JP2001151801A - アクリルシラップの製造方法 - Google Patents

アクリルシラップの製造方法

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JP2001151801A JP33970099A JP33970099A JP2001151801A JP 2001151801 A JP2001151801 A JP 2001151801A JP 33970099 A JP33970099 A JP 33970099A JP 33970099 A JP33970099 A JP 33970099A JP 2001151801 A JP2001151801 A JP 2001151801A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応中に不活性ガスを用いる必要のないアク
リルシラップの製造方法を提供する。 【解決手段】 (1)メタクリル酸メチルを主成分とす
る原料の全量に対し20〜70重量%の単量体を2時間
以内に系内組成物の沸点まで昇温し、(2)系内組成物
の沸点に達し還流を開始した時点で連鎖移動剤を添加
し、(3)次いで反応温度を系内組成物の沸点とし、か
つ還流を維持しながら、原料の全量に対し80〜30重
量%の単量体を0.1〜10時間の範囲から選ばれた時
間かけて連続的にまたは分割して添加し、(4)単量体
の添加と同時に重合開始剤を連続的にまたは分割して加
え反応を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はメタクリル酸メチル
を主成分とする単量体の重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリルシラップはメタクリル樹脂注型
板、光伝送繊維や光導波路などの光学材料、アクリル人
造大理石、人工印材、床材、接着剤、粘着剤、文化財・
剥製等修復材料または医用材料などの中間原料として従
来より用いられている。
【0003】このうちメタクリル酸メチルを主成分とす
るシラップの製造方法は特公昭36−3392号公報、
特公平1−11652号公報、特開昭49−10493
7号公報、特開平3−111408号公報、特開平9−
67495号公報、および特開平9−194673号公
報等、多数出願されている。
【0004】アクリルシラップの製造方法は2つに大別
される。1つは特開昭49−104937号公報、特開
平9−194673号公報等に開示されている、別途調
製した重合体を単量体に溶解する方法である。本発明と
は基本的に異なる製造方法であり、しかも一旦重合体を
取り出した後再度単量体に溶解するため、エネルギー的
にも経済的にも不利である。もう1つは特公昭36−3
392号公報や特公平1−11652号公報等で開示さ
れている、単量体を部分的に塊状重合させる方法であり
部分重合法とも呼ばれる。部分重合法は更に回分法と連
続法とに分けられる。
【0005】部分重合法のうち第一の回分法による製造
方法として、例えば特公昭36−3392号公報には、
メタクリル酸メチルを主成分とする単量体および連鎖移
動剤からなる原料を80℃に昇温し、少量のアゾビスイ
ソブチロニトリルまたは過酸化ベンゾイルを重合開始剤
として加え、同時に100℃に昇温し還流下で27〜5
0分重合し、所定の粘度になった時点で重合禁止剤とし
てハイドロキノンを含有する冷たいメタクリル酸メチル
を加えて急冷することによりアクリルシラップを製造す
る方法が開示されている。しかしながら、この方法では
重合開始剤が完全に分解しない状態で重合を停止するた
め、得られたシラップ中に重合開始剤が残存しており、
たとえ重合禁止剤を加えても貯蔵安定性の劣ったものと
なる。例えば重合開始剤に用いる過酸化ベンゾイルの1
00℃での半減期は約22分であるから、所定の粘度に
達した時点では加えた量に対して42〜20%の重合開
始剤が製品中に残存している。また反応に必要な量の重
合開始剤を一度に添加するために反応の制御が困難であ
り、一旦重合開始剤を加えた後に昇温を行い還流下で反
応させるが、昇温速度や還流量などについての詳細な記
述はないため、僅かな温度の変化の影響により製品の重
合率、粘度が大きく変化するから安定した製造は行えな
い。特公平1−11652号公報では、SMCまたはB
MCの中間原料としてシラップを製造するに際し、撹拌
機、温度計、窒素ガス導入管を備えた反応容器にメタク
リル酸メチル89重量%、メタクリル酸5重量%、トリ
メチロールプロパントリメタクリレート6重量%からな
る単量体100部に対しn−ドデシルメルカプタン0.
4部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.05
部を含む原料を仕込み、80℃、窒素雰囲気下で重合を
行い、反応液が所定の粘度に達した時点で重合禁止剤と
してハイドロキノンおよびp−メトキシフェノールを加
え、速やかに室温まで冷却し重合を禁止する方法によ
り、カルボン酸を含むアクリルシラップを製造する方法
が開示されている。しかしながら所定の粘度に達した時
点で重合禁止剤を加えて強制的に重合を停止しており、
得られたシラップ中には重合開始剤が残存しているの
で、たとえ重合禁止剤を加えても貯蔵安定性の劣ったも
のとなる。また反応に必要な量の重合開始剤を一度に添
加するために反応の制御が困難である。僅かな温度の変
化の影響により製品の重合率、粘度が大きく変化するた
め安定した製造は行えない。また特開平9−67495
号公報ではSMCまたはBMCの中間原料としてシラッ
プを製造するに際し、メタクリル酸メチル190部、メ
タクリル酸10部からなる単量体を窒素雰囲気下80℃
に昇温し、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブ
チロニトリル0.05部と連鎖移動剤としてn−ドデシ
ルメルカプタン0.8部を加え重合を行い、反応液が所
定の粘度に達した時点でメタクリル酸メチル50部を加
え急冷する方法により、シラップ中の重合体にカルボン
酸を含むアクリルシラップを製造する方法が開示されて
いる。しかしながらこの方法においては、所定の粘度に
達した時点で単量体を加え急冷することで強制的に重合
を停止しており、得られたシラップ中には重合開始剤が
残存しており、貯蔵安定性の劣ったものとなる。また反
応に必要な量の重合開始剤を一度に添加するために反応
の制御が困難である。僅かな温度の変化の影響により製
品の重合率、粘度が大きく変化するため安定した製造は
行えない。
【0006】従来行われてきた回分法では反応に必要な
量の重合開始剤を一度に添加するために反応の制御が困
難であり、僅かな温度変化の影響により製品の重合率、
粘度が大きく変化するため、安定した品質の製品は得ら
れがたい。また重合開始剤が残存しないようにするため
反応温度での半減期が短い重合開始剤を用いると、一度
に多量の重合開始剤が分解し、重合反応が急速に進行す
るため重合反応を制御することができない。このため回
分法で使用可能な重合開始剤は重合温度での半減期が長
いものに限定されるので、得られたシラップ中に重合開
始剤が残存しており、たとえ重合禁止剤を加えても貯蔵
安定性の劣ったものとなる。
【0007】部分重合法のうち第二に連続法による製造
方法として、例えば特開平3−111408号公報には
原料中の溶存酸素を1ppm未満とし、反応液の沸騰を
抑え、130〜160℃において重合率が45〜70%
となるように重合させる方法が開示されている。この完
全混合槽による連続法においても、原料中の溶存酸素を
除去する必要があり、重合反応は窒素雰囲気下で行われ
るので多量の窒素を必要とする。また上記の完全混合槽
による連続法では連続キャスト板向けなど大量少品種生
産には適しているとしても、種々の用途に適した製品を
作るための少量多品種の生産には不向きである。
【0008】このように、メタクリル酸メチルを主成分
とする単量体の重合を行う場合、窒素等の不活性ガスを
単量体中に導入することにより単量体中の溶存酸素を除
去することが広く行われている。酸素は重合反応におい
て重合禁止剤あるいは重合開始剤として働くことが知ら
れている。例えばJ.C.Bevington(J.
C.Bevington、大津 隆行ほか訳、東京化学
同人、「ラジカル重合」、1966年、p.182〜1
83)によれば、ポリマーラジカルが酸素に対して高い
反応性を有し、付加反応によりパーオキシラジカルを生
成すること、およびこのパーオキシラジカルと単量体の
反応速度が非常に小さいので、通常の場合酸素は重合を
抑制することが記されている。また松本ら(高分子化
学、26、1969、p.180〜186)によれば、
精製した単量体と酸素とが反応してパーオキサイドが生
成し、このうち特にヒドロキシパーオキサイドは通常の
重合開始剤のようにラジカルを発生し重合開始反応を起
こすこと、多量の酸素が存在すると単量体との共重合体
を生成するため、通常の単量体だけの重合を抑制するこ
とが記されている。このように単量体中に酸素が溶存し
ていると、酸素が単量体と反応してパーオキサイドや共
重合体を生成し、温度や酸素濃度等の条件により、重合
を抑制したり、あるいは逆に重合を開始したりするので
重合反応が不安定となる。メタクリル酸メチルを主成分
とする単量体の重合を工業的にかつ安定的に実施するに
は、重合に及ぼす影響が実質的になくなる程度まで溶存
酸素を除去することが必要である。
【0009】同様に、半回分法においても重合に及ぼす
影響が実質的になくなる程度まで溶存酸素を除去するた
めには多量の不活性ガスを用いる必要があり、製造コス
ト上昇の一因となる。重合の阻害要因を除去し、しかも
製造コストを削減できる方法が待ち望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
法の上記のような問題点を解決し、種々の用途に適しか
つ安定した品質のアクリルシラップを効率的にかつ容易
に製造する方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究し
た結果、特定の製造方法によって、種々の用途に適し、
かつ安定した品質のアクリルシラップを、効率的にかつ
容易に製造し得ることを見いだし、本発明を完成した。
【0012】すなわち本発明は、メタクリル酸メチルを
主成分とする単量体、重合開始剤および連鎖移動剤を含
む混合物からアクリルシラップを製造するに際し、
(1)原料の全量に対し20〜70重量%の単量体を2
時間以内に系内組成物の沸点まで昇温し、(2)系内組
成物の沸点に達し還流を開始した時点で連鎖移動剤を添
加し、(3)次いで還流状態を維持しながら原料の全量
に対し80〜30重量%の単量体を0.1〜10時間の
範囲から選ばれた時間かけて連続的にまたは分割して添
加し、(4)単量体の添加と同時に、反応温度での半減
期が10〜300秒の重合開始剤を連続的にまたは分割
して加え反応を行う、GPCで測定したシラップ中重合
体の重量平均分子量が2万〜50万であり、25℃にお
ける粘度が1.0×10 2 〜5.0×105 mPa・s
であるアクリルシラップの製造方法に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明のアクリルシラップ
の製造方法について具体的に説明する。
【0014】本発明では単量体成分としてメタクリル酸
メチルを主成分とし、メタクリル酸メチルと共重合可能
な他の単量体成分を50%未満の範囲で任意に加えて用
いることができる。この単量体成分はメタクリル酸メチ
ルと共重合可能な単量体であれば特に限定されず、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸および/またはフマ
ル酸などの不飽和カルボン酸、メタクリル酸メチルを除
く不飽和カルボン酸エステル、不飽和ニトリル、不飽和
カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸のイミド及び/ま
たは酸無水物、スチレンなどの芳香族ビニル、酢酸ビニ
ルなどのカルボン酸ビニルなど、エチレン性二重結合を
有する化合物が挙げられる。
【0015】本発明では、重合温度を系内組成物の沸点
とし、かつ特定の還流状態を維持することにより、酸素
が実質的に系内から除去された状態で重合を行うことが
できる。
【0016】本発明においては、通常市販されている、
重合禁止剤を3〜1000ppm含む単量体を用いる。
室温では溶存酸素量は相対的に多いが、重合禁止剤が微
量存在することにより重合が抑制される。一方温度が高
くなると溶存酸素量は相対的に減少するが、特に70℃
以上で長時間保持すると酸素による重合の影響が無視で
きなくなる。このため、張り込んだ原料を昇温する際に
は室温から系内組成物の沸点に達するまでの時間を2時
間以内、好ましくは1.5時間以内とし、70℃から系
内組成物の沸点に達するまでの時間を0.5時間以内と
することが更に好ましい。
【0017】本発明においては、反応槽中の反応液10
0重量部に対し、1分あたりの還流量を0.01重量部
〜10.0重量部であるように還流状態を維持すること
により系内の酸素を系外に除去する。1分あたりの還流
量が0.01重量部未満では原料中に溶存している酸素
の系外への除去が不完全であり、設定通りの重合率を得
ることができない。逆に1分あたりの還流量が10.0
重量部を超えるのは急激な重合反応が起こっている場合
かまたは過剰な熱量がジャケットから与えられている場
合であり、前者では重合反応の制御が不可能であり、後
者ではエネルギー効率が悪く、いずれも好ましくない。
【0018】本発明においては原料中の溶存酸素を除去
しなくても安定的に重合を行うことができ、原料中の溶
存酸素を不活性ガスで置換する操作は不要である。原料
中の溶存酸素を不活性ガスで置換しない場合、不活性ガ
ス使用量を低減でき経済的に有利となる。
【0019】本発明においては反応温度での半減期が1
0〜300秒になるような重合開始剤を用い、単量体及
び重合開始剤の添加終了後0〜5時間還流状態を維持す
ることにより、重合開始剤を完全に分解させ得られるシ
ラップの貯蔵安定性を向上させることができる。
【0020】重合開始剤の半減期は例えば日本油脂
(株)「有機過酸化物」資料第13版、アトケム吉富
(株)技術資料および和光純薬工業(株)「Azo P
olymerizati on Initiator
s」等に記載の諸定数等により容易に求めることがで
き、例えば2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレ
ロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4ジメチル−
4−メトキシバレロニトリル)、1,1’−アゾビスシ
クロヘキサンカルボニトリル、ラウロイルパーオキサイ
ド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパー
オキシジカーボネートおよび/またはビス( 4−t−ブ
チルシクロヘキシル) パーオキシジカーボネートなどが
用いられる。
【0021】用いられる重合開始剤は、単独であるいは
2種以上組み合わせて用いることができ、重合反応槽で
所望の重合率を得るために必要な量が添加される。また
重合開始剤を単独で添加する方法、単量体原料と混合し
て添加する方法のいずれも用いることができる。本発明
によるアクリルシラップの粘度は重合率、重合体の分子
量および重合体中のメタクリル酸メチルと共重合可能な
不飽和単量体単位の分率により影響を受けるが、必要な
粘度範囲を満足するためには、原料全体に対する重合開
始剤の使用量として5.0×10-5〜2.0wt%が好
ましく、5.0×10-4〜1.0wt%がさらに好まし
い。
【0022】連鎖移動剤としては重合反応を阻害せず所
望の分子量の製品が得られるものであれば何でもよい。
通常はメルカプタン類が用いられる。連鎖移動剤として
メルカプタン類を用いた場合には僅かづつ重合が進行す
ることが知られている。最初に仕込む原料中にメルカプ
タン類が含まれた状態で昇温すると、昇温パターンの変
動により添加開始前のポリマー濃度が変動し、製品の重
合率が変動するため安定した製造が行えない。従って、
昇温が完了して単量体および/または重合開始剤の供給
を開始する直前に連鎖移動剤の全量を添加することが好
ましい。
【0023】本発明において原料は大きく分けて、初め
から仕込まれる原料、すなわち初期仕込分および重合開
始剤とともに後で添加される残りの原料、すなわち添加
分に分けられる。この初期仕込分と添加分の重量比は通
常20:80〜70:30の範囲である。反応装置にも
よるが、初期仕込分が20wt%未満では攪拌翼の大部
分が液面より上にあるため攪拌効率が悪く、好ましくな
い。
【0024】添加原料の供給速度は添加中を通じ一定と
なるように制御される。また添加時間は0.1〜10時
間であり、好ましくは0.5〜8時間である。添加時間
が0.1時間未満では発熱量が多く、しかも反応槽内液
量の増加速度が大きいため大容量の熱交換器、大流量の
定量ポンプなどを必要とし好ましくない。また10時間
を超えると仕込から製品取出までの工程時間が長くなり
生産性の点から好ましくない。
【0025】単量体および/または重合開始剤の添加終
了後、0.01〜5時間、好ましくは0.01〜1時間
さらに加熱を継続することが好ましい。この反応時間は
重合開始剤が99%以上分解する時間とするのが望まし
い。重合開始剤が残存していると冷却時の影響により最
終製品の重合率および粘度が変動しアクリルシラップを
安定的に製造することが困難となるばかりでなく、得ら
れたアクリルシラップの貯蔵安定性が低下し好ましくな
い。5時間を超えて加熱を継続することも可能である
が、仕込から製品取出までの工程時間が長くなり生産性
の点から好ましくない。最終的な重合率は設定分子量お
よびメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体の濃度に
もよるが、15〜50重量%である。
【0026】本発明においては重合禁止剤を加えてから
冷却し、製品を取り出すことが好ましい。冷却する前に
重合禁止剤を加えることにより、冷却操作中にメルカプ
タン類による重合が進行することを抑制し、さらに安全
に安定した条件でアクリルシラップを製造することがで
きる。また冷却する前に重合禁止剤を加えることにより
連鎖移動剤にメルカプタン類を用いる場合であってもア
クリルシラップの貯蔵安定性は良好となり、アクリルシ
ラップ中に残存するメルカプタン類の不活性化処理を行
う必要はない。
【0027】得られたシラップの着色をさけるため、重
合禁止剤としてはヒンダードフェノール系重合禁止剤を
用いることが好ましい。ヒンダードフェノール系重合禁
止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メ
チルフェノール(BHT)、6−t−ブチル−2,4−
ジメチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−t−
ブチル−3−メチルフェノール)および/または2,
2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフ
ェノール)等が挙げられる。これらのヒンダードフェノ
ール系重合禁止剤は単独で、あるいは2種以上組み合わ
せて用いることができる。また上記ヒンダードフェノー
ル系重合禁止剤の存在下、例えばリン系重合禁止剤のよ
うな、ヒンダードフェノール系重合禁止剤と併用するこ
とでさらに着色を抑制することが公知である重合禁止剤
を併用することも可能である。
【0028】さらに、冷却時においては酸素を含むガス
を導入することが望ましい。酸素を含むガスとしては空
気または空気と窒素の混合ガス等が挙げられる。ヒンダ
ードフェノール系化合物存在下でシラップ中に酸素を十
分溶存させることにより、アクリルシラップの貯蔵安定
性が良好となる。
【0029】以上のようにして得られたアクリルシラッ
プはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー)で測定したシラップ中重合体の重量平均分子量が2
万〜50万であり、25℃における粘度が1.0×10
2 〜5.0×105 mPa・sであることを特徴とする
ものとなる。
【0030】得られたアクリルシラップは注型板、光伝
送繊維や光導波路などの光学材料、アクリル人造大理
石、人工印材、床材、接着剤、粘着剤、文化財・剥製等
修復材料または医用材料などの中間原料として用いるこ
とができる。必要に応じ充填材、繊維補強材、低収縮
剤、滑剤、可塑剤、増粘剤、有機溶剤等の希釈剤、架橋
剤、レベリング剤、脱泡剤、沈降防止剤、離型剤、酸化
防止剤、重合禁止剤、UV吸収剤、顔料および/または
染料等の公知の添加剤と本発明のアクリルシラップを混
合し用いることもできる。
【0031】
【実施例】本発明をさらに具体的に例示するが、これら
に限定されるものではない。メタクリル酸メチルは三菱
ガス化学製、Fタイプ(6−t−ブチル2,4−ジメチ
ルフェノール 5ppm)を、メタクリル酸は三菱ガス
化学製、4−メトキシフェノール250ppm品を、ア
クリル酸メチルは東亞合成製、4−メトキシフェノール
15ppm品を、それぞれ使用した。重合率は重量法に
より、試料を大量の冷ヘキサン中に投入し生じた沈澱物
を精製・減圧乾燥し求めた。シラップ中重合体の分子量
は東ソー(株)製8010型ゲルパーミエーションクロ
マトグラフィーにより測定した。粘度はB型粘度計を用
い25℃で測定した。 実施例1 撹拌機、冷却管、定量ポンプを備えた3Lセパラブルフ
ラスコにメタクリル酸メチル911g、メタクリル酸2
8gを窒素バブリングせずに仕込み、25℃から昇温し
た。昇温開始後40分で100℃に達し還流が始まっ
た。還流が始まった時点で1−ドデカンチオール11g
を加え、還流量を20g/分に維持しながらメタクリル
酸メチル940gおよび2,2’−アゾビス(2,4−
ジメチルバレロニトリル)0.14g(100℃におけ
る半減期=96秒)からなる溶液を3時間かけて定量ポ
ンプを用いて添加した。添加終了後0.3時間加熱を継
続し、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
2.98gを加えた後、冷却管を通して空気が入り得る
状態で室温まで攪拌しながら冷却した。得られたシラッ
プの重合率は35.1%、酸価は7.4mgKOH/
g、25℃における粘度は2100mPa・sであっ
た。またGPCにより測定したシラップ中重合体の重量
平均分子量は5.1万であった。同じ実験を3回繰り返
したところ、重合率は35.1±0.2%、酸価はいず
れも7.4mgKOH/g、25℃における粘度は21
00±100mPa・s、GPCにより測定したシラッ
プ中重合体の重量平均分子量はいずれも5.1万であっ
た。
【0032】比較例1 還流を行わなかった以外は実施例1と同様に反応を行っ
た。得られたシラップの重合率は31.1%、酸価は
7.4mgKOH/g、25℃における粘度は610m
Pa・sであった。またGPCにより測定したシラップ
中重合体の重量平均分子量は5.0万であった。同じ実
験を3回繰り返したところ、重合率は31.3±0.8
%、酸価はいずれも7.4mgKOH/g、25℃にお
ける粘度は650±180mPa・s、GPCにより測
定したシラップ中重合体の重量平均分子量は5.0〜
5.1万であり、再現性あるデータは得られなかった。
【0033】参考例1 還流を行わず、昇温前に、原料に対し3倍量の窒素バブ
リングを行いかつ窒素雰囲気下で反応を行った以外は実
施例1と同様に反応を行った。得られたシラップの重合
率は35.1%、酸価は7.4mgKOH/g、25℃
における粘度は2100mPa・sであった。またGP
Cにより測定したシラップ中重合体の重量平均分子量は
5.1万であった。同じ実験を3回繰り返したところ、
重合率は35.1±0.2%、酸価はいずれも7.4m
gKOH/g、25℃における粘度は2100±100
mPa・s、GPCにより測定したシラップ中重合体の
重量平均分子量はいずれも5.1万であり、実施例1と
同じ性状のシラップが得られた。
【0034】実施例2〜3 表1に示した反応条件で実施例1と同様に反応を行い、
表1に示す性状を有する無色透明なアクリルシラップを
得た。同じ実験を3回繰り返したところ、重合率、粘度
およびシラップ重合体中の重量平均分子量ともに再現性
あるデータを有するシラップが得られた。
【0035】比較例2〜3 表1に示した反応条件で比較例1と同様に反応を行い、
表1に示す性状を有する無色透明なアクリルシラップを
得た。同じ実験を3回繰り返したところ、シラップ重合
体中の重量平均分子量は同じ値を示したが、重合率は平
均値の5%、25℃における粘度は平均値の3割程度変
動し、再現性あるデータは得られなかった。
【0036】参考例2〜3 表1に示した条件で参考例1と同様に反応を行い、表1
に示す性状を有する無色透明なアクリルシラップを得
た。同じ実験を3回繰り返したところ、重合率、粘度お
よびシラップ重合体中の重量平均分子量ともに再現性あ
るデータを有するシラップが得られた。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明により所望の特性を有するアクリ
ルシラップを安定に製造することができ、工業的意義は
大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒川 正弘 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱瓦斯化学株式会社平塚研究所内 Fターム(参考) 4J011 AB07 AC03 4J100 AB02Q AG04Q AJ02Q AJ09Q AL01Q AL03P AM01Q AM14Q AM41Q CA01 CA04 FA03 FA04 FA28 FA34

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタクリル酸メチルを主成分とする単量
    体、重合開始剤および連鎖移動剤を含む混合物からアク
    リルシラップを製造するに際し、 (1)原料の全量に対し20〜70重量%の単量体を2
    時間以内に系内組成物の沸点まで昇温し、 (2)系内組成物の沸点に達し還流を開始した時点で連
    鎖移動剤を添加し、 (3)次いで還流状態を維持しながら原料の全量に対し
    80〜30重量%の単量体を0.1〜10時間の範囲か
    ら選ばれた時間かけて連続的にまたは分割して添加し、 (4)単量体の添加と同時に、反応温度での半減期が1
    0〜300秒の重合開始剤を連続的にまたは分割して加
    え反応を行うことを特徴とする、GPCで測定したシラ
    ップ中重合体の重量平均分子量が2万〜50万であり、
    25℃における粘度が1.0×102 〜5.0×105
    mPa・sであるアクリルシラップの製造方法。
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