JP2001104675A - 針棒およびミシン用摺動装置ならびにミシン - Google Patents

針棒およびミシン用摺動装置ならびにミシン

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JP2001104675A JP26209299A JP26209299A JP2001104675A JP 2001104675 A JP2001104675 A JP 2001104675A JP 26209299 A JP26209299 A JP 26209299A JP 26209299 A JP26209299 A JP 26209299A JP 2001104675 A JP2001104675 A JP 2001104675A
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sliding
needle bar
sewing machine
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fiber reinforced
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Hidekazu Iijima
秀和 飯島
Seiho O
性宝 応
Kazuo Takaku
和男 高久
Koji Kikutani
浩二 菊谷
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Juki Corp
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    • D05SEWING; EMBROIDERING; TUFTING
    • D05BSEWING
    • D05B55/00Needle holders; Needle bars
    • DTEXTILES; PAPER
    • D05SEWING; EMBROIDERING; TUFTING
    • D05DINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES D05B AND D05C, RELATING TO SEWING, EMBROIDERING AND TUFTING
    • D05D2209/00Use of special materials
    • D05D2209/10Particular use of plastics

Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量で高剛性の針棒および無給油で摺動部位
の摩耗や焼付損傷を長期間に亘り確実に防止することの
できるミシン用摺動装置ならびにミシンを提供するこ
と。 【解決手段】 針棒1は、少なくとも針棒本体2が繊維
強化樹脂を素材として形成されており、摺動部品11の
少なくとも摺動面111aがピッチ系炭素繊維強化樹脂
により形成することによりミシン用摺動装置60を形成
し、このミシン摺動部品11をミシンMに用いることを
特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、針棒およびミシン
用摺動装置ならびにミシンに係り、特に、軽量で高剛性
の針棒、および、可動とされた摺動部品の摺動面を支持
部品の被摺動面で支持する摺動部位に好適なミシン用摺
動装置、ならびに、これらを用いたミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ミシン(主に工業用ミシン)の
針棒は、縫製状態において縫製品の直上に位置し、上軸
に連動して上下方向に高速で往復運動するように構成さ
れている。
【0003】このような従来からある針棒は、パイプ状
に形成された針棒本体と、針の着脱を行うため針棒本体
の下端部に固着された針留とを有しており、針棒本体の
外周面には、針棒の位置合わせを行うため針棒の軸方向
に対してほぼ直交する方向に延在する刻線などと称され
る位置決めマークが形成されている。また、このような
針棒の針棒本体および針留は、鋼材を素材として形成さ
れており、防錆および耐摩耗性の向上などを図るためN
iBメッキやWC/Cコーティングなどの表面処理が施
されるのが一般的である。そして、このような針棒は、
ミシン本体のミシンアームの自由端近傍、いわゆる面部
に配設された上下1対の針棒軸受(すべり軸受)をもっ
て支持されており、縫製時に、上軸の回転運動が釣合
錘、針棒クランク、針棒クランクロッドおよび針棒抱き
をこの順に介して往復運動に変換されて針棒に伝達され
るようになされている。
【0004】そして、縫製作業時の針棒の上下運動によ
り振動が発生することが知られている。また、針棒と針
棒軸受との摺動部位には、ミシンの高速運転にともなっ
て、摺動部位の摩耗による摩耗粉の発生や、摺動部位に
摺動抵抗(摩擦抵抗)が生じて発熱し、この発熱に起因
して針棒が軸受と焼き付いてしまうという焼付損傷など
が生じることも知られている。
【0005】そこで、現在では、ミシンの針棒の針棒本
体を、軽量で制振性に富むアルミニウムにより形成した
り、ミシンの針棒と針棒軸受との摺動部位に潤滑油を強
制的に供給する給油機構を設け、摩耗による摩耗粉の発
生や焼付損傷の発生などを防止するための潤滑膜を形成
するようになっている。
【0006】また、ミシンにおいては、駆動力伝達機
構、天秤機構、針棒機構、押え機構などに代表される1
対の部品のうちの少なくとも一方の部品が可動とされ、
この一方の部品が他方の部品に接触するようにして支持
されている摺動部位が随所に設けられている。このよう
な従来のミシンの摺動部位に用いるミシン用摺動装置、
例えば、縫製動作時に往復運動する針棒と、この針棒を
支持する針棒メタルとの摺動部位は、ミシンの運転にと
もなって、摺動部位の摩耗による摩耗粉の発生や、摺動
部位に摺動抵抗(摩擦抵抗)が生じて発熱し、この発熱
に起因して針棒が針棒メタルと焼き付いてしまうという
焼付損傷などが生じるということが知られている。
【0007】このような摺動部位の摩耗による摩耗粉の
発生や焼付損傷の発生などを防止するため、従来のミシ
ンにおいては、ミシン用摺動装置の摺動部位に潤滑油を
強制的に供給する給油機構を設けて、摩耗による摩耗粉
の発生や焼付損傷の発生などを防止するための潤滑膜を
形成するようになっている。
【0008】しかしながら、ミシン用摺動装置の摺動部
位、例えば、針棒と針棒メタルとの摺動部位に、潤滑油
を強制的に供給する給油機構を設けた場合には、針棒と
針棒メタルとの摺動部位に対する潤滑油の供給(給油)
を、ミシンの面部内に飛散させた潤滑油を上下運動する
針棒の外周面に付着させることにより行われているの
で、潤滑剤を面部の内部へ飛散させるためには潤滑剤に
高い流動性が求められ、このために、粘度の低い潤滑油
を用いざるを得ず、針棒と針棒メタルとの摺動部位から
潤滑油が漏洩しやすいとともに、粘度の低い潤滑油を用
いて針棒の外周面に付着させる潤滑油の量(給油量)を
制御するのは困難で多大な時間を要するという問題点が
あった。
【0009】すなわち、摺動部位に対する潤滑油の給油
量が多い場合には、摺動部位から潤滑油が漏洩し、また
逆に、摺動部位に対する潤滑油の給油量が少ない場合に
は、摺動部位が焼付損傷したりし、長期間に亘り安定し
た機能を保持することができない場合があるという問題
点があった。
【0010】また、摺動部位に潤滑油を供給する構成
は、ミシンの構成を複雑なものとするとともに、部品点
数や組立に要する時間が増加し、経済的負担を増加する
という問題点もあった。
【0011】そこで、近年では、ミシンの無給油化が求
められており、外部から強制的な給油を行わずに、ミシ
ンの高速運転時に、摺動部位の摩耗や焼付損傷などを起
こしにくい耐摩耗性樹脂や、含油処理を施したPAN
(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維強化樹脂を用いた
ミシン用摺動装置が提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来のミシンの針棒の針棒本体を軽量で制振性に富む
アルミニウムにより形成した場合には、近年の縫製作業
能率の向上にともなうミシンの高速化、例えば針を1分
間に5000回以上往復運動させるような針棒の高速運
動を図ると、耐摩耗性に劣るとともに、アルミニウムに
より形成した針棒本体の剛性値(剛性値=断面係数×ヤ
ング率)が2357N・m程度と鋼材により形成した針
棒本体の剛性値の3967N・mに比して小さいので、
針棒が撓んでしまい針の振動を確実に防止することがで
きず、騒音、糸切れ、糸締まり不良、針折れ、針先つぶ
しなどが生じて良好な作業環境および縫製品質を保持す
ることができないという問題点があった。
【0013】また、前述した従来の針棒本体を鋼材によ
り形成した針棒の場合には、ミシンに給油機構を必要と
し、ミシンの構造が複雑となるとともに、ミシンの低コ
スト化を阻害するという問題点があった。さらに、ミシ
ンに給油機構を設けた場合には、針棒と針棒軸受との摺
動部位に対する潤滑油の供給(給油)を、ミシンの面部
内に飛散させた潤滑油を上下運動する針棒の外周面に付
着させることにより行われているので、潤滑剤を面部の
内部へ飛散させるためには潤滑剤に高い流動性が求めら
れ、このために、動粘度10mm 2/S程度の粘度の低
い潤滑油を用いざるを得ず、針棒と針棒軸受との摺動部
位から潤滑油が漏洩しやすいとともに、粘度の低い潤滑
油を用いて針棒の外周面に付着させる潤滑油の量(給油
量)を制御するのは困難で多大な時間を要するという問
題点があった。
【0014】すなわち、針棒と針棒軸受との摺動部位に
対する潤滑油の給油量が多い場合には、面部下方に位置
する針棒軸受と針棒との摺動部位からミシン本体の外部
に潤滑油が漏洩して縫製物を汚染する場合があり、また
逆に、針棒と針棒軸受との摺動部位に対する潤滑油の給
油量が少ない場合には、針棒と針棒軸受とが焼付損傷し
たり、針棒と針棒軸受との少なくとも何れか一方が摩耗
して軸受機能を長期間に亘り保持することができない場
合があるという問題点があった。
【0015】そこで、軽量で高剛性の針棒、および、こ
の針棒を用いた良好な作業環境および縫製品質を保持す
ることのできるミシンが望まれている。
【0016】また、従来のミシン用摺動装置として耐摩
耗性樹脂を用た場合には、耐摩耗性樹脂の耐摩耗性がミ
シン用摺動装置としては不十分であり、長期間に亘り安
定した機能を保持することができず、摺動部位への給油
を必要とし、ミシンの無給油化を実現することができな
いという問題点があった。
【0017】さらに、従来のミシン用摺動装置として含
油処理を施したPAN系炭素繊維強化樹脂を用いた場合
には、潤滑油の含油量が個々の部品において異なった
り、金属により形成された基体と接着結合する際の脱脂
工程により含油されている潤滑油の一部が外部に流出す
るなどして、含油量を正確に制御することができず、長
期間に亘り安定した機能を保持することができない場合
があるという問題点があった。
【0018】さらにまた、含油処理を施した耐摩耗性樹
脂を用いたミシン用摺動装置においては、含油処理を施
した耐摩耗性樹脂を、ミシンの外部に露出する部位、例
えば、針棒や、押え棒などに用いた場合、摺動時に耐摩
耗性樹脂に含油されている潤滑油がしみ出て、縫製物を
汚してしまう場合があるという問題点もあった。
【0019】そこで、無給油で摺動部位の摩耗や焼付損
傷を長期間に亘り確実に防止することのできるミシン用
摺動装置およびこのミシン用摺動装置を用いたミシンが
求められている。
【0020】本発明はこれらの点に鑑みてなされたもの
であり、軽量で高剛性の針棒、および、この針棒を用い
た良好な作業環境および縫製品質を保持することのでき
るミシンを提供することを第1の目的とし、無給油で摺
動部位の摩耗や焼付損傷を長期間に亘り確実に防止する
ことのできるミシン用摺動装置およびミシンを提供する
ことを第2の目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ため特許請求の範囲の請求項1に係る本発明の針棒の特
徴は、少なくとも針棒本体が繊維強化樹脂を素材として
形成されている点にある。そして、このような構成を採
用したことにより、少なくとも針棒本体を繊維強化樹脂
を素材として形成することで、軽量化および高剛性化を
容易に図ることができ、その結果、制振性の向上と針棒
の撓みの防止を容易に図ることができる。
【0022】また、特許請求の範囲の請求項2に係る本
発明の針棒の特徴は、請求項1において、針棒本体の少
なくとも摺動部位が自己潤滑性を具備する繊維強化樹脂
により形成されている点にある。ここでいう針棒本体の
摺動部位とは、針棒本体の外周面のうちの縫製作業時の
針棒の上下運動により針棒軸受と摺接する部位をいう。
そして、このような構成を採用したことにより、針棒本
体の少なくとも摺動部位を自己潤滑性を具備する繊維強
化樹脂により形成することで、軽量化および高剛性化を
容易に図ることができ、その結果、制振性の向上と針棒
の撓みの防止を容易に図ることができるとともに、摺動
部位の耐摩耗性を格段に向上することができる。
【0023】また、特許請求の範囲の請求項3に係る本
発明の針棒の特徴は、請求項2において、自己潤滑性を
具備する繊維強化樹脂が炭素繊維強化樹脂である点にあ
る。そして、このような構成を採用したことにより、軽
量化および高剛性化ならびに摺動部位の耐摩耗性の向上
を容易かつ確実に図ることができる。
【0024】また、特許請求の範囲の請求項4に記載の
本発明の針棒の特徴は、請求項1乃至請求項3の何れか
1項において、針棒の位置合わせを行うための位置決め
マークを針棒本体に設けた点にある。そして、このよう
な構成を採用したことにより、位置決めマークを目印に
して針棒をミシンに組み込むことで、針棒の位置合わせ
を容易に行うことができる。
【0025】また、特許請求の範囲の請求項5に係る本
発明の針棒の特徴は、請求項4において、位置決めマー
クが、針棒本体に凹設された凹部に視認性に優れた視認
性向上部材を固着することにより形成されている点にあ
る。ここでいう凹設とは、針棒本体の外周面に断面V字
形状、断面四角形状、断面半円形状などの各種の形状か
ら選択された凹溝や有底穴を設けたり、針棒本体の外周
面を貫通するや各種の形状の貫通孔を設けることなどに
より、針棒本体の外周面に凹部を形成することであり、
この凹部の形成は、針棒本体の形成時に設けても、針棒
本体を形成した後で後加工により設けてもどちらでもよ
い。さらにここでいう視認性向上部材とは、例えば、針
棒本体が炭素繊維強化樹脂を素材として形成されている
場合には針棒本体が黒色に形成されるので、例えば、黄
色や銀色などの針棒本体の色調に対して目立つ色調を呈
する樹脂や塗料などを意味する。そして、このような構
成を採用したことにより、位置決めマークの視認性を格
段に向上することができるので、針棒をミシンに組み込
む際の位置合わせをより容易かつ確実に行うことができ
るとともに、位置決めマークの摩耗を防止することがで
きる。
【0026】また、特許請求の範囲の請求項6に係る本
発明の針棒の特徴は、請求項4において、位置決めマー
クが、針棒本体に印刷形成されている点にある。そし
て、このような構成を採用したことにより、ミシンに組
み込む際の針棒の位置合わせを行う位置決めマークを針
棒本体に容易に形成することができる。
【0027】また、特許請求の範囲の請求項7に係る本
発明のミシンの特徴は、針棒が請求項1乃至請求項6の
何れか1項に記載の針棒である点にある。そして、この
ような構成を採用したことにより、請求項1に記載の針
棒を用いた場合には、針棒が軽量で高剛性なので、制振
性の向上と針棒の撓みの防止を容易に図ることができ、
その結果、長期間に亘り良好な作業環境および縫製品質
を保持することができる。さらに、請求項2または請求
項3に記載の針棒を用いた場合には、軽量化および高剛
性化を容易に図ることができ、その結果、制振性の向上
と針棒の撓みの防止を容易に図ることができるととも
に、摺動部位の耐摩耗性を格段に向上することができ、
その結果、給油装置を用いることなく長期間に亘り良好
な作業環境および縫製品質を容易かつ確実に保持するこ
とができるとともに、安価なものとすることができる。
さらにまた、請求項4乃至請求項6の何れか1項に記載
の針棒を用いた場合には、針棒の位置合わせを容易に行
うことができる。
【0028】また、特許請求の範囲の請求項8に係る本
発明のミシン用摺動装置の特徴は、摺動部品の少なくと
も摺動面が、ピッチ系炭素繊維強化樹脂により形成され
ている点にある。そして、このような構成を採用したこ
とにより、摺動面が大きな耐摩耗性および自己潤滑性を
もつため、無給油で摺動面と被摺動面との摺動部位の摩
耗や焼付損傷を長期間に亘り確実に防止することができ
る。
【0029】また、特許請求の範囲の請求項9に係る本
発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項8において、
摺動面を形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向
が略摺動方向に沿って配置されている点にある。そし
て、このような構成を採用したことにより、摺動方向に
沿ったせん断が生じた場合の炭素繊維自体の剥離が生じ
にくくなるため、摺動面と被摺動面との摺動部位の摩耗
を少なくすることができるとともに、高い曲げ剛性を容
易に得ることができ、しかも良好な加工性を得ることが
できる。
【0030】また、特許請求の範囲の請求項10に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項9におい
て、摺動面を形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂のうち
の炭素繊維が摺動状態における被摺動面と接触する割合
が60%以上である点にある。そして、このような構成
を採用したことにより、無給油で摺動面と被摺動面との
摺動部位の摩耗や焼付損傷を長期間に亘り確実に防止す
るための耐摩耗性および自己潤滑性を満たすことができ
る。
【0031】また、特許請求の範囲の請求項11に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項8におい
て、摺動面を形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維
方向が摺動方向に対して略直交する方向に配置されてい
る点にある。そして、このような構成を採用したことに
より、使用開始初期における温度上昇および摩耗粉の付
着をそれぞれ低減することができる。
【0032】また、特許請求の範囲の請求項12に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項8乃至請求
項10の何れか1項において、摺動面が、PAN系炭素
繊維強化樹脂により所定形状に形成されている基体の表
面に設けられているとともに、PAN系炭素繊維強化樹
脂の繊維方向が摺動方向に対して略直交する方向に配置
されている点にある。そして、このような構成を採用し
たことにより、摺動面および基体がともに軽量で高剛性
をもつため、制振性を向上することができるとともに、
摺動面と基体との繊維方向が略90度異なるので、繊維
方向を同一とした場合の方向による強度低下を防止する
ことができ、しかも、摺動抵抗で生じる発熱による摺動
部品の熱変形を防止することができる。
【0033】また、特許請求の範囲の請求項13に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項11におい
て、摺動面が、炭素繊維強化樹脂により所定形状に形成
されている基体の表面に設けられているとともに、基体
が2層に形成され、摺動面に隣位する層はピッチ系炭素
繊維強化樹脂によりその繊維方向が略摺動方向に沿って
配置され、摺動面から離間する層はPAN系炭素繊維強
化樹脂によりその繊維方向が摺動方向に対して略直交す
る方向に配置されている点にある。そして、このような
構成を採用したことにより、摺動面および基体がともに
軽量で高剛性をもつため、制振性を向上することができ
るとともに、摺動面および基体の各層との繊維方向が略
90度毎に交互に配置されているので、繊維方向を同一
とした場合の方向による強度低下を防止することがで
き、しかも、摺動抵抗で生じる発熱による摺動部品の熱
変形を防止することができる。
【0034】また、特許請求の範囲の請求項14に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項8乃至請求
項11の何れか1項において、摺動面が、PAN系炭素
繊維強化樹脂により所定形状に形成されている基体の表
面に設けられているとともに、基体が複層に形成され、
かつ各層の繊維方向が、摺動面を形成するピッチ系炭素
繊維強化樹脂に隣位する層の繊維方向が摺動面を形成す
るピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向に対して略直交
する方向となるように90度毎に交互に配置されている
点にある。そして、このような構成を採用したことによ
り、摺動面および基体がともに軽量で高剛性をもつた
め、制振性を向上することができるとともに、摺動面お
よび基体の各層との繊維方向が略90度毎に交互に配置
されているので、繊維方向を同一とした場合の方向によ
る強度低下を防止することができ、しかも、摺動抵抗で
生じる発熱による摺動部品の熱変形を防止することがで
きるとともに、基体の機械的強度の向上を容易に図るこ
とができる。
【0035】また、特許請求の範囲の請求項15に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項8乃至請求
項11の何れか1項において、摺動面が、金属により所
定形状に形成された基体の表面に設けられている点にあ
る。そして、このような構成を採用したことにより、基
体が優れた機械的強度をもつため、高強度を必要とする
摺動部品を容易に得ることができる。
【0036】また、特許請求の範囲の請求項16に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項15におい
て、摺動面が、基体の摺動面形成部位に凹溝を形成し、
この凹溝にピッチ系炭素繊維強化樹脂を巻き付けること
により形成されている点にある。そして、このような構
成を採用したことにより、基体の表面に摺動面を容易に
形成することができる。
【0037】また、特許請求の範囲の請求項17に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項8乃至請求
項10の何れか1項において、摺動面が、繊維強化樹脂
により所定形状に形成されている基体の表面に設けられ
ているとともに、基体が複層に形成され、かつ各層の繊
維方向が、前記摺動面を形成するピッチ系炭素繊維強化
樹脂に隣位する層の繊維方向が摺動方向と略直交する方
向となるように90度毎に交互に配置されている点にあ
る。そして、このような構成を採用したことにより、摺
動面および基体の各層との繊維方向が略90度毎に交互
に配置されているので、繊維方向を同一とした場合の方
向による強度低下を防止することができ、しかも、摺動
抵抗で生じる発熱による摺動部品の熱変形を防止するこ
とができるとともに、基体の機械的強度の向上を容易に
図ることができるため、軽量で高強度を必要とする摺動
部品を容易に得ることができる。
【0038】また、特許請求の範囲の請求項18に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項11におい
て、摺動面が、繊維強化樹脂により所定形状に形成され
ている基体の表面に設けられているとともに、基体が複
層に形成され、かつ各層の繊維方向が、摺動面を形成す
るピッチ系炭素繊維強化樹脂に隣位する層の繊維方向が
略摺動方向に沿う方向となるように90度毎に交互に配
置されている点にある。そして、このような構成を採用
したことにより、摺動面および基体の各層との繊維方向
が略90度毎に交互に配置されているので、繊維方向を
同一とした場合の方向による強度低下を防止することが
でき、しかも、摺動抵抗で生じる発熱による摺動部品の
熱変形を防止することができるとともに、基体の機械的
強度の向上を容易に図ることができるため、軽量で高強
度を必要とする摺動部品を容易に得ることができる。
【0039】また、特許請求の範囲の請求項19に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項8乃至請求
項14の何れか1項において、摺動部品が針棒であり、
支持部品が針棒を軸方向に沿って往復可能に支持する針
棒メタルであり、かつ、針棒メタルの少なくとも被摺動
面が銅系の合金もしくは合金鋳物により形成されている
点にある。そして、このような構成を採用したことによ
り、針棒と針棒メタルとの摺動部位における無給油での
最も優れた耐摩耗性を容易に得ることができる。
【0040】また、特許請求の範囲の請求項20に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項8乃至請求
項14の何れか1項において、摺動部品が押え棒であ
り、支持部品が押え棒を軸方向に沿って往復可能に支持
する押え棒メタルであり、かつ、押え棒メタルの少なく
とも被摺動面が銅合金により形成されている点にある。
そして、このような構成を採用したことにより、押え棒
と押え棒メタルとの摺動部位における無給油での最も優
れた耐摩耗性を容易に得ることができる。
【0041】また、特許請求の範囲の請求項21に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項8,9,1
0,11,15,16,17,18の何れか1項におい
て、摺動部品が回転運動可能な回転軸であり、支持部品
が回転軸を回転可能に支持する軸受メタルであり、か
つ、軸受メタルの少なくとも被摺動面が銅合金により形
成されている点にある。そして、このような構成を採用
したことにより、回転軸の摺動面とこの回転軸を支持す
る軸受メタルの被摺動面との摺動部位の摩耗や焼付損傷
を無給油で長期間に亘り確実に防止することができる最
も好適な組み合わせを容易に得ることができる。
【0042】また、特許請求の範囲の請求項22に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項8,9,1
0,11,15,16,17,18の何れか1項におい
て、摺動部品が揺動運動可能な揺動軸であり、支持部品
が揺動軸を揺動可能に支持する軸受メタルであり、か
つ、軸受メタルの少なくとも被摺動面が銅合金により形
成されている点にある。そして、このような構成を採用
したことにより、揺動軸の摺動面とこの揺動軸を支持す
る軸受メタルの被摺動面との摺動部位の摩耗や焼付損傷
を無給油で長期間に亘り確実に防止することができる最
も好適な組み合わせを容易に得ることができる。
【0043】また、特許請求の範囲の請求項23に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項8乃至請求
項11の何れか1項において、摺動部品が角駒であり、
支持部品が角駒を支持する摺動溝である点にある。そし
て、このような構成を採用したことにより、角駒の摺動
面とこの角駒を支持する摺動溝の被摺動面との摺動部位
の摩耗や焼付損傷を無給油で長期間に亘り確実に防止す
ることができる組み合わせを容易に得ることができる。
【0044】また、特許請求の範囲の請求項24に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項23におい
て、角駒が、繊維方向を周方向にして棒状あるいは筒状
に形成されているピッチ系炭素繊維強化樹脂からなる材
料に機械加工を施すことにより形成されている点にあ
る。そして、このような構成を採用したことにより、請
求項23に記載の角駒を容易に得ることができる。
【0045】また、特許請求の範囲の請求項25に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項8乃至請求
項14の何れか1項において、摺動部品が上ルーパ抱き
であり、支持部品が上ルーパ抱きメタルである点にあ
る。そして、このような構成を採用したことにより、上
ルーパ抱きの摺動面とこの上ルーパ抱きを支持する上ル
ーパ抱きメタルの被摺動面との摺動部位の摩耗や焼付損
傷を無給油で長期間に亘り確実に防止することができる
組み合わせを容易に得ることができる。
【0046】また、特許請求の範囲の請求項26に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、支持部品の少なく
とも被摺動面が、ピッチ系炭素繊維強化樹脂により形成
されている点にある。そして、このような構成を採用し
たことにより、被摺動面が大きな耐摩耗性および自己潤
滑性をもつため、無給油で摺動面と被摺動面との摺動部
位の摩耗や焼付損傷を長期間に亘り確実に防止すること
ができる。
【0047】また、特許請求の範囲の請求項27に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項26におい
て、被摺動面を形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊
維方向が略摺動方向に沿って配置されている点にある。
そして、このような構成を採用したことにより、摺動方
向に沿ったせん断が生じた場合の炭素繊維自体の剥離が
生じにくくなるため、摺動面と被摺動面との摺動部位の
摩耗を少なくすることができるとともに、高い曲げ剛性
を容易に得ることができ、しかも良好な加工性を得るこ
とができる。
【0048】また、特許請求の範囲の請求項28に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項27におい
て、被摺動面を形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂のう
ちの炭素繊維が摺動状態における摺動面と接触する割合
が60%以上である点にある。そして、このような構成
を採用したことにより、無給油で摺動面と被摺動面との
摺動部位の摩耗や焼付損傷を長期間に亘り確実に防止す
るための耐摩耗性および自己潤滑性を満たすことができ
る。
【0049】また、特許請求の範囲の請求項29に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項26におい
て、被摺動面を形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊
維方向が摺動方向に対して略直交する方向に配置されて
いる点にある。そして、このような構成を採用したこと
により、使用開始初期における温度上昇および摩耗分の
付着をそれぞれ低減することができる。
【0050】また、特許請求の範囲の請求項30に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項26乃至請
求項29の何れか1項において、被摺動面を形成するピ
ッチ系炭素繊維強化樹脂が、繊維強化樹脂からなる成形
用補助部材の表面にピッチ系炭素繊維強化樹脂素材を巻
き付けて成形した後、成形用補助部材を除去することに
より形成されている点にある。そして、このような構成
を採用したことにより、請求項26乃至請求項29の何
れか1項に記載の被摺動面を容易に得ることができる。
【0051】また、特許請求の範囲の請求項31に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項26乃至請
求項30の何れか1項において、被摺動面が、金属によ
り成形されているハウジングの内面に設けられている点
にある。そして、このような構成を採用したことによ
り、ハウジングが優れた機械的強度をもつため、高強度
を必要とする支持部品を容易に得ることができる。
【0052】また、特許請求の範囲の請求項32に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項31におい
て、被摺動面が、PAN系炭素繊維強化樹脂により形成
されている補強層の内面に設けられているとともに、補
強層の外周面がハウジングの内面に圧入結合され、か
つ、補強層を形成するPAN系炭素繊維強化樹脂の繊維
方向がハウジングへの略圧入方向に沿って配置されてい
る点にある。そして、このような構成を採用したことに
より、PAN系炭素繊維強化樹脂により形成されている
補強層は、圧縮強度および伸びが大きく、かつ、その繊
維方向がハウジングへの圧入方向に沿って配置されてい
るため、圧入時の抵抗を小さくすることができる。
【0053】また、特許請求の範囲の請求項33に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項26乃至請
求項32の何れか1項において、摺動部品の少なくとも
摺動面が、鋼あるいは表面に硬質陽極酸化被膜が施され
たアルミニウムにより形成されている点にある。そし
て、このような構成を採用したことにより、鋼により形
成された摺動部品は、優れた機械的強度をもつため、高
強度を必要とする摺動部品を容易に得ることができる。
さらに、表面に硬質陽極酸化被膜が施されたアルミニウ
ムにより形成された摺動部品は、軽量で、かつ優れた機
械的強度をもつため、慣性が小さく、制振性および高強
度を必要とする摺動部品を容易に得ることができる。
【0054】また、特許請求の範囲の請求項34に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項26乃至請
求項33の何れか1項において、摺動部品が往復運動可
能な往復軸であり、支持部品が往復軸を往復動可能に支
持する軸受メタルである点にある。そして、このような
構成を採用したことにより、往復軸の摺動面とこの往復
軸を支持する軸受メタルの被摺動面との摺動部位の摩耗
や焼付損傷を無給油で長期間に亘り確実に防止すること
ができる最も好適な組み合わせを容易に得ることができ
る。
【0055】また、特許請求の範囲の請求項35に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項26乃至請
求項33の何れか1項において、摺動部品が回転運動可
能な回転軸であり、支持部品が回転軸を回転可能に支持
する軸受メタルである点にある。そして、このような構
成を採用したことにより、回転軸の摺動面とこの回転軸
を支持する軸受メタルの被摺動面との摺動部位の摩耗や
焼付損傷を無給油で長期間に亘り確実に防止することが
できる最も好適な組み合わせを容易に得ることができ
る。
【0056】また、特許請求の範囲の請求項36に係る
本発明のミシン用摺動装置の特徴は、請求項26乃至請
求項33の何れか1項において、摺動部品が揺動運動可
能な揺動軸であり、支持部品が揺動軸を揺動可能に支持
する軸受メタルである点にある。そして、このような構
成を採用したことにより、揺動軸の摺動面とこの揺動軸
を支持する軸受メタルの被摺動面との摺動部位の摩耗や
焼付損傷を無給油で長期間に亘り確実に防止することが
できる最も好適な組み合わせを容易に得ることができ
る。
【0057】また、特許請求の範囲の請求項37に係る
本発明のミシンの特徴は、ミシン用摺動装置が請求項8
乃至請求項36の何れか1項に記載のミシン用摺動装置
である点にある。そして、このような構成を採用したこ
とにより、摺動部位の無給油化を容易に実現することが
できる。
【0058】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施形
態により説明する。
【0059】図1は本発明に係る針棒の第1実施形態の
要部を示す正面図、図2は位置決めマーク近傍を示す拡
大断面図である。
【0060】図1に示すように、本実施形態の針棒1A
は、繊維強化樹脂、詳しくは、炭素繊維強化樹脂を素材
としてほぼパイプ状に形成された針棒本体2Aを有して
おり、この針棒本体2Aの一端部たる図1右方に示す右
端部には、鋼材を素材として形成された針留3が固着さ
れている。この針棒本体2Aに用いる炭素繊維強化樹脂
としては、ピッチ系炭素繊維強化樹脂あるいはPAN系
炭素繊維強化樹脂を例示することができる。そして、ピ
ッチ系炭素繊維強化樹脂、PAN系炭素繊維強化樹脂な
どの炭素繊維強化樹脂を用いると、針棒本体2Aに自己
潤滑性を付与することができる。なお、針棒本体2Aを
構成する繊維強化樹脂の繊維の繊維方向は特に限定され
るものではないが、繊維の繊維方向を針棒本体2Aの外
周面側で針棒本体2Aの軸方向に沿うようにし、針棒本
体2Aの内周面側で針棒本体2Aの周方向に沿うように
配設することが、ミシンの高速運転にともなう針棒1A
と針棒軸受との摺動部位の摺動抵抗で生じる発熱による
針棒1Aの熱変形を防止するうえで好ましい。さらに、
繊維強化樹脂に用いる樹脂としては、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂などを
例示することができる。
【0061】なお、繊維強化樹脂としては、アラミド繊
維強化樹脂、ボロン繊維強化樹脂、あるいは、炭素繊
維、アラミド繊維、ボロン繊維などの繊維を組み合わせ
たハイブリッド型の繊維強化樹脂などを用いてもよい。
さらに、炭素繊維を含むハイブリッド型の繊維強化樹脂
を用いる場合には、炭素繊維が外周側に位置するように
傾斜配置する構成とすることが針棒本体2Aの外周面に
自己潤滑性を付与できるという点で好ましい。
【0062】前記針棒本体2Aの外周面には、ミシンに
組み込む際の針棒1Aの位置合わせを行うため、複数、
本実施形態においては4本の位置決めマーク4Aが相互
に平行に延在するようにして設けられている。この位置
決めマーク4Aは、針棒1Aの長手方向と直交し、図2
に示すように、針棒本体2Aの外周面に刻線などと称さ
れる断面ほぼV字形状の凹部5を外周面の周方向の一
部、例えば1/4周程度に亘り形成するとともに、凹部
5内に視認性に優れた視認性向上部材6を充填して固着
することにより形成されている。この視認性向上部材6
は、針棒本体2Aが黒色に形成されるので、例えば、黄
色や銀色などの色調を呈する各種の樹脂や塗料などから
選択して用いられる。この視認性向上部材6の表面は、
針棒本体2Aの凹部5の形成されていない外周面と同一
面若しくは若干凹面となるように形成することが好まし
い。すなわち、視認性向上部材6の表面が針棒本体2A
の外周面より凸とならないように形成することが位置決
めマーク4Aの摩耗により磨滅を防止するうえで好まし
い。
【0063】なお、位置決めマーク4Aの数は、本実施
形態の4本に限定されるものではなく、設計コンセプト
などの必要に応じて、1,2,3,5以上の任意の数か
ら選択することができる。
【0064】さらに、位置決めマーク4Aの凹部5は、
針棒本体2の形成時に設けても、針棒本体2を形成した
後で刃物などによる後加工によって設けてもどちらでも
よい。
【0065】また、凹部5としては、本実施形態に限定
されるものではなく、例えば、断面四角形状、断面半円
形状などの各種の形状から選択された凹溝や有底穴を設
けたり、針棒本体2の外周面を貫通する各種の形状の貫
通孔を設けることなどにより形成する構成であってもよ
い。
【0066】前記針留3は、図1右方に示す針留本体7
と、この針留本体7の図1左方に位置するほぼ円柱形状
に形成された取着部8とを有している。そして、針留3
の取着部8の外周面を前記針棒本体2Aの右端部の内周
面に嵌入することにより、針棒本体2Aに対して針留3
が固着されるようになっている。また、針留本体7の図
1右方に示す右端部の軸心部には、図1に破線にて示す
ように、図示しない針の柄が装着される針装着穴9が形
成されている。
【0067】なお、設計コンセプトなどの必要に応じ
て、針留3の取着部8の外周面と前記針棒本体2Aの内
周面との間に、例えばエポキシ系接着剤などの所望の接
合部材を用いる構成としてもよい。
【0068】前記針留3の素材としては、針棒本体2A
と同一の繊維強化樹脂を含む各種の樹脂、アルミニウ
ム、マグネシウム、セラミックスなどの比較的軽量の素
材を用いてもよい。このような素材を用いた場合には、
図3に示すように、針装着穴9の底部に針の柄の頭部を
支持するための金属片14を打ち込みあるいはインサー
ト成型などにより配設した構成の針留3Aとしたり、図
4に示すように、針受けねじ15を取付部8の先端側か
ら針装着穴9の底部に向かって螺入することにより、針
受けねじ15の先端で針の柄の頭部を支持する構成の針
留3Bとしたり、図5に示すように、針装着穴9を形成
した有底円筒形状の金属部材16を打ち込みあるいはイ
ンサート成型などにより配設した構成の針留3Cとした
りすることが、針による摩耗を防止するうえで好まし
い。
【0069】さらにまた、針棒本体2Aに対して針留3
を固着する構成としては、針棒本体2Aの外周面に針留
3をはめ込む構成や、針棒本体2Aの外周面あるいは内
周面に針留3をねじ込む構成や、単数あるいは複数のね
じ、キー、ピン、リベット(かしめを含む)などの各種
の締結手段を用いる構成や、ホースバンドの如く薄板状
の板金とねじを用いる構成や、針棒本体2Aの端部に単
数あるいは複数の溝を形成しこの溝に針留3に形成した
凸部をはめ込む構成や、針棒抱きの如く抱き締めと称さ
れる針留3に針棒本体2Aの端部を針留3に形成した軸
方向にスリットを備えた装着孔に挿入したうえで締めね
じによってスリットの間隔が接近するようして装着孔で
針棒本体2Aをクランプする構成などの多種多様の構成
から設計コンセプトなどの必要に応じて選択することが
できる。さらに、針棒本体2Aに対して針留3を固着す
る場合、設計コンセプトなどの必要に応じて接着剤を前
記構成に組み合わせて用いてもよい。
【0070】図6および図7は本発明に係る針棒の第2
実施形態を示すもので、本実施形態の針棒1Bの針棒本
体2Bの外周面には、前述した第1実施形態の針棒1A
の位置決めマーク4Aと構成の異なる位置決めマーク4
Bが設けられている。すなわち、本実施形態の針棒1B
の位置決めマーク4Bは、針棒本体2Bの外周面に印刷
形成されている。この位置決めマーク4Bの素材として
は、特に限定されるものではないが、前述した実施形態
の樹脂あるいは塗料などからなる視認性向上部材6を用
いてスクリーン印刷などにより針棒本体2Bの外周面に
印刷形成することが視認性を向上させるうえで好まし
い。したがって、本実施形態の位置決めマーク4Bは、
図7に示すように、針棒本体2Bの外周面に突設されて
いる。その他の構成については前述した第1実施形態の
針棒1Aと同様であるためその説明は省略する。
【0071】図8は本発明に係る針棒の第3実施形態を
示すもので、本実施形態の針棒1Cの針棒本体2Cは、
繊維強化樹脂により形成された内層2CAと、この内層
2CAを被覆するようにして大部分が針棒軸受との摺動
部位とされる外周面を備え自己潤滑性を具備する繊維強
化樹脂により形成された外層2CBとの2層構造とされ
ている。
【0072】そして、内層2CAに用いる繊維強化樹脂
としては、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、ガラ
ス繊維などを単独もしくは組み合わせた繊維強化樹脂か
ら設計コンセプトやミシンの仕様などの必要に応じて選
択しようすることができる。すなわち、針棒1Cとし
て、例えばより高い剛性と耐衝撃性を得る場合には、針
棒本体2Cの内層2CAの素材としてアラミド繊維を含
む繊維強化樹脂を用いるとよい。
【0073】また、外層2CBに用いる繊維強化樹脂と
しては、炭素繊維、詳しくは、ピッチ系炭素繊維を用い
たピッチ系炭素繊維強化樹脂またはPAN系炭素繊維を
用いたPAN系炭素繊維強化樹脂を例示することができ
るが、自己潤滑性に優れているという理由によりピッチ
系炭素繊維強化樹脂を用いることが好ましい。
【0074】さらにまた、内層2CAと外層2CBとの
厚さの比率は、針棒1C、詳しくは針棒本体2Cの剛性
値(剛性値=断面係数×ヤング率)が、従来の鋼材を用
いた場合の針棒の剛性値以上になるように設定すればよ
い。
【0075】なお、本実施形態の針棒1Cの針棒本体2
Cは、単純な2層構造としたが、針棒軸受との摺動部位
のみを炭素繊維強化樹脂により形成する構成、すなわ
ち、針棒本体2C軸方向の一部を炭素繊維強化樹脂によ
り形成する構成としてもよく、特に、本実施形態の2層
構造の構成に限定されるものではない。
【0076】さらにまた、本図には示さないが、針棒本
体2Cの外周面に設ける位置決めマークは、第1実施形
態に示す位置決めマーク4Aでも第2実施形態に示す位
置決めマーク4Bでもどちらでもよいが、位置決めマー
クが針棒軸受による摩耗で磨滅するのを防止するうえで
は、第1実施形態に示す位置決めマーク4Aを設けるこ
とが好ましい。その他の構成については前述した第1実
施形態の針棒1Aと同様であるためその説明は省略す
る。
【0077】つぎに、本実施形態の針棒を用いたミシン
の実施形態について説明する。
【0078】図9は本発明に係る針棒を用いた本発明に
係るミシンの実施形態の要部を示す正面図である。
【0079】本実施形態のミシンは、針棒本体の少なく
とも摺動部位が自己潤滑性を具備する繊維強化樹脂によ
り形成された針棒が用いられるようになっている。
【0080】図9に示すように、本実施形態のミシン2
1のミシン本体22の一部を構成するミシンアーム23
の内部には、上軸24がその軸芯を図示しないミシンベ
ッドと略平行にして配設されている。この上軸24の図
9において右方に示す後端は、ミシン本体22の外側に
突出されており、このミシン本体22の外側に突出した
上軸24の後端部には、プーリ(図示せず)が取着され
ている。そして、プーリには、ミシンベッドの後端部に
配設された駆動モータの駆動力がタイミングベルト(共
に図示せず)を介して伝達されるようになっており、駆
動モータの駆動力により上軸24が回転駆動可能に形成
されている。さらに、ミシンアーム23の図9において
左方に示す先端部近傍は、いわゆる面部25とされてお
り、この面部25の内部に、上軸24の図9において左
方に示す先端が位置するように構成されている。
【0081】前記上軸24は、ミシンアーム23の内部
に配設された図示しない上軸軸受により回転自在に支持
されており、この上軸24の先端部の外周面には、釣合
錘26が配設されている。そして、釣合錘26の図9左
方に示す先端側には、針棒クランク27が取着されてお
り、この針棒クランク27には、針棒クランクロッド2
8の図9上方に示す基端部が取着されている。さらに、
針棒クランクロッド28の図9下方に示す先端部の図9
左方に示す先端側には、針棒抱き29が取着されてお
り、この針棒抱き29には、前述した実施形態の針棒1
(符号1は前述した第1実施形態の針棒1A、第2実施
形態の針棒1Bおよび第3実施形態の針棒1Cを総称す
る。)の針棒本体2(符号2は前述した第1実施形態の
針棒本体2A、第2実施形態の針棒本体2Bおよび第3
実施形態の針棒本体2Cを総称する。)の軸方向のほぼ
中央部分が固着されている。また、針棒クランク27に
は、ミシン本体22に配設された天秤支え軸35に支持
された天秤クランク36に連結されるリンク天秤(一部
のみ図示)37が取着されている。
【0082】前記ミシンアーム23の面部25の内部に
は、前記針棒1の針棒本体2を上下方向に垂直、かつ、
上下方向に往復移動可能に支持する上下1対の針棒軸受
40が配設されている。この上下1対の針棒軸受40の
内の、図9において上方に示す一方は、針棒上メタル4
0aとされ、図9において下方に示す他方は、その下端
部がミシンアーム23の面部25の外側、すなわちミシ
ン本体22の外部に露出した針棒下メタル40bとされ
ている。そして、針棒1の針留3には、図9に想像線に
て示すように、所望の針45が取着されるようになって
いる。
【0083】なお、本実施形態のミシン21には、針棒
1と各針棒軸受40との摺動部位に潤滑油を強制的に供
給する給油機構および潤滑油の供給量を調整する給油量
調節機構などは配設されていない。
【0084】つぎに、前述した構成からなる本実施形態
の作用について説明する。
【0085】本実施形態の針棒1によれば、ミシン21
へ組み込む際に、位置決めマーク4(符号4は前述した
第1実施形態の針棒1Aの位置決めマーク4Aおよび第
2実施形態の針棒1Bの位置決めマーク4Bを総称す
る。)を目印にして針棒1をミシン21に組み込むこと
で、針棒1の位置合わせを容易に行うことができる。つ
まり、針棒下メタル40bの下端面に対して位置決めマ
ーク4を合わせることで、針棒1の位置合わせを容易に
行うことができる。なお、針棒1をミシン21へ組み込
む際に、針棒1の針棒本体2の外周面にグリースを塗布
してもよい。
【0086】また、前述した第1実施形態の針棒1Aを
用いた場合には、この針棒1Aの位置決めマーク4Aが
針棒本体2に形成した凹部5内に視認性向上部材6を充
填して固着することにより形成されているので、位置決
めマーク4Aの視認性を格段に向上することができる。
すなわち、炭素繊維強化樹脂を素材として形成された黒
色を呈する針棒本体2に対して、刃物などで単に凹部5
を形成しただけでは、凹部5が見にくく視認性に劣り、
作業性を向上させることができない。
【0087】さらにまた、針棒1Aの位置決めマーク4
Aは、針棒本体2に凹設された凹部5に視認性に優れた
視認性向上部材6を固着することにより形成されている
ので、ミシン21の使用時間の増加に伴い位置決めマー
ク4Aが針棒軸受40によって徐々に摩耗して磨滅する
のを防止することができる。
【0088】また、前述した第2実施形態の針棒1Bを
用いた場合には、位置決めマーク4Bを目印にして針棒
1Bをミシン21に組み込むことで、針棒1Bの位置合
わせを容易に行うことができるとともに、位置決めマー
ク4Bをスクリーン印刷などによって針棒本体2に印刷
形成することができるので位置決めマーク4Bを針棒本
体2に容易且つ安価に形成することができる。但し、印
刷形成した位置決めマーク4Bは、ミシン21の使用時
間の増加に伴い針棒軸受40によって徐々に摩耗するの
を防止することはできないが、ミシン21に組み込んだ
針棒1Bの位置の変更は一般的には行われないので実用
上の問題は生じない。
【0089】また、本実施形態の針棒1によれば、針棒
1の総重量を9.3グラム程度とすることができ、従来
の鋼材を素材として形成された針棒本体を備えた針棒に
対して44%程度、従来のアルミニウムを素材として形
成された針棒本体を備えた針棒に対して31%程度の軽
量化を図ることができる。
【0090】したがって、本実施形態の針棒1によれ
ば、軽量化を容易に図ることができるとともに、制振性
を格段に向上させることができる。
【0091】また、本実施形態の針棒1の針棒本体2に
よれば、機械的強度、例えば、剛性値(剛性値=断面係
数×ヤング率)を4241N・m程度とすることができ
るので、鋼材により形成した針棒本体の剛性値の396
7N・mや、アルミニウムにより形成した針棒本体の剛
性値の2357N・mに比して優れているとともに、耐
摩擦性、耐摩耗性、耐衝撃性などに格段に優れ、かつ、
自己潤滑性を有するものとすることができる。
【0092】また、本実施形態のミシン21は、縫製時
に、上軸24の回転運動を釣合錘26、針棒クランク2
7、針棒クランクロッド28および針棒抱き29をこの
順に介して往復運動に変換して針棒1に伝達し、各針棒
軸受40に支持された針棒1を高速で上下方向に往復運
動する。この時、針棒1の往復運動により生じる反力
は、針棒上メタル40a、針棒下メタル40b、針棒ク
ランクロッド28およびリンク天秤37に加わることに
なる。
【0093】本実施形態の針棒1を用いたミシン21に
よれば、従来の鋼材を素材として形成された針棒本体を
備えた針棒を用いた場合に比べて、反力値を、針棒上メ
タル40aで47%程度、針棒下メタル40bで36%
程度、針棒クランクロッド28で34%程度、リンク天
秤37で20%程度低減できることが実験により確認で
きた。
【0094】また、本実施形態の針棒1を用いたミシン
21によれば、従来のアルミニウムを素材として形成さ
れた針棒本体を備えた針棒を用いた場合に比べて、反力
値を、針棒上メタル40aで20%程度、針棒下メタル
40bで18%程度、針棒クランクロッド28で15%
程度、リンク天秤37で8%程度低減できることが実験
により確認できた。
【0095】ここで実験とは、具体的にはCAE解析で
あり、釣合錘26、針棒クランクロッド28、天秤クラ
ンク36、リンク天秤37、針棒上メタル40a、針棒
下メタル40bおよび針棒1の重量、形状、強度のデー
タを入力することで、各部品にかかる最大荷重である反
力値を求めている。
【0096】これらの反力値の実験結果からも明白なよ
うに、本実施形態の針棒1を用いたミシン21によれ
ば、従来の針棒より軽量で剛性値が高いので、撓みが少
なく、針棒1の往復運動により生じる針棒上メタル40
a、針棒下メタル40b、針棒クランクロッド28およ
びリンク天秤37での反力値を確実に低減することがで
きる。
【0097】このように、本実施形態の針棒1を用いた
ミシン21によれば、反力値を低減することができるの
で、針棒1が往復運動する際の針棒1と各針棒軸受40
との摺動部位の摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減することが
でき、摺動部位の摩耗による摩耗粉の発生や、発熱をよ
り低減して各部品の耐久性を向上することができるとと
もに、制振性をより向上することができる。さらに、反
力値を低減することができるので、各針棒軸受40を小
さくすることができ、その結果、ミシン21の小型化を
図ることができる。つまり、各針棒軸受40は、針棒1
の重さによる反力に耐えるものであればよいので、本実
施形態のミシン21の針棒軸受40は、軽量の針棒1の
反力に耐えるものであればよいので、針棒軸受40を小
さくすることができる。
【0098】また、本実施形態の針棒1を用いたミシン
21によれば、針棒1の機械的特性、例えば弾性値ひい
ては剛性値が大きいので、針棒1の往復運動により生じ
る針棒1の撓みを防止することができるので、針45の
振動を確実に防止することができ、その結果、騒音、糸
切れ、糸締まり不良、針折れ、針先つぶしなどの発生を
防止することができ、良好な作業環境および縫製品質を
保持することができる。
【0099】なお、本実施形態の針棒1を用いたミシン
21の振動は、従来より、7.3%程度低減できること
が実験により確認できた。
【0100】ここで実験とは、具体的にはCAE解析で
あり、釣合錘26、針棒クランクロッド28、天秤クラ
ンク36、リンク天秤37、針棒上メタル40a、針棒
下メタル40bおよび針棒1の重量、形状のデータを入
力することで、各部品の固有振動数を求めている。
【0101】また、本実施形態の針棒1を用いたミシン
21によれば、針棒1、詳しくは、少なくとも炭素繊維
強化樹脂により形成された針棒本体2が自己潤滑性を有
するので、針棒1と各針棒軸受40との摺動部位を無給
油状態に保持した状態で、焼付損傷を生じることなく連
続800時間以上の耐久性を有する。このような本実施
形態の針棒1を用いたミシン21に対して、従来の鋼材
を素材として形成された針棒本体の表面にNiBメッキ
の表面処理を施した針棒を用いた場合には、耐久時間が
1/4程度であり、従来の鋼材を素材として形成された
針棒本体の表面にWC/Cコーティングの表面処理を施
した針棒を用いた場合には、耐久時間が1/2程度であ
る。
【0102】すなわち、本実施形態の針棒1を用いたミ
シン21によれば、良好な針棒1の動作を無給油状態で
長時間に亘り保持することができる。
【0103】また、本実施形態の針棒1を用いたミシン
21によれば、給油機構を設ける必要がないので、針棒
下メタル40bと針棒1との摺動部位からミシン本体2
2の外部に潤滑油が漏洩して縫製物を汚染することがな
いとともに、構造が簡単となり、しかも、部品点数、組
立工数などの削減を図ることができるので低価格化を図
ることができる。
【0104】さらに、本実施形態のミシン21によれ
ば、針棒下メタル40bと針棒1との摺動によって、摩
耗分が発生することがないから、針棒1の下に載置され
る縫製物を汚すということがない。
【0105】したがって、本実施形態のミシン21によ
れば、良好な作業環境および縫製品質を長期間に亘り保
持することができる。
【0106】なお、本実施形態のミシン21の針棒1の
針棒本体2にグリースを塗布した場合には、針棒本体2
を素材である炭素繊維強化樹脂の構造によりグリース保
持の機能を有しているので、良好な作業環境および縫製
品質をより長期間に亘り保持することができる。
【0107】また、前記第1実施形態の針棒1Aのう
ち、炭素繊維強化樹脂を除く、アラミド繊維強化樹脂、
ボロン繊維強化樹脂、あるいは、炭素繊維、アラミド繊
維、ボロン繊維などの繊維を組み合わせたハイブリッド
型の繊維強化樹脂などを針棒本体2Aに用いた針棒1A
を用いることもできる。この場合、針棒本体2Aの表面
に十分な自己潤滑性を付与することができず、ミシンの
針棒軸受40部位の無給油化を図ることはできず従来と
同様の針棒軸受40に対する給油機構を設ける必要が生
じる可能性はあるが、針棒1Aを軽量で高剛性とするこ
とができるので、制振性の向上、反力値の低減による各
部品の耐久性の向上および針棒軸受40の小型化、針4
5の振動によって生じる騒音、糸切れ、糸締まり不良、
針折れ、針先つぶしなどの発生の防止による良好な作業
環境および縫製品質を長期間に亘り保持することができ
るなどという優れた効果を奏することができる。
【0108】つぎに、本発明に係るミシン用摺動装置を
用いた本発明に係るミシンの実施形態について説明す
る。
【0109】図10から図12は本発明に係るミシン用
摺動装置を用いた本発明に係るミシンの第1実施形態を
示すものであり、図10は要部の正面図、図11はミシ
ン用摺動装置の要部の一部切断正面図、図12は図11
の12−12線に沿った拡大断面図である。
【0110】本実施形態のミシンは、ミシン用摺動装置
として、可動とされた摺動部品としての往復運動を行う
針棒と、この針棒を支持する支持部品としての針棒メタ
ルとの摺動部位を無潤滑化したものであり、針棒の摺動
面がピッチ系炭素繊維強化樹脂により形成されている。
【0111】図10に示すように、本実施形態のミシン
Mのミシン本体51の一部を構成するミシンアーム52
の内部には、上軸54がその軸芯を図示しないミシンベ
ッドと略平行にして配設されている。この上軸54の図
10において右方に示す後端(図示せず)は、ミシン本
体51の外側に突出されており、このミシン本体51の
外側に突出した上軸54の後端部には、プーリ(図示せ
ず)が取着されている。そして、プーリには、ミシンベ
ッドの後端部に配設されたミシンモータの駆動力がタイ
ミングベルト(共に図示せず)などを介して伝達される
ようになっており、ミシンモータの駆動力により上軸5
4が回転駆動可能に形成されている。さらに、ミシンア
ーム52の図10において左方に示す先端部近傍は、い
わゆる面部55とされており、この面部55の内部に、
上軸54の図10において左方に示す先端が位置するよ
うに構成されている。
【0112】前記上軸54の先端部の外周面には、釣合
錘56が配設されている。そして、釣合錘56の図10
左方に示す先端側には、針棒クランク57が取着されて
おり、この針棒クランク57には、針棒クランクロッド
58の図10上方に示す基端部が取着されている。さら
に、針棒クランクロッド58の図10下方に示す先端部
の図10左方に示す先端側には、針棒抱き59が取着さ
れており、この針棒抱き59には、本発明に係るミシン
用摺動装置60の一部を構成する針棒61の軸方向の略
中央部分が固着されている。また、針棒クランク57に
は、ミシン本体51に配設された天秤支え軸62に支持
された天秤クランク63に連結されるリンク天秤(一部
のみ図示)64が取着されている。
【0113】前記ミシンアーム52の面部55の内部に
は、針棒61を上下方向に垂直、かつ、上下方向に往復
移動可能に支持する上下1対の針棒メタル65が配設さ
れており、これらの針棒メタル65により、本実施形態
のミシン用摺動装置60の一部が構成されている。そし
て、上下1対の針棒メタル65の、図10において上方
に示す一方は、針棒上メタルとされ、図10において下
方に示す他方は、その下端部がミシンアーム52の面部
55の外側、すなわちミシン本体51の外部に露出した
針棒下メタルとされている。
【0114】また、本実施形態のミシンMには、ミシン
用摺動装置60を構成する針棒61と各針棒メタル65
との摺動部位に潤滑油を強制的に供給する給油機構およ
び潤滑油の供給量を調整する給油量調節機構などは配設
されていない。
【0115】前記ミシン用摺動装置60を構成する針棒
61および各針棒メタル65についてさらに詳しく説明
する。
【0116】図11および図12に示すように、本実施
形態のミシンMのミシン用摺動装置60は、可動とされ
た摺動部品としての針棒61と、この針棒61を支持す
る支持部品としての針棒メタル65とを有しており、針
棒61の外周面に設けられた摺動面61aを、各針棒メ
タル65の内周面に設けられた被摺動面65aで支持す
るように形成されている。
【0117】本実施形態の針棒61は、PAN(ポリア
クリロニトリル)系炭素繊維強化樹脂により略円筒形状
に形成された基体としての針棒本体71を有している。
この針棒本体71の外周面は、ピッチ系炭素繊維強化樹
脂により形成された摺動層72により被覆されており、
この摺動層72の外周面の大部分が、針棒メタル65の
内周面に形成された被摺動面65aにより支持される摺
動面61aとされている。また、針棒本体71を形成す
るPAN系炭素繊維強化樹脂の繊維方向は、図11に両
矢印にて示す針棒61の運動方向たる摺動方向に対して
略直交する方向に配置されており、摺動層72を形成す
るピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向は、図11に両
矢印にて示す針棒61の運動方向たる摺動方向に沿って
配置されている。
【0118】すなわち、本実施形態のミシン用摺動装置
60の一部を構成する針棒61は、繊維方向が摺動方向
に対して直交する方向に配置されたPAN系炭素繊維強
化樹脂からなる基体としての針棒本体71を形成する内
層73と、繊維方向が摺動方向に沿って配置されたピッ
チ系炭素繊維強化樹脂からなる摺動層72を形成する外
層74とによる2層の積層構造とされている。
【0119】言い換えると、本実施形態のミシン用摺動
装置60の一部を構成する針棒61の摺動面61aは、
PAN系炭素繊維強化樹脂により所定形状に形成されて
いる基体たる針棒本体71の内層73の表面に設けられ
ているとともに、内層73を構成するPAN系炭素繊維
強化樹脂の繊維方向が摺動方向に対して略直交する方向
に配置されている。
【0120】なお、摺動面61aを形成するピッチ系炭
素繊維強化樹脂の繊維方向を略摺動方向に沿って配置す
る場合には、摺動面61aを形成するピッチ系炭素繊維
強化樹脂のうちの炭素繊維が摺動状態における被摺動面
65aと接触する割合を60%以上とすることが、無給
油で摺動面61aと被摺動面65aとの摺動部位の摩耗
や焼付損傷を長期間に亘り確実に防止するための耐摩耗
性および自己潤滑性を満たすうえで好ましい。ここでい
う炭素繊維が摺動状態における被摺動面65aと接触す
る割合とは、摺動面61aにおける炭素繊維は、摺動方
向たる軸方向に平行に配置されるため、周方向において
炭素繊維のある繊維部と、炭素繊維の無い樹脂部とが混
在することになる。そして、摺動面61aと被摺動面6
5aとは、摺動状態においてそれぞれの軸方向に沿って
相対移動するため、被摺動面65aに対して、摺動面6
1aの繊維部が接触する部位と、摺動面61aの樹脂部
のみが接触する部位とが生じる。この時の被摺動面65
aに対して摺動面61aの繊維部が接触する部位の割合
が少ないと、無給油で摺動面61aと被摺動面65aと
の摺動部位の摩耗や焼付損傷を長期間に亘り確実に防止
するための耐摩耗性および自己潤滑性が低下することに
なる。そこで、被摺動面65aに対して摺動面61aの
繊維部が接触する部位の割合は、無給油で摺動面61a
と被摺動面65aとの摺動部位の摩耗や焼付損傷を長期
間に亘り確実に防止するための耐摩耗性および自己潤滑
性を満足する必要がある。そして、被摺動面65aに対
して摺動面61aの繊維部が接触する部位の割合として
は、50%以上、好ましくは60%以上とすることが、
無給油で摺動面61aと被摺動面65aとの摺動部位の
摩耗や焼付損傷を長期間に亘り確実に防止するための耐
摩耗性および自己潤滑性を満足するうえで肝要である。
この被摺動面65aに対して摺動面61aの繊維部が接
触する部位の割合は、無給油のミシンによる耐久実験に
より確認することができた。
【0121】また、前記針棒61の構成としては、後述
するように、摺動面61aを形成するピッチ系炭素繊維
強化樹脂の繊維方向を針棒61の運動方向たる摺動方向
に対して略直交する方向に配置する構成としてもよい。
【0122】また、針棒61の一端部たる図10下方に
示す下端部には、従来公知の針67を装着するための針
留66が固着されている。さらに、針棒61に前述した
位置決めマーク4を設ける構成とすることが、組み立て
作業を効率よく行ううえで好ましい。
【0123】本実施形態の針棒メタル65は、略円筒形
状に形成されており、この針棒メタル65の内周面の大
部分が、前記針棒61の摺動面61aを往復運動可能に
支持する被摺動面65aとされている。この針棒メタル
65は、摺動時の摩耗を少なくして耐摩耗性に好影響を
与えるという意味で、黄銅、高力黄銅、青銅、リン青
銅、アルミニウム青銅、鉛青銅系の合金および合金鋳
物、軸受用アルミニウム合金および合金鋳物や、錫、亜
鉛、鉛を主成分とした合金および合金鋳物を単独もしく
は組み合わせて用いることができるが、少なくとも被摺
動面65aを銅系の合金あるいは合金鋳物により形成す
ることが無潤滑状態での摺動時の耐摩耗性および耐久性
を向上させることができるという点で好ましい。
【0124】なお、針棒メタル65としては、少なくと
も被摺動面65aを形成する部位のみを鉛青銅系の合金
あるいは合金鋳物により形成し、その他の部位を低価格
の金属素材により形成する構成としてもよい。
【0125】その他の構成は、従来のミシンと同様とさ
れており、その詳しい説明は省略する。
【0126】つぎに、前述した構成からなる本実施形態
の作用について説明する。
【0127】本実施形態のミシンMによれば、針棒61
の摺動面61aがピッチ系炭素繊維強化樹脂により形成
されているので、優れた耐摩耗性を有することが摩耗試
験により判明した。
【0128】ここで摩耗試験とは、同一形状に形成した
ピッチ系炭素繊維強化樹脂およびPAN系炭素繊維強化
樹脂の試験片を用いて、PVmax0.92MPa・m
/s、無給油環境、支持部材としての相手部材の素材を
C5191BH(JIS H3110)とした試験条件
により摩耗量を求めたものである。
【0129】図13に摩耗試験結果を示す。この摩耗試
験結果から明らかなように、ピッチ系炭素繊維強化樹脂
は、PAN系炭素繊維強化樹脂の1/30程度の摩耗量
となり、ピッチ系炭素繊維強化樹脂は、PAN系炭素繊
維強化樹脂に比べて優れた耐摩耗性を有している。
【0130】すなわち、本実施形態の針棒61は、摺動
面61aがピッチ系炭素繊維強化樹脂により形成されて
いるので優れた耐摩耗性を有していることになる。
【0131】また、本実施形態のミシンMによれば、針
棒61の摺動面61aがピッチ系炭素繊維強化樹脂によ
り形成されているので、無潤滑状態における優れた耐久
性を有することが摺動部位の発熱温度と時間との関係に
ついての耐久試験により判明した。
【0132】ここで、耐久試験とは、本実施形態の針棒
61と、従来の含油処理を施したPAN系炭素繊維強化
樹脂により形成された針棒と、従来のグリース潤滑を施
した鋼材により形成された針棒とを、それぞれ強制給油
機構をもたない同一のミシンに組み込んで、同一条件で
ミシンを駆動させた場合の摺動部位の発熱温度を時間毎
に求めたものである。なお、針棒メタル65は本実施形
態のものを用いた。
【0133】図14に試験結果を示す。この試験結果か
ら明らかなように、本実施形態の針棒61(図14に本
発明品と記す)の摺動部位の発熱温度と時間との関係
は、従来の含油処理を施したPAN系炭素繊維強化樹脂
により形成された針棒(図14に従来品1と記す)とほ
とんど差がなく、耐久性および耐摩耗性に関して問題な
いことが確認できた。また、本実施形態の針棒61の摺
動部位の発熱温度と時間との関係は、従来のグリース潤
滑を施した鋼材により形成された針棒(図14に従来品
2と記す)に比べて、発熱温度を格段に低くできること
も判明した。
【0134】このように、本実施形態のミシンMのミシ
ン用摺動装置60の針棒61によれば、針棒61の摺動
面61aが大きな耐摩耗性および自己潤滑性をもつた
め、無給油で摺動面61aと被摺動面65aとの摺動部
位の摩耗や焼付損傷を長期間に亘り確実に防止すること
ができる。
【0135】また、本実施形態のミシンMのミシン用摺
動装置60の針棒61によれば、摺動面61aを形成す
るピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向が摺動方向に沿
って配置されているので、針棒61のすべり面である摺
動面61aに摺動方向に沿ったせん断が生じた場合、繊
維方向を摺動方向に対して直交する方向に配置した場合
に比べて、炭素繊維自体の剥離を生じにくくすることが
できるので、摺動面61aと被摺動面65aとの摺動部
位の摩耗を少なくすることができる。
【0136】すなわち、針棒61の摺動面61aの繊維
方向を針棒61の運動方向と同一になるように配置する
ことで、耐摩耗性の向上を容易に図ることができる。
【0137】さらに、本実施形態のミシンMのミシン用
摺動装置60の針棒61によれば、内径寸法が小径、例
えば5mm程度の針棒61をピッチ系炭素繊維強化樹脂
のみにより形成する場合の不都合、詳しくは、ピッチ系
炭素繊維強化樹脂を小径のマンドレルに直接巻き付けて
成形を実行すると、繊維自身の弾性率が高いので割れが
生じてしまうという不都合を防止することができる。す
なわち、内層73となる針棒本体71をピッチ系炭素繊
維強化樹脂より弾性率が低く、伸びが大きいPAN系炭
素繊維強化樹脂を小径のマンドレルに直接巻き付け、そ
の外周部にピッチ系炭素繊維強化樹脂を巻き付けて成形
を行うことで、割れの発生を確実に防止することができ
る。なお、針棒61の内径寸法が大径、例えば6mm以
上の場合には、針棒61をピッチ系炭素繊維強化樹脂の
みにより形成する構成としてもよい。
【0138】さらにまた、本実施形態のミシンMのミシ
ン用摺動装置60の針棒61によれば、摺動面61aが
形成される摺動層72と、針棒本体71がともに軽量で
高剛性をもつため、制振性を向上することができるとと
もに、摺動層72と針棒本体71とのそれぞれの繊維方
向が略90度異なるので、繊維方向を同一とした場合の
方向による強度低下を防止することができ、しかも、摺
動面61aと被摺動面65aとの摺動部位の摺動抵抗で
生じる発熱による針棒61の熱変形を防止することがで
きる。
【0139】またさらに、本実施形態のミシンMのミシ
ン用摺動装置60によれば、摺動部品が針棒61であ
り、支持部品が針棒61を軸方向に沿って往復可能に支
持する針棒メタル65であり、かつ、針棒メタル65の
少なくとも被摺動面65aを銅系の合金もしくは合金鋳
物により形成することにより、針棒61と針棒メタル6
5との摺動部位における無給油での最も優れた耐摩耗性
を容易に得ることができる。
【0140】このように、本実施形態のミシンMのミシ
ン用摺動装置60によれば、針棒61と針棒メタル65
との摺動部位における無給油での最も優れた耐摩耗性お
よび耐久性を容易に得ることができる。
【0141】したがって、本実施形態のミシンMによれ
ば、針棒61と針棒メタル65との摺動部位の無給油化
を容易に実現することができるとともに、針棒61と針
棒メタル65との摺動部位における無給油での最も優れ
た耐摩耗性を容易に得ることができ、かつ、良好な針棒
61の動作を無給油状態で長時間に亘り保持することが
できる。
【0142】そして、本実施形態のミシンMによれば、
給油機構を設ける必要がないので、針棒メタル65と針
棒61との摺動部位からミシン本体51の外部に潤滑油
が漏洩して縫製物を汚染することがないとともに、構造
が簡単となり、しかも、部品点数、組立工数などの削減
を図ることができるので、低価格化を図ることができ
る。
【0143】さらに、本実施形態のミシンMによれば、
針棒メタル65と針棒61との摺動によって、摩耗粉が
ほとんど発生することがないから、針棒61の下に載置
される縫製物を汚すということがない。
【0144】図15は針棒61の変形例を示すものであ
る。
【0145】図15に示すように、本実施形態の針棒6
1Aは、炭素繊維強化樹脂により所定形状に形成されて
いる基体としての針棒本体71Aを有しており、この針
棒本体71Aは、ピッチ系炭素繊維強化樹脂によりその
繊維方向が略摺動方向(図11に両矢印にて示す)に沿
って配置されている外周層71Aaと、PAN系炭素繊
維強化樹脂によりその繊維方向が摺動方向に対して略直
交する方向に配置されている内周層71Abとの2層に
形成されている。そして、針棒本体71の外周面は、ピ
ッチ系炭素繊維強化樹脂により形成された摺動層72A
により被覆されており、この摺動層72Aの外周面の大
部分が、針棒メタル65の内周面に形成された被摺動面
65a(図11、図12参照)により支持される摺動面
61aaとされている。
【0146】また、本実施形態においては、摺動面61
aaを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向
は、図11に両矢印にて示す針棒61の運動方向たる摺
動方向に対して略直交する方向に配置されている。すな
わち、本実施形態の針棒61Aは、全体として炭素繊維
強化樹脂による3層構造とされている。
【0147】なお、針棒本体71Aの外周層71Aa
を、PAN系炭素繊維強化樹脂により形成する構成とし
てもよい。
【0148】また、針棒本体71Aの外周層71Aaの
繊維方向は、摺動層72Aを形成するピッチ系炭素繊維
強化樹脂の繊維方向に対して直交する方向に配置すれば
よい。すなわち、摺動層72Aを形成するピッチ系炭素
繊維強化樹脂の繊維方向を略摺動方向に沿って配置する
場合には、外周層71Aaの繊維方向を摺動方向に対し
て直交する方向に配置し、摺動層72Aを形成するピッ
チ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向を摺動方向に対して略
直交する方向に配置する場合には、外周層71Aaの繊
維方向を摺動方向に沿って配置すればよい。
【0149】このような構成からなる本実施形態の針棒
61Aによれば、前述した第1実施形態の針棒61を用
いたミシンMおよびミシン用摺動装置60と同様の効果
を奏することができるとともに、摺動面61aaを形成
するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向が摺動方向に
対して略直交する方向に配置されているため、使用開始
初期における温度上昇を低減できることが発熱温度と時
間との関係についての試験により判明した。
【0150】ここで、試験とは、前記摺動面61aを形
成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向が略摺動方
向に沿って配置されている針棒61と、本実施形態の摺
動面61aaを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊
維方向が摺動方向に対して略直交する方向に配置されて
いる針棒61Aとを、それぞれ強制給油機構をもたない
同一のミシンに組み込んで、同一条件でミシンを駆動さ
せた場合の摺動部位の上昇温度と時間との関係を求めた
ものである。なお、針棒メタル65は本実施形態のもの
を用いた。
【0151】図16に試験結果を示す。この試験結果か
ら明らかなように、本実施形態の針棒61A(図16に
外周90°層のCRFP針棒と記す)は、前記針棒61
(図16に外周0°層のCRFP針棒と記す)より、摺
動部位の使用開始時の発熱温度が低いことが確認でき
た。また、本実施形態の針棒61Aは、前記針棒61よ
り、摩耗粉の付着を低減できることも判明した。
【0152】また、本実施形態の針棒61Aは、摺動面
61aaを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方
向が摺動方向に対して略直交する方向に配置されている
ので、摺動状態において、被摺動面65aに対して摺動
面61aaの繊維部が100%接触することになり、ピ
ッチ系炭素繊維強化樹脂による耐摩耗性および自己潤滑
性を最も効果的に用いることができる。
【0153】このように、本実施形態の針棒61Aによ
れば、針棒61Aの摺動面61aaが大きな耐摩耗性お
よび自己潤滑性をもつため、無給油で摺動面61aaと
被摺動面65aとの摺動部位の摩耗や焼付損傷を長期間
に亘り確実に防止することができるとともに、使用開始
初期における温度上昇および摩耗粉の付着をそれぞれ低
減することができる。
【0154】また、本実施形態の針棒61Aは、全体と
して3層構造とされているとともにそれぞれの繊維方向
が90°毎に交互に配置されているので、高い曲げ剛性
を容易に得ることができる。
【0155】また、基体としての針棒本体71Aを3層
以上の構成として、針棒61Aの全体を4層以上の構造
にしてもよい。この時、繊維方向が軸方向となる層の割
合を全ての層に対して60%以上とすることが、針棒と
して使用するために必要な曲げ剛性を得るうえで好まし
く、基体の最も内側に位置する層の繊維方向を軸方向に
対して直交する方向とすることが、製造時の割れの発生
を防止して加工性を良好なものとするうえで好ましい。
【0156】図17は本発明に係るミシン用摺動装置を
適用した本発明に係るミシンの第2実施形態を示すもの
である。
【0157】本実施形態のミシンは、ミシン用摺動装置
として、可動とされた摺動部品としての往復運動を行う
押え棒と、この押え棒を支持する支持部品としての押え
棒メタルとの摺動部位を無潤滑化したものであり、押え
棒の摺動面がピッチ系炭素繊維強化樹脂により形成され
ている。
【0158】図17に示すように、本実施形態のミシン
MAのミシン用摺動装置60Aは、可動とされた摺動部
品としての押え棒76と、この押え棒76を支持する支
持部品としての押え棒メタル77とを有しており、押え
棒76の外周面に設けられた摺動面76aを、押え棒メ
タル77の内周面に設けられた被摺動面77aで支持す
るように形成されている。
【0159】また、本実施形態の押え棒76は、前述し
た第1実施形態の針棒61と同様に構成されている。
【0160】すなわち、本実施形態の押え棒76は、P
AN系炭素繊維強化樹脂により略円筒形状に形成された
基体としての押え棒本体78を有しており、この押え棒
本体78の外周面は、ピッチ系炭素繊維強化樹脂により
形成された摺動層72Aにより被覆されており、この摺
動層72Aの外周面の大部分が、押え棒メタル77の内
周面に形成された被摺動面77aにより支持される摺動
面76aとされている。また、押え棒本体78を形成す
るPAN系炭素繊維強化樹脂の繊維方向は、図17に両
矢印にて示す押え棒76の運動方向たる摺動方向に対し
て略直交する方向に配置されており、摺動層72Aを形
成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向は、図17
に両矢印にて示す押え棒76の運動方向たる摺動方向に
沿って配置されている。なお、摺動面76aを形成する
ピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向を略摺動方向に沿
って配置する場合には、前述した針棒61の摺動面61
aと同様に、摺動面76aを形成するピッチ系炭素繊維
強化樹脂のうちの炭素繊維が摺動状態における被摺動面
77aと接触する割合を60%以上とすることが肝要で
ある。
【0161】このように、本実施形態のミシン用摺動装
置60Aの一部を構成する押え棒76は、繊維方向が摺
動方向に対して直交する方向に配置されたPAN系炭素
繊維強化樹脂からなる押え棒本体78を形成する内層7
3Aと、繊維方向が摺動方向に沿って配置されたピッチ
系炭素繊維強化樹脂からなる摺動層72Aを形成する外
層74Aとによる2層の繊維積層構造とされている。
【0162】また、押え棒76の一端部たる図17下方
に示す下端部には、押え留79が固着されている。
【0163】なお、本実施形態の押え棒76の構成とし
ては、前述した第1実施形態の針棒61と同様に、押え
棒76の内径寸法が大径、例えば6mm以上の場合に
は、押え棒76をピッチ系炭素繊維強化樹脂のみにより
形成する構成としてもよい。
【0164】また、押え棒76の構成としては、前述し
た3層構造の針棒61A(図15)と同様に、摺動面7
6aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向を
押え棒76の運動方向たる摺動方向に対して略直交する
方向に配置する構成としてもよい。このような構成を用
いると、前述した針棒61Aと同様の効果を奏すること
ができる。
【0165】本実施形態の押え棒メタル77は、略円筒
形状に形成されており、この押え棒メタル77の内周面
の大部分が、前記押え棒76の摺動面76aを往復運動
可能に支持する被摺動面77aとされている。この押え
棒メタル77は、摺動時の摩耗を少なくして耐摩耗性に
好影響を与えるという意味で、銅およびアルミニウム
や、錫、亜鉛、鉛を主成分とした合金および合金鋳物を
単独もしくは組み合わせて用いることができるが、少な
くとも被摺動面77aを銅合金および合金鋳物により形
成することが無潤滑状態での摺動時の耐摩耗性および耐
久性を向上させることができるという点で好ましい。
【0166】また、押え棒メタル77としては、少なく
とも被摺動面77aを形成する部位のみを銅合金および
合金鋳物により形成し、その他の部位を低価格の金属素
材により形成する構成としてもよい。
【0167】さらに、本実施形態のミシンMAには、ミ
シン用摺動装置60Aを構成する押え棒76と押え棒メ
タル77との摺動部位に潤滑油を強制的に供給する給油
機構および潤滑油の供給量を調整する給油量調節機構な
どは配設されていない。
【0168】その他の構成は、従来のミシンと同様とさ
れており、その詳しい説明は省略する。
【0169】このような構成からなる本実施形態のミシ
ンMAおよびミシン用摺動装置60Aによれば、前述し
た第1実施形態のミシンMおよびミシン用摺動装置60
と同様の効果を奏することができる。すなわち、押え棒
76と押え棒メタル77との摺動部位の無給油化を容易
に実現することができるとともに、押え棒76と押え棒
メタル77との摺動部位における無給油での最も優れた
耐摩耗性を容易に得ることができ、かつ、良好な押え棒
76の動作を無給油状態で長時間に亘り保持することが
できる。
【0170】図18から図20は本発明に係るミシン用
摺動装置を適用した本発明に係るミシンの第3実施形態
を示すものである。
【0171】本実施形態のミシンは、ミシン用摺動装置
として、可動とされた摺動部品としての往復運動を行う
往復軸と、この往復軸を支持する支持部品としての軸受
メタルとの摺動部位を無潤滑化したものであり、軸受メ
タルの被摺動面がピッチ系炭素繊維強化樹脂により形成
されている。
【0172】図18に示すように、本実施形態のミシン
MBのミシン用摺動装置60Bは、可動とされた摺動部
品としての往復運動可能な往復軸81と、この往復軸8
1を往復動可能に支持する支持部品としての軸受メタル
82とを有しており、往復軸81の外周面に設けられた
摺動面81aを、軸受メタル82の内周面に設けられた
被摺動面82aで支持するように形成されている。
【0173】本実施形態の軸受メタル82は、金属によ
り略円筒形状に成形されているハウジング83の内面に
ピッチ系炭素繊維強化樹脂により形成された摺動層72
Bが接着剤層84により結合されて一体化されており、
摺動層72Bの内面の大部分が被摺動面82aとされて
いる。そして、摺動層72Bを形成するピッチ系炭素繊
維強化樹脂の繊維方向は、図18に両矢印にて示す往復
軸81の運動方向たる摺動方向に沿って配置されてい
る。なお、被摺動面82aを形成するピッチ系炭素繊維
強化樹脂の繊維方向を略摺動方向に沿って配置する場合
には、前述した針棒61の摺動面61aと同様に、被摺
動面82aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂のうち
の炭素繊維が摺動状態における摺動面77aと接触する
割合を60%以上とすることが肝要である。
【0174】前記摺動層72Bは、製造に際し、ピッチ
系炭素繊維強化樹脂をマンドレルに巻き付ける場合、す
べての繊維方向がマンドレルの軸方向に沿うように巻き
付けると、成形後のピッチ系炭素繊維強化樹脂がマンド
レルから抜けなくなるため、例えば、図19に示すよう
に、図19に破線にて示す繊維強化樹脂からなる成形用
補助部材85をその繊維方向がマンドレルの軸方向に対
して直交するように巻き付け、この繊維強化樹脂の表面
にピッチ系炭素繊維強化樹脂をその繊維方向がマンドレ
ルの軸方向に沿うように巻き付けて成形し、その後、成
形用補助部材85を除去することにより形成されてい
る。
【0175】なお、成形用補助部材85としては、PA
N系炭素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂、アラミド
繊維強化樹脂、ボロン繊維強化樹脂などの各種の繊維強
化樹脂から選択することができる。
【0176】また、軸受メタル82としては、図20に
示すように、PAN系炭素繊維強化樹脂により形成され
ている補強層88の内面にピッチ系炭素繊維強化樹脂に
より形成された摺動層72Bを配設し、これらを金属に
より略円筒形状に成形されているハウジング83の内面
に圧入することにより一体化した構成の軸受メタル82
Aであってもよい。この時の補強層88を形成するPA
N系炭素繊維強化樹脂の繊維方向は、図20に両矢印に
て示す往復軸81の運動方向たる摺動方向に沿って配置
することが、圧入時の抵抗を少なくするうえで好まし
い。また、補強層88の素材としては、特に限定される
ものではないが、圧縮強度が高く、圧入による損傷を防
止することができという意味でPAN系炭素繊維強化樹
脂を用いることが好ましい。
【0177】なお、軸受メタル82の構成としては、前
述した3層構造の針棒61A(図15)と同様に、被摺
動面82aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維
方向を往復軸81の運動方向たる摺動方向に対して略直
交する方向に配置する構成としてもよい。このような構
成を用いると、前述した針棒61Aと同様の効果を奏す
ることができる。また、被摺動面82aを形成するピッ
チ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向を往復軸81の運動方
向たる摺動方向に対して略直交する方向に配置する構成
とした場合には、製造に際し、ピッチ系炭素繊維強化樹
脂をマンドレルに巻き付ける場合、すべての繊維方向を
マンドレルの軸方向に対して直交する方向に巻き付ける
と、成形後のピッチ系炭素繊維強化樹脂がマンドレルか
ら容易に抜くことができるため加工性がよい。さらにま
た、被摺動面82aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹
脂の繊維方向を往復軸81の運動方向たる摺動方向に対
して略直交する方向に配置する構成とした場合、もちろ
ん補強層88を設けてもよい。
【0178】図18に戻って、前記往復軸81は、従来
と同様に略円柱状に形成されており、この往復軸81の
外周面の大部分が、前記軸受メタル82の被摺動面82
aに往復運動可能に支持される摺動面81aとされてい
る。この往復軸81は、他部品に対する慣性などを考慮
すると、表面に硬質陽極酸化被膜が施されたアルミニウ
ムや、鋼を単独もしくは組み合わせて用いることが好ま
しい。
【0179】なお、往復軸81としては、少なくとも被
摺動面81aを形成する部位のみを表面に硬質陽極酸化
被膜が施されたアルミニウムや、鋼により形成し、その
他の部位を低価格の金属素材により形成する構成として
もよい。
【0180】また、ミシン用摺動装置60Bの往復軸8
1の具体的な適用部位としては、針棒および押え棒など
を例示することができる。
【0181】さらにまた、本実施形態のミシンMBに
は、ミシン用摺動装置60Bを構成する往復軸81と軸
受メタル82との摺動部位に潤滑油を強制的に供給する
給油機構および潤滑油の供給量を調整する給油量調節機
構などは配設されていない。
【0182】その他の構成は、従来のミシンと同様とさ
れており、その詳しい説明は省略する。
【0183】このような構成からなる本実施形態のミシ
ンMBおよびミシン用摺動装置60Bによれば、前述し
た第1実施形態のミシンMおよびミシン用摺動装置60
と同様の効果を奏することができる。すなわち、往復軸
81と軸受メタル82との摺動部位の無給油化を容易に
実現することができるとともに、往復軸81と軸受メタ
ル82との摺動部位における無給油での最も優れた耐摩
耗性を容易に得ることができ、かつ、良好な往復軸81
の動作を無給油状態で長時間に亘り保持することができ
る。
【0184】さらに詳しく説明すると、本実施形態のミ
シンMBの摺動装置10Bによれば、被摺動面82aが
大きな耐摩耗性および自己潤滑性をもつため、無給油で
往復軸81の摺動面81aと軸受メタル82の被摺動面
82aとの摺動部位の摩耗や焼付損傷を長期間に亘り確
実に防止することができる。また、被摺動面82aを形
成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向が略摺動方
向に沿って配置されているので、摺動方向に沿ったせん
断が生じた場合に炭素繊維自体の剥離が最も生じにくい
ため、摺動面81aと被摺動面82aとの摺動部位の摩
耗を最も少なくすることなどができる。さらに、ハウジ
ング83が優れた機械的強度をもつため、高強度を必要
とする支持部品を容易に得ることができる。さらにま
た、鋼により形成された摺動部品としての往復軸81
は、優れた機械的強度をもつため、高強度を必要とする
摺動部品を容易に得ることができる。また、表面に硬質
陽極酸化被膜が施されたアルミニウムにより形成された
摺動部品としての往復軸81は、軽量で、かつ優れた機
械的強度をもつため、慣性が小さく、制振性および高強
度を必要とする摺動部品を容易に得ることができる。ま
たさらに、摺動部位の無給油化を容易に実現することが
できる。
【0185】図21から図24は本発明に係るミシン用
摺動装置を適用した本発明に係るミシンの第4実施形態
を示すものである。
【0186】本実施形態のミシンは、ミシン用摺動装置
として、可動とされた摺動部品としての回転運動を行う
回転軸と、この回転軸を支持する支持部品としての軸受
メタルとの摺動部位を無潤滑化したものであり、回転軸
の摺動面がピッチ系炭素繊維強化樹脂により形成されて
いる。
【0187】図21に示すように、本実施形態のミシン
MCのミシン用摺動装置60Cは、可動とされた摺動部
品としての回転軸91、例えば、上軸91A、下軸91
B、縦軸91Cなどと、これらの回転軸91を支持する
支持部品としての軸受メタル92、例えば、上軸91A
と対をなす上軸メタル92A、下軸91Bと対をなす下
軸メタル92B、縦軸91Cと対をなす縦軸メタル92
Cとを有しており、回転軸91の外周面に設けられた摺
動面91aを、軸受メタル92の内周面に設けられた被
摺動面92aで支持するように形成されている。
【0188】図22に示すように、本実施形態の回転軸
91は、金属により所定形状に形成された基体94を有
しており、この基体94の外周面は、ピッチ系炭素繊維
強化樹脂により形成された摺動層72Cにより被覆され
ており、この摺動層72Cの表面にピッチ系炭素繊維強
化樹脂からなる摺動層72Cが配設されており、この摺
動層72Cの外周面の一部が、軸受メタル92の内周面
に形成された被摺動面92aにより支持される摺動面9
1aとされている。また、摺動層72Cを形成するピッ
チ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向は、図22に矢印にて
示す回転軸91の回転方向たる摺動方向に沿って配置さ
れている。なお、摺動層72Cは、基体94の表面の少
なくとも摺動面形成部位に設ければよい。また、摺動面
91aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向
を略摺動方向に沿って配置する場合には、前述した針棒
61の摺動面61aと同様に、摺動面91aを形成する
ピッチ系炭素繊維強化樹脂のうちの炭素繊維が摺動状態
における被摺動面92aと接触する割合を60%以上と
することが肝要である。
【0189】前記回転軸91の構成としては、摺動面9
1aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向を
回転軸91の運動方向たる摺動方向に対して略直交する
方向に配置する構成としてもよい。このような構成を用
いると、前述した針棒61Aと同様の効果を奏すること
ができる。
【0190】また、回転軸91としては、図23に示す
ように、基体94の摺動面形成部位95に凹溝96を形
成し、この凹溝96にピッチ系炭素繊維強化樹脂を巻き
付けることにより摺動層72Cを形成する構成の回転軸
91AAとしてもよい。このような構成とすることによ
り、基体94の表面の摺動面形成部位95に摺動面91
aを容易に形成することができる。
【0191】さらに、回転軸91としては、図24に示
すように、摺動面91aが、繊維強化樹脂により略円筒
形状に形成されている基体94Aの表面に設けられてい
るとともに、基体94Aが複層、例えば2層に形成さ
れ、かつ各層の繊維方向は、摺動面91aを形成するピ
ッチ系炭素繊維強化樹脂に隣位する表層たる上層94A
aの繊維方向が図24に矢印にて示す摺動方向と略直交
する方向となるように90度毎に交互に形成されている
構成の回転軸91ABとしてもよい。
【0192】すなわち、回転軸91ABは、摺動層72
Cに隣位する基体94Aの上層94Aaの繊維方向は、
摺動層72Cを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊
維方向と直交する方向に形成されており、摺動層72C
から離間した基体94Aの内層たる下層94Abの繊維
方向は、摺動層72Cを形成するピッチ系炭素繊維強化
樹脂の繊維方向と同一方向に形成されている。言い換え
ると、基体94Aの各層の繊維方向は、摺動層72Cに
隣位する層の繊維方向が摺動方向と略直交する方向とな
るように90度毎に交互に配置されている。このような
構成とすることにより、基体94Aが軽量で優れた機械
的強度をもつため、軽量で高強度を必要とする摺動部品
を容易に得ることができる。なお、基体94Aを形成す
る層の数は、設計コンセプトなどの必要に応じて設定す
ればよい。
【0193】なお、摺動面91aを形成するピッチ系炭
素繊維強化樹脂の繊維方向を回転軸91の運動方向たる
摺動方向に対して略直交する方向に配置し、かつ、基体
94Aを繊維強化樹脂により複層とする構成としてもよ
い。この場合には、摺動層72Cに隣位する基体94の
層の繊維方向が略摺動方向に沿う方向となるように90
度毎に交互に配置するとよい。このような構成として
も、摺動面91aおよび基体94Aの各層との繊維方向
が略90度毎に交互に配置されているので、繊維方向を
同一とした場合の方向による強度低下を防止することが
でき、しかも、摺動抵抗で生じる発熱による摺動部品の
熱変形を防止することができるとともに、基体94Aの
機械的強度の向上を容易に図ることができるため、軽量
で高強度を必要とする摺動部品を容易に得ることができ
る。
【0194】図21に戻って、本実施形態の軸受メタル
92は、略円筒形状に形成されており、この軸受メタル
92の内周面の大部分が、前記回転軸91の摺動面91
aを回転運動可能に支持する被摺動面92aとされてい
る。この軸受メタル92は、摺動時の摩耗を少なくして
耐摩耗性に好影響を与えるという意味で、銅およびアル
ミニウムや、錫、亜鉛、鉛を主成分とした合金および合
金鋳物を単独もしくは組み合わせて用いることができる
が、少なくとも被摺動面92aを銅合金および合金鋳物
により形成することが、無潤滑状態での摺動時の耐摩耗
性および耐久性を向上させることができるという点で好
ましい。
【0195】また、軸受メタル92としては、少なくと
も被摺動面92aを形成する部位のみを銅合金および合
金鋳物により形成し、その他の部位を低価格の金属素材
により形成する構成としてもよい。
【0196】さらに、本実施形態のミシンMCには、ミ
シン用摺動装置60Cを構成する回転軸91と軸受メタ
ル92との摺動部位に潤滑油を強制的に供給する給油機
構および潤滑油の供給量を調整する給油量調節機構など
は配設されていない。
【0197】その他の構成は、従来のミシンと同様とさ
れており、その詳しい説明は省略する。
【0198】このような構成からなる本実施形態のミシ
ンMCおよびミシン用摺動装置60Cによれば、前述し
た第1実施形態のミシンMおよびミシン用摺動装置60
と同様の効果を奏することができる。すなわち、回転軸
91と軸受メタル92との摺動部位の無給油化を容易に
実現することができるとともに、回転軸91と軸受メタ
ル92との摺動部位における無給油での最も優れた耐摩
耗性を容易に得ることができ、かつ、良好な回転軸91
の動作を無給油状態で長時間に亘り保持することができ
る。
【0199】また、本実施形態のミシンMCおよびミシ
ン用摺動装置60Cによれば、金属により所定形状に形
成された基体94を用いると、基体94が優れた機械的
強度をもつため、高強度を必要とする摺動部品を容易に
得ることができる。
【0200】さらにまた、本実施形態のミシンMCおよ
びミシン用摺動装置60Cによれば、繊維強化樹脂によ
り所定形状に形成されている複層の基体94Aを用いる
と、摺動面91aおよび基体94Aの各層との繊維方向
が略90度毎に交互に配置されているので、繊維方向を
同一とした場合の方向による強度低下を防止することが
でき、しかも、摺動抵抗で生じる発熱による摺動部品の
熱変形を防止することができるとともに、基体94Aの
機械的強度の向上を容易に図ることができるため、軽量
で高強度を必要とする摺動部品を容易に得ることができ
る。
【0201】図25から図28は本発明に係るミシン用
摺動装置を適用した本発明に係るミシンの第5実施形態
を示すものである。
【0202】本実施形態のミシンは、ミシン用摺動装置
として、可動とされた摺動部品としての回転運動を行う
回転軸と、この回転軸を支持する支持部品としての軸受
メタルとの摺動部位を無潤滑化したものであり、軸受メ
タルの被摺動面がピッチ系炭素繊維強化樹脂により形成
されている。
【0203】図25に示すように、本実施形態のミシン
MDのミシン用摺動装置60Dは、可動とされた摺動部
品としての回転運動可能な回転軸101、例えば、上軸
101A、下軸101B、縦軸101Cなどと、これら
の回転軸101を支持する支持部品としての軸受メタル
102、例えば、上軸101Aと対をなす上軸受メタル
102A、下軸101Bと対をなす下軸受メタル102
B、縦軸101Cと対をなす縦軸受メタル102Cとを
有しており、回転軸101の外周面に設けられた摺動面
101aを軸受メタル102の内周面に設けられた被摺
動面102aで支持するように形成されている。
【0204】図26に示すように、本実施形態の軸受メ
タル102は、PAN系炭素繊維強化樹脂により略円筒
形状に形成された基体103の内面に、ピッチ系炭素繊
維強化樹脂により形成された摺動層72Dが形成されて
いる。そして、基体103を形成するPAN系炭素繊維
強化樹脂の繊維方向は、図26に矢印にて示す回転軸1
01の運動方向たる摺動方向に対して直交する方向に配
置されており、摺動層72Dを形成するピッチ系炭素繊
維強化樹脂の繊維方向は、図26に矢印にて示す回転軸
101の運動方向たる摺動方向に沿って配置されてい
る。そして、摺動層72Dの内周面が、回転軸101の
外周面に形成された摺動面101aを支持する被摺動面
102aとされている。なお、被摺動面102aを形成
するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向を略摺動方向
に沿って配置する場合には、前述した針棒61の摺動面
61aと同様に、被摺動面102aを形成するピッチ系
炭素繊維強化樹脂のうちの炭素繊維が摺動状態における
摺動面101aと接触する割合を60%以上とすること
が肝要である。
【0205】前記軸受メタル102の構成としては、被
摺動面102aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の
繊維方向を回転軸101の運動方向たる摺動方向に対し
て略直交する方向に配置する構成としてもよい。このよ
うな構成を用いると、前述した軸受メタル82と同様の
効果を奏することができる。
【0206】なお、軸受メタル102としては、図27
に示すように、金属により略円筒形状に成形されている
ハウジング104の内面にピッチ系炭素繊維強化樹脂に
より形成された摺動層72Dを接着剤層105により結
合することにより一体化した構成の軸受メタル102A
Aとしてもよい。このような構成とすることにより、ハ
ウジング104が優れた機械的強度をもつため、高強度
を必要とする支持部品を容易に得ることができる。
【0207】さらに、軸受メタル102としては、図2
8に示すように、PAN系炭素繊維強化樹脂により形成
されている基体103の内面にピッチ系炭素繊維強化樹
脂により形成された摺動層72Dを配設し、これらを金
属により略円筒形状に成形されているハウジング104
の内面に圧入することにより一体化した構成の軸受メタ
ル102ABとしてもよい。この時の基体103を形成
するPAN系炭素繊維強化樹脂の繊維方向は、ハウジン
グ104の軸方向たる圧入方向に沿って配置すること
が、圧入時の抵抗を少なくするうえで好ましい。また、
基体103の素材としては、特に限定されるものではな
いが、圧縮強度が高く、圧入による損傷を防止すること
ができという意味でPAN系炭素繊維強化樹脂を用いる
ことが好ましい。このような構成とすることにより、ハ
ウジング104が優れた機械的強度をもつため、高強度
を必要とする支持部品を容易に得ることができるととも
に、生産効率を向上することができる。
【0208】図25に戻って、前記回転軸101は、略
円柱状に形成されており、この回転軸101の外周面の
一部が、前記軸受メタル102の被摺動面102aに回
転運動可能に支持される摺動面101aとされている。
この回転軸101は、他部品に対する慣性などを考慮す
ると、表面に硬質陽極酸化被膜が施されたアルミニウム
や、鋼を単独もしくは組み合わせて用いることが好まし
い。
【0209】なお、回転軸101としては、少なくとも
摺動面101aを形成する部位のみを表面に硬質陽極酸
化被膜が施されたアルミニウムや、鋼により形成し、そ
の他の部位を低価格の金属素材により形成する構成とし
てもよい。
【0210】また、本実施形態のミシンMDには、ミシ
ン用摺動装置60Dを構成する回転軸101と軸受メタ
ル102との摺動部位に潤滑油を強制的に供給する給油
機構および潤滑油の供給量を調整する給油量調節機構な
どは配設されていない。
【0211】その他の構成は、従来のミシンと同様とさ
れており、その詳しい説明は省略する。
【0212】このような構成からなる本実施形態のミシ
ンMDおよびミシン用摺動装置60Dによれば、前述し
た第1実施形態のミシンMおよびミシン用摺動装置60
と同様の効果を奏することができる。すなわち、回転軸
101と軸受メタル102との摺動部位の無給油化を容
易に実現することができるとともに、回転軸101と軸
受メタル102との摺動部位における無給油での最も優
れた耐摩耗性を容易に得ることができ、かつ、良好な回
転軸101の動作を無給油状態で長時間に亘り保持する
ことができる。
【0213】図29から図34は本発明に係るミシン用
摺動装置を適用した本発明に係るミシンの第6実施形態
を示すものである。
【0214】本実施形態のミシンは、ミシン用摺動装置
として、可動とされた摺動部品としての揺動運動を行う
揺動軸と、この揺動軸を支持する支持部品としての軸受
メタルとの摺動部位を無潤滑化したものであり、揺動軸
の摺動面がピッチ系炭素繊維強化樹脂により形成されて
いる。
【0215】図29に示すように、本実施形態のミシン
MEのミシン用摺動装置60Eは、可動とされた摺動部
品としての揺動軸111、例えば、天秤支え軸111
A、針棒揺動軸111B、針送り軸111Cなどと、こ
れらの揺動軸111を支持する支持部品としての軸受メ
タル112、例えば、天秤支え軸111Aと対をなす天
秤クランクメタル112A、針棒揺動軸111Bと対を
なす針棒揺動軸メタル112B、針送り軸111Cと対
をなす針送り軸メタル112Cとを有しており、揺動軸
111の外周面に設けられた摺動面111aを、軸受メ
タル112の内周面に設けられた被摺動面112aで支
持するように形成されている。
【0216】図30に示すように、揺動軸111として
の天秤支え軸111Aは、繊維強化樹脂により略円筒形
状の所定形状に形成された基体113Aの表面にピッチ
系炭素繊維強化樹脂からなる摺動層72Eが配設されて
おり、摺動層72Eを形成するピッチ系炭素繊維強化樹
脂の繊維方向は、図30に両矢印にて示す針棒揺動軸1
11Bの揺動方向たる摺動方向に沿って配置されてい
る。なお、摺動面111aを形成するピッチ系炭素繊維
強化樹脂の繊維方向を略摺動方向に沿って配置する場合
には、前述した針棒61の摺動面61aと同様に、摺動
面111aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂のうち
の炭素繊維が摺動状態における被摺動面112aと接触
する割合を60%以上とすることが肝要である。
【0217】前記揺動軸111としての天秤支え111
Aの構成としては、摺動面111aを形成するピッチ系
炭素繊維強化樹脂の繊維方向を揺動軸111としての天
秤支え軸111Aの運動方向たる摺動方向に対して略直
交する方向に配置する構成としてもよい。このような構
成を用いると、前述した針棒61Aと同様の効果を奏す
ることができる。
【0218】また、基体113Aは、複層、本実施形態
においては2層に形成され、かつ各層の繊維方向は、摺
動面111aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂に隣
位する表層たる上層113Aaの繊維方向が図30に両
矢印にて示す摺動方向と略直交する方向となるように9
0度毎に交互に形成されている。
【0219】すなわち、基体113Aの摺動層72Eに
隣位する基体113Aの上層113Aaの繊維方向は、
摺動層72Eを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊
維方向と直交する方向に形成されており、摺動層72E
から離間した基体113Aの内層たる下層113Abの
繊維方向は、摺動層72Eを形成するピッチ系炭素繊維
強化樹脂の繊維方向と同一方向に形成されている。な
お、摺動層72Eは、基体113Aの表面の少なくとも
摺動面形成部位に設ければよい。また、基体113Aの
素材としては、ピッチ系炭素繊維強化樹脂、PAN系炭
素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂、アラミド繊維強
化樹脂、ボロン繊維強化樹脂などの各種の繊維強化樹脂
から選択することができるが、機械的強度に優れたPA
N系炭素繊維強化樹脂を用いることが好ましい。さら
に、基体113Aを形成する層の数は、設計コンセプト
などの必要に応じて設定すればよい。このような構成と
することにより、摺動面111aおよび基体113Aの
各層との繊維方向が略90度毎に交互に配置されている
ので、繊維方向を同一とした場合の方向による強度低下
を防止することができ、しかも、摺動抵抗で生じる発熱
による摺動部品の熱変形を防止することができるととも
に、基体113Aの機械的強度の向上を容易に図ること
ができるため、軽量で高強度を必要とする摺動部品を容
易に得ることができる。
【0220】図31に示すように、揺動軸111として
の針棒揺動軸111Bは、前記天秤支え軸111Aと同
様に、繊維強化樹脂により略円筒形状の所定形状に形成
された基体113Bの表面にピッチ系炭素繊維強化樹脂
からなる摺動層72Eが配設されており、摺動層72E
を形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向は、図
31に両矢印にて示す針棒揺動軸111Bの揺動方向た
る摺動方向に沿って配置されている。なお、摺動面11
1aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向を
略摺動方向に沿って配置する場合には、前述した針棒6
1の摺動面61aと同様に、摺動面111aを形成する
ピッチ系炭素繊維強化樹脂のうちの炭素繊維が摺動状態
における被摺動面111aと接触する割合を60%以上
とすることが肝要である。
【0221】前記針棒揺動軸111Bの構成としては、
摺動面111aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の
繊維方向を針棒揺動軸111Bの運動方向たる摺動方向
に対して略直交する方向に配置する構成としてもよい。
このような構成を用いると、前述した針棒61Aと同様
の効果を奏することができる。
【0222】また、基体113Bは、複層、本実施形態
においては2層に形成され、かつ各層の繊維方向は、摺
動面111aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂に隣
位する表層たる上層113Baの繊維方向が図31に両
矢印にて示す摺動方向と略直交する方向となるように9
0度毎に交互に形成されている。
【0223】すなわち、基体113Bの摺動層72Eに
隣位する基体113Bの上層113Baの繊維方向は、
摺動層72Eを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊
維方向と直交する方向に形成されており、摺動層72E
から離間した基体113Bの内層たる下層113Bbの
繊維方向は、摺動層72Eを形成するピッチ系炭素繊維
強化樹脂の繊維方向と同一方向に形成されている。な
お、摺動層72Eは、基体113Bの表面の少なくとも
摺動面形成部位に設ければよい。また、基体113Bの
素材としては、ピッチ系炭素繊維強化樹脂、PAN系炭
素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂、アラミド繊維強
化樹脂、ボロン繊維強化樹脂などの各種の繊維強化樹脂
から選択することができるが、機械的強度に優れたPA
N系炭素繊維強化樹脂を用いることが好ましい。このよ
うな構成とすることにより、軽量で高強度を必要とする
摺動部品を容易に得ることができる。
【0224】図32に示すように、揺動軸111として
の針送り軸111Cは、金属により所定形状に形成され
た基体113Cの表面にピッチ系炭素繊維強化樹脂から
なる摺動層72Eが配設されており、摺動層72Eを形
成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向は、図32
に両矢印にて示す針送り軸111Cの揺動方向たる摺動
方向に沿って配置されている。なお、摺動面111aを
形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向を略摺動
方向に沿って配置する場合には、前述した針棒61の摺
動面61aと同様に、摺動面111aを形成するピッチ
系炭素繊維強化樹脂のうちの炭素繊維が摺動状態におけ
る被摺動面111aと接触する割合を60%以上とする
ことが肝要である。
【0225】前記針送り軸111Cの構成としては、摺
動面111aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊
維方向を針送り軸111Cの運動方向たる摺動方向に対
して略直交する方向に配置する構成としてもよい。この
ような構成を用いると、前述した針棒61Aと同様の効
果を奏することができる。
【0226】また、摺動層72Eは、基体113Cの表
面の少なくとも摺動面形成部位に設ければよい。
【0227】このような構成とすることにより、高強度
を必要とする摺動部品を容易に得ることができる。
【0228】なお、針送り軸111Cとしては、図33
に示すように、金属により形成された基体113Cの摺
動面形成部位114に凹溝115を形成し、この凹溝1
15にピッチ系炭素繊維強化樹脂を巻き付けることによ
り摺動層72Eを形成する構成の針送り軸111CAと
してもよい。このような構成とすることにより、基体1
13Cの表面の摺動面形成部位114に摺動面111a
を容易に形成することができる。
【0229】さらに、針送り軸111Cとしては、図3
4に示すように、摺動面111aが、繊維強化樹脂によ
り略円筒形状に形成されている基体113CAの表面に
設けられているとともに、基体113CAが複層、例え
ば2層に形成され、かつ各層の繊維方向は、摺動面11
1aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂に隣位する表
層たる上層113CAaの繊維方向が図34に矢印にて
示す揺動方向と略直交する方向となるように90度毎に
交互に形成されている構成の針送り軸111CBとして
もよい。
【0230】すなわち、前記摺動層72Eに隣位する基
体113CAの上層113CAaの繊維方向は、摺動層
72Eを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向
と直交する方向に形成されており、摺動層72Eから離
間した基体113CAの内層たる下層63CAbの繊維
方向は、摺動層72Eを形成するピッチ系炭素繊維強化
樹脂の繊維方向と同一方向に形成されている。言い換え
ると、基体113CAの各層の繊維方向は、摺動層72
Eに隣位する層の繊維方向が摺動方向と略直交する方向
となるように90度毎に交互に配置されている。なお、
摺動層72Eは、基体113CAの表面の少なくとも摺
動面形成部位に設ければよい。また、基体113CAの
素材としては、ピッチ系炭素繊維強化樹脂、PAN系炭
素繊維強化樹脂、ガラス繊維強化樹脂、アラミド繊維強
化樹脂、ボロン繊維強化樹脂などの各種の繊維強化樹脂
から選択することができるが、機械的強度に優れたPA
N系炭素繊維強化樹脂を用いることが好ましい。このよ
うな構成とすることにより、摺動面111aおよび基体
113CAの各層との繊維方向が略90度毎に交互に配
置されているので、繊維方向を同一とした場合の方向に
よる強度低下を防止することができ、しかも、摺動抵抗
で生じる発熱による摺動部品の熱変形を防止することが
できるとともに、基体113CAが軽量で優れた機械的
強度をもつため、軽量で高強度を必要とする摺動部品を
容易に得ることができる。
【0231】図29に戻って、本実施形態の軸受メタル
112は、その内周面の大部分が、前記各揺動軸111
の摺動面111aを揺動運動可能に支持する被摺動面1
12aとされている。これらの軸受メタル112は、摺
動時の摩耗を少なくして耐摩耗性に好影響を与えるとい
う意味で、銅およびアルミニウムや、錫、亜鉛、鉛を主
成分とした合金および合金鋳物を単独もしくは組み合わ
せて用いることができるが、少なくとも被摺動面112
aを銅合金および合金鋳物により形成することが、無潤
滑状態での摺動時の耐摩耗性および耐久性を向上させる
ことができるという点で好ましい。
【0232】また、軸受メタル112としては、少なく
とも被摺動面112aを形成する部位のみを銅合金およ
び合金鋳物により形成し、その他の部位を低価格の金属
素材により形成する構成としてもよい。
【0233】さらに、本実施形態のミシンMEには、ミ
シン用摺動装置60Eを構成する揺動軸111と軸受メ
タル112との摺動部位に潤滑油を強制的に供給する給
油機構および潤滑油の供給量を調整する給油量調節機構
などは配設されていない。
【0234】その他の構成は、従来のミシンと同様とさ
れており、その詳しい説明は省略する。
【0235】このような構成からなる本実施形態のミシ
ンMEおよびミシン用摺動装置60Eによれば、前述し
た第1実施形態のミシンMおよびミシン用摺動装置60
と同様の効果を奏することができる。すなわち、揺動軸
111と軸受メタル112との摺動部位の無給油化を容
易に実現することができるとともに、揺動軸111と軸
受メタル112との摺動部位における無給油での最も優
れた耐摩耗性を容易に得ることができ、かつ、良好な揺
動軸111の動作を無給油状態で長時間に亘り保持する
ことができる。
【0236】図35は本発明に係るミシン用摺動装置を
適用した本発明に係るミシンの第7実施形態を示すもの
である。
【0237】本実施形態のミシンは、ミシン用摺動装置
として、可動とされた摺動部品としての揺動運動を行う
揺動軸と、この揺動を支持する支持部品としての軸受メ
タルとの摺動部位を無潤滑化したものであり、軸受メタ
ルの被摺動面がピッチ系炭素繊維強化樹脂により形成さ
れている。
【0238】図35に示すように、本実施形態のミシン
MFのミシン用摺動装置60Fは、可動とされた摺動部
品としての揺動軸121、例えば、天秤支え軸121
A、針棒揺動軸121B、針送り軸121Cなどと、こ
れらの揺動軸121を支持する支持部品としての軸受メ
タル122、例えば、天秤支え軸121Aと対をなす天
秤クランクメタル122A、針棒揺動軸121Bと対を
なす針棒揺動軸メタル122B、針送り軸121Cと対
をなす針送り軸メタル122Cとを有しており、揺動軸
121の外周面に設けられた摺動面121aを、軸受メ
タル122の内周面に設けられた被摺動面122aで支
持するように形成されている。
【0239】本実施形態の各軸受メタル122は、前述
した第3実施形態の軸受メタル82(図18参照)と略
同様に、金属により所定形状に成形されているハウジン
グ123の内面にピッチ系炭素繊維強化樹脂により形成
された摺動層72Fが接着剤層により結合されて一体化
されており、摺動層72Fの内面の大部分が被摺動面1
22aとされている。そして、摺動層72Fを形成する
ピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向は、図35に両矢
印にて示す揺動軸121の運動方向たる摺動方向に沿っ
て配置されている。そして、摺動層72Fの内周面が、
揺動軸121の外周面に形成された摺動面121aを支
持する被摺動面122aとされている。なお、被摺動面
122aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方
向を略摺動方向に沿って配置する場合には、前述した軸
受メタル82の被摺動面82aと同様に、被摺動面12
2aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂のうちの炭素
繊維が摺動状態における摺動面121aと接触する割合
を60%以上とすることが肝要である。
【0240】前記軸受メタル122の構成としては、被
摺動面102aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の
繊維方向を揺動軸121の運動方向たる摺動方向に対し
て略直交する方向に配置する構成としてもよい。このよ
うな構成を用いると、前述した軸受メタル82と同様の
効果を奏することができる。
【0241】なお、軸受メタル122の構成としては、
前述した第3実施形態の他の軸受メタル82A(図20
参照)と同様の構成としてもよい。この場合、摺動層7
2Fを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向
を、揺動軸121の運動方向たる摺動方向に沿って配置
するか、もしくは、揺動軸121の運動方向たる摺動方
向に対して直交する方向に配置することが肝要である。
【0242】前記揺動軸121は、略円柱状に形成され
ており、この揺動軸121の外周面の大部分が、前記軸
受メタル122の被摺動面122aに往復運動可能に支
持される摺動面121aとされている。この揺動軸12
1は、他部品に対する慣性などを考慮すると、表面に硬
質陽極酸化被膜が施されたアルミニウムや、鋼を単独も
しくは組み合わせて用いることが好ましい。
【0243】なお、揺動軸121としては、少なくとも
被摺動面121aを形成する部位のみを表面に硬質陽極
酸化被膜が施されたアルミニウムや、鋼により形成し、
その他の部位を低価格の金属素材により形成する構成と
してもよい。
【0244】さらに、本実施形態のミシンMFには、ミ
シン用摺動装置60Fを構成する揺動軸121と軸受メ
タル122との摺動部位に潤滑油を強制的に供給する給
油機構および潤滑油の供給量を調整する給油量調節機構
などは配設されていない。
【0245】その他の構成は、従来のミシンと同様とさ
れており、その詳しい説明は省略する。
【0246】このような構成からなる本実施形態のミシ
ンMFおよびミシン用摺動装置60Fによれば、前述し
た第1実施形態のミシンMおよびミシン用摺動装置60
と同様の効果を奏することができる。すなわち、揺動軸
121と軸受メタル122との摺動部位の無給油化を容
易に実現することができるとともに、揺動軸121と軸
受メタル122との摺動部位における無給油での最も優
れた耐摩耗性を容易に得ることができ、かつ、良好な揺
動軸121の動作を無給油状態で長時間に亘り保持する
ことができる。
【0247】図36および図37は本発明に係るミシン
用摺動装置を適用した本発明に係るミシンの第8実施形
態を示すものである。
【0248】本実施形態のミシンは、ミシン用摺動装置
として、可動とされた摺動部品としての往復運動を行う
角駒と、この角駒を支持する支持部品としての摺動溝と
の摺動部位を無潤滑化したものであり、角駒の摺動面が
ピッチ系炭素繊維強化樹脂により形成されている。
【0249】図36に示すように、本実施形態のミシン
MGのミシン用摺動装置60Gは、可動とされた摺動部
品としての角駒131と、この角駒131を支持する支
持部品としての摺動溝132を具備する案内ガイド13
3とを有しており、角駒131の外周面に設けられた1
対の摺動面131aを、摺動溝132の内面に設けられ
た1対の被摺動面132aで支持するように形成されて
いる。
【0250】本実施形態の角駒131は、ピッチ系炭素
繊維強化樹脂からなる摺動層72Gにより形成されてお
り、摺動層72Gを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂
の繊維方向は、図36に角駒131の上下に矢印にて示
す角駒131の運動方向たる摺動方向に沿って配置され
ている。なお、摺動面131aを形成するピッチ系炭素
繊維強化樹脂の繊維方向を略摺動方向に沿って配置する
場合には、前述した針棒61の摺動面61aと同様に、
摺動面131aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の
うちの炭素繊維が摺動状態における被摺動面132aと
接触する割合を60%以上とすることが肝要である。
【0251】前記角駒131の構成としては、摺動面1
31aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向
を角駒131の運動方向たる摺動方向に対して略直交す
る方向に配置する構成としてもよい。このような構成を
用いると、前述した針棒61Aと同様の効果を奏するこ
とができる。
【0252】本実施形態の角駒131は、図37に示す
ように、繊維方向を周方向にして筒状に形成されている
ピッチ系炭素繊維強化樹脂からなる材料をワーク135
とし、このワーク135を所定の厚さで切断して中間加
工品136を得、その後、中間加工品136の外周面の
対向する部位を所定の幅に機械加工を施すことにより形
成されている。なお、ワーク135の形状は棒状であっ
てもよい。そして、角駒131をこのように形成するこ
とにより、多数の角駒131を効率よく容易に得ること
ができる。
【0253】なお、角駒131は、専用の型を用いて焼
成・成形することにより形成したものであってもよい。
【0254】また、摺動面131aを形成するピッチ系
炭素繊維強化樹脂の繊維方向を角駒131の運動方向た
る摺動方向に対して略直交する方向に配置する構成とす
る場合には、繊維方向を軸方向にして筒状に形成されて
いるピッチ系炭素繊維強化樹脂からなる材料をワーク1
35とするとよい。
【0255】前記摺動溝132を具備する案内ガイド1
33は、摺動時の摩耗を少なくして耐摩耗性に好影響を
与えるという意味で、黄銅、高力黄銅、青銅、リン青
銅、アルミニウム青銅、鉛青銅系の合金および合金鋳
物、軸受用アルミニウム合金および合金鋳物や、錫、亜
鉛、鉛を主成分とした合金および合金鋳物を単独もしく
は組み合わせて用いることができるが、少なくとも被摺
動面132aを鉛青銅系の合金あるいは合金鋳物により
形成することが最も好ましい。
【0256】なお、案内ガイド133としては、少なく
とも被摺動面122aを形成する摺動溝132の形成部
位のみを鉛青銅系の合金あるいは合金鋳物により形成
し、その他の部位を低価格の金属素材により形成する構
成としてもよい。
【0257】また、本実施形態のミシンMGには、ミシ
ン用摺動装置60Gを構成する角駒131と摺動溝13
2との摺動部位に潤滑油を強制的に供給する給油機構お
よび潤滑油の供給量を調整する給油量調節機構などは配
設されていない。
【0258】その他の構成は、従来のミシンと同様とさ
れており、その詳しい説明は省略する。
【0259】このような構成からなる本実施形態のミシ
ンMGおよびミシン用摺動装置60Gによれば、前述し
た第1実施形態のミシンMおよびミシン用摺動装置60
と同様の効果を奏することができる。すなわち、角駒1
31の摺動面131aとこの角駒131を支持する摺動
溝132の被摺動面132aとの摺動部位の無給油化を
容易に実現することができるとともに、角駒131と摺
動溝132との摺動部位における無給油での最も優れた
耐摩耗性を容易に得ることができ、かつ、良好な角駒1
31の動作を無給油状態で長時間に亘り保持することが
できる。
【0260】図38は本発明に係るミシン用摺動装置を
適用した本発明に係るミシンの第9実施形態を示すもの
である。
【0261】本実施形態のミシンは、ミシン用摺動装置
として、可動とされた摺動部品としての往復運動を行う
上ルーパ抱きと、この上ルーパ抱きを支持す支持部品と
してのる上ルーパ抱きメタルとの摺動部位を無潤滑化し
たものであり、上ルーパ抱きの摺動面がピッチ系炭素繊
維強化樹脂により形成されている。
【0262】図38に示すように、本実施形態のミシン
MHのミシン用摺動装置60Hは、可動とされた摺動部
品としての上ルーパ抱き141と、この上ルーパ抱き1
41を支持する支持部品としての上ルーパ抱きメタル1
42とを有しており、上ルーパ抱き141の図38にお
いて斜線領域にて示す軸部141Aの外周面に設けられ
た摺動面141aを、上ルーパ抱きメタル142の内面
に設けられた被摺動面142aで支持するように形成さ
れている。
【0263】本実施形態の上ルーパ抱き141の軸部1
41Aは、前述した第1実施形態の針棒61(図11参
照)と同様に、PAN系炭素繊維強化樹脂により略円筒
形状に形成された基体(図示せず)の外周面に、ピッチ
系炭素繊維強化樹脂により形成された摺動層72Hが設
けられており、この摺動層72Hの外周面の大部分が、
上ルーパ抱きメタル142の内周面に形成された被摺動
面142aにより支持される摺動面141aとされてい
る。また、基体を形成するPAN系炭素繊維強化樹脂の
繊維方向は、図38に両矢印にて示す上ルーパ抱き14
1の運動方向たる摺動方向に対して略直交する方向に配
置されており、摺動層72Hを形成するピッチ系炭素繊
維強化樹脂の繊維方向は、図38に両矢印にて示す上ル
ーパ抱き141の運動方向たる摺動方向に沿って配置さ
れている。なお、摺動面141aを形成するピッチ系炭
素繊維強化樹脂の繊維方向を略摺動方向に沿って配置す
る場合には、前述した針棒61の摺動面61aと同様
に、摺動面141aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹
脂のうちの炭素繊維が摺動状態における被摺動面142
aと接触する割合を60%以上とすることが肝要であ
る。
【0264】また、本実施形態の上ルーパ抱き141の
構成としては、前述した針棒61A(図15)と同様
に、摺動面141aを形成するピッチ系炭素繊維強化樹
脂の繊維方向を上ルーパ抱き141の運動方向たる摺動
方向に対して略直交する方向に配置する構成としてもよ
い。このような構成を用いると、前述した針棒61Aと
同様の効果を奏することができる。
【0265】前記上ルーパ抱きメタル142は、摺動時
の摩耗を少なくして耐摩耗性に好影響を与えるという意
味で、黄銅、高力黄銅、青銅、リン青銅、アルミニウム
青銅、鉛青銅系の合金および合金鋳物、軸受用アルミニ
ウム合金および合金鋳物や、錫、亜鉛、鉛を主成分とし
た合金および合金鋳物を単独もしくは組み合わせて用い
ることができるが、少なくとも被摺動面142aを鉛青
銅系の合金あるいは合金鋳物により形成することが、無
潤滑状態での摺動時の耐摩耗性および耐久性を向上させ
ることができるという点で好ましい。
【0266】なお、上ルーパ抱きメタル142として
は、少なくとも被摺動面142aのみを鉛青銅系の合金
あるいは合金鋳物により形成し、その他の部位を低価格
の金属素材により形成する構成としてもよい。
【0267】また、本実施形態のミシンMHには、ミシ
ン用摺動装置60Hを構成する上ルーパ抱き141と上
ルーパ抱きメタル142との摺動部位に潤滑油を強制的
に供給する給油機構および潤滑油の供給量を調整する給
油量調節機構などは配設されていない。
【0268】その他の構成は、従来のミシンと同様とさ
れており、その詳しい説明は省略する。
【0269】このような構成からなる本実施形態のミシ
ンMHおよびミシン用摺動装置60Hによれば、前述し
た第1実施形態のミシンMおよびミシン用摺動装置60
と同様の効果を奏することができる。すなわち、上ルー
パ抱き141とこの上ルーパ抱き141を支持する上ル
ーパ抱きメタル142との摺動部位の無給油化を容易に
実現することができるとともに、上ルーパ抱き141と
上ルーパ抱きメタル142との摺動部位における無給油
での最も優れた耐摩耗性を容易に得ることができ、か
つ、良好な上ルーパ抱き141の動作を無給油状態で長
時間に亘り保持することができる。
【0270】なお、本発明は、前記各実施形態に限定さ
れるものではなく、必要に応じて種々変更することがで
きる。例えば、前記各実施形態を組み合わせた構成とし
てもよい。さらに、本発明のミシン用摺動装置を従来の
給油機構を備えたミシンに用いてもよい。
【0271】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に係る本発
明の針棒によれば、少なくとも針棒本体を繊維強化樹脂
を素材として形成することで、針棒の軽量化および高剛
性化を容易に図ることができ、その結果、制振性の向上
と針棒の撓みの防止を容易に図ることができるなどの極
めて優れた効果を奏する。
【0272】また、請求項2に係る本発明の針棒によれ
ば、針棒本体の少なくとも摺動部位を自己潤滑性を具備
する繊維強化樹脂により形成することで、軽量化および
高剛性化を容易に図ることができ、その結果、制振性の
向上と針棒の撓みの防止を容易に図ることができるとと
もに、摺動部位の耐摩耗性を格段に向上することができ
るなどの極めて優れた効果を奏する。
【0273】また、請求項3に係る本発明の針棒によれ
ば、軽量化および高剛性化ならびに摺動部位の耐摩耗性
の向上を容易かつ確実に図ることができるなどの極めて
優れた効果を奏する。
【0274】また、請求項4に係る本発明の針棒によれ
ば、位置決めマークを目印にして針棒をミシンに組み込
むことで、針棒の位置合わせを容易に行うことができる
などの極めて優れた効果を奏する。
【0275】また、請求項5に係る本発明の針棒によれ
ば、位置決めマークの視認性を格段に向上することがで
きるので、針棒をミシンに組み込む際の位置合わせをよ
り容易かつ確実に行うことができるなどの極めて優れた
効果を奏する。
【0276】また、請求項6に係る本発明の針棒によれ
ば、ミシンに組み込む際の針棒の位置合わせを行う位置
決めマークを針棒本体に容易に形成することができるな
どの極めて優れた効果を奏する。
【0277】また、請求項7に係る本発明のミシンによ
れば、請求項1に記載の針棒を用いた場合には、針棒が
軽量で高剛性なので、制振性の向上と針棒の撓みの防止
を容易に図ることができ、その結果、長期間に亘り良好
な作業環境および縫製品質を保持することができるなど
の極めて優れた効果を奏する。さらに、請求項2または
請求項3に記載の針棒を用いた場合には、軽量化および
高剛性化を容易に図ることができ、その結果、制振性の
向上と針棒の撓みの防止を容易に図ることができるとと
もに、摺動部位の耐摩耗性を格段に向上することがで
き、その結果、給油装置を用いることなく長期間に亘り
良好な作業環境および縫製品質を容易かつ確実に保持す
ることができるとともに、安価なものとすることができ
るなどの極めて優れた効果を奏する。さらにまた、請求
項4乃至請求項6の何れか1項に記載の針棒を用いた場
合には、針棒の位置合わせを容易に行うことができるな
どの極めて優れた効果を奏する。
【0278】また、請求項8に係る本発明のミシン用摺
動装置によれば、摺動面が大きな耐摩耗性および自己潤
滑性をもつため、無給油で摺動面と被摺動面との摺動部
位の摩耗や焼付損傷を長期間に亘り確実に防止すること
ができるなどの極めて優れた効果を奏する。
【0279】また、請求項9に係る本発明のミシン用摺
動装置によれば、摺動方向に沿ったせん断が生じた場合
の炭素繊維自体の剥離が生じにくくなるため、摺動面と
被摺動面との摺動部位の摩耗を少なくすることができる
とともに、高い曲げ剛性を容易に得ることができ、しか
も良好な加工性を得ることができるなどの極めて優れた
効果を奏する。
【0280】また、請求項10に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、無給油で摺動面と被摺動面との摺動
部位の摩耗や焼付損傷を長期間に亘り確実に防止するた
めの耐摩耗性および自己潤滑性を満たすことができるな
どの極めて優れた効果を奏する。
【0281】また、請求項11に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、使用開始初期における温度上昇およ
び摩耗粉の付着をそれぞれ低減することができるなどの
極めて優れた効果を奏する。
【0282】また、請求項12に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、摺動面および基体がともに軽量で高
剛性をもつため、制振性を向上することができるととも
に、摺動面と基体との繊維方向が略90度異なるので、
繊維方向を同一とした場合の方向による強度低下を防止
することができ、しかも、摺動抵抗で生じる発熱による
摺動部品の熱変形を防止することができるなどの極めて
優れた効果を奏する。
【0283】また、請求項13に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、摺動面および基体がともに軽量で高
剛性をもつため、制振性を向上することができるととも
に、摺動面および基体の各層との繊維方向が略90度毎
に交互に配置されているので、繊維方向を同一とした場
合の方向による強度低下を防止することができ、しか
も、摺動抵抗で生じる発熱による摺動部品の熱変形を防
止することができるなどの極めて優れた効果を奏する。
【0284】また、請求項14に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、摺動面および基体がともに軽量で高
剛性をもつため、制振性を向上することができるととも
に、摺動面および基体の各層との繊維方向が略90度毎
に交互に配置されているので、繊維方向を同一とした場
合の方向による強度低下を防止することができ、しか
も、摺動抵抗で生じる発熱による摺動部品の熱変形を防
止することができるとともに、基体の機械的強度の向上
を容易に図ることができるなどの極めて優れた効果を奏
する。
【0285】また、請求項15に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、基体が優れた機械的強度をもつた
め、高強度を必要とする摺動部品を容易に得ることがで
きるなどの極めて優れた効果を奏する。
【0286】また、請求項16に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、基体の表面に摺動面を容易に形成す
ることができるなどの極めて優れた効果を奏する。
【0287】また、請求項17に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、摺動面および基体の各層との繊維方
向が略90度毎に交互に配置されているので、繊維方向
を同一とした場合の方向による強度低下を防止すること
ができ、しかも、摺動抵抗で生じる発熱による摺動部品
の熱変形を防止することができるとともに、基体の機械
的強度の向上を容易に図ることができるため、軽量で高
強度を必要とする摺動部品を容易に得ることができるな
どの極めて優れた効果を奏する。
【0288】また、請求項18に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、摺動面および基体の各層との繊維方
向が略90度毎に交互に配置されているので、繊維方向
を同一とした場合の方向による強度低下を防止すること
ができ、しかも、摺動抵抗で生じる発熱による摺動部品
の熱変形を防止することができるとともに、基体の機械
的強度の向上を容易に図ることができるため、軽量で高
強度を必要とする摺動部品を容易に得ることができるな
どの極めて優れた効果を奏する。
【0289】また、請求項19に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、針棒と針棒メタルとの摺動部位にお
ける無給油での最も優れた耐摩耗性を容易に得ることが
できるなどの極めて優れた効果を奏する。
【0290】また、請求項20に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、押え棒と押え棒メタルとの摺動部位
における無給油での最も優れた耐摩耗性を容易に得るこ
とができるなどの極めて優れた効果を奏する。
【0291】また、請求項21に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、回転軸の摺動面とこの回転軸を支持
する軸受メタルの被摺動面との摺動部位の摩耗や焼付損
傷を無給油で長期間に亘り確実に防止することができる
最も好適な組み合わせを容易に得ることができるなどの
極めて優れた効果を奏する。
【0292】また、請求項22に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、揺動軸の摺動面とこの揺動軸を支持
する軸受メタルの被摺動面との摺動部位の摩耗や焼付損
傷を無給油で長期間に亘り確実に防止することができる
最も好適な組み合わせを容易に得ることができるなどの
極めて優れた効果を奏する。
【0293】また、請求項23に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、角駒の摺動面とこの角駒を支持する
摺動溝の被摺動面との摺動部位の摩耗や焼付損傷を無給
油で長期間に亘り確実に防止することができる組み合わ
せを容易に得ることができるなどの極めて優れた効果を
奏する。
【0294】また、請求項24に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、角駒を容易に得ることができるなど
の極めて優れた効果を奏する。
【0295】また、請求項25に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、上ルーパ抱きの摺動面とこの上ルー
パ抱きを支持する上ルーパ抱きメタルの被摺動面との摺
動部位の摩耗や焼付損傷を無給油で長期間に亘り確実に
防止することができる組み合わせを容易に得ることがで
きるなどの極めて優れた効果を奏する。
【0296】また、請求項26に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、被摺動面が大きな耐摩耗性および自
己潤滑性をもつため、無給油で摺動面と被摺動面との摺
動部位の摩耗や焼付損傷を長期間に亘り確実に防止する
ことができるなどの極めて優れた効果を奏する。
【0297】また、請求項27に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、摺動方向に沿ったせん断が生じた場
合の炭素繊維自体の剥離が生じにくくなるため、摺動面
と被摺動面との摺動部位の摩耗を少なくすることができ
るとともに、高い曲げ剛性を容易に得ることができ、し
かも良好な加工性を得ることができるなどの極めて優れ
た効果を奏する。
【0298】また、請求項28に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、無給油で摺動面と被摺動面との摺動
部位の摩耗や焼付損傷を長期間に亘り確実に防止するた
めの耐摩耗性および自己潤滑性を満たすことができるな
どの極めて優れた効果を奏する。
【0299】また、請求項29に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、使用開始初期における温度上昇およ
び摩耗分の付着をそれぞれ低減することができるなどの
極めて優れた効果を奏する。
【0300】また、請求項30に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、請求項26乃至請求項29の何れか
1項に記載の被摺動面を容易に得ることができるなどの
極めて優れた効果を奏する。
【0301】また、請求項31に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、ハウジングが優れた機械的強度をも
つため、高強度を必要とする支持部品を容易に得ること
ができるなどの極めて優れた効果を奏する。
【0302】また、請求項32に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、PAN系炭素繊維強化樹脂により形
成されている補強層は、圧縮強度および伸びが大きく、
かつ、その繊維方向がハウジングへの圧入方向に沿って
配置されているため、圧入時の抵抗を小さくすることが
できるなどの極めて優れた効果を奏する。
【0303】また、請求項33に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、鋼により形成された摺動部品は、優
れた機械的強度をもつため、高強度を必要とする摺動部
品を容易に得ることができる。さらに、表面に硬質陽極
酸化被膜が施されたアルミニウムにより形成された摺動
部品は、軽量で、かつ優れた機械的強度をもつため、慣
性が小さく、制振性および高強度を必要とする摺動部品
を容易に得ることができるなどの極めて優れた効果を奏
する。
【0304】また、請求項34に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、往復軸の摺動面とこの往復軸を支持
する軸受メタルの被摺動面との摺動部位の摩耗や焼付損
傷を無給油で長期間に亘り確実に防止することができる
最も好適な組み合わせを容易に得ることができるなどの
極めて優れた効果を奏する。
【0305】また、請求項35に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、回転軸の摺動面とこの回転軸を支持
する軸受メタルの被摺動面との摺動部位の摩耗や焼付損
傷を無給油で長期間に亘り確実に防止することができる
最も好適な組み合わせを容易に得ることができるなどの
極めて優れた効果を奏する。
【0306】また、請求項36に係る本発明のミシン用
摺動装置によれば、揺動軸の摺動面とこの揺動軸を支持
する軸受メタルの被摺動面との摺動部位の摩耗や焼付損
傷を無給油で長期間に亘り確実に防止することができる
最も好適な組み合わせを容易に得ることができるなどの
極めて優れた効果を奏する。
【0307】また、請求項37に係る本発明のミシンに
よれば、摺動部位の無給油化を容易に実現することがで
きるなどの極めて優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る針棒の第1実施形態の要部を示
す正面図
【図2】 図1の針棒の位置決めマーク近傍を示す拡大
断面図
【図3】 図1の針棒の針留の変形例を示す正面図
【図4】 図1の針棒の針留の他の変形例を示す正面図
【図5】 図1の針棒の針留のさらに他の変形例を示す
正面図
【図6】 本発明に係る針棒の第2実施形態の要部を示
す図1と同様の図
【図7】 図6の針棒の位置決めマーク近傍を示す拡大
断面図
【図8】 本発明に係る針棒の第3実施形態の要部を示
す拡大断面図
【図9】 本発明に係る針棒を用いた本発明に係るミシ
ンの実施形態の要部を示す正面図
【図10】 本発明に係るミシン用摺動装置を用いた本
発明に係るミシンの第1実施形態の要部の正面図
【図11】 図10のミシン用摺動装置の要部の一部切
断正面図
【図12】 図11の12−12線に沿った拡大断面図
【図13】 ピッチ系炭素繊維強化樹脂およびPAN系
炭素繊維強化樹脂の摩耗試験結果を示す説明図
【図14】 針棒の摺動部位の発熱温度と時間との関係
を示す線図
【図15】 図10の針棒の変形例を示す図12と同様
の図
【図16】 ピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向によ
る上昇温度と時間との関係を示す線図
【図17】 本発明に係るミシン用摺動装置を適用した
本発明に係るミシンの第2実施形態の要部を示す図10
と同様の図
【図18】 本発明に係るミシン用摺動装置を適用した
本発明に係るミシンの第3実施形態の要部を示す図10
と同様の図
【図19】 図18の軸受メタルの摺動層の形成方法の
一例を説明する説明図
【図20】 図18の軸受メタルの他例を示す図18と
同様の図
【図21】 本発明に係るミシン用摺動装置を適用した
本発明に係るミシンの第4実施形態の要部を示す図10
と同様の図
【図22】 図21の回転軸の要部の構成を示す一部切
断正面図
【図23】 図21の回転軸の他例の要部の構成を示す
図22と同様の図
【図24】 図21の回転軸のさらに他例の要部の構成
を示す図22と同様の図
【図25】 本発明に係るミシン用摺動装置を適用した
本発明に係るミシンの第5実施形態の要部を示す図10
と同様の図
【図26】 図25の軸受メタルの要部の構成を示す一
部切断正面
【図27】 図25の軸受メタルの他例の要部の構成を
示す図26と同様の図
【図28】 図25の軸受メタルのさらに他例の要部の
構成を示す図26と同様の図
【図29】 本発明のミシン用摺動装置を適用した本発
明のミシンの第6実施形態の要部を示す図10と同様の
【図30】 図29の天秤支え軸の要部の構成を示す一
部切断正面
【図31】 図29の針棒揺動軸の要部の構成を示す図
30と同様の図
【図32】 図29の針送り軸の要部の構成を示す図3
0と同様の図
【図33】 図32の針送り軸の他例の要部の構成を示
す図30と同様の図
【図34】 図32の針送り軸のさらに他例の要部の構
成を示す図30と同様の図
【図35】 本発明に係るミシン用摺動装置を適用した
本発明に係るミシンの第7実施形態の要部を示す図10
と同様の図
【図36】 本発明に係るミシン用摺動装置を適用した
本発明に係るミシンの第8実施形態の要部を示す斜視図
【図37】 図36の角駒の形成方法の一例を説明する
説明図
【図38】 本発明に係るミシン用摺動装置を適用した
本発明に係るミシンの第9実施形態の要部を示す図10
と同様の図
【符号の説明】
1、1A、1B、1C、61、61A 針棒 2、2A、2B、2C、71 針棒本体 2CA 内層 2CB 外層 3、3A,3B、3C 針留 4、4A、4B 位置決めマーク 5 凹部 6 視認性向上部材 21、M、MA、MB、MC、MD、ME、MF、M
G、MH ミシン 24、54 上軸 40 針棒軸受 40a 針棒上メタル 40b 針棒下メタル 60、60A、60B、60C、60D、60E、60
F、60G、60Hミシン用摺動装置 61a、76a、81a、91a、101a、111
a、121a、131a、141a 摺動面 65、82、92、92AA、92AB、102、11
2、122 軸受メタル 65a、77a、82a、92a、102a、112
a、122a、132a、142a 被摺動面 72、72A、72B、72C、72D、72E、72
F、72G、72H摺動層 73、73A 内層 74、74A 外層 76 押え棒 78 押え棒本体 81 往復軸 83、104、123 ハウジング 85 成型用補助部材 88 補強層 91、91AA、91AB、101 回転軸 91A、101A 上軸 91B、101B 下軸 91C、101C 縦軸 92A、102A 上軸メタル 92B、102B 下軸メタル 92C、102C 縦軸メタル 94、94A、113、113A、113B、113C
基体 95、114 摺動面形成部位 96、115 凹溝 111、121 揺動軸 111A 天秤支え軸 111B 針棒揺動軸 111C 針送り軸 112A 天秤クランクメタル 112B 針棒揺動軸メタル 112C 針送り軸メタル 131 角駒 132 摺動溝 133 案内ガイド 141 上ルーパ抱き 142 上ルーパ抱きメタル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高久 和男 東京都調布市国領町8丁目2番地の1 ジ ューキ株式会社内 (72)発明者 菊谷 浩二 東京都調布市国領町8丁目2番地の1 ジ ューキ株式会社内 Fターム(参考) 3B150 CE08 CE25 CE26 CE28 DB08 DF08 EA13 GB01 GB08 HA08 HA11 HA13 HA15 JA36 QA04

Claims (37)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 針棒本体の一端部に針留を有する針棒に
    おいて、 少なくとも前記針棒本体が繊維強化樹脂を素材として形
    成されていることを特徴とする針棒。
  2. 【請求項2】 前記針棒本体の少なくとも摺動部位が自
    己潤滑性を具備する繊維強化樹脂により形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の針棒。
  3. 【請求項3】 前記自己潤滑性を具備する繊維強化樹脂
    が炭素繊維強化樹脂であることを特徴とする請求項2に
    記載の針棒。
  4. 【請求項4】 前記針棒の位置合わせを行うための位置
    決めマークを前記針棒本体に設けたことを特徴とする請
    求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の針棒。
  5. 【請求項5】 前記位置決めマークが、前記針棒本体に
    凹設された凹部に視認性に優れた視認性向上部材を固着
    することにより形成されていることを特徴とする請求項
    4に記載の針棒。
  6. 【請求項6】 前記位置決めマークは、前記針棒本体に
    印刷形成されていることを特徴とする請求項4に記載の
    針棒。
  7. 【請求項7】 上軸に連動して上下方向に往復運動する
    針棒と、この針棒を摺動可能に支持する1対の針棒軸受
    を有するミシンにおいて、 前記針棒が請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の
    針棒であることを特徴とするミシン。
  8. 【請求項8】 可動とされた摺動部品の摺動面を支持部
    品の被摺動面で支持するミシン用摺動装置において、 前記摺動部品の少なくとも摺動面が、ピッチ系炭素繊維
    強化樹脂により形成されていることを特徴とするミシン
    用摺動装置。
  9. 【請求項9】 前記摺動面を形成するピッチ系炭素繊維
    強化樹脂の繊維方向が略摺動方向に沿って配置されてい
    ることを特徴とする請求項8に記載のミシン用摺動装
    置。
  10. 【請求項10】 前記摺動面を形成するピッチ系炭素繊
    維強化樹脂のうちの炭素繊維が摺動状態における前記被
    摺動面と接触する割合が60%以上であることを特徴と
    する請求項9に記載のミシン用摺動装置。
  11. 【請求項11】 前記摺動面を形成するピッチ系炭素繊
    維強化樹脂の繊維方向が摺動方向に対して略直交する方
    向に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の
    ミシン用摺動装置。
  12. 【請求項12】 前記摺動面が、PAN系炭素繊維強化
    樹脂により所定形状に形成されている基体の表面に設け
    られているとともに、前記PAN系炭素繊維強化樹脂の
    繊維方向が摺動方向に対して略直交する方向に配置され
    ていることを特徴とする請求項8乃至請求項10の何れ
    か1項に記載のミシン用摺動装置。
  13. 【請求項13】 前記摺動面が、炭素繊維強化樹脂によ
    り所定形状に形成されている基体の表面に設けられてい
    るとともに、前記基体が2層に形成され、前記摺動面に
    隣位する層はピッチ系炭素繊維強化樹脂によりその繊維
    方向が略摺動方向に沿って配置され、前記摺動面から離
    間する層はPAN系炭素繊維強化樹脂によりその繊維方
    向が摺動方向に対して略直交する方向に配置されている
    ことを特徴とする請求項11に記載のミシン用摺動装
    置。
  14. 【請求項14】 前記摺動面が、PAN系炭素繊維強化
    樹脂により所定形状に形成されている基体の表面に設け
    られているとともに、前記基体が複層に形成され、かつ
    各層の繊維方向が、前記摺動面を形成するピッチ系炭素
    繊維強化樹脂に隣位する層の繊維方向が前記摺動面を形
    成するピッチ系炭素繊維強化樹脂の繊維方向に対して略
    直交する方向となるように90度毎に交互に配置されて
    いることを特徴とする請求項8乃至請求項11の何れか
    1項に記載のミシン用摺動装置。
  15. 【請求項15】 前記摺動面が、金属により所定形状に
    形成された基体の表面に設けられていることを特徴とす
    る請求項8乃至請求項11の何れか1項に記載のミシン
    用摺動装置。
  16. 【請求項16】 前記摺動面が、前記基体の摺動面形成
    部位に凹溝を形成し、この凹溝にピッチ系炭素繊維強化
    樹脂を巻き付けることにより形成されていることを特徴
    とする請求項15に記載のミシン用摺動装置。
  17. 【請求項17】 前記摺動面が、繊維強化樹脂により所
    定形状に形成されている基体の表面に設けられていると
    ともに、前記基体が複層に形成され、かつ各層の繊維方
    向が、前記摺動面を形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂
    に隣位する層の繊維方向が摺動方向と略直交する方向と
    なるように90度毎に交互に配置されていることを特徴
    とする請求項8乃至請求項10の何れか1項に記載のミ
    シン用摺動装置。
  18. 【請求項18】 前記摺動面が、繊維強化樹脂により所
    定形状に形成されている基体の表面に設けられていると
    ともに、前記基体が複層に形成され、かつ各層の繊維方
    向が、前記摺動面を形成するピッチ系炭素繊維強化樹脂
    に隣位する層の繊維方向が略摺動方向に沿う方向となる
    ように90度毎に交互に配置されていることを特徴とす
    る請求項11に記載のミシン用摺動装置。
  19. 【請求項19】 前記摺動部品が針棒であり、前記支持
    部品が前記針棒を軸方向に沿って往復可能に支持する針
    棒メタルであり、かつ、前記針棒メタルの少なくとも被
    摺動面が銅系の合金あるいは合金鋳物により形成されて
    いることを特徴とする請求項8乃至請求項14の何れか
    1項に記載のミシン用摺動装置。
  20. 【請求項20】 前記摺動部品が押え棒であり、前記支
    持部品が前記押え棒を軸方向に沿って往復可能に支持す
    る押え棒メタルであり、かつ、前記押え棒メタルの少な
    くとも被摺動面が銅合金により形成されていることを特
    徴とする請求項8乃至請求項14の何れか1項に記載の
    ミシン用摺動装置。
  21. 【請求項21】 前記摺動部品が回転運動可能な回転軸
    であり、前記支持部品が前記回転軸を回転可能に支持す
    る軸受メタルであり、かつ、前記軸受メタルの少なくと
    も被摺動面が銅合金により形成されていることを特徴と
    する請求項8,9,10,11,15,16,17,1
    8の何れか1項に記載のミシン用摺動装置。
  22. 【請求項22】 前記摺動部品が揺動運動可能な揺動軸
    であり、前記支持部品が前記揺動軸を揺動可能に支持す
    る軸受メタルであり、かつ、前記軸受メタルの少なくと
    も被摺動面が銅合金により形成されていることを特徴と
    する請求項8,9,10,11,15,16,17,1
    8の何れか1項に記載のミシン用摺動装置。
  23. 【請求項23】 前記摺動部品が角駒であり、前記支持
    部品が前記角駒を支持する摺動溝であることを特徴とす
    る請求項8乃至請求項11の何れか1項に記載のミシン
    用摺動装置。
  24. 【請求項24】 前記角駒が、繊維方向を周方向あるい
    は軸方向にして棒状あるいは筒状に形成されているピッ
    チ系炭素繊維強化樹脂からなる材料に機械加工を施すこ
    とにより形成されていることを特徴とする請求項23に
    記載のミシン用摺動装置。
  25. 【請求項25】 前記摺動部品が上ルーパ抱きであり、
    前記支持部品が上ルーパ抱きメタルであることを特徴と
    する請求項8乃至請求項14の何れか1項に記載のミシ
    ン用摺動装置。
  26. 【請求項26】 可動とされた摺動部品の摺動面を支持
    部品の被摺動面で支持するミシン用摺動装置において、 前記支持部品の少なくとも被摺動面が、ピッチ系炭素繊
    維強化樹脂により形成されていることを特徴とするミシ
    ン用摺動装置。
  27. 【請求項27】 前記被摺動面を形成するピッチ系炭素
    繊維強化樹脂の繊維方向が略摺動方向に沿って配置され
    ていることを特徴とする請求項26に記載のミシン用摺
    動装置。
  28. 【請求項28】 前記被摺動面を形成するピッチ系炭素
    繊維強化樹脂のうちの炭素繊維が摺動状態における前記
    摺動面と接触する割合が60%以上であることを特徴と
    する請求項27に記載のミシン用摺動装置。
  29. 【請求項29】 前記被摺動面を形成するピッチ系炭素
    繊維強化樹脂の繊維方向が摺動方向に対して略直交する
    方向に配置されていることを特徴とする請求項26に記
    載のミシン用摺動装置。
  30. 【請求項30】 前記被摺動面を形成するピッチ系炭素
    繊維強化樹脂が、繊維強化樹脂からなる成形用補助部材
    の表面にピッチ系炭素繊維強化樹脂素材を巻き付けて成
    形した後、成形用補助部材を除去することにより形成さ
    れていることを特徴とする請求項26乃至請求項29の
    何れか1項に記載のミシン用摺動装置。
  31. 【請求項31】 前記被摺動面が、金属により成形され
    ているハウジングの内面に設けられていることを特徴と
    する請求項26乃至請求項30の何れか1項に記載のミ
    シン用摺動装置。
  32. 【請求項32】 前記被摺動面が、PAN系炭素繊維強
    化樹脂により形成されている補強層の内面に設けられて
    いるとともに、前記補強層の外周面が前記ハウジングの
    内面に圧入結合され、かつ、前記補強層を形成するPA
    N系炭素繊維強化樹脂の繊維方向が前記ハウジングへの
    略圧入方向に沿って配置されていることを特徴とする請
    求項31に記載のミシン用摺動装置。
  33. 【請求項33】 前記摺動部品の少なくとも摺動面が、
    鋼あるいは表面に硬質陽極酸化被膜が施されたアルミニ
    ウムにより形成されていることを特徴とする請求項26
    乃至請求項32の何れか1項に記載のミシン用摺動装
    置。
  34. 【請求項34】 前記摺動部品が往復運動可能な往復軸
    であり、前記支持部品が前記往復軸を往復動可能に支持
    する軸受メタルであることを特徴とする請求項26乃至
    請求項33の何れか1項に記載のミシン用摺動装置。
  35. 【請求項35】 前記摺動部品が回転運動可能な回転軸
    であり、前記支持部品が前記回転軸を回転可能に支持す
    る軸受メタルであることを特徴とする請求項26乃至請
    求項33何れか1項に記載のミシン用摺動装置。
  36. 【請求項36】 前記摺動部品が揺動運動可能な揺動軸
    であり、前記支持部品が前記揺動軸を揺動可能に支持す
    る軸受メタルであることを特徴とする請求項26乃至請
    求項33の何れか1項に記載のミシン用摺動装置。
  37. 【請求項37】 可動とされた摺動部品の摺動面を支持
    部品の被摺動面で支持するミシン用摺動装置を有するミ
    シンにおいて、 前記ミシン用摺動装置が請求項8乃至請求項36の何れ
    か1項に記載のミシン用摺動装置であることを特徴とす
    るミシン。
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