JP2892714B2 - 強化ノルボルネン系ポリマーの製造方法 - Google Patents

強化ノルボルネン系ポリマーの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、補強材により強化されたノルボルネン系ポ
リマーの製造方法に関し、さらに詳しくは、ノルボルネ
ン系モノマーを含む反応液のポットライフが長く、か
つ、金型内へ注入後に即座に硬化させることができ、反
応液の補強材への浸透不足などによる成形不良のない強
化ノルボルネン系ポリマーの製造方法に関する。
〔従来の技術〕
アルキル置換ノルボルネンやジシクロペンタジエン、
シクロペンタジエンのトリマーなどのノルボルネン系モ
ノマーを、金型内で、モリブデンおよび/またはタング
ステン系メタセシス触媒により塊状開環重合する技術は
公知である(米国特許明細書第4,380,617号明細書な
ど)。
一般に、この塊状開環重合は、ノルボルネン系モノマ
ー、メタセシス触媒および共触媒(活性剤)を混合した
後、金型内に注入して、反応を開始させ、硬化させるこ
とにより行なわれる。混合後、反応液の粘度は増加し、
流動しにくくなる点を経た後(混合後、この時点までの
時間をポットライフという)、さらに反応が進み、急激
な発熱が生じ、同時に、生成樹脂の表面よりわずかに白
煙の発生が認められ、その後速やかに重合反応は終了す
る(混合後、この白煙発生までの時間をスモーキングタ
イムという)。
ところで、モリブデンまたはタングステン系メタセシ
ス触媒とアルキルアルミニウムハライドなどの共触媒と
の組合わせは、活性があり過ぎるため、室温でも迅速に
塊状開環重合が進行し、混合部分から硬化が始まる。そ
こで、ポットライフを長くし、早期重合を予防するため
に、触媒系を改良したり、あるいはエーテル、エステ
ル、ケトン、ニトリルなどを共触媒の活性調節剤として
使用することなどが提案されている(特開昭59−51911
号、同58−129013号、同61−120814号、同61−179214号
など)。
ところが、従来技術では、未だポットライフが短く、
操作性に難があり、しかも反応液混合後、重合が開始
し、ポットライフまでの間にも反応液の粘度は顕著な増
大を示す。したがって、金型内での反応液の流速が、こ
の粘度増加のために場所や時間により局部的に変化し易
く、成形品に流れ模様の跡(フローマーク)や時間的に
不均一な硬化部分が合体してできるウェルドラインが発
生する。これらが成形品の表面不良や物性低下の原因と
なる。
また、ポットライフが短いと、ガラス繊維などの補強
材を予め金型内に設置した後、反応液を注入して繊維強
化成形品を作る場合に、反応液を金型内に注入している
間にも粘度が増大するため、金型内での補強繊維の移動
や反応液の補強繊維間への浸透不足(すなわち未充填部
分の発生)などの成形不良のトラブルを引き起こしてい
た。
一方、ポットライフを改善する方法として、第3級ア
ルコールを用いることが提案されている(例えば、特願
昭63−332776号)が、この方法でポットライフを長くす
ると、それに伴ってスモーキングタイムが長くなるた
め、場合によってはその間に活性が低下し、高い転化率
を得にくいという問題がある。
ノルボルネン系モノマーの塊状開環重合においては、
混合の初期段階での硬化を防ぎ、反応成分や添加剤等を
完全に混合させること、金型注入途中での粘度変化を抑
制すること、金型内への注入終了後には即座に硬化させ
ることなど、操作性と成形性・生産性の両立が求められ
る。
そこで、スモーキングタイムを大きく遅延させること
なく、ポットライフを長くするよう、反応液を制御する
ことが重要となる。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、三環体以上のノルボルネン系モノマ
ーとメタセシス触媒系を含む反応液を、予め補強材を設
置した金型内に供給して塊状開環重合する方法におい
て、スモーキングタイムを大きく遅延させることなく、
ポットライフを長くして、操作性を改良すると共に、金
型内での反応開始から重合硬化終了までの時間を短く
し、成形生産時間を短縮することにある。
また、本発明の目的は、金型内への注入途中における
反応液の粘度変化を極力抑えて、補強材の移動や補強材
への反応液の浸透不足等がなく、しかもフローマークや
ウェルドラインのない、外観および物性の良好な補強成
形品を得ることにある。
本発明者らは、前記従来技術の有する問題点を克服す
るために鋭意研究した結果、三環体以上のノルボルネン
系モノマーとモリブデン系メタセシス触媒と共触媒とか
ら成るメタセシス触媒系を含む反応液を使用し、かつ、
該反応液に5−ビニル−2−ノルボルネンなどの5−ア
ルケニル−2−ノルボルネン類(VNB類)を含ませる
と、VNB類がポットライフ調節剤として機能し、前記目
的を達成できることを見出した。
ところで、VNB類は、α−オレフィン結合を有してい
るため、α−オレフィンの連鎖移動によりメタセシス反
応初期の重合抑制効果が予測される。
しかし、従来、ノルボルネン系モノマーに分子量調節
剤として、各種オレフィン類を添加することが提案され
ているが、例えば、1−ドデセンや1,6−ヘプタジエ
ン、スチレン、ジビニルベンゼンなどのノルボルネン環
をもたないオレフィン類を添加してもポットライフ遅延
効果はほとんどなく、多量に添加した場合には多少のポ
ットライフ遅延効果が認められるものの、得られたポリ
マーのガラス転移温度(Tg)などの物性が低下するとい
う問題がある。
また、VNB類とジシクロペンタジエンの架橋重合成形
物(特開昭63−12612号)、あるいはVNBのホモポリマー
またはVNBと5−エチリデン−2−ノルボルネンとのコ
ポリマーの製造法(特開昭63−97610号)が提案されて
いるが、これらの重合では、メタセシス触媒としてタン
グステン化合物が用いられている。ところが、タングス
テン化合物は、メタセシス触媒として高活性ではあるも
のの、VNB類を含むノルボルネン系モノマーの触媒とし
て使用しても、ポットライフ遅延効果はほとんど認めら
れない。
したがって、前記特定の組合わせにより、スモーキン
グタイムを大幅に遅延させることなく、ポットライフを
遅延させることができたことは予期し得ないことであっ
た。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至った
ものである。
〔課題を解決するための手段〕
かくして、本発明によれば、三環体以上のノルボルネ
ン系モノマーとメタセシス触媒系を含む反応液を、予め
補強材を設置した金型内に供給して塊状開環重合する強
化ノルボルネン系ポリマーの製造方法において、メタセ
シス触媒系としてモリブデン系メタセシス触媒と共触媒
とから成るメタセシス触媒系を用い、かつ、反応液のポ
ットライフ調節のため、5−アルケニル−2−ノルボル
ネン類をモノマーとして反応液中に配合することを特徴
とする強化ノルボルネン系ポリマーの製造方法が提供さ
れる。
以下、本発明について詳述する。
(ノルボルネン系モノマー) 本発明においては、熱変形温度の高い強化ポリマーを
得るために、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマー
を用いる。
三環体以上のノルボルネン系モノマーとしては、例え
ば、ジシクロペンタジエンやジヒドロジシクロペンタジ
エンなどのごとき三環体、テトラシクロドデセン、メチ
ルテトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセ
ン、ジメチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラ
シクロドデセン、フェニルテトラシクロドデセンなどの
ごとき四環体、トリシクロペンタジエンなどのごとき五
環体、テトラシクロペンタジエンなどのごとき七環体な
どが例示される。なかでも、入手の容易さ、反応性、耐
熱性等の見地から、三環体ないし五環体が賞用される。
これらのノルボルネン系モノマーは、単独で使用しても
よいし、また、2種以上を混合して用いることもでき
る。
三環体以上のノルボルネン系モノマーは、ジシクロペ
ンタジエン類を不活性ガス雰囲気下、120〜250℃で、0.
5〜20時間熱処理することによっても得ることができ
る。ジシクロペンタジエン(DCP)の熱処理により、ト
リシクロペンタジエン(TCP)と未反応ジシクロペンタ
ジエンを含むモノマー混合物が得られる。この場合、DC
P95〜40重量%、好ましくは95〜60重量%、TCP5〜60重
量%、好ましくは5〜40重量%とすることが望ましい。
なお、上記ノルボルネン系モノマーの1種以上と共に
開環重合し得る2−ノルボルネン、5−メチル−2−ノ
ルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチ
ル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネ
ン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−フェニル
ノルボルネンなどの二環体のノルボルネン系モノマー、
あるいはシクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタ
ジエン、シクロオクテン、シクロドデセンなどの単環シ
クロオレフィンなどを、本発明の目的を損なわない範囲
で併用することができる。
(VNB類) 本発明で使用する5−アルケニル−2−ノルボルネン
類は、5位に末端に二重結合を有する低級アルケニル基
を有するもので、アルケニル基の炭素数は2〜6、特に
2〜3が好ましく、また、6位および/または5位に低
級アルキル基、アルケニル基をさらにもっていてもよ
い。さらに、他の部位にメチル基やハロゲン原子をもっ
ていてもよい。2,5−ノルボルナジエンでもよい。
このような5−アルケニル−2−ノルボルネン類の具
体例としては、例えば、5−ビニルビシクロ[2,2,1]
ヘプト−2−エン(VNB)、5−イソプロペニルビシク
ロ[2,2,1]ヘプト−2−エン(IPN)、5−ビニル−5
−メチルビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン、5−ビ
ニル−4−メチルビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エ
ン、5−ビニル−4−ビニルビシクロ[2,2,1]ヘプト
−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2,2,1]ヘプ
ト−2−エン、5−ブテニル−ビシクロ[2,2,1]ヘプ
ト−2−エン、5−ペンテニル−ビシクロ[2,2,1]ヘ
プト−2−エン、これらのモノメチル置換体、これらの
モノクロル置換体、これらのジクロル置換体、5−α−
クロルビニルビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エンなど
を挙げることができる。また、シクロペンタジエンとビ
ニルアセチレンのディールス・アルダー反応生成物であ
る5−ビニルビシクロ[2,2,1]ヘプト−1、4−ジエ
ンも挙げることができる。
これらの中でも、入手の容易さからVNBとIPNが賞用さ
れる。これらは、ブタジエンまたはイソプレンとシクロ
ペンタジエンとのディールス・アルダー反応生成物とし
て得ることができる。また、開環重合用のモノマーとし
て、ナフサクラッキングによるエチレン製造の際の副生
物であるC5留分から、高純度のジシクロペンタジエンを
蒸留操作により製造する場合に、副生物としてVNBやIPN
が安価に入手できる。
ポットライフ調節剤としてのVNB類の添加割合は、三
環体以上のノルボルネン系モノマー100重量部当たり、
少なくとも0.5重量部以上、好ましくは1〜60重量部、
特に好ましくは5〜45重量部である。VNB類の割合が過
小であると、ポットライフの遅延効果が少なく、逆に過
大であると、樹脂(生成ノルボルネン系ポリマー)のガ
ラス転移温度(Tg)が低下し過ぎるため、いずれも好ま
しくない。
また、三環体以上のノルボルネン系モノマーとして
は、工業的に入手が容易なことからDCPなどの三環体が
好ましいが、VNB類を使用すると樹脂のTgが低下するた
め、さらに第3成分として四環体や五環体などの多環体
モノマーを併用し、Tgの低下を防ぐことが好ましい。
多環体モノマーとしては、特に、メチルテトラシクロ
ドデセン、エチルテトラシクロドデセン、TCPなどが好
ましい。
その中でも、TCPは、一般に、樹脂の耐熱性(Tg)を
高めるのに有益なモノマーであるが、DCPなどと併用し
て用いると、反応液のポットライフを短くする傾向があ
る。ところが、VNB類を使用すると、ポットライフはス
モーキングタイムに近づき、操作性が大幅に改善される
とともに、短い成形時間で、耐熱性、外観等の良好な成
形物を得ることができる。
(メタセシス触媒系) モリブデン系メタセシス触媒 本発明で用いる触媒は、ノルボルネン系モノマーの開
環重合用触媒として公知のモリブデン系メタセシス触媒
系であればいずれでもよく、モリブデンのハロゲン化
物、オキシハロゲン化物、酸化物、有機アンモニウム塩
などが挙げられるが、特に特開昭58−122728号、同59−
51911号などに記載の有機アンモニウム塩が好ましい。
モリブデン系メタセシス触媒の具体例としては、トリ
ドデシルアンモニウムモリブデート、メチルトリカプリ
ルアンモニウムモリブデート、トリ(トリデシル)アン
モニウムモリブデート、トリオクチルアンモニウムモリ
ブデート、5塩化モリブデン、オキシ三塩化モリブデン
などが挙げられる。
共触媒 共触媒(活性剤)の具体例としては、アルキルアルミ
ニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハラ
イド、アリールオキシアルキルアルミニウムハライド、
有機スズ化合物などが挙げられる。
アルキルアルミニウムハライドの場合は、触媒を含む
溶液を混合すると即座に重合を開始するという問題があ
るので、エーテル類、エステル類、ケトン類、ニトリル
類、アルコール類などの調節剤を併用することにより重
合の開始を遅らせることができる(例えば、特開昭58−
129013号公報、同61−120814号公報)。
また、触媒、活性剤に加えてクロロホルム、四塩化炭
素、ヘキサクロロシクロペンタジエンなどのごときハロ
ゲン化炭化水素(例えば特開昭60−79035号)や四塩化
ケイ素、四塩化ゲルマニウム、四塩化鉛などのハロゲン
化金属(特開昭63−186730号)を併用してもよい。
メタセシス触媒は、モノマーの1モル対し、通常、約
0.01〜50ミリモル、好ましくは0.1〜20ミリモルの範囲
で用いられる。共触媒(活性剤)は、触媒成分に対し
て、通常、0.1〜200(モル比)、好ましくは1〜10(モ
ル比)の範囲で用いられる。
メタセシス触媒および活性剤は、いずれもモノマーに
溶解して用いる方が好ましいが、生成物の性質を本質的
に損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁または溶解
させて用いてもよい。
(塊状開環重合) 本発明においては、金型内でノルボルネン系モノマー
をメタセシス触媒により塊状で開環重合する方法が用い
られる。実質的に塊状重合であればよく、少量の不活性
溶剤が存在していてもかまわない。
好ましい塊状開環重合体の製造法では、ノルボルネン
系モノマーを二液に分けて別の容器に入れ、一方にはメ
タセシス触媒を、他方には活性剤を添加し、二種類の安
定な反応液を調製する。この二種類の反応液を混合し、
次いで所定形状の金型中に注入し、そこで塊状による開
環重合を行なう。金型は、単なる型枠であってもよい。
本発明においては従来から反応射出成形(RIM)装置
として公知の衝突混合装置を、二種類の反応液を混合す
るために使用することができる。この場合、二種類の反
応溶液を収めた容器は別々の流れの供給源となる。二種
類の流れをRIM機のミキシング・ヘッドで瞬間的に混合
させ、次いで、高温の成形金型中に注入し、そこで即座
に塊状重合させて成形品を得る。
また、ミキサー中で二種類の反応液の混合が完了して
から、予備加熱した金型中へ数回にわたって射出あるい
は注入してもよく(例えば、特開昭59−51911号公報公
報、米国特許第4,426,502号公報明細書)、あるいは連
続的に注入してもよい。この方式の場合には、衝突混合
装置に比較して装置を小型化することができ、低圧で操
作可能という利点を有するうえ、ガラス繊維などの補強
材の充填量が多い場合に、注入スピードをゆっくりする
ことにより、系内に均一に反応液を含浸させることが可
能となる。
また、本発明では二種類の反応液を使用する方法に限
定されない。当業者であれば容易に理解しうるように、
例えば第三番目の容器にモノマーと所望の添加剤を入れ
て第三の流れとして使用するなど各種の変形が可能であ
る。
本発明で使用する金型の材質は、特に金属に限定され
ず、金属以外の樹脂、木材、セメントなどいずれでも使
用できるが、経済性からみて樹脂型およびその表面をメ
ッキしたもの、電鋳型などが賞用される。金型温度は、
通常、室温以上、好ましくは40〜200℃、さらに好まし
くは50〜120℃である。型締圧力は通常0.1〜100kg/cm2
の範囲内である。
重合時間は適宜選択すればよいが、金型内におけるポ
ットライフからスモーキングタイムまでの時間は、通常
5分以内、好ましくは2分以内である。
なお、反応液は通常窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気
下で貯蔵され、また操作されるが、成形金型は必ずしも
不活性ガスでシールしなくてもよい。
(補強材) 本発明においては、補強材を予め金型内に設置してお
き、その中に反応液を供給して塊状開環重合させること
により強化ノルボルネン系ポリマー(成形品)を製造す
る。
補強材としては、例えば、ガラス繊維、アラミド繊
維、カーボン繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、金属
繊維、ポリプロピレン繊維、アルミコーティングガラス
繊維、木綿、アクリル繊維、ボロン繊維、シリコンカー
バイド繊維、アルミナ繊維などを挙げることができる。
さらに、これらの補強材は、長繊維状またはチョップ
ドストランド状のものをマット化したもの、布状に織っ
たもの、チョップ形状のままのものなど、種々の形状で
使用することができる。
これらの補強材は、その表面をシランカップリング材
等のカップリング剤で処理したものが、樹脂との密着性
を向上させる上で好ましい。
これらの補強材は、予め金型内に設置して用いるが、
その使用する量は、特に制限はないが、成形品の重量に
対して、通常20重量%以上、好ましくは30〜70重量%で
ある。
(任意成分) 酸化防止剤、充填剤、顔料、着色剤、発泡剤、難燃
剤、摺動付与剤、エラストマー、ジシクロペンタジエン
系熱重合樹脂およびその水添物など種々の添加剤を配合
することにより、得られるポリマーの特性を改質するこ
とができる。
酸化防止剤としては、フェノール系、リン系、アミン
系など各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤がある。
充填剤にはミルドガラス、カーボンブラック、タルク、
炭酸カルシウム、雲母などの無機質充填剤がある。エラ
ストマーとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイ
ソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ス
チレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SB
S)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合
体(SIS)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマ
ー(EPDM)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)およ
びこれらの水素化物などがある。
添加剤は、通常、予め反応液のいずれか一方または双
方に混合しておく。
〔実施例〕
以下、実施例、参考例および比較例を挙げて本発明を
具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに
限定されるものではない。なお、部および%は、重量基
準である。
[参考例1] (ポットライフ遅延効果の確認実験例) 純度99.3%のジシクロペンタジエン(DCP)と純度96.
1%のトリシクロペンタジエン(TCP;非対称型80%と対
称型20%の混合物)、および純度99.8%の5−ビニルビ
シクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(VNB)を第1表に示
す割合で混合した混合モノマー20mlを、35℃に維持した
ガラス製反応器に入れた。
これに対し、ジエチルアルミニウムクロリド(DEAC)
を20ミリモル/リットル、n−プロピルアルコールを20
ミリモル/リットル、四塩化ケイ素を10ミリモル/リッ
トル、さらにトリ(ドデシル)アンモニウムモリブデー
トを5ミリモル/リットルとなるように添加し、よく混
合した。
混合開始時点から、反応液が液体状からプリン状(ガ
ラス容器に逆さまに傾けても流れ出してこない、お菓子
のプリンのような状態)になるまでの時間を測定し、ポ
ットライフ(PL)とする。また、混合開始時点から、生
成樹脂の表面からわずかな煙が発生するまでの時間を測
定し、スモーキングタイム(SMT)とする。
これら一連の操作は、窒素ガス雰囲気下で実施した。
得られた樹脂のガラス転移温度(Tg)と転化率を測定し
た。
これらの測定結果を第1表に示す。
第1表から明らかなように、VNBを加えることによりS
MTを大きく遅延させずにPLを延長させ、SMT/PL比を小さ
くし、また、TCPを含む三元系にすると、得られる樹脂
のガラス転移温度(Tg)が高くなる。そして、DCP/TCP
系は、ポットライフを短くするが、VNBを加えることに
よりSMTを大きく遅延させずにPLを延長させ、SMT/PL比
を小さくすることが分かる。
[参考例2] (タングステン系メタセシス触媒の使用実験例) 第2表に示すノルボルネン系モノマー混合物20mlをガ
ラス製反応器に入れ、DEACを19ミリモル/リットル、ジ
n−ブチルエーテルを65ミリモル/リットル、さらに0.
1モル/リットルの六塩化タンクステンのトルエン溶液
にて、六塩化タングステンが1.9ミリモル/リットルの
量になるように添加すること以外は、参考例1と同様に
して実験を行なった。
PLとSMTのデータを第2表に示す。第2表から、タン
グステン系メタセシス触媒を用いた場合には、VNBの有
無にかかわらず、SMT/PLの比は大きく、PLとSMTの間隔
が大きいことが分かる。
[参考例3] VNBに代えて、第3表に示す組成割合で5−イソプロ
ペニルビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン(IPN)を用
いた以外は、参考例1と同様にして実験を行なった。結
果を第3表に示す。
第3表から、IPNを用いる場合にもVNBと同様の効果が
あることが分かる。さらに、IPNは、VNBより沸点が高い
ため操作がし易く、しかも得られる樹脂のTgがより高く
なるという利点がある。
[実施例1] 平板の金型(容積;3mm×200mm×200mm)内に、ガラス
繊維をスチリルシランカップリング剤で表面処理し、シ
リコーン系エマルジョンを集束剤とし、ポリスチレンを
マットバインダーとしてチョップドストランドマット
(番手450g/m2)を3プライ敷き、次いで金型を縦にお
いて下部から反応液を注入するようにした。
一方、純度99.3%のDCPと純度96.1%のTCP(非対称型
80%と対称型20%の混合物)、および純度99.8%のVNB
を第4表に示す割合で混合した混合ノルボルネン系モノ
マーを2つの容器に入れ、一方にはモノマーに対しDEAC
を41ミリモル/リットル、n−プロピルアルコールを41
ミリモル/リットル、四塩化ケイ素を20ミリモル/リッ
トルになるように添加した(A液)。
A液の粘度は、いずれも25℃で約30センチポイズであ
った。
他方には、モノマーに対しトリ(トリデシル)アンモ
ニウムモリブデートを10ミリモル/リットルになるよう
に添加した(B液)。
B液の粘度は、A液とほぼ同じであった。
両反応液をギヤーポンプとパワーミキサーを用いて、
1:1の比率で混合し、前記のマットを敷いた金型に注入
した。金型は、予め40℃に加熱しておいた。注入時間は
約5秒であった。
注入後、90秒間反応を行なった。その後、金型より成
形品を取り出し、外観や樹脂の充填状態を観察した。結
果を第4表に示す。
[実施例2] 実施例1において、VNBに代えて、第5表に示す組成
割合でIPNを用いた以外は実施例1と同様にして実験を
行なった。
結果を第5表に示す。
[実施例3] ノルボルネン系モノマーとして第6表に示す化合物
を、同表に示す組成割合で用いたこと以外は実施例1と
同様にして実験を行なった。
結果を第6表に示す。
[実施例4] 金型内に予めコンティニュアスストランドマットガラ
ス繊維(サンゴバン社製、商品名U−812、番手450g/
m2)を3mmの厚みで500mm×500mm×3mmの容積の金型にセ
ットし、金型温度を60℃に保持した。
他方、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエ
ン(BHT)を1000ppm含有するDCP90部とTCP10部のモノマ
ー混合物に対して、スチレン−イソプレン−スチレンブ
ロックエラストマー(SIS、日本ゼオン社製、クインタ
ック3421)を3.5部を溶解した。このモノマー混合物に
対して、DEACを41ミリモル/リットル、n−プロピルア
ルコールを50ミリモル/リットル、四塩化ケイ素を20ミ
リモル/リットルとなるように添加し、よく混合して、
A液とした。
他方、DCP80部、TCP9部およびVNB11部のモノマー混合
物に対して、BHT6部とSIS3.5部を溶解した。このモノマ
ー混合物に対して、トリ(ドデシル)アンモニウムモリ
ブデートを12ミリモル/リットルとなるように添加し、
よく混合して、B液とした。
A、B両反応液を100mlとり、混合して反応活性を測
定した。30℃にて、PLは9分15秒、SMTは14分28秒であ
った。
両反応液をギヤポンプとパワーミキサーを用いて1:1
の比率で混合し、前記の金型中へ1.0kg/cm2以下の注入
圧力(ギアーポンプの吐出圧力)で注入した。注入時間
は約25秒であった。
注入終了後、90秒間反応を行なった。その後、金型よ
り成形品を取り出したところ、フローマークやウェルド
ラインのない良好な外観を有する平板が得られた。ま
た、この板のTgは143℃であり、曲げ強度は15.8kg/mm2,
曲げ弾性率は511kg/mm2,ノッチ付きアイゾッド衝撃度は
80kg・cm/cm以上と優れた値であった。比重は1.34であ
り、ガラス繊維含有率は35%であった。
また、この平板を切断したところ、ガラス繊維間に樹
脂が完全に充填していることが確認された。
[比較例1] B液のモノマー混合物をDCP90部とTCP10部とし、VNB
を併用しなかった以外は、実施例4と同様にして実験を
行なった。
反応活性は、30℃にて、PLは2分50秒であり、SMTは1
3分38秒であった。
金型への反応液の注入は、注入途中、圧力が最高3.0k
g/cm2に達して、行なった。注入時間は約25秒であっ
た。
得られた成形品は、ガラスマットの金型内での移動の
跡が認められ、樹脂の未充填部分が液出口部分に発生し
ており、また、成形品の表面にはフローマークが認めら
れ、さらに、反応液出口付近にあたる部分にはウェルド
ラインが認められた。物性は測定しなかった。
[実施例5] 実施例4において、コンティニュアスストランドマッ
トガラス繊維に代えて、平織りのヤーンクロスガラス繊
維(旭ファイバーガラス社製、商品名MS250−1をスチ
リルシラン処理したもの、番手211g/m2)を16プライ敷
いたこと以外は実施例4と同様にして実験を行なった。
金型中への注入圧力は、3kg/m2以下であった。
得られた成形品は、フローマークやウエルドラインの
ない良好な外観を有していた。また、曲げ弾性率は1700
kg/mm2、比重は1.67で、ガラス繊維含有率は67%であっ
た、 なお、VNBを併用しないで、本実施例と同様にして実
験を行なったが、注入時圧力が異常に上昇し、液を金型
内へ注入できず、平板サンプルができなかった。
[実施例6] 実施例4において、コンティニュアスストランドマッ
トガラス繊維に代えて、平織りカーボンクロス(東レ社
製、商品名トレカ#6343、番手200g/m2,トルエンで洗浄
後、乾燥して使用)を12プライ敷くこと以外は実施例4
と同様にして実験を行なった。
金型中への注入圧力は、3kg/m2以下であった。
得られた成形品は、フローマークやウエルドラインの
ない良好な外観を有していた。また、曲げ弾性率は4500
kg/mm2、比重は1.34で、カーボン繊維含有率は59%であ
った。
〔発明の効果〕
本発明によれば、三環体以上のノルボルネン系モノマ
ー、ポットライフ調節剤として5−アルケニル−2−ノ
ルボルネン類、およびモリブデン系メタセシス触媒と共
触媒とから成るメタセシス触媒系を含む反応液を用いる
ことにより、スモーキングタイムを大きく遅延させるこ
となく、ポットライフを大幅に遅延させて、ポットライ
フとスモーキングタイムとの間隔を近付けることができ
る。したがって、金型内で強化ノルボルネン系ポリマー
を製造する方法において、前記反応液を使用することに
より、金型内への注入途中における反応液の粘度変化が
抑制されて、補強材の移動や補強材への反応液の浸透不
足等がなく、しかもフローマークやウェルドラインのな
い、外観および物性の良好な補強成形品を操作性よく得
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大和 元亨 神奈川県川崎市川崎区夜光1―2―1 日本ゼオン株式会社研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平1−138222(JP,A) 特開 昭63−12612(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 61/00 - 61/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】三環体以上のノルボルネン系モノマーとメ
    タセシス触媒系を含む反応液を、予め補強材を設置した
    金型内に供給して塊状開環重合する強化ノルボルネン系
    ポリマーの製造方法において、メタセシス触媒系として
    モリブデン系メタセシス触媒と共触媒とから成るメタセ
    シス触媒系を用い、かつ、反応液のポットライフ調節の
    ため、5−アルケニル−2−ノルボルネン類をモノマー
    として反応液中に配合することを特徴とする強化ノルボ
    ルネン系ポリマーの製造方法。
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