JP2892713B2 - ノルボルネン系ポリマーの製造方法 - Google Patents

ノルボルネン系ポリマーの製造方法

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JP2892713B2 JP28555589A JP28555589A JP2892713B2 JP 2892713 B2 JP2892713 B2 JP 2892713B2 JP 28555589 A JP28555589 A JP 28555589A JP 28555589 A JP28555589 A JP 28555589A JP 2892713 B2 JP2892713 B2 JP 2892713B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ノルボルネン系ポリマーの製造方法に関
し、さらに詳しくは、トリシクロペンダジエンを含む三
環体以上のノルボルネン系ポリマー混合物とメタセシス
触媒系を含む反応液のポットライフを遅延させ、しかも
金型内へ注入後に即座に硬化させることができるノルボ
ルネン系ポリマーの製造方法に関する。
〔従来の技術〕
アルキル置換ノルボルネンやジシクロペンタジエン、
トリシクロペンタジエンなどのノルボルネン系モノマー
を、金型内で、モリブデンおよび/またはタングステン
系メタセシス触媒により塊状開環重合する技術は公知で
ある(米国特許明細書第4,380,617号明細書など)。
一般に、この塊状開環重合は、ノルボルネン系モノマ
ー、メタセシス触媒および共触媒(活性剤)を混合した
後、金型内に注入して、反応を開始させ、硬化させるこ
とにより行なわれる。混合後、反応液の粘度は増加し、
流動しにくくなる点を経た後(混合後、この時点までの
時間をポットライフという)、さらに反応が進み、急激
な発熱が生じ、同時に、生成樹脂の表面よりわずかに白
煙の発生が認められ、その後速やかに重合反応は終了す
る(混合後、この白煙発生までの時間をスモーキングタ
イムという)。
ところで、モリブデンまたはタングステン系メタセシ
ス触媒とアルキルアルミニウムハライドなどの共触媒と
の組合わせは、活性があり過ぎるため、室温でも迅速に
塊状開環重合が進行し、混合部分から硬化が始まる。そ
こで、ポットライフを長くし、早期重合を予防するため
に、触媒系を改良したり、あるいはエーテル、エステ
ル、ケトン、ニトリルなどを共触媒の活性調節剤として
使用することなどが提案されている(特開昭59−51911
号、同58−129013号、同61−120814号、同61−179214号
など)。
ところが、従来技術では、未だポットライフが短く、
操作性に難があり、しかも反応液混合後、重合が開始
し、ポットライフまでの間にも反応液の粘度は顕著な増
大を示す。したがって、金型内での反応液の流速が、こ
の粘度増加のために場所や時間により局部的に変化し易
く、成形品に流れ模様の跡(フローマーク)や時間的に
不均一な硬化部分が合体してできるウェルドラインが発
生する。これらが成形品の表面不良や物性低下の原因と
なる。
一方、ポットライフを改善する方法として、第3級ア
ルコールを用いることが提案されている(例えば、特願
昭63−332776号)が、この方法でポットライフを長くす
ると、それに伴ってスモーキングタイムが長くなるた
め、場合によってはその間に活性が低下し、高い転化率
を得にくいという問題がある。
ところで、ジシクロペンタジエン(DCP)などの三環
体のノルボルネン系モノマーは、工業的に入手が容易で
あることから賞用されているが、例えば、ポリDCP樹脂
の耐熱性を上げるために、モノマーとしてトリシクロペ
ンタジエン(TCP)を併用すると、反応液のポットライ
フがさらに短くなるという問題点を抱えていた。
ノルボルネン系モノマーの塊状開環重合においては、
混合の初期段階での硬化を防ぎ、反応成分や添加剤等を
完全に混合させること、金型注入途中での粘度変化を抑
制すること、金型内への注入終了後には即座に硬化させ
ることなど、操作性と成形性・生産性の両立が求められ
る。
そこで、スモーキングタイムを大きく遅延させること
なく、ポットライフを長くするよう、反応液を制御する
ことが重要となる。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、トリシクロペンタジエンを含む三環
体以上のノルボルネン系モノマー混合物を、メタセシス
触媒系の存在下に塊状開環重合する方法において、スモ
ーキングタイムを大きく遅延させることなく、ポットラ
イフを長くして、操作性を改良すると共に、金型内での
反応開始から重合硬化終了までの時間を短くし、成形生
産時間を短縮することにある。
また、本発明の目的は、金型内への注入途中における
反応液の粘度変化を極力抑えて、フローマークやウェル
ドラインのない、外観および物性の良好な成形品を得る
ことにある。
本発明者らは、前記従来技術の有する問題点を克服す
るために鋭意研究した結果、トリシクロペンタジエンを
含む三環体以上のノルボルネン系モノマー混合物を、メ
タセシス触媒系の存在下に塊状開環重合する方法におい
て、メタセシス触媒系としてモリブデン系メタセシス触
媒と共触媒とから成るメタセシス触媒系を用い、かつ、
反応液に5−ビニル−2−ノルボルネンなどの5−アル
ケニル−2−ノルボルネン類(VNB類)を含ませると、V
NB類がポットライフ調節剤として機能し、前記目的を達
成できることを見出した。
ところで、VNB類は、α−オレフィン結合を有してい
るため、α−オレフィンの連鎖移動によりメタセシス反
応初期の重合抑制効果が予測される。
しかし、従来、ノルボルネン系モノマーに分子量調節
剤として、各種オレフィン類を添加することが提案され
ているが、例えば、1−ドデセンや1,6−ヘプタジエ
ン、スチレン、ジビニルベンゼンなどのノルボルネン環
をもたないオレフィン類を添加してもポットライフ遅延
効果はほとんどなく、多量に添加した場合には多少のホ
ットライフ遅延効果が認められるものの、得られたポリ
マーのガラス転移温度(Tg)などの物性が低下するとい
う問題がある。
また、VNB類とジシクロペンタジエンの架橋重合成形
物(特開昭63−12612号)、あるいはVNBのホモポリマー
またはVNBと5−エチリデン−2−ノルボルネンとのコ
ポリマーの製造法(特開昭63−97610号)が提案されて
いるが、これらの重合では、メタセシス触媒としてタン
グステン化合物が用いられている。ところが、タングス
テン化合物は、メタセシス触媒として高活性ではあるも
のの、VNB類を含むノルボルネン系モノマーの触媒とし
て使用しても、ポットライフ遅延効果はほとんど認めら
れない。
したがって、前記特定の組合わせにより、スモーキン
グタイムを大幅に遅延させることなく、ポットライフを
遅延させることができたことは予期し得ないことであっ
た。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至った
ものである。
〔課題を解決するための手段〕
かくして、本発明によれば、トリシクロペンタジエン
を含む三環体以上のノルボルネン系モノマー混合物を、
メタセシス触媒系の存在下に塊状開環重合するノルボル
ネン系ポリマーの製造方法において、メタセシス触媒系
としてモリブデン系メタセシス触媒と共触媒とから成る
メタセシス触媒系を用い、かつ、反応液のポットライフ
調節のため、5−アルケニル−2−ノルボルネン類をモ
ノマーとしてモノマー混合物に配合することを特徴とす
るノルボルネン系ポリマーの製造方法が提供される。
以下、本発明について詳述する。
(ノルボルネン系モノマー) 本発明においては、ノルボルネン系モノマーとして、
熱変形温度の高いポリマーを得るために、トリシクロペ
ンタジエンを含む三環体以上の多環ノルボルネン系モノ
マー混合物を用いる。
三環体以上のノルボルネン系モノマーとしては、例え
ば、ジシクロペンタジエンやジヒドロジシクロペンタジ
エンなどのごとき三環体、テトラシクロドデセン、メチ
ルテトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセ
ン、ジメチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラ
シクロドデセン、フェニルテトラシクロドデセンなどの
ごとき四環体などが例示される。なかでも、入手の容易
さの見地から、ジシクロペンタジエン(DCP)が賞用さ
れる。
これらのノルボルネン系モノマーは、単独で使用して
もよいし、また、2種以上を混合して用いることもでき
る。
ノルボルネン系モノマー混合物におけるトリシクロペ
ンタジエン(TCP)の割合は、他の三環体以上のノルボ
ルネン系モノマー40〜95重量%、好ましくは50〜90重量
%とTCP60〜5重量%、好ましくは50〜10重量%であ
る。
かかるノルボルネン系モノマー混合物は、ジシクロペ
ンタジエン類を不活性ガス雰囲気下、120〜250℃で、0.
5〜20時間熱処理することによっても得ることができ、
例えば、DCPの熱処理により、TCPと未反応DCPを含むモ
ノマー混合物が得られる。この場合、DCP95〜40重量
%、好ましくは95〜60重量%、TCP5〜60重量%、好まし
くは5〜40重量%とすることが望ましい。
なお、上記ノルボルネン系モノマーの1種以上と共に
開環重合し得る2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノ
ルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチ
ル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネ
ン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−フェニル
ノルボルネンなどの二環体のノルボルネン系モノマー、
あるいはシクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタ
ジエン、シクロオクテン、シクロドデセンなどの単環シ
クロオレフィンなどを、本発明の目的を損なわない範囲
で併用することができる。
(VNB類) 本発明で使用する5−アルケニル−2−ノルボルネン
類は、5位に末端に二重結合を有する低級アルケニル基
を有するもので、アルケニル基の炭素数は2〜6、特に
2〜3が好ましく、また、6位および/または5位に低
級アルキル基、アルケニル基をさらにもっていてもよ
い。さらに、他の部位にメチル基やハロゲン原子をもっ
ていてもよい。2,5−ノルボルナジエンでもよい。
このような5−アルケニル−2−ノルボルネン類の具
体例としては、例えば、5−ビニルビシクロ[2,2,1]
ヘプト−2−エン(VNB)、5−イソプロペニルビシク
ロ[2,2,1]ヘプト−2−エン(IPN)、5−ビニル−5
−メチルビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン、5−ビ
ニル−4−メチルビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エ
ン、5−ビニル−4−ビニルビシクロ[2,2,1]ヘプト
−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2,2,1]ヘプ
ト−2−エン、5−ブテニル−ビシクロ[2,2,1]ヘプ
ト−2−エン、5−ペンテニル−ビシクロ[2,2,1]ヘ
プト−2−エン、これらのモノメチル置換体、これらの
モノクロル置換体、これらのジクロル置換体、5−α−
クロルビニルビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エンなど
を挙げることができる。また、シクロペンタジエンとビ
ニルアセチレンのディールス・アルダー反応生成物であ
る5−ビニルビシクロ[2,2,1]ヘプト−1、4−ジエ
ンも挙げることができる。
これらの中でも、入手の容易さからVNBとIPNが賞用さ
れる。これらは、ブタジエンまたはイソプレンとシクロ
ペンタジエンとのディールス・アルダー反応生成物とし
て得ることができる。また、開環重合用のモノマーとし
て、ナフサクラッキングによるエチレン製造の際の副生
物であるC5留分から、高純度のジシクロペンタジエンを
蒸留操作により製造する場合に、副生物としてVNBやIPN
が安価に入手できる。
ポットライフ調節剤としてのVNB類の添加割合は、三
環体以上のノルボルネン系モノマー100重量部当たり、
少なくとも0.5重量部以上、好ましくは1〜60重量部、
特に好ましくは5〜45重量部である。VNB類の割合が過
小であると、ポットライフの遅延効果が少なく、逆に過
大であると、樹脂(生成ノルボルネン系ポリマー)のガ
ラス転移温度(Tg)が低下し過ぎるため、いずれも好ま
しくない。
(メタセシス触媒系) モリブデン系メタセシス触媒 本発明で用いる触媒は、ノルボルネン系モノマーの開
環重合用触媒として公知のモリブデン系メタセシス触媒
系であればいずれでもよく、モリブデンのハロゲン化
物、オキシハロゲン化物、酸化物、有機アンモニウム塩
などが挙げられるが、特に特開昭58−127728号、同59−
51911号などに記載の有機アンモニウム塩が好ましい。
モリブデン系メタセシス触媒の具体例としては、トリ
ドデシルアンモニウムモリブデート、メチルトリカプリ
ルアンモニウムモリブデート、トリ(トリデシル)アン
モニウムモリブデート、トリオクチルアンモニウムモリ
ブデート、5塩化モリブデン、オキシ三塩化モリブデン
などが挙げられる。
共触媒 共触媒(活性剤)の具体例としては、アルキルアルミ
ニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハラ
イド、アリールオキシアルキルアルミニウムハライド、
有機スズ化合物などが挙げられる。
アルキルアルミニウムハライドの場合は、触媒を含む
溶液を混合すると即座に重合を開始するという問題があ
るので、エーテル類、エステル類、ケトン類、ニトリル
類、アルコール類などの調節剤を併用することにより重
合の開始を遅らせることができる(例えば、特開昭58−
129013号公報、同61−120814号公報)。
また、触媒、活性剤に加えてクロロホルム、四塩化炭
素、ヘキサクロロシクロペンタジエンなどのごときハロ
ゲン化炭化水素(例えば特開昭60−79035号)や四塩化
ケイ素、四塩化ゲルマニウム、四塩化鉛などのハロゲン
化金属(特開昭63−186730号)を併用してもよい。
メタセシス触媒は、モノマーの1モルに対し、通常、
約0.01〜50ミリモル、好ましくは0.1〜20ミリモルの範
囲で用いられる。共触媒(活性剤)は、触媒成分に対し
て、通常、0.1〜200(モル比)、好ましくは1〜10(モ
ル比)の範囲で用いられる。
メタセシス触媒および活性剤は、いずれもモノマーに
溶解して用いる方が好ましいが、生成物の性質を本質的
に損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁または溶解
させて用いてもよい。
(塊状開環重合) 本発明においては、金型内でノルボルネン系モノマー
をメタセシス触媒により塊状で開環重合する方法が用い
られる。実質的に塊状重合であればよく、少量の不活性
溶剤が存在していてもかまわない。
好ましい塊状開環重合体の製造法では、ノルボルネン
系モノマー混合物を二液に分けて別の容器に入れ、一方
にはメタセシス触媒を、他方には活性剤を添加し、二種
類の安定の反応液を調製する。この二種類の反応液を混
合し、次いで所定形状の金型中に注入し、そこで塊状に
よる開環重合を行なう。金型は、単なる型枠であっても
よい。
本発明においては従来から反応射出成形(RIM)装置
として公知の衝突混合装置を、二種類の反応液を混合す
るために使用することができる。この場合、二種類の反
応溶液を収めた容器は別々の流れの供給源となる。二種
類の流れをRIM機のミキシング・ヘッドで瞬間的に混合
させ、次いで、高温の成形金型中に注入し、そこで即座
に塊状重合させて成形品を得る。
また、ミキサー中で二種類の反応液の混合が完了して
から、予備加熱した金型中へ数回にわたって射出あるい
は注入してもよく(例えば、特開昭59−51911号公報公
報、米国特許第4,426,502号公報明細書)、あるいは連
続的に注入してもよい。この方式の場合には、衝突混合
装置に比較して装置を小型化することができ、低圧で操
作可能という利点を有するうえ、ガラス繊維などの補強
材の充填量が多い場合に、注入スピードをゆっくりする
ことにより、系内に均一に反応液を含浸させることが可
能となる。
また、本発明では二種類の反応液を使用する方法に限
定されない。当業者であれば容易に理解しうるように、
例えば第三番目の容器にモノマーと所望の添加剤を入れ
て第三の流れとして使用するなど各種の変形が可能であ
る。
本発明で使用する金型の材質は、特に金属に限定され
ず、金属以外の樹脂、木材、セメントなどいずれでも使
用できるが、経済性からみて樹脂型およびその表面をメ
ッキしたもの、電鋳型などが賞用される。
金型温度は、通常、室温以上、好ましくは40〜200
℃、さらに好ましくは50〜120℃である。型締圧力は通
常0.1〜100kg/cm2の範囲内である。
重合時間は適宜選択すればよいが、金型内におけるポ
ットライフからスモーキングタイムまでの時間は、通常
5分以内、好ましくは2分以内である。
なお、反応液は通常窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気
下で貯蔵され、また操作されるが、成形金型は必ずしも
不活性ガスでシールしなくてもよい。
(任意成分) 酸化防止剤、充填剤、顔料、着色剤、発泡剤、難燃
剤、摺動付与剤、エラストマー、ジシクロペンタジエン
系熱重合樹脂およびその水添物など種々の添加剤を配合
することにより、得られるポリマーの特性を改質するこ
とができる。
酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、アミン
系など各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤がある。
充填剤にはミルドガラス、カーボンブラック、タル
ク、炭酸カルシウム、雲母などの無機質充填剤がある。
エラストマーとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、
ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SB
R)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック
共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン−ジエンター
ポリマー(EPDM)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EV
A)およびこれらの水素化物などがある。
添加剤は、通常、予め反応液のいずれか一方または双
方に混合しておく。
〔実施例〕
以下、実施例、参考例および比較例を挙げて本発明を
具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに
限定されるものではない。なお、部および%は、重量基
準である。
[実施例1] (ポットライフ遅延効果の確認実験例) 純度99.3%のジシクロペンタジエン(DCP)と純度96.
1%のトリシクロペンタジエン(TCP;非対称型80%と対
称型20%の混合物)、および純度99.8%の5−ビニルビ
シクロ〔2,1,1〕ヘプト−2−エン(VNB)を第1表に示
す割合で混合した混合モノマー20mlを、35℃に維持した
ガラス製反応器に入れた。
これに対し、ジエチルアルミニウムクロリド(DEAC)
を20ミリモル/リットル、n−プロピルアルコールを20
ミリモル/リットル、四塩化ケイ素を10ミリモル/リッ
トル、さらにトリ(ドデシル)アンモニウムモリブデー
トを5ミリモル/リットルとなるように添加し、よく混
合した。
混合開始時点から、反応液が液体状からプリン状にな
るまでの時間を測定し、ポットライフ(PL)とする。ま
た、混合開始時点から、生成樹脂の表面からわずかな煙
が発生するまでの時間を測定し、スモーキングタイム
(SMT)とする。
これら一連の操作は、窒素ガス雰囲気下で実施した。
得られた樹脂のガラス転移温度(Tg)と転化率を測定し
た。
これらの測定結果を第1表に示す。
第1表から明らかなように、TCPを含む三元系にする
と、得られる樹脂のガラス転移温度(Tg)が高くなる。
そして、DCP/TCP系は、ポットライフを短くするが、VNB
を加えることによりSMTを大きく遅延させずにPLを延長
させ、SMT/PL比を小さくすることが分かる。
[比較例1] (タングステン系メタセシス触媒の使用実験例) 第2表に示すノルボルネン系モノマー混合物20mlをガ
ラス製反応器に入れ、DEACを19ミリモル/リットル、ジ
n−ブチルエーテルを65ミリモル/リットル、さらに0.
1モル/リットルの六塩化タングステンのトルエン溶液
にて、六塩化タングステンが1.9ミリモル/リットルの
量になるように添加すること以外は、実施例1と同様に
して実験を行なった。
PLとSMTのデータを第2表に示す。第2表から、タン
グステン系メタセシス触媒を用いた場合には、VNBの有
無にかかわらず、SMT/PLの比は大きく、PLとSMTの間隔
が大きいことが分かる。
[実施例2] VNBに代えて、第3表に示す組成割合で5−イソプロ
ペニルビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン(IPN)を用
いた以外は、実施例1と同様にして実験を行なった。結
果を第3表に示す。
第3表から、IPNを用いる場合にもVNBと同様の効果が
あることが分かる。さらに、IPNは、VNBより沸点が高い
ため操作がし易く、しかも得られる樹脂のTgがより高く
なるという利点がある。
[実施例3] ノルボルネン系モノマーとして、メチルテトラシクロ
ドデセン(MTD)をさらに加えて、DCP:TCP:VNB:MTDを6
0:10:5:25の組成割合で用いること以外は、実施例1と
同様にして実験を行なった。
反応活性については、PLが33秒、SMTが54秒で、SMT/P
Lは1.6であった。また、樹脂のTgは165℃、転化率は98.
8%であった。
[実施例4] 2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BH
T)を1000ppm含有するDCP90部とTCP10部のモノマー混合
物に対して、スチレン−イソプレン−スチレンブロック
エラストマー(SIS、日本ゼオン社製、クインタック342
1)を3.5部を溶解した。このモノマー混合物に対して、
DEACを41ミリモル/リットル、n−プロピルアルコール
を50ミリモル/リットル、四塩化ケイ素を20ミリモル/
リットルとなるように添加し、よく混合して、A液とし
た。
他方、DCP80部、TCP9部およびVNB11部のモノマー混合
物に対して、BHT6部とSIS3.5部を溶解した。このモノマ
ー混合物に対して、トリ(ドデシル)アンモニウムモリ
ブデートを12ミリモル/リットルとなるように添加し、
よく混合して、B液とした。
A、B両反応液を100mlとり、混合して反応活性を測
定した。30℃にて、PLは9分15秒、SMTは14分28秒であ
った。
両反応液のギヤポンプとパワーミキサーを用いて1:1
の比率で混合し、500×500×3mmの空間容積を有する60
℃に加熱された金型中へ、ほぼ常圧で注入した。注入時
間は約30秒であった。注入終了後、90秒間反応を行なっ
た。その後、金型より成形品を取り出したところ、フロ
ーマークやウェルドラインのない良好な外観を有する平
板が得られた。また、この板のTgは143℃であり、曲げ
強度は6.3kg/mm2,曲げ弾性率は195kg/mm2,ノッチ付きア
イゾッド衝撃度は40kg・cm/cmと優れた値であった。
[比較例2] B液のモノマー混合物をDCP90部とTCP10部とし、VNB
を併用しなかった以外は、実施例4と同様にして実験を
行なった。
反応活性は、30℃にて、PLは2分50秒であり、SMTは1
3分38秒であった。
得られた成形品の表面にはフローマークが認められ、
また、反応液出口付近にあたる部分にはウェルドライン
が認められた。
[比較例3] VNBに代えて第4表に示すモノマーを用いた以外は、
実施例1の実験番号1−5と同様にして実験を行なっ
た。結果を第4表に示す。
第4表から、5位にアルケニル基のないノルボルネン
環や2環体以外のノルボルネン系モノマーには、PLとSM
Tの間隔を近づける効果のないことが分かる。
〔発明の効果〕 本発明によれば、トリシクロペンタジエンを含む三環
体以上のノルボルネン系モノマー混合物、ポットライフ
調節剤として5−アルケニル−2−ノルボルネン類、お
よびモリブデン系メタセシス触媒と共触媒とから成るメ
タセシス触媒系を含む反応液を用いることにより、スモ
ーキングタイムを大きく遅延させることなく、ポットラ
イフを大幅に遅延させて、ポットライフとスモーキング
タイムとの間隔を近付けることができる。そして、前記
反応液を使用することにより、金型内への注入途中にお
ける反応液の粘度変化が抑制されて、フローマークやウ
ェルドラインのない、外観および物性の良好な成形品を
操作性よく得ることができる。
フロントページの続き (72)発明者 大和 元亨 神奈川県川崎市川崎区夜光1―2―1 日本ゼオン株式会社研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平1−138222(JP,A) 特開 昭63−12612(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 61/00 - 61/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トリシクロペンタジエンを含む三環体以上
    のノルボルネン系モノマー混合物を、メタセシス触媒系
    の存在下に塊状開環重合するノルボルネン系ポリマーの
    製造方法において、メタセシス触媒系としてモリブデン
    系メタセシス触媒と共触媒とから成るメタセシス触媒系
    を用い、かつ、反応液のポットライフ調節のため、5−
    アルケニル−2−ノルボルネン類をモノマーとしてモノ
    マー混合物に配合することを特徴とするノルボルネン系
    ポリマーの製造方法。
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