JP2001181728A - 含クロム鋼製造時発生のダストおよびスラッジ中のクロム酸化物不溶化処理方法 - Google Patents

含クロム鋼製造時発生のダストおよびスラッジ中のクロム酸化物不溶化処理方法

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JP2001181728A
JP2001181728A JP36301999A JP36301999A JP2001181728A JP 2001181728 A JP2001181728 A JP 2001181728A JP 36301999 A JP36301999 A JP 36301999A JP 36301999 A JP36301999 A JP 36301999A JP 2001181728 A JP2001181728 A JP 2001181728A
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chromium
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molten steel
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JP36301999A
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Ryuji Nakao
隆二 中尾
Hiroaki Morishige
博明 森重
Tadanori Matsunami
忠則 松並
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダスト・スラッジ中に含まれるクロム酸化物
を不溶化する。 【解決手段】 ダスト・スラッジを乾燥後、含クロム鋼
の溶解、精錬を行う炉内に添加して溶融スラグを形成
し、次いで該スラグを溶鋼の浴面上から分離、除去する
に際し、溶鋼とスラグ間の脱硫分配比( S) /[ S] を
下記式を満足するように調整する。 log(S) /[ S] ≧0.08[ −614 /T+0.531[C] +0.
413[Si] +0.616(T.CaO)/(SiO2) −0.047(Al2O3)+0.01
76(MgO) +0.0264(CaF2)+0.172] 但し、Tは溶鋼温度( ℃) 、[ C] は溶鋼中[ C] 濃度
(mass%。以下同じ。)、[Si]は溶鋼中[Si]濃度、(T.CaO)
はスラグ中の(CaO) 中Caと(CaF2)中CaをCaOに換算した
濃度、(SiO2)はスラグ中(SiO2)濃度、(Al2O3) はスラグ
中(Al2O3) 濃度、(MgO) はスラグ中(MgO) 濃度、(CaF2)
はスラグ中(CaF2)濃度。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含クロム鋼の製造
時に発生するダストおよびスラッジに関して、環境上の
問題となる6価のCr(Cr6+ )の溶出を防止し、資源とし
ての利用を図る処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼のような11mass%以上のCr
を含む含クロム鋼は、電気炉での溶解工程の後、上底吹
き転炉、AODおよびVOD等での精錬工程を経て製造
されている。これらの工程では、溶解中の原料に含まれ
る不純物によるガスの発生や、溶解中あるいは精錬中の
ガス吹込み等によるダストの発生は避けられない。ダス
トはCr分を含み、かつ、高温の酸化性雰囲気に曝される
ために3価のCrの酸化物(Cr2O3) を形成し、一部に6価
のCrの酸化物(CrO3)を生成する。そのために、ダストを
外部に放置しておくと6価のCrの溶出を招き、環境上の
重大な問題を招くことになる。
【0003】また、含クロム鋼を、例えば、薄板や線材
等に加工していく段階においては、表面に生成する酸化
物皮膜を除去する工程があり、この工程で、HF,HNO3,H2
SO4等で構成される酸洗液が使用され酸化物が除去され
る。除去された酸化物はスラッジを形成し、酸洗液より
分離、除去される。その後、スラッジは、中和処理され
るが、スラッジ中に6価のCrの酸化物(CrO 3)が残存する
ことは避けられず、外部に放置しておくと、6価のCrの
溶出を招き、環境上の重大な問題を招くことになる。
【0004】従来、含クロム鋼の製造時に発生するダス
トやスラッジを電気炉内に添加して処理する方法が、特
開平1−306518号公報に開示されている。この方
法は、電気炉内にダストやスラッジを添加、溶解し、生
成するスラグ中の(Cr2O3) を還元するためにSi源を加
え、かつ、スラグ塩基度「[(CaO)+(MgO)]/(SiO2)」を上
昇させて処理するという方法である。この方法では、6
価のCrの溶出に対する対策は全くなされておらず、この
ために、前記方法による処理後、溶鋼の浴面上から分離
あるいは除去されたスラグは、6価のCrを溶出するとい
う危険性を抱えていて、十分なスラグ管理が必要であっ
た。
【0005】そして、これまで、含クロム鋼の溶解およ
び精錬工程で発生するスラグについて、溶解および精錬
工程の中で、6価のCrの溶出を防止する対策は全くとら
れておらず、このために、排滓処理されたスラグは定期
的に分析を行い、環境に悪影響を及ぼさないように十分
な管理がなされてきた。
【0006】しかし、6価のCrの溶出に対しては、さら
に、有効な防止策をとる必要があり、近年、本発明者ら
は、例えば、特開平8−302418号公報にて、スラ
グの処理に係る新規な方法を提示した。この方法は、含
クロム鋼の溶解精錬工程において発生するスラグを溶鋼
の浴面上から分離あるいは除去するに際し、脱硫分配比
( S) /[ S] を、下記(2) 式を満足するように調整し
て、スラグを分離あるいは除去する方法である。 log(S) /[ S] ≧1.06(T.CaO)/(SiO2)−0.62 …(2) 但し、(T.CaO) はスラグ中の(CaO) 中Caと(CaF2)中Caを
CaO に換算した濃度(mass%) 、(SiO2)はスラグ中(SiO2)
濃度(mass%) を示す。
【0007】この方法では、スラグ成分として、(T.Ca
O) と(SiO2)の影響のみが示されており、これら以外の
他のスラグ成分の影響は示されていない。それ故、場合
によっては、脱硫分配比(S)/[ S] が前記(2) 式を
満足していても、6価のCrの溶出が起きてしまうという
問題が生じていた。
【0008】一方、ダストあるいはスラッジを、溶解あ
るいは精錬工程以外で6価のCrが溶出しないように不溶
化する方法が、特開昭53−30424号公報、特開昭
53−135884号公報、特開昭54−118304
号公報および特開昭48−71371号公報等により多
数開示されている。これらの方法は、高温下で還元処理
するか、または、Fe(OH)2 やBa塩等の薬品を加えて処理
する方法であり、処理コストが高く、かつ、多量処理に
不向きであるために、含クロム鋼の製造時に多量に発生
するダストおよびスラッジの処理には十分に活用されて
いない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、含クロム鋼
の製造時に発生するダストやスラッジを、含クロム鋼の
溶解あるいは精錬を行う炉内に添加し、生成したスラグ
を溶鋼の浴面上から分離あるいは除去するに際し、排滓
後のスラグから6価のCrが溶出しないようにすることを
目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題を
有利に解決したものであり、その要旨は、含クロム鋼の
製造時に発生するダストおよび/またはスラッジを乾燥
させた後、該ダストおよび/またはスラッジを含クロム
鋼の溶解あるいは精錬を行う炉内に添加して溶融スラグ
を形成させ、次いで、該溶融スラグを溶鋼の浴面上から
分離あるいは除去するに際し、スラグ中( S) 濃度と溶
鋼中[ S] 濃度の比である脱硫分配比(S) /[ S]
を、下記(1) 式を満足するように調整してスラグを分離
あるいは除去することを特徴とする含クロム鋼製造時発
生のダストおよびスラッジ中のクロム酸化物不溶化処理
方法である。
【0011】 log(S) /[ S] ≧0.08[ −614 /T+0.531[C] +0.413[Si] +0.616(T.CaO)/(SiO2) −0.047(Al2O3)+0.0176(MgO) +0.0264(CaF2)+0.172] …(1) 但し、Tは溶鋼温度( ℃) 、[ C] は溶鋼中[ C] 濃度
(mass%) 、[Si]は溶鋼中[Si]濃度(mass%) 、(T.CaO) は
スラグ中の(CaO) 中Caと(CaF2)中CaをCaO に換算した濃
度(mass%) 、(SiO2)はスラグ中(SiO2)濃度(mass%) 、(A
l2O3) はスラグ中(Al2O3) 濃度(mass%) 、(MgO) はスラ
グ中(MgO) 濃度(mass%) 、(CaF2)はスラグ中(CaF2)濃度
(mass%) を示す。
【0012】また、さらに、本発明の要旨は、含クロム
鋼の製造時に発生するダストおよび/またはスラッジを
乾燥させた後、該ダストおよび/またはスラッジを含ク
ロム鋼の溶解あるいは精錬を行う炉内に添加して溶融ス
ラグを形成させ、次いで、該溶融スラグを溶鋼の浴面上
から分離あるいは除去するに際し、前記(1) 式を満足す
る脱硫分配比( S) /[ S] を得るために、溶解、精錬
時間を長くするか、または、SiやAl等の脱酸剤を加え、
溶鋼の脱硫反応を促進することを特徴とする含クロム鋼
製造時発生のダストおよびスラッジ中のクロム酸化物不
溶化処理方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】含クロム鋼の製造時に発生するダ
ストおよびスラッジには、クロム酸化物として、3価の
Crの酸化物(Cr2O3) と6価のCrの酸化物(CrO3)が多量
に含まれている。このダストおよびスラッジを、含クロ
ム鋼の溶解あるいは精錬を行う炉内に添加した場合、ク
ロム酸化物の(Cr2O3) と(CrO3)は炉内に生成しているス
ラグ中にまず移行する。その後、溶解工程では、溶解末
期の昇温期あるいは還元期で、また、精錬工程では、還
元剤としてSiやAl等を添加して精錬を行う還元期で、下
記(3) 式から下記(5) 式で示す還元反応が進行し、特に
6価のCrの酸化物(CrO3)はほとんど微量になる。
【0014】 2(CrO3)→ (Cr2O3)+3[O] ……………………(3) (CrO3)→ [Cr] +3[O] ……………………………(4) (Cr2O3) →2[Cr]+3[O] …………………………(5) しかし、6価のCrの酸化物(CrO3)は微量でも存在すれ
ば、排滓後のスラグにおいて、6価のCrの溶出の原因と
なるから、溶解、精錬工程で完全に還元しておく必要が
ある。
【0015】従来より、スラグ中の6価のCrの酸化物(C
rO3)を、溶解、精錬工程の間で、すなわち、排滓する前
に定量分析する方法は全くなく、このために、排滓処理
したスラグを管理する方法がとられてきた。本発明者ら
は、特開平8−302418号公報に開示したように、
排滓後のスラグの6価のCrの溶出量は、溶鋼とスラグ間
の反応状態に依存することを見い出し、これを定量化す
る式として、前記(2)式を導出した。この関係は、同一
スラグ塩基度で考えた場合、( S) /[ S] が高いこと
は還元反応が十分に進行していることを意味し、このた
め、6価のCrの酸化物(CrO3)が完全に存在しない状態が
達成されて、6価のCrの溶出がなくなることを意味して
いる。
【0016】その後の調査で、本発明者らは、前記(2)
式の関係は、溶鋼温度およびスラグ組成の条件がかなり
限定された範囲のみで成り立ち、条件が広範囲で変化す
る場合には、前記(2) 式の関係が成り立たない場合が存
在することを見い出し、広範囲で成り立つ条件として、
前記(1) 式の関係を導出した。前記(1) 式の関係も、同
一の溶鋼温度、溶鋼組成、スラグ組成で脱硫分配比が高
いことは、還元反応が十分に進行していることを意味
し、このため、6価のCrの酸化物(CrO3)が完全に存在し
ないことを意味している。
【0017】なお、前記(1) 式の右辺は、溶鋼温度、溶
鋼組成、スラグ組成の項に定数0.08をかけた式となって
いる。これは、溶鋼温度、溶鋼温度、スラグ組成の項は
実験により導出した“限界の脱硫分配比”を求める式で
あり、この式に定数0.08をかけることは、“限界の脱硫
分配比”に対し、8%以上の脱硫反応を進行させれば、
6価のCrの溶出はないことを意味している。
【0018】さらに、本発明者らは、脱硫反応を促進さ
せて前記(1) 式を満足させるには、溶解精錬時間を長く
するか、または、SiやAl等の脱酸剤を加えることが有効
であることを見い出した。これらの方法により、ダスト
およびスラッジ中に含まれるクロム酸化物の不溶化が達
成され、かつ、ダストおよびスラッジ中に含まれるCr、
Ni等の有価金属の回収、利用が可能になる。
【0019】以下、本発明の実施の形態について詳細に
説明する。本発明の含クロム鋼製造時発生のダストおよ
びスラッジ中のクロム酸化物不溶化処理方法(以下、
「本発明方法」という)は、図1に例示するような、含
クロム鋼の溶解あるいは精錬工程に適用するものであ
る。図1の( a) は電気炉での溶解、( b) はAOD炉
での精錬、( c) は上底吹き転炉での溶解精錬、( d)
はVOD炉での精錬工程を示し、図中の1は電極、2は
溶鋼、3はスラグ、4は上吹きランス、5は横吹き羽
口、6は底吹き羽口、7は底吹きポーラスプラグを示
す。溶解あるいは精錬を行う炉では、添加するダストや
スラッジ以外に、溶解精錬を効率的に進め、かつ、炉の
耐火物を保護するために、溶鋼量の5%以上のスラグの
発生は避けられない。また、スラグは溶解精錬の末期で
は溶融スラグを形成する。
【0020】前記したように、ダストやスラッジ中には
6価のCrの酸化物(CrO3)が含まれていて、これは、溶解
精錬工程の中で溶融スラグ中に移行する。本発明方法
は、スラグからの6価のCrの溶出量は、溶鋼とスラグの
脱硫分配比( S) /[ S] に依存することを見い出し、
( S) /[ S] の値に“しきい値”を設けること、およ
び、脱硫反応を促進することにより、排滓後スラグから
の6価のCrの溶出を完全に防止することを可能にして、
ダストやスラッジ中のクロム酸化物を不溶化するもので
ある。
【0021】図2は、SUS304ステンレス鋼の電気
炉での溶解工程およびAOD炉での精錬工程で、乾燥さ
せたダストやスラッジを溶鋼トン当り20〜200kg 添加し
て、溶解および精錬を行った場合の各工程のスラグを分
離あるいは除去する前の溶鋼温度、溶鋼組成、スラグ組
成より、下記(6) 式で求められる脱硫分配比( S) /[
S] の計算値と実績値の関係を示す。 log(S) /[ S] =0.08[ −614 /T+0.531[C] +0.413[Si] +0.616(T.CaO)/(SiO2) −0.047(Al2O3)+0.0176(MgO) +0.0264(CaF2)+0.172] …(6)
【0022】なお、6価のCrの分析は環境庁告示の分析
方法に則って行い、図中の白丸印(以下「○印」と記載
することがある。)と黒丸印は溶解工程での値、白四角
印(以下「□印」と記載することがある。)と黒四角印
は精錬工程での値を示し、また、黒丸印と黒四角印は、
排滓後スラグの6価のCrの溶出分析を行った結果、溶出
量が環境基準の0.05mg/lを超えたスラグを、○印と□印
は、6価のCrの溶出量が0.04mg/l以下の問題とならない
スラグを示す。図2より、黒丸印と黒四角印が存在する
領域は図中の実線より下の領域であり、実線より上の領
域に保持すれば、排滓後のスラグからの6価のCrの溶出
は防止できることがわかる。この領域を式で表せば前記
(1) 式となる。
【0023】図3は、SUS304ステンレス鋼の電気
炉での溶解工程およびAOD炉での精錬工程で、乾燥さ
せたダストやスラッジを溶鋼トン当り50kg添加して、溶
解および精錬を行った場合の最終の還元期で初めて溶鋼
およびスラグの分析を行ってからの溶解精錬時間と脱硫
分配比( S) /[ S] の関係を示す。なお、この場合の
溶鋼温度、溶鋼組成、スラグ組成より、前記(6) 式で求
められる脱硫分配比の計算値は90.0であった。図中の○
印は溶解工程、□印は精錬工程での値を示す。この場合
では、図3に示すように、溶鋼およびスラグの分析値で
の( S) /[ S] が初回分析で5以下の低い値なので、
精錬を継続して精錬時間をさらに2分以上長くすること
により、前記(1) 式で求まる“しきい値7.2 ”を超える
ことが可能になり、排滓後のスラグからの6価のCrの溶
出を効率よく防止することが可能になる。
【0024】図4は、SUS304ステンレス鋼の電気
炉での溶解工程およびAOD炉での精錬工程で、乾燥さ
せたダストやスラッジを溶鋼トン当り50kg添加して、溶
解および精錬を行った場合の最終の還元期で脱酸剤とし
てSiを溶鋼トン当り1kgを追加添加する前後の前記(6)
式より計算される脱硫分配比( S) /[ S] の計算値と
実績値の関係を示す。なお、図中の○印は溶解工程、□
印は精錬工程での値を示す。図4より、脱酸剤を加え、
脱硫反応を促進させることで( S) /[ S] の値が大き
くなり、6価のCrの溶出を効率よく防止することが可能
になることがわかる。
【0025】以上より、含クロム鋼の製造時に発生する
ダストやスラッジを乾燥させて、含クロム鋼の溶解ある
いは精錬を行う炉内に添加して溶融スラグを形成させ、
このスラグを溶鋼の浴面上から分離あるいは除去するに
際し、脱硫分配比を、前記(1) 式を満足するように調整
した後にスラグを分離あるいは除去することで、排滓後
のスラグからの6価のCrの溶出を防止することが可能に
なる。また、脱硫分配比を上げて、前記(1) 式を満足さ
せるには溶解精錬時間を長くするか、または、SiやAl等
の脱酸剤を加えることが有効であることが確認された。
これらの方法により、ダストやスラッジ中のクロム酸化
物の不溶化が達成される。
【0026】なお、前記(1) 式の計算に使用する溶鋼組
成、スラグ組成は溶解精錬工程の間で分析により確認で
きる値であり、前記(1) 式を満足することを確認した後
に、スラグを分離あるいは除去することで排滓後のスラ
グの管理が不要になる。また、ダストやスラッジを乾燥
させて使用するのは、ダストやスラッジは多量の水分を
含む場合が殆どであり、そのまま使用した場合には、溶
解および精錬中に水蒸気爆発等の危険性があり、操業上
の支障をきたす可能性があるためである。
【0027】
【実施例】含クロム鋼の製造時に発生したダストやスラ
ッジの処理を、SUS304ステンレス鋼(8mass%Ni−
18mass%Cr)60tonの溶鋼を製造する図1の( a) に示す
溶解工程、同( b) に示す精錬工程の実施態様で実施し
た。溶解工程では、スクラップ、Fe−Cr、Fe−Niの原料
に加え、乾燥させたダストやスラッジを溶鋼トン当り50
〜250kg 添加して溶解し、溶鋼温度1500℃まで昇温した
後、取鍋にスラグと共に出鋼した。取鍋に入ったスラグ
は、AOD炉に溶鋼を入れる前にスラグパンに傾転排滓
した。AOD炉では、[ C] 濃度0.05mass%まで脱炭す
る過程で、乾燥させたダストやスラッジを溶鋼トン当り
20〜100kg を添加した。脱炭後、脱炭中に酸化した[Cr]
を還元するために還元剤を加え、還元精錬を行った後に
スラグと共に出鋼した。溶鋼を連続鋳造した後に、スラ
グはスラグパンに分離、除去した。
【0028】表1に、ダストやスラッジの処理を溶解、
精錬工程で行った実施の態様を示す。本発明例および比
較例とも、いずれも50チャージに適用した。本発明例で
は、出鋼する前に溶鋼温度の測定、溶鋼およびスラグの
分析を行い、脱硫分配比( S) /[ S] の前記(6) 式に
よる計算値と実績値を確認し、両者の関係が前記(1) 式
を満足しない場合には、溶解精錬時間を2分間延長する
か、または、脱酸剤としてSiを溶鋼トン当り1kg添加し
て処理する方法を採用した。比較例は、前記(1) 式によ
る6価のCrの溶出を検知する手段のない場合の方法であ
り、溶解および精錬後直ちに出鋼して、スラグを排滓処
理した場合である。
【0029】
【表1】
【0030】実施結果を表2に示す。スラグ管理コスト
は本発明例のコストを100 として、比例換算した値であ
る。
【0031】
【表2】
【0032】本発明例では、排滓後のスラグからの6価
のCrの溶出量が基準値を超えるものは皆無であり、ダス
トやスラッジ中のクロム酸化物の不溶化が達成されてい
る。そのため、排滓後のスラグの管理コストは大幅に削
減されたものとなっている。
【0033】
【発明の効果】本発明方法によると、含クロム鋼の製造
時に発生するダストやスラッジの処理が、含クロム鋼の
溶解あるいは精錬工程で可能になる。また、発生するス
ラグの排滓処理において、排滓後のスラグからの6価の
Crの溶出を防止することが可能になり、この結果、定常
的な6価のCrの分析が不要となるために、スラグ管理の
手間を大幅に削減できる。さらに、ダストやスラッジ中
に含まれるCr、Ni等の有価金属を還元、回収し、その有
効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様を示す概略断面図で、( a)
は電気炉での溶解工程、( b)はAOD炉での精錬工
程、( c) は上底吹き炉での溶解精錬工程、( d) はV
OD炉での精錬工程を示す図である。
【図2】前記(6) 式より計算した脱硫分配比( S) /[
S] の計算値と実績の脱硫分配比の関係における6価の
Cr溶出量の状態を示す図である。
【図3】初回分析からの溶解精錬時間と脱硫分配比(
S) /[ S] との関係を示す図である。
【図4】前記(6) 式より計算した脱硫分配比( S) /[
S] の計算値と実績の脱硫分配比の関係における脱酸剤
の添加の効果を示す図である。
【符号の説明】 1…電極 2…溶鋼 3…スラグ 4…上吹きランス 5…横吹き羽口 6…底吹き羽口 7…底吹きポーラスプラグ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松並 忠則 山口県光市大字島田3434番地 新日本製鐵 株式会社光製鐵所内 Fターム(参考) 4K002 AA03 AE01 AF04 AF05 AF10 BD04 BE10 4K013 AA02 BA05 CB09 EA19 EA28 FA11

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含クロム鋼の製造時に発生するダストお
    よび/またはスラッジを乾燥させた後、該ダストおよび
    /またはスラッジを含クロム鋼の溶解あるいは精錬を行
    う炉内に添加して溶融スラグを形成させ、次いで、該溶
    融スラグを溶鋼の浴面上から分離あるいは除去するに際
    し、スラグ中( S) 濃度と溶鋼中[ S] 濃度の比である
    脱硫分配比(S)/〔S〕を、下記(1) 式を満足するよ
    うに調整してスラグを分離あるいは除去することを特徴
    とする含クロム鋼製造時発生のダストおよびスラッジ中
    のクロム酸化物不溶化処理方法。 log(S) /[ S] ≧0.08[ −614 /T+0.531[C] +0.413[Si] +0.616(T.CaO)/(SiO2) −0.047(Al2O3)+0.0176(MgO) +0.0264(CaF2)+0.172] …(1) 〔但し、Tは溶鋼温度( ℃) 、[ C] は溶鋼中[ C] 濃
    度(mass%) 、[Si]は溶鋼中[Si]濃度(mass%) 、(T.CaO)
    はスラグ中の(CaO) 中Caと(CaF2)中CaをCaO に換算した
    濃度(mass%) 、(SiO2)はスラグ中(SiO2)濃度(mass%) 、
    (Al2O3) はスラグ中(Al2O3) 濃度(mass%) 、(MgO) はス
    ラグ中(MgO) 濃度(mass%) 、(CaF2)はスラグ中(CaF2)濃
    度(mass%) を示す。〕
  2. 【請求項2】 前記脱硫分配比( S) /[ S] が前記
    (1) 式を満足しない場合は、さらに溶解精錬を継続する
    ことを特徴とする請求項1記載の含クロム鋼製造時発生
    のダストおよびスラッジ中のクロム酸化物不溶化処理方
    法。
  3. 【請求項3】 前記脱硫分配比( S) /[ S] が前記
    (1) 式を満足しない場合は、脱酸剤を添加して溶鋼の脱
    硫反応を促進することを特徴とする請求項1記載の含ク
    ロム鋼製造時発生のダストおよびスラッジ中のクロム酸
    化物不溶化処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113249548A (zh) * 2021-05-13 2021-08-13 郑州东升冶金新材料有限公司 一种铝钙质多功能渣洗料制备方法
CN114752731A (zh) * 2022-03-23 2022-07-15 北京首钢股份有限公司 一种rh精炼高效脱硫的方法

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