる窒素原子に
結合している分岐したポリアミドアミン尿素化合物は特
に重要である。このような分岐ポリアミドアミン尿素化
合物は、一般には次の式(VII)で示される。
【0073】
【化12】
【0074】式中、pは0〜6の整数であり、p回現れ
るqはそれぞれ独立に2〜6の整数であり、Aは前記式
(VI)で示され、分子中の窒素原子に結合する基であ
り、aは3以上の数であり、そして窒素原子から出る結
合手が基Aに結合しない場合、その窒素原子の結合手は
水素またはメチルに結合している。
【0075】上記式(VII) において、pが0の場合は、
アンモニアを核として分岐したものとなり、pが1の場
合は、アルキレンジアミンを核として分岐したものとな
り、そしてpが2以上の場合は、ポリアルキレンポリア
ミンを核として分岐したものとなる。pの値は、原料の
アミノ化合物によって0〜6となりうるが、一般には0
〜4程度で十分である。 Cq2qで表されるアルキレン
は炭素数2〜6でありうるが、一般には炭素数2または
3で十分である。pが2以上の場合、pの値に対応して
複数回現れるqは、同じであっても、また異なってもよ
い。aの値は、pの値に対応して最大9までとなりうる
が、一般には3以上7程度までで十分である。
【0076】こうして得られるアミドアミン尿素化合物
を、さらに架橋性化合物、特にアルデヒド類、エピハロ
ヒドリン類またはα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類と反
応させることにより、水溶性樹脂とすることができる。
【0077】アルデヒド類としては、ホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒドやプロピルアルデヒドのようなア
ルキルモノアルデヒド類、グリオキザール、プロパンジ
アールやブタンジアールのようなアルキルジアルデヒド
類などを用いることができる。工業的には、ホルムアル
デヒドおよびグリオキザールが好ましい。これらのアル
デヒド類は、それぞれ単独で用いることもできるし、あ
るいは2種以上の混合物として用いることもできる。
【0078】エピハロヒドリン類は、一般に次の式(VI
II)で示される。
【0079】
【化13】
【0080】式中、Xはハロゲンであり、vは1、2ま
たは3である。エピハロヒドリン類の好ましい例として
は、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンなどが挙
げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以
上の混合物として用いることができる。
【0081】α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類は、一般
に次の式(IX)で示される。
【0082】
【化14】
【0083】式中、XおよびYはそれぞれ独立にハロゲ
ンである。α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類の具体例と
しては、1,3−ジクロロ−2−プロパノール、1,3
−ジブロモ−2−プロパノールなどが挙げられる。
【0084】アミドアミン尿素化合物と、アルデヒド
類、エピハロヒドリン類およびα,γ−ジハロ−β−ヒ
ドリン類から選ばれる架橋性化合物との反応は、好まし
くは各成分の合計濃度約20〜80重量%、より好まし
くは約30〜70重量%の水溶液中で行われる。この
際、架橋性化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、
また2種以上組み合わせて用いてもよい。例えば、アル
デヒド類とエピハロヒドリン類を組み合わせて用いるこ
ともできるし、またアルデヒド類とα,γ−ジハロ−β
−ヒドリン類を組み合わせて用いることもできる。
【0085】アミドアミン尿素化合物とアルデヒド類を
反応させる場合、好ましくは、酸、例えば塩酸、硫酸、
リン酸、ギ酸、酢酸などにより、pHを7以下、より好
ましくはpH3〜6に調整したあと、約40〜100℃
の温度で1〜10時間程度反応を行う。また、pH8〜
12のアルカリ性下でまず反応を行い、その後pHを7
以下、より好ましくはpH3〜6の酸性に調整して、反
応を続ける方法も好ましい。後者の場合、アルカリ性下
での反応は約40〜100℃で0.5〜5時間程度、また
酸性下での反応は約40〜100℃で0.5〜5時間程度
行うのが好ましい。アルデヒド類の使用量は、アミドア
ミン尿素化合物1モルに対し、アルデヒド基が0.1〜3
モル程度となるようにするのが好ましく、より好ましく
は0.3〜1.5モルである。
【0086】アミドアミン尿素化合物を、エピハロヒド
リン類またはα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類と反応さ
せる場合には、好ましくはpH5以上、より好ましくは
pH6〜9の条件下、温度約30〜100℃、好ましく
は40〜90℃で、1〜10時間程度反応を行う。エピ
ハロヒドリン類またはα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類
の使用量は、アミドアミン尿素化合物1モルに対し、
0.1〜3モル程度が好ましく、より好ましくは0.3〜2
モルである。
【0087】こうして得られる樹脂は水溶性であり、数
平均分子量は800〜 10,000 程度の範囲にある。この
場合の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC)により測定される。特に、本発明
による紙用塗工組成物の樹脂成分として、数平均分子量
1,000〜5,000 程度のものが好ましい。またこの樹脂
は、通常水溶液の形で得られ、その60重量%水溶液の
25℃における粘度は、20〜1,000 cp程度である。な
かでも、分岐ポリアミドアミン尿素化合物から得られる
樹脂は、官能基密度が高く、塗工紙用の印刷適性向上剤
として、優れた性質を有している。
【0088】紙用塗工組成物を調製するにあたって、顔
料および水性バインダーは、用途や目的に応じてそれぞ
れの組成割合が決定され、当業界で一般に採用されてい
る組成割合と特に異なるところはない。両者の好ましい
組成割合は、顔料100重量部に対し、水性バインダー
が5〜200重量部程度、より好ましくは10〜50重
量部程度である。また本発明によって得られる水溶性樹
脂は、顔料100重量部に対し、好ましくは0.05〜5
重量部程度、より好ましくは0.1〜2重量部程度配合さ
れる。塗工組成物中の固形分濃度は、コーターの種類や
紙もしくは組成物の用途によっても変化するが、一般に
は20〜72重量%程度の範囲から選ばれる。
【0089】本発明で用いる水溶性樹脂は、通常は紙用
塗工組成物を調製する際に添加混合されるが、予め顔料
スラリーまたは水性バインダーに添加混合しておき、そ
れに残りの成分を配合するといった方法をとることもで
きる。
【0090】紙用塗工組成物の調製にあたっては、その
他の成分として、分散剤、粘性・流動性調整剤、消泡
剤、防腐剤、潤滑剤、保水剤あるいは、染料や有色顔料
のような着色剤など、従来から紙用塗工組成物に使用さ
れているものを、必要に応じて配合することもできる。
【0091】こうして得られる紙用塗工組成物は、従来
より公知の方法、すなわちブレードコーター、エアーナ
イフコーター、バーコーター、サイズプレスコーター、
ゲートロールコーター、キャストコーターなど、公知の
各種コーターを用いる方法により、紙基体に塗布され
る。その後乾燥を行い、さらに必要に応じてスーパーカ
レンダーなどで平滑化処理を施すことにより、塗工紙を
製造することができる。
【0092】
【実施例】次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はこれらによって限定されるもので
はない。例中にある%および部は、特にことわらないか
ぎり重量基準である。また粘度は、25℃において測定
した値である。
【0093】参考例1 (a) アミドアミン尿素化合物の製造 温度計、リービッヒ冷却器および攪拌棒を備えた四つ口
フラスコに28%アンモニア水6.1g(0.1モル)を仕
込んだあと、そこへアクリロニトリル13.3g(0.25
モル)を滴下し、20〜30℃の温度に12時間保って
マイケル付加反応を行った。その後さらに、ジエチレン
トリアミン61.9g(0.6モル)を滴下し、120〜1
50℃の温度で24時間アミド化反応を行った。得られ
た反応混合物に尿素93.1g(1.55モル)を仕込み、
120〜130℃の温度で5時間脱アンモニア反応を行
った。
【0094】この反応による主生成物は、次の構造を有
する。
【0095】
【化15】
【0096】(b) 樹脂水溶液の調製 (a) で得られた反応混合物に、 水67.5gおよび37
%ホルマリン43.8g(0.54モル)を加え、70℃で
4時間反応させた。その後、苛性ソーダ水溶液でpHを
6.5に調整し、濃度60%、粘度260cpの樹脂水溶液
を得た。
【0097】参考例2 (a) アミドアミン尿素化合物の製造 温度計、リービッヒ冷却器および攪拌棒を備えた四つ口
フラスコに28%アンモニア水6.1g(0.1モル)を仕
込んだあと、そこへアクリル酸メチル23.2g(0.27
モル)を滴下し、30〜35℃の温度に9時間保ってマ
イケル付加反応を行った。その後ジエチレントリアミン
61.9g(0.6モル)を滴下し、110〜120℃の温
度で6時間アミド化反応を行った。引き続き、水31.8
gおよび尿素93.1g(1.55モル)を仕込み、110
〜120℃の温度で6時間脱アンモニア反応を行った。
【0098】この反応による主生成物も、参考例1の
(a) で得られた化合物と同様の構造を有する。
【0099】(b) 樹脂水溶液の調製 (a) で得られた反応混合物に、 水56.4gおよび37
%ホルマリン31.6g(0.39モル)を加え、70℃で
4時間反応させた。その後、苛性ソーダでpHを6.5に
調整し、濃度60%、粘度360cpの樹脂水溶液を得
た。
【0100】参考例3 (a) アミドアミン尿素化合物の製造 温度計、還流冷却器および攪拌棒を備えた四つ口フラス
コに、28%アンモニア水6.1g(0.1モル)を仕込
み、そこへアクリル酸メチル23.2g(0.27モル)を
滴下し、30〜40℃の温度で12時間反応させて、マ
イケル付加を完了した。この反応混合物につき、水およ
びジクロロメタンを用いて溶媒抽出し、有機相を減圧濃
縮して、アンモニアのアクリル酸メチル3付加体(トリ
スカルボメトキシエチルアミン)を単離した。 この単
離されたトリスカルボメトキシエチルアミン16.5g
(0.06モル)を再び、温度計、還流冷却器および攪拌
棒を備えた四つ口フラスコに仕込み、さらにジエチレン
トリアミン74.3g(0.72モル)を滴下し、140〜
150℃の温度で10時間アミド化反応を行った。その
後、還流冷却器をリービッヒ冷却器に交換し、1.5〜3
Torr、80〜100℃の条件で14時間蒸留し、メタノ
ールおよび未反応のジエチレントリアミンを留去した。
次いで、冷却器を再び還流冷却器に変更し、尿素37.8
g(0.63モル)および水15.4gを仕込み、100〜
120℃の温度で4時間脱アンモニア反応を行った。
【0101】この反応による主生成物も、参考例1の
(a) で得られた化合物と同様の構造を有する。
【0102】(b) 樹脂水溶液の調製 (a) で得られた反応混合物に、37%ホルマリン11.4
g(0.14モル)および水20.4gを仕込み、70℃で
4時間反応させた。その後、苛性ソーダ水溶液でpHを
6.5に調整し、濃度60%、粘度260cpの樹脂水溶液
を得た。
【0103】参考例4 (a) アミドアミン尿素化合物の製造 温度計、還流冷却器および攪拌棒を備えた四つ口フラス
コに、ジエチレントリアミン10.3g(0.1モル)を仕
込み、そこへアクリル酸メチル43.0g(0.5モル)を
滴下し、さらに水25gを仕込み、30〜40℃の温度
で18時間反応させた。その後、水およびジクロロメタ
ンを用いて溶媒抽出し、有機相を減圧濃縮して、ジエチ
レントリアミンのアクリル酸メチル5付加体(ペンタキ
スカルボメトキシエチルジエチレントリアミン)を単離
した。この単離されたペンタキスカルボメトキシエチル
ジエチレントリアミン42.7g(0.08モル)を再び、
温度計、還流冷却器および攪拌棒を備えた四つ口フラス
コに仕込み、さらにジエチレントリアミン123.8g
(1.2モル)を滴下し、70℃で6時間アミド化反応を
行った。その後、還流冷却器をリービッヒ冷却器に交換
し、0.4 Torr、70〜80℃の条件で6時間蒸留し、メ
タノールおよび未反応のジエチレントリアミンを留去し
た。次いで水33.0gおよび尿素60.1g(1モル)を
加えて、110℃で10時間脱アンモニア反応を行っ
た。
【0104】この反応による主生成物は、次の構造を有
する。
【0105】
【化16】
【0106】(b) 樹脂水溶液の調製 (a) で得られた反応混合物に、37%ホルマリン13.8
g(0.17モル)および水41.8gを加え、70℃で4
時間反応させた。その後、苛性ソーダでpHを6.5に調
整し、濃度60%、粘度290cpの樹脂水溶液を得た。
【0107】実施例 参考例1〜4で得た樹脂水溶液を用いて、表1に示す配
合により、紙用塗工組成物を調製した。
【0108】
【表1】 *1 ウルトラホワイト90: 米国エンゲルハードミネ
ラルズ社製クレー*2 カービタル90: 富士カオリン(株)製炭酸カル
シウム*3 スミレーズレジン DS-10: 住友化学工業(株)製
ポリアクリル酸系顔料分散剤*4 SN−307: 住友ダウ(株)製スチレンブタジ
エン系ラテックス*5 MS−4600: 日本食品(株)製リン酸エステ
ル化でんぷん*6 配合比は固形分重量による割合で表した。
【0109】調製した紙用塗工組成物は、総固形分が6
0%、pHが約9.0となるように、各々水と10%苛性
ソーダ水溶液で調整した。この組成物について、次のと
おり物性測定を行い、その結果を表2に示した。
【0110】塗工組成物の物性 (イ) p H ガラス電極式水素イオン濃度計〔東亜電波工業(株)
製〕を用い、調製直後の塗工組成物のpHを25℃にて
測定した。
【0111】(ロ) 粘 度 B型粘度計〔(株)東京計器製、BL型〕を用い、60
rpm 、25℃で、調製直後の塗工組成物の粘度を測定し
た。
【0112】この塗工組成物を、米坪量83g/m2であ
る上質紙の片面または両面に、ワイヤーロッドを用い
て、塗工量が15g/m2となるように塗布した。塗布後
ただちに、120℃にて30秒間熱風乾燥し、次いで温
度20℃、相対湿度65%にて16時間調湿し、さらに
温度60℃、線圧60kg/cmの条件で2回スーパーカレ
ンダー処理をして、塗工紙を得た。
【0113】こうして得た塗工紙を、耐水性、インキ受
理性および耐ブリスター性の試験に供した。試験結果は
表2に示した。なお、試験方法は以下のとおりである。
【0114】耐 水 性 (イ) ウェットラブ法(WR法) コート面上にイオン交換水を約0.1ミリリットル滴下
し、指先で7回摩擦し、溶出分を黒紙に移行させて、溶
出量を肉眼で判定した。判定基準は次のように行った。 耐水性 (劣)1〜5(優)
【0115】(ロ) ウェットピック法(WP法) RI試験機(明製作所製)を使用し、塗工面を給水ロー
ルで湿潤させたあとに印刷し、紙むけ状態を肉眼で観察
して判定した。判定基準は次のように行った。 耐水性 (劣)1〜5(優)
【0116】インキ受理性 (イ) A 法 RI試験機を使用して、塗工面を給水ロールで湿潤させ
たあとに印刷し、インキの受理性を肉眼で観察して判定
した。判定基準は次のように行った。 インキ受理性 (劣)1〜5(優)
【0117】(ロ) B 法 RI試験機を使用してインキに水を練り込みながら印刷
し、インキ受理性を肉眼で観察して判定した。判定基準
は次のように行った。 インキ受理性 (劣)1〜5(優)
【0118】耐ブリスター性 RI試験機を用い、オフセット輪転印刷用インキを使用
して、両面塗工紙に両面印刷を行い、調湿後、加熱した
シリコーンオイル浴中に浸し、ブリスターの発生量を肉
眼で判定した。判定基準は次のように行った。 耐ブリスター性 (劣)1〜5(優)
【0119】
【表2】
【0120】
【発明の効果】本発明の紙用塗工組成物を用いて得た塗
工紙は、インキ受理性および耐水性に優れ、また耐ブリ
スター性にも優れ、さらにはホルムアルデヒド臭の発生
がほとんどないなど、種々の優れた有効な特性を有す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤代 宗麿 大阪市此花区春日出中3丁目1番98号 住友化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−281127(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 19/00 - 27/42

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) 顔料、(B) 水性バインダー、
    および(C) 活性水素を有するアミノ化合物に分極し
    たα,β−不飽和単量体をマイケル付加反応させ、得ら
    れるマイケル付加物にポリアミンを反応させ、そして尿
    素類またはシアン酸を反応させて得られるアミドアミン
    尿素化合物に、さらにアルデヒド類、エピハロヒドリン
    類およびα,γ−ジハロ−β−ヒドリン類から選ばれる
    架橋性化合物を反応させて得られる水溶性樹脂を含有す
    ることを特徴とする、紙用塗工組成物。
  2. 【請求項2】水溶性樹脂が、分子中に活性水素を3個以
    上有するアミノ化合物を用いて得られる分岐したアミド
    アミン尿素化合物から調製される、請求項1記載の組成
    物。
  3. 【請求項3】活性水素を有するアミノ化合物が、アンモ
    ニア、アルキレンジアミンまたはポリアルキレンポリア
    ミンである、請求項2記載の組成物。
  4. 【請求項4】分極したα,β−不飽和単量体が、アクリ
    ル酸系またはメタクリル酸系の化合物である、請求項1
    〜3のいずれかに記載の組成物。
  5. 【請求項5】架橋性化合物が、ホルムアルデヒドまたは
    グリオキザールである、請求項1〜4のいずれかに記載
    の組成物。
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