JP2024002814A - 原子力プラントの信頼性改善方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024002814000001
【課題】信頼性重視保全のプロセスの性能指標として腐食電位を常時監視指標として用いることができ、かつそれにより原子力プラントの信頼性を改善できる原子力プラントの信頼性改善方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る原子力プラントの信頼性改善方法は、応力腐食割れのリスクの高い部位などを選定する選定ステップS1と、選定された前記部位などの腐食電位を監視して、亀裂進展速度を推定する監視ステップS2と、推定された前記亀裂進展速度が高い部位などに対して、前記腐食電位を低減させる予防保全実行ステップS3と、前記腐食電位が目標範囲に入るように水質パラメータを是正する是正ステップS4と、材料の交換などを行って信頼性を改善させる改善ステップS5と、これらのステップを繰り返し行わせつつ、前記腐食電位を監視して、前記亀裂進展速度を管理していくライフサイクルマネジメントステップS6と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、原子力プラントの信頼性改善方法に関する。
原子力発電プラント(以下、原子力プラントと称することがある)の機器および配管等の構造部材は、ステンレス鋼およびニッケル基合金等の構造材料で構成されている。これらの構造材料は、特定の条件の下では応力腐食割れ(以下、SCCと称する)に感受性を示す。そこで、SCCの防止策が、原子炉の健全性を維持するために適用されている。また、近年では原子炉の設備利用率向上のような経済性向上の観点および原子力プラントの高経年化対応の観点からもSCCの予防策が適用されている。
SCC防止策には、材料の耐食性向上、応力の改善または腐食環境の緩和を目的としたものが適用されている。沸騰水型原子炉(BWR)では、構造部材が曝されている、圧力容器内の冷却水(炉水)の腐食環境の改善に基づくSCC対策の一つとして、水素注入が国内外で広く行われている。炉水は、圧力容器内で冷却水の放射線分解により生成された、腐食の原因となる酸素および過酸化水素を含んでいる。酸素および過酸化水素を含む炉水が、腐食環境を形成している。
構造材料の腐食電位(以下、ECPと称する)が腐食環境の指標として用いられている。また、ECPが-300から-200mVvs.SHE程度の値より低くなるとSCCの発生が抑制されることが知られている。
水素注入は、水素を注入した給水を圧力容器内に供給することによって炉水に水素を添加し、この水素を炉水に含まれる酸素および過酸化水素と反応させて水に戻すことにより、ECPを低下させてSCCの発生を抑制する技術である。
また、水素注入時のECPの低下を促進させる技術として、炉水に白金族金属元素を注入する貴金属注入が知られている。貴金属注入は、注入された白金族金属元素が有する水素の電気化学反応への触媒作用を利用して、水素注入時におけるECPをさらに低下させる技術である。
これらの従来技術では、SCC抑制効果を評価するために構造材料のECPを精度良く知る必要がある。そこで、圧力容器内または圧力容器に接続された配管に腐食電位センサを設置し、構造材料のECPを測定することが行われている。
SCCは、ECPが主に影響を与えているが、炉水に含まれる不純物イオン、特に塩化物イオンや硫酸イオンの影響を強く受ける。つまり、ECPが同じであっても、炉水中の不純物濃度が高いほど、SCCが発生し易くなる。そのため、SCC感受性(割れ(亀裂)の発生および進展速度の情報を含む)は、ECPおよび電気伝導率に依存していると言える。電気伝導率は、炉水に含まれる不純物の濃度で決まる。このため、BWR原子力発電プラントでは、ECPを下げることを実施する以前から、不純物の濃度を下げて炉水の純度を高く保つ運転が行われている。他方、ECPが十分に低い範囲、例えば-400mVvs.SHE程度に下がっていれば、SCCへの電気伝導率上昇の影響はマージンを有することになり、不純物イオンによる電気伝導率が通常の0.1μS/cmから0.2μS/cm程度まで上昇してもSCC感受性は小さいこともわかっている。従って、ECPを大きく下げた状態を維持できる貴金属注入は原子力プラントのSCC管理に対して優位な技術となっている。
このような状況下、ECPによるSCC監視とSCC発生時間を考慮した亀裂長さの評価に関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、不純物イオンを含む冷却水と接触する構造部材のECP、および冷却水に含まれる不純物イオンの濃度を測定し、これらの情報などに基づいて、構造部材におけるSCCの発生時間を求め、この発生時間が設定時間よりも短いとき、前記ECPおよび不純物イオンの濃度のうち少なくとも1つを減少させる方法が記載されている。
また、SCCによる亀裂進展および腐食疲労による亀裂進展を予測する原子炉一次系構造物の寿命予測が知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載の寿命予測は、測定したECPおよび構造材料の亀裂進展特性データを用いて行われる。
また、原子力プラントの構造部材の余寿命を推定する他の方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3に記載の余寿命推定方法は、原子炉内の構造物の余寿命を推定したい部分について、その部分の炉水中の溶存酸素濃度(O2)、過酸化水素濃度(H22)および導電率(μ)をモニターまたは推定する。そして、当該方法は、それらの値を用いて、余寿命を推定したい部分に存在すると想定した亀裂について、応力腐食による亀裂の進展速度を求め、その亀裂の進展速度から、亀裂が予め定めた限界値に達するまでの時間を計算して、これを余寿命とする。
特許第5483385号公報 特開2006-10428号公報 特開平6-34786号公報
特許文献1~3のようにして評価、予測、推定等された後、必要に応じて種々の対策が適用される。例えば、SCCに対する腐食環境緩和技術を始めとする応力改善、材料の交換およびSCCによる亀裂の検査技術を含む対策技術が、SCCの発生進展防止や発見されたSCCの亀裂の補修および補修後の対策として適用される。従来、これらは個々に適用されることが主であった。また、亀裂を許容して運転する場合には、亀裂の状態を継続して検査により確認する必要があった。
一方、原子力プラントでは、信頼性重視保全(RCM)の導入が世界的に進められている。原子力プラントでの代表的なものとして米国原子力発電協会(INPO)のAP913(設備信頼性プロセス)がある。RCMでは、機器信頼性を向上するために、重要な構造物、系統および機器(System,Subsystem and Component;以下、これらを総称して「SSC」と呼称する場合がある)の選定、最適な保全方法の選定、実施時期の選定を考慮して最適な保全プログラムを策定する。このようなRCMを導入することによって原子力プラント全体の信頼性の向上を目指す必要がある。しかしながら、現状では原子力プラントの信頼性に大きな影響を与えるSCCの管理方法に対して、RCMのプロセスが存在していない。そのため、上述のようにSCCの対策技術は個々に適用されることにとどまっている。
SCCの管理をRCMと結びつけることによって個々の対策およびSCC管理手順を連携させ、原子力プラントのライフサイクル全体にわたる長期的かつ継続的に信頼性を向上するプロセスを構築することが可能になると考えられる。これにより、より一層の原子力プラントの信頼性向上が期待される。
なお、RCMのプロセスでは機器信頼性の状態を示すために、特定の性能指標を常時監視して明示する必要があるが、SCCに関してはRCMのプロセスがなかったため常時監視指標が定まっていなかった。
本発明は前記状況に鑑みてなされたものである。本発明の課題は、信頼性重視保全(RCM)のプロセスの性能指標として腐食電位(ECP)を常時監視指標として用いることができ、かつそれにより原子力プラントの信頼性を改善できる原子力プラントの信頼性改善方法を提供することにある。
前記課題を解決するため、本発明では、SCCに対する機器信頼性を常時監視し、明示するための性能指標としてECPを用い、各SSCの使用材料や溶接部などでの応力の状態と共に監視しているECPの値を入力としてSCCの亀裂進展速度(亀裂進展量)の評価を行うことをプラントライフサイクルにわたって実施する、SCCに対する機器信頼性プロセスを具現させたものである。
具体的には、本発明は、応力腐食割れのリスクの高い機器または部位を選定する選定ステップと、選定された前記リスクの高い機器または部位の腐食電位を常時監視指標として監視して、その結果から亀裂進展速度を推定する監視ステップと、推定された前記亀裂進展速度が高い機器または部位に対して、前記腐食電位を低減させる予防保全を実行する予防保全実行ステップと、前記監視ステップで監視している前記腐食電位が目標範囲に入るように水質パラメータを是正する是正ステップと、前記是正ステップを行っても前記腐食電位が前記目標範囲に入らない場合に、材料の交換および応力改善のうちの少なくとも一方を行って、前記選定ステップでリスクが高いと選定された機器または部位の信頼性を継続的に改善させる改善ステップと、前記選定ステップ、前記監視ステップ、前記予防保全実行ステップ、前記是正ステップおよび前記改善ステップを繰り返し行わせつつ、繰り返し行われる前記選定ステップでリスクが高いと新たに選定された機器または部位の前記腐食電位を監視して、前記亀裂進展速度を管理していくライフサイクルマネジメントステップと、を有することを特徴とする原子力プラントの信頼性改善方法である。
本発明によれば、信頼性重視保全(RCM)のプロセスの性能指標として腐食電位(ECP)を常時監視指標として用いることができ、かつそれにより原子力プラントの信頼性を改善できる原子力プラントの信頼性改善方法を提供できる。
前述した以外の課題、構成および効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施形態に係る原子力プラントの信頼性改善方法における機能的な流れを示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る原子力プラントの信頼性改善方法が適用された原子力プラントの一例を示す全体系統構成図である。 本発明の一実施形態に係る原子力プラントの信頼性改善方法によって得られる効果(リスク低下のグラフ)の一例を経時的に示した説明図である。 本発明の一実施形態に係る原子力プラントの信頼性改善方法を沸騰水型原子炉に適用して得られる効果(リスク低下のグラフ)の一例を経時的に示した説明図である。 本発明の一実施形態に係る原子力プラントの信頼性改善方法が適用された原子力プラントの他の一例を示す全体系統構成図である。
以下、適宜図面を参照して、本発明の一実施形態に係る原子力プラントの信頼性改善方法(以下、「本改善方法」と呼称することがある)について詳細に説明する。以下の説明において同一の構成要素については同一の符号を付して表し、重複する説明は省略することがある。
≪本改善方法≫
図1は、本改善方法における機能的な流れを示すブロック図である。
図1に示すように、本改善方法は、選定ステップS1と、監視ステップS2と、予防保全実行ステップS3と、是正ステップS4と、改善ステップS5と、ライフサイクルマネジメントステップS6と、を有する。
選定ステップS1では、応力腐食割れ(SCC)のリスクの高い機器または部位の選定を行う。
監視ステップS2では、選定されたリスクの高い機器または部位の腐食電位(ECP)を常時監視指標として監視して、その結果から亀裂進展速度の推定を行う。
予防保全実行ステップS3では、推定された亀裂進展速度が高い機器または部位に対して、前記ECPを低減させる予防保全の実行を行う。
是正ステップS4では、前記監視ステップS2で監視しているECPが目標範囲に入るように水質パラメータの是正を行う(つまり、水質パラメータが是正されるように水質の制御を行う)。
改善ステップS5では、前記是正ステップS4を行ってもECPが前記目標範囲に入らない場合に、材料の交換および応力改善のうちの少なくとも一方を行って、前記選定ステップS1でリスクが高いと選定された機器または部位の信頼性を継続的に改善させる。
ライフサイクルマネジメントステップS6では、前記選定ステップS1、前記監視ステップS2、前記予防保全実行ステップS3、前記是正ステップS4および前記改善ステップS5を繰り返し行わせる。また、ライフサイクルマネジメントステップS6では、繰り返し行われる前記選定ステップS1でリスクが高いと新たに選定された機器または部位のECPを監視して、前記亀裂進展速度を管理していく。
なお、監視ステップS2は、予防保全実行ステップS3、是正ステップS4および改善ステップS5をそれぞれ行った後、適宜実施することができる。
本改善方法では、予防保全実行ステップS3、是正ステップS4および改善ステップS5で対策が行われる。そのため、本改善方法では、原子力プラントに対してこのような機器信頼性プロセスを繰り返し行うことによって、時間の経過と共に選定ステップS1で選定された優先度の高い(リスクの高い)機器または部位のリスクが低下し、SSC各部のリスク順位が変化する。つまり、本改善方法では、前記選定ステップS1、前記監視ステップS2、前記予防保全実行ステップS3、前記是正ステップS4および前記改善ステップS5を繰り返すことによって、常にリスクの高い機器または部位が監視対象となり、対策が継続的に行われる。そのため、本改善方法では、原子力プラントのSSC全体のリスクが合理的に実施可能な水準(ALARP)まで低下する。本改善方法では、ECPの常時監視によってECPが目標範囲に入るように制御されていることが常時明示されることにより、SCCのリスクがALARPまで低下し、コンフィグレーション管理での各SSCが設計通りのあるべき状態、あるべき性能を発揮していることが示されることになり、機器信頼性が良好であることが示されることになる。
このような本改善方法が適用され得る原子炉としては、例えば、沸騰水型原子炉(BWR)、改良型沸騰水型原子炉(ABWR)、加圧水型原子炉、天然ウラン黒鉛減速ガス冷却炉、改良型ガス冷却炉、高温ガス炉、重水減速炉、溶融塩炉、高速増殖炉などが挙げられるが、これらに限定されない。以下、BWRを用いた原子力発電プラント(原子力プラント)に本改善方法を適用した一構成例について説明する。そして、その一構成例に基づいて、本改善方法の具体的な内容について説明する。図2は、本改善方法が適用された原子力プラントの一例を示す全体系統構成図である。図2では、本改善方法における機器信頼性プロセスのうちの1つである予防保全実行ステップS3を行う場合を例示しており、その予防保全実行ステップS3の実行内容として、BWRに水素注入、または水素注入と貴金属注入との組み合わせを行う場合を例示している。
≪原子力プラントに本改善方法を適用した一構成例≫
図2に示すように、BWRを用いた原子力プラントP100は、BWRである原子炉P1、タービンP3、復水器P4、並びに、後述する原子炉浄化系および給水系などを備えている。原子炉P1は、原子炉格納容器P11内に設置されている。原子炉P1は、炉心P13を内蔵する圧力容器P12を有する。圧力容器P12内に設置された円筒状のシュラウドP15が、炉心P13を取り囲んでいる。炉心P13には、複数の燃料集合体(不図示)が装荷されている。各燃料集合体は、核燃料物質で製造された複数の燃料ペレットを充填した複数の燃料棒を含んでいる。圧力容器P12の内面とシュラウドP15の外面の間には、環状のダウンカマP17が形成されている。また、複数のジェットポンプP21が圧力容器P12の底部に設置されている。ジェットポンプP21の出口はダウンカマP17の下部に配置され、圧力容器P12の下部空間(下部プレナム(不図示))に連通している。下部プレナムの底部は炉底部と呼ばれている。また、シュラウドP15を支持する構造物がシュラウドサポートP41である。
給水系は、復水器P4と圧力容器P12とを連絡する給水配管P10に、復水ポンプP5、復水浄化装置P6、給水ポンプP7、低圧給水加熱器P8、および高圧給水加熱器P9が、この順番に復水器P4から圧力容器P12に向かって設置されて構成される。そして、水素注入装置P16が、水素注入配管P18によって、復水浄化装置P6と給水ポンプP7の間で、給水配管P10に接続されている。開閉弁P19が水素注入配管P18に設けられている。また、貴金属注入装置P31が、貴金属注入配管P32によって、高圧給水加熱器P9と圧力容器P12の間で、給水配管P10に接続されている。開閉弁P33が貴金属注入配管P32に設けられている。
原子炉浄化系は、圧力容器P12と給水配管P10を連絡する浄化系配管P20に、浄化系隔離弁P23、浄化系ポンプP24、再生熱交換器P25、非再生熱交換器P26、および炉水浄化装置P27が、この順番で設置されて構成される。浄化系配管P20は、高圧給水加熱器P9と圧力容器P12の間で、給水配管P10に接続されている。
圧力容器P12内のダウンカマP17に存在する炉水は、ジェットポンプP21に吸い込まれて、炉心P13よりも下方の下部プレナムに導かれる。炉水は、下部プレナムから炉心P13に供給され、燃料集合体の燃料棒に含まれる核燃料物質の核分裂で発生する熱によって加熱される。加熱された炉水の一部が蒸気になる。この蒸気は、圧力容器P12から主蒸気配管P2を通ってタービンP3に導かれ、タービンP3を回転させる。タービンP3に連結された発電機(不図示)が回転され、電力が発生する。タービンP3から排出された蒸気は、復水器P4で凝縮されて水になる。
この水は、給水として、給水配管P10を通って圧力容器P12内に供給される。給水配管P10を流れる給水は、復水ポンプP5で昇圧され、復水浄化装置P6で不純物が除去されて、給水ポンプP7でさらに昇圧され、低圧給水加熱器P8および高圧給水加熱器P9で加熱される。また、タービンP3と低圧給水加熱器P8および高圧給水加熱器P9との間には、抽気配管P14が接続されている。抽気配管P14で主蒸気配管P2およびタービンP3から抽気された抽気蒸気が、抽気配管P14によって低圧給水加熱器P8および高圧給水加熱器P9にそれぞれ供給され、給水の加熱源となる。高圧給水加熱器P9の抽気蒸気のドレンは低圧給水加熱器P8に戻される。低圧給水加熱器P8の抽気蒸気のドレンは復水ポンプP5に戻される。
圧力容器P12内の炉水には給水に含まれる金属腐食生成物や圧力容器P12内の構造材の腐食によって生じた生成物が含まれる。そのため、一定の割合の炉水が炉水浄化系によって浄化される。圧力容器P12内の炉水は、浄化系ポンプP24の駆動により、再循環系配管P30から分岐した浄化系配管P20を通して再生熱交換器P25および非再生熱交換器P26に供給され、これらの熱交換器により50℃程度まで冷却される。冷却された炉水が炉水浄化装置P27を通ることによって炉水に含まれる金属腐食生成物が除去され、再生熱交換器P25で昇温された後、給水配管P10内を流れる給水と合流して圧力容器P12に供給される。
原子炉P1の運転を停止するときには、全制御棒(不図示)が炉心に挿入される。全制御棒の挿入により核燃料物質の核分裂反応が停止され、原子炉P1の運転が停止される。炉心P13および圧力容器P12内の機器に残留する熱は炉水の蒸発によって除去されるが、ある程度、温度が低下すると炉水の蒸発による除熱効率が低下する。そのため、炉水温度が150℃程度まで低下すると残留熱除去系(不図示)を用いて炉心P13および圧力容器P12内の機器を冷却する。
前記したように、図2に示す例では、機器信頼性プロセスにおける予防保全実行ステップS3の内容として、BWR(原子炉P1)に水素注入、または水素注入と貴金属注入との組み合わせが行われる。
水素注入は、水素注入装置P16から水素注入配管P18を通して開閉弁P19を開として給水に注入する。給水に注入された水素はダウンカマP17の上方で給水スパージャ(図示せず)から炉内に噴出し、炉水と混合する。ダウンカマP17領域のガンマ線の線量率が適度であり再結合反応を促進するため、添加された水素はダウンカマP17を通過するときに炉水中の酸素、過酸化水素と再結合して水を生成する。すなわち、SCCの環境因子である溶存酸素および過酸化水素を添加された水素が消費することで腐食環境が緩和される。この結果、炉水と接触する構造材料のECPが低下するため、SCCの発生進展が抑制される。
また、貴金属注入は、水素注入の効果を触媒作用によって促進する技術である。貴金属注入は、貴金属注入装置P31から例えば白金(Pt)の化合物を含む水溶液が、貴金属注入配管P32を通して開閉弁P33を開として給水配管P10を通して圧力容器P12に注入される。給水に注入された白金は炉水と合流し、微小な白金粒子の状態で炉水と接触する構造材料の表面に一部が付着する。残りは燃料表面に付着する。白金粒子表面上で、炉水中の酸素および過酸化水素が水素と電気化学的に触媒反応して水を形成する。水素が酸素(過酸化水素は1/2量の等価な酸素として扱う)よりも化学量論比(HOはH:O=2:1)で2以上存在すると、水素が酸素に対して余剰となり、水素酸化還元電位である-500mVvs.SHE付近の電位で水素と酸素の反応が進行する。このため、構造材料のECPが混成して-500mVvs.SHE付近まで低下することにより、予防保全実行ステップS3における目標電位以下を実現する。つまり、ECPが目標範囲に入るようにする。これにより、SCCが抑制される。SCCの抑制は、ECPを監視し、ECPが目標範囲に入るように是正ステップS4を行い、ECPを制御することによっても行える。
図2に示すように、浄化系配管P20や再循環系配管P30には、ダウンカマP17下部の炉水が流れている。そして、原子力プラントP100では、水素注入や貴金属注入によるSCC抑制効果が得られていることを機器信頼性プロセスの常時監視指標としてECPを用いて明示するために、浄化系配管P20や再循環系配管P30に腐食電位センサP35a、P35bを設置している。
具体的には、原子力プラントP100には、圧力容器P12の底部と浄化系配管P20との間に、圧力容器P12の底部から炉水を引き出し、浄化系配管P20に通水するボトムドレンラインP34が設けられている。そして、原子力プラントP100では、このボトムドレンラインP34から分岐ラインP34aを設けてそこにフランジP36を設置し、ここに腐食電位センサP35aを装荷する。原子力プラントP100では、この腐食電位センサP35aにより圧力容器P12底部の水質のECPを測定する。なお、分岐ラインP34aは、炉水のサンプリングライン(図示せず)などに接続されている。
また、具体的には、再循環系配管P30にフランジP36を設置し、ここに腐食電位センサP35bを装荷して、同配管を流れる炉水のECPを測定する。
さらに、原子力プラントP100は、圧力容器P12の下部プレナムや炉心P13にも、腐食電位センサP35cや腐食電位センサP35dを設置することができる。腐食電位センサP35cおよび腐食電位センサP35dは、中性子計装管P38に設置するとよい。腐食電位センサP35cは、中性子計装管P38の内部における下部プレナムの位置に設置する。また、腐食電位センサP35dは、中性子計装管P38の内部における炉心P13の位置に設置する。そして、これらの腐食電位センサP35c、P35dに、目的とする領域の炉水が流入するように中性子計装管P38に穴をあけることによって、ECPの測定が行われる。
原子炉P1の構造部材は、オーステナイトステンレス鋼、例えばSUS316Lで構成されている。また、原子炉P1の構造部材の材料としては、SUS316Lのほかに、オーステナイトステンレス鋼であるSUS304、SUS304の炭素量を減らしたSUS304L、SUS316Lの強度を高めるために窒素を添加したSUS316NG(NG:原子力用)などが用いられてる。なお、これらの材料を用いて各種の電極を構成することが可能である。さらに、例えば、シュラウドP15は、SUS304L、SUS316Lなどで構成されている。浄化系配管P20や再循環系配管P30は、SUS304、SUS316NGなどで構成されている。また、原子炉P1は、構造部材にニッケル基合金を用いることもできる。炉底部は、高強度が必要なため600合金が使用されている。また、同様に炉底部での溶接部や肉盛部では、溶接金属として182合金や82合金が使用されている。
≪本改善方法の具体的な内容(SCCに対する機器信頼性プロセス)≫
次に、図1に戻って、本改善方法の具体的な内容(SCCに対する機器信頼性プロセス)について説明する。本改善方法の具体的な内容については、BWRを用いた原子力プラントP100に適用した例を挙げて説明する。なお、加圧水型原子炉や他の原子炉についても、ECPの常時監視部位を炉の設計条件に合わせて変更するだけで、本改善方法を同様に適用することができる。例えば、加圧水型原子炉におけるECPの常時監視部位としては、炉内にセンサを設置する場合には、炉の上部から炉心の上部まで熱電対の管を利用して腐食電位センサを入れたり、炉心部に入れたりすることができる。また、加圧水型原子炉の圧力容器に設けられた蒸気発生器のサンプリングラインに腐食電位センサを設置することができる。
本改善方法によるSCCに対する機器信頼性プロセスは、図1に示すどのステップから始めてもよいが、例えば、選定ステップS1(機器または部位の分類)から始めるとよい。選定ステップS1は、SCCのリスクの高い機器または部位を選定する。この選定ステップS1では、原子力プラントP100のSSCにおいて、SCCのリスクの高い機器または部位を安全系や圧力境界等に関する基準に基づいて予め選定する。なお、安全系とは、原子炉運転中に、原子炉の過出力状態や出力の異常上昇などの異常状態を検知した場合、原子炉緊急停止系を作動して自動的に(あるいは手動で)原子炉を停止すると共に、事故時においては炉心および格納容器バウンダリーを保護するため工学的安全施設を作動させる設備の総称をいう。また、圧力境界とは、原子炉一次系、つまり、高温・高圧の冷却材が循環する圧力容器や主冷却管系をいう。
選定ステップS1による選定(リスクの判定)は、種々のリスク解析ツールを用いてもよいし、専門家による判定を活用してもよい。これにより、リスクの高い機器または部位を優先順位付けして機器信頼性プロセスの対象とすることができる。例えば、BWRにおいて補修・交換などの接近が困難であり、かつ圧力境界を構成しているような機器・構造としては、原子炉底部(炉底部)の制御棒駆動機構ハウジング、中性子計装管ハウジング、計測ノズルなどがある。これらのような部位での使用材料、応力や水質を考慮するとリスクが高い部位となる。同様の部位であっても圧力境界を構成しないものとしては、ジェットポンプP21のディフューザ、ジェットポンプP21のライザ、シュラウドサポートP41、中性子計装管案内管、シュラウドP15の各溶接線がある。補修・交換が可能なものでは、再循環系配管P30、再循環系配管P30の入口・出口ノズルセーフエンド、計測ノズルセーフエンド、炉心スプレー配管、ドライヤ、セパレータ等の機器、ジェットポンプP21のインレットミキサー、ジェットポンプP21のジェットポンプビーム、シュラウドP15のシュラウドヘッドボルトがある。さらにリスクの低いSSCとしては、炉の上部などの接近や作業の比較的困難でない部位などがある。選定ステップS1では、こうしたSSCのリスクを分類し、信頼性向上への優先順位をつけ、監視対象部位を選定する。選定ステップS1で選定された選定結果(データ)は、監視ステップS2や改善ステップS5に送られる。選定結果を受け取った監視ステップS2や改善ステップS5は、それぞれ後記する処理を行う。
本改善方法では、選定ステップS1の次に、監視ステップS2を行うとよい。監視ステップS2は、選定ステップS1で選定されたリスクの高い機器または部位のECPを常時監視指標として監視(測定)して、その結果から亀裂進展速度を推定する(パフォーマンス監視、亀裂評価)。ここでは、常時監視しているECPを材料、応力および検査による実測亀裂長さと共に用いてSCCの亀裂進展速度を評価するとよい。ECPは腐食環境を見ることができるので、これによって監視対象部位の亀裂進展速度を評価・推定することができる。亀裂進展速度の推定は、例えば、日本機械学会「発電用原子力設備規格 維持規格」に示される亀裂進展速度線図やFord-Andresenの式により行うことができる。
本改善方法では、SCCがBWRの運転に影響を与えていない状態をSCCに関するBWRの「あるべき性能」と考え、ECPがSCCの抑制に好適な状態であることを常時監視によって明示することが機器信頼性向上に必須の条件だと定義したことが特徴として挙げられる。SCCには材料の耐食性や応力も影響するが、これらは原子炉運転中に性能を常時監視することはできず、原子炉停止中に材料の耐食性や応力の状態を測らなくてはならないので、本実施形態では監視指標としない。しかしながら、これらの材料の耐食性や応力の測定値は、亀裂進展速度を評価するためのデータベースに保存され、ECPの実測値と共に亀裂進展速度の評価に使用できる。また、不純物イオンによる炉水電気伝導率も亀裂進展速度に影響を与えるため測定値を使用できる。炉水電気伝導率は炉水の本設機器で既に常時監視されている。また、亀裂に関する検査結果もデータベースに保存され、評価した亀裂進展速度の校正に使用される。監視ステップS2で監視を実行したら、ECPの実測値および/または亀裂進展速度の評価結果は、予防保全実行ステップS3、是正ステップS4、改善ステップS5およびライフサイクルマネジメントステップS6に送られ、それぞれの処理において参照等される。
本改善方法では、監視ステップS2の次に、予防保全実行ステップS3を行うとよい。予防保全実行ステップS3は、監視ステップS2で推定された前記亀裂進展速度が高い機器または部位に対して、前記ECPを低減させる予防保全を実行する。予防保全実行ステップS3では、常時監視しているECPに基づいて、リスクの高い機器または部位の亀裂進展速度が大きいと判断された場合に、ECPを低減させる。予防保全実行ステップS3におけるECPの低減は、腐食環境緩和技術を行うことで達成される。腐食環境緩和技術としては、前記した水素注入および貴金属注入が実用化されている。また、ヒドラジン注入や酸化チタン注入などの技術も開発されている。これらの腐食環境緩和技術を行うことで、ECPを目標範囲に入れることができる。ECPの目標範囲としては、例えば、-230mVvs.SHE以下が挙げられる(参考:“Experience with hydrogen waterchemistry in boiling water reactors”, R. L. Cowan et al, Water chemistry of nuclear reactor systems 4, 1, p29, BNES (1986))。また、ECPの目標範囲としては、例えば、ステンレス鋼やニッケル基合金溶接金属182(182合金)の亀裂進展速度を、腐食環境緩和策技術を行わないときの1/10以下にする場合であれば、それぞれ-100mVvs.SHEおよび-200mVvs.SHE以下にすることが挙げられる(参考:一般社団法人原子力安全推進協議会「BWR予防保全工法ガイドライン(水素注入による環境改善効果の評価方法、第2版)、JANSI-VIP-18-第2版、平成29年」)。予防保全実行ステップS3で予防保全を実行したら、実行した情報が監視ステップS2に送られる。前記情報を受け取った監視ステップS2は、予防保全実行ステップS3の効果が得られていること監視するため、該当する機器または部位のECPを測定し、亀裂進展速度の評価を行い、ECPの実測値および/または亀裂進展速度の評価結果を是正ステップS4やライフサイクルマネジメントステップS6に送るとよい。ECPの実測値および/または亀裂進展速度の評価結果を受け取った是正ステップS4やライフサイクルマネジメントステップS6は、それぞれ後記する処理を行う。
本改善方法では、予防保全実行ステップS3の次に、是正ステップS4を行うとよい。是正ステップS4は、監視ステップS2で監視している前記ECPが目標範囲に入るように水質パラメータを是正する。是正ステップS4は、予防保全実行ステップS3で予防保全を実行して腐食環境緩和技術を行った後、監視ステップS2を経て行うとよい。
是正ステップS4では、監視ステップS2で測定しているECP(および/または推定している亀裂進展速度)が目標範囲に入るように、給水水素量の増加や貴金属付着量の増加といった水質パラメータの是正を行う。給水水素量の増加は、前記した水素注入により行う。水素注入の場合は、炉心の運転管理で炉内の放射線の分布や強度が変化すると水素注入効果が変化するため、給水水素量を増加してECPを下げる。ただし、放射線量の制約などによって給水水素量を増加できない場合がある。また、貴金属注入の場合は、水素注入と同様に水素を炉水に添加するので炉心管理の影響を受けることが生じ得る。さらに、貴金属注入の場合は、材料の表面に付着させた貴金属(主に白金)が剥離・脱着や溶出することによって効果が低下することが生じ得る。そこで、是正ステップS4では、給水水素量を増加することによって、および/または貴金属の再注入処理を行い、材料の表面への貴金属付着量を増加することによって、ECPが目標範囲に入るように是正する。また、是正ステップS4では、ヒドラジン注入や酸化チタン注入などを行うこともできる。ヒドラジン注入では、ヒドラジンの注入量の増加を行って、ECPが目標範囲に入るように是正する。酸化チタン注入では、酸化チタン付着量の増加を行って、ECPが目標範囲に入るように是正する。是正ステップS4で水質パラメータの是正を行うことにより、機器信頼性を良好に維持することができる。是正ステップS4を実行したら、是正が適切に行われたかを監視ステップS2で確認し、効果が得られている場合は監視を継続する。是正ステップS4における措置(是正措置)の情報は、改善ステップS5およびライフサイクルマネジメントステップS6に送られる。具体的には、前記是正措置の情報を受け取った監視ステップS2は、是正ステップS4の効果を確認するため、該当する機器または部位のECPを測定し、亀裂進展速度の評価を行い、ECPの実測値および/または亀裂進展速度の評価結果を改善ステップS5およびライフサイクルマネジメントステップS6に送るとよい。前記是正措置の情報ならびにECPの実測値および/または亀裂進展速度の評価結果を受け取った改善ステップS5およびライフサイクルマネジメントステップS6は、それぞれ後記する処理を行う。
本改善方法では、是正ステップS4の次に、改善ステップS5を行うとよい。改善ステップS5は、是正ステップS4を行っても前記ECPが前記目標範囲に入らない場合に、材料の交換および応力改善のうちの少なくとも一方を行って、前記選定ステップS1でリスクが高いと選定された機器または部位の信頼性を継続的に改善させる。これにより、原子炉のSCCリスクを全体として低下させることができる。
例えば、非常に中性子吸収線量の大きな機器または部位では亀裂進展速度がECPを下げても十分に低下しない可能性がある。また、腐食環境緩和技術が効果のない領域もある。例えば、水素注入や貴金属注入では炉心で炉水が沸騰すると水素が蒸気に抜けてしまうので炉心から給水の混合点で再び水素が添加されるまでの領域ではECPを下げられない。そのような部位では、改善ステップS5により材料の交換や応力改善を行うことが好ましい。例えば、材料の交換はより耐食性の高い材料へ交換される。ニッケル基合金溶接金属182から改良ニッケル基合金溶接金属182への変更、304ステンレス鋼から低炭素316ステンレス鋼への変更が材料の交換では行われ、配管や機器の交換やウエルドオーバーレイなどが適用される。また、応力改善では、ウォータジェットピーニングやショットピーニングなどのピーニングによって表面に圧縮応力を付与したり、表面研磨または機械的応力改善(MSIP)したりすることが適用される。ピーニングによって材料の表面に強い圧縮応力を付与することによって数十年という長期にわたりSCCの発生を防ぐことができる。ピーニング施工後は新設プラント相当の初回点検期間となる。改善ステップS5を実行したら、実行した旨の情報が、監視ステップS2、予防保全実行ステップS3およびライフサイクルマネジメントステップS6に送られる。前記情報を受け取った監視ステップS2は、改善ステップS5の効果を確認するため、該当する機器または部位のECPを測定し、亀裂進展速度の評価を行い、ECPの実測値および/または亀裂進展速度の評価結果をライフサイクルマネジメントステップS6に送るとよい。前記情報ならびにECPの実測値および/または亀裂進展速度の評価結果を受け取ったライフサイクルマネジメントステップS6は、後記する処理を行う。なお、改善ステップS5を実行した旨の情報を受け取った予防保全実行ステップS3は、この改善ステップS5に続けて再度、予防保全実行ステップS3を行うこともできる。また、本改善方法では、改善ステップS5を、選定ステップS1から選定結果を受け取った後に行うこともできる。
本改善方法では、改善ステップS5の次に、ライフサイクルマネジメントステップS6を行うとよい。ライフサイクルマネジメントステップS6は、前記選定ステップS1、前記監視ステップS2、前記予防保全実行ステップS3、前記是正ステップS4および前記改善ステップS5を繰り返し行わせつつ、前記選定ステップS1でリスクが高いと選定された機器または部位の前記ECPを監視して、前記亀裂進展速度を管理する。つまり、ライフサイクルマネジメントステップS6は、上述の機器信頼性プロセスにおける各ステップを相互に連関させ、全体を長期にわたり継続的に繰り返すことによって機器信頼性を向上させる。これにより、原子力プラントP100のSSC全体のリスクをALARPまで低下させることができる。また、ライフサイクルマネジメントステップS6では、上述の各ステップからなる機器信頼性プロセスの長期的な実施によって蓄積されたECPデータ、検査データや他プラントでのSCC発生進展データなどに基づいて作られたSCCデータベースに基づいて、予防保全のために実施されるSCCの検査によるSCCの状態確認の時間間隔を延ばし、その間の期間をECPの監視で置き換えたSCCの亀裂進展速度管理を行うことができるようになる。さらに、ライフサイクルマネジメントステップS6では、常時監視している機器または部位を含め、検査によって亀裂が評価通りに進展していたり、または亀裂の発生が認められなかったりした機器または部位については、ECPの常時監視を前提に点検間隔を延ばしていくことができる。本改善方法では、これによって機器信頼性の向上と合理化とを同時に進行することができる。また、本改善方法では、これによって定検項目の見直しも可能となる。この点が、本改善方法における機器信頼性プロセスによってもたらされる特長である。
≪本改善方法における機器信頼性プロセスの具体例≫
次に、図3を参照して、本改善方法における機器信頼性プロセスの具体例について説明する。図3は、本改善方法によって得られる効果(リスク低下のグラフ)の一例を経時的に示した説明図である。
図3のIに示すように、まず、選定ステップS1によってSSCのSCCリスクの順位付け(機器または部位の分類)が行われる。選定ステップS1では、機器・構造物またはその部位(以下、単に「部位」と呼称する場合がある)A~Hというリスク順位が決まる。選定ステップS1は、最もリスクが高い部位Aを監視ステップS2でのECP常時監視指標(腐食電位監視部位)に選定する。腐食電位監視部位は、ECPが下がり難い部位を選定して指定するとよい。このようにすると、ECPが下がり易い他の部位については、ECPを直接測定しなくても同等以上にECPが下がっているとみなすことができる。そのため、腐食電位センサの設置数を減らすことができる。また、腐食電位センサの設置が困難な箇所への腐食電位センサの設置を行わなくてよくなるため簡素化できる。ECPが下がり難い部位であるか下がり易い部位であるかの判断は、それまでの実績を考慮して適宜決定することができる。また、ECPが下がり難い部位であるか下がり易い部位であるかの判断は、部位間の相関や、解析ツールを用いた解析結果などに基づいて決定してもよい。腐食電位センサは、炉水などにおけるECPを測定できるものであればどのようなものも用いることができる。
そして、監視ステップS2では、選定ステップS1により選定されたリスクの高い部位AのECPを常時監視指標として監視して、その結果から亀裂進展速度を推定する。
次に、予防保全実行ステップS3で腐食環境緩和技術を行うと、各部位A~HのECPは、各部位の条件に応じて低減することになる。そして、ECPの低下により材料や応力などの条件から亀裂進展速度を算出し、リスクを評価・推定すると、図3のIIに示すように、リスクの高さの順位が変化する。図3のIで最もリスクが高かった部位Aは、図3のIIでは、リスクが低減し、目標以下になっている(目標範囲に入っている)ことがECPの常時監視によって明示できる。このとき、ECPから評価したリスクが目標範囲を逸脱した場合、具体的には監視しているECPが目標範囲の上限値より高くなった場合、是正ステップS4で水素注入量を増加したり、貴金属注入を再度行って貴金属付着量を増加したりすることによって水質パラメータを是正し、ECPを再び目標範囲まで低減させる。
ここで、予防保全実行ステップS3および是正ステップS4ではリスクが目標範囲まで下がらない場合がある。例えば、図3のIIに示す部位C、Dは選定ステップS1でリスクが高いと選定されたものであり、予防保全実行ステップS3および是正ステップS4を行ってもリスクが目標以下にならなかったものである。この場合、図3のIIIに示すように、改善ステップS5を行う。改善ステップS5では、材料の交換および応力改善のうちの少なくとも一方を行ってリスクを低減し、信頼性を継続的に改善させる。なお、部位C、Dが目標以下にならないことは、ECPを測定して確かめてもよいし、それまでの実績や他プラントにおけるデータに基づいて判断してもよい。部位C、Dのリスクが改善ステップS5によって目標以下になると、リスクの順位は再び変化することになり、図3のIIIに示すように、部位Eが最もリスクが高い部位となる。
そして、図3のIVに示すように、ライフサイクルマネジメントステップS6は、選定ステップS1、監視ステップS2、予防保全実行ステップS3、是正ステップS4および改善ステップS5を繰り返し行わせる。ライフサイクルマネジメントステップS6は、選定ステップS1でリスクが高いと選定された部位AのECPを監視して、亀裂進展速度の管理を続ける。つまり、本改善方法では、これらのステップを継続的に機器信頼性プロセスとして実施していくことにより、部位A~HのリスクはALARPになる。部位Aは最もリスクが高い部位であったが、腐食環境緩和技術などの実施とECPの常時監視とによって、部位Aよりリスクの低い他の部位と共にリスクが低下する。そのため、部位Aのリスクが下がっていることをECPの常時監視で明示し続けることで、他の部位のリスクも下がっていることを示すことができる。このように、本改善方法では、前記した機器信頼性プロセスを実施することでBWRプラントの信頼性が長期的に改善していく。従って、本改善方法では、ライフサイクルマネジメントステップS6が、機器信頼性プロセスで得られた検査結果などのデータベースに基づいてECPの常時監視を行い、亀裂進展速度を管理することを前提として、部位Aを含む他の部位の次回検査までの期間を延ばしたり、定期検査時の検査物量を低減したりするなどの安全性を向上させながら合理化を進めることができる。
≪本改善方法による機器信頼性プロセスをBWRに適用した例≫
次に、図1、図2および図4を参照して、本改善方法における機器信頼性プロセスをBWRに適用した例について説明する。図4は、本改善方法をBWRに適用して得られる効果(リスク低下のグラフ)の一例を経時的に示した説明図である。
まず、図1および図4のIに示すように、選定ステップS1によってSCCのリスクの高い機器または部位が選定される。つまり、選定ステップS1によってSSCのSCCリスクの順位付け(機器または部位の分類)が行われる。具体的には、図4のIに示すように、亀裂進展速度の評価結果から、機器・構造物またはその部位として、シュラウドP15(図2)のH7溶接線内面(H7内)、シュラウドP15のH4溶接線内面(H4内)、部位A~Fというリスク順位が決まるので、H7内を監視ステップS2におけるECP常時監視対象(常時監視指標)に選定する。なお、H7内は下部プレナム内にあり、シュラウドサポートP41とシュラウドP15を溶接している部位である。H4内は、シュラウドP15の中間胴を構成する2つの円筒状部材を溶接している部位である。そのため、監視ステップS2において、腐食電位センサP35cまたは腐食電位センサP35aでECPを監視することになる。これらのうち、腐食電位センサP35cの方が、下部プレナム内の炉水が直接接する部位のECPを測定できるので、より正確なECPが測定できる。腐食電位センサP35aは、設置は容易だが、ボトムドレンラインP34内での水質の変化(例えば、過酸化水素の分解、酸素および過酸化水素の配管表面での消費)があり得るので、これを考慮して測定値を取り扱うことが好ましい。
次に、図1および図4のIIに示すように、予防保全実行ステップS3でECPを低減させるための予防保全として貴金属注入を行う。これにより、H7内、H4内、部位A~FのECPは各部位の条件に応じて低減することになる(図4のII)。ECPの低減により、材料や応力などの条件から亀裂進展速度を再算出すると、図4のIIに示すように、H4内、H7内、部位A~Fと順位が変化する。ここでは、選定ステップS1で最もリスクが高かったH7内の亀裂進展速度が目標以下になっていることがECPの常時監視によって明示できる。このとき、ECPから評価・推定したリスク(亀裂進展速度)が目標範囲に入らなかった場合(具体的には監視しているECPが目標より高くなった場合)、是正ステップS4によって水素注入量を増加したり、貴金属注入を再度行って貴金属付着量を増加したりすることによって、ECPを再び目標範囲に入るようにさせる。
H4内は、炉心からの放射線の影響を受ける部位であるため、亀裂進展速度の推定は、照射材の式を使用するか、腐食環境緩和未対策時の式を使用して評価される。そのため、亀裂進展速度の目標範囲まで腐食環境緩和技術のみでは下げることができない可能性がある。このような部位については、改善ステップS5によって、例えば、シュラウド交換のような材料の交換によってH4溶接線の無い構造のシュラウドに交換するか、またはウォータジェットピーニングのような応力改善技術を行って、リスクを低減する(図4のIII)。図4のIIに示すように、この段階で最もリスクが高かったH4内の亀裂進展速度は、H4溶接線の無い構造のシュラウドへの交換またはピーニングによる圧縮応力付与によって、亀裂の発生がないことになり(つまり、図4のIIIに示すように、H4内のリスクがゼロになり)、リスクが改善ステップS5によって目標以下に低減する。これによって、リスクの順位は再び変化することになり、いずれの部位もALARPの状態になる。H7内は最もリスクが高い部位であったが、貴金属注入の実行とECPの常時監視によって部位Aよりリスクの低い他の部位と共にリスクが低下しているので、部位Aのリスクが下がっていることをECPの常時監視で明示し続けることで、他の部位のリスクも下がっていることを示すことができる。従って、図4では示していないが、ライフサイクルマネジメントステップS6により、機器信頼性プロセスで得られた検査結果などのデータベースに基づいて、ECPの常時監視を行って亀裂進展速度を管理することを前提として、H7内を含む他の部位の次回検査までの期間を延ばしたり、定期検査時の検査物量を低減したりするなどの安全性を向上させながら合理化を進めることができる。
≪変形例≫
監視ステップS2は、常時監視しているECPとの相関を定期的に予め求めた、給水水素濃度、炉水水素濃度、炉水酸素濃度、炉水過酸化水素濃度、炉水電気伝導率、主蒸気系線量率、炉水水素/酸素モル比、炉水余剰水素濃度の中から少なくとも1つ選定された水質パラメータを補助的な常時監視指標として併用できる。また、炉内のECP低減のため材料の表面へ付着させた物質の付着量も、補助的な常時監視指標として併用できる。これにより、ECPを監視するための腐食電位センサが設置できない場所や、故障などの理由で一時的に腐食電位センサが使用できない期間の機器信頼性を保証することができる。なお、ECPと上記の補助的な常時監視指標との関係は、原子炉の炉心に設置された核燃料の出力制御の状態に影響を受け、核燃料の燃焼度、制御棒の位置、炉心流量などで変化するため、相関関係を長期的に使用し続けることは困難である。従って、これらの関係は、燃料交換ごとに、または長くとも燃料が全て置き換わる5年程度の期間ごとに、定期的に取得し直すことが好ましい。
予防保全実行ステップS3において水素注入を行う場合は、バルクの酸化剤(酸素、過酸化水素)濃度を低減することによってECPを低減する。他方、予防保全実行ステップS3において貴金属注入を行う場合は、構造材料の表面に付着した貴金属が電気化学的触媒となって炉水中の酸素および過酸化水素と水素とを電気化学的に反応させて水を形成させることにより、ECPを低減させる。そのため、貴金属注入の場合は十分な付着量があることを確認した上で、水素が酸素や過酸化水素よりも化学量論的に過剰に存在していることを示す水質パラメータをECP測定の補助指標として選ぶとよい。従って、水素/酸素モル比や、余剰水素濃度(水素濃度-酸素・過酸化水素濃度と化学量論比で等価な水素濃度)が十分水素過剰になっていることが好ましい。なお、予防保全実行ステップS3において酸化チタン注入を行う場合は、構造材料の表面に付着した酸化チタンがチェレンコフ光と光触媒反応することにより、ECPを低減する。
また、一連のステップを行って得られたデータから、亀裂進展速度の上昇が、ECPではなく、電気伝導率のような他の水質変化によるものであることが判明することがある。そのような場合は、例えば、予防保全実行ステップS3、改善ステップS5および是正ステップS4のうちのいずれかのステップにおいて、炉水の浄化力を上げるなどの対策を実施するとよい。
さらに、前述したように、本改善方法は、BWRだけでなく、ABWRなどにも適用され得る。図2はBWRを用いた原子力プラントP100に本改善方法を適用した場合の一例を示している。BWRを用いた原子力プラントP100では、再循環系配管P30や浄化系配管P20には、ダウンカマP17の下部の炉水が流れる。そして、図2を参照して説明したように、BWRを用いた原子力プラントP100の場合には、ECPの測定は、ボトムドレンラインP34から分岐ラインP34aを設けてそこにフランジP36を設置し、ここに装荷された腐食電位センサP35aにより行われる。
この点、ABWRを用いた原子力プラントP100の場合には、図5に示すようにしてECPを測定することができる。なお、図5は、本改善方法が適用された原子力プラントの他の一例(ABWRを用いた原子力プラントP100)を示す全体系統構成図である。図5に示す原子力プラントP100と、図2に示す原子力プラントP100との違いは以下のとおりである。図5に示す原子力プラントP100は、再循環系配管P30、ジェットポンプP21を備えていない。図5に示す原子力プラントP100には、圧力容器P12の底部にインターナルポンプP40が設置されている。また、図5に示す原子力プラントP100では、低圧給水加熱器P8の抽気蒸気のドレンは復水ポンプP5に戻される。高圧給水加熱器P9の抽気蒸気のドレンは給水配管P10に戻される。
図5に示すように、ABWRを用いた原子力プラントP100の場合には、ダウンカマP17の上方の炉水でECPを測定する。これを具現するため、ABWRを用いた原子力プラントP100の場合は、ダウンカマP17の上方に接続され、かつ浄化系配管P20に接続された配管P20aを利用することができる。具体的には、図5に示すように、配管P20aにフランジP36を設置し、ここに腐食電位センサP35eを装荷してECPを測定することができる。また、図示はしないが、ABWRを用いた原子力プラントP100では、配管P20aに分岐ラインを設けて、分岐ラインにフランジを設置し、ここに腐食電位センサを装荷してECPを測定することができる。
S1 選定ステップ
S2 監視ステップ
S3 予防保全実行ステップ
S4 是正ステップ
S5 改善ステップ
S6 ライフサイクルマネジメントステップ
P100 原子力プラント
P1 原子炉
P2 主蒸気配管
P3 タービン
P4 復水器
P5 復水ポンプ
P6 復水浄化装置
P7 給水ポンプ
P8 低圧給水加熱器
P9 高圧給水加熱器
P10 給水配管
P11 原子炉格納容器
P12 圧力容器
P13 炉心
P14 抽気配管
P15 シュラウド
P16 水素注入装置
P17 ダウンカマ
P18 水素注入配管
P19 開閉弁
P20 浄化系配管
P20a 配管
P21 ジェットポンプ
P23 浄化系隔離弁
P24 浄化系ポンプ
P25 再生熱交換器
P26 非再生熱交換器
P27 炉水浄化装置
P30 再循環系配管
P31 貴金属注入装置
P32 貴金属注入配管
P33 開閉弁
P34 ボトムドレンライン
P36 フランジ
P38 中性子計装管
P41 シュラウドサポート
P34a 分岐ライン
P35a~P35d 腐食電位センサ
P40 インターナルポンプ

Claims (7)

  1. 応力腐食割れのリスクの高い機器または部位を選定する選定ステップと、
    選定された前記リスクの高い機器または部位の腐食電位を常時監視指標として監視して、その結果から亀裂進展速度を推定する監視ステップと、
    推定された前記亀裂進展速度が高い機器または部位に対して、前記腐食電位を低減させる予防保全を実行する予防保全実行ステップと、
    前記監視ステップで監視している前記腐食電位が目標範囲に入るように水質パラメータを是正する是正ステップと、
    前記是正ステップを行っても前記腐食電位が前記目標範囲に入らない場合に、材料の交換および応力改善のうちの少なくとも一方を行って、前記選定ステップでリスクが高いと選定された機器または部位の信頼性を継続的に改善させる改善ステップと、
    前記選定ステップ、前記監視ステップ、前記予防保全実行ステップ、前記是正ステップおよび前記改善ステップを繰り返し行わせつつ、繰り返し行われる前記選定ステップでリスクが高いと新たに選定された機器または部位の前記腐食電位を監視して、前記亀裂進展速度を管理していくライフサイクルマネジメントステップと、
    を有することを特徴とする原子力プラントの信頼性改善方法。
  2. 前記選定ステップは、原子力プラントの構造、システムおよび機器のうちの少なくとも1つに対する安全系に関する基準および圧力境界に関する基準のうちの少なくとも一方に基づいて、予めリスク解析ツールおよび専門家の会議のうちの少なくとも一方により選定することを特徴とする請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法。
  3. 前記監視ステップは、常時監視している前記腐食電位を材料、応力および検査による実測亀裂長さのうちの少なくとも1つを用いて前記亀裂進展速度を推定することを特徴とする請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法。
  4. 前記監視ステップは、常時監視している前記腐食電位との相関を定期的に予め求めた、給水水素濃度、炉水水素濃度、炉水酸素濃度、炉水過酸化水素濃度、炉水電気伝導率、主蒸気系線量率、炉水水素/酸素モル比、炉水余剰水素濃度の中から少なくとも1つ選択された水質パラメータを補助的な常時監視指標として併用し、前記腐食電位を低減させる目的のために炉内の材料表面へ付着させた物質の付着量を、前記常時監視指標を補助するために使用することを特徴とする請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法。
  5. 前記予防保全実行ステップでは、前記腐食電位を低減させるため、水素注入、貴金属注入、ヒドラジン注入および酸化チタン注入のうちの少なくとも1つを実施することを特徴とする請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法。
  6. 前記是正ステップは、前記監視ステップで監視している前記腐食電位および推定している前記亀裂進展速度のうちの少なくとも一方が前記目標範囲に入るように給水水素量の増加および貴金属付着量の増加のうちの少なくとも一方を実施することを特徴とする請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法。
  7. 前記ライフサイクルマネジメントステップは、前記選定ステップ、前記監視ステップ、前記予防保全実行ステップ、前記是正ステップおよび前記改善ステップを繰り返し行わせる過程で蓄積した腐食電位データ、検査データおよび他プラントでの応力腐食割れ発生進展データのうちの少なくとも1つに基づいて構築した応力腐食割れデータベースに基づいて、検査による応力腐食割れの状態確認の時間間隔を延ばし、その間の期間を前記腐食電位の監視で置き換えた応力腐食割れの亀裂進展速度管理を行うことを特徴とする請求項1に記載の原子力プラントの信頼性改善方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100706838B1 (ko) * 2006-03-03 2007-04-13 김상종 친환경 가설방음패널

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