JP2001091688A - 原子力発電プラント - Google Patents

原子力発電プラント

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JP2001091688A
JP2001091688A JP27177999A JP27177999A JP2001091688A JP 2001091688 A JP2001091688 A JP 2001091688A JP 27177999 A JP27177999 A JP 27177999A JP 27177999 A JP27177999 A JP 27177999A JP 2001091688 A JP2001091688 A JP 2001091688A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】構造材の応力腐食割れの発生を抑制し、応力腐
食割れによる亀裂進展を抑制し、全面腐食を抑制して構
造材の健全性を維持し、安全で長寿命な原子力発電プラ
ントを提供する。 【解決手段】原子力発電プラントの構造材の表面に亜鉛
クロマイト(ZnCr24 )とクロム酸化物(Cr2
3 )とが混在する亜鉛とクロムとの複合酸化物層を付
与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は構造材の応力腐食割
れを防止して健全性を維持し、安全で長寿命な原子力発
電プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】高温高圧水を長期に亘り使用するプラン
ト、特に高温高圧の純水を使用する沸騰水型原子力発電
プラント(以下、BWR と記す)では炉内構造物の構造材
料の経年劣化現象の1つに応力腐食割れ(以下、SCC と
記す)現象がある。SCC は応力、腐食環境、材料の3因
子が重畳して発生する現象であり、その緩和技術とし
て、残留応力を低減させる技術、水質環境改善技術、及
び耐SCC 特性を有する材料の採用や表面処理といった材
料対策などが提案されている。
【0003】応力緩和によるSCC 緩和法では、例えば特
開平7−266230号公報に開示されているように、ショッ
トピーニングによる残留応力改善方法が具体的に記載さ
れている。これは水中又は水中と同等な環境中で金属材
料表面に金属小球を衝突させ、その衝撃エネルギーによ
り金属材料表面に圧縮応力を付与するものである。ま
た、特開平7−248397号公報ではレーザーピーニングに
よる圧縮応力の付与方法が開示されている。
【0004】腐食環境緩和によるSCC 緩和法では、例え
ば特開平5−256993号公報に開示されているように、水
素注入技術の有効性が確認されている。これは、炉水中
に水素ガスを供給し、炉水中の水素と酸素及び過酸化水
素を再結合させ、炉内機器の腐食電位を低下させること
により、SCC の発生及び進展を抑制させることに基づい
ている。
【0005】また、耐SCC 特性を有する材料としてはオ
ーステナイト系ステンレス鋼では316L鋼など、炭素の含
有率を低下させた金属材料が有用であることが知られて
いるが、一般に、SCC が起こるのは溶接や熱処理工程で
は不可避に受ける加熱がもたらした、いわゆる鋭敏化組
織部分の割れである。
【0006】その証左としてはSCC 感受性が高い304 鋼
では結晶粒界に炭化物(M236 )の析出反応を起こし
やすいことが確認されている。そこで、炭素含有量を低
下させ炭化物の生成を抑制することが有効な対策となる
わけである。
【0007】さらに、例えば特開昭59−177383号公報に
はステンレス鋼製躯体の腐食媒体との界面にロジウム等
の白金族のメッキを施すステンレス鋼のSCC 緩和技術が
開示されている。
【0008】これら各々のSCC 緩和法は有効なものであ
るが、各々に課題を有しており、単一技術だけで完全に
SCC を抑制できるものではない。このような背景から、
安全を最優先する原子力発電プラントにおいては依然と
して応力腐食割れ緩和技術は重要な開発課題となってい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来のSCC 緩和技術が
持つ課題は以下のとおりである。まず、ショットピーニ
ングやレーザーピーニングなどによる応力緩和技術は既
設プラントに適用されている技術であり、プラントにお
ける管理区域内作業が主体となる。施工にあたっては、
実際の施工工程に加えて、管理区域内への膨大な機材の
持ち込みや、その撤去などその準備に膨大な作業量を要
する。
【0010】一般的にこれら技術の施工作業はプラント
の定期検査期間中に計画されるが、その作業量から定期
検査期間の延長は免れない。言い換えれば、非常に高コ
ストであると言わざるを得ないのである。
【0011】また、特に問題となる点は、その施工部位
が限られていることである。これはシュラウドの溶接線
などのスペース的に余裕のある大物の施工に最適である
が、原子炉底部のスタブチューブ周りの溶接線といった
狭隘部に対しては施工が非常に困難であることを意味し
ている。
【0012】水素注入による腐食環境緩和技術は、炉水
に注入される過剰の水素ガスによって気液移行のバラン
スが変化し、タービン系の線量率が上昇する大きな課題
を有している。
【0013】そこで、近年、タービン系の線量率があま
り上昇しない程度の少量の水素注入で目的を達し得る技
術が知られている。これは貴金属注入技術と称され、例
えば特開平10−186085号公報に開示されている。これに
よれば、炉水温度が低いプラント停止操作時や昇温操作
時にプラチナやバナジウムといった貴金属を炉水に注入
し、構造材の表面に付着させることにより、少量の水素
で構造材の腐食電位を低下させることができるとしてい
る。
【0014】しかしながら、上記方法では当然のことな
がら燃料被覆管表面にも貴金属が付着することになり、
燃料の健全性が懸念される。また、貴金属は容易に溶解
しないことから、この技術ではアセチルアセトナートな
どの有機金属化合物などとして添加が提案されており、
取り扱う上でその毒性や爆発性に注意する必要があるば
かりでなく、注入後にあっては構造材への影響も無視で
きないものと考えられる。
【0015】材料改善によるSCC 緩和技術は建設時や機
器の交換時にのみ適用が可能な技術であり、一般的には
運転中の原子力発電プラントに対しての対策としては成
立しないのが実情である。
【0016】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、建設中で供用前原子力発電プラント、建設後
の供用中原子力発電プラント、供用中の原子力発電プラ
ントにおいて接液部を有する構造材の少なくとも一部を
交換する原子力発電プラント、又は除染後の原子力発電
プラントなどの状態や運転中の状態の原子力発電プラン
トに対しても適用でき、SCC の発生を抑制し得る原子力
発電プラントを提供することにある。また、SCC による
亀裂進展を抑制し、全面腐食を抑制して構造材の健全性
を維持し、安全で長寿命な原子力発電プラントを提供す
ることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、原子
力発電プラントにおいて、建設中の供用前構造材の接液
部表面に亜鉛クロマイト(ZnCr2 4 )とクロム酸
化物(Cr2 3 )が混在する亜鉛とクロムとの複合酸
化物層を付与してなることを特徴とする。これにより、
構造材の健全性を向上させることができる。なお、構造
材の接液部表面は材料の表面である。
【0018】請求項2の発明は、原子力発電プラントに
おいて、建設後の供用中に構造材表面に亜鉛クロマイト
(ZnCr2 4 )とクロム酸化物(Cr2 3 )が混
在する亜鉛とクロムとの複合酸化物層を付与してなるこ
とを特徴とする。これにより、構造材の健全性を向上さ
せることができる。
【0019】請求項3の発明は、接液部を有する構造材
の少なくとも一部を交換する原子力発電プラントにおい
て、前記構造材表面に亜鉛クロマイト(ZnCr
2 4 )とクロム酸化物(Cr2 3 )が混在する亜鉛
とクロムとの複合酸化物層を付与してなることを特徴と
する。これにより、構造材の健全性を向上させることが
できる。
【0020】請求項4の発明は、原子力発電プラントに
おいて、除染後の構造材表面に亜鉛クロマイト(ZnC
2 4 )とクロム酸化物(Cr2 3 )とが混在する
亜鉛とクロムとの複合酸化物層を付与してなることを特
徴とする。これにより、構造材の健全性を向上させるこ
とができる。
【0021】請求項5の発明は、前記建設中の供用前原
子力発電プラント、又は接液部を有する構造材の少なく
とも一部を交換する原子力発電プラントにおいて、前記
構造材表面に亜鉛クロマイト(ZnCr2 4 )とクロ
ム酸化物(Cr2 3 )が混在する亜鉛とクロムとの複
合酸化物層を付与する手段は、レーザークラッディン
グ、メッキ、ドライプレーティング、溶射、イオン注
入、ライニング、プレフィルミング、コーティング、塗
布から選択された少なくとも1つの付与手段によること
を特徴とする。
【0022】この発明では、プラントの履歴や状態によ
って上記付与手段が異なり、対象となる構造材にアクセ
スし、各種の付与手段を選択することにより容易に目的
を達成することができる。
【0023】請求項6の発明は、前記原子力発電プラン
トにおいて、供用中、又は除染後の前記構造材表面に亜
鉛クロマイト(ZnCr2 4 )とクロム酸化物(Cr
2 3 )が混在する亜鉛とクロムとの複合酸化物層を付
与する手段は、前記構造材表面にクロム酸化物層を生成
させた後、亜鉛イオンを冷却材中に注入することを特徴
とする。
【0024】この発明では、供用中のプラントや除染後
のプラントにおいては対象部位へのアクセス性の問題、
つまり物理的にアクセス不能であったり、又は高放射線
場で作業不能である場合、薬液の注入やプラントの運転
による間接的な方法で目的を達成することができる。
【0025】請求項7の発明は、前記原子力発電プラン
トにおいて、供用中、又は除染後の前記構造材表面に前
記複合酸化物層付与手段として、冷却材中にクロム酸イ
オンと亜鉛イオンを同時に注入することを特徴とする。
【0026】この発明によれば、構造材表面に亜鉛クロ
マイト(ZnCr2 4 )とクロム酸化物(Cr
2 3 )とが混在する亜鉛とクロムとの複合酸化物層を
付与することができ、構造材の健全性を向上させること
ができる。
【0027】請求項8の発明は、前記原子力発電プラン
トにおいて、供用中、又は除染後の前記構造材表面に亜
鉛クロマイト(ZnCr2 4 )とクロム酸化物(Cr
2 3 )が混在する亜鉛とクロムとの複合酸化物層を付
与する処理の前工程として、前記付与部位に対しショッ
トピーニング又はレーザーピーニング処理により前記構
造材表面に圧縮応力場を付与してなることを特徴とす
る。
【0028】この発明によれば、ピーニング処理を施す
ことにより、健全性のさらなる向上を図ることができ
る。なお、ピーニング処理の程度によって効果が変わる
だけでなく、対象となる部位の材料や履歴、曝されてい
る環境で効果の程度が変化することはもちろんである。
【0029】請求項9の発明は、前記原子力発電プラン
トにおいて、供用中、又は除染後の前記構造材表面にク
ロム酸化物層を付与するにあたり、冷却材中に還元剤を
共存させた環境下でクロム酸イオンを注入することを特
徴とする。この発明によれば、構造材の健全性を向上さ
せることができる。
【0030】請求項10の発明は、前記原子力発電プラン
トにおいて、供用中、又は除染後の前記構造材表面にク
ロム酸化物層を付与するにあたり、冷却材中の酸素濃
度、又は過酸化水素濃度を調整することを特徴とする。
この発明によれば、クロム含有金属の腐食を促進させる
ことができる。
【0031】請求項11の発明は、前記原子力発電プラン
トにおいて、供用中、又は除染後のクロム酸イオンを冷
却材中に注入するためにクロム注入装置を設けてなるこ
とを特徴とする。
【0032】この発明において、クロムを注入する部位
は原子炉冷却材再循環系や原子炉冷却材浄化系出口など
の高温高圧系に直接注入するのが最も効果的であるが、
復水浄化系出口以降の低温部でも支障はない。ただし、
低温部注入の場合には注入したクロム酸イオンが炉内に
達する前に給水加熱器において一部は付着する可能性が
ある。そこで、この場合にはクロム注入装置の裕度を多
めに持たせる配慮が必要となる。
【0033】なお、給水加熱器に付着する量は僅かであ
り、さらに付着によって防蝕性が高まりこそすれ、なん
らマイナスの問題は発生しない。注入するクロム酸イオ
ン濃度については高濃度の方が短時間で処理が終了する
ものの、実機BWR で実績のある100ppb以下で行えば、な
んら問題が発生する危険性はない。
【0034】請求項12の発明は、前記原子力発電プラン
トにおいて、供用中、又は除染後のクロム酸イオンと亜
鉛イオンとを同時に冷却材中に注入する際には冷却材中
に還元剤を共存させた還元水質環境下で行うことを特徴
とする。還元剤としては水素を使用する。これによりさ
らなる構造材の健全性の向上を図ることができる。
【0035】請求項13の発明は、前記原子力発電プラン
トにおいて、供用中、又は除染後の亜鉛イオンを冷却材
中に注入するために亜鉛注入装置を設けてなることを特
徴とする。亜鉛を注入する際には給水中及び原子炉冷却
材中の鉄クラッドをできるだけ抑制させる。亜鉛イオン
濃度は原子炉冷却材、つまり炉水中で100ppb以下とす
る。亜鉛注入装置は原子炉再循環系の各配管に接続する
のが望ましく、また原子炉浄化系出口に設けることもで
きる。
【0036】請求項14の発明は、前記原子力発電プラン
トにおいて、供用中、又は除染後の亜鉛イオンを注入す
る際にはその同位体構成比において亜鉛64,亜鉛68,亜
鉛70のうち1つ、ないしは複数の同位体の含有率を、天
然に亜鉛64,亜鉛68,亜鉛70が存在する含有率より低下
させた亜鉛を用いることを特徴とする。この発明によれ
ば、二次的な放射能を発生させることがなく、副次的な
影響を抑制し、その有効性をより一層高めることができ
る。
【0037】請求項15の発明は、前記原子力発電プラン
トにおいて、供用中、又は除染後の各種のイオン種を注
入するにあたり、腐食抑制効果を確認するための腐食モ
ニタと、炉内構造物への付着放射能の推移を確認するた
めの放射能付着モニタと、イオン種濃度を測定するため
のイオン種濃度モニタとを具備し、前記各々のモニタの
データから注入するイオン種濃度を自動的に設定するこ
とのできるイオン種濃度調整システムを設けてなること
を特徴とする。
【0038】この発明によれば、各種モニタのデータを
連続的又は一定時間毎に採取し、注入するイオン種に対
し、その許容濃度以下の条件で最適な濃度を算出し、各
注入装置の注入ポンプを自動調整して注入を行うことが
できる。
【0039】
【発明の実施の形態】図1から図5により本発明に係る
原子力発電プラントの第1の実施の形態を説明する。本
発明者らはSCC 緩和技術として共存イオン種の効果につ
いて継続的に試験を実施した。これはイオン種の注入と
いった手段によれば、原子炉内のどのような部位におい
てもほぼ均一な水質環境を達成し得ることが背景にあ
り、ピーニングの狭隘部における施工性の問題、水素注
入によるタービン系線量率上昇の問題、材料対策による
適用時期が限定される問題などを全て解決できると考え
た末の結果である。
【0040】本発明者らは低ひずみ引張試験(Slow Str
ain Rate Tensile:SSRT)装置、及び亀裂進展試験(Co
mpact Tension :CT)装置を駆使し、微量の各種イオン
種存在下で鋭敏化ステンレス304 鋼試験片を用いた材料
破壊試験を行った。その膨大なスクリーニング試験の結
果、亜鉛イオンとクロム酸イオンが液中に共存すると材
料のSCC 感受性が低下することを見出した。
【0041】図1は700 ℃、2時間の鋭敏化処理を施し
たステンレス304 鋼を試験体とし、原子炉再循環系の環
境を模擬した水質条件下(溶存酸素濃度/溶存水素濃度
=200 /25ppb )で行ったSSRT試験の結果を示したもの
である。試験では各々のイオン濃度を10ppb に制御し、
歪速度5×10-5sec -1で試験体が破壊するまで引張試験
を行った。図1では純水条件における破断時間を1に規
格化し、各種イオン存在下における破断時間とを相対値
で比較している。
【0042】この試験では従来得られている知見と同様
に僅か10ppb 程度の塩素イオンや硫酸イオンなどの陰イ
オンの存在によって破断時間が急激に短縮し、SCC 感受
性が増加したと推定される結果が得られた。試験体の破
断面は典型的な粒界型応力腐食割れの様相を呈していた
ことから、試験方法及びその結果については信頼性が高
いものと判断している。
【0043】一方、10ppb のニッケルイオン、亜鉛イオ
ン、クロム酸イオン、銅イオンなどのイオン種の存在は
SCC 感受性に顕著な影響を与えておらず、これも多くの
研究者が報告している結果と一致していた。ところが、
亜鉛イオンとクロム酸イオンが各々10ppb 共存した試験
では破断に至るまでの時間が純水条件より長くなり、SC
C 感受性が低下したと推定される結果が得られたのであ
る。
【0044】次に、CT試験装置を用い亀裂進展試験をク
ロム酸イオン単独存在、亜鉛イオン単独存在、及び両イ
オン共存の3条件で連続的に実施した。本試験における
供試体は溶接金属であるインコネル182 を0.8 インチ厚
のCT型試験片)0.8T−CT試験片)に加工し、予亀裂を入
れた形状を有しており、応力拡大係数は30Mpa √m 一定
を目標とした。
【0045】なお、試験水質はBWR 炉底部の環境で水素
注入を行っていない通常水質を模擬した条件(溶存酸素
濃度/溶存水素濃度/過酸化水素=200 /25/100ppb)
とした。試験では亀裂長さを電位差法によって連続測定
しながら、水質を約300 時間毎に無添加条件、クロム酸
イオン単独存在条件、亜鉛イオン単独存在条件、亜鉛イ
オンとクロム酸イオン共存条件と、変化させた。なお、
各イオン種濃度は10ppb を目標とした。
【0046】図2(a)は試験結果を示しており、横軸
(X軸)に試験時間、縦軸(Y軸)に亀裂長さを示して
いる。亀裂進展速度は無添加条件で4×10-7sec -1と測
定され、その後、クロム酸イオン単独存在条件、亜鉛イ
オン単独存在条件と変化させても有意な変化が見られな
かった。ところが、亜鉛イオンとクロム酸イオン共存条
件においてその鈍化が測定された。この期間における亀
裂進展速度は2.5 ×10 -7sec -1を示しており、40%弱の
亀裂進展の抑制効果が得られたと評価された。
【0047】また、図2(b)は応力拡大係数を図2
(a)の1/2 とした条件での結果である。亜鉛イオン、
クロム酸イオン単独存在条件における亀裂進展速度は約
3×10 -8sec -1となり、図2(a)の約1/10に低下して
いたが、亜鉛イオン、クロム酸イオンが共存する条件で
は亀裂進展速度がほぼ停止したデータが得られた。
【0048】試験後の分析結果によれば、試験体表面に
は亜鉛を含有したクロムとの複合酸化物層が生成してお
り、X線回折法による結晶解析では亜鉛クロマイト(Z
nCr2 4 )とクロム酸化物(Cr2 3 )とが混在
する亜鉛とクロムとの複合酸化物層と同定された。さら
に亀裂部位を強制破断させ、接液部位を観察したとこ
ろ、一般表面と同様に亜鉛を含有したクロムとの複合酸
化物層が生成していることを確認した。
【0049】これらの結果を総合的に勘案し、本発明者
らはこの複合酸化物層が材料表面を被覆することによっ
て材料のSCC 感受性と亀裂進展速度を低下させたと解釈
した。さらに、試験体の詳細な酸化皮膜分析を進めたと
ころ、亜鉛イオン、クロム酸イオンが共存する条件では
酸化皮膜生成量が少なく材料の全面腐食速度をも低下さ
せている可能性があることを突き止めた。
【0050】これを確認するために、亜鉛イオンとクロ
ム酸イオンを共存させ、BWR 一次系における腐食環境を
模擬した環境下でステンレス316L鋼を通水式の高温高圧
ループに浸漬し、500 時間の腐食試験を行った。試験は
縦:横:厚さ=20mm:10mm:2mmの短冊状の試験体を用
い、原子炉再循環系の環境を模擬した水質条件下(溶存
酸素濃度/溶存水素濃度=200 /25ppb )で行った。
【0051】試験体は1/2 インチの配管中に固定治具を
製作して保持し、表面流速は約50cm/sec と算出され
た。イオン種は微量高圧ポンプを用いて、試験体部位の
直前に注入し、目標濃度は各々10ppb とした。さらに、
放射能トレーサとして58Coを約0.08Bq/mlの濃度で同
時に注入した。
【0052】図3(a)は浸漬後、試験体に付着した58
Co量をゲルマニウム半導体検出器で測定した結果を示
している。放射能付着量はクロム酸イオンの存在によっ
ては変化しなかったが、亜鉛イオンの存在、さらには亜
鉛イオン+クロム酸イオンの共存条件で約1/2 に抑制さ
れていた。その後、試験体を詳細に分析し、腐食皮膜量
を比較した結果が図3(b)である。
【0053】これによれば、放射能付着量が抑制された
亜鉛イオン、亜鉛イオン+クロム酸イオンの条件では皮
膜量が明らかに減少していることが確認できた。つま
り、亜鉛イオン、又は亜鉛イオン+クロム酸イオン水質
では、材料の全面腐食速度が抑制された。その結果とし
て皮膜中に取り込まれる放射能量が低減されたと解釈さ
れるデータが得られたのである。
【0054】図4は走査型電子顕微鏡による試験体の接
液部表面に付与した腐食皮膜の観察結果を示している。
図4中、ぶつぶつと米粒のように見える部分が母材表面
に形成された複合酸化物層で、この複合酸化物層は1μ
m以下の細かな粒子で構成されており、均一で緻密に成
長している様子が観察される。大きめの白い粒は試験中
に付着した不純物であり、鉄の酸化物と推定される。溝
のように見える部分は寸法出しする際のバイトの跡であ
る。本発明者らはこの緻密な複合酸化物層が母材構成金
属の拡散障壁となり、全面腐食を抑制されたと推定し
た。
【0055】また、低応力条件で亀裂進展速度がほぼ停
止することに関しては、亀裂内部に亜鉛クロマイトとク
ロム酸化物との複合酸化物層が生成し、新生面の出現を
抑制していると理解される。図5(a)、(b)はこれ
を模式的に示したものである。引張応力場で粒界型応力
腐食割れが発生すると、図5(a)のように粒界が解離
して亀裂が進展したような様相を呈する。
【0056】このような状況下で液相中に亜鉛イオンと
クロム酸イオンが共存すると、図5(b)に示すように
亀裂内部表面を亜鉛クロマイトとクロム酸化物との複合
酸化物層が覆い、これが亀裂先端におけるクロムなどの
溶出を抑制するものと推定される。
【0057】さらに、原子力発電プラントにおける実際
の使用環境において構造材が受ける応力は、加速条件で
行われる各種材料試験で用いられる応力よりもかなり低
いことを考慮すれば、原子力発電プラントでは本発明の
適用により亀裂進展速度がほぼ停止する事態が一般的と
考えることもできる。一方、材料の全面腐食を抑制する
ことによって放射能の発生を抑制し、最終的には被曝低
減効果がある。以下にその理由を説明する。
【0058】まず、原子力発電プラントにおいては、1)
中性子の高照射下にある炉心構造材が放射化され、その
一部が溶解して原子炉水中に放出される放射能、2)原子
炉内の構造材から発生した腐食生成物、又は、給水系や
復水系材料の腐食によって発生し、原子炉内に持ち込ま
れた腐食生成物が燃料被覆管表面に付着し、中性子の照
射により放射性腐食生成物に変換され、その後、溶解や
剥離によって原子炉水(冷却材)中に放出される放射
能、3)放射性腐食生成物の発生や移行を抑制するなどの
ために水質コントロール等の目的で意図的に添加した化
学種が腐食生成物と同様に燃料被覆管表面に付着し、中
性子の照射により放射化物に変換され、その後、溶解や
剥離によって原子炉水中に放出される放射能など発生プ
ロセスが異なる様々な放射能が存在している。
【0059】なお、これらの放射能は溶解現象で放出さ
れた場合は主にイオン状で、剥離現象で放出された場合
は主に粒子状で存在する。これら各種のプロセスを経て
発生した放射能は、一次冷却材を媒体としてプラントの
一次系全領域に達し、各系統を汚染させることとなる。
【0060】また、一次冷却材の接液部はほぼ金属材料
であり、汚染ということは、局所的に見ればこの金属材
料に放射能が取り込まれる現象に他ならない。さらに、
粒子状の放射能の取り込みは、金属材料表面における物
理的な吸着や重力沈降による付着が主なプロセスであ
り、一方、イオン状の放射能は、金属材料が腐食する
際、表面に生成される腐食皮膜中に酸化物として共析し
たり、同位体交換反応によって取り込まれたりする。
【0061】たとえば、60Co2+は鉄鋼材料の腐食に伴
い次の2式で皮膜中に取り込まれると考えられている。 Fe2 3 60Co2++H2 O=60CoFe2 4 +H2 60 Co2++CoFe2 4 =Co2+60CoFe2 4
【0062】このようにして一次冷却材と接した金属材
料は、放射能を取り込み、その量は腐食皮膜の成長によ
って経年的に増加する量と、放射性壊変によって取り込
まれた放射能量が減少する速度とがバランスするまで、
増加の一途をたどることになる。
【0063】配管表面や機器表面に放射能が蓄積される
と、空間線量率が高まり、直接その部位の点検を行う作
業員の被曝線量が増加するばかりでなく、付近で作業を
行う作業員の被曝線量をも増加させ、ひいては、プラン
トの定期検査期間における総被曝線量(トータルマンシ
ーベルト)を確実に押し上げる。
【0064】上記の3種類の放射能の発生と移行のプロ
セスにおいて、材料の全面腐食を抑制することによって
1),2)の放射能の発生を抑制でき、結果的には被曝低減
効果が期待されることとなる。
【0065】以上の試験結果から、接液部の材料表面に
亜鉛を含有させたクロムとの複合酸化物層を存在させる
ことによってSCC に起因する亀裂の発生を抑制できるこ
と、たとえ亀裂が既に存在する部位においてもその進展
を抑制できること、加えて材料の全面腐食速度を抑制で
きることの確信を得、このことはプラントの健全性維持
と、長寿命化に及ぼす効果が大きくなる。
【0066】本実施の形態に係る原子力発電プラントに
適用する場合、構造材の接液部位に亜鉛を含有するクロ
ムとの複合酸化物層を付与させる方法には、1)運転前に
予め亜鉛を含有するクロムとの複合酸化物を接液部位に
付与する方法、2)運転前に予め金属クロムを接液部位に
付与し、運転開始後に亜鉛イオンを注入する方法、3)運
転中にまず、クロム酸化物層を生成させた後、亜鉛イオ
ンを注入する方法、4)亜鉛イオンとクロム酸イオンを同
時に注入する方法の4つがある。
【0067】このうち、1),2)は建設中の供用前原子力
発電プラント、又は接液部を有する構造材の一部、ない
しは全部を交換する原子力発電プラントに適しており、
3),4)は供用中や除染後の原子力発電プラントに適した
手段である。
【0068】金属材料表面に亜鉛を含有するクロムとの
複合酸化物層や金属クロム層を付与させる技術手段とし
てはレーザークラッディング、メッキ、ドライプレーテ
ィング、溶射、イオン注入、ライニング、プレフィルミ
ング、コーティング、塗布等を適用する。これらの技術
手段は1種類のみでなく複数選択して使用することもで
きる。
【0069】又、運転中にクロム酸化物層を生成させる
技術手段としては、冷却材中に還元剤を共存させた環境
下でクロム酸イオンを注入する方法や、冷却材中の酸素
濃度、又は過酸化水素濃度を調整し、クロム含有金属の
腐食を促進させることによってクロム酸化物層を生成さ
せる方法を適用する。
【0070】クロム酸イオンや亜鉛イオンの注入にあた
っては、炉水中におけるこれらのイオン種濃度をモニタ
し、目的とする濃度との差分をクロム注入装置や亜鉛注
入装置によって注入する方法が最も望ましい。
【0071】更に、亜鉛イオンの注入に際しては、給水
系からの鉄クラッドの持ち込みや炉水系での鉄クラッド
の発生を低減することによって必要な亜鉛量を低減でき
る。これは、鉄クラッドはクロムと同様に亜鉛イオンと
反応し、亜鉛フェライト(ZnFe2 4 )を生成し、
亜鉛クロマイトの生成効率を低下させることからであ
る。
【0072】そこで、亜鉛クロマイトを有効に生成させ
るには、環境中の鉄クラッド濃度を抑制することが効率
的なのである。しかし、如何に鉄クラッド濃度が低い状
況でも、亜鉛イオンが100ppbを超えると亜鉛は酸化亜鉛
(ZnO)として単独の酸化物として析出するため、亜
鉛イオンが亜鉛クロマイトの生成に対し有効に機能しな
い。そこでこの値が亜鉛イオンを注入する際の上限濃度
となる。
【0073】さらに、注入する亜鉛はその同位対比を調
整し、二次的な放射能を発生させないことによってその
有効性を飛躍的に高めることができる。具体的にはZn
64(天然存在比率:48.6%)、Zn68(同:18.8%)、
Zn70(同:0.6 %)を極力除外し、Zn66、Zn67の
存在比率を高めた亜鉛を用いることを意味している。亜
鉛クロマイトの生成は還元雰囲気で加速されるために、
例えば水素ガスが共存した水質で行えば一層効果的であ
る。
【0074】ところで、供用中、又は除染後の原子力発
電プラントにおいて、構造材の接液部表面に亜鉛クロマ
イト(ZnCr2 4 )とクロム酸化物(Cr2 3
とが混在する亜鉛とクロムとの複合酸化物層を付与させ
る場合、付与処理に先立ち接液部位に対して予めショッ
トピーニング又はレーザーピーニング処理を施し、表面
に圧縮応力場を付与することにより有効性をさらに高め
ることができる。
【0075】本実施の形態によれば、原子力発電プラン
トで構造材の接液部位に亜鉛を含有したクロムとの複合
酸化物層を付与することによって、以下の3つの効果が
ある。(1) 構造材のSCC に起因する亀裂の発生を抑制で
きる。(2) たとえ、構造材にSCC に起因する亀裂が既に
存在する部位においても、その後の進展を抑制できる。
(3) 材料表面に緻密かつ良好な酸化皮膜を形成し、一次
系配管,機器の全面腐食を抑制することで放射能発生量
を低減でき、ひいては被曝低減効果がある。
【0076】さらに、本発明によって構造材のSCC 感受
性を低減させることができれば、少量の水素注入を併用
することによってタービン系線量率上昇時の副次的影響
の小さい予防保全水化学を達成でき、より一層安全で長
寿命の原子力発電プラントを提供できる。
【0077】つぎに、本発明に係る原子力発電プラント
の第2の実施の形態を図6(a),(b)により説明す
る。図6(a)はBWR 発電プラントの一次系のシステム
構成図で、図6(b)は図6(a)における原子炉圧力
容器の内部構造を示している。図6中、符号1は原子炉
圧力容器で、原子炉圧力容器1内には炉心2が配置され
ており、炉心2で発生した蒸気は主蒸気管3を通して高
圧タービン4及び低圧タービン5で仕事をした後、復水
器6に導かれ、復水器6で冷却凝縮され、水に戻り復水
となる。
【0078】この復水は冷却材として復水ポンプ7,復
水浄化系8を経て高圧復水ポンプ9,給水加熱器10及び
給水ポンプ11により昇圧され、給水管12を通り、原子炉
圧力容器1内に給水される。
【0079】一方、原子炉圧力容器1内の冷却材は原子
炉再循環ポンプ13によってその一部または全部が原子炉
再循環系14を強制再循環しており、この原子炉再循環系
14から分岐して原子炉冷却材浄化系15が設けられてい
る。
【0080】原子炉圧力容器1内は図6(b)に示した
ように、炉心2を包囲する炉心シュラウド16が設けられ
ており、炉心シュラウド16内の炉心2の上部に上部格子
板17が設けられ、炉心2の下部に炉心支持板18が設けら
れている。上部格子板17上にはシュラウドヘッド19が設
けられて、炉心シュラウド19内は炉心上部プレナム20と
なっている。
【0081】シュラウドヘッド19上にはスタンドパイプ
21を介して気水分離器22が設けられ、気水分離器22の上
方にドライヤ23が設置されている。原子炉圧力容器1と
炉心シュラウド16との間にはジェットポンプ24とジェッ
トポンプノズル25が設置され、ジェットポンプノズル25
には冷却材入口ノズル26が接続している。
【0082】冷却材入口ノズル26の下方には冷却材再循
環出口ノズル27が原子炉圧力容器1に取付けられてい
る。炉心2の下方は炉心下部プレナム28となっており、
炉心下部プレナム28に制御棒案内管29が位置し、制御棒
案内管29は原子炉圧力容器1の底部に貫通して取付けら
れたスタブチューブ30に接続している。図6(b)中、
符号31は給水スパージャで、給水スパージャ配管(図示
せず)に接続している。32は原子炉圧力容器1の上端部
開口を閉塞する圧力容器上部ドームである。
【0083】ところで、近年、BWR 発電プラントではジ
ェットポンプと、その原子炉再循環系を設置しないで、
インターナルポンプと称するポンプを複数基炉心下部に
直接取付け、炉水を強制循環させるタイプの改良型沸騰
水型原子炉(ABWR)の発電プラントが運転を開始してい
る。
【0084】上記改良型ABWR発電プラントにおいて、そ
れが建設中の供用前であったり、又接液部を有する構造
材の一部、ないしは全部を交換する時期にあった場合に
は、構造材の接液部表面に直接亜鉛クロマイト(ZnC
2 4 )とクロム酸化物(Cr2 3 )とが混在する
亜鉛とクロムとの複合酸化物層を付与させることができ
る。
【0085】なお、これらの原子力発電プラントでは材
料対策によるSCC 緩和法の適用も当然検討されるが、そ
の対象とする部位や費用を総合的に勘案し、材料代替に
よらず本発明を適用する事態の存在も否定できない。
【0086】BWR 発電プラントにおいて、例えばジェッ
トポンプのスロート管の内面や外表面などの接液部に亜
鉛クロマイトとクロム酸化物との混合微粉末を溶射して
複合酸化膜を付与させることができる。又、メッキ、ド
ライプレーティング、イオン注入、ライニング、プレフ
ィルミング、コーティング、塗布等の施工により複合酸
化物を付着(付与)することができる。これらの施工は
供用前の新品に対するものであることから、一般工場に
おける作業であり、低コストで実施できる。
【0087】さらに、これら構成機器の取付方法として
は、ボルト,ナット等の締結部品による場合と、溶接に
よる圧力容器との直接接続の場合がある。溶接による場
合にあっては、溶接線に沿って同様な施工が可能であ
る。この場合には発電所内の現地作業であり、特に構成
機器の交換作業の場合には管理区域内の被曝可能性のあ
る作業であることから短時間で終了する溶射技術の採用
が最も現実的であるが、他の付与技術の採用を否定する
ものではない。
【0088】また、原子炉圧力容器1には主蒸気管3、
給水管12、炉心スプレイノズル、低圧スプレイノズル、
頂部スプレイノズル、冷却材再循環出口ノズル27、冷却
水入口ノズル26、各種計装ノズルなどが溶接で取付けら
れている。このうち、主蒸気管3と冷却材再循環出口ノ
ズル27を除く主要な配管ノズル類は全てサーマルスリー
プ付きであり、ステンレス鋼の配管に接続するノズルに
はステンレス鋼またはインコネルのセーフエンドを設け
ている。
【0089】さらに、炉心底部にはスタブ構造と称した
切り株状の貫通座が原子炉圧力容器1 と溶接で接続され
ており、ここに制御棒駆動機構ハウジングが溶接、又は
高圧水シール構造で接続されている。このように原子炉
圧力容器1の貫通口近傍には溶接箇所が多数存在してい
る。
【0090】そこで、これらの溶接部位に、溶接終了後
に亜鉛クロマイトとクロム酸化物との混合微粉末を溶射
して複合酸化膜を付与することにより、溶接部位の健全
性を飛躍的に高めることができる。溶射用の設備は溶接
用の設備を改造することによって代用することも可能で
ある。つまり、溶接作業ができる場所にはすべて本発明
の適用が可能であることを意味している。
【0091】溶射に用いる亜鉛クロマイトやクロム酸化
物粉末は直径が数μmから10μm程度のものが作業性に
優れている。また、付着させる酸化物量はラボ試験にお
ける皮膜分析の結果から厚みにして100 μm以下で十分
である。さらに、亜鉛クロマイとクロム酸化物との混合
割合は任意であるが、ラボ試験における皮膜分析の結果
から同様に亜鉛クロマイトの量は全体の酸化皮膜量の半
分以下であることから、クロム酸化物量の同量以下が目
安となる。
【0092】上記実施例で溶接終了後にあって、亜鉛ク
ロマイト(ZnCr2 4 )とクロム酸化物(Cr2
3 )とが混在する亜鉛とクロムとの複合酸化物層を付与
させる前に、予め付与する部位に対しショットピーニン
グ又はレーザーピーニング処理を施し、表面に圧縮応力
場を付与することによって多重安全が図られ、より安全
な原子力発電プラントが達成し得る。
【0093】つぎに本発明に係る原子力発電プラントの
第3の実施の形態を図7により説明する。図7は図6
(a)に示した原子炉再循環系14の配管構成図を示して
いる。高温高圧水の流れは以下のとおりである。つま
り、冷却材再循環出口ノズル27から取出された原子炉冷
却材は原子炉再循環ポンプ13に導かれ、ここで加圧さ
れ、垂直配管32、ヘッダー管33、ライザー管34を経て原
子炉圧力容器1内に送られている。原子炉再循環ポンプ
13の前後には吸込側仕切弁35、吐出側仕切弁36が設けら
れており、ポンプの隔離ができる構造となっている。ま
た、原子炉再循環系14は2ないし3系統設置されている
のが一般的である。
【0094】供用中の原子力発電プラントにおいては、
上記原子炉再循環系14の構成配管の交換工事が行われ
る。これは主に材料対策によるSCC 緩和を目的として行
われる場合が多い。そこで、このような作業時には、新
規に取付ける配管の内面に亜鉛クロマイトとクロム酸化
物との混合微粉末を溶射して複合酸化膜を付与すること
ができる。
【0095】この溶射による付与は供用前の新品に対す
るものであることから、一般工場における作業であり、
低コストで実施できる。もちろん、メッキ、ドライプレ
ーティング、イオン注入、ライニング、プレフィルミン
グ、コーティング、塗布等による各付与技術も適用が可
能である。
【0096】また、仕切弁や再循環ポンプの開放点検な
どの場合にはこれら機器の接液部位に亜鉛クロマイトと
クロム酸化物との混合微粉末を溶射技術で付着させるな
どのオプションが可能となる。この場合には管理区域内
の被曝可能性のある作業であることから短時間で終了す
る溶射技術の採用が最も現実的であるが、他の付与技術
の採用を否定するものではない。
【0097】上記実施の形態において、亜鉛クロマイト
(ZnCr2 4 )とクロム酸化物(Cr2 3 )とが
混在する亜鉛とクロムとの複合酸化物層を付与させる前
に、付与部位に対し予めショットピーニングないしは、
レーザーピーニング処理を施し、表面に圧縮応力場を付
与させることによって多重安全が図られ、より安全な原
子力発電プラントが達成し得る。
【0098】つぎに本発明に係る原子力発電プラントの
第4の実施の形態を図8(a),(b)により説明す
る。図8(a)はステンレス304 鋼を用い、285 ℃の高
温高圧水中で行った溶存酸素濃度をパラメータとした際
の腐食試験結果を示している。試験では縦:横:厚さ=
20mm:10mm:2mmの短冊状の試験体を用い、溶存酸素濃
度を10から10000ppbの4段階で各々500 時間の浸漬試験
を行った。
【0099】浸漬試験終了後、生成している腐食皮膜量
を測定した。浸漬前の試験体重量をW1、浸漬後の試験体
重量をW2、腐食皮膜を除去した後の試験体重量をW3とし
た場合、試験体の腐食量Wc、腐食皮膜量Wf、腐食放出量
Wdには以下の式(1) 〜(3) の関係が成立する。
【0100】Wc=W0−W2 …(1) Wf=W1−W2 …(2) Wd=Wc−0.72Wf …(3) ここで、(3) 式中の係数0.72はマグネタイト(Fe3
4 )を想定した近似的な酸化皮膜中の金属重量の割合を
示している。
【0101】図8(b)は各溶存酸素濃度における腐食
皮膜量と腐食放出量を加えた腐食量を比較している。ス
テンレス304 鋼は低溶存酸素条件で腐食が加速されてい
るが、これは腐食放出量の増大によることが分かる。溶
存酸素濃度の上昇に伴い腐食放出量は減少し、腐食皮膜
量が腐食量と一致するようになる。
【0102】一方、酸化皮膜の組成は図8(a)で示さ
れるように溶存酸素濃度の上昇に伴って鉄からクロムへ
と移行する。このことからステンレス304 鋼は高溶存酸
素濃度条件では表層に緻密でクロムリッチの酸化皮膜が
生成され、腐食速度が抑制されることが分かる。
【0103】この現象を本実施の形態に係る原子力発電
プラントに適用することによって、クロム含有金属から
なる構造材の接液部に亜鉛クロマイト(ZnCr
2 4 )とクロム酸化物(Cr2 3 )とが混在する亜
鉛とクロムとの複合酸化物層を付与させることができ
る。つまり、炉内構造物は主にステンレス鋼などのクロ
ム含有金属である。
【0104】そこで、プラントの運転初期などに炉水中
の溶存酸素濃度を一時的に上昇させ、クロム含有金属の
接液部にクロム酸化物層を生成させる。この処理は除染
によって接液部の腐食皮膜を除去した後に行うことが最
も効果的であるが、すでに腐食皮膜が存在する供用中の
プラントにおいてもある程度の効果は期待できる。
【0105】また、材料の腐食加速は溶存酸素より過酸
化水素の方がより効果的であることから、プラントの運
転初期などに過酸化水素を注入し、炉内の腐食を一時的
に加速させる手段も考えられる。一時的に溶存酸素濃度
や、過酸化水素濃度を高めた後、冷却材中に亜鉛イオン
を注入することによって、クロム含有金属の接液部に亜
鉛クロマイト(ZnCr2 4 )とクロム酸化物(Cr
2 3 )とが混在する亜鉛とクロムとの複合酸化物層を
生成させることができる。
【0106】つぎに本発明に係る原子力発電プラントの
第5の実施の形態を図9及び図10により説明する。図9
にBWR炉水条件におけるクロムの電位とpHとの関係
を示す。この図9は特定の電位とpHで規定される水質
条件にクロムが存在した場合、クロムのどの形態が最も
化学平衡論的に安定であるかを示している。
【0107】図9中、横軸は285 ℃でのpHを示し、縦
軸は電位(E)を示している。高温では水の解離定数が
大きいため、中性のpHは5.6 となる。通常、炉水で検
出される不純物の濃度はモル濃度に換算すると10-8のオ
ーダーであり、不純物が存在しても水中のH+ ,OH-
各イオン濃度はほとんど変動せず、pHの値の変動幅も
小さい。
【0108】図9から明らかなように、中性領域では低
電位でCr2 3 が、高電位領域でCrO4 2-が安定で
ある。また、クロムを酸化物として安定化させるために
はpHを下げるか、又は電位を低下させる方法があるこ
とが分かる。
【0109】pHを調整してクロムを酸化物として安定
化させる方法に関しては、BWR 水質を酸性に移行させる
ために、水素イオン基を有する硫酸(H2 SO4 )や塩
酸(HCl)等の酸類を注入することによって容易に達
成できるが、これら酸類の存在は構造材の健全性を危う
くするのは明らかであり、現実的な選択ではない。
【0110】一方、電位を下げクロムを酸化物として安
定化させる方法に関しては、冷却材中に還元剤を共存さ
せればよく、例えば水素ガスを注入することによって容
易に構造材の電位を低下させることができ、この方法が
最も簡便であろう。
【0111】そこで、プラントの運転初期や運転中に水
素ガスを注入して還元雰囲気とし、その条件下でクロム
酸イオンを注入して、構造材の接液部にクロム酸化物層
を生成させる。この処理は除染によって接液部の腐食皮
膜を除去した後に行うことが最も効果的であるが、供用
中のプラントにおいても実施が可能である。
【0112】図10(a)は本実施例で用いられるクロム
注入装置37の例を示している。このクロム注入装置37は
注入するクロム酸イオン溶液を作成する手段として試薬
のクロム酸(CrO3 )を希釈して用いる装置で、主な
構成は、溶液タンク38及びクロム酸イオン流出ライン39
に設けた高圧注入ポンプ49であり、非常にシンプルな構
造である。
【0113】すなわち、溶液タンク38の上部にはクロム
酸原液を導入するための原液注入ライン40、純水を供給
するための純水供給ライン41、クロム酸イオン溶液42中
の溶存酸素を除くためにバブラー構造43を有する窒素ガ
ス注入ライン44、余剰の窒素ガスを系外に放出するため
のシールポット45、溶液42を攪拌するためのインペラ4
6、及び溶液42を回転させるための攪拌モータ47が設け
られている。
【0114】また、溶液タンク38の底部にはクロム酸イ
オン溶液流出ライン39と、クロム酸イオン溶液42のドレ
ンライン48が接続されている。溶液タンク38の底部の流
出ライン39から取出されるクロム酸イオン溶液42は高圧
注入ポンプ49により隔離バルブ50を通して注入点に導か
れる。
【0115】このクロム注入装置37では原液注入ライン
40から導入されるクロム酸原液濃度はパーセントオーダ
ーになる可能性がある。高濃度のクロム酸溶液は毒性が
強く、原液の取扱いには保護具の使用は欠かせない注意
点がある。
【0116】クロムを注入する部位は原子炉再循環系や
原子炉冷却材浄化系出口などの高温高圧系に直接注入す
るのが最も効果的であるが、復水浄化系出口以降の低温
部でも支障はない。ただし、低温部注入の場合には注入
したクロム酸イオンが炉内に達する前に給水加熱器にお
いて一部は付着する可能性がある。そこで、この場合に
はクロム注入装置37の裕度を多めに持たせる配慮が必要
となる。
【0117】なお、給水加熱器に付着する量は僅かであ
り、さらに付着によって防蝕性が高まりこそすれ、何ら
マイナスの問題は発生しない。注入するクロム酸イオン
濃度については高濃度の方が短時間で処理が終了するも
のの、実機BWR で実績のある100ppb以下で行えば何ら問
題が発生する危険性はない。
【0118】還元雰囲気中において上記クロム注入装置
を用い、クロム酸イオンを冷却材中に注入することによ
って構造材の接液部にクロム酸化物層を生成させた後、
冷却材中に亜鉛イオンを注入することにより、構造材の
接液部に亜鉛クロマイト(ZnCr2 4 )とクロム酸
化物(Cr2 3 )とが混在する亜鉛とクロムとの複合
酸化物層を生成させることができる。
【0119】図10(b)は亜鉛注入装置51の例を示して
いる。この亜鉛注入装置51では試薬の酸化亜鉛(Zn
O)又は水酸化亜鉛(Zn(OH)2 )の細粉末を炭酸
ガスをバブリングさせた純水中に投入し、粉末を溶解さ
せて亜鉛イオンを発生させている。この装置51の構成は
前出の図12に示すクロム注入装置37と類似しているが若
干の相違点がある。
【0120】すなわち、図10(a)中、符号44は溶液42
中の溶存酸素を除くための窒素ガス注入ラインを示して
いたが、図10(b)中、これに該当する符号53は溶液52
中に炭酸ガスを注入するための炭酸ガス注入ラインとし
ている。また、亜鉛イオン溶液流出ライン54のタンク水
の取出し口はタンク38底部ではなく、タンク側面に取付
けられている。これは、この装置51では不溶解の試薬の
酸化亜鉛もしくは水酸化亜鉛がタンク38の底部に堆積
し、注入によってスラリー状のこれらが混入される危険
性があり、これを回避するための配慮である。
【0121】本装置51におけるインペラ46は溶液52の不
均一性を是正するために設置されたものであり、スラリ
ーが存在した場合、これを舞い上がらせるほどの回転は
防止されるべきである。そのための回転数は数100rpm以
下が目安となる。
【0122】本装置51では試薬の粉末の溶解を促進させ
るために溶液タンク38をそのまま超音波洗浄バスに浸け
るような構成が効果的である。また、本装置51の連続運
転にあたっては試薬粉末の溶解には所定の時間を要する
ため、同様の溶液タンク38を複数設け、バルブ切替えに
よって使用するタンクを変更するような使用法も検討に
値する。
【0123】注入される亜鉛イオンは天然の亜鉛をその
まま用いた場合には最も含有率の高い亜鉛64が(n,
γ)反応で放射化し亜鉛65となり新たな放射能となる。
亜鉛65はγ線のエネルギーが1115keV と高く、新たな被
曝問題を引き起こす可能性がある。また、亜鉛68、亜鉛
70も同様の問題がある。一方、亜鉛66、亜鉛67に関して
は、中性子を吸収してもγ線を放出することはない。
【0124】そこで、本実施例においては、二次的な放
射能を発生させないために亜鉛66、亜鉛67の存在比率を
高めた亜鉛を用いることによって、副次的な影響を抑制
し、その有効性を格段に高めることができる。
【0125】また、亜鉛イオンの注入に際しては、給水
系からの鉄クラッドの持ち込みや炉水系での鉄クラッド
の発生を低減することによって、必要な亜鉛量を低減で
きることは既に述べた。これは、鉄クラッドはクロムと
同様に亜鉛イオンと反応し、亜鉛フェライト(ZnFe
2 4 )を生成し、亜鉛クロマイトの生成効率を低下さ
せるからである。
【0126】そこで、亜鉛クロマイトを有効に生成させ
るためには、環境中の鉄クラッド濃度を抑制することが
効果的なのである。給水系からの鉄クラッドの持ち込み
を抑制するには復水系配管や抽気系配管を従来の炭素鋼
から耐候性鋼や低合金鋼に変更する材料対策や発生した
鉄クラッドを除去する高クラッド除去樹脂の採用や中空
糸フィルタの設置が有効であり、これらの対策は新しい
プラントにおいてほぼ完了に近いものの、古いプラント
に対しては対策の余地がある。
【0127】さらに、炉水系では鉄クラッドを発生させ
る構造材は古いプラントにおいてさえ大きな接液面積を
持たず、問題視されない状態であるものの、使用されて
いる全ての材料の種類に関しては十分調査し、鉄クラッ
ドが発生する可能性を極小とする努力は常に必要であ
る。
【0128】しかし、如何に鉄クラッド濃度が低い状況
でも、亜鉛イオンが100ppbを超えると亜鉛は酸化亜鉛
(ZnO)として単独の酸化物として析出するため、亜
鉛イオンが亜鉛クロマイトの生成に対し有効に機能しな
い。
【0129】そこで、この値が亜鉛イオンを注入する際
の上限濃度となる。BWR 発電プラントにおいては沸騰に
伴って不純物イオン種の濃縮現象が燃料表面上で生じ
る。これは冷却材中では低濃度であるものの、沸騰に伴
って局所的に濃度が上昇し、溶解度を超え酸化物として
析出する現象を指している。
【0130】燃料表面上で濃縮される割合は燃料の熱出
力に大きく左右されるが、その外には被覆管表層に存在
する濃縮サイトの有無の影響も無視できない。例えば、
ジルコニウム合金からなる燃料被覆管が異常腐食してい
た場合には、空隙率の高い酸化皮膜が形成されることが
知られている。このポーラスな母材の酸化皮膜は十分濃
縮サイトとして機能する。
【0131】さらに被覆管表面に鉄クラッドが厚く付着
している場合には同様な作用をするとの指摘もある。こ
のようなことから一義的に亜鉛濃度の上限を規定するこ
とは困難であるものの、従来のプラントデータのレビュ
ーから炉水濃度で100ppbまでは亜鉛酸化物の生成やそれ
に起因する現象は報告されていないことから、運用上こ
の値が上限となろう。
【0132】つぎに本発明に係る原子力発電プラントの
第6の実施の形態を図11により説明する。供用中の原子
力発電プラントにおいて、その運転中、冷却材にクロム
酸イオンと亜鉛イオンを各注入装置で同時に注入し、発
明の目的を達成することができる。図11はこのシステム
構成図を示している。図11ではクロム注入装置37を原子
炉冷却材浄化系15の出口に、亜鉛注入装置51を原子炉再
循環系14の各配管に接続させ、各イオン種を注入してい
る。
【0133】これら2台の注入装置37,51の設置場所は
上記実施の形態の逆とすることも可能であるばかりでな
く、注入ラインを分岐することによって同一注入点でも
何ら問題はない。クロム酸イオンと亜鉛イオンを同時に
注入する場合にあっては、還元水質環境下で行い、各々
の濃度の上限値は第5の実施の形態に記述するとおりで
ある。
【0134】つぎに本発明に係る原子力発電プラントの
第7の実施の形態を図12及び図13により説明する。図12
は供用中、又は除染後の原子力発電プラントにおいて、
各種のイオン種を注入する際にあって腐食抑制効果を確
認するための腐食モニタ56と、炉内構造物への付着放射
能の推移を確認するための放射能付着モニタ57と、イオ
ン種濃度を測定するためのイオン種濃度モニタ58とを具
備し、これらのデータから注入するイオン種濃度を自動
的に設定することのできるイオン濃度調整システム59を
付帯した原子力発電プラントのシステム概念図を示して
いる。
【0135】本実施の形態では原子炉冷却材浄化系配管
55を分岐させ炉水を腐食モニタ56、放射能付着モニタ5
7、イオン種濃度モニタ58に導いている。腐食モニタ56
のデータ、放射能付着モニタ57のデータ、及びイオン種
濃度モニタ58のデータは全てイオン種濃度調整システム
59に送られ、最適な効果を達成させるために、クロム注
入装置37と亜鉛注入装置51から注入するイオン種濃度を
制御している。
【0136】腐食モニタ56は調整した水質環境下での亀
裂の発生やその抑制効果を測定する目的で設置されるも
ので、亀裂進展試験装置を用いて、予亀裂を付加した試
験体を一定速度で引張り、予亀裂の進展度合いを測定す
るのが最も適している。
【0137】放射能付着モニタ57は注入したイオン種に
よって構造材への放射能の付着速度が変化するかどうか
を測定する目的で設置されるものであり、その一例とし
て図13に示す。
【0138】図13で示される放射能付着モニタ57は原子
炉冷却材を取出してきた原子炉冷却材浄化系配管55をそ
のまま試験体とし、そこに付着する放射能をゲルマニウ
ム半導体検出器61によって連続測定するシステムであ
り、上記各モニタ56〜58のデータから注入するイオン種
濃度を自動的に設定することのできるイオン種濃度調整
システム59に接続している。
【0139】原子炉冷却材浄化系配管55には原子炉冷却
材の温度の低下を防止するために保温材60が巻回されて
いる。ただし、原子炉冷却材の取出し口からこのモニタ
57まで距離があり、10℃以上の温度の低下が見込まれる
場合には、保温材60ばかりでなくリボンヒータなどの外
部加熱装置を取付け、温度の低下を防止する措置も生じ
る場合がある。
【0140】検出器61はコリメータ付きの鉛遮蔽体62に
覆われている。コリメータは厚い鉛に10mmφ程度の穴を
設けている構造を指しており、周囲の放射線場に影響を
受けず、対象物からのみの放射線を測定することができ
る。また、ゲルマニウム半導体検出器61は液体窒素温度
で冷却する必要があるため、液体窒素供給装置63と接続
されている。
【0141】なお、電気冷凍機でも所定の温度まで検出
器の温度を低下させることができ、液体窒素供給装置63
をこれに代えることもできる。イオン種濃度モニタ58は
水中のイオン種を連続的に測定する目的で設置させてい
るものであり、インラインのイオンクロマトグラフィな
どの分析機器が適している。
【0142】イオン種濃度調整システム59では各種モニ
タ56〜58のデータを連続的又は一定時間毎に採取し、注
入するイオン種に対しその許容濃度以下の条件で、かつ
最適な濃度を算出し、各注入装置の注入ポンプを自動調
整して注入を行う。
【0143】
【発明の効果】本発明によれば、建設中、建設後、供用
中又は除染後の原子力発電プラントに対してSCC の発生
を抑制することができる。また、構造材のSCC の発生を
抑制するだけでなく、SCC による亀裂進展を抑制し、全
面腐食を抑制して構造材の健全性を維持し、安全で長寿
命な原子力発電プラントを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る原子力発電プラントの実施の形態
を説明するための、SCC 発生に及ぼすイオン種の影響を
示す棒線図。
【図2】(a)は図1と同じく、亀裂進展試験の第1の
結果を示す特性図、(b)は(a)と同じく第2の結果
を示す特性図。
【図3】(a)は図1と同じく試験体に付着した放射能
付着量を示す棒線図、(b)は(a)における腐食皮膜
量を示す棒線図。
【図4】腐食皮膜の電子顕微鏡写真図。
【図5】(a)は引張り応力により亀裂発生状態を示す
模式図、(b)は(a)と同じく複合酸化物生成による
亀裂の修復状態を示す模式図。
【図6】(a)は本発明に係る原子力発電プラントの第
2の実施の形態を説明するためのシステム構成図、
(b)は(a)における原子炉圧力容器の内部構造を示
す縦断面図。
【図7】本発明に係る第3の実施の形態を説明するため
の原子炉冷却材再循環系を示す立面図。
【図8】(a)は本発明に係る第4の実施の形態を説明
するためのステンレス鋼の溶存酸素濃度と金属組成との
関係を示す棒線図、(b)は(a)と同じく腐食量との
関係を示す棒線図。
【図9】本発明に係る第5の実施の形態を説明するため
のBWR 冷却材(炉水)条件でのクロムの電位とpHとの
関係を示す特性図。
【図10】(a)は本発明に係る第5の実施の形態にお
けるクロム注入装置を示す機器配管系統図、(b)は
(a)と同じく亜鉛注入装置を示す機器配管系統図。
【図11】本発明に係る第6の実施の形態を説明するた
めの原子力発電プラントを示すシステム構成図。
【図12】本発明に係る第7の実施の形態を説明するた
めの原子力発電プラントを示すシステム構成図。
【図13】図12における放射能付着モニタを一部ブロッ
クで示す縦断面図。
【符号の説明】
1…原子炉圧力容器、2…炉心、3…主蒸気管、4…高
圧タービン、5…低圧タービン、6…復水器、7…復水
ポンプ、8…復水浄化系、9…高圧復水ポンプ、10…給
水加熱器、11…給水ポンプ、12…給水管、13…原子炉再
循環ポンプ、14…原子炉再循環系、15…原子炉冷却材浄
化系、16…炉心シュラウド、17…上部格子板、18…炉心
支持板、19…シュラウドヘッド、20…炉心上部プレナ
ム、21…スタンドパイプ、22…気水分離器、23…ドライ
ヤ、24…ジェットポンプ、25…ジェットポンプノズル、
26…冷却材入口ノズル、27…冷却材再循環出口ノズル、
28…炉心下部プレナム、29…制御棒案内管、30…スタブ
チューブ、31…給水スパージャ、32…垂直配管、33…ヘ
ッダー管、34…ライザー管、35…吸込側仕切弁、36…吐
出側仕切弁、37…クロム注入装置、38…溶液タンク、39
…クロム酸イオン溶液流出ライン、40…原液注入ライ
ン、41…純水供給ライン、42…クロム酸イオン溶液、43
…バブラー構造、44…窒素ガス注入ライン、45…シール
ポット、46…インペラ、47…攪拌モータ、48…ドレンラ
イン、49…高圧注入ポンプ、50…隔離バルブ、51…亜鉛
注入装置、52…亜鉛イオン溶液、53…炭酸ガス注入ライ
ン、54…亜鉛イオン溶液流出ライン、55…原子炉冷却材
浄化系配管、56…腐食モニタ、57…放射能付着モニタ、
58…イオン種濃度モニタ、59…イオン種濃度調整システ
ム、60…保温材、61…ゲルマニウム半導体検出器、62…
コリメータ付き鉛遮蔽体、63…液体窒素供給装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C23F 11/18 G21C 17/02 G 15/00 F 19/30 L (72)発明者 大里 哲夫 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 Fターム(参考) 2G075 AA03 BA03 CA04 CA13 DA07 DA08 DA14 DA16 EA08 FA11 FC12 GA06 GA37 4K062 AA01 AA03 BA05 BA10 BA14 DA10 EA11 FA06 FA20 GA10

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子力発電プラントにおいて、建設中の
    供用前構造材の接液部表面に亜鉛クロマイト(ZnCr
    2 4 )とクロム酸化物(Cr2 3 )が混在する亜鉛
    とクロムとの複合酸化物層を付与してなることを特徴と
    する原子力発電プラント。
  2. 【請求項2】 原子力発電プラントにおいて、建設後の
    供用中に構造材表面に亜鉛クロマイト(ZnCr
    2 4 )とクロム酸化物(Cr2 3 )が混在する亜鉛
    とクロムとの複合酸化物層を付与してなることを特徴と
    する原子力発電プラント。
  3. 【請求項3】 接液部を有する構造材の少なくとも一部
    を交換する原子力発電プラントにおいて、前記構造材表
    面に亜鉛クロマイト(ZnCr2 4 )とクロム酸化物
    (Cr2 3 )が混在する亜鉛とクロムとの複合酸化物
    層を付与してなることを特徴とする原子力発電プラン
    ト。
  4. 【請求項4】 原子力発電プラントにおいて、除染後の
    構造材表面に亜鉛クロマイト(ZnCr2 4 )とクロ
    ム酸化物(Cr2 3 )が混在する亜鉛とクロムとの複
    合酸化物層を付与してなることを特徴とする原子力発電
    プラント。
  5. 【請求項5】 前記建設中の供用前原子力発電プラン
    ト、又は接液部を有する構造材の少なくとも一部を交換
    する原子力発電プラントにおいて、前記構造材表面に亜
    鉛クロマイト(ZnCr2 4 )とクロム酸化物(Cr
    2 3 )が混在する亜鉛とクロムとの複合酸化物層を付
    与する手段は、レーザークラッディング、メッキ、ドラ
    イプレーティング、溶射、イオン注入、ライニング、プ
    レフィルミング、コーティング、塗布から選択された少
    なくとも1つの付与手段によることを特徴とする請求項
    1又は3記載の原子力発電プラント。
  6. 【請求項6】 前記原子力発電プラントにおいて、供用
    中、又は除染後の前記構造材表面に亜鉛クロマイト(Z
    nCr2 4 )とクロム酸化物(Cr2 3)が混在す
    る亜鉛とクロムとの複合酸化物層を付与する手段は、前
    記構造材表面にクロム酸化物層を生成させた後、亜鉛イ
    オンを冷却材中に注入することを特徴とする請求項2又
    は4記載の原子力発電プラント。
  7. 【請求項7】 前記原子力発電プラントにおいて、供用
    中、又は除染後の前記構造材表面に前記複合酸化物層付
    与手段として、冷却材中にクロム酸イオンと亜鉛イオン
    を同時に注入することを特徴とする請求項2又は4記載
    の原子力発電プラント。
  8. 【請求項8】 前記原子力発電プラントにおいて、供用
    中、又は除染後の前記構造材表面に亜鉛クロマイト(Z
    nCr2 4 )とクロム酸化物(Cr2 3)が混在す
    る亜鉛とクロムとの複合酸化物層を付与する処理の前工
    程として、前記付与部位に対しショットピーニング又は
    レーザーピーニング処理により前記構造材表面に圧縮応
    力場を付与してなることを特徴とする請求項2又は4記
    載の原子力発電プラント。
  9. 【請求項9】 前記原子力発電プラントにおいて、供用
    中、又は除染後の前記構造材表面にクロム酸化物層を付
    与するにあたり、冷却材中に還元剤を共存させた環境下
    でクロム酸イオンを注入することを特徴とする請求項2
    又は4記載の原子力発電プラント。
  10. 【請求項10】 前記原子力発電プラントにおいて、供
    用中、又は除染後の前記構造材表面にクロム酸化物層を
    付与するにあたり、冷却材中の酸素濃度、又は過酸化水
    素濃度を調整することを特徴とする請求項6記載の原子
    力発電プラント。
  11. 【請求項11】 前記原子力発電プラントにおいて、供
    用中、又は除染後のクロム酸イオンを冷却材中に注入す
    るためにクロム注入装置を設けてなることを特徴とする
    請求項7記載の原子力発電プラント。
  12. 【請求項12】 前記原子力発電プラントにおいて、供
    用中、又は除染後のクロム酸イオンと亜鉛イオンとを同
    時に冷却材中に注入する際には冷却材中に還元剤を共存
    させた還元水質環境下で行うことを特徴とする請求項7
    記載の原子力発電プラント。
  13. 【請求項13】 前記原子力発電プラントにおいて、供
    用中、又は除染後の亜鉛イオンを冷却材中に注入するた
    めに亜鉛注入装置を設けてなることを特徴とする請求項
    6又は7記載の原子力発電プラント。
  14. 【請求項14】 前記原子力発電プラントにおいて、供
    用中、又は除染後の亜鉛イオンを注入する際にはその同
    位体構成比において亜鉛64,亜鉛68,亜鉛70のうち1
    つ、ないしは複数の同位体の含有率を、天然に亜鉛64,
    亜鉛68,亜鉛70が存在する含有率より低下させた亜鉛を
    用いることを特徴とする請求項6又は7記載の原子力発
    電プラント。
  15. 【請求項15】 前記原子力発電プラントにおいて、供
    用中、又は除染後の各種のイオン種を注入するにあた
    り、腐食抑制効果を確認するための腐食モニタと、炉内
    構造物への付着放射能の推移を確認するための放射能付
    着モニタと、イオン種濃度を測定するためのイオン種濃
    度モニタとを具備し、前記各々のモニタのデータから注
    入するイオン種濃度を自動的に設定することのできるイ
    オン種濃度調整システムを設けてなることを特徴とする
    請求項6又は7記載の原子力発電プラント。
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