JP2001166144A - セルロースエステルフイルム用レターデーション上昇剤、セルロースエステルフイルム、光学補償シート、楕円偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

セルロースエステルフイルム用レターデーション上昇剤、セルロースエステルフイルム、光学補償シート、楕円偏光板および液晶表示装置

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JP2001166144A
JP2001166144A JP2000069639A JP2000069639A JP2001166144A JP 2001166144 A JP2001166144 A JP 2001166144A JP 2000069639 A JP2000069639 A JP 2000069639A JP 2000069639 A JP2000069639 A JP 2000069639A JP 2001166144 A JP2001166144 A JP 2001166144A
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光進 松岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レターデーション値が高いセルロースエステ
ルフイルムを得る。 【解決手段】 円盤状化合物を、セルロースエステルフ
イルム用のレターデーション上昇剤として使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロースエステ
ルフイルム用レターデーション上昇剤、並びにそれを用
いたセルロースエステルフイルム、光学補償シート、楕
円偏光板および液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、液晶セル、偏光素子お
よび光学補償シート(位相差板)からなる。透過型液晶
表示装置では、二枚の偏光素子を液晶セルの両側に取り
付け、一枚または二枚の光学補償シートを液晶セルと偏
光素子との間に配置する。反射型液晶表示装置では、反
射板、液晶セル、一枚の光学補償シート、そして一枚の
偏光素子の順に配置する。液晶セルは、棒状液晶性分
子、それを封入するための二枚の基板および棒状液晶性
分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セル
は、棒状液晶性分子の配向状態の違いで、透過型につい
ては、TN(Twisted Nematic)、IPS(In-Plane Sw
itching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crysta
l)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN
(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Align
ed)、反射型については、TN、HAN(Hybrid Align
ed Nematic)のような様々な表示モードが提案されてい
る。偏光素子は、一般に、偏光膜の両側に二枚の透明保
護膜を取り付けた構成を有する。
【0003】光学補償シートは、画像着色を解消した
り、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用
いられている。光学補償シートとしては、延伸複屈折フ
イルムが従来から使用されていた。延伸複屈折フイルム
からなる光学補償シートに代えて、透明支持体上に液晶
性分子(特にディスコティック液晶性分子)から形成さ
れた光学的異方性層を有する光学補償シートを使用する
ことが提案されている。光学的異方性層は、液晶性分子
を配向させ、その配向状態を固定することにより形成す
る。一般に、重合性基を有する液晶性分子を用いて、重
合反応によって配向状態を固定する。液晶性分子は、大
きな複屈折率を有する。そして、液晶性分子には、多様
な配向形態がある。液晶性分子を用いることで、従来の
延伸複屈折フイルムでは得ることができない光学的性質
を実現することが可能になった。
【0004】光学補償シートの光学的性質は、液晶セル
の光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違
いに応じて決定する。液晶性分子、特にディスコティッ
ク液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モード
に対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを
製造することができる。ディスコティック液晶性分子を
用いた光学補償シートでは、様々な表示モードに対応す
るものが既に提案されている。例えば、TNモードの液
晶セル用光学補償シートは、特開平6−214116号
公報、米国特許5583679号、同5646703
号、ドイツ特許公報3911620A1号の各明細書に
記載がある。また、IPSモードまたはFLCモードの
液晶セル用光学補償シートは、特開平10−54982
号公報に記載がある。さらに、OCBモードまたはHA
Nモードの液晶セル用光学補償シートは、米国特許58
05253号および国際特許出願WO96/37804
号の各明細書に記載がある。さらにまた、STNモード
の液晶セル用光学補償シートは、特開平9−26572
号公報に記載がある。そして、VAモードの液晶セル用
光学補償シートは、特許番号第2866372号公報に
記載がある。
【0005】液晶性分子には様々な配向形態があるが、
液晶性分子の光学異方性のみでは、液晶セルを充分に光
学的に補償できない場合もある。そのような場合には、
光学補償シートの透明支持体を光学異方性にして、液晶
性分子の光学異方性と共に液晶セルを光学的に補償する
方法が提案されている(米国特許5646703号明細
書記載)。光学異方性透明支持体としては、具体的には
合成ポリマーの延伸フイルムが用いられている。光学異
方性支持体として従来から用いられている合成ポリマー
延伸フイルムは、支持体としての機能に問題がある。ま
た、合成ポリマー延伸フイルムを透明支持体として用い
ると、光学補償シートと偏光板を一体化した楕円偏光板
を製造することも難しい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、光学的異
方性(高いレターデーション値)が要求される用途に、
セルロースエステルフイルムを使用することを検討し
た。セルロースエステルフイルムは、合成ポリマー延伸
フイルムと比較して、支持体としての機能が優れてい
る。光学的異方性が高い(高いレターデーション値を有
する)セルロースエステルフイルムが得られれば、光学
的異方性が要求される光学補償シートの用途において
も、セルロースエステルフイルムを使用することができ
る。ただし、従来の技術では、レターデーション値が低
いセルロースエステルフイルムが優れたセルロースエス
テルフイルムであるとされていた。そのため、セルロー
スエステルフイルムのレターデーション値を低くする手
段については詳細に検討されていても、レターデーショ
ン値を高くする手段についてはほとんど検討されていて
いなかった。
【0007】そこで、本発明者は、セルロースエステル
フイルムのレターデーションを上昇させる機能を有する
化合物(レターデーション上昇剤)について、研究およ
び調査を行った。本発明の目的は、セルロースエステル
フイルム用レターデーション上昇剤を提供することであ
る。別の本発明の目的は、レターデーション値が高いセ
ルロースエステルフイルムを提供することである。さら
に別の本発明の目的は、レターデーション値が高いセル
ロースエステルフイルムを用いた光学補償シートおよび
楕円偏光板を提供することでもある。さらにまた別の本
発明の目的は、光学異方性透明支持体を用いた液晶表示
装置を提供することでもある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)のセルロースエステルフイルム用レターデーショ
ン上昇剤、下記(2)〜(7)のセルロースエステルフ
イルム、下記(8)〜(10)の光学補償シート、下記
(11)の楕円偏光板および下記(12)〜(15)の
液晶表示装置により達成された。 (1)円盤状化合物からなるセルロースエステルフイル
ム用レターデーション上昇剤。
【0009】(2)セルロースエステル100重量部に
対して、円盤状化合物を0.01乃至20重量部含み、
波長550nmで測定した厚み方向のレターデーション
値(Rth550 )が60乃至1000nmであることを特
徴とするセルロースエステルフイルム。 (3)円盤状化合物が、1,3,5−トリアジン環を有
する化合物である(2)に記載のセルロースエステルフ
イルム。 (4)円盤状化合物が、ポルフィリン骨格を有する化合
物である(2)に記載のセルロースエステルフイルム。 (5)光学的に負の一軸性であり、光軸がフイルム面の
法線と実質的に平行である(2)に記載のセルロースエ
ステルフイルム。 (6)セルロースエステルがセルロースアセテートであ
る(2)に記載のセルロースエステルフイルムシート。 (7)20乃至120μmの厚さを有する(2)に記載
のセルロースエステルフイルム。
【0010】(8)セルロースエステル100重量部に
対して、円盤状化合物を0.01乃至20重量部含み、
波長550nmで測定した厚み方向のレターデーション
値(Rth550 )が60乃至1000nmであるセルロー
スエステルフイルムからなる光学補償シート。 (9)セルロースエステル100重量部に対して、円盤
状化合物を0.01乃至20重量部含み、波長550n
mで測定した厚み方向のレターデーション値(Rth
550 )が60乃至1000nmであるセルロースエステ
ルフイルムの上に液晶性分子から形成された光学的異方
性層が設けられている光学補償シート。 (10)液晶性分子がディスコティック液晶性分子であ
る(9)に記載の光学補償シート、 (11)透明保護膜、偏光膜、透明支持体および液晶性
分子から形成された光学的異方性層がこの順に積層され
ている楕円偏光板であって、透明支持体が、セルロース
エステル100重量部に対して、円盤状化合物を0.0
1乃至20重量部含み、波長550nmで測定した厚み
方向のレターデーション値(Rth550 )が60乃至10
00nmであるセルロースエステルフイルムであること
を特徴とする楕円偏光板。
【0011】(12)液晶セルおよびその両側に配置さ
れた二枚の偏光素子からなる液晶表示装置であって、偏
光素子の少なくとも一方が、透明保護膜、偏光膜、透明
支持体および液晶性分子から形成された光学的異方性層
がこの順に積層されている楕円偏光板であり、透明支持
体が、セルロースエステル100重量部に対して、円盤
状化合物を0.01乃至20重量部含み、波長550n
mで測定した厚み方向のレターデーション値(Rth
550 )が60乃至1000nmであるセルロースエステ
ルフイルムであることを特徴とする液晶表示装置。 (13)液晶セルが、VAモード、OCBモードまたは
TNモードの液晶セルである(12)に記載の液晶表示
装置。 (14)反射板、液晶セルおよび一枚の偏光素子からな
る液晶表示装置であって、偏光素子が、透明保護膜、偏
光膜、透明支持体および液晶性分子から形成された光学
的異方性層がこの順に積層されている楕円偏光板であ
り、透明支持体が、セルロースエステル100重量部に
対して、円盤状化合物を0.01乃至20重量部含み、
波長550nmで測定した厚み方向のレターデーション
値(Rth55 0 )が60乃至1000nmであるセルロー
スエステルフイルムであることを特徴とする液晶表示装
置。 (15)液晶セルが、HANモードまたはTNモードの
液晶セルである(14)に記載の液晶表示装置。
【0012】
【発明の効果】本発明者の研究により、円盤状化合物
は、セルロースエステルフイルムのレターデーションを
上昇させる機能を有することが判明した。セルロースエ
ステル100重量部に対して、円盤状化合物を0.01
乃至20重量部添加すると、波長550nmにおける厚
み方向のレターデーション値(Rth550 )が60乃至1
000nmであるセルロースエステルフイルムが得られ
る。このような高いレターデーション値を有するセルロ
ースエステルフイルムは、そのまま光学補償シートとし
て液晶表示装置に用いることができる。また、支持体上
にディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層が
設けられている光学補償シートにおいて、高いレターデ
ーション値を有するセルロースエステルフイルムを支持
体として用いることもできる。円盤状化合物に代えて、
棒状化合物(複数の芳香族環を棒状に連結した化合物)
を用いても高いレターデーション値を有するセルロース
エステルフイルムを得ることができる。しかし、円盤状
化合物は、棒状化合物よりもレターデーション上昇効果
が優れており、比較的少量の使用量でもセルロースエス
テルフイルムのレターデーションを上昇させることがで
きる。さらに、円盤状化合物は、棒状化合物と比較し
て、セルロースエステルフイルムの表面に析出(ブリー
ドアウト)しにくい。従って、円盤状化合物を用いるこ
とで、ブリードアウトの問題を生じることなく、レター
デーションの高いセルロースエステルフイルムを得るこ
とができる。
【0013】得られたレターデーションの高いセルロー
スエステルフイルムは、支持体としての機能が優れてお
り、光学補償シートの光学異方性透明支持体として有利
に用いることができる。さらに、このセルロースエステ
ルフイルムは、偏光膜の保護機能も優れており、一体型
楕円偏光板の光学異方性透明支持体としても有利に用い
ることができる。透明保護膜、偏光膜、高いレターデー
ション値を有するセルロースエステルフイルムからなる
光学異方性透明支持体および液晶性分子を含む光学的異
方性層を組み合わせた楕円偏光板は、TN(Twisted Ne
matic)型、VA(Vertically Aligned)型、OCB(O
ptically Compensatory Bend)型またはHAN(Hybrid
Aligned Nematic)型の液晶表示装置に、特に有利に用
いることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】[円盤状化合物]本発明では、円
盤状化合物をセルロースエステルフイルムに添加する。
円盤状化合物は、セルロースエステルフイルムのレター
デション上昇剤として機能できる。円盤状化合物は、化
合物の分子の円盤状母核にファンデルワールス半径で定
義される球を付与し、分子の入りうる最初の直方体の3
個の稜をa、b、cとして形状を規定したとき、母核の
形状がa≧b>cかつb≧0.5aであることが好まし
い。母核の形状は、さらに、b≧0.7aであることが
好ましい。また、0.5b>cであることも好ましい。
【0015】本明細書において「セルロースエステルフ
イルム用レターデーション上昇剤」とは、セルロースエ
ステル100重量部に対して、3重量部を添加した場合
に、セルロースエステルフイルムのレターデーション
(具体的には、波長550nmで測定した厚み方向のレ
ターデーション値=Rth550 )を、無添加の場合の1.
5倍以上(好ましくは2倍以上、さらに好ましくは通常
は、2倍乃至10倍)に上昇させる機能を有する化合物
を意味する。円盤状化合物は、セルロースエステル10
0重量部に対して、0.01乃至20重量部の範囲で使
用する。一般に、円盤状化合物はセルロースエステルフ
イルム内で、円盤面がセルロースエステルフイルム面と
垂直になる向きで含まれる傾向がある。円盤面がセルロ
ースエステルフイルム面から傾いた状態で含まれている
円盤状化合物は、セルロースエステルフイルムを(後述
するように)延伸することにより、円盤面の向きを制御
することができる。
【0016】円盤状化合物としては、1,3,5−トリ
アジン環を有する化合物またはポルフィリン骨格を有す
る化合物を好ましく用いることができる。1,3,5−
トリアジン環を有する化合物は、下記式(I)で表され
る化合物であることが好ましい。
【0017】
【化1】
【0018】式中、X1 は、単結合、−NR4 −、−O
−または−S−であり;X2 は、単結合、−NR5 −、
−O−または−S−であり;X3 は、単結合、−NR6
−、−O−または−S−であり;R1 、R2 およびR3
は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリ
ール基または複素環基であり;そして、R4 、R5 およ
びR6 は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ア
ルケニル基、アリール基または複素環基である。式
(I)で表される化合物は、メラミン化合物であること
が特に好ましい。メラミン化合物では、式(I)におい
て、X1 、X2 およびX3 が、それぞれ、−NR4 −、
−NR5 −および−NR6 −であるか、あるいは、
1 、X2 およびX3 が単結合であり、かつR1 、R2
およびR3 が窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であ
る。−X1 −R1 、−X2 −R2 および−X3 −R
3 は、同一の置換基であることが好ましい。R1 、R2
およびR3 は、アリール基であることが特に好ましい。
4 、R5 およびR6 は、水素原子であることが特に好
ましい。
【0019】上記アルキル基は、環状アルキル基よりも
鎖状アルキル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状
アルキル基よりも、直鎖状アルキル基の方が好ましい。
アルキル基の炭素原子数は、1乃至30であることが好
ましく、1乃至20であることがより好ましく、1乃至
10であることがさらに好ましく、1乃至8であること
がさらにまた好ましく、1乃至6であることが最も好ま
しい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換
基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例、メトキ
シ、エトキシ、エポキシエチルオキシ)およびアシルオ
キシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキ
シ)が含まれる。上記アルケニル基は、環状アルケニル
基よりも鎖状アルケニル基である方が好ましい。分岐を
有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基の
方が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至3
0であることが好ましく、2乃至20であることがより
好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2
乃至8であることがさらにまた好ましく、2乃至6であ
ることが最も好ましい。アルケニル基は、置換基を有し
ていてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコ
キシ基(例、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキ
シ)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、
メタクリロイルオキシ)が含まれる。
【0020】上記アリール基は、フェニルまたはナフチ
ルであることが好ましく、フェニルであることが特に好
ましい。アリール基は、置換基を有していてもよい。置
換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、
ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、ア
リール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリー
ルオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル
基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカ
ルボニル基、スルファモイル、アルキル置換スルファモ
イル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置
換スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイ
ル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カル
バモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、
アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基お
よびアシル基が含まれる。上記アルキル基は、前述した
アルキル基と同様の定義を有する。アルコキシ基、アシ
ルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル置換ス
ルファモイル基、スルホンアミド基、アルキル置換カル
バモイル基、アミド基、アルキルチオ基とアシル基のア
ルキル部分も、前述したアルキル基と同様である。
【0021】上記アルケニル基は、前述したアルケニル
基と同様の定義を有する。アルケニルオキシ基、アシル
オキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、アルケニル
置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルケニル
置換カルバモイル基、アミド基、アルケニルチオ基およ
びアシル基のアルケニル部分も、前述したアルケニル基
と同様である。上記アリール基の例には、フェニル、α
−ナフチル、β−ナフチル、4−メトキシフェニル、
3,4−ジエトキシフェニル、4−オクチルオキシフェ
ニルおよび4−ドデシルオキシフェニルが含まれる。ア
リールオキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカル
ボニル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンア
ミド基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アリ
ールチオ基およびアシル基の部分の例は、上記アリール
基の例と同様である。
【0022】X1 、X2 またはX3 が−NR−、−O−
または−S−である場合の複素環基は、芳香族性を有す
ることが好ましい。芳香族性を有する複素環は、一般に
不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有す
る複素環である。複素環は、5員環、6員環または7員
環であることが好ましく、5員環または6員環であるこ
とがさらに好ましく、6員環であることが最も好まし
い。複素環のヘテロ原子は、N、SまたはOであること
が好ましく、Nであることが特に好ましい。芳香族性を
有する複素環としては、ピリジン環(複素環基として
は、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好まし
い。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基
の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様
である。X1 、X2 またはX3 が単結合である場合の複
素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基である
ことが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基
は、5員環、6員環または7員環であることが好まし
く、5員環または6員環であることがさらに好ましく、
5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の
窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素
原子以外のヘテロ原子(例、O、S)を有していてもよ
い。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基
の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様
である。以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基
の例を示す。
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】1,3,5−トリアジン環を有する化合物
の分子量は、300乃至2000であることが好まし
い。化合物の沸点は、260℃以上であることが好まし
い。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA1
00、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定でき
る。以下に、1,3,5−トリアジン環を有する化合物
の具体例を示す。なお、各例に示す複数のRは、同一の
基を意味する。Rの定義は、具体例番号と共に式の後に
示す。
【0028】
【化6】
【0029】(1)ブチル (2)2−メトキシ−2−エトキシエチル (3)5−ウンデセニル (4)フェニル (5)4−エトキシカルボニルフェニル (6)4−ブトキシフェニル (7)p−ビフェニリル (8)4−ピリジル (9)2−ナフチル (10)2−メチルフェニル (11)3,4−ジメトキシフェニル (12)2−フリル
【0030】
【化7】
【0031】
【化8】
【0032】(14)フェニル (15)3−エトキシカルボニルフェニル (16)3−ブトキシフェニル (17)m−ビフェニリル (18)3−フェニルチオフェニル (19)3−クロロフェニル (20)3−ベンゾイルフェニル (21)3−アセトキシフェニル (22)3−ベンゾイルオキシフェニル (23)3−フェノキシカルボニルフェニル (24)3−メトキシフェニル (25)3−アニリノフェニル (26)3−イソブチリルアミノフェニル (27)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル (28)3−(3−エチルウレイド)フェニル (29)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル (30)3−メチルフェニル (31)3−フェノキシフェニル (32)3−ヒドロキシフェニル
【0033】(33)4−エトキシカルボニルフェニル (34)4−ブトキシフェニル (35)p−ビフェニリル (36)4−フェニルチオフェニル (37)4−クロロフェニル (38)4−ベンゾイルフェニル (39)4−アセトキシフェニル (40)4−ベンゾイルオキシフェニル (41)4−フェノキシカルボニルフェニル (42)4−メトキシフェニル (43)4−アニリノフェニル (44)4−イソブチリルアミノフェニル (45)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル (46)4−(3−エチルウレイド)フェニル (47)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル (48)4−メチルフェニル (49)4−フェノキシフェニル (50)4−ヒドロキシフェニル
【0034】 (51)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル (52)3,4−ジブトキシフェニル (53)3,4−ジフェニルフェニル (54)3,4−ジフェニルチオフェニル (55)3,4−ジクロロフェニル (56)3,4−ジベンゾイルフェニル (57)3,4−ジアセトキシフェニル (58)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル (59)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル (60)3,4−ジメトキシフェニル (61)3,4−ジアニリノフェニル (62)3,4−ジメチルフェニル (63)3,4−ジフェノキシフェニル (64)3,4−ジヒドロキシフェニル (65)2−ナフチル
【0035】 (66)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル (67)3,4,5−トリブトキシフェニル (68)3,4,5−トリフェニルフェニル (69)3,4,5−トリフェニルチオフェニル (70)3,4,5−トリクロロフェニル (71)3,4,5−トリベンゾイルフェニル (72)3,4,5−トリアセトキシフェニル (73)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル (74)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニ
ル (75)3,4,5−トリメトキシフェニル (76)3,4,5−トリアニリノフェニル (77)3,4,5−トリメチルフェニル (78)3,4,5−トリフェノキシフェニル (79)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0036】
【化9】
【0037】(80)フェニル (81)3−エトキシカルボニルフェニル (82)3−ブトキシフェニル (83)m−ビフェニリル (84)3−フェニルチオフェニル (85)3−クロロフェニル (86)3−ベンゾイルフェニル (87)3−アセトキシフェニル (88)3−ベンゾイルオキシフェニル (89)3−フェノキシカルボニルフェニル (90)3−メトキシフェニル (91)3−アニリノフェニル (92)3−イソブチリルアミノフェニル (93)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル (94)3−(3−エチルウレイド)フェニル (95)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル (96)3−メチルフェニル (97)3−フェノキシフェニル (98)3−ヒドロキシフェニル
【0038】(99)4−エトキシカルボニルフェニル (100)4−ブトキシフェニル (101)p−ビフェニリル (102)4−フェニルチオフェニル (103)4−クロロフェニル (104)4−ベンゾイルフェニル (105)4−アセトキシフェニル (106)4−ベンゾイルオキシフェニル (107)4−フェノキシカルボニルフェニル (108)4−メトキシフェニル (109)4−アニリノフェニル (110)4−イソブチリルアミノフェニル (111)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル (112)4−(3−エチルウレイド)フェニル (113)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル (114)4−メチルフェニル (115)4−フェノキシフェニル (116)4−ヒドロキシフェニル
【0039】 (117)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル (118)3,4−ジブトキシフェニル (119)3,4−ジフェニルフェニル (120)3,4−ジフェニルチオフェニル (121)3,4−ジクロロフェニル (122)3,4−ジベンゾイルフェニル (123)3,4−ジアセトキシフェニル (124)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル (125)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル (126)3,4−ジメトキシフェニル (127)3,4−ジアニリノフェニル (128)3,4−ジメチルフェニル (129)3,4−ジフェノキシフェニル (130)3,4−ジヒドロキシフェニル(131)2
−ナフチル
【0040】(132)3,4,5−トリエトキシカル
ボニルフェニル (133)3,4,5−トリブトキシフェニル (134)3,4,5−トリフェニルフェニル (135)3,4,5−トリフェニルチオフェニル (136)3,4,5−トリクロロフェニル (137)3,4,5−トリベンゾイルフェニル (138)3,4,5−トリアセトキシフェニル (139)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル (140)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェ
ニル (141)3,4,5−トリメトキシフェニル (142)3,4,5−トリアニリノフェニル (143)3,4,5−トリメチルフェニル (144)3,4,5−トリフェノキシフェニル (145)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0041】
【化10】
【0042】(146)フェニル (147)4−エトキシカルボニルフェニル (148)4−ブトキシフェニル (149)p−ビフェニリル (150)4−フェニルチオフェニル (151)4−クロロフェニル (152)4−ベンゾイルフェニル (153)4−アセトキシフェニル (154)4−ベンゾイルオキシフェニル (155)4−フェノキシカルボニルフェニル (156)4−メトキシフェニル (157)4−アニリノフェニル (158)4−イソブチリルアミノフェニル (159)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル (160)4−(3−エチルウレイド)フェニル (161)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル (162)4−メチルフェニル (163)4−フェノキシフェニル (164)4−ヒドロキシフェニル
【0043】
【化11】
【0044】(165)フェニル (166)4−エトキシカルボニルフェニル (167)4−ブトキシフェニル (168)p−ビフェニリル (169)4−フェニルチオフェニル (170)4−クロロフェニル (171)4−ベンゾイルフェニル (172)4−アセトキシフェニル (173)4−ベンゾイルオキシフェニル (174)4−フェノキシカルボニルフェニル (175)4−メトキシフェニル (176)4−アニリノフェニル (177)4−イソブチリルアミノフェニル (178)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル (179)4−(3−エチルウレイド)フェニル (180)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル (181)4−メチルフェニル (182)4−フェノキシフェニル (183)4−ヒドロキシフェニル
【0045】
【化12】
【0046】(184)フェニル (185)4−エトキシカルボニルフェニル (186)4−ブトキシフェニル (187)p−ビフェニリル (188)4−フェニルチオフェニル (189)4−クロロフェニル (190)4−ベンゾイルフェニル (191)4−アセトキシフェニル (192)4−ベンゾイルオキシフェニル (193)4−フェノキシカルボニルフェニル (194)4−メトキシフェニル (195)4−アニリノフェニル (196)4−イソブチリルアミノフェニル (197)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル (198)4−(3−エチルウレイド)フェニル (199)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル (200)4−メチルフェニル (201)4−フェノキシフェニル (202)4−ヒドロキシフェニル
【0047】
【化13】
【0048】(203)フェニル (204)4−エトキシカルボニルフェニル (205)4−ブトキシフェニル (206)p−ビフェニリル (207)4−フェニルチオフェニル (208)4−クロロフェニル (209)4−ベンゾイルフェニル (210)4−アセトキシフェニル (211)4−ベンゾイルオキシフェニル (212)4−フェノキシカルボニルフェニル (213)4−メトキシフェニル (214)4−アニリノフェニル (215)4−イソブチリルアミノフェニル (216)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル (217)4−(3−エチルウレイド)フェニル (218)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル (219)4−メチルフェニル (220)4−フェノキシフェニル (221)4−ヒドロキシフェニル
【0049】
【化14】
【0050】(222)フェニル (223)4−ブチルフェニル (224)4−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)
フェニル (225)4−(5−ノネニル)フェニル (226)p−ビフェニリル (227)4−エトキシカルボニルフェニル (228)4−ブトキシフェニル (229)4−メチルフェニル (230)4−クロロフェニル (231)4−フェニルチオフェニル (232)4−ベンゾイルフェニル (233)4−アセトキシフェニル (234)4−ベンゾイルオキシフェニル (235)4−フェノキシカルボニルフェニル (236)4−メトキシフェニル (237)4−アニリノフェニル (238)4−イソブチリルアミノフェニル (239)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル (240)4−(3−エチルウレイド)フェニル (241)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル (242)4−フェノキシフェニル (243)4−ヒドロキシフェニル
【0051】(244)3−ブチルフェニル (245)3−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)
フェニル (246)3−(5−ノネニル)フェニル (247)m−ビフェニリル (248)3−エトキシカルボニルフェニル (249)3−ブトキシフェニル (250)3−メチルフェニル (251)3−クロロフェニル (252)3−フェニルチオフェニル (253)3−ベンゾイルフェニル (254)3−アセトキシフェニル (255)3−ベンゾイルオキシフェニル (256)3−フェノキシカルボニルフェニル (257)3−メトキシフェニル (258)3−アニリノフェニル (259)3−イソブチリルアミノフェニル (260)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル (261)3−(3−エチルウレイド)フェニル (262)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル (263)3−フェノキシフェニル (264)3−ヒドロキシフェニル
【0052】(265)2−ブチルフェニル (266)2−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)
フェニル (267)2−(5−ノネニル)フェニル (268)o−ビフェニリル (269)2−エトキシカルボニルフェニル (270)2−ブトキシフェニル (271)2−メチルフェニル (272)2−クロロフェニル (273)2−フェニルチオフェニル (274)2−ベンゾイルフェニル (275)2−アセトキシフェニル (276)2−ベンゾイルオキシフェニル (277)2−フェノキシカルボニルフェニル (278)2−メトキシフェニル (279)2−アニリノフェニル (280)2−イソブチリルアミノフェニル (281)2−フェノキシカルボニルアミノフェニル (282)2−(3−エチルウレイド)フェニル (283)2−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル (284)2−フェノキシフェニル (285)2−ヒドロキシフェニル
【0053】(286)3,4−ジブチルフェニル (287)3,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエ
チル)フェニル (288)3,4−ジフェニルフェニル (289)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル (290)3,4−ジドデシルオキシフェニル (291)3,4−ジメチルフェニル (292)3,4−ジクロロフェニル (293)3,4−ジベンゾイルフェニル (294)3,4−ジアセトキシフェニル (295)3,4−ジメトキシフェニル (296)3,4−ジ−N−メチルアミノフェニル (297)3,4−ジイソブチリルアミノフェニル (298)3,4−ジフェノキシフェニル (299)3,4−ジヒドロキシフェニル
【0054】(300)3,5−ジブチルフェニル (301)3,5−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエ
チル)フェニル (302)3,5−ジフェニルフェニル (303)3,5−ジエトキシカルボニルフェニル (304)3,5−ジドデシルオキシフェニル (305)3,5−ジメチルフェニル (306)3,5−ジクロロフェニル (307)3,5−ジベンゾイルフェニル (308)3,5−ジアセトキシフェニル (309)3,5−ジメトキシフェニル (310)3,5−ジ−N−メチルアミノフェニル (311)3,5−ジイソブチリルアミノフェニル (312)3,5−ジフェノキシフェニル (313)3,5−ジヒドロキシフェニル
【0055】(314)2,4−ジブチルフェニル (315)2,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエ
チル)フェニル (316)2,4−ジフェニルフェニル (317)2,4−ジエトキシカルボニルフェニル (318)2,4−ジドデシルオキシフェニル (319)2,4−ジメチルフェニル (320)2,4−ジクロロフェニル (321)2,4−ジベンゾイルフェニル (322)2,4−ジアセトキシフェニル (323)2,4−ジメトキシフェニル (324)2,4−ジ−N−メチルアミノフェニル (325)2,4−ジイソブチリルアミノフェニル (326)2,4−ジフェノキシフェニル (327)2,4−ジヒドロキシフェニル
【0056】(328)2,3−ジブチルフェニル (329)2,3−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエ
チル)フェニル (330)2,3−ジフェニルフェニル (331)2,3−ジエトキシカルボニルフェニル (332)2,3−ジドデシルオキシフェニル (333)2,3−ジメチルフェニル (334)2,3−ジクロロフェニル (335)2,3−ジベンゾイルフェニル (336)2,3−ジアセトキシフェニル (337)2,3−ジメトキシフェニル (338)2,3−ジ−N−メチルアミノフェニル (339)2,3−ジイソブチリルアミノフェニル (340)2,3−ジフェノキシフェニル (341)2,3−ジヒドロキシフェニル
【0057】(342)2,6−ジブチルフェニル (343)2,6−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエ
チル)フェニル (344)2,6−ジフェニルフェニル (345)2,6−ジエトキシカルボニルフェニル (346)2,6−ジドデシルオキシフェニル (347)2,6−ジメチルフェニル (348)2,6−ジクロロフェニル (349)2,6−ジベンゾイルフェニル (350)2,6−ジアセトキシフェニル (351)2,6−ジメトキシフェニル (352)2,6−ジ−N−メチルアミノフェニル (353)2,6−ジイソブチリルアミノフェニル (354)2,6−ジフェノキシフェニル (355)2,6−ジヒドロキシフェニル
【0058】 (356)3,4,5−トリブチルフェニル (357)3,4,5−トリ(2−メトキシ−2−エト
キシエチル)フェニル (358)3,4,5−トリフェニルフェニル (359)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニ
ル (360)3,4,5−トリドデシルオキシフェニル (361)3,4,5−トリメチルフェニル (362)3,4,5−トリクロロフェニル (363)3,4,5−トリベンゾイルフェニル (364)3,4,5−トリアセトキシフェニル (365)3,4,5−トリメトキシフェニル (366)3,4,5−トリ−N−メチルアミノフェニ
ル (367)3,4,5−トリイソブチリルアミノフェニ
ル (368)3,4,5−トリフェノキシフェニル (369)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0059】 (370)2,4,6−トリブチルフェニル (371)2,4,6−トリ(2−メトキシ−2−エト
キシエチル)フェニル (372)2,4,6−トリフェニルフェニル (373)2,4,6−トリエトキシカルボニルフェニ
ル (374)2,4,6−トリドデシルオキシフェニル (375)2,4,6−トリメチルフェニル (376)2,4,6−トリクロロフェニル (377)2,4,6−トリベンゾイルフェニル (378)2,4,6−トリアセトキシフェニル (379)2,4,6−トリメトキシフェニル (380)2,4,6−トリ−N−メチルアミノフェニ
ル (381)2,4,6−トリイソブチリルアミノフェニ
ル (382)2,4,6−トリフェノキシフェニル (383)2,4,6−トリヒドロキシフェニル
【0060】(384)ペンタフルオロフェニル (385)ペンタクロロフェニル (386)ペンタメトキシフェニル (387)6−N−メチルスルファモイル−8−メトキ
シ−2−ナフチル (388)5−N−メチルスルファモイル−2−ナフチ
ル (389)6−N−フェニルスルファモイル−2−ナフ
チル (390)5−エトキシ−7−N−メチルスルファモイ
ル−2−ナフチル (391)3−メトキシ−2−ナフチル (392)1−エトキシ−2−ナフチル (393)6−N−フェニルスルファモイル−8−メト
キシ−2−ナフチル (394)5−メトキシ−7−N−フェニルスルファモ
イル−2−ナフチル (395)1−(4−メチルフェニル)−2−ナフチル (396)6,8−ジ−N−メチルスルファモイル−2
−ナフチル (397)6−N−2−アセトキシエチルスルファモイ
ル−8−メトキシ−2−ナフチル (398)5−アセトキシ−7−N−フェニルスルファ
モイル−2−ナフチル (399)3−ベンゾイルオキシ−2−ナフチル
【0061】 (400)5−アセチルアミノ−1−ナフチル (401)2−メトキシ−1−ナフチル (402)4−フェノキシ−1−ナフチル (403)5−N−メチルスルファモイル−1−ナフチ
ル (404)3−N−メチルカルバモイル−4−ヒドロキ
シ−1−ナフチル (405)5−メトキシ−6−N−エチルスルファモイ
ル−1−ナフチル (406)7−テトラデシルオキシ−1−ナフチル (407)4−(4−メチルフェノキシ)−1−ナフチ
ル (408)6−N−メチルスルファモイル−1−ナフチ
ル (409)3−N,N−ジメチルカルバモイル−4−メ
トキシ−1−ナフチル (410)5−メトキシ−6−N−ベンジルスルファモ
イル−1−ナフチル (411)3,6−ジ−N−フェニルスルファモイル−
1−ナフチル
【0062】(412)メチル (413)エチル (414)ブチル (415)オクチル (416)ドデシル (417)2−ブトキシ−2−エトキシエチル (418)ベンジル (419)4−メトキシベンジル
【0063】
【化15】
【0064】
【化16】
【0065】
【化17】
【0066】(424)メチル (425)フェニル (426)ブチル
【0067】
【化18】
【0068】
【化19】
【0069】(430)メチル (431)エチル (432)ブチル (433)オクチル (434)ドデシル (435)2−ブトキシ2−エトキシエチル (436)ベンジル (437)4−メトキシベンジル
【0070】
【化20】
【0071】
【化21】
【0072】1,3,5−トリアジン環を有する化合物
として、メラミンポリマーを用いてもよい。メラミンポ
リマーは、下記式(II)で示すメラミン化合物とカルボ
ニル化合物との重合反応により合成することが好まし
い。
【0073】
【化22】
【0074】式中、R11、R12、R13、R14、R15およ
びR16は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ア
ルケニル基、アリール基または複素環基である。上記ア
ルキル基、アルケニル基、アリール基および複素環基の
定義および置換基は、前記式(I)で説明した各基の定
義および置換基と同様である。メラミン化合物とカルボ
ニル化合物との重合反応は、通常のメラミン樹脂(例、
メラミンホルムアルデヒド樹脂)の合成方法と同様であ
る。市販のメラミンポリマー(メラミン樹脂)を用いて
もよい。メラミンポリマーの分子量は、2千以上40万
以下であることが好ましい。メラミンポリマーの繰り返
し単位の例を以下に示す。
【0075】
【化23】
【0076】MP−1:R13、R14、R15、R16:CH2OH MP−2:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3 MP−3:R13、R14、R15、R16:CH2O-i-C4H9 MP−4:R13、R14、R15、R16:CH2O-n-C4H9 MP−5:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−6:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7
CH3
【0077】 MP−7:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3 MP−8:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3 MP−9:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3 MP−10:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3 MP−11:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3 MP−12:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH MP−13:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
【0078】 MP−14:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O-i-C4H9 MP−15:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O-i-C4H9 MP−16:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O-i-C4H9 MP−17:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O-i-C4H9 MP−18:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O-i-C4H9 MP−19:R13、R14、R16:CH2O-i-C4H9;R15:CH2OH MP−20:R13、R16:CH2O-i-C4H9;R14、R15:CH2OH
【0079】 MP−21:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O-n-C4H9 MP−22:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O-n-C4H9 MP−23:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O-n-C4H9 MP−24:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O-n-C4H9 MP−25:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O-n-C4H9 MP−26:R13、R14、R16:CH2O-n-C4H9;R15:CH2OH MP−27:R13、R16:CH2O-n-C4H9;R14、R15:CH2OH
【0080】MP−28:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;
R16:CH2O-n-C4H9 MP−29:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O-n-C4H9;R16:CH2O
CH3 MP−30:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O-n-C
4H9 MP−31:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O-n-C
4H9 MP−32:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O-n-C
4H9 MP−33:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O-n-C
4H9 MP−34:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O-n-C4H9;R16:CH2O
CH3 MP−35:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O-n-C
4H9 MP−36:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O-n-C
4H9 MP−37:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O-n-C
4H9 MP−38:R13、R16:CH2O-n-C4H9;R14:CH2OCH3;R15:CH
2OH
【0081】MP−39:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:
CH2O-n-C4H9;R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−40:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH
2;R16:CH2O-n-C4H9 MP−41:R13:CH2OH;R14:CH2O-n-C4H9;R15:CH2NHCOC
H=CH2;R16:CH2OCH3 MP−42:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O-n-C4H9;
R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−43:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH
2;R16:CH2O-n-C4H9 MP−44:R13:CH2O-n-C4H9;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;
R16:CH2NHCOCH=CH2
【0082】MP−45:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:
CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−46:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH
2;R16:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3 MP−47:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7
CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3 MP−48:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH2)
7CH=CH(CH2)7CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−49:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH
2;R16:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3 MP−50:R13:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3;R14:CH
2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
【0083】
【化24】
【0084】MP−51:R13、R14、R15、R16:CH2OH MP−52:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3 MP−53:R13、R14、R15、R16:CH2O-i-C4H9 MP−54:R13、R14、R15、R16:CH2O-n-C4H9 MP−55:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−56:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(C
H2)7CH3
【0085】 MP−57:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3 MP−58:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3 MP−59:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3 MP−60:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3 MP−61:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3 MP−62:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH MP−63:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
【0086】 MP−64:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O-i-C4H9 MP−65:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O-i-C4H9 MP−66:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O-i-C4H9 MP−67:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O-i-C4H9 MP−68:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O-i-C4H9 MP−69:R13、R14、R16:CH2O-i-C4H9;R15:CH2OH MP−70:R13、R16:CH2O-i-C4H9;R14、R15:CH2OH
【0087】 MP−71:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O-n-C4H9 MP−72:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O-n-C4H9 MP−73:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O-n-C4H9 MP−74:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O-n-C4H9 MP−75:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O-n-C4H9 MP−76:R13、R14、R16:CH2O-n-C4H9;R15:CH2OH MP−77:R13、R16:CH2O-n-C4H9;R14、R15:CH2OH
【0088】MP−78:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH3;
R16:CH2O-n-C4H9 MP−79:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O-n-C4H9;R16:CH2O
CH3 MP−80:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O-n-C
4H9 MP−81:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O-n-C
4H9 MP−82:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O-n-C
4H9 MP−83:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O-n-C
4H9 MP−84:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O-n-C4H9;R16:CH2O
CH3 MP−85:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O-n-C
4H9 MP−86:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O-n-C
4H9 MP−87:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O-n-C
4H9 MP−88:R13、R16:CH2O-n-C4H9;R14:CH2OCH3;R15:CH
2OH
【0089】MP−89:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:
CH2O-n-C4H9;R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−90:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH
2;R16:CH2O-n-C4H9 MP−91:R13:CH2OH;R14:CH2O-n-C4H9;R15:CH2NHCOC
H=CH2;R16:CH2OCH3 MP−92:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O-n-C4H9;
R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−93:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH
2;R16:CH2O-n-C4H9 MP−94:R13:CH2O-n-C4H9;R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;
R16:CH2NHCOCH=CH2
【0090】MP−95:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:
CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−96:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=CH
2;R16:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3 MP−97:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7
CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3 MP−98:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH2)
7CH=CH(CH2)7CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−99:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=CH
2;R16:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3 MP−100:R13:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3;R14:
CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
【0091】
【化25】
【0092】MP−101:R13、R14、R15、R16:CH2OH MP−102:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3 MP−103:R13、R14、R15、R16:CH2O-i-C4H9 MP−104:R13、R14、R15、R16:CH2O-n-C4H9 MP−105:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−106:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(C
H2)7CH3
【0093】 MP−107:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3 MP−108:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3 MP−109:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3 MP−110:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3 MP−111:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3 MP−112:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH MP−113:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
【0094】 MP−114:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O-i-C4H9 MP−115:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O-i-C4H9 MP−116:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O-i-C4H9 MP−117:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O-i-C4H9 MP−118:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O-i-C4H9 MP−119:R13、R14、R16:CH2O-i-C4H9;R15:CH2OH MP−120:R13、R16:CH2O-i-C4H9;R14、R15:CH2OH
【0095】 MP−121:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O-n-C4H9 MP−122:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O-n-C4H9 MP−123:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O-n-C4H9 MP−124:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O-n-C4H9 MP−125:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O-n-C4H9 MP−126:R13、R14、R16:CH2O-n-C4H9;R15:CH2OH MP−127:R13、R16:CH2O-n-C4H9;R14、R15:CH2OH
【0096】MP−128:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH
3;R16:CH2O-n-C4H9 MP−129:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O-n-C4H9;R16:CH
2OCH3 MP−130:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O-n
-C4H9 MP−131:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O-n
-C4H9 MP−132:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O-n
-C4H9 MP−133:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O-n
-C4H9 MP−134:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O-n-C4H9;R16:CH
2OCH3 MP−135:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O-n
-C4H9 MP−136:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O-n
-C4H9 MP−137:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O-n
-C4H9 MP−138:R13、R16:CH2O-n-C4H9;R14:CH2OCH3;R15:
CH2OH
【0097】MP−139:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R
15:CH2O-n-C4H9;R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−140:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=
CH2;R16:CH2O-n-C4H9 MP−141:R13:CH2OH;R14:CH2O-n-C4H9;R15:CH2NHC
OCH=CH2;R16:CH2OCH3 MP−142:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O-n-C4H
9;R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−143:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=
CH2;R16:CH2O-n-C4H9 MP−144:R13:CH2O-n-C4H9;R14:CH2OCH3;R15:CH2O
H;R16:CH2NHCOCH=CH2
【0098】MP−145:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R
15:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−146:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=
CH2;R16:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3 MP−147:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(C
H2)7CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3 MP−148:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH
2)7CH=CH(CH2)7CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−149:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=
CH2;R16:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3 MP−150:R13:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3;R14:
CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
【0099】
【化26】
【0100】MP−151:R13、R14、R15、R16:CH2OH MP−152:R13、R14、R15、R16:CH2OCH3 MP−153:R13、R14、R15、R16:CH2O-i-C4H9 MP−154:R13、R14、R15、R16:CH2O-n-C4H9 MP−155:R13、R14、R15、R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−156:R13、R14、R15、R16:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(C
H2)7CH3
【0101】 MP−157:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2OCH3 MP−158:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2OCH3 MP−159:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2OCH3 MP−160:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3 MP−161:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2OCH3 MP−162:R13、R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2OH MP−163:R13、R16:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH
【0102】 MP−164:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O-i-C4H9 MP−165:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O-i-C4H9 MP−166:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O-i-C4H9 MP−167:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O-i-C4H9 MP−168:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O-i-C4H9 MP−169:R13、R14、R16:CH2O-i-C4H9;R15:CH2OH MP−170:R13、R16:CH2O-i-C4H9;R14、R15:CH2OH
【0103】 MP−171:R13、R14、R15:CH2OH;R16:CH2O-n-C4H9 MP−172:R13、R14、R16:CH2OH;R15:CH2O-n-C4H9 MP−173:R13、R14:CH2OH;R15、R16:CH2O-n-C4H9 MP−174:R13、R16:CH2OH;R14、R15:CH2O-n-C4H9 MP−175:R13:CH2OH;R14、R15、R16:CH2O-n-C4H9 MP−176:R13、R14、R16:CH2O-n-C4H9;R15:CH2OH MP−177:R13、R16:CH2O-n-C4H9;R14、R15:CH2OH
【0104】MP−178:R13、R14:CH2OH;R15:CH2OCH
3;R16:CH2O-n-C4H9 MP−179:R13、R14:CH2OH;R15:CH2O-n-C4H9;R16:CH
2OCH3 MP−180:R13、R16:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2O-n
-C4H9 MP−181:R13:CH2OH;R14、R15:CH2OCH3;R16:CH2O-n
-C4H9 MP−182:R13:CH2OH;R14、R16:CH2OCH3;R15:CH2O-n
-C4H9 MP−183:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15、R16:CH2O-n
-C4H9 MP−184:R13:CH2OH;R14、R15:CH2O-n-C4H9;R16:CH
2OCH3 MP−185:R13、R14:CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2O-n
-C4H9 MP−186:R13、R16:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O-n
-C4H9 MP−187:R13:CH2OCH3;R14、R15:CH2OH;R16:CH2O-n
-C4H9 MP−188:R13、R16:CH2O-n-C4H9;R14:CH2OCH3;R15:
CH2OH
【0105】MP−189:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R
15:CH2O-n-C4H9;R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−190:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=
CH2;R16:CH2O-n-C4H9 MP−191:R13:CH2OH;R14:CH2O-n-C4H9;R15:CH2NHC
OCH=CH2;R16:CH2OCH3 MP−192:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2O-n-C4H
9;R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−193:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=
CH2;R16:CH2O-n-C4H9 MP−194:R13:CH2O-n-C4H9;R14:CH2OCH3;R15:CH2O
H;R16:CH2NHCOCH=CH2
【0106】MP−195:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R
15:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−196:R13:CH2OH;R14:CH2OCH3;R15:CH2NHCOCH=
CH2;R16:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3 MP−197:R13:CH2OH;R14:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(C
H2)7CH3;R15:CH2NHCOCH=CH2;R16:CH2OCH3 MP−198:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCO(CH
2)7CH=CH(CH2)7CH3;R16:CH2NHCOCH=CH2 MP−199:R13:CH2OCH3;R14:CH2OH;R15:CH2NHCOCH=
CH2;R16:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3 MP−200:R13:CH2NHCO(CH2)7CH=CH(CH2)7CH3;R14:
CH2OCH3;R15:CH2OH;R16:CH2NHCOCH=CH2
【0107】二種類以上の繰り返し単位を組み合わせた
コポリマーを用いてもよい。二種類以上のホモポリマー
またはコポリマーを併用してもよい。二種類以上の1,
3,5−トリアジン環を有する化合物を併用してもよ
い。二種類以上の円盤状化合物(例えば、1,3,5−
トリアジン環を有する化合物とポルフィリン骨格を有す
る化合物と)を併用してもよい。
【0108】[セルロースエステル]セルロースエステ
ルとしては、セルロースの低級脂肪酸エステルが好まし
い。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意
味する。炭素原子数は、2(セルロースアセテート)、
3(セルロースプロピオネート)または4(セルロース
ブチレート)であることが好ましい。セルロースアセテ
ートが特に好ましい。セルロースアセテートプロピオネ
ートやセルロースアセテートブチレートのような混合脂
肪酸エステルを用いてもよい。セルロースアセテートの
平均酢化度(アセチル化度)は、55.0%以上62.
5%未満であることが好ましい。フイルムの物性の観点
では、平均酢化度は、58.0%以上62.5%未満で
あることがさらに好ましい。ただし、平均酢化度が5
5.0%以上58.0%未満(好ましくは57.0%以
上58.0%未満)であるセルロースアセテートを用い
ると、非常に高いレターデーション値のフイルムを製造
することができる。
【0109】酢化度とは、セルロース単位重量当たりの
結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−81
7−91(セルロースアセテート等の試験法)における
アセチル化度の測定および計算に従う。セルロースエス
テルの粘度平均重合度(DP)は、250以上であるこ
とが好ましく、290以上であることがさらに好まし
い。また、本発明に使用するセルロースエステルは、ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/M
n(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分
子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの
値としては、1.0乃至1.7であることが好ましく、
1.3乃至1.65であることがさらに好ましく、1.
4乃至1.6であることが最も好ましい。
【0110】[フイルムのレターデーション値]セルロ
ースエステルフイルムの厚み方向のレターデーション値
は、厚み方向の複屈折率にフイルムの厚みを乗じた値で
ある。具体的には、測定光の入射方向をフイルム膜面に
対して鉛直方向として、遅相軸を基準とする面内レター
デーションの測定結果と、入射方向をフイルム膜面に対
する鉛直方向に対して傾斜させた測定結果から外挿して
求める。測定は、エリプソメーター(例えば、M−15
0:日本分光(株)製)を用いて実施できる。厚み方向
のレターデーション値(Rth)と面内レターデーション
値(Re)とは、それぞれ下記式(1)および(2)に
従って算出する。 式(1) 厚み方向のレターデーション値(Rth)={(nx+n
y)/2−nz}×d 式(2) 面内レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d 式中、nxはフイルム平面内のx方向の屈折率であり、
nyはフイルム平面内のy方向の屈折率であり、nzは
フイルム面に垂直な方向の屈折率であり、そしてdはフ
イルムの厚み(nm)である。
【0111】本発明では、フイルムの波長550nmに
おける厚み方向のレターデーション値(Rth550 )を、
60乃至1000nmに調整する。厚み方向のレターデ
ーション値は、60乃至400nmであることが好まし
く、70乃至400nmであることがより好ましく、7
0乃至300nmであることがさらに好ましく、70乃
至250nmであることが最も好ましい。なお、厚み方
向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、6×1
-4乃至1×10-2であることが好ましく、6×10-4
乃至4×10-3であることがより好ましく、7×10-4
乃至4×10-3であることがさらに好ましく、7×10
-4乃至3×10-3であることがさらにまた好ましく、7
×10-4乃至2.5×10 -3であることが特に好まし
い。セルロースエステルフイルムは、光学的に負の一軸
性であり、光軸がフイルム面の法線と実質的に平行であ
ることが好ましい。
【0112】[有機溶媒]本発明では、ソルベントキャ
スト法によりセルロースエステルフイルムを製造するこ
とが好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロース
エステルを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いて
フイルムを製造する。有機溶媒は、炭素原子数が3乃至
12のエーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭
素原子数が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1
乃至6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むこ
とが好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環
状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエ
ステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−
COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機
溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコー
ル性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二
種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原
子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内
であればよい。
【0113】炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、
2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノー
ルおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン
化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好
ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化
水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲ
ン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている
割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、3
0乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至
65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60
モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。
【0114】二種類以上の有機溶媒を混合して用いても
よい。特に好ましい有機溶媒は、互いに異なる三種類の
溶媒の混合溶媒であって、第1の溶媒が3乃至12のエ
ーテル、炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数
が3乃至12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6の
ハロゲン化炭化水素から選ばれ、第2の溶媒が炭素原子
数が1乃至5の直鎖状一価アルコールから選ばれ、そし
て第3の溶媒が沸点が30乃至170℃のアルコールお
よび沸点が30乃至170℃の炭化水素から選ばれる。
第1の溶媒のエーテル、ケトン、エステルおよびハロゲ
ン化炭化水素については、前述した通りである。第2の
溶媒は、炭素原子数が1乃至5の直鎖状一価アルコール
から選ばれる。アルコールの水酸基は、炭化水素直鎖の
末端に結合してもよいし(第一級アルコール)、中間に
結合してもよい(第二級アルコール)。第2の溶媒は、
具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノー
ル、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノー
ル、1−ペンタノール、2−ペンタノールおよび3−ペ
ンタノールから選ばれる。直鎖状一価アルコールの炭素
原子数は、1乃至4であることが好ましく、1乃至3で
あることがさらに好ましく、1または2であることが最
も好ましい。エタノールが特に好ましく用いられる。
【0115】第3の溶媒は、沸点が30乃至170℃の
アルコールおよび沸点が30乃至170℃の炭化水素か
ら選ばれる。アルコールは一価であることが好ましい。
アルコールの炭化水素部分は、直鎖であっても、分岐を
有していても、環状であってもよい。炭化水素部分は、
飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコール
の水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。
アルコールの例には、メタノール(沸点:64.65
℃)、エタノール(78.325℃)、1−プロパノー
ル(97.15℃)、2−プロパノール(82.4
℃)、1−ブタノール(117.9℃)、2−ブタノー
ル(99.5℃)、t−ブタノール(82.45℃)、
1−ペンタノール(137.5℃)、2−メチル−2−
ブタノール(101.9℃)およびシクロヘキサノール
(161℃)が含まれる。
【0116】アルコールについては、前記第2の溶媒の
定義と重複するが、第2の溶媒として使用するアルコー
ルとは異なる種類のアルコールであれば、第3の溶媒と
して使用できる。例えば、第2の溶媒として、エタノー
ルを使用する場合は、第2の溶媒の定義に含まれる他の
アルコール(メタノール、1−プロパノール、2−プロ
パノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペン
タノール、2−ペンタノールまたは3−ペンタノール)
を第3の溶媒として使用していもよい。炭化水素は、直
鎖であっても、分岐を有していても、環状であってもよ
い。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いる
ことができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽
和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン
(沸点:80.7℃)、ヘキサン(69℃)、ベンゼン
(80.1℃)、トルエン(110.6℃)およびキシ
レン(138.4〜144.4℃)が含まれる。
【0117】三種混合溶媒中には、第1の溶媒が50乃
至95重量%含まれることが好ましく、60乃至92重
量%含まれることがより好ましく、65乃至90重量%
含まれることが更に好ましく、70乃至88重量%含ま
れることが最も好ましい。第2の溶媒は、1乃至30重
量%含まれることが好ましく、2乃至27重量%含まれ
ることがより好ましく、3乃至24重量%含まれること
がさらに好ましく、4乃至22重量%含まれることが最
も好ましい。第3の溶媒は、1乃至30重量%含まれる
ことが好ましく、2乃至27重量%含まれることがより
好ましく、3乃至24重量%含まれることがさらに好ま
しく、4乃至22重量%含まれることが最も好ましい。
さらに他の有機溶媒を併用して、四種以上の混合溶媒と
してもよい。四種以上の混合溶媒を用いる場合の4番目
以降の溶媒も、前述した三種類の溶媒から選択すること
が好ましい。前述した三種類の溶媒以外の溶媒して、炭
素原子数が3乃至12のエーテル類(例、ジイソプロピ
ルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、
1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒ
ドロフラン、アニソール、フェネトール)やニトロメタ
ンを併用してもよい。
【0118】[溶液の調製(一般的な方法)]本発明で
は、冷却溶解法を採用せずに、一般的な方法で溶液を調
製することができる。一般的な方法とは、0℃以上の温
度(常温または高温)で、処理することを意味する。溶
液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドー
プの調製方法および装置を用いて実施することができ
る。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロ
ゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いること
が好ましい。セルロースエステルの量は、得られる溶液
中に10乃至40重量%含まれるように調整する。セル
ロースエステルの量は、10乃至30重量%であること
がさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述す
る任意の添加剤を添加しておいてもよい。溶液は、常温
(0乃至40℃)でセルロースエステルと有機溶媒とを
攪拌することにより調製することができる。高濃度の溶
液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体的
には、セルロースエステルと有機溶媒とを加圧容器に入
れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、か
つ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌す
る。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは
60乃至200℃であり、さらに好ましくは80乃至1
10℃である。
【0119】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0120】[溶液の調製(冷却溶解法)]冷却溶解法
により、溶液を調製することもできる。冷却溶解法で
は、通常の溶解方法では溶解させることが困難な有機溶
媒(ハロゲン化炭化水素以外の有機溶媒)中にも、セル
ロースエステルを溶解させることができる。なお、通常
の溶解方法でセルロースエステルを溶解できる溶媒(例
えば、ハロゲン化炭化水素)であっても、冷却溶解法に
よると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。冷
却溶解法では最初に、室温で有機溶媒中にセルロースエ
ステルを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースエス
テルの量は、この混合物中に10乃至40重量%含まれ
るように調整することが好ましい。セルロースエステル
の量は、10乃至30重量%であることがさらに好まし
い。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加
しておいてもよい。
【0121】次に、混合物を−100乃至−10℃(好
ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50
乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に
冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷
却すると、セルロースエステルと有機溶媒の混合物は固
化する。冷却速度は、4℃/分以上であることが好まし
く、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃
/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速い
ほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であ
り、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして10
0℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷
却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却
を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で
割った値である。
【0122】さらに、これを0乃至200℃(好ましく
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にセルロースエステルが溶解する。昇温は、室温中に
放置するだけでもよし、温浴中で加温してもよい。加温
速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分
以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であ
ることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましい
が、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000
℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実
用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する
時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してか
ら最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値であ
る。以上のようにして、均一な溶液が得られる。なお、
溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返し
てもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶
液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0123】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20重量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。た
だし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの
平均酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機
溶媒により異なる。
【0124】[フイルムの製造]調製したセルロースエ
ステル溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によ
りセルロースエステルフイルムを製造する。ドープは、
ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフイ
ルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18乃
至35%となるように濃度を調整することが好ましい。
ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておく
ことが好ましい。ソルベントキャスト法における流延お
よび乾燥方法については、米国特許2336310号、
同2367603号、同2492078号、同2492
977号、同2492978号、同2607704号、
同2739069号、同2739070号、英国特許6
40731号、同736892号の各明細書、特公昭4
5−4554号、同49−5614号、特開昭60−1
76834号、同60−203430号、同62−11
5035号の各公報に記載がある。
【0125】ドープは、表面温度が10℃以下のドラム
またはバンド上に流延することが好ましい。流延した2
秒以上風に当てて乾燥することが好ましい。得られたフ
イルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに10
0から160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して
残留溶剤を蒸発させることもできる。以上の方法は、特
公平5−17844号公報に記載がある。この方法によ
ると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可
能である。この方法を実施するためには、流延時のドラ
ムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化する
ことが必要である。本発明に従い調製した溶液(ドー
プ)は、この条件を満足する。製造するフイルムの厚さ
は、20乃至120μmであることが好ましく、40乃
至120μmであることがさらに好ましく、70乃至1
00μmであることが最も好ましい。
【0126】[フイルムの添加剤]セルロースエステル
フイルムには、機械的物性を改良するため、または乾燥
速度を向上するために、可塑剤を添加することができ
る。可塑剤としては、リン酸エステルまたはカルボン酸
エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリ
フェニルフォスフェート(TPP)およびトリクレジル
ホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステ
ルとしては、フタル酸エステルおよびクエン酸エステル
が代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチル
フタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DE
P)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタ
レート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)お
よびジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれ
る。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸
トリエチル(OACTE)およびO−アセチルクエン酸
トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボ
ン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール
酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメ
リット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑
剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEH
P)が好ましく用いられる。DEPおよびDPPが特に
好ましい。可塑剤の添加量は、セルロースエステルの量
の0.1乃至25重量%であることが好ましく、1乃至
20重量%であることがさらに好ましく、3乃至15重
量%であることが最も好ましい。
【0127】セルロースエステルフイルムには、劣化防
止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止
剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)や紫外線防止
剤を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3
−199201号、同5−1907073号、同5−1
94789号、同5−271471号、同6−1078
54号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、
調製する溶液(ドープ)の0.01乃至1重量%である
ことが好ましく、0.01乃至0.2重量%であること
がさらに好ましい。添加量が0.01重量%未満である
と、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量
が1重量%を越えると、フイルム表面への劣化防止剤の
ブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。
特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロ
キシトルエン(BHT)を挙げることができる。紫外線
防止剤については、特開平7−11056号公報に記載
がある。
【0128】[セルロースエステルフイルムの表面処
理]セルロースエステルフイルムを透明支持体として使
用する場合、セルロースエステルフイルムを表面処理す
ることができる。表面処理としては、コロナ放電処理、
グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理また
は紫外線照射処理を実施する。透明支持体と配向膜ある
いは光学的異方性層との接着を改善するためには、ゼラ
チン下塗り層を設けることが好ましい。ゼラチンの下塗
り層の厚さは、0.01乃至1μmであることが好まし
く、0.02乃至0.5μmであることがさらに好まし
く、0.05乃至0.2μmであることが最も好まし
い。
【0129】[液晶表示装置の構成]セルロースエステ
ルフイルムは、様々な用途で用いることができる。本発
明のセルロースエステルフイルムは、液晶表示装置の光
学補償シートとして用いると特に効果がある。本発明の
セルロースエステルフイルムには、厚み方向のレターデ
ーション値が高いとの特徴があるため、フイルムそのも
のを光学補償シートとして用いることができる。液晶表
示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液
晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および
該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学
補償シートを配置した構成を有している。一般的な液晶
表示装置の構成について、図1を参照しながら説明す
る。
【0130】図1は、一般的な液晶表示装置の断面模式
図である。液晶層(7)は、樹脂基板(5a、5b)の
間に設ける。樹脂基板(5a、5b)の液晶側には、透
明電極層(6a、6b)が設けられる。以上の液晶層、
樹脂基板および透明電極(5〜7)が液晶セルを構成す
る。液晶セルの上下に、光学補償シート(4a、4b)
が接着されている。本発明のセルロースエステルフイル
ムは、この光学補償シート(4a、4b)として用いる
ことができる。なお、光学補償シート(4a、4b)
は、偏光膜(3a、3b)の保護膜(2a、2b)が設
けられていない側を保護する機能も有している。光学補
償シート(4aと4b)の上下には、偏光素子(2a、
2b、3a、3b)が設けられている。偏光素子は、保
護膜(2a、2b)および偏光膜(3a、3b)からな
る。図1に示す液晶表示装置では、さらに片側の偏光素
子の上に表面処理膜(1)が設けられている。表面処理
膜(1)が設けられるのは、外から人が見る側である。
液晶表示装置のバックライトは、反対側(2bの側)に
設けられる。
【0131】光学補償シートと偏光素子とを一体化した
楕円偏光板を液晶表示装置に用いることもできる。図1
6は、楕円偏光板を用いた透過型液晶表示装置の基本的
な構成を示す模式図である。図16の(a)に示す透過
型液晶表示装置は、バックライト(BL)側から順に、
透明保護膜(1a)、偏光膜(2a)、透明支持体(3
a)、光学的異方性層(4a)、液晶セルの下基板(5
a)、棒状液晶性分子からなる液晶層(6)、液晶セル
の上基板(5b)、光学的異方性層(4b)、透明支持
体(3b)、偏光膜(2b)、そして透明保護膜(1
b)からなる。透明支持体(3a)〜光学的異方性層
(4a)および光学的異方性層(4b)〜透明支持体
(3b)が、二枚の光学補償シートを構成している。ま
た、透明保護膜(1a)〜光学的異方性層(4a)およ
び光学的異方性層(4b)〜透明保護膜(1b)が、二
枚の楕円偏光板を構成している。
【0132】図16の(b)に示す透過型液晶表示装置
は、バックライト(BL)側から順に、透明保護膜(1
01a)、偏光膜(102a)、透明支持体(103
a)、光学的異方性層(104a)、液晶セルの下基板
(105a)、棒状液晶性分子からなる液晶層(10
6)、液晶セルの上基板(105b)、透明保護膜(1
01b)、偏光膜(102b)、そして透明保護膜(1
01c)からなる。透明支持体(103a)〜光学的異
方性層(104a)が、光学補償シートを構成してい
る。また、透明保護膜(101a)〜光学的異方性層
(104a)が、楕円偏光板を構成している。
【0133】図16の(c)に示す透過型液晶表示装置
は、バックライト(BL)側から順に、透明保護膜(1
01a)、偏光膜(102a)、透明保護膜(101
b)、液晶セルの下基板(105a)、棒状液晶性分子
からなる液晶層(106)、液晶セルの上基板(105
b)、光学的異方性層(104b)、透明支持体(10
3b)、偏光膜(102b)、そして透明保護膜(10
1c)からなる。光学的異方性層(104b)〜透明支
持体(103b)が、光学補償シートを構成している。
また、光学的異方性層(104b)〜透明保護膜(10
1c)が、楕円偏光板を構成している。
【0134】図17は、楕円偏光板を用いた反射型液晶
表示装置の基本的な構成を示す模式図である。図17に
示す反射型液晶表示装置は、反射板(RB)側から順
に、液晶セルの下基板(105a)、棒状液晶性分子か
らなる液晶層(106)、液晶セルの上基板(105
b)、光学的異方性層(104b)、透明支持体(10
3b)、偏光膜(102b)、そして透明保護膜(10
1b)からなる。光学的異方性層(104b)〜透明支
持体(103b)が、光学補償シートを構成している。
また、光学的異方性層(104b)〜透明保護膜(10
1b)が、楕円偏光板を構成している。
【0135】以下、液晶セル、光学補償シートおよび偏
光素子について、さらに説明する。液晶セルの液晶層
は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで
形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層
は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成す
る。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコー
ト層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコ
ート層を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に
設けられる。液晶セルの基板は、一般に80乃至500
μmの厚さを有する。
【0136】光学補償シートは、液晶画面の着色を取り
除くための複屈折率フイルムである。本発明のセルロー
スエステルフイルムそのものを、光学補償シートとして
用いることができる。また、液晶表示装置の視野角を改
良するため、本発明のセルロースエステルフイルムと、
それとは(正/負の関係が)逆の複屈折を示すフイルム
を重ねて光学補償シートとして用いてもよい。光学補償
シートの厚さの範囲は、前述した本発明のフイルムの好
ましい厚さと同じである。
【0137】偏光素子の偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、
二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜が
ある。いずれの偏光膜も、一般にポリビニルアルコール
系フイルムを用いて製造する。偏光板の保護膜は、25
乃至350μmの厚さを有することが好ましく、50乃
至200μmの厚さを有することがさらに好ましい。図
1に示す液晶表示装置のように、表面処理膜を設けても
よい。表面処理膜の機能には、ハードコート、防曇処
理、防眩処理および反射防止処理が含まれる。
【0138】前述したように、支持体の上に液晶(特に
ディスコティック液晶性分子)を含む光学的異方性層を
設けた光学補償シートも提案されている(特開平3−9
325号、同6−148429号、同8−50206
号、同9−26572号の各公報記載)。本発明のセル
ロースエステルフイルムは、そのような光学補償シート
の支持体としても用いることができる。
【0139】[液晶性分子から形成される光学的異方性
層]光学的異方性層は、液晶性分子から形成する。液晶
性分子としては、棒状液晶性分子またはディスコティッ
ク液晶性分子が好ましく、ディスコティック液晶性分子
が特に好ましい。棒状液晶性分子としては、アゾメチン
類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニル
エステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカル
ボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキ
サン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ
置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、ト
ラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル
類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分
子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができ
る。高分子液晶性分子は、以上のような低分子液晶性分
子に相当する側鎖を有するポリマーである。高分子液晶
性分子を用いた光学補償シートについては、特開平5−
53016号公報に記載がある。
【0140】ディスコティック液晶性分子は、様々な文
献(C. Destrade et al., Mol. Crysr. Liq. Cryst., v
ol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総
説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節
(1994);B. Kohne et al., Angew. Chem. Soc. Chem. C
omm., page 1794 (1985);J. Zhang et al., J. Am.Che
m. Soc., vol. 116, page 2655 (1994))に記載されて
いる。ディスコティック液晶性分子の重合については、
特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティ
ック液晶性分子を重合により固定するためには、ディス
コティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重
合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに
重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を
保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基
との間に、連結基を導入する。従って、ディスコティッ
ク液晶性分子は、下記式で表わされる化合物であること
が好ましい。
【0141】D(−L−Q)n 式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であ
り;Qは重合性基であり;そして、nは4乃至12の整
数である。上記式の円盤状コア(D)の例を以下に示
す。以下の各例において、LQ(またはQL)は、二価
の連結基(L)と重合性基(Q)との組み合わせを意味
する。
【0142】
【化27】
【0143】
【化28】
【0144】
【化29】
【0145】
【化30】
【0146】
【化31】
【0147】
【化32】
【0148】
【化33】
【0149】
【化34】
【0150】
【化35】
【0151】前記式において、二価の連結基(L)は、
アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基、−CO
−、−NH−、−O−、−S−およびそれらの組み合わ
せからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好
ましい。二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケ
ニレン基、アリーレン基、−CO−、−NH−、−O−
および−S−からなる群より選ばれる二価の基を少なく
とも二つ組み合わせた基であることがさらに好ましい。
二価の連結基(L)は、アルキレン基、アルケニレン
基、アリーレン基、−CO−および−O−からなる群よ
り選ばれる二価の基を少なくとも二つ組み合わせた基で
あることが最も好ましい。アルキレン基の炭素原子数
は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基
の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。ア
リーレン基の炭素原子数は、6乃至10であることが好
ましい。アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレ
ン基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子、シア
ノ、アルコキシ基、アシルオキシ基)を有していてもよ
い。
【0152】二価の連結基(L)の例を以下に示す。左
側が円盤状コア(D)に結合し、右側が重合性基(Q)
に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基
を意味し、ARはアリーレン基を意味する。 L1:−AL−CO−O−AL− L2:−AL−CO−O−AL−O− L3:−AL−CO−O−AL−O−AL− L4:−AL−CO−O−AL−O−CO− L5:−CO−AR−O−AL− L6:−CO−AR−O−AL−O− L7:−CO−AR−O−AL−O−CO− L8:−CO−NH−AL− L9:−NH−AL−O− L10:−NH−AL−O−CO−
【0153】L13:−O−AL−O−CO− L14:−O−AL−O−CO−NH−AL− L15:−O−AL−S−AL− L16:−O−CO−AL−AR−O−AL−O−CO− L17:−O−CO−AR−O−AL−CO− L18:−O−CO−AR−O−AL−O−CO− L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−C
O− L20:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−A
L−O−CO− L21:−S−AL− L22:−S−AL−O− L23:−S−AL−O−CO− L24:−S−AL−S−AL− L25:−S−AR−AL−
【0154】なお、STNモードのような棒状液晶性分
子がねじれ配向している液晶セルを、光学的に補償する
ためには、ディスコティック液晶性分子もねじれ配向さ
せることが好ましい。上記AL(アルキレン基またはア
ルケニレン基)に、不斉炭素原子を導入すると、ディス
コティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させること
ができる。また、不斉炭素原子を含む光学活性を示す化
合物(カイラル剤)を光学的異方性層に添加しても、デ
ィスコティック液晶性分子を螺旋状にねじれ配向させる
ことができる。
【0155】前記式の重合性基(Q)は、重合反応の種
類に応じて決定する。重合性基(Q)の例を以下に示
す。
【0156】
【化36】
【0157】
【化37】
【0158】
【化38】
【0159】
【化39】
【0160】重合性基(Q)は、不飽和重合性基(Q
1、Q2、Q3、Q7、Q8、Q15、Q16、Q1
7)またはエポキシ基(Q6、Q18)であることが好
ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、
エチレン性不飽和重合性基(Q1、Q7、Q8、Q1
5、Q16、Q17)であることが最も好ましい。前記
式において、nは4乃至12の整数である。具体的な数
字は、ディスコティックコア(D)の種類に応じて決定
される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なって
いてもよいが、同一であることが好ましい。
【0161】二種類以上のディスコティック液晶性分子
を併用してもよい。例えば、以上述べたような重合性デ
ィスコティック液晶性分子と非重合性ディスコティック
液晶性分子とを併用することができる。非重合性ディス
コティック液晶性分子は、前述した重合性ディスコティ
ック液晶性分子の重合性基(Q)を、水素原子またはア
ルキル基に変更した化合物であることが好ましい。すな
わち、非重合性ディスコティック液晶性分子は、下記式
で表わされる化合物であることが好ましい。 D(−L−R)n 式中、Dは円盤状コアであり;Lは二価の連結基であ
り;Rは水素原子またはアルキル基であり;そして、n
は4乃至12の整数である。上記式の円盤状コア(D)
の例は、LQ(またはQL)をLR(またはRL)に変
更する以外は、前記の重合性ディスコティック液晶分子
の例と同様である。また、二価の連結基(L)の例も、
前記の重合性ディスコティック液晶分子の例と同様であ
る。Rのアルキル基は、炭素原子数が1乃至40である
ことが好ましく、1乃至30であることがさらに好まし
い。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好まし
く、分岐を有する鎖状アルキル基よりも直鎖状アルキル
基の方が好ましい。Rは、水素原子または炭素原子数が
1乃至30の直鎖状アルキル基であることが特に好まし
い。
【0162】光学的異方性層は、液晶性分子、下記の重
合性開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に
塗布することで形成する。塗布液の調製に使用する溶媒
としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の
例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミ
ド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘ
テロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼ
ン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホル
ム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢
酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケト
ン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジ
メトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよび
ケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用しても
よい。
【0163】塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出
しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング
法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティン
グ法)により実施できる。配向させたディスコティック
液晶性分子は、配向状態を維持して固定する。固定化
は、ディスコティック液晶性分子に導入した重合性基
(Q)の重合反応により実施することが好ましい。重合
反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開
始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好
ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物
(米国特許2367661号、同2367670号の各
明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448
828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロ
イン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、
多核キノン化合物(米国特許3046127号、同29
51758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾ
ールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わ
せ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジ
ンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667
号公報、米国特許4239850号明細書記載)および
オキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明
細書記載)が含まれる。
【0164】光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分
の0.01乃至20重量%であることが好ましく、0.
5乃至5重量%であることがさらに好ましい。ディスコ
ティック液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を
用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/
cm2 乃至50J/cm2 であることが好ましく、10
0乃至800mJ/cm2 であることがさらに好まし
い。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を
実施してもよい。光学的異方性層の厚さは、0.1乃至
10μmであることが好ましく、0.5乃至5μmであ
ることがさらに好ましく、1乃至5μmであることが最
も好ましい。
【0165】[配向膜]配向膜は、有機化合物(好まし
くはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸
着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラン
グミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物
(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモ
ニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のよう
な手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、
磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配
向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形
成する配向膜が特に好ましい。ラビング処理は、ポリマ
ー層の表面を、紙や布で一定方向に、数回こすることに
より実施する。配向膜に使用するポリマーの種類は、液
晶セルの表示モードの種類に応じて決定する。液晶セル
内の棒状液晶性分子の多くが実質的に垂直に配向してい
る表示モード(例、VA、OCB、HAN)では、光学
的異方性層の液晶性分子を実質的に水平に配向させる機
能を有する配向膜を用いる。液晶セル内の棒状液晶性分
子の多くが実質的に水平に配向している表示モード
(例、STN)では、光学的異方性層の液晶性分子を実
質的に垂直に配向させる機能を有する配向膜を用いる。
液晶セル内の棒状液晶性分子の多くが実質的に斜めに配
向している表示モード(例、TN)では、光学的異方性
層の液晶性分子を実質的に斜めに配向させる機能を有す
る配向膜を用いる。
【0166】具体的なポリマーの種類については、前述
した様々な表示モードに対応するディスコティック液晶
性分子を用いた光学補償シートについての文献に記載が
ある。配向膜に使用するポリマーを架橋して、配向膜の
強度を強化してもよい。配向膜に使用するポリマーに架
橋性基を導入して、架橋性基を反応させることにより、
ポリマーを架橋させることができる。なお、配向膜に使
用するポリマーの架橋については、特開平8−3389
13号公報に記載がある。配向膜の厚さは、0.01乃
至5μmであることが好ましく、0.05乃至1μmで
あることがさらに好ましい。なお、配向膜を用いて液晶
性分子を配向させてから、その配向状態のまま液晶性分
子を固定して光学的異方性層を形成し、光学的異方性層
のみを支持体上に転写してもよい。配向状態で固定され
たディスコティック液晶性分子は、配向膜がなくても配
向状態を維持することができる。そのため、光学補償シ
ートでは、配向膜は(ディスコティック液晶性分子を含
む光学補償シートの製造において必須ではあるが)必須
の要素ではない。
【0167】[VA型液晶表示装置]本発明のセルロー
スエステルフイルムは、VAモードの液晶セルを有する
VA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特
に有利に用いられる。VA型液晶表示装置について、図
2〜図9を引用して説明する。図2は、電圧無印加時の
VAモードの液晶セル内の液晶性化合物の配向を模式的
に示す断面図である。図2に示すように、液晶セルは、
上基板(11)と下基板(13)の間に液晶性化合物
(12)を封入した構造を有する。VAモードの液晶セ
ルに使用する液晶性化合物(12)は、一般に負の誘電
率異方性を有する。VAモードの液晶セルの印加電圧が
0の時(電圧無印加時)、図2に示すように、液晶性化
合物(12)の分子が垂直に配向している。上下の基板
(11、13)の両側に、一対の偏光素子(図示せず)
をクロスニコルに配置すると、基板面の法線方向(1
4)には、レターデーションは生じない。その結果、基
板面の法線方向(14)には光が透過できず、黒表示と
なる。視線を基板の法線方向(14)から傾いた方向
(15)に移すと、レターデーションが生じるために光
が透過して、コントラストが低下する。この斜め方向の
レターデーションは、光学補償シートの光学的異方性に
より補償することができる。詳細については、後述(図
5を引用して説明)する。なお、図2では、液晶性化合
物(12)は、全てが完全に垂直方向に配向している
が、実際には、一定の方向にわずかに傾斜(プレチル
ト)させている。これは、電圧印加時(下記図3で説
明)に、液晶性化合物を全て一定の方向(プレチルト方
向)に傾けるためである。
【0168】図3は、電圧印加時のVAモードの液晶セ
ル内の液晶性化合物の配向を模式的に示す断面図であ
る。上基板(21)と下基板(23)は、それぞれ、電
極層(図示せず)を有し、液晶性化合物(22)に電圧
を印加することができる。図3に示すように、電圧を印
加すると、液晶セル中央部の液晶性化合物の分子は水平
配向をとる。その結果、基板面の法線方向(24)にレ
ターデーションが生じ光が透過する。このように液晶セ
ル中央部の液晶分子は水平配向状態となるが、配向膜近
傍の液晶分子は水平配向状態をとらず、プレチルト方向
に傾斜配向する。視線を基板面の法線方向(24)から
傾けた方向(25)に移すと、レターデーションの角度
変化が小さいのに対して、視線を別の方向(26)に移
すとレターデーションの角度変化が大きい。従って、液
晶性化合物のプレチルト方向(26と同じ方向)を画像
の下方向とすると、左右方向の視野角は対称で広く、下
方向の視野角も広いが、上方向の視野角が狭い上下非対
称な視角特性になる。この視角特性を改善するために
は、電圧印加時に水平配向せず傾斜した液晶分子により
生じるレターデーションを補償する必要がある。光学補
償シートは、上記のレターデーションを補償し、視覚特
性を改善(電圧印加時の透過率の視覚方向における非対
称性を解消)する機能を有する。
【0169】図4は、偏光素子をクロスニコルに配置し
たVAモードの液晶セルを、セル基板の法線方向から見
て得られる屈折率楕円の模式図である。図4の(a)
は、電圧無印加時の屈折率楕円であり、(b)は電圧印
加時の屈折率楕円である。クロスニコル配置では、入射
側の偏光素子の透過軸(31a、31b)と出射側の偏
光素子の透過軸(32a、32b)とを垂直に配置す
る。電圧無印加時では、セル内の液晶分子はセル基板面
に対して垂直に配向している。従って、セル基板の法線
方向から見て得られる屈折率楕円(33a)は、円形と
なる。この場合、液晶セルのレターデーションは0とな
るため光が透過しない。これに対して、電圧印加時では
セル内の液晶分子はセル基板面に対して実質的に水平に
配向している。従って、セル基板の法線方向から見て得
られる屈折率楕円(33b)は楕円形となる。この場
合、液晶セルのレターデーションは0でない値となるた
め光が透過する。なお、図4の(b)には、セル内の液
晶分子の光軸の液晶セル基板面への正射影(34)も示
す。
【0170】図5は、正の一軸性の液晶セルの屈折率楕
円と負の一軸性の光学補償シートの屈折率楕円を示す模
式図である。液晶セル(43)に正の一軸性の光学的異
方性が生じた場合は、液晶セル基板に平行な面内の屈折
率(44x、44y)と液晶セルの厚み方向の屈折率
(44x)により形成される屈折率楕円(44)は、図
5に示すようなラグビーボールを立てた形状になる。こ
のような(球状ではない)ラグビーボール状の屈折率楕
円を有する液晶セルを、図2で説明したように斜め方向
(図2の15)から見ると、レターデーションが生じ
る。このレターデションは、負の一軸性の光学補償シー
ト(42)によりキャンセルされ、光漏れを抑えること
ができる。負の一軸性を有する光学補償シート(42)
では、光学補償シート面内の主屈折率(41x、41
y)と光学補償シートの厚み方向の主屈折率(41z)
により形成される光学補償シートの屈折率楕円(41)
は、図4に示すようなアンパン状になる。そのため、4
1xと44xの和、41yと44yの和および41zと
44zの和が、ほぼ同じ値となる。その結果として、液
晶セルに生じたレターデションがキャンセルされる。本
発明の光学補償シートには、前述した視覚特性の改善機
能に加えて、上記の電圧無印加時の斜方入射における光
漏れを防ぐ機能もある。
【0171】図6は、VAモードの液晶セルと二枚の光
学補償シートとの組み合わせを示す断面模式図である。
図6に示すように、二枚の光学補償シート(53、5
4)は、(a)〜(d)の4種類のバリエーションのい
ずれかで、VAモードの液晶セル(50)と組み合わせ
ることができる。(a)および(c)のバリエーション
では、光学補償シート(53、54)のディスコティッ
ク液晶性分子を含む光学的異方性層(51)の側を、V
Aモードの液晶セル(50)に張り合せて使用する。
(a)のバリエーションでは、光学的異方性層(51)
の透明支持体(52)側に配向膜を設けて、ディスコテ
ィック液晶性分子を配向させている。(c)のバリエー
ションでは、光学的異方性層(51)のVAモードの液
晶セル(50)側に配向膜を設けて、ディスコティック
液晶性分子を配向させている。(b)および(d)のバ
リエーションでは、光学補償シート(53、54)の透
明支持体(52)の側を、VAモードの液晶セル(5
0)に張り合せて使用する。(b)のバリエーションで
は、光学的異方性層(51)の透明支持体(52)側に
配向膜を設けて、ディスコティック液晶性分子を配向さ
せている。(d)のバリエーションでは、光学的異方性
層(51)の外側に配向膜を設けて、ディスコティック
液晶性分子を配向させている。
【0172】図7は、VAモードの液晶セルと一枚の光
学補償シートとの組み合わせを示す断面模式図である。
図7に示すように、一枚の光学補償シート(63)は、
(e)〜(h)の4種類のバリエーションのいずれか
で、VAモードの液晶セル(60)と組み合わせること
ができる。(e)および(g)のバリエーションでは、
光学補償シート(63)のディスコティック液晶性分子
を含む光学的異方性層(61)の側を、VAモードの液
晶セル(60)に張り合せて使用する。(e)のバリエ
ーションでは、光学的異方性層(61)の透明支持体
(62)側に配向膜を設けて、ディスコティック液晶性
分子を配向させている。(g)のバリエーションでは、
光学的異方性層(61)のVAモードの液晶セル(6
0)側に配向膜を設けて、ディスコティック液晶性分子
を配向させている。(f)および(h)のバリエーショ
ンでは、光学補償シート(63)の透明支持体(62)
の側を、VAモードの液晶セル(60)に張り合せて使
用する。(f)のバリエーションでは、光学的異方性層
(61)の透明支持体(62)側に配向膜を設けて、デ
ィスコティック液晶性分子を配向させている。(h)の
バリエーションでは、光学的異方性層(61)の外側に
配向膜を設けて、ディスコティック液晶性分子を配向さ
せている。
【0173】図8は、VA型液晶表示装置に用いる光学
補償シートの断面模式図である。図8に示す光学補償シ
ートは、支持体(71)、配向膜(72)、光学的異方
性層(73)の順序の層構成を有する。この層構成は、
図6の(a)、(b)または図7の(e)、(f)の光
学補償シートに対応する。配向膜(72)は、一定の方
向(75)にラビングすることで、配向機能が付与され
ている。光学的異方性層(73)に含まれるディスコテ
ィック液晶性分子(73a、73b、73c)は、平面
分子である。ディスコティック液晶性分子(73a、7
3b、73c)は、分子中にはただ一個の平面、すなわ
ち円盤面(Pa、Pb、Pc)を持つ。円盤面(Pa、
Pb、Pc)は、支持体(71)の面に平行な面(71
a、71b、71c)から傾斜している。円盤面(P
a、Pb、Pc)と支持体面に平行な面(71a、71
b、71c)との間の角度が、傾斜角(θa、θb、θ
c)である。支持体の法線(74)に沿って、配向膜
(72)からの距離が増加するに伴い、傾斜角も増加す
る(θa<θb<θc)。傾斜角(θa、θb、θc)
は、0乃至60°の範囲で変化していることが好まし
い。傾斜角の最小値は、0乃至55°の範囲であること
が好ましく、5乃至40°の範囲であることがさらに好
ましい。傾斜角の最大値は、5乃至60°の範囲である
ことが好ましく、20乃至60°の範囲であることがさ
らに好ましい。傾斜角の最小値と最大値との差は、5乃
至55°の範囲であることが好ましく、10乃至40°
の範囲であることがさらに好ましい。図8に示すように
傾斜角を変化させると、光学補償シートの視野角拡大機
能が著しく向上する。また、傾斜角を変化させた光学補
償シートには、表示画像の反転、階調変化あるいは着色
の発生を防止する機能もある。
【0174】図9は、代表的なVA型液晶表示装置の断
面模式図である。図9に示す液晶表示装置は、VAモー
ドの液晶セル(VAC)、液晶セルの両側に設けられた
一対の偏光素子(A、B)、液晶セルと偏光素子との間
に配置された一対の光学補償シート(OC1、OC2)
およびバックライト(BL)からなる。光学補償シート
(OC1、OC2)は、一方のみ配置してもよい。光学
補償シート(OC1、OC2)の矢印(R1、R2)
は、光学補償シートに設けた配向膜のラビング方向(図
8における矢印75に相当)である。図9に示す液晶表
示装置では、光学補償シート(OC1、OC2)の光学
的異方性層が液晶セル側に配置されている。光学補償シ
ート(OC1、OC2)の光学的異方性層を偏光素子
(A、B)側に配置してもよい。光学的異方性層を偏光
素子(A、B)側に配置する場合は、配向膜のラビング
方向(R1、R2)は、図9とは逆の向きになる。液晶
セル(VAC)の矢印(RP1、RP2)は、液晶セル
基板に設けた配向膜のラビング方向である。偏光素子
(A、B)の矢印(PA、PB)は、それぞれ偏光素子
の偏光の透過軸である。
【0175】光学補償シートに設けた配向膜のラビング
方向(R1、R2)と、液晶セル基板に設けた配向膜の
ラビング方向(RP1、RP2)は、それぞれ実質的に
平行または逆平行であることが好ましい。偏光素子の偏
光の透過軸(PA、PB)は、実質的に直交または平行
になるように配置することが好ましい。実質的に直交、
平行あるいは逆平行であるとは、角度のずれが、20°
未満(好ましくは15°未満、さらに好ましくは10°
未満、最も好ましくは5°未満)であることを意味す
る。液晶セル基板に設けた配向膜のラビング方向(RP
1、RP2)と、偏光素子の偏光の透過軸(PA、P
B)との角度は、それぞれ、10乃至80゜であること
が好ましく、20乃至70゜であることがさらに好まし
く、35乃至55゜であることが最も好ましい。
【0176】VA型液晶表示装置に用いる光学補償シー
トには、レターデーションの絶対値が最小となる方向が
光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないこと
が好ましい。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シー
トの光学的性質は、光学的異方性層の光学的性質、支持
体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置
により決定される。それらの光学的性質の詳細を、以下
に述べる。光学的性質としては、(1)光学的異方性
層、(2)支持体および(3)光学補償シート全体のそ
れぞれについて、面内レターデーション(Re)、厚み
方向のレターデーション(Rth) およびレターデーショ
ンの絶対値が最小となる方向とシートの法線との角度
(β)が重要である。面内レターデーションと厚み方向
のレターデーションは、前述したセルロースエステルフ
イルムの定義と同様である。ただし、光学的異方性層お
よび光学補償シート全体では、前述した定義におけるn
x、ny、nzは、nx≧ny≧nzを満足する面内主
屈折率を意味する。
【0177】VA型液晶表示装置に光学補償シートを二
枚使用する場合は、光学補償シートの面内レターデーシ
ョンを、−5nm乃至5nmの範囲内にすることが好ま
しい。従って、二枚の光学補償シートのそれぞれの面内
レターデーション(Re31)の絶対値は、0≦|Re31
|≦5とすることが好ましい。Re31を上記の範囲に調
整するため、光学的異方性層の面内レターデーション
(Re1 )の絶対値と支持体の面内レターデーション
(Re2 )の絶対値との差(||Re1 |−|Re2
|)を5nm以下として、さらに、光学的異方性層と支
持体とが、それぞれの面内の遅相軸が実質的に垂直にな
るように配置することが好ましい。VA型液晶表示装置
に光学補償シートを一枚使用する場合は、光学補償シー
トの面内レターデーションを、−10nm乃至10nm
の範囲内にすることが好ましい。従って、一枚の光学補
償シートの面内レターデーション(R32)の絶対値は、
0≦|Re32|≦10とすることが好ましい。Re32
上記の範囲に調整するため、光学的異方性層の面内レタ
ーデーションの絶対値(Re1 )の絶対値と支持体の面
内レターデーション(Re2 )の絶対値との差(||R
1 |−|Re2 ||)を10nm以下として、さら
に、光学的異方性層と支持体とが、それぞれの面内の遅
相軸が実質的に垂直になるように配置することが好まし
い。
【0178】VA型液晶表示装置に用いる光学補償シー
トについて、(1)光学的異方性層、(2)支持体およ
び(3)光学補償シート全体の光学的性質の好ましい範
囲を以下にまとめて示す。なお、ReとRthの単位はn
mである。上付の数字1は光学的異方性層の値、上付の
数字2は支持体の値、そして上付の数字3は光学補償シ
ートの値をそれぞれ意味する。Re31およびRe32の意
味は、上記の通りである。なお、支持体の厚み方向のレ
ターデーション(Rth2 )の好ましい範囲は、前述した
セルロースエステルフイルムの光学的性質として定義し
た通りである。また、二以上の支持体を設ける場合、支
持体全体の面内レターデーション(Re 2 )は、それぞ
れの支持体の面内レターデーションの合計値に相当す
る。
【0179】 ──────────────────────────────────── 好ましい範囲 さらに好ましい範囲 最も好ましい範囲 ──────────────────────────────────── 0<|Re1 |≦200 5≦|Re1 |≦150 10≦|Re1 |≦100 0≦|Re2 |≦200 5≦|Re2 |≦150 10≦|Re2 |≦100 0≦|Re31|≦4.5 0≦|Re31|≦4 0≦|Re31|≦3.5 0≦|Re32|≦9 0≦|Re32|≦8 0≦|Re32|≦7 ──────────────────────────────────── 10≦|Rth1 |≦400 20≦|Rth1 |≦300 30≦|Rth1 |≦200 10≦|Rth3 |≦600 60≦|Rth3 |≦500 100≦|Rth3 |≦400 ──────────────────────────────────── 0°<β1 ≦60° 0°<β1 ≦50° 0°<β1 ≦40° 0°≦β2 ≦10° 0°≦β2 ≦5° 0°≦β2 ≦3° 0°<β3 ≦50° 0°<β3 ≦45° 0°<β3 ≦40° ────────────────────────────────────
【0180】[OCB型液晶表示装置およびHAN型液
晶表示装置]本発明のセルロースエステルフイルムは、
OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置
あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶
表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用い
られる。OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示
装置について、図10〜図15を引用して説明する。図
10は、OCBモードの液晶セル内の液晶性化合物の配
向を模式的に示す断面図である。図10は、黒表示の状
態であって、ノーマリーホワイトモードにおける電圧印
加時またはノーマリーブラックモードにおける電圧無印
加時に相当する。図10に示すように、OCBモードの
液晶セルは、上基板(11)と下基板(13)の間に液
晶性化合物(12)を封入した構造を有する。OCBモ
ードの液晶セルでは、ある光の進む方向(16a)に関
して、下基板(13)付近で液晶性化合物(12)の複
屈折が小さく、上基板(11)付近での液晶性化合物
(12)の複屈折が大きい。この方向(16a)に対し
て、基板の法線を中心に線対称となる方向(16b)で
は、下基板(13)付近で液晶性化合物(12)の複屈
折が大きく、上基板(11)付近での液晶性化合物(1
2)の複屈折が小さい。このように、OCBモードの液
晶セルでは、レターデーションが基板の法線を中心に対
称になるため、光学的な自己補償機能を有している。そ
のため、OCBモードの液晶セルは、原理的に広い視野
角を有している。
【0181】図11は、HANモードの液晶セル内の液
晶性化合物の配向を模式的に示す断面図である。図11
は、黒表示の状態であって、ノーマリーホワイトモード
における電圧印加時またはノーマリーブラックモードに
おける電圧無印加時に相当する。図11に示すように、
HANモードの液晶セルも、上基板(21)と下基板
(23)の間に液晶性化合物(22)を封入した構造を
有する。HANモードは、OCBモードの(透過型)液
晶セルの考え方を、反射型液晶セルに応用した液晶セル
である。HANモードの液晶セルでは、入射光(27)
に関して、上基板(21)付近での液晶性化合物(2
2)の複屈折が大きく。下基板(23)付近で液晶性化
合物(22)の複屈折が小さい。一方、出射光(28)
に関しては、下基板(23)付近で液晶性化合物(2
2)の複屈折が大きく、上基板(21)付近での液晶性
化合物(22)の複屈折が小さい。このように、HAN
モードの液晶セルでは、入射光と反射光のレターデーシ
ョンが対称になるため、光学的な自己補償機能を有して
いる。そのため、HANモードの液晶セルも、原理的に
広い視野角を有している。
【0182】OCBモードやHANモードの液晶セルで
も、視野角を大きくすると、黒表示部からの光の透過率
が著しく増大し、コントラストが低下する。光学補償シ
ートは、斜め方向の光の入射におけるコントラストの低
下を防ぎ、視野角特性を改善し、さらに正面のコントラ
ストを改善するために用いる。液晶セルが黒表示におい
て正の一軸性を有する場合、図5で説明したように、負
の一軸性の光学補償シートを用いて光学的に補償する。
【0183】図12は、OCBモードの液晶セルと二枚
の光学補償シートの光学的異方性層との組み合わせを示
す断面模式図である。図12に示すように、二枚の光学
補償シートは、光学的異方性層(51、52)がOCB
モードの液晶セル(50)を挟むように組み合わせるて
用いることが好ましい。光学的異方性層(51、52)
のディスコティック液晶性分子は、OCBモードの液晶
セル(50)の液晶分子の配向状態と対応する(光学補
償する)配向状態を有する。
【0184】図13は、HANモードの液晶セルと一枚
の光学補償シートの光学的異方性層との組み合わせを示
す断面模式図である。図13に示すように、一枚の光学
補償シートは、光学的異方性層(61)がHANモード
の液晶セル(60)の表示面側となるように組み合わせ
るて用いることが好ましい。光学的異方性層(61)の
ディスコティック液晶性分子は、HANモードの液晶セ
ル(60)の液晶分子の配向状態と対応する(光学補償
する)配向状態を有する。
【0185】図12および図13に示すように、OCB
モードおよびHANモードの液晶セルの配向状態に対し
て、ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層
により光学的に補償することができる。しかし、光学的
異方性層のみでは、液晶セルのレターデーションの補正
および光学的異方性層そのものに発生するレターデーシ
ョンの補正が不充分である。そこで、前述したように支
持体を光学的異方性として、これらのレターデーション
を補正する。光学的異方性層と光学的異方性支持体との
組み合わせ、すなわち、光学補償シートの基本的な構成
(断面模式図)は、図8で説明したVA型液晶表示装置
に用いる光学補償シートと同様である。
【0186】図14は、代表的なOCB型液晶表示装置
の断面模式図である。図14に示す液晶表示装置は、O
CBモードの液晶セル(OCBC)、液晶セルの両側に
設けられた一対の偏光素子(A、B)、液晶セルと偏光
素子との間に配置された一対の光学補償シート(OC
1、OC2)およびバックライト(BL)からなる。光
学補償シート(OC1、OC2)は、一方のみ配置して
もよい。光学補償シート(OC1、OC2)の矢印(R
1、R2)は、光学補償シートに設けた配向膜のラビン
グ方向である。図14に示す液晶表示装置では、光学補
償シート(OC1、OC2)の光学的異方性層が液晶セ
ル側に配置されている。光学補償シート(OC1、OC
2)の光学的異方性層を偏光素子(A、B)側に配置し
てもよい。光学的異方性層を偏光素子(A、B)側に配
置する場合は、配向膜のラビング方向(R1、R2)
は、図14とは逆の向きになる。液晶セル(OCBC)
の矢印(RP1、RP2)は、液晶セル基板に設けた配
向膜のラビング方向である。偏光素子(A、B)の矢印
(PA、PB)は、それぞれ偏光素子の偏光の透過軸で
ある。
【0187】光学補償シートに設けた配向膜のラビング
方向(R1、R2)と、液晶セル基板に設けた配向膜の
ラビング方向(RP1、RP2)は、それぞれ実質的に
平行または逆平行であることが好ましい。偏光素子の偏
光の透過軸(PA、PB)は、実質的に直交または平行
になるように配置することが好ましい。実質的に直交、
平行あるいは逆平行であるとは、角度のずれが、20°
未満(好ましくは15°未満、さらに好ましくは10°
未満、最も好ましくは5°未満)であることを意味す
る。液晶セル基板に設けた配向膜のラビング方向(RP
1、RP2)と、偏光素子の偏光の透過軸(PA、P
B)との角度は、それぞれ、10乃至80゜であること
が好ましく、20乃至70゜であることがさらに好まし
く、35乃至55゜であることが最も好ましい。
【0188】図15は、代表的なHAN型液晶表示装置
の断面模式図である。図15に示す液晶表示装置は、H
ANモードの液晶セル(HANC)、液晶セルの表示面
側に設けられた偏光素子(A)、液晶セルと偏光素子と
の間に配置された光学補償シート(OC)および反射板
(RB)からなる。光学補償シート(OC)の矢印
(R)は、光学補償シートに設けた配向膜のラビング方
向である。液晶セル(HANC)の矢印(RP)は、液
晶セル基板に設けた配向膜のラビング方向である。偏光
素子(A)の矢印(PA)は、偏光素子の偏光の透過軸
である。光学補償シートに設けた配向膜のラビング方向
(R)と、液晶セル基板に設けた配向膜のラビング方向
(RP)は、それぞれ実質的に平行または逆平行である
ことが好ましい。実質的に平行あるいは逆平行であると
は、角度のずれが、20°未満(好ましくは15°未
満、さらに好ましくは10°未満、最も好ましくは5°
未満)であることを意味する。液晶セル基板に設けた配
向膜のラビング方向(RP)と、偏光素子の偏光の透過
軸(PA)との角度は、10乃至80゜であることが好
ましく、20乃至70゜であることがさらに好ましく、
35乃至55゜であることが最も好ましい。
【0189】OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液
晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーシ
ョンの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内
にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型
液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光
学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的
性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持
体との配置により決定される。それらの光学的性質の詳
細を、以下に述べる。光学的性質としては、(1)光学
的異方性層、(2)支持体および(3)光学補償シート
全体のそれぞれについて、面内レターデーション(R
e)および厚み方向のレターデーション(Rth) が重要
である。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表
示装置では、さらに(4)液晶セルの光学的性質(面内
レターデーションおよび厚み方向のレターデーション)
との相対的な関係も重要である。面内レターデーション
と厚み方向のレターデーションは、前述したセルロース
エステルフイルムの定義と同様である。ただし、光学的
異方性層および光学補償シート全体では、前述した定義
におけるnx、ny、nzは、nx≧ny≧nzを満足
する面内主屈折率を意味する。
【0190】光学補償シートを二枚使用する態様では、
光学補償シートの面内レターデーション(Re3 )と液
晶セルの面内レターデーション(Re4 )との関係を、
下記式を満足するように調節することが好ましい。 Re4 −20≦|Re3 |×2≦Re4 +20 光学補償シートを一枚使用する態様では、光学補償シー
トの面内レターデーション(Re3 )と液晶セルの面内
レターデーション(Re4 )との関係を、下記式を満足
するように調節することが好ましい。 Re4 −20≦|Re3 |≦Re4 +20
【0191】(1)光学的異方性層、(2)支持体およ
び(3)光学補償シートの光学的性質の好ましい範囲を
以下にまとめて示す。なお、ReとRthの単位はnmで
ある。上付の数字1は光学的異方性層の値、上付の数字
2は支持体の値、そして上付の数字3は光学補償シート
の値をそれぞれ意味する。なお、支持体の厚み方向のレ
ターデーション(Rth2 )の好ましい範囲は、前述した
セルロースエステルフイルムの光学的性質として定義し
た通りである。また、二以上の支持体を設ける場合、支
持体全体の面内レターデーション(Re2 )は、それぞ
れの支持体の面内レターデーションの合計値に相当す
る。さらに、光学補償シートの面内レターデーション
(Re3 )は、前述した液晶セルの面内レターデーショ
ン(Re4 )との関係で調節する。
【0192】 ──────────────────────────────────── 好ましい範囲 さらに好ましい範囲 最も好ましい範囲 ──────────────────────────────────── 0<|Re1 |≦200 5≦|Re1 |≦150 10≦|Re1 |≦100 0≦|Re2 |≦200 5≦|Re2 |≦150 10≦|Re2 |≦100 0≦|Re3 |≦4.5 0≦|Re3 |≦4 0≦|Re3 |≦3.5 ──────────────────────────────────── 50≦|Rth1 |≦1000 50≦|Rth1 |≦800 100≦|Rth1 |≦500 50≦|Rth3 |≦1000 60≦|Rth3 |≦500 100≦|Rth3 |≦400 ────────────────────────────────────
【0193】
【実施例】[実施例1]室温において、平均酢化度6
0.9%のセルロースアセテート45重量部、円盤状化
合物(222)0.68重量部、メチレンクロリド23
2.72重量部、メタノール42.57重量部およびn
−ブタノール8.50重量部を混合して溶液(ドープ)
を調製した。得られた溶液(ドープ)を、有効長6mの
バンド流延機を用いて、乾燥膜厚が100μmになるよ
うに流延して、乾燥した。製造したセルロースアセテー
トフイルムについて、エリプソメーター(M−150、
日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおける
厚み方向のレターデーション値(Rth550 )を測定し
た。結果は第1表に示す。
【0194】
【化40】
【0195】[比較例1]円盤状化合物(222)を添
加しなかった以外は、実施例1と同様にフイルムを製造
して、評価した。結果は第1表に示す。
【0196】[実施例2〜3]円盤状化合物(222)
に代えて、円盤状化合物(295)および(4)をそれ
ぞれ同量用いた以外は、実施例1と同様にフイルムを製
造して、評価した。結果は第1表に示す。
【0197】
【化41】
【0198】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── フイルム 円盤状化合物 レターデーション値(Rth550 ) ──────────────────────────────────── 比較例1 なし 20nm 実施例1 (222) 198nm 実施例2 (295) 181nm 実施例3 (4) 201nm ────────────────────────────────────
【0199】[実施例4]室温において、平均酢化度6
0.9%のセルロースアセテート45重量部、円盤状化
合物(222)0.68重量部、リン酸トリフェニル
(可塑剤)2.75重量部、リン酸ビフェニルジフェニ
ル2.20重量部、メチレンクロリド232.72重量
部、メタノール42.57重量部およびn−ブタノール
8.50重量部を混合して溶液(ドープ)を調製した。
得られた溶液(ドープ)を、有効長6mのバンド流延機
を用いて、乾燥膜厚が100μmになるように流延し
て、乾燥した。製造したセルロースアセテートフイルム
について、エリプソメーター(M−150、日本分光
(株)製)を用いて、波長550nmにおける厚み方向
のレターデーション値(Rth550 )を測定した。さら
に、フイルム表面を観察して、ブリードアウトの有無を
評価した。結果は第2表に示す。
【0200】[比較例2]円盤状化合物(222)を添
加しなかった以外は、実施例4と同様にフイルムを製造
して、評価した。結果は第2表に示す。
【0201】[実施例5〜6]円盤状化合物(222)
に代えて、円盤状化合物(229)および(14)をそ
れぞれ同量用いた以外は、実施例4と同様にフイルムを
製造して、評価した。結果は第2表に示す。
【0202】
【化42】
【0203】
【表2】 第2表 ──────────────────────────────────── フイルム 円盤状化合物 Rth550 ブリードアウト ──────────────────────────────────── 比較例2 なし 50nm なし 実施例4 (222) 120nm なし 実施例5 (229) 117nm なし 実施例6 (14) 109nm なし ────────────────────────────────────
【0204】[実施例7] (液晶セルの作成)電極(ITO)付きのガラス基板
に、ポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を
行なった。得られた二枚のガラス基板を対面する配置で
向き合わせ、セルギャップを10μmに設定して、液晶
(ZLI1132、メルク社製)を注入し、OCBモー
ドの液晶セルを作成した。
【0205】(液晶表示装置の作成)液晶セルを挟むよ
うに、実施例4で作成したセルロースアセテートフイル
ム二枚を光学補償シートとして配置した。その外側に全
体を挟むように、偏光素子を配置した。作成した液晶表
示装置に、55Hz矩形波で電圧を印加したところ、着
色のない鮮明な画像が得られた。
【0206】[実施例8] (光学補償シートの支持体)実施例4で作成したセルロ
ースアセテートフイルムを光学補償シートの支持体とし
て用いた。
【0207】(配向膜の形成)支持体の上に、下記の組
成の塗布液をスライドコーターで25ml/m2 塗布し
た。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で15
0秒乾燥した。次に、支持体の遅相軸方向と平行の方向
に、形成した膜にラビング処理を実施した。
【0208】 ──────────────────────────────────── 配向膜塗布液組成 ──────────────────────────────────── 下記の変性ポリビニルアルコール 10重量部 水 371重量部 メタノール 119重量部 グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5重量部 ────────────────────────────────────
【0209】
【化43】
【0210】(光学的異方性層の形成)配向膜上に、下
記のディスコティック液晶性化合物1.8g、エチレン
オキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレー
ト(V#360、大阪有機化学(株)製)0.2g、セ
ルロースアセテートブチレート(CAB551−0.
2、イーストマンケミカル社製)0.04g、光重合開
始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)0.
06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬
(株)製)0.02gを、8.43gのメチルエチルケ
トンに溶解した塗布液を、#2.5のワイヤーバーで塗
布した。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温
槽中で2分間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を
配向させた。次に、130℃で120W/cm高圧水銀
灯を用いて、1分間UV照射し、ディスコティック液晶
性化合物を架橋した。その後、室温まで放冷した。この
ようにして、光学補償シート(1)を作製した。
【0211】
【化44】
【0212】(光学補償シートの評価)光学的異方性層
の厚さは、約1.0μmであった。光学的異方性層のみ
のレターデーション値をラビング軸に沿って測定したと
ころ、レターデーションが0となる方向は存在しなかっ
た。光学的異方性層の光学軸の平均傾斜角、すなわちレ
ターデーションが最小となる方向とシートの法線との角
度(β1 )は、28°であった。また、面内レターデー
ションは14nm(Re1 =14)、厚み方向のレター
デーションは35nm(Rth1 =35)であった。光学
補償シート(1)を、ミクロトームを用いて、ラビング
方向に添って垂直に切断し、極めて薄い垂直断片(サン
プル)を得た。サンプルをOsO4 の雰囲気中に48時
間放置して、染色した。染色サンプルを、透過型電子顕
微鏡(TEM)によって観察し、その顕微鏡写真を得
た。染色サンプルでは、前記ディスコティック液晶性化
合物のアクリロイル基が染色され、写真の像として認め
られた。この写真を検討した結果、ディスコティック液
晶性化合物の円盤状構造単位は、支持体の表面から傾い
ていることが認められた。さらに、傾斜角は、支持体表
面からの距離が増加するに伴い、連続的に増加してい
た。
【0213】(VAモード液晶セルの作成)ポリビニル
アルコール3重量%水溶液に、オクタデシルジメチルア
ンモニウムクロライド(カップリング剤)を1重量%添
加した。これを、ITO電極付きのガラス基板上にスピ
ンコートし、160℃で熱処理した後、ラビング処理を
施して、垂直配向膜を形成した。ラビング処理は、2枚
のガラス基板において反対方向となるように実施した。
セルギャップ(d)が5.5μmとなるように2枚のガ
ラス基板を向かい合わせた。セルギャップに、エステル
系とエタン系を主成分とする液晶性化合物(Δn:0.
05)を注入し、VAモード液晶セルを作成した。Δn
とdとの積は275nmであった。
【0214】(VA型液晶表示装置の作成)VAモード
液晶セルに、光学補償シート(1)をセルを挟むように
2枚、光学補償シートの光学的異方性層と液晶セルのガ
ラス基板とが対面するように配置した。VAモード液晶
セルの配向膜のラビング方向と光学補償シートの配向膜
のラビング方向は、逆平行になるように配置した。これ
らの両側に、偏光素子をクロスニコルに配置した。VA
モード液晶セルに対して、55Hz矩形波で電圧を印加
した。黒表示2V、白表示6VのNBモードとし、透過
率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比とした。上
下、左右からのコントラスト比を、計器(EZ−Contra
st160D、ELDIM社製)で測定した。その結果、
正面コントラスト比が300、視野角(コントラスト比
10が得られる視野の角度)が上下左右いずれも70度
との良好な結果が得られた。
【0215】[実施例9] (光学補償シートの支持体)実施例4で作成したセルロ
ースアセテートフイルムを光学補償シートの支持体とし
て用いた。
【0216】(配向膜の形成)支持体の上に、下記の組
成の塗布液をスライドコーターで25ml/m2 塗布し
た。60℃で2分間乾燥した。次に、支持体の面内の主
屈折率の大きい方向と平行の方向に、形成した膜にラビ
ング処理を実施した。ラビング条件は、ラビングロール
径が150mm、搬送速度が10m/分、ラッピング角
度が6゜、ラビングロール回転数が1200rpmであ
った。
【0217】 ──────────────────────────────────── 配向膜塗布液組成 ──────────────────────────────────── 実施例8で用いた変性ポリビニルアルコールの10重量%水溶液 24g 水 73g メタノール 23g グルタルアルデヒド(架橋剤)の50重量%水溶液 0.2g ────────────────────────────────────
【0218】(光学的異方性層の形成)配向膜上に、実
施例8で用いたディスコティック液晶性化合物1.8
g、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパント
リアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)
0.2g、セルロースアセテートブチレート(CAB5
51−0.2、イーストマンケミカル社製)0.04
g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−
1.0、イーストマンケミカル社製)0.01g、光重
合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)
0.06g、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬
(株)製)0.02gを、3.4gのメチルエチルケト
ンに溶解した塗布液を、#6のワイヤーバーで塗布し
た。これを金属の枠に貼り付けて、140℃の恒温槽中
で3分間加熱し、ディスコティック液晶性化合物を配向
させた。次に、140℃で120W/cm高圧水銀灯を
用いて、1分間UV照射し、ディスコティック液晶性化
合物を架橋した。その後、室温まで放冷した。このよう
にして、光学補償シート(2)を作製した。
【0219】(光学補償シートの評価)光学的異方性層
の厚さは、2.0μmであった。光学的異方性層のみの
レターデーション値をラビング軸に沿って測定したとこ
ろ、レターデーションが0となる方向は存在しなかっ
た。レターデーション値をシュミレーションによりフィ
ッティングしたところ、負の一軸性が厚み方向に4゜か
ら68゜まで連続に変化しているハイブリッド配向状態
を確認できた。光学的異方性層の面内レターデーション
は42nm(Re1 =42)、厚み方向のレターデーシ
ョンは134nm(Rth1 =134)であった。光学補
償シート(2)を、ミクロトームを用いて、ラビング方
向に添って垂直に切断し、極めて薄い垂直断片(サンプ
ル)を得た。サンプルをOsO4 の雰囲気中に48時間
放置して、染色した。染色サンプルを、透過型電子顕微
鏡(TEM)によって観察し、その顕微鏡写真を得た。
染色サンプルでは、前記ディスコティック液晶性化合物
のアクリロイル基が染色され、写真の像として認められ
た。この写真を検討した結果、ディスコティック液晶性
化合物の円盤状構造単位は、支持体の表面から傾いてい
ることが認められた。さらに、傾斜角は、支持体表面か
らの距離が増加するに伴い、連続的に増加していた。
【0220】(OCBモード液晶セルの作成)ITO電
極付きのガラス基板上にポリイミド膜を配向膜として設
け、ラビング処理を行った。ラビング処理は、2枚のガ
ラス基板において反対方向となるように実施した。セル
ギャップ(d)が8μmとなるように2枚のガラス基板
を向かい合わせた。セルギャップに、Δnが0.139
6の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を注
入し、OCBモード液晶セルを作成した。Δnとdとの
積は1109nm、面内レターデーションは90nm
(Re4 =90)であった。
【0221】(OCB型液晶表示装置の作成)OCBモ
ード液晶セルに、光学補償シート(2)をセルを挟むよ
うに2枚、光学補償シートの光学的異方性層と液晶セル
のガラス基板とが対面するように配置した。OCBモー
ド液晶セルの配向膜のラビング方向と光学補償シートの
配向膜のラビング方向は、逆平行になるように配置し
た。これらの両側に、偏光素子をクロスニコルに配置し
た。OCBモード液晶セルに対して、55Hz矩形波で
電圧を印加した。白表示2V、黒表示6VのNWモード
とし、透過率の比(白表示/黒表示)をコントラスト比
とした。上下、左右からのコントラスト比を、計器(L
CD−5000、大塚電子(株)製)で測定した。その
結果、上側の視野角(コントラスト比10が得られる視
野の角度)が80度以上、下側の視野角が58度、左右
の視野角がいずれも67度との良好な結果が得られた。
【0222】[実施例10] (HANモード液晶セルの作成)ITO電極付きのガラ
ス基板上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング
処理を行った。ITO電極付きのガラス基板をもう一枚
用意し、酸化ケイ素を蒸着させて配向膜を形成した。セ
ルギャップ(d)が4μmとなるように2枚のガラス基
板を向かい合わせた。セルギャップに、Δnが0.13
96の液晶性化合物(ZLI1132、メルク社製)を
注入し、HANモード液晶セルを作成した。Δnとdと
の積は558nm、面内レターデーションは45nm
(Re4 =45)であった。
【0223】(HAN型液晶表示装置の作成)HANモ
ード液晶セルの表示面側に実施例9で作成した光学補償
シート(2)を一枚、光学的異方性層がセル側となるよ
うに配置した。HANモード液晶セルの配向膜のラビン
グ方向と光学補償シートの配向膜のラビング方向は、逆
平行になるように配置した。光学補償シートの上に偏光
素子を、偏光素子の透過軸と液晶セルのラビング方向と
の角度が45゜となるように配置した。偏光素子の上
に、拡散板を配置した。HANモード液晶セルの反対側
には、鏡(反射板)を配置した。作成したHAN型液晶
表示装置の表示面の法線方向から、20゜傾けた方向に
光源を置き、光を照射した。HANモード液晶セルに対
しては、55Hz矩形波で電圧を印加した。白表示2
V、黒表示6VのNWモードとし、透過率の比(白表示
/黒表示)をコントラスト比とした。上下、左右からの
コントラスト比を、計器(bm−7、TOPCON社
製)で測定した。その結果、上側の視野角(コントラス
ト比10が得られる視野の角度)が44度、下側の視野
角が26度、左右の視野角がいずれも39度との良好な
結果が得られた。
【0224】[実施例11] (セルロースエステルフイルムの作製)下記の組成物を
ミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各
成分を溶解し、セルロースエステル溶液を調製した。
【0225】 ──────────────────────────────────── セルロースエステル溶液組成 ──────────────────────────────────── 酢化度60.9%のセルロースアセテート 100重量部 トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8重量部 ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9重量部 メチレンクロライド(第1溶媒) 300重量部 メタノール(第2溶媒) 54重量部 1−ブタノール 11重量部 ────────────────────────────────────
【0226】別のミキシングタンクに、下記の円盤状化
合物(レターデーション上昇剤)16重量部、メチレン
クロライド80重量部およびメタノール20重量部を投
入し、加熱しながら攪拌して、円盤状化合物溶液を調製
した。
【0227】
【化45】
【0228】セルロースエステル溶液474重量部に、
円盤状化合物溶液11重量部を添加し、充分に攪拌し
て、ドープを調製した。円盤状化合物の添加量は、セル
ロースアセテート100重量部に対して、1.5重量部
である。ドープを流延口から0℃に冷却したドラム上に
流延した。溶媒含有率70重量%の状態で剥ぎ取り、フ
イルムの巾方向の両端をピンテンターで固定し、ピンテ
ンターの間隔を10%以下の巾収縮率となる間隔として
保ちつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬
送することにより、さらに乾燥し、厚さ107μmのセ
ルロースエステルフイルムを作製した。作製したフイル
ムの厚み方向のレターデーション(Rth)を測定したと
ころ80nmであった。なお、円盤状化合物の析出は、
製造直後はもちろん、後述するフイルム製造後の処理に
おいても、全く認められなかった。
【0229】(第1下塗り層の形成)作製したセルロー
スエステルフイルムを透明支持体として用いた。透明支
持体の上に、下記の組成の塗布液を28ml/m2 塗布
し、乾燥して第1下塗り層を形成した。
【0230】 ──────────────────────────────────── 第1下塗り層塗布液組成 ──────────────────────────────────── ゼラチン 5.42重量部 ホルムアルデヒド 1.36重量部 サリチル酸 1.6重量部 アセトン 391重量部 メタノール 158重量部 水 12重量部 ────────────────────────────────────
【0231】(第2下塗り層の形成)第1下塗り層の上
に、下記の組成の塗布液を7ml/m2 塗布し、乾燥し
て第2下塗り層を形成した。
【0232】 ──────────────────────────────────── 第2下塗り層塗布液組成 ──────────────────────────────────── 下記のアニオン性ポリマー 0.79重量部 クエン酸ハーフエチルエステル 10.1重量部 アセトン 200重量部 メタノール 877重量部 水 40.5重量部 ────────────────────────────────────
【0233】
【化46】
【0234】(バック層の形成)透明支持体の反対側の
面に、下記の組成の塗布液を25ml/m2 塗布し、乾
燥してバック層を形成した。
【0235】 ──────────────────────────────────── バック層塗布液組成 ──────────────────────────────────── 酢化度55%のセルロースジアセテート 6.56重量部 シリカ系マット剤(平均粒径:1μm) 0.65重量部 アセトン 679重量部 メタノール 104重量部 ────────────────────────────────────
【0236】(配向膜の形成)第2下塗り層の上に、実
施例8で用いた変性ポリビニルアルコールの水溶液を塗
布し、80℃の温風で乾燥した後、ラビング処理を行い
配向膜を形成した。
【0237】(光学的異方性層の形成)実施例7で用い
たディスコティック液晶性化合物1.8g、エチレンオ
キサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート
(V#360、大阪有機化学(株)製)0.2g、セル
ロースアセテートブチレート(CAB531−1.0、
イーストマンケミカル社製)0.04g、光重合開始剤
(イルガキュア907、日本チバガイギー(株)製)
0.06gおよび増感剤(カヤキュアーDETX、日本
化薬(株)製)0.02gを、メチルエチルケトン8.
43gに溶解して塗布液を調製した。塗布液を#2.5
のワイヤーバーで配向膜の上に塗布した。これを金属枠
に貼り付けた状態で、130℃の恒温槽中で2分間加熱
し、ディスコティック液晶性化合物を配向させた。13
0℃の温度を維持して、120W/cmの高圧水銀灯を
用いて1分間紫外線を照射し、ディスコティック液晶性
化合物のビニル基を重合させ、配向状態を固定した。そ
の後、室温まで放冷した。このようにして、光学補償シ
ートを作製した。光学異方性層の厚さは、1.0μmで
あった。
【0238】(透明保護膜の作製)円盤状化合物(レタ
ーデーション上昇剤)を添加しなかった以外は、透明支
持体の作製と同様にして、厚さ80μmのトリアセチル
セルロースフイルムを作製した。これを、透明保護膜と
して用いた。透明保護膜の一方の面に、透明支持体と同
様に第1下塗り層および第2下塗り層を設けた。
【0239】(楕円偏光板の作製)延伸したポリビニル
アルコールフイルムにヨウ素を吸着させて、偏光膜を作
製した。偏光膜の片側に、ポリビニルアルコール系接着
剤を用いて、光学補償シートを、光学異方性層が外側と
なるように貼り付けた。反対側には、ポリビニルアルコ
ール系接着剤を用いて、透明保護膜を貼り付けた。偏光
膜の吸収軸と、光学異方性層のラビング方向は、平行に
なるように配置した。このようにして、楕円偏光板を作
製した。
【0240】(液晶表示装置の作製)ITO透明電極が
設けられたガラス基板の上に、ポリイミド配向膜を設
け、ラビング処理を行った。5μmのスペーサーを介し
て、二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。配
向膜のラビング方向が直交するように、基板の向きを調
節した。基板の間隙に、棒状液晶性分子(ZL479
2、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。液晶性
分子のΔnは0.0969であった。以上のように作製
したTN液晶セルの両側に、楕円偏光板を、光学的異方
性層が基板と対面するように貼り付けて液晶表示装置を
作製した。光学的異方性層と透明支持体の積層体の遅相
軸と、液晶セルのラビング方向は、直交するように配置
した。液晶表示装置の液晶セルに、電圧を印加して表示
画像を調べたところ、広い視野角が得られた。
【0241】[比較例3]透明支持体の作製において、
円盤状化合物(レターデーション上昇剤)を添加しなか
った以外は、実施例11と同様にして、セルロースエス
テルフイルム、光学補償シート、楕円偏光板および液晶
表示装置を順次作製した。液晶表示装置の液晶セルに、
電圧を印加して表示画像を調べたところ、実施例11で
作製した液晶表示装置よりも視野角が狭かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な液晶表示装置の断面模式図である。
【図2】電圧無印加時のVAモードの液晶セル内の液晶
性化合物の配向を模式的に示す断面図である。
【図3】電圧印加時のVAモードの液晶セル内の液晶性
化合物の配向を模式的に示す断面図である。
【図4】偏光素子をクロスニコルに配置にしたVAモー
ドの液晶セルを、セル基板の法線方向から見て得られる
屈折率楕円体の模式図である。
【図5】正の一軸性の液晶セルの屈折率楕円と負の一軸
性の光学補償シートの屈折率楕円を示す模式図である。
【図6】VAモードの液晶セルと二枚の光学補償シート
との組み合わせを示す断面模式図である。
【図7】VAモードの液晶セルと一枚の光学補償シート
との組み合わせを示す断面模式図である。
【図8】VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートの
断面模式図である。
【図9】代表的なVA型液晶表示装置の断面模式図であ
る。
【図10】OCBモードの液晶セル内の液晶性化合物の
配向を模式的に示す断面図である。
【図11】HANモードの液晶セル内の液晶性化合物の
配向を模式的に示す断面図である。
【図12】OCBモードの液晶セルと二枚の光学補償シ
ートの光学的異方性層との組み合わせを示す断面模式図
である。
【図13】HANモードの液晶セルと一枚の光学補償シ
ートの光学的異方性層との組み合わせを示す断面模式図
である。
【図14】代表的なOCB型液晶表示装置の断面模式図
である。
【図15】代表的なHAN型液晶表示装置の断面模式図
である。
【図16】楕円偏光板を用いた透過型液晶表示装置の基
本的な構成を示す模式図である。
【図17】楕円偏光板を用いた反射型液晶表示装置の基
本的な構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 表面処理膜 2a、2b 偏光素子の保護膜 3a、3b 偏光膜 4a、4b 光学補償シート 5a、5b 液晶セルの樹脂基板 6a、6b 透明電極層 7 液晶層 11、21 液晶セルの上基板 12、22 液晶性化合物 13、23 液晶セルの下基板 14、24 基板の法線方向 15、25、26 基板の法線から傾けた方向 16a、16b 光の進む方向 27 入射光 28 出射光 31a、31b 入射側の偏光素子の透過軸 32a、32b 出射側の偏光素子の透過軸 33a 電圧無印加時のVAモードの液晶セルの屈折率
楕円 33b 電圧印加時のVAモードの液晶セルの屈折率楕
円 34 VAモードの液晶セル内の液晶分子の光軸の液晶
セル基板面への正射影 41 負の一軸性の光学補償シートの屈折率楕円体 41x、41y 光学補償シート内の面内の主屈折率 41z 光学補償シートの厚み方向の主屈折率 42 負の一軸性の光学補償シート 43 正の一軸性の液晶セル 44 正の一軸性の液晶セルの屈折率楕円体 44x、44y 液晶セル基板に平行な面内の屈折率 44z 液晶セルの厚み方向の屈折率 50、60 液晶セル 51、61、73 光学的異方性層 52、62、71 支持体 53、54、63、OC1、OC2、OC 光学補償シ
ート 72 配向膜 73a、73b、73c ディスコティック液晶性分子 Pa、Pb、Pc ディスコティック液晶性分子の円盤
面 71a、71b、71c 支持体の面に平行な面 θa、θb、θc 傾斜角 74 支持体の法線 75、R1、R2、R 光学補償シートの配向膜のラビ
ング方向 101a、101b、101c 透明保護膜 102a、102b 偏光膜 103a、103b 透明支持体 104a、104b 光学的異方性層 105a 液晶セルの下基板 105b 液晶セルの上基板 106 棒状液晶性分子からなる液晶層 VAC VAモードの液晶セル OCBC OCBモードの液晶セル HANC HANモードの液晶セル A、B 偏光素子 BL バックライト RP1、RP2、RP 液晶セルの配向膜のラビング方
向 PA 偏光素子Aの偏光の透過軸 PB 偏光素子Bの偏光の透過軸 RB 反射板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1335 510 G02F 1/1335 510 // C08L 1:12 C08L 1:12 (72)発明者 村山 雅彦 神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H049 BA04 BA06 BA42 BB03 BB49 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA14Z GA01 HA07 HA09 KA02 4F071 AA09 AC12 AE22 AF35Y AH19 BA02 BB02 BC01 BC12 4J002 AB021 CP00 EU026 EU186

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円盤状化合物からなるセルロースエステ
    ルフイルム用レターデーション上昇剤。
  2. 【請求項2】 セルロースエステル100重量部に対し
    て、円盤状化合物を0.01乃至20重量部含み、波長
    550nmで測定した厚み方向のレターデーション値
    (Rth550 )が60乃至1000nmであることを特徴
    とするセルロースエステルフイルム。
  3. 【請求項3】 円盤状化合物が、1,3,5−トリアジ
    ン環を有する化合物である請求項2に記載のセルロース
    エステルフイルム。
  4. 【請求項4】 円盤状化合物が、ポルフィリン骨格を有
    する化合物である請求項2に記載のセルロースエステル
    フイルム。
  5. 【請求項5】 光学的に負の一軸性であり、光軸がフイ
    ルム面の法線と実質的に平行である請求項2に記載のセ
    ルロースエステルフイルム。
  6. 【請求項6】 セルロースエステルがセルロースアセテ
    ートである請求項2に記載のセルロースエステルフイル
    ムシート。
  7. 【請求項7】 20乃至120μmの厚さを有する請求
    項2に記載のセルロースエステルフイルム。
  8. 【請求項8】 セルロースエステル100重量部に対し
    て、円盤状化合物を0.01乃至20重量部含み、波長
    550nmで測定した厚み方向のレターデーション値
    (Rth550 )が60乃至1000nmであるセルロース
    エステルフイルムからなる光学補償シート。
  9. 【請求項9】 セルロースエステル100重量部に対し
    て、円盤状化合物を0.01乃至20重量部含み、波長
    550nmで測定した厚み方向のレターデーション値
    (Rth550 )が60乃至1000nmであるセルロース
    エステルフイルムの上に液晶性分子から形成された光学
    的異方性層が設けられている光学補償シート。
  10. 【請求項10】 液晶性分子がディスコティック液晶性
    分子である請求項9に記載の光学補償シート、
  11. 【請求項11】 透明保護膜、偏光膜、透明支持体およ
    び液晶性分子から形成された光学的異方性層がこの順に
    積層されている楕円偏光板であって、透明支持体が、セ
    ルロースエステル100重量部に対して、円盤状化合物
    を0.01乃至20重量部含み、波長550nmで測定
    した厚み方向のレターデーション値(Rth550 )が60
    乃至1000nmであるセルロースエステルフイルムで
    あることを特徴とする楕円偏光板。
  12. 【請求項12】 液晶セルおよびその両側に配置された
    二枚の偏光素子からなる液晶表示装置であって、偏光素
    子の少なくとも一方が、透明保護膜、偏光膜、透明支持
    体および液晶性分子から形成された光学的異方性層がこ
    の順に積層されている楕円偏光板であり、透明支持体
    が、セルロースエステル100重量部に対して、円盤状
    化合物を0.01乃至20重量部含み、波長550nm
    で測定した厚み方向のレターデーション値(Rth550
    が60乃至1000nmであるセルロースエステルフイ
    ルムであることを特徴とする液晶表示装置。
  13. 【請求項13】 液晶セルが、VAモード、OCBモー
    ドまたはTNモードの液晶セルである請求項12に記載
    の液晶表示装置。
  14. 【請求項14】 反射板、液晶セルおよび一枚の偏光素
    子からなる液晶表示装置であって、偏光素子が、透明保
    護膜、偏光膜、透明支持体および液晶性分子から形成さ
    れた光学的異方性層がこの順に積層されている楕円偏光
    板であり、透明支持体が、セルロースエステル100重
    量部に対して、円盤状化合物を0.01乃至20重量部
    含み、波長550nmで測定した厚み方向のレターデー
    ション値(Rth550 )が60乃至1000nmであるセ
    ルロースエステルフイルムであることを特徴とする液晶
    表示装置。
  15. 【請求項15】 液晶セルが、HANモードまたはTN
    モードの液晶セルである請求項14に記載の液晶表示装
    置。
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