JP2001152323A - 透明電極および光起電力素子の作製方法 - Google Patents
透明電極および光起電力素子の作製方法Info
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- JP2001152323A JP2001152323A JP33726899A JP33726899A JP2001152323A JP 2001152323 A JP2001152323 A JP 2001152323A JP 33726899 A JP33726899 A JP 33726899A JP 33726899 A JP33726899 A JP 33726899A JP 2001152323 A JP2001152323 A JP 2001152323A
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- Y02E10/50—Photovoltaic [PV] energy
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 透過率が高く、低抵抗の透明電極を作製す
る。 【解決手段】 インジウムとスズの酸化物をターゲット
に用いた直流スパッタによる透明電極の成膜時の雰囲気
中に、ヘリウムの流量を変化させて導入することを特徴
とする。
る。 【解決手段】 インジウムとスズの酸化物をターゲット
に用いた直流スパッタによる透明電極の成膜時の雰囲気
中に、ヘリウムの流量を変化させて導入することを特徴
とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ITOを用いた透
明電極の作製方法に関するもので、特に太陽電池用ある
いは、液晶表示装置用に用いるITOを使った透明電極
に関するものである。
明電極の作製方法に関するもので、特に太陽電池用ある
いは、液晶表示装置用に用いるITOを使った透明電極
に関するものである。
【0002】
【従来技術】近年、地球温暖化防止の対策として、二酸
化炭素排出量削減が叫ばれている。そこで、二酸化炭素
を排出しない太陽光発電が注目されている。また、液晶
表示装置の普及に伴い、良好な透明電極が待たれてい
る。
化炭素排出量削減が叫ばれている。そこで、二酸化炭素
を排出しない太陽光発電が注目されている。また、液晶
表示装置の普及に伴い、良好な透明電極が待たれてい
る。
【0003】従来、透明電極にはITO、SnO2、I
n2O3などが提案されてきた。特に、ITOはスパッタ
法による作製が一般的であり、液晶表示装置用ITOな
どに供されてきた。
n2O3などが提案されてきた。特に、ITOはスパッタ
法による作製が一般的であり、液晶表示装置用ITOな
どに供されてきた。
【0004】ITOは、格子定数10.118Åのbi
xbyite型体心立方晶であり、単位格子には16分
子が含まれている。酸素の入り方によっては、蛍石型構
造の酸化物になる。電子構造については、In2O3はエ
ネルギー禁制帯が3.7eVの半導体であり、価電子帯
は酸素の2p状態からなり、伝導帯はインジウムの5s
および5p状態からなるものと考えられる。ITOでは
ここに酸化インジウムにスズを添加し、伝導帯に電子を
供給した結果、n型の導電性となり低抵抗になる。
xbyite型体心立方晶であり、単位格子には16分
子が含まれている。酸素の入り方によっては、蛍石型構
造の酸化物になる。電子構造については、In2O3はエ
ネルギー禁制帯が3.7eVの半導体であり、価電子帯
は酸素の2p状態からなり、伝導帯はインジウムの5s
および5p状態からなるものと考えられる。ITOでは
ここに酸化インジウムにスズを添加し、伝導帯に電子を
供給した結果、n型の導電性となり低抵抗になる。
【0005】太陽電池では、光エネルギーを電気エネル
ギーとして取り出すことのできる効率を高めることが必
要である都合上、低抵抗であることがもとめられる。さ
らにITOを光入射側に用いたときには、少しでも多く
の光を光電変換層に入れてやるため、高透過率が求めら
れる。
ギーとして取り出すことのできる効率を高めることが必
要である都合上、低抵抗であることがもとめられる。さ
らにITOを光入射側に用いたときには、少しでも多く
の光を光電変換層に入れてやるため、高透過率が求めら
れる。
【0006】ITOは、多結晶体であり、粒界散乱によ
る抵抗成分が、低抵抗化を進める上で、障害となる。一
般的には、結晶粒径を大きくできれば、粒界抵抗が減
り、抵抗が減少する。また、結晶粒径が大きくなれば、
粒界における乱反射がなくなり、透過率の向上にもつな
がる。例えば、特開平8−77845号公報にあるよう
に、ITOスパッタ時に、ヘリウム、ネオン、アルゴ
ン、Kr、Xeのうち少なくとも1元素からなる粒子線
を照射することにより、成膜表面にエネルギーを与え、
成長表面付近をアモルファス膜から結晶性膜に変化させ
ている。あるいは、第2の態様として、成膜中に、膜の
結晶化温度と、成膜中の膜の温度との差に基づいて決定
される照射エネルギーでヘリウム、ネオン、アルゴン、
Kr、Xeのうち少なくとも1元素からなる粒子線を照
射することにより膜を結晶性膜に改質している。
る抵抗成分が、低抵抗化を進める上で、障害となる。一
般的には、結晶粒径を大きくできれば、粒界抵抗が減
り、抵抗が減少する。また、結晶粒径が大きくなれば、
粒界における乱反射がなくなり、透過率の向上にもつな
がる。例えば、特開平8−77845号公報にあるよう
に、ITOスパッタ時に、ヘリウム、ネオン、アルゴ
ン、Kr、Xeのうち少なくとも1元素からなる粒子線
を照射することにより、成膜表面にエネルギーを与え、
成長表面付近をアモルファス膜から結晶性膜に変化させ
ている。あるいは、第2の態様として、成膜中に、膜の
結晶化温度と、成膜中の膜の温度との差に基づいて決定
される照射エネルギーでヘリウム、ネオン、アルゴン、
Kr、Xeのうち少なくとも1元素からなる粒子線を照
射することにより膜を結晶性膜に改質している。
【0007】しかし、粒子線を成膜表面に均一に照射す
ることは、太陽電池のような大面積デバイスの生産工程
では技術的に困難であり、もっと実際的な方法が求めら
れている。また、ITO成膜には一般的にスパッタ法が
用いられているが、ターゲット上でターゲット面に垂直
な磁場がゼロとなる部分(ターゲットで最も食刻される
部分)でアークが回転するという独特の異常放電(トラ
ッキングアーク)が発生する。異常放電が発生すると、
放電のインピーダンスが低下し、電力が効率よくターゲ
ットに供給されず成膜速度が低下したり、全く成膜され
なくなる不具合が生じる。場合によっては、異常放電の
発生により全く異なった膜が形成されることもある。特
に、トラッキングアークが発生すると、ターゲットの電
位が正になり、ターゲットがスパッタリングされず、他
の部材がスパッタリングされる。このために、反対にタ
ーゲット上に膜が形成され、また基板上に膜が形成され
たとしても高抵抗で不透明な膜が形成されるという不都
合が生じる。さらに、異常放電が基板上で発生したとき
には、その部分が欠陥となり、直接製品不良となる。ま
た異常放電は、パーティクル発生の原因ともなり、製品
不良の原因となる。
ることは、太陽電池のような大面積デバイスの生産工程
では技術的に困難であり、もっと実際的な方法が求めら
れている。また、ITO成膜には一般的にスパッタ法が
用いられているが、ターゲット上でターゲット面に垂直
な磁場がゼロとなる部分(ターゲットで最も食刻される
部分)でアークが回転するという独特の異常放電(トラ
ッキングアーク)が発生する。異常放電が発生すると、
放電のインピーダンスが低下し、電力が効率よくターゲ
ットに供給されず成膜速度が低下したり、全く成膜され
なくなる不具合が生じる。場合によっては、異常放電の
発生により全く異なった膜が形成されることもある。特
に、トラッキングアークが発生すると、ターゲットの電
位が正になり、ターゲットがスパッタリングされず、他
の部材がスパッタリングされる。このために、反対にタ
ーゲット上に膜が形成され、また基板上に膜が形成され
たとしても高抵抗で不透明な膜が形成されるという不都
合が生じる。さらに、異常放電が基板上で発生したとき
には、その部分が欠陥となり、直接製品不良となる。ま
た異常放電は、パーティクル発生の原因ともなり、製品
不良の原因となる。
【0008】上記トラッキングアークは、ターゲット表
面での磁場強度を弱めること、スパッタリング圧力を高
くすること、および供給電力を低くすることで発生しに
くくなる。またスパッタリング圧力を高くしたり、供給
電力を低くすることでトラッキングアーク以外の他のア
ークも発生しにくくなる。しかし、これらの方法でも異
常放電を完全に抑制することはできない。さらに、これ
らの方法では成膜速度が低下してしまい、生産向きでは
ない。
面での磁場強度を弱めること、スパッタリング圧力を高
くすること、および供給電力を低くすることで発生しに
くくなる。またスパッタリング圧力を高くしたり、供給
電力を低くすることでトラッキングアーク以外の他のア
ークも発生しにくくなる。しかし、これらの方法でも異
常放電を完全に抑制することはできない。さらに、これ
らの方法では成膜速度が低下してしまい、生産向きでは
ない。
【0009】そこで、特開平9−21717号公報にあ
るように、スパッタリングガスとして希ガスあるいは希
ガスと酸素を導入し高周波マグネトロンスパッタで、高
周波電力を周期的に停止し、高周波電力の供給時間を異
常放電発生に要する時間よりも短くすることにより異常
放電を抑えている。しかし、この発明では電源を高周波
に限定し、供給電力の停止を行うことが必要なため、装
置構成が複雑である。一般に、直流スパッタの方が、浮
遊容量を気にしなくてよく装置構成が簡単で済むことか
ら多く用いられており、特開平9−21717号公報の
ように高周波電源によって行うと装置制御が難しく、コ
ストも高くついてしまう。
るように、スパッタリングガスとして希ガスあるいは希
ガスと酸素を導入し高周波マグネトロンスパッタで、高
周波電力を周期的に停止し、高周波電力の供給時間を異
常放電発生に要する時間よりも短くすることにより異常
放電を抑えている。しかし、この発明では電源を高周波
に限定し、供給電力の停止を行うことが必要なため、装
置構成が複雑である。一般に、直流スパッタの方が、浮
遊容量を気にしなくてよく装置構成が簡単で済むことか
ら多く用いられており、特開平9−21717号公報の
ように高周波電源によって行うと装置制御が難しく、コ
ストも高くついてしまう。
【0010】ITOを低抵抗にするための技術として、
例えば、特開平6−150724号公報では、非晶質基
板の上に(100)配向したITOを形成することによ
り良質なITOを得ている。具体的には、In2O3の結
晶構造において、インジウムは酸素の約2/3のイオン
半径しかないので無視し、さらに酸素欠陥も無視した模
型の場合、その最密面は(100)であること、また、
実用の際ITOを非晶質材料の上に成膜するとすれば、
基板からの静電ポテンシャルは無視でき、最密面を基板
と平行に成長すること、の二つから非晶質基板上での理
想的結晶配向は(100)であり、(100)配向のI
TOは電気的光学的にも優れていると考えられている。
例えば、特開平6−150724号公報では、非晶質基
板の上に(100)配向したITOを形成することによ
り良質なITOを得ている。具体的には、In2O3の結
晶構造において、インジウムは酸素の約2/3のイオン
半径しかないので無視し、さらに酸素欠陥も無視した模
型の場合、その最密面は(100)であること、また、
実用の際ITOを非晶質材料の上に成膜するとすれば、
基板からの静電ポテンシャルは無視でき、最密面を基板
と平行に成長すること、の二つから非晶質基板上での理
想的結晶配向は(100)であり、(100)配向のI
TOは電気的光学的にも優れていると考えられている。
【0011】一方、ITOは膜厚が厚くなるにつれ、
(100)配向から(211)配向に変化し電気的光学
的特性が劣化する。そこで、特開平6−150724号
公報では、ITOの成長方向に、一定周期毎に結晶配向
を乱すような層を設けることでITOを(100)配向
を主とする成長を形成し、比抵抗を下げている。
(100)配向から(211)配向に変化し電気的光学
的特性が劣化する。そこで、特開平6−150724号
公報では、ITOの成長方向に、一定周期毎に結晶配向
を乱すような層を設けることでITOを(100)配向
を主とする成長を形成し、比抵抗を下げている。
【0012】しかし、太陽電池の窓材が600Åと薄い
ため、このように非晶質層を設けることは太陽電池用の
透明電極には用いることができなかった。
ため、このように非晶質層を設けることは太陽電池用の
透明電極には用いることができなかった。
【0013】また、特開平9−78236号公報では、
スパッタリングガスにキセノンを用いることで低抵抗化
を行っているが、キセノンガスのみで大量に用いると、
キセノンガスは高価であるため、生産に適さない。
スパッタリングガスにキセノンを用いることで低抵抗化
を行っているが、キセノンガスのみで大量に用いると、
キセノンガスは高価であるため、生産に適さない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】太陽電池用透明電極と
して適したITOには、光をより多く半導体層に入れて
やるために透明度の高いこと、かつ発電により発生した
キャリアを収集するために低抵抗であることが望まれて
いる。
して適したITOには、光をより多く半導体層に入れて
やるために透明度の高いこと、かつ発電により発生した
キャリアを収集するために低抵抗であることが望まれて
いる。
【0015】さらに、太陽電池などの製品は、長い期間
使用されることを考慮しなければならないため、ITO
の耐久性の面から、下層との密着性に優れたITOの形
成が必要である。耐久性の点では、薄膜付着力、耐候性
が特に重要である。
使用されることを考慮しなければならないため、ITO
の耐久性の面から、下層との密着性に優れたITOの形
成が必要である。耐久性の点では、薄膜付着力、耐候性
が特に重要である。
【0016】さらに、ITOでは生産に用いられるよう
に装置が安価で簡素なことが求められている。
に装置が安価で簡素なことが求められている。
【0017】本発明の目的は以上の課題を解決し、特に
太陽電池に適したITOの作製法を提供することであ
る。
太陽電池に適したITOの作製法を提供することであ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
成された本発明の構成は、以下の通りである。
成された本発明の構成は、以下の通りである。
【0019】すなわち本発明の第1は、インジウムとス
ズの酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透
明電極の作製方法において、該透明電極の成膜時の雰囲
気中に、流量を変化させながらヘリウムを導入すること
を特徴とするものである。これにより、ITOの結晶粒
径を自由に変化させることができ、より高い透過率の透
明電極を作製することができる。
ズの酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透
明電極の作製方法において、該透明電極の成膜時の雰囲
気中に、流量を変化させながらヘリウムを導入すること
を特徴とするものである。これにより、ITOの結晶粒
径を自由に変化させることができ、より高い透過率の透
明電極を作製することができる。
【0020】この場合、透明電極の成膜時の雰囲気中の
ヘリウム濃度を透明電極の膜厚方向に変化させることが
好ましく、また、ヘリウムの導入量を、透明電極の成膜
後期よりも成膜初期において多くすることが好ましい。
これにより、例えば半導体/透明電極界面を有する光起
電力素子を作製した場合において、半導体/透明電極界
面で熱伝導率が高くなり、大容量の熱を安定かつ速かに
半導体層から逃がすことが可能となり、かかる光起電力
素子を有する太陽電池モジュールを屋根に設置したとき
に光起電力素子に蓄積する熱を小さくすることができ
る。さらに、光起電力素子として用いるとき、透明電極
の上に集電電極を堆積し、さらにラミネーションを行う
際に150℃近くまで加熱している。そのため、熱伝導
度の高いITOを用いれば、ITO/半導体界面でのは
がれ等を防止でき、ユーザに太陽電池の商品劣悪感を与
えず、かつ信頼性をさげる不具合を防止することができ
る。
ヘリウム濃度を透明電極の膜厚方向に変化させることが
好ましく、また、ヘリウムの導入量を、透明電極の成膜
後期よりも成膜初期において多くすることが好ましい。
これにより、例えば半導体/透明電極界面を有する光起
電力素子を作製した場合において、半導体/透明電極界
面で熱伝導率が高くなり、大容量の熱を安定かつ速かに
半導体層から逃がすことが可能となり、かかる光起電力
素子を有する太陽電池モジュールを屋根に設置したとき
に光起電力素子に蓄積する熱を小さくすることができ
る。さらに、光起電力素子として用いるとき、透明電極
の上に集電電極を堆積し、さらにラミネーションを行う
際に150℃近くまで加熱している。そのため、熱伝導
度の高いITOを用いれば、ITO/半導体界面でのは
がれ等を防止でき、ユーザに太陽電池の商品劣悪感を与
えず、かつ信頼性をさげる不具合を防止することができ
る。
【0021】また、前記透明電極の作製ガスとして、ネ
オン、アルゴン、O2のうち少なくとも一つを用いるこ
とが好ましく、これにより単にアルゴンガスをスパッタ
リングガスとして用いた場合に比し、膜剥がれがなく、
高透過率でキャリア密度の高い透明電極が得られる。
オン、アルゴン、O2のうち少なくとも一つを用いるこ
とが好ましく、これにより単にアルゴンガスをスパッタ
リングガスとして用いた場合に比し、膜剥がれがなく、
高透過率でキャリア密度の高い透明電極が得られる。
【0022】また、前記作製ガスに対する前記ヘリウム
の流量比が1%以上であることが好ましく、これにより
結晶分率を向上させることができる。
の流量比が1%以上であることが好ましく、これにより
結晶分率を向上させることができる。
【0023】また、前記透明電極の成膜に用いる反応室
を封止の状態でスパッタすることが好ましく、これによ
りヘリウム原子のターゲットへの打ち込みにともない反
応室圧力が低下し、スパッタレートが上昇し堆積速度を
速めることができる。
を封止の状態でスパッタすることが好ましく、これによ
りヘリウム原子のターゲットへの打ち込みにともない反
応室圧力が低下し、スパッタレートが上昇し堆積速度を
速めることができる。
【0024】また、本発明の第2は、インジウムとスズ
の酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透明
電極の作製方法において、該透明電極を堆積する基板が
電気的にフローティングであることを特徴とするもので
ある。これにより、透明電極の耐酸性を向上させること
ができ、特に光起電力素子の透明電極の作製に適用した
場合、近年問題となっている酸性雨に対する耐久性を高
めることができる。
の酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透明
電極の作製方法において、該透明電極を堆積する基板が
電気的にフローティングであることを特徴とするもので
ある。これにより、透明電極の耐酸性を向上させること
ができ、特に光起電力素子の透明電極の作製に適用した
場合、近年問題となっている酸性雨に対する耐久性を高
めることができる。
【0025】この場合、前記基板は、フローティングバ
イアスが−50V以上であることが好ましい。これによ
り、トラッキングアークやそれ以外の異常放電が減少し
安定した放電を行うことができ、透明電極内の異常成長
を減少させることができる。
イアスが−50V以上であることが好ましい。これによ
り、トラッキングアークやそれ以外の異常放電が減少し
安定した放電を行うことができ、透明電極内の異常成長
を減少させることができる。
【0026】また、本発明の第3は、インジウムとスズ
の酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透明
電極の作製方法において、該透明電極を堆積する基板
と、スパッタターゲットの距離が7cm以上であること
を特徴とするものである。これにより、スパッタプラズ
マの処理部分と高エネルギー・イオン等を多く含むと思
われるプラズマの生成部分を分離し、プラズマによる基
板への損傷を低減し、この損傷が最近の高性能化した半
導体デバイス、液晶ディスプレイ等の信頼性を低下させ
るという問題を解決し、さらに膜厚分布をなくすととも
に、堆積速度の高い透明電極の作製が可能となる。
の酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透明
電極の作製方法において、該透明電極を堆積する基板
と、スパッタターゲットの距離が7cm以上であること
を特徴とするものである。これにより、スパッタプラズ
マの処理部分と高エネルギー・イオン等を多く含むと思
われるプラズマの生成部分を分離し、プラズマによる基
板への損傷を低減し、この損傷が最近の高性能化した半
導体デバイス、液晶ディスプレイ等の信頼性を低下させ
るという問題を解決し、さらに膜厚分布をなくすととも
に、堆積速度の高い透明電極の作製が可能となる。
【0027】また、本発明の第4は、ステンレスを支持
基板とし、裏面金属層、透明導電層、半導体層、透明電
極の順で積層した光起電力素子の作製方法において、該
透明電極を上記本発明の第1乃至第3のいずれかの方法
によって作製することを特徴とするものである。これに
より、光の収集効率を向上させることができ、変換効率
が向上する。
基板とし、裏面金属層、透明導電層、半導体層、透明電
極の順で積層した光起電力素子の作製方法において、該
透明電極を上記本発明の第1乃至第3のいずれかの方法
によって作製することを特徴とするものである。これに
より、光の収集効率を向上させることができ、変換効率
が向上する。
【0028】この場合、前記半導体層が、第1の導電型
半導体層、真性の半導体層、第1の導電型半導体層とは
逆の極性をもつ第2の導電型半導体層なるpin構造を
もち、該真性半導体層が微結晶シリコンからなることが
好ましい。これにより、高い透過率を有する透明電極に
より微結晶シリコンセルの短絡電流密度を向上させるこ
とができる。
半導体層、真性の半導体層、第1の導電型半導体層とは
逆の極性をもつ第2の導電型半導体層なるpin構造を
もち、該真性半導体層が微結晶シリコンからなることが
好ましい。これにより、高い透過率を有する透明電極に
より微結晶シリコンセルの短絡電流密度を向上させるこ
とができる。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明の第1では、真空反応槽内
で放電プラズマを生成させ、該放電プラズマ中又はこれ
に接触せしめるよう、該真空反応槽内にITOターゲッ
トを配置しかつヘリウムのみ、またはヘリウムと種々の
希ガスまたは/および酸化物ガスの混合ガスを導入する
ことにより、ITOを生成せしめることによって、上述
した従来技術の課題を解決した。これは放電を小さな空
間で安定に行わせる目的とともに、希ガスは固体元素の
スパッタ効率が高いので、固体を蒸発させることに主眼
を置いて添加される。希ガスの中でも安価であることか
らアルゴンが一般に用いられるが、本発明では特にヘリ
ウムを導入することに特徴を有する。
で放電プラズマを生成させ、該放電プラズマ中又はこれ
に接触せしめるよう、該真空反応槽内にITOターゲッ
トを配置しかつヘリウムのみ、またはヘリウムと種々の
希ガスまたは/および酸化物ガスの混合ガスを導入する
ことにより、ITOを生成せしめることによって、上述
した従来技術の課題を解決した。これは放電を小さな空
間で安定に行わせる目的とともに、希ガスは固体元素の
スパッタ効率が高いので、固体を蒸発させることに主眼
を置いて添加される。希ガスの中でも安価であることか
らアルゴンが一般に用いられるが、本発明では特にヘリ
ウムを導入することに特徴を有する。
【0030】条件を適当に設定することによって、膜の
結晶粒の大きさを、スパッタ成膜時の極めて初期の段階
に、決定することが可能で、膜厚が600Å程度まで
は、成膜条件がある程度変化しても成膜初期の核密度が
維持され、結晶粒の大きなITOとなることが本発明の
実験で確かめられた。
結晶粒の大きさを、スパッタ成膜時の極めて初期の段階
に、決定することが可能で、膜厚が600Å程度まで
は、成膜条件がある程度変化しても成膜初期の核密度が
維持され、結晶粒の大きなITOとなることが本発明の
実験で確かめられた。
【0031】そして、ITOの比抵抗は、成膜条件で大
きく変化し、特に、基板温度、スパッタガスの酸素濃度
において顕著である。ITO作製時の基板温度、アルゴ
ン流量を変化させたときの膜中のSn濃度と比抵抗の関
係を表1に示す。
きく変化し、特に、基板温度、スパッタガスの酸素濃度
において顕著である。ITO作製時の基板温度、アルゴ
ン流量を変化させたときの膜中のSn濃度と比抵抗の関
係を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】Sn濃度:膜中のスズ濃度
【0034】ITOの比抵抗は、基板温度に関しては2
50℃近辺で最小となり、希ガスとしてヘリウムを用い
たときのアルゴン含有量の最適値は、O.5〜1%程度
であるが、その最適値は、膜中のSn濃度が異なっても
大きな差がなかった。
50℃近辺で最小となり、希ガスとしてヘリウムを用い
たときのアルゴン含有量の最適値は、O.5〜1%程度
であるが、その最適値は、膜中のSn濃度が異なっても
大きな差がなかった。
【0035】また、キャリアの移動度は、ヘリウムが増
えると、小さくなる。それに対し、キャリア濃度は、ヘ
リウムの影響を余り受けないか、逆に若干上昇するとい
うことが、実験的に分かった。
えると、小さくなる。それに対し、キャリア濃度は、ヘ
リウムの影響を余り受けないか、逆に若干上昇するとい
うことが、実験的に分かった。
【0036】以上のことから、膜形成の極めて初期の段
階で、核形成密度が小さく、結晶粒の大きな膜を形成
し、次に、キャリア濃度の高い膜を積層すれば、膜特性
を改善することができる。
階で、核形成密度が小さく、結晶粒の大きな膜を形成
し、次に、キャリア濃度の高い膜を積層すれば、膜特性
を改善することができる。
【0037】本発明のように高透過率のITOを形成す
ることにより、光起電力素子の電流密度を向上させるこ
とができる。透明電極膜の曇りは、散乱透過光量の全透
過光量に対する百分率で定義されるヘイズの値で表現さ
れる。ヘイズの値が小さいほど、透過率が高く、太陽電
池用透明電極として望ましい。そのヘイズの値は膜厚に
ほぼ比例するが、様々の粒径の微粒子を用いて検討した
結果、導電性微粒子の粒径は小さいほど好ましく、0.
1μm程度の膜厚でヘイズを5%以下に抑えるために
は、導電性微粒子の平均粒径を約100Å以下にするこ
とが重要であることが明らかとなった。平均粒径が50
Å以下であるときには、入射可視光の散乱モードは、ほ
とんどがいわゆるRayleigh散乱又はMie散乱
のモードとなり、物体の形状による散乱は極めて少なく
なる。逆に平均粒径50Å以上の粒子を用いた場合、粒
子自体の散乱や、膜表面の粗さの増加による散乱が大き
くなり、ヘイズが容易に5%を越えるようになる。
ることにより、光起電力素子の電流密度を向上させるこ
とができる。透明電極膜の曇りは、散乱透過光量の全透
過光量に対する百分率で定義されるヘイズの値で表現さ
れる。ヘイズの値が小さいほど、透過率が高く、太陽電
池用透明電極として望ましい。そのヘイズの値は膜厚に
ほぼ比例するが、様々の粒径の微粒子を用いて検討した
結果、導電性微粒子の粒径は小さいほど好ましく、0.
1μm程度の膜厚でヘイズを5%以下に抑えるために
は、導電性微粒子の平均粒径を約100Å以下にするこ
とが重要であることが明らかとなった。平均粒径が50
Å以下であるときには、入射可視光の散乱モードは、ほ
とんどがいわゆるRayleigh散乱又はMie散乱
のモードとなり、物体の形状による散乱は極めて少なく
なる。逆に平均粒径50Å以上の粒子を用いた場合、粒
子自体の散乱や、膜表面の粗さの増加による散乱が大き
くなり、ヘイズが容易に5%を越えるようになる。
【0038】本発明に用いられる透明電極作製装置の構
成は比較的簡単であり、通常用いられている放電プラズ
マ発生装置を用い、放電プラズマ中あるいは放電プラズ
マに接するような位置にITOターゲットあるいはIn
Snターゲットが設置されて成る。使用する電源方式に
関して、マグネトロンスパッタ装置でプラズマ生成のた
めの放電用電力を得る方式としては、従来ターゲットに
印加される電力方式に応じてDC方式(直流電源方式)
とRF方式(高周波電源方式)の2種類が存在する。
成は比較的簡単であり、通常用いられている放電プラズ
マ発生装置を用い、放電プラズマ中あるいは放電プラズ
マに接するような位置にITOターゲットあるいはIn
Snターゲットが設置されて成る。使用する電源方式に
関して、マグネトロンスパッタ装置でプラズマ生成のた
めの放電用電力を得る方式としては、従来ターゲットに
印加される電力方式に応じてDC方式(直流電源方式)
とRF方式(高周波電源方式)の2種類が存在する。
【0039】DC方式は、ターゲットに供給される電力
を調整するための整合器が不要である点で構造や操作が
簡単であり、かつ成膜速度が高い。これは、従来のRF
マグネトロンスパッタ方式では、ITOの成膜速度を大
きくすることができない。すなわち、RFマグネトロン
スパッタ方式では、発生したプラズマが反応室の内部空
間全体に広がるため、基板がプラズマに直接にさらされ
る。この状態で、成膜速度を高める目的で、供給電力を
大きくするかまたは基板とターゲットの間隔を短くする
と、イオンや電子等が基板に入射する確率が大きくな
り、基板の温度が上昇し、基板の内部応力が大きくな
る。基板温度が大きくなると基板にすでに堆積してある
半導体積層構造pinの相互拡散の問題が起き、半導体
層の内部応力が大きくなると膜剥離の問題が起きる。
を調整するための整合器が不要である点で構造や操作が
簡単であり、かつ成膜速度が高い。これは、従来のRF
マグネトロンスパッタ方式では、ITOの成膜速度を大
きくすることができない。すなわち、RFマグネトロン
スパッタ方式では、発生したプラズマが反応室の内部空
間全体に広がるため、基板がプラズマに直接にさらされ
る。この状態で、成膜速度を高める目的で、供給電力を
大きくするかまたは基板とターゲットの間隔を短くする
と、イオンや電子等が基板に入射する確率が大きくな
り、基板の温度が上昇し、基板の内部応力が大きくな
る。基板温度が大きくなると基板にすでに堆積してある
半導体積層構造pinの相互拡散の問題が起き、半導体
層の内部応力が大きくなると膜剥離の問題が起きる。
【0040】このような理由から、RFマグネトロンス
パッタ方式では、供給電力を大きくすること、および基
板とターゲットの間隔を短くすることができず、そのた
めITOの成膜速度を大きくすることはできない。
パッタ方式では、供給電力を大きくすること、および基
板とターゲットの間隔を短くすることができず、そのた
めITOの成膜速度を大きくすることはできない。
【0041】DCマグネトロンスパッタ方式では、図3
に示すように、プラズマ放電領域が基板305とITO
ターゲット308の間の限定された空間に形成され、反
応室314の内部空間の全体に広がらない。このため、
供給電力を大きくするか、または基板とターゲットの間
隔を短くすることによって、ITOの成膜速度を大きく
することができる。
に示すように、プラズマ放電領域が基板305とITO
ターゲット308の間の限定された空間に形成され、反
応室314の内部空間の全体に広がらない。このため、
供給電力を大きくするか、または基板とターゲットの間
隔を短くすることによって、ITOの成膜速度を大きく
することができる。
【0042】一方、ITOターゲットを使用したマグネ
トロンスパッタ装置によるITOの成膜では、電源とし
て過去ではRF電源が使用されていた。この理由は、I
TOターゲットとして充填密度が60%までのもの(い
わゆる低密度のITOターゲット)しか作れず、インピ
ーダンスが高くほとんど絶縁物に近い状態であり、DC
電源を使用することができなかったからである。
トロンスパッタ装置によるITOの成膜では、電源とし
て過去ではRF電源が使用されていた。この理由は、I
TOターゲットとして充填密度が60%までのもの(い
わゆる低密度のITOターゲット)しか作れず、インピ
ーダンスが高くほとんど絶縁物に近い状態であり、DC
電源を使用することができなかったからである。
【0043】しかしながら近年では、充填密度70%以
上のインピーダンスが十分に低いITOターゲット(い
わゆる高密度のITOターゲット)を作ることができる
ようになったのでDC電源を用いることが可能となり、
本発明ではRF方式よりも優れているDC方式を用い
た。
上のインピーダンスが十分に低いITOターゲット(い
わゆる高密度のITOターゲット)を作ることができる
ようになったのでDC電源を用いることが可能となり、
本発明ではRF方式よりも優れているDC方式を用い
た。
【0044】前記透明電極の作製ガスとしては、Xe、
ネオン、Kr、アルゴン、O2を好ましく用いることが
できる。従来のアルゴンガスをスパッタリングガスとし
て用いた場合に比し、ヘリウムガスにXe、ネオン、K
r、アルゴン、O2のいずれかすくなくとも一つをスパ
ッタリングガスとして用いて成膜したITOの抵抗率が
低いことが確かめられた。その理由はまだ解明されてい
ない。また、下層との付着力も高くなることが剥離試験
で確かめられた。
ネオン、Kr、アルゴン、O2を好ましく用いることが
できる。従来のアルゴンガスをスパッタリングガスとし
て用いた場合に比し、ヘリウムガスにXe、ネオン、K
r、アルゴン、O2のいずれかすくなくとも一つをスパ
ッタリングガスとして用いて成膜したITOの抵抗率が
低いことが確かめられた。その理由はまだ解明されてい
ない。また、下層との付着力も高くなることが剥離試験
で確かめられた。
【0045】そして、マグネトロン・スパッタリング装
置を用いることがよい。マグネトロン・スパッタリング
は被着速度が高く、1.3×10-1Pa台の高真空で数
百Vの電圧で放電できるため、成膜基板への荷電粒子衝
撃による損傷がない。また、ITOのキャリア密度も、
ヒータ設定温度300℃以下の低温成膜の場合に、ヘリ
ウムとネオンガスを用いることによってアルゴンガスを
用いるよりも高い値になることが確かめられた。これら
の方法で成膜されたITOは、低抵抗で薄膜付着力が高
いので、この成膜方法を薄膜太陽電池の透明電極形成の
ために行うことが有効である。
置を用いることがよい。マグネトロン・スパッタリング
は被着速度が高く、1.3×10-1Pa台の高真空で数
百Vの電圧で放電できるため、成膜基板への荷電粒子衝
撃による損傷がない。また、ITOのキャリア密度も、
ヒータ設定温度300℃以下の低温成膜の場合に、ヘリ
ウムとネオンガスを用いることによってアルゴンガスを
用いるよりも高い値になることが確かめられた。これら
の方法で成膜されたITOは、低抵抗で薄膜付着力が高
いので、この成膜方法を薄膜太陽電池の透明電極形成の
ために行うことが有効である。
【0046】本発明の第2においては、インジウムとス
ズの酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透
明電極の作製方法において、該透明電極を堆積する基板
が電気的にフローティングであることを特徴とするもの
で、原因は良く分からないが、結晶組成が、酸素poo
rな方向になっており耐酸性が向上していた。この時、
基板は、フローティングバイアスが−50V以上である
と、トラッキングアークやそれ以外の異常放電が減少し
安定した放電を行うことができる。
ズの酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透
明電極の作製方法において、該透明電極を堆積する基板
が電気的にフローティングであることを特徴とするもの
で、原因は良く分からないが、結晶組成が、酸素poo
rな方向になっており耐酸性が向上していた。この時、
基板は、フローティングバイアスが−50V以上である
と、トラッキングアークやそれ以外の異常放電が減少し
安定した放電を行うことができる。
【0047】フローティングバイアスとトラッキングア
ークとの因果関係は、現在のところ解明されていない。
トラッキングアーク以外の異常放電の発生原因は、パー
ティクルおよびターゲット上の再付着膜やノジュール
(突起物)の他、浮遊電位の部材や基板に付着した導電
性あるいは絶縁性の膜、および接地電位の部材や基板上
に形成された高抵抗或は絶縁性の膜が原因であると考え
られている。いずれにしても、それらがカソードや接地
された部材と電気的に導通していない場合、チャージア
ップしてしまいカソード電位(セルフバイアス)あるい
は接地電位との電位差を生じ、その電位差によって異常
放電が発生すると予想される。
ークとの因果関係は、現在のところ解明されていない。
トラッキングアーク以外の異常放電の発生原因は、パー
ティクルおよびターゲット上の再付着膜やノジュール
(突起物)の他、浮遊電位の部材や基板に付着した導電
性あるいは絶縁性の膜、および接地電位の部材や基板上
に形成された高抵抗或は絶縁性の膜が原因であると考え
られている。いずれにしても、それらがカソードや接地
された部材と電気的に導通していない場合、チャージア
ップしてしまいカソード電位(セルフバイアス)あるい
は接地電位との電位差を生じ、その電位差によって異常
放電が発生すると予想される。
【0048】本発明者は、InおよびSnの酸化物をタ
ーゲットとして用いた直流マグネトロンスパッタリング
法によるITOの作製における異常放電、特にトラッキ
ングアークの問題を解決すべく鋭意研究した。その結
果、トラッキングアーク発生の原因と機構について、次
のような2つの考えに到った。
ーゲットとして用いた直流マグネトロンスパッタリング
法によるITOの作製における異常放電、特にトラッキ
ングアークの問題を解決すべく鋭意研究した。その結
果、トラッキングアーク発生の原因と機構について、次
のような2つの考えに到った。
【0049】第1の考えは、ターゲット上に付着したパ
ーティクルや再付着した膜が原因であるという考えであ
る。パーティクルや膜は、絶縁物または高抵抗であり、
また導電性のものでも、付着力が弱いため、ターゲット
との間に高い接触抵抗を持つ場合がある。このような場
合、これらはチャージアップし、カソード電位(セルフ
バイアス)との電位差を生じ、この電位差によってアー
クが発生する。アークが発生すると、ターゲットに付着
していたチャージアップしたものが動けるようになる。
動けるようになったチャージアップしたものは、それの
持つチャージによって、ターゲット背面に配置したマグ
ネットの磁場にトラップされ、ターゲットが最も食刻さ
れる部分をドリフトする。このドリフトに伴って、アー
クもドリフトする。
ーティクルや再付着した膜が原因であるという考えであ
る。パーティクルや膜は、絶縁物または高抵抗であり、
また導電性のものでも、付着力が弱いため、ターゲット
との間に高い接触抵抗を持つ場合がある。このような場
合、これらはチャージアップし、カソード電位(セルフ
バイアス)との電位差を生じ、この電位差によってアー
クが発生する。アークが発生すると、ターゲットに付着
していたチャージアップしたものが動けるようになる。
動けるようになったチャージアップしたものは、それの
持つチャージによって、ターゲット背面に配置したマグ
ネットの磁場にトラップされ、ターゲットが最も食刻さ
れる部分をドリフトする。このドリフトに伴って、アー
クもドリフトする。
【0050】第2の考えは、放電空間を浮遊するパーテ
ィクルやスパッタ粒子が、放電時間と共にプラズマ中の
カソードシーズとの界面に集まり、クラスタを形成しか
つ負にチャージする(このことに関しては、S.J.C
hoi等が報告している。例えば、AMERICAN
VACUUM SOCIETY,38th Nation
al Symposium,Fina1 Progra
m,p77,講演番号PS−MoM6,(1991))
ことが原因であるという考えである。このクラスタはチ
ャージしているため、ターゲット背面に配置したマグネ
ットの磁場にトラップされ、ターゲットが最も食刻され
る部分に集中し、この部分をドリフトする。そして、ク
ラスタはドリフトしながら成長し、さらにチャージング
するので、或るところでカソードとの電位差によりアー
クが発生する。チャージしたクラスタがドリフトしてい
るので、このアークもドリフトする。
ィクルやスパッタ粒子が、放電時間と共にプラズマ中の
カソードシーズとの界面に集まり、クラスタを形成しか
つ負にチャージする(このことに関しては、S.J.C
hoi等が報告している。例えば、AMERICAN
VACUUM SOCIETY,38th Nation
al Symposium,Fina1 Progra
m,p77,講演番号PS−MoM6,(1991))
ことが原因であるという考えである。このクラスタはチ
ャージしているため、ターゲット背面に配置したマグネ
ットの磁場にトラップされ、ターゲットが最も食刻され
る部分に集中し、この部分をドリフトする。そして、ク
ラスタはドリフトしながら成長し、さらにチャージング
するので、或るところでカソードとの電位差によりアー
クが発生する。チャージしたクラスタがドリフトしてい
るので、このアークもドリフトする。
【0051】トラッキングアークの発生までには、トラ
ッキングアーク以外の他の異常放電と同様に、チャージ
ングのための時間が必要である。このことは、研究の際
トラッキングアークが高周波電力の供給開始(すなわち
放電開始)と同時には発生しなかったことから明らかで
ある。
ッキングアーク以外の他の異常放電と同様に、チャージ
ングのための時間が必要である。このことは、研究の際
トラッキングアークが高周波電力の供給開始(すなわち
放電開始)と同時には発生しなかったことから明らかで
ある。
【0052】そこで、本発明では、トラッキングアーク
等の異常放電が発生する前の段階で、チャージングによ
って生じる異常放電を緩和するために基板にセルフバイ
アスを印加し、これによって問題を解決しようとするも
のである。
等の異常放電が発生する前の段階で、チャージングによ
って生じる異常放電を緩和するために基板にセルフバイ
アスを印加し、これによって問題を解決しようとするも
のである。
【0053】チャージングを緩和するには望ましくはチ
ャージアップしたものと、基板とを同電位にしてやれば
よい。またチャージングを緩和するにあたって、必ずし
も完全に同電位である必要はない。
ャージアップしたものと、基板とを同電位にしてやれば
よい。またチャージングを緩和するにあたって、必ずし
も完全に同電位である必要はない。
【0054】本発明者は研究の中で、トラッキングアー
クが発生している場合でも、ある程度のフローティング
バイアスを印加することで持続していたトラッキングア
ークを停止できることを見出した。さらに、チャージン
グしたものと基板が完全に同電位でなくともトラッキン
グアークは発生せず、ある程度のフローティングバイア
スを基板に印加すれば安定に放電できることも見出し
た。これらは、チャージングしたものの電位と完全に一
致しなくてもトラッキングアークを停止することがで
き、チャージング状態が少々変化しても同じフローティ
ングバイアスを印加すればトラッキングアークを緩和で
きるということを意味するものである。つまり、基板側
にある程度のフローティングバイアスを印加すれば、チ
ャージングが変化しながらトラッキングアークを起こし
そうな状態であって、そのチャージングによる基板との
電位差を緩和でき、トラッキングアークの発生を抑制で
きるのである。
クが発生している場合でも、ある程度のフローティング
バイアスを印加することで持続していたトラッキングア
ークを停止できることを見出した。さらに、チャージン
グしたものと基板が完全に同電位でなくともトラッキン
グアークは発生せず、ある程度のフローティングバイア
スを基板に印加すれば安定に放電できることも見出し
た。これらは、チャージングしたものの電位と完全に一
致しなくてもトラッキングアークを停止することがで
き、チャージング状態が少々変化しても同じフローティ
ングバイアスを印加すればトラッキングアークを緩和で
きるということを意味するものである。つまり、基板側
にある程度のフローティングバイアスを印加すれば、チ
ャージングが変化しながらトラッキングアークを起こし
そうな状態であって、そのチャージングによる基板との
電位差を緩和でき、トラッキングアークの発生を抑制で
きるのである。
【0055】ターゲット近傍はチャージングするものの
フローティングバイアスは変化している。チャージング
する物の動きは時間平均をとれば均一になっているよう
なランダムな動きではなく、ブラウン運動的である。し
かし、そのチャージングしたものの動きによって、プラ
ズマ空間が変化し、基板側の電位がチャージングしたも
のの動きによって変化するため、実質的に基板とチャー
ジングしたものとの電位差に、チャージングしたものの
動きを考慮する必要はないということを発明者は見出し
た。
フローティングバイアスは変化している。チャージング
する物の動きは時間平均をとれば均一になっているよう
なランダムな動きではなく、ブラウン運動的である。し
かし、そのチャージングしたものの動きによって、プラ
ズマ空間が変化し、基板側の電位がチャージングしたも
のの動きによって変化するため、実質的に基板とチャー
ジングしたものとの電位差に、チャージングしたものの
動きを考慮する必要はないということを発明者は見出し
た。
【0056】また、スパッタリングによる薄膜形成は、
基板側をアースにしない場合では、一般的に数十ボルト
程度の負のフローティングバイアスを基板は帯びてい
る。ターゲット付近にあるチャージングしたものの電位
に近いフローティングバイアスを基板に印加する場合、
基板が元から帯びているフローティングバイアスを考慮
する必要がある。例えば、基板がロール上で反応室内を
動く場合には、基板側の動く速度、基板とプラズマの位
置関係の振れによって、基板に印加するフローティング
バイアスを変化させなくてはならない。もしも変化させ
ていかないと、場合によっては、フローティングバイア
スを印加しない方が、異常放電が起きないということも
おこる。このようなときには、あらかじめ、基板側のフ
ローティングバイアスの揺れに関するデータをとってお
く必要があり、そのデータに基づき、印加するフローテ
ィングバイアスを時間毎に変化させなくてはならない。
基板側をアースにしない場合では、一般的に数十ボルト
程度の負のフローティングバイアスを基板は帯びてい
る。ターゲット付近にあるチャージングしたものの電位
に近いフローティングバイアスを基板に印加する場合、
基板が元から帯びているフローティングバイアスを考慮
する必要がある。例えば、基板がロール上で反応室内を
動く場合には、基板側の動く速度、基板とプラズマの位
置関係の振れによって、基板に印加するフローティング
バイアスを変化させなくてはならない。もしも変化させ
ていかないと、場合によっては、フローティングバイア
スを印加しない方が、異常放電が起きないということも
おこる。このようなときには、あらかじめ、基板側のフ
ローティングバイアスの揺れに関するデータをとってお
く必要があり、そのデータに基づき、印加するフローテ
ィングバイアスを時間毎に変化させなくてはならない。
【0057】以上のようにして、フローティングバイア
スを変化させることにより異常放電を抑えることができ
る。
スを変化させることにより異常放電を抑えることができ
る。
【0058】本発明で作製した透明電極の粒径に関して
検討した結果、導電性微粒子の粒径は小さいほど好まし
いが、膜表面の粗さが増加すると散乱が大きくなり、ヘ
イズが容易に5%を越えるようになる。
検討した結果、導電性微粒子の粒径は小さいほど好まし
いが、膜表面の粗さが増加すると散乱が大きくなり、ヘ
イズが容易に5%を越えるようになる。
【0059】本発明の第3においては、インジウムとス
ズの酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透
明電極の作製方法において、該透明電極を堆積する基板
と、スパッタターゲットの距離が7cm以上であること
を特徴とし、スパッタプラズマの処理部分と高エネルギ
ー・イオン等を多く含むと思われるプラズマの生成部分
を分離し、プラズマによる基板への損傷を低減し、この
損傷が最近の高性能化した半導体デバイス、液晶ディス
プレイ等の信頼性を低下させるという問題を解決した。
ズの酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透
明電極の作製方法において、該透明電極を堆積する基板
と、スパッタターゲットの距離が7cm以上であること
を特徴とし、スパッタプラズマの処理部分と高エネルギ
ー・イオン等を多く含むと思われるプラズマの生成部分
を分離し、プラズマによる基板への損傷を低減し、この
損傷が最近の高性能化した半導体デバイス、液晶ディス
プレイ等の信頼性を低下させるという問題を解決した。
【0060】二つの電極のうちのカソード電極の表面に
基板を配置して電極間に直流電界を加えると、電極間の
強電界領域Esによりグロー放電が発生し、弱電界領域
Ew部分にとって電極間隔が大き過ぎる場合であって
も、ガスの圧力が適当な値に調整されれば、その弱電界
領域Ewの全てに延在するようにグロー放電領域が広が
り、したがって、ガスの圧力が適当な値に調整されれ
ば、非一様な弱電界領域Ewにおいても基板の上に一様
に薄膜を堆積させることができる。これにより、高エネ
ルギー・イオンを多く含むグロー放電部Esから離れた
位置にある基板周囲の弱電界領域Ewでの薄膜形成が可
能となり、プラズマ・ダメージの少ない膜を基板上に一
様に堆積させることができるというものである。
基板を配置して電極間に直流電界を加えると、電極間の
強電界領域Esによりグロー放電が発生し、弱電界領域
Ew部分にとって電極間隔が大き過ぎる場合であって
も、ガスの圧力が適当な値に調整されれば、その弱電界
領域Ewの全てに延在するようにグロー放電領域が広が
り、したがって、ガスの圧力が適当な値に調整されれ
ば、非一様な弱電界領域Ewにおいても基板の上に一様
に薄膜を堆積させることができる。これにより、高エネ
ルギー・イオンを多く含むグロー放電部Esから離れた
位置にある基板周囲の弱電界領域Ewでの薄膜形成が可
能となり、プラズマ・ダメージの少ない膜を基板上に一
様に堆積させることができるというものである。
【0061】しかし、前記強電界領域Esと弱電界領域
Ewを形成するグロー放電方法は、例えば堆積速度が数
十Å/分であるように、処理速度が遅いという問題があ
った。さらに、この方法は非一様な弱電界領域Ewでの
処理のため、今後予想されるプラズマ処理基板の大型化
に対応できる均一な処理が期待できない問題がある。一
方、ガス圧調節して高真空にしていけば、大面積の基板
上でも均一な成膜(エッチング)が可能となるが、高真
空条件では高エネルギー・イオンの影響が大きくなり、
かつ成膜(エッチング)速度も低下するという問題があ
る。
Ewを形成するグロー放電方法は、例えば堆積速度が数
十Å/分であるように、処理速度が遅いという問題があ
った。さらに、この方法は非一様な弱電界領域Ewでの
処理のため、今後予想されるプラズマ処理基板の大型化
に対応できる均一な処理が期待できない問題がある。一
方、ガス圧調節して高真空にしていけば、大面積の基板
上でも均一な成膜(エッチング)が可能となるが、高真
空条件では高エネルギー・イオンの影響が大きくなり、
かつ成膜(エッチング)速度も低下するという問題があ
る。
【0062】そこで本発明では、基板が電極の上に配置
され、ガス状物質のグロー放電により基板上に薄膜を堆
積あるいは食刻させるグロー放電装置において、前記電
界が第一電極上の前記基板表面上に一様に延在する弱電
界領域および第一電極上の前記基板からより離れた強電
界領域とを有するように構成され、前記グロー放電電界
が安定し、かつ前記基板上に前記弱電界領域からの一様
な堆積あるいは食刻を生じさせるために、互いに関連し
て形成されたスパッタ放電装置である。
され、ガス状物質のグロー放電により基板上に薄膜を堆
積あるいは食刻させるグロー放電装置において、前記電
界が第一電極上の前記基板表面上に一様に延在する弱電
界領域および第一電極上の前記基板からより離れた強電
界領域とを有するように構成され、前記グロー放電電界
が安定し、かつ前記基板上に前記弱電界領域からの一様
な堆積あるいは食刻を生じさせるために、互いに関連し
て形成されたスパッタ放電装置である。
【0063】弱電界領域にある基板の外端と強電界領域
間距離を大きくするにつれて、薄膜の膜厚分布は改善さ
れるが、薄膜の堆積速度または食刻速度が低下してい
く。したがって、前記基板の外端と強電界領域間距離は
工業的にはある所定値内にあることが好ましい。その所
定値とは15〜150mm、好ましくは20〜100m
mであることが好ましいことが実験的に確認された。
間距離を大きくするにつれて、薄膜の膜厚分布は改善さ
れるが、薄膜の堆積速度または食刻速度が低下してい
く。したがって、前記基板の外端と強電界領域間距離は
工業的にはある所定値内にあることが好ましい。その所
定値とは15〜150mm、好ましくは20〜100m
mであることが好ましいことが実験的に確認された。
【0064】また、前記二つの電極の間隔も、その距離
を長くするにつれて薄膜の膜厚分布と薄膜の堆積速度ま
たは食刻速度が共に低下していき、また、距離が短くな
り過ぎるとスパークの発生等の異常放電が発生する。そ
の間隔は工業的にはある所定範囲内にあることが好まし
い。その所定値とは3〜60mm、さらに好ましくは5
〜25mmであることが実験的に確認された。
を長くするにつれて薄膜の膜厚分布と薄膜の堆積速度ま
たは食刻速度が共に低下していき、また、距離が短くな
り過ぎるとスパークの発生等の異常放電が発生する。そ
の間隔は工業的にはある所定範囲内にあることが好まし
い。その所定値とは3〜60mm、さらに好ましくは5
〜25mmであることが実験的に確認された。
【0065】また、本発明のグロー放電装置において、
電極の放電面積比(基板の配置される電極の放電面積/
ターゲットの配置される放電面積)が小さくなるにつれ
て薄膜の堆積速度または食刻速度が低下していく。ま
た、工業的にはコンパクトな電極構造が望まれるので、
前記の放電面積比はある所定範囲内にあることが好まし
い。その所定値とは0.1〜10、さらに好ましくは
0.1〜5であることが実験的に確認された。
電極の放電面積比(基板の配置される電極の放電面積/
ターゲットの配置される放電面積)が小さくなるにつれ
て薄膜の堆積速度または食刻速度が低下していく。ま
た、工業的にはコンパクトな電極構造が望まれるので、
前記の放電面積比はある所定範囲内にあることが好まし
い。その所定値とは0.1〜10、さらに好ましくは
0.1〜5であることが実験的に確認された。
【0066】グロー放電の真空度を高めることにより薄
膜の膜厚分布を改善することができる。基板電極との距
離が3〜60mmになるように形成されたターゲット;
基板と対向するように、真空容器の上部に取り付けられ
たガス導入口;ガス導入口とガス導入管を介して連結さ
れているマスフローコントローラー;および、真空容器
の外部に設けられている真空ポンプとから成り、第1と
第2の電極は、基板表面上に一様に延在する弱電界領域
および基板より離れて存在する強電界領域とから成るグ
ロー放電電界を形成し、グロー放電電界が安定し、か
つ、基板上に弱電界領域からの一様な堆積あるいは食刻
を生じるように、互いに関連して形成され、かつ、配置
されている。
膜の膜厚分布を改善することができる。基板電極との距
離が3〜60mmになるように形成されたターゲット;
基板と対向するように、真空容器の上部に取り付けられ
たガス導入口;ガス導入口とガス導入管を介して連結さ
れているマスフローコントローラー;および、真空容器
の外部に設けられている真空ポンプとから成り、第1と
第2の電極は、基板表面上に一様に延在する弱電界領域
および基板より離れて存在する強電界領域とから成るグ
ロー放電電界を形成し、グロー放電電界が安定し、か
つ、基板上に弱電界領域からの一様な堆積あるいは食刻
を生じるように、互いに関連して形成され、かつ、配置
されている。
【0067】グロー放電装置内に導入されたガス状物質
はグロー放電発生部である強電界領域でグロー放電を開
始し、成膜部である弱電界領域内にある基板上で成膜さ
れる。このとき、基板外端と強電界領域間の距離を大き
くすることにより、非一様な弱電界領域中のほぼ一様な
電界領域のみを利用できるため、膜厚分布が均一になる
ものと考えられる。さらに、絶縁体を配置することによ
り基板周囲の成膜を抑え、その分基板の成膜を増加させ
るため、また、強電界領域からの影響も少なくできるた
め(おそらく基板上の弱電界領域の電界分布が一様にな
るため)、処理速度が増加し、かつ、一定の圧力で成膜
による薄膜の膜厚分布が均一になるものと考えられる。
はグロー放電発生部である強電界領域でグロー放電を開
始し、成膜部である弱電界領域内にある基板上で成膜さ
れる。このとき、基板外端と強電界領域間の距離を大き
くすることにより、非一様な弱電界領域中のほぼ一様な
電界領域のみを利用できるため、膜厚分布が均一になる
ものと考えられる。さらに、絶縁体を配置することによ
り基板周囲の成膜を抑え、その分基板の成膜を増加させ
るため、また、強電界領域からの影響も少なくできるた
め(おそらく基板上の弱電界領域の電界分布が一様にな
るため)、処理速度が増加し、かつ、一定の圧力で成膜
による薄膜の膜厚分布が均一になるものと考えられる。
【0068】次に、本発明を図1に示すような様式の光
起電力素子の透明電極の作製に用いる場合について説明
する。
起電力素子の透明電極の作製に用いる場合について説明
する。
【0069】(光起電力素子の構成)図1は、本発明の
概念を詳しく説明するための、光起電力素子の断面図の
一例である。ただし、本発明は図1の構成の光起電力素
子に限られるものではない。
概念を詳しく説明するための、光起電力素子の断面図の
一例である。ただし、本発明は図1の構成の光起電力素
子に限られるものではない。
【0070】図1において、108は基板、107は裏
面電極、106は透明導電層、105はn型半導体層、
104はi型半導体層、103はp型半導体層、102
は透明電極である。101は発生した光電流を取り出す
集電電極である。図1は基板108と逆側から光を入射
する構成であるが、基板108側から光を入射する構成
の光起電力素子では、基板108を除いて図1とは逆の
順番に各層が積層されることもある。
面電極、106は透明導電層、105はn型半導体層、
104はi型半導体層、103はp型半導体層、102
は透明電極である。101は発生した光電流を取り出す
集電電極である。図1は基板108と逆側から光を入射
する構成であるが、基板108側から光を入射する構成
の光起電力素子では、基板108を除いて図1とは逆の
順番に各層が積層されることもある。
【0071】以下、本発明を適用可能な光起電力素子の
各層について、形成する順に詳しく説明する。
各層について、形成する順に詳しく説明する。
【0072】(導電性基板)導電性基板108は、例え
ばNiCr、ステンレス、Al、Cr、Mo、Au、N
b、Ta、V、Ti、Pt、Pbなどの金属またはこれ
らの合金からなるものである。また、導電性基板108
の厚さは、製造上および取り扱い上における機械的強度
などの点から、通常は10μm以上必要である。導電性
基板の研磨処理には、化学エッチングまたは切削加工に
より、鋭角を持ったジグザグ状に金属基板の表面を加工
する。化学研磨法、電解研磨法などの化学的表面加工
法、およびダイヤモンド、カーボランダム、アランダム
などの微粒子研磨剤を用いる機械的研磨法により、凹凸
を制御しながら金属基板の表面を加工する。金属表面を
研磨したあと、エッチングすることにより、多重凸面上
の尖端をなくす。
ばNiCr、ステンレス、Al、Cr、Mo、Au、N
b、Ta、V、Ti、Pt、Pbなどの金属またはこれ
らの合金からなるものである。また、導電性基板108
の厚さは、製造上および取り扱い上における機械的強度
などの点から、通常は10μm以上必要である。導電性
基板の研磨処理には、化学エッチングまたは切削加工に
より、鋭角を持ったジグザグ状に金属基板の表面を加工
する。化学研磨法、電解研磨法などの化学的表面加工
法、およびダイヤモンド、カーボランダム、アランダム
などの微粒子研磨剤を用いる機械的研磨法により、凹凸
を制御しながら金属基板の表面を加工する。金属表面を
研磨したあと、エッチングすることにより、多重凸面上
の尖端をなくす。
【0073】(裏面電極層)裏面電極107は光入射方
向に対し半導体層の裏面に配される電極である。裏面電
極の材料としては、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケ
ル、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、
コバルト、タンタル、ニオブ、ジルコニウム等の金属ま
たはステンレス等の合金が挙げられる。なかでもアルミ
ニウム、銅、銀、金などの反射率の高い金属が特に好ま
しい。反射率の高い金属を用いる場合には、裏面電極に
半導体層で吸収しきれなかった光を再び半導体層に反射
する光反射層の役割を兼ねさせる事ができる。
向に対し半導体層の裏面に配される電極である。裏面電
極の材料としては、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケ
ル、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、
コバルト、タンタル、ニオブ、ジルコニウム等の金属ま
たはステンレス等の合金が挙げられる。なかでもアルミ
ニウム、銅、銀、金などの反射率の高い金属が特に好ま
しい。反射率の高い金属を用いる場合には、裏面電極に
半導体層で吸収しきれなかった光を再び半導体層に反射
する光反射層の役割を兼ねさせる事ができる。
【0074】(透明導電層)透明導電層106は、主に
以下のような目的で、裏面電極層107と半導体層の間
に配置される。まず、光起電力素子の裏面での乱反射を
向上させ、薄膜による多重干渉によって光を光起電力素
子内に閉じ込めて、半導体層内の光路長を延ばし、光起
電力素子の短絡電流(Jsc)を増大させること。次
に、裏面電極を兼ねる裏面金属反射層の金属が、半導体
層に拡散するかあるいはマイグレーションを起こして、
光起電力素子がシャントすることを防止すること。ま
た、透明導電層に若干の抵抗値をもたせることで、半導
体層を挟んで設けられた裏面電極層107と透明電極1
02との間に半導体層のピンホール等の欠陥で発生する
ショートを防止することである。
以下のような目的で、裏面電極層107と半導体層の間
に配置される。まず、光起電力素子の裏面での乱反射を
向上させ、薄膜による多重干渉によって光を光起電力素
子内に閉じ込めて、半導体層内の光路長を延ばし、光起
電力素子の短絡電流(Jsc)を増大させること。次
に、裏面電極を兼ねる裏面金属反射層の金属が、半導体
層に拡散するかあるいはマイグレーションを起こして、
光起電力素子がシャントすることを防止すること。ま
た、透明導電層に若干の抵抗値をもたせることで、半導
体層を挟んで設けられた裏面電極層107と透明電極1
02との間に半導体層のピンホール等の欠陥で発生する
ショートを防止することである。
【0075】透明導電層106は半導体層の吸収可能な
波長領域において高い透過率を有することと、適度の抵
抗率が要求される。好ましくは、650nm以上の透過
率が、80%以上、より好ましくは、85%以上、最適
には90%以上であることが望ましい。
波長領域において高い透過率を有することと、適度の抵
抗率が要求される。好ましくは、650nm以上の透過
率が、80%以上、より好ましくは、85%以上、最適
には90%以上であることが望ましい。
【0076】(半導体層)半導体層103,104,1
05の材料としては、Si、C、Ge等のIV族元素を
用いたもの、あるいはSiGe、SiC、SiSn等の
IV族合金を用いたものが用いられる。
05の材料としては、Si、C、Ge等のIV族元素を
用いたもの、あるいはSiGe、SiC、SiSn等の
IV族合金を用いたものが用いられる。
【0077】また、以上の半導体材料の中で特に好適に
用いられる半導体材料としては、a−Si:H(水素化
非晶質シリコンの略記)、a−Si:F、a−Si:
H:F、a−SiGe:H、a−SiGe:F、a−S
iGe:H:F、a−SiC:H、a−SiC:F、a
−SiC:H:F等のIV族及びIV族合金系非単結晶
半導体材料が挙げられる。
用いられる半導体材料としては、a−Si:H(水素化
非晶質シリコンの略記)、a−Si:F、a−Si:
H:F、a−SiGe:H、a−SiGe:F、a−S
iGe:H:F、a−SiC:H、a−SiC:F、a
−SiC:H:F等のIV族及びIV族合金系非単結晶
半導体材料が挙げられる。
【0078】また、半導体層は価電子制御及び禁制帯幅
制御を行うことができる。具体的には半導体層を形成す
る際に価電子制御剤又は禁制帯幅制御剤となる元素を含
む原料化合物を単独で、又は前記堆積膜形成用原料ガス
又は前記希釈ガスに混合して成膜空間内に導入してやれ
ば良い。
制御を行うことができる。具体的には半導体層を形成す
る際に価電子制御剤又は禁制帯幅制御剤となる元素を含
む原料化合物を単独で、又は前記堆積膜形成用原料ガス
又は前記希釈ガスに混合して成膜空間内に導入してやれ
ば良い。
【0079】また、半導体層は、価電子制御によって、
少なくともその一部が、p型およびn型にドーピングさ
れ、少なくとも一組のpin接合を形成する。そして、
pin接合を複数積層することにより、いわゆるスタッ
クセルの構成になる。
少なくともその一部が、p型およびn型にドーピングさ
れ、少なくとも一組のpin接合を形成する。そして、
pin接合を複数積層することにより、いわゆるスタッ
クセルの構成になる。
【0080】また、半導体層の形成方法としては、マイ
クロ波プラズマCVD法、RFプラズマCVD法、光C
VD法、熱CVD法、MOCVD法などの各種CVD法
によって、あるいはEB蒸着、MBE、イオンプレーテ
ィング、イオンビーム法等の各種蒸着法、スパッタ法、
スプレー法、印刷法などによって、形成される。工業的
に採用されている方法としては、原料ガスをプラズマで
分解し、基板状に堆積させるプラズマCVD法が好んで
用いられる。また、反応装置としては、バッチ式の装置
や連続成膜装置などが所望に応じて使用できる。
クロ波プラズマCVD法、RFプラズマCVD法、光C
VD法、熱CVD法、MOCVD法などの各種CVD法
によって、あるいはEB蒸着、MBE、イオンプレーテ
ィング、イオンビーム法等の各種蒸着法、スパッタ法、
スプレー法、印刷法などによって、形成される。工業的
に採用されている方法としては、原料ガスをプラズマで
分解し、基板状に堆積させるプラズマCVD法が好んで
用いられる。また、反応装置としては、バッチ式の装置
や連続成膜装置などが所望に応じて使用できる。
【0081】後述の実施例においては、i型半導体層と
してシリコン、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバ
イドなどを非晶質の状態でまたは微結晶化させて用いて
いる。微結晶層を成長させるための方法としては、大量
の水素で原料ガスを希釈し、大パワーを入れて成膜する
方法が用いられることが多い。作製装置の一例を図2に
示す。
してシリコン、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバ
イドなどを非晶質の状態でまたは微結晶化させて用いて
いる。微結晶層を成長させるための方法としては、大量
の水素で原料ガスを希釈し、大パワーを入れて成膜する
方法が用いられることが多い。作製装置の一例を図2に
示す。
【0082】201に示すマイクロ波電源から周波数
2.45GHz、パワー20Wから2000Wのマイク
ロ波を導入する。マイクロ波の周波数は工業周波数であ
る2.45GHzのほか、50MHzから1.5GHz
も好適に用いられる。201のマイクロ波電源で発生し
たマイクロ波は、202に示す導波管を通じて209に
示す反応室に導入される。
2.45GHz、パワー20Wから2000Wのマイク
ロ波を導入する。マイクロ波の周波数は工業周波数であ
る2.45GHzのほか、50MHzから1.5GHz
も好適に用いられる。201のマイクロ波電源で発生し
たマイクロ波は、202に示す導波管を通じて209に
示す反応室に導入される。
【0083】原料ガスであるSiH4は205に示すラ
インから導入される。GeH4、CH 4、H2などのガス
を、206に示すガスラインから導入される。ガスは、
ライン205および206から反応室209に導入され
る。反応室209の中には、SiH4を5sccmから
200sccm、GeH4を5sccmから500sc
cm、CH4を5sccmから1000sccm、H2を
100sccmから3000sccmなどの流量で導入
される。
インから導入される。GeH4、CH 4、H2などのガス
を、206に示すガスラインから導入される。ガスは、
ライン205および206から反応室209に導入され
る。反応室209の中には、SiH4を5sccmから
200sccm、GeH4を5sccmから500sc
cm、CH4を5sccmから1000sccm、H2を
100sccmから3000sccmなどの流量で導入
される。
【0084】203から入射したマイクロ波によって、
反応室209内のガスはプラズマ状態となり、204に
示す基板上に、シリコン、SiGe、SiCの微結晶化
膜が形成できる。分解後のガスは207に示す油拡散ポ
ンプによって排気され、反応室209内の圧力は、1.
3×103Paから6.7×104Paに保たれる。
反応室209内のガスはプラズマ状態となり、204に
示す基板上に、シリコン、SiGe、SiCの微結晶化
膜が形成できる。分解後のガスは207に示す油拡散ポ
ンプによって排気され、反応室209内の圧力は、1.
3×103Paから6.7×104Paに保たれる。
【0085】(透明電極)透明電極102は光を透過す
る光入射側の電極であるとともに、その膜厚を最適化す
る事によって反射防止膜としての役割も兼ねる。透明電
極102は半導体層の吸収可能な波長領域において高い
透過率を有することと、抵抗率が低いことが要求され
る。好ましくは、550nmにおける透過率が、80%
以上、より好ましくは、85%以上であることが望まし
い。また、抵抗率は好ましくは、5×10-3Ωcm以
下、より好ましくは、1×10-3Ωcm以下であること
が望ましい。その材料としては、In2O3、SnO2、
ITO(In2O3+SnO2)、ZnO、CdO、Cd2
SnO4、TiO2、Ta2O5、Bi2O3、MoO3、N
aXWO3等の導電性酸化物あるいはこれらを混合したも
のが好適に用いられる。また、これらの化合物に、導電
率を変化させる元素(ドーパント)を添加しても良い。
る光入射側の電極であるとともに、その膜厚を最適化す
る事によって反射防止膜としての役割も兼ねる。透明電
極102は半導体層の吸収可能な波長領域において高い
透過率を有することと、抵抗率が低いことが要求され
る。好ましくは、550nmにおける透過率が、80%
以上、より好ましくは、85%以上であることが望まし
い。また、抵抗率は好ましくは、5×10-3Ωcm以
下、より好ましくは、1×10-3Ωcm以下であること
が望ましい。その材料としては、In2O3、SnO2、
ITO(In2O3+SnO2)、ZnO、CdO、Cd2
SnO4、TiO2、Ta2O5、Bi2O3、MoO3、N
aXWO3等の導電性酸化物あるいはこれらを混合したも
のが好適に用いられる。また、これらの化合物に、導電
率を変化させる元素(ドーパント)を添加しても良い。
【0086】導電率を変化させる元素(ドーパント)と
しては、例えば透明電極102がZnOの場合には、A
l、In、B、Ga、Si、F等が、またIn2O3の場
合には、Sn、F、Te、Ti、Sb、Pb等が、また
SnO2の場合には、F、Sb、P、As、In、T
i、Te、W、Cl、Br、I等が好適に用いられる。
しては、例えば透明電極102がZnOの場合には、A
l、In、B、Ga、Si、F等が、またIn2O3の場
合には、Sn、F、Te、Ti、Sb、Pb等が、また
SnO2の場合には、F、Sb、P、As、In、T
i、Te、W、Cl、Br、I等が好適に用いられる。
【0087】また、透明電極102の形成方法として
は、スプレー法、CVD法、プラズマCVD法、電析
法、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング法、
スピンオン法、デップ法等が好適に用いられる。
は、スプレー法、CVD法、プラズマCVD法、電析
法、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング法、
スピンオン法、デップ法等が好適に用いられる。
【0088】本発明では、透明電極の作製方法として、
スパッタリング法を用いており、その際、スパッタター
ゲットとしてITOを用いている。従来のITO焼結体
は、出発原料がアンモニア法、均一沈殿法などの液相成
長法によって作られているために、ITO焼結体の構成
粒子が盤状または塊状で粒径も大きくふぞろいであり、
酸化インジウムと酸化錫が物理的に混合しただけでそれ
ぞれ別々の粒子として存在している。したがって、スパ
ッタリングによってITOを作る際、Sn原子が酸化イ
ンジウムの結晶粒界に偏析したり、酸化錫の微結晶とし
て析出して、ITOの膜中の伝導電子の散乱要因とな
り、Sn原子を有効なドーパントとして十分に利用でき
なかった。
スパッタリング法を用いており、その際、スパッタター
ゲットとしてITOを用いている。従来のITO焼結体
は、出発原料がアンモニア法、均一沈殿法などの液相成
長法によって作られているために、ITO焼結体の構成
粒子が盤状または塊状で粒径も大きくふぞろいであり、
酸化インジウムと酸化錫が物理的に混合しただけでそれ
ぞれ別々の粒子として存在している。したがって、スパ
ッタリングによってITOを作る際、Sn原子が酸化イ
ンジウムの結晶粒界に偏析したり、酸化錫の微結晶とし
て析出して、ITOの膜中の伝導電子の散乱要因とな
り、Sn原子を有効なドーパントとして十分に利用でき
なかった。
【0089】そこで本発明に用いたITOターゲットに
おいては、インジウム化合物と錫化合物、例えばインジ
ウム塩化物と錫塩化物、あるいはインジウム、錫のアル
コキシドを原料とし、化学蒸着法(CVD)により、酸
化雰囲気中で気相反応させることによって、平均粒径
0.1〜1μmと小さく、大きさの揃ったITOの微粒
子を得ることができる。さらに粒径が小さいだけでなく
分解、酸化反応、凝縮という工程を通るという特徴上、
従来の液相法に比べて、錫原子はIn2O3微粒子中のイ
ンジウム原子と置換したり、格子間に侵入したりして存
在することが多くなり、In2O3微粒子とSnO2微粒
子が分相して存在することが少なくなると考えられる。
おいては、インジウム化合物と錫化合物、例えばインジ
ウム塩化物と錫塩化物、あるいはインジウム、錫のアル
コキシドを原料とし、化学蒸着法(CVD)により、酸
化雰囲気中で気相反応させることによって、平均粒径
0.1〜1μmと小さく、大きさの揃ったITOの微粒
子を得ることができる。さらに粒径が小さいだけでなく
分解、酸化反応、凝縮という工程を通るという特徴上、
従来の液相法に比べて、錫原子はIn2O3微粒子中のイ
ンジウム原子と置換したり、格子間に侵入したりして存
在することが多くなり、In2O3微粒子とSnO2微粒
子が分相して存在することが少なくなると考えられる。
【0090】このようなスパッタリング用ターゲットを
用いて本発明によって作製されたITOは、前述のよう
に蒸着原料中の酸化インジウムと錫が微視的な程度で
も、よく混っていることから、薄膜を構成しているIn
2O3結晶の粒界にSn原子が偏析したり、SnO2微結
晶が分相したりすることが少なくなり、薄膜中の伝導電
子の散乱要因が減る。また、Sn原子はIn2O3結晶中
のIn原子と置換したり格子間に侵入したりして、n型
ドーパントとして有効に働き、薄膜の比抵抗が下がると
いう特徴を有する。
用いて本発明によって作製されたITOは、前述のよう
に蒸着原料中の酸化インジウムと錫が微視的な程度で
も、よく混っていることから、薄膜を構成しているIn
2O3結晶の粒界にSn原子が偏析したり、SnO2微結
晶が分相したりすることが少なくなり、薄膜中の伝導電
子の散乱要因が減る。また、Sn原子はIn2O3結晶中
のIn原子と置換したり格子間に侵入したりして、n型
ドーパントとして有効に働き、薄膜の比抵抗が下がると
いう特徴を有する。
【0091】ITOの膜質を決定する要素として、膜の
移動度およびキャリア濃度が、重要であると同時に、そ
れは膜中のSn濃度が大いに影響を与えることが、一般
的に知られている。そこで、Sn濃度を2、5、10w
t%の3種類としたターゲット材を用いて、基板温度、
酸素濃度を変化させた、成膜テストを実施して、膜特性
を測定した結果では、移動度については、Sn濃度;
2、5wt%の時、40〜55cm2/Vsであった。
これに対し、10wt%のターゲットで成膜した時は、
30〜40cm2/Vsであった。キャリア濃度は、逆
に、10wt%のターゲットで成膜した時が高く、8〜
15×1020/cm3であった。また、2、5wt%の
ターゲットの時には、1〜8×1020/cm3と低くな
った。
移動度およびキャリア濃度が、重要であると同時に、そ
れは膜中のSn濃度が大いに影響を与えることが、一般
的に知られている。そこで、Sn濃度を2、5、10w
t%の3種類としたターゲット材を用いて、基板温度、
酸素濃度を変化させた、成膜テストを実施して、膜特性
を測定した結果では、移動度については、Sn濃度;
2、5wt%の時、40〜55cm2/Vsであった。
これに対し、10wt%のターゲットで成膜した時は、
30〜40cm2/Vsであった。キャリア濃度は、逆
に、10wt%のターゲットで成膜した時が高く、8〜
15×1020/cm3であった。また、2、5wt%の
ターゲットの時には、1〜8×1020/cm3と低くな
った。
【0092】後述の実施例においては、図3に示すよう
な作製装置を用いて、ITOを作製した。308で示さ
れるITOターゲットには、SnO2を10wt%含有
するITOターゲットをカソードとして用い、直流電力
50Wから2kWを加えた。さらに、305に示す基板
は306に示すヒータによって150℃から400℃の
範囲で加熱されており、裏側からアノードとして直流電
源に接続されアースに落としている。スパッタ用のガス
は、301に示すラインからヘリウムを、マスフローコ
ントローラ309を通して0から1000sccm反応
室314に導入する。さらに、302に示すアルゴンラ
インからアルゴンガスをマスフローコントローラ310
を通して0から500sccmの範囲で304に示すガ
スラインを通じて反応室314に導入している。さら
に、303に示すガスラインから酸素原子含有ガスとし
てO2、N2O、NO2、O3を導入している。また、IT
Oを堆積しはじめる前に、不図示のシャッターによって
基板305への堆積を妨げながら、ITOターゲット3
08の清浄化を行っている。
な作製装置を用いて、ITOを作製した。308で示さ
れるITOターゲットには、SnO2を10wt%含有
するITOターゲットをカソードとして用い、直流電力
50Wから2kWを加えた。さらに、305に示す基板
は306に示すヒータによって150℃から400℃の
範囲で加熱されており、裏側からアノードとして直流電
源に接続されアースに落としている。スパッタ用のガス
は、301に示すラインからヘリウムを、マスフローコ
ントローラ309を通して0から1000sccm反応
室314に導入する。さらに、302に示すアルゴンラ
インからアルゴンガスをマスフローコントローラ310
を通して0から500sccmの範囲で304に示すガ
スラインを通じて反応室314に導入している。さら
に、303に示すガスラインから酸素原子含有ガスとし
てO2、N2O、NO2、O3を導入している。また、IT
Oを堆積しはじめる前に、不図示のシャッターによって
基板305への堆積を妨げながら、ITOターゲット3
08の清浄化を行っている。
【0093】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0094】(実験例1)本発明の実施例を説明する前
に、先ず透明電極の成膜時の雰囲気中にヘリウム導入す
ることの優位性を検証するための実験例を説明する。
に、先ず透明電極の成膜時の雰囲気中にヘリウム導入す
ることの優位性を検証するための実験例を説明する。
【0095】本実験例は、5cm×5cm×0.8mm
のSUS304を基板として、図1に示したような光起
電力素子を作製した例である。
のSUS304を基板として、図1に示したような光起
電力素子を作製した例である。
【0096】基板108に用いたSUS304は熱圧延
後、酸洗を硝酸5vol%で行い、その後バフ研磨を行
ったものである。基板のSUS304の片側の表面はバ
フ研磨によって鏡面処理されており、その鏡面側に裏面
電極107として、アルミニウムを抵抗加熱によるEB
蒸着法により堆積速さ20Å/sで厚さ1000Å堆積
した。
後、酸洗を硝酸5vol%で行い、その後バフ研磨を行
ったものである。基板のSUS304の片側の表面はバ
フ研磨によって鏡面処理されており、その鏡面側に裏面
電極107として、アルミニウムを抵抗加熱によるEB
蒸着法により堆積速さ20Å/sで厚さ1000Å堆積
した。
【0097】裏面電極107の上の透明導電層106
は、酸化亜鉛をターゲットとするDCスパッタリング法
により作製した。酸化亜鉛のスパッタする際には、アル
ゴンガスを用い圧力1Pa、直流電力2kWで行った。
堆積前に15分間、シャッターを閉じ基板表面に酸化亜
鉛が堆積しないようにして、放電させて酸化亜鉛ターゲ
ット表面のクリーニングを行った。その後、シャッター
を30分間開けて酸化亜鉛薄膜を形成した。
は、酸化亜鉛をターゲットとするDCスパッタリング法
により作製した。酸化亜鉛のスパッタする際には、アル
ゴンガスを用い圧力1Pa、直流電力2kWで行った。
堆積前に15分間、シャッターを閉じ基板表面に酸化亜
鉛が堆積しないようにして、放電させて酸化亜鉛ターゲ
ット表面のクリーニングを行った。その後、シャッター
を30分間開けて酸化亜鉛薄膜を形成した。
【0098】酸化亜鉛薄膜形成後、高周波プラズマCV
D法によりn型半導体層105を形成した。このとき、
高周波電力200W、圧力2.7×102Pa、材料ガ
スとしてSiH4200sccm、Si2H6を30sc
cm、H2で20ppmにまで希釈したPH3の混合ガス
を0.5sccmを用いた。
D法によりn型半導体層105を形成した。このとき、
高周波電力200W、圧力2.7×102Pa、材料ガ
スとしてSiH4200sccm、Si2H6を30sc
cm、H2で20ppmにまで希釈したPH3の混合ガス
を0.5sccmを用いた。
【0099】その後、図2に示すマイクロ波プラズマC
VDチャンバーに入れi型半導体層104を形成した。
この時の、マイクロ波パワー1kW、作製温度300
℃、圧力7.4×101pa、原料ガスにはSiH4を1
0sccmおよびH2を500sccm用いた。
VDチャンバーに入れi型半導体層104を形成した。
この時の、マイクロ波パワー1kW、作製温度300
℃、圧力7.4×101pa、原料ガスにはSiH4を1
0sccmおよびH2を500sccm用いた。
【0100】その後、高周波プラズマCVD法によっ
て、p型半導体層103を形成した。このとき、電源に
は、工業周波数13.56MHzを用い電力500W、
基板温度200℃、原料ガスとしてSiH4を20sc
cm、H2で60ppmにまで希釈したBF3の混合ガス
を1.0sccm用い、圧力2×102Paでp型半導
体層を形成した。
て、p型半導体層103を形成した。このとき、電源に
は、工業周波数13.56MHzを用い電力500W、
基板温度200℃、原料ガスとしてSiH4を20sc
cm、H2で60ppmにまで希釈したBF3の混合ガス
を1.0sccm用い、圧力2×102Paでp型半導
体層を形成した。
【0101】その上に、図3で示すようなスパッタ装置
でITOを透明電極102として形成した。基板温度は
200℃、反応室圧力は1.3Pa、O2流量0.5s
ccm、直流電力500Wで、時間30分で行った。ヘ
リウム流量とアルゴン流量を表2のように変化させて試
料を作成した。
でITOを透明電極102として形成した。基板温度は
200℃、反応室圧力は1.3Pa、O2流量0.5s
ccm、直流電力500Wで、時間30分で行った。ヘ
リウム流量とアルゴン流量を表2のように変化させて試
料を作成した。
【0102】さらに、透明電極102の上に集電電極1
01として、EB蒸着法によって、Tiを300Å堆積
した後、Cuを4000Å堆積した。
01として、EB蒸着法によって、Tiを300Å堆積
した後、Cuを4000Å堆積した。
【0103】(比較実験例1)透明電極102以外は、
実験例1と同じ条件で作製した。透明電極の作製は、図
3の装置を用いて表2に示す条件で行った。このとき、
ヘリウムは用いなかった。
実験例1と同じ条件で作製した。透明電極の作製は、図
3の装置を用いて表2に示す条件で行った。このとき、
ヘリウムは用いなかった。
【0104】
【表2】
【0105】以上のようにして作製した実験例1および
比較実験例1の試料について、膜はがれ試験、耐候性試
験、外観試験、柔軟性試験を行った。その結果は、表3
に示すような結果になった。
比較実験例1の試料について、膜はがれ試験、耐候性試
験、外観試験、柔軟性試験を行った。その結果は、表3
に示すような結果になった。
【0106】ここで、各種試験について記す。
【0107】(1)膜はがれ試験 透明電極をつけた試料を80℃、80%RHの条件に9
0日間放置し、この試料を常温中に取り出した後、10
×10mmに切断したニチバンセロテープNo.405
(ニチバン社製)を貼りつける。このとき、貼りつけ部
分に気泡が入らないようにした。また、テープは端面以
外の基板表面には貼りつかないようにした。その後に垂
直方向に素早く引き上げて、膜の剥離面積を測定した。 ◎:全く剥離しなかった ○:剥離面積が貼りつけた端面部分の0%より大きく、
5%未満 ●:剥離面積が貼りつけた端面部分の5%以上、10%
未満 △:剥離面積が貼りつけた端面部分の10%以上、50
%未満 ×:剥離面積が50%以上
0日間放置し、この試料を常温中に取り出した後、10
×10mmに切断したニチバンセロテープNo.405
(ニチバン社製)を貼りつける。このとき、貼りつけ部
分に気泡が入らないようにした。また、テープは端面以
外の基板表面には貼りつかないようにした。その後に垂
直方向に素早く引き上げて、膜の剥離面積を測定した。 ◎:全く剥離しなかった ○:剥離面積が貼りつけた端面部分の0%より大きく、
5%未満 ●:剥離面積が貼りつけた端面部分の5%以上、10%
未満 △:剥離面積が貼りつけた端面部分の10%以上、50
%未満 ×:剥離面積が50%以上
【0108】(2)耐候性試験 「サンシャイン スーパーロングライフ ウェザーメー
ターWEL−SUN−HC型」〔スガ試験機(株)製〕
を用いて1800時間の促進耐候性試験を行なった。そ
のときの光起電力素子の剥離状況を見た。 ○:全く剥離しなかった ●:剥離面積が貼りつけた端面部分の0%より大きく、
5%未満 △:剥離面積が貼りつけた端面部分の5%以上、10%
未満
ターWEL−SUN−HC型」〔スガ試験機(株)製〕
を用いて1800時間の促進耐候性試験を行なった。そ
のときの光起電力素子の剥離状況を見た。 ○:全く剥離しなかった ●:剥離面積が貼りつけた端面部分の0%より大きく、
5%未満 △:剥離面積が貼りつけた端面部分の5%以上、10%
未満
【0109】(3)外観試験 〇:曇り、すじ、泡、異物、傷、割れがないこと △:すじ、泡、異物、傷、割れがないこと
【0110】(4)柔軟性試験 試料を曲率半径が3mmになるように湾曲させ、温度−
15℃で2時間放置した後、透明電極および半導体部
分、透明導電層、裏面金属での亀裂の発生状況を顕微鏡
で30倍に拡大し観察した。 ◎:亀裂の発生が無いこと ○:わずかな歪みが残ったこと △:わずかな亀裂があったこと ×:割れたこと
15℃で2時間放置した後、透明電極および半導体部
分、透明導電層、裏面金属での亀裂の発生状況を顕微鏡
で30倍に拡大し観察した。 ◎:亀裂の発生が無いこと ○:わずかな歪みが残ったこと △:わずかな亀裂があったこと ×:割れたこと
【0111】
【表3】
【0112】表3の結果によると、ヘリウム流量を50
sccm、アルゴンを20sccm以上にしたときの方
が全般的に試験結果が良くなっている。
sccm、アルゴンを20sccm以上にしたときの方
が全般的に試験結果が良くなっている。
【0113】さらに、実験例1および比較実験例1の試
料について、配向性を調べるために以下のような測定を
行った。
料について、配向性を調べるために以下のような測定を
行った。
【0114】(a)通常のX線回折による方法 膜厚とX線散乱因子の値とから、基板面に平行な面の理
論的なピーク強度が求められる。実験的に得られたピー
ク強度と理論的なピーク強度との比較により、C軸配向
成分の割合が算出される。
論的なピーク強度が求められる。実験的に得られたピー
ク強度と理論的なピーク強度との比較により、C軸配向
成分の割合が算出される。
【0115】(b)磁気抵抗の測定による方法 X線回折により膜の主配向方向を決定する。c軸が基板
面に垂直な方向に対して傾いている成分が100%であ
ると仮定して、印加磁場の方向に対する磁気抵抗の値を
理論的に計算する。c軸配向成分が含まれていると、磁
気抵抗の実測値は理論値と異なる。この差の大きさか
ら、c軸配向成分の割合が算出される。
面に垂直な方向に対して傾いている成分が100%であ
ると仮定して、印加磁場の方向に対する磁気抵抗の値を
理論的に計算する。c軸配向成分が含まれていると、磁
気抵抗の実測値は理論値と異なる。この差の大きさか
ら、c軸配向成分の割合が算出される。
【0116】基板としては、ステンレス基板であり、そ
の表面が(100)面または(001)面から3〜7度
傾いた面であるものを用いることが好ましい。この傾斜
は、(100)面を[010]方向と[001]方向と
で規定した場合の、[010]方向または[001]方
向に対する値とする。(001)面に対する傾斜も、
(100)面に対する傾斜と等価な方位とする。
の表面が(100)面または(001)面から3〜7度
傾いた面であるものを用いることが好ましい。この傾斜
は、(100)面を[010]方向と[001]方向と
で規定した場合の、[010]方向または[001]方
向に対する値とする。(001)面に対する傾斜も、
(100)面に対する傾斜と等価な方位とする。
【0117】実験例1の試料のX線回折パターンは、比
較実験例1のX線回折パターン像に比べて、(100)
面からの反射信号が顕著である。したがって、透明電極
のITOはステンレス基板面に対して(100)配向し
ていることは明らかである。特に、ヘリウム流量を50
sccm、アルゴンを20sccmにしたとき(10
0)配向が顕著となっていた。これは、磁気抵抗測定の
結果からも支持される。
較実験例1のX線回折パターン像に比べて、(100)
面からの反射信号が顕著である。したがって、透明電極
のITOはステンレス基板面に対して(100)配向し
ていることは明らかである。特に、ヘリウム流量を50
sccm、アルゴンを20sccmにしたとき(10
0)配向が顕著となっていた。これは、磁気抵抗測定の
結果からも支持される。
【0118】ヘリウムとアルゴンの混合系では(10
0)配向力強く、いずれの試験結果も優れており、透明
電極の成膜時の雰囲気中にヘリウム導入することで良好
な結果が得られることが分かる。
0)配向力強く、いずれの試験結果も優れており、透明
電極の成膜時の雰囲気中にヘリウム導入することで良好
な結果が得られることが分かる。
【0119】(実施例1)50cm×100m×0.1
5mmのSUS430BAを基板として、図1に示した
ような光起電力素子を作製した本発明の第1に基づく実
施例を示す。
5mmのSUS430BAを基板として、図1に示した
ような光起電力素子を作製した本発明の第1に基づく実
施例を示す。
【0120】基板108に用いたSUS430BAは熱
圧延後、酸洗を硝酸15vol%で10秒間行い、その
後バフ研磨を行ったものである。基板のSUS430B
Aの片側の表面はバフ研磨によって鏡面処理されてお
り、その鏡面側に裏面電極107として、アルミニウム
をスパッタ法を用い堆積速さ20Å/sで厚さ2000
Å堆積した。
圧延後、酸洗を硝酸15vol%で10秒間行い、その
後バフ研磨を行ったものである。基板のSUS430B
Aの片側の表面はバフ研磨によって鏡面処理されてお
り、その鏡面側に裏面電極107として、アルミニウム
をスパッタ法を用い堆積速さ20Å/sで厚さ2000
Å堆積した。
【0121】裏面電極107の上の透明導電層106
は、酸化亜鉛をターゲットとするDCスパッタリング法
により作製した。酸化亜鉛のスパッタする際には、アル
ゴンガスを用い圧力1Pa、直流電力2kWで行った。
堆積前に15分間、シャッターを閉じ基板表面に酸化亜
鉛が堆積しないようにして、放電させて酸化亜鉛ターゲ
ット表面のクリーニングを行った。その後、シャッター
を30分間開けて酸化亜鉛薄膜を形成した。
は、酸化亜鉛をターゲットとするDCスパッタリング法
により作製した。酸化亜鉛のスパッタする際には、アル
ゴンガスを用い圧力1Pa、直流電力2kWで行った。
堆積前に15分間、シャッターを閉じ基板表面に酸化亜
鉛が堆積しないようにして、放電させて酸化亜鉛ターゲ
ット表面のクリーニングを行った。その後、シャッター
を30分間開けて酸化亜鉛薄膜を形成した。
【0122】酸化亜鉛薄膜形成後、高周波プラズマCV
D法によりn型半導体層105を形成した。このとき、
高周波電力200W、圧力2.7×102Pa、材料ガ
スとしてSiH4を1200sccm、Si2H6を30
sccm、H2で20ppmにまで希釈したPH3の混合
ガスを10.5sccmを用いた。
D法によりn型半導体層105を形成した。このとき、
高周波電力200W、圧力2.7×102Pa、材料ガ
スとしてSiH4を1200sccm、Si2H6を30
sccm、H2で20ppmにまで希釈したPH3の混合
ガスを10.5sccmを用いた。
【0123】その後、マイクロ波プラズマCVDチャン
バーに入れi型半導体層104を形成した。この時の、
マイクロ波パワー0.5kW、作製温度300℃、圧力
4Pa、原料ガスにはSiH4を300sccmおよび
H2を500sccm用いた。
バーに入れi型半導体層104を形成した。この時の、
マイクロ波パワー0.5kW、作製温度300℃、圧力
4Pa、原料ガスにはSiH4を300sccmおよび
H2を500sccm用いた。
【0124】その後、高周波プラプマCVD法によっ
て、p型半導体層103を形成した。このとき、電源に
は、工業周波数13.56MHzを用い、電力500
W、基板温度200℃、原料ガスとしてSiH4を12
0sccm、H2で60ppmにまで希釈したBF3の混
合ガスを11.0sccm用い、圧力2×102Paで
p型半導体層を形成した。
て、p型半導体層103を形成した。このとき、電源に
は、工業周波数13.56MHzを用い、電力500
W、基板温度200℃、原料ガスとしてSiH4を12
0sccm、H2で60ppmにまで希釈したBF3の混
合ガスを11.0sccm用い、圧力2×102Paで
p型半導体層を形成した。
【0125】その上に、図4で示すようなスパッタ装置
でITOを透明電極102として形成した。407に示
す送り出しローラから半導体層を形成した430BAウ
ェブを反応室411に導入している。ITOターゲット
には412に示す直流電源から電力が供給される。基板
温度は200℃、反応室圧力は1.3Pa、直流電力5
00Wで、時間30分で行った。404に示すヘリウム
マスフロー、405に示すアルゴンマスフロー、406
に示す酸素マスフローをまずガスラインA417を通じ
て反応室411に導入している。414に示すヘリウム
マスフロー、415に示すアルゴンマスフロー、416
に示す酸素マスフローをまずガスラインB418を通じ
て反応室411に導入している。AとBの二つのガスラ
インで流量を表4のように変化させて試料を作成した。
表4のような流量にすることで、半導体層/透明電極界
面での透明電極作製中のヘリウムの流量を多くしてい
る。
でITOを透明電極102として形成した。407に示
す送り出しローラから半導体層を形成した430BAウ
ェブを反応室411に導入している。ITOターゲット
には412に示す直流電源から電力が供給される。基板
温度は200℃、反応室圧力は1.3Pa、直流電力5
00Wで、時間30分で行った。404に示すヘリウム
マスフロー、405に示すアルゴンマスフロー、406
に示す酸素マスフローをまずガスラインA417を通じ
て反応室411に導入している。414に示すヘリウム
マスフロー、415に示すアルゴンマスフロー、416
に示す酸素マスフローをまずガスラインB418を通じ
て反応室411に導入している。AとBの二つのガスラ
インで流量を表4のように変化させて試料を作成した。
表4のような流量にすることで、半導体層/透明電極界
面での透明電極作製中のヘリウムの流量を多くしてい
る。
【0126】その後、集電電極101を形成し、光起電
力素子を作製した。集電電極としてクロムを主成分とす
る金属を500〜2000Åの厚さに形成させた。この
クロムは融点1800℃、沸点2660℃、熱伝導度
0.2cal/(cm・sec・deg)を有してい
る。特にこの熱伝導率は他の金属例えばチタンの0.0
5に比べて4倍を有し、銀の0.998の1/5であ
る。
力素子を作製した。集電電極としてクロムを主成分とす
る金属を500〜2000Åの厚さに形成させた。この
クロムは融点1800℃、沸点2660℃、熱伝導度
0.2cal/(cm・sec・deg)を有してい
る。特にこの熱伝導率は他の金属例えばチタンの0.0
5に比べて4倍を有し、銀の0.998の1/5であ
る。
【0127】(比較例1)透明電極以外は、実施例1と
同じ条件で作製した。透明電極の作製は図4の装置で行
い、表4に示す作製条件で透明電極を作製した。
同じ条件で作製した。透明電極の作製は図4の装置で行
い、表4に示す作製条件で透明電極を作製した。
【0128】
【表4】
【0129】以上のようにして作製した実施例1と比較
例1の試料について、熱伝導特性の測定を行った。その
結果は、表5に示すような結果になった。
例1の試料について、熱伝導特性の測定を行った。その
結果は、表5に示すような結果になった。
【0130】次に、実施例1と比較例1の試料について
ラミネーションを施す。
ラミネーションを施す。
【0131】クリーンな真空オーブンを用意する。オー
ブンは定盤からなり、その縦×横寸法が(256mm×
361mm)であり、定盤の中央部と、この中央部に外
接する第1部分たる周辺部とからなる。中央部は熱伝導
度が0.58cal/(cm・sec・deg)のアル
ミニウムから成り、周辺部は熱伝導度が0.8cal/
(cm・sec・deg)の黄銅から成る。この定盤の
外周部上には複数のストッパーが配置される。これらス
トッパーは被接着体の配置関係がずれないようにするた
めのものである。
ブンは定盤からなり、その縦×横寸法が(256mm×
361mm)であり、定盤の中央部と、この中央部に外
接する第1部分たる周辺部とからなる。中央部は熱伝導
度が0.58cal/(cm・sec・deg)のアル
ミニウムから成り、周辺部は熱伝導度が0.8cal/
(cm・sec・deg)の黄銅から成る。この定盤の
外周部上には複数のストッパーが配置される。これらス
トッパーは被接着体の配置関係がずれないようにするた
めのものである。
【0132】ここで、熱が発生しても、その熱は、瞬時
に熱伝導率の高いITO/集電電極のクロムを伝わって
周囲の空気に分散される。ITO/半導体界面の密着性
がよく、熱伝導度が高いITOのために熱の発散効果が
得られるのである。半導体層の部分が局部的に極端な高
温度に昇温することがなく、この部分の劣化を防止する
ことができる。このようにした、実施例1と比較例1の
試料に関して膜はがれ試験および外観試験を行った結果
を表5に示す。
に熱伝導率の高いITO/集電電極のクロムを伝わって
周囲の空気に分散される。ITO/半導体界面の密着性
がよく、熱伝導度が高いITOのために熱の発散効果が
得られるのである。半導体層の部分が局部的に極端な高
温度に昇温することがなく、この部分の劣化を防止する
ことができる。このようにした、実施例1と比較例1の
試料に関して膜はがれ試験および外観試験を行った結果
を表5に示す。
【0133】
【表5】
【0134】表5に示されるように、ヘリウムをITO
/半導体界面で増やした本発明による実施例1の試料
は、いずれの試験においても従来型の比較例1の試料よ
り優れていることがわかる。これにより、ユーザに太陽
電池の商品劣悪感を与えず、かつ信頼性をさげる不具合
を防止することができる。
/半導体界面で増やした本発明による実施例1の試料
は、いずれの試験においても従来型の比較例1の試料よ
り優れていることがわかる。これにより、ユーザに太陽
電池の商品劣悪感を与えず、かつ信頼性をさげる不具合
を防止することができる。
【0135】(実施例2)透明電極以外は、実験例1と
同じ条件で光起電力素子を作製した。透明電極の作製
は、図3の装置を用い、ヘリウム流量100sccm、
アルゴン流量20sccm、酸素流量1sccm、圧力
2.7Pa、基板温度150℃、直流電力1000Wの
条件で行った。
同じ条件で光起電力素子を作製した。透明電極の作製
は、図3の装置を用い、ヘリウム流量100sccm、
アルゴン流量20sccm、酸素流量1sccm、圧力
2.7Pa、基板温度150℃、直流電力1000Wの
条件で行った。
【0136】本実施例は本発明の第2に基づくものであ
り、特に、図3の装置の基板側のアースを無くし、電気
的に基板を浮かせた状態で透明電極の作製を行った。
り、特に、図3の装置の基板側のアースを無くし、電気
的に基板を浮かせた状態で透明電極の作製を行った。
【0137】(比較例2)実施例2では基板を浮かせた
状態で透明電極を作製しているが、本比較例では基板を
アースに落とした状態で同様に光起電力素子を作製し
た。
状態で透明電極を作製しているが、本比較例では基板を
アースに落とした状態で同様に光起電力素子を作製し
た。
【0138】以上のようにして作製したついて実施例2
と比較例2の試料について以下の試験を行った。
と比較例2の試料について以下の試験を行った。
【0139】耐久試験の1つとして耐酸性試験を行い、
併せて外観観察を行った。耐酸性試験は、「JIS−A
5209、7.12、耐薬品性試験」に基づいて行っ
た。すなわち、まず試料全体を0.3%塩酸ナトリウム
に8時間浸漬し評価した。外観評価は、黒の和風屋根瓦
に対する色差△Eを分光式色差計(東京電色(株))に
より測定し、これに基づき評価した。評価指標を下記に
示す。 ◎:△E<1 ○:1≦△E<2 ●:2≦△E<10 ×:10≦△E
併せて外観観察を行った。耐酸性試験は、「JIS−A
5209、7.12、耐薬品性試験」に基づいて行っ
た。すなわち、まず試料全体を0.3%塩酸ナトリウム
に8時間浸漬し評価した。外観評価は、黒の和風屋根瓦
に対する色差△Eを分光式色差計(東京電色(株))に
より測定し、これに基づき評価した。評価指標を下記に
示す。 ◎:△E<1 ○:1≦△E<2 ●:2≦△E<10 ×:10≦△E
【0140】その結果、比較例2試料については、0.
1%程度の塩酸ナトリウムでは耐酸性は良好であった
が、0.3%程度の塩酸ナトリウムでは外観×であり外
観が損なわれることが判明した。一方、本発明による実
施例2の試料では外観◎であり外観が損なわれることが
なく、耐酸性を発揮させる上で有利であることが判明し
た。
1%程度の塩酸ナトリウムでは耐酸性は良好であった
が、0.3%程度の塩酸ナトリウムでは外観×であり外
観が損なわれることが判明した。一方、本発明による実
施例2の試料では外観◎であり外観が損なわれることが
なく、耐酸性を発揮させる上で有利であることが判明し
た。
【0141】(実施例3)透明電極以外は、実験例1と
同じ条件で作製した。透明電極の作製は、図3の装置を
用い、ヘリウム流量100sccm、アルゴン流量20
sccm、酸素流量1sccmから3sccm、圧力
2.7Pa、基板温度150℃、直流電力1000Wの
条件で行った。
同じ条件で作製した。透明電極の作製は、図3の装置を
用い、ヘリウム流量100sccm、アルゴン流量20
sccm、酸素流量1sccmから3sccm、圧力
2.7Pa、基板温度150℃、直流電力1000Wの
条件で行った。
【0142】本実施例では、特に、図3の装置の基板と
アースとの間に直流電源を入れ表6のようなバイアスを
基板に印加した。さらに、導入した酸素の流量も表6に
示す。
アースとの間に直流電源を入れ表6のようなバイアスを
基板に印加した。さらに、導入した酸素の流量も表6に
示す。
【0143】また本実施例では、図示しない出力コント
ローラに基づいて図5に示すような電圧波形を出力し異
常放電の数をカウントした。そのカウント数を表6に示
す。
ローラに基づいて図5に示すような電圧波形を出力し異
常放電の数をカウントした。そのカウント数を表6に示
す。
【0144】
【表6】
【0145】表6に示されるように、ヘリウムと酸素と
の混合ガスでは、酸素流量比が小さい方が低い印加電力
で放電を開始できる。但し、酸素流量が小さくてもヘリ
ウムの流量が小さくなると放電は発生し難くなる。更
に、放電の持続という点では、酸素流量比が大きい方が
きれいなグロー放電に似た放電を持続できる。酸素流量
を減らしていくと放電領域が局在化し、やがてホッスコ
ロナに移行するか、大きい音を伴うアーク放電のような
形態に変化する。放電が一度開始すると、放電開始が困
難な酸素流量比でも放電は持続する。希ガスを全く使用
しないで最初から反応ガスのみあるいは窒素と反応ガス
との混合ガスを用いることも可能である。
の混合ガスでは、酸素流量比が小さい方が低い印加電力
で放電を開始できる。但し、酸素流量が小さくてもヘリ
ウムの流量が小さくなると放電は発生し難くなる。更
に、放電の持続という点では、酸素流量比が大きい方が
きれいなグロー放電に似た放電を持続できる。酸素流量
を減らしていくと放電領域が局在化し、やがてホッスコ
ロナに移行するか、大きい音を伴うアーク放電のような
形態に変化する。放電が一度開始すると、放電開始が困
難な酸素流量比でも放電は持続する。希ガスを全く使用
しないで最初から反応ガスのみあるいは窒素と反応ガス
との混合ガスを用いることも可能である。
【0146】特に、フローティングバイアスを上げるこ
とによってホッスコロナを得られる。例えば+20Vの
基板バイアスを用いると、放電の開始も6.7×10-1
Paから8Paの広い範囲で可能である。この方法は、
例えば、アーク放電に移行しても処理速度がそれほど低
下しないので、放電領域の冷却、反応室の耐熱温度等に
注意を払うことで、ランニングコストを相当低減させる
ことができる。この方法は、主として透明電極をつける
基板が熱的、電気的なダメージに強く、また低コスト処
理が望まれる場合に適している。
とによってホッスコロナを得られる。例えば+20Vの
基板バイアスを用いると、放電の開始も6.7×10-1
Paから8Paの広い範囲で可能である。この方法は、
例えば、アーク放電に移行しても処理速度がそれほど低
下しないので、放電領域の冷却、反応室の耐熱温度等に
注意を払うことで、ランニングコストを相当低減させる
ことができる。この方法は、主として透明電極をつける
基板が熱的、電気的なダメージに強く、また低コスト処
理が望まれる場合に適している。
【0147】本実施例で作製した試料ではフローティン
グバイアスを−50V以上にした方がよかった。本発明
の第2において、基板フローティングで基板にバイアス
を加えることにより、プラズマを安定させることがで
き、透明電極を安定して作れるようになった。
グバイアスを−50V以上にした方がよかった。本発明
の第2において、基板フローティングで基板にバイアス
を加えることにより、プラズマを安定させることがで
き、透明電極を安定して作れるようになった。
【0148】また、本実施例で作製した試料内の異常成
長の数をTEM観察により調べたところ、異常放電カウ
ント数が少ない方が、異常成長の数も減少しており、本
実施例による透明電極が優秀であることがわかった。
長の数をTEM観察により調べたところ、異常放電カウ
ント数が少ない方が、異常成長の数も減少しており、本
実施例による透明電極が優秀であることがわかった。
【0149】(実施例4)基板の大きさと透明電極以外
は、実験例1と同じ条件で光起電力素子を作製した。
は、実験例1と同じ条件で光起電力素子を作製した。
【0150】半導体層まで堆積した基板を種々の大きさ
にカットして、基板とターゲットの面積比を表7のよう
に変化させた。
にカットして、基板とターゲットの面積比を表7のよう
に変化させた。
【0151】透明電極の作製は、図3の装置を用い、ヘ
リウム流量100sccm、アルゴン流量20scc
m、酸素流量1sccmから10sccm、圧力2.7
Pa、基板温度150℃、直流電力3000Wの条件で
行った。図では示してないが、図3の反応室のターゲッ
トは上下に動かすことで基板/ターゲット間距離を表7
のように変化させることができる。
リウム流量100sccm、アルゴン流量20scc
m、酸素流量1sccmから10sccm、圧力2.7
Pa、基板温度150℃、直流電力3000Wの条件で
行った。図では示してないが、図3の反応室のターゲッ
トは上下に動かすことで基板/ターゲット間距離を表7
のように変化させることができる。
【0152】
【表7】
【0153】基板/ターゲット面積比:基板の設置され
た電極とターゲットの面積比
た電極とターゲットの面積比
【0154】表7に示すように、電極間距離を大きくと
ると膜厚分布は減っている。さらに、生存率もよくなっ
ていた。さらに、基板面積とターゲット面積を2程度に
することにより、堆積速度のはやいものが、膜厚分布も
少なくてできる。生存率は、電極間距離を600mmに
した実施例4−7の試料が最も良好であった。
ると膜厚分布は減っている。さらに、生存率もよくなっ
ていた。さらに、基板面積とターゲット面積を2程度に
することにより、堆積速度のはやいものが、膜厚分布も
少なくてできる。生存率は、電極間距離を600mmに
した実施例4−7の試料が最も良好であった。
【0155】(実施例5)50cm×100m×0.1
5mmのSUS430を基板として、図1に示したよう
な光起電力素子を作製した実施例を示す。
5mmのSUS430を基板として、図1に示したよう
な光起電力素子を作製した実施例を示す。
【0156】基板108に用いたSUS430は熱圧延
後、酸洗を硝酸5vo1%で行い、その後バフ研磨を行
ったものである。支持体のSUS430の片側表面はバ
フ研磨によって鏡面処理されており、その鏡面側に裏面
電極107として、CuMgを抵抗加熱によるEB蒸着
法により堆積速さ30Å/sで厚さ2000Å堆積し
た。
後、酸洗を硝酸5vo1%で行い、その後バフ研磨を行
ったものである。支持体のSUS430の片側表面はバ
フ研磨によって鏡面処理されており、その鏡面側に裏面
電極107として、CuMgを抵抗加熱によるEB蒸着
法により堆積速さ30Å/sで厚さ2000Å堆積し
た。
【0157】裏面電極107の上の透明導電層106
は、酸化亜鉛をターゲットとするDCスパッタリング法
により作製した。酸化亜鉛をスパッタする際には、アル
ゴンガスを用い圧力1.1Pa、直流電力2kWで行っ
た。堆積前に15分間、シャッターを閉じ基板表面に酸
化亜鉛が堆積しないようにして、放電させて酸化亜鉛タ
ーゲット表面のクリーニングを行った。その後、シャッ
ターを30分間開けて酸化亜鉛薄膜を形成した。
は、酸化亜鉛をターゲットとするDCスパッタリング法
により作製した。酸化亜鉛をスパッタする際には、アル
ゴンガスを用い圧力1.1Pa、直流電力2kWで行っ
た。堆積前に15分間、シャッターを閉じ基板表面に酸
化亜鉛が堆積しないようにして、放電させて酸化亜鉛タ
ーゲット表面のクリーニングを行った。その後、シャッ
ターを30分間開けて酸化亜鉛薄膜を形成した。
【0158】酸化亜鉛薄膜形成後、高周波プラズマCV
D法によりn型半導体層105を形成した。このとき、
高周波電力200W、圧力2.7×102Pa、材料ガ
スとしてSiH4を200sccm、Si2H6を30s
ccm、H2で20ppmにまで希釈したPH3の混合ガ
スを0.5sccmを用いた。
D法によりn型半導体層105を形成した。このとき、
高周波電力200W、圧力2.7×102Pa、材料ガ
スとしてSiH4を200sccm、Si2H6を30s
ccm、H2で20ppmにまで希釈したPH3の混合ガ
スを0.5sccmを用いた。
【0159】その後、図2に示すマイクロ波プラズマC
VDチャンバーに入れi型半導体層104を形成した。
この時の、マイクロ波パワー1kW、作製温度300
℃、圧力7.4×101pa、原料ガスにはSiH4を1
0sccmおよびH2を500sccm用いた。
VDチャンバーに入れi型半導体層104を形成した。
この時の、マイクロ波パワー1kW、作製温度300
℃、圧力7.4×101pa、原料ガスにはSiH4を1
0sccmおよびH2を500sccm用いた。
【0160】その後、高周波プラズマCVD法によっ
て、p型半導体層103を形成した。このとき、電源に
は、工業周波数13.56MHzを用い電力500W、
基板温度200℃、原料ガスとしてSiH4を20sc
cm、H2で60ppmにまで希釈したBF3の混合ガス
を1.0sccm用い、圧力2×102Paでp型半導
体層を形成した。
て、p型半導体層103を形成した。このとき、電源に
は、工業周波数13.56MHzを用い電力500W、
基板温度200℃、原料ガスとしてSiH4を20sc
cm、H2で60ppmにまで希釈したBF3の混合ガス
を1.0sccm用い、圧力2×102Paでp型半導
体層を形成した。
【0161】その上に、図3で示すようなスパッタ装置
でITOを透明電極102として形成した。基板温度は
200℃、反応室圧力は1.3Pa、直流電力500W
で、時間30分で行った。スパッタリングガスには、ヘ
リウム、ネオン、アルゴン、O2を表8のように変化さ
せて試料を作成した。
でITOを透明電極102として形成した。基板温度は
200℃、反応室圧力は1.3Pa、直流電力500W
で、時間30分で行った。スパッタリングガスには、ヘ
リウム、ネオン、アルゴン、O2を表8のように変化さ
せて試料を作成した。
【0162】さらに、透明電極102の上に集電電極1
01として、EB蒸着法によって、Tiを300Å堆積
した後、Cuを4000Å堆積した。
01として、EB蒸着法によって、Tiを300Å堆積
した後、Cuを4000Å堆積した。
【0163】
【表8】
【0164】はがれ試験 ◎:はがれなし ○:角がはがれ ●:端がはがれ △:2%はがれ ×:5%以上はがれ
【0165】表8に示すように、ヘリウムを800sc
cmにまで増大した系では、透過率が90%と非常な高
透過率を示し、本発明の透明電極が、太陽電池窓材とし
て優れていることを示している。さらに、実施例5−7
の試料では、膜はがれ試験の結果も良くなっており、太
陽電池として信頼性も優秀であることが分かる。キャリ
ア密度の点からは、実施例5−19の試料では、ヘリウ
ム、ネオン、アルゴンに加えるO2の流量を2sccm
と最適化することにより、キャリア密度の高い透明電極
が得られた。キャリア密度は、van der Pau
w法則によって行った。このとき、基板には半絶縁性の
p型シリコンウェハを用い、ITOを堆積した。
cmにまで増大した系では、透過率が90%と非常な高
透過率を示し、本発明の透明電極が、太陽電池窓材とし
て優れていることを示している。さらに、実施例5−7
の試料では、膜はがれ試験の結果も良くなっており、太
陽電池として信頼性も優秀であることが分かる。キャリ
ア密度の点からは、実施例5−19の試料では、ヘリウ
ム、ネオン、アルゴンに加えるO2の流量を2sccm
と最適化することにより、キャリア密度の高い透明電極
が得られた。キャリア密度は、van der Pau
w法則によって行った。このとき、基板には半絶縁性の
p型シリコンウェハを用い、ITOを堆積した。
【0166】(実施例6)以下の工程で、図1に示した
ような光起電力素子を作製した。
ような光起電力素子を作製した。
【0167】まず、基板108として、表面がRmax
で0.1μm以下で、厚さ1.0mmで10cm角の無
アルカリガラスの基板を洗浄し、裏面電極107とし
て、電子ビーム蒸着法によって基板上にAlを平均0.
4μm形成した。
で0.1μm以下で、厚さ1.0mmで10cm角の無
アルカリガラスの基板を洗浄し、裏面電極107とし
て、電子ビーム蒸着法によって基板上にAlを平均0.
4μm形成した。
【0168】次に、図6に示すDCマグネトロンスパッ
タ装置により、酸化亜鉛(ZnO)を0.4μm形成し
た。
タ装置により、酸化亜鉛(ZnO)を0.4μm形成し
た。
【0169】図6において、601は真空容器であり、
加熱板603が絶縁性を有する支持部602にて支持さ
れている。加熱板603にはヒーター606と熱電対6
04が埋設され、温度コントローラー605によって所
定の温度に制御される。607は伝熱板であり基板60
8は基板押さえ609にて支持される。基板608に対
向してターゲット610が配置されるが、該ターゲット
610はターゲット台611に設置され裏面にマグネッ
ト612を持ちプラズマ空間620に磁場を形成できる
ようになっている。スパッタ中加熱されるターゲットを
冷却するために冷却水導入パイプ613より冷却水をタ
ーゲットの裏面に導入する。導入された水はターゲット
を冷却した後、冷却水排出パイプより排出される。前記
ターゲット610は、酸化亜鉛のパウダーに亜鉛を混合
して焼結したものである。また金属亜鉛からなるターゲ
ットを用いることもできる。
加熱板603が絶縁性を有する支持部602にて支持さ
れている。加熱板603にはヒーター606と熱電対6
04が埋設され、温度コントローラー605によって所
定の温度に制御される。607は伝熱板であり基板60
8は基板押さえ609にて支持される。基板608に対
向してターゲット610が配置されるが、該ターゲット
610はターゲット台611に設置され裏面にマグネッ
ト612を持ちプラズマ空間620に磁場を形成できる
ようになっている。スパッタ中加熱されるターゲットを
冷却するために冷却水導入パイプ613より冷却水をタ
ーゲットの裏面に導入する。導入された水はターゲット
を冷却した後、冷却水排出パイプより排出される。前記
ターゲット610は、酸化亜鉛のパウダーに亜鉛を混合
して焼結したものである。また金属亜鉛からなるターゲ
ットを用いることもできる。
【0170】前記ターゲット610にはターゲット台6
11を介してスパッタ電源614よりDC電圧が印加さ
れる。該スパッタ電源から供給されるDC電流は、好ま
しくは0.01A以上、更に好ましくは0.1A以上に
設定される。本発明者の実験によれば、スパッタに供給
する電流は大きい方が作製される酸化亜鉛層による光の
吸収が少なく、太陽電池の光電変換効率、とりわけ発生
電流が大きくなるようである。このことはRF型スパッ
タ法を用いて酸化亜鉛層の形成を行なった場合でも同様
であり、RF電力を大きくして作製した太陽電池はRF
電力より小さい場合の太陽電池よりも発生電流の点で有
利であった。
11を介してスパッタ電源614よりDC電圧が印加さ
れる。該スパッタ電源から供給されるDC電流は、好ま
しくは0.01A以上、更に好ましくは0.1A以上に
設定される。本発明者の実験によれば、スパッタに供給
する電流は大きい方が作製される酸化亜鉛層による光の
吸収が少なく、太陽電池の光電変換効率、とりわけ発生
電流が大きくなるようである。このことはRF型スパッ
タ法を用いて酸化亜鉛層の形成を行なった場合でも同様
であり、RF電力を大きくして作製した太陽電池はRF
電力より小さい場合の太陽電池よりも発生電流の点で有
利であった。
【0171】615はRF高周波電源であり、必要に応
じて基板側に高周波を印加して、基板表面を粗面化する
事などに用いられる。基板表面の粗面化は、DCスパッ
タの前に行われ、DCスパッタにより形成する膜の基板
への密着性を向上させる事を目的としている。
じて基板側に高周波を印加して、基板表面を粗面化する
事などに用いられる。基板表面の粗面化は、DCスパッ
タの前に行われ、DCスパッタにより形成する膜の基板
への密着性を向上させる事を目的としている。
【0172】スパッタガスはマスフローコントローラー
616もしくは617を介してアルゴンガス及び酸素ガ
スが各々供給される。もちろん、該スパッタガスに他の
ガス、例えばSiF4やNF3ガス等を混合することによ
って形成される酸化亜鉛層に弗素のドーピングを重ねて
行なうことも可能である。該アルゴンガスの流量は、好
ましくは1sccm乃至1slm、核酸素ガスの流量
は、好ましくは0.1sccm乃至100sccmとさ
れる。
616もしくは617を介してアルゴンガス及び酸素ガ
スが各々供給される。もちろん、該スパッタガスに他の
ガス、例えばSiF4やNF3ガス等を混合することによ
って形成される酸化亜鉛層に弗素のドーピングを重ねて
行なうことも可能である。該アルゴンガスの流量は、好
ましくは1sccm乃至1slm、核酸素ガスの流量
は、好ましくは0.1sccm乃至100sccmとさ
れる。
【0173】また、真空容器601に取りつけられた真
空計618にて内部圧力がモニターできる。真空容器6
01全体は不図示の排気系へ接続されたメインバルブ6
19を介して真空状態とされる。スパッタを開始する前
のバックグラウンドの内部圧力は好ましくは1.3×1
0-2Pa以下、更に好ましくは1.3×10-3Pa以下
とされ、スパッタ中の内部圧力は、1.3×10-1Pa
以上1.3×102Pa以下とされる。
空計618にて内部圧力がモニターできる。真空容器6
01全体は不図示の排気系へ接続されたメインバルブ6
19を介して真空状態とされる。スパッタを開始する前
のバックグラウンドの内部圧力は好ましくは1.3×1
0-2Pa以下、更に好ましくは1.3×10-3Pa以下
とされ、スパッタ中の内部圧力は、1.3×10-1Pa
以上1.3×102Pa以下とされる。
【0174】以上に示した条件を保って酸化亜鉛層の形
成を開始し、酸化亜鉛層の層厚が所望の値に達した後、
スパッタ電源からの電力の供給、スパッタガスの供給を
適宜停止し、適宜基板を冷却した後、真空容器内を大気
リークして酸化亜鉛層を形成した基板を取り出す。
成を開始し、酸化亜鉛層の層厚が所望の値に達した後、
スパッタ電源からの電力の供給、スパッタガスの供給を
適宜停止し、適宜基板を冷却した後、真空容器内を大気
リークして酸化亜鉛層を形成した基板を取り出す。
【0175】次に、以上に説明したDCマグネトロンス
パッタ装置によりZnOを形成した基板に、公知の真空
蒸着装置により、インジウム(In)を5nm蒸着し
た。この後、Inを蒸着した基板を220℃で1時間酵
素雰囲気中で加熱処理する事により、InをZnO中に
拡散させた。
パッタ装置によりZnOを形成した基板に、公知の真空
蒸着装置により、インジウム(In)を5nm蒸着し
た。この後、Inを蒸着した基板を220℃で1時間酵
素雰囲気中で加熱処理する事により、InをZnO中に
拡散させた。
【0176】この後、13.56MHzのRF高周波を
電極に印加して原料ガスを減圧下でプラズマ状態にして
分解する公知のいわゆるグローディスチャージ法(GD
法)によって、以下の各半導体層を形成した。
電極に印加して原料ガスを減圧下でプラズマ状態にして
分解する公知のいわゆるグローディスチャージ法(GD
法)によって、以下の各半導体層を形成した。
【0177】まず基板を300℃に加熱しながら、H2
で希釈したモノシラン(SiH4)とフォスフィン(P
H3)を分解して、n型a−Si層105を20nm形
成した。
で希釈したモノシラン(SiH4)とフォスフィン(P
H3)を分解して、n型a−Si層105を20nm形
成した。
【0178】次に基板を250℃に加熱しながら、H2
で希釈したモノシラン(SiH4)を分解して、真性a
−Si層104をその上に400nm形成した。
で希釈したモノシラン(SiH4)を分解して、真性a
−Si層104をその上に400nm形成した。
【0179】次に基板を200℃に加熱しながら、H2
で希釈したモノシラン(SiH4)と3沸化ボロン(B
F3)を分解して、p型の微結晶シリコン層103を5
nm形成した。
で希釈したモノシラン(SiH4)と3沸化ボロン(B
F3)を分解して、p型の微結晶シリコン層103を5
nm形成した。
【0180】次に、図3で示すようなスパッタ装置でI
TOを透明電極102として形成した。反応室圧力は
1.3Pa、直流電力500Wで、時間30分で行っ
た。スパッタリングガスには、ヘリウム、アルゴンを用
い、表9のように変化させ、さらに表9のように基板温
度を変化させて透明電極を作製した。
TOを透明電極102として形成した。反応室圧力は
1.3Pa、直流電力500Wで、時間30分で行っ
た。スパッタリングガスには、ヘリウム、アルゴンを用
い、表9のように変化させ、さらに表9のように基板温
度を変化させて透明電極を作製した。
【0181】さらに、透明電極102の上に集電電極1
01として、EB蒸着法によって、Tiを300Å堆積
した後、Cuを4000Å堆積して、光起電力素子を作
製した。
01として、EB蒸着法によって、Tiを300Å堆積
した後、Cuを4000Å堆積して、光起電力素子を作
製した。
【0182】以上の工程で10cm角のいわゆる単層型
a−Si太陽電池を10個作製した。また、シャント抵
抗が1cm2あたり1KΩ以上の太陽電池を、25℃
で、ソーラーシミュレーターによって、AM1.5、1
00mW/cm2の疑似太陽光を照射して、開放電圧
(Voc)、短絡電流(Jsc)、フィルファクター
(FF)、光電変換効率(η)、直列抵抗(Rse)、
シャント抵抗(Rsh)等の太陽電池特性を測定し、平
均値を求めた。太陽電池特性の変換効率の結果を表9に
まとめた。
a−Si太陽電池を10個作製した。また、シャント抵
抗が1cm2あたり1KΩ以上の太陽電池を、25℃
で、ソーラーシミュレーターによって、AM1.5、1
00mW/cm2の疑似太陽光を照射して、開放電圧
(Voc)、短絡電流(Jsc)、フィルファクター
(FF)、光電変換効率(η)、直列抵抗(Rse)、
シャント抵抗(Rsh)等の太陽電池特性を測定し、平
均値を求めた。太陽電池特性の変換効率の結果を表9に
まとめた。
【0183】
【表9】
【0184】スパーク回数:1分間あたりの異常放電の
回数 結晶粒径:X線回折のピーク強度比 Sn濃度:XMAから求めた透明電極中のスズの含有量
の相対値 表面粗さ:透明電極表面の平均粗さ ヘイズ値:乱反射/全反射
回数 結晶粒径:X線回折のピーク強度比 Sn濃度:XMAから求めた透明電極中のスズの含有量
の相対値 表面粗さ:透明電極表面の平均粗さ ヘイズ値:乱反射/全反射
【0185】表9に示されるように、基板温度150℃
ではアルゴンの流量0から10sccmとアルゴンの流
量20sccm以上を比べると、アルゴンの流量が少な
い方が、結晶粒径が大きくなっており、表面粗さも大き
くなっている。そのため、ヘイズ率は向上し、透明電極
に入る光の散乱が減ったと推察される。Sn濃度が減っ
た分キャリア濃度が若干悪化した。
ではアルゴンの流量0から10sccmとアルゴンの流
量20sccm以上を比べると、アルゴンの流量が少な
い方が、結晶粒径が大きくなっており、表面粗さも大き
くなっている。そのため、ヘイズ率は向上し、透明電極
に入る光の散乱が減ったと推察される。Sn濃度が減っ
た分キャリア濃度が若干悪化した。
【0186】また、透明電極の抵抗を測定したところ、
アルゴンの流量によらず、一定であった。このことか
ら、アルゴンの流量が少ない系では、キャリアの移動度
が向上していると推察される。スパークの回数は、アル
ゴンの流量が少ない方が、少ない。
アルゴンの流量によらず、一定であった。このことか
ら、アルゴンの流量が少ない系では、キャリアの移動度
が向上していると推察される。スパークの回数は、アル
ゴンの流量が少ない方が、少ない。
【0187】結果として、変換効率は、アルゴンの流量
が少ない方が良くなっており、前記の2つ推察を裏付け
る結果となっている。このように、アルゴンの流量が少
ない方が良いという結果は、基板温度150℃,200
℃,250℃でも相違はなかった。
が少ない方が良くなっており、前記の2つ推察を裏付け
る結果となっている。このように、アルゴンの流量が少
ない方が良いという結果は、基板温度150℃,200
℃,250℃でも相違はなかった。
【0188】(実施例7および比較例3)以下の工程
で、図1に示したような光起電力素子を作製した。
で、図1に示したような光起電力素子を作製した。
【0189】まず、基板108として、表面がRmax
で0.1μm以下で、厚さ0.7mmで10cm角のS
US304のステンレス基板を洗浄し、裏面電極107
としてRFスパッタ法によって基板上にAgを平均0.
4μm形成した。このとき基板を380℃に加熱しなが
らスパッタリングを行うことにより、Rmaxで0.6
μmの光を散乱する凹凸形状を作製した。
で0.1μm以下で、厚さ0.7mmで10cm角のS
US304のステンレス基板を洗浄し、裏面電極107
としてRFスパッタ法によって基板上にAgを平均0.
4μm形成した。このとき基板を380℃に加熱しなが
らスパッタリングを行うことにより、Rmaxで0.6
μmの光を散乱する凹凸形状を作製した。
【0190】次に、MOCVD法により、チャンバー内
で、基板を180℃に加熱しながら、ジエチル亜鉛(D
EZ)とH2Oを気化して導入し、ドーピングガスとし
てH2で10%に希釈したSiF4を導入して混合し、透
明導電層106としてFドープZnOを0.4μm形成
した。
で、基板を180℃に加熱しながら、ジエチル亜鉛(D
EZ)とH2Oを気化して導入し、ドーピングガスとし
てH2で10%に希釈したSiF4を導入して混合し、透
明導電層106としてFドープZnOを0.4μm形成
した。
【0191】この後、13.56MHzのRF高周波を
電極に印加して原料ガスを減圧下でプラズマ状態にして
分解するいわゆるグローディスチャージ法(GD法)に
よって、以下の各半導体層を形成した。
電極に印加して原料ガスを減圧下でプラズマ状態にして
分解するいわゆるグローディスチャージ法(GD法)に
よって、以下の各半導体層を形成した。
【0192】まず基板を300℃に加熱しながら、H2
で希釈したモノシラン(SiH4)とフォスフィン(P
H3)を分解して、n型a−Si層105を20nm形
成した。
で希釈したモノシラン(SiH4)とフォスフィン(P
H3)を分解して、n型a−Si層105を20nm形
成した。
【0193】次に基板を280℃に加熱しながら、H2
で希釈したモノシラン(SiH4)とゲルマン(Ge
H4)を分解して、真性a−SiGe層104をその上
に250nm形成した。この時、n層との界面近傍およ
びp層との界面近傍にはいわゆるバッファー層を形成し
た。
で希釈したモノシラン(SiH4)とゲルマン(Ge
H4)を分解して、真性a−SiGe層104をその上
に250nm形成した。この時、n層との界面近傍およ
びp層との界面近傍にはいわゆるバッファー層を形成し
た。
【0194】次に基板を200℃に加熱しながら、H2
で希釈したモノシラン(SiH4)と3沸化ボロン(B
F3)を分解して、p型の微結晶シリコン層103を5
nm形成した。
で希釈したモノシラン(SiH4)と3沸化ボロン(B
F3)を分解して、p型の微結晶シリコン層103を5
nm形成した。
【0195】次に、図3で示すようなスパッタ装置でI
TOを透明電極102として形成した。透明電極の厚さ
が70nmになるように時間を調整し、反応室圧力は
1.3Pa、スパッタリングガスには、ヘリウムを50
sccm、アルゴンを100sccm用い、放電前の基
板温度100℃、電源を表10に示すように直流電源
(実施例7)と高周波電源(比較例3)を用い、パワー
を変化させて行った。このとき、スパッタプラズマのタ
ーゲットから基板側に向かって広がる陽光柱長さ(プラ
ズマ中の陽光柱のターゲットからの長さ)は、電源また
は電力を変化させることにより表10のように変化し
た。
TOを透明電極102として形成した。透明電極の厚さ
が70nmになるように時間を調整し、反応室圧力は
1.3Pa、スパッタリングガスには、ヘリウムを50
sccm、アルゴンを100sccm用い、放電前の基
板温度100℃、電源を表10に示すように直流電源
(実施例7)と高周波電源(比較例3)を用い、パワー
を変化させて行った。このとき、スパッタプラズマのタ
ーゲットから基板側に向かって広がる陽光柱長さ(プラ
ズマ中の陽光柱のターゲットからの長さ)は、電源また
は電力を変化させることにより表10のように変化し
た。
【0196】次に電子ビーム蒸着法によりAlを蒸着し
て集電電極101を形成した。
て集電電極101を形成した。
【0197】以上の工程で10cm角のいわゆる単層型
a−SiGe太陽電池を10個作製した。また、シャン
ト抵抗が1cm2あたり1KΩ以上の太陽電池を、25
℃で、ソーラーシミュレーターによって、AM1.5、
100mW/cm2の疑似太陽光を照射して、開放電圧
(Voc)、短絡電流(Jsc)、フィルファクター
(FF)、光電変換効率(η)、直列抵抗(Rse)、
シャント抵抗(Rsh)等の太陽電池特性を測定し、平
均値を求めた。太陽電池特性の結果で特に変換効率を表
10にまとめた。
a−SiGe太陽電池を10個作製した。また、シャン
ト抵抗が1cm2あたり1KΩ以上の太陽電池を、25
℃で、ソーラーシミュレーターによって、AM1.5、
100mW/cm2の疑似太陽光を照射して、開放電圧
(Voc)、短絡電流(Jsc)、フィルファクター
(FF)、光電変換効率(η)、直列抵抗(Rse)、
シャント抵抗(Rsh)等の太陽電池特性を測定し、平
均値を求めた。太陽電池特性の結果で特に変換効率を表
10にまとめた。
【0198】
【表10】
【0199】陽光柱長さ:プラズマ中の陽光柱のターゲ
ットからの長さ 基板温度:最初100℃の基板がプラズマに10分間曝
されたときの温度
ットからの長さ 基板温度:最初100℃の基板がプラズマに10分間曝
されたときの温度
【0200】表10に示すように、同じ電力では、高周
波電源に比べ、直流電源の方が、陽光柱の長さは短いた
め、放電開始後の基板温度の上昇は少ない。そのため、
高周波電源比べ、直流電源の方が、変換効率は高くなっ
た。さらに、高周波電源に比べ、直流電源の方が、速い
堆積速度で高い変換効率が得られた。この事から、高周
波電源よりも直流電源を用いた方が良いという本発明の
優秀性が確かめられた。
波電源に比べ、直流電源の方が、陽光柱の長さは短いた
め、放電開始後の基板温度の上昇は少ない。そのため、
高周波電源比べ、直流電源の方が、変換効率は高くなっ
た。さらに、高周波電源に比べ、直流電源の方が、速い
堆積速度で高い変換効率が得られた。この事から、高周
波電源よりも直流電源を用いた方が良いという本発明の
優秀性が確かめられた。
【0201】(実施例8)以下の工程で、図1に示した
ような光起電力素子を作製した。
ような光起電力素子を作製した。
【0202】まず、基板108として、表面がRmax
で0.1μm以下で、厚さ0.7mmで10cm角のS
US304のステンレス基板を洗浄し、裏面電極107
としてRFスパッタ法によって基板上にAgを平均0.
4μm形成した。このとき基板を380℃に加熱しなが
らスパッタリングを行うことにより、Rmaxで0.6
μmの光を散乱する凹凸形状を作製した。
で0.1μm以下で、厚さ0.7mmで10cm角のS
US304のステンレス基板を洗浄し、裏面電極107
としてRFスパッタ法によって基板上にAgを平均0.
4μm形成した。このとき基板を380℃に加熱しなが
らスパッタリングを行うことにより、Rmaxで0.6
μmの光を散乱する凹凸形状を作製した。
【0203】次に、MOCVD法により、チャンバー内
で、基板を180℃に加熱しながら、ジエチル亜鉛(D
EZ)とH2Oを気化して導入し、ドーピングガスとし
てH2で10%に希釈したSiF4を導入して混合し、透
明導電層106としてFドープZnOを0.4μm形成
した。
で、基板を180℃に加熱しながら、ジエチル亜鉛(D
EZ)とH2Oを気化して導入し、ドーピングガスとし
てH2で10%に希釈したSiF4を導入して混合し、透
明導電層106としてFドープZnOを0.4μm形成
した。
【0204】この後、13.56MHzのRF高周波を
電極に印加して原料ガスを減圧下でプラズマ状態にして
分解するいわゆるグローディスチャージ法(GD法)に
よって、以下の各半導体層を形成した。
電極に印加して原料ガスを減圧下でプラズマ状態にして
分解するいわゆるグローディスチャージ法(GD法)に
よって、以下の各半導体層を形成した。
【0205】まず基板を300℃に加熱しながら、H2
で希釈したモノシラン(SiH4)とフォスフィン(P
H3)を分解して、n型a−Si層105を20nm形
成した。
で希釈したモノシラン(SiH4)とフォスフィン(P
H3)を分解して、n型a−Si層105を20nm形
成した。
【0206】次に基板を280℃に加熱しながら、H2
で希釈したモノシラン(SiH4)とゲルマン(Ge
H4)を分解して、真性a−SiGe層104をその上
に250nm形成した。この時、n層との界面近傍およ
びp層との界面近傍にはいわゆるバッファー層を形成し
た。
で希釈したモノシラン(SiH4)とゲルマン(Ge
H4)を分解して、真性a−SiGe層104をその上
に250nm形成した。この時、n層との界面近傍およ
びp層との界面近傍にはいわゆるバッファー層を形成し
た。
【0207】次に基板を200℃に加熱しながら、H2
で希釈したモノシラン(SiH4)と3沸化ボロン(B
F3)を分解して、p型の微結晶シリコン層103を5
nm形成した。
で希釈したモノシラン(SiH4)と3沸化ボロン(B
F3)を分解して、p型の微結晶シリコン層103を5
nm形成した。
【0208】次に、図3で示すようなスパッタ装置でI
TOを透明電極102として形成した。透明電極の厚さ
が70nmになるように時間を調整し、反応室圧力は
1.3Pa、スパッタリングガスには、ヘリウムを50
sccm、アルゴンを100sccm用い、放電前の基
板温度100℃、電源には直流電源と高周波電源を用
い、ターゲットエロージョン部幅方向中央で直上1cm
の位置での面内方向の磁束密度を表11に示すように変
化させて行った。このとき、スパッタプラズマのターゲ
ットから基板側に向かって広がる陽光柱長さ(プラズマ
中の陽光柱のターゲットからの長さ)は、磁束密度を変
化させることにより表11のように変化した。
TOを透明電極102として形成した。透明電極の厚さ
が70nmになるように時間を調整し、反応室圧力は
1.3Pa、スパッタリングガスには、ヘリウムを50
sccm、アルゴンを100sccm用い、放電前の基
板温度100℃、電源には直流電源と高周波電源を用
い、ターゲットエロージョン部幅方向中央で直上1cm
の位置での面内方向の磁束密度を表11に示すように変
化させて行った。このとき、スパッタプラズマのターゲ
ットから基板側に向かって広がる陽光柱長さ(プラズマ
中の陽光柱のターゲットからの長さ)は、磁束密度を変
化させることにより表11のように変化した。
【0209】次に電子ビーム蒸着法によりA1を蒸着し
て集電電極108を形成した。
て集電電極108を形成した。
【0210】以上の工程で10cm角のいわゆる単層型
a−SiGe太陽電池を10個作製した。また、シャン
ト抵抗が1cm2あたり1KΩ以上の太陽電池を、25
℃で、ソーラーシミュレーターによって、AM1.5、
100mW/cm2の疑似太陽光を照射して、開放電圧
(Voc)、短絡電流(Jsc)、フィルファクター
(FF)、光電変換効率(η)、直列抵抗(Rse)、
シャント抵抗(Rsh)等の太陽電池特性を測定し、平
均値を求めた。太陽電池特性の結果で特に変換効率を表
11にまとめた。
a−SiGe太陽電池を10個作製した。また、シャン
ト抵抗が1cm2あたり1KΩ以上の太陽電池を、25
℃で、ソーラーシミュレーターによって、AM1.5、
100mW/cm2の疑似太陽光を照射して、開放電圧
(Voc)、短絡電流(Jsc)、フィルファクター
(FF)、光電変換効率(η)、直列抵抗(Rse)、
シャント抵抗(Rsh)等の太陽電池特性を測定し、平
均値を求めた。太陽電池特性の結果で特に変換効率を表
11にまとめた。
【0211】
【表11】
【0212】表11に示すように、磁束密度が500ガ
ウス以上で陽光柱の長さは短いため、放電開始後の基板
温度の上昇は少ない。そのため、磁束密度が500ガウ
ス以上の方が、変換効率は格段と高くなった。
ウス以上で陽光柱の長さは短いため、放電開始後の基板
温度の上昇は少ない。そのため、磁束密度が500ガウ
ス以上の方が、変換効率は格段と高くなった。
【0213】
【発明の効果】従来の透明電極よりも優れていることを
しめすため、本発明の透明電極の製造方法によって得ら
れた効果を以下に示す。
しめすため、本発明の透明電極の製造方法によって得ら
れた効果を以下に示す。
【0214】本発明の第1によれば、インジウムとスズ
の酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透明
電極の作製方法おいて、該透明電極の成膜時の雰囲気中
に、ヘリウムの流量を変化させて導入することにより、
ITOの結晶粒径を自由に変化させることができ、高い
透過率の透明電極を形成できた。
の酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透明
電極の作製方法おいて、該透明電極の成膜時の雰囲気中
に、ヘリウムの流量を変化させて導入することにより、
ITOの結晶粒径を自由に変化させることができ、高い
透過率の透明電極を形成できた。
【0215】特に、透明電極の成膜時の雰囲気中のヘリ
ウム濃度を透明電極の膜厚方向に変化させ、また、ヘリ
ウムの導入量を、透明電極の成膜後期よりも成膜初期に
おいて多くすることにより、半導体/透明電極界面を有
する光起電力素子を作製した場合において、半導体/透
明電極界面で熱伝導率が高くなり、大容量の熱を安定か
つ速かに半導体層から逃がすことが可能となり、かかる
光起電力素子を有する太陽電池モジュールを屋根に設置
したときに光起電力素子に蓄積する熱を小さくすること
ができる。そのため、半導体/透明電極界面でのはがれ
等を防止でき、ユーザに太陽電池の商品劣悪感を与え
ず、かつ信頼性をさげる不具合を防止することができ
る。
ウム濃度を透明電極の膜厚方向に変化させ、また、ヘリ
ウムの導入量を、透明電極の成膜後期よりも成膜初期に
おいて多くすることにより、半導体/透明電極界面を有
する光起電力素子を作製した場合において、半導体/透
明電極界面で熱伝導率が高くなり、大容量の熱を安定か
つ速かに半導体層から逃がすことが可能となり、かかる
光起電力素子を有する太陽電池モジュールを屋根に設置
したときに光起電力素子に蓄積する熱を小さくすること
ができる。そのため、半導体/透明電極界面でのはがれ
等を防止でき、ユーザに太陽電池の商品劣悪感を与え
ず、かつ信頼性をさげる不具合を防止することができ
る。
【0216】また特に、前記透明電極の作製ガスとし
て、ネオン、アルゴン、O2のうち少なくとも一つを用
いることにより、単にアルゴンガスをスパッタリングガ
スとして用いた場合に比し、膜剥がれがなく、高透過率
でキャリア密度の高い透明電極が得られる。
て、ネオン、アルゴン、O2のうち少なくとも一つを用
いることにより、単にアルゴンガスをスパッタリングガ
スとして用いた場合に比し、膜剥がれがなく、高透過率
でキャリア密度の高い透明電極が得られる。
【0217】また特に、前記作製ガスに対する前記ヘリ
ウムの流量比を1%以上にすることにより、結晶分率を
向上させることができる。
ウムの流量比を1%以上にすることにより、結晶分率を
向上させることができる。
【0218】また特に、前記透明電極の成膜に用いる反
応室を封止の状態でスパッタすることにより、ヘリウム
原子のターゲットへの打ち込みにともない反応室圧力が
低下し、スパッタレートが上昇し堆積速度が速めること
ができる。
応室を封止の状態でスパッタすることにより、ヘリウム
原子のターゲットへの打ち込みにともない反応室圧力が
低下し、スパッタレートが上昇し堆積速度が速めること
ができる。
【0219】本発明の第2によれば、インジウムとスズ
の酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透明
電極の作製方法において、該透明電極を堆積する基板が
電気的にフローティングであることにより、透明電極の
耐酸性を向上させることができ、特に光起電力素子の透
明電極の作製に適用した場合、近年問題となっている酸
性雨に対する耐久性を高めることができる。
の酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透明
電極の作製方法において、該透明電極を堆積する基板が
電気的にフローティングであることにより、透明電極の
耐酸性を向上させることができ、特に光起電力素子の透
明電極の作製に適用した場合、近年問題となっている酸
性雨に対する耐久性を高めることができる。
【0220】また特に、前記基板は、フローティングバ
イアスが−50V以上であることにより、トラッキング
アークやそれ以外の異常放電が減少し安定した放電を行
うことができ、透明電極内の異常成長を減少させること
ができる。
イアスが−50V以上であることにより、トラッキング
アークやそれ以外の異常放電が減少し安定した放電を行
うことができ、透明電極内の異常成長を減少させること
ができる。
【0221】本発明の第3によれば、インジウムとスズ
の酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透明
電極の作製方法において、該透明電極を堆積する基板
と、スパッタターゲットの距離を7cm以上とすること
により、スパッタプラズマの処理部分と高エネルギー・
イオン等を多く含むと思われるプラズマの生成部分を分
離し、プラズマによる基板への損傷を低減し、この損傷
が近年の高性能化した半導体デバイス、液晶ディスプレ
イ等の信頼性を低下させるという問題を解決し、さらに
膜厚分布をなくすとともに、堆積速度の高い透明電極の
作製が可能となった。
の酸化物をターゲットに用いた直流スパッタによる透明
電極の作製方法において、該透明電極を堆積する基板
と、スパッタターゲットの距離を7cm以上とすること
により、スパッタプラズマの処理部分と高エネルギー・
イオン等を多く含むと思われるプラズマの生成部分を分
離し、プラズマによる基板への損傷を低減し、この損傷
が近年の高性能化した半導体デバイス、液晶ディスプレ
イ等の信頼性を低下させるという問題を解決し、さらに
膜厚分布をなくすとともに、堆積速度の高い透明電極の
作製が可能となった。
【0222】本発明の第4によれば、ステンレスを支持
基板とし、裏面金属層、透明導電層、半導体層、透明電
極の順で積層した光起電力素子の作製方法において、該
透明電極を上記本発明の第1乃至第3のいずれかの方法
によって作製することにより、光の収集効率を向上させ
ることができ、変換効率を向上させることができる。
基板とし、裏面金属層、透明導電層、半導体層、透明電
極の順で積層した光起電力素子の作製方法において、該
透明電極を上記本発明の第1乃至第3のいずれかの方法
によって作製することにより、光の収集効率を向上させ
ることができ、変換効率を向上させることができる。
【0223】また特に、前記半導体層が、第1の導電型
半導体層、真性の半導体層、第1の導電型半導体層とは
逆の極性をもつ第2の導電型半導体層なるpin構造を
もち、該真性半導体層が微結晶シリコンからなることに
より、高い透過率を有する透明電極により微結晶シリコ
ンセルの短絡電流密度を向上させることができる。
半導体層、真性の半導体層、第1の導電型半導体層とは
逆の極性をもつ第2の導電型半導体層なるpin構造を
もち、該真性半導体層が微結晶シリコンからなることに
より、高い透過率を有する透明電極により微結晶シリコ
ンセルの短絡電流密度を向上させることができる。
【図1】本発明を適用可能な光起電力素子の一例を模式
的に示す断面図である。
的に示す断面図である。
【図2】本発明を適用可能な光起電力素子の半導体層の
作製に用いることのできる装置の一例を示す概略図であ
る。
作製に用いることのできる装置の一例を示す概略図であ
る。
【図3】本発明に用いることのできる透明電極の作製装
置の一例を示す概略図である。
置の一例を示す概略図である。
【図4】実施例1おいて用いたITO用スパッタ装置の
概略図である。
概略図である。
【図5】実施例3に係る光起電力素子の透明電極作製に
おける異常放電時の電圧波形を示す図である。
おける異常放電時の電圧波形を示す図である。
【図6】実施例6に係る光起電力素子の酸化亜鉛層の作
製に用いた装置の概略図である。
製に用いた装置の概略図である。
101 集電電極 102 透明電極 103 p型半導体層 104 i型半導体層 105 n型半導体層 106 透明導電層 107 裏面電極 108 導電性基板 201 マイクロ波電源 202 導波管 203 マイクロ波導入口 204、305、608 基板 205 SiH4ライン 206、304 ガスライン 207、312 油拡散ポンプ 208、313 RPポンプ 209、314、411 反応室 306、606 ヒーター 307、412 直流電源 308 ITOターゲット 309、310、311、404、405、406、4
14、415、416、616、617 マスフローコ
ントローラー 315、620 プラズマ空間 407 ロール送り出し部 408 ロール 409 排気ポンプ 410 排気部 413 ロール巻き取り部 417 ガス導入ラインA 418 ガス導入ラインB 601 真空容器 603 加熱板 604 熱電対 605 温度コントローラー 607 伝熱板 610 ターゲット 614 スパッタ電源 615 RF電源 618 真空計
14、415、416、616、617 マスフローコ
ントローラー 315、620 プラズマ空間 407 ロール送り出し部 408 ロール 409 排気ポンプ 410 排気部 413 ロール巻き取り部 417 ガス導入ラインA 418 ガス導入ラインB 601 真空容器 603 加熱板 604 熱電対 605 温度コントローラー 607 伝熱板 610 ターゲット 614 スパッタ電源 615 RF電源 618 真空計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 狩谷 俊光 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H092 HA04 MA01 MA04 MA05 MA07 MA08 NA01 NA18 4K029 AA02 BA50 BC09 BD00 CA05 CA13 DC05 DC34 EA04 EA05 FA07 5F051 AA04 AA05 BA03 BA16 BA17 BA18 CA15 CA16 CA17 CA18 CA19 CB12 CB13 CB15 DA04 FA04 FA06 FA13 FA15 FA24 FA30 GA02 GA14
Claims (11)
- 【請求項1】 インジウムとスズの酸化物をターゲット
に用いた直流スパッタによる透明電極の作製方法おい
て、該透明電極の成膜時の雰囲気中に、流量を変化させ
ながらヘリウムを導入することを特徴とする透明電極の
作製方法。 - 【請求項2】 前記透明電極の成膜時の雰囲気中のヘリ
ウム濃度を、透明電極の膜厚方向に変化させることを特
徴とする請求項1に記載の透明電極の作製方法。 - 【請求項3】 前記ヘリウムの導入量を、前記透明電極
の成膜後期よりも成膜初期において多くすることを特徴
とする請求項1または2に記載の透明電極の作製方法。 - 【請求項4】 前記透明電極の作製ガスとして、ネオ
ン、アルゴン、O2のうち少なくとも一つを用いること
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の透明電
極の作製方法。 - 【請求項5】 前記作製ガスに対する前記ヘリウムの流
量比が、1%以上であることを特徴とする請求項4に記
載の透明電極の作製方法。 - 【請求項6】 前記透明電極の成膜に用いる反応室を封
止の状態でスパッタすることを特徴とする請求項4また
は5に記載の透明電極の作製方法。 - 【請求項7】 インジウムとスズの酸化物をターゲット
に用いた直流スパッタによる透明電極の作製方法におい
て、該透明電極を堆積する基板が電気的にフローティン
グであることを特徴とする透明電極の作製方法。 - 【請求項8】 前記基板は、フローティングバイアスが
−50V以上であることを特徴とする請求項7に記載の
透明電極の作製方法。 - 【請求項9】 インジウムとスズの酸化物をターゲット
に用いた直流スパッタによる透明電極の作製方法におい
て、該透明電極を堆積する基板と、スパッタターゲット
の距離が7cm以上であることを特徴とする透明電極の
作製方法。 - 【請求項10】 ステンレスを支持基板とし、裏面金属
層、透明導電層、半導体層、透明電極の順で積層した光
起電力素子の作製方法において、該透明電極を請求項1
乃至9のいずれかに記載の方法によって作製することを
特徴とする光起電力素子の作製方法。 - 【請求項11】 前記半導体層が、第1の導電型半導体
層、真性の半導体層、第1の導電型半導体層とは逆の極
性をもつ第2の導電型半導体層なるpin構造をもち、
該真性半導体層が微結晶シリコンからなることを特徴と
する請求項10に記載の光起電力素子の作製方法。
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JP33726899A JP2001152323A (ja) | 1999-11-29 | 1999-11-29 | 透明電極および光起電力素子の作製方法 |
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JP33726899A JP2001152323A (ja) | 1999-11-29 | 1999-11-29 | 透明電極および光起電力素子の作製方法 |
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