JP3626580B2 - ポリビニルアルコール系組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカチオン変性ポリビニルアルコールの臭気が低減した組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
カチオン変性ポリビニルアルコール(以下「カチオン変性PVA」と略称する)は、通常ノニオン性であるポリビニルアルコールにカチオン基を含有させたものである。カチオン変性PVAの製造方法としては、特公昭62−34242号などの方法が提案されている。これらの方法により製造されたカチオン変性PVAは、各種アニオン性物質と反応性を有しており、抄紙時の紙に対する歩留まりが高いことから、インクジェット印刷用コーティング剤、内添紙力増強剤、カチオンエマルジョン用乳化分散剤、高分子凝集剤、脱水剤、マイクロカプセル用壁剤、洗濯糊剤、チーズ糊付け剤、ロックウールなどの無機物のバインダー、水性塗料のバインダー、アニオン化合物のキャッチャー剤等に広く用いられている。しかしながら、カチオン変性PVAはPVAにカチオン基を付与する為に使用する変性剤およびPVAに化学結合したカチオン基が熱処理、光照射、時間経過とともに一部分解して、一般に『魚臭』と呼ばれる低級アミン系化合物に由来する臭気が発生するという大きな問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はカチオン変性PVAから発生する低級アミン系化合物による『魚臭』と称されている臭気問題を解決することを目的としたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題について鋭意検討した結果、分子中にカチオン基を有するポリビニルアルコール(A)100重量部および硫酸アルミニウムカリウムまたは硫酸アルミニウムナトリウムからなる明礬類である水溶性金属硫酸塩0.001〜10重量部からなるポリビニルアルコール組成物を見出し本発明を完成させるに到つた。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明についてさらに詳しく説明する。本発明におけるカチオン変性PVA(A)は、共重合による方法や後変性による方法により製造される。共重合による方法としては、酢酸ビニルと(メタ)アクリルアミド−プロピル−トリメチルアンモニウムクロリド等の4級アンモニウム塩含有の単量体を塊状、溶液、懸濁、乳化などの公知の重合方法により共重合して得られるポリ酢酸ビニルをけん化する方法;酢酸ビニルとジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有単量体を共重合した後、塩化メチル等公知の4級化剤を添加してアミノ基を4級化した後、けん化する方法;酢酸ビニルとジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有単量体を共重合したものを通常の方法でけん化した後、公知の4級化剤でアミノ基を4級化する方法;酢酸ビニルとN−ビニルコハクイミドあるいはN−ビニルフタルイミドを共重合して得られたポリ酢酸ビニルを公知の方法によりけん化した後、更にアルカリまたはヒドラジンでイミド基を分解する方法などが挙げられる。後変性による方法としては、既存のPVAに4級アンモニウム基を有し、且つアルデヒド基、エポキシ基、シラノール基等の反応性基を有する低分子量化合物を反応させる方法、PVAにアクリルアミドをマイクル付加後、アクリルアミド単位をホフマン分解する方法などが挙げられる。
【0006】
カチオン変性PVAの分子内に存在するカチオン基の含有率は構成単位で0.01〜20モル%、好ましくは0.03〜10モル%、さらにより好ましくは0.05〜5モル%である。分子内に存在するカチオン基の含有率が構成単位で0.01モル%より小さくなると分子をカチオン化する効果が低下する。一方、分子内に存在するカチオン基の含有率が構成単位で20モル%より高くなってもそれ以下の変性PVAと比べて性能に大きな差はなく、生産コストが高くなる。
【0007】
カチオン変性PVAのけん化度としては、特に限定はないが、好ましくは70〜100モル%、さらに好ましくは80〜100モル%である。カチオン変性PVAの重合度は200〜30,000が好ましく、250〜20,000がより好ましく、300〜10,000がさらにより好ましい。ここでPVAの重合度は該PVAを再酢化して得たポリ酢酸ビニルのアセトン溶液の粘度から求められた粘度平均重合度である。本発明におけるカチオン変性PVAは、水溶性を阻害しない範囲であればさらに他の単量体と共重合を行なっても良く、また、連鎖移動剤を使用してポリマー末端を修飾したものも使用できる。
【0008】
次に本発明における水溶性金属硫酸塩(B)について説明する。本発明において使用する水溶性金属硫酸塩としては、それ自体の臭気がなく、水溶性で無色のものであって、その中でも安全性、装置の腐食性から、硫酸アルミニウムカリウムまたは硫酸アルミニウムナトリウムからなる明礬類が選ばれる。
【0009】
水溶性金属硫酸塩のカチオン変性PVAに対する配合量としてはカチオンPVA100重量部に対して10重量部以下であり、好ましくは0.001〜10重量部、より好ましくは0.001〜5重量部、さらにより好ましくは0.01〜1重量部である。
本発明における水溶性金属硫酸塩の適正な配合量は、カチオン変性PVAに含まれるカチオン基の量、カチオン基の種類により決定され、カチオン基の量が多かったり、分解しやすいカチオン基を使用した場合には、より多くの水溶性金属硫酸塩の配合量が必要となる。
本発明における水溶性金属硫酸塩の配合量は配合する相手のカチオン変性PVAに含まれるカチオン基の量が少ないと、0.001重量部未満の配合量でも十分な効果を与えるが、工業的に配合物を生産する場合、配合精度の観点から配合量は0.001重量部以上が好ましい。本発明における水溶性金属硫酸塩の配合量を10重量部より多くしてもその効果が増大せず、組成物そのもののPVA濃度の低下による物性低下やコスト増の問題が生じたり、ゲル化等の副反応が起きることがあるため好ましくない。
【0010】
本発明のポリビニルアルコール組成物の製造方法としては特に限定はないが、例えばカチオンPVA粉末に粉体水溶性金属硫酸塩をブレンドする方法;カチオン変性PVA粉末に水溶性金属硫酸塩水溶液をスプレー噴射して混合する方法;カチオン変性PVA水溶液に水溶性金属硫酸塩を溶解させる方法;熱溶融カチオン変性PVAを溶融混練する際に水溶性金属硫酸塩を添加する方法;カチオン変性PVAを用いた皮膜に水溶性金属硫酸塩を塗布する方法;カチオン変性PVAを塗布しようとする対象に予め水溶性金属硫酸塩を塗布しておき、カチオン変性PVAの塗布と同時に混合する方法などが挙げられる。また本発明のポリビニルアルコール組成物には本発明の効果を損わない範囲で一般に使用されている消泡剤、帯電防止剤、防カビ剤、殺菌剤、浸透剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、着色剤、充填剤、可塑剤等の助剤を併用しても差し支えない。また本発明の組成物を使用するにあたり他の高分子化合物を支障を来さない程度に併用することもできる。
【0011】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、以下で「部」および「%」は特に断わりのない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。なお、以下の実施例でPVAの重合度とあるのは、該PVAを通常の方法で再酢化し、30℃のアセトン中での固有粘度(単位:dl/g)から以下の式を用いて算出した値である。
重合度=([η]×103/7.94)(1/0.62)
【0012】
(カチオン変性PVAの合成)
酢酸ビニルと(メタ)アクリルアミド−プロピル−トリメチルアンモニウムクロリドをメタノール中で溶液共重合した後、反応液にメタノール蒸気を吹き込み、未反応モノマーを追い出して得たポリ酢酸ビニルのメタノール溶液に水酸化ナトリウムのメタノール溶液を添加して良く混合した後、一定時間放置してゲル化させた。次に、ゲルの粉砕を行い、メタノールで洗浄後、揮発分5%以下まで乾燥することにより、重合度1700、けん化度88.2モル%、カチオン変性度3モル%、酢酸ソーダの含有量0.35%のカチオン変性PVAを得た。これをC−PVA1と称する。
【0013】
C−PVA1と同様の方法で、重合度1700、けん化度88.0モル%、カチオン変性度1.0モル%、酢酸ソーダの含有量0.38%のPVAを得た。これをC−PVA2と称する。
【0014】
C−PVA1と同様の方法で、重合度560、けん化度88.1モル%、カチオン変性度0.5モル%、酢酸ソーダの含有量0.42%のPVAを得た。これをC−PVA3と称する。
【0015】
C−PVA1と同様の方法で、重合度3400、けん化度87.7モル%、カチオン変性度0.1モル%、酢酸ソーダの含有量0.43%のPVAを得た。これをC−PVA4と称する。
【0016】
酢酸ビニルとN−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドをメタノール中でメタノール溶液中で共重合した後、反応液にメタノール蒸気を吹き込み、未反応モノマーを追い出して得たポリ酢酸ビニルのメタノール溶液中に塩化メチルガスを3時間バブリングした後、C−PVA1と同様の方法でけん化し、重合度1700、けん化度87.4モル%、カチオン変性度1モル%、酢酸ソーダの含有量0.33%のPVAを得た。これをC−PVA5と称する。
【0017】
(臭気の測定)
1.常温法
良く洗浄、乾燥し、予め臭気の無いことを確認済みの容量500mlのガラス製密閉容器に、上記方法で得たカチオン変性PVA粉体100gに各種の水溶性金属硫酸塩を充填し、常温で1週間放置後、内部の臭気を官能評価した。その評価結果を、臭気が少ない方から0、2、4、6、8、10の記号で表1に示した。
2.加温法
常温法と同じ方式で調製した臭気評価用容器を常温で1週間放置後、更に90℃の乾燥機中に1時間放置し、内部の臭気を官能評価した。その評価結果を、臭気が少ない方から0、2、4、6、8、10の記号で表1に示した。
【0018】
【表1】
【0019】
【発明の効果】
本発明によると、カチオン変性ポリビニルアルコールの臭気、特に『魚臭』と呼ばれる低級アミン系化合物に由来する臭気を大きく低減することが可能であることから、工業的価値が極めて高いものである。
Claims (1)
- 分子中にカチオン基を有するポリビニルアルコール(A)100重量部および硫酸アルミニウムカリウムまたは硫酸アルミニウムナトリウムからなる明礬類である水溶性金属硫酸塩0.001〜10重量部からなるポリビニルアルコール組成物。
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JP21176197A JP3626580B2 (ja) | 1997-08-06 | 1997-08-06 | ポリビニルアルコール系組成物 |
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JPH1149914A JPH1149914A (ja) | 1999-02-23 |
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JP21176197A Expired - Fee Related JP3626580B2 (ja) | 1997-08-06 | 1997-08-06 | ポリビニルアルコール系組成物 |
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