JP4321212B2 - リンク機構 - Google Patents

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本発明は、リンク機構関する。
従来のリンク機構は、シリンダ内を往復動するピストンを有する内燃機関の可変圧縮比機構などに用いられている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
このようなリンク機構における連結ピンは、連結ピン軸受部に圧入されたブッシュと接し、典型的には、10度以上かつ50度以下の範囲で、揺動運動をしながら摺動する。
特開2002−21592号公報 特開2002−47955号公報 特開2002−54468号公報
しかし、大きな燃焼圧力やピストン慣性力が作用すると、連結ピンおよび連結ピン軸受部に付加される荷重が大きくなり、入力荷重によって連結ピン軸受部が変形する。連結ピン軸受部の変形は、摺動面形状を変化させるため、摺動状態を悪化させる。
また、揺動角が比較的小さく、潤滑油の供給が困難であるため、揺動運動の折り返し位置では、特に厳しい潤滑状態となる。一方、油穴を形成し、潤滑油を供給することによって、潤滑状態を改善することが可能である。しかし、この場合、油穴への応力集中を避けるために、リンクの軸受部を大きく設計せねばならず、慣性質量を特に減らしたいエンジン内の機構においては不利である。
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、良好な耐摩耗性および潤滑性を有し、かつ慣性質量の増加を避けることが可能なリンク機構提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、
リンク間を連結するための連結ピンを有しかつ揺動運動を行うリンク機構であって、
前記連結ピンの外周面の少なくとも一部に、所定形状を有する複数の凹部または凸部が直接形成されており、
前記凹部または凸部の前記形状は、周方向に対し非対称であり、かつ、
前記凹部または凸部は、所定間隔で配置されて、周方向に対し非対称あるいは対称な配置パターンを形成しており、
前記リンク機構が遥動運動する際において、前記凸部または凹部が存在することにより、前記連結ピンの進む角度と戻る角度が異なることとなり、遥動運動につれて、前記連結ピンが回転する
ことを特徴とするリンク機構である。
上記のように構成した本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、リンク機構が遥動運動する際において、連結ピンの進む角度と戻る角度が異なることにより、遥動運動につれて、連結ピンが少しずつ回転することで潤滑油が均一に行き渡り、潤滑性と耐摩耗性を向上させる。さらに、この回転があることにより、特定部分だけが摩耗する現象も未然に防ぐことができる。本発明に関る連結ピンは特に、潤滑条件の厳しい揺動運動を行う連結部において好適に用いることができる。そのような揺動運動を行う機関の例として、可変圧縮比機構を有する内燃機関があり、特に顕著な効果を有する例として挙げることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、実施の形態1に係る連結ピンを説明するための斜視図である。
実施の形態1に係る連結ピン1は、リンク機構に用いられリンク間を連結するために用いられ、外周面の少なくとも一部に、所定形状を有する複数の凹部を有している。凹部の形状は、周方向に対し非対称であり、また、凹部は、所定間隔で配置されて周方向に対し対称な配置パターンを形成している。
したがって、リンク機構が遥動運動した際、連結ピン1が進む角度と戻る角度が等しくならないため、遥動運動につれて、ゆっくりと少しずつ回転することで、潤滑油が均一に行き渡りやすくなる。さらに、この回転があることにより、特定部分だけが摩耗する現象も未然に防ぐことができる。つまり、非対称な形状を有する凹部の存在により、潤滑油が均一に行き渡り易くなり、潤滑状態が改善されかつ摩耗が抑制される。
例えば、ラチェット機構を設ける場合と異なり、凹部を設けることは、リンク機構を複雑にせず、連結ピン1の占有する空間の大きさに影響を及ぼさず、発生する音も小さい。さらに、凹部は、潤滑状態を向上させる油溜まりとしての機能も有する。なお、符号Dは、回転方向である。
次に、マイクロブラスト(MB)法の適用による凹部の形成方法を説明する。図2は、実施の形態1に係るマスキング部材を説明するための平面図であり、図2(A)は、透孔の所定形状を示しており、図2(B)は、透孔を所定間隔で配置して形成される配置パターンを示している。
実施の形態1に係る連結ピン1となるワークは、日本工業規格に規定されるクロムモリブデン鋼SCM435からなる。ワークは、焼入れおよび焼き戻し処理が施され、図1に示されるようなピン形状に加工した。加工後のワークは、直径18mmかつ長さ60mmであり、外周面の表面粗さ(R)は、約0.02μmである。
次に、ワークの外周面に、マスキング部材を貼付し、ワークの外周面とマスキング部材とを密着させた。マスキング部材は、可とう性を有する感光性樹脂フィルムからなり、図2(A)および図2(B)に示される透孔の形状および配置パターンが予め形成されている。
つまり、透孔は、周方向に対し非対称である三角状であり、透孔の配置パターンは、周方向に対し対称である。なお、マスキング部材の材質は、ワークに対する良好な密着性や、適当な耐研削性などを有しておれば、特に限定されない。
その後、ワークを回転駆動した状態で、粒度#800のアルミナ砥粒からなる硬質粒子を投射し、ブラスト処理を施した。ワークの回転数は、60rpmである。ブラスト処理は、30秒である。硬質粒子が噴射されるノズルは、ワークから50mm離間させた。硬質粒子の種類および粒度は、特に限定されず、例えば、ワークの材質、熱処理方法、透孔の形状などを考慮し、適宜選択することが可能である。
投射された硬質粒子は、マスキング部材の透孔を経由しワークの外周面に到達し、マスキング部材の透孔の形状および配置パターンに合致した形状および配置パターンを有する微細な凹部(くぼみ)を形成した。したがって、凹部は、周方向に対し非対称な形状を有する(図2(A)参照)。
ブラスト処理終了後、マスキング部材を剥がし、残留している砥粒を取り除くことで、連結ピン1を得た。凹部の深さは、表面粗さ計の測定によると、中央部(最深部)の位置において、6〜12μm程度の範囲にあった。任意に選択された5箇所の凹部における最深部深さの平均値(平均最深部深さ)は、8.6μmであった。
以上のように、マスキング部材の透孔の形状および配置パターンが転写されることで、凹部が容易に形成される。なお、凹部の形成方法は、マイクロブラスト法を適用することに限定されず、例えば、化学エッチング法、マイクロロールフォーミング法(硬質部材から成り、凸部を有するローラを押し付ける方法)、レーザ光照射法を適用することが可能である。
図3および図4は、実施の形態1に係る連結ピンを評価するためのリンク機構を説明するための図であり、それぞれ、側面図および部分拡大正面図である。
図3および図4に示されるリンク機構におけるリンクの腕は、クロムモリブデン鋼SCM415からなる。上部リンク4および下部リンク6の断面寸法は、40mm×8mmである。上部の支点3から連結ピン5までの長さ、連結ピン5から連結ピン7までの長さは、120mmである。連結ピン7によって留められているおもり8の重量は、6kgである。なお、連結ピン5が、評価対象(被試験連結ピン)である。
次に、連結ピン5を評価するための揺動試験を説明する。
揺動試験においては、リンク機構全体を、潤滑油に30分間浸漬し、連結部の内部を含めて、潤滑油を行き渡らせた。潤滑油は、自動車用エンジン油(5W−30SL)である。
その後、上部リンク4を、21〜−21°の範囲かつ毎分30回の割合で8時間単振動させる一方、下部リンク6およびおもり8を、拘束せずに任意に運動させた。また、上部リンク4の下部に、毎分2cmの割合で、潤滑油を滴下した。
したがって、連結ピン5の潤滑を担うのは、リンク部に油孔が形成されていないため、潤滑油による浸漬によって供給されたものと、滴下された潤滑油が連結ピンの回転等に伴って巻き込まれたものとの二つである。
評価項目は、回転および摩耗である。回転は、連結ピン5の端面に予め印を付け、揺動運動の間における連結ピン5の回転状態を調査することで、4段階(A,B,C,F)で評価した。評価A,B,C,Fは、十分に回転している場合、回転している場合、わずかに回転している場合、回転がほとんどない場合を、それぞれ表している。
摩耗は、試験終了後に軸受部を分解し、連結ピン5表面の局部的な摩耗の状態を、目視によって3段階(A,B,F)で評価した。評価A,B,Fは、摩耗が確認できない場合、局所的な摩耗が若干ある場合、局所的な摩耗が顕著である場合を、それぞれ表している。
図5は、実施の形態1および比較例1,2の試験結果を説明するための図表、図6は、比較例2に係る凹部を説明するための平面図であり、図6(A)は、凹部の形状を示しており、図6(B)は、凹部の配置パターンを示している。
なお、比較例1は、クロムモリブデン鋼SCM435からなるワークに、焼入れおよび焼き戻し処理を施し、ピン形状に加工することで、連結ピンを得ている。したがって、比較例1は、実施の形態1と異なり、マイクロブラスト法によって形成される凹部を有しない。
比較例2は、実施の形態1と同様に、クロムモリブデン鋼SCM435からなるワークに、焼入れおよび焼き戻し処理を施し、ピン形状に加工し、マイクロブラスト法によって凹部を形成することで、連結ピンを得た。しかし、マスキング部材の透孔の形状が異なり、凹部は、図6(A)に示される円形の形状および図6(B)に示される周方向に対して対称な配置パターンを有する。したがって、凹部の形状が周方向に対して非対称である実施の形態1と異なり、比較例2は、凹部の形状および配置パターンの両方が周方向に対して対称である。
実施の形態1の試験結果は、図5に示されるように、回転に関しては評価Bであり、摩耗に関しては評価Aである。つまり、揺動運動の間における連結ピンは、十分ではないが回転しており、また、試験終了後における連結ピン表面の摩耗は確認できなかった。
一方、比較例1の試験結果は、回転および摩耗の両方に関して評価Fであり、連結ピンの回転は確認できず、また顕著な局所的な摩耗が観察された。
また、比較例2の試験結果は、回転に関しては評価Fであり、摩耗に関しては評価Bである。つまり、連結ピンの回転は確認できず、また、局所的な摩耗が一部で観察された。したがって、形状および配置パターンの両方が周方向に対して対称である凹部は、連結ピンを回転させる効果を有しないが、油溜まりとして機能するため、比較例1に比べれば、摩耗が緩和されたものと考えられる。
以上のように、実施の形態1においては、良好な耐摩耗性および潤滑性を有し、かつ慣性質量の増加を避けることが可能なリンク機構用連結ピンを提供することができる。また、良好な耐摩耗性および潤滑性を有し、かつ慣性質量の増加を避けることが可能なリンク機構用連結ピンの製造方法を提供することができる。
なお、前記凹部は、一般的な機械的リンク機構に適用することが可能であるが、顕著な効果を有する点で、潤滑条件の厳しい揺動運動を行うリンク機構に適用することが好ましく、特に、機関圧縮比を制御するための可変圧縮比機構のリンク機構に適用することが好ましい。
図7(A)〜図7(H)は、実施の形態2〜20に係る凹部または凸部の形状を説明するための平面図、図8は、図7(H)の線VIII−VIIIに関する断面図、図9(A)〜図7(F)は、実施の形態2〜20に係る凹部または凸部の配置パターンを説明するための平面図、図10〜図12は、実施の形態2〜20の試験結果を説明するための図表である。
実施の形態2〜23は、図7(A)〜図7(H)に示される所定形状を有する凹部または凸部と、図9(A)〜図9(F)に示される(凹部または凸部を所定間隔で配置して形成される)配置パターンとを組み合わせることで構成されている。したがって、凹部または凸部は、周方向に対し非対称な形状および又は配置パターンを有する。なお、後述するように、周方向における断面形状が非対称の凹部も含まれている。また、組み合わせの際、図7(A)〜図7(H)の各形状に示されるポジションXと、図9(A)〜図9(F)に示される各配置パターンを表している丸印の中心とは、一致させ、位置合わせしている。さらに、方向性のある形状と配置パターンとを組合せの場合、図上の方向と一致させた。
凹部または凸部の形成法は、マイクロブラスト(MB)法、マイクロロールフォーミング(MRF)法、化学エッチング(CE)法を適用した。
なお、実施の形態5は、図7(E)に示される略長円形の凹部を有するが、連結ピンの左右で凹部の方向を変更している。つまり、連結ピンの右半分には、図7(E)に示される右傾斜の凹部を形成し、連結ピンの左半分には、図7(E)の鏡像となる左傾斜の凹部を形成した。
実施の形態7は、マイクロブラスト法を適用しているが、ワークの外周表面に対して45°傾斜した方向に、ノズルを設置して、斜め上方からマスキング部材の透孔を経由し、硬質粒子を投射している。したがって、凹部の周方向における断面形状は、非対称となっている。なお、ノズルの設置方向あるいは硬質粒子の投射方向は、特に45°に限定されない。
実施の形態15および実施の形態16は、化学エッチング法が適用されており、マスキング部材によって被覆された部位によって構成される凸部を有する。この場合、凸部の高さは、凸部と周辺部との段差を、表面粗さ計によって5点測定した平均値である。
なお、凸部の形成は、化学エッチング法に限定されない。例えば、マイクロブラスト法を適用する場合、マスキング部材によって凸部を構成する部位を被覆し、硬質粒子を投射して、不要な部位を除去することで、凸部を形成することが可能である。また、凸部を予め形成した薄板を取り付ける方法を適用することも可能である。
実施の形態17および実施の形態18は、約1.0μmの硬質炭素被膜を有する。硬質炭素被膜は、凹部の形成後において表面に形成した。硬質炭素被膜は、アモルファス状の炭素あるいは水素化炭素から成る膜で、a−C:H(アモルファスカーボンまたは水素化アモルファスカーボン)、i−C(アイカーボン)、DLC(ダイヤモンドライクカーボンまたはディーエルシー)などとも呼ばれ、潤滑性および耐摩耗性を向上させる。硬質炭素被膜の厚みは、特に限定されず、適宜設定することが可能である。
硬質炭素被膜は、炭素をアーク放電で蒸気化し、被付着基材に引き寄せるアークイオンプレーティング法を適用することで形成したが、特に、この形成方法に限定されない。例えば、炭素ターゲットをプラズマで叩き、叩き出された炭素原子を目的部品表面に堆積させるスパッタリング法、炭化水素ガスをプラズマ分解して成膜するプラズマ気相合成法、炭素や炭化水素イオンを用いるイオンビーム蒸着法を、適用することが可能である。
硬質炭素被膜は、連結ピンの外周面つまりリンクあるいは軸受メタルと摺動する面に形成されていれば、特に、凹部に形成する必要はない。しかし、凹部に硬質炭素被膜を形成する必要がある場合は、連結ピンの表面に凹部を形成した後で、硬質炭素被膜形成処理を施す。
硬質炭素皮膜は、作業性の観点から、凹部または凸部の形成後に設けることが好ましい。しかし、マイクロブラスト法やマイクロロールフォーミング法によって凹部を形成する場合、硬質炭素被膜を先に設けることも可能である。なお、硬質炭素被膜は、一般的に化学的耐蝕性を有するために、被膜形成後において化学エッチング法を適用し、凹部または凸部を形成することには適さない。
実施の形態19は、溝状の凹部が形成されており、図9(E)に示されるように、連結ピンの中央を境に、右側と左側で互いに逆方向に延長している。つまり、凹部は、独立した複数のくぼみによって構成することに限定されず、くぼみを細長く連続的に延長させた溝状とすることも可能である。
実施の形態20は、複合的な凹部の形状および配置パターンを有する。つまり、連結ピンの中央部における幅30mmの部分には、図7(F)に示される形状および図9(C)に示される配置パターンを有する凹部を形成し、連結ピンの左右の端部における15mmの部分には、図9(F)に示される溝状の凹部を形成している。なお、右端部および左端部は、凹部の傾きを反対に設定しており、図9(F)に示される傾き方向は、右端部に対応する。
端部の溝状の凹部は、潤滑油などを送り込み易い点で好ましく、中央部の独立した凹部は、油を保持する点で好ましい。つまり、連結ピンの使用環境に応じ、連結ピンの端部と中央部とにおいて、凹部の形状、配置パターン、断面形状の少なくとも一つを変化させることも可能である。
実施の形態2〜20の試験結果は、図10〜図12に示されるように、回転に関しては評価A〜Cの範囲にあり、摩耗に関しては全てが評価Aである。つまり、比較例1,2に比べて、耐摩耗性および潤滑性が向上している。
なお、実施の形態3、4,17,18は、回転に関して評価Aを有する。したがって、性能を優先する場合は、実施の形態17,18のように硬質炭素被膜を有することが好ましく、コスト低減目的で硬質炭素被膜を省く場合、実施の形態3、4のような構成が好ましい。
以上のように、実施の形態2〜20においては、凹部または凸部の形状、配置パターン、断面形状の多様な組み合わせからなる非対称な構成によって、実施の形態1と同様に、良好な耐摩耗性および潤滑性を有し、かつ慣性質量の増加を避けることが可能なリンク機構用連結ピンが提供できた。
次に、実施の形態21〜23を説明する。
実施の形態21〜23は、揺動試験を内燃機関に組み込んで実施している点で、実施の形態1〜20と概して異なっている。なお、図13は、実施の形態21〜23に係る連結ピンを評価するための内燃機関を説明するための側面図である。
内燃機関10は、シリンダ内を往復動するピストン20を備えており、機関圧縮比を可変制御するための可変圧縮比機構に適用されるリンク機構を有する。
リンク機構は、アッパリンク30、ロアリンク40、クランクシャフト50、コントロールリンク60、および、制御軸70を有する。アッパリンク30の一端は、ピストン連結ピン21を介して、燃焼圧力を受けるピストン20に回転可能に支持される。アッパリンク30の他端は、第1連結ピン44を介して、ロアリンク40に揺動可能に連結されて支持される。なお、実施の形態21〜23に係る連結ピンは、第1連結ピンに適用した。
ロアリンク40は、クランクシャフト50のクランク連結ピン51に回転可能に装着され、また、第2連結ピン47を介して、コントロールリンク60の一端を、回転可能に支持している。クランクシャフト50は、内燃機関ブロックの本体に、主軸受を介して回転可能に支持され、動力を取り出すために使用される。なお、符号52は、クランクシャフト50のメインジャーナル(クランクジャーナル)である。
コントロールリンク60は、ロアリンク40によって回転可能に支持されている一端の逆方向に位置する他端を介し、制御軸70の偏心カム71によって回転可能に支持される。制御軸70は、内燃機関ブロックの本体に回転可能に支持されており、内燃機関ブロックの本体に対して強制的に回転することで、クランク角に対するピストン行程を変化させ、機関圧縮比を変更する。
図14は、図13に示される内燃機関のロアリンクの拡大図、図15は、図13に示されるロアリンクの第1部位に関する斜視図、図16は、図13に示されるロアリンクの第2部位に関する斜視図で、図17は、図13に示されるアッパリンクとロアリンクとの連結構造を説明するための図である。
第1部位40Aの二股部は、アッパリンク30とロアリンク40とを接続するための一対の第1連結ピン軸受部(軸受部材)43を有する。第1連結ピン44は、第1部位40Aの二股部によってアッパリンク30の連結ピン軸受部31を挟んだ状態で、第1連結ピン軸受部43に挿入される。したがって、第1連結ピン44は、第1連結ピン軸受部43と直接摺接する。
アッパリンク30の軸受部と第1連結ピン44との摺動部、および、ロアリンクの第1連結ピン軸受部と第1連結ピンの摺動部は、隙間ばめに設定している。第1連結ピン44の揺動角は、10度以上かつ90度以下が好ましく、実施の形態21〜23においては、20度に設定した。
ロアリンク40は、摺動面に潤滑油を供給するための経路(潤滑油供給経路)48,49を設けることも可能であるが、より厳しい条件で試験を行うために、実施の形態21〜23においては、潤滑油供給経路を設けていない。
揺動試験においては、実施の形態21〜23に係る連結ピンが組み込まれた内燃機関10に対し、毎分2400回転かつ12時間の連続運転を実施し、その後、内燃機関10を分解し、連結ピンの摩耗状況を調べた。なお、運転中の回転状況は機構上観察が難しいため、評価項目には、摩耗のみとし、回転は含まれていない。
摩耗の評価は、実施の形態1〜20と同様に、連結ピン表面の局部的な摩耗の状態を、目視によって3段階(A,B,F)で評価した。
図18は、実施の形態21〜23および比較例3,4の試験結果を説明するための図表である。なお、実施の形態21〜23および比較例3,4は、連結ピンの構成に関し、実施の形態1,4,18および比較例1,2と同一である。
実施の形態21〜23の試験結果は、摩耗に関して全てが評価Aである。一方、比較例3,4は、それぞれ、評価F,Bである。つまり、実施の形態21〜23は、比較例3,4に比べて、耐摩耗性が向上している。
以上のように、実施の形態21〜23においては、機関圧縮比を制御するための可変圧縮比機構に適用されるリンク機構に対する応用において、耐摩耗性の向上が確認できた。
実施の形態1に係る連結ピンを説明するための斜視図である。 実施の形態1に係るマスキング部材を説明するための平面図であり、(A)は、透孔の形状、(B)は、透孔の配置パターンを示している。 実施の形態1に係る連結ピンを評価するためのリンク機構を説明するための側面図である。 実施の形態1に係る連結ピンを評価するためのリンク機構を説明するための部分拡大正面図である。 実施の形態1および比較例1,2の試験結果を説明するための図表である。 比較例2に係る凹部を説明するための平面図であり、(A)は、凹部の形状、(B)は、凹部の配置パターンを示している。 (A)〜(H)は、実施の形態2〜20に係る凹部または凸部の形状を説明するための平面図である。 図7(H)の線VIII−VIIIに関する断面図である。 (A)〜(F)は、実施の形態2〜20に係る凹部または凸部の配置パターンを説明するための平面図である。 実施の形態2〜8の試験結果を説明するための図表である。 実施の形態9〜15の試験結果を説明するための図表である。 実施の形態16〜20の試験結果を説明するための図表である。 実施の形態21〜23に係る連結ピンを評価するための内燃機関を説明するための側面図である。 図13に示される内燃機関のロアリンクの拡大図である。 図13に示されるロアリンクの第1部位に関する斜視図である。 図13に示されるロアリンクの第2部位に関する斜視図である。 図13に示されるアッパリンクとロアリンクとの連結構造を説明するための図である。 実施の形態21〜23および比較例3,4の試験結果を説明するための図表である。
符号の説明
1・・連結ピン、
3・・支点、
4・・上部リンク、
5・・連結ピン(被試験連結ピン)、
6・・下部リンク、
7・・連結ピン、
8・・おもり、
10・・内燃機関、
20・・ピストン、
21・・ピストン連結ピン、
30・・アッパリンク、
31・・連結ピン軸受部、
40・・ロアリンク、
43・・連結ピン軸受部、
44・・連結ピン、
47・・連結ピン、
50・・クランクシャフト、
51・・クランク連結ピン、
60・・コントロールリンク、
70・・制御軸、
71・・偏心カム、
D・・回転方向。

Claims (7)

  1. リンク間を連結するための連結ピンを有しかつ揺動運動を行うリンク機構であって、
    前記連結ピンの外周面の少なくとも一部に、所定形状を有する複数の凹部または凸部が直接形成されており、
    前記凹部または凸部の前記形状は、周方向に対し非対称であり、かつ、
    前記凹部または凸部は、所定間隔で配置されて、周方向に対し非対称あるいは対称な配置パターンを形成しており、
    前記リンク機構が遥動運動する際において、前記凸部または凹部が存在することにより、前記連結ピンの進む角度と戻る角度が異なることとなり、遥動運動につれて、前記連結ピンが回転する
    ことを特徴とするリンク機構
  2. 前記凹部または凸部は、周方向における断面形状が非対称であることを特徴とする請求項1に記載のリンク機構
  3. 前記凹部は、溝状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリンク機構
  4. 前記配置パターンは、前記連結ピンの両端部および中央部の一方に位置しており、
    前記連結ピンは、前記連結ピンの両端部および中央部の他方における外周面の少なくとも一部に、所定形状を有する複数の第2の凹部または凸部が、さらに直接形成されており、
    第2の前記凹部または凸部の前記形状は、周方向に対し非対称であり、かつ、
    第2の前記凹部または凸部は、所定間隔で配置されて、周方向に対し非対称あるいは対称な第2の配置パターンを形成しており、
    第2の前記凹部または凸部は、第1の前記凹部または凸部に対して、形状、配置パターン、断面形状の少なくとも一つが変化している
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリンク機構
  5. 前記外周面の少なくとも一部は、硬質炭素被膜を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリンク機構
  6. 内燃機関の機関圧縮比を制御するための可変圧縮比機構に適用されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリンク機構
  7. 前記可変圧縮比機構は、ピストンに連結されるアッパリンクと、クランク連結ピンに回転可能に装着されるロアリンクと、前記ロアリンクに揺動可能に連結されるコントロールリンクとを有し、前記軸受部材は、前記ロアリンクに形成され、
    前記連結ピンは、前記ロアリンクに前記アッパリンクを揺動可能に連結するために用いられることを特徴とする請求項6に記載のリンク機構
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