JP2001141847A - 時計外装部品およびその製造方法 - Google Patents

時計外装部品およびその製造方法

Info

Publication number
JP2001141847A
JP2001141847A JP31943799A JP31943799A JP2001141847A JP 2001141847 A JP2001141847 A JP 2001141847A JP 31943799 A JP31943799 A JP 31943799A JP 31943799 A JP31943799 A JP 31943799A JP 2001141847 A JP2001141847 A JP 2001141847A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
stainless steel
watch exterior
exterior part
metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP31943799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4463353B2 (ja
Inventor
Hachiro Kushida
田 八 郎 串
Yukio Tanokura
幸 夫 田野倉
Shinji Ikeda
田 信 二 池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Citizen Watch Co Ltd
Original Assignee
Citizen Watch Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP31943799A priority Critical patent/JP4463353B2/ja
Application filed by Citizen Watch Co Ltd filed Critical Citizen Watch Co Ltd
Priority to US09/831,327 priority patent/US6905758B1/en
Priority to PCT/JP2000/006086 priority patent/WO2001018275A1/ja
Priority to KR1020017005650A priority patent/KR100754811B1/ko
Priority to EP00956994A priority patent/EP1146136B1/en
Priority to CNB008019088A priority patent/CN100374613C/zh
Publication of JP2001141847A publication Critical patent/JP2001141847A/ja
Priority to HK02101696.3A priority patent/HK1040421B/zh
Application granted granted Critical
Publication of JP4463353B2 publication Critical patent/JP4463353B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明の時計外装部品は、金属からなり、
該金属表面に、金属結晶粒が繊維状に変形された繊維組
織を含む変形層が形成され、少なくとも該変形層に固溶
原子を固溶させた硬化層が形成されていることを特徴と
している。本発明の時計外装部品の製造方法は、ステン
レス鋼の表面にバフ研磨、バニッシング加工、研削加工
等により物理的な外力を負荷して、少なくともステンレ
ス鋼表面に金属結晶粒が繊維状に変形された繊維組織を
含む変形層を形成し、次いで、該変形層の表面に固溶原
子を固溶させる硬化処理を施して硬化層を形成すること
を特徴としている。 【効果】上記時計外装部品は、「ゆず肌」のない滑らか
な面ないし鏡面を有し、外観に優れている。上記製造方
法によれば、上記の外観に優れた時計外装部品を提供す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、時計外装部品およびその
製造方法に関し、さらに詳しくは、いわゆる「ゆず肌」
のない滑らかな面ないし鏡面を有する時計外装部品、お
よびその製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】腕時計バンド、ベゼル、ケーシン
グ、裏蓋、中留、文字盤等の時計外装部品には、ステン
レス鋼、特に耐食性と装飾性に優れるオーステナイト系
ステンレス鋼が多用されている。たとえばオーステナイ
ト系ステンレス鋼であるSUS316系材より成る板材
に冷間鍛造、さらには任意に切削加工や孔開け加工を施
し、腕時計バンドの駒の形状に仕上げる。そして、この
ようにして得られる駒と駒とを連結して腕時計バンドを
完成させる。
【0003】近年、かかるオーステナイト系ステンレス
鋼の優れた耐食性を維持したまま、そのステンレス鋼表
面を硬質化させる技術が試みられている。たとえば特開
平9−71854号公報、特開平9−268364号公
報および特開平9−302456号公報には、オーステ
ナイト系ステンレス鋼に、フッ素系ガス雰囲気下で30
0〜500℃というような低温でフッ化処理を施して上
記不動態皮膜を炭素原子の浸透が容易なフッ化皮膜に変
化させ、その後、浸炭性ガス雰囲気下で400〜500
℃というような低温でオーステナイト系ステンレス鋼に
ガス浸炭処理を施し、さらに酸洗処理または機械的研磨
(たとえばバレル研磨)を施す技術が開示されている。
【0004】しかしながら、上記のようにガス浸炭処理
された時計外装部品たとえば駒の表面は、研磨したにも
かかわらず、時計外装に必要とされる美しい鏡面とはな
らなず、微細な凹凸が存在する「ゆず肌」として観察さ
れる。これは、ガス浸炭処理によって、ステンレス鋼の
表面の金属結晶粒内へ、該結晶粒界よりも多くの炭素が
固溶されることに原因がある。すなわち、炭素が粒状に
形成された金属結晶粒内に浸透すると、金属結晶粒が肥
大化し、外方に向けて膨出するため、結晶粒と結晶粒界
との間に段差が生じる。ステンレス鋼の表面から見れ
ば、結晶粒は結晶粒界より高くなる。
【0005】かかる結晶粒と結晶粒界との段差は、ガス
浸炭処理後の一連の処理、すなわち酸洗処理や機械的な
研磨を経ても無くならない。その結果、結晶粒がステン
レス鋼の表面から浮き出て視認されやすく、浮き出た多
くの結晶粒がステンレス鋼表面の微細な凹凸、すなわち
「ゆず肌」として観察されるのである。かかる「ゆず
肌」は、ステンレス鋼に限らず、チタン、チタン合金な
どの時計外装に用いられる金属を、その金属の再結晶温
度近傍未満の温度で表面硬化処理たとえば浸炭処理した
ときに共通して発生する現象である。具体的には、再結
晶温度を少し超えた温度未満で表面硬化処理をしたとき
に発生する現象である。
【0006】また、かかる「ゆず肌」は、炭素を固溶原
子とした浸炭処理に限らず、窒素や酸素を固溶原子と
し、用いた金属の再結晶温度近傍未満の温度で表面硬化
処理したときにも共通して発生する現象である。したが
って、時計外装に用いられる金属を、その金属の再結晶
温度近傍未満の温度で表面硬化処理しても、「ゆず肌」
のない滑らかな面ないし鏡面を有する、外観に優れた時
計外装部品およびその製造方法の出現が望まれている。
【0007】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題を解決しようとするものであって、時計外装に用い
られる金属を、その金属の再結晶温度近傍未満の温度で
表面硬化処理しても、「ゆず肌」のない滑らかな面ない
し鏡面を有する、外観に優れた時計外装部品およびその
製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】本発明に係る時計外装部品は、金属から
なる時計外装部品であって、該金属表面に、金属結晶粒
が繊維状に変形された繊維組織を含む変形層が形成さ
れ、少なくとも該変形層に固溶原子を固溶させた硬化層
が形成されていることを特徴としている。
【0009】前記変形層は、金属の少なくとも表面に物
理的な外力が負荷されて形成されている。本発明におい
ては、前記変形層は、金属の表面をほぼ一方向に延ばす
物理的な外力が負荷されて形成されていることが好まし
い。前記変形層は、金属の表面から2〜100μmの深
さにわたって形成されていることが好ましい。
【0010】また、前記硬化層は、変形層の表面から5
〜50μmの深さにわたって形成されていることが好ま
しい。前記固溶原子は、炭素原子、窒素原子および酸素
原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子であ
る。前記硬化層の鏡面の表面硬度が、ビッカース硬度
(HV)で500以上であることが好ましい。
【0011】また、本発明に係る時計外装部品の製造方
法は、ステンレス鋼からなる時計外装部品の製造方法で
あって、該ステンレス鋼の表面に物理的な外力を負荷し
て、少なくともステンレス鋼表面に金属結晶粒が繊維状
に変形された繊維組織を含む変形層を形成し、次いで、
該変形層の表面に固溶原子を固溶させる硬化処理を施し
て硬化層を形成することを特徴としている。
【0012】前記変形層は、ステンレス鋼の表面に、ス
テンレス鋼の表面をほぼ一方向に延ばす物理的な外力を
負荷して形成することが好ましい。前記変形層は、ステ
ンレス鋼の表面に、ステンレス鋼の表面をほぼ一方向に
延ばす物理的な外力を負荷する、研磨加工または研削加
工の少なくとも1つを施すことによって形成する。
【0013】より具体的には、ステンレス鋼の表面に、
切削加工または研削加工の少なくとも1つを施すことに
より所望の形状の面を形成し、次いで、該形状の面に研
磨加工を施すことによって前記変形層を形成するか、あ
るいは、ステンレス鋼の表面に研削加工を施すことによ
り、所望の形状の面を形成するとともに前記変形層を形
成する。
【0014】前記所望の形状の面は、ほぼ平らに加工さ
れた面であってもよいし、また、曲面であってもよい。
前記変形層は、ステンレス鋼の表面から2〜100μm
の深さにわたって形成することが好ましい。前記硬化層
は、前記変形層の表面から5〜50μmの深さにわたっ
て形成することが好ましい。
【0015】前記固溶原子は、炭素原子、窒素原子およ
び酸素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の原
子である。前記硬化層の鏡面の表面硬度は、ビッカース
硬度(HV)で500以上であることが好ましい。前記
変形層は、通常、変形量の多い鍛造加工により形成され
た時計外装部品用母材のステンレス鋼の表面に形成され
る。
【0016】前記硬化処理は、通常、ステンレス鋼の再
結晶温度近傍未満の温度で行なわれる。硬化処理を再結
晶温度以上の温度で行なってもよいが、この温度条件で
は、ゆず肌が発生することはないので、前記変形層を形
成する必要はない。本発明で用いられるステンレス鋼と
しては、オーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。
【0017】なお、本明細書中の「時計外装部品」とし
ては、腕時計バンド、ベゼル、ケーシング、裏蓋、中
留、文字盤などが挙げられる。
【0018】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る時計外装部品
およびその製造方法について具体的に説明する。まず、
本発明に係る時計外装部品について説明する。時計外装部品 本発明に係る時計外装部品は、金属からなり、この金属
表面に、金属結晶粒が繊維状に変形された繊維組織を含
む変形層が形成され、少なくともこの変形層に固溶原子
を固溶させた硬化層が形成されている。
【0019】時計外装部品を形成する金属としては、具
体的には、ステンレス鋼、チタン金属、チタン合金など
が挙げられる。中でも、ステンレス鋼、特にオーステナ
イト系ステンレス鋼が好ましく用いられる。上記変形層
は、金属表面に、金属結晶粒が繊維状に変形された繊維
組織を含む層であり、金属結晶粒が繊維状に変形された
繊維組織を形成するには、金属の少なくとも表面に物理
的な外力を負荷する必要がある。変形層は、金属の表面
をほぼ一方向に延ばす物理的な外力が負荷されて形成さ
れていることが好ましい。
【0020】金属表面に上記のような物理的な外力を負
荷する手段としては、研磨加工、研削加工が挙げられ
る。研磨加工としては、具体的には、従来公知のバフ研
磨、バニッシング加工が挙げられる。本発明において
は、金属表面にバニッシング加工を施した後に、バフ研
磨を施すことができるし、また、バフ研磨あるいはバニ
ッシング加工を金属表面に施す前に、金属表面にバレル
研磨を施すことができる。また、バフ研磨あるいはバニ
ッシング加工を金属表面に施す前に、金属表面に研削加
工あるいは切削加工を施すことができる。
【0021】変形層は、金属の表面から2〜100μm
の深さにわたって形成されていることが好ましい。本発
明においては、上記のような変形層の表面に固溶原子を
固溶させて硬化層が形成されているので、硬化層形成後
も金属結晶粒が繊維状になっている。その結果、結晶粒
と結晶粒界との間に段差が生じることはないので、ゆず
肌を肉眼で観察することはできない。したがって、滑ら
かな面ないし鏡面を有する時計外装部品を得ることがで
きる。この滑らかな面ないし鏡面は、平面であってもよ
いし、曲面であってもよい。
【0022】また、上記硬化層は、変形層の表面から5
〜50μmの深さにわたって形成されていることが好ま
しい。上記固溶原子は、炭素原子、窒素原子および酸素
原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子であ
る。硬化層の鏡面の表面硬度は、ビッカース硬度(H
V)で500以上であることが好ましい。
【0023】時計外装部品の製造方法 [変形層の形成] 上記のような、本発明に係る時計外装
部品は、ステンレス鋼の表面に物理的な外力を負荷し
て、少なくともステンレス鋼表面に金属結晶粒が繊維状
に変形された繊維組織を含む変形層を形成する。
【0024】この変形層は、ステンレス鋼の表面に、ス
テンレス鋼の表面をほぼ一方向に延ばす物理的な外力を
負荷して形成することが好ましい。金属表面に上記のよ
うな物理的な外力を負荷する手段としては、研磨加工、
研削加工が挙げられる。研磨加工としては、具体的に
は、従来公知のバフ研磨、バニッシング加工が挙げられ
る。
【0025】このバニッシング加工では、回転車の外周
面の上に時計外装部品母材の上面が外方に向くように固
定し、次いで、この回転車を回転させて時計外装部品用
母材の上面にダイヤモンドあるいは超硬の工具(たとえ
ばタングステン、カーバイド)を押し当てて時計外装部
品用母材の上面を研磨する。本発明においては、金属表
面にバニッシング加工を施した後に、バフ研磨を施すこ
とができるし、また、バフ研磨あるいはバニッシング加
工を金属表面に施す前に、金属表面にバレル研磨を施す
ことができる。また、バフ研磨あるいはバニッシング加
工を金属表面に施す前に、金属表面に研削加工あるいは
切削加工を施すことができる。
【0026】この研削加工では、回転する砥石車に時計
外装部品用母材の上面を押し当てて、砥石車の砥粒によ
って時計外装部品用母材の上面を研削する。本発明で
は、研削力を低下させて切削加工を行なう。研削力を低
下させる手段としては、たとえば砥石車の砥粒を滑らか
なものにしたり、砥粒の数を減らしたり、あるいは研削
剤を少なくするなどの方法がある。
【0027】本発明においては、ステンレス鋼の表面
に、切削加工または研削加工の少なくとも1つを施すこ
とにより所望の形状の面を形成し、次いで、この形状の
面に研磨加工を施すことによって上記変形層を形成する
ことができるし、また、ステンレス鋼の表面に研削加工
を施すことにより、所望の形状の面を形成するとともに
上記変形層を形成することもできる。
【0028】上記所望の形状の面は、ほぼ平らに加工さ
れた面であってもよいし、また、曲面であってもよい。
物理的な外力を負荷する個々の手段を好ましい順に挙げ
ると、バニッシング加工、バフ研磨、次いで、研削加
工、切削加工という順になる。本発明においては、研削
加工とバフ研磨の併用が特に好ましい。
【0029】変形層は、ステンレス鋼の表面から2〜1
00μmの深さにわたって形成することが好ましい。本
発明においては、上記のような変形層は、通常、変形量
の多い鍛造加工(冷間鍛造加工、熱間鍛造加工)により
形成された時計外装部品用母材のステンレス鋼表面に形
成される。
【0030】[硬化層の形成]次いで、上記のようにし
て形成した変形層の表面に固溶原子を固溶させる硬化処
理を施して硬化層を形成する。上記固溶原子としては、
炭素原子、窒素原子および酸素原子からなる群から選ば
れる少なくとも1種の原子が用いられる。たとえばオー
ステナイト系ステンレス鋼に炭素原子を固溶させたり、
あるいは、チタンあるいはチタン合金に窒素原子と酸素
原子を固溶させたりする。また、チタンあるいはチタン
合金に炭素原子を固溶させたりする。
【0031】硬化層は、変形層の表面から5〜50μm
の深さにわたって形成することが好ましい。硬化層の鏡
面の表面硬度は、ビッカース硬度(HV)で500以上
であることが好ましい。本発明において、上記硬化層の
形成を、たとえばチタン金属を含まないオーステナイト
系ステンレス鋼からなる時計外装部品用母材に、上記の
ようにして得られた変形層の表面に硬化層として浸炭層
を形成する場合、以下のような工程を経て時計外装部品
を製造することが好ましい。
【0032】すなわち、この場合、浸炭層を形成する前
に、表面に変形層が形成された時計外装部品用母材に、
フッ素系ガス雰囲気下に100〜500℃、好ましくは
150〜300℃でフッ化処理を施すことが好ましい。
このオーステナイト系ステンレス鋼は、たとえばFe−
Cr−Ni−Mo系ステンレス、Fe−Cr−Mn系ス
テンレスなどが挙げられる。本発明で用いられるオース
テナイト系ステンレスとしては、浸炭硬化層深さおよび
価格の面からは、Ni含有量が出来るだけ小さい安定型
のステンレスが望ましいが、耐食性の面からは、Ni含
有量が多く、しかも、有価元素であるMoを1.5〜4
重量%程度含有するステンレスが望ましい。また、最も
好適なオーステナイト系ステンレスとしては、クロム含
有量が15〜25重量%で、常温で加工してもオーステ
ナイト相の安定な安定型ステンレスに、Moを1.5〜
4重量%添加したものが挙げられる。
【0033】上記のフッ化処理に際して用いられるフッ
素系ガスとしては、具体的には、NF3、CF4、S
4、C26、BF3、CHF3、HF、SF6、WF6
SiF4、ClF3などのフッ素化合物ガスが挙げられ
る。これらのフッ素化合物ガスは、1種単独で、あるい
は2種以上組み合わせて用いることができる。また、こ
れらのガス以外に、分子内にフッ素を含む他のフッ素化
合物ガスも上記フッ素系ガスとして用いることができ
る。さらにまた、このようなフッ素化合物ガスを熱分解
装置で熱分解させて生成させたF2ガス、あるいは予め
調製したF2ガスも上記フッ素系ガスとして用いること
ができる。このようなフッ素化合物ガスとF2ガスと
は、任意に混合して用いられる。
【0034】上記フッ素化合物ガス、F2ガス等のフッ
素系ガスは、それぞれ1種単独で用いることもできる
が、通常は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスで
希釈されて使用される。このような希釈されたガスにお
けるフッ素系ガス自身の濃度は、通常10,000〜1
00,000容量ppm、好ましくは20,000〜7
0,000容量ppm、さらに好ましくは30,000
〜50,000容量ppmである。本発明で最も好まし
く用いられるフッ素系ガスは、NF3である。NF3は、
常温でガス状であり、化学的安定性が高く、取り扱いが
容易である。このNF3ガスは、通常、窒素ガスと組み
合わせて上記の濃度範囲内で用いられる。
【0035】本発明におけるフッ化処理は、たとえば所
定の形状に加工した、腕時計バンド用のステンレス鋼製
の駒、または腕時計用ベゼル、ケーシング、裏蓋、文字
盤などをフッ化処理用の炉内に入れ、上記濃度のフッ素
系ガス雰囲気下に、100〜500℃の温度で行なわれ
る。フッ化処理時間は、処理物の種類・大きさ等により
異なるが、通常は、十数分から数時間である。
【0036】このようなフッ化処理を行なうことによ
り、変形層表面に、炭素原子の浸透性が良好なフッ化被
膜を形成することができるので、次に行なわれる硬化処
理としてのガス浸炭処理により、ステンレス鋼表面から
内部に炭素原子が浸透拡散し、浸炭硬化層を容易に形成
することができる。上記のフッ化処理が施された時計外
装部品用母材に、一酸化炭素を含む浸炭性ガス雰囲気下
に、400〜500℃、好ましくは400〜480℃で
ガス浸炭処理を施す。
【0037】この浸炭処理の際に用いられる浸炭性ガス
としては、炭素源ガスとして一酸化炭素を用い、通常、
この一酸化炭素と水素、二酸化炭素、窒素の混合ガスの
形で用いられる。この浸炭性ガスの浸炭能力(カーボン
ポテンシャル:Pc 値)は、通常、ガス雰囲気中のCO
およびCO2の分圧値Pco、Pco2を用いて次式で示され
る。
【0038】Pc =(Pco)2/Pco2 このPc 値が大きくなると、浸炭能力が大きくなり、ス
テンレス鋼たとえばオーステナイト系ステンレス鋼の表
面炭素濃度が高くなって表面硬度が高くなるが、ガス浸
炭処理用炉内のすすの発生が多くなる。ただし、このP
c 値をある一定の限界点以上に設定しても、形成される
浸炭硬化層の表面硬度には限界がある。一方、このPc
値が小さくなると、浸炭能力が小さくなり、オーステナ
イト系ステンレス鋼の表面炭素濃度が低くなって表面硬
度が低くなる。
【0039】本発明では、ガス浸炭処理温度を400〜
500℃という低温にすることにより、浸炭硬化層中に
Cr236 等の結晶質のクロム炭化物が析出せず、オ
ーステナイト系ステンレス鋼中のクロム原子が消費され
ないため、浸炭硬化層の優れた耐食性を維持することが
できる。また、浸炭処理温度が低温であるため、この浸
炭処理によりクロム炭化物の粗大化も起こらず、しか
も、ステンレス鋼内部の軟化による強度低下も少ない。
【0040】このようなガス浸炭処理法によれば、オー
ステナイト系ステンレス鋼からなる時計外装部品用母材
の表面に浸炭硬化層(炭素の拡散浸透層)が均一に形成
される。これらの浸炭硬化層には、Cr236 、Cr7
3、Cr32 等の結晶質のクロム炭化物は生成されて
おらず、透過型電子顕微鏡での観察よれば、粒径0.1
μm以下の超微細な金属炭化物が認められるのみであ
る。この超微細な金属炭化物は、透過型電子顕微鏡のス
ペクトル分析によれば、母材と同一の化学組成を有して
おり、結晶質のクロム炭化物ではない。これらの浸炭硬
化層は、炭素原子が母材の金属格子中に侵入固溶クロム
炭化物を形成せず、母材と同様のオーステナイト相から
形成されている。この多量の炭素原子の侵入固溶によ
り、浸炭硬化層は大きな格子歪みを起こしている。上記
の超微細な金属炭化物と格子歪みとの複合効果により、
浸炭硬化層の硬度の向上を実現し、ビッカース硬度(H
V)700〜1050という高硬度を得ることができ
る。しかも、上記ガス浸炭処理により結晶質のクロム炭
化物が生成せず、母材中のクロム原子を消費しないこと
から、浸炭硬化層は、オーステナイト系ステンレス鋼が
本来有している優れた耐食性と同程度の耐食性を保持し
ている。
【0041】ガス浸炭処理後の時計外装部品用母材の表
面には、極薄い黒皮が形成されている。次いで、上記の
ガス浸炭処理が施された時計外装部品用母材に、酸洗処
理を施す。具体的には、時計外装部品用母材を酸性溶液
に浸漬する。この酸洗処理で用いられる酸性溶液として
は、特に限定されるものではなく、たとえばフッ酸、硝
酸、塩酸、硫酸、フッ化アンモニウムなどが用いられ
る。これらの酸は、単独で用いることができるが、フッ
化アンモニウムと硝酸との混合液、硝酸とフッ酸との混
合液、硝酸と塩酸との混合液、硫酸と硝酸との混合液と
して用いることもできる。
【0042】これらの酸性溶液の濃度は、適宜決定され
るが、たとえば硝酸と塩酸との混合液では、硝酸濃度が
15〜40重量%程度、塩酸濃度が5〜20重量%程度
であることが好ましい。また、硝酸溶液の濃度は10〜
30重量%程度が好ましい。また、これらの酸性溶液
は、常温で用いることができるし、高温で用いることも
できる。
【0043】さらに、酸洗処理として、硝酸、硫酸等の
電解溶液を使用して電解処理を行なってもよい。酸性溶
液への浸漬時間は、酸性溶液の種類にもよるが、通常は
約15〜90分程度である。この酸洗処理により、時計
外装部品用母材の表面に形成された浸炭処理に起因する
黒皮に含まれている鉄が酸化溶解し、黒皮が除去される
が、この酸洗処理のみでは、黒皮を完全に除去すること
はできない。しかも、ガス浸炭処理により形成された浸
炭硬化層の表面は、酸性溶液への浸漬により鉄が溶解
し、粗面化される。
【0044】次いで、上記酸洗処理後、時計外装部品用
母材に水洗処理を施す。この水洗処理により、時計外装
部品用母材から剥離しかかっている黒皮を洗い流すとと
もに、時計外装部品用母材に付着している酸性溶液を完
全に洗い流し、酸性溶液による浸炭硬化層の粗面化がさ
らに進行しないようにする。上記の酸洗処理および水洗
処理により、時計外装部品用母材の表面に形成された黒
皮を完全に除去することはできない。
【0045】次いで、水洗処理された時計外装部品用母
材の表面をバレル研磨する。具体的には、時計外装部品
用母材をバレル研磨装置のバレル槽の内部に設置し、研
磨媒体として好ましくはクルミのチップとアルミナ系研
磨材をバレル槽内に入れる。そして、約10時間かけて
バレル研磨を行ない、浸炭硬化層の最表面に形成された
粗い面と、残っている黒皮を研磨する。
【0046】上記の酸洗処理、水洗処理およびバレル研
磨を併用することにより、時計外装部品用母材の表面に
形成された黒皮を完全に除去することができる。この時
計外装部品用母材が複雑な形状を成していても、この黒
皮を完全に除去することができる。また、このバレル研
磨により、時計外装部品用母材の表面を鏡面とすること
ができる。
【0047】なお、バレル研磨に代えてバフ研磨を行な
うと、時計外装部品用母材の表面に形成された黒皮を完
全に除去することは非常に困難である。かかるバレル研
磨後の浸炭層の表面硬度(HV)は、50g荷重で50
0以上あれば、時計外装部品の硬さとしては充分であ
る。好ましくは50g荷重で600以上あればよい。
【0048】本発明においては、バレル研磨した時計外
装部品用母材の表面を、さらにバフ研磨してもよい。か
かるバフ研磨後の浸炭層の表面硬度(HV)は、50g
荷重で500以上あれば、時計外装部品の硬さとしては
充分である。好ましくは50g荷重で600以上あれば
よい。
【0049】
【発明の効果】本発明に係る時計外装部品は、時計外装
部品用母材の金属表面に、金属結晶粒が繊維状に変形さ
れた繊維組織を含む変形層が形成された後に、少なくと
も変形層に固溶原子を固溶させた硬化層が形成されてい
るので、「ゆず肌」のない滑らかな面ないし鏡面を有
し、外観に優れている。
【0050】本発明に係る時計外装部品の製造方法によ
れば、上記の外観に優れた、本発明に係る時計外装部品
を提供することができる。
【0051】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではな
い。
【0052】
【実施例1】オーステナイト系ステンレス鋼であるSU
S316系材より成る棒状材料を用意した。この棒状材
料の断面は、腕時計バンドの駒の形状に合致するよう
に、丸みを帯びた矩形に成す。この棒状材料をバンドの
駒の幅に合わせて切断した。次いで、この切断した部材
に連結ピンが挿入されるピン孔を穿設し、腕時計バンド
の駒を完成した。
【0053】次いで、各駒に穿設されたピン孔に連結ピ
ンを挿入し、複数の駒と駒とを互いに回動可能に連結
し、腕時計バンドを組み立てた。次いで、腕時計バンド
の各駒の丸みを帯びた上面(手首に装着されたときに外
方に向く表側の面)をバフ研磨した。バフ研磨された駒
の上面の断面を電子顕微鏡で観察したところ、バフ研磨
によって負荷された外力によって、ステンレス鋼表面の
金属結晶粒がバフの回転する方向に沿って引き延ばさ
れ、繊維状に変形された繊維組織となっていることを確
認することができた。かかる繊維組織を含む変形層は、
駒の上面から3〜7μmの深さにわたって形成されてい
た。
【0054】次いで、この腕時計のバンドを、金属製の
マッフル炉内に装入した後、480℃まで昇温した。次
いで、フッ素系ガス(5容量%のNF2と95容量%の
2との混合ガス)をマッフル炉内に15分間吹き込
み、フッ化処理を行なった。次いで、フッ素系ガスを排
出した後、浸炭性ガス(10容量%のCOと、20容量
%のH2と、1容量%のCO2と、69容量%のN2との
混合ガス)を吹き込み、480℃で12時間保持して浸
炭処理を行なった後、バンドを取り出した。
【0055】取り出した浸炭処理後のバンドの表面に黒
皮が形成されていた。次いで、このバンドを、フッ化ア
ンモニウム3〜5容量%と硝酸2〜3容量%を含む酸性
水溶液に20分間浸漬した。この酸洗処理により、バン
ドの駒表面に形成されていた黒皮中に含まれている鉄が
酸化溶解し、黒皮の大部分は除去されていた。また、互
いに隣接する駒と駒における相対する面や、ピン孔の内
壁、さらに駒と駒とを連結する連結ピンにも、黒皮は観
察されなかった。
【0056】しかしながら、バンドの駒の表面、すなわ
ち、浸炭処理により形成された浸炭層の表面は、酸性水
溶液への浸漬により鉄が溶解し、粗い面となっていた。
次いで、酸洗処理されたバンドを水洗した。次いで、水
洗したバンドをバレル研磨装置のバレル槽の内部に設置
し、研磨媒体として、くるみのチップとアルミナ系研磨
剤をバレル槽内に入れた。そして、約10時間かけてバ
レル研磨を行ない、駒の浸炭層の最表面に形成された粗
い面を研磨した。
【0057】このバレル研磨により、浸炭層の表面から
0.3〜1μmの深さの領域が除去され、駒の上面は、
時計外装に要求される平滑で美しい鏡面となった。その
表面には、微細な凹凸が成す「ゆず肌」は全く視認され
なかった。そして、バレル研磨後の駒の断面を電子顕微
鏡で観察したところ、駒の上面から18〜20μmの深
さにわたって浸炭層が形成されていた。
【0058】
【実施例2】オーステナイト系ステンレス鋼であるSU
S316系材より成る円柱を用意した。かかる円柱の円
形断面の中心を通る中心軸に沿って外力を負荷するよう
に、円柱を冷間鍛造し、この円柱を腕時計バンドの駒の
形状に鍛造した。次いで、鍛造した部材に連結ピンが挿
入されるピン孔を穿設し、腕時計バンドの駒を完成し
た。
【0059】次いで、各駒に穿設されたピン孔に連結ピ
ンを挿入し、複数の駒と駒とを互いに回動可能に連結
し、腕時計バンドを組み立てた。次いで、腕時計バンド
の各駒の上面(手首に装着されたときに外方に向く表側
の面)をバニッシング加工によって平らな鏡面とした。
すなわち、回転車の外周面の上にバンドの上面が外方に
向くように固定した後、この回転車を回転させ、ダイヤ
モンドの工具をバンドの上面に押し当てた。
【0060】バニッシング加工された駒の上面の断面を
電子顕微鏡で観察したところ、バニッシング加工によっ
て負荷された外力によって、ステンレス鋼表面の金属結
晶粒が回転車の回転方向に沿って引き延ばされ、繊維状
に変形された繊維組織となっていることを確認すること
ができた。かかる繊維組織を含む変形層は、駒の上面か
ら5〜10μmの深さにわたって形成されていた。
【0061】次いで、この腕時計バンドを、金属製のマ
ッフル炉内に装入した後、480℃まで昇温した。次い
で、フッ素系ガス(5容量%のNF2と95容量%のN2
との混合ガス)をマッフル炉内に15分間吹き込み、フ
ッ化処理を行なった。次いで、フッ素系ガスを排出した
後、浸炭性ガス(10容量%のCOと、20容量%のH
2と、1容量%のCO2と、69容量%のN2との混合ガ
ス)を吹き込み、480℃で12時間保持して浸炭処理
を行なった後、バンドを取り出した。
【0062】取り出した浸炭処理後のバンドの表面に黒
皮が形成されていた。次いで、このバンドを、フッ化ア
ンモニウム3〜5容量%と硝酸2〜3容量%を含む酸性
水溶液に20分間浸漬した。この酸洗処理により、バン
ドの駒表面に形成されていた黒皮中に含まれている鉄が
酸化溶解し、黒皮の大部分は除去されていた。また、互
いに隣接する駒と駒における相対する面や、ピン孔の内
壁、さらに駒と駒とを連結する連結ピンにも、黒皮は観
察されなかった。
【0063】しかしながら、バンドの駒の表面、すなわ
ち、浸炭処理により形成された浸炭層の表面は、酸性水
溶液への浸漬により鉄が溶解し、粗い面となっていた。
次いで、酸洗処理されたバンドを水洗した。次いで、水
洗したバンドをバレル研磨装置のバレル槽の内部に設置
し、研磨媒体として、くるみのチップとアルミナ系研磨
剤をバレル槽内に入れた。そして、約10時間かけてバ
レル研磨を行ない、駒の浸炭層の最表面に形成された粗
い面を研磨した。
【0064】このバレル研磨により、浸炭層の表面から
0.5〜1.5μmの深さの領域が除去され、駒の上面
は、時計外装に要求される平滑で美しい鏡面となった。
その表面には、微細な凹凸が成す「ゆず肌」は全く視認
されなかった。そして、バレル研磨後の駒の断面を電子
顕微鏡で観察したところ、駒の上面から18〜20μm
の深さにわたって浸炭層が形成されていた。
【0065】
【実施例3】実施例2と同様にして、腕時計バンドを組
み立てた。次いで、腕時計バンドの各駒の上面を切削加
工によって平らな面とした後、各駒の上面を、バフ研磨
により、さらに研磨して鏡面とした。上記のようにして
得られた駒の上面の断面を電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、実施例1と同様に、バフ研磨によって負荷された外
力によって、ステンレス鋼表面の金属結晶粒がバフの回
転する方向に沿って引き延ばされ、繊維状に変形された
繊維組織となっていることを確認することができた。か
かる繊維組織を含む変形層は、駒の上面から3〜6μm
の深さにわたって形成されていた。
【0066】次いで、この腕時計バンドを、金属製のマ
ッフル炉内に装入した後、480℃まで昇温した。次い
で、フッ素系ガス(5容量%のNF2と95容量%のN2
との混合ガス)をマッフル炉内に15分間吹き込み、フ
ッ化処理を行なった。次いで、フッ素系ガスを排出した
後、浸炭性ガス(10容量%のCOと、20容量%のH
2と、1容量%のCO2と、69容量%のN2との混合ガ
ス)を吹き込み、480℃で12時間保持して浸炭処理
を行なった後、バンドを取り出した。
【0067】取り出した浸炭処理後のバンドの表面に黒
皮が形成されていた。次いで、このバンドを、フッ化ア
ンモニウム3〜5容量%と硝酸2〜3容量%を含む酸性
水溶液に20分間浸漬した。この酸洗処理により、バン
ドの駒表面に形成されていた黒皮中に含まれている鉄が
酸化溶解し、黒皮の大部分は除去されていた。また、互
いに隣接する駒と駒における相対する面や、ピン孔の内
壁、さらに駒と駒とを連結する連結ピンにも、黒皮は観
察されなかった。
【0068】しかしながら、バンドの駒の表面、すなわ
ち、浸炭処理により形成された浸炭層の表面は、酸性水
溶液への浸漬により鉄が溶解し、粗い面となっていた。
次いで、酸洗処理されたバンドを水洗した。次いで、水
洗したバンドをバレル研磨装置のバレル槽の内部に設置
し、研磨媒体として、くるみのチップとアルミナ系研磨
剤をバレル槽内に入れた。そして、約10時間かけてバ
レル研磨を行ない、駒の浸炭層の最表面に形成された粗
い面を研磨した。
【0069】このバレル研磨により、浸炭層の表面から
1〜2μmの深さの領域が除去され、駒の上面は、時計
外装に要求される平滑で美しい鏡面となった。その表面
には、微細な凹凸が成す「ゆず肌」は全く視認されなか
った。そして、バレル研磨後の駒の断面を電子顕微鏡で
観察したところ、駒の上面から20〜25μmの深さに
わたって浸炭層が形成されていた。
【0070】
【実施例4】実施例2と同様にして、腕時計バンドを組
み立てた。次いで、腕時計バンドの各駒の上面を研削力
を低下させた研削加工によって平らな鏡面とした。すな
わち、回転する砥石車に腕時計バンドの上面を押し当て
て、砥石車の砥粒によって各駒の上面を研削した。
【0071】次いで、各駒の上面を、バフ研磨により、
さらに研磨して鏡面とした。上記のようにして得られた
駒の上面の断面を電子顕微鏡で観察したところ、実施例
1と同様に、研削加工およびバフ研磨によって負荷され
た外力によって、ステンレス鋼表面の金属結晶粒が砥石
車やバフの回転する方向に沿って引き延ばされ、繊維状
に変形された繊維組織となっていることを確認すること
ができた。かかる繊維組織を含む変形層は、駒の上面か
ら7〜12μmの深さにわたって形成されていた。
【0072】次いで、この腕時計バンドを、金属製のマ
ッフル炉内に装入した後、480℃まで昇温した。次い
で、フッ素系ガス(5容量%のNF2と95容量%のN2
との混合ガス)をマッフル炉内に15分間吹き込み、フ
ッ化処理を行なった。次いで、フッ素系ガスを排出した
後、浸炭性ガス(10容量%のCOと、20容量%のH
2と、1容量%のCO2と、69容量%のN2との混合ガ
ス)を吹き込み、480℃で12時間保持して浸炭処理
を行なった後、バンドを取り出した。
【0073】取り出した浸炭処理後のバンドの表面に黒
皮が形成されていた。次いで、このバンドを、フッ化ア
ンモニウム3〜5容量%と硝酸2〜3容量%を含む酸性
水溶液に20分間浸漬した。この酸洗処理により、バン
ドの駒表面に形成されていた黒皮中に含まれている鉄が
酸化溶解し、黒皮の大部分は除去されていた。また、互
いに隣接する駒と駒における相対する面や、ピン孔の内
壁、さらに駒と駒とを連結する連結ピンにも、黒皮は観
察されなかった。
【0074】しかしながら、バンドの駒の表面、すなわ
ち、浸炭処理により形成された浸炭層の表面は、酸性水
溶液への浸漬により鉄が溶解し、粗い面となっていた。
次いで、酸洗処理されたバンドを水洗した。次いで、水
洗したバンドをバレル研磨装置のバレル槽の内部に設置
し、研磨媒体として、くるみのチップとアルミナ系研磨
剤をバレル槽内に入れた。そして、約10時間かけてバ
レル研磨を行ない、駒の浸炭層の最表面に形成された粗
い面を研磨した。
【0075】このバレル研磨により、浸炭層の表面から
1.5〜2.5μmの深さの領域が除去され、駒の上面
は、時計外装に要求される平滑で美しい鏡面となった。
その表面には、微細な凹凸が成す「ゆず肌」は全く視認
されなかった。そして、バレル研磨後の駒の断面を電子
顕微鏡で観察したところ、駒の上面から15〜20μm
の深さにわたって浸炭層が形成されていた。
【0076】この実施例4では、研削力を低下させた研
削により、各駒の上面を平らな鏡面とするとともに、表
面近傍の金属結晶粒を繊維組織に変えることができるの
で、製造工数を少なくすることができる。したがって、
このような研削加工を採用することにより製造コストを
安価にすることができる。
【0077】
【実施例5】実施例2と同様にして、腕時計バンドを組
み立てた。次いで、腕時計バンドの各駒の上面を研削力
を低下させた研削加工によって平らな鏡面とした。すな
わち、回転する砥石車に腕時計バンドの上面を押し当て
て、砥石車の砥粒によって各駒の上面を研削した。
【0078】上記のようにして得られた駒の上面の断面
を電子顕微鏡で観察したところ、ステンレス鋼表面の金
属結晶粒が研削力が低下した研削砥石車の回転する方向
に沿って引き延ばされ、繊維状に変形された繊維組織と
なっていることを確認することができた。かかる繊維組
織を含む変形層は、駒の上面から2〜5μmの深さにわ
たって形成されていた。
【0079】次いで、この腕時計バンドを、金属製のマ
ッフル炉内に装入した後、480℃まで昇温した。次い
で、フッ素系ガス(5容量%のNF2と95容量%のN2
との混合ガス)をマッフル炉内に15分間吹き込み、フ
ッ化処理を行なった。次いで、フッ素系ガスを排出した
後、浸炭性ガス(10容量%のCOと、20容量%のH
2と、1容量%のCO2と、69容量%のN2との混合ガ
ス)を吹き込み、480℃で12時間保持して浸炭処理
を行なった後、バンドを取り出した。
【0080】取り出した浸炭処理後のバンドの表面に黒
皮が形成されていた。次いで、このバンドを、フッ化ア
ンモニウム3〜5容量%と硝酸2〜3容量%を含む酸性
水溶液に20分間浸漬した。この酸洗処理により、バン
ドの駒表面に形成されていた黒皮中に含まれている鉄が
酸化溶解し、黒皮の大部分は除去されていた。また、互
いに隣接する駒と駒における相対する面や、ピン孔の内
壁、さらに駒と駒とを連結する連結ピンにも、黒皮は観
察されなかった。
【0081】しかしながら、バンドの駒の表面、すなわ
ち、浸炭処理により形成された浸炭層の表面は、酸性水
溶液への浸漬により鉄が溶解し、粗い面となっていた。
次いで、酸洗処理されたバンドを水洗した。次いで、水
洗したバンドをバレル研磨装置のバレル槽の内部に設置
し、研磨媒体として、くるみのチップとアルミナ系研磨
剤をバレル槽内に入れた。そして、約10時間かけてバ
レル研磨を行ない、駒の浸炭層の最表面に形成された粗
い面を研磨した。
【0082】このバレル研磨により、浸炭層の表面から
1〜2μmの深さの領域が除去され、駒の上面は、時計
外装に要求される平滑で美しい鏡面となった。その表面
には、微細な凹凸が成す「ゆず肌」は全く視認されなか
った。そして、バレル研磨後の駒の断面を電子顕微鏡で
観察したところ、駒の上面から20〜30μmの深さに
わたって浸炭層が形成されていた。
【0083】この実施例5では、研削力を低下させた研
削により、各駒の上面を平らな鏡面とするとともに、表
面近傍の金属結晶粒を繊維組織に変えることができるの
で、製造工数を少なくすることができる。したがって、
このような研削加工を採用することにより製造コストを
安価にすることができる。
【0084】
【実施例6】オーステナイト系ステンレス鋼であるSU
S316系材より成る円柱を用意した。かかる円柱の円
形断面の中心を通る中心軸に沿って外力を負荷するよう
に、円柱を冷間鍛造し、この円柱を環状の部材に鍛造し
た。次いで、鍛造した部材の内周および外周を求められ
る寸法に切削した。
【0085】次いで、この部材の上面をバフ研磨して上
面が鏡面であるベゼルを完成した。バフ研磨されたベゼ
ルの断面を電子顕微鏡で観察したところ、バフ研磨によ
って負荷された外力によって、ステンレス鋼表面の金属
結晶粒がバフの回転する方向に沿って引き延ばされ、繊
維状に変形された繊維組織となっていることを確認する
ことができた。かかる繊維組織を含む変形層は、ベゼル
の上面から3〜5μmの深さにわたって形成されてい
た。
【0086】次いで、このベゼルを、金属製のマッフル
炉内に装入した後、480℃まで昇温した。次いで、フ
ッ素系ガス(5容量%のNF2と95容量%のN2との混
合ガス)をマッフル炉内に15分間吹き込み、フッ化処
理を行なった。次いで、フッ素系ガスを排出した後、浸
炭性ガス(10容量%のCOと、20容量%のH2と、
1容量%のCO2と、69容量%のN2との混合ガス)を
吹き込み、480℃で12時間保持して浸炭処理を行な
った後、ベゼルを取り出した。
【0087】取り出した浸炭処理後のベゼルの表面に黒
皮が形成されていた。次いで、このベゼルを、フッ化ア
ンモニウム3〜5容量%と硝酸2〜3容量%を含む酸性
水溶液に20分間浸漬した。この酸洗処理により、ベゼ
ル表面に形成されていた黒皮中に含まれている鉄が酸化
溶解し、黒皮の大部分は除去されていた。
【0088】しかしながら、ベゼルの表面、すなわち、
浸炭処理により形成された浸炭層の表面は、酸性水溶液
への浸漬により鉄が溶解し、粗い面となっていた。次い
で、酸洗処理されたベゼルを水洗した。次いで、水洗し
たベゼルをバレル研磨装置のバレル槽の内部に設置し、
研磨媒体として、くるみのチップとアルミナ系研磨剤を
バレル槽内に入れた。そして、約10時間かけてバレル
研磨を行ない、ベゼルの浸炭層の最表面に形成された粗
い面を研磨した。
【0089】このバレル研磨により、浸炭層の表面から
1〜2μmの深さの領域が除去され、ベゼルの上面は、
時計外装に要求される平滑で美しい鏡面となった。その
表面には、微細な凹凸が成す「ゆず肌」は全く視認され
なかった。そして、バレル研磨後のベゼルの断面を電子
顕微鏡で観察したところ、ベゼルの上面から20〜23
μmの深さにわたって浸炭層が形成されていた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 8/26 C23C 8/26 (72)発明者 池 田 信 二 岩手県北上市北工業団地2番25号 上尾精 密株式会社内 Fターム(参考) 4K028 AA01 AA02 AA03 AB01 AB06

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属からなる時計外装部品であって、 該金属表面に、金属結晶粒が繊維状に変形された繊維組
    織を含む変形層が形成され、少なくとも該変形層に固溶
    原子を固溶させた硬化層が形成されていることを特徴と
    する時計外装部品。
  2. 【請求項2】前記変形層が、金属の少なくとも表面に物
    理的な外力が負荷されて形成されていることを特徴とす
    る請求項1に記載の時計外装部品。
  3. 【請求項3】前記変形層が、金属の表面をほぼ一方向に
    延ばす物理的な外力が負荷されて形成されていることを
    特徴とする請求項2に記載の時計外装部品。
  4. 【請求項4】前記変形層が、金属の表面から2〜100
    μmの深さにわたって形成されていることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の時計外装部品。
  5. 【請求項5】前記硬化層が、変形層の表面から5〜50
    μmの深さにわたって形成されていることを特徴とする
    請求項1〜4のいずれかに記載の時計外装部品。
  6. 【請求項6】前記固溶原子が、炭素原子、窒素原子およ
    び酸素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の原
    子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
    載の時計外装部品。
  7. 【請求項7】前記硬化層の鏡面の表面硬度が、ビッカー
    ス硬度(HV)で500以上であることを特徴とする請
    求項1〜6のいずれかに記載の時計外装部品。
  8. 【請求項8】ステンレス鋼からなる時計外装部品の製造
    方法であって、 該ステンレス鋼の表面に物理的な外力を負荷して、少な
    くともステンレス鋼表面に金属結晶粒が繊維状に変形さ
    れた繊維組織を含む変形層を形成し、 次いで、該変形層の表面に固溶原子を固溶させる硬化処
    理を施して硬化層を形成することを特徴とする時計外装
    部品の製造方法。
  9. 【請求項9】前記変形層は、ステンレス鋼の表面に、ス
    テンレス鋼の表面をほぼ一方向に延ばす物理的な外力を
    負荷して形成することを特徴とする請求項8に記載の時
    計外装部品の製造方法。
  10. 【請求項10】前記変形層は、ステンレス鋼の表面に、
    ステンレス鋼の表面をほぼ一方向に延ばす物理的な外力
    を負荷する、研磨加工または研削加工の少なくとも1つ
    を施すことによって形成することを特徴とする請求項8
    または9に記載の時計外装部品の製造方法。
  11. 【請求項11】ステンレス鋼の表面に、切削加工または
    研削加工の少なくとも1つを施すことにより所望の形状
    の面を形成し、 次いで、該形状の面に研磨加工を施すことによって前記
    変形層を形成することを特徴とする請求項8〜10のい
    ずれかに記載の時計外装部品の製造方法。
  12. 【請求項12】ステンレス鋼の表面に研削加工を施すこ
    とにより、所望の形状の面を形成するとともに前記変形
    層を形成することを特徴とする請求項8〜10のいずれ
    かに記載の時計外装部品の製造方法。
  13. 【請求項13】前記所望の形状の面がほぼ平らに加工さ
    れた面であることを特徴とする請求項11または12に
    記載の時計外装部品の製造方法。
  14. 【請求項14】前記所望の形状の面が曲面であることを
    特徴とする請求項11または12に記載された時計外装
    部品の製造方法。
  15. 【請求項15】前記変形層は、ステンレス鋼の表面から
    2〜100μmの深さにわたって形成することを特徴と
    する請求項8〜14のいずれかに記載の時計外装部品の
    製造方法。
  16. 【請求項16】前記硬化層は、前記変形層の表面から5
    〜50μmの深さにわたって形成することを特徴とする
    請求項8〜15のいずれかに記載の時計外装部品の製造
    方法。
  17. 【請求項17】前記固溶原子が、炭素原子、窒素原子お
    よび酸素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の
    原子であることを特徴とする請求項8〜16のいずれか
    に記載の時計外装部品の製造方法。
  18. 【請求項18】前記硬化層の鏡面の表面硬度が、ビッカ
    ース硬度(HV)で500以上であることを特徴とする
    請求項8〜17のいずれかに記載の時計外装部品の製造
    方法。
  19. 【請求項19】前記変形層を、変形量の多い鍛造加工に
    より形成された時計外装部品用母材のステンレス鋼の表
    面に形成することを特徴とする請求項8〜18のいずれ
    かに記載の時計外装部品の製造方法。
  20. 【請求項20】前記硬化処理を、前記ステンレス鋼の再
    結晶温度近傍未満の温度で行なうことを特徴とする請求
    項8〜19のいずれかに記載の時計外装部品の製造方
    法。
JP31943799A 1987-08-12 1999-11-10 時計外装部品およびその製造方法 Expired - Fee Related JP4463353B2 (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31943799A JP4463353B2 (ja) 1999-11-10 1999-11-10 時計外装部品およびその製造方法
PCT/JP2000/006086 WO2001018275A1 (fr) 1999-09-07 2000-09-07 Ornement et son procede de preparation
KR1020017005650A KR100754811B1 (ko) 1999-09-07 2000-09-07 장식품, 시계 외장 부품 및 그 제조 방법
EP00956994A EP1146136B1 (en) 1999-09-07 2000-09-07 Ornament and method for preparation thereof
US09/831,327 US6905758B1 (en) 1987-08-12 2000-09-07 Decorative item and process for producing the same
CNB008019088A CN100374613C (zh) 1999-09-07 2000-09-07 装饰品及其制造方法
HK02101696.3A HK1040421B (zh) 1999-09-07 2002-03-05 裝飾品及其製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31943799A JP4463353B2 (ja) 1999-11-10 1999-11-10 時計外装部品およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001141847A true JP2001141847A (ja) 2001-05-25
JP4463353B2 JP4463353B2 (ja) 2010-05-19

Family

ID=18110195

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31943799A Expired - Fee Related JP4463353B2 (ja) 1987-08-12 1999-11-10 時計外装部品およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4463353B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003025209A (ja) * 2001-07-23 2003-01-29 Nisshin Steel Co Ltd ステンレス鋼の研磨方法
JP2016033523A (ja) * 2013-01-17 2016-03-10 オメガ・エス アー 時計ムーブメントのための部品

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003025209A (ja) * 2001-07-23 2003-01-29 Nisshin Steel Co Ltd ステンレス鋼の研磨方法
JP2016033523A (ja) * 2013-01-17 2016-03-10 オメガ・エス アー 時計ムーブメントのための部品

Also Published As

Publication number Publication date
JP4463353B2 (ja) 2010-05-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002522645A (ja) 低温の選択的肌焼き工程
KR100754811B1 (ko) 장식품, 시계 외장 부품 및 그 제조 방법
JP4350225B2 (ja) 時計外装部品およびその製造方法
JP2001141847A (ja) 時計外装部品およびその製造方法
JP3213254B2 (ja) 高耐蝕性金属製品およびその製法
US6905758B1 (en) Decorative item and process for producing the same
JP4601845B2 (ja) 装飾部品およびその製造方法
JP3064937B2 (ja) オーステナイト系金属に対する浸炭処理方法およびそれによって得られたオーステナイト系金属製品
JP3064908B2 (ja) 浸炭硬化時計部材もしくは装飾品類およびそれらの製法
JP2001295074A (ja) 硬化層が形成された装飾部材およびその製造方法
US20090139264A1 (en) Antique jewelry articles and methods of making same
JP4651837B2 (ja) 食器類およびその製造方法
US4507184A (en) Method for finishing matted surface on a metal-made article for personal ornament
JPS5884968A (ja) 時計用硬質外装部品
JP4668443B2 (ja) 硬質層を有する装飾部材
JP2002266083A (ja) 装飾部品およびその製造方法
JP3064909B2 (ja) 浸炭硬化食器類およびその製法
JP2916752B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼表面の窒化処理方法
JP2003038218A (ja) バンド用連結ピン及びその製造方法
JP2007004023A (ja) 金属ミラーおよびそれを用いたケーシング部材
JPS60155618A (ja) 切欠部を有する浸炭焼入部材の疲労強度向上方法
JP3457464B2 (ja) オーステナイト系ステンレス熱延鋼帯の平滑酸洗方法
JPS61594A (ja) 時計用外装部品の製造方法
JPS6141752A (ja) チタン合金の硬化方法
JP3477030B2 (ja) 浸炭部材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060628

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090811

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091009

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091110

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100202

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100217

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130226

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees