JP2001178263A - 育苗シートおよび育苗床 - Google Patents

育苗シートおよび育苗床

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JP2001178263A
JP2001178263A JP37256199A JP37256199A JP2001178263A JP 2001178263 A JP2001178263 A JP 2001178263A JP 37256199 A JP37256199 A JP 37256199A JP 37256199 A JP37256199 A JP 37256199A JP 2001178263 A JP2001178263 A JP 2001178263A
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water
sheet
seedling
resin
raising
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JP37256199A
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Kazuhiro Kasuya
和宏 糟谷
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Sanyo Chemical Industries Ltd
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Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 育苗床の保水性を確保し、育苗期間中、灌水
の回数および育苗床の質量を低減させることで人的労働
力を低減させ、且つ圃場移植後の農薬散布を低減させる
ことで、農薬による人体への影響並びに取扱い条件の煩
わしさを改善することが可能な育苗シートを得る。 【解決手段】 農薬と吸水性樹脂とを必須成分とする育
苗シートまたは育苗床であり、特に緩効性農薬を使用す
ることで、育苗期間中および生育期間全期に亘って農薬
が有効に利用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、育苗シートおよび
育苗床に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、移植機械の発達により、水稲の育
苗技術として育苗床が普及し、多種多様の育苗技術が提
案され実用に供されてきた。水稲の移植栽培では、雑草
の駆除、疾病及び害虫を防止するために数回の農薬の散
布が行われているが、農薬の取扱い条件の煩わしさ、人
的労働力の確保および農薬散布時の農薬による人体への
影響等が問題となってきており、一方、農薬を用いなけ
れば、雑草駆除を人的労働力に頼らざるをえず、コスト
の高いものとなり、又は、疾病及び害虫の繁殖による大
幅な減収を余儀なくされるという問題がある。又、上記
問題点を改善した育苗シートとして、繊維状カルボキシ
メチルセルロースよりなる水溶紙に農薬化合物を含浸も
しくは担持させた水溶紙状農薬成形物(特開昭64−1
9002号公報参照)が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記水
溶紙状農薬成形物においても、農薬化合物が、育苗中灌
水により育苗床から流出し、薬効が充分に発揮できない
等の問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
について鋭意研究した結果、育苗シートおよび育苗床中
に農薬および吸水性樹脂を含有させることで、灌水によ
る農薬の流出を吸水性樹脂でトラップして薬効の低下を
抑制させ、且つ、田植え時に均一に圃場に投入でき、農
薬が常に稲の近郊に存在することから農薬量を通常の投
入量より減らせることを見い出した。更に、緩効性農薬
を含有させることで、圃場投入後は、農薬成分を徐々に
圃場に放出するので、薬効成分が長期に渡って効果を発
揮することを見い出し本発明に到達した。すなわち本発
明は、農薬(A)と吸水性樹脂(B)とを含有すること
を特徴とする育苗シートまたは育苗床であり、育苗シー
トが、透水性シートおよび/または水溶性シートもしく
は水崩壊性シートもしくはそれらのラミネートシート
(E)から構成されるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明に使用する農薬(A)は、
(i)殺菌性化合物、(ii)殺虫性化合物、(iii)除草性化合
物等の農薬及び/又はこれらの農薬有効成分を含有する
製剤であり、従来の農薬製剤で使用できるものならすべ
て使用できる。(i)殺菌性化合物としては、例えば、ヒ
ドロキシイソキサゾール、メタスルホカルブ、TPN
(テトラクロルイソフタロニトリル)、メタラキシル、
プロペナゾール、カスガマイシン塩酸塩、パリダマイシ
ンA、トリシクラゾール、イソプロチオラン、IBP
(O,O−ジイソプロピル−S−ベンジルチオホスフェ
ート)、ベノミル、チウラム、チオファネートメチル、
チオベンダゾール、ポリオキシン、ブロシミドン、イプ
ロジオン、ピンクロゾリン、オキサジキシル、トリフル
ミゾール、(E)−4−クロロ−α,α,α−トリフル
オロ−N−(1−イミダゾール−1−イル−2−プロポ
キシエチリデン)O−トルイジン、ピロキロン、アゾキ
シストロビン等が挙げられ、2種類以上併用してもよ
い。(ii)殺虫性化合物としては、例えば、MEP(O,
O−ジメチル−O−(3−メチル−4−ニトロフェニ
ル)チオホスフェート)、MPP(O,O−ジメチル−
O−〔3−メチル−4−(メチルチオフェニル〕チオホ
スフェート)、ベンフラカルブ、カルボフラン、カルボ
スルファン、エチルチオメトン、チオシクラム、PHC
(2−イソプロポキシフェニル−N−メチルカーバメー
ト)、カルタップ、ベンスルタップ、ダイアジノン、プ
ロバホス、アセフェート、ベンダイオカルブ、バミドチ
オン、エトキサゾール等が挙げられ、2種類以上併用し
てもよい。(iii)除草性 化合物としては、例えば、ブ
タクロール、クロロニトロフェン、ニトロフェン、シハ
ロホップブチル、カフェンストロール、ベンスルフロン
メチル、ダイムロン、テクルクロール、イマゾスルフロ
ン、プレチカクロール、ジメタメトリン、ペントキサゾ
ン、イソプロピルアンモニウム=N−(ホスホノメチ
ル)グリシナート等が挙げられ、2種類以上併用しても
よい。
【0006】尚、上記の殺菌性化合物、殺虫性化合物及
び除草性化合物を一緒に併用することも可能である。上
記(A)は対象植物に対して薬効が異なり、最適の処方
を個別に選択できる。混合すると農薬有効成分が分解す
る恐れがあるならば、農薬有効成分をそれぞれ下記に記
載する方法で被覆化した後、併用してもよいし、それぞ
れ別々のシートに含有させ、それらのシートを重ねて施
用することができる。農薬(A)の添加量としては、従
来の育苗床および圃場に投入される農薬量より計算で
き、育苗シートの単位面積(m2)当たり、通常は10〜
300g、好ましくは20〜250gである。10g以
上であると薬効が植物に効果的に作用し、300g以下
であると経済的に有利である。
【0007】本発明の育苗シートにおいて、緩効性農薬
(A1)は、農薬(A)を被覆剤(A2)で覆ったもの
で、育苗床生育期間中、水稲に薬害を与えず、圃場移植
後の生育期間中には薬効を長期に持続するように成分溶
出が調整されたものである。被覆剤(A2)としては、
従来の緩効性肥料の被覆剤として使用されているものな
ら全て適用でき、高分子新素材便覧(高分子学会編、丸
善株式会社発行、平成元年9月20日)第335頁によ
れば、現在使用されている緩効性肥料の被覆剤の組成と
して以下のものが使用される。 (1)フェノール樹脂及びタルクの混合物 (2)硫黄、パラフィンワックス及びけいそう土の混合
物、硫黄、パラフィンワックスおよびタルクの混合物 (3)オレフィン樹脂、オレフィン樹脂および界面活性
剤の混合物、オレフィン樹脂およびタルクの混合物 (4)松やに、パラフィンワックス、ポリプロピレン、
ポリエチレンおよびタルクの混合物 (5)大豆油とシクロペンタジエンの共重合物 以上の他、水に対して不溶〜難溶性の有機物質であれば
緩効性農薬の被覆物として使用可能であり、水に対して
不溶〜難溶性の有機物質としてはゴム、合成樹脂、天然
樹脂、長鎖脂肪酸、長鎖アルコール等が挙げられる。こ
れらのものについては一般的に使用されているものでよ
いが、以下に記載する。
【0008】ゴムとしては、例えば、通常の天然ゴム
(NR)のほか、スチレンブタジエンゴム(SBR)、
ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム、ブチルゴム
(IIR)、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピ
レン非共役ジエンゴム、ポリクロロプレンゴム(C
R)、ニトリルゴム、アクリロニトリルーブタジエンゴ
ム等の合成ゴム、あるいは天然ゴム(NR)、再生ゴム
等が挙げられる。合成樹脂としては、熱可塑性樹脂又は
熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、軟
質、硬質をとわず、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合
体もしくはそのケン化物、エチレン−アクリル酸塩共重
合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、クロロ
スルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタ
ン系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、オレフ
ィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等
が挙げられる。
【0009】ウレタン系樹脂としては、ポリオール、ジ
イソシアネート、鎖延長剤をバルク重合あるいは溶液重
合することにより得られる直鎖状のポリウレタン等が挙
げられる。スチレン系樹脂としては、例えば、スチレン
重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重
合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合
体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック
共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン
ブロック共重合体などが挙げられる。塩化ビニル系樹脂
としては、例えば、高重合度塩化ビニル樹脂、部分架橋
塩化ビニル樹脂、ニトリルゴム(NBR)、ウレタン樹
脂あるいはポリエステル樹脂等と塩化ビニル樹脂とのブ
レンド物、ウレタン−塩化ビニル共重合体、ニトリルゴ
ム(NBR)−塩化ビニル共重合体などが挙げられる。
オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、エチレン−プロピレンゴムとポリオレフ
ィンとの混合物、エチレン−プロピレンゴムにポリオレ
フィンをグラフト化した重合体などが挙げられる。
【0010】ポリエステル系樹脂としては、例えば、芳
香族ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体、芳
香族ポリエステル−脂肪族ポリエステルブロック共重合
体などが挙げられる。ポリアミド系樹脂としては、例え
ば、ポリエーテル−ポリアミドブロック共重合体、ポリ
エステル−ポリアミドブロック共重合体などが挙げられ
る。これらの熱可塑性樹脂及びゴムの分子量は特に制限
はないが、軟化点は通常30〜300℃であり、好まし
くは40〜200℃であり、特に好ましくは50〜15
0℃である。これらはそれぞれ単独、もしくは2種以上
混合して用いることができる。熱硬化性樹脂としては、
例えばホルマリン縮合樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタ
ン樹脂系等が挙げられる。ホルマリン縮合樹脂系として
は、尿素樹脂(尿素とホルマリンとの反応物 )、メラ
ミン樹脂(メラミンとホルマリンとの反応物、フェノー
ル樹脂(フェノールとホルマリンとの反応物)、レゾシ
ノール樹脂(レゾシノールとホルマリンとの反応物等が
挙げられる。
【0011】エポキシ樹脂系としては、末端に反応性の
エポキシ基を持つ分子量数百から約一万のオリゴマーと
適当な硬化剤と組み合わせ、硬化させることで製造さ
れ、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリ
シジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エ
ポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂(エ
ポキシ当量;65〜1000)と硬化剤(ポリアミン、
酸無水物、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリメル
カプタン類等)との反応物(エポキシ基と各官能基との
比率はモル比で1:10〜10:1)等が挙げられる。
ウレタン樹脂系としては、直鎖状のポリエステル、ポリ
エーテルまたはポリエステルアミドをベースとし、ポリ
イソシアネートを反応させてNCO末端プレポリマー
(NCO%:1〜10%)を作り、鎖延長剤により高分
子化し、熱又は適当な架橋剤により硬化せしめるプレポ
リマー法およびポリオール、ジイソシアネート、鎖延長
剤、架橋剤を同時に混合して反応せしめるポリウレタン
を得るワンショット法(イソシアネート/ポリオール等
の活性水素=0.8/1〜10/1)により製造され
る。上記、ゴム及び熱可塑性樹脂の数平均分子量は、通
常1万以上、好ましくは2〜100万である。又、熱硬
化性樹脂の硬化前の数平均分子量は、通常10万以下、
好ましくは、5万以下である。数平均分子量はゲルパー
ミエーション(GPC法)で測定できる。
【0012】疎水性天然樹脂としては、ミツロウ、牛脂
等の天然ワックス等が挙げられる。長鎖脂肪酸として
は、ベヘン酸等が挙げられる。長鎖アルコールとして
は、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール等が挙
げられる。これらの被覆剤のうち、好ましいものはワッ
クス、ゴム、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂である。
【0013】緩効性農薬(A1)の製造方法としては、
農薬(A)を押し出し造粒法、被覆造粒法及び吸着法等
で粒剤化した後、上記の被覆剤(A2)を粒剤の表面に
コーティングする方法、あるいは農薬(A)を被覆剤
(A2)でカプセル化する方法等により製造される。好
ましくは粒剤の表面にコーティングする方法で製造され
る。以下に詳しい粒剤化方法を説明する。押し出し造粒
法は、クレー、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウム
などの無機質担体に農薬原体、バインダーおよび分散剤
を、水を加えて混練した後、一定の大きさのスクリーン
を通して押し出し造粒する。乾燥後、一定の大きさにふ
るい分けする。被覆造粒法は、粒状ケイ石、粒状炭酸カ
ルシウムなどの担体に、液状の農薬原体(または固状の
原体に適当な溶剤を加えて液状としたもの)と分散剤な
どの補助剤を加える。そしてこれらを混合しながらホワ
イトカーボンなどの吸油性の微粉末(吸油剤)を段階的
に加えていく。こうして担体表面に、吸油剤に吸収され
た農薬原体、補助剤などをコーティングし、粒状に製剤
する。必要により樹脂を加え、表面の薄膜に強度を付与
する場合もある。吸着法は、吸油能を有する粒剤担体
に、被覆法と同様に液状の農薬原体(または適当な溶剤
を加えて液状とした原液)を噴霧または投入しつつ混合
し、均一に吸着させる。この吸着法にはベントナイト、
軽石、焼成ケイソウ土、ゼオライトなどの天然の鉱物を
砕いてふるい分けた粒状担体を用いるものと、あらかじ
め押し出し造粒法などで農薬原体を含まない無成分基剤
を造粒し、これに液体の原体を混合吸着させる方法があ
る。
【0014】コーティングあるいはカプセル化等の方法
として、例えば(イ)水に対して疎水性の物質を有機溶剤
(アルコール系、ケトン系、脂肪族または芳香族炭化水
素系、エステル系などの溶剤およびこれらの混合溶剤ま
たは含水溶剤など)に通常0.1〜30重量%の濃度で
溶解し、この溶液中に被覆される粒子を浸漬して乾燥す
る方法、(ロ)上記物質中に被覆される粒子を分散しコア
セルベーション法によりマイクロカプセル化する方法、
(ハ)ハイブリダイゼーションシステムによりマイクロカ
プセル化する方法、(ニ)被覆される粒子表面に上記物質
溶液をスプレーまたは塗布して乾燥する方法、(ホ)被覆
される粒子表面に上記物質の非水系または水系エマルジ
ョンをスプレーまたは塗布して乾燥する方法、(ヘ)コー
トマイザー等の装置を用いてジェットコーティングする
方法、(ト)被覆される粒子表面に溶融状態の上記物質を
直接被覆して冷却する方法、等が挙げられる。この様に
して得られる被覆された粒子並びにカプセル化物の農薬
成分の放出する時間は、被覆する物質の種類、被覆量、
膜厚、緩効性農薬の粒子径を変化させるか、下記のその
他の添加剤を添加することにより適宜コントロールする
ことが出来る。
【0015】粒子と被覆する物質との比は、粒子100
重量部に対して被覆する物質は通常0.05〜280重
量部であり、好ましくは0.5〜200重量部である。
また被覆層の膜厚は通常平均0.005〜1mm、好ま
しくは0.1〜0.5mmである。上記緩効性農薬の製
造に当たって、必要によりその他の添加剤として無機あ
るいは有機質充填剤(シリカ、ベントナイト、アスベス
ト、ガラス繊維等)、界面活性剤(ソルビタン脂肪族エ
ステル、ステアリル乳酸カルシウム等)、壁膜形成助剤
(ジメチルポリシロキサン等)等を併用することが出来
る。
【0016】本発明において吸水性樹脂(B)として
は、デンプンまたはセルロースとカルボキシル基、スル
ホン酸基などの親水基を含有する水溶性単量体及び/又
は加水分解により水溶性となる単量体と、架橋剤とを必
須成分として重合させ、必要により加水分解を行うこと
により得られる吸水性樹脂が挙げられる。この吸水性樹
脂の製造法及び具体例は、特開昭52−25886号、
特公昭53−46199号、特公昭53−46200号
及び特公昭55−21041号公報に記載されている。
(B)の他の例としては、デンプン−アクリロニトリル
グラフト重合体の加水分解物、セルロース−アクリロニ
トリルグラフト重合物の加水分解物、カルボキシメチル
セルロースの架橋物、架橋ポリアクリルアミドの部分加
水分解物、架橋されたアクリル酸−アクリルアミド共重
合体、架橋されたスルホン化ポリスチレン、特開昭52
−14689号及び特開昭52−27455号公報で開
示されているビニルエステル−不飽和カルボン酸共重合
体ケン化物、架橋されたポリアクリル酸(塩)、架橋さ
れたアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、架橋さ
れたイソブチレン−無水マレイン酸共重合体及び架橋さ
れたカルボン酸変性ポリビニルアルコール、自己架橋型
ポリアクリル酸塩などが挙げられ、これらの2種以上併
用してもよい。
【0017】これら吸水性樹脂のうち、好ましいもの
は、架橋ポリアクリルアミド共重合体、架橋されたポリ
アクリル酸(塩)、架橋されたアクリル酸−アクリル酸
エステル共重合体及び架橋されたカルボン酸変性ポリビ
ニルアルコールであり、さらに好ましいものは、架橋ア
クリルアミド共重合体、架橋されたポリアクリル酸
(塩)、及び吸水性樹脂(B1)である。また、上記
(B)のうち、カルシウムイオン吸収量が乾燥重量1g
あたり0〜100mg、塩素イオンの含有量が乾燥重量
1gあたり0.07〜7mmolであり、且つ、25℃
のイオン交換水中での吸水倍率が10〜1,000倍で
ある吸水性樹脂(B1)が特に好ましい。これらの製造
方法及び吸水性樹脂の具体例は、特願平10−3164
40号公報に記載されている。
【0018】(B)の質量に対する水の吸水倍率は、好
ましくは10〜1500倍であり、より好ましくは10
0〜1000倍である。又、(B)の形状は、好ましく
は粉末状又は粒状であり、その平均粒径は空隙率の点お
よびシートを形成する点から、好ましくは150〜17
00μmであり、より好ましくは300〜800μmで
ある。粒土分布は、特に限定はない。吸水性樹脂の吸収
倍率は次に示す方法により測定して得られる値とする。
<吸水性樹脂の吸収倍率>ナイロン製の網袋(250メ
ッシュ)に吸水性樹脂の試料(サンプル量;Xg)を入
れ、これを袋ごと過剰の水に浸した。浸漬60分後に袋
ごと空中に引き上げ、静置して15分間水切りした後、
質量(Yg)を測定して下式より吸収倍率を求めた。
[網袋のみを用いて上記と同様の操作を行い、この分の
質量(Zg)をブランクとして差し引いた。] 吸収倍率=(Y−Z)/X (B)の添加量、いかなる吸水倍率のものを選ぶかに関
しては、必要とする保水量に応じて決められる。(B)
の添加量としては、発芽性、保水性より、育苗シートの
単位面積(m2)当たり、通常は1〜100g、好まし
くは5〜80gである。
【0019】(B)を後述する透水性シートおよび/ま
たは水溶性シートもしくは水崩壊性シートもしくはそれ
らのラミネートシート(E)に存在させた後、育苗床に
敷設し、これに培土を入れ、灌水すると、シート内の吸
水性樹脂が吸水膨潤し、水の粒子として吸水樹脂内に保
持される。このため培土が乾燥してきても、水を吸収し
た吸水性樹脂から水が徐々に放出され、培土中に水分を
補給するため乾燥しにくくなる。この現象は、以下の効
果を生み出す。まず、灌水間隔をのばすことができ、灌
水の省力化ができる。又、(B)の保水量が大きく、蒸
発しにくいため培土の量を通常の半量まで減らせること
ができ、更に根に十分な水分を供給するとともに、根腐
れの心配もなく根張り(マット形成)が良くなる。
【0020】本発明においてフィラー(C)としては、
好ましくは粉末状、粒状、繊維状および綿状のフィラー
である。(C)としては、種子の発芽生育を阻害しない
ように、適度な通気性を有するもの、地面に取り付けた
際に土壌に悪影響を与えないもの及び/又は土壌表面若
しくは内部において分解され易い性質を有しているもの
が好ましく、特願平11−327876号公報に記載さ
れたものが挙げられる。例えば、パーライト、バーミキ
ュライト、ロックファイバー等の無機多孔質、木屑、モ
ミガラ、ソバカス、米ヌカ、木綿、ワラ、草炭、羊毛、
オガクズ、パルプ、紙屑等が挙げられる。(C)の添加
量としては、通気性および厚さを確保するため、育苗シ
ートの単位面積(m2)当たり、通常は1〜500g、
好ましくは3〜300gである。
【0021】本発明において肥料(D)としては、窒素
質肥料、リン酸質肥料、カリ質肥料、有機質肥料、複合
肥料、石灰質肥料、ケイ酸質肥料、苦土肥料、マンガン
質肥料、ホウ素質肥料、微量要素複合肥料等の普通肥料
と、その他の特殊肥料(緩効性肥料等)を挙げることが
できる。これらの肥料成分は液状又は粉末などの固体状
であり、吸水性樹脂に対して添加することによって、或
いは吸水性樹脂に注水する水に含有させることによっ
て、育苗シート中に存在させることができる。(D)の
添加量としては、栽培する作物の種類、使用する肥料の
種類等を考慮して任意に決めることができるが、育苗シ
ートの単位面積(m2■)当たり通常は1〜500g、好
ましくは3〜300gである。
【0022】本発明のシート(E)は、例えば、透水性
のシート、水崩壊性のシートおよび水溶性のシートであ
り、更に水崩壊性のシートと水溶性のシートとのラミネ
ートシート等が挙げられる。又、これらの重ね合わせた
組合せであってもよい。本発明の(E)としては、育苗
シートに成形後の厚みが0.01〜9mmになるものが
好ましく、0.02〜3mmとなるものがより好まし
い。又、(E)の質量は、育苗シートの単位体積
(m2)当たり、育苗シートの保形性、厚さを確保する
ため、通常は5〜300g、好ましくは10〜100g
である。透水性シートとしては、例えば、セルロース系
繊維の織編物(布)や不織布、紙、水溶性ポリビニルア
ルコール系繊維織編物やフィルム、板紙等が挙げられ、
これらの中で透水性の程度が、JIS L 1096に
記載の吸水速度A法において、5分以下の吸水速度を有
するものが好ましい。又、種子の発芽生育を阻害しない
ように、適度な通気性、及びシートを地面に取り付けた
際に、土壌表面若しくは内部において分解され易い性質
を有していることが好ましく、これらの中ではセルロー
ス質の紙及び不織布が好ましい。
【0023】水崩壊性のシートとしては、例えば、紙の
パルプ繊維同士を水溶性または親水性の糊、水膨潤性ポ
リマー等で接着させて水との接触によりパルプ繊維同士
がバラバラに崩壊するようにした紙(三島製紙株式会社
製の「ディゾルボMDP」等)、さらにこれにヒートシ
ール剤を併用して成形加工性(熱接着性)を加味した紙
(三島製紙株式会社製の「ディゾルボMDP−P」等)
等が挙げられる。これらの紙は、吸水により崩壊するス
ピードが速い特徴を有する。水溶性のシートとしては、
水溶性ポバールフィルム、デンプンフィルム、カラギー
ナンフィルム等の水溶性のフィルムや、ポバール繊維で
作られた水溶性の不織布(日本バイリーン社製「エコモ
ールド」「エコソルブ」等)が挙げられる。これらのシ
ートは、同一の厚みで比較した場合、上記水崩壊性の紙
より水溶解(崩壊)速度は劣るものの、乾燥状態でのシ
ート強度が大きい特徴を有する。
【0024】また、該水崩壊性の紙と水溶性のフィルム
を貼り合わせたラミネートシートとしては、少なくとも
1種以上の、上記水崩壊性の紙および水溶性のフィルム
を接着、ラミネートしたもの(上記「ディゾルボMD
P」にポバールフィルムを貼り合わせた三島製紙株式会
社製の「ディゾルボA」等)が挙げられる。これらのラ
ミネートシートは水への溶解(崩壊)性が速くかつフィ
ルム強度も大きいという特徴を有する。これは、紙の強
度の分、貼り合わせる水溶性フィルムの厚みを薄くでき
るため、トータルとして溶解(崩壊)速度とフィルム強
度の両面を向上させることが出来る。これら水溶性もし
くは水崩壊性のシートの中で好ましいものは、水崩壊性
の紙及水溶性の不織布である。また、これら水溶性もし
くは水崩壊性のシートが水中で崩壊ないし溶解に要する
時間は、通常5分以内、好ましくは2分以内、更に好ま
しくは1分以内である。
【0025】本発明の育苗シートは(A)、(B)を含
有することを特徴とするシートであり、(A)、(B)
および(E)とからなり、(A)、(B)が少なくとも
1枚の(E)の表面または内部に存在してなる育苗シー
トである。この育苗シートには更に(C)、更に(D)
が少なくとも1枚の(E)に存在することが出来る。育
苗シートとして、(E)を2枚以上用いる場合は、全体
として少なくとも1枚の(E)の表面または内部に
(A)、(B)が存在していればよい。2枚以上用いる
育苗シートの例としては、例えば、(E)の層、(C)
と(B)の層、(E)の層、(A)の層および(E)の
層からなる5層構造を有するもの、(E)の層が2層、
(A)〜(D)の混合された層および(E)の層からな
る4層構造を有するものなどが挙げられる。
【0026】本発明の育苗床は、内部に培地が充填され
た上面開放の容器と、上記容器の底部すなわち培地の下
面に敷置された育苗シートとを備えている。本発明に用
いられる上記内部に培地が充填された上面開放の容器と
しては、従来から播種作業に用いられている育苗用の箱
があげられる。上記培地としては、特に限定するもので
はなく用土等の従来公知のもの、例えば土、砂、腐葉土
等を基本成分とし、これに肥料等の他の添加剤を混合し
たものがあげられる。
【0027】本発明において、育苗シートの製造方法と
しては、通常の方法、例えば(E)を(A)〜(D)の
混合物に浸漬するか、(E)の表面に塗布する方法等が
挙げられる。(E)を2枚用いる場合は上記と同じ方法
で作成して2枚重ねる方法の他に、例えば次の2つの方
法が挙げられる。(a)一方の(E)上に(A)〜
(D)を混合したものを均一に散布した後、他方の
(E)を重ね合わせ、更にエンボス加工等の加圧成形を
したもの。(b)一方の(E)上に(A)〜(D)を混
合したものを適当な後期の結合材(F)に加えたものを
塗工し、他方の(E)を重ね合わせ加工成形した後、乾
燥したもの。
【0028】(E)を3枚以上用いる場合は、上記の方
法の1枚の場合と2枚の場合の両方の単独の方法の組み
合わせや2枚の場合と同じ方法で処理することも考えら
れる。本発明において、育苗シートの形態としては、一
般に市場に流布されている育苗床(プラスチック容器)
の大きさ以内であれば、長さ,幅,厚みは制限されない
が、取扱いの点から、長さ600cm,幅300cm以
内が好ましい。又、育苗シートの厚みは、流通コスト、
製造の点から、できる限り薄いものが好ましい。通常は
0.01mm〜20mmの、好ましくは0.02mm〜
10mmである。育苗床に育苗シートを施設する場合、
特に数に制限はないが、通常育苗床に育苗シート1枚で
ある。
【0029】(E)上に(A)〜(D)を固定する結合
材(F)としては、天然高分子、合成樹脂、天然および
合成ゴムなどが挙げられ、特願平11−327876号
公報に詳細に記載されているものと同じものが使用でき
る。天然高分子としては、デンプン、カルボキシメチル
セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒ
ドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、アルギン酸ソーダ、グアーガム、キサンタンガム、
ビーンガム、カラギーナン、グルテンなどが挙げられ
る。合成樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリウレタン
系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エ
チレン共重合体樹脂などが挙げられる。天然および合成
ゴムとしては、天然ゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、
ポリイソブチレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、エ
チレン・プロピレンゴム、クロロプレンゴムなどが挙げ
られる。これらはそれぞれ単独、もしくは2種類以上混
合して用いることができる。これらのうち好ましいもの
はデンプン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸
ソーダ等の水溶性高分子である。
【0030】農薬(A)及び緩効性農薬(A1)は、後
記の育苗工程を経て、移植後の水稲田に均一に定着し、
薬効成分を放出する。又、緩効性農薬は、薬効成分を徐
々に土壌に放出し、その結果として薬の効き目が効果的
に、且つ長期に発現される。通常、田植機で植えられる
苗は、育苗床と呼ばれる床の中で育てられるが、例えば
以下のような工程が必要となる。すなわち、 1)種子の予備措置 種モミ選別:消毒の後、塩水選により浮モミを除去
し、水洗の後乾燥する。 浸種:5日間浸水して、種モミの吸水を均一にする。
その間、毎日の水替えと、水切りにより酸素補給を繰り
返す。 催芽:酸素補給の後、32℃の温湯で10時間浸種し
てハト胸状態にする。 2)床土の調整 通気性と水はけのよい団粒構造の土を選び、PH5に調
整する。元肥を配合する。 3)土入れ 育苗床に床土を入れ鎮圧し平面にする。 4)播種 苗床に均一にまいて灌水し、種モミの腹を落付かせる。
まきムラを手直しする。
【0031】5)覆土 5mm厚に土を入れ、均し平面にする。 6)育苗器による出芽そろえ 32℃で2日間で鞘葉長1.2cmくらいに仕立てる。 7)予備緑化 酸素補給、灌水の後育苗床でチラチラ光線を当て、25
℃で1日、20℃で1日管理する。 8)緑化 ハウス内で昼間30℃、夜間12℃で8日間、毎日数
回、十分灌水を繰り返して2.5葉を展開させる。 9)硬化 昼間20℃、夜間10℃の管理で10日間、自然条件に
なじむ3.5葉令の苗に徐々に育てる。
【0032】本発明の育苗シートは、土入れ:3)前の
育苗床の内部に設置される。設置の場所、方法は任意で
よいが通常底部に設置される。又、(A)、(B)を単
体で使用する場合は床土及び/又は覆土に混ぜ合わせて
投入しても良いし、床土の調整:3)の後から5)の
間、更に5)終了後のいずれかに添加しても良い。6)
〜9)の期間育苗シートの(A)中の薬効成分は、灌水
により流出するが、吸水性樹脂がその流出した薬効成分
を含む水を吸水することから、すなわち薬効成分をトラ
ップし、薬効の低下を抑制する。又、(A1)中の薬効
成分は、灌水程度の水では、わずかしか放出せず、水稲
田移植後に(A1)が水に完全に浸っていることから、
薬効成分の放出量は増加する。すなわち、育苗床に施設
した育苗シート中の(A1)が、田植機を使用し水稲田
に均一に移植され、更に、(A1)が常に水稲苗の近郊
に施設されるため、通常の使用量よりも少なく、且つ薬
の効果も長期間持続する。
【0033】
【実施例】以下、実施例、試験例により本発明を更に説
明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以
下において、%は質量%を示す。又、緩効性農薬の溶出
率は次に示す方法により測定してえられた値とする。 <緩効性農薬の溶出率>溶出率の測定は、質量(W1)
の緩効性農薬(農薬含有率H%)を一定量の水に投入
し、25℃の恒温槽内に放置して10日間後に取り出
し、緩効性農薬と溶液を分別し、緩効性農薬の乾燥後の
質量(W2)を測定し、下記式により溶出率を求めた。
【0034】
【化1】
【0035】[1]原料資材の組成 1.緩効性農薬(A1) (1)緩効性農薬(a1) 農薬(ベンフラカルブ)5.0%を含むオンコル粒剤5
の表面に、サンワックス131−Pの5%トルエン溶液
をスプレードライ法により被覆・乾燥して、オンコル粒
剤5とサンワックス131−P(ポリエチレンワック
ス、数平均分子量:5,000、三洋化成工業社製)と
の重量比が100/30、農薬含有率3.8%の緩効性
肥料(a1)を得た。(a1)の溶出量は、70%であ
った。0)、三洋化成工業社製 (2)緩効性農薬(a2) 農薬(ベンフラカルブ)5.0%を含むオンコル粒剤5
の表面に、5015M[エチレン−酢酸ビニル共重合体
(EVA)、酢酸ビニル含量19%、東京インキ社製]
の5%トルエン溶液をスプレードライ法により被覆・乾
燥して、オンコル粒剤5と5015Mとの重量比が10
0/30、農薬含有率3.8%の緩効性肥料(a2)を
得た。(a2)の溶出率は、50%であった。
【0036】(3)緩効性農薬(a3) 農薬(ペントキサンザン)とベントナイトとを均一に混
ぜ、ペントキサンザンを50%含む粒剤Jを得た。粒剤
Jの表面にビスコール330−P(ポリプロピレンワッ
クス、数平均分子量:15,000、三洋化成工業社
製)の5%トルエン溶液をスプレードライ法により被覆
・乾燥して、粒剤J/ビスコール330−Pの重量比が
100/30、農薬含有率38.5%の緩効性農薬(a
3)を得た。(a3)の溶出率は、64%であった。 (4)緩効性農薬(a4) 農薬(イマゾスルホン/シハロホップブチル/プレチラ
クロール/ジメタメトロン=1/2/6/1(重量
比))とベントナイトとを重量比1/1で均一に混合
し、粒剤Kを得た。粒剤Kの表面に1030M(ポリエ
チレン、軟化点78℃、東京インキ社製)の5%トルエ
ン溶液をスプレードライ法により被覆・乾燥して、粒剤
K/1030Mの重量比が100/30、農薬含有率3
8.5%の緩効性農薬(a4)を得た。(a4)の溶出
率は、40%であった。
【0037】2.吸水性樹脂(B) (1)吸水性樹脂(b1) サンフレッシュST−500D:アクリル系吸水性樹
脂、平均粒径500μm、吸水倍率約400g/g、三
洋化成工業社製 (2)吸水性樹脂(b2) 1リッターのビーカーに、アクリル酸230g、48%
の水酸化ナトリウム水溶液133g、ペンタエリスリト
ールトリアリルエーテル1.0g、および水636gを
添加し10℃に冷却した。この溶液を、断熱重合槽に入
れ、窒素を通じて溶液の溶存酸素を0.1ppm(オリ
エント電気社製、商品名溶存酸素計 DO220PBで
測定)とした後、35%の過酸化水素水0.023g、
L−アスコルビン酸0.00575g、および過硫酸カ
リウム0.23gを添加した。該添加後、約30分で重
合反応が開始し、約2時間後に最高温度72℃に到達し
た。更に、この温度で5時間熟成させて重合を完結させ
た。得られた重合体は、含水ゲル状を有していた。この
重合体をニーダー(入江商会社製、商品名BENCH KNEADE
RPNV−1;回転数70rpm)で約2時間撹拌して
細断し、更に50%の塩化カルシウム水溶液35.5g
を配合し、ニーダーで約2時間撹拌して混合した。引き
続き110℃で加熱乾燥した後、粉砕して平均粒径45
0ミクロン(日機装社製、商品名:マイクロトラックF
RA粒度分析計で測定)であって、カルシウムイオン吸
収量85.4(mg/g)、塩素イオン含有量1.6
(mmol/g)、吸水倍率309(g/g)の吸水性
樹脂(b2)を得た。 3.フィラー(C) 粉砕パルプ 4.透水性シート(E) ティッシュ:580mm×
280mm 2枚
【0038】[3]育苗条件 1.供試品種:ヒノヒカリ 2.育苗箱:内のり面積580×280mm/箱 3.育苗シート:面積580×280mm/枚 4.播種:180g/箱(乾籾換算) 5.培土:由土;ビートモス=3:1(容積比)(床土
・覆土に使用) 実施例1〜3、比較例1には、2.9kg/箱、追肥
を行い、肥料成分は1箱当たりN成分として1.6g、
25成分として0.9g、K2O として0.8g 比較例2には、4.5kg/箱、追肥を行い、肥料成
分は1箱当たりN成分として1.2g、P25成分とし
て1.8g、K2O として1.5g 6.薬剤処理:種子消毒はベントレートT(200倍
液)48時間処理 7.出芽処理:積み重ね方式、加温出芽(32℃×2日
間) 8.緑化処理:ビニールハウス畑育苗
【0039】[2]試験方法 表1記載の配合処方で、(E)上に(A)〜(C)を混
合したものを均一に散布した後、他方の(E)を重ね合
わせ、更にエンボス加工した。この様にして本発明の育
苗シートを作成し、2〜3葉令までの育苗状態、各種試
験(殺虫効果確認試験、除草効果確認試験)を対照サン
プル(比較例)と比較した。その結果を表1、表2に示
す。 <育苗床期間中の薬害>薬害は肉眼観察により、下記の
指標で観察した。 薬害指数: 0:無害(健全) 1:微少害 2:小害 3:中害
4:大害 5:完全枯死
【0040】<殺虫効果確認試験>5千分の1アールの
ポットに水田土壌(植壌土)を充填して、下記の方法で
育てた2〜3葉期の水稲幼苗10本を2cmの深さに移
植し水を加えて3cmの灌水状態にした。移植10,2
0および30日後に、苗ポットにプラスチックス製の網
蓋付円筒(直径11cm、高さ30cm)をかぶせ、こ
の中にイネミズゾウムシ成虫を10頭放虫した。放虫7
2時間後に生死虫数を調べた。試験は各5回実施し、平
均死虫率(%)を求めた。薬害は肉眼観察により、上記
<育苗床期間中の薬害>の指標で観察した。 <除草効果確認試験>5千分の1アールのポットに水田
土壌(植壌土)を充填して表層にノエビ、広葉雑草(キ
ガシグサ、アナゼ)およびコナギの各種雑草の種子を均
一に混合して播種し、上記の方法で育てた2〜3葉期の
水稲幼苗10本を2cmの深さに移植し水を加えて3c
mの灌水状態にした。移植して3週間後に除草効果を調
査した。薬害は肉眼観察により、上記<育苗床期間中の
薬害>の指標で観察した。 除草指数: 0:無害(健全) 1:微少害 2:小害 3:中害
4:大害 5:完全枯死
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】表1、2から吸水性樹脂(b1)、(b
2)を含有したシート(実施例1〜6、比較例2)は、
含有しないもの(比較例1)や従来の新聞紙(比較例
3)に比べ、通常の培土量を半減近くにしても良好な苗
を生育できる。特に吸水性樹脂(b2)を使用したもの
は、根張り、地上部生育の非常に良好な苗が得られた。
表1,2から明らかなように、緩効性農薬(A)を含有
した育苗シート(実施例1〜4,7,9)は長期に薬効
が持続し、良好な殺虫、除草効果を発揮する。
【0044】
【発明の効果】本発明の育苗シート、育苗床を用いるこ
とにより、以下の効果が得られる。第1は、従来の育苗
期間中の灌水回数を低減でき、又従来の培土量を半減近
くにできることから、即ち灌水後の育苗箱の重量を約3
0%低減でき、取扱いの大幅な改善ができる。第2は、
吸水性樹脂を含有した育苗シートを使用することで育苗
期間中の根張り、地上部の生育を向上でき、特に吸水性
樹脂(b2)を使用することで根張り、地上部の生育を
従来に比べ大幅改善でき、移植に際して移植精度が向上
し、水稲田への良好な活着が得られることである。又、
育苗期間中の農薬の流出を防止することができる。第3
は、育苗シートあるいは育苗床に農薬並びに緩効性農薬
を存在させることで、育苗並び生育全期にわたっての殺
菌、殺虫及び除草等が可能である。即ち、育苗床の圃場
への均一な割りつけにより通常の農薬量を低減できるこ
と、農薬投入を育苗初期の1回だけすますことができる
ため、人体への農薬の影響並びに人的労働力も低減させ
ることができることから今後の植物栽培の用途に有用
で、実用価値が高い。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 農薬(A)と吸水性樹脂(B)とを含有
    することを特徴とする育苗シートまたは育苗床。
  2. 【請求項2】 該(A)が、被覆剤(A2)で被覆され
    ている緩効性農薬(A1)である請求項1記載の育苗シ
    ートまたは育苗床。
  3. 【請求項3】 該(B)が下記に示す吸水性樹脂(B
    1)である請求項1または2記載の育苗シートまたは育
    苗床。吸水性樹脂(B1):カルシウムイオン吸収量が
    乾燥重量1gあたり0〜100mgであり;塩素イオン
    の含有量が乾燥重量1gあたり0.07〜7mmolで
    あり;且つ、25℃のイオン交換水中での吸水倍率が1
    0〜1,000倍である吸水性樹脂。
  4. 【請求項4】 該(A2)がワックス、ゴム、熱可塑性
    樹脂、熱硬化性樹脂からなる群から選ばれるものである
    請求項1〜3のいずれか記載の育苗シートまたは育苗
    床。
  5. 【請求項5】 該育苗シートが、透水性シートおよび/
    または水溶性シートもしくは水崩壊性シートもしくはそ
    れらのラミネートシート(E)と(A)および(B)か
    らなり、(A)および(B)が少なくとも1枚の(E)
    の表面および/または内部に存在してなる請求項1〜4
    のいずれか記載の育苗シート。
  6. 【請求項6】 さらに、フィラー(C)が少なくとも1
    枚の(E)に存在してなる請求項1〜5のいずれか記載
    の育苗シート。
  7. 【請求項7】 さらに、肥料(D)が少なくとも1枚の
    (E)に存在してなる請求項1〜6のいずれか記載の育
    苗シート。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか記載の育苗シー
    トが施設されてなる育苗床。
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