JP3960728B2 - 含クロム鋼スラグおよびその処理方法 - Google Patents

含クロム鋼スラグおよびその処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含クロム鋼の溶解精錬工程において発生するスラグに関して、環境上の問題となる6価のCr(Cr6+ )の溶出を防止し、資源としてのスラグの利用をはかるスラグ処理方法およびスラグ組成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ステンレス鋼のような11mass%以上のCrを含む含クロム鋼は、電気炉での溶解工程後、上底吹き転炉、AOD炉およびVOD炉等での精錬工程を経て製造されている。これらの工程(以下、溶解精錬工程という)では、溶鋼中の[ C] 、[ S] 等の不純物の除去が行なわれるが、溶鋼中の[Si]や[Al]等の酸化が起こり、(SiO2)、(Al2O3) 等の酸化物が生成する。一方、炉の耐火物を保護するためにCaO やMgO が添加される。これらの結果、溶解精錬工程ではスラグの生成は避けられない。
【0003】
また、含クロム鋼の溶解精錬工程では、溶鋼中[Cr]の酸化が避けられず、スラグ中に3価のCrの酸化物(Cr2O3) が生成し、一部に6価のCrの酸化物(CrO3)が生成する。これらの酸化物は溶解精錬工程の末期で還元処理されるが、処理が不十分であればスラグ中に(CrO3)が残存し、スラグを含クロム溶鋼から分離した後に6価のCrの溶出を招き、環境上の問題となるために、スラグの資源としての利用が阻害されてきた。
【0004】
これまで、含クロム鋼の溶解精錬工程で、スラグからの6価のCrの溶出を防止する対策および6価のCrの溶出のないスラグの条件は知られておらず、このため、排滓処理されたスラグは定期的に分析を行い、環境に悪影響を及ぼさないように、十分な管理がなされてきた。
【0005】
近年、本発明者らは、例えば特開平8−302418号公報で、スラグを処理する方法を提示している。この方法は、含クロム鋼の溶解精錬工程において発生するスラグを、溶鋼の浴面上から分離あるいは除去するに際し、脱硫分配比( S) /[ S] を、下記(3) 式を満足するように調整してスラグを分離あるいは除去する方法である。
log(S) /[ S] ≧1.06(T.CaO)/(SiO2)−0.62 ……………………(3)
但し、(T.CaO) はスラグ中の(CaO) 中Caと(CaF2)中CaをCaO に換算した濃度(mass%) 、(SiO2)はスラグ中(SiO2)濃度(mass%) を示す。
【0006】
この方法では、スラグ成分として、(T.CaO) と(SiO2)の影響のみが示されており、これら以外の他のスラグ成分の影響が示されていないために、場合によっては、脱硫酸比(S)/[ S] が上記(3) 式を満足していても、6価のCrの溶出が起きてしまうという問題が生じていた。
【0007】
一方、排滓されたスラグから6価のCrが溶出しないように不溶化する方法は、特開昭48−71371号公報、特開平5−345658号公報、特開昭52−93669号公報および特開昭52−152651号公報等により、多数開示されている。これらの方法は、高温下で還元処理するか、または、Fe(OH)2 やBa塩等の薬品を加えて処理する方法であり、処理コストが高く、かつ多量処理に不向きであるために、多量に発生する含クロム鋼のスラグの処理には十分には活用されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、含クロム鋼の溶解精錬工程において発生するスラグを溶鋼の浴面上から分離あるいは除去するに際し、排滓後のスラグからの6価のCrの溶出を防止することを目的とする。また、(T.CaO) と(SiO2)以外のスラグ成分も考慮して、6価のCrの溶出のないスラグ組成を提示することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を有利に解決したものであり、その要旨は、含クロム鋼の溶解精錬工程において発生するスラグを溶鋼の浴面上から分離あるいは除去するに際し、スラグ中( S) 濃度と溶鋼中[ S] 濃度の比である脱硫分配比( S) /[ S] を、下記(1) 式を満足するように調整してスラグを分離あるいは除去することを特徴とする含クロム鋼スラグの処理方法である。
【0010】
Figure 0003960728
但し、Tは溶鋼温度( K) 、[ C] は溶鋼中[ C] 濃度(mass%) 、[Si]は溶鋼中[Si]濃度(mass%) 、(T.CaO) はスラグ中の(CaO) 中Caと(CaF2)中CaをCaO に換算した濃度(mass%) 、(SiO2)はスラグ中(SiO2)濃度(mass%) 、(Al2O3) はスラグ中(Al2O3) 濃度(mass%) 、(MgO) はスラグ中(MgO) 濃度(mass%) 、(CaF2)はスラグ中(CaF2)濃度(mass%) を示す。
【0011】
また、本発明の要旨は、前記溶解精錬工程の最終還元期における溶鋼およびスラグの分析により脱硫分配比( S) /[ S] を算出し、該脱硫分配比( S) /[ S] が前記(1) 式を満足しない場合は、さらに溶解精錬を継続すること、あるいは、脱酸剤を添加して溶鋼の脱硫反応を促進することを特徴とする含クロム鋼スラグの処理方法である。
【0012】
さらに、本発明の他の要旨は、スラグ中( S) 濃度と他のスラグ組成が下記(2) 式を満足することを特徴とする含クロム鋼スラグである。
Figure 0003960728
但し、(T.CaO) はスラグ中の(CaO) 中Caと(CaF2)中CaをCaO に換算した濃度(mass%) 、(SiO2)はスラグ中(SiO2)濃度(mass%) 、(Al2O3) はスラグ中(Al2O3) 濃度(mass%) 、(MgO) はスラグ中(MgO) 濃度(mass%) 、(CaF2)はスラグ中(CaF2)濃度(mass%) を示す。
【0013】
【発明の実施の形態】
含クロム鋼の溶解工程では、原料が完全に溶解していない温度の低い時期において、また、精錬工程では、溶鋼中の[ C] を除去するために酸素吹込みを行う時期において、下記(4) 式で示されるような溶鋼中[Cr]の酸化反応が進行し、3価のCrの酸化物(Cr2O3) を生成する。
【0014】
2[Cr]+3[ O] → (Cr2O3) ……………………(4)
上記(4) 式の酸化反応がさらに進むと、下記(5) 式で示されるような、6価のCrの酸化物(CrO3)の生成反応が進行することは避けられず、酸化期末期では、最大0.5mass %レベルの(CrO3)が存在する場合もある。
(Cr2O3)+3[ O] →2(CrO3) ……………………(5)
【0015】
これらのCr酸化物は、溶解工程では溶解末期の昇温期あるいは還元期で還元され、精錬工程では還元剤としてSiやAl等を添加して精錬する最終還元期で還元され、特に、6価のCrの酸化物(CrO3)は極微量となる。しかし、(CrO3)は、微量でも存在すれば排滓後、6価のCrの溶出の原因となるために、溶解精錬工程で完全に(CrO3)を還元しておく必要がある。
【0016】
従来より、スラグ中の(CrO3)を溶解精錬工程の間で、すなわち、排滓する前に定量分析する方法は全くなく、このために、排滓処理したスラグを管理する方法がとられてきた。本発明者らは、特開平8−302418号公報に記載のように、排滓後のスラグの6価のCrの溶出量は、溶鋼とスラグ間の反応状態に依存することを見い出し、これを定量化する式として前記(3) 式を導出した。この関係は、同一スラグ塩基度で( S) /[ S] が高いことは還元反応が十分に進行していることを意味し、このため、(CrO3)が完全に存在しない状態が達成されて、6価のCrの溶出がなくなるためである。
【0017】
その後の調査で、本発明者らは、前記(3) 式の関係は溶鋼温度、溶鋼組成およびスラグ組成の条件がかなり限定された範囲のみで成り立ち、条件が広範囲で変化する場合には成り立たない場合が存在することを見い出し、広範囲の条件で成り立つ条件として、前記(1) 式の関係を導出した。前記(1) 式の関係も、同一の溶鋼温度、溶鋼組成、スラグ組成で、脱硫分配比( S) /[ S] が高いことは還元反応が十分に進行していることを意味し、このため、(CrO3)が完全に存在しないことを意味している。
【0018】
なお、前記(1) 式の右辺は、溶鋼温度、溶鋼組成、スラグ組成の項に定数0.08をかけた式となっている。これは、溶鋼温度、溶鋼組成、スラグ組成の項は実験により導出した“限界の脱硫分配比”を求める式であり、この式に定数項0.08をかけることは“限界の脱硫分配比”に対し、8%以上の脱硫反応を進行させれば、6価のCrの溶出はないことを意味している。
【0019】
さらに、本発明者らは、脱硫反応を促進させて、前記(1) 式を満足させるには溶解精錬時間を長くするか、または、SiやAl等の脱酸剤を加えることが有効であることを見い出した。一般に、含クロム鋼の溶解工程で溶鋼中[ S] 濃度は0.02mass%まで脱硫され、その時の溶鋼温度は1500〜1550℃、[ C] 濃度は1.5 〜2.0mass %、[Si]濃度は0.1 〜0.5mass %程度である。前記(1) 式にこれらの値を代入すれば、前記(2) 式が得られる。そして、前記(2) 式を満足するスラグ組成であれば、溶解精錬工程で発生するスラグでも、6価のCrの溶出のないスラグであることを確認した。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の含クロム鋼スラグの排滓処理は図1に例示するような溶解精錬工程で発生するスラグの排滓処理に適用するものである。図1( a) は電気炉での溶解工程、( b) はAOD炉での精錬工程、( c) は上底吹き転炉での溶解精錬工程、( d) はVOD炉での精錬工程を示し、図中の1は電極、2は溶鋼、3はスラグ、4は上吹きランス、5は横吹き羽口、6は底吹き羽口、7は底吹きポーラスプラグを示す。これらの工程では、溶解精錬を効率的に進め、かつ、炉の耐火物を保護するために、溶鋼量の5%以上のスラグの発生は避けられない。
【0021】
また、溶解途中あるいは精錬途中の酸化条件下で、スラグ中に6価のCrの酸化物(CrO3)が生成し、これが、溶解末期の還元期あるいは精錬末期の最終還元期で還元が不十分であれば、排滓後スラグに残留し、6価のCrの溶出の原因となる。なお、溶鋼中の[ S] 濃度は、溶解工程で約0.02mass%まで脱硫され、精錬工程で約0.005mass %まで脱硫されるのが一般的である。
【0022】
本発明は、含クロム鋼の溶解精錬工程において排滓されるスラグからの6価のCrの溶出量は、溶鋼とスラグの脱硫分配比である( S) /[ S] に依存することを見い出し、( S) /[ S] の値に“しきい値”を設けること、脱硫反応を促進すること、および、排滓されるスラグ組成を規定することで、排滓後スラグからの6価のCrの溶出を完全に防止するものである。
【0023】
図2は、SUS304ステンレス鋼を電気炉で溶解を行い、AOD炉で精錬を行った場合の各工程のスラグを分離あるいは除去する前の溶鋼温度、溶鋼組成、スラグ組成より、下記(6) 式で求められる脱硫分配比( S) /[ S] の計算値と実績値の関係を示す。
Figure 0003960728
【0024】
なお、6価のCrの分析は環境庁告示の分析方法に則って行い、図中の白丸印(以下「○印」と記載することがある。)と黒丸印は溶解工程での値、白四角印(以下「□印」と記載することがある。)と黒四角印は精錬工程での値を示し、また、黒丸印と黒四角印は排滓後スラグの6価のCrの溶出分析を行った結果、溶出量が環境基準の規制値0.05mg/リットルを超えたスラグ、○印と□印は6価のCrの溶出量が0.04mg/リットル以下の問題とならないスラグを示す。図2より、黒丸印と黒四角印が存在する領域は、図中の実線より下の領域であり、実線より上の領域に保持すれば6価のCrの溶出は防止できることがわかる。この領域を式で表せば前記(1) 式となる。
【0025】
図3は、SUS304ステンレス鋼を電気炉で溶解、AOD炉で精錬を行った場合の最終の還元期で、初めて溶鋼およびスラグの分析を行ってからの溶解精錬時間と脱硫分配比( S) /[ S] の関係を示す。なお、この場合の溶鋼温度、溶鋼組成、スラグ組成より前記(6) 式で求められる脱硫分配比の計算値は86.0であった。図中の○印は溶解工程、□印は精錬工程での値を示す。この場合では、図3に示すように溶鋼およびスラグの分析値での( S) /[ S] が、初回分析で5以下の低い値なので、精錬を継続して精錬時間をさらに2分以上長くすることにより、前記(1) 式より求まる“しきい値6.88”を超えることが可能になり、6価のCrの溶出を効率よく防止することが可能になる。
【0026】
図4は、SUS304ステンレス鋼を電気炉で溶解、AOD炉で精錬を行った場合の最終の還元期で、脱酸剤としてSiを溶鋼トン当り1kgを追加添加する前後の前記(6) 式より計算される脱硫分配比( S) /[ S] の計算値と実績値の関係を示す。なお、図中の○印は溶解工程、□印は精錬工程での値を示す。図4より、脱酸剤を加え、脱硫反応を促進させることで実績の脱硫分配比の値が大きくなり、6価のCrの溶出を効率よく防止することが可能になることがわかる。
【0027】
図5に、SUS304ステンレス鋼を電気炉で溶解を行った後、あるいは、AOD炉で精錬を行った後に、溶鋼の浴面上から分離あるいは除去したスラグの下記(7) 式で求められる計算によるスラグ中( S) 濃度と実績のスラグ中( S) 濃度の関係を示す。
Figure 0003960728
【0028】
なお、図中の白丸印と黒丸印は溶解工程での値、白四角印と黒四角印は精錬工程での値を示し、また、黒丸印と黒四角印は排滓後スラグの6価のCrの溶出分析を行った結果、溶出量が環境基準の0.05mg/リットルを超えたスラグ、○印と□印は6価のCrの溶出量が0.04mg/リットル以下の問題とならないスラグを示す。図5より、黒丸印と黒四角印が存在する領域は、図中の実線より下の領域であり、実線より上の領域に保持すれば、6価のCrの溶出は防止できることがわかる。この領域を式で表せば前記(2) 式となる。
【0029】
以上より、含クロム鋼の溶解精錬工程において発生するスラグを、溶鋼の浴面上から分離あるいは除去するに際し、前記(1) 式を満足するように脱硫分配比を調整した後にスラグを分離あるいは除去することで、排滓後のスラグからの6価のCrの溶出を防止することが可能になる。
また、脱硫分配比を上げて、前記(1) 式を満足させるには溶解精錬時間を長くするか、または、SiやAl等の脱酸剤を加えることが有効であることが確認された。
なお、前記(1) 式の計算に使用する溶鋼組成、スラグ組成は溶解精錬工程の間で分析により確認できる値であり、前記(1) 式を満足することを確認した後に、スラグを分離あるいは除去することで排滓後の管理が不要になる。
さらに、前記(2) 式を満足するスラグであれば6価のCrの溶出はないことが確認された。
【0030】
【実施例】
SUS304ステンレス鋼( 8mass%Ni−18mass%Cr) 60ton の溶鋼を製造する処理を、図1(a)に示す溶解工程、(b)に示す精錬工程の実施態様で実施した。溶解工程では、スクラップ、Fe−Cr、Fe−Niを原料として溶解し、溶鋼温度1550℃まで昇温した後、取鍋にスラグと共に出鋼した。取鍋に入ったスラグは、AOD炉に溶鋼を入れる前にスラグパンに傾転排滓した。AODでは[ C] 濃度0.05mass%まで脱炭した後に、脱炭中に酸化したクロムを還元するために還元剤を加え、還元精錬を行った後にスラグと共に出鋼した。溶鋼を連続鋳造した後に、スラグはスラグパンに分離、除去した。
【0031】
表1に、溶解精錬の実施の態様を示す。本発明例および比較例のいずれも50チャージに適用した。本発明例では、出鋼する前に溶鋼温度の測定、溶鋼およびスラグの分析を行い、脱硫分配比( S) /[ S] の前記(6) 式による計算値と実績値を確認し、両者の関係が前記(1) 式を満足しない場合には、溶解精錬時間を2分間延長するか、または、脱酸剤としてSiを溶鋼トン当り1kg添加して処理する方法を採用した。比較例は、前記(1) 式による6価のCrの溶出を検知する手段のない場合の方法であり、溶解および精錬後直ちに出鋼して、スラグを排滓処理した場合である。
【0032】
【表1】
Figure 0003960728
【0033】
実施結果を表2に示す。スラグ管理コストは本発明のコストを100として、比例換算した値である。
【0034】
【表2】
Figure 0003960728
【0035】
なお、本発明例では、前記(2) 式の条件を外れる溶解工程でのスラグおよび精錬工程でのスラグも存在しなかったが、比較例では前記(2) 式の条件を外れる溶解工程でのスラグが15チャージ、精錬工程でのスラグが6チャージ存在した。本発明例では、排滓後のスラグからの6価のCrの溶出は0.04mg/リットル以下であり、環境基準を満足する。そのためにスラグの管理コストは大幅に削減できた。
【0036】
【発明の効果】
本発明方法によると、含クロム鋼スラグの排滓処理において、排滓後のスラグからの6価のCrの溶出を防止することが可能になり、定常的な6価のCrの分析が不要となり、スラグ管理の手間を大幅に削減できる。また、スラグの環境に対する悪影響がなくなり、スラグを例えば路盤材として使用するなど資源として活用する範囲を大幅に広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施態様を示す概略断面図で、(a)は電気炉での溶解工程、(b)はAOD炉での精錬工程、(c)は上底吹き炉での溶解精錬工程、(d)はVOD炉での精錬工程を示す図である。
【図2】前記(6) 式より計算した脱硫分配比( S) /[ S] の計算値と実績の脱硫分配比の関係における6価のCrの溶出量の状態を示す図である。
【図3】初回分析からの溶解精錬時間と脱硫分配比( S) /[ S] との関係を示す図である。
【図4】前記(6) 式より計算した脱硫分配比( S) /[ S] の計算値と実績の脱硫分配比の関係における脱酸剤の添加の結果を示す図である。
【図5】前記(7) 式より求められる計算によるスラグ中( S) 濃度と実績のスラグ中( S) 濃度との関係における、溶解工程および精錬工程スラグでの6価のCrの溶出量の状態を示す図である。
【符号の説明】
1…電極
2…溶鋼
3…スラグ
4…上吹きランス
5…横吹き羽口
6…底吹き羽口
7…底吹きポーラスプラグ

Claims (4)

  1. 含クロム鋼の溶解精錬工程において発生するスラグを溶鋼の浴面上から分離あるいは除去するに際し、スラグ中( S) 濃度と溶鋼中[ S] 濃度の比である脱硫分配比( S) /[ S] を、下記(1) 式を満足するように調整して、スラグを分離あるいは除去することを特徴とする含クロム鋼スラグの処理方法。
    Figure 0003960728
    〔但し、Tは溶鋼温度( K) 、[ C] は溶鋼中[ C] 濃度(mass%) 、[Si]は溶鋼中[Si]濃度(mass%) 、(T.CaO) はスラグ中の(CaO) 中Caと(CaF2)中CaをCaO に換算した濃度(mass%) 、(SiO2)はスラグ中(SiO2)濃度(mass%) 、(Al2O3) はスラグ中(Al2O3) 濃度(mass%) 、(MgO) はスラグ中(MgO) 濃度(mass%) 、(CaF2)はスラグ中(CaF2)濃度(mass%) を示す。〕
  2. 前記溶解精錬工程の最終還元期における溶鋼およびスラグの分析により脱硫分配比( S) /[ S] を算出し、該脱硫分配比( S) /[ S] が前記(1) 式を満足しない場合は、さらに溶解精錬を継続することを特徴とする請求項1記載の含クロム鋼スラグの処理方法。
  3. 前記溶解精錬工程の最終還元期における溶鋼およびスラグの分析により脱硫分配比( S) /[ S] を算出し、該脱硫分配比( S) /[ S] が前記(1) 式を満足しない場合は、脱酸剤を添加して溶鋼の脱硫反応を促進することを特徴とする請求項1記載の含クロム鋼スラグの処理方法。
  4. 含クロム鋼の溶解精錬工程において発生するスラグであって、スラグ中( S) 濃度と他のスラグ組成が下記(2) 式を満足することを特徴とする含クロム鋼スラグ。
    Figure 0003960728
    〔但し、(T.CaO) はスラグ中の(CaO) 中Caと(CaF2)中CaをCaO に換算した濃度(mass%) 、(SiO2)はスラグ中(SiO2)濃度(mass%) 、(Al2O3) はスラグ中(Al2O3) 濃度(mass%) 、(MgO) はスラグ中(MgO) 濃度(mass%) 、(CaF2)はスラグ中(CaF2)濃度(mass%) を示す。〕
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