JP2001120219A - 調味料の製造方法 - Google Patents
調味料の製造方法Info
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Abstract
って、有害微生物の増殖を抑制しながら、食塩の添加量
に関係なく調味料を得る。 【解決手段】高圧下で食品素材に含まれる蛋白質分解酵
素や別途添加した蛋白質分解酵素を食品素材に作用させ
ることによって、食品素材に含まれる蛋白質を分解して
調味料を得る。ここで、25MPa〜400MPaの圧
力域と30℃〜70℃の温度域で食品素材に酵素を作用
させる。これによると、従来法で使用してきた高濃度の
食塩(の添加)を不要として有害微生物の増殖を抑制す
ることができ、かつ、酵素の作用を促進して熟成期間を
短縮することができる。
Description
ての食品素材を酵素分解して得られる調味料の製造方法
に係り、特に食品製造に用いられる塩類を無添加とする
調味料の製造方法に関する。ここでいう調味料は、前記
食品素材(動物性又は植物性を問わない)の蛋白質を酵
素分解した加水分解物(通常は液状)であって一次的な
生成物をいうものとする。
く2つの分けられる。一つは、伝統的手法とされている
もので、食品素材に微生物を働かせながら、食品素材に
含まれる蛋白質等を分解して調味料を製造する「発酵
法」と呼ばれる技術であり、味噌、醤油、魚醤油等の製
造方法がこれに相当する。
に酵素等を直接添加し、酵素分解して調味料を製造する
「酵素分解法」と呼ばれる技術であり、HAP(動物性
蛋白加水分解物)やHVP(植物性蛋白加水分解物)の
製造方法がこれに相当し、工業的規模で製造され食品加
工に供されている。
を製造している。例えば、魚醤油の場合は20〜25
%、醤油の場合は約17%、味噌の場合は約12%であ
る。
による腐敗の抑制又は防止である。また、このために熟
成期間を低温で管理することもおこなわれる。
遅くなり、しかも食塩の影響で酵素の働きも阻害される
ため、蛋白質等の分解を充分に進めて呈味性のある調味
料を得るのには数ヶ月から数年を要する。製造期間が長
くなると製造コストに影響する。
173086号に示されているように、食塩を10〜3
0%添加して調味料を製造している。その他にも、特開
平5−84050号では10〜20%、特開昭53−4
4665号では10〜18%の食塩が添加されている。
においても、有害微生物の増殖の抑制又は防止効果を求
めて食塩が添加されていると考えてよい。
程で添加された食塩は、調味料の中にそのまま移行して
しまう場合が多く、結果として高濃度の食塩を含んだ調
味料が製造されることになる。
としての汎用性が狭くなるため、調味料の市場性が小さ
くならざるを得ないという問題がある。
に進めて呈味性のある調味料を得るために数ヶ月から数
年を要する例が多い。製造期間が長くなると製造コスト
に影響するのは避けられない。
殖が抑制される圧力域と酵素の働きが抑制される圧力域
は異なっているという点に着目し、酵素分解法による調
味料の製造技術に関し研究開発を重ねてきた。
増殖しやすい温度帯であっても、限られた範囲の高圧域
下においては、微生物の増殖を抑制しながら、短期間で
食品素材を酵素分解して調味料(液状)を得ることがで
きるという知見を有するに至った。
させないで、食品素材を50℃〜70℃の温度に維持す
ると、蛋白質が熱変性を起こして酵素分解が進みにくく
なるが、圧力を負荷した場合は酵素反応が速やかに進行
するのである。つまり、圧力の作用によって酵素蛋白質
の加熱変性が抑制される一方、酵素反応自体(蛋白質の
加水分解)は促進されるということである。
いるため、食品素材に対して不必要な量の食塩は添加し
なくてもよく、また酵素の働きを最適な温度で管理する
ことができるので、大幅に熟成期間を短縮できるという
利点がある。
あって、蛋白質原料としての食品素材に対し、食品製造
に用いられる塩類を無添加としながらも有害微生物の増
殖を抑制し、かつ、酵素反応を促進して熟成期間を短縮
可能な酵素分解法による調味料の製造方法を提供するも
のである。
発明は、食品製造に用いられる塩類を無添加とする酵素
分解法による調味料の製造方法であって、蛋白質分解酵
素を含有又は添加した蛋白質原料としての食品素材に対
して、所定の温度域で高圧を負荷して保持することによ
り微生物の増殖を抑制しながら酵素の作用を促進し、か
つ、熟成期間を短縮することを特徴とするものである。
Pa未満であり、所定の温度域が30℃〜70℃であ
る。
における食品素材が、生の鰯、生の牡蠣、ゼラチン及び
小麦蛋白質を対象とするものである。ここで、食品素材
に酵素が含まれないか、わずかしか含まれない場合は、
酵素として蛋白質分解酵素を添加する。なお、食品素材
の選択により、製造条件は個々に好適範囲を有するの
で、以下の実施例において詳述する。
図面を参照して以下説明する。なお、実施に関する規模
の拡縮は本発明の要旨に影響するものではない。
して生の鰯、生の牡蠣、ゼラチン及び小麦蛋白質を対象
とした調味料の製造例を挙げる。当然のことながら、本
発明の保護範囲は、以下の実施例によって限定されるも
のではない。
るので、その装置構成を説明しておく。
図である。この実験装置は耐圧容器1を備えている。こ
の耐圧容器1は、例えば内形が100mmの円筒状の密閉
容器であって壁厚寸法は150mmに設定されている。こ
の耐圧容器1内には、柔軟性のある容器に食品素材を密
封したものを入れる。次に、この耐圧容器1内に清水を
満たす。この耐圧容器外面には加熱用のヒーター2が配
置されている。このヒーター2は耐圧容器1内の温度を
80℃まで上昇させることができると共に、操作パネル
(図1に示していない)を調節することによって、この
耐圧容器1内を任意の温度に設定することができる。ま
た、耐圧容器1には加圧ポンプ3が接続されている。上
記操作パネルを操縦することで、この加圧ポンプ3で耐
圧容器1内を20MPaから400MPaの範囲で任意
の圧力に調節することができる。更に、この圧力容器1
には温度センサー4及び圧力計5が取り付けられてい
る。温度センサー4は耐圧容器1内の温度を検出して表
示する。圧力計5は耐圧容器内の圧力を検出して表示す
る。
生の鰯を対象とし、耐圧容器2内の温度条件を変えた場
合の鰯の分解率を測定したものである。
性のある密封容器を耐圧容器1内に入れ、水温を20
℃、30℃、40℃、50℃、60℃及び70℃に変え
て、100MPaの加圧を24時間行った。なお、対照
として、加圧をしないで同じ条件で生の鰯を分解した。
経時後、鰯を入れた密封容器を耐圧容器2内から取り出
し、鰯を分解した酵素の働きを止めるため、直ちに10
0℃で10分間加熱した。そして、液化した鰯からろ紙
(東洋ろ紙;No.5A )で未分解物と分解液に分けた。そ
して、この分解液の重量から分解率(食品素材に対する
生成した分解液の重量パーセント)を求めた。図2に、
その結果である分解率 vs.温度のデータプロットを示
す。なお、この分解液は、そのまま調味料として用いる
か、または調味料の原料とすることができる。
したのは、40〜60℃であり、比較的温度の低い20
℃、30℃と温度の高い70℃では充分な分解率が得ら
れなかった。なお、100MPaの加圧下では、いずれ
の温度でも微生物は増殖していなかった。〔図示省略〕
合は、50℃以下では微生物による腐敗が生じた。50
℃以上では魚体が未分解のまま残っており、酵素が十分
に作用していなかった。これらの結果から、高圧下であ
っても温度が30℃以下では酵素が充分に作用していな
いため、24時間で生の鰯を分解できないことがわか
る。また、温度が70℃の場合には反対に酵素が作用す
る最適な温度よりも高すぎるため、鰯を充分に分解して
いないと考えられる。
酵素が働く最適な温度は30℃以上70℃未満であり、
この温度域では加圧によって微生物の増殖が抑制されて
いる。特に50℃以上では、酵素蛋白質は加熱による変
性が圧力によって抑制されていると共に、加圧によって
酵素反応が促進しているため生の鰯を速やかに分解する
ことができる。
として生の鰯を対象とし、耐圧容器2内の圧力条件を変
えた場合の鰯の分解率を測定したものである。
に保持し、圧力を0、1、25、50、75、100、
150、200、300及び400MPaとした。これ
らの条件で24時間後の鰯の分解率を求めた。更に、高
圧処理後の微生物数を標準平板菌数測定法(食品衛生検
査指針、微生物編、1990年)に従って測定した。な
お、加圧下で生の鰯を分解した後、分解液を得るまでの
操作は、第1実施例の場合と同じである。
データプロットを示す。図示するように、比較的圧力の
低い25MPa処理では鰯に腐敗臭が感じられた。
理〜300MPa処理までは50〜63%の分解率が得
られたが、400MPa処理は300MPa処理の分解
率よりも小さくなった。高圧処理後それぞれの生鰯の微
生物数を表1に示す。
g、25MPa処理では54000000個/gに菌数
が増えていた。また、50MPa以上の高圧処理では未
処理とほとんど同じオーダーの菌数か、又は菌数が著し
く減少した。これらの結果から、圧力が25MPaの場
合には、腐敗臭が感じられたこと、更に、微生物数が増
えたことから、25MPa処理以下では微生物の増殖を
抑制できないと予想される。50MPa処理では微生物
数は未処理とほとんど変わらなかったことから、50M
Pa処理では圧力によって静菌的な効果が見られた。一
方、圧力が400MPaでは分解率が小さくなり、高圧
によって酵素の作用が弱まっている可能性がある。した
がって、圧力域を25MPa以上で400MPa未満に
すれば、微生物の増殖を抑制しながら、生鰯を酵素によ
って速やかに分解できることがわかる。
生の鰯を対象とし、鰯の分解率と加圧処理時間の関係を
調べたものである。
MPa、温度を55℃とし、1、2、4、6、15、2
4及び48時間処理後の鰯の分解率を求めた。分解率の
計算方法は、第1実施例において示したとおりである。
なお、加圧処理後、生の鰯の分解液を得るまでの操作
は、第1実施例の場合と同じである。
理時間のデータプロットを示す。また、図5は、時間経
過にともなう鰯の分解の状態に係る生物の形態を示す図
面代用写真(a)〜(d)である。
は、最初の数時間の処理で急激に上昇し、15時間〜2
4時間でゆっくりと上昇し、24時間〜48時間でほと
んど変わらなくなった。いずれの処理時間の分解液につ
いても、腐敗臭はしなかった。以上のことから、生の鰯
をそれ自身が含有する酵素で分解するのに、高圧処理時
間は24時間〜48時間で完了することができる。
に、時間を追って鰯の魚体が分解しているのが確認で
き、24時間後にはほとんど液化していることがわか
る。但し、この結果は、圧力と温度条件が異ななった
り、鰯をミンチ等によってあらかじめ均一化すると、変
わることが予想されるので一例にすぎない。
品素材に対して、本発明を適用し、高圧下であっても酵
素が働き、微生物の増殖を抑制していることを確かめた
ものである。ここで、食品素材は、生の牡蠣、ゼラチン
〔ゼラチン末1級;関東化学(株)〕、及び小麦蛋白質
〔小麦グルテン(グルアップ−M);丸二(株)〕の3
種類としている。
を容器に密封した。ゼラチンは25重量%となるように
清水を加えて加熱溶解し、ゲル化しないところまで冷却
した。次に蛋白質分解酵素〔ニューラーゼF(カビ由
来);天野製薬(株)〕1gを20gの清水に溶かし、
この酵素液をゼラチン溶液100gに加えて塩酸でpH
を3に調整した後、容器に密封した。小麦蛋白質の場合
は、蛋白質分解酵素〔ニューラーゼF(カビ由来);天
野製薬(株)〕1gを75gの清水に溶かし、この酵素
液を小麦蛋白質25gに加えて混合し、塩酸でpHを3
に調整した後、容器に密封した。これらの食品素材に対
して、次の条件で高圧処理を行った。すなわち、耐圧容
器2内の圧力を100MPa、温度を40℃、処理時間
を24時間とした。生牡蠣は第1実施例において示した
方法で分解率を求めた。ゼラチンは屈折糖度計で分解液
の濃度を測定した。〔これら食材の分解率に関するデー
タプロットは図示を省略した。〕更に、高圧処理前後の
食品素材の微生物数(第2実施例における実験方法に準
じた)を測定した。
達していた。ゼラチンは、加圧する前はゲル化して濃度
の測定は困難であったが、処理後は流動性のある液体に
変わり、その濃度は24.4%であった。小麦蛋白質
は、高圧処理をする前は、流動性のない粘りのある物質
であったが、高圧処理後は粘りがなくなり、流動性のあ
る液体に変わっていた。
状態変化から高圧処理中に各食品素材に対して酵素が働
いていることが推察できる。これらの結果は、いずれの
食品素材に対しても、本発明による高圧処理下では酵素
が有効に働いていることを示している。
を表2に示した。いずれの食品素材においても菌数は増
えていなかった。むしろ、処理前の菌数よりも減少して
いる傾向が見られた。また、処理後の食品素材について
も腐敗臭は感じられなかったことから、高圧処理中に微
生物は増殖していないことが確認できた。
の牡蠣、ゼラチン及び小麦蛋白質に対して適用可能であ
るといえる。当然のことながら、本発明の技術的思想か
らすれば、本発明の適用範囲はこれらの食品素材だけに
限定されるものではなく、食品素材に蛋白質が含まれて
いれば問題なく適用できるといえる。
らから抽出した蛋白質等の動物性素材だけでなく、大
豆、麦等及びそれらから抽出した蛋白質等の植物性素
材、更にそれらを加熱処理したものも含まれる。また、
本発明で使用した酵素についても、上記各実施例で示し
た酵素に限定されるものではない。すなわち、食品素材
に本来含まれる酵素だけでなく、多種類の酵素を含有し
ている微生物、微生物を分解したもの、及び別に抽出さ
れた単独の酵素または複数の酵素が含まれる。
り、これによれば蛋白質原料としての食品素材を25M
Pa以上で400MPa未満の圧力域と、30℃以上で
70℃未満の温度域に維持することによって、微生物の
増殖を抑制しながら酵素を効率よく食品素材に作用させ
て短期間で調味料を得ることができる。
い場合、熱によって蛋白質が変性するため蛋白質分解酵
素が速やかに作用しない。ところが、温度を50℃以上
に保ちながら加圧を併用すると蛋白質の変性が抑制され
るとともに、蛋白質分解酵素の作用が促進されるため短
時間で高い分解率を得ることができる。
で、生成する調味料には、食塩の添加量を任意にするこ
とができる。このことによって、本発明で製造される調
味料は、食塩を含有していない調味料又は大幅な低塩調
味料が製造可能となり、汎用性の高い調味料として利用
できる。また、健康志向の調味料としてだけでなく医療
食用の調味料として、利用範囲が広がることが期待でき
る。
例にとどまらず、その他の蛋白質原料としての生の動植
物性素材を広く適用範囲とすることができる。ここで
は、酵素を含んでいない又は酵素をわずかしか含まない
食品素材であっても、酵素を添加すれば、充分な食品素
材の分解物が得られる。
ットである。
ットである。
ータプロットである。
解の状態に係る生物の形態を示す図面代用写真(a)〜
(d)である。
Claims (2)
- 【請求項1】 酵素分解法による調味料の製造方法にお
いて、食品製造に用いられる塩類を無添加とする調味料
の製造方法であって、蛋白質分解酵素を含有又は添加し
た蛋白質原料としての食品素材に対して、所定の温度域
で高圧を負荷して保持することにより微生物の増殖を抑
制しながら酵素の作用を促進し、かつ、熟成期間を短縮
することを特徴とする調味料の製造方法。 - 【請求項2】 圧力域が25MPa以上400MPa未
満であり、所定の温度域が30℃〜70℃である請求項
1記載の調味料の製造方法。
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---|---|---|---|
JP30495899A JP3475328B2 (ja) | 1999-10-27 | 1999-10-27 | 調味料の製造方法 |
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-
1999
- 1999-10-27 JP JP30495899A patent/JP3475328B2/ja not_active Expired - Fee Related
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