JP2001140448A - 乾式取付タイルプレセット外壁パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 乾式取付タイルプレセット化による生産，施
工面にわたる総合的な省力化を図る。タイルプレセット
外壁パネルの軽量化，断熱性の向上，止水性の向上を図
る。 【解決手段】 パネルフレーム２の屋外側面に、下地パ
ネル３を取付ける。この下地パネル３の屋外側面に、水
平なタイル取付レール４を複数本平行に設け、各タイル
取付レール４に、その長手方向に並べてタイル５を取付
ける。下地パネル３は、金属板１０の四辺に裏側へ折曲
された折曲フレーム部１０ａを有し、かつ金属板１０の
裏面に断熱材１１が設けられたものとする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、下地パネルの屋
外面側にタイルを取付けた乾式取付タイルプレセット外
壁パネルに関する。

【０００２】

【従来の技術】建築物の外装仕上材をタイルとする場合
において、現場施工の省力化を目的として、大別して次
の工法がある。 (1) コンクリート系外壁材に湿式取付タイルを工場にて
打込み、あるいは接着により固定し、現場搬入すること
により建設現場でのタイル貼り工事を不要にする。コン
クリート系外壁材としては、ＰＣ板、押出成形セメント
板、ＡＬＣ板等が用いられる。 (2) 裏面を特殊形状( 引っ掛け形状) に形成したタイ
ル、および同様に加工した窯業系サイディングボード、
金属製の専用下地材により乾式取付とし、施工の省力化
を行う。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記(1) のコ
ンクリート系外壁材に湿式取付タイルを工場打込みし、
あるいは接着により固定し、現場搬入するものは、重量
が重いうえ、断熱性能が低く、また白華現象の恐れがあ
る。外壁材の重量が重いことは、建物の構造計画（躯体
コスト）に影響するうえ、運搬や現場での取扱の作業性
が悪くなる。上記(2) のタイルを乾式取付けしたもの
は、通常の湿式タイル施工に比較して簡易ではあるが、
依然、現場施工の工数が多く、十分な現場施工の省力化
が得られていない。

【０００４】この発明の目的は、乾式取付タイルプレセ
ット化による生産，施工面にわたる総合的な省力化が図
れ、かつ軽量化、断熱性に優れ、経年変化を含む寸法精
度の向上が図れる乾式取付タイルプレセット外壁パネル
を提供することである。この発明の他の目的は、下地パ
ネル品種の削減による生産性のより一層の向上を図るこ
とである。この発明のさらに他の目的は、外壁パネル全
体の止水性の確保と、止水のための目地施工の簡略化、
不要化を図ることである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明の乾式取付タイ
ルプレセット外壁パネルは、パネルフレームの屋外側面
に、下地パネルを取付け、この下地パネルの屋外側面
に、水平なタイル取付レールを複数本平行に設け、各タ
イル取付レールに、その長手方向に並べてタイルを取付
けたものである。前記下地パネルは、金属板の四辺に裏
側へ折曲された折曲フレーム部を有し、かつ前記金属板
の裏面に断熱材が設けられたものとしている。例えば、
折曲フレーム部は前記金属板の周囲４辺を箱折り加工し
た部分で構成される。この構成によると、下地パネルの
タイル取付レールにタイルを取付けてプレセット化した
ため、外壁パネルの生産，施工面にわたる総合的な省力
化が図れる。下地パネルは、折曲フレーム部を有する金
属板と、その裏面の断熱材とで構成されるため、軽量
化、断熱性に優れ、また経年変化を含む寸法精度の向上
が図れる。また、下地パネルは、裏側へ折曲された折曲
フレーム部を四辺に有するものであるため、構造が簡単
であり、少ない部材点数で済む。タイルは、乾式取付け
であるため、白華が防止できる。

【０００６】この発明において、前記パネルフレームに
取付けられる下地パネルを、上下に３分割された各区画
に各々配置される複数枚としても良い。この構成の場
合、小面積の金属板を組み合わせて、大面積の外壁パネ
ルの下地パネルを容易に構成できる。このように下地パ
ネルを分割化することで、各種の大きさの外壁パネル
や、各種の開口の外壁パネルに対して、同じ下地パネル
を使用することができて、下地パネルの品種を削減で
き、生産性が向上する。例えば、前記パネルフレームに
開口のサッシを取付け、前記パネルフレームに取付けら
れる下地パネルを、前記開口の上側部、開口の下側部、
および開口の側部に各々取付けられる複数枚としても良
い。このように、開口の上下と両側部とに下地パネルを
分割することで、各種開口の外壁パネルや、開口無しの
外壁パネルに同じ下地パネルを用いることができて、パ
ネル品種が削減できる。また、前記下地パネルの金属板
の四辺に設けられる折曲フレーム部は、隣合う折曲フレ
ーム部間で継ぎ目のないシームレス加工部分としても良
い。このようにシームレス加工とすることで、下地パネ
ルの止水性が向上する。また、前記下地パネルの相互の
接合面に止水材を貼付けると共に、前記下地パネルの外
壁パネル外周部となる側端面に乾式目地材を取付けても
良い。この構成の場合、止水性がさらに向上し、外壁パ
ネル取付後の現場での目地施工を省略できる。

【０００７】この発明の乾式取付タイルプレセット外壁
パネル用の下地パネルは、外壁パネルのパネルフレーム
の屋外面に取付けられて水平なタイル取付レールが屋外
面に複数本平行に取付けられるものであって、金属板の
四辺に裏側へ折曲された折曲フレーム部を有し、かつ前
記金属板の裏面に断熱材が設けられている。この構成に
よれば、パネルフレームの屋外面側に取付けることによ
り、軽量化が可能で断熱性に優れた前記構成の外壁パネ
ルを容易に組み立てることができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】この発明の一実施形態を図１ない
し図６と共に説明する。図１は、この実施形態に係る乾
式取付タイルプレセット外壁パネルの分解斜視図であ
る。この外壁パネル１は、図６（Ｂ）に正面図で示すよ
うに、中間部に窓６を有するものであって、パネルフレ
ーム２の屋外面側に下地パネル３を取付け、この下地パ
ネル３の屋外面側に、水平なタイル取付レール４を複数
本平行に設け、各タイル取付レール４に、その長手方向
に並べてタイル５を取付けて構成される。パネルフレー
ム２は軽量形鋼等の金属製のフレーム材を枠組みしたも
のである。

【０００９】図２および図３に縦断面図および水平断面
図で示すように、前記パネルフレーム２は、開口パネル
桟で形成された窓用開口２ａを有し、その開口２ａに窓
サッシ９が取付けられる。窓サッシ９は、開口パネル桟
となる開口パネル木桟７および半間仕切木桟８を介して
パネルフレーム２に取付けられる。下地パネル３は、金
属板１０の裏面にロックウールフェルト等の断熱材１１
を設けて構成され、中間部に前記パネルフレーム２の開
口２ａに整合する窓用開口３ａを有すると共に、金属板
１０の上下左右の四辺に裏側へ折曲された折曲フレーム
部１０ａを有する。折曲フレーム部１０ａは、金属板１
０の周囲の四辺を箱折り加工した部分からなる。金属板
１０には、プレめっき鋼板等が用いられる。隣合う縦横
の折曲フレーム部１０ａ間は、継ぎ目のないシームレス
加工部分とされている。これにより、外壁パネル１の止
水性が向上する。また、金属板１０の窓用開口３ａの周
囲の辺にも、裏側へ折曲された折曲フレーム部１０ｂを
有する。

【００１０】下地パネル３は、図１および図６（Ａ）に
示すように、前記開口３ａの上側部、下側部および両側
部の各区画に各々配置される複数枚の部分下地パネル３
Ａ〜３Ｃを組み合わせて構成される。下地パネル３にお
ける窓用開口３ａ側の端面には、図３に示すように、硅
酸カルシウム材等の非金属製のフレーム材１４が設けら
れ、このフレーム材１４の内側が折曲フレーム部１０ｂ
で覆われている。下地パネル３と前記パネルフレーム２
とで囲まれる空間内には、断熱材２６が設けられる。

【００１１】下地パネル３における両側の折曲フレーム
部１０ａには、図３に示すように、屋内側に向く凹陥段
部１０ａａが上下方向に沿って形成され、この凹陥段部
１０ａａに乾式目地材１６が取付けられている。乾式目
地１６は、例えばゴム材またはスポンジ等の発泡樹脂成
形品等からなり、また乾式目地１６はレインバリアおよ
びウインドバリア機能を生じる部分を一体に有するもの
が好ましい。また、下地パネル３を構成する各部分下地
パネル３Ａ〜３Ｃの相互の接合面にも、止水材（図示せ
ず）が貼付けられている。これにより、止水性がさらに
向上し、外壁パネル取付後の現場での目地施工を省略で
きる。

【００１２】図５は、前記タイル取付レール４へのタイ
ル５の取付構造を示す斜視図である。タイル取付レール
４はリップ溝形に形成され、そのウエブ部４ａに形成し
たビス用孔１８を貫通するビス１９により、下地パネル
３の屋外側面に締付け固定される。このタイル取付レー
ル４には、長手方向の複数箇所にばね部品２０が取付け
られる。ばね部品２０は線ばねからなり、タイル取付レ
ール４の上下のフランジ４ｂ，４ｃから延びるリップ部
４ｂ₁ ，４ｃ₁ に係合するレール取付部２０ａと、この
レール取付部２０ａから上方に延びて、タイル取付レー
ル４の上側フランジ４ｂに形成された透孔（図示せず）
から上方に突出し、タイル５の裏面の取付溝２１内の上
縁に係合する係合部２０ｂとを有する。

【００１３】タイル取付レール４へのタイル５の取付け
は、タイル５の裏面の取付溝２１の上縁をばね部品２０
の係合部２０ｂに掛けてタイル５を下方に引き下げ、次
にタイル５の下部を下地パネル３側に押し付けて、取付
溝２１の下縁にタイル取付レール４の下側フランジ４ｃ
を係合させることによって行う。これにより、ばね部品
２０の係合部２０ｂ、およびタイル取付レール４の上側
フランジ４ｂが上側に弾性復帰しようとして、タイル５
の裏面の蟻溝形状の取付溝２１の上下縁に、ばね部品２
０の係合部２０ｂ、およびタイル取付レール４の上下フ
ランジ４ｂ，４ｃが確実に係合する。

【００１４】この外壁パネル１は、その下地パネル３の
両側部裏面を柱２４の表面に当てて取付けるが、このと
き乾式目地材１６と柱２４との間には、耐火目地材兼用
の断熱材２５が介挿される。これにより、断熱性がさら
に向上する。

【００１５】この構成によると、下地パネル３のタイル
取付レール４にタイル５を取付けてプレセット化したた
め、外壁パネル１の生産，施工面にわたる総合的な省力
化が図れる。下地パネル３は、折曲フレーム部１０ａを
有する金属板１０と、その裏面の断熱材１１とで構成さ
れるため、軽量化、断熱性に優れ、また経年変化を含む
寸法精度の向上が図れる。下地パネル３は、金属板１０
の四辺に折曲フレーム部１０ａを有するものであるた
め、構造が簡単で、構成部材の点数が少なくて済む。４
辺の折曲フレーム部１０ａの連続部がシームレスである
場合、防水性に優れる。タイル５は乾式取付けであるた
め、白華が防止できる。

【００１６】なお、前記実施形態では、窓６が２Ｐ幅
（Ｐは建物のモジュール寸法）のパネル幅に跨がって形
成された外壁パネル１の場合について説明したが、２Ｐ
のパネル幅のうち、１Ｐの幅部分に限って窓が形成され
る外壁パネルについても同様に構成できる。また、図７
（Ｂ）に示すように、２Ｐのパネル幅の全体にわたって
窓６（この場合は引き違い窓）が形成される外壁パネル
１に付いても、ほぼ同様に構成できる。この場合、下地
パネル３は、図７（Ａ）に示すように、上部の部分下地
パネル３Ａと、下部の部分下地パネル３Ｃとの組合せに
よって構成されることになる。

【００１７】図８ないし図１０はこの発明の他の実施形
態を示す。この実施形態に係る乾式取付タイルプレセッ
ト外壁パネルは、図１０（Ｂ）に正面図で示すように窓
を持たないものであって、図８および図９にその縦断面
図および水平断面図を示す。この外壁パネル１の場合
も、パネルフレーム２の屋外側面に、下地パネル３を取
付け、この下地パネル３の屋外側面に、その長手方向に
並べてタイル５を取付けて構成される。

【００１８】下地パネル３が、金属板１０の裏面に断熱
材１１を設けて構成されること、金属板１０の上下左右
４辺に裏側へ折曲された折曲フレーム部１０ａを有する
こと等は先の実施形態と同じである。この実施形態で
は、下地パネル３が、図１０（Ａ）に示すように、上，
中，下３枚の部分下地パネル３Ａ，３ＢＢ，３Ｃを組み
合わせて構成される。各部分下地パネル３Ａ〜３Ｃの相
互の接合面には、図８に示すように止水材２３が貼付け
られる。その他の構成は、先の実施形態と同じである。

【００１９】なお、この発明とは異なるが、この発明、
特にこの発明の前記各構成の乾式取付タイルプレセット
外壁パネルにおいて、下地パネル３は、タイル取付レー
ルおよびタイルを取付ける代わりに、各種の塗装仕上げ
としても良い。特に、下地パネルを裏面取付とし、表面
にビス頭等を露出させないようにした場合、下地パネル
を各種塗装仕上げの下地とすることが効果的である。

【００２０】

【発明の効果】この発明の乾式取付タイルプレセット外
壁パネルは、次の各効果が得られる。 ・乾式取付タイルプレセット化による生産，施工面にわ
たる総合的な省力化。 ・タイルプレセットの外壁パネルの軽量化、断熱性向
上。 ・下地パネルの金属部品化による経年変化を含む寸法精
度の向上。 ・乾式取付タイルによる白華現象防止。 ・ロックウール、硅酸カルシウム板等を断熱材として用
いることによる防火性の向上。 ・各外壁パネルに乾式目地プレセットによる目地部現場
施工の省力化。 ・下地パネルを、四辺に折曲フレーム部を有するものと
したことによる構成の簡易。 ・特に、下地パネルの折曲フレーム部間を、漏水の恐れ
のないシームレス加工とし、各下地パネルの水平ジョイ
ント部に止水材貼付けを行うことによる外壁パネル全体
の止水性の確保。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施形態に係る乾式取付タイルプ
レセット外壁パネルを示す分解斜視図である。

【図２】同外壁パネルの要部縦断面図である。

【図３】同外壁パネルの要部水平断面図である。

【図４】同外壁パネルの要部背面図である。

【図５】同外壁パネルにおけるタイル取付構造の斜視図
である。

【図６】（Ａ）は同外壁パネルにおける下地パネルの正
面図、（Ｂ）は同外壁パネルの正面図である。

【図７】（Ａ）は前記実施形態とほぼ同様に構成される
他の外壁パネルにおける下地パネルの正面図、（Ｂ）は
同外壁パネルの正面図である。

【図８】この発明の他の実施形態に係る乾式取付タイル
プレセット外壁パネルの要部縦断面図である。

【図９】同外壁パネルの要部水平断面図である。

【図１０】（Ａ）は同外壁パネルにおける下地パネルの
正面図、（Ｂ）は同外壁パネルの正面図である。

【符号の説明】

１…外壁パネル ２…パネルフレーム ３…下地パネル ３Ａ〜３Ｃ…部分下地パネル ４…タイル取付レール ５…タイル ９…窓サッシ １０…金属板 １０ａ…折曲フレーム部 １１…断熱材 １６…乾式目地材 ２３…止水材

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2E001 DA01 DC01 DD01 EA08 FA04 FA51 GA12 GA13 GA42 GA44 GA46 GA55 GA82 HA14 HA21 HA32 HB02 HD01 HD11 HE01 LA01 LA04 MA03 2E110 AA02 AA14 AA19 AA42 AB04 AB22 BA03 BA13 BC03 BC13 BD03 BD05 BD23 CA04 CA13 CA17 CA22 CA25 CB02 CC02 CC14 DA12 DA16 DB02 DC02 DC04 DC06 DC21 DD01 GA14Y GA24Y GA32Y GA34W GB01Y GB17Y GB28W GB42Y GB55Y 2E162 AA03 BA02 BA05 BB03 CA08 CA21 CA35 CB02 CD01 CE01

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パネルフレームの屋外側面に、下地パネ
   ルを取付け、この下地パネルの屋外側面に、水平なタイ
   ル取付レールを複数本平行に設け、各タイル取付レール
   に、その長手方向に並べてタイルを取付けた外壁パネル
   であって、前記下地パネルは、金属板の四辺に裏側へ折
   曲された折曲フレーム部を有し、かつ前記金属板の裏面
   に断熱材が設けられたものである乾式取付タイルプレセ
   ット外壁パネル。
2. 【請求項２】 前記パネルフレームに取付けられる下地
   パネルを、上下に３分割された各区画に各々配置される
   複数枚とした請求項１記載の乾式取付タイルプレセット
   外壁パネル。
3. 【請求項３】 前記パネルフレームに開口のサッシを取
   付け、前記パネルフレームに取付けられる下地パネル
   を、前記開口の上側部、前記開口の下側部、および前記
   開口の側部に各々取付けられる複数枚とした請求項２記
   載の乾式取付タイルプレセット外壁パネル。
4. 【請求項４】 前記下地パネルの金属板の四辺に設けら
   れる折曲フレーム部は、隣合う折曲フレーム部間で継ぎ
   目のないシームレス加工部分である請求項１ないし請求
   項３のいずれかに記載の乾式取付タイルプレセット外壁
   パネル。
5. 【請求項５】 前記下地パネルの相互の接合面に止水材
   を貼付けると共に、前記下地パネルの外壁パネル外周部
   となる側端面に乾式目地材を取付けた請求項１ないし請
   求項４のいずれかに記載の乾式取付タイルプレセット外
   壁パネル。
6. 【請求項６】 外壁パネルのパネルフレームの屋外面に
   取付けられて水平なタイル取付レールが屋外面に複数本
   平行に取付けられる下地パネルであって、金属板の四辺
   に裏側へ折曲された折曲フレーム部を有し、かつ前記金
   属板の裏面に断熱材が設けられた乾式取付タイルプレセ
   ット外壁パネル用の下地パネル。