JP2001115088A - ポリエステル粉体塗料 - Google Patents
ポリエステル粉体塗料Info
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- JP2001115088A JP2001115088A JP30082999A JP30082999A JP2001115088A JP 2001115088 A JP2001115088 A JP 2001115088A JP 30082999 A JP30082999 A JP 30082999A JP 30082999 A JP30082999 A JP 30082999A JP 2001115088 A JP2001115088 A JP 2001115088A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 塗装面に対する塗膜の密着性の向上により、
その耐食性および耐候性を向上させることができるポリ
エステル粉体塗料を提供する。 【解決手段】 ポリエステル粉体塗料3は、熱硬化性ポ
リエステル樹脂から成るベースと、このベースに添加さ
れた1〜13容量パーセントの顔料とを含む。
その耐食性および耐候性を向上させることができるポリ
エステル粉体塗料を提供する。 【解決手段】 ポリエステル粉体塗料3は、熱硬化性ポ
リエステル樹脂から成るベースと、このベースに添加さ
れた1〜13容量パーセントの顔料とを含む。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉体塗装に用いら
れる、熱硬化性ポリエステル樹脂をベースとするポリエ
ステル粉体塗料に関する。
れる、熱硬化性ポリエステル樹脂をベースとするポリエ
ステル粉体塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、塗装分野においても環境への配慮
が望まれており、この観点から、溶剤を用いない粉体塗
料による粉体塗装が、工業製品などの塗装において実施
されている。このような粉体塗料には、熱硬化性塗料や
紫外線硬化性塗料などがあり、塗装設備のコストの点な
どから熱硬化性粉体塗料が一般的に使用されている。そ
の代表的なものとして、熱硬化性ポリエステル樹脂をベ
ースとするポリエステル粉体塗料がある。また、着色効
果を得るために、このようなポリエステル粉体塗料に顔
料を添加することも行われており、その場合には、顔料
の着色効果を有効に発揮させるために、比較的、多量の
顔料が添加される。具体的には、赤色顔料は15〜20
容量パーセントの割合で添加され、白色顔料は、赤色顔
料よりも遮光性が低く、着色性が低いことから、これよ
りも高い25〜35容量パーセントの割合で添加されて
いる。
が望まれており、この観点から、溶剤を用いない粉体塗
料による粉体塗装が、工業製品などの塗装において実施
されている。このような粉体塗料には、熱硬化性塗料や
紫外線硬化性塗料などがあり、塗装設備のコストの点な
どから熱硬化性粉体塗料が一般的に使用されている。そ
の代表的なものとして、熱硬化性ポリエステル樹脂をベ
ースとするポリエステル粉体塗料がある。また、着色効
果を得るために、このようなポリエステル粉体塗料に顔
料を添加することも行われており、その場合には、顔料
の着色効果を有効に発揮させるために、比較的、多量の
顔料が添加される。具体的には、赤色顔料は15〜20
容量パーセントの割合で添加され、白色顔料は、赤色顔
料よりも遮光性が低く、着色性が低いことから、これよ
りも高い25〜35容量パーセントの割合で添加されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したような顔料を
添加した従来のポリエステル粉体塗料では、塗装面に対
する塗膜の密着性が低く、塗膜の耐候性および耐食性が
劣るという欠点がある。このため、例えば上記ポリエス
テル粉体塗料を塗布した鋼板を、屋外に設置される自動
販売機の表面に用いると、塗膜が剥離しやすく、錆が出
やすい。特に、白色顔料を添加したポリエステル粉体塗
料では、この問題が顕著になるという傾向がある。
添加した従来のポリエステル粉体塗料では、塗装面に対
する塗膜の密着性が低く、塗膜の耐候性および耐食性が
劣るという欠点がある。このため、例えば上記ポリエス
テル粉体塗料を塗布した鋼板を、屋外に設置される自動
販売機の表面に用いると、塗膜が剥離しやすく、錆が出
やすい。特に、白色顔料を添加したポリエステル粉体塗
料では、この問題が顕著になるという傾向がある。
【0004】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたもので、塗装面に対する塗膜の密着性の向上によ
り、その耐食性および耐候性を向上させることができる
ポリエステル粉体塗料を提供することを目的とする。
れたもので、塗装面に対する塗膜の密着性の向上によ
り、その耐食性および耐候性を向上させることができる
ポリエステル粉体塗料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、請求項1のポリエステル粉体塗料は、熱硬化性ポリ
エステル樹脂から成るベースと、このベースに添加され
た1〜13容量パーセントの顔料とを含むことを特徴と
する。
に、請求項1のポリエステル粉体塗料は、熱硬化性ポリ
エステル樹脂から成るベースと、このベースに添加され
た1〜13容量パーセントの顔料とを含むことを特徴と
する。
【0006】一般的に、ポリエステル樹脂をベースとす
るポリエステル粉体塗料では、ベースに顔料を添加した
ものは、無添加のものと比べて、塗装面に対する塗膜の
密着性が高く、その結果、塗膜の耐候性が高い。また、
従来のように、ベースに対する顔料の添加割合が比較
的、高い場合には、塗膜の密着性が低いことにより、塗
膜の耐候性が劣る。これに対して、後述するように、顔
料の添加割合が比較的、低い場合には、塗膜の密着性が
向上することが確認されており、特にポリエステル樹脂
から成るベースに対する顔料の添加割合が1〜13容量
パーセントのときに、塗膜の密着性が向上するという事
実が確認できた。したがって、本発明のポリエステル粉
体塗料によれば、塗膜の密着性を向上させることがで
き、その結果、塗膜の耐候性を向上させることができ
る。
るポリエステル粉体塗料では、ベースに顔料を添加した
ものは、無添加のものと比べて、塗装面に対する塗膜の
密着性が高く、その結果、塗膜の耐候性が高い。また、
従来のように、ベースに対する顔料の添加割合が比較
的、高い場合には、塗膜の密着性が低いことにより、塗
膜の耐候性が劣る。これに対して、後述するように、顔
料の添加割合が比較的、低い場合には、塗膜の密着性が
向上することが確認されており、特にポリエステル樹脂
から成るベースに対する顔料の添加割合が1〜13容量
パーセントのときに、塗膜の密着性が向上するという事
実が確認できた。したがって、本発明のポリエステル粉
体塗料によれば、塗膜の密着性を向上させることがで
き、その結果、塗膜の耐候性を向上させることができ
る。
【0007】上記において、顔料は白色顔料で構成され
ていることが好ましい。
ていることが好ましい。
【0008】前述したように、従来のポリエステル粉体
塗料における白色顔料の添加割合は、赤色顔料などと比
べてもともと高い。したがって、このポリエステル粉体
塗料によれば、顔料の添加割合を上記1〜13容量パー
セントにすることにより、顔料の使用量をより多く減ら
すことができる。
塗料における白色顔料の添加割合は、赤色顔料などと比
べてもともと高い。したがって、このポリエステル粉体
塗料によれば、顔料の添加割合を上記1〜13容量パー
セントにすることにより、顔料の使用量をより多く減ら
すことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態に係る
ポリエステル粉体塗料について説明する。本実施形態の
ポリエステル粉体塗料は、後述する理由により、ベース
レジンに顔料を1〜13vol%(容量パーセント)の
割合で添加し、さらに硬化剤および添加剤を添加した組
成になっている。このベースレジンは、イソフタル酸と
ネオペンチルグリコールの重合体であるポリエステルで
構成されており、それ自体、優れた耐候性と熱硬化性を
備えている。すなわち、このポリエステル粉体塗料は熱
硬化性を備えたポリエステル樹脂粉体塗料である。
ポリエステル粉体塗料について説明する。本実施形態の
ポリエステル粉体塗料は、後述する理由により、ベース
レジンに顔料を1〜13vol%(容量パーセント)の
割合で添加し、さらに硬化剤および添加剤を添加した組
成になっている。このベースレジンは、イソフタル酸と
ネオペンチルグリコールの重合体であるポリエステルで
構成されており、それ自体、優れた耐候性と熱硬化性を
備えている。すなわち、このポリエステル粉体塗料は熱
硬化性を備えたポリエステル樹脂粉体塗料である。
【0010】また、硬化剤は、ブロックトイソシアネー
ト(blocked isocyanate)で構成され、添加剤は、紫外
線吸収剤(例えばベンゾトリアゾール系UVA)、安定
剤(例えばフェノール系安定剤)、エポキシ樹脂および
レベリング剤(例えば特殊ワックスとアクリル系重合体
の混合物)で構成されている。さらに、顔料は、白色顔
料の場合にはルチル型酸化チタンで構成され、赤色顔料
の場合にはアゾ顔料(Pigment Red 170)で構成されて
いる。
ト(blocked isocyanate)で構成され、添加剤は、紫外
線吸収剤(例えばベンゾトリアゾール系UVA)、安定
剤(例えばフェノール系安定剤)、エポキシ樹脂および
レベリング剤(例えば特殊ワックスとアクリル系重合体
の混合物)で構成されている。さらに、顔料は、白色顔
料の場合にはルチル型酸化チタンで構成され、赤色顔料
の場合にはアゾ顔料(Pigment Red 170)で構成されて
いる。
【0011】次に、以上のようなポリエステル粉体塗料
の特性を、図1〜図4に示す屋外暴露試験結果および浸
漬試験結果を参照しながら説明する。これらの試験は、
図3の屋外暴露試験を除き、図5に示す試験片1を用い
て実施した。同図に示すように、試験片1は所定寸法の
鋼板2で構成されており、その表面には、上記ポリエス
テル粉体塗料3の塗膜3aと、塗膜3aのない地金がむ
き出しのクロスカット部2aとが形成されている。この
クロスカット部2aは、2本の所定幅の直線がX字状に
交差した形状を備えている。
の特性を、図1〜図4に示す屋外暴露試験結果および浸
漬試験結果を参照しながら説明する。これらの試験は、
図3の屋外暴露試験を除き、図5に示す試験片1を用い
て実施した。同図に示すように、試験片1は所定寸法の
鋼板2で構成されており、その表面には、上記ポリエス
テル粉体塗料3の塗膜3aと、塗膜3aのない地金がむ
き出しのクロスカット部2aとが形成されている。この
クロスカット部2aは、2本の所定幅の直線がX字状に
交差した形状を備えている。
【0012】この試験片1を作製するには、まず、負の
電荷を帯電させた鋼板2にポリエステル粉体塗料3をス
プレーした後、これを所定温度(例えば180℃)で所
定時間(例えば20min)加熱し、さらに養生する。
この後、鋼板2の表面から塗膜3aを上記形状になるよ
うにカッターなどでキズを付けて剥がすことにより、ク
ロスカット部2aを形成する。以上により、試験片1が
作製される。
電荷を帯電させた鋼板2にポリエステル粉体塗料3をス
プレーした後、これを所定温度(例えば180℃)で所
定時間(例えば20min)加熱し、さらに養生する。
この後、鋼板2の表面から塗膜3aを上記形状になるよ
うにカッターなどでキズを付けて剥がすことにより、ク
ロスカット部2aを形成する。以上により、試験片1が
作製される。
【0013】次に、図1に示すポリエステル粉体塗料3
の屋外暴露試験結果について説明する。この試験では、
白色顔料の添加割合を0〜30vol%の間で異ならせ
たポリエステル粉体塗料をそれぞれ塗布した多数の試験
片1を用い、これらの試験片を同一条件で1年間、屋外
暴露する。この後、それらのクロスカット部2aの周辺
の塗装面に発生した錆4の最大錆幅W(以下、単に「錆
幅W」という。図5参照)を測定した。図1は、このよ
うに測定した結果の一例を示している。
の屋外暴露試験結果について説明する。この試験では、
白色顔料の添加割合を0〜30vol%の間で異ならせ
たポリエステル粉体塗料をそれぞれ塗布した多数の試験
片1を用い、これらの試験片を同一条件で1年間、屋外
暴露する。この後、それらのクロスカット部2aの周辺
の塗装面に発生した錆4の最大錆幅W(以下、単に「錆
幅W」という。図5参照)を測定した。図1は、このよ
うに測定した結果の一例を示している。
【0014】同図を参照すると、白色顔料の添加割合が
0〜5vol%の領域では、添加割合が低いほど大きな
錆幅Wの錆4が発生し、5〜30vol%の領域では、
添加割合が高いほど大きな錆幅Wの錆4が発生してい
る。特に、添加割合が1vol%未満の領域および13
vol%を上回る領域では、錆4の錆幅Wが許容最大錆
幅Wmaxである13mmを上回っていることから、顔
料の添加割合を1〜13vol%に設定することによ
り、錆4の発生を許容範囲内に効果的に抑制できること
がわかる。
0〜5vol%の領域では、添加割合が低いほど大きな
錆幅Wの錆4が発生し、5〜30vol%の領域では、
添加割合が高いほど大きな錆幅Wの錆4が発生してい
る。特に、添加割合が1vol%未満の領域および13
vol%を上回る領域では、錆4の錆幅Wが許容最大錆
幅Wmaxである13mmを上回っていることから、顔
料の添加割合を1〜13vol%に設定することによ
り、錆4の発生を許容範囲内に効果的に抑制できること
がわかる。
【0015】以上の試験結果から、本実施形態のポリエ
ステル粉体塗料3のように顔料の添加割合を1〜13v
ol%にすることにより、錆4の発生を効果的に抑制で
きるという事実、すなわち粉体塗料3の耐候性の向上に
より、塗装された鋼板2の耐食性を向上させることがで
きるという事実が確認できた。このように顔料の添加割
合が1〜13vol%という比較的、低い値のときに、
粉体塗料3を塗装した鋼板2の耐食性が向上する理由
は、以下のように推定される。すなわち、顔料の添加割
合が比較的、低い塗膜では、高いものと比べて顔料の粒
子が少ないことにより、その内部に水分が浸透しやすい
けれども、逆に、浸透した水分が蒸発しやすく、塗膜内
に残留する量が少なくなることによると推定される。
ステル粉体塗料3のように顔料の添加割合を1〜13v
ol%にすることにより、錆4の発生を効果的に抑制で
きるという事実、すなわち粉体塗料3の耐候性の向上に
より、塗装された鋼板2の耐食性を向上させることがで
きるという事実が確認できた。このように顔料の添加割
合が1〜13vol%という比較的、低い値のときに、
粉体塗料3を塗装した鋼板2の耐食性が向上する理由
は、以下のように推定される。すなわち、顔料の添加割
合が比較的、低い塗膜では、高いものと比べて顔料の粒
子が少ないことにより、その内部に水分が浸透しやすい
けれども、逆に、浸透した水分が蒸発しやすく、塗膜内
に残留する量が少なくなることによると推定される。
【0016】次に、図2に示すポリエステル粉体塗料3
の屋外暴露試験結果について説明する。この屋外暴露試
験は、前述した試験片1と同様に作製した5つの試験片
1を屋外暴露し、その際に各試験片1に発生する錆4の
錆幅Wの経時変化を測定したものであり、図2はその結
果の一例を示している。5つの試験片1はそれぞれ、粉
体塗料3に10,20,30vol%の白色顔料を添加
したもの、10vol%の赤色顔料を添加したもの、お
よび顔料をまったく添加しないものである。
の屋外暴露試験結果について説明する。この屋外暴露試
験は、前述した試験片1と同様に作製した5つの試験片
1を屋外暴露し、その際に各試験片1に発生する錆4の
錆幅Wの経時変化を測定したものであり、図2はその結
果の一例を示している。5つの試験片1はそれぞれ、粉
体塗料3に10,20,30vol%の白色顔料を添加
したもの、10vol%の赤色顔料を添加したもの、お
よび顔料をまったく添加しないものである。
【0017】同図を参照すると、すべての試験片1にお
いて、その錆幅Wが時間の経過に伴って大きくなってお
り、特に、顔料を添加していないポリエステル粉体塗料
3の試験片1の錆幅Wが、いずれの経過時間においても
最も大きいことがわかる。また、10vol%の白色顔
料を添加した試験片1は、無添加のものおよび20,3
0vol%のものよりも錆幅Wが小さく、これは、前述
した図1の試験結果と同じ結果を示している。さらに、
10vol%の赤色顔料を添加した試験片1の錆幅W
は、同じ添加割合で白色顔料を添加したものとほぼ同じ
になっており、同等の良好な耐食性が得られることがわ
かる。
いて、その錆幅Wが時間の経過に伴って大きくなってお
り、特に、顔料を添加していないポリエステル粉体塗料
3の試験片1の錆幅Wが、いずれの経過時間においても
最も大きいことがわかる。また、10vol%の白色顔
料を添加した試験片1は、無添加のものおよび20,3
0vol%のものよりも錆幅Wが小さく、これは、前述
した図1の試験結果と同じ結果を示している。さらに、
10vol%の赤色顔料を添加した試験片1の錆幅W
は、同じ添加割合で白色顔料を添加したものとほぼ同じ
になっており、同等の良好な耐食性が得られることがわ
かる。
【0018】次に、図3に示すポリエステル粉体塗料3
の屋外暴露試験結果について説明する。この試験は、前
述した図2の試験で用いた試験片1と比べて、クロスカ
ット部2aがない点のみが異なる5つの試験片を作製
し、これら5つの試験片を屋外暴露した際の水の接触角
の経時変化を測定したものであり、図3はその結果の一
例を示している。
の屋外暴露試験結果について説明する。この試験は、前
述した図2の試験で用いた試験片1と比べて、クロスカ
ット部2aがない点のみが異なる5つの試験片を作製
し、これら5つの試験片を屋外暴露した際の水の接触角
の経時変化を測定したものであり、図3はその結果の一
例を示している。
【0019】同図を参照すると、各試験片は、時間の経
過に伴い、その水の接触角が小さくなっており、撥水性
が低下している。また、10vol%の白色顔料および
赤色顔料を添加した試験片は、無添加のものや20,3
0vol%の白色顔料を添加したものよりも、水の接触
角の低下度合が小さく、高い撥水性を維持している。さ
らに、白色顔料と赤色顔料では、ベースに対する添加割
合が同じであれば、同等の接触角すなわち撥水性が得ら
れることがわかる。
過に伴い、その水の接触角が小さくなっており、撥水性
が低下している。また、10vol%の白色顔料および
赤色顔料を添加した試験片は、無添加のものや20,3
0vol%の白色顔料を添加したものよりも、水の接触
角の低下度合が小さく、高い撥水性を維持している。さ
らに、白色顔料と赤色顔料では、ベースに対する添加割
合が同じであれば、同等の接触角すなわち撥水性が得ら
れることがわかる。
【0020】次に、図4に示す浸漬試験結果について説
明する。この浸漬試験は、以下のような手順で行った。
まず、前述した図2の屋外暴露試験で用いた5つの試験
片1と同様に5つの試験片を作製し、これら5つの試験
片を60℃の温度に保った5%の塩化ナトリウム溶液中
に浸漬させる。その後、24時間ごとに、試験片1を溶
液から取り出し、そのクロスカット部2aの周辺の塗膜
3aに粘着テープ(図示せず)を貼り付けた後、これを
剥がすことにより、塗膜3aを試験片1から剥離させる
ようにする。図4は、以上のように試験を行ったときの
塗膜3aの剥離部分の最大幅(以下「剥離幅」という)
を測定した結果の一例を示している。
明する。この浸漬試験は、以下のような手順で行った。
まず、前述した図2の屋外暴露試験で用いた5つの試験
片1と同様に5つの試験片を作製し、これら5つの試験
片を60℃の温度に保った5%の塩化ナトリウム溶液中
に浸漬させる。その後、24時間ごとに、試験片1を溶
液から取り出し、そのクロスカット部2aの周辺の塗膜
3aに粘着テープ(図示せず)を貼り付けた後、これを
剥がすことにより、塗膜3aを試験片1から剥離させる
ようにする。図4は、以上のように試験を行ったときの
塗膜3aの剥離部分の最大幅(以下「剥離幅」という)
を測定した結果の一例を示している。
【0021】同図を参照すると、168時間が経過する
までは、どの試験片1においても塗膜3aの剥離は発生
しておらず、それ以降では、塗膜3aの剥離が発生し、
その剥離幅は時間の経過に伴い大きくなっている。ま
た、10vol%の白色顔料または赤色顔料を添加した
試験片1は、無添加のものや20,30vol%の白色
顔料を添加したものよりも剥離幅が小さく、塗装面に対
する塗膜3aの密着性が維持されていることがわかる。
さらに、白色顔料と赤色顔料では、ベースレジンに対す
る添加割合が同じであれば、同等の密着性が得られるこ
とがわかる。
までは、どの試験片1においても塗膜3aの剥離は発生
しておらず、それ以降では、塗膜3aの剥離が発生し、
その剥離幅は時間の経過に伴い大きくなっている。ま
た、10vol%の白色顔料または赤色顔料を添加した
試験片1は、無添加のものや20,30vol%の白色
顔料を添加したものよりも剥離幅が小さく、塗装面に対
する塗膜3aの密着性が維持されていることがわかる。
さらに、白色顔料と赤色顔料では、ベースレジンに対す
る添加割合が同じであれば、同等の密着性が得られるこ
とがわかる。
【0022】以上のように、本実施形態のポリエステル
粉体塗料3によれば、1〜13vol%の顔料をベース
レジンに添加したことにより、塗装面との密着性を高め
ることができ、撥水性も高めることができる。これによ
り、塗膜の耐候性を向上させることができる。また、白
色顔料を添加した場合には、赤色顔料などを添加した場
合と比べて、顔料の使用量をより多く減らすことがで
き、その結果、赤色顔料などよりも、塗膜の耐候性を効
果的に向上させることができる。さらに、顔料の添加割
合が従来のポリエステル粉体塗料よりも低いことによ
り、塗料におけるクリア分の割合が高いので、深みのあ
る高光沢の塗膜を得ることができる。
粉体塗料3によれば、1〜13vol%の顔料をベース
レジンに添加したことにより、塗装面との密着性を高め
ることができ、撥水性も高めることができる。これによ
り、塗膜の耐候性を向上させることができる。また、白
色顔料を添加した場合には、赤色顔料などを添加した場
合と比べて、顔料の使用量をより多く減らすことがで
き、その結果、赤色顔料などよりも、塗膜の耐候性を効
果的に向上させることができる。さらに、顔料の添加割
合が従来のポリエステル粉体塗料よりも低いことによ
り、塗料におけるクリア分の割合が高いので、深みのあ
る高光沢の塗膜を得ることができる。
【0023】なお、本実施形態においては、顔料とし
て、白色顔料および赤色顔料を用いた例について説明し
たが、顔料の色はこれに限らず、紺色顔料や緑色顔料な
ど着色に用いられる顔料であればよい。
て、白色顔料および赤色顔料を用いた例について説明し
たが、顔料の色はこれに限らず、紺色顔料や緑色顔料な
ど着色に用いられる顔料であればよい。
【0024】
【発明の効果】以上のように、本発明のポリエステル粉
体塗料によれば、塗装面に対する塗膜の密着性の向上に
より、その耐食性および耐候性を向上させることができ
る。
体塗料によれば、塗装面に対する塗膜の密着性の向上に
より、その耐食性および耐候性を向上させることができ
る。
【図1】本発明の一実施形態に係るポリエステル粉体塗
料および従来のポリエステル粉体塗料を塗装した試験片
を1年間、屋外暴露した後の錆幅と顔料の添加割合との
関係を示すグラフである。
料および従来のポリエステル粉体塗料を塗装した試験片
を1年間、屋外暴露した後の錆幅と顔料の添加割合との
関係を示すグラフである。
【図2】屋外暴露試験中の試験片に生じる錆幅の経時変
化を示すグラフである。
化を示すグラフである。
【図3】屋外暴露試験中の試験片の接触角の経時変化を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図4】浸漬試験中の試験片における塗膜の剥離幅の経
時変化を示すグラフである。
時変化を示すグラフである。
【図5】図1および図2の試験結果と、図4の試験結果
とを得るための試験に用いた試験片を示す平面図であ
る。
とを得るための試験に用いた試験片を示す平面図であ
る。
3 ポリエステル粉体塗料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 BA212 CG142 DB002 DD061 DG111 DG301 HA216 JA63 JB16 JB35 KA02 KA03 KA08 MA02 NA03 NA12 PA19
Claims (2)
- 【請求項1】 熱硬化性ポリエステル樹脂から成るベー
スと、このベースに添加された1〜13容量パーセント
の顔料とを含むことを特徴とするポリエステル粉体塗
料。 - 【請求項2】 前記顔料は白色顔料で構成されているこ
とを特徴とする請求項1に記載のポリエステル粉体塗
料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30082999A JP2001115088A (ja) | 1999-10-22 | 1999-10-22 | ポリエステル粉体塗料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30082999A JP2001115088A (ja) | 1999-10-22 | 1999-10-22 | ポリエステル粉体塗料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001115088A true JP2001115088A (ja) | 2001-04-24 |
Family
ID=17889618
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30082999A Withdrawn JP2001115088A (ja) | 1999-10-22 | 1999-10-22 | ポリエステル粉体塗料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001115088A (ja) |
Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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