JP2001123672A - 既存建物の移設免震化方法及びそれに用いる移設免震機構 - Google Patents

既存建物の移設免震化方法及びそれに用いる移設免震機構

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JP2001123672A
JP2001123672A JP30509699A JP30509699A JP2001123672A JP 2001123672 A JP2001123672 A JP 2001123672A JP 30509699 A JP30509699 A JP 30509699A JP 30509699 A JP30509699 A JP 30509699A JP 2001123672 A JP2001123672 A JP 2001123672A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業に要する装置の省力化を図り、施工効率
の向上を図って、移設免震作業を安全確実に実施できる
既存建物の移設免震化方法及びそれに用いる移設免震化
機構を提供している。 【解決手段】 本発明による既存建物の移設免震化方法
は、基礎梁22を支持している仮受部材26と、柱基礎
21を補助的に支持している支柱27によって既存建物
1を仮受けし、新設基礎25と柱基礎21との間に直交
免震装置4を配置する。直行免震装置4の下レール12
は、下レールの延設部を柱基礎21の下になる位置に配
置し、移設部を移設した既存建物の柱基礎の下になる位
置に敷設しており、既存建物1は下レールに沿って移設
場所に移動し、減衰装置、復元装置を装備して免震建物
に形成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、既存建物の移設免
震方法及びそれに用いる移設免震機構に関し、特に既存
建物を免震化する際に、法律的な不的確状態の解消や揺
れ代を確保する等のために曳き家を行う場合に適用する
既存建物の移設免震方法及びそれに用いる移設免震機構
に関する。
【0002】
【従来の技術】既存建物を地震の被害から守るために、
建物を基礎や基礎に連なる柱から切り離して、切り離し
箇所に免震装置を介装する、免震化工法が多くなってい
る。既存建物を免震化する工事では、建物をそのまま免
震化するには、建物が揺動して敷地境界内に納まらない
場合のように法律的に不的確である場合や、地震時に建
物が水平に変位することから建物の周囲にクリアランス
を設ける必要があるために、既存建物を曳き家する必要
が発生する場合がある。
【0003】曳き家作業は、例えば図8に示すような一
連の工程で行われている。 既存基礎51の周囲を掘削して基礎間に仮受梁52
を渡し、地中梁53の直下にサンドル54等を設置して
オイルジャッキ55やニューサポートジャッキを用いて
既存建物50を仮受する。(図8(a)参照) サンドル54の周囲に一次耐圧板56を打設して、
その上にレール57とコロに載置した移動装置58を設
置する。(図8(b)参照) サンドル54を撤去し二次耐圧板59を打設して、
既存建物50をジャッキ60等で移動させる。(図8
(c)参照)
【0004】次いで行われる免震装置の設置は、図9に
示すように曳き家作業とは別途の工程で実施される。 地中梁直下で再び仮受を行って移動装置58を撤去
し、しかる後に免震装置61を設置する。(図9(a)
参照) 外周の土留め壁を構築し、既存建物の床を復旧して
免震化を完了する。
【0005】上記例のように、既存建物の移動作業にお
いては、既存建物を切り離し、移動させるために、新規
基礎に設けた免震装置に固定するまでは、切り離した基
礎や柱端部が水平方向の剛性に脆弱なために小さな地震
に対しても影響を受けて被害を生じ易い状況にあり、移
動中には安定性が乏しく、建物が傾いたり、傾きによっ
て建物に亀裂が生じ易くなっている。従って、これらの
作業を安全に遂行するための管理は大変である。特に既
存建物が移動方向と直角方向に100m程度と極端に長
い場合には、曳き家作業が建物に対して強制変位を起こ
させないように管理することが困難であった。このこと
から、曳き家は移動作業としても特定したものにする必
要があるために、従来の曳き家は免震化と別工程で実施
することが通常の方法であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、曳き家
と免震化を別工程で単独に実施するかのような工程管理
は、それぞれの作業に要する装置を必要とし、作業に要
する労力においても多大なものになることから、移設免
震化作業は、コストが嵩張り、作業効率の改善が図れな
いという課題を提起していた。本発明は、これらの課題
に鑑みて、その改善を図るために提案されるものであ
り、作業に要する装置の省力化を図り、施工効率の向上
を図って、移設免震作業を安全確実に実施できる既存建
物の移設免震化方法及びそれに用いる移設免震化機構を
提供している。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明で
ある既存建物の移設免震化方法は、以下の各工程から構
成されており、既存建物を免震装置に移設するのに揚重
装置を用いることなく、直行免震装置を用いてその下レ
ール上を既存建物が載置している免震滑り支承を移動さ
せるだけの作業で移設免震化が容易に達成できる。 既存建物の柱基礎下を除いた地盤を掘削して、該掘
削位置に新設基礎を構築する第一工程、 既存建物を仮受部材で支持し、しかる後に少なくと
も柱基礎下と新設基礎までの地盤を掘削し、該掘削位置
に移設基礎を構築して上記新設基礎と連接させる第二工
程、 上記柱基礎面と移設基礎面との間に直交する上下レ
ールとこの間に配置される免震滑り支承から成る直行免
震装置を配置して、該移設基礎面上に該下レールの一部
を形成する延設部を配置すると共に、新設基礎面上に上
記延設部に一体で下レールの他部を形成する移設部を敷
設する第三工程、 既存建物を支持している仮受部材を撤去し、上記直
行免震装置の免震滑り支承を下レールに沿って移動さ
せ、上記柱基礎を新設基礎上に移設する第四工程、 既存建物と新設基礎との間に減衰装置と復元装置と
を装備して免震機構を形成する第五工程、
【0008】請求項2に記載の発明である移設免震機構
は、請求項1に記載の既存建物の移設免震方法に用いる
ものであって、直交する上下レールとこの間に配置され
る免震滑り支承から成る直行免震装置と、減衰装置及び
復元装置から構成される免震機構において、直行免震装
置の下レールが分離可能な延設部と移設部とから構成さ
れることを特徴としており、下レールを既存建物の移動
用に活用し、新設基礎に移設後は、延設部をそのまま、
もしくは必要に応じて分離することで移設部のみを、直
行免震装置の下レールとして使用できるので、既存建物
の移動や免震装置に設置する揚重装置等の設備を省略で
きる。
【0009】請求項3に記載の発明である免震建物は、
請求項1に記載の既存建物の移設免震方法で構築するも
のであって、直交する上レールと分離可能な延設部と移
設部とから構成される下レールとの間に配置される免震
滑り支承から成る直行免震装置、減衰装置及び復元装置
から構成される免震機構を装備した免震建物であって、
直行免震装置は下レールの延設部を分離した移設部から
構成しており、免震に必要な揺れ代を確保して構築でき
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、既存建物を免震化する
に際して、法律的な不的確状態の解消や揺れ代を確保す
る等のために曳き家を行う必要が生じた場合に、免震機
構を形成している直行免震装置の下レールを分離可能な
延設部と移設部とから構成することで、下レールを既存
建物の移動用に活用すると共に、既存建物を新設基礎に
移設した後は下レールの移設部を直行免震装置の下レー
ルとして使用している。これによって、既存建物の移動
や免震装置の設置作業において揚重装置等の設備を省略
することができる。以下に、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0011】図1は、本発明によって移設免震化した建
物における免震機構を概略的に示す部分断面図(a)と
部分断面図(a)を(b)矢視した側面図(b)であ
る。移設免震化された既存建物1は、図示のように新設
基礎2の上に免震機構3を装備して設置されている。免
震機構3は、直交免震装置4と複数の減衰装置5及び復
元装置6から形成されており、直交免震装置4は、新設
基礎2の上に設けられた下基台7と柱基礎8の下面に形
成されている上基台9との間に設置されている。
【0012】又、減衰装置5と復元装置6とは、本実施
の形態では1つの柱基礎に、これを4方から保持するよ
うに敷設されており、新設基礎2に形成された支持体1
0と柱基礎に設けられた上基台9との間に接合されてい
る。これによって、免震化された既存建物1は、地震時
の水平力に対して、直交免震装置4によって四方に滑り
移動することを可能にしており、減衰装置5と復元装置
6によって充分な減衰機能と所定の揺れ代を持って対処
できるものであり、地震後は、直ちに通常の位置状態に
復元することができる。尚、上記減衰装置5と復元装置
6との配置は、上記に限定されるものでなく、既存建物
側では、地中梁等の柱基礎以外の部位に対して配置する
ことも可能であり、新設基礎側においても他の形態での
配置が適宜選択できる。又、減衰装置5と復元装置6の
数についても一対の必要はなく、既存建物の免震条件に
応じて別途の個数や単体での設置が考慮されるものであ
る。
【0013】本発明による直交免震装置4は、図2に斜
視図で示している。直行免震装置4は、直交する上下レ
ール11、12とこの間に配置される摺動自在な免震滑
り支承13とから構成されている。本実施の形態では、
柱基礎に設けられた上基台部に上レール11が取り付け
られており、免震滑り支承13を間に挟んで上レール1
1と直交させて下レール12が配置されており、下レー
ル12は下基台部に設置されている。
【0014】直行免震装置の下レール12は、移設部1
4と延設部15とから構成されており、移設部14は、
上レール11と同様の長さと形状を構成して、延設部1
5は、既存建物の移設距離に相当する長さを持って構成
されている。そして、延設部15の一方端を既存建物が
移設される前の柱基礎の下に配置した場合に、他方端は
既存建物を移設した後に柱基礎の下に敷設される移設部
14と接合させて一体化しており、移設部14と延設部
15とは、離脱可能な接合部16を形成して、必要に応
じて互いに分離できるようになっている。
【0015】免震滑り支承13は、直交する2つの摺動
溝17、18を上下に備えることで、直交して配置され
る上レール11と下レール12との間に在って、両方の
レール上を摺動できるように配置されているものであ
り、上レール11と下レール12とを互いに前後左右の
方向に随意に移動させることが出来る。
【0016】直交免震装置4は以上のように構成されて
いるので、既存建物の移設免震化の施工に適用する場合
は、以下のように配置することになる。即ち、移設部1
4の配置位置は、既存建物が移設した時に柱基礎の下に
なる部位であり、移設後の既存建物に免震機構を形成す
るように敷設する。一方、延設部15の配置は、一方端
が既存建物を移設させる前の柱基礎の下になる部位であ
り、他方端は移設部14と接合させて一体化した下レー
ルを形成する。そして、既存建物の移設後は、下レール
を上記の状態で残しておくこともできるが、必要に応じ
て延設部15を移設部14から分離させて、上レール1
1と下レール12とを同一形状にすることも可能であ
る。
【0017】次に、本発明による既存建物の移設免震化
方法について説明する。本発明による既存建物の移設免
震化方法は、既存建物の移設と免震化をそれぞれに単独
作業として施工することなく、直交免震装置を有効に活
用することで、揚重機等の余分な設備を使用せずに、移
設から免震化までの工程を一連の作業として遂行するこ
とを可能にしているものである。
【0018】図3及び図4〜7には、既存建物を移設し
て免震化する第一工程から第五工程までを一連の作業と
して図示している。図3は、移設前の既存建物の状態を
示している。既存建物1は、図示のように本発明に関連
する部分のみを概略的に表示しているので、建物を構成
している躯体で、地盤20の中に埋設されている柱基礎
21と柱基礎間に形成されている地中梁22のみを表示
している。
【0019】図4では、地盤を掘削して新設基礎を構築
する第一工程を示している。本実施の形態での新設基礎
の構築は、図4(a)に示すように地中梁22の下の地
盤を全て掘削することから実施されている。但し、この
掘削は、既存建物1を一時的に支さえる仮受を設置する
基盤を新設基礎の1部として構築するために行われるも
のであり、既存建物の支持構造をどのように構築するか
によって必要のない場合もある。又、仮受の設置位置に
ついても特定の地盤に限定されるものでなく適宜に選定
されるものであるから、既存建物1を支持している柱基
礎21の下に在る地盤23を残して任意の場所に設定で
きる。
【0020】図4(b)では、上記の仮受が設置される
基盤を含めて新設基礎を構築している。本実施の形態で
は、地中梁22の下に設けられる仮受用の基盤24は新
設基礎25の1部を構成するものとして構築されている
が、上記と同様の理由からこれに限定されるものでな
く、仮受用の基盤として単独に構築することもあり得
る。尚、新設基礎25は、地盤を既存建物1が移設する
場所まで拡大して掘削する部分に構築されるものであ
り、既存建物1が移設免震化された後にピットとして使
用することになる。
【0021】図5は、仮受によって既存建物を支持し、
残余の地盤を掘削して新設基礎を構築する第二工程を示
している。図5(a)に示すように本工程の前段では、
既存建物1は地盤23で支持された状態を保持しなが
ら、新設基礎25の1部である基盤24の上に仮受部材
26を配置している。仮受部材26は、設置されている
ジャッキ等を用いて柱基礎21と地盤23との高さ関係
を調整可能になっており、既存建物1を基盤24と仮受
部材26とが支持する状態に移行する体制を構築してい
る。
【0022】次の段階では、図5(b)に見られるよう
に、既存建物1を仮受部材26に支持させながら、柱基
礎21の下に残っていた地盤23を掘削除去している。
この際に、基盤24と仮受部材26での支持が地盤23
を除去しても既存建物を平衡に支障なく行われている場
合には不要であるが、諸般の事情によっては図示のよう
に支柱27を用いて柱基礎21を補助的に支持すること
も考慮されるところである。
【0023】図5(c)は、柱基礎の下の部分に移設基
礎を構築して、新設基礎に連接するする状態を図示して
いる。この段階に至ると、柱基礎21の下の地盤上に移
設基礎28を構築する。移設基礎28の構築は、支柱2
7を設置している場合にはそれも含めてコンクリートを
打設することで施工されるが、新設基礎との平滑度を確
立する必要がある。平滑度の確保は、後述するように柱
基礎の下に直交免震装置を配置し、その下レールを既存
建物の移設に活用しているので、既存建物を安全に移動
させるために直交免震装置の下レールを平滑に敷設する
ことが重要になるからである。このために、移設基礎2
8を単独で構築したとしても、新設基礎と移設基礎2
8、及びこれを新設基礎25に連接する接合底盤29と
を同一面に形成する必要がある。本実施の形態では、支
柱27のみならず移設基礎28を基盤24連接する接合
底盤29をも一括構築しているが、基礎の一括構築は、
上述した新設基礎をピットとして形成するためにも有効
である。
【0024】図6は、柱基礎と移設基礎との間に直交免
震装置を配置する第三工程を示している。この工程で
は、基礎梁22を支持している仮受部材26と、柱基礎
21を補助的に支持している支柱27によって、既存建
物1を仮受したままの状態で、新設基礎25と柱基礎2
1との間に直交免震装置4を配置する。この際に、図6
において詳細な表現を省略しているが、直交免震装置4
を配置する前に、図1で説明したように新設基礎25の
上に下基台7を設け、柱基礎8の下面に上基台9を形成
しており、それぞれの表面に存在している凹凸を修復し
て、直交免震装置4の設置に必要な平坦面を形成してい
る。
【0025】直行免震装置4は、図2で詳細に説明した
ように直交する上下レール11、12とこの間に配置さ
れる免震滑り支承13とから構成されている。そこで、
直交免震装置4の配置は、上レールを柱基礎下面の上基
台9に設置するが、新設基礎25に設けた下基台7に設
置する下レールの方は、移設部14と接合して一体化し
ている延設部15を柱基礎の下に配置し、移設部14を
既存建物が移設した時に、新規に柱基礎の下になる位置
に敷設している。
【0026】図7は、既存建物を新規の位置に移動させ
て、柱基礎を新設基礎上の直交免震装置に移設する第四
工程を示している。図7(a)は、基礎梁22を支持し
ている仮受部材26と柱基礎21を補助的に支持してい
る支柱27とを撤去して、既存建物1を新設基礎25と
柱基礎21との間に配置した直交免震装置4で支持する
移設前の状態を示している。本実施の形態では、上記撤
去作業と同時に既存建物外側の柱基礎21に対して、図
示のように鎖線で示す一部の基礎部分を切削加工してお
り、移設後の新設基礎の構造に対応させている。この段
階では、直交免震装置4の下レール12は延設部と移設
部とが接合した状態にあって、既存建物1は免震滑り支
承13に載置して下レール上を摺動可能になっている。
【0027】図7(b)では、既存建物1を新設基礎2
5上に移動させた後の状態を示している。既存建物1を
移動させた後は、図示のように直交免震装置4の下レー
ル12を移設部14から延設部11を分離して、上下レ
ールが等しい長さの摺動範囲を形成する直交免震装置に
構成しても良いが、両部の分離は必須のものでないの
で、特に分離させることなくそのままにして置くことも
できる。
【0028】本発明による既存建物の移設免震化方法で
は、上記第一工程から第四工程に継続して免震機構を形
成する第五工程を持って移設免震を完了している。移設
後の既存建物1は、図1で説明したように新設基礎2と
の間に免震機構3を装備する第五工程を経て免震建物と
して完成する。本実施の形態では、免震機構3は、直交
免震装置4と複数の減衰装置5及び復元装置6から形成
されており、減衰装置5と復元装置6とは、本実施の形
態では1つの柱基礎に、これを4方から保持するように
敷設されている。
【0029】これによって、免震化された既存建物1
は、地震時の水平力に対して、直交免震装置4によって
四方に摺動することが可能になり、地震エネルギーを吸
収する減衰装置5と地震によって揺動した建物を元の位
置に戻す復元装置6によって充分な減衰機能と所定の揺
れ代を維持して対処できるものであり、地震後は、直ち
に通常の位置状態に復元することができる。
【0030】以上のように、本発明による既存建物の移
設免震化方法及びそれに用いる移設免震機構は、従来の
移設免震化工法が必要としていた、既存建物の基礎から
の切り離し作業、移動装置を用いての移動作業及び揚重
装置を用いて免震装置に建物を載置する免震化作業のよ
うに個別に施工されていたものを、移動装置、揚重装置
等の諸設備を使用することなく、移設免震化を一連の工
程によって達成しているので、作業装置と労力の低減を
可能にし、移設中の安全性を向上させながら既存建物に
対する移動時の変形による障害も防止している。
【0031】以上、本発明を実施の形態に基づいて詳細
に説明してきたが、本発明は、上記実施の形態に何ら限
定されるものでなく、発明の趣旨に反しない範囲におい
て、各種の変更が可能であることは当然である。
【0032】
【発明の効果】本発明による既存建物の移設免震化方法
は、以下の効果を発揮している。 免震機構を形成している直交免震装置の免震滑り支
承を、既存建物の移動及び新設基礎への移設作業に活用
するので、移動装置や揚重装置を不要とし、設備面での
コストダウンを図れる。 既存建物を基礎から切り離し、下レールに沿って移
動させるのみで新設基礎上に免震化建物を形成できるの
で、免震装置上へ移動、降下させる作業を不要にして、
施工作業の効率を向上できる。 基礎から切り離した既存建物が、直交免震装置によ
って安定しているので、移動時の地震対策や新設基礎へ
の設定作業が安全確実に遂行できる。
【0033】本発明による移設免震機構は、下レールを
既存建物の移動用に活用し、新設基礎に移設後は、延設
部をそのまま、もしくは必要に応じて分離することで移
設部のみを、直行免震装置の下レールとして使用できる
ので、既存建物の移動や免震装置に設置する揚重装置等
の設備を省略できる効果を発揮している。
【0034】本発明による免震建物は、既存建物の移設
に活用した直行免震装置の下レールから延設部を分離し
て移設部のみで構成しているので、免震に必要な揺れ代
を確保して簡潔に構築できる効果を発揮している。
【図面の簡単な説明】
【 図1】本発明による移設免震化建物の免震機構の概
略図
【 図2】本発明による直交免震装置の斜視図
【 図3】本発明を適用する既存建物の基礎断面図
【 図4】本発明による移設免震化方法において新設基
礎を構築するまでの第一工程図
【 図5】本発明による移設免震化方法において仮受部
材で既存建物を支持するまでの第二工程図
【 図6】本発明による移設免震化方法において直交免
震装置を柱基礎下に配置するまでの第三工程図
【 図7】本発明による移設免震化方法において既存建
物を移設する第四工程図
【 図8】従来の移設免震化方法における既存建物の移
設作業図
【 図9】従来の移設免震化方法における既存建物の免
震化作業図
【符号の説明】
1 既存建物、 2 新設基礎、 3 免震機構、 4
直交免震装置、5 減衰装置、 6 復元装置、 7
下基台、 8 柱基礎、9 上基台、 10 支持
体、 11 上レール、 12 下レール、13 滑り
支承、 14 移設部、 15 延設部、 16 接合
部、17、18 摺動溝、 21 柱基礎、 22 地
中梁、23 柱基礎下の地盤、 24 基盤、 25
新設基礎、26 仮受部材、 27 支柱、 28 移
設基礎、 29 接合底盤、

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既存建物の柱基礎下を除いた地盤を掘削
    して、該掘削位置に新設基礎を構築する第一工程と、既
    存建物を仮受部材で支持し、しかる後に少なくとも柱基
    礎下と新設基礎までの地盤を掘削し、該掘削位置に移設
    基礎を構築して上記新設基礎と連接させる第二工程と、
    上記柱基礎面と移設基礎面との間に直交する上下レール
    とこの間に配置される免震滑り支承から成る直行免震装
    置を配置して、該移設基礎面上に該下レールの一部を形
    成する延設部を配置すると共に、新設基礎面上に上記延
    設部に一体で下レールの他部を形成する移設部を敷設す
    る第三工程と、既存建物を支持している仮受部材を撤去
    し、上記直行免震装置の免震滑り支承を下レールに沿っ
    て移動させ、上記柱基礎を新設基礎上に移設する第四工
    程と、既存建物と新設基礎との間に減衰装置と復元装置
    とを装備して免震機構を形成する第五工程とから構成さ
    れる既存建物の移設免震化方法。
  2. 【請求項2】 直交する上下レールとこの間に配置され
    る免震滑り支承から成る直行免震装置、減衰装置及び復
    元装置から構成される免震機構であって、該直行免震装
    置の下レールが分離可能な延設部と移設部とから構成さ
    れることを特徴とする請求項1に記載の既存建物の移設
    免震方法に用いる移設免震機構。
  3. 【請求項3】 直交する上レールと分離可能な延設部と
    移設部とから構成される下レールとの間に配置される免
    震滑り支承から成る直行免震装置、減衰装置及び復元装
    置から構成される免震機構を装備した免震建物であっ
    て、該直行免震装置が下レールの延設部を分離した移設
    部から構成されることを特徴とする請求項1に記載の既
    存建物の移設免震方法で構築した免震建物。
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