JP3896766B2 - 透明磁気カード - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャッシュカードやクレジットカード、各種会員証など厚手のカードに関するものであり、特に、カードが透明であることからカードとしてのデザイン性が高く、且つカードリーダーやATMなどの機械適性を有する透明磁気カードに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、キャッシュカードやクレジットカード、IDカード等の分野においては磁気記録媒体が広く利用されており、その素材としては主にポリ塩化ビニル(PVC)樹脂や塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体が用いられており、特にポリ塩化ビニル樹脂が一般的である。
ポリ塩化ビニル樹脂は、物理的な機械特性や文字部のエンボス適性などが優れており、カード素材としては申し分なく最適な素材として現在も広く用いられている。
【0003】
一般的なカードの製造方法は、白色の塩化ビニル(PVC)基材にオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等公知の印刷方法で印刷を施し、その両面に透明性の高いPVCシートを積層したのち磁気テープを転写し、加熱プレス機で熱融着によって一体化させ、所定サイズの金型で打ち抜いてカード形状にする方法である。
熱転写タイプの磁気テープは、転写後にはカード表面より浮き出て段差を生じているが、加熱プレス機での熱融着時には埋め込まれ、カード表面と面一となる。
【0004】
このようなカードを利用する際のカードリーダライタやATM、エンボッサーなどの磁気を読み書きする機械では、カードの透過率によってカードの有無や、磁気情報の書き込み開始位置などの検知を行っている。
このため、透明なカードもしくは透明性を有するカードを使用した場合、ATMなどの機械ではカードを検知できずにエラーが発生する。
よって、従来は、透明なカードもしくは透明性を有するカードは、磁気テープが設けられていない、すなわち、磁気情報を使用しない会員証や証明書などのカードに用途が限定されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような問題点に着目してなされたものであり、磁気テープが設けられ、磁気情報を使用する磁気カードにおいて、意匠性を向上させた、透明もしくは透明性を有する磁気カードであって、ATMなどの機械でカードの有無や、磁気情報の書き込み開始位置などが検知される、すなわち、ATMなどを利用できる透明磁気カードを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明性の高い樹脂シートが用いられた透明なカードであり磁気テープも設けられた透明磁気カードにおいて、作製された透明磁気カードの表面側又は裏面側に800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有するインキ層が塗工されたことを特徴とする透明磁気カードである。
【0007】
また、本発明は、透明性の高い樹脂シートが用いられた透明なカードであり磁気テープも設けられた透明磁気カードにおいて、作製された透明磁気カードの表面側又は裏面側に600nm〜800nmの可視領域〜赤外線領域を吸収する染料を含有する第一インキ層、及び表面側又は裏面側に800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有する第二インキ層が塗工されたことを特徴とする透明磁気カードである。
【0008】
また、本発明は、透明性の高い樹脂シートが用いられた透明なカードであり磁気テープも設けられた透明磁気カードにおいて、透明性の高い樹脂シートの表面側又は裏面側に、予め、800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有するインキ層が塗工されたことを特徴とする透明磁気カードである。
【0009】
また、本発明は、透明性の高い樹脂シートが用いられた透明なカードであり磁気テープも設けられた透明磁気カードにおいて、透明性の高い樹脂シートの表面側又は裏面側に、予め、600nm〜800nmの可視領域〜赤外線領域を吸収する染料を含有する第一インキ層、及び表面側又は裏面側に800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有する第二インキ層が塗工されたことを特徴とする透明磁気カードである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による透明磁気カードの一実施例を示す断面図である。
図1に示すように、本発明による透明磁気カード(1)は、透明なカードであり磁気テープも設けられた透明磁気カードである。本発明による透明磁気カード(1)は、透明性の高い樹脂シートの透明センターコア(10)の表面側上に、表面側印刷層(11a)、表面側オーバーシート(12a)、磁気テープ(13)、800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有するインキ層(14)、及び透明保護層(15)が設けられ、また、透明センターコア(10)の裏面側上に、裏面側印刷層(11b)、及び裏面側オーバーシート(12b)が設けられたものである。 800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有するインキ層(14)、及び透明保護層(15)は、予め、作製された透明磁気カード(16)の表面上に塗工されたものである。
【0011】
透明センターコア(10)の材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)製の0.65mm厚のものであり、ポリ塩化ビニル(PVC)以外でも、例えば、PET−G(ポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコール成分の30%をシクロヘキサンジメタノールで置換した共重合ポリエステル樹脂)、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS)など透明性の高い樹脂であれば使用可能である。
【0012】
表面側印刷層(11a)及び裏面側印刷層(11b)は、例えば、シルクスクリーン法により印刷された印刷層である。また、表面側オーバーシート(12a)及び裏面側オーバーシート(12b)は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)製の0.05mm厚のものである。
インキ層(14)は、800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有するインキを用いて塗工されたインキ層である。図1において、このインキ層(14)は、透明磁気カード(16)の全面に塗工されているが、一部分に塗工されたものでもよい。
【0013】
本発明による透明磁気カード(1)は、上記のような構成であるので、A領域では800nm以下の光は、点線矢印で示すように透過し、透明性を有する透明磁気カードとなる。すなわち、赤外線領域でカードを検知しているセンサーに対応し、透明性を確保しながらATMなどでの使用が可能となる。
【0014】
図2は、本発明による透明磁気カードの他の例を示す断面図である。
図2に示すように、本発明による透明磁気カード(2)は、透明性の高い樹脂シートの透明センターコア(20)の表面側上に、800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有する第二インキ層(24b)、600nm〜800nmの赤外線領域を吸収する染料を含有する第一インキ層(24a)、表面側印刷層(21a)、表面側オーバーシート(22a)、及び磁気テープ(23)が設けられ、また、透明センターコア(20)の裏面側上に、裏面側印刷層(21b)、及び裏面側オーバーシート(22b)が設けられたものである。
【0015】
第二インキ層(24b)及び第一インキ層(24a)は、予め、上記透明性の高い樹脂シートの原反の表面側に塗工されたインキ層である。第二インキ層(24b)は、800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有するインキを用い、第一インキ層(24a)は、600nm〜800nmの赤外線領域を吸収する染料を含有するインキを用いて塗工されたものである。
図2において、これらの第二インキ層(24b)及び第一インキ層(24a)は、上記透明性の高い樹脂シートの原反の全面に塗工されているが、一部分に塗工されたものでもよい。
【0016】
本発明による透明磁気カード(2)は、上記のような構成であるので、B領域では600nm以下の光は、点線矢印で示すように透過し、透明性を有する透明磁気カードとなる。すなわち、可視光領域の一部及び赤外線領域でカードを検知しているセンサーに対応し、透明性を確保しながら機械適性を持つ透明磁気カードとなる。
【0017】
図3は、本発明による透明磁気カードの別な他の例を示す断面図である。
図3に示すように、本発明による透明磁気カード(3)は、透明性の高い樹脂シートの透明センターコア(30)の表面側上に、600nm〜800nmの赤外線領域を吸収する染料を含有する第一インキ層(34a)、表面側印刷層(31a)、表面側オーバーシート(32a)、及び磁気テープ(33)が設けられ、また、透明センターコア(30)の裏面側上に、800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有する第二インキ層(34b)、裏面側印刷層(31b)、及び裏面側オーバーシート(32b)が設けられたものである。
【0018】
第一インキ層(34a)は、予め、上記透明性の高い樹脂シートの原反の表面側に、また、第二インキ層(34b)は、上記透明性の高い樹脂シートの原反の裏面側に塗工されたインキ層である。第一インキ層(34a)は、600nm〜800nmの赤外線領域を吸収する染料を含有するインキを用い、第二インキ層(34b)は、800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有するインキを用いて塗工されたものである。
図3において、これらの第一インキ層(34a)及び第二インキ層(34b)は、上記透明性の高い樹脂シートの原反の表面側及び裏面側の全面に塗工されているが、一部分に塗工されたものでもよい。
【0019】
この透明磁気カードは、上記のような構成であるので、C領域では600nm以下の光は、点線矢印で示すように透過し、透明性を有する透明磁気カードとなる。すなわち、可視光領域の一部及び赤外線領域でカードを検知しているセンサーに対応し、透明性を確保しながら機械適性を持つ透明磁気カードとなる。
【0020】
従って、本発明による透明磁気カードは、無色な、もしくは有色であっても透明性を確保し、且つ、現行のカードリーダライタやATM、エンボッサーなどの磁気を読み書きする機械側の改造をせずに、利用することが可能となる。
また、本発明による透明磁気カードは、無色な、もしくは有色であっても透明性を確保しているので、従来の磁気カードにはない意匠性を向上させたデザインを有する磁気カードが可能となる。
さらには、一般磁気カードの他に、例えば、カードの一部を透明にしたオーバープリント磁気カード、ICカードなどにも使用が可能となるものである。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、透明性の高い樹脂シートが用いられて作製された、透明なカードであり磁気テープも設けられた透明磁気カードの表面側に800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有するインキ層を塗工することにより、透明もしくは透明性を有し意匠性を向上させ、且つ、赤外線領域でカードを検知しているセンサーに対応し、ATMなどの機械でカードの有無や、磁気情報の書き込み開始位置などが検知される、すなわち、ATMなどを利用できる透明磁気カードとなる。
【0022】
また、本発明は、透明性の高い樹脂シートが用いられて作製された、透明なカードであり磁気テープも設けられた透明磁気カードの表面側に600nm〜800nmの可視領域〜赤外線領域を吸収する染料を含有する第一インキ層、及び表面側又は裏面側に800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有する第二インキ層を塗工することにより、透明もしくは透明性を有し意匠性を向上させ、且つ、可視光領域の一部及び赤外線領域でカードを検知しているセンサーに対応した機械適性を持つ透明磁気カードとなる。
【0023】
また、本発明は、予め、透明性の高い樹脂シートの原反の表面側に800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有するインキ層が塗工された透明性の高い樹脂シートが用いられることにより、透明もしくは透明性を有し意匠性を向上させ、且つ、赤外線領域でカードを検知しているセンサーに対応し、ATMなどの機械でカードの有無や、磁気情報の書き込み開始位置などが検知される、すなわち、ATMなどを利用できる透明磁気カードとなる。
【0024】
また、本発明は、予め、透明性の高い樹脂シートの原反の表面側に600nm〜800nmの可視領域〜赤外線領域を吸収する染料を含有する第一インキ層、及び表面側又は裏面側に800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有する第二インキ層が塗工された透明性の高い樹脂シートが用いられることのより、透明もしくは透明性を有し意匠性を向上させ、且つ、可視光領域の一部及び赤外線領域でカードを検知しているセンサーに対応した機械適性を持つ透明磁気カードとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による透明磁気カードの一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明による透明磁気カードの他の例を示す断面図である。
【図3】本発明による透明磁気カードの別な他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1、2、3・・・本発明による透明磁気カード
10、20、30・・・透明センターコア
11a、21a、31a・・・表面側印刷層
11b、21b、31b・・・裏面側印刷層
12a、22a、32a・・・表面側オーバーシート
12b、22b、32b・・・裏面側オーバーシート
13、23、33・・・磁気テープ
14・・・インキ層
15・・・透明保護層
16・・・透明磁気カード
24a、34a・・・第一インキ層
24b、34b・・・第二インキ層

Claims (4)

  1. 透明性の高い樹脂シートが用いられた透明なカードであり磁気テープも設けられた透明磁気カードにおいて、作製された透明磁気カードの表面側又は裏面側に800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有するインキ層が塗工されたことを特徴とする透明磁気カード。
  2. 透明性の高い樹脂シートが用いられた透明なカードであり磁気テープも設けられた透明磁気カードにおいて、作製された透明磁気カードの表面側又は裏面側に600nm〜800nmの可視領域〜赤外線領域を吸収する染料を含有する第一インキ層、及び表面側又は裏面側に800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有する第二インキ層が塗工されたことを特徴とする透明磁気カード。
  3. 透明性の高い樹脂シートが用いられた透明なカードであり磁気テープも設けられた透明磁気カードにおいて、透明性の高い樹脂シートの表面側又は裏面側に、予め、800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有するインキ層が塗工されたことを特徴とする透明磁気カード。
  4. 透明性の高い樹脂シートが用いられた透明なカードであり磁気テープも設けられた透明磁気カードにおいて、透明性の高い樹脂シートの表面側又は裏面側に、予め、600nm〜800nmの可視領域〜赤外線領域を吸収する染料を含有する第一インキ層、及び表面側又は裏面側に800nm〜1000nmの赤外線領域を吸収する染料を含有する第二インキ層が塗工されたことを特徴とする透明磁気カード。
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