JP2001139703A - シート状不燃成形体 - Google Patents

シート状不燃成形体

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JP2001139703A JP31988999A JP31988999A JP2001139703A JP 2001139703 A JP2001139703 A JP 2001139703A JP 31988999 A JP31988999 A JP 31988999A JP 31988999 A JP31988999 A JP 31988999A JP 2001139703 A JP2001139703 A JP 2001139703A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】多量の含水無機化合物を含有するか、あるいは
多量の含水無機化合物及び炭酸塩を含有し、ロックウー
ル繊維と熱硬化性樹脂とセルロース繊維の所定量を含有
するシート状不燃成形体を提供する。 【解決手段】含水無機化合物を固形分で60〜95質量
%と、セルロース繊維及び繊維長2mm以上のロックウ
ール繊維を固形分で合計4〜40質量%と、熱硬化性樹
脂を固形分で1〜20質量%とを含有し、かつ、前記セ
ルロース繊維/ロックウール繊維が固形分質量比でセル
ロース繊維/ロックウール繊維=20/80〜62/3
8であるシート状熱成形体であって、前記熱硬化性樹脂
の全部または一部はキュラストメータによる175℃で
の熱硬化速度が0.5N/分以上6N/分未満なる硬化
特性を有し、かつ、厚さが0.5〜3mmであるもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シート状不燃成形
体に関し、更に詳しくは、薄型で、かつ高度な不燃性を
有するシート状不燃成形体に関する。
【0002】
【従来技術】従来から、建築物の防火対策上、各種建築
物の不燃化に際し、石綿スレート板、けい酸カルシウム
板、石こうボードなどの各種不燃材料である板状成形体
が使用されている。また最近は、施工作業性改善のため
の軽量化あるいは設計、施工方法の多様化から、薄型で
かつ高度の不燃性能を有するシート状不燃成形体に対す
る必要性が高まりつつある。
【0003】しかし、現状の不燃材料である板状成形体
が所要の不燃性能を確保するには、石こうボードで9m
m厚以上、けい酸カルシウム板でも4〜5mm厚以上の
厚さが必要であり、一般に最も薄型でも3mm厚以上で
ないと所要の不燃性能を確保することが困難であった。
すなわち、厚さが3mm厚未満のシート状不燃成形体で
は、JIS A−1321の表面試験において、亀裂の
発生などの防火上有害な変形が発生しやすく、不燃材料
として具備すべき不燃性能を確保せしめることができな
かった。
【0004】従って、厚さが3mm未満のシート状不燃
成形体でもJIS A−1321の表面試験において亀
裂の発生などの防火上有害な変形の発生がなく、不燃材
料として具備すべき不燃性能を有する薄型の不燃材料の
開発が急がれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は、
かかる課題を解決すべく鋭意試行錯誤を繰り返したとこ
ろ、多量の含水無機化合物を含有するか、あるいは多量
の含水無機化合物及び炭酸塩を含有し、さらに、特定繊
維長を有するロックウール繊維と特定の熱硬化特性を有
する熱硬化性樹脂とセルロース繊維の所定量を含有する
シート状熱成形体が、3mm厚未満という薄型でもJI
S A−1321の表面試験において亀裂の発生などの
防火上有害な変形を発生せず、不燃材料として具備すべ
き高度な不燃性能を有することを見い出し、本発明を完
成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るシート状不
燃成形体は、含水無機化合物を固形分で60〜95質量
%と、セルロース繊維及び繊維長2mm以上のロックウ
ール繊維を固形分で合計4〜40質量%と、熱硬化性樹
脂を固形分で1〜20質量%とを含有し、かつ、前記セ
ルロース繊維/ロックウール繊維が固形分質量比でセル
ロース繊維/ロックウール繊維=20/80〜62/3
8であるシート状熱成形体であって、前記熱硬化性樹脂
の全部または一部はキュラストメータによる175℃で
の熱硬化速度が0.5N/分以上6N/分未満なる硬化
特性を有し、かつ、厚さを0.5〜3mmとしたもので
ある。
【0007】また、本発明に係るシート状不燃成形体
は、含水無機化合物及び炭酸塩を固形分で合計60〜9
5質量%と、セルロース繊維及び繊維長2mm以上のロ
ックウール繊維を固形分で合計4〜40質量%と、熱硬
化性樹脂を固形分で1〜20質量%とを含有し、かつ、
前記含水無機化合物/炭酸塩が固形分質量比で50/5
0より含水無機化合物過多側であり、前記セルロース繊
維/ロックウール繊維が固形分質量比でセルロース繊維
/ロックウール繊維=20/80〜62/38であるシ
ート状熱成形体であって、前記熱硬化性樹脂の全部また
は一部はキュラストメータによる175℃での熱硬化速
度が0.5N/分以上6N/分未満なる硬化特性を有
し、かつ、厚さを0.5〜3mmとしたものである。
【0008】上記した含水無機化合物としては水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、
二水和石こう及びアルミン酸化カルシウム等を挙げるこ
とができる。これらの化合物は何れも分子内に結晶水を
持ち化学的に類似した構造を有する。また、含水無機化
合物は、その種類によって分解温度及び吸熱量に幾分差
があるが、高温加熱時に分解して吸熱作用により不燃化
効果を示すという点では全く共通している。従って、基
本的に前記した含水無機化合物の何れを用いてもよい
が、入手価格等の経済性をも考慮すると水酸化アルミニ
ウムが最適である。
【0009】本発明で使用する炭酸塩としては、炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸スト
ロンチウム、炭酸ベリリウム、炭酸亜鉛等の中から少な
くとも1種類を選択して使用する。これらの炭酸塩はそ
の種類により、分解温度等に幾分差があるが、高温加熱
時に分解して吸熱作用により難燃化効果を示すという点
では全く共通している。従って、基本的に前記した炭酸
塩の何れを用いてもよいが、価格の面から炭酸カルシウ
ムが最適である。なお、炭酸塩配合によるもう一つの重
要な効果として本発明者が特開平5−112659号公
報で指摘したところの発煙量低減効果を挙げることがで
きる。
【0010】本発明に係るシート状不燃成形体中の含水
無機化合物を固形分で60〜95質量%とするか、ある
いは含水無機化合物と炭酸塩の合計の含有率範囲を固形
分で60〜95質量%とする。好ましくは70〜92質
量%、さらに好ましくは75〜88質量%である。その
含有率が60質量%未満では十分な不燃性が得られな
い。反対に95質量%を超えた場合は、含水無機化合物
の過多あるいは含水無機化合物と炭酸塩の合計量の過多
により十分な抄紙性あるいは機械的強度が得られず不適
である。なおシート状不燃成形体中の含水無機化合物を
固形分で70〜92質量%の範囲とするか、あるいは含
水無機化合物と炭酸塩の合計の含有率を70〜92質量
%の範囲とすることで十分な不燃性と抄紙性あるいは機
械的強度を確保しやすくなり、75〜88質量%の範囲
とすることで一層、十分な不燃性と抄紙性あるいは機械
的強度を確保しやすくなる。
【0011】また、含水無機化合物/炭酸塩の含有質量
比率は固形分で50/50、好ましくは60/40より
も含水無機化合物過多側としなければならない。50/
50よりも含水無機化合物過少側とした場合、不燃性が
低下することがあり不適である。なお、含水無機化合物
/炭酸塩の含有質量比率を固形分で60/40よりも含
水無機化合物過多側とすることでより十分な不燃性を確
保しやすくなる。
【0012】上記したセルロース繊維としては、針葉樹
系あるいは広葉樹系の化学パルプ、機械パルプ、セミケ
ミカルパルプ等の木材パルプあるいは木綿パルプ、麻パ
ルプ、各種古紙などの中から選ばれる1種類あるいは2
種類以上を併用して使用すればよい。木材パルプは供給
量および品質が安定しており価格も比較的安価であるこ
とから最も使いやすいセルロース繊維原料である。木綿
パルプ及び麻パルプは供給量が不安定であり価格も高価
であるが、本発明におけるような含水無機化合物あるい
は含水無機化合物と炭酸塩を多量に含有するシート状成
形体においては、必要に応じて該木綿パルプあるいは麻
パルプを使用することによりシート成形体の機械的強度
の低下を最小限にとどめることができる。
【0013】本発明で使用するロックウール繊維の繊維
長は2mm以上、好ましくは3mm以上でなければなら
ない。その繊維長が2mm未満では、薄型においてJI
S A−1321の表面試験で亀裂の発生等の防火上有
害な変形を発生しやすくなり十分な不燃性能を確保でき
ない。なお、その繊維長を3mm以上とすることで薄型
においてもJIS A−1321の表面試験で亀裂等の
防火上有害な変形が一段と発生しにくくなり一層十分な
不燃性能を確保しやすくなる。
【0014】本発明に係るシート状不燃成形体中のセル
ロース繊維/ロックウール繊維の含有質量比率は固形分
で20/80〜62/38、好ましくは25/75〜6
0/40、さらに好ましくは30/70〜55/45で
ある。20/80よりもセルロース繊維過少側とした場
合、セルロース繊維の過少により十分な抄紙性が得られ
ず、62/38よりもロックウール繊維過少側とした場
合、薄型においてJISA−1321の表面試験で亀裂
等の防火上有害な変形を発生しやすくなり十分な不燃性
能を確保できない。なお、セルロース繊維/ロックウー
ル繊維の含有質量比率を25/75〜60/40とする
ことで、薄型においてもJIS A−1321の表面試
験で亀裂等の防火上有害な変形が一段と発生しにくくな
る。また、セルロース繊維/ロックウール繊維の含有質
量比率を30/70〜55/45とすることで、さらに
一層薄型での十分な不燃性能を確保しやすくなる。
【0015】本発明に係るシート状不燃成形体中のセル
ロース繊維と、繊維長2mm以上のロックウール繊維の
合計の含有率範囲は固形分で4〜40質量%、好ましく
は6〜30質量%、さらに好ましくは8〜25質量%で
ある。その合計の含有率が4質量%未満では、セルロー
ス繊維の過少により十分な抄紙性が得られないととも
に、ロックウール繊維も過少となり、薄型において、J
IS A−1321の表面試験で亀裂等の防火上有害な
変形を発生しやすくなり十分な不燃性を確保できない。
反対に、40質量%を超えた場合は、ロックウール繊維
の過多により十分な抄紙性が得られない。なお、シート
状不燃成形体中のセルロース繊維と、繊維長2mm以上
のロックウール繊維の合計の含有率を6〜30質量%の
範囲とすることで、薄型においても、JIS A−13
21の表面試験で亀裂等の防火上有害な変形が一段と発
生しにくくなり十分な不燃性能を確保しやすくなるとと
もに抄紙性も確保しやすくなる。また、係るシート状不
燃成形体中のセルロース繊維と、繊維長2mm以上のロ
ックウール繊維の合計の含有率を8〜25質量%の範囲
とすることで、さらに一層薄型での十分な不燃性能と十
分な抄紙性を確保しやすくなる。
【0016】本発明で使用する熱硬化性樹脂は、その全
部または一部をキュラストメータによる175℃での硬
化速度が0.5N/分以上6N/分未満、好ましくは1
N/分以上4N/分未満なる硬化特性を有するものとし
なければならない。熱硬化性樹脂の全量が、前記硬化速
度0.5N/分未満のものの場合、得られるシート状成
形体の機械的強度が不十分となる。また、熱硬化性樹脂
の全量が、前記硬化速度6N/分以上のものの場合、薄
型において、JIS A−1321の表面試験で亀裂等
の防火上有害な変形を発生しやすくなり十分な不燃性能
を確保できない。なお、本発明で使用する熱硬化性樹脂
の全部または一部をキュラストメータによる175℃で
の硬化速度が1N/分以上4N/分未満なる硬化特性を
有するものとすることで、薄型においても、JIS A
−1321の表面試験で亀裂等の防火上有害な変形が一
段と発生しにくくなり、十分な不燃性を確保しやすくな
るとともに機械的強度も確保しやすくなる。
【0017】上記した熱硬化性樹脂としてはフェノール
樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、尿素メ
ラミン樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂など(繊維状の
ものを含む)の中から少なくとも1種類を選択して使用
する。これらの熱硬化性樹脂はその種類により硬化温度
等に幾分差があるが、加熱処理に伴う流動硬化作用によ
り不燃性素材に各種成形賦形効果もしくは諸強度の発現
効果または曲面施工性さらには含水無機化合物あるいは
炭酸塩の脱落防止効果を与えるという点では全く共通し
ている。従って、基本的には前記した熱硬化性樹脂の何
れを用いてもよいが、好ましくは使用する熱硬化性樹脂
の硬化温度が併用する含水無機化合物あるいは炭酸塩の
分解温度よりも低くなるようにすべきである。更に入手
価格等の経済性をも考慮するとフェノール樹脂、メラミ
ン樹脂、尿素メラミン樹脂が最適である。
【0018】本発明のシート状不燃成形体中の熱硬化性
樹脂の含有率範囲は固形分で1〜20質量%、好ましく
は3〜17質量%、さらに好ましくは5〜15質量%で
ある。その含有率が1質量%未満では十分な機械的強度
が得られず、また20質量%を超えた場合は有機質物質
の過多により十分な不燃性を得ることができない。な
お、シート状不燃成形体中の熱硬化性樹脂の含有率を3
〜17質量%の範囲とすることで、十分な機械的強度及
び不燃性を確保しやすくなり、5〜15質量%の範囲と
することで、一層、十分な機械的強度及び不燃性を確保
しやすくなる。
【0019】使用する熱硬化性樹脂の全量に占める前記
硬化特性を有する熱硬化性樹脂の割合は、固形分で30
質量%以上とするのが好ましく、より好ましくは50質
量%以上とするのがよい。30質量%未満では、薄型に
おいて、時としてJIS A−1321の表面試験で亀
裂等の防火上有害な変形を発生しやすくなり十分な不燃
性能を確保しにくくなったり、機械的強度が低下しやす
くなったりすることがある。なお、使用する熱硬化性樹
脂の全量に占める前記硬化特性を有する熱硬化性樹脂の
割合を50質量%以上とすることで、薄型においても、
JIS A−1321の表面試験で亀裂等の防火上有害
な変形が一段と発生しにくくなり十分な不燃性能を確保
しやすくなるとともに、機械的強度も確保しやすくな
る。
【0020】本発明のシート状不燃成形体の厚さは0.
5〜3mm、好ましくは1〜3mm、さらに好ましくは
1〜2.7mmである。厚さが0.5mm未満では、十
分な機械的強度を確保できない。反対に、3mmを超え
た場合は、十分な軽量性を確保できなくなる。なお、シ
ート状不燃成形体の厚さを1〜3mmの範囲とすること
で、十分な機械的強度及と軽量性を確保しやすくなり、
1〜2.7mmの範囲とすることで、一層、十分な機械
的強度及と軽量性を確保しやすくなる。
【0021】本発明に係るシート状不燃成形体は、上記
配合のもとに含水無機化合物/セルロース繊維及び繊維
長2mm以上のロックウール繊維/熱硬化性樹脂の構成
あるいは含水無機化合物及び炭酸塩/セルロース繊維及
び繊維長2mm以上のロックウール繊維/熱硬化性樹脂
という構成であればよく、その製造法としては、湿式抄
造法、乾式成形法などの任意の方法が適用可能であり、
特定の製造法に限定するものではないが、湿式抄造法が
最も好ましい。以下において、湿式抄造法を適用した場
合を例にとって、製造法にも言及しながらさらに詳述す
る。
【0022】本発明に係るシート状不燃成形体は、含水
無機化合物または炭酸塩の歩留を向上させるための各種
歩留向上剤あるいは必要に応じて合成繊維または着色の
ための合成染料、顔料などを含有していてもよい。ま
た、用途によっては、機械的強度もしくは後加工性の改
善等を図るべく乾燥または湿潤紙力増強剤、サイズ剤、
耐水化剤、撥水剤等を含有せしめるべきことは言うまで
もない。
【0023】本発明のシート状不燃成形体に、熱硬化性
樹脂を含有せしめる方法としては、熱硬化性樹脂の液状
物、繊維状物あるいは粒状物等を原料中に内添したり、
紙層形成後に塗布または含浸するなどすればよい。
【0024】含水無機化合物または炭酸塩を含有せしめ
る方法としては、含水無機化合物または炭酸塩を含有す
る塗料を基材に塗布あるいは含浸せしめるなどの方法も
考えられるが、所定の含有量を確保し、あるいは厚さ方
向での品質の均一化を図るためには、原料スラリー中に
含水無機化合物または炭酸塩を粉体状あるいはスラリー
状にて内添する方法が最も好ましい。この場合、含水無
機化合物、炭酸塩、セルロース繊維、ロックウール繊維
及び熱硬化性樹脂の添加方法及び添加順序等は任意であ
り、必要に応じて 叩解処理等を施してもよい。
【0025】こうして得た原料スラリーを用いて、本発
明に係るシート状不燃成形体を製造するには、通常の抄
造法及び熱成形法によればよい。すなわち、抄造につい
ては、長網、円網あるいは傾斜網等の抄造網上に前記ス
ラリーを供給し、濾過、脱水した後、圧搾、乾燥すれば
よい。また、必要により各種コンビネーション網や、多
槽円網及び各種ラミネーターなどにより紙層を2層以上
重ね合わせてもよい。熱成形については、従来慣用の熱
圧プレス成形、高周波加熱成形などを単独であるいは2
種以上組み合わせて適用すればよい。さらに、用途によ
っては、得られたシート状不燃成形体に各種塗料の吹付
けもしくは塗布あるいは印刷などの表面処理を施した
り、化粧紙、レザー、合成樹脂膜、突板、金属板もしく
は金属箔等の面材を貼り合わせるなどして固着せしめ、
該シート状不燃成形体の付加価値を一段と高めることが
できることは言うまでもない。
【0026】本発明のシート状不燃成形体は、含水無機
化合物とロックウール繊維を含有するか、または含水無
機化合物と炭酸塩とロックウール繊維を含有するだけで
優れた不燃性を発揮するが、従来慣用の難燃剤の使用を
妨げるものではない。併用可能な難燃剤としては、有機
リン化合物、含リン含窒素化合物、スルファミン酸グア
ニジン等のスルファミン酸塩、無機リン酸塩、含ハロゲ
ン化合物及びアンチモン系化合物等の公知の難燃剤を挙
げることができる。また。、該難燃剤の使用方法として
は、原料スラリー中に内添せしめるか抄造工程中もしく
は抄造後または成形後に塗布または含浸せしめる等の方
法が挙げられる。ただし、この場合、含水無機化合物と
ロックウール繊維の含有率または含水無機化合物と炭酸
塩とロックウール繊維の含有率を考慮して難燃剤の含有
量を定めるべきことは当然である。
【0027】
【作用】本発明の重要な点は、シート状不燃成形体を得
るために、特定の繊維長を有するロックウール繊維と特
定の硬化特性を有する熱硬化性樹脂を用いることにあ
り、これにより、多量の含水無機化合物とセルロース繊
維と前記ロックウール繊維と前記熱硬化性樹脂の所定量
を含有するか、あるいは、多量の含水無機化合物及び炭
酸塩とセルロース繊維と前記ロックウール繊維と前記熱
硬化性樹脂の所定量を含有し、かつ、前記セルロース繊
維/ロックウール繊維の含有質量比率が特定範囲内であ
るシート状熱成形体が、3mm厚未満という薄型でも、
JIS A−1321の表面試験において、亀裂等の防
火上有害な変形を発生せず、不燃材料として具備すべき
高度な不燃性能を有する点にある。
【0028】既に述べたように、従来の板状成形体の不
燃材料では、厚さが3mm未満になるとJIS A−1
321の表面試験において、亀裂等の防火上有害な変形
を発生しやすく、不燃材料として具備すべき不燃性能を
確保できなかった。そこで本発明者は、多量の含水無機
化合物あるいは多量の含水無機化合物及び炭酸塩と比較
的少量のセルロース繊維と熱硬化性樹脂を含有するシー
ト状熱成形体において、3mm未満という薄型でも、J
IS A−1321の表面試験で、亀裂等の防火上有害
な変形を発生しない高度な不燃性能を具備せしめるべ
く、多数次の実験を行なったところ、特定の繊維長を有
するロックウール繊維と特定の硬化特性を有する熱硬化
性樹脂を用いることにより、かかる目的を達成すること
ができることを見出した。
【0029】すなわち、繊維長2mm以上のロックウー
ル繊維とキュラストメータによる175℃での熱硬化速
度(以下において、この意味で単に硬化速度と言うこと
がある。)が0.5N/分以上6N/分未満なる硬化特
性を有する熱硬化性樹脂を用い、かつ、セルロース繊維
/ロックウール繊維の含有質量比率を20/80〜62
/38の範囲とすることで、かかる目的に適うことを見
出したのである。
【0030】
【発明実施の形態】次に、後述する実施例での実験結果
を引用しながらさらに説明する。後述の実施例1、比較
例1、比較例2、比較例3、比較例5及び比較例6に係
るシート状成形体は、含水無機化合物、炭酸塩、セルロ
ース繊維、無機繊維及び熱硬化性樹脂という各構成要素
の含有率という点では互いにほとんど同一の組成を有
し、かつ厚さは何れもほぼ2mmである。しかし、この
中でJIS A−1321の表面試験で亀裂等の防火上
有害な変形を発生せず、該表面試験の1級(建築基準法
に規定する不燃材料に相当する。)に合格する高度の不
燃性を有するものは実施例1に係るシート状成形体のみ
であり、他のものはすべて該表面試験において、亀裂が
発生し不合格である。
【0031】次に、前記で引用した、各比較例と実施例
1との違いについて説明する。実施例1では、繊維長3
mmのロックウール繊維と硬化速度が2.1N/分のフ
ェノール樹脂を用い、かつ、セルロース繊維/ロックウ
ール繊維の含有質量比率が47/53であるのに対し、
各比較例と実施例1との違いは、比較例1では、繊維長
3mmのロックウール繊維に代えて、繊維長3mmのガ
ラス繊維を用いた点のみ、比較例2では、繊維長3mm
のロックウール繊維に代えて、繊維長5mmのガラス繊
維を用いた点のみ、比較例3では、熱硬化性樹脂の硬化
速度が2.1N/分ではなく13.7N/分である点の
み、比較例5では、ロックウール繊維の繊維長が3mm
ではなく1mmである点のみ、比較例6では、ロックウ
ール繊維の繊維長が3mmではなく0.15mmである
点のみである。
【0032】また、比較例4は、実施例1とほぼ同一の
処方を有し、実施例1との違いはセルロース繊維/ロッ
クウール繊維の含有質量比率が47/53ではなく、本
発明で特定する範囲外の67/33である点のみである
が、比較例4に係る2.00mm厚のシート状成形体は
JIS A−1321の表面試験で亀裂が発生し該表面
試験の1級には不合格である。
【0033】これに対し、繊維長7mmのロックウール
繊維と硬化速度が2.1N/分のフェノール樹脂を用
い、かつ、セルロース繊維/ロックウール繊維の含有質
量比率を本発明で特定する範囲内とした実施例3及び実
施例5に係るシート状成形体は、それぞれ、1.53m
m厚及び1.21mm厚という超薄型であるにもかかわ
らず、JIS A−1321の表面試験で亀裂等の防火
上有害な変形を発生せず、該表面試験の1級(建築基準
法に規定する不燃材料に相当する。)に合格する高度の
不燃性を有している。
【0034】すなわち、多量の含水無機化合物あるいは
多量の含水無機化合物及び炭酸塩と、比較的少量のセル
ロース繊維と、熱硬化性樹脂を含有するシート状熱成形
体において、繊維長2mmのロックウール繊維と硬化速
度が0.5N/分以上6N/分未満の熱硬化性樹脂を用
い、かつ、セルロース繊維/ロックウール繊維の含有質
量比率を20/80から62/38の範囲とすることに
より、はじめて、従来得ることができなかった厚さ3m
m未満でも、JIS A−1321の表面試験において
亀裂等の防火上有害な変形を発生せず該表面試験の1級
(建築基準法に規定する不燃材料に相当する。)に合格
する不燃材料を得ることができる。
【0035】繊維長2mm以上のロックウール繊維と硬
化速度が0.5N/分以上6N/分未満の熱硬化性樹脂
を用い、かつ、セルロース繊維/ロックウール繊維の含
有質量比率を20/80から62/38の範囲とした場
合に、かかる好結果の得られる作用・機構の詳細は未だ
不明であるが、本発明のシート状成形体の骨格構成要素
であるセルロース繊維と繊維長2mm以上のロックウー
ル繊維による網状構造に対し、0.5N/分以上6N/
分未満なる硬化速度を有する熱硬化性樹脂が熱硬化性樹
脂に特有の硬質化を極力伴わずに、前記網状構造を効果
的に補強する形で硬化するため、得られるシート状不燃
成形体は、十分な機械的強度を有すると同時に柔軟性に
も富むことになり、燃焼試験のごとき高温加熱時におい
ても、この柔軟性が功を奏して熱応力を速やかに分散せ
しめ得ることが、薄型においても亀裂等の防火上有害な
変形の発生を回避できる要因の一つと考えられる。
【0036】また、0.5N/分以上6N/分未満なる
硬化速度を有する熱硬化性樹脂を用いても、これに加
え、繊維長2mm以上のロックウール繊維をセルロース
繊維に対し特定の含有質量比率で用いた場合以外は、薄
型において、JIS A−1321の表面試験で亀裂が
発生してしまうことから、燃焼試験のごとき高温加熱時
に、繊維長2mm以上のロックウール繊維がセルロース
繊維及び前記熱硬化性樹脂並びに含水無機化合物または
炭酸塩との相互作用の中で、該繊維長2mm以上のロッ
クウール繊維に固有で、かつ非常に強力な形状保持効果
を発揮することが、薄型においても亀裂等の防火上有害
な変形を回避できるもう一つの重要な要因と考えられ
る。
【0037】
【実施例】次に、本発明を以下の実施例に基づいてさら
に具体的に説明する。本実施例中の各項目の測定は次の
方法によった。 厚さ及び密度:JIS P−8118による。 裂断長:JIS P−8113による。繊維配向性があ
る場合、繊維配向方向とこれに直角をなす方向について
測定し両者の平均を求めた。 曲げ強度:JIS A−5907による。繊維配向性が
ある場合、繊維配向方向とこれに直角をなす方向につい
て測定し両者の平均を求めた。 不燃性1:JIS A−1321の表面試験での亀裂等
の防火上有害な変形の有無で評価した。 不燃性2:JIS A−1321の表面試験の1級の合
否で評価した。 また、熱硬化性樹脂のキュラストメータによる175℃
での硬化速度がは硬化曲線上の最大応力の10%に達し
た点(応力F10(N),時間T10(分))と最大応
力の90%に達した点 (応力F90(N),時間T
90(分))とを結んだ直線の傾き、すなわち(F90
−F10)/(T90−T10)N/分で与えられる。
【0038】実施例1 市販の針葉樹系未晒硫酸塩パルプと繊維長3mmのロッ
クウール繊維(以下、無機繊維aと略称する。)を離解
機にて離解して得たセルロース繊維と無機繊維の混合分
散液の所定量を取り、これに水酸化アルミニウム粉体
(平均粒径5.7μmである。以下同じ)、炭酸カルシ
ウム粉体(平均粒径1.5μmである。以下同じ)、及
びキュラストメータによる175℃での硬化速度が2.
1N/分であるフェノール樹脂(以下、熱硬化性樹脂a
と略称する。)を添加し、攪拌機にて十分に分散混合
後、角型テスト抄紙機にて抄造し、圧搾、乾燥した後、
熱プレスにて加熱処理(温度200℃、圧力3.9MP
a、時間10分)し、シート状成形体Aを得た。シート
状成形体Aについて、含水無機化合物及び炭酸塩の合計
含有率、含水無機化合物/炭酸塩の含有質量比率、セル
ロース繊維と無機繊維の合計含有率、セルロース繊維/
無機繊維の含有質量比率及び熱硬化性樹脂の含有率を表
1に示すとともに、厚さ、密度、裂断長、曲げ強度、不
燃性1及び不燃性2をそれぞれ測定し、その結果を表1
に示した。
【0039】実施例2 実施例1において、各成分の配合量を変え、熱プレスの
加熱処理条件を温度175℃、圧力2.0MPa、時間3
分とした以外は実施例1と同様にしてシート状成形体B
を得た。シート状成形体Bについて、含水無機化合物及
び炭酸塩の合計含有率、含水無機化合物/炭酸塩の含有
質量比率、セルロース繊維と無機繊維の合計含有率、セ
ルロース繊維/無機繊維の含有質量比率及び熱硬化性樹
脂の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、裂断
長、曲げ強度、不燃性1及び不燃性2をそれぞれ測定
し、その結果を表1に示した。
【0040】実施例3 実施例1において、無機繊維aに代えて、繊維長7mm
のロックウール繊維(以下、無機繊維bと略称する。)
を用いた以外は実施例1と同様にしてシート状成形体C
を得た。シート状成形体Cについて、含水無機化合物及
び炭酸塩の合計含有率、含水無機化合物/炭酸塩の含有
質量比率、セルロース繊維と無機繊維の合計含有率、セ
ルロース繊維/無機繊維の含有質量比率及び熱硬化性樹
脂の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、裂断
長、曲げ強度、不燃性1及び不燃性2をそれぞれ測定
し、その結果を表1に示した。
【0041】実施例4 実施例2において、無機繊維aに代えて、無機繊維bを用
い、熱硬化性樹脂aに代えて、キュラストメータによる
175℃での硬化速度が3.3N/分であるフェノール
樹脂(以下、熱硬化性樹脂bと略称する。)を用い、炭
酸カルシウムを配合しない以外は実施例2と同様にして
シート状成形体Dを得た。シート状成形体Dについて、
含水無機化合物及び炭酸塩の合計含有率、含水無機化合
物/炭酸塩の含有質量比率、セルロース繊維と無機繊維
の合計含有率、セルロース繊維/無機繊維の含有質量比
率及び熱硬化性樹脂の含有率を表1に示すとともに、厚
さ、密度、裂断長、曲げ強度、不燃性1及び不燃性2を
それぞれ測定し、その結果を表1に示した。
【0042】実施例5 実施例1において、無機繊維aに代えて、無機繊維bを用
いた以外は、実施例1と同様にしてシート状成形体Eを
得た。シート状成形体Eについて、含水無機化合物及び
炭酸塩の合計含有率、含水無機化合物/炭酸塩の含有質
量比率、セルロース繊維と無機繊維の合計含有率、セル
ロース繊維/無機繊維の含有質量比率及び熱硬化性樹脂
の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、裂断長、
曲げ強度、不燃性1及び不燃性2をそれぞれ測定し、そ
の結果を表1に示した。
【0043】実施例6 実施例5において、熱硬化性樹脂aとキュラストメータ
による175℃での硬化速度が7.0N/分であるフェ
ノール樹脂(以下、熱硬化性樹脂cと略称する。)を、
熱硬化性樹脂a/熱硬化性樹脂c=3/2なる固形分質
量比率で配合した以外は実施例5と同様にしてシート状
成形体Fを得た。シート状成形体Fについて、含水無機
化合物及び炭酸塩の合計含有率、含水無機化合物/炭酸
塩の含有質量比率、セルロース繊維と無機繊維の合計含
有率、セルロース繊維/無機繊維の含有質量比率及び熱
硬化性樹脂の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密
度、裂断長、曲げ強度、不燃性1及び不燃性2をそれぞ
れ測定し、その結果を表1に示した。
【0044】実施例7 実施例2において、無機繊維aに代えて、無機繊維bを用
い、水酸化アルミニウム粉体に代えて、水酸化マグネシ
ウム粉体(平均粒径10μmである。以下同じ)を用い
た以外は、実施例2と同様にしてシート状成形体Gを得
た。シート状成形体Gについて、含水無機化合物及び炭
酸塩の合計含有率、含水無機化合物/炭酸塩の含有質量
比率、セルロース繊維と無機繊維の合計含有率、セルロ
ース繊維/無機繊維の含有質量比率及び熱硬化性樹脂の
含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、裂断長、曲
げ強度、不燃性1及び不燃性2をそれぞれ測定し、その
結果を表1に示した。
【0045】実施例8 市販の針葉樹系未晒硫酸塩パルプと無機繊維bをパルパ
ーにて離解し、これに水酸化アルミニウム粉体、炭酸カ
ルシウム粉体及び熱硬化性樹脂aを添加し、十分に分散
混合後、長網/ワインドアップロール構成の巻取板紙抄
紙機にてシート層を14層積層させて抄造し、圧搾、乾
燥した後、熱プレス処理(温度200℃、圧力3.9M
Pa、時間10分)し、シート状成形体Hを得た。シート
状成形体Hについて、含水無機化合物及び炭酸塩の合計
含有率、含水無機化合物/炭酸塩の含有質量比率、セル
ロース繊維と無機繊維の合計含有率、セルロース繊維/
無機繊維の含有質量比率及び熱硬化性樹脂の含有率を表
1に示すとともに、厚さ、密度、裂断長、曲げ強度、不
燃性1及び不燃性2をそれぞれ測定し、その結果を表1
に示した。
【0046】実施例9 実施例8において、無機繊維bに代えて、無機繊維aを用
い、熱プレスの加熱処理条件を温度175℃、圧力2.
0MPa、時間3分とした以外は実施例8と同様にしてシ
ート状成形体Iを得た。シート状成形体Iについて、含
水無機化合物及び炭酸塩の合計含有率、含水無機化合物
/炭酸塩の含有質量比率、セルロース繊維と無機繊維の
合計含有率、セルロース繊維/無機繊維の含有質量比率
及び熱硬化性樹脂の含有率を表1に示すとともに、厚
さ、密度、裂断長、曲げ強度、不燃性1及び不燃性2を
それぞれ測定し、その結果を表1に示した。
【0047】比較例1 実施例1において、無機繊維aに代えて、繊維長3mm
のガラス繊維(以下、無機繊維cと略称する。)を用い
た以外は実施例1と同様にしてシート状成形体Jを得
た。シート状成形体Jについて、含水無機化合物及び炭
酸塩の合計含有率、含水無機化合物/炭酸塩の含有質量
比率、セルロース繊維と無機繊維の合計含有率、セルロ
ース繊維/無機繊維の含有質量比率及び熱硬化性樹脂の
含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、裂断長、曲
げ強度、不燃性1及び不燃性2をそれぞれ測定し、その
結果を表1に示した。
【0048】比較例2 実施例1において、無機繊維aに代えて、繊維長5mm
のガラス繊維(以下、無機繊維dと略称する。)を用い
た以外は実施例1と同様にしてシート状成形体Kを得
た。シート状成形体Kについて、含水無機化合物及び炭
酸塩の合計含有率、含水無機化合物/炭酸塩の含有質量
比率、セルロース繊維と無機繊維の合計含有率、セルロ
ース繊維/無機繊維の含有質量比率及び熱硬化性樹脂の
含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、裂断長、曲
げ強度、不燃性1及び不燃性2をそれぞれ測定し、その
結果を表1に示した。
【0049】比較例3 実施例1において、熱硬化性樹脂aに代えて、キュラス
トメータによる175℃での硬化速度が13.7N/分
であるフェノール樹脂(以下、熱硬化性樹脂dと略称す
る。)を用いた以外は実施例1と同様にしてシート状成
形体Lを得た。シート状成形体Lについて、含水無機化
合物及び炭酸塩の合計含有率、含水無機化合物/炭酸塩
の含有質量比率、セルロース繊維と無機繊維の合計含有
率、セルロース繊維/無機繊維の含有質量比率及び熱硬
化性樹脂の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、
裂断長、曲げ強度、不燃性1及び不燃性2をそれぞれ測
定し、その結果を表1に示した。
【0050】比較例4 実施例1においてセルロース繊維/無機繊維含有質量比
率を本発明で特定する範囲外とした以外は実施例1と同
様にしてシート状成形体Mを得た。シート状成形体Mに
ついて、含水無機化合物及び炭酸塩の合計含有率、含水
無機化合物/炭酸塩の含有質量比率、セルロース繊維と
無機繊維の合計含有率、セルロース繊維/無機繊維の含
有質量比率及び熱硬化性樹脂の含有率を表1に示すとと
もに、厚さ、密度、裂断長、曲げ強度、不燃性1及び不
燃性2をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
【0051】比較例5 実施例1において、熱硬化性樹脂aに代えて繊維長1m
mのロックウール繊維(以下、無機繊維eと略称す
る。)を用いた以外は実施例1と同様にしてシート状成
形体Nを得た。シート状成形体Nについて、含水無機化
合物及び炭酸塩の合計含有率、含水無機化合物/炭酸塩
の含有質量比率、セルロース繊維と無機繊維の合計含有
率、セルロース繊維/無機繊維の含有質量比率及び熱硬
化性樹脂の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、
裂断長、曲げ強度、不燃性1及び不燃性2をそれぞれ測
定し、その結果を表1に示した。
【0052】比較例6 実施例1において、無機繊維aに代えて、繊維長0.1
5mmのロックウール繊維(以下、無機繊維fと略称す
る。)を用いた以外は実施例1と同様にしてシート状成
形体Oを得た。シート状成形体Oについて、含水無機化
合物及び炭酸塩の合計含有率、含水無機化合物/炭酸塩
の含有質量比率、セルロース繊維と無機繊維の合計含有
率、セルロース繊維/無機繊維の含有質量比率及び熱硬
化性樹脂の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、
裂断長、曲げ強度、不燃性1及び不燃性2をそれぞれ測
定し、その結果を表1に示した。
【0053】比較例7 比較例1において、各成分の配合量を変え、熱プレスの
加熱処理条件を温度175℃、圧力2.0MPa、時間3
分とした以外は比較例1と同様にしてシート状成形体P
を得た。シート状成形体Pについて、含水無機化合物及
び炭酸塩の合計含有率、含水無機化合物/炭酸塩の含有
質量比率、セルロース繊維と無機繊維の合計含有率、セ
ルロース繊維/無機繊維の含有質量比率及び熱硬化性樹
脂の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、裂断
長、曲げ強度、不燃性1及び不燃性2をそれぞれ測定
し、その結果を表1に示した。
【0054】比較例8 比較例3において、各成分の配合量を変え、熱プレスの
加熱処理条件を温度175℃、圧力2.0MPa、時間3
分とした以外は比較例3と同様にしてシート状成形体Q
を得た。シート状成形体Qについて、含水無機化合物及
び炭酸塩の合計含有率、含水無機化合物/炭酸塩の含有
質量比率、セルロース繊維と無機繊維の合計含有率、セ
ルロース繊維/無機繊維の含有質量比率及び熱硬化性樹
脂の含有率を表1に示すとともに、厚さ、密度、裂断
長、曲げ強度、不燃性1及び不燃性2をそれぞれ測定
し、その結果を表1に示した。
【0055】比較例9 実施例8において、無機繊維bに代えて、無機繊維cを
用いた以外は実施例8と同様にしてシート状成形体Rを
得た。成形体Rについて、含水無機化合物及び炭酸塩の
合計含有率、含水無機化合物/炭酸塩の含有質量比率、
セルロース繊維と無機繊維の合計含有率、セルロース繊
維/無機繊維の含有質量比率及び熱硬化性樹脂の含有率
を表1に示すとともに、厚さ、密度、裂断長、曲げ強
度、不燃性1及び不燃性2をそれぞれ測定し、その結果
を表1に示した。
【0056】比較例10 実施例9において、セルロース繊維/無機繊維含有質量
比率を本発明で特定する範囲外とした以外は実施例9と
同様にしてシート状成形体Sを得た。シート状成形体S
について、含水無機化合物及び炭酸塩の合計含有率、含
水無機化合物/炭酸塩の含有質量比率、セルロース繊維
と無機繊維の合計含有率、セルロース繊維/無機繊維の
含有質量比率及び熱硬化性樹脂の含有率を表1に示すと
ともに、厚さ、密度、裂断長、曲げ強度、不燃性1及び
不燃性2をそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
【0057】 以下余白
【表1】
【0058】
【発明の効果】本発明のシート状不燃成形体は、含水無
機化合物あるいは含水無機化合物及び炭酸塩/セルロー
ス繊維及びロックウール繊維/熱硬化性樹脂という構成
で各成分を特定量含有し、かつ、ロックウール繊維の繊
維長を2mm以上とし、熱硬化性樹脂の全部あるいは一
部をキュラストメータによる175℃での熱硬化速度が
0.5N/分以上6N/分未満なる硬化特性を有するも
のとし、かつ、セルロース繊維/ロックウール繊維の含
有質量比率を20/80〜62/38の範囲としたの
で、薄型であるのに拘わらず、亀裂の発生などの防火上
有害な変形が発生しない高度な不燃性能を有するシート
状不燃成形体が得られる。
【0059】すなわち、従来の不燃材料が最低でも3m
m厚以上でないと所要の不燃性能を確保できなかったの
に対し、本発明のシート状不燃成形体は、厚さ3mm未
満という薄型においても、JIS A−1321の表面
試験で亀裂等の防火上有害な変形を発生せず、該表面試
験の1級(建築基準法に規定する不燃材料に相当す
る。)に合格する高度の不燃性を有する。
【0060】また、本発明のシート状不燃成形体は、厚
さが0.5〜3mmと薄型であるため、軽量化でき施工
作業性が改善されるとともに、既存の不燃材料では厚さ
の制約から挿入できなかった部位にも適用可能となるな
ど、設計・施工方法面での自由度が拡大し、より多様な
要求に対応できる。
【0061】さらに、本発明のシート状不燃成形体は、
十分な機械的強度を有し、かつ良好な柔軟性を兼ね備え
ているため、0.5〜3mmという薄型でも取扱い時
に、けい酸カルシウム板のごとき従来の不燃材料におい
て発生しやすいところの、折れあるいは割れといった不
具合が発生しにくい上に、溝加工あるいは屈曲自在な不
燃裏打材との接着性を施さずとも、曲率半径50mm以
下といった、きわめて曲がりの急な曲面施工を施すこと
ができるという利点を有する。
【0062】加えて、本発明のシート状不燃成形体の少
なくとも片面に、化粧紙、レザー、合成樹脂膜、突板、
金属板もしくは金属箔等の面材を貼り合わせ等により固
着せしめることで、表面強度、平滑性及び光沢感などの
表面品位、意匠性等が付与されるとともに、前記した面
材が柔軟性を有するものであるならば、該面材を固着せ
しめた場合においても曲面施工性は確保され、一段と付
加価値の高まったシート状不燃成形体を得ることができ
る。
【0063】特に、金属板を貼合固着せしめた場合、得
られるシート状不燃成形体は、薄型にもかかわらず、き
わめて高強度を有するとともに、耐割裂性にも格段に優
れ、同時に柔軟性を有し、各種曲面施工にも適用できる
ことから、内外装材として好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04B 1/94 E04B 1/94 W Fターム(参考) 2E001 DE01 GA24 HA22 JA09 JA25 JC02 JC03 JC06 JC07 JD02 4F070 AA02 AA44 AA45 AA46 AA49 AC14 AC16 AC20 AD02 AE01 AE07 AE08 AE20 BA02 4F072 AA02 AA04 AA05 AA07 AA09 AB03 AB08 AB14 AB33 AD13 AD18 AD21 AD23 AD38 AE07 AF03 AF04 AK05 AL17 4J002 AB01W CC04X CC16X CC18X CC23X CD00X CF21X DE057 DE077 DE087 DE147 DE187 DE238 DJ006 FA04W FA046 FD130 GL00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含水無機化合物を固形分で60〜95質
    量%と、セルロース繊維及び繊維長2mm以上のロック
    ウール繊維を固形分で合計4〜40質量%と、熱硬化性
    樹脂を固形分で1〜20質量%とを含有し、かつ、前記
    セルロース繊維/ロックウール繊維が固形分質量比でセ
    ルロース繊維/ロックウール繊維=20/80〜62/
    38であるシート状熱成形体であって、前記熱硬化性樹
    脂の全部または一部はキュラストメータによる175℃
    での熱硬化速度が0.5N/分以上6N/分未満なる硬
    化特性を有し、かつ、厚さが0.5〜3mmであること
    を特徴とするシート状不燃成形体。
  2. 【請求項2】 含水無機化合物及び炭酸塩を固形分で合
    計60〜95質量%と、セルロース繊維及び繊維長2m
    m以上のロックウール繊維を固形分で合計4〜40質量
    %と、熱硬化性樹脂を固形分で1〜20質量%とを含有
    し、かつ、前記含水無機化合物/炭酸塩が固形分質量比
    で50/50より含水無機化合物過多側であり、前記セ
    ルロース繊維/ロックウール繊維が固形分質量比でセル
    ロース繊維/ロックウール繊維=20/80〜62/3
    8であるシート状熱成形体であって、前記熱硬化性樹脂
    の全部または一部はキュラストメータによる175℃で
    の熱硬化速度が0.5N/分以上6N/分未満なる硬化
    特性を有し、かつ、厚さが0.5〜3mmであることを
    特徴とするシート状不燃成形体。
  3. 【請求項3】 上記熱硬化性樹脂の内、固形分で30質
    量%以上がキュラストメータによる175℃での硬化速
    度が0.5N/分以上6N/分未満なる硬化特性を有す
    るものであることを特徴とする請求項1または2記載の
    シート状不燃成形体。
  4. 【請求項4】 上記熱硬化性樹脂はフェノール樹脂、メ
    ラミン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、尿素メラミン樹
    脂及び不飽和ポリエステル樹脂の中から選ばれた少なく
    とも1種類からなる請求項1、2または3記載のシート
    状不燃成形体。
  5. 【請求項5】 上記含水無機化合物は、水酸化アルミニ
    ウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、二水和
    石こう及びアルミン酸化カルシウムの中から選ばれた少
    なくとも1種類からなる請求項1、2、3または4記載
    のシート状不燃成形体。
  6. 【請求項6】 上記炭酸塩は炭酸カルシウムである請求
    項1、2、3、4または5記載のシート状不燃成形体。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4,5または7記載
    のシート状不燃成形体の少なくとも片面に化粧紙、レザ
    ー、合成樹脂膜、突板、金属板もしくは金属箔等の面材
    を貼り合せ等により固着せしめてなるシート状不燃成形
    体。
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