JP2001131264A - シクロオレフィンポリマーの製造方法 - Google Patents

シクロオレフィンポリマーの製造方法

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JP2001131264A
JP2001131264A JP31086799A JP31086799A JP2001131264A JP 2001131264 A JP2001131264 A JP 2001131264A JP 31086799 A JP31086799 A JP 31086799A JP 31086799 A JP31086799 A JP 31086799A JP 2001131264 A JP2001131264 A JP 2001131264A
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ruthenium
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Tomoo Sugawara
智雄 菅原
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応射出成形のような塊状重合において金型
成形面および成形品表面にベタツキを生じることがな
く、金属製型の腐食を生じることなく、さらに成形品の
未反応モノマー含有量が大幅に低減されてモノマー臭気
が少ないシクロオレフィンポリマー成形品の製造方法を
提供する。 【解決手段】 メタセシス触媒系の存在下にシクロオレ
フィンを塊状重合するシクロオレフィンポリマーの製造
方法において、メタセシス触媒系として、(a)モリブ
デン系またはタングステン系メタセシス触媒と共触媒と
からなるメタセシス触媒系と、(b)ルテニウム系メタ
セシス触媒とを併用するシクロオレフィンポリマーの製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシクロオレフィンポ
リマーの製造方法に関し、さらに詳しくはメタセシス触
媒系の存在下にシクロオレフィンを塊状重合してシクロ
オレフィンポリマーを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、
テトラシクロドデセンなどのシクロオレフィンをメタセ
シス重合することによりエラストマーあるいは室温下で
軟質樹脂または硬質樹脂を製造することは周知である。
これらのエラストマーおよび樹脂は成形品として用いら
れるが、成形品を得る方法としては、シクロオレフィン
モノマーを溶液重合してポリマーとした後、射出成形や
カレンダー成形などの熱成形によって成形品とする方法
や、金型内でシクロオレフィンモノマーを塊状重合して
成形品を得る方法が採られている。特に、ノルボルネン
構造を有するシクロオレフィンは金型内で塊状重合する
ことにより、液状原料から一挙に耐熱性のよい熱硬化性
ポリマーとなるため、近年、大型成形品の製造に利用さ
れ、注目を浴びている。その代表的な成形品としてはバ
ンパーのような車輛部品、パイプの継手のような土木建
築部材、ゲーム機や浄化槽の筐体などが挙げられる。
【0003】シクロオレフィンのメタセシス重合はモリ
ブテン、タングステンなどの化合物からなるメタセシス
触媒の存在下に行われる。また、シクロオレフィンのメ
タセシス重合においては、一般に、上記メタセシス触媒
とともに、共触媒としてアルキルアルミニウム、アルキ
ルアルミニウムハライドやアルキル錫のような有機金属
化合物が併用され、さらに、反応速度を速めたり、反応
率を高めるための活性向上方法として、微量の水、酸
素、アルコール、金属アルコキシド、ハロゲン化金属、
ハロゲン化炭化水素など各種の添加剤が併用されてい
る。
【0004】ところで、一般にシクロオレフィンを塊状
重合する場合には、重合終了の時点で原料のモノマーが
できるだけ残存しないことが重要である。すなわち、未
反応モノマーがポリマー中に残ると、成形品中に低分子
量モノマーが含有されることにより耐熱性が低下し、モ
ノマーの臭気が残ったり、また、金型成形面や成形品表
面にベタツキを生じる。
【0005】そこで、未反応モノマーを低減するための
方法として、ハロゲン化金属(特開昭63−18673
0号、特開平1−301710号、同1−126324
号、同2−129221号)、ハロゲン化炭化水素(特
開昭60−79035号、特開平1−221416
号)、カルボン酸ハライド(特開昭63−210122
号)、カルボン酸無水物(特開昭63−234021
号)、ハロゲン化リン(特開平1−81818号、ハロ
ゲン化硫黄(特開平1−135829号)などを添加す
ることが提案されている。これらの方法のうち、ハロゲ
ン化金属やカルボン酸ハライドなど大部分のハロゲン化
合物は空気中の水分により分解して塩酸を発生するため
湿度が高い環境下に成形を行うと金属製金型の腐食が発
生し易く、型の寿命が低下する。他方、ハロゲン化炭化
水素は、腐食の問題は少ないものの重合活性向上効果が
低い。
【0006】また、従来のメタセシス塊状重合において
は、しばしば活性が変化するという問題点があった。こ
の主たる原因としては共触媒と水との反応が考えられ
る。すなわち、水分は金型内の空気中または反応液中に
添加するフィラーや副材料中に微小量含まれており、こ
られの水分がしばしば共触媒として用いる有機金属化合
物と反応し、重合活性の低下を招来する。特に有機アル
ミニウム化合物を共触媒とする場合にこの傾向が大き
い。このような状況下にメタセシス重合を工業的に安定
して行うことが課題となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、反応
射出成形のような塊状重合において金型成形面および成
形品表面にベタツキを生じることがなく、金属製型の腐
食を生じることなく、さらに成形品の未反応モノマー含
有量が大幅に低減されてモノマー臭気が少ない成形品を
工業的有利に生産するためのシクロオレフィンポリマー
の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、メタセシ
ス触媒系として、モリブデン系またはタングステン系の
メタセシス触媒と共触媒とからなるメタセシス触媒系
と、ルテニウム系のメタセシス触媒とを併用することに
よって達成される。すなわち、本発明によれば、メタセ
シス触媒系の存在下にシクロオレフィンを塊状重合する
シクロオレフィンポリマーの製造方法において、メタセ
シス触媒系として、(a)モリブデンまたはタングステ
ン系メタセシス触媒と共触媒とからなるメタセシス触媒
系と、(b)ルテニウム系メタセシス触媒とを併用する
ことを特徴とするシクロオレフィンポリマーの製造方法
が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】(シクロオレフィンモノマー)本
発明の製造方法に供されるモノマーは、ノルボルネン環
を有するシクロオレフィンである。かかるシクロオレフ
ィンとしては、ノルボルネン環を有する置換および未置
換の二環もしくは三環以上の多環シクロオレフィンが用
いられる。
【0010】その具体例としては、ノルボルネン、ノル
ボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボル
ネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、クロ
ロメチルノルボルネン、トリメチルシリルノルボルネ
ン、フェニルノルボルネン、シアノノルボルネン、ジシ
アノノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、
ピリジルノルボルネン、ナヂック酸無水物、ナヂック酸
イミドなどの二環シクロオレフィン;ジシクロペンタジ
エン、ジヒドロジシクロペンタジエンやそのアルキル、
アルケニル、アルキリデン、アリール置換体などの三環
シクロオレフィン;ジメタノヘキサヒドロナフタレン、
ジメタノオクタヒドロナフタレンやそのアルキル、アル
ケニル、アルキリデン、アリール置換体などの四環シク
ロオレフィン、トリシクロペンタジエンなどの五環シク
ロオレフィン、ヘキサシクロヘプタデセンなどの六環シ
クロオレフィンなどが挙げられる。また、ジノルボルネ
ン、二個のノルボルネン環を炭化水素鎖またはエステル
基などで結合した化合物、これらのアルキル、アリール
置換体などのノルボルネン環を含む化合物が挙げられ
る。
【0011】上記ノルボルネン系モノマーは単独でも二
種以上を使用してもよいが、二種以上の使用が好まし
い。二種以上使用する場合には、熱可塑性樹脂となる1
つの二重結合を有するモノマーと、熱硬化性樹脂となる
複数の二重結合を有するモノマーを適宜組合せると種々
の物性を有する樹脂を入手することができるし、また、
単一使用の場合と比較して凝固点降下により、モノマー
を液状として取扱える範囲が拡がるからである。また、
これらノルボルネン系モノマーに、シクロブテン、シク
ロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセンなどの単
環シクロオレフィンおよび置換基を有するそれらの誘導
体を共重合することもできる。
【0012】(モリブデン系またはタングステン系のメ
タセシス触媒)メタセシス触媒としては、シクロオレフ
ィンの開環重合用触媒として公知のモリブデンまたはタ
ングステン系メタセシス触媒(例えば、特開昭58−1
27728号、同58−129013号などに記載され
ている)が用いられ、特に制限はない。
【0013】メタセシス触媒の具体例としては、モリブ
テンまたはタングステンのハロゲン化物、オキシハロゲ
ン化物、酸化物、有機アンモニウム塩、酸素酸塩、ヘテ
ロポリ酸塩などが挙げられる。これらの中でもタングス
テンまたはモリブデンのハロゲン化物、オキシハライ
ド、有機アンモニウム塩が好ましい。腐食防止の点から
は特に有機アンモニウム塩が好ましく、その具体例とし
ては、トリドデシルアンモニウムモリブデン酸およびタ
ングステン酸塩、メチルトリカプリルアンモニウムモリ
ブデン酸塩およびタングステン酸塩、トリ(トリデシ
ル)アンモニウムモリブデン酸塩およびタングステン酸
塩、ならびにトリオクチルアンモニウムモリブデン酸塩
およびタングステン酸塩などが挙げられる。
【0014】これらのモリブテン系またはタングステン
系メタセシス触媒は、モノマー1モルに対して、通常
0.01〜50ミリモル、好ましくは、0.05〜5ミ
リモルの範囲で用いられる。その使用法としては、モノ
マーに溶解して用いることが好ましいが、生成物の性質
を本質的に損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁ま
たは溶解させて用いてもよい。また、これらのメタセシ
ス触媒は、次に説明する共触媒とメタセシス触媒系を形
成せしめることが必須である。
【0015】(共触媒)前記のモリブデン系またはタン
グステン系のメタセシス触媒と一緒に触媒系を形成する
共触媒は、特に限定されず、メタセシス触媒用の共触媒
として公知のものが用いられる。公知の共触媒として
は、例えば、有機アルミニウム化合物、有機スズ化合
物、有機亜鉛化合物、有機マグネシウム化合物、有機シ
ラン化合物などが挙げられる。
【0016】有機アルミニウム化合物の具体例として
は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミ
ニウムなどのアルキルアルミニウム;ジメチルアルミニ
ウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ
オクチルアルミニウムアイオダイド、エチルアルミニウ
ムセスキクロライドなどのアルキルアルミニウムハライ
ド;n−プロポキシジエチルアルミニウム、イソプロポ
キシジエチルアルミニウムなどのアルコキシアルキルア
ルミニウム、n−プロポキシエチルアルミニウムクロラ
イド、イソプロポキシエチルアルミニウムクロライドな
どのアルコキシアルミニウムハライド;2−クロロエト
キシエチルアルミニウムクロライド、1,3−ジクロロ
−2−プロポキシエチルアルミニウムクロライドなどの
ハロアルコキシアルキルアルミニウムハライドなどが挙
げられる。
【0017】これらの中では、アルコキシアルキルアル
ミニウム、アルコキシアルキルアルミニウムハライド、
ハロアルコキシアルミニウムハライドが好ましく、ハロ
アルコキシアルキルアルミニウムハライドがより好まし
い。このハロアルコキシアルキルアルミニウムハライド
は、例えば、1,3−ジクロロ−2−プロパノールのよ
うなハロアルコールとジエチルアルムニウムクロライド
のようなアルキルアルミニウムハライドから調製される
(特開平5−86172号公報)。共触媒の使用量は、
通常、触媒成分に対して0.1〜200(モル比)、好
ましくは1〜10(モル比)の範囲である。共触媒はモ
ノマーを溶媒として調製して、そのまま使用することが
好ましいが、生成物の性質を本質的に損なわない範囲で
あれば少量の溶剤を用いて調製し、使用してもよい。
【0018】(ルテニウム系メタセシス触媒)本発明
は、前記モリブデン系またはタングステン系のメタセシ
ス触媒、そして前記共触媒に加えて、ルテニウム系のメ
タセシス触媒を併用することが必須である。本発明に用
いられるルテニウムメタセシス触媒は、シクロオレフィ
ンの塊状重合用として公知のものであればいずれでもよ
く(特表平10−508891号公報、特表平9−51
2828号公報、特開平10−80933号公報、特開
平10−338739号公報、WO97/14738号
公報、WO99/11454号公報など)、特に制限は
ない。通常、ルテニウム錯体化合物が触媒として用いら
れる。
【0019】ルテニウム錯体化合物の具体例としては、
(p−クメン)トリシクロヘキシルホスフィンルテニウ
ムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)
ルテニウムジクロリド、[1,3−ジ(メチルフェニ
ル)−イミダゾール−2−イリデン](p−シメン)ル
テニウムジクロリド、ベンジリデンビス(トリシクロヘ
キシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(フェニル
チオメチレン)ビス(トリイソプロピルホスフィン)ル
テニウムジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロピル−
イミダゾール−2−イリデン)ベンジリデンルテニウム
ジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−イミダ
ゾール−2−イリデン)ベンジリデンルテニウムジクロ
リド、[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニ
ル)−イミダゾール−2−イリデン](トリシクロヘキ
シルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、
[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−
イミダゾール−2−イリデン](ペンタメチルシクロペ
ンタジエニル)ベンジリデンルテニウムジクロリド、フ
ェニルビニリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジイソプロ
ピル−イミダゾール−2−イリデン)フェニルビニリデ
ンルテニウムジクロリド、[1,3−ビス(2,4,6
−トリメチルフェニル)−イミダゾール−2−イリデ
ン](トリシクロヘキシルホスフィン)t−ブチルビニ
リデンルテニウムジクロリドなどを挙げることができ
る。
【0020】本発明において、モノマーに対するルテニ
ウム錯体化合物の割合は、(ルテニウム化合物中の金属
ルテニウム:モノマー)のモル比で示すと、通常、1:
100〜2,000,000、好ましくは1:500〜
1,000,000、より好ましくは1:1,000〜
500,000である。
【0021】ルテニウム錯体化合物は、モノマーの重合
が進行しない条件下においては、モノマーに溶解して用
いることができるが、一般的にルテニウム錯体は触媒活
性が高いので、生成物の性質を本質的に損なわない範囲
の少量の溶剤に懸濁または溶解させて使用することが好
ましい。ルテニウム錯体を懸濁または溶解させる溶剤と
しては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの
脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメ
チルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチル
シクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプ
タン、トリシクロデカン、シクロオクタンなどの脂環族
炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族
炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニト
リルなどの含窒素系炭化水素;ジエチルエ−テル、テト
ラヒドロフランなどのエ−テル類;クロロホルム、ジク
ロロメタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの
含ハロゲン系炭化水素が挙げられる。これらの溶剤の中
でも、工業的に汎用な芳香族、脂肪族および脂環族炭化
水素、ならびにエーテル類が好ましく、シクロヘキサン
などの脂環族炭化水素を使用するのがより好ましい。
【0022】(各種添加剤)酸化防止剤、紫外線吸収
剤、エラストマー、高分子改質剤、充填剤、着色剤、難
燃剤、架橋剤、摺動化剤、着臭剤、軽量化のためのフィ
ラー類、発泡剤、表面平滑化のためのウイスカーなど種
々の添加剤を配合することによって、成形体の特性を改
質することができる。酸化防止剤としては、フェノール
系、リン系、アミン系などの各種のプラスチック・ゴム
用酸化防止剤がある。これらの酸化防止剤は単独で用い
てもよいが、併用することが好ましい。配合割合は、通
常、ノルボルネン系モノマーに対して0.5重量部以
上、好ましくは1〜3重量部である。また酸化防止剤は
モノマーと共重合可能なものでもよく、その具体例とし
て5−(3,5−ジ−t−ブチル)−4−ヒドロキシベ
ンジル−2−ノルボルネンなどのごときノルボルネニル
フェノール系化合物などが例示される(特開昭57−8
3522号公報参照)。
【0023】充填剤には、ガラス粉末、カーボンブラッ
ク、タルク、炭酸カルシウム、雲母、水酸化アルミニウ
ムなどの無機質充填剤がある。かかる充填剤はシランカ
ップリング剤などで表面処理したものが好ましい。架橋
剤としてイオウまたは過酸化物を用いると耐熱性が向上
する。添加剤は、反応射出成形においては予めノルボル
ネン系モノマーに溶解または分散させ、少なくとも一つ
の反応液に混合しておき、その後金型内で重合する。
【0024】(重合方法)本発明に従って、前記モリブ
デン系またはタングステン系のメタセシス触媒と共触媒
とからなるメタセシス触媒系、そしてルテニウム系メタ
セシス触媒を併用するメタセシス触媒系の存在下にシク
ロオレフィンを重合するには、塊状重合法を採ることが
できる。塊状重合法、特に反応射出成形(RIM)法に
よりノルボルネン系モノマーを金型内において塊状で開
環重合する方法が有用である。このRIM法は実質的に
塊状重合であればよく、少量の不活性化合物が反応系に
存在していてもかまわない。
【0025】好ましい塊状重合法では、シクロオレフィ
ンモノマー混合物を二液に分けて別の容器に入れ、一方
にはモリブデン系またはタングステン系のメタセシス触
媒を添加するが共触媒を添加せず、他方にはメタセシス
共触媒を添加するがメタセシス触媒を添加しないで二種
類の安定な反応原液(A液とB液)を調製する。また、
これらとは別に、前記ルテニウム錯体を少量の溶剤に懸
濁または溶解させた液(C液)を調製する。そして、こ
の三種類の反応原液または触媒溶液を混合し、次いで所
定形状の金型中に注入し、そこで塊状による開環重合を
行なう。
【0026】塊状開環重合においては、従来からRIM
装置として公知の衝突混合装置を、三種類の反応原液ま
たは触媒溶液を混合するために使用することができる。
この場合、三種類の液を収めた容器は別々の流れの供給
源となる。三種類の液の流れをRIM機のミキシング・
ヘッドで瞬間的に混合させ、次いで、高温の成形金型中
に注入し、そこで即座に塊状重合させて成形品を得る。
【0027】また、可使時間(ポットライフ)が長くな
るように設定した塊状重合においては、ミキサー中で前
記三種類の液の混合が完了してから、予備加熱した金型
中へ数回にわたって射出あるいは注入してもよく、ある
いは連続的に注入してもよい。この方式の場合には、衝
突混合装置に比較して装置を小型化することができ、低
圧で操作可能にという利点を有するうえ、ガラス繊維な
どの補強材の充填量が多い場合に、注入スピードをゆっ
くりすることにより、系内に均一に反応原液を含浸させ
ることが可能となる。
【0028】また、上記の塊状重合法は三種類の反応原
液を使用する方法に限定されない。当業者であれば容易
に理解しうるように、例えば第四番目の容器にモノマー
と所望の添加剤を入れて第四の流れとして使用するなど
各種の変形が可能である。金型温度は、通常、室温以
上、好ましくは40〜200℃である。型締圧力は通常
0.1〜100kg/cm2の範囲内である。重合時間
は適宜選択すればよいが、通常、10秒〜20分、好ま
しくは5分以内である。
【0029】
【実施例】実施例1 (1)金型: 200mm×200mmの500Wヒー
ター付きクロームメッキ鉄板(製品面側金型)および同
形の500Wヒーター付きアルミニウム板(裏面側金
型)を1枚ずつ使用した。2枚の金属板の内側に空隙部
(キャビティー)を作るために、金属板のサイズにあわ
せたコの字形の樹脂製スペーサー(厚さ4mm)を間に
はさんで、4隅をシャコ型万力でしめた。この際、木材
による重合阻害についても調べる目的で、金型中央部に
4×30×30のラワン合板をはさんだ。このようにし
て作った簡易金型内の製品面側金型上部に温度調節用の
熱電対を貼り、これをヒーターの温度調節機へ接続して
同金型の温度を調節できるようにした。なお、裏面側金
型には通電しないようにした。金型は、コの字形の樹脂
製スペーサーの開放部を上向きにして、オーバーフロー
時の液受けのために敷いたバットの上にのせた。
【0030】(2)反応原液: 500mlの広口ポリ
エチレン瓶に攪拌子を入れた。このポリエチレン瓶の広
口に密栓できるゴム栓、ポリエチレン製T字管、ガラス
管を用意し、ゴム栓の中央付近に横向きのT字になるよ
うにT字管を貫通させた。また、その隣に反応原液を上
記金型へ移送する時に使うガラス管をゴム栓に貫通させ
た後、ゴム栓をポリエチレン瓶の口に装着した。ガラス
管の上部につないである反応液移送用シリコンゴムチュ
ーブをクリップで締めて塞いで、T字管の横方向の口か
ら窒素気流を流し、T字管上方向の口を指で押さえた
り、離したりする動作を40回ほど繰返して、瓶内を窒
素置換した。その後、シリコンゴムチューブのクリップ
をはずして、窒素気流をゆるやかに流し続けた。
【0031】ポリエチレン瓶中に、ジシクロペンタジエ
ン(約10%のシクロペンタジエン3量体を含む)22
5ml、ジエチルアルミニウムクロリド0.54g、
1,3−ジクロロ−2−プロパノールのジシクロペンタ
ジエン溶液(70%濃度)0.99g、トリドデシルア
ンモニウムモリブデートのジシクロペンタジエン溶液
(0.6モル/リットル)1.9ml、ベンジリデンビ
ス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロ
リドのジクロロメタン溶液(濃度8.2%)0.84m
lの順に注射器で仕込んみ、10秒間激しく攪拌した。
【0032】(3)成形方法: 反応原液移送用のガラ
ス管の下端を瓶の液面下に深くさし込み、T字管の上側
の口を塞いで、窒素圧により反応原液を前記した金型
(製品面側の型温60℃、裏面側の型温40℃)の空隙
部へ圧送した。この際、注入前に金型内部の窒素置換は
行わなかった。瓶内の反応原液の残量が、約20ml程
度になった時点で圧送を停止し、移送用ゴムチューブを
クリップで塞いだ。約20ml程度の配合液が金型上部
の開放部からオーバーフローして、下に敷いてあったバ
ットにこぼれた。反応原液を移送して3分後、金型を外
して成形物を得た。成形品および金型には、ベタツキが
見られなかった。ラワン合板の周辺も固化しており、ラ
ワン合板を抜き取ろうとしたところ容易には抜き取れ
ず、無理に抜き取ったところラワン合板の周囲が破損し
た。また、オーバーフローしてこぼれた配合液もゴム状
〜プラスチック状に固化した。
【0033】比較例1 ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ル
テニウムジクロリドのジクロロメタン溶液を添加しなか
った他は、実施例1と同様に操作した。成形品周囲およ
び金型のスペーサー付近には、未硬化モノマーによるベ
タツキが見られた。ラワン合板の周囲も未硬化となり、
容易にラワン合板を抜き取ることができた。また、オー
バーフローしてこぼれた配合液も硬化しなかった。
【0034】比較例2 ジエチルアルミニウムクロリド、1,3−ジクロロ−2
−プロパノールのジシクロペンタジエン溶液(70%濃
度)、トリドデシルアンモニウムモリブデートのジシク
ロペンタジエン溶液(0.6モル/リットル)を添加せ
ず、配合液注入から脱型までの時間を10分とした他
は、実施例1と同様に操作した。キュアー時間を10分
と長くしたにもかかわらず、成形品は重合反応が充分に
進行しておらず、モノマーが成形品中に残存しているた
めに、モノマーの可塑化効果によりいまだゴム状のまま
だった。ただし、ラワン合板周辺や、オーバーフローし
てこぼれた配合液を含めて全体的に少なくともゴム状に
は硬化しており、比較例1のように一部未反応モノマー
によるベタツキが残ることは無かった。
【0035】以上に示すように、モリブデン触媒系のみ
では(比較例1)、空気、スペーサーおよび木材と触れ
たところは、触媒が失活し、未反応モノマーによるベタ
ツキとなるが、それ以外の部分は、即座に充分に反応が
進行している。それに対し、ルテニウム触媒系のみでは
(比較例2)、空気、スペーサーおよび木材による触媒
失活に基づくベタツキは無いが、重合反応が遅く、上記
条件ではゴム状にまでしか硬化しない。一方、モリブデ
ン触媒系とルテニウム触媒系を併用した実施例1では、
両触媒系の長所が組み合わされ、即座に反応が進行し、
かつ、空気、スペーサーおよび木材による触媒失活に基
づくベタツキが無かった。
【0036】
【発明の効果】本発明の製造方法に用いるメタセシス触
媒系は高い活性を示し、且つ空気中の酸素などの影響を
受け難いという特長をもっている。従って、塊状重合を
行うと、金型にベタツキを生じることなく、良好な外観
をもった大型の成形品を製造することができる。また、
金属製型の腐食が大幅に低減され、型の寿命が長くな
る。さらに、成形品中の未反応モノマー量が低減され、
成形品のモノマー臭気が実質的になくなる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタセシス触媒系の存在下にシクロオレ
    フィンを塊状重合するシクロオレフィンポリマーの製造
    方法において、メタセシス触媒系として、(a)モリブ
    デン系またはタングステン系メタセシス触媒と共触媒と
    からなるメタセシス触媒系と、(b)ルテニウム系メタ
    セシス触媒とを併用することを特徴とするシクロオレフ
    ィンポリマーの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018087338A (ja) * 2013-02-27 2018-06-07 マテリア, インコーポレイテッド 金属カルベンオレフィンメタセシス2種の触媒組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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