JP2001175833A - 耐熱性カード - Google Patents

耐熱性カード

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JP2001175833A
JP2001175833A JP35778899A JP35778899A JP2001175833A JP 2001175833 A JP2001175833 A JP 2001175833A JP 35778899 A JP35778899 A JP 35778899A JP 35778899 A JP35778899 A JP 35778899A JP 2001175833 A JP2001175833 A JP 2001175833A
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resin
heat
card
resistant
sheet
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JP35778899A
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English (en)
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Toshinao Kagami
利直 鏡
Takehiro Shimizu
剛宏 清水
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性プラスチックのシートを用いてカード
基材を構成したときに、エンボス加工により形成された
文字部の上へのティッピングが困難になる欠点を解消し
た耐熱性カードを提供することを課題とするものであ
る。 【解決手段】 オーバーシート21、21’、コアシー
ト22、22’とからなるカード基材2に磁気ストライ
プ3、ICモジュール4等を形成したカードの、エンボ
ス加工の必要な箇所に、溶剤溶解性の樹脂からなるティ
ッピング用受像層7を積層しておくことにより、形成さ
れた凸部6にティッピング8を施すことができた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、昇華転写、熱溶融
転写、もしくはエンボス文字上へのティッピング等の際
の適性の乏しい耐熱性が高いプラスチックシートを基材
として使用しながらも、それらが支障無く行なえる耐熱
性カードに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、銀行カード、クレジットカードを
始めとして、多くのカードが用いられている。これらの
カードの基材としては、種々のものが使用できるが、通
常は、内側にコアシートと呼ばれる2枚の白色の厚いプ
ラスチックシートを、コアシートの表裏の外側にオーバ
ーシートと呼ばれる2枚の透明のプラスチックシートを
配置し、オーバーシート、コアシート、コアシート、お
よびオーバーシートからなる合計4枚のプラスチックシ
ートを互いに熱融着してカード基材としており、プラス
チックとしてはポリ塩化ビニル樹脂が使用されている。
【0003】このように構成されたカード基材には、通
常、磁気記録層やICモジュール等が情報記録手段とし
て設けられており、ID手段等として利用されている。
ところで、カードには磁気記録層やICモジュール等以
外にも、様々な情報記録手段が設けられているが、昇華
転写や熱溶融転写による文字や顔写真等の転写による印
刷、もしくはエンボス文字上へのティッピング等の転写
が行なわれることが多い。ここで言うティッピングと
は、カード上にエンボス加工により、カードを保持して
いる顧客の氏名や、その顧客に固有の番号が形成された
凸部の先端にインキ組成物を適用して施された着色のこ
とである。
【0004】ところで、従来のカードは、ポリ塩化ビニ
ル樹脂を主体とする樹脂のシートを基材として構成され
ていることが多く、ポリ塩化ビニル樹脂のシートが印刷
やラミネートにおける接着性を有しているために、転写
による印刷や、エンボス加工によって形成された文字の
凸部の先端に着色を行なうことは容易である。
【0005】しかし、ポリ塩化ビニル樹脂のシートを基
材とするカードは、真夏の高温下等では変形する恐れが
あり、読み取りや書き込みの支障となる上、携帯時にも
かさばる欠点が避けられない。また、エンボス加工の際
にもカード基材のカールが生じる恐れがある。このた
め、ポリ塩化ビニル樹脂のシートよりも耐熱性の優れた
プラスチックのシートを用いることが試みられており、
ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノー
ルを含む非結晶性のポリエステル樹脂に、耐熱性の高い
ポリカーボネート樹脂をブレンドした樹脂等の耐熱性プ
ラスチックシートが検討され始めている。
【0006】しかしながら、耐熱性プラスチックシート
の耐熱性が高くなるにつれ、そのような素材で構成され
たカード上への転写や、エンボス加工により形成された
文字上へのティッピングが困難になり、着色のためのイ
ンキ組成物が接着しないか、昇華の場合には染料が染着
しない、または接着しても接着力が不十分で、使用中に
摩耗等により消失する恐れがある。その理由は、耐熱性
プラスチックシートの耐熱性を向上させるために、構成
する樹脂の分子量が高くなり、あるいは分子同士の結び
つきが強固になるため、必然的に溶剤の浸透性や染料の
染着性、インキ組成物中の樹脂との接着が悪くなるため
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明においては、上
記のように耐熱性プラスチックのシートを用いてカード
基材を構成したときに、カード上への転写による印刷
や、エンボス加工により形成された文字部の上へのティ
ッピングが困難になる欠点を解消した耐熱性カードを提
供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決する手段】本発明においては、上記の課題
を、少なくともカード表面のエンボス加工の必要な箇所
に、溶剤溶解性の樹脂からなる受像層を積層することに
より解決した。
【0009】第1の発明は、カード基材の少なくとも表
面層が耐熱性の高いプラスチックシートで構成されてお
り、前記表面層の少なくとも一部の上には、溶剤溶解性
の樹脂からなる受像層が積層されており、前記受像層に
は、転写により形成された印刷部を有していることを特
徴とする耐熱性カードに関するものである。第2の発明
は、第1の発明において、前記受像層のある部分には、
エンボス加工により形成された凸部からなる文字を有し
ており、かつ前記凸部の表面にはティッピングが施され
ていることを特徴とする耐熱性カードに関するものであ
る。第3の発明は、第1または第2の発明において、前
記耐熱性の高いプラスチックシートが、ポリプロピレン
樹脂、非結晶性環状オレフィン系共重合体、ABS、ポ
リエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、もしくはポリイミ
ド樹脂から選ばれた樹脂のシートであることを特徴とす
る請求項1または2記載の耐熱性カードに関するもので
ある。第4の発明は、第3の発明において、前記耐熱性
の高いプラスチックシートが、テレフタル酸と、エチレ
ングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノー
ルの2種類のジオール成分からなる非結晶ポリエステル
樹脂のシートであることを特徴とする耐熱性カードに関
するものである。第5の発明は、第4の発明において、
前記ジオール成分が、エチレングリコール60〜80モ
ル%および1,4−シクロヘキサンジメタノール20〜
40モル%からなることを特徴とする耐熱性カードに関
するものである。第6の発明は、第4または第5の発明
において、前記耐熱性の高いプラスチックシートが、非
結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂とポリカーボネ
ート樹脂の質量比が95/5〜5/95の混合樹脂のシ
ートであることを特徴とする耐熱性カードに関するもの
である。第7の発明は、第6の発明において、前記耐熱
性の高いプラスチックシートが、非結晶性ポリエチレン
テレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂の質量比が
80/20〜20/80の混合樹脂のシートであること
を特徴とする耐熱性カードに関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本発明の耐熱性カード1の
構造例を示すための平面図であって、このカード1にお
いては、カード基材2の上辺のやや下方に磁気ストライ
プ(または磁気記録層とも言う)3を有しており、磁気
ストライプ3よりも下方のカード基材2上には、受像層
7が積層されており、この受像層7が積層されている区
域に、ICモジュール4、文字印刷部5、およびエンボ
ス加工による凸部からなる文字6等を備えたものであ
る。受像層7上には、エンボス加工による凸部からなる
文字6に替えて、あるいは、エンボス加工による凸部か
らなる文字6に加えて、転写により形成された顔写真や
文字等の印刷が施されていてもよい(図示せず。)。
【0011】上記において、ICモジュール4は、IC
チップ、端子、あるいはアンテナ等を樹脂でモールドし
たものである。また、文字印刷部5は、カード基材2の
表面よりも内側に形成されているのが普通で、図2に示
すコアシート22の上面、およびコアシート22’の下
面に形成され、それぞれ、オーバーシート21、および
21’により被覆されている。
【0012】エンボス加工による凸部からなる文字6に
は、その表面にティッピング8が施されて、見やすく構
成されている。図3に、エンボス加工による凸部からな
る文字6、受像層7、およびティッピング8の関係を拡
大して示す。このエンボス加工による凸部からなる文字
6は、カード毎の固有な番号、保持者(=契約者)の氏
名、有効期限等の情報を表示している。なお、図示以外
にも、カード基材2には、適宜な印刷が施されていた
り、これら以外の情報記録手段が備えられていてよい。
【0013】図2に示すように、代表的なカード基材2
は、上面側から、オーバーシート21、コアシート22
および22’、およびオーバーシート21’の4枚のシ
ートが順に積層した構造を有しており、オーバーシート
21、および21’は、透明プラスチックシートで構成
され、コアシート22、および22’は、二酸化チタン
等の光遮蔽性顔料を練り込んだ隠蔽性プラスチックシー
トで構成される。
【0014】図2におけるような、2枚のオーバーシー
ト、および2枚のコアシートからなる4層の積層構造以
外に、オーバーシートの枚数もしくはコアシートの枚数
を増減して、4層以外の構造とすることもできる。一般
的には、オーバーシートは、コアシート表面に施された
印刷を保護する意味で、厚み50μm程度の透明プラス
チックシートで構成するのが普通であるため、コアシー
トを1〜5層程度、より好ましくは2〜5層程度の多層
構造とすることが好ましい。
【0015】また、カード基材2においては、厚み方向
の中心を含み、カードの面方向に平行な面を想定したと
き、その面に対して対象になる積層構造とすることによ
り、カード基材2、ひいてはカード1のカールを防止し
やすい。その意味で、図2においては、2枚のオーバー
シート21、および21’どうしの厚みは等しく、2枚
のコアシート22、および22’どうしの厚みも等しく
することにより、2枚のコアシート22、および22’
の積層される面に対して、対象な構造とすることができ
る。
【0016】図2に示すカード1においては、ICモジ
ュール4は、カード1の上面から、上方のオーバーシー
ト21および上方のコアシート22を貫通し、ただし、
下方のコアシート22’の下側を残して形成された、全
体としてはカード1に貫通していない凹部7に装着さ
れ、ICモジュール4の上面とカード基材の上面とは、
連続した一つの平面を形成するよう構成されている。コ
アシート22’の下側が切削されていないので、カード
1を下面側から眺めると、ICモジュール4よりも手前
に、オーバーシート21’とコアシート22’の残った
部分とがあるため、ICモジュール4の下面側からの隠
蔽と保護がより確実になる。また、図2において、磁気
ストライプ3はオーバーシート21の上面に埋め込まれ
た状態を示している。
【0017】図2中で、装着されたICモジュール4
は、その底部の下面に接着剤を適用する等して、カード
基材2に固着されている。接着剤は、さらに、ICモジ
ュール4の上方のつば部分の下面等に適用してもよい。
接着剤としては、例えば、比較的低温で接着性のでるホ
ットメルト型接着剤を用いるとよい。
【0018】本発明において、カード基材は、耐熱性の
高いプラスチックシートとして、耐熱性樹脂を配合した
プラスチックシートを使用し、耐熱性の低いプラスチッ
クシートとして、耐熱性樹脂を配合しないプラスチック
シートを使用し、両者を組み合わせて積層し、外側の、
エンボス加工による凸部からなる文字6が突出する方の
表面は、耐熱性の高いプラスチックシートで形成してあ
ることが好ましい。
【0019】耐熱樹脂を配合したプラスチックシートと
しては、耐熱性のある、ポリプロピレン樹脂、非結晶性
環状オレフィン系共重合体、ABS、ポリエステル樹脂
(中でも非結晶性ポリエステル樹脂)、ポリカーボネート
樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂もしくはポ
リイミド樹脂の単独もしくはこれらの樹脂どうし、ある
いはこれらの樹脂とこれら以外の樹脂とのブレンド樹脂
からなるシートを使用することが好ましい。
【0020】上記の耐熱性のある樹脂のうちでも、非結
晶性ポリエステル樹脂は、耐熱性を有するのみならず、
エンボス加工にも適しているので、より好ましい。非結
晶性ポリエステル樹脂の「非結晶性」とは、再度加熱処
理を行っても再結晶化による物性低下を起こさず、後に
述べる結晶性成分のブレンドによるものを除き、結晶性
成分を持たない物を指す。なお、結晶性とはJIS
K7121に準拠し測定し、示差熱分析装置を用い、毎
分10℃の昇温速度で、30℃から280℃まで昇温
し、その後、毎分10度の降温速度で30℃まで冷却
し、再度、上記と同じ昇温速度で昇温させた際に融解ピ
ークが生じないものを非結晶性と称する。
【0021】非結晶性ポリエステル樹脂シートは、好ま
しくは、ガラス転移点が35〜100℃の非結晶性ポリ
エチレンテレフタレート樹脂からなり、この樹脂は、加
熱時の成形性が優れており、成形によって、所定の形に
変形した後、変形の戻りが少ない利点がある。
【0022】非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂
シートは、ガラス転移点が上記の下限値未満であると、
シートの熱安定性が悪くなり、逆にガラス点移転が高く
なると、シートの成形性が悪くなる傾向がある。従っ
て、ガラス転移点としては、35〜100℃、好ましく
は50〜95℃、より好ましくは、65〜95℃であ
る。
【0023】非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂
シートにおける、非結晶性ポリエチレンテレフタレート
樹脂としては、例えばジカルボン酸として、テレフタル
酸、またはジメチルテレフタル酸、更に必要であれば、
イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニレン
ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セ
バチン酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸、およびそ
れらの誘導体を用い、ジオールとしてエチレングリコー
ル、更に必要であれば、ブタンジオール等のアルキレン
グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の
芳香族ジオール、およびそれらの誘導体を用いて、製造
することができる。
【0024】非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂
としては、より好ましくは、ジオール成分が2種類以上
のものから構成されるものであり、最適には、そのジカ
ルボン酸分がテレフタル酸であり、ジオール成分がエチ
レングリコール50〜99モル%、および1,4−シク
ロヘキサンジメタノール1〜50モル%であるものがよ
い。とくに、エチレングリコール60〜80モル%およ
び1,4−シクロヘキサンジメタノール20〜40モル
%のものがなおよい。
【0025】具体的な非結晶性ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂で市販品としては、イーストマンコダック社製
の商品名;KODAR PETG6763(ジカルボン
酸成分;テレフタル酸、ジオール成分;エチレングリコ
ール70重量%、1,4−シクロヘキサンジメタノール
30重量%)を利用することができる。
【0026】非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂
シート中には、その性能を損なわない範囲で、そのほか
の樹脂、例えば結晶性ポリエチレンテレフタレート樹
脂、難燃剤、もしくは無機微粒子等の各種添加剤が配合
してあってもよい。
【0027】非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂
シート中に配合する他の樹脂の中でも、特に興味深いも
のとして、芳香族ポリカーボネートがある。芳香族ポリ
カーボネートとしては、2,2’−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルアルカン、4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルスルホン、もしくは4,4’−ジ
ヒドロキシジフェニルエーテルの1種もしくは2種以上
を主原料とするもので、特にビスフェノールAを主原料
として製造されたポリカーボネート樹脂を使用すること
がガラス点移転が高く、耐熱性を向上させる点で好まし
い。非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂と上記ポ
リカーボネート樹脂とは、各々の質量比で、非結晶性ポ
リエチレンテレフタレート樹脂/上記ポリカーボネート
樹脂=95/5〜5/95が好ましく、より好ましく
は、80/20〜20/80である。
【0028】なお、本発明において、耐熱性樹脂の高い
プラスチックシートと耐熱性の低いプラスチックシート
(B)とは、原則的には、上記のような耐熱性樹脂を含
むものと含まないものとを使い分けるが、耐熱性は相対
的なものであるので、耐熱性樹脂を配合したプラスチッ
クシートであっても、相対的には、耐熱性の異なる組み
合わせを選ぶことができる。
【0029】上記の種々の樹脂をカード基材2とすると
きは、二酸化チタンを始めとする隠蔽性の高い充填剤を
配合した隠蔽性プラスチックシートと、充填剤を配合し
ないか、もしくは透明性を損なわない範囲で配合した透
明プラスチックシートを所定の厚みで準備し、各々を用
いて積層する。このほか、添加剤としては、ハロゲン系
化合物、リン化合物、もしくは無機系化合物等の難燃剤
を配合することが好ましい。隠蔽性プラスチックシート
および透明性プラスチックシートの厚みは、任意に選択
できるが、一般的に言って、コアシートに使用する隠蔽
性プラスチックシートの厚みは、100μm〜1mm、
透明性プラスチックシートの厚みは20μm〜150μ
mの間とすることが好ましい。
【0030】本発明におけるように、耐熱性の高いプラ
スチックシートと、耐熱性がそれよりも低いプラスチッ
クシートとを組み合わせるときは、耐熱性の高いプラス
チックシートを最も外側、即ち、表裏に両面に配置する
ことが望ましい。カード基材2を折り曲げようとする
と、折り曲げ部の外側の部分ではシートが伸びる必要が
あり、内側の部分ではシートが縮む必要があるが、表裏
が耐熱性の高いプラスチックシートである場合の方が、
そうでないときよりも、同じ温度において、外側の層の
軟化が進んでいないため、伸縮に対する抵抗が大きいこ
とにより、カールが生じにくいものと考えられる。
【0031】耐熱性の高いプラスチックシート(仮に
「高」と略す)と耐熱性の低いプラスチックシート(仮
に「低」と略す、なお、次記において( )内は厚み
(μm)を意味し、「/」は、その前後のものが積層さ
れていることを意味する。)とは種々の組み合わせで積
層することができるが、カード基材2の外側に、耐熱性
の高いプラスチックシートを配置する意義からは、コア
シートが3枚構成のときは、高/低/高、もしくは低/
低/低の構成、4枚構成のときは、高/低/低/高、も
しくは低/低/低/低の構成、5枚構成のときは、高/
高/低/高/高、高/低/低/低/高、もしくは低/低
/低/低/低の構成が好ましい。
【0032】即ち、コアシートが2枚以上の複数枚の構
成であるときは、最も内の2枚、最も内側の4枚、最も
内側の6枚のように、最も内側の2枚を含んで、連続し
て、耐熱性の低いプラスチックシートがあることが望ま
しく、また、コアシートが3枚以上の奇数枚の構成であ
るときは、最も内側の3枚、最も内側の5枚、最も内側
の7枚のように、最も内側の1枚を含んで、連続して、
耐熱性の低いプラスチックシートがあることが望まし
い。
【0033】なお、カード基材2を構成する隠蔽性プラ
スチックシートおよび透明性プラスチックシートは、各
々のプラスチックシートの延伸方向が直交するように積
層してあることがカール防止の観点から好ましい。
【0034】受像層7は、カード基材2の上面の、エン
ボス加工による凸部からなる文字6を形成する部分に、
少なくとも積層されるものである。また、図1および図
2を引用して説明した例では、磁気ストライプ3の形成
される位置を避けて、しかも、カード基材2の周辺部に
余白を残して形成されている。
【0035】磁気ストライプ3上を避けているのは、先
に磁気ストライプ3を有するカード基材2に対して、受
像層7を形成することを想定したためで、受像層7を形
成してから磁気ストライプ3を形成するのであれば、磁
気ストライプ3のある部分を避ける必要はなく、カード
基材2上の全面を覆って受像層7を積層してもよい。カ
ード1の厚み方向の対象性の観点からはカード1の裏面
にも同じ樹脂の層を形成してもよいが、カード1の厚み
にくらべて受像層7の厚みが薄いので、必ずしも裏面に
は形成しなくてよい。
【0036】また、受像層7を周囲に余白を残して形成
したのは、カード基材2を形成してから、印刷手法によ
り受像層7を形成することを想定したためで、余白を残
さないで受像層7を形成しようとすると、受像層形成用
のインキ組成物が裏面に回り込む等の障害を起こすから
である。ただし、カード基材2を複数並べた大きさのシ
ートを用いて、予め複数枚分の受像層7を形成してお
き、後に、打ち抜き等により個々のカードに分離する方
法によれば、余白を残さないで受像層7を形成すること
も可能である。
【0037】受像層7は、溶剤溶解性の樹脂を主成分と
して構成される。溶剤溶解性の樹脂としては、ティッピ
ングの後に硬化させる場合には、熱硬化性樹脂も使用で
きるが、一般的には熱可塑性樹脂が好ましく、具体的に
は、ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酢酸セルロ
ース、エチルセルロース、もしくはエチルヒドロキシエ
チルセルロース等のセルロース樹脂、ポリスチレンもし
くはポリα−メチルスチレン等のポリスチレン樹脂、も
しくはスチレンと他のモノマーとの共重合体、ポリメタ
クリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリ
ル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル樹脂、
ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹
脂、ポリ酢酸ビニル、もしくはポリビニルブチラール樹
脂等のビニル重合体、ロジン、ロジン変成マレイン酸樹
脂、ロジン変性フェノール樹脂、もしくは重合ロジン等
のロジンエステル、または、クマロン樹脂、ビニルトル
エン樹脂、もしくはポリアミド樹脂等の天然もしくは合
成の樹脂が使用できる。
【0038】いずれの熱可塑性樹脂も、受像層7の形成
に適しており、単独もしくは混合して使用することがで
きる。ただし、生活環境下で接触可能性のある各種の溶
剤、洗剤、化粧品等に含まれることの多いエチルアルコ
ール等のアルコール類に対する耐久性の点で、ビニル重
合体、中でも塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂が適し
ている。ビニル重合体のうちでも、ポリ塩化ビニル樹脂
は塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂以上に溶剤に対す
る耐久性を有するが、溶剤に溶解して受像層7を形成す
る際の溶解性が乏しいので、塩化ビニル/酢酸ビニル共
重合樹脂を主体として使用することが好ましい。
【0039】上記の樹脂は、必要に応じて配合する添加
剤と共に溶剤もしくは希釈剤により溶解もしくは分散し
て受像層形成用組成物とし、公知の印刷方法、もしくは
塗布方法により、受像層7を形成する。受像層7に転写
により印刷されるインキや染料、あるいはティッピング
のインキ組成物の受容性を向上させる意味で、シリカ、
アルミナ等の透明性のある微粒子を配合してもよい。カ
ード基材2上への受像層7の形成は、剥離性の仮基材上
に受像層を形成して得られる転写シートを用いての転写
法によってもよい。図2に示すように、カード基材2の
周囲に余白を残して受像層7を形成するには、パターン
状に層を形成できる印刷方法が適しており、被印刷体が
硬い板状のものであるため、シルクスクリーン印刷によ
るのがよい。受像層7の厚みとしては、0.5〜20μ
m程度が好ましく、より好ましくは1〜10μmであ
る。
【0040】なお、図2で示した例では、ICモジュー
ルは接触型を想定したので、ICモジュール4上には受
像層7が無い。この形のものは、一旦、受像層7をIC
モジュール4を設ける部分も含めて形成しておき、「ザ
グリ」と呼ばれる回転刃による切削でICモジュール4
を収納し得る凹部を形成する際に、その部分の受像層7
を除くことにより形成できる。また、非接触型の場合に
は、ICモジュール4が設けられている上を受像層7で
被覆してあってもよい。
【0041】カード基材2には、一般的なカードを作成
するに当たって通常行なう、様々な加工が施してあって
もよい。まず、文字、絵柄としては、(1)カードの発
行元の商号、カードの名称、又は会員に配付されるもの
であれば会の名称等、地紋、キャラクター、(2)カー
ドのリーダーライターへの挿入方向を示すための矢印等
のマーク、および(3)利用に関する一般的な注意書き
等が、カード表面又は裏面に形成される。
【0042】カード基材2には、磁気記録層やICモジ
ュール以外に、公知の様々な情報記録手段を任意に選択
して設けてもよい。公知の情報記録手段としては、
(4)ホログラムや回折格子、(5)カード保持者が署
名するための筆記しやすい材料で構成された筆記性層、
(6)レーザ光での記録可能な光記録層、(7)昇華転
写や写真の貼り付けによる画像、もしくはそれらの形成
可能な区域、等である。
【0043】
【実施例】(実施例) (オーバーシートの準備)耐熱性の高いプラスチックシ
ートとして、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、
ジオール成分がエチレングリコール70重量%と1,4
−シクロヘキサンジメタノール30重量%とからなる非
結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂50重量%と、
ビスフェノールAを主原料として製造されたポリカーボ
ネート樹脂50重量%からなる混合樹脂から成膜された
厚み50μmで透明な耐熱性ポリエステル樹脂シートを
準備した。 (コアシートの準備)また、プラスチックシートより
も、耐熱性の低いプラスチックシートとして、非結晶性
ポリエチレンテレフタレート樹脂単独を樹脂成分として
用い、二酸化チタンを配合して白色隠蔽性とした厚み3
60μmのポリエステル樹脂シートを準備した。
【0044】(受像層形成用インキ組成物の準備)以下
の組成のシルクスクリーン用インキ組成物を準備した。 (受像層形成用インキ組成物) ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂 20質量部 ・シクロヘキサノン 20質量部 ・キシレン 60質量部
【0045】2枚のコアシートにそれぞれ所定の印刷を
行ない、印刷面を外側にして重ね、さらに外側の両面に
オーバーシートを一枚ずつ重ねた合計4枚のプラスチッ
クシートを熱プレスにより熱ラミネートし、積層体とし
た。磁気ストライプ3は一方のオーバーシートに予め設
けておいた。得られた積層体をカードの大きさに打ち抜
き、上記の受像層形成用インキ組成物を用いて、図1に
示す位置に、厚み5μmの受像層7を形成した。形成さ
れた受像層7面から所定の位置、深さになるようザグリ
加工して凹部を設け、ICモジュール4を埋め込み接着
剤で接着した。
【0046】続いて、エンボス機により、凸部からなる
文字6を形成した後、着色用インキ組成物を塗布した回
転ローラの下を通して凸部の頂部に着色を施し、着色用
インキを乾燥させ、固化させて、本発明のカードを得
た。
【0047】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、カード基材の
表面の所望の位置に、溶剤溶解性の樹脂からなる受像層
を有しているので、耐熱性の高いプラスチックシートで
構成されたカード基材を有しながらも、昇華転写、熱溶
融転写、もしくはエンボス文字上へのティッピング等の
転写による印刷の適性を有する耐熱性カードを提供でき
る。請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に
加え、耐熱性の高いプラスチックシートで構成されたカ
ード基材を有しながらも、エンボス加工による凸部から
なる文字の表面に着色を施した耐熱性カードを提供でき
る。請求項3の発明によれば、請求項1または2の発明
の効果に加え、耐熱性の高いプラスチックシートの素材
を限定したので、取り扱いやすく、入手しやすい素材を
用いて構成した耐熱性カードを提供できる。請求項4の
発明によれば、請求項3の発明の効果に加え、耐熱性の
高いプラスチックシートを非結晶ポリエステル樹脂で構
成したので、耐熱性を有しながらもエンボス加工適性が
すぐれた素材であるため、エンボス加工により良好な文
字が形成された耐熱性カードを提供できる。請求項5の
発明によれば、請求項4の発明の効果に加え、非結晶ポ
リエステル樹脂のジオール成分を限定したので、エンボ
ス加工適性が特にすぐれた素材を用いて構成された耐熱
性カードを提供できる。請求項6の発明によれば、請求
項4または5の発明の効果に加え、耐熱性の高いプラス
チックシートとして、耐熱性の高いポリカーボネート樹
脂を配合したものを使用するため、耐熱性がさらに向上
した耐熱性カードを提供できる。請求項7の発明によれ
ば、請求項6の発明の効果に加え、ポリカーボネート樹
脂との配合比を限定したので、エンボス加工適性と耐熱
性のバランスが取れて向上した耐熱性カードを提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ICカードの平面図である。
【図2】4層構造のカードの断面図である。
【図3】ティッピングの部分を示すカードの部分的な断
面図である。
【符号の説明】
1 カード 2 カード基材(21;オーバーシート、22;コアシ
ート) 3 磁気記録層(磁気ストライプ) 4 ICモジュール 5 文字 6 エンボス加工による凸部からなる文字 7 受像層 8 ティッピング
フロントページの続き Fターム(参考) 2C005 MA07 MA11 NB13 NB34 PA03 PA18 RA03 RA10 RA30 4F100 AA21H AK01A AK01B AK02A AK02J AK07A AK15 AK15J AK22 AK22J AK41A AK41J AK43A AK45A AK49A AK74A AL01A AL05A AT00C BA03 BA04 BA05 BA10B BA10C BA41 CA13 DD20B EJ32 GB71 HB21B HB31B JA12A JB08B JD14B JG06 JJ03A JL01 JL05 YY00A 5B035 AA00 BA05 BB02 BB09 BB11 CA01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カード基材の少なくとも表面層が耐熱性
    の高いプラスチックシートで構成されており、前記表面
    層の少なくとも一部の上には、溶剤溶解性の樹脂からな
    る受像層が積層されており、前記受像層には、転写によ
    り形成された印刷部を有していることを特徴とする耐熱
    性カード。
  2. 【請求項2】 前記受像層のある部分には、エンボス加
    工により形成された凸部からなる文字を有しており、か
    つ前記凸部の表面にはティッピングが施されていること
    を特徴とする請求項1記載の耐熱性カード。
  3. 【請求項3】 前記耐熱性の高いプラスチックシート
    が、ポリプロピレン樹脂、非結晶性環状オレフィン系共
    重合体、ABS、ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエス
    テル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹
    脂、もしくはポリイミド樹脂から選ばれた樹脂のシート
    であることを特徴とする請求項1または2記載の耐熱性
    カード。
  4. 【請求項4】 前記耐熱性の高いプラスチックシート
    が、テレフタル酸と、エチレングリコールおよび1,4
    −シクロヘキサンジメタノールの2種類のジオール成分
    からなる非結晶ポリエステル樹脂のシートであることを
    特徴とする請求項3記載の耐熱性カード。
  5. 【請求項5】 前記ジオール成分が、エチレングリコー
    ル60〜80モル%および1,4−シクロヘキサンジメ
    タノール20〜40モル%からなることを特徴とする請
    求項4記載の耐熱性カード。
  6. 【請求項6】 前記耐熱性の高いプラスチックシート
    が、非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂とポリカ
    ーボネート樹脂の質量比が95/5〜5/95の混合樹
    脂のシートであることを特徴とする請求項4または5記
    載の耐熱性カード。
  7. 【請求項7】 前記耐熱性の高いプラスチックシート
    が、非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂とポリカ
    ーボネート樹脂の質量比が80/20〜20/80の混
    合樹脂のシートであることを特徴とする請求項6記載の
    耐熱性カード。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003138126A (ja) * 2001-11-05 2003-05-14 Denki Kagaku Kogyo Kk 熱可塑性樹脂シート及びその成形体

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