JP2001181508A - 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物およびその硬化物 - Google Patents

室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物およびその硬化物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着性を低下させずに可使時間を延長できる
室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物およびその硬
化物を提供する。 【解決手段】 (A)分子鎖末端がシラノール基で封鎖
されたオルガノポリシロキサン、(B)ケイ素原子に結
合したアミノキシ基を1分子中に平均して2個以上含有
する含窒素有機ケイ素化合物、(C)特定の有機ケイ素
化合物、および、(D)炭酸カルシウム粉末からなる室
温硬化性オルガノポリシロキサン組成物およびその硬化
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は室温硬化性オルガノ
ポリシロキサン組成物およびその硬化物に関し、詳しく
は、室温で硬化してゴム状弾性体を形成する2液型の室
温硬化性オルガノポリシロキサン組成物およびその硬化
物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、分子鎖末端が水酸基で封鎖された
オルガノポリシロキサンとケイ素原子結合加水分解性基
を有する架橋剤からなる室温硬化性オルガノポリシロキ
サン組成物は、シーリング材,コーティング材,電気絶
縁材料,型取り材等として広く使用されている。中で
も、耐久性、耐候性、耐熱性に優れた硬化物を形成する
ことから建築材料分野においてシーリング材として多用
されており、特に、2液型の室温硬化性オルガノポリシ
ロキサン組成物は、硬化後の耐久性、耐候性、ガラス目
地に対する接着性が良好であり、かつ、モジュラスも低
いため、温度変化によって拡張や収縮が起こる動きの大
きい目地に使用されている。
【0003】このような2液型の室温硬化性オルガノポ
リシロキサン組成物は、通常、使用時に建築現場で、ベ
ース成分と硬化剤成分を適正混合比で混合してから目地
に打設される。このとき、組成物の打設可能時間(可使
時間)が短すぎると、施工ミスが発生したり打設後の目
地の美観が損なわれることがあった。このため、硬化剤
の量を増加させたり、可使時間延長剤として環状ジメチ
ルシロキサンや低重合度の直鎖状ジメチルシロキサンを
添加する方法(特開平6-306292号公報参照)が知られて
いる。しかしながら、前者の方法は硬化剤として通常使
用される含窒素有機ケイ素化合物が高価なため経済的に
不利であり、一方、後者の方法はジメチルシロキサンを
添加するため接着性が低下するという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記問
題点について鋭意研究した結果、本発明に到達した。即
ち、本発明の目的は、接着性を低下させずに可使時間を
延長できる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物お
よびその硬化物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】 本発明は、(A)分子鎖末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキ サン 100重量部、 (B)ケイ素原子に結合した、一般式(1):
【化6】 (式中、R1およびR2は同一もしくは異種の炭素原子数1
〜8の一価炭化水素基である。)で表されるアミノキシ
基、または、一般式(2):
【化7】 (式中、R3は二価の有機基である。)で表されるアミノキシ基を1分子中に平 均して2個以上含有する含窒素有機ケイ素化合物 0.1〜20重量部、 (C)一般式(3):
【化8】 (式中、R4は同一もしくは異種のアルキル基、アルケ
ニル基またはアリール基であり、aは3または4であ
る。)で表される有機ケイ素化合物、または、一般式
(4):
【化9】 (式中、R4は前記と同じであり、R5はアルケニル基またはアリール基である。 )で表される有機ケイ素化合物 1〜50重量部 および (D)炭酸カルシウム粉末 1〜200重量部 からなる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に関
する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の室温硬化性オルガノポリ
シロキサン組成物について詳細に説明する。
【0007】本発明組成物に使用される(A)成分は、
分子鎖末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシ
ロキサンであり、例えば、一般式(5):
【化10】 で示されるジオルガノポリシロキサンが挙げられる。上
式中、R8は一価炭化水素基またはハロゲン原子置換一価
炭化水素基であり、一価炭化水素基として具体的には、
メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペンチル
基等のアルキル基;ビニル基,アリル基,メタアリル
基,ブテニル基,ペンテニル基等のアルケニル基;フェ
ニル基,トリル基,キシリル基等のアリール基;ベンジ
ル基,フェネチル基等のアラルキル基が例示され、ハロ
ゲン原子置換一価炭化水素基としては、トリフルオロプ
ロピル基,ノナフルオロヘキシル基,クロロプロピル
基,クロロメチルフェネチル基が例示される。このR8
同一でも異種でもよい。mは10以上の整数である。こ
の他にも、部分的に分岐した構造を有し、末端がシラノ
ール基で封鎖されたオルガノポリシロキサンが挙げられ
る。このような(A)成分のオルガノポリシロキサンの
25℃における動粘度は、硬化後のゴムに優れた物理的
性質、特に柔軟性と高い伸びを与え、同時に施工時の作
業性を維持するために、25〜500,000mm2/s
の範囲内であることが好ましく、1,000〜100,0
00mm2/sの範囲内であることがより好ましい。こ
のような(A)成分としては、両末端シラノール基封鎖
ジメチルポリシロキサンが例示される。尚、この(A)
成分は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を
混合して使用してもよい。
【0008】本発明組成物に使用される(B)成分の含
窒素有機ケイ素化合物は、(A)成分を室温で架橋させ
る成分であり、ケイ素原子に結合した、一般式(1):
【化11】 または、一般式(2):
【化12】 で表されるアミノキシ基を1分子中に平均して2個以上
含有する化合物である。上式中、R1およびR2は同一もし
くは異種の炭素原子数1〜8の一価炭化水素基であり、
具体的には、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル
基,ペンチル基等のアルキル基;ビニル基,アリル基,
メタアリル基,ブテニル基,ペンテニル基等のアルケニ
ル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラ
ルキル基が例示される。R3は二価の有機基であり、次
式で示される基が例示される。
【化13】 このような(B)成分の有機ケイ素化合物としては、例
えば、一般式(6):
【化14】 で表される化合物や、一般式(7):
【化15】 で表されるシロキサン単位を有する環状もしくは線状の
オルガノシロキサンオリゴマー、または、分子鎖両末端
に上記アミノキシ基を有する直鎖状のオルガノシロキサ
ンオリゴマーが挙げられる。上式中、R9は一価炭化水
素基またはハロゲン原子置換一価炭化水素基であり、前
記R8と同様の基が例示される。R9が複数存在する場合
にはそれらは同一でも異なっていてもよい。Xは上記一
般式(1)または(2)で表されるアミノキシ基であ
り、これらは同一でも異なっていてもよい。cは0,1
または2であり、nは0〜10の整数である。尚、この
(B)成分中には、アミノキシ基を1分子中に3個以上
含有する有機ケイ素化合物が存在することが必要である
ので、アミノキシ基を1分子中に2個含有する含窒素有
機ケイ素化合物は、アミノキシ基を1分子中に3個以上
含有する含窒素有機ケイ素化合物と併用される。
【0009】このような(B)成分の含窒素有機ケイ素
化合物としては、下記式で示される化合物が例示され
る。
【化16】
【0010】(B)成分の配合量は、(A)成分100
重量部に対して0.1〜20重量部の範囲であり、好ま
しくは1〜10重量部の範囲である。これは、0.1重
量部より少ないと硬化が不十分になり、また、20重量
部より多いと硬化に長時間要するためである。
【0011】本発明組成物に使用される(C)成分の有
機ケイ素化合物は、本発明組成物の可使時間を延長し、
かつ、硬化時に良好な接着性を付与する成分である。こ
の(C)成分は、一般式(3):
【化17】 または、一般式(4):
【化18】 で表される。上式中、R4は同一もしくは異種のアルキ
ル基、アルケニル基またはアリール基であり、具体的に
は、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,ペン
チル基,ビニル基,アリル基,メタアリル基,ブテニル
基,ペンテニル基,フェニル基,トリル基,キシリル基
が例示される。R5はアルケニル基またはアリール基で
あり、ビニル基,アリル基,メタアリル基,ブテニル
基,ペンテニル基,フェニル基,トリル基,キシリル基
が例示される。aは3または4である。この(C)成分
は、1種を単独で使用してもよく、2種以上の混合物を
使用してもよい。
【0012】このような(C)成分の有機ケイ素化合物
としては、下記式で示されるシロキサンが例示される。
【化19】
【0013】(C)成分の添加量は(A)成分100重
量部に対して1〜50重量部の範囲であり、好ましくは
1〜10重量部の範囲である。これは、1重量部より少
ないと可使時間延長の効果が発揮できず、また、50重
量部より多いと打設後にだれが生じるためである。
【0014】本発明組成物に使用される(D)成分の炭
酸カルシウム粉末は補強剤および増量剤としての成分で
あり、脂肪酸やロジン酸で処理された軽質炭酸カルシウ
ム粉末や重質炭酸カルシウム粉末が例示される。(D)
成分は1種を単独で使用してもよく、2種以上の混合物
を使用してもよい。この(D)成分の配合量は、(A)
成分100重量部に対して1〜200重量部の範囲であ
り、好ましくは30〜150重量部の範囲である。
【0015】本発明組成物は上記(A)成分〜(D)成
分からなるものであるが、必要に応じて、ヒュームドシ
リカ,沈降法シリカ,石英微粉末,カーボンブラックな
どの無機充填剤やそれらを疎水化処理したもの、流動性
調整剤, 顔料,耐熱剤,難燃剤,有機溶媒、抗菌剤な
どを添加することができる。また、(A)成分と併用で
きる任意成分として、前記一般式(5)の分子鎖両末端
シラノール基が部分的に式:R8 3SiO−(式中、R8
前記と同じである。)で表されるシロキシ基で封鎖され
たジオルガノポリシロキサンを使用してもよい。このよ
うなジオルガノポリシロキサンとしては、片末端がシラ
ノール基で封鎖され、他方の末端がトリメチルシロキシ
基で封鎖されたジメチルポリシロキサンが挙げられる。
【0016】本発明組成物は、例えば、(A)成分と
(D)成分からなる主剤と、(B)成分と(C)成分か
らなる硬化剤とからなる2液型の室温硬化性組成物とす
ることが好ましい。
【0017】以上のような本発明組成物は、(C)成分
の有機ケイ素化合物を添加配合しているので、硬化時の
接着性を損ねることなく可使時間を延長することができ
るという特徴を有し、建築物の目地部分に使用される建
築用シーリング材,土木用構築物の目地部分に使用され
る土木用シーリング材,コーテイング材として有用であ
る。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例にて詳細に説明する。
実施例中、部は重量部を示しており、粘度は25℃にお
ける値である。
【0019】
【実施例1】分子鎖両末端にシラノール基を有するジメ
チルポリシロキサン(粘度3000mm2/s)50重
量部、軽質炭酸カルシウム粉末35部(脂肪酸処理、B
ET比表面積26m2/g)および重質炭酸カルシウム
粉末(BET比表面積26m2 /g)15部を混合し
て、ペースト状の主剤を調製した。一方、式(8):
【化20】 で表される含窒素有機ケイ素化合物0.12部と、式
(9):
【化21】 で表される含窒素有機ケイ素化合物2.38部と、式
(10):
【化22】 で表される有機ケイ素化合物3部を混合して硬化剤を調
製した。この主剤100部と硬化剤5.5部を混合し
て、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製し
た。このようにして得られた組成物の可使時間を、JI
S A5758−1992に従って測定した。またこの
組成物を減圧下で脱泡し、カートリッジを用いてフロー
トガラスにビード状に打設した。次いでこれを、25℃
55%RHで1週間放置して硬化させ、硬化後の接着性
を測定した。接着性は、硬化物とガラスが強固に接着し
ていた場合を○印とし、一部剥離があった場合を△印と
し、全く接着していなかった場合を×印とした。これら
の結果を表1に示した。
【0020】
【実施例2】実施例1において、式(10)で表される
有機ケイ素化合物の替わりに、式(11):
【化23】 で表される有機ケイ素化合物を1部添加した以外は実施
例1と同様にして、室温硬化性オルガノポリシロキサン
組成物を調製した。この組成物の可使時間と接着性を実
施例1と同様にして測定した。これらの結果を表1に示
した。
【0021】
【実施例3】実施例1において、式(10)で表される
有機ケイ素化合物の替わりに、式(11):
【化24】 で表される有機ケイ素化合物を3部添加した以外は実施
例1と同様にして、室温硬化性オルガノポリシロキサン
組成物を調製した。この組成物の可使時間と接着性を実
施例1と同様にして測定した。これらの結果を表1に示
した。
【0022】
【実施例4】実施例1において、式(10)で表される
有機ケイ素化合物の替わりに、式(11):
【化25】 で表される有機ケイ素化合物を5部添加した以外は実施
例1と同様にして、室温硬化性オルガノポリシロキサン
組成物を調製した。この組成物の可使時間と接着性を実
施例1と同様にして測定した。これらの結果を表1に示
した。
【0023】
【実施例5】実施例1において、式(10)で表される
有機ケイ素化合物の替わりに、式(12):
【化26】 で表される有機ケイ素化合物を3部添加した以外は実施
例1と同様にして、室温硬化性オルガノポリシロキサン
組成物を調製した。この組成物の可使時間と接着性を実
施例1と同様にして測定した。これらの結果を表1に示
した。
【0024】
【比較例1】実施例1において、式(10)で表される
有機ケイ素化合物を添加しなかった以外は実施例1と同
様にして、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を
調製した。この組成物の可使時間と接着性を実施例1と
同様にして測定した。これらの結果を表1に示した。
【0025】
【比較例2】実施例1において、式(10)で表される
有機ケイ素化合物の替わりに、式(13):
【化27】 で表される直鎖状ジメチルシロキサンを3部添加した以
外は実施例1と同様にして、室温硬化性オルガノポリシ
ロキサン組成物を調製した。この組成物の可使時間と接
着性を実施例1と同様にして測定した。これらの結果を
表1に示した。
【0026】
【比較例3】実施例1において、式(10)で表される
有機ケイ素化合物の替わりに、式(14):
【化28】 で表される環状ジメチルシロキサンを3部添加した以外
は実施例1と同様にして、室温硬化性オルガノポリシロ
キサン組成物を調製した。この組成物の可使時間と接着
性を実施例1と同様にして測定した。これらの結果を表
1に示した。
【0027】
【比較例4】実施例1において、式(10)で表される
有機ケイ素化合物を添加せず、式(9)で表される含窒
素有機ケイ素化合物の添加量を5部にした以外は実施例
1と同様にして、室温硬化性オルガノポリシロキサン組
成物を調製した。この組成物の可使時間と接着性を実施
例1と同様にして測定した。これらの結果を表1に示し
た。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】本発明の室温硬化性オルガノポリシロキ
サン組成物は上記(A)成分〜(D)成分からなり、特
に(C)成分として特定の有機ケイ素化合物を含有して
いるが故に可使時間が長く、しかも硬化時に接触してい
た基材への接着性に優れるという特徴を有し、またその
硬化物は接着耐久性を有し、長期間使用しても基材から
剥離しないという特徴を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大川 直 千葉県市原市千種海岸2番2 東レ・ダウ コーニング・シリコーン株式会社研究開発 本部内 Fターム(参考) 4J002 CP061 DE238 EX037 EX076 FD018 FD146 FD147 HA02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)分子鎖末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリ シロキサン 100重量部、 (B)ケイ素原子に結合した、一般式(1): 【化1】 (式中、R1およびR2は同一もしくは異種の炭素原子数1
    〜8の一価炭化水素基である。)で表されるアミノキシ
    基、または、一般式(2): 【化2】 (式中、R3は二価の有機基である。)で表されるアミノキシ基を1分子中に平 均して2個以上含有する含窒素有機ケイ素化合物 0.1〜20重量部、 (C)一般式(3): 【化3】 (式中、R4は同一もしくは異種のアルキル基、アルケ
    ニル基またはアリール基であり、aは3または4であ
    る。)で表される有機ケイ素化合物、または、一般式
    (4): 【化4】 (式中、R4は前記と同じであり、R5はアルケニル基またはアリール基である。 )で表される有機ケイ素化合物 1〜50重量部 および (D)炭酸カルシウム粉末 1〜200重量部 からなる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  2. 【請求項2】 (C)成分が下記式で示される化合物か
    ら選択される有機ケイ素化合物である、請求項1に記載
    の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。 【化5】
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の室温硬
    化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させることに
    より得られる硬化物。
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