JP2001113642A - 化粧シート及び転写シート並びにそれらを使用した化粧方法 - Google Patents

化粧シート及び転写シート並びにそれらを使用した化粧方法

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JP2001113642A JP29932699A JP29932699A JP2001113642A JP 2001113642 A JP2001113642 A JP 2001113642A JP 29932699 A JP29932699 A JP 29932699A JP 29932699 A JP29932699 A JP 29932699A JP 2001113642 A JP2001113642 A JP 2001113642A
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Masahiro Yamazoe
眞宏 山添
Hitoshi Suzuki
仁 鈴木
Toshiyuki Kojima
豪志 児島
Yumiko Tsuruta
由美子 鶴田
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】メンブレンプレス成形を利用した化粧方法に使
用するための化粧シート及び転写シートにおいて、局所
的な伸びによる柄伸び、白化、艶ムラ等の発生を効果的
に防止することのできる化粧シート及び転写シート、及
びそれらを使用した化粧方法を提供する。 【解決手段】化粧シートや転写シートの、少なくともメ
ンブレンプレス成形時にメンブレンシートと接触する側
の面に、スリップ剤を含有する層1を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2次元乃至3次元
の立体形状を有する基材の表面にメンブレンプレス成形
により化粧を施すための化粧シート及び転写シート、並
びにそれらを使用してメンブレンプレス成形により2次
元乃至3次元の立体形状を有する基材の表面に化粧を施
す化粧方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】メンブレンプレス成形とは周知の様に、
プラスチックフィルム等の可撓性且つ熱成形性の被成形
シート97を、メンブレンプレス成形装置91の下チャ
ンバ94の載置台95上に載置した成形用型96の上に
展張し、被成形シート97を加熱軟化させた後、下チャ
ンバ94内を排気(真空吸引)すると共に、上チャンバ
92内に圧縮空気を導入し、その圧力を上チャンバ92
の下面に展張されたシリコーンゴム膜等の可撓性のメン
ブレンシート93を介して被成形シート97に作用させ
て、被成形シート97を成形用型96の表面に沿って密
着させることによって、成形用型96の表面の凹凸形状
を忠実に写し取った形状に成形された被成形シート97
を得る技術である(図9)。なお、上チャンバ内に導入
される圧力媒体としては、上記した様に圧縮空気を使用
するのが最も一般的であるが、例えば窒素ガス等の空気
以外の気体や、水又は油等の液体などが使用される場合
もあり、要するに流体であれば良い。
【0003】係るメンブレンプレス成形の技術は、単に
シートを任意の形状に成形する用途に留まらず、基材へ
の直接印刷の困難な、2次元乃至3次元の立体形状を有
する基材の表面への、印刷等による鮮明な絵柄の付与方
法としても、既に広く利用されている。すなわち、上記
した被成形シート97として、予め印刷等による鮮明な
絵柄を付与した化粧シートや転写シートを使用し、一
方、上記した成形用型の代わりに、予め所望の形状に成
形された被化粧用の基材を使用することによって、基材
の表面形状に沿ってラミネートされた化粧シートの絵
柄、或いは、基材の表面形状に沿って転写された絵柄に
よる、鮮明な意匠が付与された化粧成形体を得ることが
できる訳である。係る化粧方法は、例えば家具や建具、
造作部材等の建築材料や、車両・航空機・船舶等の内外
装材、包装容器類、玩具や機械装置類の外面装飾等の用
途などに、広く採用されている。
【0004】メンブレンプレス成形用の真空成形装置
は、例えば設定加熱温度、メンブレンシート加熱時間、
被成形シート加熱時間、真空吸引圧、プレス圧(圧縮空
気の圧力)等の成形条件を種々に変更可能に設計されて
いるのが一般的である。そして、実際にメンブレンプレ
ス成形の作業を行うにあたっては、被成形シートの材質
や軟化温度、硬度、厚み、大きさや、成形用型(被化粧
用基材)の形状や大きさ、熱容量等を勘案しつつ、最適
な成形条件を選定して成形作業が行われている。また、
上記した諸条件のみによっては最適な成形条件が得られ
ない場合には、成形用型(被化粧用基材)の周囲の適宜
の位置に適宜の形状の治具を設置することによって、被
成形シートの成形性を調整し、最適な成形条件を得る方
法なども、作業の実情に合わせて種々工夫して行われて
いる。
【0005】メンブレンプレス成形を利用して2次元乃
至3次元の立体形状を有する基材の表面に化粧を施すに
あたり、良好な意匠性を有する化粧成形体を得るために
は、成形時に被成形シートが局所的に過度に引き伸ばさ
れることのない様に配慮する必要がある。被成形シート
である化粧シートや転写シートが局所的に過度に引き伸
ばされると、印刷等による絵柄が引き伸ばされて変形し
たり色が薄くなったり、印刷の網点が目立ってザラツキ
感が現れたりするからである。また、係る局所的な過度
の伸びによって、化粧シートの場合にあっては支持体や
その表面に設けられた表面保護層、転写シートの場合に
あっては絵柄層の外面側に設けられる保護層や剥離層等
に、白化や表面の艶ムラ等が発生することがあり、これ
らも印刷等によって設けられた折角の鮮明な意匠の価値
を損なう原因となる。
【0006】殊に、近年ポリ塩化ビニル樹脂の燃焼時の
有毒物質(塩素ガス、塩化水素ガス、ダイオキシン類
等)の発生問題が社会問題化するにつれて、従来のポリ
塩化ビニル樹脂系の化粧シートや転写シートに替えて、
例えばポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエ
ステル系樹脂等の塩素を含有しない樹脂からなる化粧シ
ートや転写シートの利用が増加しつつあるが、これらは
ポリ塩化ビニル樹脂と同等の優れた熱成形性が実現され
たものではないことから、各種の成形条件を適宜工夫し
ても、局所的な伸びによる柄伸び、白化、艶ムラ等の問
題を完全に解決することは極めて困難であるのが実情で
あった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記の問題点を解決すべくなされたものであっ
て、その課題とするところは、メンブレンプレス成形を
利用した化粧方法に使用するための化粧シート及び転写
シートにおいて、局所的な伸びによる柄伸び、白化、艶
ムラ等の発生を効果的に防止することのできる化粧シー
ト及び転写シートを提供し、更に併せて、それらを使用
した化粧方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、少なくとも最表面にスリップ剤を含有する
層を具備することを特徴とするメンブレンプレス成形用
化粧シートを提供する。
【0009】また本発明は、被化粧基材上に化粧シート
を載置し、該化粧シート面側から可撓性のメンブレンシ
ートを介して流体圧を作用させて積層することによる、
メンブレンプレス成形を利用した化粧方法において、前
記化粧シートとして、少なくとも最表面にスリップ剤を
含有する層を具備する化粧シートを使用することを特徴
とする化粧方法を提供する。
【0010】また本発明は、支持体の表面に転写層を具
備する転写シートにおいて、前記支持体の少なくとも最
裏面にスリップ剤を含有する層を具備することを特徴と
するメンブレンプレス成形用転写シートを提供する。
【0011】また本発明は、被化粧基材上に、支持体の
表面に転写層を具備する転写シートを、その転写層側の
面を被化粧基材側に向けて載置し、前記支持体の裏面側
から可撓性のメンブレンシートを介して流体圧を作用さ
せて、転写シートを被化粧基材に密着させて転写するこ
とによる、メンブレンプレス成形を利用した化粧方法に
おいて、前記転写シートとして、前記支持体の少なくと
も最裏面にスリップ剤を含有する層を具備する転写シー
トを使用することを特徴とする化粧方法を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面に基づき詳細に説明する。図1〜6はそれぞれ本発明
の化粧シートの実施の形態を示す側断面図、図7及び図
8はそれぞれ本発明の転写シートの実施の形態を示す側
断面図である。
【0013】図1に示す化粧シートは、プラスチックフ
ィルム等からなる支持体2の表面に、印刷形成された絵
柄層3と、スリップ剤含有層1としてのスリップ剤が添
加された表面保護層とが、順次設けられて構成されたも
のである。
【0014】支持体2は、メンブレンプレス成形可能な
可撓性や熱成形性を備えた材質からなるフィルム状乃至
シート状体であれば何でも良いが、従来のメンブレンプ
レス成形用化粧シートにおけるそれと同様に、熱可塑性
樹脂フィルムを使用することが最も望ましい。
【0015】具体的には、例えばポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオ
レフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチ
レン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)
アクリル酸(エステル)共重合体等のオレフィン系共重
合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
テレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカ
ーボネート、ポリアリレート等のポリエステル系樹脂、
ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリ
メタクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ポリスチレ
ン、AS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、6−ナ
イロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等のポ
リアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、エチレ
ン−テトラフロロエチレン共重合体等のハロゲン系樹脂
等、或いはこれらから選ばれる2種以上の混合物、複合
体、積層体等を使用することが望ましい。
【0016】但し、近年頓に社会的に関心が高まりつつ
ある環境問題への対応を考慮すると、ポリ塩化ビニル樹
脂等のハロゲン系樹脂の使用はあまり好ましいものとは
言えず、塩素等のハロゲン元素を含有しない非ハロゲン
系の樹脂を使用することが好ましい。中でも、メンブレ
ンプレス成形用素材としての柔軟性や熱成形性等の加工
適性や、耐候性、価格等の各種の側面から見て、ポリオ
レフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂
等が好適である。
【0017】上記オレフィン系樹脂として具体的には、
例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−
1、ポリ−4−メチルペンテン−1等のホモポリマーや
それらの混合物等を使用することができ、ポリプロピレ
ンであればホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレ
ン、ブロックポリプロピレン等を適宜配合したり、それ
らに更にアタクチックポリプロピレンを適宜添加した樹
脂等を使用することができる。また、複数種類のオレフ
ィン単量体の共重合体であっても良く、例えばポリプロ
ピレン系共重合体であれば、プロピレン以外の炭素数2
〜20のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン
−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1又はオク
テン−1、のコモノマーの1種又は2種以上を15モル
%以上共重合させたプロピレン−α−オレフィン共重合
体や、これに更に例えばエチレン−α−オレフィン共重
合体、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−
プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム等の改質剤を適
宜添加した樹脂組成物等を使用することができる。
【0018】一方、上記ポリエステル系樹脂としては、
例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレー
ト、ポリカーボネート等の他、ジカルボン酸又はジカル
ボン酸エステルとジオールとの縮合重合反応において、
例えばテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香
族ジカルボン酸及び/又は例えばシクロヘキサンジカル
ボン酸等の脂環族ジカルボン酸と、例えばエチレングリ
コール、1,4−ブタンジオール等の脂肪族ジオール及
び/又は例えばシクロヘキサンジメタノール等の脂環族
ジオールとを使用してなる硬い構造単位と、ジオールと
して例えばポリエチレングリコール、ポリテトラメチレ
ングリコール等の両末端に水酸基を有するポリエーテル
系ジオールを使用し、及び/又は、ジカルボン酸として
例えばセバシン酸、エイコ酸、ドデカンジオン酸、ダイ
マー酸等の脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカル
ボン酸を使用してなる柔らかい構造単位との−(A−
B)−n型のブロック共重合体からなり熱可塑性エラス
トマーの性質を示す共重合ポリエステル樹脂等を使用す
ることができる。
【0019】また、上記アクリル系樹脂としては、例え
ばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル
酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル及び/又はメタ
クリル酸エステル等のアクリル酸誘導体を主成分として
単独又は共重合して得られる熱可塑性樹脂であって、特
に好ましくはメチルメタクリレート等のメタクリル酸エ
ステルを主成分とする樹脂であって、柔軟性や熱成形性
の改善を目的として、例えばメタクリル酸ブチル等のメ
タクリル酸の長鎖アルキルエステルや、アクリル酸メチ
ル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸又はアクリル
酸等から選ばれる単量体成分を共重合成分として添加
し、更に必要に応じて物性改善等の目的で、例えばスチ
レン、メチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビ
ニル化合物や、酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビ
ニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル化合物、
エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1等の
α−オレフィン単量体、イソプレン、ブタジエン等のジ
エン化合物等から選ばれる適宜の共重合成分を適宜添加
した樹脂組成物等を使用することができる。
【0020】支持体2を構成する熱可塑性樹脂には、必
要に応じて例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定
剤、熱安定剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、
防黴剤、界面活性剤、着色剤、充填剤等の従来公知の各
種の添加剤から選ばれる1種以上を適宜添加することも
できる。
【0021】支持体2の厚さには特に制限はなく、従来
の同種の化粧シートにおけるそれと同様の範囲から選ぶ
ことができる。具体的には、概ね10〜500μm程度
の範囲であり、中でも50〜300μm程度の範囲が最
も一般的である。
【0022】絵柄層3は、被化粧基材の表面に付与すべ
き所望の任意の意匠を印刷等により表現したものであ
る。その材質や形成方法(印刷方式)には特に制限はな
いが、少なくともメンブレンプレス成形時の支持体2の
伸びに追従可能な柔軟性を備えている必要があり、ウレ
タン系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、繊維素誘
導体等を展色剤とする印刷インキを使用することが望ま
しい。なお、支持体2が少なくとも絵柄層3を透視可能
な程度の透明性を備えている場合には、絵柄層3は支持
体2の裏面側に設けることもできる(図2)し、支持体
2の両面に設けても勿論差し支えない。また、化粧シー
トに隠蔽性が要求される場合には、絵柄層3の裏面側に
隠蔽ベタ印刷層を設けることもできる。
【0023】スリップ剤含有層1は、本発明の化粧シー
トの表面に、メンブレンプレス成形装置における流体圧
賦課用のメンブレンシートとの間でのスリップ性を付与
する目的で設けられるものである。この層は、スリップ
剤自体が膜形成性を有している場合には、スリップ剤の
みから構成される層であっても良い。しかしながら、一
般的には、化粧シート表面に要求される表面物性の問題
や、膜形成性がなくてもスリップ効果に優れたスリップ
剤の適用性などを考慮して、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹
脂又は電離放射線硬化性樹脂等の適宜の膜形成性バイン
ダー樹脂の内部にスリップ剤が添加分散されたものが好
適に採用される。
【0024】バインダー樹脂の種類には特に制限はない
が、熱可塑性樹脂としては前述した支持体2を構成する
熱可塑性樹脂として挙げた各種の熱可塑性樹脂から適宜
選択して使用することができる。熱硬化性樹脂として
は、例えばメラミン系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系
樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ジアリルフタレート系
樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、エ
ポキシ系樹脂等が挙げられるが、中でもアクリルポリオ
ールを主剤としイソシアネート硬化剤を添加して硬化さ
せる2液硬化型アクリルウレタン系樹脂が、塗膜硬度や
耐磨耗性、成形加工適性等の点で最も適している。電離
放射線硬化性樹脂としては、例えばメラミン(メタ)ア
クリレート系樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート系樹
脂、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、ポリエステ
ル(メタ)アクリレート系樹脂、ポリオール(メタ)ア
クリレート系樹脂、ポリエーテル(メタ)アクリレート
系樹脂等が挙げられるが、中でも塗膜硬度や耐磨耗性、
成形加工適性等の点で優れた被膜を与える、ポリウレタ
ン骨格の末端に(メタ)アクリロイル基を有するウレタ
ン(メタ)アクリレート系樹脂を少なくとも使用するこ
とが最も望ましい。
【0025】スリップ剤含有層1に含有させるスリップ
剤としては、例えばパラフィン等の炭化水素類や、金属
石鹸、高級脂肪酸又はその誘導体、高級アルコール類、
フッ素化合物等も使用可能であるが、比較的少量の添加
で効果が大きく各種樹脂との相溶性にも優れるジメチル
ポリシロキサン又はその変性物等のシリコーン系化合物
を使用することが最も望ましい。
【0026】なお、スリップ剤としてバインダー樹脂の
有する官能基と反応して化学的に結合する官能基を有す
る反応性スリップ剤を採用すると、スリップ剤がバイン
ダー樹脂と結合して安定化するため、スリップ剤のブリ
ード喪失によるスリップ効果の経時的な低下がなく、長
期保存しても表面のスリップ性能の安定した化粧シート
を得ることができる利点がある。係る官能基を有する反
応性スリップ剤として具体的には、例えば水酸基やメル
カプト基、加水分解性シリル基、イソシアネート基、エ
ポキシ基、重合性ビニル基又は(メタ)アクリロイル基
等を分子中に導入してなる変性シリコーン系化合物等を
挙げることができる。
【0027】バインダー樹脂中へのスリップ剤の添加量
には特に制限はないが、バインダー樹脂100重量部当
たり0.05重量部に満たないと十分なスリップ効果が
得られず、一方5重量部を越えると、バインダー樹脂と
の相溶性の低下による白化の問題や、表面へのブリード
による汚染の問題、下地との密着性の低下の問題、耐候
性の低下の問題等が発生し易いので、0.05重量部以
上5重量部以下の範囲内から適宜設計するのが良く、中
でも1重量部以上5重量部以下が最も望ましい。
【0028】また、スリップ剤含有層1には上記したス
リップ剤の他、必要に応じて例えば酸化防止剤、紫外線
吸収剤、光安定剤、熱安定剤、可塑剤、帯電防止剤、難
燃剤、抗菌剤、防黴剤、界面活性剤、着色剤、充填剤等
の従来公知の各種の添加剤から選ばれる1種以上を適宜
添加することもできる。
【0029】スリップ剤含有層1の支持体2との積層方
法には特に制限はなく、バインダー樹脂の特性に合わせ
て適宜選択すれば良い。例えば、バインダー樹脂が液状
の塗料として供給されるものであれば、スリップ剤を添
加攪拌して常法により支持体2上に塗工する方法や、別
体の離型シート上に塗工して乾燥させたものを支持体2
上に転写させる方法などが採用できる。また、熱可塑性
樹脂であれば、スリップ剤を添加混練してフィルム状乃
至シート状に成形したものをドライラミネート法、ウェ
ットラミネート法、熱ラミネート法、サンドラミネート
法等の適宜のラミネート法で積層する方法や、スリップ
剤を添加混練したものを加熱溶融してフィルム状乃至シ
ート状に押し出すと同時に積層するエクストルーダーラ
ミネート法、支持体2の押し出し成形と同時に押し出し
て積層させる共押し出しラミネート法などを採用するこ
とができる。
【0030】スリップ剤含有層1の厚さには特に制限は
ないが、十分なスリップ効果を与える為には、少なくと
も1μm以上とすることが望ましく、耐磨耗性等を考慮
すると、3μm以上とすることがより望ましい。上限
は、熱可塑性樹脂をバインダー樹脂とする場合には30
0μm以下、より望ましくは100μm以下とするのが
良く、熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性樹脂をバイン
ダー樹脂とする場合には20μm以下、より望ましくは
10μm以下とするのが良い。
【0031】スリップ剤含有層1は、全面に平面的にベ
タ状に設けられていることが最も望ましいことは言うま
でもないが、例えば水玉模様状、万線状、格子状、木目
導管状又はネガ導管状等、任意の模様状に設けられてい
ても、それなりにスリップ効果を発揮することができ
る。但し、スリップ剤含有層1の面積率が低過ぎると、
メンブレンプレス成形時にスリップ剤含有層1の隙間部
分がメンブレンシートに接触する面積が大きい為に、十
分なスリップ効果が得られない場合があるので、スリッ
プ剤含有層1の面積率を十分に確保できる模様を選択す
る必要がある。また特に、スリップ剤含有層1が厚く、
しかもその端面が切り立っていると、端面の角がメンブ
レンプレス成形時にメンブレンシートに食い込んでスリ
ップ効果を減殺してしまうことがあるので、スリップ剤
含有層1の端面の角を極力滑らかな形状とすることが望
ましい。
【0032】支持体2として、透明であってなお且つス
リップ剤の添加が可能な材質を使用する場合には、支持
体2自体にスリップ剤を添加してスリップ剤含有層1を
兼ねさせ、その裏面に絵柄層3を形成した構成とするこ
ともできる(図3)。但し、この形態の化粧シートは、
特に支持体2の厚みが厚い場合には、スリップ剤を大量
に使用する必要があるので高価となる他、支持体2の強
度の低下により化粧シート全体の強度が低下したり、支
持体2の白濁により意匠性が低下したりする場合がある
などの難点があり、必ずしも好ましいものとは言えな
い。
【0033】図4に示す化粧シートは、支持体2上に、
絵柄層3、透明層4及びスリップ剤含有層1が順次設け
られて構成されるものである。この形態の化粧シート
は、例えば、支持体として隠蔽性のプラスチックフィル
ム等を使用することによって、化粧シートに十分な隠蔽
性を持たせつつ、絵柄層3上の透明層4の厚みによって
深み感や塗装感を持たせ、しかもスリップ剤含有層1は
薄くても良いので、スリップ剤含有層1の白濁による意
匠性の低下の問題も回避することができる利点がある。
【0034】透明層4の材質は、少なくとも絵柄層3を
透視可能な程度の透明性を備えた材質であれば特に制限
はなく、例えば支持体2の構成材料として既に挙げたも
のや、スリップ剤含有層1のバインダー樹脂として既に
挙げたものなどを使用することができる。透明層4の厚
みには特に制限はないが、熱可塑性樹脂であれば10〜
200μm程度、より望ましくは30〜100μm程
度、熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂であれば1〜
30μm程度、より望ましくは3〜10μm程度とする
のが良い。なお、この様に透明層4を設けた構成の化粧
シートの場合には、支持体2の厚みは150μm以下と
されるのが一般的であり、通常は50〜100μm程度
の範囲内とすることが望ましい。
【0035】透明層4の形成方法にも一切制限はなく、
例えば支持体2上へのスリップ剤含有層1の積層方法と
して既に挙げた各種の方法などから適宜選択して実施す
ることができる。積層順序も任意であり、まず支持体2
上に透明層4を積層した後にスリップ剤含有層1を積層
しても良いし、逆に、まず透明層4上にスリップ剤含有
層1を積層してから、透明層4の裏面に支持体2を積層
しても良い。なお、透明層4及びスリップ剤含有層1を
共に熱可塑性樹脂を主体として構成する場合には、両者
を共押し出し法により同時に製膜することが、生産性や
層間密着性などの面で最も望ましい。
【0036】本発明の化粧シートには、必要に応じて例
えば木目導管状等の適宜の模様状のエンボス5を表面に
施すことができる。図5に示す化粧シートは、支持体2
上に、絵柄層3及び透明層4を設け、該透明層4にエン
ボス5を施した後、透明層4上にスリップ剤含有層1を
設けてなるものである。エンボス5の形成方法として
は、例えばエンボス版を使用した平面プレスエンボス法
や、エンボスロールを使用したロールエンボス法、押し
出し成形同時エンボス法などが代表的なものであるが、
その他、例えば賦型フィルム法や、エッチング法、感光
性樹脂法、厚膜印刷法、ケミカルエンボス法、機械切削
法等、従来公知の任意の手法を適宜適用することができ
る。また、エンボス5の凹部にワイピング6を施しても
よい。
【0037】透明層4にエンボス5を施した場合には、
スリップ剤含有層1は、図5に示す様にエンボス5の凹
部を含む全面に設けても良いし、図6に示す様に、エン
ボス5の凹部を除く平坦部のみに設けても良い。但し、
いずれの場合にも、エンボス5の凹部の面積率が高過ぎ
たり、エンボス5の凹部の輪郭部においてスリップ剤含
有層1が鋭い角部を成していたりすると、スリップ効果
を減殺する場合があるので、エンボス5の形状の設計に
あたっては注意すべきである。
【0038】本発明の化粧シートの裏面には、必要に応
じて、被化粧基材との接着のために使用する接着剤に対
する接着性を向上させるために、プライマー層(図示せ
ず)を設けておくこともできる。プライマー層として
は、例えばウレタン系、アクリル系、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系等
のプライマー剤を使用することができる。また、例えば
シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の
粉末を添加しておくと、プライマー層の表面が粗面化し
て巻取保存時のブロッキング事故を防止することができ
る他、接着剤の投錨効果によって接着力を向上すること
もできる。
【0039】本発明の化粧方法の第1は、上記したよう
に少なくとも最表面にスリップ剤含有層1を有する化粧
シートを被成形シート97として使用し、例えば図9に
示す様なメンブレンプレス成形装置を使用して、常法に
よりメンブレンプレス成形を行うことにより、成形用型
96を兼ねる被化粧基材の表面に化粧シートを密着積層
させるものである。なお、メンブレンプレス成形の工程
の前に必要に応じて、被化粧基材の表面及び/又は化粧
シートの裏面に接着剤を施すこともできる。
【0040】上記化粧方法により、化粧シートの少なく
ともメンブレンシート93と接触する側の面にスリップ
剤を含有する層が設けられていることによって、化粧シ
ートとメンブレンシート93との間に適度のスリップ性
が確保されるので、成形時に化粧シートがメンブレンシ
ート93に引張られて局所的に過度に引き伸ばされるこ
とがなく、化粧シートの柄伸びや白化、艶ムラ、亀裂等
の欠陥の発生を防止することができる。
【0041】本発明の転写シートは、図7に例示する様
に、メンブレンプレス成形適性を有するプラスチックフ
ィルム等の支持体2の表面に転写層7が設けられる一
方、支持体2の裏面すなわち転写層7とは反対側の面
に、スリップ剤含有層1が設けられて構成されるもので
ある。また、図8に例示する様に、支持体2にスリップ
剤を含有させることによって、支持体2とスリップ剤含
有層1とを兼ねさせた構成とすることもできる。
【0042】本発明の転写シートにおける支持体2やス
リップ剤含有層1の構成材料は、前述した本発明の化粧
シートにおけるそれらと同様であるので、詳細な説明は
省略する。但し、スリップ剤含有層1を含む支持体2の
厚みは、前述した化粧シートの場合よりもやや薄目で、
20〜150μm程度の範囲内から選ばれるのが普通で
あり、中でも50〜100μm程度が最も一般的であ
る。また、支持体2の転写層7と接する側の面には、必
要に応じて、転写層7に対する離型性を確保するための
離型層が設けられていても良い。離型層の材質として
は、他の材料との接着性に乏しい低表面張力の材質が選
ばれ、例えばポリオレフィン系樹脂やシリコーン系樹
脂、フッ素系樹脂等が一般的である。
【0043】転写層7の構成には何ら制限はなく、従来
公知の任意の構成を採用することができる。具体的に
は、保護層及び絵柄層の少なくとも一方が設けられるの
が一般的であり、両者が併設される場合には支持体2側
から順に保護層と絵柄層とが設けられるのが一般的であ
る。なお、転写層7の支持体2と接する側の面には、必
要に応じて、転写層7の支持体2からの剥離性を確保す
るための剥離層を設けることもできる。また、転写層7
の最外面には、必要に応じて、被化粧基材との接着性を
確保するための接着剤層を設けることもできる。なお、
転写層7を構成する全ての層が、メンブレンプレス成形
に堪える柔軟性や熱成形性を備えているべきことは言う
までもない。
【0044】本発明の化粧方法の第2は、上記したよう
に少なくとも最裏面にスリップ剤含有層1を有する転写
シートを被成形シート97として使用し、例えば図9に
示す様なメンブレンプレス成形装置を使用して、常法に
よりメンブレンプレス成形を行うことにより、成形用型
96を兼ねる被化粧基材の表面に転写シートを密着させ
て、転写層7を被化粧基材の表面に転写させるものであ
る。なお、メンブレンプレス成形の工程の前に必要に応
じて、被化粧基材の表面及び/又は転写シートの転写層
上に接着剤を施すこともできる。
【0045】上記化粧方法により、転写シートの少なく
ともメンブレンシート93と接触する側の面にスリップ
剤を含有する層が設けられていることによって、転写シ
ートとメンブレンシート93との間に適度のスリップ性
が確保されるので、成形時に転写シートがメンブレンシ
ート93に引張られて局所的に過度に引き伸ばされるこ
とがなく、被化粧基材の表面に転写される転写層中の絵
柄層の柄伸びや、剥離層、保護層及び/又は絵柄層の白
化、艶ムラ、亀裂等の欠陥の発生を防止することができ
る。
【0046】なお、上記方法に従って転写層が転写形成
された被化粧基材の表面に、必要に応じて、更に塗装を
施したり、再度転写シートを使用して保護層を転写した
り、透明なプラスチックフィルムをメンブレンプレス成
形等によりラミネートする等の任意の手法によって、表
面保護処理を施し、転写された絵柄等の耐久性を更に向
上することもできる。
【0047】
【実施例】以下に本発明の化粧シート、転写シート及び
化粧方法の具体的な実施例及び比較例を挙げて、本発明
を更に詳細に説明する。
【0048】実施例及び比較例 その1 厚さ70μmの着色ポリプロピレン系樹脂フィルム(理
研ビニル工業株式会社製)の表面に、ウレタン樹脂系イ
ンキ(東洋インキ製造株式会社製ラミスター)を使用し
てグラビア印刷法により絵柄層を形成し、更に裏面にウ
レタン樹脂系のプライマーコート層を施した後、印刷面
に2液硬化型ウレタン樹脂系ドライラミネート用接着剤
(東洋モートン株式会社製アドコート)を介して厚さ5
0μmの透明アクリルフィルム(三菱レイヨン株式会社
製HBS006)をドライラミネートし、更に、該透明
アクリルフィルム面に、シリコーン系スリップ剤(ビッ
クケミカル社製BYK306)を添加量を各種変更しつ
つ添加した2液硬化型ウレタン樹脂系トップコート剤
(大日本インキ化学工業株式会社製UCクリヤー)を乾
燥後の塗布量5g/m2に塗工、乾燥養生硬化させて、
実施例1−1〜5及び比較例1のメンブレンプレス成形
用化粧シートを作製した。これらの化粧シートを使用し
て、四方4Rの曲率半径の立体形状を有する木質系基材
の表面に、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を介して、
同一の成形条件にてメンブレンプレス成形により積層し
て仕上がり状態を目視にて検査したところ、結果は下表
の通りであった。但し、スリップ剤添加量は、トップコ
ート剤の固形分100重量部当たりの重量部数である。
【0049】 メンブレンプレス成形結果 スリップ剤添加量 白化 柄伸び 実施例1−1 5重量部 なし なし 実施例1−2 3重量部 なし なし 実施例1−3 1重量部 なし なし 実施例1−4 0.5重量部 やや白化 若干柄伸び 実施例1−5 0.3重量部 やや白化 若干柄伸び 比較例1 0重量部 やや白化 柄伸び顕著
【0050】実施例及び比較例 その2 厚さ70μmの着色ポリプロピレン系樹脂フィルム(理
研ビニル工業株式会社製)の表面に、ウレタン樹脂系イ
ンキ(東洋インキ製造株式会社製ラミスター)を使用し
てグラビア印刷法により絵柄層を形成し、更に裏面にウ
レタン樹脂系のプライマーコート層を施した後、印刷面
に2液硬化型ウレタン樹脂系ドライラミネート用接着剤
(東洋モートン株式会社製アドコート)を介して厚さ6
0μmの透明非晶質ポリエステルフィルム(理研ビニル
工業株式会社製リベスター)をドライラミネートし、更
に、該透明非晶質ポリエステルフィルム面に、シリコー
ン系スリップ剤(東洋インキ製造株式会社製UR)を添
加量を各種変更しつつ添加した2液硬化型ウレタン樹脂
系トップコート剤(東洋インキ製造株式会社製URV)
を乾燥後の塗布量5g/m2に塗工、乾燥養生硬化させ
て、実施例2−1〜5及び比較例2のメンブレンプレス
成形用化粧シートを作製した。これらの化粧シートを使
用して、四方4Rの曲率半径の立体形状を有する木質系
基材の表面に、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を介し
て、同一の成形条件にてメンブレンプレス成形により積
層して仕上がり状態を目視にて検査したところ、結果は
下表の通りであった。但し、スリップ剤添加量は、トッ
プコート剤の固形分100重量部当たりの重量部数であ
る。
【0051】 メンブレンプレス成形結果 スリップ剤添加量 白化 柄伸び 実施例2−1 5重量部 なし なし 実施例2−2 3重量部 なし なし 実施例2−3 1重量部 なし なし 実施例2−4 0.5重量部 やや白化 若干柄伸び 実施例2−5 0.3重量部 やや白化 若干柄伸び 比較例2 0重量部 やや白化 柄伸び顕著
【0052】実施例及び比較例 その3 厚さ70μmの着色ポリプロピレン系樹脂フィルム(理
研ビニル工業株式会社製)の表面に、ウレタン樹脂系イ
ンキ(東洋インキ製造株式会社製ラミスター)を使用し
てグラビア印刷法により絵柄層を形成し、更に裏面にウ
レタン樹脂系のプライマーコート層を施した後、印刷面
上に、スリップ剤無添加の透明ポリプロピレン樹脂と、
シリコーン系スリップ剤(東洋インキ製造株式会社製U
R)を樹脂100重量部当たり1.5重量部添加した透
明ポリプロピレン樹脂とを、それぞれの厚さが55μm
及び5μmとなる様に、2層共押し出しラミネートし
て、実施例3のメンブレンプレス成形用化粧シートを作
製した。また、該実施例3において、スリップ剤を添加
した透明ポリプロピレン樹脂を使用せずに、スリップ剤
無添加の透明プロピレン樹脂のみを厚さ60μmとなる
様に押し出しラミネートして、比較例3のメンブレンプ
レス成形用化粧シートを作製した。これらの化粧シート
を使用して、四方4Rの曲率半径の立体形状を有する木
質系基材の表面に、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を
介し、同一の成形条件にてメンブレンプレス成形により
積層して仕上がり状態を目視にて検査したところ、結果
は下表の通りであった。
【0053】
【0054】実施例及び比較例 その4 厚さ70μmの透明ポリプロピレン系樹脂フィルム(理
研ビニル工業株式会社製)の表面をシリコーン系離型剤
にて離型処理後、まず2液硬化型アクリルウレタン系樹
脂(東洋インキ製造株式会社製URV、HMDI系硬化
剤3部添加)を乾燥後の塗布量5g/m2に塗工乾燥し
て剥離層兼保護層を形成し、更にウレタン樹脂系インキ
(東洋インキ製造株式会社製ラミスター)を使用してグ
ラビア印刷法により絵柄層を形成し、次いで裏面をコロ
ナ処理後、シリコーン系スリップ剤(東洋インキ製造株
式会社製UR)を添加量を各種変更して添加した2液硬
化型アクリルウレタン系樹脂(東洋インキ製造株式会社
製URV)を乾燥後の塗布量5g/m2に塗工し、乾燥
養生硬化させて、実施例4−1〜3及び比較例4のメン
ブレンプレス成形用転写シートを作製した。これらの転
写シートを使用して、四方4Rの曲率半径の立体形状を
有する木質系基材の表面に、2液硬化型ウレタン樹脂系
接着剤を介し、同一の成形条件にてメンブレンプレス成
形により圧着転写して、支持体の剥離除去後に仕上がり
状態を目視にて検査したところ、結果は下表の通りであ
った。但し、スリップ剤添加量は、スリップ剤含有層に
使用したアクリルウレタン系樹脂の固形分100重量部
当たりの重量部数である。
【0055】 メンブレンプレス成形転写結果 スリップ剤添加量 白化 柄伸び 実施例4−1 5重量部 なし なし 実施例4−2 3重量部 なし なし 実施例4−3 1重量部 なし なし 比較例4 0重量部 やや白化 柄伸び顕著
【0056】
【発明の効果】以上詳細に説明した様に、本発明の化粧
シート及び転写シートは、少なくともメンブレンプレス
成形時にメンブレンシートと接触する側の面に、スリッ
プ剤を含有する層を具備することにより、メンブレンプ
レス成形時にメンブレンシートとの間に適度のスリップ
性が確保され、成形時に化粧シートや転写シートがメン
ブレンシートに引張られて局所的に過度に引き伸ばされ
ることがないので、被化粧基材の表面に積層される化粧
シートや転写層の、柄伸びや白化、艶ムラ、亀裂等の欠
陥の発生を効果的に防止することができる。またその
他、副次的な効果として、メンブレンシートの材質や厚
み、設定温度や圧力、成形速度、被化粧基材の形状や大
きさ等の種々の成形条件による成形状態のばらつきが減
少するので、メンブレンプレス成形装置の機種や製造す
べき製品の品種による成形条件出しの作業の負担が軽減
され、工程管理も簡単になり不良率も減少し、成形時の
化粧シートや転写シートの破断事故が減少するので、生
産性良く効率的に化粧成形体を製造することができるな
ど、種々の顕著な効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面
図である。
【図2】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面
図である。
【図3】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面
図である。
【図4】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面
図である。
【図5】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面
図である。
【図6】本発明の化粧シートの実施の形態を示す側断面
図である。
【図7】本発明の転写シートの実施の形態を示す側断面
図である。
【図8】本発明の転写シートの実施の形態を示す側断面
図である。
【図9】本発明の化粧方法に用いるメンブレンプレス成
形装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1‥‥スリップ剤含有層 2‥‥支持体 3‥‥絵柄層 4‥‥透明層 5‥‥エンボス 6‥‥ワイピング 7‥‥転写層 91‥‥メンブレンプレス成形装置 92‥‥上チャンバ 93‥‥メンブレンシート 94‥‥下チャンバ 95‥‥載置台 96‥‥成形用型 97‥‥被成形シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鶴田 由美子 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 Fターム(参考) 2H113 AA01 AA03 BA03 BA22 BB18 CA05 DA47 DA62 DA64 FA04 FA10 FA36 3B005 EB01 EB05 EB09 FB14 FC10Y FE39 GA07 4F100 AK07A AK51B AT00A AT00B BA02 BA10A BA10B CA30A EC04B EC042 EC182 EH461 EJ212 EJ222 GB08 GB31 GB33 GB81 HB00B HB31B JL01 JL02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも最表面にスリップ剤を含有する
    層を具備することを特徴とするメンブレンプレス成形用
    化粧シート。
  2. 【請求項2】被化粧基材上に化粧シートを載置し、該化
    粧シート面側から可撓性のメンブレンシートを介して流
    体圧を作用させて積層することによる、メンブレンプレ
    ス成形を利用した化粧方法において、前記化粧シートと
    して、少なくとも最表面にスリップ剤を含有する層を具
    備する化粧シートを使用することを特徴とする化粧方
    法。
  3. 【請求項3】支持体の表面に転写層を具備する転写シー
    トにおいて、前記支持体の少なくとも最裏面にスリップ
    剤を含有する層を具備することを特徴とするメンブレン
    プレス成形用転写シート。
  4. 【請求項4】被化粧基材上に、支持体の表面に転写層を
    具備する転写シートを、その転写層側の面を被化粧基材
    側に向けて載置し、前記支持体の裏面側から可撓性のメ
    ンブレンシートを介して流体圧を作用させて、転写シー
    トを被化粧基材に密着させて転写することによる、メン
    ブレンプレス成形を利用した化粧方法において、前記転
    写シートとして、前記支持体の少なくとも最裏面にスリ
    ップ剤を含有する層を具備する転写シートを使用するこ
    とを特徴とする化粧方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013248851A (ja) * 2012-06-04 2013-12-12 Okura Ind Co Ltd 転写用基材フィルム
CN105377574A (zh) * 2013-07-12 2016-03-02 本田技研工业株式会社 装饰体的粘贴方法和装饰体
JP2017130473A (ja) * 2017-05-01 2017-07-27 大日本印刷株式会社 電池用包装材料
US10483503B2 (en) 2013-03-25 2019-11-19 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Battery packaging material

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