JP2001115353A - 複合仮撚糸およびその製造方法 - Google Patents
複合仮撚糸およびその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】従来の技術では得られなかったソフト感に富み
かつ、適度なシャリ感、形態安定性の良いスラブ部を有
する複合仮撚糸およびその製造方法を提供することにあ
る。 【解決手段】芯糸Aに鞘糸Bが巻き付いた構造を有する
複合仮撚糸であって、芯糸Aと鞘糸Bのアルカリ減量速
度(%/分)が下記(1)式の関係にあり、かつ鞘糸B
の平均破断伸度が芯糸Aの平均破断伸度の1.5倍以上
4.5倍以下であるポリエステル系合成繊維で構成され
るとともに、芯糸Aに鞘糸Bが交互に一重捲回部と多重
捲回部とを形成して巻き付いた構造を有することを特徴
とする複合仮撚糸。 1.2NA≦NB≦2NA ・・・ (1)式 ここで、NA=芯糸Aのアルカリ減量速度(%/分) NB=鞘糸Bのアルカリ減量速度(%/分)
かつ、適度なシャリ感、形態安定性の良いスラブ部を有
する複合仮撚糸およびその製造方法を提供することにあ
る。 【解決手段】芯糸Aに鞘糸Bが巻き付いた構造を有する
複合仮撚糸であって、芯糸Aと鞘糸Bのアルカリ減量速
度(%/分)が下記(1)式の関係にあり、かつ鞘糸B
の平均破断伸度が芯糸Aの平均破断伸度の1.5倍以上
4.5倍以下であるポリエステル系合成繊維で構成され
るとともに、芯糸Aに鞘糸Bが交互に一重捲回部と多重
捲回部とを形成して巻き付いた構造を有することを特徴
とする複合仮撚糸。 1.2NA≦NB≦2NA ・・・ (1)式 ここで、NA=芯糸Aのアルカリ減量速度(%/分) NB=鞘糸Bのアルカリ減量速度(%/分)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステル系合
成繊維で構成され、一重捲回部と多重捲回部とを有する
複合仮撚糸およびその製造方法であって、硬すぎない適
度なシャリ感と、意匠効果に富むスラブ部を有する複合
仮撚糸とその製造方法に関するものである。
成繊維で構成され、一重捲回部と多重捲回部とを有する
複合仮撚糸およびその製造方法であって、硬すぎない適
度なシャリ感と、意匠効果に富むスラブ部を有する複合
仮撚糸とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、糸の長手方向にそって芯糸に対し
て鞘糸が一重捲回部と多重捲回部とを交互に形成した複
合仮撚糸はシャリ感を活かした麻調織編物およびスラブ
を活かしたカジュアル調の織編物として広く使用されて
おり、例えば特公昭59−29689号公報、特公昭6
1−31219号公報などで知られている。
て鞘糸が一重捲回部と多重捲回部とを交互に形成した複
合仮撚糸はシャリ感を活かした麻調織編物およびスラブ
を活かしたカジュアル調の織編物として広く使用されて
おり、例えば特公昭59−29689号公報、特公昭6
1−31219号公報などで知られている。
【0003】しかしながら、これまでに知られている従
来の多重捲回部を有する複合仮撚糸またはその製造方法
は多重捲回部の形態安定性が悪く、そのために巻付き部
の巻付き数を高くする必要があり、これが結果的に製品
にしたときの硬さにつながり、ジャリジャリした風合い
で汎用性に劣るものであった。
来の多重捲回部を有する複合仮撚糸またはその製造方法
は多重捲回部の形態安定性が悪く、そのために巻付き部
の巻付き数を高くする必要があり、これが結果的に製品
にしたときの硬さにつながり、ジャリジャリした風合い
で汎用性に劣るものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記従
来技術の問題点を解決し、従来の技術では得られなかっ
たソフト感に富みかつ、適度なシャリ感、形態安定性の
良いスラブ部を有する複合仮撚糸およびその製造方法を
提供することにある。
来技術の問題点を解決し、従来の技術では得られなかっ
たソフト感に富みかつ、適度なシャリ感、形態安定性の
良いスラブ部を有する複合仮撚糸およびその製造方法を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の複合仮撚糸およ
びその製造方法は上記の課題を解決するために次の構成
を有する。
びその製造方法は上記の課題を解決するために次の構成
を有する。
【0006】すなわち、[1]芯糸Aに鞘糸Bが巻き付
いた構造を有する複合仮撚糸であって、芯糸Aと鞘糸B
のアルカリ減量速度(%/分)が下記(1)式の関係に
あり、かつ鞘糸Bの平均破断伸度が芯糸Aの平均破断伸
度の1.5倍以上4.5倍以下であるポリエステル系合
成繊維で構成されるとともに、芯糸Aに鞘糸Bが交互に
一重捲回部と多重捲回部とを形成して巻き付いた構造を
有することを特徴とする複合仮撚糸。
いた構造を有する複合仮撚糸であって、芯糸Aと鞘糸B
のアルカリ減量速度(%/分)が下記(1)式の関係に
あり、かつ鞘糸Bの平均破断伸度が芯糸Aの平均破断伸
度の1.5倍以上4.5倍以下であるポリエステル系合
成繊維で構成されるとともに、芯糸Aに鞘糸Bが交互に
一重捲回部と多重捲回部とを形成して巻き付いた構造を
有することを特徴とする複合仮撚糸。
【0007】 1.2NA≦NB≦2NA ・・・ (1)式 ここで、NA=芯糸Aのアルカリ減量速度(%/分) NB=鞘糸Bのアルカリ減量速度(%/分) [2]芯糸Aが少なくともイソフタル酸を共重合してな
る共重合ポリエステルマルチフィラメント糸であること
を特徴とする前記[1]記載の複合仮撚糸。 [3]芯糸Aと鞘糸Bとの染色性が異なることを特徴と
する前記[1]または[2]記載の複合仮撚糸。 [4]芯糸Aまたは鞘糸Bの少なくとも一方が収縮特性
差のあるポリマーで構成されたサイドバイサイド型複合
糸であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに
記載の複合仮撚糸。 [5]鞘糸Bとして複屈折率Δnが50×10-3以上8
0×10-3以下でかつ糸の最大収縮応力を示す温度がガ
ラス転移点Tg+10℃以下にある沸水収縮率が35%
以上60%以下のポリエステル高配向未延伸糸を用い、
仮撚加撚域にオーバーフィード率40%以上120%以
下の条件で過供給させ芯糸Aに巻き付かせつつ仮撚加工
することを特徴とする複合仮撚糸の製造方法。である。
る共重合ポリエステルマルチフィラメント糸であること
を特徴とする前記[1]記載の複合仮撚糸。 [3]芯糸Aと鞘糸Bとの染色性が異なることを特徴と
する前記[1]または[2]記載の複合仮撚糸。 [4]芯糸Aまたは鞘糸Bの少なくとも一方が収縮特性
差のあるポリマーで構成されたサイドバイサイド型複合
糸であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに
記載の複合仮撚糸。 [5]鞘糸Bとして複屈折率Δnが50×10-3以上8
0×10-3以下でかつ糸の最大収縮応力を示す温度がガ
ラス転移点Tg+10℃以下にある沸水収縮率が35%
以上60%以下のポリエステル高配向未延伸糸を用い、
仮撚加撚域にオーバーフィード率40%以上120%以
下の条件で過供給させ芯糸Aに巻き付かせつつ仮撚加工
することを特徴とする複合仮撚糸の製造方法。である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
する。
【0009】ポリエステル系合成繊維で構成され、芯糸
に鞘糸が交互に一重捲回部と多重捲回部とを形成して巻
き付いた複合仮撚糸は従来の技術でも得られているもの
であるが、多重捲回部は鞘糸の巻き付き力が小さいと捲
回部の折り畳み部分が収束不足となり、いわゆる花咲と
呼ばれる鞘糸の浮きが生じ、外観に劣ったものになった
り、スラブ部の移動や形態の崩壊が起こり、ループ、ネ
ップ、糸だまりなども発生するものとなる。これらの欠
点を解消するために巻き付け撚数を増加させたり、鞘糸
に高収縮性を示す第3成分を共重合させた延伸糸を使用
することで改善をはかる提案がなされているが、これら
の対策を施すと確かに捲回部の形態は安定するものの捲
回部が強固に巻付いた形態となり、硬さのある風合いと
ならざるを得ず、結果的に汎用性に劣るものとなる。
に鞘糸が交互に一重捲回部と多重捲回部とを形成して巻
き付いた複合仮撚糸は従来の技術でも得られているもの
であるが、多重捲回部は鞘糸の巻き付き力が小さいと捲
回部の折り畳み部分が収束不足となり、いわゆる花咲と
呼ばれる鞘糸の浮きが生じ、外観に劣ったものになった
り、スラブ部の移動や形態の崩壊が起こり、ループ、ネ
ップ、糸だまりなども発生するものとなる。これらの欠
点を解消するために巻き付け撚数を増加させたり、鞘糸
に高収縮性を示す第3成分を共重合させた延伸糸を使用
することで改善をはかる提案がなされているが、これら
の対策を施すと確かに捲回部の形態は安定するものの捲
回部が強固に巻付いた形態となり、硬さのある風合いと
ならざるを得ず、結果的に汎用性に劣るものとなる。
【0010】これに対し、本発明においては、多重捲回
部に多く存在する鞘糸のアルカリ減量速度を芯糸構成糸
よりも速くなるように設計することにより、織編物にし
た後に布帛をアルカリ減量することで多重捲回部分がよ
り速く減量が進み、糸間空隙が増加し、結果的に多重捲
回部の撚による硬さが解消され、適度なシャリ感を維持
しつつ、ソフト感に富みかつ、形態安定性に優れたスラ
ブ部を有した従来の技術では得られなかった布帛が得ら
れるのである。
部に多く存在する鞘糸のアルカリ減量速度を芯糸構成糸
よりも速くなるように設計することにより、織編物にし
た後に布帛をアルカリ減量することで多重捲回部分がよ
り速く減量が進み、糸間空隙が増加し、結果的に多重捲
回部の撚による硬さが解消され、適度なシャリ感を維持
しつつ、ソフト感に富みかつ、形態安定性に優れたスラ
ブ部を有した従来の技術では得られなかった布帛が得ら
れるのである。
【0011】なお、ここで本発明においては、鞘糸のア
ルカリ減量速度は芯糸の1.2倍以上2倍以下とするも
のであるが、これは1.2倍に満たない場合は前述の多
重捲回部を選択的に速くアルカリ減量させる効果が充分
でないためであり、また2倍を越えると逆に多重捲回部
のアルカリ減量が過剰になりすぎて布帛に虫食い状の欠
点が現れるため好ましくないのである。
ルカリ減量速度は芯糸の1.2倍以上2倍以下とするも
のであるが、これは1.2倍に満たない場合は前述の多
重捲回部を選択的に速くアルカリ減量させる効果が充分
でないためであり、また2倍を越えると逆に多重捲回部
のアルカリ減量が過剰になりすぎて布帛に虫食い状の欠
点が現れるため好ましくないのである。
【0012】また、鞘糸は残留伸度がある程度残った非
完全延伸糸であることが重要であり、範囲としては鞘糸
の平均破断伸度が芯糸の平均破断伸度の1.5倍以上
4.5倍以下が好ましい。これは前述した多重捲回部の
硬さをさらに抑えるためであり、残留伸度が大きな糸ほ
ど見掛けヤング率が小さくなり、曲げに対しソフトにな
るためであるし、さらには通常延伸糸がもつヌメリ感が
解消され、ドライタッチをも付与できるためである。こ
こで鞘糸の平均破断伸度が芯糸の平均破断伸度の1.5
倍に満たないと多重捲回部の硬さを抑える効果が充分で
はなくなり、一方、4.5倍を越えると未延伸糸に近く
なるため、アルカリ減量時に繊維軸に直角方向のクラッ
クが発生し、著しく強度が低下したり、通常の染色であ
まりに明確に濃染されたりするために好ましくない。
完全延伸糸であることが重要であり、範囲としては鞘糸
の平均破断伸度が芯糸の平均破断伸度の1.5倍以上
4.5倍以下が好ましい。これは前述した多重捲回部の
硬さをさらに抑えるためであり、残留伸度が大きな糸ほ
ど見掛けヤング率が小さくなり、曲げに対しソフトにな
るためであるし、さらには通常延伸糸がもつヌメリ感が
解消され、ドライタッチをも付与できるためである。こ
こで鞘糸の平均破断伸度が芯糸の平均破断伸度の1.5
倍に満たないと多重捲回部の硬さを抑える効果が充分で
はなくなり、一方、4.5倍を越えると未延伸糸に近く
なるため、アルカリ減量時に繊維軸に直角方向のクラッ
クが発生し、著しく強度が低下したり、通常の染色であ
まりに明確に濃染されたりするために好ましくない。
【0013】次に芯糸を構成する糸は通常の仮撚加工に
供給できるものであれば特に限定はされないが、ポリエ
ステルマルチフィラメント糸を採用する場合、織物のふ
くらみ感や反発性を向上させるためにイソフタル酸等、
高収縮性を示す第3成分を共重合させたいわゆる高収縮
原糸を採用することが好ましい。これはイソフタル酸を
共重合したポリエステル糸は通常の仮撚加工による熱処
理を受けた後にもある程度の高収縮性を保有することで
織編物にした後の染色加工工程で鞘糸との間に収縮差を
生じ、ふくらみ感が向上するためである。
供給できるものであれば特に限定はされないが、ポリエ
ステルマルチフィラメント糸を採用する場合、織物のふ
くらみ感や反発性を向上させるためにイソフタル酸等、
高収縮性を示す第3成分を共重合させたいわゆる高収縮
原糸を採用することが好ましい。これはイソフタル酸を
共重合したポリエステル糸は通常の仮撚加工による熱処
理を受けた後にもある程度の高収縮性を保有することで
織編物にした後の染色加工工程で鞘糸との間に収縮差を
生じ、ふくらみ感が向上するためである。
【0014】また、芯糸と鞘糸とを染色性が異なるもの
の組合せすると、意匠効果をさらに高めることことがで
きるため好ましく、例えばどちらか一方に通常のポリエ
ステルマルチフィラメントを使用し、他方に5−金属ス
ルホイソフタル酸等を共重合したカチオン可染性ポリエ
ステルなどの組合せが採用される。
の組合せすると、意匠効果をさらに高めることことがで
きるため好ましく、例えばどちらか一方に通常のポリエ
ステルマルチフィラメントを使用し、他方に5−金属ス
ルホイソフタル酸等を共重合したカチオン可染性ポリエ
ステルなどの組合せが採用される。
【0015】さらには織編物にストレッチ性を付与する
ために、芯糸および鞘糸の少なくとも一方に収縮特性差
のあるポリマーで構成されたサイドバイサイド型複合糸
を採用することも好ましい。ここでサイドバイサイド型
複合糸を形成するポリマーは収縮特性差があれば特に限
定されるものではないが、高いストレッチ性を得るため
には、一方に通常のポリエチレンテレフタレートを、他
方にポリプロピレンテレフタレートやあるいはポリブチ
レンテレフタレートさらにはイソフタル酸等の高収縮性
を示す第3成分を共重合したポリエチレンテレフタレー
ト等を使用した組合せや、ポリエステルホモポリマーで
重合度を異にするもの同士の組合せなどが挙げられる。
ために、芯糸および鞘糸の少なくとも一方に収縮特性差
のあるポリマーで構成されたサイドバイサイド型複合糸
を採用することも好ましい。ここでサイドバイサイド型
複合糸を形成するポリマーは収縮特性差があれば特に限
定されるものではないが、高いストレッチ性を得るため
には、一方に通常のポリエチレンテレフタレートを、他
方にポリプロピレンテレフタレートやあるいはポリブチ
レンテレフタレートさらにはイソフタル酸等の高収縮性
を示す第3成分を共重合したポリエチレンテレフタレー
ト等を使用した組合せや、ポリエステルホモポリマーで
重合度を異にするもの同士の組合せなどが挙げられる。
【0016】本発明に用いられる構成糸の断面はいかな
る形状であってもよく、限定されるものではない。また
その繊度やフィラメント数においても限定されず、目的
とする織編物の用途に合わせて選定することができる。
る形状であってもよく、限定されるものではない。また
その繊度やフィラメント数においても限定されず、目的
とする織編物の用途に合わせて選定することができる。
【0017】次に本発明の複合仮撚糸の製造方法につい
て説明する。
て説明する。
【0018】まず、本発明における供給糸として、鞘糸
には複屈折率Δnが50×10-3以上80×10-3以下
でかつ糸の最大収縮応力を示す温度がガラス転移点Tg
+10℃以下にある沸水収縮率が35%以上60%以下
のポリエステル高配向未延伸糸を用いるものである。
には複屈折率Δnが50×10-3以上80×10-3以下
でかつ糸の最大収縮応力を示す温度がガラス転移点Tg
+10℃以下にある沸水収縮率が35%以上60%以下
のポリエステル高配向未延伸糸を用いるものである。
【0019】ここで、鞘糸の複屈折率Δnが50×10
-3以上80×10-3以下の範囲を採用する理由は、複屈
折率Δnが50×10-3に満たない場合、同じ高配向未
延伸糸とはいえ、耐物理特性や耐薬品性、特にアルカリ
分解耐久性に劣り、通常ポリエステル布帛の染色仕上工
程に採用されるアルカリ減量加工を施した際、繊維軸直
角方向に多大のクラックが発生して強度が著しく低下し
たり、芯糸とのアルカリ減量速度差が大きくなりすぎて
鞘糸が過剰減量されることにより織編物に虫食い状の欠
点が発生するため好ましくないためであり、一方Δnが
80×10-3を越えると完全延伸糸に近づくため、芯糸
とのアルカリ減量速度差が不十分となり、結果的に目的
とするソフト感に富みかつ、適度なシャリ感、形態安定
性の良いスラブ部を有する複合仮撚糸が得られなくなる
ためである。これらの理由により、鞘糸の複屈折率Δn
は50×10-3以上80×10-3以下とするものである
が、好ましくは複屈折率Δnは50×10-3以上70×
10-3以下であり、より好ましくは複屈折率Δnは55
×10-3以上70×10-3以下である。
-3以上80×10-3以下の範囲を採用する理由は、複屈
折率Δnが50×10-3に満たない場合、同じ高配向未
延伸糸とはいえ、耐物理特性や耐薬品性、特にアルカリ
分解耐久性に劣り、通常ポリエステル布帛の染色仕上工
程に採用されるアルカリ減量加工を施した際、繊維軸直
角方向に多大のクラックが発生して強度が著しく低下し
たり、芯糸とのアルカリ減量速度差が大きくなりすぎて
鞘糸が過剰減量されることにより織編物に虫食い状の欠
点が発生するため好ましくないためであり、一方Δnが
80×10-3を越えると完全延伸糸に近づくため、芯糸
とのアルカリ減量速度差が不十分となり、結果的に目的
とするソフト感に富みかつ、適度なシャリ感、形態安定
性の良いスラブ部を有する複合仮撚糸が得られなくなる
ためである。これらの理由により、鞘糸の複屈折率Δn
は50×10-3以上80×10-3以下とするものである
が、好ましくは複屈折率Δnは50×10-3以上70×
10-3以下であり、より好ましくは複屈折率Δnは55
×10-3以上70×10-3以下である。
【0020】また、鞘糸に最大収縮応力を示す温度がガ
ラス転移点Tg+10℃以下のポリエステル高配向未延
伸糸を採用する理由は、通常ポリエステル完全延伸糸の
ように、最大収縮応力を示す温度がガラス転移点、さら
には沸水温度よりもはるかに高温側に位置するものを採
用すると、一般的な染色加工工程において糸軸方向の収
縮が進行するのみのため、多重捲回部における鞘糸の巻
き付け力がさらに大きくなり、結果的に織編物としたと
きの硬さが問題となり好ましくない。一方、本発明のよ
うに、最大収縮応力を示す温度がガラス転移点Tg+1
0℃以下のポリエステル高配向未延伸糸を鞘糸に採用す
ると、複合仮撚加工工程において巻付き形態を形成する
瞬間には収縮による巻き付け力の増大を示すが、その後
は収縮がほとんど進行しないばかりか一部には熱伸長に
より逆に弛緩が発生するため多重捲回部の巻き付け力が
過度にならず、織編物を染色加工しても硬い風合いを示
さなくなるのである。ここで最大収縮応力を示す温度が
ガラス転移点Tg+10℃を越えるとこの効果が十分発
揮できなくなるため好ましくなく、またポリエステル高
配向未延伸糸を通常の溶融紡糸で得た場合、最大収縮応
力を示す温度はガラス転移点を下回ることはない。
ラス転移点Tg+10℃以下のポリエステル高配向未延
伸糸を採用する理由は、通常ポリエステル完全延伸糸の
ように、最大収縮応力を示す温度がガラス転移点、さら
には沸水温度よりもはるかに高温側に位置するものを採
用すると、一般的な染色加工工程において糸軸方向の収
縮が進行するのみのため、多重捲回部における鞘糸の巻
き付け力がさらに大きくなり、結果的に織編物としたと
きの硬さが問題となり好ましくない。一方、本発明のよ
うに、最大収縮応力を示す温度がガラス転移点Tg+1
0℃以下のポリエステル高配向未延伸糸を鞘糸に採用す
ると、複合仮撚加工工程において巻付き形態を形成する
瞬間には収縮による巻き付け力の増大を示すが、その後
は収縮がほとんど進行しないばかりか一部には熱伸長に
より逆に弛緩が発生するため多重捲回部の巻き付け力が
過度にならず、織編物を染色加工しても硬い風合いを示
さなくなるのである。ここで最大収縮応力を示す温度が
ガラス転移点Tg+10℃を越えるとこの効果が十分発
揮できなくなるため好ましくなく、またポリエステル高
配向未延伸糸を通常の溶融紡糸で得た場合、最大収縮応
力を示す温度はガラス転移点を下回ることはない。
【0021】さらに、鞘糸に沸水収縮率が35%以上6
0%以下のポリエステル高配向未延伸糸を用いるのは、
前述の最大収縮応力を示す温度とも関係が深いが、沸水
収縮率が35%に満たなければ複合仮撚加工工程におい
て巻付き形態を形成する瞬間の巻き付け力が不十分とな
り、得られた複合仮撚糸にいわゆる花咲と呼ばれる鞘糸
の浮きが生じ、外観に劣ったものになったり、スラブ部
の移動や形態の崩壊が起こり、ループ、ネップ、糸だま
りなども発生するものとなるため好ましくない。一方、
沸水収縮率が60%を越えると、いくら最大収縮応力を
示す温度がガラス転移点Tg+10℃を越えなくとも、
後の染色工程で過度の多重捲回部における巻き付け力を
十分に取り去ることが困難となり、織編物を染色加工し
ても硬い風合いを示すため好ましくないのである。これ
らの理由により鞘糸に使用されるポリエステル高配向未
延伸糸の沸水収縮率は35%以上60%以下とするもの
であるが、好ましくは沸水収縮率は35%以上50%以
下であり、より好ましくは沸水収縮率は35%以上45
%以下である。
0%以下のポリエステル高配向未延伸糸を用いるのは、
前述の最大収縮応力を示す温度とも関係が深いが、沸水
収縮率が35%に満たなければ複合仮撚加工工程におい
て巻付き形態を形成する瞬間の巻き付け力が不十分とな
り、得られた複合仮撚糸にいわゆる花咲と呼ばれる鞘糸
の浮きが生じ、外観に劣ったものになったり、スラブ部
の移動や形態の崩壊が起こり、ループ、ネップ、糸だま
りなども発生するものとなるため好ましくない。一方、
沸水収縮率が60%を越えると、いくら最大収縮応力を
示す温度がガラス転移点Tg+10℃を越えなくとも、
後の染色工程で過度の多重捲回部における巻き付け力を
十分に取り去ることが困難となり、織編物を染色加工し
ても硬い風合いを示すため好ましくないのである。これ
らの理由により鞘糸に使用されるポリエステル高配向未
延伸糸の沸水収縮率は35%以上60%以下とするもの
であるが、好ましくは沸水収縮率は35%以上50%以
下であり、より好ましくは沸水収縮率は35%以上45
%以下である。
【0022】なお、前述のような本発明の鞘糸に適した
ポリエステル高配向未延伸糸は、例えば通常のホモポリ
エステルを使用した溶融紡糸方法において、紡糸速度3
500m/分〜4300m/分の範囲で製糸することで
得られるが、これに限定されるものではない。
ポリエステル高配向未延伸糸は、例えば通常のホモポリ
エステルを使用した溶融紡糸方法において、紡糸速度3
500m/分〜4300m/分の範囲で製糸することで
得られるが、これに限定されるものではない。
【0023】本発明においては、前述の範囲を満足した
鞘糸を使用し、鞘糸をオーバーフィード率40%以上1
20%以下の条件で過供給させつつ仮撚加工することが
重要であるが、これは芯糸に対するオーバーフィード率
が40%に満たなければ多重捲回部の形成が困難であ
り、自然な巻付き部でなく、むしろネップ状の欠点とな
るためであり、一方オーバーフィード率が120%を越
えると、仮撚撚糸力によるオーバーフィード分の鞘糸が
多重捲回を形成しつつも不十分となり、糸切れが多発し
好ましくない。
鞘糸を使用し、鞘糸をオーバーフィード率40%以上1
20%以下の条件で過供給させつつ仮撚加工することが
重要であるが、これは芯糸に対するオーバーフィード率
が40%に満たなければ多重捲回部の形成が困難であ
り、自然な巻付き部でなく、むしろネップ状の欠点とな
るためであり、一方オーバーフィード率が120%を越
えると、仮撚撚糸力によるオーバーフィード分の鞘糸が
多重捲回を形成しつつも不十分となり、糸切れが多発し
好ましくない。
【0024】次に、本発明を図面により具体的に説明す
ると、図1は本発明の複合仮撚糸の走査型電子顕微鏡に
よる繊維の形状を示す側面写真であるが、この写真にお
いて太い部分は鞘糸Bが巻き付いて多重捲回を形成して
いる状態を示しており、また細い部分は一重捲回部を示
している。
ると、図1は本発明の複合仮撚糸の走査型電子顕微鏡に
よる繊維の形状を示す側面写真であるが、この写真にお
いて太い部分は鞘糸Bが巻き付いて多重捲回を形成して
いる状態を示しており、また細い部分は一重捲回部を示
している。
【0025】図2には本発明の複合仮撚糸の製造工程の
一例を示しており、図2において芯糸Aは第1ローラ1
を経て仮撚加撚域に供給され、鞘糸Bは第2ローラ2に
より芯糸Aよりオーバーフィードされつつ供給され、鞘
糸ガイド3を経て芯糸Aとヒータ4入口前で合流し、ヒ
ータ4、仮撚ツイスター5で加工された後、第3ローラ
6を経てワインダー7により複合仮撚糸8として巻き取
られる。
一例を示しており、図2において芯糸Aは第1ローラ1
を経て仮撚加撚域に供給され、鞘糸Bは第2ローラ2に
より芯糸Aよりオーバーフィードされつつ供給され、鞘
糸ガイド3を経て芯糸Aとヒータ4入口前で合流し、ヒ
ータ4、仮撚ツイスター5で加工された後、第3ローラ
6を経てワインダー7により複合仮撚糸8として巻き取
られる。
【0026】
【実施例】次に、本発明を実施例より具体的に説明する
が、本発明はこれにより限定されるものではない。なお
本文中および実施例記載の各物性値は以下の測定方法に
よるものである。 (1) アルカリ減量速度 複合仮撚糸の芯糸と鞘糸を解撚しつつ分離し、芯糸およ
び鞘糸単独の繊維群を取り出す。これらサンプルの処理
前重量gbを測定した後、常温下で沸騰させた3%濃度
の苛性ソーダ溶液にて所定時間処理する。その後、風乾
させて処理後重量gaを測定し、下記式により各々の減
量速度を算出する。
が、本発明はこれにより限定されるものではない。なお
本文中および実施例記載の各物性値は以下の測定方法に
よるものである。 (1) アルカリ減量速度 複合仮撚糸の芯糸と鞘糸を解撚しつつ分離し、芯糸およ
び鞘糸単独の繊維群を取り出す。これらサンプルの処理
前重量gbを測定した後、常温下で沸騰させた3%濃度
の苛性ソーダ溶液にて所定時間処理する。その後、風乾
させて処理後重量gaを測定し、下記式により各々の減
量速度を算出する。
【0027】アルカリ減量率(%)={(gb−ga)
/gb}×100 アルカリ減量速度(%/分)=アルカリ減量率(%)/
処理時間(分) (2) 平均破断伸度 複合仮撚糸の芯糸と鞘糸を解撚しつつ分離し、芯糸およ
び鞘糸単独の繊維群を取り出す。これらのサンプルを使
用し、JIS L1013に準じて測定する。 (3) 複屈折率(Δn) 通常の偏光顕微鏡コンペンセータを用いて干渉縞法によ
り測定する。 (4) 沸水収縮率 JIS L1013 かせ収縮率(A法)に準じて測定
する。 (5) 最大収縮応力を示す温度 カネボウエンジニアリング株式会社製の熱応力測定器T
YPE KE−2Sを使用し、昇温速度2.5℃/秒で
測定したときの最大収縮応力を示す温度を読みとる。 (6) ガラス転移点 温度変調DSCを使用して測定する。
/gb}×100 アルカリ減量速度(%/分)=アルカリ減量率(%)/
処理時間(分) (2) 平均破断伸度 複合仮撚糸の芯糸と鞘糸を解撚しつつ分離し、芯糸およ
び鞘糸単独の繊維群を取り出す。これらのサンプルを使
用し、JIS L1013に準じて測定する。 (3) 複屈折率(Δn) 通常の偏光顕微鏡コンペンセータを用いて干渉縞法によ
り測定する。 (4) 沸水収縮率 JIS L1013 かせ収縮率(A法)に準じて測定
する。 (5) 最大収縮応力を示す温度 カネボウエンジニアリング株式会社製の熱応力測定器T
YPE KE−2Sを使用し、昇温速度2.5℃/秒で
測定したときの最大収縮応力を示す温度を読みとる。 (6) ガラス転移点 温度変調DSCを使用して測定する。
【0028】(実施例1)芯糸として通常法によって得
られた110dtex−36フィラメントのポリエチレ
ンテレフタレートを、また鞘糸として紡速3700m/
minで溶融紡糸した、55dtex−24フィラメン
トで複屈折率が59×10-3、糸の最大収縮応力を示す
温度が75℃、沸水収縮率が42%のポリエステル高配
向未延伸糸を準備した。これらの糸を用い、図2の工程
で表1に示す条件下で加工した。
られた110dtex−36フィラメントのポリエチレ
ンテレフタレートを、また鞘糸として紡速3700m/
minで溶融紡糸した、55dtex−24フィラメン
トで複屈折率が59×10-3、糸の最大収縮応力を示す
温度が75℃、沸水収縮率が42%のポリエステル高配
向未延伸糸を準備した。これらの糸を用い、図2の工程
で表1に示す条件下で加工した。
【0029】得られた複合仮撚糸を日立製作所製走査型
電子顕微鏡で観察したところ、図1に示した様に糸の長
手方向にそって芯糸に対して鞘糸が一重捲回部と多重捲
回部とを交互に形成していた。この糸の芯糸と鞘糸のア
ルカリ減量速度、平均破断伸度を表1に示す。
電子顕微鏡で観察したところ、図1に示した様に糸の長
手方向にそって芯糸に対して鞘糸が一重捲回部と多重捲
回部とを交互に形成していた。この糸の芯糸と鞘糸のア
ルカリ減量速度、平均破断伸度を表1に示す。
【0030】この糸をヨコ糸に、またタテ糸には通常法
で得られた83dtex−36フィラメントのポリエス
テル延伸糸を使用し、平織物を製織した。製織した布帛
をリラックス精練した後、180℃でセットし、17%
のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用い
分散染料で染色した後160℃でファイナルセットし
た。得られた織物はソフト感に富みかつ、適度なシャリ
感を持ちかつ織物品位に問題のない意匠効果に富んだ表
面感を有していた。
で得られた83dtex−36フィラメントのポリエス
テル延伸糸を使用し、平織物を製織した。製織した布帛
をリラックス精練した後、180℃でセットし、17%
のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用い
分散染料で染色した後160℃でファイナルセットし
た。得られた織物はソフト感に富みかつ、適度なシャリ
感を持ちかつ織物品位に問題のない意匠効果に富んだ表
面感を有していた。
【0031】(実施例2)芯糸として極限粘度が0.4
7のポリエチレンテレフタレートからなる低粘度成分
と、極限粘度が0.75のポリエチレンテレフタレート
からなる高粘度成分とを、重量複合比50:50で並列
型に貼り合わせたマルチフィラメント未延伸糸を紡糸し
た後、通常の延伸機により延伸を行ない、110dte
x−24フィラメントの糸を準備した。また鞘糸として
実施例1で用いたのと同じ55dtex−24フィラメ
ントのポリエステル高配向未延伸糸を準備した。これら
の糸を用い、図2の工程で表1に示す条件下で加工し
た。
7のポリエチレンテレフタレートからなる低粘度成分
と、極限粘度が0.75のポリエチレンテレフタレート
からなる高粘度成分とを、重量複合比50:50で並列
型に貼り合わせたマルチフィラメント未延伸糸を紡糸し
た後、通常の延伸機により延伸を行ない、110dte
x−24フィラメントの糸を準備した。また鞘糸として
実施例1で用いたのと同じ55dtex−24フィラメ
ントのポリエステル高配向未延伸糸を準備した。これら
の糸を用い、図2の工程で表1に示す条件下で加工し
た。
【0032】得られた複合仮撚糸は糸の長手方向にそっ
て芯糸に対して鞘糸が一重捲回部と多重捲回部とを交互
に形成していた。この糸の芯糸と鞘糸のアルカリ減量速
度、平均破断伸度を表1に示す。
て芯糸に対して鞘糸が一重捲回部と多重捲回部とを交互
に形成していた。この糸の芯糸と鞘糸のアルカリ減量速
度、平均破断伸度を表1に示す。
【0033】得られた複合仮撚糸に通常法により500
T/mの撚糸を施し、この糸をヨコ糸に、またタテ糸に
は通常法で得られた83dtex−36フィラメントの
ポリエステル延伸糸を使用し、平織物を製織した。製織
した布帛をリラックス精練した後、180℃でセット
し、22%のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染
色機を用い分散染料で染色した後160℃でファイナル
セットした。得られた織物はソフト感に富みかつ、適度
なシャリ感を持ち、かつヨコ方向にストレッチ性を有し
ていた。
T/mの撚糸を施し、この糸をヨコ糸に、またタテ糸に
は通常法で得られた83dtex−36フィラメントの
ポリエステル延伸糸を使用し、平織物を製織した。製織
した布帛をリラックス精練した後、180℃でセット
し、22%のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染
色機を用い分散染料で染色した後160℃でファイナル
セットした。得られた織物はソフト感に富みかつ、適度
なシャリ感を持ち、かつヨコ方向にストレッチ性を有し
ていた。
【0034】(比較例1)芯糸として通常法によって得
られた110dtex−36フィラメントのポリエチレ
ンテレフタレートを、また鞘糸として紡速3000m/
minで溶融紡糸した、55dtex−24フィラメン
トで複屈折率が35×10-3、糸の最大収縮応力を示す
温度が76℃、沸水収縮率が67%のポリエステル高配
向未延伸糸を準備した。これらの糸を用い、図2の工程
で表1に示す条件下で加工した。
られた110dtex−36フィラメントのポリエチレ
ンテレフタレートを、また鞘糸として紡速3000m/
minで溶融紡糸した、55dtex−24フィラメン
トで複屈折率が35×10-3、糸の最大収縮応力を示す
温度が76℃、沸水収縮率が67%のポリエステル高配
向未延伸糸を準備した。これらの糸を用い、図2の工程
で表1に示す条件下で加工した。
【0035】得られた複合仮撚糸は糸の長手方向にそっ
て芯糸に対して鞘糸が一重捲回部と多重捲回部とを交互
に形成していた。この糸の芯糸と鞘糸のアルカリ減量速
度、平均破断伸度を表1に示す。
て芯糸に対して鞘糸が一重捲回部と多重捲回部とを交互
に形成していた。この糸の芯糸と鞘糸のアルカリ減量速
度、平均破断伸度を表1に示す。
【0036】この糸をヨコ糸に、またタテ糸には通常法
で得られた83dtex−36フィラメントのポリエス
テル延伸糸を使用し、平織物を製織した。製織した布帛
をリラックス精練した後、180℃でセットし、19%
のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用い
分散染料で染色した後160℃でファイナルセットし
た。得られた織物はソフト感はやや有するものの、硬さ
があり、また織物表面、特に多重捲回部が毛羽立った品
位の悪いものであった。
で得られた83dtex−36フィラメントのポリエス
テル延伸糸を使用し、平織物を製織した。製織した布帛
をリラックス精練した後、180℃でセットし、19%
のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用い
分散染料で染色した後160℃でファイナルセットし
た。得られた織物はソフト感はやや有するものの、硬さ
があり、また織物表面、特に多重捲回部が毛羽立った品
位の悪いものであった。
【0037】(比較例2)芯糸として通常法によって得
られた110dtex−36フィラメントのポリエチレ
ンテレフタレートを、また鞘糸として通常法によって得
られた55dtex−24フィラメントで複屈折率が1
50×10-3、糸の最大収縮応力を示す温度が124
℃、沸水収縮率が9%のポリエステル延伸糸を準備し
た。これらの糸を用い、図2の工程で表1に示す条件下
で加工した。
られた110dtex−36フィラメントのポリエチレ
ンテレフタレートを、また鞘糸として通常法によって得
られた55dtex−24フィラメントで複屈折率が1
50×10-3、糸の最大収縮応力を示す温度が124
℃、沸水収縮率が9%のポリエステル延伸糸を準備し
た。これらの糸を用い、図2の工程で表1に示す条件下
で加工した。
【0038】得られた複合仮撚糸は糸の長手方向にそっ
て芯糸に対して鞘糸が一重捲回部と多重捲回部とを交互
に形成していた。この糸の芯糸と鞘糸のアルカリ減量速
度、平均破断伸度を表1に示す。
て芯糸に対して鞘糸が一重捲回部と多重捲回部とを交互
に形成していた。この糸の芯糸と鞘糸のアルカリ減量速
度、平均破断伸度を表1に示す。
【0039】この糸をヨコ糸に、またタテ糸には通常法
で得られた83dtex−36フィラメントのポリエス
テル延伸糸を使用し、平織物を製織した。製織した布帛
をリラックス精練した後、180℃でセットし、16%
のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用い
分散染料で染色した後160℃でファイナルセットし
た。得られた織物は粗硬感の強い風合いを示すばかりで
なく、製織時に多重捲回部がシゴキネップとなった織物
品位の悪いものであった。
で得られた83dtex−36フィラメントのポリエス
テル延伸糸を使用し、平織物を製織した。製織した布帛
をリラックス精練した後、180℃でセットし、16%
のアルカリ減量加工を施し、ひき続き液流染色機を用い
分散染料で染色した後160℃でファイナルセットし
た。得られた織物は粗硬感の強い風合いを示すばかりで
なく、製織時に多重捲回部がシゴキネップとなった織物
品位の悪いものであった。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】上述の通り、本発明の複合仮撚糸および
その製造方法によれば、従来の技術では得られなかった
織編物としたときにソフト感に富みかつ、適度なシャリ
感、形態安定性の良いスラブ部を有する複合仮撚糸を提
供できる。
その製造方法によれば、従来の技術では得られなかった
織編物としたときにソフト感に富みかつ、適度なシャリ
感、形態安定性の良いスラブ部を有する複合仮撚糸を提
供できる。
【図1】本発明の複合仮撚糸の側面を走査型電子顕微鏡
で撮影した繊維の形状を示す写真である。
で撮影した繊維の形状を示す写真である。
【図2】本発明おける複合仮撚糸の製造方法の一例を示
す概略工程図である。
す概略工程図である。
A:芯糸 B:鞘糸 1:第1ローラ 2:第2ローラ 3:鞘糸ガイド 4:ヒータ 5:仮撚ツイスター 6:第3ローラ 7:ワインダー 8:複合仮撚糸
Claims (5)
- 【請求項1】芯糸Aに鞘糸Bが巻き付いた構造を有する
複合仮撚糸であって、芯糸Aと鞘糸Bのアルカリ減量速
度(%/分)が下記(1)式の関係にあり、かつ鞘糸B
の平均破断伸度が芯糸Aの平均破断伸度の1.5倍以上
4.5倍以下であるポリエステル系合成繊維で構成され
るとともに、芯糸Aに鞘糸Bが交互に一重捲回部と多重
捲回部とを形成して巻き付いた構造を有することを特徴
とする複合仮撚糸。 1.2NA≦NB≦2NA ・・・ (1)式 ここで、NA=芯糸Aのアルカリ減量速度(%/分) NB=鞘糸Bのアルカリ減量速度(%/分) - 【請求項2】芯糸Aが少なくともイソフタル酸を共重合
してなる共重合ポリエステルマルチフィラメント糸であ
ることを特徴とする請求項1記載の複合仮撚糸。 - 【請求項3】芯糸Aと鞘糸Bとの染色性が異なることを
特徴とする請求項1または請求項2記載の複合仮撚糸。 - 【請求項4】芯糸Aまたは鞘糸Bの少なくとも一方が収
縮特性差のあるポリマーで構成されたサイドバイサイド
型複合糸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
かに記載の複合仮撚糸。 - 【請求項5】鞘糸Bとして複屈折率Δnが50×10-3
以上80×10-3以下でかつ糸の最大収縮応力を示す温
度がガラス転移点Tg+10℃以下にある沸水収縮率が
35%以上60%以下のポリエステル高配向未延伸糸を
用い、仮撚加撚域にオーバーフィード率40%以上12
0%以下の条件で過供給させ芯糸Aに巻き付かせつつ仮
撚加工することを特徴とする複合仮撚糸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28968999A JP2001115353A (ja) | 1999-10-12 | 1999-10-12 | 複合仮撚糸およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28968999A JP2001115353A (ja) | 1999-10-12 | 1999-10-12 | 複合仮撚糸およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001115353A true JP2001115353A (ja) | 2001-04-24 |
Family
ID=17746482
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28968999A Pending JP2001115353A (ja) | 1999-10-12 | 1999-10-12 | 複合仮撚糸およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001115353A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1294299C (zh) * | 2004-11-17 | 2007-01-10 | 东丽纤维研究所(中国)有限公司 | 聚酯类混纤未牵伸丝 |
-
1999
- 1999-10-12 JP JP28968999A patent/JP2001115353A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN1294299C (zh) * | 2004-11-17 | 2007-01-10 | 东丽纤维研究所(中国)有限公司 | 聚酯类混纤未牵伸丝 |
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