JP2001093134A - 高密度磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム - Google Patents

高密度磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム

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JP2001093134A
JP2001093134A JP10131698A JP10131698A JP2001093134A JP 2001093134 A JP2001093134 A JP 2001093134A JP 10131698 A JP10131698 A JP 10131698A JP 10131698 A JP10131698 A JP 10131698A JP 2001093134 A JP2001093134 A JP 2001093134A
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Makoto Iida
真 飯田
Mitsumasa Ono
光正 小野
Takeo Asai
武夫 浅井
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度,易滑性,巻取り性などのハンドリング
性,耐削れ性に優れた芳香族ポリアミドフィルムを提供
する。 【解決手段】 内部に実質的に不活性粒子を含有しない
芳香族ポリアミドからなる面積倍率にして5.0倍以上
延伸された二軸延伸フィルムであって,長手方向と幅方
向のヤング率の和が2000kg/mm2以上であるフ
ィルムAの少なくとも片面に,平均粒径dBが5〜10
0nmである不活性粒子bを含むバインダー樹脂からな
る被膜層Bが塗設してあり,不活性粒子bの平均粒径d
B(nm),被膜層Bの層厚tB(nm)が 0.05≦
B/dB≦0.8を満足し,該粒子からなる表面突起の
頻度が1×106〜1×108個/mm2であることを特徴
とする高密度磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィル
ム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香族ポリアミドフ
ィルムに関し,さらに詳しくは,強度,易滑性,巻取り
性などのハンドリング性,耐削れ性,に優れた芳香族ポ
リアミドフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年,磁気記録媒体の高密度化の進歩は
めざましく,例えば,強磁性金属薄膜を真空蒸着やスパ
ツタリング等の物理沈着法またはメッキ法により非磁性
支持体上に形成せしめた金属薄膜型磁気記録媒体,また
メタル粉や酸化鉄粉等の針状磁性粉体を2μm以下に塗
布した薄層塗布型磁気記録媒体の開発実用化が進められ
ている。前者の例としては,例えば,Coの蒸着テープ
(特開昭54−147010号公報),Co−Cr合金
からなる垂直磁気記録媒体(特開昭52−134706
号公報)が知られ,また後者の例としては,例えば,極
薄層塗布型磁気記録媒体による高密度磁気記録(電子通
信学会技術報告MR94−78(1995−02))等
が知られている。従来の塗布型磁気記録媒体(磁性粉末
を有機高分子バインダーに混入させて非磁性支持体上に
塗布してなる磁気記録媒体)は記録密度が低く,記録波
長も長いために,磁性層の厚みが2μm程度以上と厚い
のに対して,真空蒸着,スパッタリングまたはイオンプ
レーテイング等の薄膜形成手段によって形成される強磁
性金属薄膜は厚みが0.2μm以下と非常に薄く,また
極薄層塗布型の場合も,非磁性下地層を設けるものの,
0.13μmの厚みのものが提案され,非常に薄くなっ
ている。
【0003】それに伴い,非磁性支持体(ベースフィル
ム)についても同様の薄膜化が求められ,該厚みにおけ
る充分な強度,磁気記録ヘッドに対する適度な接触状態
を与える剛性,などが要求される。その点,芳香族ポリ
アミドフィルムは,高ヤング率に起因する薄膜での強
度,剛性,などに優れ,高密度磁気記録媒体用ベースフ
ィルムとしての使用が近年盛んである。
【0004】一方,上記の高密度磁気記録媒体において
は,ベースフィルムの表面状態が磁性層の表面性に大き
な影響を及ぼし,特に金属薄膜型の磁気記録媒体の場合
には,非磁性支持体の表面状態がそのまま磁性層(磁気
記録層)表面の凹凸として発現し,それが記録・再生信
号の雑音の原因となる。従って,非磁性支持体の表面は
できるだけ平担であることが望ましい。
【0005】一方,非磁性支持体(ベースフィルム)の
製膜,製膜工程での搬送,巻取り,巻き出しといったハ
ンドリングの観点からは,フィルム表面が平担すぎる
と,フィルム−フィルム相互の滑り性が悪化し,ブロッ
キング現象が発生し,ロールに巻いたときの形状(ロー
ルフォ一メイション)が悪化し,製品歩留りの低下,ひ
いては製品の製造コストの上昇をきたす。従って,製造
コストという観点では非磁性支持体(ベースフィルム)
の表面はできるだけ粗いことが望ましい。
【0006】さらに金属薄膜型磁気記録媒体の場合に
は,実際に使用される時の重大な問題点として,金属薄
膜面の走行性がある。磁性体粉末を有機高分子バインダ
ー中に混入させてベースフィルムに塗布してなる塗布型
磁気記録媒体の場合には,該バインダー中に潤滑剤を分
散させて磁性層面の走行性を向上させることができる
が,金属薄膜型磁気記録媒体の場合には,このような対
策をとることができず,走行性を安定して保つのは非常
に難しく,特に高温高湿下の走行性が劣るなどの欠点を
有している。
【0007】そこで,優れた品質の高密度磁気記録媒体
を製造するには,上記二律背反する性質を同時に満足さ
せることが必要とされる。
【0008】このための具体的方法として,フィルム
表面に特定の塗剤を塗布し,不連続被膜を形成させる方
法(特公平3−80410号公報,特開昭60−180
839号公報,特開昭60−180838号公報,特開
昭60−180837号公報,特開昭56−16937
号公報,特開昭58−68223号公報等),フィル
ム表面に微細凹凸を有する連続被膜を塗布形成する方法
(特開平5−194772号公報,特開平5−2108
33号公報),共押し出し法等の技術によリ表裏異面
化する方法(特開平2−214657号公報,特公平7
−80282号公報), またはとの組み合わせ
による方法(特開平3−73409号公報)などが提案
されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の不連続被膜や微
細凹凸を有する連続被膜を塗布形成する方法において
は,フィルム−フィルム間の滑り,ブロッキングといっ
た課題は解決できているが,被膜中に微細な不活性粒子
を均一分散させることが難しく凝集粒子による粗大突起
を生じやすい。この原因から電磁変換特性が悪化するな
ど磁気テープとしての品質が安定しないという問題があ
った。また凝集粒子は単分散粒子と比較して製膜工程で
用いられる種々のガイドロールとの接触によって削り取
られやすく,ベースフイルム上に付着堆積して突起とな
り,磁気テープとしたときにドロップアウトの原因とな
る問題もある。
【0010】一方無機粒子は硬度が高く,変形しにくい
ため磁気ヘッドのクリー二ング性に優れており,また種
々のサイズの微粒子の製造が容易であるものの,ポリマ
ーとの親和性に乏しく粒子の脱落を生じやすい傾向が見
られる。他方,有機粒子はポリマーとの親和性は優れる
ものの,硬度が無機粒子に比べ低く,粒子全体に熱や機
械的摩擦による変形等が加わるため,テープの電磁変換
特性がテープの走行を繰り返すことにより劣化していく
という問題があった。
【0011】更に,使用する機器(ハードウエア)の小
型化による高密度実装化に伴いテープに対する熱的負荷
はますます高まりつつある。特に高密度磁気記録媒体で
は磁気記録トラツクのピッチが10μm前後と非常に狭
いため,熱履歴によるベースフイルムの寸法変化はトラ
ックのずれにつながり,電磁変換特性の低下を惹き起こ
すという問題がある。
【0012】本発明の目的は,上述の従来技術の欠点を
解消し,製膜工程での削れ性,巻取性に優れ,蒸着金属
薄膜型磁気記録媒体として用いられた場合には電磁変換
特性,ドロツプアウト特性,出力低下,走行耐久性に優
れた芳香族ポリアミドフイルムを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち,本発明は,内
部に実質的に不活性粒子を含有しない芳香族ポリアミド
からなる面積倍率にして5.0倍以上延伸された二軸延
伸フィルムであって,長手方向と幅方向のヤング率の和
が2000kg/mm2以上であるフィルムAの少なく
とも片面に,平均粒径dBが5〜100nmである不活
性粒子bを含むバインダー樹脂からなる被膜層Bが塗設
してあり,不活性粒子bの平均粒径dB(nm),被膜
層Bの層厚tB(nm)が下記式(1)
【0014】
【数4】 0.05≦tB/dB≦0.8 (1) を満足し,該粒子からなる表面突起の頻度が1×106
〜1×108個/mm2であることをを特徴とする高密度
磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルムによって達成
される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明における芳香族ポリアミド
としては,その主鎖が芳香核およびアミド結合基を主た
る構成成分とするものであればよいが,その中でも,そ
の主鎖を形成する芳香核のうち,芳香核上の主鎖形成置
換基がパラ配向性であるものが 50〜99.5% であるもの
が,強度を要求される磁気記録媒体用途の場合には好ま
しい。50% 未満では強度が不足し,99.5% を越えると延
伸が困難となるため好ましくない。ここで,主鎖形成置
換基とは,アミド基などの高分子主鎖に含まれる原子ま
たは原子団,例としては,-C(=O)-NH-,-O-,-CH2
-,-C(CH3)2-,-SO2-,-S-,該芳香核に直接結合した
他の芳香核,などのことを示す。また,パラ配向性と
は,例えば芳香核がフェニレン基の場合は1,4-置換,ナ
フチレン基の場合は1,4-置換,2,6-置換,などの状態に
あることを示す。上記の中でも特に,芳香族ポリアミド
が,一般式 -(-C(=O)-Ar1-C(=O)-NH-Ar2-N
H-)k-(-C(=O)-Ar3-C(=O)-NH-Ar4-Y1-Ar5
-NH-)l-(-C(=O)-Ar6-NH-)m-(-C(=O)-Ar7-
2-Ar8-NH-)n- (ここでk,l,m,nは 0 および正の整
数,Ar1,Ar2,Ar3,Ar4,Ar5,Ar6,Ar7,Ar
8は一般式 -C6p4-p-, -C6p4-p-C6p
4-p-, または-C10q6-q- で表わされる芳香核 (こ
こでpは 0〜4 の整数,qは 0〜6 の整数,Rはハロゲン
基,ニトロ基,シアノ基,炭素数1〜4 のアルキル基,炭素
数 1〜3 のアルコキシ基,トリアルキルシリル基から選
ばれる原子または原子団) から選ばれるものであり,同
じでも異なっていてもよい,Y1,Y2はO,CH2,C(C
3)2,SO2,S,COから1種選ばれる原子または原子団
であり,同じでも異なっていてもよい) で示される高分
子化合物であるものが好ましく,さらにその中でも,酸
成分としてテレフタル酸,アミン成分としてp-フェニレ
ンジアミンおよび3,4'-ジアミノジフェニルエーテルを
用いてなる高分子化合物であることが好ましい。
【0016】また,本発明における芳香族ポリアミドに
は,フィルムの物性を損なわない程度に,脂肪族又は脂
環族のポリアミド形成性化合物を共重合していても構わ
ない、更に、アミド形成性の官能基を3以上有する化合
物が共重合されていてもよく、また滑剤,酸化防止剤,
その他の添加剤等や他のポリマーがブレンドされていて
もよい。
【0017】本発明における芳香族ポリアミドフィルム
は,面積倍率にして5.0倍以上,好ましくは6.0〜
10.0倍に延伸された二軸延伸フィルムである。延伸
倍率が小さい場合,高強度が得られないため好ましくな
い。この二軸延伸によって,芳香族ポリアミドフィルム
の長手方向と巾方向のヤング率の和が2000kg/m
2以上,好ましくは2200kg/mm2以上とされ
る。ヤング率の長手方向と幅方向との和が2000kg
/mm2未満の場合には,記録ヘッドとの接触状態が不
適当なものとなるため電磁変換特性が悪化し,また数μ
mオーダーの薄いベースフィルムで十分な強度を有し得
ないので好ましくない。長手方向,幅方向のそれぞれの
ヤング率は600kg/mm2以上が好ましく,さらに
好ましくは800kg/mm2以上,特に好ましくは1
000kg/mm2以上である。
【0018】本芳香族ポリアミドフィルムの表面には,
本発明の効果を発現するために,平均粒径dBが5〜1
00nmである不活性粒子bを含むバインダー樹脂から
なる被膜層Bを設けることが必要である。
【0019】本発明における被膜層Bに含有される不活
性粒子bの平均粒径dBは5〜100nm,好ましくは
10〜50nmである。更に粒度分布が均一であるもの
が好ましい。平均粒径が5nmを下まわると滑り性,耐
削れ性が悪化し,ロール状に巻取った場合はブロッキン
グ現象が発生する。一方平均粒径が100nmを超える
と,粒子の脱落が発生し,耐削れ性が悪化する。また,
磁気へッドとのスペーシングが大きくなり高密度の磁気
記録媒体として供することが困難となる。
【0020】被膜層Bの層厚みtB(nm)と不活性粒
子bの平均粒径dBの比(tB/dB)は,0.05〜0.
8,好ましくは0.08〜0.6,更に好ましくは0.
1〜0.5である。この比(tB/dB)が0.8を超え
ると,不活性粒子bの突起形成作用が減少し,磁気記録
媒体としたときの走行耐久性が不足する。一方,0.0
5より小さくなると,製膜工程における種々のガイドロ
ールとの接触によって積層フイルム表面の粒子が削りと
られて走行耐久性が不足したり,削り取られた粒子がフ
イルム上に付着堆積してドロップアウトの増加を惹起こ
したりする。
【0021】不活性粒子bは,被膜層Bの表面突起頻度
が1×106〜1×108個/mm2となる量となるよう
に該被膜層B中に含有される。この表面突起頻度が1×
106個/mm2未満では磁気記録媒体としたときの走行
耐久性が不足する。他方,1×108個/mm2を超える
と電磁変換特性に悪影響を及ぼす。より好ましい表面突
起頻度は2×106〜5×107個/mm2,更に好まし
くは3.0×106〜3.0×107個/mm2である。
【0022】本発明において,フィルムを200℃で1
20分間熱処理したときその前後での被膜層Bの表面粗
さが下記式(2),(3)
【0023】
【数5】 0≦(ARaB−ARaB H)/ARaB<0.4 (2) 0.1<ARaB H<7 (3) (ここで,ARaBは熱処理前の被膜層B表面を原子間
力顕微鏡で測定した中心面平均粗さ(nm),ARaB H
は熱処理後の被膜層B表面を原子間力顕微鏡で測定した
中心面平均粗さ(nm)である)を同時に満足すること
が,耐久性,電磁変換特性の点から好ましい。また,被
膜層B表面の付着異物数が100個/100cm2以下
であることが,ドロップアウトの防止や加工工程の適正
化のため好ましい。
【0024】本発明における被膜層Bに含有される不活
性粒子bとして,内部より外部の方が軟質な粒子(以
下,コアシェル粒子と呼ぶ)を用いることが好ましい。
コアシェル粒子とは,内外部のそれぞれが性質の異なる
物質で構成される多層構造の粒子をいう。この場合多層
とは2層以上のことをいい,性質が径方向に連続的に変
化するものであってもよい。この粒子の外部(以下,シ
ェル部と呼ぶ)はフイルム上に塗布後フイルム基部と反
応し,または熱処理を行うことにより反応,溶融,軟化
もしくは変形してフイルム基部に固着する機能を有し,
内部(以下,コア部と呼ぶ)はシェル部と共にフイルム
に適度の滑り性及び磁気ヘッドとの最適なスペーシング
を与える,いわゆる粒子としての機能を担うと推測され
る。上記シェル部,コア部それぞれの機能分担の観点か
ら,シェル部にはフイルム基部との親和性に優れ,かつ
乾燥処理温度での適切な物理的,化学的,熱的特性を備
えることが要求され,コア部には機械的摩擦等によって
変形せず,シェル部もしくは基層フイルムに対し相対的
に大なる硬度を有することが求められる。
【0025】このコアシェル粒子bのコア部の材質とし
ては,ポリスチレン,ポリスチレンージビニルベンゼ
ン,ポリメチルメタクリレート,メチルメタクリレート
共重合体,メチルメタクリレート共重合架橋体,ポリテ
トラフルオロエチレン,ポリビニリデンフルオライド,
ポリアクリロニトリル,ベンゾグアナミン樹脂等の如き
有機質,シリカ,アルミナ,二酸化チタン,カオリン,
タルク,グラファイト,炭酸カルシウム,長石,二硫化
モリブデン,カーボンブラック,硫酸バリウム等の如き
無機質のいずれを用いてもよい。
【0026】シェル部の材質については一般に熱可塑性
樹脂が好ましく,特にアクリル系樹脂,ポリエステル系
樹脂等が好ましく,さらにはフイルム基部との親和性を
高めるため,その分子中に任意の割合でフイルム基部と
の反応性もしくは親和性を有する官能基,具体的にはカ
ルボキシル基,水酸基,グリシジル基,アミド基,エポ
キシ基,イソシアネート基等を導入したものがよい。こ
れらの官能基は単独,場合によっては2種以上併用して
もよい。またシェル部のガラス転移温度(以下Tgとす
る)は好ましくは80℃以下,さらに好ましくは20℃
以下である。Tgが80℃を超えるとコアシェル粒子の
フイルム上からの脱落が目立つようになる。このような
組成のポリマーをシェル部に使用することにより優れた
耐削れ性を発現させることができる。
【0027】本発明におけるコアシェル粒子の体積形状
係数(f)は0.1〜π/6,さらには0.4〜π/6
であることが好ましい。ここで粒子の体積形状係数
(f)は下記数式(6)
【0028】
【数6】f=V/R3 (6) (ここで,fは体積形状係数,Vは粒子の体積(μ
3),Rは粒子の平均粒径(μm)である)で定義さ
れる。この係数(f)がπ/6の形状は球(真球)であ
る。そしてこの係数(f)が0.4〜π/6の形状は実
質的に球(真球),ラグビーボールのような楕円球を含
むものである。体積形状係数(f)が0.1末満の粒
子,例えば薄片状粒子では十分な走行耐久性を得るのが
難しい。
【0029】コアシェル粒子bは,例えばコア部の粒子
が存在する系で,シェル部の重合性単量体を乳化重合せ
しめ,コア部の粒子表面を被覆する方法で製造すること
ができるが,粒子の製造方法によって限定されるもので
はない。
【0030】被膜層Bの層厚みtB(nm)とコアシェ
ル粒子bのコア部の粒径dcBの比(tB/dcB)は,0.
05〜0.8,好ましくは0.08〜0.6,更に好ま
しくは0.1〜0.5である。この比(tB/dcB)が
0.8を超えると,コアシェル粒子bの突起形成作用が
減少し,磁気記録媒体としたときの走行耐久性が不足す
る。一方,0.05より小さくなると,製膜工程におけ
る種々のガイドロールとの接触によって積層フイルム表
面の粒子が削りとられて走行耐久性が不足したり,削り
取られた粒子がフイルム上に付着堆積してドロップアウ
トの増加を惹き起こしたりする。
【0031】コアシェル粒子bのマクロ凝集物による高
さ0.5μm以上の突起頻度は、50個/cm2以下で
ある。好ましくは40個/cm2以下、更に好ましくは
30個/cm2以下である。この突起頻度が50個/c
m2を超えると磁気テープとした時にドロップアウトの
原因物となるために好ましくない。
【0032】本発明における被膜層Bを構成するバイン
ダー樹脂は,本発明の効果を損なわないものであれば,
その種類,組成において制限されるものではないが,物
性制御,工程制御の利便性,作業環境,外部環境保全の
観点から,水性樹脂を用いることが好ましい。
【0033】ここで水性樹脂とは,水溶性有機樹脂及び
水分散有機樹脂のことを言い,アクリル樹脂,ポリエス
テル樹脂,アクリル−ポリエステル樹脂,アルキッド樹
脂,フェノール樹脂,エポキシ樹脂,アミノ樹脂,ポリ
ウレタン樹脂,酢酸ビニル樹脂,塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体等の水溶性のもの,及び上記樹脂種のうち水
不溶性のものについてはその水分散体を例示することが
できる。これら水性樹脂は単一重合体でも共重合体でも
よく,また混合物でもよい。
【0034】本発明における被膜層Bは芳香族ポリアミ
ド樹脂層Aの少なくとも片面に,不活性粒子及び水性樹
脂を含む塗液,好ましくは水性塗液として塗布,乾燥す
ることで形成する。この塗液の固形分濃度は0.2〜1
0重量%,さらには0.5〜5重量%,特に0.7〜3
重量%であることが好ましい。そしてこの塗液,好まし
くは水性塗液には本発明の効果を損わない範囲であれば
所望により他の成分,例えば界面活性剤,安定剤,分散
剤,UV吸収剤,増粘剤等を添加することができる。
【0035】塗布は塗布膜を過度に加熱せぬよう,後述
する延伸,熱処理後の芳香族ポリアミドフィルムに施す
ことが好ましい。塗布後に塗膜を乾燥する条件は100
〜300℃の乾燥炉中を1秒〜30分間で通過させるこ
とが好ましい。塗布方法としては特に限定されないが,
例えばロールコート法,ダイコート法等が好ましく例示
できる。
【0036】上記芳香族ポリアミドを製造する方法とし
ては,公知の方法、例えば界面重合,溶液重合等を用い
ることができ,特に溶液重合法が好ましい。重合溶媒と
してはジメチルホルムアミド,ジメチルアセトアミド,
N−メチルピロリドン,N−メチルカプロラクタム,ジ
メチルスルホキシド,ヘキサメチルホスホリルトリアミ
ド,テトラメチル尿素,1,3−ジメチル−2−イミダ
ゾリジノン等から選ばれた少なくとも一種を主成分とし
て用いることができる。このときポリマーの溶解性を改
善する目的で重合の前,途中,終了時に塩化カルシウ
ム,塩化リチウム等の無機塩を適当量添加してもよい。
また,酸成分とアミン成分とは実質的に等モルで反応さ
せるが,重合度の制御等の目的でいずれかの成分を過剰
に用いることもできる。さらに末端封鎖剤として少量の
単官能性の酸成分,アミン成分を使用してもよい。ま
た,反応によって生成する塩化水素を捕捉するために重
合系に脂肪族や芳香族のアミン,第4級アンモニウム塩
を添加することもできる。反応の終了後,必要に応じて
塩基性の無機化合物,例えば水酸化ナトリウム,水酸化
カルシウム,酸化カルシウムを添加し,中和反応を行
う。
【0037】このような芳香族ポリアミドの製法につい
ては, 例えば,特公昭52−39719号公報,特公
昭53−32838号公報などに詳しく記載されてお
り、これらの公知の知見を採用することができる。
【0038】本発明の芳香族ポリアミドフィルムが優れ
た機械的性質を持つためには,ポリマーの対数粘度(濃
硫酸中,30℃で測定した値から求める)は0.5g/
dl以上が好ましく,1.0g/dl以上が更に好まし
い。
【0039】このようにして得られる芳香族ポリアミド
は,アルコール,水などの溶媒の中に投入し,再沈,分
離させることにより得ることができ,これを再び溶媒に
溶解させてフィルムの成形に用いることができるが,好
ましくは重合反応によって得た溶液をそのまま,もしく
は重合後に適宜濃度を調整して用いる。このとき濃度の
調整は濃縮もしくは他の溶媒での希釈により行うことが
できる。かかる溶媒としては,重合溶媒として例示した
ものと同様なものを使用でき、重合に使用した溶媒と必
ずしも同一である必要ない。
【0040】上記のように調製された製膜原液は,いわ
ゆる溶液製膜法によりフィルム化が行われる。溶液製膜
法には乾湿式法,乾式法,湿式法などがあり、これらの
方法で可能であるが,乾湿式法,乾式法が表面性のよい
フィルムを得るには好ましい。
【0041】湿式法で製膜する場合には,該原液を口金
から直接製膜用浴中に押し出すか,または一且ドラム等
の支持体上に押し出し,支持体ごと湿式浴中に導入する
方法を用いるのが好ましい。この浴は一般に水系媒体か
らなるものであり,水の他に有機溶媒や無機塩等を含有
していてもよい。湿式浴を通すことでフィルム中に含有
された塩類,有機溶媒等の抽出を行うことができる。こ
れら湿式浴全体を通過する時間はフィルムの厚みにもよ
るが,10秒〜30分間であることが好ましい。さらに
フィルムの長手方向に延伸を行う。次いで乾燥,横延
伸,熱処理を行うが,これらの処理は一般に100〜5
00℃で,合計で1秒〜30分間である。
【0042】乾湿式法で製膜する場合は該原液を口金か
らドラム,エンドレスベルト等の支持体上に押し出して
薄膜とし,次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ薄膜
が自己保持性をもつまで乾燥する。乾燥条件は室温〜3
00℃,60分間以内の範囲である。乾式工程を終えた
フィルムは支持体から剥離されて湿式工程に導入し,上
記の湿式法と同様に脱塩,脱溶媒などを行い,さらに延
伸,乾燥,熱処理を行ってフィルムとする。
【0043】乾式法のプロセスを採用した場合には,ド
ラム,あるいはエンドレスベルトなどの上で乾燥し,自
己保持性をもったフィルムを,これら支持体から剥離
し,さらに残存溶媒を除去するための乾燥や,延伸,熱
処理を行うが,これらの処理は100〜500℃で1秒
〜30分間である。
【0044】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは,必
要に応じて,被膜層Bと反対側のフィルムAの表面に,
例えば不活性粒子を含有した易滑性被膜層Cを設けた
り,また不活性粒子を含有した芳香族ポリアミドフィル
ムA’を公知の方法を用いて積層させてもよい。
【0045】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは,B
層の表面に,真空蒸着,スパツタリング,イオンプレー
テイング等の方法により,鉄,コバルト,クロムまたは
これらを主成分とする合金もしくは酸化物よりなる強磁
性金属薄膜層を形成し,またその表面に,目的,用途,
必要に応じてダイアモンドライクカーボン(DLC)等
の保護層,含フツ素カルボン酸系潤滑剤層を順次設け,
さらにB層の反対側の表面または被膜層Cの表面に公知
のバツクコート層を設けることにより,特に短波長領域
の出カ,S/N,C/N等の電磁変換特性に優れ,ドロ
ップアウト,エラーレートの少ない高密度記録用蒸着型
磁気記録媒体とすることができる。この蒸着型電磁記録
媒体は,アナログ信号記録用Hi8,ディジタル信号記
録用ディジタルビデオカセットレコーダー(DVC),
データ8ミリ,DDSIV用テープ媒体として極めて有用
である。
【0046】本発明の芳香族ポリアミドフィルムは,ま
たB層の表面に,鉄または鉄を主成分とする針状微細磁
性粉,あるいは酸化鉄または酸化クロム等の針状微細磁
性粉,またはバリウムフェライト等の板状微細磁性粉を
塩化ビニ一ル,塩化ビニール・酢酸ビニ一ル共重体など
のバインダーに均一分散させ,磁性層厚みが1μm以
下,好ましくは0.1〜1μmとなるように塗布し,さら
にB層の反対側の表面または被膜層Cの表面に公知の方
法でバックコート層を設けることにより,特に短波長領
域での出力,S/N,C/N等の電磁変換特性に優れ,
ドロップアウト,エラーレートの少ない高密度記録用メ
タル塗布型磁気記録媒体とすることができる。また,必
要に応じてB層の上に,該メタル粉含有磁性層の下地層
として微細な酸化チタン粒子等を含有する非磁性層を磁
性層と同様の有機バインダー中に分散,塗設することも
できる。このメタル塗布型磁気記録媒体は,アナログ信
号記録用8ミリビデオ,Hi8,βカムSP,W−VH
S,ディジタル信号記録用ディジタルビデオカセットレ
コーダー(DVC),データ8ミリ,DDSIV,ディジ
タルβカム,D2,D3,SX等用テープ媒体,ディジ
タル信号記録用データストリーマー用QlC等の高密度
酸化物塗布型磁気記録媒体として極めて有用である。
【0047】上記のW-VHSはアナログのHDTV信
号記録用VTRであり,またDVCはディジタルのHD
TV信号記録用として適用可能なものであり,本発明の
積層フィルムはこれらHDTV対応VTR用磁気記録媒
体に極めて有用なベースフィルムということができる。
【0048】
【実施例】以下,本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお,本発明において用いた測定法は次のとおりで
ある。
【0049】(1)粒子の平均粒径I (平均粒径:
0.06μm以上) 島津製作所製,CP−50型セントリフューグル パー
テイクル サイズ アナライザー(Centrifug
al Particle Size Analyze
r)を用いて測定する。得られる遠心沈降曲線を基に算
出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線から,5
0重量%に相当する粒径「等価球直径」を読み取り,こ
の値を平均粒径とする(「粒度測定技術」日刊工業新聞
社発行,1975年,頁242〜247参照)。
【0050】(2)粒子の平均粒径II(平均粒径:0.
06μm未満) 小突起を形成する平均粒径0.06μm未満の粒子は,
光散乱法を用いて測定する。すなわち,Nicom l
nstruments lnc.社製のNlCOMP
MODEL 270 SUBMlCRON PARTl
CLE SlZERにより求められる全粒子の50重量
%の点にある粒子の「等価球直径」をもって表示する。
【0051】(3)体積形状係数(f) 走査型電子顕微鏡により用いたサイズに応じた倍率にて
各粒子の写真を撮影し,画像解析処理装置ルーゼックス
500(日本レギュレーター製)を用い,粒子の平均粒
径および粒子の体積を算出し,次式(6)により算出す
る。
【0052】
【数7】f=V/R3 (6) (式中,fは体積形状係数,Vは粒子の体積(μ
3),Rは粒子の平均粒径(μm)を表す)
【0053】(4)突起頻度 フィルム表面の突起頻度の測定は走査型電子顕微鏡によ
り行う。すなわち,フィルムのB層の表面写真を倍率5
000倍にてランダムに25枚撮影し,表面突起頻度を
カウントし,その平均値よリ1mm2当たりの突起数に
換算し,この値をB層表面の突起頻度とする。
【0054】(5)マクロ凝集物による突起の高さと頻
度 積層フィルムの被膜層Bの表面に真空蒸着法により傾斜
角45度の角度から0.2μmの厚みになるようにアル
ミニウム薄膜を形成し、透過顕微鏡にて倍率400倍で
1cm2を走査観察し、突起の影による非蒸着部の最大
長さ(突起高さに相当)が0.2mm以上の透過光の個
数をカウントする。(即ち、高さが0.2mm/400
=0.5μm以上の粗大なマクロ凝集物による突起頻度
をカウント)。
【0055】(6)原子間力顕微鏡(AFM)中心面平
均粗さ(ARa) Digital Instruments社製,原子間
力顕微鏡Nano Scope III AFMのJスキ
ャナーを用いて,以下の条件で算出されるARa(中心
面平均粗さ)を測定する。続いて該サンプルにギヤオー
ブン中200℃×120分間の熱処理を施し,同様にA
Raを測定する。 探針:単結合シリコンセンサー 走査モード:タッピングモード 走査範囲:5μm×5μm 画素数:256×256データポイント スキャン速度:2.0Hz 測定環境:室温,大気中
【0056】(7)ヤング率 東洋ボールドウイン社製の引っ張り試験機テンシロンを
用いて,温度20℃,湿度50%に調節された室内にお
いて,長さ300mm,幅12.7mmの試料フィルム
を,10%/分のひずみ速度で引っ張り,引っ張り応力
−ひずみ曲線の初めの直線部分を用いて次の式(7)に
よって計算する。
【0057】
【数8】 E=△σ/△ε (7) ここで,Eはヤング率(kg/mm2),△σは直線上
の2点間の元の平均断面積による応カ差,△εは同じ2
点間のひずみ差である。
【0058】(8)磁気テープの製造および特性評価 フィルムのB層側表面に,真空蒸着法によりコバルト1
00%の強磁性薄膜を0.2μmの厚みになるように2
層(各層厚約0.1μm)形成し,その表面にダイアモ
ンドライクカーボン(DLC)膜,さらに含フツ素カル
ボン酸系潤滑層を順次設け,さらにB層とは反対側のフ
ィルム表面に公知方法でバックコート層を設ける。その
後,8mm幅にスリットし,市販の8mmビデオカセッ
トにローデイングする。次いで,以下の市販の機器を用
いてテープの特性を測定する。 使用機器: 8mmビデオテープレコーダー:ソ二一(株)製,ED
V−6000 C/N測定:シバソク(株)製,ノイズメーター
【0059】C/N測定 記録波長0.5μm(周波数約7.4MHz)の信号を
記録し,その再生信号の6.4MHzと7.4MHzの
値の比をそのテープのC/Nとし,市販8mmビデオ用
蒸着テープのC/Nを0dBとし,相対値で表わす。 ◎ :+2dB以上 ○ :−2〜+2dB未満 × :−4〜−2dB未満 ×× :−4dB未満
【0060】走行耐久性 上記した蒸着テープに4.2MHzの映像信号を記録
し,25℃,50%RHの条件下でテープ走行速度41
m/分,巻き戻し速度41m/分の走行を1回とし,合
計200回繰り返した後の出力変動を調べる。この出力
変動から次の基準で判定する。 ◎ :200回繰返し後の出力変動が 0dB〜−0.
3dB以上 ○ :200回繰返し後の出力変動が −0.3dB未
満〜−0.5dB以上 △ :200回繰返し後の出力変動が −0.5dB未
満〜−0.7dB以上 × :200回繰返し後の出力変動が −0.7dB未
【0061】[実施例1]パラフェニレンジアミン25
モル%と3,4‘−ジアミノジフェニルエーテル25モ
ル%をアミン成分とし,テレフタル酸クロライド50モ
ル%を酸成分としてNMP(N−メチルピロリドン)中
で重合し,水酸化カルシウムで中和してポリマー溶液を
得(対数粘度3.5),これを製膜原液とした。
【0062】この原液を100℃の金属ベルト上に流延
し,100℃で2分乾燥後,120℃,150℃と段階
的に温度を上げ,合計で10分間乾燥させて自己保持性
をもつ末延伸フィルムを得た。この末延伸フィルムを連
続的にベルトから剥離して水槽中に導入し,脱溶媒と脱
塩を行った。
【0063】得られた末延伸フィルムを低速,高速のロ
ール間でフィルム温度350℃で長手方向に2.5倍延
伸し,続いてテンターに供給して,400℃で幅方向に
3.0倍延伸し,得られた二軸延伸フィルムを400℃
で1分間熱処理し,室温まで冷却後フィルムAを得た。
このフィルムAに,アクリル変性ポリエステル樹脂から
なるバインダーの水溶液中に平均粒径30nmのポリメ
チルメタクリレートをジビニルベンゼンにて架橋した樹
脂(架橋アクリル)からなる粒子を分散させた固形分濃
度1.0重量%(全固形分中の粒子含有量2.0重量
%)の塗液を,塗液の状態で1.35g/m2の塗布量
でロールコーターを用いて塗布後,徐々に加熱し,最高
温度210℃で30秒間乾燥して,層厚0.010μm
の被膜層Bを持つ最終厚み3.0μmの芳香族ポリアミ
ドフィルムを得た。この被膜層Bを持つ芳香族ポリアミ
ドフィルムを用いて、前期の方法にて強磁性金属薄膜蒸
着磁気テープを得た。被膜層Bを持つ芳香族ポリアミド
フィルム及びこのフィルムを用いた強磁性金属薄膜蒸着
磁気テープの特性を表1に示す。
【0064】[実施例2〜3]フィルムAの延伸倍率を
表1に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして
芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られたフィルム及
びこのフィルムを用いた強磁性金属薄膜蒸着磁気テープ
の特性を表1に示す。
【0065】[実施例4〜9]被膜層B中の粒子種類及
び/又は全固形分中の粒子含有量を表1に示すものに変
更した以外は実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。得られたフィルム及びこのフィルムを用
いた強磁性金属薄膜蒸着磁気テープの特性を表1に示
す。
【0066】[実施例10〜13]被膜層B用の塗液固
形分濃度または塗布量を表2に示すものに変更した以外
は実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得
た。得られたフィルム及びこのフィルムを用いた強磁性
金属薄膜蒸着磁気テープの特性を表2に示す。
【0067】[実施例14〜15]被膜層B中のバイン
ダー樹脂を表2に示すものに変更した以外は実施例1と
同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得た。得られた
フィルム及びこのフィルムを用いた強磁性金属薄膜蒸着
磁気テープの特性を表2に示す。
【0068】[実施例16〜17]フィルムAの芳香族
ポリアミドのアミン成分の共重合組成を表2に示すもの
に変更した以外は実施例1と同様にして芳香族ポリアミ
ドフィルムを得た。得られたフィルム及びこのフィルム
を用いた強磁性金属薄膜蒸着磁気テープの特性を表2に
示す。
【0069】[比較例1]重合工程において中和反応完
了後,前もってNMPに分散させておいた平均粒径43
0nmのシリカを重合系に添加して製膜原液とした以外
は,実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを
得た。得られたフィルム及びこのフィルムを用いた強磁
性金属薄膜蒸着磁気テープの特性を表3に示す。このフ
ィルムはフィルム内部の粒子に起因する大突起,特に粒
子凝集物に起因する粗大突起により表面の適度な平滑性
が損なわれており,電磁変換特性に劣るものであった。
【0070】[比較例2]乾燥した未延伸フィルムを延
伸しない以外は,実施例1と同様にして芳香族ポリアミ
ドフィルムを得た。得られたフィルム及びこのフィルム
を用いた強磁性金属薄膜蒸着磁気テープの特性を表3に
示す。延伸されていないこのフィルムは,ヤング率が低
いものであったため電磁変換特性に劣るものであった。
【0071】[比較例3]被膜層Bの塗工を行わない以
外は,実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィルム
を得た。得られたフィルム及びこのフィルムを用いた強
磁性金属薄膜蒸着磁気テープの特性を表3に示す。微小
突起の存在しないこのフィルムは,走行耐久性に劣るも
のであった。
【0072】[比較例4]被膜層B中に粒子を含有させ
ない以外は,実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフ
ィルムを得た。得られたフィルム及びこのフィルムを用
いた強磁性金属薄膜蒸着磁気テープの特性を表3に示
す。微小突起の存在しないこのフィルムは,走行耐久性
に劣るものであった。
【0073】[比較例5〜9]被膜層B中の粒子種類及
び/又は全固形分中の粒子含有量及び/又は塗液固形分
濃度及び/又は塗布量を表3に示すものに変更した以外
は実施例1と同様にして芳香族ポリアミドフィルムを得
た。得られたフィルム及びこのフィルムを用いた強磁性
金属薄膜蒸着磁気テープの特性を表3に示す。粒径及び
/又は突起頻度が本発明の範囲外であるこのフィルム
は,電磁変換特性又は走行耐久性に劣るものであった。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】PPDA*: p-フェニレンジアミン 3,4'-DAPE**: 3,4'-ジアミノジフェニルエーテル ***: Acr-Pes →アクリル変性ポリエステル(高松油脂
(株)製,IN-170-6) Pes →ポリエステル(互応化学(株)製,RZ530) Pur →ポリウレタン(東洋ポリマー(株)製,メルシー54
5) ****:架橋アクリル→ポリメチルメタクリレート−ジビ
ニルベンゼン架橋体 コアシェル型粒子(A)→コア部(全径/コア径=1.25)=ポ
リスチレン−ジビニルベンゼン架橋体,シェル部=ポリ
メチルメタクリレート コアシェル型粒子(B)→コア部(全径/コア径=10)=ポリ
スチレン−ジビニルベンゼン架橋体,シェル部=ポリメ
チルメタクリレート シリカ →コロイダルシリカ
【0078】
【発明の効果】本発明によれば,ベースフィルムの厚み
が薄くても,十分な強度,剛性を有し,特に,電磁変換
特性,ドロップアウト,磁性層の走行耐久性に優れた高
密度磁気記録媒体のベースフィルムとして有用な芳香族
ポリアミドフィルムを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅井 武夫 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人株式会社相模原研究センター内 Fターム(参考) 4F100 AK01B AK01C AK46A AS00B AS00C BA02 BA03 BA06 BA10B BA10C BA16 GB41 JA20B JA20C JG06 JK02A JK14B JK14C YY00A YY00B YY00C 4F210 AA30 AD05 AD08 AD20 AG01 AG03 AH38 AR06 AR12 AR13 QC05 QD12 QD13 QG01 QG11 QG15 5D006 BA01 BB01 CB01 CB02 CB05 CB07 CB08 EA01 FA00 FA02 FA05 FA09

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に実質的に不活性粒子を含有しない
    芳香族ポリアミドからなる面積倍率にして5.0倍以上
    延伸された二軸延伸フィルムであって,長手方向と幅方
    向のヤング率の和が2000kg/mm2以上であるフ
    ィルムAの少なくとも片面に,平均粒径dBが5〜10
    0nmである不活性粒子bを含むバインダー樹脂からな
    る被膜層Bが塗設してあり,不活性粒子bの平均粒径d
    B(nm),被膜層Bの層厚tB(nm)が下記式(1) 【数1】 0.05≦tB/dB≦0.8 (1) を満足し,該粒子からなる表面突起の頻度が1×106
    〜1×108個/mm2であることを特徴とする高密度磁
    気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム。
  2. 【請求項2】 上記芳香族ポリアミドフィルムを200
    ℃で120分間熱処理したときその前後での被膜層Bの
    表面粗さが下記式(2),(3) 【数2】 0≦(ARaB−ARaB H)/ARaB<0.4 (2) 0.1<ARaB H<7 (3) (ここで,ARaBは熱処理前の被膜層B表面を原子間
    力顕微鏡で測定した中心面平均粗さ(nm),ARaB H
    は熱処理後の被膜層B表面を原子間力顕微鏡で測定した
    中心面平均粗さ(nm)である)を同時に満足し,かつ
    付着異物数が100個/100cm2以下であることを
    特徴とする請求項1に記載の高密度磁気記録媒体用芳香
    族ポリアミドフィルム。
  3. 【請求項3】 上記芳香族ポリアミドフィルムの被膜層
    B中に含有される粒子bが,体積形状係数が0.1〜π
    /6である内部より外部が柔軟なコアシェル型構造を備
    えてなるものであり,コア部の粒径dcB(nm),およ
    び上述のdB(nm),tB(nm)が下記式(4),
    (5) 【数3】 1.01≦dB/dcB≦3.0 (4) 0.05≦tB/dcB≦0.8 (5) を同時に満足し,かつ粒子bのマクロ凝集物による高さ
    が0.5μm以上の突起頻度が50個/cm2以下であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の高密度磁気記録媒
    体用芳香族ポリアミドフィルム。
  4. 【請求項4】 上記芳香族ポリアミドフィルムの被膜層
    Bを形成するバインダー樹脂が,水性樹脂からなること
    を特徴とする請求項1,2,または3に記載の高密度磁
    気記録媒体用芳香族ポリアミドフィルム。
  5. 【請求項5】 上記芳香族ポリアミドの主鎖を形成する
    芳香核のうち,芳香核上の主鎖形成置換基がパラ配向性
    であるものが 50〜99.5 % であることを特徴とする,請
    求項1,2,3,または4に記載の高密度磁気記録媒体
    用芳香族ポリアミドフィルム。ここで,主鎖形成置換基
    とは,アミド基などの高分子主鎖に含まれる原子または
    原子団のことである。
  6. 【請求項6】 芳香族ポリアミドが,酸成分としてテレ
    フタル酸,アミン成分としてp‐フェニレンジアミンお
    よび3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いてな
    る高分子化合物であることを特徴とする,請求項1,
    2,3,4,または5に記載の高密度磁気記録媒体用芳
    香族ポリアミドフィルム。
  7. 【請求項7】 被膜層Bの上に金属薄膜型磁性層を設け
    た金属薄膜型高密度磁気記録媒体用として用いられるこ
    とを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,または6
    に記載の高密度磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィル
    ム。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の高密度磁気記録媒体用
    芳香族ポリアミドフィルムを用いた金属薄膜型高密度磁
    気記録媒体。
  9. 【請求項9】 被膜層Bの上に重層塗布型磁性層を設け
    た重層塗布型高密度磁気記録媒体用として用いられるこ
    とを特徴とする,請求項1,2,3,4,5,または6
    に記載の高密度磁気記録媒体用芳香族ポリアミドフィル
    ム。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の高密度磁気記録媒体
    用芳香族ポリアミドフィルムを用いた重層塗布型高密度
    磁気記録媒体。
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