JP2001180947A - 精密ガラス光学素子の製造方法およびその方法を用いた精密ガラス光学素子の製造装置 - Google Patents

精密ガラス光学素子の製造方法およびその方法を用いた精密ガラス光学素子の製造装置

Info

Publication number
JP2001180947A
JP2001180947A JP37374499A JP37374499A JP2001180947A JP 2001180947 A JP2001180947 A JP 2001180947A JP 37374499 A JP37374499 A JP 37374499A JP 37374499 A JP37374499 A JP 37374499A JP 2001180947 A JP2001180947 A JP 2001180947A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
oxidizing gas
molding
temperature
molding surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP37374499A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4232305B2 (ja
Inventor
Hajime Sugiyama
肇 杉山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Minolta Co Ltd
Original Assignee
Minolta Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Minolta Co Ltd filed Critical Minolta Co Ltd
Priority to JP37374499A priority Critical patent/JP4232305B2/ja
Publication of JP2001180947A publication Critical patent/JP2001180947A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4232305B2 publication Critical patent/JP4232305B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/12Cooling, heating, or insulating the plunger, the mould, or the glass-pressing machine; cooling or heating of the glass in the mould
    • C03B11/122Heating
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/005Pressing under special atmospheres, e.g. inert, reactive, vacuum, clean
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/12Cooling, heating, or insulating the plunger, the mould, or the glass-pressing machine; cooling or heating of the glass in the mould
    • C03B11/125Cooling
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B2215/00Press-moulding glass
    • C03B2215/50Structural details of the press-mould assembly

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 面精度が安定した精密ガラス光学素子を効率
よく得ることができる精密ガラス光学素子の製造方法を
提供すること。 【解決手段】 非酸化性ガス雰囲気下でガラスプリフォ
ーム7を上下の金型間(2,5)で加熱し、上下金型に
よって加圧成形した後、上下金型内に保持した状態で冷
却する精密ガラス光学素子の製造方法であって、加熱
時、加圧成形時および冷却時、各金型(2,5)の非成
形面(25,26)側に非酸化性ガスを供給し、各金型
の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを制御すること
を特徴とする精密ガラス光学素子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金型によりガラス
プリフォームを成形することにより精密ガラス光学素子
を製造する方法とその方法を用いた精密ガラス光学素子
の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】精密ガラス光学素子(モールド光学素
子)を製造する方法としては、ガラスプリフォームを上
下の金型間で加熱し、加圧成形した後、ガラスプリフォ
ームを金型内に保持した状態で冷却する方法がよく知ら
れている。このような方法における加熱は、加熱ヒータ
ー等を用いて金型の周辺から行ったり、金型の外周に胴
型を配置し、当該胴型の周りにコイルを巻き、当該コイ
ルに電流を流して高周波を発生させることにより胴型を
加熱する誘導加熱を行うことが一般的である。そのよう
な加熱手段を用いると、熱は金型外周面から金型に伝導
するため、金型成形面を均一に加熱することはできなか
った。このため、金型成形面の中心部の温度が周辺部よ
り低い温度分布で成形していた。また、成形後、冷却す
る際にはガラスプリフォームを金型内に保持した状態で
冷却することが一般的であるが、金型はその外周面から
放熱されるため、金型成形面の中心部の温度が周辺部よ
り高い温度分布で冷却していた。
【0003】しかしながら、このように成形時および/
または冷却時において、金型成形面に温度分布が生じて
いると、得られる光学素子の面精度が安定しないという
問題があった。ガラスプリフォームは通常、ガラス転移
点以上に加熱され、そのような温度での温度の変化に対
するガラスの線膨張の変化は顕著であるため、成形工程
および冷却工程(特にガラス転移点までの冷却工程)に
おける金型成形面での温度分布の大きさがそのまま面精
度の安定性に影響することが原因と考えられる。本明細
書中、面精度が安定しないとは、光学素子転写面の部位
によって面精度が著しく異なることをいう。
【0004】そこで、特開平7−10564号公報で
は、胴型自体に熱流をコントロールする断熱層を設けて
金型の温度分布を低減する試みがなされているが、温度
分布を効率的に低減することは困難であり、成形サイク
ルが著しく長くなるという新たな問題が生じていた。
【0005】一方、金型を用いたガラス素子の成形で
は、金型の劣化や金型とガラスの融着を防止するため
に、加熱時および成形時、系中を非酸化性ガスで置換す
ることがよく行われている。置換手段を図8を用いて説
明する。図8(A)は従来の光学素子の成形装置の概略
構成図を示し、当該装置は上下金型(2、5)および上
下胴型(3、6)から構成され、通常、さらに上下断熱
層(18、19)、上型ベース11および下型ベース1
2を含んでなり、系はチャンバー9によって外気と遮断
されている。このような装置においては、上記ガスを系
内に供給するために、垂直路20が上型ベース11およ
び上断熱層18、ならびに下型ベース12および下断熱
層19を貫通してそれらの軸上に形成され、金型におけ
る成形面と反対側(以下、非成形面側という)には水平
路21が上記垂直路20と連結して半径方向に形成され
ており、水平路21の他方はチャンバー9内の空間と連
結している(図8(B)参照)。図8(B)は図8
(A)における水平面Xの概略断面図を示す。非酸化性
ガスの供給に際しては、加熱前、一旦、図8中、上から
下に向かってガスを流して系中にガスを充填し、加熱時
および成形時にはガスを継続して垂直路20に導入し、
図中の矢印方向のガス流が形成されていた。
【0006】しかしながら、上記のようなガスの流れで
は、導入されたガスはまず、金型の非成形面(25、2
6)に衝突し、その後チャンバー内の空間に達するた
め、金型の非成形面の中心部が冷却され、前記した加熱
時および成形時の金型成形面における温度分布が顕著で
あった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みなされたものであって、面精度が安定した精密ガラス
光学素子を効率よく得ることができる精密ガラス光学素
子の製造方法および製造装置を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、非酸化性ガス
雰囲気下でガラスプリフォームを上下の金型間で加熱
し、上下金型によって加圧成形した後、上下金型内に保
持した状態で冷却する精密ガラス光学素子の製造方法で
あって、加熱時、加圧成形時および冷却時、各金型の非
成形面側に非酸化性ガスを供給し、各金型の非成形面側
での非酸化性ガス流の向きを制御することを特徴とする
精密ガラス光学素子の製造方法に関する。
【0009】本発明はまた、少なくとも、ガラスプリフ
ォームを加圧成形するための上下金型、上金型の熱を上
方向に逃がさないための上断熱層、下金型の熱を下方向
に逃がさないための下断熱層、および系を外気と遮断す
るためのチャンバーを含んでなり、各金型の非成形面側
に非酸化性ガスのための水平路が形成され、該水平路に
連結する垂直路が金型軸方向に断熱層を貫通して形成さ
れていることを特徴とする精密ガラス光学素子の製造装
置に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の方法を添付の図面を用い
て説明する。なお、図面の中で同一符号は同一部分また
は相当する部分を示す。
【0011】図1は本発明の方法を実施するのに適した
第1の態様の精密ガラス光学素子の製造装置の概略構成
図を示す。当該装置は詳しくは、ガラスプリフォームを
加圧成形するための上下金型(2、5)、上金型の熱を
上方向に逃がさないための上断熱層18、下金型の熱を
下方向に逃がさないための下断熱層19、および系を外
気と遮断するための石英等からなるチャンバー9で構成
され、通常、さらに上金型2の外周を覆う上胴型3、下
金型5の外周を覆う下胴型6、ならびに上下金型および
上下胴型を上下断熱層を介して固定するための上型ベー
ス11および下型ベース12を含んでなる。また、成形
室(チャンバー内の空間)には、図示しない非酸化性ガ
ス供給システムおよび排気システムが結合されている。
ガス供給システムの経路内には、図示しないガス温度制
御器、ガス流量制御器およびガス圧制御器が所望により
設置されている。本明細書中、上金型2、上胴型3、上
断熱層18および上型ベース11からなるユニットを上
型ユニット1、下金型5、下胴型6、下断熱層19およ
び下型ベース12からなるユニットを下型ユニット4と
呼ぶものとする。
【0012】当該装置においては、各金型の非成形面
(25、26)側に非酸化性ガスのための水平路21が
形成され、該水平路に連結する垂直路20が金型軸方向
に、上断熱層18および上型ベース11、ならびに下断
熱層19および下型ベース12を貫通して形成されてい
る。本発明において、垂直路20は金型軸上に形成さ
れ、水平路21は非成形面(25、26)に隣接しなが
ら、図1(B)に示すように金型軸に向かって、すなわ
ち垂直路20に向かって形成されていることが好まし
い。このような構成とすることにより金型成形面の温度
分布をより有効に低減できるためである。図1(B)は
図1(A)における水平面Xの概略断面図を示す。
【0013】第1の態様においては、図1(A)および
(B)に示すように、水平路21は一端で垂直路20と
連結され、他端でチャンバー9内の空間30と連結され
ている。
【0014】図1(B)中、4本の水平路21が垂直路
20から放射状に形成されているが、金型成形面の温度
分布を低減できれば、水平路の数は特に制限されるもの
ではなく、例えば、図2に示すように8本の水平路21
が垂直路20から放射状に形成されていてもよい。水平
路の開口面積にもよるが、通常、4本以上、好ましくは
4〜12本が好適である。以下、4本の水平路が形成さ
れる場合について説明する。
【0015】本発明においてはまず、チャンバー9内に
非酸化性ガスを満たし、非酸化性ガス雰囲気下でガラス
プリフォーム7を上下の金型(2、5)間で加熱する。
このときのチャンバー内への非酸化性ガス導入のための
ガス流路は特に制限されず、金型劣化および金型とガラ
スとの融着を防止できるように、上下金型間にガスを充
填できればよい。例えば、チャンバーと金型ブロック
(上型ユニット1および下型ユニット4からなる)との
間隙に、ガスを、図示しないガス供給システムによって
上型ユニット1側から導入してもよいし、または下型ユ
ニット4側から導入してもよいし、もしくは上下金型に
よって形成される空間の横からチャンバーに穴をあけて
ガスを導入してもよい。
【0016】加熱手段(図示しない)は特に制限されな
いが、上下の胴型の周りにチャンバーの外側からコイル
を巻き当該コイルに電気を流して高周波を発生させるこ
とにより胴型(3、6)を加熱する誘導加熱を行うこと
が、迅速に所望温度まで加熱できる点で好ましい。この
ため、胴型の材料としては、誘導加熱可能な材料が使用
され、例えば、超硬合金、カーボン等の硬度が高く、電
気伝導性の良好なものが挙げられる。本発明においては
加熱手段として、加熱ヒーター、赤外線ランプ等を用い
て金型を加熱してもよい。このときは熱の伝導効率の観
点から胴型(3、6)を極力小さくし、できることなら
設置しないことが好ましい。
【0017】本発明においては加熱時において、各金型
(2、5)の非成形面(25、26)側に非酸化性ガス
を供給し、各金型の非成形面側での非酸化性ガス流の向
きを制御する。詳しくは、各金型(2、5)の非成形面
(25、26)側において非酸化性ガスを非成形面と接
触させながら金型軸に向かって流す。すなわち、図1
(A)中、水平路21および垂直路20に、図示する矢
印方向のガス流が生じるようにガスを導入する。このと
きのガスの導入経路は水平路21および垂直路20内で
図示する矢印方向のガス流が生じれば特に制限されず、
例えば、チャンバーと金型ブロック(上型ユニット1お
よび下型ユニット4からなる)との間隙に、ガスを、上
型ユニット1側から導入してもよいし、下型ユニット4
側から導入してもよいし、または上型ユニット1側およ
び下型ユニット4側の両側から導入してもよい。
【0018】加熱時において、金型はその周辺(側面)
から熱が伝達されるため、金型成形面において中心部と
周辺部で温度差(中心部の温度が周辺部の温度より低い
温度分布)が生じるが、本発明においては加熱時、上記
のように非酸化性ガスを金型非成形面と接触させながら
金型軸に向かって流すため、金型成形面の温度分布を低
減できる。すなわち、金型を加熱しながら、非酸化性ガ
スを金型非成形面と接触させつつ金型軸に向かって流す
ことによって、金型自体が加熱されることによる固体を
介した金型周辺部から金型中心部への熱伝導とガス流を
介した金型周辺部から金型中心部への熱伝導が行われ、
金型周辺部から金型中心部へ熱が効率よく伝わり、金型
の温度分布が低減され、結果として金型成形面の温度分
布が低減される。
【0019】加熱時において上記の方向でガスを流し始
める時期は特に制限されず、遅くとも後述の加圧成形直
前において金型成形面の温度分布の低減が達成できるよ
うな時期とする。また、加圧成形直前において金型成形
面の温度分布の低減が達成できれば、ガス流は継続して
流されても、または間欠的に流されてもよい。
【0020】非酸化性ガスの圧力、温度および/または
流量、ならびに加熱手段の出力を適宜選択することによ
って金型成形面の温度分布を低減するのに必要とされる
時間、金型温度および昇温速度を調整することができ
る。特に、ガスの温度はあまりに低すぎると金型の温度
および昇温速度が低下し、加熱効率が悪化し、一方であ
まりに高く設定してもガスを加熱するためのコストが大
きくなるため、これらの事情を勘案して適宜設定する必
要がある。また、ガス温度は使用されるガラス種によっ
ても異なるが、通常、20〜400℃、好ましくは30
0〜600℃の範囲内で選択される。ガスの圧力は、通
常、1.0〜7.0kgf/cm2、好ましくは3.0〜
7.0kgf/cm2の範囲内で選択される。ガスの流量
は0.5〜400リットル/分、好ましくは0.5〜100
0リットル/分の範囲内で選択される。
【0021】昇温速度は、加圧成形直前において金型成
形面での温度分布の低減が達成されれば、レンズ製造プ
ロセスの短時間化の観点から大きいほど好ましく、通
常、300〜1000℃/分、好ましくは300〜60
0℃/分、より好ましくは500〜600℃/分に設定さ
れる。加熱時において昇温速度は途中で変化しても良
い。また、各金型はその中心部の温度でプリフォームの
ガラス軟化点を超える温度に加熱されることが好まし
い。通常、ガラス軟化点〜ガラス軟化点+100(℃)
まで加熱される。上金型と下金型が異なる温度に加熱さ
れてもよい。
【0022】非酸化性ガスを、上型ユニット1側および
下型ユニット4側の両側から導入し、特に、上金型と下
金型の設定温度が異なる場合、各ガスの圧力、温度およ
び/または流量は独立して選択されてよい。
【0023】本発明においては金型成形面における中心
部と周辺部との温度差を、面精度の安定な光学素子が得
られる程度に低減することができる。すなわち、金型お
よび胴型の各中心部の温度差を50℃以下、好ましくは
5℃以下に低減することができる。
【0024】例えば、直径約15mm、厚み15mmの
金型を用い、金型中心部の温度が705℃に達したと
き、400℃のガスを圧力4kgf/cm2、流量5リットル
/分で、チャンバーと金型ブロック(上型ユニット1お
よび下型ユニット4からなる)との間隙に、上型ユニッ
ト1側から導入すると、各金型において約30秒後には
金型中心部の温度が720℃で金型および胴型の各中心
部の温度差が5℃の温度分布を実現できる。
【0025】非酸化性ガスは比較的高温であっても金型
およびガラス表面を酸化しないガスであれば特に制限さ
れず、例えば、窒素、Ar等が挙げられる。
【0026】上下の金型における成形面は所望の形状に
鏡面加工され、本発明においては面精度0.05μm程
度まで安定にプリフォームに転写することができる。上
金型および下金型それぞれの形状は特に制限されず、例
えば、曲面形状(球面形状を含む)または平面形状を有
していてよく、また凹形状または凸形状いずれであって
もよい。上下の金型の材料は特に制限されないが、成形
容易性および型加工容易性の観点からSiC、Si
34、WC、Cr23が好ましく用いられ、より好まし
くはWCが用いられる。
【0027】上記のように各金型において成形面の温度
分布が低減された後は、プリフォームを当該上下金型に
よって加圧成形する。本発明においては加熱時と同様
に、各金型(2,5)の非成形面(25,26)側にお
いて非酸化性ガスを非成形面と接触させながら金型軸に
向かって流し続けながら加圧成形することが好ましい。
【0028】加圧を終了させるタイミングは、硝種によ
って異なるが、(Tg-100)℃に冷却するまで、好ましく
は(Tg-50)℃に冷却するまでとする。加圧時間および圧
力は、上金型2および下金型5の各成形面のプリフォー
ム7への転写が十分に達成されれば、特に制限されな
い。
【0029】加圧成形後は、プリフォームを上下金型内
に保持した状態で冷却する。本発明においては冷却時、
特にプリフォームの表面温度、すなわち金型成形面の温
度がガラス転移点以下になるまでの間、各金型(2,
5)の非成形面(25,26)側に非酸化性ガスを供給
し、各金型の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを制
御する。詳しくは、各金型(2,5)の非成形面(2
5,26)側において非酸化性ガスを非成形面と接触さ
せながら、金型軸から放射状に流す。すなわち、図1
(A)中、垂直路20および水平路21に、図示する矢
印と逆方向のガス流が生じるようにガスを導入する。こ
のときのガスの導入経路は垂直路20および水平路21
内で図示する矢印と逆方向のガス流が生じれば特に制限
されず、例えば、上型ユニット1においては垂直路20
の上端から、下型ユニット4においては垂直路20の下
端から、ガスを導入する。
【0030】冷却時において、金型はその周辺(側面)
から放熱されるため、金型成形面において中心部と周辺
部で温度差(中心部の温度が周辺部の温度より高い温度
分布)が生じるが、本発明においては冷却時、上記のよ
うに非酸化性ガスを金型非成形面と接触させながら金型
軸から放射状に流すため、金型成形面の温度分布が低減
された状態での冷却が可能となる。すなわち、金型から
放熱させながら、非酸化性ガスを金型非成形面と接触さ
せつつ金型軸から放射状に流すことによって、金型自体
が放熱することによる固体を介した金型中心部から金型
周辺部への熱伝導とガス流を介した金型中心部から金型
周辺部への熱伝導が行われ、金型中心部から金型周辺部
へ熱が効率よく伝わり、金型の温度分布が低減され、結
果として金型成形面の温度分布が低減された状態での冷
却が可能となる。また、冷却効率も向上する。
【0031】冷却時のガス流は、冷却時の金型成形面の
温度分布の低減が達成できれば、継続して流されても、
または間欠的に流されてもよい。
【0032】冷却時に導入される非酸化性ガスの圧力、
温度および/または流量は金型成形面の温度分布が低減
された状態を維持できれば特に制限されないが、それら
を適宜選択することによって冷却速度を調整することが
できる。冷却速度は、ガラスに歪が発生し、カンと呼ば
れる割れが起こるため制限され、通常、50〜200℃
/分、好ましくは80〜120℃/分に制御される。冷却
時において冷却速度が途中で変化しても良い。ガスの圧
力は、通常、1.0〜7.0kgf/cm2、好ましくは
3.0〜7.0kgf/cm2の範囲内で選択される。ガ
スの温度は、通常、20〜100℃、好ましくは20〜
50℃の範囲内で選択される。ガスの流量は0.5〜1
000リットル/分、好ましくは0.5〜400リットル/分の範
囲内で選択される。例えば、導入ガスの流量を100リッ
トル/分、温度を室温とすれば、冷却速度は約100℃/分
となる。
【0033】各ユニット(上型ユニット1および下型ユ
ニット4)から導入される非酸化性ガスの圧力、温度お
よび/または流量は独立して選択されてよい。
【0034】本発明における上記のような冷却はプリフ
ォームの表面温度、すなわち金型成形面の温度がガラス
転移点以下、好ましくはガラス転移点−50℃、より好
ましくはガラス転移点−20℃になるまでの間、行われ
る。プリフォーム表面温度がガラス転移点を超えている
状態で金型成形面での中心部と周辺部の温度差が20℃
を越えると面精度の安定な光学素子を得ることができな
い。
【0035】本発明においては冷却時の金型成形面にお
ける中心部と周辺部との温度差、すなわち、金型および
胴型の各中心部の温度差を20℃以下、好ましくは5℃
以下に維持することができる。
【0036】上記のような冷却を行った後は、金型間の
圧力を解除し、さらに冷却する。圧力解除後の冷却時に
おける冷却速度は大きく設定することが好ましい。これ
は、成形サイクルの短縮につながり、レンズコストを低
減する効果がある。その方法は特に制限されず、例え
ば、非酸化性ガスを吹きかけて強制的に冷却してもよい
し、または放置冷却してもよい。
【0037】本発明においては、加熱時、加圧成形時お
よび冷却時において各金型の非成形面側に非酸化性ガス
を供給し、各金型の非成形面側での非酸化性ガス流の向
きを上記のように制御することにより、金型成形面の温
度分布が低減された状態での加圧成形および冷却が可能
になるため、面精度の安定な精密ガラス光学素子を効率
よく得ることができる。
【0038】本発明においては、このような温度分布の
低減をより効果的に行うために、金型および胴型の中心
部の温度を検出しながら、非酸化性ガスの圧力、温度お
よび/または流量、ならびに加熱手段の出力を適宜調整
することが好ましい。そのため、上記の装置において
は、少なくとも1対、好ましくは2対の金型および胴型
の温度を検出しながら、非酸化性ガスの圧力、温度およ
び/または流量、ならびに加熱手段の出力を制御する手
段を設けていることが好ましい。
【0039】図3は本発明の方法を実施するのに適した
第2の態様の精密ガラス光学素子の製造装置の概略構成
図を示す。図3の装置は、上型ユニット1および下型ユ
ニット4それぞれにおいて、5本の垂直路(20Aおよ
び20B;金型軸上に形成されている垂直路を「20
A」、その周辺に形成されている垂直路を「20B」と
いう)が形成され、水平路21が一端で垂直路20Aと
連結され、他端で垂直路20Bと連結されていること以
外、図1の装置と同様である。図3(B)は図3(A)
における水平面Xの概略断面図を示す。図3(B)中、
4本の水平路21が垂直路20Aから放射状に形成され
ているが、図1の装置においてと同様に、金型成形面の
温度分布を低減できれば、水平路の数は特に制限される
ものではない。例えば、8本の水平路21が垂直路20
Aから放射状に形成される場合、各水平路の他端におい
て垂直路20Bが形成される。
【0040】図3(A)中に示されている矢印は加熱時
および加圧成形時の非酸化性ガス流の向きを示す。すな
わち、図3の装置においては、加熱時および加圧成形
時、垂直路20Bに非酸化性ガスを導入することによ
り、各金型の非成形面側(水平路21)において非酸化
性ガスを非成形面と接触させながら金型軸に向かって流
す。このため、前述のように、金型自体が加熱されるこ
とによる固体を介した金型周辺部から金型中心部への熱
伝導とガス流を介した金型周辺部から金型中心部への熱
伝導が行われ、金型周辺部から金型中心部へ熱が効率よ
く伝わり、金型の温度分布が低減され、結果として金型
成形面の温度分布が低減される。
【0041】冷却時においては、垂直路20Aに非酸化
性ガスを導入することにより、各金型の非成形面側(水
平路21)において非酸化性ガスを非成形面と接触させ
ながら金型軸から放射状に流す。このため、前述のよう
に、金型自体が放熱することによる固体を介した金型中
心部から金型周辺部への熱伝導とガス流を介した金型中
心部から金型周辺部への熱伝導が行われ、金型中心部か
ら金型周辺部へ熱が効率よく伝わり、金型の温度分布が
低減され、結果として金型成形面の温度分布が低減され
た状態での冷却が可能となる。また、冷却効率も向上す
る。
【0042】図3の装置においても、図1の装置を用い
た場合と同様に、加熱時、加圧成形時および冷却時にお
いて各金型の非成形面側に非酸化性ガスを供給し、各金
型の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを上記のよう
に制御することにより、金型成形面の温度分布が低減さ
れた状態での加圧成形および冷却が可能になるため、面
精度の安定な精密ガラス光学素子を効率よく得ることが
できる。
【0043】図4は本発明の方法を実施するのに適した
第3の態様の精密ガラス光学素子の製造装置の概略構成
図を示す。図4の装置は、上胴型3および下胴型6それ
ぞれにおいて、4本の垂直路(20B)がさらに形成さ
れ、水平路21が一端で垂直路20A(垂直路20Aは
図1における垂直路20に対応する)と連結され、他端
で垂直路20Bと連結されていること以外、図1の装置
と同様である。図4(B)は図4(A)における水平面
Xの概略断面図を示す。図4(B)中、4本の水平路2
1が垂直路20Aから放射状に形成されているが、図1
の装置においてと同様に、金型成形面の温度分布を低減
できれば、水平路の数は特に制限されるものではない。
例えば、8本の水平路21が垂直路20Aから放射状に
形成される場合、各水平路の他端において垂直路20B
が形成される。
【0044】図4(A)中に示されている矢印は加熱時
および加圧成形時の非酸化性ガス流の向きを示す。すな
わち、図4の装置においては、加熱時および加圧成形
時、水平路21および垂直路(20Aおよび20B)に
図示する矢印方向のガス流が生じるように非酸化性ガス
を導入することにより、各金型の非成形面側(水平路2
1)において非酸化性ガスを非成形面と接触させながら
金型軸に向かって流す。このため、前述のように、金型
自体が加熱されることによる固体を介した金型周辺部か
ら金型中心部への熱伝導とガス流を介した金型周辺部か
ら金型中心部への熱伝導が行われ、金型周辺部から金型
中心部へ熱が効率よく伝わり、金型の温度分布が低減さ
れ、結果として金型成形面の温度分布が低減される。
【0045】ガスの導入経路は水平路21および垂直路
(20Aおよび20B)内で図示する矢印方向のガス流
が生じれば特に制限されず、例えば、チャンバーと金型
ブロック(上型ユニット1および下型ユニット4からな
る)との間隙に、ガスを、上型ユニット1側から導入し
てもよいし、下型ユニット4側から導入してもよいし、
または上型ユニット1側および下型ユニット4側の両側
から導入してもよい。
【0046】冷却時においては、垂直路20Aに非酸化
性ガスを導入することにより、各金型の非成形面側(水
平路21)において非酸化性ガスを非成形面と接触させ
ながら金型軸から放射状に流す。このため、前述のよう
に、金型自体が放熱することによる固体を介した金型中
心部から金型周辺部への熱伝導とガス流を介した金型中
心部から金型周辺部への熱伝導が行われ、金型中心部か
ら金型周辺部へ熱が効率よく伝わり、金型の温度分布が
低減され、結果として金型成形面の温度分布が低減され
た状態での冷却が可能となる。また、冷却効率も向上す
る。
【0047】図4の装置においても、図1の装置を用い
た場合と同様に、加熱時、加圧成形時および冷却時にお
いて各金型の非成形面側に非酸化性ガスを供給し、各金
型の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを上記のよう
に制御することにより、金型成形面の温度分布が低減さ
れた状態での加圧成形および冷却が可能になるため、面
精度の安定な精密ガラス光学素子を効率よく得ることが
できる。
【0048】図5は本発明の方法を実施するのに適した
第4の態様の精密ガラス光学素子の製造装置の概略構成
図を示す。図5の装置は、図5(A)に示すように、少
なくとも1の水平路21Bが一端で垂直路20と連結し
て、他端でチャンバー9内の空間に連結して形成されて
いること、少なくとも1の誘導路25が一端で垂直路2
0と連結して、他端で開放系(図示しない)に連結して
形成されていること、および弁28が設けられているこ
と以外、図1の装置と同様である。図5(B)は図5
(A)における水平面Xの概略断面図を示す。図5
(B)中、4本の水平路21A(水平路21Aは図1
(A)における水平路21に対応する)が垂直路20か
ら放射状に形成されているが、図1の装置においてと同
様に、金型成形面の温度分布を低減できれば、水平路の
数は特に制限されるものではない。
【0049】図5(A)中に示されている矢印は加熱時
および加圧成形時の非酸化性ガス流の向きを示す。すな
わち、図5の装置においては加熱時および加圧成形時、
弁28を図5(A)に示すように開閉し、垂直路20に
非酸化性ガスを導入することにより、各金型の非成形面
側(水平路21A)において非酸化性ガスを非成形面と
接触させながら金型軸に向かって流す。このため、前述
のように、金型自体が加熱されることによる固体を介し
た金型周辺部から金型中心部への熱伝導とガス流を介し
た金型周辺部から金型中心部への熱伝導が行われ、金型
周辺部から金型中心部へ熱が効率よく伝わり、金型の温
度分布が低減され、結果として金型成形面の温度分布が
低減される。
【0050】冷却時においては、図5(A)における全
ての弁28の開閉状況を逆にし、すなわち開いている弁
は閉じ、閉じている弁は開け、垂直路20に非酸化性ガ
スを導入することにより、各金型の非成形面側(水平路
21A)において非酸化性ガスを非成形面と接触させな
がら金型軸から放射状に流す。このため、前述のよう
に、金型自体が放熱することによる固体を介した金型中
心部から金型周辺部への熱伝導とガス流を介した金型中
心部から金型周辺部への熱伝導が行われ、金型中心部か
ら金型周辺部へ熱が効率よく伝わり、金型の温度分布が
低減され、結果として金型成形面の温度分布が低減され
た状態での冷却が可能となる。また、冷却効率も向上す
る。
【0051】図5の装置においても、図1の装置を用い
た場合と同様に、加熱時、加圧成形時および冷却時にお
いて各金型の非成形面側に非酸化性ガスを供給し、各金
型の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを上記のよう
に制御することにより、金型成形面の温度分布が低減さ
れた状態での加圧成形および冷却が可能になるため、面
精度の安定な精密ガラス光学素子を効率よく得ることが
できる。
【0052】図5に示すような弁を用いた構成とするこ
とにより、一連の成形において、すなわち加熱時、加圧
成形時および冷却時において、非酸化性ガスの導入は垂
直路20のみに行うことで足るため、非酸化性ガスの導
入経路を切り替える必要がなくなる。
【0053】本発明の方法を実施する前記した全ての態
様の装置においては、金型成形面の温度分布の低減をよ
り効果的に行うために、各金型に、非成形面側に開口す
るくりぬき部を設け、加熱時、加圧成形時および冷却
時、当該くりぬき部にヒーターを抜き差しすることが好
ましい。
【0054】そのような装置の一例の概略構成図を図6
に示す。図6は各金型が非成形面側に開口するくりぬき
部29を有すること、および支持棒31によって抜き差
し可能なヒーター32を有すること以外、図1の装置と
同様である。加熱時および加圧成形時においては、各金
型のくりぬき部にヒーターを挿入し、冷却時においては
各金型のくりぬき部からヒーターを引き出す。このよう
な上記くりぬき部へのヒーターの抜き差しを、前記の金
型非成形面側での非酸化性ガス流方向の制御とともに行
うことにより、迅速で有効な金型成形面温度分布の低減
が可能となる。また、昇温速度および冷却速度を有効に
制御できる。例えば、冷却時、水平路において温度20
℃のガスを流量100リットル/分で金型軸から放射状に流
す場合、ヒーターをくりぬき部から引き抜くと、冷却速
度150〜200℃/分を達成できる。くりぬき部を設
けることによって冷却時にガス流が金型と接触する面積
が増え、放熱が促進されるためである。
【0055】また、別の態様においては、ヒーターを用
いず、上記くりぬき部を設けるだけでも、前記のように
金型の非成形面側での非酸化性ガス流の方向を制御する
ことにより、金型成形面の温度分布の低減をより効果的
に達成できる。
【0056】本発明の方法を実施するのに適した装置は
前記した態様の装置に限定されるものではなく、各金型
の非成形面側に非酸化性ガスを供給でき、各金型の非成
形面側での非酸化性ガス流の向きを制御できれば特に制
限されない。以下、実施例により本発明をさらに詳しく
説明する。
【0057】
【実施例】実施例1 次に、実施例1として具体的な成形例について説明す
る。図1に示す構成を有する装置(水平路:4本)を用
いた。金型は凸形状R(曲率半径)15mmで直径15
mmの上型2および凹R50mmで直径15mmの下型
5からなる。これにより、凹R15mmで凸R50mm
のメニスカレンズ8を成形した。プリフォーム硝材7と
しては、LaK8(Tg:652℃、At(屈伏点):
679℃)を用いた。
【0058】まず、上記プリフォーム7を下型5の上部
にセットし、図示しない金型駆動機構により金型ブロッ
ク(上型ユニット1および下型ユニット4)を移動させ
成形室を形成した。ついで、ガス導入システム(図示し
ない)により窒素ガスを成形室(チャンバー9内の空
間)に導いた(非酸化性ガスの充填)。このときのガス
温度は室温で、ガス経路は上断熱層18から下断熱層1
9にまわる経路とした。ガス圧は4Kgf/cm2、流量
は5l/minであった。成形室が窒素ガスで満たされ
たら、図示しない高周波コイルを用いて上下金型を加熱
した。上金型の中心部の温度が所定温度の705℃に達
した時に、上型ユニット1および下型ユニット4それぞ
れの水平路21においてガス流が金型軸に向かって流れ
るように、温度400℃の窒素ガス(20リットル/分)
を、チャンバー9と金型ブロックとの間隙に、上型ユニ
ット1側および下型ユニット4側の両側から導入した。
その後、ガスの導入を継続しながら、30秒間保持し、
金型とプリフォーム各面の均熱化を行った後、下型ユニ
ット4を駆動し、ブレス圧80Kg/cm2で15秒間成
形を行った。その後、各水平路21においてガス流が金
型軸から放射状に流れるように、室温の窒素ガス(10
0リットル/分)を、上型ユニットおよび下型ユニットの垂
直路20に導入し、当該ガスの導入を継続した(冷却工
程)。下金型中心部の温度がTg−20(℃)になった
時点で、上下のガス流量を各々400リットル/minとして冷
却した。その後、金型ブロックを開いて放置冷却し、成
形レンズを取り出した。そこで、これと同一の条件で1
0回繰り返した。その結果、レーザー干渉計で測定した
ところ、面精度の安定性が約1/8λ(λ=632.8
nm)のレンズが得られた。
【0059】上記成形プロセス中における上金型及び上
胴型の各中心部の温度を図示しない熱電対により検出を
行い、その温度変化を図7に示した。温度検知手段とし
ては熱電対以外に、放射温度計により非接触測定するこ
とも可能である。成形プロセス中の下金型及び下胴型の
各中心部の温度も同様に検出したところ、図7と同様の
温度変化を示した。それらの検出結果に基づいて上下個
別にガスの温度および流量を、また金型の加熱パワーを
微調整することで上下双方の金型温度および胴型温度を
制御した。本プロセス中の加圧成形時および冷却時にお
いて金型と胴型の温度差は5℃以内に維持できた。
【0060】実施例2 次に、実施例2について具体的な成形例を説明する。図
1に示す構成を有する装置(水平路:4本)を用いた。
金型は、凸R15mmで直径15mmの上型2及び凹R
50mmで直径15mmの下型5からなる。これにより
凹R15mmで凸R50mmのメニスカレンズを成形し
た。プリフォーム硝材7としてはLaF71(Tg:6
32℃、At:672℃)を用いた。
【0061】まず、上記プリフォーム7を下型5の上部
にセットし、図示しない金型駆動機構により金型ブロッ
ク(上型ユニット1および下型ユニット4)を移動させ
成形室を形成した。ついで、ガス導入システム(図示し
ない)により窒素ガスを成形室に導いた(非酸化性ガス
の充填)。このときのガス温度は400℃で、ガス経路
は上断熱層18から下断熱層19にまわる経路とした。
ガス圧は4Kgf/cm2、流量は5l/minであっ
た。成形室が窒素ガスで満たされたら、図示しない高周
波コイルを用いて上下金型を加熱した。
【0062】本実施例においては、上下金型の加熱・成
形温度に差を設けて成形を行った。上金型中心部の温度
が680℃、下金型中心部の温度が695℃に達した時
に、各水平路21においてガス流が金型軸に向かって流
れるように、温度400℃の窒素ガスを、チャンバー9
と金型ブロックとの間隙に、上型ユニット側および下型
ユニット側の両側から導入した。ガス流量は上部は15
リットル/min、下部は5リットル/minとした。その後、ガスの導
入を継続しながら、40秒間保持して下型ユニット4を
駆動し、プレス圧100kg/cm2で30秒間成形を行
った。その後、各水平路21においてガス流が金型軸か
ら放射状に流れるように、室温の窒素ガスを、上型ユニ
ットおよび下型ユニットの各垂直路20に導入した(冷
却工程)。ガス流量は上部は25リットル/min、下部は15
リットル/minとし、当該ガスの導入を継続し、下金型中心部
の温度がTg−20(℃)になった時点で、上下のガス
流量のみ変えて、各々250リットル/minとして冷却した。
その後、金型を開き成形レンズ8を取り出し、これを同
一の条件で10回繰り返した。その結果、レーザー干渉
計で測定したところ、面精度の安定性が約1/10λの
レンズが得られた。上記成形プロセス中において上下金
型および上下胴型の温度をモニターしたところ、加圧成
形時および冷却時の上金型および上胴型、各中心部の温
度差、ならびに下金型および下胴型、各中心部の温度差
は3℃以内であった。
【0063】実施例3 次に、実施例3について具体的な成形例を説明する。図
1に示す構成を有する装置(水平路:8本)を用いた。
実施例2と同様、金型は凸R15mmで直径15mmの
上型2および凹R50mmで直径15mmの下型5から
なる。これにより凹R15mmで凸R50mmのメニス
カレンズを成形した。プリフォーム硝材としてはSK5
(Tg:658℃、At:704℃)を用いた。
【0064】まず、上記プリフォーム7を下型5の上部
にセットし、図示しない金型駆動機構により金型ブロッ
ク(上型ユニット1および下型ユニット4)を移動させ
成形室を形成した。ついで、ガス導入システム(図示し
ない)により窒素ガスを成形室に導いた。このときのガ
ス温度は400℃で、ガス経路は上断熱層18から下断
熱層19にまわる経路とした。ガス圧は4Kgf/c
2、流量は5リットル/minであった。成形室が窒素ガスで
満たされたら、図示しない高周波コイルを用いて上下金
型を加熱した。上金型の中心部の温度が所定温度の73
0℃に達した時に、上型ユニット1および下型ユニット
4それぞれの水平路21においてガス流が金型軸に向か
って流れるように、温度400℃の窒素ガス(20リットル
/分)を、チャンバー9と金型ブロックとの間隙に、上
型ユニット1側および下型ユニット4側の両側から導入
した。このとき、金型と胴型の温度をモニターしなが
ら、上金型と上胴型、下金型と下胴型、各中心部の温度
差がないようにガス流量の調整を行い、かつ加熱コイル
のパワーを調整し、温度差がない状態を30秒間保持し
た。その後、下型ユニット4を駆動し、プレス圧80k
g/cm2で25秒間成形を行った。その後、各水平路2
1においてガス流が金型軸から放射状に流れるように、
室温の窒素ガス(50リットル/分)を、上型ユニットおよ
び下型ユニットの各垂直路20に導入した(冷却工
程)。このとき、金型と胴型の温度差をモニターしなが
ら、上金型と上胴型、下金型と下胴型、各中心部の温度
差がないようにガス流量の調整を行い、下金型中心部の
温度がTg−20(℃)になった時点で、上下のガス流
量のみ変えて、各々250リットル/minとして冷却した。そ
の後、金型を開き成形レンズ8を取り出し、これを同一
の条件で10回繰り返した。その結果、レーザー干渉計
で測定したところ、面精度の安定性が約1/12λのレ
ンズが得られた。
【0065】実施例4 次に、実施例4として具体的な成形例について説明す
る。図6に示す構成を有する装置を用いた。図6の装置
は各金型が非成形面側に開口するくりぬき部29(開口
部の直径:10mm)を有すること、および支持棒31
によって支持されるヒーター32(寸法:10mm×高
さ12mm、出力200W)を有すること以外、図1の
装置と同様である。
【0066】成形方法については、各水平路21におけ
るガス流の温度、流量および向きを実施例1においてと
同様に制御しながら、加熱時および加圧成形時におい
て、各金型のくりぬき部にヒーターを挿入し、冷却時に
おいては各金型のくりぬき部からヒーターを引き出すこ
と以外、実施例1の成形方法と同様であった。なお、挿
入量は確実に奥まで、また引出については金型中心温度
の特性に合わせて金型周辺と中心の温度差がでないよう
に制御しながら行った。成形プロセス中において上下金
型および上下胴型の温度をモニターしたところ、加圧成
形時および冷却時の上金型および上胴型、各中心部の温
度差、ならびに下金型および下胴型、各中心部の温度差
は2℃以内であった。10回繰り返してレンズを成形
し、レーザー干渉計で測定したところ、面精度の安定性
が1/10λのレンズが得られた。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、成形に
必要となる非酸化性ガスの経路を切り換え、さらには所
望により金型内にヒーターを抜き差しすることで効率的
に金型温度分布の低減が図れ、面精度の安定性が高い光
学素子が容易に成形できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は本発明の方法を実施するのに適した
精密ガラス光学素子の製造装置の一例の概略構成図を示
し、(B)は(A)における水平面Xの概略断面図を示
す。
【図2】 水平路を8本形成したときの図1(A)にお
ける水平面Xの概略断面図を示す。
【図3】 (A)は本発明の方法を実施するのに適した
精密ガラス光学素子の製造装置の一例の概略構成図を示
し、(B)は(A)における水平面Xの概略断面図を示
す。
【図4】 (A)は本発明の方法を実施するのに適した
精密ガラス光学素子の製造装置の一例の概略構成図を示
し、(B)は(A)における水平面Xの概略断面図を示
す。
【図5】 (A)は本発明の方法を実施するのに適した
精密ガラス光学素子の製造装置の一例の概略構成図を示
し、(B)は(A)における水平面Xの概略断面図を示
す。
【図6】 本発明の方法を実施するのに適した精密ガラ
ス光学素子の製造装置の一例の概略構成図を示す。
【図7】 本発明の方法における加熱時、加圧成形時お
よび冷却時の金型および胴型の温度変化の一例を表す概
略図を示す。
【図8】 (A)は従来の精密ガラス光学素子の製造装
置の一例の概略構成図を示し、(B)は(A)における
水平面Xの概略断面図を示す。
【符号の説明】
1:上型ユニット、2:上金型、3:上胴型、4:下型
ユニット、5:下金型、6:下胴型、7:プリフォー
ム、9:チャンバー、11:上型ベース、12:下型ベ
ース、18:上断熱層、19:下断熱層、20、20
A、20B:垂直路、21、21A、21B:水平路、
25、26:非成形面、28:弁、29:くりぬき部、
30:チャンバー内の空間、31:支持棒、32:ヒー
ター。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非酸化性ガス雰囲気下でガラスプリフォ
    ームを上下の金型間で加熱し、上下金型によって加圧成
    形した後、上下金型内に保持した状態で冷却する精密ガ
    ラス光学素子の製造方法であって、加熱時、加圧成形時
    および冷却時、各金型の非成形面側に非酸化性ガスを供
    給し、各金型の非成形面側での非酸化性ガス流の向きを
    制御することを特徴とする精密ガラス光学素子の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 加熱時および加圧成形時に、各金型の非
    成形面側において非酸化性ガスを非成形面と接触させな
    がら金型軸に向かって流し、冷却時に、各金型の非成形
    面側において非酸化性ガスを非成形面と接触させなが
    ら、金型軸から放射状に流すことを特徴とする請求項1
    に記載の精密ガラス光学素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 少なくとも1対の金型および胴型の温度
    を検出しながら、非酸化性ガスの温度および/または流
    量を制御することを特徴とする請求項1または2に記載
    の精密ガラス光学素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 加熱時、加圧成形時および冷却時、非成
    形面側に開口する各金型のくりぬき部にヒーターを抜き
    差しすることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載
    の精密ガラス光学素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 加熱時および加圧成形時に、各金型のく
    りぬき部にヒーターを挿入し、冷却時に、各金型のくり
    ぬき部からヒーターを引き出すことを特徴とする請求項
    4に記載の精密ガラス光学素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 少なくとも、ガラスプリフォームを加圧
    成形するための上下金型、上金型の熱を上方向に逃がさ
    ないための上断熱層、下金型の熱を下方向に逃がさない
    ための下断熱層、および系を外気と遮断するためのチャ
    ンバーを含んでなり、各金型の非成形面側に非酸化性ガ
    スのための水平路が形成され、該水平路に連結する垂直
    路が金型軸方向に断熱層を貫通して形成されていること
    を特徴とする精密ガラス光学素子の製造装置。
  7. 【請求項7】 少なくとも1の垂直路が金型軸上に形成
    され、水平路が非成形面に隣接しながら金型軸に向かっ
    て形成されていることを特徴とする請求項6に記載の精
    密ガラス光学素子の製造装置。
  8. 【請求項8】 水平路が一端で垂直路と連結され、他端
    でチャンバー内の空間と連結されている請求項6または
    7に記載の精密ガラス光学素子の製造装置。
  9. 【請求項9】 垂直路および/または水平路が非酸化性
    ガス流の向きを変化させるための弁を有している請求項
    6〜8いずれかに記載の精密ガラス光学素子の製造装
    置。
  10. 【請求項10】 各金型の外周に胴型を有し、少なくと
    も1対の金型および胴型の温度を検出しながら、非酸化
    性ガスの温度および/または流量を制御する手段を設け
    た請求項6〜9いずれかに記載の精密ガラス光学素子の
    製造装置。
  11. 【請求項11】 各金型が非成形面側に開口するくりぬ
    き部を有し、該くりぬき部に抜き差しするためのヒータ
    ーをさらに含んでなる請求項6〜10いずれかに記載の
    精密ガラス光学素子の製造装置。
JP37374499A 1999-12-28 1999-12-28 精密ガラス光学素子の製造方法およびその方法を用いた精密ガラス光学素子の製造装置 Expired - Fee Related JP4232305B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37374499A JP4232305B2 (ja) 1999-12-28 1999-12-28 精密ガラス光学素子の製造方法およびその方法を用いた精密ガラス光学素子の製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP37374499A JP4232305B2 (ja) 1999-12-28 1999-12-28 精密ガラス光学素子の製造方法およびその方法を用いた精密ガラス光学素子の製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001180947A true JP2001180947A (ja) 2001-07-03
JP4232305B2 JP4232305B2 (ja) 2009-03-04

Family

ID=18502685

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP37374499A Expired - Fee Related JP4232305B2 (ja) 1999-12-28 1999-12-28 精密ガラス光学素子の製造方法およびその方法を用いた精密ガラス光学素子の製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4232305B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005306693A (ja) * 2004-04-26 2005-11-04 Toshiba Mach Co Ltd ガラス成形装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005306693A (ja) * 2004-04-26 2005-11-04 Toshiba Mach Co Ltd ガラス成形装置
JP4580677B2 (ja) * 2004-04-26 2010-11-17 東芝機械株式会社 ガラス成形装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4232305B2 (ja) 2009-03-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4629489A (en) Method of manufacturing pressed lenses
US7013676B2 (en) Press molding apparatus
US6141991A (en) Press molding apparatus for glass optical elements and molding method for glass optical elements
JP4227018B2 (ja) 溶融したガラス溶融塊を非接触に成形するための方法及び装置
JP2001180947A (ja) 精密ガラス光学素子の製造方法およびその方法を用いた精密ガラス光学素子の製造装置
JP3608768B2 (ja) ガラス光学素子用プレス成形装置及びガラス光学素子の成形方法
JP2002012432A (ja) ガラス製光学素子の成形装置
JP2723139B2 (ja) 光学素子の成形方法及び成形装置
JP2836230B2 (ja) レンズ成形装置
JPH05294640A (ja) ガラス光学素子の成形方法
JPH11171556A (ja) 光学素子成型用ガラスゴブ並びにこれの成形装置および成形方法
JP4358406B2 (ja) 光学素子の成形装置及び成形方法
JPH10287434A (ja) 光学素子素材の成形方法およびその装置
JPH08245223A (ja) 光学素子の成形方法
JPH06100323A (ja) ガラス光学素子の成形方法
JPS6153126A (ja) 高精度プレスレンズの成形方法
JPH05193962A (ja) ガラス光学素子の成形方法
JP3537160B2 (ja) 光学レンズ成形用金型
JPH0531501B2 (ja)
JPH0292834A (ja) ガラスレンズ成形機
JPH04338120A (ja) ガラス光学素子の成形方法
JPS63170228A (ja) ガラスレンズのプレス成形装置
JP3895475B2 (ja) 光ファイバ用母材の加熱炉及び加熱方法
JPH08217469A (ja) 光学素子の成形方法
JPH05270846A (ja) 光学素子成形装置

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20050615

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050622

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050921

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20051025

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20051025

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080704

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080819

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081017

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081118

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081201

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111219

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees