JP2001156314A - 光電変換素子および太陽電池 - Google Patents

光電変換素子および太陽電池

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JP2001156314A
JP2001156314A JP33637099A JP33637099A JP2001156314A JP 2001156314 A JP2001156314 A JP 2001156314A JP 33637099 A JP33637099 A JP 33637099A JP 33637099 A JP33637099 A JP 33637099A JP 2001156314 A JP2001156314 A JP 2001156314A
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semiconductor
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Tadahiko Kubota
忠彦 窪田
Kentaro Shirato
健太郎 白土
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性に優れる色素増感光電変換素子を提供
すると共に、短絡などの故障を低減することにより、素
子の生産性を向上する。 【解決手段】 導電性支持体、該導電性支持体上に塗設
された色素を吸着した半導体微粒子含有層、正孔輸送層
および対極を含有する色素増感された光電変換素子にお
いて、該正孔輸送層が、無機p型化合物半導体を含有
し、かつ、該導電性支持体上に酸化物半導体からなる下
塗り層が設けられている光電変換素子を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は色素で増感された半
導体微粒子を用いた光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】太陽光発電は単結晶シリコン太陽電池、
多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電
池、テルル化カドミウムやセレン化インジウム銅等の化
合物太陽電池が実用化もしくは主な研究開発の対象とな
っているが、普及させる上で製造コスト、原材料確保、
エネルギーペイバックタイムが長い等の問題点を克服す
る必要がある。一方、大面積化や低価格化を指向した有
機材料を用いた太陽電池もこれまでにも多く提案されて
いるが、変換効率が低く、耐久性も悪いという問題があ
った。こうした状況の中で、Nature(第353巻、第737〜
740頁、1991年)および米国特許4927721号等に、色素に
よって増感された半導体微粒子を用いた光電変換素子お
よび太陽電池、ならびにこれを作成するための材料およ
び製造技術が開示された。提案された電池は、ルテニウ
ム錯体によって分光増感された二酸化チタン多孔質薄膜
を作用電極とする湿式太陽電池である。この方式の第一
の利点は二酸化チタン等の安価な酸化物半導体を高純度
に精製することなく用いることができるため、安価な光
電変換素子を提供できる点であり、第二の利点は用いら
れる色素の吸収がブロードなため、可視光線のほぼ全波
長領域の光を電気に変換できることである。しかし、こ
の素子は、対極との電気的接続を電解質溶液によって行
う湿式太陽電池であるため、長期にわたって使用すると
電解液の枯渇により光電変換効率が著しく低下したり、
素子として機能しなくなることが懸念されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】湿式太陽電池における
経時での電解液の枯渇を防ぐため、J. Phys. D: Appl.P
hys. 31(1998) 1492-1496やChem. Mater. 1998, 10, 15
01-1509にはCuIやCuSCNなど無機正孔輸送材料を用いて
固体化した光電変換素子が提案されている。しかし、こ
れらの正孔輸送材料を用いた光電変換素子は検討の結
果、短絡をおこしやすいという問題のあることが判明し
た。本発明の目的は耐久性に優れる色素増感光電変換素
子を提供すると共に、短絡などの故障を低減することに
より、素子の生産性を向上することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、下記の
本発明を特定する事項によって達成される。 (1)導電性支持体、該導電性支持体上に塗設された色
素を吸着した半導体微粒子含有層、正孔輸送層および対
極を含有する色素増感された光電変換素子において、該
正孔輸送層が、無機p型化合物半導体を含有し、かつ、
該導電性支持体と半導体微粒子含有層との間に酸化物半
導体からなる下塗り層が設けられていることを特徴とす
る光電変換素子。 (2)前記無機p型化合物半導体が、一価の銅を含む化
合物半導体であることを特徴とする(1)に記載の光電
変換素子。 (3)前記無機p型化合物半導体のバンドギャップが2e
V以上であることを特徴とする(1)または(2)に記
載の光電変換素子。 (4)前記無機p型化合物半導体のイオン化ポテンシャ
ルが4.5eV以上5.5eV以下であることを特徴とする(1)
〜(3)のいずれかに記載の光電変換素子。 (5)前記一価の銅を含む化合物半導体がCuIまたはCuS
CNであることを特徴とする(2)に記載の光電変換素
子。 (6)前記下塗り層の酸化物半導体が二酸化チタンであ
ることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の
光電変換素子。 (7)前記下塗り層の膜厚が10〜500nmであることを特
徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の光電変換素
子。 (8)前記半導体微粒子含有層が二酸化チタン微粒子か
ら構成されることを特徴とする(1)〜(7)のいずれ
かに記載の光電変換素子。 (9)前記色素がルテニウム錯体色素又はポリメチン色
素であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに
記載の光電変換素子。 (10)(1)〜(9)のいずれかに記載された光電変
換素子を用いることを特徴とする太陽電池。 (11)(1)〜(9)に記載された光電変換素子から
構成されることを特徴とする太陽電池モジュール。
【0005】
【発明の実施の形態】〔1〕光電変換素子 本発明の光電変換素子は、正孔輸送層にp型化合物半導
体を含有するものである。好ましくは図1に示すよう
に、導電層10、下塗り層60、感光層20、正孔輸送層30、
対極導電層40の順に積層し、前記感光層20を色素22によ
って増感された半導体微粒子21と当該半導体微粒子21の
間の空隙に浸透した正孔輸送材料23とから構成する。正
孔輸送材料23は、正孔輸送層30に用いる材料と同じ成分
からなる。また光電変換素子に強度を付与するため、導
電層10側および/または対極導電層40側に、基板50を設
けてもよい。以下本発明では、導電層10および任意で設
ける基板50からなる層を「導電性支持体」、対極導電層
40および任意で設ける基板50からなる層を「対極」と呼
ぶ。この光電変換素子を外部回路に接続して仕事をさせ
るようにしたものが太陽電池である。なお、図1中の導
電層10、対極導電層40、基板50は、それぞれ透明導電層
10a、透明対極導電層40a、透明基板50aであっても良
い。
【0006】図1に示す本発明の光電変換素子におい
て、色素22により増感された半導体微粒子21を含む感光
層20に入射した光は色素22等を励起し、励起された色素
22等中の高エネルギーの電子が半導体微粒子21の伝導帯
に渡され、さらに拡散により導電層10に到達する。この
とき色素22等の分子は酸化体となっている。太陽電池に
おいては、導電層10中の電子が外部回路で仕事をしなが
ら対極導電層40および正孔輸送層30を経て色素22等の酸
化体に戻り、色素22が再生する。感光層20は負極として
働く。それぞれの層の境界(例えば導電層10と感光層20
との境界、感光層20と正孔輸送層30との境界、正孔輸送
層30と対極導電層40との境界等)では、各層の構成成分
同士が相互に拡散混合していてもよい。以下各層につい
て詳細に説明する。
【0007】(A)正孔輸送層 本発明における正孔輸送層は色素の酸化体を迅速に還元
し、色素との界面で注入された正孔を対極に輸送する機
能を担う層である。本発明の正孔輸送層は、p型の無機
化合物半導体を主成分として構成されている。無機p型
半導体として好ましくは一価の銅を含む化合物半導体、
GaP,NiO,CoO,FeO,Bi 23,Mo
2,Cr23などであり、中でも一価の銅を含む化合
物半導体が好ましい。本発明に好ましく使用される一価
の銅を含む化合物半導体としてはCuI, CuSCN, CuInSe2,
Cu(In,Ga)Se2, CuGaSe2, Cu2O, CuS,CuGaS2, CuInS2,
CuAlSe2などが挙げられる。この中でもCuIおよび CuSCN
が好ましく、CuI(特にγ-CuI)が最も好ましい。一価
の銅を含む化合物半導体のバンドギャップは色素吸収を
妨げないため大きいことが好ましい。本発明で使用する
p型化合物半導体のバンドギャップは、2eV以上である
ことが好ましく、さらに2.5eV以上であることが好まし
い。また、p型化合物半導体のイオン化ポテンシャル
は、色素ホールを還元するためには色素吸着電極のイオ
ン化ポテンシャルより小さいことが必要である。本発明
の光電変換素子に使用する色素によって正孔輸送層に使
用するp型化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ま
しい範囲は異なってくるが、一般に4.5eV以上5.5eV以下
であることが好ましく、さらに4.7eV以上5.3eV以下であ
ることが好ましい。また、本発明のp型化合物半導体を
含有する正孔輸送層の好ましいホール移動度は10-4cm2/
V・sec以上104cm2/V・sec以下であり、さらに好ましく
は10-3cm2/V・sec以上103cm2/V・sec以下である。さら
に、本発明の正孔輸送層の好ましい導電率は10-8S/cm以
上102 S/cm以下であり、さらに好ましくは10-6S/cm以上
10 S/cm以下である。
【0008】また、本発明の正孔輸送層はアクセプター
ドーピングを行って、キャリヤ濃度や導電率を向上する
ことも必要に応じて行うことができる。本発明のドーパ
ントとして好ましく使用されるのは、ヨウ素、トリス
(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチ
モネート、NOPF6、SbCl5,I2、Br2、HClO4、(n-C4H9)4Cl
O4、トリフルオロ酢酸、4−ドデシルベンゼンスルホン
酸、1−ナフタレンスルホン酸、FeCl3、AuCl3、NOSb
F6、AsF5、NOBF4、LiBF4、H3[PMo12O40]、7,7,8,8-テト
ラシアノキノジメタン(TCNQ)、フラーレンC60等である
が、これに限定されるものではない。ドーパントを添加
する場合の好ましい添加量は化合物半導体に対して0.00
01質量%以上5質量%以下であり、さらに好ましい範囲は
0.001質量%以上3質量%以下である。
【0009】本発明の正孔輸送層の好ましい膜厚は、色
素を吸着した半導体微粒子含有層上に0.005μm以上100
μm以下であり、さらに好ましくは0.01μm以上70μm以
下であり、特に好ましくは0.05μm以上50μm以下であ
る。
【0010】次に本発明のp型化合物半導体の形成法に
ついて説明する。本発明の正孔輸送層は、p型化合物半
導体の溶液または分散液を加熱した色素吸着電極基板上
に、塗布し形成する方法、キャスト法、スピンコート
法、浸漬法、電解メッキ法、真空蒸着法、スパッタリン
グ法を用いて形成することができる。塗布法によって正
孔輸送層を形成する場合、必要に応じて正孔をトラップ
しにくいバインダー樹脂や、レベリング剤、界面活性剤
等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布液
を調整し、スピンコート法、ディップコート法、エアー
ナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート
法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、或い
は、米国特許第2681294号記載のホッパーを使用
するエクストルージョンコート法等の方法により塗布し
て正孔輸送層を形成することができる。塗布に好ましく
用いられる溶剤または分散媒はアセトニトリル、メトキ
シアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、ピリジ
ン等であり、この中でもアセトニトリルが特に好まし
い。また、本発明では塗布の際、色素吸着電極を加熱す
ることが好ましく行われる。塗布時の好ましい基板温度
は15℃以上200℃以下であり、さらに好ましくは40℃以
上150℃以下である。真空蒸着法により一価の銅を含む
化合物半導体層を形成する場合、増感色素を担持した無
機酸化物電極基板上に、一般にボート加熱温度50〜400
℃、真空度10- 6〜10-3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/sec、
基板温度-50〜+300℃、膜厚5nm〜20μmの範囲で蒸着条
件を適宜選択し、蒸着することができる。
【0011】(B)導電性支持体 導電性支持体は、(1)導電層の単層、または(2)導
電層および基板の2層からなる。強度や密封性が十分に
保たれるような導電層を使用すれば、基板は必ずしも必
要でない。
【0012】(1)の場合、導電層として金属のように
十分な強度が得られ、かつ導電性があるものを用いる。
【0013】(2)の場合、感光層側に導電剤を含む導
電層を有する基板を使用することができる。好ましい導
電剤としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニ
ウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、または導電性
金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズに
フッ素をドープしたもの等)が挙げられる。導電層の厚
さは0.02〜10μm程度が好ましい。
【0014】導電性支持体は表面抵抗が低い程よい。好
ましい表面抵抗の範囲は100Ω/□以下であり、さらに
好ましくは40Ω/□以下である。表面抵抗の下限には特
に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0015】導電性支持体側から光を照射する場合に
は、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。
実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であるこ
とを意味し、50%以上であるのが好ましく、70%以上が
特に好ましい。
【0016】透明導電性支持体としては、ガラスまたは
プラスチック等の透明基板の表面に導電性金属酸化物か
らなる透明導電層を塗布または蒸着等により形成したも
のが好ましい。なかでもフッ素をドーピングした二酸化
スズからなる導電層を低コストのソーダ石灰フロートガ
ラスでできた透明基板上に堆積した導電性ガラスが好ま
しい。また低コストでフレキシブルな光電変換素子また
は太陽電池とするには、透明ポリマーフィルムに導電層
を設けたものを用いるのがよい。透明ポリマーフィルム
の材料としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナ
フタレート(PEN)、シンジオタクチックポリステレン
(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカー
ボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフ
ォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエ
ーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化
フェノキシ等がある。十分な透明性を確保するために、
導電性金属酸化物の塗布量はガラスまたはプラスチック
の支持体1m2当たり0.01〜100gとするのが好ましい。
【0017】透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金
属リードを用いるのが好ましい。金属リードの材質はア
ルミニウム、銅、銀、金、白金、ニッケル等の金属が好
ましく、特にアルミニウムおよび銀が好ましい。金属リ
ードは透明基板に蒸着、スパッタリング等で設置し、そ
の上にフッ素をドープした酸化スズ、またはITO膜から
なる透明導電層を設けるのが好ましい。また透明導電層
を透明基板に設けた後、透明導電層上に金属リードを設
置するのも好ましい。金属リード設置による入射光量の
低下は好ましくは10%以内、より好ましくは1〜5%と
する。
【0018】(C)下塗り層 本発明では対極と導電性支持体の短絡を防止するため、
予め導電性支持体の上に緻密な酸化物半導体の薄膜層を
下塗り層として塗設しておくことが好ましい。下塗り層
として好ましい酸化物半導体としては後の(D)(1)に
説明する半導体微粒子に記載した半導体と同義であり、
感光層の半導体と同種であることが好ましい。具体的に
は、好ましくはTiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5
あり、特に好ましくはTiO2である。下塗り層の作製法と
しては塗布法、スプレーパイロリシス法、真空蒸着法、
スパッタリング法、キャスト法、スピンコート法、浸漬
法、電解メッキ法を用いて形成することができる。好ま
しくは塗布法、スプレーパイロリシス法であり、特に好
ましくはスプレーパイロリシス法である。塗布法によっ
て形成する場合、必要に応じて正孔をトラップしにくい
バインダー樹脂や、レベリング剤、界面活性剤等の塗布
性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調整
し、スピンコート法、ディップコート法、エアーナイフ
コート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイ
ヤーバーコート法、グラビアコート法、或いは、米国特
許第2681294号記載のホッパーを使用するエクス
トルージョンコート法等の方法により塗布して下塗り層
を形成することができる。スプレーパイロリシス法によ
りTiO2下塗り層を設ける場合、加熱してある導電性
支持体上に、霧状にチタン化合物溶液を吹き出し、下塗
り層を設ける方法を用いることができ、Electrochimica
Acta,vol40,No.5,643-652頁(1995)に記載されている。
この場合の好ましいチタン化合物としては、チタニウム
テトラエトキシド、チタニウムテトライソプロポキシ
ド、チタニウムテトラブトキシド、チタニウムアセチル
アセトネート、ジ-イソプロポキシチタニウム-ビスアセ
チルアセトネート、テトラ四塩化チタンなどであり、好
ましくはチタニウムテトライソプロポキシド、チタニウ
ムアセチルアセトネート、ジ-イソプロポキシチタニウ
ム-ビスアセチルアセトネートであり、特に好ましくは
チタニウムテトライソプロポキシドである。これらチタ
ン化合物はそれを溶解する溶剤と共に用いることができ
る。好ましい溶剤はメタノール、エタノール、イソプロ
パノール、アセチルアセトンであり、好ましくはエタノ
ール、イソプロパノール、アセチルアセトンである。こ
れら溶剤は混合して用いてもよい。チタン化合物の濃度
としては、0.01mol/l以上5mol/l以下であ
ることが好ましく、更に好ましくは0.05mol/l
以上2mol/l以下であり、特に好ましくは0.05
mol/l以上1mol/l以下である。導電性支持体の
温度としては200℃以上600℃以下が好ましく、更
に好ましくは300℃以上600℃以下であり、特に好
ましくは350℃以上500℃以下である。下塗り層の
好ましい膜厚は5〜1000nm以下であり、10〜500nmがさら
に好ましい。
【0019】(D)感光層 色素により増感された半導体微粒子を含む感光層におい
て、半導体微粒子はいわゆる感光体として作用し、光を
吸収して電荷分離を行い、電子と正孔を生ずる。色素増
感された半導体微粒子では、光吸収およびこれによる電
子および正孔の発生は主として色素において起こり、半
導体微粒子はこの電子を受け取り、伝達する役割を担
う。
【0020】(1)半導体微粒子 半導体微粒子としては、シリコン、ゲルマニウムのよう
な単体半導体、III-V系化合物半導体、金属のカルコゲ
ニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、または
ペロブスカイト構造を有する化合物(例えばチタン酸ス
トロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウ
ム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)等を使用
することができる。また前記の下塗り層の半導体と同じ
ものでも異なっていてもよいが、同じ方が好ましい。
【0021】好ましい金属のカルコゲニドとして、チタ
ン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハ
フニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イ
ットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタ
ンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモ
ンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレ
ン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の
化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カ
ドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−イン
ジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げ
られる。
【0022】本発明に用いる半導体の好ましい具体例
は、Si、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、Z
nS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuIn
S2、CuInSe2等であり、より好ましくはTiO2、ZnO、Sn
O2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbS、CdSe、InP、GaAs、
CuInS2またはCuInSe2であり、特に好ましくはTiO2また
はNb 2O5であり、最も好ましくはTiO2である。
【0023】本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶
でもよい。変換効率の観点からは単結晶が好ましいが、
製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム
等の観点からは多結晶が好ましい。特に微粒子の半導体
が好ましい。
【0024】半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオ
ーダーであるが、投影面積を円に換算したときの直径か
ら求めた一次粒子の平均粒径は5〜200nmであるのが好
ましく、8〜100nmがより好ましい。また分散液中の半
導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は0.01〜100μmが好
ましい。
【0025】粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混
合してもよく、この場合小さい粒子の平均サイズは5nm
以下であるのが好ましい。入射光を散乱させて光捕獲率
を向上させる目的で、粒径の大きな、例えば300nm程度
の半導体粒子を混合してもよい。
【0026】半導体微粒子の作製法としては、作花済夫
の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技
術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技
術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の
「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイ
ズ形態制御」、まてりあ,第35巻,第9号,1012〜1018
頁(1996年)に記載のゲル−ゾル法が好ましい。またDe
gussa社が開発した塩化物を酸水素塩中で高温加水分解
により酸化物を作製する方法も好ましい。
【0027】半導体微粒子が酸化チタンの場合、上記ゾ
ル-ゲル法、ゲル−ゾル法、塩化物の酸水素塩中での高
温加水分解法はいずれも好ましいが、さらに清野学の
「酸化チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)
に記載の硫酸法および塩素法を用いることもできる。さ
らにゾル−ゲル法として、バーブらのジャーナル・オブ
・アメリカン・セラミック・ソサエティー,第80巻,第
12号,3157〜3171頁(1997年)に記載の方法や、バーン
サイドらのケミカル・マテリアルズ,第10巻,第9号,
2419〜2425頁に記載の方法も好ましい。
【0028】酸化チタンは主としてアナターゼ型とルチ
ル型の2種類の結晶型があり、その製法や熱履歴によ
り、いずれの型もとりうるし、しばしば両者の混合物と
して得られる。本発明の酸化チタンは、アナターゼ含率
が高い方が好ましく、80%以上であることがさらに好
ましい。なお、アナターゼ含率は、X線回折法により求
めることができ、アナターゼおよびルチルに由来する回
折ピーク強度の比率から求めることができる。
【0029】(2)半導体微粒子層 半導体微粒子を導電性支持体上に塗布するには、半導体
微粒子の分散液またはコロイド溶液を導電性支持体上に
塗布する方法の他に、前述のゾル−ゲル法等を使用する
こともできる。光電変換素子の量産化、半導体微粒子液
の物性、導電性支持体の融通性等を考慮した場合、湿式
の製膜方法が比較的有利である。湿式の製膜方法として
は、塗布法、印刷法が代表的である。
【0030】半導体微粒子の分散液を作製する方法とし
ては、前述のゾル−ゲル法の他に、乳鉢ですり潰す方
法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法、あるいは
半導体を合成する際に溶媒中で微粒子として析出させそ
のまま使用する方法等が挙げられる。
【0031】分散媒としては、水または各種の有機溶媒
(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ール、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢
酸エチル等)が挙げられる。分散の際、必要に応じてポ
リエチレングリコールのようなポリマー、界面活性剤、
酸、またはキレート剤等を分散助剤として用いてもよ
い。ポリエチレングリコールの分子量を変えることで、
剥がれにくい膜を形成したり、分散液の粘度が調節可能
となるので、ポリエチレングリコールを添加することは
好ましい。
【0032】塗布方法としては、アプリケーション系と
してローラ法、ディップ法等、メータリング系としてエ
アーナイフ法、ブレード法等、またアプリケーションと
メータリングを同一部分にできるものとして、特公昭58
-4589号に開示されているワイヤーバー法、米国特許268
1294号、同2761419号、同2761791号等に記載のスライド
ホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法等が好
ましい。また汎用機としてスピン法やスプレー法も好ま
しい。湿式印刷方法としては、凸版、オフセットおよび
グラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリ
ーン印刷等が好ましい。これらの中から、液粘度やウェ
ット厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。
【0033】半導体微粒子の分散液の粘度は半導体微粒
子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダ
ー等の添加剤により大きく左右される。高粘度液(例え
ば0.01〜500Poise)ではエクストルージョン法、キャス
ト法、スクリーン印刷法等が好ましい。また低粘度液
(例えば0.1Poise以下)ではスライドホッパー法、ワイ
ヤーバー法またはスピン法が好ましく、均一な膜にする
ことが可能である。なおある程度の塗布量があれば低粘
度液の場合でもエクストルージョン法による塗布は可能
である。このように塗布液の粘度、塗布量、支持体、塗
布速度等に応じて、適宜湿式製膜方法を選択すればよ
い。
【0034】半導体微粒子の層は単層に限らず、粒径の
違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が
異なる半導体微粒子(あるいは異なるバインダー、添加
剤)を含有する塗布層を多層塗布したりすることもでき
る。一度の塗布で膜厚が不足の場合にも多層塗布は有効
である。多層塗布には、エクストルージョン法またはス
ライドホッパー法が適している。また多層塗布をする場
合は同時に多層を塗布しても良く、数回から十数回順次
重ね塗りしてもよい。さらに順次重ね塗りであればスク
リーン印刷法も好ましく使用できる。
【0035】一般に半導体微粒子層の厚さ(感光層の厚
さと同じ)が厚くなるほど単位投影面積当たりの担持色
素量が増えるため、光の捕獲率が高くなるが、生成した
電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大き
くなる。したがって、半導体微粒子層の好ましい厚さは
0.1〜100μmである。太陽電池に用いる場合、半導体微
粒子層の厚さは1〜30μmが好ましく、2〜25μmがより
好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たり塗布量は0.
5〜400gが好ましく、5〜100gがより好ましい。
【0036】半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した
後で半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに、
塗膜強度の向上や支持体との密着性を向上させるため
に、加熱処理するのが好ましい。好ましい加熱温度の範
囲は40℃以上700℃未満であり、より好ましくは100℃以
上600℃以下である。また加熱時間は10分〜10時間程度
である。ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い
支持体を用いる場合、高温処理は支持体の劣化を招くた
め、好ましくない。またコストの観点からもできる限り
低温であるのが好ましい。低温化は、先に述べた5nm以
下の小さい半導体微粒子の併用や鉱酸の存在下での加熱
処理等により可能となる。
【0037】加熱処理後半導体微粒子の表面積を増大さ
せたり、半導体微粒子近傍の純度を高め、色素から半導
体微粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩
化チタン水溶液を用いた化学メッキ処理や三塩化チタン
水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0038】半導体微粒子は多くの色素を吸着すること
ができるように表面積の大きいものが好ましい。このた
め半導体微粒子の層を支持体上に塗布した状態での表面
積は、投影面積に対して10倍以上であるのが好ましく、
さらに100倍以上であるのが好ましい。この上限は特に
制限はないが、通常1000倍程度である。
【0039】(3)色素 感光層に使用する色素は金属錯体色素、フタロシアニン
系の色素またはメチン色素が好ましい。光電変換の波長
域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二
種類以上の色素を混合することができる。また目的とす
る光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する
色素とその割合を選ぶことができる。
【0040】こうした色素は半導体微粒子の表面に対す
る適当な結合基(interlocking group)を有しているの
が好ましい。好ましい結合基としては、COOH基、OH基、
SO3H基、シアノ基、-P(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基、ま
たはオキシム、ジオキシム、ヒドロキシキノリン、サリ
チレートおよびα-ケトエノレートのようなπ伝導性を
有するキレート化基が挙げられる。なかでもCOOH基、-P
(O)(OH)2基、-OP(O)(OH)2基が特に好ましい。これらの
基はアルカリ金属等と塩を形成していてもよく、また分
子内塩を形成していてもよい。またポリメチン色素の場
合、メチン鎖がスクアリリウム環やクロコニウム環を形
成する場合のように酸性基を含有するなら、この部分を
結合基としてもよい。
【0041】以下、感光層に用いる好ましい色素を具体
的に説明する。
【0042】(a)金属錯体色素 色素が金属錯体色素である場合、金属原子はルテニウム
Ruであるのが好ましい。ルテニウム錯体色素としては、
例えば米国特許4927721号、同4684537号、同5084365
号、同5350644号、同5463057号、同5525440号、特開平7
-249790号、特表平10-504512号、国際特許WO98/50393号
等に記載の錯体色素が挙げられる。
【0043】さらに本発明で用いるルテニウム錯体色素
は下記一般式(I): (A1)pRu(B-a)(B-b)(B-c) ・・・(I) により表されるのが好ましい。一般式(I)中、A1はC
l、SCN、H2O、Br、I、CN、NCOおよびSeCNからなる群か
ら選ばれた配位子を表し、pは0〜2の整数であり、好
ましくは2である。B-a、B-bおよびB-cはそれぞれ独立
に下記式B-1〜B-8:
【0044】
【化1】
【0045】(ただし、Raは水素原子または置換基を表
し、置換基としてはたとえば、ハロゲン原子、炭素原子
数1〜12の置換または無置換のアルキル基、炭素原子数
7〜12の置換または無置換のアラルキル基、あるいは炭
素原子数6〜12の置換または無置換のアリール基、カル
ボン酸基、リン酸基(これらの酸基は塩を形成していて
もよい)が挙げられ、アルキル基およびアラルキル基の
アルキル部分は直鎖状でも分岐状でもよく、またアリー
ル基およびアラルキル基のアリール部分は単環でも多環
(縮合環、環集合)でもよい。)により表される化合物
から選ばれた有機配位子を表す。B-a、B-bおよびB-cは
同一でも異なっていても良い。
【0046】金属錯体色素の好ましい具体例を以下に示
すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
【化2】
【0048】
【化3】
【0049】
【化4】
【0050】(b)メチン色素 本発明で好ましく用いられるメチン色素は、特開平11
−35836号、特開平11−158395号、特開平
11−163378号、特開平11−214730号、
特開平11−214731号、欧州特許892411号
および同911841号の各明細書に記載の色素であ
る。これらの色素の合成法については、エフ・エム・ハ
ーマー(F.M.Hamer)著「ヘテロサイクリック・コンパウ
ンズ−シアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパ
ウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Rel
ated Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サン
ズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、
1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)
著「ヘテロ素サイクリック・コンパウンズースペシャル
・トピックス・イン・複素 サイクリック・ケミストリ
ー(Heterocyclic Compounds-Special topics in hetero
cyclic chemistry)」、第18章、第14節、第482
から515頁、ジョン ・ウィリー・アンド・サンズ(Jo
hn Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、197
7年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コ
ンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」
2nd.Ed.vol.IV,part B,1977刊、第15章、第36
9から422頁、エルセビア・サイエンス・パブリック
・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing C
ompanyInc.)社刊、ニューヨーク、英国特許第1,077,611
号、Ukrainskii KhimicheskiiZhurnal, 第40巻、第3
号、253〜258頁、Dyes and Pigments, 第21
巻、227〜234頁およびこれらの文献に引用された
文献になどに記載されている。感光層に用いるメチン色
素としては、ポリメチン色素(特に、メロシアニン色
素、シアニン色素)が好ましい。
【0051】(4)半導体微粒子への色素の吸着 半導体微粒子に色素を吸着させるには、色素の溶液中に
良く乾燥した半導体微粒子層を有する導電性支持体を浸
漬するか、色素の溶液を半導体微粒子層に塗布する方法
を用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ
法、ローラ法、エアーナイフ法等が使用可能である。な
お浸漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、
特開平7-249790号に記載されているように加熱還流して
行ってもよい。また後者の塗布方法としては、ワイヤー
バー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、
カーテン法、スピン法、スプレー法等があり、印刷方法
としては、凸版、オフセット、グラビア、スクリーン印
刷等がある。溶媒は、色素の溶解性に応じて適宜選択で
きる。例えば、アルコール類(メタノール、エタノー
ル、t-ブタノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル
類(アセトニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプ
ロピオニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水
素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、
クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミ
ド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタ
ミド等)、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾ
リジノン、3-メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢
酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエ
チル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類
(アセトン、2-ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化
水素(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン
等)やこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0052】色素の溶液の粘度についても、半導体微粒
子層の形成時と同様に、高粘度液(例えば0.01〜500Poi
se)ではエクストルージョン法の他に各種印刷法が適当
であり、また低粘度液(例えば0.1Poise以下)ではスラ
イドホッパー法、ワイヤーバー法またはスピン法が適当
であり、いずれも均一な膜にすることが可能である。
【0053】このように色素の塗布液の粘度、塗布量、
導電性支持体、塗布速度等に応じて、適宜色素の吸着方
法を選択すればよい。塗布後の色素吸着に要する時間
は、量産化を考えた場合、なるべく短い方がよい。
【0054】未吸着の色素の存在は素子性能の外乱にな
るため、吸着後速やかに洗浄により除去するのが好まし
い。湿式洗浄槽を使い、アセトニトリル等の極性溶剤、
アルコール系溶剤のような有機溶媒で洗浄を行うのが好
ましい。また色素の吸着量を増大させるため、吸着前に
加熱処理を行うのが好ましい。加熱処理後、半導体微粒
子表面に水が吸着するのを避けるため、常温に戻さずに
40〜80℃の間で素早く色素を吸着させるのが好ましい。
【0055】色素の全使用量は、導電性支持体の単位表
面積(1m2)当たり0.01〜100mmolが好ましい。また色
素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒子1g
当たり0.01〜1mmolであるのが好ましい。このような色
素の吸着量とすることにより、半導体における増感効果
が十分に得られる。これに対し、色素が少なすぎると増
感効果が不十分となり、また色素が多すぎると、半導体
に付着していない色素が浮遊し、増感効果を低減させる
原因となる。
【0056】光電変換の波長域をできるだけ広くすると
ともに変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合
することもできる。この場合、光源の波長域と強度分布
に合わせるように、混合する色素およびその割合を選ぶ
のが好ましい。
【0057】会合のような色素同士の相互作用を低減す
る目的で、無色の化合物を半導体微粒子に共吸着させて
もよい。共吸着させる疎水性化合物としてはカルボキシ
ル基を有するステロイド化合物(例えばケノデオキシコ
ール酸)等が挙げられる。また紫外線吸収剤を併用する
こともできる。
【0058】余分な色素の除去を促進する目的で、色素
を吸着した後にアミン類を用いて半導体微粒子の表面を
処理してもよい。好ましいアミン類としてはピリジン、
4-t-ブチルピリジン、ポリビニルピリジン等が挙げられ
る。これらが液体の場合はそのまま用いてもよいし、有
機溶媒に溶解して用いてもよい。
【0059】(E)対極 対極は、光電変換素子を太陽電池としたとき、太陽電池
の正極として作用するものである。対極は前記の導電性
支持体と同様に、導電性材料からなる対極導電層の単層
構造でもよいし、対極導電層と支持基板から構成されて
いてもよい。対極導電層に用いる導電材としては、金属
(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウ
ム、ロジウム、インジウム等)、炭素、または導電性金
属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフ
ッ素をドープしたもの等)が挙げられる。この中でも白
金、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウムを対極層
として好ましく使用することができる。対極の好ましい
支持基板の例は、ガラスまたはプラスチックであり、こ
れに上記の導電剤を塗布または蒸着して用いる。対極導
電層の厚さは特に制限されないが、3nm〜10μmが好ま
しい。対極導電層が金属製である場合は、その厚さは好
ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは5nm〜3
μmの範囲である。対極層の表面抵抗は低い程よい。好
ましい表面抵抗の範囲としては80Ω/□以下であり、さ
らに好ましくは20Ω/□以下である。
【0060】導電性支持体と対極のいずれか一方または
両方から光を照射してよいので、感光層に光が到達する
ためには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質
的に透明であれば良い。発電効率の向上の観点からは、
導電性支持体を透明にして、光を導電性支持体側から入
射させるのが好ましい。この場合対極は光を反射する性
質を有するのが好ましい。このような対極としては、金
属または導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラス
チック、あるいは金属薄膜を使用できる。
【0061】対極は、正孔輸送層上に直接導電材を塗
布、メッキまたは蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有
する基板の導電層側を貼り付ければよい。また、導電性
支持体の場合と同様に、特に対極が透明の場合には、対
極の抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好まし
い。なお、好ましい金属リードの材質および設置方法、
金属リード設置による入射光量の低下等は導電性支持体
の場合と同じである。
【0062】(F)その他の層 電極として作用する導電性支持体および対極の一方また
は両方に、保護層、反射防止層等の機能性層を設けても
良い。このような機能性層を多層に形成する場合、同時
多層塗布法や逐次塗布法を利用できるが、生産性の観点
からは同時多層塗布法が好ましい。同時多層塗布法で
は、生産性および塗膜の均一性を考えた場合、スライド
ホッパー法やエクストルージョン法が適している。これ
らの機能性層の形成には、その材質に応じて蒸着法や貼
り付け法等を用いることができる。
【0063】(G)光電変換素子の内部構造の具体例 上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ
様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面
から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造
が可能である。図2〜図7に本発明に好ましく適用でき
る光電変換素子の内部構造を例示する。
【0064】図2は、透明基板50a上に一部金属リード1
1を設け、さらに透明導電層10aを設け、下塗り層60、感
光層20、正孔輸送層30および対極導電層40をこの順で設
け、さらに支持基板50を配置したものであり、導電層側
から光が入射する構造となっている。図3は、支持基板
50上にさらに導電層10を有し、下塗り層60を介して感光
層20を設け、さらに正孔輸送層30と透明対極導電層40a
とを設け、一部に金属リード11を設けた透明基板50a
を、金属リード11側を内側にして配置したものであり、
対極側から光が入射する構造である。図4は、透明基板
50a上に一部金属リード11を設け、さらに透明導電層10a
を設け、下塗り層60、感光層20、正孔輸送層30及び透明
対極導電層40aをこの順で設け、さらに一部に金属リー
ド11を設けた別の透明基板50aを、金属リード11側を内
側にして配置したものであり、両面から光が入射する構
造である。図5は、支持基板50上に導電層10を有し、下
塗り層60を介して感光層20を設け、さらに正孔輸送層30
および透明対極導電層40aを設け、この上に透明基板50a
を配置したものであり、対極側から光が入射する構造で
ある。図6は、透明基板50a上に透明導電層10aを有し、
下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに正孔輸送層
30および透明対極導電層40aを設け、この上に透明基板5
0aを配置したものであり、両面から光が入射する構造と
なっている。図7は、支持基板50上に導電層10を設け、
下塗り層60を介して感光層20を設け、さらに固体の正孔
輸送層30を設け、この上に一部対極導電層40または金属
リード11を有するものであり、対極側から光が入射する
構造となっている。
【0065】〔2〕太陽電池 本発明の太陽電池は、上記光電変換素子に外部回路で仕
事をさせるようにしたものである。太陽電池は構成物の
劣化や内容物の揮散を防止するために、側面をポリマー
や接着剤等で密封するのが好ましい。導電性支持体およ
び対極にリードを介して接続される外部回路自体は公知
のもので良い。本発明の光電変換素子をいわゆる太陽電
池に適用する場合、そのセル内部の構造は基本的に上述
した光電変換素子の構造と同じである。以下、本発明の
光電変換素子を用いた太陽電池のモジュール構造につい
て説明する。
【0066】本発明の色素増感型太陽電池は、従来の太
陽電池モジュールと基本的には同様のモジュール構造を
とりうる。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セ
ラミック等の支持基板の上にセルが構成され、その上を
充填樹脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から
光を取り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の
透明材料を用い、その上にセルを構成してその透明の支
持基板側から光を取り込む構造とすることも可能であ
る。具体的には、スーパーストレートタイプ、サブスト
レートタイプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュー
ル構造、アモルファスシリコン太陽電池などで用いられ
る基板一体型モジュール構造等が知られている。本発明
の色素増感型太陽電池も使用目的や使用場所および環境
により、適宜これらのモジュール構造を選択できる。
【0067】代表的なスーパーストレートタイプあるい
はサブストレートタイプのモジュールは、片側または両
側が透明で反射防止処理を施された支持基板の間に一定
間隔にセルが配置され、隣り合うセル同士が金属リード
またはフレキシブル配線等によって接続され、外縁部に
集電電極が配置されており、発生した電力が外部に取り
出される構造となっている。基板とセルの間には、セル
の保護や集電効率向上のため、目的に応じエチレンビニ
ルアセテート(EVA)等様々な種類のプラスチック材料
をフィルムまたは充填樹脂の形で用いてもよい。また、
外部からの衝撃が少ないところなど表面を硬い素材で覆
う必要のない場所において使用する場合には、表面保護
層を透明プラスチックフィルムで構成し、または上記充
填樹脂を硬化させることによって保護機能を付与し、片
側の支持基板をなくすことが可能である。支持基板の周
囲は、内部の密封およびモジュールの剛性を確保するた
め金属製のフレームでサンドイッチ状に固定し、支持基
板とフレームの間は封止材料で密封シールする。また、
セルそのものや支持基板、充填材料および封止材料に可
撓性の素材を用いれば、曲面の上に太陽電池を構成する
こともできる。
【0068】スーパーストレートタイプの太陽電池モジ
ュールは、例えば、基板供給装置から送り出されたフロ
ント基板をベルトコンベヤ等で搬送しながら、その上に
セルを封止材料−セル間接続用リード線、背面封止材料
等と共に順次積層した後、背面基板または背面カバーを
乗せ、外縁部にフレームをセットして作製することがで
きる。
【0069】一方、サブストレートタイプの場合、基板
供給装置から送り出された支持基板をベルトコンベヤ等
で搬送しながら、その上にセルをセル間接続用リード
線、封止材料等と共に順次積層した後、フロントカバー
を乗せ、周縁部にフレームをセットして作製することが
できる。
【0070】本発明の光電変換素子を基板一体型モジュ
ール化した構造の一例を図8に示す。図8は、透明な基
板50aの一方の面上に透明な導電層10aを設けた後、下塗
り層60を設置し、この上にさらに色素吸着TiO2を含有し
た感光層20、正孔輸送層30および金属対極導電層40を設
けたセルがモジュール化されており、基板50aの他方の
面には反射防止層70が設けられている構造を表す。この
ような構造とする場合、入射光の利用効率を高めるため
に、感光層20の面積比率(光の入射面である基板50a側
から見たときの面積比率)を大きくした方が好ましい。
【0071】図8に示した構造のモジュールの場合、基
板上に透明導電層、感光層、正孔輸送層、対極等が立体
的かつ一定間隔で配列されるように、選択メッキ、選択
エッチング、CVD、PVD等の半導体プロセス技術、あるい
はパターン塗布または広幅塗布後のレーザースクライビ
ング、プラズマCVM(Solar Energy Materials and Sola
r Cells, 48, p373-381等に記載)、研削等の機械的手
法等によりパターニングすることで所望のモジュール構
造を得ることができる。
【0072】以下にその他の部材や工程について詳述す
る。
【0073】封止材料としては、耐候性付与、電気絶縁
性付与、集光効率向上、セル保護性(耐衝撃性)向上等
の目的に応じ液状EVA(エチレンビニルアセテート)、
フィルム状EVA、フッ化ビニリデン共重合体とアクリル
樹脂の混合物等、様々な材料が使用可能である。モジュ
ール外縁と周縁を囲むフレームとの間は、耐候性および
防湿性が高い封止材料を用いるのが好ましい。また、透
明フィラーを封止材料に混入して強度や光透過率を上げ
ることができる。
【0074】封止材料をセル上に固定するときは、材料
の物性に合った方法を用いる。フィルム状の材料の場合
はロール加圧後加熱密着、真空加圧後加熱密着等、液ま
たはペースト状の材料の場合はロールコート、バーコー
ト、スプレーコート、スクリーン印刷等の様々な方法が
可能である。
【0075】支持基板としてPET、PEN等の可撓性素材を
用いる場合は、ロール状の支持体を繰り出してその上に
セルを構成した後、上記の方法で連続して封止層を積層
することができ、生産性が高い。
【0076】発電効率を上げるために、モジュールの光
取り込み側の基板(一般的には強化ガラス)の表面には
反射防止処理が施される。反射防止処理方法としては、
反射防止膜をラミネートする方法、反射防止層をコーテ
ィングする方法がある。
【0077】また、セルの表面をグルービングまたはテ
クスチャリング等の方法で処理することによって、入射
した光の利用効率を高めることが可能である。
【0078】発電効率を上げるためには、光を損失なく
モジュール内に取り込むことが最重要であるが、光電変
換層を透過してその内側まで到達した光を反射させて光
電変換層側に効率良く戻すことも重要である。光の反射
率を高める方法としては、支持基板面を鏡面研磨した
後、AgやAl等を蒸着またはメッキする方法、セルの最下
層にAl−MgまたはAl−Tiなどの合金層を反射層として設
ける方法、アニール処理によって最下層にテクスチャー
構造を作る方法等がある。
【0079】また、発電効率を上げるためにはセル間接
続抵抗を小さくすることが、内部電圧降下を抑える意味
で重要である。セル同士を接続する方法としては、ワイ
ヤーボンディング、導電性フレキシブルシートによる接
続が一般的であるが、導電性粘着テープや導電性接着剤
を用いてセルを固定すると同時に電気的に接続する方
法、導電性ホットメルトを所望の位置にパターン塗布す
る方法等もある。
【0080】ポリマーフィルム等のフレキシブル支持体
を用いた太陽電池の場合、ロール状の支持体を送り出し
ながら前述の方法によって順次セルを形成し、所望のサ
イズに切断した後、周縁部をフレキシブルで防湿性のあ
る素材でシールすることにより電池本体を作製できる。
また、Solar Energy Materials and Solar Cells, 48,
p383-391記載の「SCAF」とよばれるモジュール構造とす
ることもできる。更に、フレキシブル支持体を用いた太
陽電池は曲面ガラス等に接着固定して使用することもで
きる。
【0081】以上詳述したように、使用目的や使用環境
に合わせて様々な形状・機能を持つ太陽電池を製作する
ことができる。
【0082】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 1.二酸化チタン分散液の調製 内側をテフロンコーティングした内容積200mlのステ
ンレス製ベッセルに二酸化チタン(日本アエロジル社
Degussa P−25)15g、水45g、分散剤
(アルドリッチ社製、Triton X−100)1
g、直径0.5mmのジルコニアビーズ(ニッカトー社
製)30gを入れ、サンドグラインダーミル(アイメッ
クス社製)を用いて1500rpmにて2時間分散し
た。分散物からジルコニアビーズをろ過して除いた。こ
の場合の二酸化チタン分散物の平均粒径は2.5μmで
あった(一次粒子の粒径は20nm〜30nm)。この
ときの粒径はMALVERN社製マスターサイザーにて
測定したものである。
【0083】2.色素を吸着したTiO2電極の作製 2-1.電極A(比較例用電極) 素子構造が図1の態様となるようフッ素をドープした酸
化スズをコーティングした導電性ガラス(日本板硝子
製;25mm×100mm、面積抵抗10Ω/□)の導電面側
の一部(端から3mm)に粘着テープを張ってスペーサー
とし、この上にガラス棒を用いて上記の二酸化チタン分
散液を塗布した。塗布後、粘着テープを剥離し、室温で
1時間風乾した。次に、このガラスを電気炉(ヤマト科
学製マッフル炉FP−32型)に入れ、450℃にて3
0分間焼成した。ガラスを取り出し、7分間冷却した
後、表1に示す色素のエタノール溶液(3×10-4モル
/リットル)に室温で12時間浸漬した。色素吸着済み
ガラスをアセトニトリルで洗浄し自然乾燥し、25mm×
10mm幅に切断加工して電極Aを得た。このようにして
得られる感光層(色素の吸着した二酸化チタン層)の塗
布量は9.0g/m2であった。
【0084】2-2.電極B(本発明の電極) 導電性ガラス(日本板硝子製;25mm×100mm、面積
抵抗10Ω/□)の導電面側の一部(端から5mm)をガラス
で覆って保護した後、400℃のホットプレート上に置
き、スプレーパイロリシス法(チタニウムイソプロポキ
シド5.68g,アセチルアセトン4.1ml,エタノール80mlの溶
液を噴霧)により二酸化チタン薄膜下塗り層を形成した
こと以外は電極Aの作製法と全く同じようにして電極B
を得た。二酸化チタン下塗り層の膜厚は表1に記載した
ように異なるものを作製し、使用した。得られる感光層
(色素の吸着した二酸化チタン層)の塗布量は8.8g/
m2であった。
【0085】2-3.電極C(J. Phys. D: Appl. Phys. 31
(1998) 1492-1496を基づいた比較用電極作製処方) チタンテトライソプロポキシド1ml、氷酢酸5ml、イソプ
ロパノール15mlを混合した溶液を激しく攪拌しながら、
5mlの蒸留水をこの溶液にゆっくり滴下した。得られた
白色のゲル状分散物(溶液T)を、125℃に加熱したホッ
トプレートに置いた面積抵抗10Ω/□のフッ素をドープ
した酸化スズをコーティングした導電性ガラス(1.5cm
×2.0cmサイズ)上に添加し、数分間放置した。この電
極を電極Aの作製に用いたのと同じ電気炉に入れ、430℃
で10分間焼成した。焼成後、電極上のひび割れた塗膜断
片を取り除いた。この後、溶液Tを125℃に加熱した塗布
済み電極に再度塗布して、焼成(430℃,10分)し、電極
上の塗膜の断片を取り除く操作を20回繰り返して、TiO2
膜厚3μmの電極を得た。この電極をアンモニア水溶液、
蒸留水の順に浸積し、洗浄して、50℃に加熱したアセト
ンで10分間洗浄した。色素吸着は、上述の洗浄済み電極
を、70℃に加熱した色素のエタノール溶液(表1に示す
色素25mg/エタノール50ml)に2分間浸積した後、そのま
ま45分かけて室温まで冷却して行った。色素吸着した電
極は蒸留水で洗浄して、窒素雰囲気下暗所で乾燥して電
極Cを得た。
【0086】2-4.電極D(本発明の電極) 導電性ガラス(日本板硝子製;25mm×100mm、面積
抵抗10Ω/□)の導電面側の一部(端から5mm)をガラス
で覆って保護した後、電極Bと同様にスプレーパイロリ
シス法により二酸化チタン薄膜下塗り層を形成したこと
以外は電極Cの作製法と全く同じようにして電極Dを得
た。二酸化チタン薄膜の膜厚は表1に記載した。
【0087】3.正孔輸送層の形成 無機化合物正孔輸送層は以下の方法により形成した。上
記実施例の2項で作製した電極(A,B,C,D)の導電面露出
部分およびセルの周辺1mm幅を粘着テープで保護し、100
℃に過熱したホットプレートに載せて2分間放置した。
γ−CuIのアセトニトリル溶液(3.2質量%)0.2mlを10分
程度かけて、アセトニトリルを揮発させながらゆっくり
電極に加え、塗布後、2分間ホットプレート上に放置し
てCuI層を形成させた。
【0088】4.太陽電池の作製 4-1.実施例1〜5および比較例1,2 光電変換素子は上記3項によって形成した正孔輸送層上
に、白金蒸着ガラス(白金層の膜厚=1μm、ガラス膜厚=
1.1mm、サイズ1cm×2.5cm)を重ね合わせ、クリップで
挟んで太陽電池を作製した。これにより、図1に示した
とおり、ガラス50a、導電層10 a、TiO2下塗り層60、色
素の吸着したTiO2電極層20、正孔輸送層30、対極(白金
層40+ガラス50a)が順に積層された太陽電池が作製さ
れた。表1に示したとおり、本発明の電池(実施例1〜
5)および比較電池(比較例1,2)を作製した。
【0089】4-2.比較例3(Nature,Vol.395, 8 October
1998, p583-585の態様) 前述の実施例と同様に色増感されたTiO2電極基板(電極
B;1cm×2.5cm、色素種;R-1)上に、2,2’、
7,7’−テトラキス(N,N−ジ-p-メトキシフェニルア
ミン)9,9’−スピロフルオレン0.17モル、 ト
リス(4−ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロア
ンチモネート0.33mモルおよびLi[(CF 3SO2)2N]15
mモルを含むクロロベンゼン/アセニトリル=100/5
(体積比)溶液を30μLスピンコート(1000rp
m、60秒)した。この後、室温で減圧乾燥し、さらに
金蒸着し比較例3の太陽電池を得た。
【0090】5.光電変換効率の測定 500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光を分光フィ
ルター(Oriel社製AM1.5)を通すこと により模
擬太陽光を発生させた。この光の強度は100mW/cm2であ
った。前述の太陽電池の導電性ガラスと対極層にそれぞ
れ、ワニ口クリップを接続し、模擬太陽光を照射し、発
生した電気を電流電圧測定装置(ケースレーSMU238
型)にて測定した。変換効率(η)と各電極をもちいて太
陽電池を各50個づつ作製したときの短絡率を一括して表
1に記載した。
【0091】
【表1】
【0092】表1より、比較例1、2と比べ本発明の実施
例では変換効率が同等で短絡率が非常に小さいことが明
らかである。また、比較例3は短絡率は低いが、変換効
率も低い。
【0093】
【発明の効果】以上のように、本発明の光電変換素子
は、耐久性に優れた構成であり、比較的高い光電変換効
率を有し、かつ、短絡率が非常に低く、製造得率が極め
てよい。したがって、かかる光電変換素子からなる太陽
電池は、太陽電池として極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部
分断面図である。
【図2】本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部
分断面図である。
【図3】本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部
分断面図である。
【図4】本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部
分断面図である。
【図5】本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部
分断面図である。
【図6】本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部
分断面図である。
【図7】本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す部
分断面図である。
【図8】本発明の光電変換素子を用いた基板一体型太陽
電池モジュールの構造の一例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
10 導電層 10a 透明導電層 11 金属リード 20 感光層 21 半導体微粒子 22 色素 23 正孔輸送材料 30 正孔輸送層 40 対極導電層 40a 透明対極導電層 50 基板 50a 透明基板 60 下塗り層 70 反射防止層

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体、該導電性支持体上に塗設
    された色素を吸着した半導体微粒子含有層、正孔輸送層
    および対極を含有する色素増感された光電変換素子にお
    いて、該正孔輸送層が、無機p型化合物半導体を含有
    し、かつ、該導電性支持体と半導体微粒子含有層との間
    に酸化物半導体からなる下塗り層が設けられていること
    を特徴とする光電変換素子。
  2. 【請求項2】 前記無機p型化合物半導体が、一価の銅
    を含む化合物半導体であることを特徴とする請求項1に
    記載の光電変換素子。
  3. 【請求項3】 前記無機p型化合物半導体のバンドギャ
    ップが2eV以上であることを特徴とする請求項1または
    2に記載の光電変換素子。
  4. 【請求項4】 前記無機p型化合物半導体のイオン化ポ
    テンシャルが4.5eV以上5.5eV以下であることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換素子。
  5. 【請求項5】 前記一価の銅を含む化合物半導体がCuI
    またはCuSCNであることを特徴とする請求項2に記載の
    光電変換素子。
  6. 【請求項6】 前記下塗り層の酸化物半導体が二酸化チ
    タンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載の光電変換素子。
  7. 【請求項7】 前記下塗り層の膜厚が10〜500nmである
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光電
    変換素子。
  8. 【請求項8】 前記半導体微粒子含有層が二酸化チタン
    微粒子から構成されることを特徴とする請求項1〜7の
    いずれかに記載の光電変換素子。
  9. 【請求項9】 前記色素がルテニウム錯体色素又はポリ
    メチン色素であることを特徴とする請求項1〜8のいず
    れかに記載の光電変換素子。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載された
    光電変換素子を用いることを特徴とする太陽電池。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9に記載された光電変換素
    子から構成されることを特徴とする太陽電池モジュー
    ル。
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