JP2001115083A - 粉体塗料用硬化剤およびこれを用いた粉体塗料 - Google Patents

粉体塗料用硬化剤およびこれを用いた粉体塗料

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JP2001115083A
JP2001115083A JP29861499A JP29861499A JP2001115083A JP 2001115083 A JP2001115083 A JP 2001115083A JP 29861499 A JP29861499 A JP 29861499A JP 29861499 A JP29861499 A JP 29861499A JP 2001115083 A JP2001115083 A JP 2001115083A
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meth
acrylate
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powder coating
coating film
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Hiroyuki Kumaoka
宏之 熊岡
Yoichi Nagai
陽一 永井
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた貯蔵安定性や耐ブロッキング性を有す
るとともに、平滑性や光沢等に優れた塗膜を形成する粉
体塗料の提供。 【解決手段】 硬化剤が重合体(a)で被覆されている
ことを特徴とする粉体塗料用硬化剤、および、この粉体
塗料用硬化剤を含有する粉体塗料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱硬化性粉体塗料
に優れた長期の貯蔵安定性を付与するとともに、形成さ
れる塗膜に優れた平滑性や光沢等を付与する粉体塗料用
硬化剤に関するものであり、さらに、この硬化剤を含有
する粉体塗料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塗料には、顔料と高分子物質を有機溶剤
で分散させた溶剤型塗料、加熱により不溶化する水溶性
樹脂を使用した水溶性樹脂塗料、樹脂を水中に分散させ
たエマルジョン塗料、樹脂を粉末にして塗布し、加熱、
造膜させる粉体塗料があるが、塗膜の平滑性や光沢、耐
久性等の点から、溶剤型塗料が従来から多く使用されて
きている。
【0003】ところが、大気汚染、火災の危険性等の問題か
ら、有機溶剤に対する規制が厳しくなってきており、無
溶剤型塗料が近年注目されている。中でも、粉体塗料
は、環境保護の観点から特に脚光を浴びている。
【0004】粉体塗料は、エポキシ系やポリエステル系のも
のが主流であるが、自動車用クリヤーコート等のよう
に、外観、耐候性等において特に高度な性能が要求され
る分野においては、アクリル系の粉体塗料が注目されて
おり、研究開発が活発に行われている。
【0005】例えば、特開平4−359971号公報や、特
開平7−166103号公報には、特定のビニル系単量
体を使用し、反応性官能基を有するアクリル樹脂と、こ
の反応性官能基と反応する官能基を分子中に2個以上有
する硬化剤とからなる熱硬化性粉体塗料が記載されてい
る。これら粉体塗料は、耐ブロッキング性、貯蔵安定性
等に優れるとともに、形成される塗膜の平滑性等の塗膜
性能にも優れることを特徴とするものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平4−3
59971号公報や、特開平7−166103号公報に
記載されている粉体塗料は、要求される性能が年々高度
化されていく状況の中では、必ずしも満足できるもので
はなく、特に、長期の貯蔵安定性を確保するために必要
な特性である耐固相反応性については不充分であった。
【0007】本発明の目的は、優れた貯蔵安定性や耐ブロッ
キング性を有するとともに、平滑性や光沢等に優れた塗
膜を形成する粉体塗料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
について鋭意検討した結果、特定の硬化剤が上記課題を
解決することを見いだし、本発明を完成させた。
【0009】すなわち、本発明は、硬化剤が重合体(a)で
被覆されていることを特徴とする粉体塗料用硬化剤に関
するものであり、この硬化剤を含有する粉体塗料に関す
るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の粉体塗料用硬化剤は、硬
化剤が重合体(a)中に取り込まれ、いわば被覆された
状態になっているものである。重合体(a)で被覆され
る硬化剤としては、UV硬化剤等の種々の化合物を適宜
選択して使用することができるが、中でも、官能基を分
子中に2個以上有する化合物(b)が特に好ましい。つ
まり、化合物(b)中の官能基が粉体塗料の構成成分で
ある樹脂成分中の官能基と反応することによって、樹脂
成分が架橋し、塗膜が形成されるものである。
【0011】すなわち、塗膜を形成するための樹脂成分と、
化合物(b)が重合体(a)で被覆されている本発明の
粉体塗料用硬化剤とを混合して粉体塗料を製造した場
合、これら樹脂成分と化合物(b)とが粉体塗料中で直
接接触する比率を下げることができるので、耐固相反応
性を向上させることが可能となるものである。また、塗
膜形成時には、この樹脂成分と重合体(a)とが溶融・
混合するので、架橋反応が損なわれることも少なく、塗
膜の外観に優れた塗膜を形成できるものである。
【0012】ここで、本発明の粉体塗料用硬化剤において
は、化合物(b)が、重合体(a)によって完全に被覆
された状態である必要はなく、本発明の効果を損ねない
範囲で、一部の官能基が硬化剤の表面に存在していても
良いものである。
【0013】本発明の粉体塗料用硬化剤と樹脂成分それぞれ
が有する官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボ
キシル基、酸無水物基、水酸基、アミノ基等から選ばれ
る1種とエポキシ基、イソシアネート基等から選ばれる
1種との組み合わせがあるが、形成される塗膜の耐候
性、耐酸性、耐食性の点からカルボキシル基とエポキシ
基との組み合わせが好ましい。中でも、カルボキシル基
を有する硬化剤と、エポキシ基を有する樹脂成分との組
み合わせが、特に好ましい。
【0014】本発明の粉体塗料で使用される樹脂成分として
は、塗膜を形成できるものであれば特に限定されるもの
ではないが、塗膜の外観、耐候性の点からビニル系共重
合体(A)が好ましく、中でも、アクリル系共重合体が
特に好ましい。ビニル系共重合体(A)は、ビニル系単
量体を重合することにより得ることができる。
【0015】このビニル系単量体としては、例えば、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)
アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−
プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)
アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレー
ト、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メ
タ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレー
ト、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ア
リル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アル
キルエステル、スチレン、o−メチルスチレン、m−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレ
ン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、
p−n−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p
−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、
p−n−ノニルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、
p−フェニルスチレン等のスチレン系単量体、マレイン
酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチ
ル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジ
ブチル等の不飽和脂肪族二塩基酸ジアルキルエステル、
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレ
イン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチ
ル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビ
ニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸単量体、
グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル
(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテル、オ
キソシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエ
ポキシ基含有ビニル系単量体、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アク
リレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のグ
リコールジ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)
アクリロニトリル、ベンジル(メタ)アクリレート、ア
クリルアミド等を挙げることができる。これらは必要に
応じて、1種以上を適宜選択して使用することができる
が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン系
単量体、およびエポキシ基含有ビニル系単量体を必須成
分とするのが好ましい。
【0016】(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、形成
される塗膜に優れた外観や耐候性を付与させることがで
きるものであり、ビニル系共重合体(A)の構成成分と
なるビニル系単量体の5〜70質量%の範囲で使用する
のが好ましい。好ましくは、10〜60質量%の範囲で
ある。
【0017】(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして
は、上述のものを必要に応じて適宜選択することができ
るが、中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレー
ト、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレー
ト、i−プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘ
キシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリ
レート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル
(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリ
レート、イソボルニル(メタ)アクリレートが好まし
い。
【0018】スチレン系単量体は、形成される塗膜に優れた
耐酸性や外観を付与させることができるものであり、ビ
ニル系共重合体(A)の構成成分となるビニル系単量体
の5〜50質量%の範囲で使用するのが好ましい。これ
は、5質量%以上とすることによって、塗膜の耐酸性や
外観の向上の効果が顕著となる傾向にあり、50質量%
以下とすることによって、塗膜の耐候性が良好になる傾
向にあるためである。好ましくは、10〜40質量%の
範囲である。
【0019】スチレン系単量体としては、上述のものを必要
に応じて適宜選択することができるが、中でもスチレン
が好ましい。
【0020】エポキシ基含有ビニル系単量体は、例えば、カ
ルボキシル基を有する硬化剤との組み合わせにより、形
成される塗膜に架橋構造を導入し、形成される塗膜に優
れた耐食性や硬度を付与させることができるものであ
り、ビニル系共重合体(A)の構成成分となるビニル系
単量体の25〜70質量%の範囲で使用するのが好まし
い。これは、25質量%以上とすることによって、塗膜
の耐食性や硬度の向上の効果が顕著となる傾向にあり、
70質量%以下とすることによって、粉体塗料の貯蔵安
定性や、塗膜の外観が良好になる傾向にあるためであ
る。好ましくは、30〜55質量%の範囲である。
【0021】エポキシ基含有ビニル系単量体としては、上述
のものを必要に応じて適宜選択することができるが、中
でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0022】ビニル系共重合体(A)の製造方法は、特に限
定されるものではなく、懸濁重合法、溶液重合法、塊状
重合法等の重合方法で製造することができる。
【0023】重合開始剤は、特に限定されるものではなく、
適宜選択して使用することができる。例えば、t−ブチ
ルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過酸化ラウ
リル、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、2,2’−アゾ
ビスイソブチロニトリル、2,2‘−アゾビス(2−メ
チルブチロニトリル)等のアゾ系化合物が挙げられる。
これら重合開始剤は、1種または2種以上を組み合わせ
て使用することができる。
【0024】また、必要に応じて連鎖移動剤を使用すること
ができる。連鎖移動剤としては、n−ドデシルメルカプ
タン、n−オクチルメルカプタン、2−エチルヘキシル
チオグリコール酸エステル、チオフェノール、α−メチ
ルスチレンダイマー等が挙げられる。これら連鎖移動剤
は、1種または2種以上を組み合わせて使用することが
できる。
【0025】本発明の粉体塗料用硬化剤を構成する化合物
(b)は、上述の樹脂成分が有する官能基と反応して架
橋構造を形成するものである。この化合物は、樹脂成分
の官能基の種類に応じて適宜選択されるものであるが、
カルボキシル基を有するものが特に好ましい。これは、
本発明の粉体塗料用硬化剤がカルボキシル基を有し、こ
れとともに使用される樹脂成分がエポキシ基を有するも
のである場合が、形成される塗膜の外観、耐候性、耐食
性に優れる傾向にあるためである。
【0026】カルボキシル基を分子中に2個以上有する化合
物としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリ
ン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ
ン二酸、エイコサン二酸、マレイン酸、シトラコン酸、
イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸等の脂肪族二塩基酸
又はこれらのエステル化合物あるいは酸無水物、フタル
酸、イソフタル酸等の芳香族二塩基酸又はこれらのエス
テル化合物あるいは酸無水物、クエン酸、トリメリット
酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸等の多塩
基酸又はこれらのエステル化合物あるいは酸無水物等を
挙げることができる。これらは、必要に応じて適宜選択
して使用することができる、中でも、脂肪族二塩基酸又
はこれらのエステル化合物あるいは酸無水物が好まし
い。
【0027】本発明の粉体塗料用硬化剤を構成する重合体
(a)は、特に限定されるものではないが、形成される
塗膜の外観や耐候性の点からビニル系共重合体が好まし
く、中でもアクリル系共重合体が特に好ましい。
【0028】重合体(a)は、上述のビニル系共重合体
(A)と同様な重合方法で得ることができ、同様なビニ
ル系単量体を構成成分として使用することができるが、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル、およびスチレン
系単量体を必須成分とするのが好ましい。
【0029】(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、形成
される塗膜に優れた外観や耐候性を付与することができ
るものであり、重合体(a)の構成成分となるビニル系
単量体の5〜90質量%の範囲で使用するのが好まし
い。好ましくは、20〜85質量%の範囲である。
【0030】(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして
は、上述のものを必要に応じて適宜選択することができ
るが、塗膜の外観の点からメチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)
アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−
ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)ア
クリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、2−
エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート
が好ましい。
【0031】スチレン系単量体は、形成される塗膜に優れた
耐酸性や外観を付与させることができるものであり、重
合体(a)の構成成分となるビニル系単量体の5〜50
質量%の範囲で使用するのが好ましい。これは、5質量
%以上とすることによって、塗膜の耐酸性や外観の向上
の効果が顕著となる傾向にあり、50質量%以下とする
ことによって、塗膜の耐候性が良好になる傾向にあるた
めである。好ましくは、10〜40質量%の範囲であ
る。
【0032】スチレン系単量体としては、上述のものを必要
に応じて適宜選択することができるが、中でもスチレン
が好ましい。
【0033】化合物(b)と架橋構造を形成可能な単量体を
重合体(a)の構成成分として使用することは可能であ
るが、耐固相反応性や塗膜外観を考慮すると、この使用
量は、重合体(a)の構成成分となるビニル系単量体中
15質量%以下、好ましくは10質量%以下であること
が好ましい。
【0034】本発明の粉体塗料用硬化剤を構成する、化合物
(b)と重合体(a)との比率(質量比)は、塗膜の耐
候性の点から1/3以上が好ましく、より好ましくは1
/2以上であり、粉体塗料の耐固相反応性(長期の貯蔵
安定性)および塗膜の外観の点から1/0.1以下が好
ましく、より好ましくは1/0.5以下である。
【0035】本発明の粉体塗料用硬化剤は、例えば、化合物
(b)と重合体(a)を含有する有機溶剤溶液から溶剤
を除去したり、化合物(b)と重合体(a)を予備混合
した後、2軸押出機を用いて溶融混練する等によって得
ることができる。
【0036】本発明の粉体塗料中の樹脂成分と硬化剤との比
率は、樹脂成分中の官能基と硬化剤中の官能基の当量比
が1/2〜2/1の範囲であることが好ましい。好まし
くは、2/3〜3/2の範囲である。
【0037】本発明で使用される樹脂成分と重合体(a)の
ガラス転移温度(Tg)は、粉体塗料の耐ブロッキング
性の点で40℃以上が好ましく、さらに好ましくは45
℃以上であり、塗膜の外観の点で90℃以下が好まし
く、さらに好ましくは80℃以下である。
【0038】なお、このガラス転移温度は、下記のFoxの
式で計算した温度(K)を(℃)に換算した数値であ
る。
【0039】1/Tg=Σ(Wi/Tgi) (Wiはモノマーiの質量分率、Tgiはモノマーiの
ホモポリマーのTgを示す。)
【0040】本発明で使用される樹脂成分と重合体(a)の
重量平均分子量(Mw)は、耐ブロッキング性、耐食性
の点で2000以上であることが好ましく、さらに好ま
しくは3000以上であり、塗膜の外観の点で3000
0以下が好ましく、さらに好ましくは20000以下で
ある。
【0041】本発明の粉体塗料は、必要に応じて顔料、可塑
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ワキ防止剤、顔料分散
剤等の改質剤を、本発明の効果を損なわない範囲でブレ
ンドして用いることができる。
【0042】本発明の粉体塗料の製造方法としては、樹脂成
分や硬化剤等の構成成分を予備混合、溶融混練、粉砕、
分級する方法、溶液状態で混合した後、スプレードライ
法で粉末にする方法等を挙げることができる。
【0043】本発明の粉体塗料の塗装方法は、特に限定され
るものではないが、例えば、静電スプレー法、流動浸漬
法が挙げられる。また、塗装される被塗物としては、例
えば、金属、ガラス、耐熱性プラスチック等が挙げられ
る。
【0044】塗装体の焼き付け温度は、一般的に120〜2
00℃の範囲で行われ、焼き付け時間は5〜30分の範
囲である。
【0045】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。実施例および比較例における部は質量部を示す。
なお、本実施例において、被塗物は特記しないかぎりア
ルミニウム板(太佑機材株式会社製 A5052P)を
用いた。
【0046】また、実施例および比較例における物性の評価
は次の方法を用いて行った。
【0047】(1)Tg:Foxの式による計算値
【0048】(2)Mw:テトラヒドロフラン可溶分につい
て、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー
(株)製、HCL−8020)を用いて測定を行い、ポ
リスチレン換算した値をMw)とした。
【0049】(3)外観 塗膜表面の平滑性と光沢で評価した。
【0050】(3−1)平滑性 塗膜表面の平滑性を目視外観にて以下の基準で評価し
た。
【0051】 ◎:極めて良好である ○:良好であり、実用レベルである △:辛うじて実用レベルである ×:不良であり、実用レベルを下回る
【0052】(3−2)光沢 ボンデライト#144ダル鋼板(日本テストパネル工業
製)上に粉体塗料を塗装し焼き付けた塗板表面の鏡面光
沢(60°グロス)を、光沢計VGS−2000(日本
電色工業製)を用いて測定した。
【0053】(4)耐ブロッキング性 塗料10gをサンプル瓶にいれ、40℃で1週間放置し
た後の凝集状態を、下記の基準で評価した。
【0054】 ◎:ブロッキングはみられず、極めて良好である ○:弱いブロッキングが若干みられるのみで、十分に実
用レベルである △:ブロッキングがみられるが、辛うじて実用レベルで
ある ×:著しくブロッキングし、実用レベルを下回る
【0055】(5)硬度 JIS K−5400に準拠して塗膜を鉛筆こすり法に
て評価し、塗膜が傷つかない最も硬い鉛筆を以て硬度と
した。
【0056】(6)付着性(碁盤目テープ剥離試験) JIS K−5400に準拠し、塗膜にすきま間隔1m
mでます目100ます碁盤目状にカッターで傷を付けセ
ロハン粘着テープを用いた剥離試験を行い、塗板に付着
している塗膜のます目の数を目視で観察した。
【0057】(7)耐食性 塩水噴霧試験(温度35℃)を1200時間行い、その
後の塗膜の状態を下記の基準で評価した。
【0058】 ○:塗膜に異常なし △:部分的に糸錆が見られるが、実用上問題なし。 ×:一様に糸錆が見られ、実用に耐えない。
【0059】(8)貯蔵安定性(耐固相安定性) 塗料10gをサンプル瓶にいれ、35℃で1ヶ月放置前
後の塗料の硬化反応時の溶融粘度の変化を、レオメータ
ー試験機により評価した。
【0060】 ◎:溶融粘度挙動に変化無し。実用上問題なし。 ○:溶融粘度が若干上昇。実用上問題なし。 △:溶融粘度が上昇。辛うじて実用レベル。 ×:溶融粘度が大きく上昇。塗料のゲル化が進行してお
り実用に耐えない。
【0061】(9)耐候性 塗板を促進耐候性試験機(QUV)に入れて、1500
時間後の塗膜表面の変化を光沢値の変化として評価し
た。
【0062】 ○:塗膜の光沢値が初期と比べてほとんど低下せず、実
用上問題なし。 △:塗膜の光沢値が初期と比べて若干低下しているが、
実用上問題なし。 ×:塗膜の光沢値が初期と比べて著しく低下し、実用に
耐えない。
【0063】[樹脂Aの調製] <樹脂A−1の調製例>トルエン85部を反応器中に仕
込み、窒素ガスを吹き込みながら105℃に加温し、ス
チレン13部、グリシジルメタクリレート37部、メチ
ルメタクリレート50部、2,2‘−アゾビス(2−メ
チルブチロニトリル)2部からなる単量体と開始剤の混
合物とを3時間で滴下し、30分間保温した。次いで、
15分毎にアゾビスイソブチロニトリル0.1部を5回
添加し、1時間保温して重合を完結させた。130℃の
加熱減圧下で溶剤を除去して得られた樹脂を粉砕機で粉
砕し、樹脂A−1を得た。A−1の樹脂特性値を表1に
示す。
【0064】<樹脂A−2〜A−4の調製例>樹脂A−1の
組成を表1に示す様な割合に変更する以外は樹脂A−1
と同様にして樹脂A−2〜A−4を調製した。それぞれ
の樹脂特性値を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】St:スチレン、GMA:グリシジルメタクリ
レート、MGMA:メチルグリシジルメタクリレート、
MMA:メチルメタクリレート、AMBN(重合開始
剤):2,2‘−アゾビス(2−メチルブチロニトリ
ル) Tg:ガラス転移温度、Mw:重量平均分子量
【0067】[樹脂aの調製] <樹脂a−1の調製例>トルエン85部を反応器中に仕
込み、窒素ガスを吹き込みながら105℃に加温し、ス
チレン25部、グリシジルメタクリレート10部、メチ
ルメタクリレート30部、n―ブチルメタクリレート3
5部、2,2‘−アゾビス(2−メチルブチロニトリ
ル)3.5部からなる単量体と開始剤の混合物とを3時
間で滴下し、30分間保温した。次いで、15分毎にア
ゾビスイソブチロニトリル0.1部を5回添加し、1時
間保温して重合を完結させ、樹脂a−1のトルエン溶液
を得た。これを、130℃の加熱減圧下で3時間溶剤を
除去し、得られた樹脂を粉砕機で粉砕することで、樹脂
a−1を得た。樹脂a−1の樹脂特性値を表2に示す。
【0068】<樹脂a−2〜a−7の調製例>樹脂a−1の
組成を表2に示す様な割合に変更する以外は、樹脂a−
1の調製例と同様にして樹脂a−2〜a−7を調製し
た。樹脂a−2〜a−7の樹脂組成値を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】St:スチレン、GMA:グリシジルメタクリ
レート、MGMA:メチルグリシジルメタクリレート、
MMA:メチルメタクリレート、AMBN(重合開始
剤):2,2‘−アゾビス(2−メチルブチロニトリ
ル)、カヤエステルO(重合開始剤):t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキサノエート Tg:ガラス転移温度、Mw:重量平均分子量
【0071】<硬化剤B−1の調製例>ドデカン二酸(硬化
剤b)と樹脂a−1を表3に示す割合でヘンシェルミキ
サーを用いて予備混合後、2軸押出機S−1 KRC
KNEADER(栗本鐵工所社製)を用いて100〜1
20℃で20g/分の割合で溶融混練し、これを粗粉砕
し、硬化剤B−1を得た。
【0072】<硬化剤B−2〜B−12の調製例>樹脂aを
表3に示す樹脂に変更し、表3に示す割合で予備混合す
る以外は硬化剤B−1の調製例と同様にして硬化剤B−
2〜B−12を調製した。
【0073】
【表3】
【0074】[実施例1]樹脂A−1を60部、硬化剤B−
1を40部、チヌビン900(紫外線吸収剤)を2部、
チヌビン144(光安定剤)を1部、モダフローPOW
DERIII(レベリング剤)を1部、ベンゾイン(消泡
剤)を0.5部を予備混合後、2軸押出機S−1 KR
C KNEADER(栗本鐵工所社製)を用いて100
℃〜120℃で20g/分の割合で溶融混練し、これを
粗粉砕した後、ラボジェットミル(日本ニューマチック
製)を用いて微粉砕を行い、分級することにより、平均
粒径20μmの、実施例1に記載の粉体塗料を得た。得
られた粉体塗料を用いてアルミニウム板、ボンデライト
鋼板に粉体塗装を行い、160℃で20分間焼き付け、
塗膜を得た。その塗膜の評価結果を表4に示す。
【0075】[実施例2〜実施例7]実施例2〜実施例7の
配合例を表4に示す。樹脂A−1〜A−4および硬化剤
B−1〜B−7を用いて、表4に示す様な割合で配合す
る以外は、実施例1と同様にしてそれぞれの塗膜を得
た。それぞれの塗膜の評価結果を表4に示す。
【0076】
【表4】
【0077】実施例1〜7に示す様に、本発明の範囲におい
ては、塗膜の外観、耐ブロッキング性、貯蔵安定性は共
に良好な結果を示した。
【0078】[実施例8〜11、比較例1]実施例8〜1
1、比較例1の配合例を表5に示す。樹脂A−2および
硬化剤B−8〜B−12を用いて、表5に示す様な割合
で配合する以外は、実施例1と同様にしてそれぞれの塗
膜を得た。それぞれの塗膜の評価結果を表5に示す。
【0079】
【表5】
【0080】実施例8〜11に示すように、本発明の範囲に
おいては、塗膜の外観、耐ブロッキング性、貯蔵安定性
は共に良好な結果を示した。
【0081】一方、比較例1に示すように、硬化剤(B)を
構成する硬化剤(b)が重合体(a)に被覆されていな
い場合、塗料の貯蔵安定性が不良である結果を示した。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、優れた長期の貯蔵安定
性や耐ブロッキング性を有するとともに、平滑性や光沢
等に優れた塗膜を形成する粉体塗料を提供することがで
き、工業上極めて有益である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬化剤が重合体(a)で被覆されている
    ことを特徴とする粉体塗料用硬化剤。
  2. 【請求項2】 重合体(a)がビニル系共重合体である
    ことを特徴とする、請求項1記載の粉体塗料用硬化剤。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の粉体塗料用硬化剤を含有
    する粉体塗料。
  4. 【請求項4】 さらに、ビニル系共重合体(A)を含有
    することを特徴とする、請求項3記載の粉体塗料。
  5. 【請求項5】 ビニル系共重合体(A)がエポキシ基を
    有することを特徴とする、請求項4記載の粉体塗料。
  6. 【請求項6】 ビニル系共重合体(A)が、エポキシ基
    含有ビニル系単量体を25〜70質量%含有する単量体
    混合物を重合して得られるものであることを特徴とす
    る、請求項5記載の粉体塗料。
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