JP4170618B2 - 真正性識別方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真正性の識別が可能な真正性識別体、および真正性識別方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クレジットカードや預貯金用カードは、偽造されて使用されると、カードの保持者やカード会社もしくは金融機関に損害を与え得るものである。同様に偽造が問題となるものとしては、運転免許証、社員証、会員証等の身分証明書、入学試験用の受験票、パスポート等、紙幣、商品券、ポイントカード、株券、証券、抽選券、馬券、預金通帳、乗車券(定期券を含む。)、通行券、航空券、種々の催事の入場券、遊戯券、交通機関や公衆電話用のプリペイドカード等がある。これらはいずれも、経済的、もしくは社会的な価値を有する情報を保持した情報記録媒体であり、偽造による損害を防止する目的で、そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
【0003】
情報記録媒体以外の高額商品、例えば、腕時計、皮革製品、衣料品、貴金属製品、もしくは宝飾品等の、しばしば高級ブランド品と言われるもの、または、それら高額商品の収納箱やケース等も、偽造されれば、製造・販売者に損害を与え得るものである。偽造の対象物となるものは、製造される数量の多少を問わず、量産品であっても、有名ブランドのもの、例えば、オーディオ製品、電化製品等、または、それらに吊り下げられるタグ等も偽造の対象となりやすい。さらに、音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト、もしくはゲームソフト等の著作物が電子的、磁気的、もしくは光学的等の手段で記録された記憶媒体、またはそれらのケース等も偽造の対象とされることが多い。これら、情報記録媒体以外の種々の物品も、偽造による損害を防止する目的で、そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
【0004】
偽造や変造の防止策としては、既に種々の方策が講じられているが、製造が難しいと言われているホログラムシールを貼ることによって、貼る対象物の真正性を保証し、偽造防止策としていることが多い。しかし、ホログラムの原理そのものは知られており、製造技術が高度であると言っても、技術の習得により、偽造され得るものであり、ホログラムシールの改良を進める傍ら、さらにホログラムの真正性識別機能を高める努力がなされている。
【0005】
例えば、特開平11−277962号公報には、ホログラム形成層と、網点または万線による隠しパターンが形成された画像形成体が記載されており、確認の手段として、画像形成体とは別体の、網点または万線で構成された確認パターンを重ねると、モアレパターンが発生し、これにより真正性を確認することができるものである。
【0006】
しかし、上記公開公報に記載された発明では、確認パターンを重ねるのみで、隠しパターンが顕像化されるので、通常の状態では隠しパターンの判別がつかないものの、確認パターンが入手できれば、内容をたやすく読取ることができ、偽造防止効果が不十分である。
【0007】
ところで、ホログラムにはレーザー光で再生可能なタイプのものがあり、このタイプのものは、そのままではホログラムに記録されて情報を読取れないが、レーザー光を照射すれば、再生光から情報を読取ることは容易であり、単にレーザー光を照射しただけでは、情報を読取れないことが要望される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明においては、偽造防止等分野において、レーザー光を照射しても隠しパターンの存在が明らかにならず、しかしながら、確認手段を講じることによって真正性の識別が容易な真正性識別体および、そのような真正性識別方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決する手段】
上記の課題は、レーザー光を当てたときのホログラムから再生される再生像を万線状として、隠しパターンとして再生するようにし、そのままでは読取れないようにしておき、別に準備した確認パターンを重ねて用いる等により、情報の読取りを可能にして、解決することができた。
【0010】
第1の発明は、真正性識別対象物上に、接着剤層を介して光回折構造が積層された真正性識別体の、前記光回折構造にコヒーレント光を照射して隠しパターンを再生させ、当該再生像である隠しパターンと干渉してモアレパターンを発生する確認パターンに投影して、発生した前記モアレパターンを検出し、標準パターンとの異同の判定を行なうことを特徴とする真正性識別方法に関するものである。第2の発明は、第1の発明において、前記隠しパターンは、万線パターン部および万線背景部とから構成されており、前記万線パターン部および前記万線背景部は、各々を構成する万線どうしが、万線の幅、位相、傾きの少なくともいずれかを異にするものであることを特徴とする真正性識別方法に関するものである。第の発明は、第1、第2の発明において、前記確認用パターンが万線であることを特徴とする真正性識別方法に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を、真正性識別対象物としてのカードに適用した場合の真正性識別体の平面図である。この場合、真正性識別体であるカード1は、基本的には、真正性識別対象物であるカード基材2上に、レーザー光等のコヒーレント光の照射時に隠しパターンを再生可能な光回折構造としてのホログラム3が積層されたものであり、カード基材2には、通常のカードが備えている磁気記録層4、文字5等をも備えたものである。
【0012】
図2は、図1を引用して説明した真正性識別体1の基材2およびホログラム3を含むA−A線矢視断面図で、カード基材2およびホログラム3等の層構成を示す断面図である。
【0013】
カード基材2は、一例として、心材としての2枚のコアシート21aおよび21bが積層したものの上下に、オーバーシート22aおよび22bがそれぞれ積層したもので、この例では、さらに上側、即ち、ホログラム3が積層する側の一部に磁気記録層4がオーバーシート22aに埋め込まれ、磁気記録層4上を含むオーバーシート22a上には、隠蔽層23が積層したものである。
【0014】
また、ホログラム3は、基材2側から、接着剤層31、反射層32、反射層側にホログラムの微細凹凸を有するホログラム形成層33、および保護層34とが順に積層したものである。
【0015】
真正性識別対象物2は、従来技術の説明において挙げた情報記録媒体やその他の種々の物品であり得る。従って、真正性識別対象物2を構成する素材は、物品にもよるが、プラスチック、布、紙、木、皮革、金属、もしくは石材等、またはそれらの任意の組み合わせからなる複合体であり得る。
【0016】
真正性識別対象物2が情報記録媒体であるときは、基本的には、紙、プラスチック、もしくは紙とプラスチックの複合体を素材とすることが多い。プラスチック単独の場合には、プラスチックフィルム、プラスチックシート、もしくはプラスチック板の単層、もしくは複層の積層体を素材とすることができる。
【0017】
上記のプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称することがある。)もしくはポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABSなどの樹脂が挙げられる。
【0018】
塩素を含まず、加工性の優れた樹脂としては、非晶質ポリエステル樹脂(例えば、イーストマンコダック社製、「PET−G」)が好ましく、さらに耐熱性を要する場合には、非晶質ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のブレンド樹脂が好ましい。この「PET−G」としては、例えば、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、ジオール成分がエチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール=70/30(質量比)のものがある。
【0019】
本発明の真正性識別体1が、磁気カードを兼ねている場合には、基材である真正性識別対象物の厚みは0.76mmである。例えば、厚み280μmの白色プラスチックシートをコアシートとして、これを2枚重ね、重ねた両側にそれぞれ厚み100μmの透明プラスチックシートをオーバーシートとして重ねて、熱プレスなどにより積層する4層構成の基材(合計厚み0.76mm)を用いるとよい。
【0020】
真正性識別対象物2が情報記録媒体であるときは、種々の文字5や図柄等、または着色が、印刷、もしくはコーティング、または転写等によって、施されていてもよい。クレジットカードを例にとっても、文字5としては、カードの名称、発行会社名、もしくはエンボスにより表示されることが多い氏名、有効期限の項目名、注意書等があり得る。図柄としては、カードの種類を特徴付ける図柄やキャクター等があり得る。
【0021】
本発明におけるホログラム3は、レーザー光等のコヒーレント光の照射時に隠しパターンを再生し得る、フレネルホログラム、もしくはフーリエ変換ホログラムであり、もともとは、レーザー光の干渉により、もしくは計算結果に基づき、電子線描画装置、もしくは機械切削等により記録されたものであるが、工業的には、これらにより記録されたホログラム3の各部分における位相情報を表面の凹凸の深さ情報に変換したものを、型面の微細な凹凸として形成した賦型用型を作成し、この賦型用型を用いて樹脂層の表面に賦型して複製したものであることが好ましい。
【0022】
本発明における隠しパターンと確認パターンとは、互いに干渉しあう関係を有するものである。図3(a)は、このうちの隠しパターン11を例示する図であって、隠しパターン11は、中央部の横長の長方形状のパターン部11a、およびその四周を縁取りする縁取りパターン部11b、並びに、背景部11cとから構成されており、いずれの部分も万線(図では幅を持った黒い帯状のもので示してある。)によって構成されている。ここで、万線とは、一定幅wの線が一定のピッチpで、等間隔に配列した集合体を指すもので、ピッチpはp>wであれば特に限定されないが、p=2wに設定することが多く、特に、両パターンが干渉したときに、ある面積を埋め尽くし、また、両パターンが一致したときには面積の被覆が最小になるようにするには、隠しパターンと確認パターンとが、いずれも、p=2wに設定された万線であることが好ましい。この明細書中でも、特に幅やピッチに言及しない場合は、p=2wに設定された万線を念頭において記述を行なう。
【0023】
再生像における隠しパターンの万線のピッチpとしては、100μm〜200μm程度が好ましく、これらの範囲よりも小さいと、ホログラムの製作が難しく、また、大きいと、レーザー光等をあてたときに得られる再生像中に隠しパターンが含まれることが分かりやすくなる恐れが有るからである。
【0024】
図3(a)に示す例では、パターン部11aおよび縁取りパターン部11bを構成する万線が、いずれも、同じ右上がりの方向を有し、線の幅の等しいものであり、ただし、パターン部11aおよび11bを構成する各々の万線どうしが1/2ピッチずれた位相の関係を有している。また、背景部11cを構成する万線は、右下がりの方向を有し、線の幅はパターン部11aおよび11bを構成する万線のものと同じである。なお、これらの右上がりおよび右下がりの方向(角度)の異なる二種類の万線どうしは、この例では互いに直交している。パターン部11a、縁取りパターン部11b、および背景部11cは、いずれも、一定面積内に線(有限の幅を有する)が占める割合がいずれも50%で等しいため、このように拡大すれば形状が判別できるものの、小さいパターンであれば、パターン部11aや縁取りパターン部11bを背景部11cから区別することはできない。図3(a)に示す例では、万線の傾きと位相を変えて、隠しパターンを構成したが、このほか、万線の幅(あるいはピッチ)を変えて、隠しパターンを構成することもあり得る。
【0025】
図3(b)は、図3(a)の隠しパターン11を確認するための確認パターン12を例示するもので、右上がりの方向を有する万線で構成され、そのピッチおよび方向は、図3(a)を用いて説明した隠しパターン11のパターン部11aおよび11bを構成する万線と同一である。
【0026】
上記の例の隠しパターン11に確認パターン12を重ねて、隠しパターンを顕像化した状態を図4に示す。まず、図4(a)に示す状態では、確認パターン12の万線の線部分が、パターン部11aの万線の非線部分に重なっているために、パターン部11aの全体がモアレパターンを生じ、黒色となって見えている。また、確認パターン12の万線の線部分は、縁取りパターン部11bの万線の線上に重なっているために、縁取りパターン部11bは、元の状態のままで見えている。なお、隠しパターン11の背景部11cのうち、確認パターンが重なった部分では、互いに方向が直行する万線が交差している。これら、三つの部分の状態を単位面積あたりの黒線の被覆率(万線が重なっている部分では、一つの黒線が被覆しているとみなす。)は、パターン部11aが100%、縁取りパターン部11bが50%であり、背景部では75%である。
【0027】
図4(b)に示す状態は、図4(a)に示す状態から、確認パターン12を、万線の1/2ピッチに相当する分、図の左右方向に移動させた状態を示すものであって、確認パターン12の万線の線部分が、パターン部11aの万線の線部分に重なっているために、パターン部11aは、元の状態のままで見えているが、確認パターン12の万線の線部分が、縁取りパターン部11bの万線の非線部と重なっているために、縁取りパターン部11bの全体が黒色となって見えている。背景部11cについては、図4(b)の場合と同様である。また、黒線の被覆率は、パターン部11aが50%、縁取りパターン部11bが100%であり、背景部では75%である。
【0028】
図3および図4を引用した上記の例では、隠しパターンおよび確認パターンの両方を万線で構成した組み合わせを説明したが、隠しパターンを網点で構成して万線で構成した確認パターンと組み合わせる、隠しパターンを万線で構成して網点で構成した確認パターンと組み合わせる、あるいは、隠しパターンおよび確認パターンの両方を網点で構成した組み合わせでもよく、隠しパターンおよび/または確認パターンを万線と網点の組み合わせで構成したものとしてもよい。
【0029】
なお、網点は、四角形や円形等の通常の網点形状以外の形状、例えば、記号や文字等の形状で構成されていてもよい。また、網点は直線上に配列したものでも、もしくは曲線やサインカーブのような波線上に配列したものであってもよく、万線も直線状のものでも、曲線やサインカーブのような波線状のものであってもよい。線幅に対して数倍以上の長さを有する形状のものは網点とも、万線ともつかないが、隠しパターンもしくは確認パターンを構成し得る。また、隠しパターンおよび確認パターンを構成する網点もしくは万線は、一定なピッチのものでなくても、相互に同調しながら変化したものであってもよい。
【0030】
上記の隠しパターンをホログラムで構成するには、予め、万線または/および網点で構成したオリジナル情報を、レーザー光を用いた干渉露光法により、ホログラム形成用感光材に露光し、現像する方法によるか、計算によって求めたデータを基にホログラムを作成する。オリジナル情報は、文字、バーコード、記号、もしくはキャラクター等の可視化すれば、情報として認識し得るものであれば、いかなるものであってもよい。なお、隠しパターンを万線で構成するときは、一定面積における万線の占める面積率が高いので、カモフラージュ効果が高く、通常、万線の向きだけを変えて、パターン部や背景部を区分けすればよいので、製作も容易になる利点がある。
【0031】
本発明の真正性識別体1におけるホログラム3は、先に述べたように、樹脂層の表面に干渉縞を凹凸として複製したものであることが好ましく、干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型として用い、樹脂層上に前記原版を重ねて両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製するか、フォトポリマー層上に、前記原版を重ねて紫外線等を照射することにより複製したホログラム形成層33として得ることができる。
【0032】
ホログラム形成層33を構成する樹脂の素材としては、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(例、PMMA)、ポリスチレン、もしくはポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂以外に、熱硬化性樹脂、例えば、不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、もしくはトリアジン系アクリレート等が挙げられる。これらの樹脂は、それぞれ単独、或いは、アクリル樹脂とメラミン樹脂の組み合わせのように、上記熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを混合して使用することができ、更には、ラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性物質、或いは、これらにラジカル重合性不飽和単量体を加え電離放射線硬化性としたものなどを使用することができる。このほか、銀塩、重クロム酸ゼラチン、サーモプラスチック、ジアゾ系感光材料、フォトレジスト、強誘電体、フォトクロミックス材料、もしくはサーモクロミックス材料等の感光材料なども使用できる。
【0033】
ホログラム形成層33には、その回折効率を高めるために、反射層32をレリーフ面に形成してあることが好ましい。反射層32としては、光を反射するアルミニウム、クロム、もしくはその他の金属の薄膜で構成し、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、もしくはメッキ法等の薄膜形成法によって形成し、200Å〜1000Åの厚みに形成する。
【0034】
反射層32は、ホログラム層とは屈折率の異なる物質の透明薄膜であってもよく、ホログラム層より屈折率が大きい、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、TiO、SiO2など、もしくはホログラム層より屈折率が小さいLiF、MgF2 、AlF3 などが用いられ、真空蒸着法、スパッタリング法、もしくはイオンプレーティング法等の薄膜形成法によって形成し、100Å〜1000Åの厚みに形成する。例えば、TiOxを400Åの厚みに形成して用いとよい。
【0035】
ホログラム形成層33、もしくはホログラム形成層33および反射層32を真正性識別対象物2上に積層するには、接着剤層31を介して行なうことが好ましく、接着剤層を構成する素材としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、またはこれらの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、天然ゴム、等の粘着剤、または、加熱時に粘着性を呈するヒートシール剤(=感熱接着剤)例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、あるいは、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー)等の熱可塑性エラストマー、又は反応ホットメルト性樹脂等を使用するとよく、接着剤層31の厚みとしては、3μm〜20μmとするとよい。
【0036】
なお、保護層を伴なう場合は、保護層を適宜な熱可塑性樹脂で構成するほか、熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂の硬化物で構成することができる。
【0037】
上記の接着剤層31、反射層32、ホログラム形成層33、および保護層34等は、真正性識別対象物2上に順次形成してもよいが、PETフィルム等の剥離性フィルムに、保護層34、ホログラム形成層33、反射層32、および接着剤層31の順に積層した転写シートを作成しておき、真正性識別対象物2上に、転写シートの接着剤層31が接するようにして配置し、加熱加圧した後、剥離性フィルムを剥離する、いわゆる転写法によって積層することが好ましい。
【0038】
上記の隠しパターン11と干渉する確認パターン12としては、フレキシブルなシート状物、もしくは板状物に所定のピッチで万線もしくは網点、好ましくは万線を印刷して作成したものを用いることができる。万線を用いて作成したものは、隠しパターンと重ねる際に、干渉の有無を確認しやすい利点があるので好ましい。この場合、ホログラムにレーザー光源、LED、もしくはその他の光源を用いてコヒーレント光を照射すると隠しパターンが投影され、確認パターンに対して、隠しパターンを投影することにより干渉を起こさせることができ、これによりいわゆるモアレが生じる。基材としては、透明プラスチックフィルム、透明樹脂板、ガラス板等の透明なもののほか、紙、着色プラスチックフィルム、適宜な素材の着色板等の不透明なものであってもよい。あるいは、確認パターンを透明プラスチックフィルム上に形成した投影用スライドとしておいてもよく、隠しパターンを投影したスクリーン表面に投影することによって、干渉を起こさせてもよい。
【0039】
確認パターン12は、上記のような視覚可能なものでなくても、万線の幅、ピッチ、および線の傾きの情報として記憶されたものであってもよい。この場合、ホログラム3から再生された隠しパターンをCCD等のセンサーで読み取った情報を、記憶された確認パターンの上記のような情報と重畳し、例えば、適当な小面積毎に、黒線の被覆率の範囲を、図3、図4に示すような隠しパターンであれば、45%〜55%、70%〜80%、90%以上と言うように規定しておき、各範囲に該当する部分を抽出することにより、隠しパターンを再現することができる。再現された隠しパターンは必要に応じ、基準となる隠しパターンと比較することにより、異同を判断し、真正性の識別を行なうことができ、このような方法によれば、機械認識が可能になる。
【0040】
【実施例】
(実施例1)
図5に示すように、隠しパターン11としては、文字(見分け難いので、図の右方に文字のみを示す。)を有するものを、パターン部11aの文字「A」を、線の幅;50μm、ピッチ;100μm、水平方向となす角度;45°の万線で、背景部11cを、線の幅およびピッチがパターン部11aと同じで、水平方向の万線で構成したものを撮影対象とし、レーザー光を2光束に分割したものの一方を物体光、他方を参照光として、ホログラム用感光材の同じ側から干渉露光し、現像して、レリーフホログラムを得た。得られたレリーフホログラムを、メッキにより複製して、ホログラム金型を得た。
【0041】
PET樹脂フィルムを剥離性フィルムとして用い、メラミン樹脂とアクリル樹脂の混合物からなる樹脂層をコーティング、および乾燥によって形成し、樹脂層の表面に先に得たホログラム金型を熱プレスにより押し付けてレリーフホログラムの微細凹凸面を複製し、微細凹凸面上に蒸着法により、厚みが400Åのアルミニウム層を反射層として形成し、さらに、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体樹脂系の接着剤層を形成してホログラム転写シートとし、このようにして得られたホログラム転写シートを用いて、磁気カード上にホログラムを転写した。
【0042】
図5中に示すように、確認パターン12としては、厚みが188μmのPET樹脂フィルム(東レ(株)製、T−60)に、墨インキ用いたオフセット印刷により、隠しパターン11のパターン部11aを構成する万線と同じである、線の幅;50μm、ピッチ;100μm、水平方向となす角度;45°の万線を印刷して形成したものを用い、上記の磁気カード上のホログラムに半導体レーザを用いてレーザー光を当て、得られた再生像を、確認パターンに投影し、万線の向きを一致させ、かつ相互に僅かに移動させたところ、万線で構成された文字の部分(パターン部)の万線の間を確認パターンの万線が埋めることにより背景部とのコントラストが生じて、文字が視認可能となり、隠しパターンの基準パターンと比較することにより、磁気カードの真正性を確かめることができた。
【0043】
【発明の効果】
上記の発明によれば、レーザー光を当てても隠しパターンを含んだ万線からなる再生像中の隠しパターンの存在が分からないが、隠しパターンと干渉し得る確認パターンと重ねる等により、隠しパターンの真正性を識別することが容易な真正性識別体を提供することができる。請求項1の発明によれば、上記効果を有する隠しパターンを用い、これらと干渉し得る確認パターンに投影することにより、標準パターンとの異動の判定が容易な真正性識別方法を提供することができる。請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、隠しパターンを万線で構成したので、隠しパターンそのものの存在が見分けにくく、しかしながら識別が容易な真正性識別方法を提供することができる。請求項の発明によれば、請求項1、請求項2の発明の効果に加え、確認パターンが万線で構成されているので、干渉したかうかの確認が容易な真正性識別方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カードに適用した真正性識別体を示す平面図である。
【図2】カードに適用した真正性識別体を示す断面図である。
【図3】隠しパターンと確認パターンを示す図である。
【図4】隠しパターンと確認パターンを重ねて顕像化させる様子を示す図である。
【図5】別の隠しパターンを示す平面図である。
【符号の説明】
1 真正性識別体(カード)
2 基材
3 パターン部
11 隠しパターン
12 確認パターン

Claims (3)

  1. 真正性識別対象物上に、接着剤層を介して光回折構造が積層された真正性識別体の、前記光回折構造にコヒーレント光を照射して隠しパターンを再生させ、当該再生像である隠しパターンと干渉してモアレパターンを発生する確認パターンに投影して、発生した前記モアレパターンを検出し、標準パターンとの異同の判定を行なうことを特徴とする真正性識別方法。
  2. 前記隠しパターンは、万線パターン部および万線背景部とから構成されており、前記万線パターン部および前記万線背景部は、各々を構成する万線どうしが、万線の幅、位相、傾きの少なくともいずれかを異にするものであることを特徴とする請求項1記載の真正性識別方法。
  3. 前記確認用パターンが万線であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の真正性識別方法。
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